説明

ひねり包装用ニ軸延伸フイルム

【課題】 ニ軸延伸ポリエステル樹脂フイルムの優れた特性を失うことなく実用面の特性を維持し、良好なひねり性と帯電防止性を具備し、さらには生産性も良好な実用性あるひねり包装用フイルムとして有用なニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フイルムを提供すること。
【解決手段】 実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂フイルムであって、該フイルムの摩擦係数が0.25〜0.90、かつ該フイルムの少なくとも片面の表面固有抵抗が1×107(Ω/□)〜1×1014(Ω/□)であることを特徴とするひねり包装用ニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フイルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ひねり包装用ニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フイルムに関する。更に詳しくは、ニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フイルムの優れた特性維持しつつ、良好なひねり性が得られる滑り性と帯電防止性を具備した実用性および生産性に優れたひねり包装用フイルムとして提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からひねり性の優れたフイルムとしては、セロファンが知られている。セロファンはその優れた透明性と易切断性、ひねり性等の特性により各種包装材料や粘着テープ用として使用されている。しかし、一方でセロファンは吸湿性を有するために特性が季節により変動し、一定品質を維持しながら供給するこが困難であった。また、ポリエチレンテレフタレートをベースフイルムとした包装材は、延伸されたポリエチレンテレフタレートフイルムの強靭性、耐熱性、耐水性、透明性等の優れた特性により各種用途にて好適に使用されているが、その反面切断性や包装用袋での口引き裂き性における欠点や粘着テープでは切れにいという欠点があり、また折り曲げ性が要求される用途では腰が強いゆえに折り曲げ後にその形状保持ができないといった基本的な欠点があった。更にはひねり包装用途においては、ひねり後の形状維持が悪いことから、セロファン代替品として使用することは困難であった。
【0003】
上記欠点を解決する方法として、応力―ひずみ曲線において降伏点を有し、かつ該共重合物の未延伸フイルムの平均屈折率をN0、ニ軸延伸フイルムの平均屈折率をN1とした時、0.003≦N1―N0≦0.021を満足することを特徴とする易折り曲げポリエステルフイルム(例えば、特許文献1参照。)やポリエチレンテレフタレートからなるフイルムであって、密度が1.35〜1.375g/cm3の範囲にあり、120℃の熱収縮率が少なくとも10%以上であり、かつフイルム厚みが6〜30μmであるひねり包装用食品フイルム(例えば、特許文献2参照。)などが提案されている。
【特許文献1】特許第2505474号公報
【特許文献2】特開昭59−12544公報
【0004】
しかしながら、上記従来技術において応力―ひずみ曲線において降伏点を有し、かつ該共重合物の未延伸フイルムの平均屈折率をN0、ニ軸延伸フイルムの平均屈折率をN1とした時、0.003≦N1―N0≦0.021とする方法は折り曲げ性においては良好であるものの、ひねり用途に用いる際に機械適性として必要である帯電防止性のために帯電防止用コートが施されるが、該コートによってフイルム間の摩擦係数が低下またはフイルムとひねり包装機械の爪との間で滑りが生じ充分なひねり加工ができず、その結果ひねり後の戻り角度が大きくなり、ひねり性が悪化し不良率が高くなるといった問題や印刷等の加工工程での熱を受けた場合のフイルム平面性の悪化防止としてイソフタル酸等の共重合物の使用および二軸延伸後の熱処理工程にて熱収縮率を小さくすることが記載されてはいるが、共重合物の使用はコストが高くなり生産性としては好ましくないといった問題も有していた。また、ポリエチレンテレフタレートからなるフイルムであって、密度が1.35〜1.375g/cm3の範囲にあり、120℃の熱収縮率が少なくとも10%以上であり、かつフイルム厚みが6〜30μmであるひねり包装用食品フイルムも、ひねり包装機械に必要とされる帯電防止用コートをした場合に摩擦係数が低下し充分なひねり加工ができず、ひねり後の戻り角度が大きくなり、上記従来技術同様にひねり性が充分でなく、多くの不良率が発生するといった問題を有し実用的ではなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂からなるフイルムであって、該フイルムの摩擦係数が0.25〜0.90、かつ該フイルムの少なくとも片面の表面固有抵抗が1×107(Ω/□)〜1×1014(Ω/□)であるひねり包装用ニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フイルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明はセロファンの有する特性の内特にひねり性に着目したものであり、実用性を有しつつ、さらにはコスト的にも有利で生産性良好な実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂からなるひねり包装用フイルムを得ることを目的として研究したものである。すなわち、実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂からなり、該フイルムの摩擦係数が0.25〜0.90、かつ該フイルムの少なくとも片面の表面固有抵抗が1×107(Ω/□)〜1×1014(Ω/□)とすることである。
ここでいう、摩擦係数はASTM−D1894により23℃×65%RHの環境下にて測定した値を意味する。また、表面固有抵抗はASTM D257に準拠して、測定温度及び湿度を23℃×65%RHの環境下にて測定した値を意味する。このように特定の組成を有するポリエステルを使用し、摩擦係数を特定範囲にすること、さらには表面固有抵抗を特定範囲にすることが、優れたひねり性をおよび良好な生産性得る上で好ましい。
【0007】
この場合において、前記フイルムの応力―ひずみ曲線において上降伏点と下降伏点を有し、これらの比(下降伏点強度/上降伏点強度)が0.95以下でかつ該フイルムの150℃での長手方向における熱収縮率が20%以上であることが好適である。
【0008】
またこの場合において、さらに前記フイルムの8%伸張のヒステリシス曲線において、張力緩和工程時の応力0となった時の残留ひずみが3.3%以上であることが好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂からなり、かつ該フイルムの摩擦係数が0.25〜0.90、かつ該フイルムの少なくとも片面の表面固有抵抗が1×107(Ω/□)〜1×1014(Ω/□)とすることにより、良好なひねり性が得られる滑り性と帯電防止性を具備し実用性に優れ、さらには生産性良好であるひねり包装用ニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フイルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を構成する実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂とは、テレフタル酸とエチレングリコールを直接エステル化反応させたものであって、副生成物としてジエチレングリコールやオリゴマーや環状オリゴマー等さらには未反応物として線状モノマーやオリゴマー等が含まれていても良い。また実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂の固有粘度は、好ましくは0.55〜1.30dl/gであり、さらに好ましくは0.60〜1.20dl/gである。
【0011】
上記実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂は、従来の方法により製造され得ることができる。例えば、酸性分とグリコール成分とを直接反応させる直接エステル化法、酸成分としてのエステルとグリコール成分とを反応させるエステル交換法などが挙げられるが、特に限定はされない。
【0012】
上記組成物中には、実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂の他に必要に応じて各種添加剤が含有されても良い。添加剤としては二酸化チタン、微粒子シリカ、カオリン、炭酸カルシウム等の無機滑剤やアクリル系架橋高分子よりなる微粒子の材料として、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等のアクリル系単量体からなる架橋高分子等の有機滑剤が挙げられる。また、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線防止剤、着色剤、染料等を単独で含有しても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明に用いる添加剤としては微粒子シリカが好ましいが特に限定はされない。微粒子シリカの組成は二酸化ケイ素(SiO2)を主成分としたものであり、さらに形状は不定形、球状、凝集状などいずれであっても良いが、本発明においては結晶構造を持たない不定形が好ましい。更に平均粒径(コールターカウンター法、体積基準)は1.4〜4.5μmが好ましく、より好ましくは1.8〜3.0μmである。平均粒径が1.4μm未満ではフイルム間でのブロッキングが発生し問題になる。また、平均粒径が4.5μmより大きいとフイルム加工時にて微粒子シリカの脱落が発生する問題や耐スクラッチ性が悪化するといった問題が発生する。本発明においては、富士シリシア社製サイリシア(グレード:310P、形状:不定形、平均粒径:2.7μm)を用いた。
【0013】
本発明において得られる実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂フイルムの23℃×65%RHの環境下における摩擦係数は0.25〜0.90であることが好ましい。23℃×65%RHの環境下での摩擦係数が0.25未満であると、ひねり加工した時ひねり後の戻りが大きくなり、充分なひねり性が得られず好ましくない。また、23℃×65%RHの環境下での摩擦係数が0.90を越えると、フイルム製膜時でのロール状での巻取りや必要幅へのスリット時にシワが混入する。さらには後工程である印刷や蒸着加工、帯電防止用コート時にもガイドロールにてフイルムに縦状のシワが発生して問題となる。このとき、摩擦係数は0.25〜0.60が好ましい。更に好ましくは、0.30〜0.40である。
【0014】
このような滑り性を有する実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂フイルムを得る方法は特に限定されないが、例えばシリカ、炭酸カルシウムなどの無機粒子やリン酸カルシウム、酸化チタンなどの無機化合物またはアクリル樹脂やポリエチレンといったポリエステル樹脂と非相溶の樹脂の添加、あるいは機械適性として必要である帯電防止性を得るために施される、従来から公知の界面活性剤として使用されているアニオン系、ノニオン系、カチオン系および両性界面活性剤や反応性界面活性剤などによる帯電防止用コートや該帯電防止用コート層の厚み等により得ることができる。さらには、上記該方法を併用して本発明のフイルムを得てもかまわない。
【0015】
具体的には実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂フイルムへの該無機化合物または非相溶の樹脂の添加量をより少なくすることが挙げられる。たとえば実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂フイルムに該添加量として0.01〜0.05重量%程度とすることが望ましい。また、該両性界面活性剤や反応性界面活性剤などによる帯電防止用コートとしては、ウレタン樹脂またはプロピレンオキサトやエチレンオキサイトのブロックコポリマーなどを添加する摩擦係数を高くすることが可能なコート処方が挙げられる。さらには該帯電防止用コート層の厚みとして、帯電防止効果得られる下限となる厚みによりコートする方法などが挙げられる。ただし、上記方法以外により本発明のフイルムを得てもかまわない。
【0016】
また、本発明の実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂フイルムへの帯電防止用コート層厚みとしては、ドライコート量として0.001g/m2〜0.1g/m2が好ましい。より好ましくは0.003g/m2〜0.07g/m2である。ドライコート量が0.001g/m2より少ないと、得られるフイルムの表面固有抵抗が高くなり、必要とされる帯電防止効果が得られない。また、0.1g/m2より多いと良好な帯電防止性は得られるものの、フイルム表面にべた付きが生じ、ロール汚れの発生原因やロール粘着等の問題さらにはフイルムブロッキングが発生して問題となる。
【0017】
本発明の実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂フイルムは、公知のフイルム製膜方法により形成し得ることができる。フイルム製膜方法としては例えば押出し機により溶融混練された樹脂をキャストして未延伸フイルムを得る。その後、同時ニ軸延伸法または逐次二軸延伸法等のニ軸延伸を行い次いで熱固定する方法が用いられる。押出し条件、製膜方法、延伸条件等は適宜選択することができ、特に限定はされない。上記延伸条件の好ましくは、下記のような工程にて行うことができる。例えば、上記樹脂組成を構成する重合体組成物が有するガラス転移温度以上、融点以下の温度で予熱を行う。また延伸倍率としては、ニ軸延伸の場合は延伸後の面積倍率が延伸前の面積に対して2〜30倍、好ましくは9〜16倍が望ましい。
【0018】
本発明の実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂フイルムには、目的に応じて例えばコロナ放電処理,プラズマ処理,オゾン処理,薬品処理等の従来公知の方法による表面処理や、公知のアンカー処理剤を用いたアンカー処理等が施されていてもよい。また、帯電防止用コート剤としては例えば、アルキルスルホン酸、グリセリンエステル、ポリグリセンエステル等であり、帯電防止性を付与できるものであれば特に限定されない。コート方法は、従来公知の方法であるバースロールコーティング法、ロールナイフコーティング法、ダイコーティング法、グラビアコーティング法等などであれば特に限定はされない。さらには、インラインによるコーティングによるコートであってもかまわない。
【0019】
本発明の実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂フイルムにおける応力―ひずみ曲線とは、材料の両端を把持し、一定速度で伸張ひずみを与え、そのひずみを横軸、応力を縦軸にとり描かせた曲線をいう。上降伏点とは該曲線において応力が次第に増加した後、弾性限界を超えた時点で応力が減少しはじめ、または増加することなしにひずみが増加する開始点をいう。下降伏点とは、上降伏点を過ぎた後に応力が減少して再度応力が増加し始めるまでの最低応力点をいう。
【0020】
本発明において、下降伏点と上降伏点の比(以下降伏強度比と記す)は0.95以下でなければならない。さらに好ましくは降伏強度比は0.90以下である。降伏点強度比が0.95より大きいと一定応力に対するフイルム伸度が低下する。その結果フイルム変形量が減少し、ひねり性が悪化するからである。
【0021】
また、本発明のポリエステル樹脂フイルムの150℃における熱収縮率は20%以上であるこが好ましい。150℃における熱収縮率が20%より小さいとひねり性が発現しなくなり好ましくない。
【0022】
該熱収縮率を得る好適な方法としては特に限定されないが、例えばフイルム製膜方法とし押出し機により溶融混練された樹脂をキャストして未延伸フイルムを得る。その後、同時ニ軸延伸法または逐次二軸延伸法等のニ軸延伸を行い次いで熱固定する際に、該延伸フイルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱処理する方法が用いられる。この場合熱処理温度は60℃〜120℃、より好ましくは80℃〜100℃の範囲で時間は0.5秒〜10秒の範囲で行うのが好ましい。さらに熱処理温度から冷却過程で長手方向および/または好ましくは幅方向に対して0.1%〜2%の範囲で弛緩処理を行う。弛緩処理は1段でも良いし、多段で行っても良く、温度分布の変化を設けても良い。
【0023】
本発明における8%伸張のヒステリシス曲線とは、材料の両端を把持して一定速度で8%までの伸張ひずみを与え、次いでひずみを緩和させる工程を行い、そのひずみを横軸、応力を縦軸にとり描かせた曲線をいう。また、応力が0となったときの残留ひずみとは、伸張ひずみが元に戻る際に、応力が0となったときの残留ひずみのことである。
【0024】
本発明において、残留ひずみは3.3%以上でなければならない。さらに好ましくは残留ひずみは3.6%以上である。残留ひずみが3.3%より小さいとひねり性が悪化する。また、降伏点は伸度が5%以下に存在することが好ましい。これは、降伏点を超えてフイルムを伸張させることにより、フイルムの弾性回復を阻害しひねり後の保持性を向上させることで、良好なひねり性を有するフイルムが得られることによる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例および比較例で得られたフイルムの物性の測定方法は、以下の通りである。
【0026】
試験方法
(1)ひねり性
テンチ社製ひねり包装機TA300型を用い、200個/分の速度にてひねり包装を行った。フイルムは1.5回転(540度)ひねられて個包装となる。その後若干の戻りがあった後のひねりが保持された角度を測定。(以下「ひねり保持角度」と表記する)
この保持角度が大きいほどひねり性は優れており、下記のとおり分類評価した。
○:ひねり保持角度が240度以上
△:ひねり保持角度が180度以上、240度未満
×:ひねり保持角度が180度未満
【0027】
(2)滑り性
滑り性評価は、ASTM−D1894により23℃×65%RHの環境下にて摩擦係数を求めることにより測定した。
【0028】
(3)表面固有抵抗
ASTM D257に準拠して、得られたフイルム表面の表面固有抵抗(Ω/□)を測定した。なお、測定温度及び湿度は、23℃×65%RHであった。
帯電防止効果の指標とした。
【0029】
(4)熱収縮率
熱収縮率評価は、収縮条件を150℃、30分とした以外は、JIS C−2318に順じて測定した。
【0030】
(5)降伏点強度比
JIS−C2318に従い、フイルムの長手方向の応力―ひずみ曲線を作成し、上降伏点と下降伏点の応力を求めた。その値を用いて降伏点強度比を求めた。
この時、試験片の引張速度は200mm/分とした。
【0031】
(6)残留ひずみ
JIS−C2318に従い、フイルム長手方向のヒステリシス曲線を作成し、応力が0となった際の残留ひずみを求めた。
この時、試験片の引張速度は50mm/分とした。
【0032】
(7)固有粘度
チップサンプル0.1gを精秤し、25mlのフェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。なお、 測定は3回行い、その平均値を求めた。
(8)平均粒径
サンプルの水分散液をコールターカウンター マルチサイザーII(ベックマン・コールター(株))を用い、体積中位径を測定した。
【0033】
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度は0.63dl/g)に対し0.03重量%となるようにシリカ(富士シリシア社製サイリシア(グレード:310P、形状:不定形、平均粒径:2.7μm)を添加剤として加えポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。該ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を押出し機にて溶融混練し、溶融混錬したものをTダイに供給し、Tダイ内部より樹脂温度285℃になるように押出し、更に温度25℃のキャスティングロールにてキャスティングし後、該フイルムを一方向(縦方向)に100℃で3.5倍延伸して一軸延伸ポリエステルフイルムを得た。次いで、該フイルムを前記延伸方向に対して直角方向(横方向)に125℃で4.0倍延伸し、80℃にて熱処理して厚さ18μmとなるニ軸延伸ポリエステル樹脂フイルムを得た。その後、帯電防止剤としてアルキルスルホン酸ナトリウムを用い、ドライ後のコート量が0.007g/m2となるようにグラビアロールにて帯電防止用コートを実施した。
【0034】
(実施例2)
熱処理温度を110℃としたこと以外は実施例1と同様にして厚さ18μmとなるニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フイルムを得た。
【0035】
(比較例1)
シリカ添加量を0.1重量%としたこと以外は実施例1と同様にして厚さ18μmとなるニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フイルムを得た。
【0036】
(比較例2)
ドライ後のコート量が0.042g/m2となるようにグラビアロールにて帯電防止用コートを実施したこと以外は実施例1と同様にして厚さ18μmとなるニ軸延伸ポリエステル樹脂フイルムを得た。
【0037】
(比較例3)
ポリエチレンテレフタレートに対する共重合物としてイソフタル酸とし、共重合率が10モル%であるポリエステル樹脂とし、シリカ添加量を0.2重量%、さらにドライ後のコート量が0.044g/m2としたこと以外は実施例1と同様にして厚さ18μmとなるニ軸延伸ポリエステル樹脂フイルムを得た。
【0038】
(比較例4)
ポリエチレンテレフタレートに対する共重合物としてイソフタル酸とし、共重合率が10モル%であるポリエステル樹脂とし、シリカ添加量を0.2重量%、さらにドライ後のコート量が0.044g/m2とし、140℃にて熱処理したこと以外は実施例1と同様にして厚さ18μmとなるニ軸延伸ポリエステル樹脂フイルムを得た。
【0039】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のひねり包装用二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フイルムは、良好なひねり性が得られる滑り性とひねり包装機械への適性を満足する帯電防止性を具備しており、さらには生産性も良好で実用的であり、ひねり包装用途分野に利用できてひねり包装の産業界に寄与することが大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的にポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂からなるフイルムであって、該フイルムの摩擦係数が0.25〜0.90、かつ該フイルムの少なくとも片面の表面固有抵抗が1×107(Ω/□)〜1×1014(Ω/□)であることを特徴とするひねり包装用ニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フイルム。
【請求項2】
請求項1記載のフイルムであって、前記応力―ひずみ曲線において上降伏点と下降伏点を有し、これらの比(下降伏点強度/上降伏点強度)が0.95以下でかつ該フイルムの150℃での長手方向における熱収縮率が20%以上であることを特徴とするひねり包装用ニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フイルム。
【請求項3】
請求項1〜2記載のフイルムであって、前記8%伸張のヒステリシス曲線において、張力緩和工程時の応力0となった時の残留ひずみが3.3%以上であることを特徴とするひねり包装用ニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フイルム。

【公開番号】特開2006−137095(P2006−137095A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−329026(P2004−329026)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】