説明

アシルスルファモイルベンズアミドの製造方法

【課題】少ない反応工程数で工業的規模の方法に適用できるアシルスルファモイルベンズアミド化合物の製造方法、および該化合物を合成するための中間体の提供。
【解決手段】式(IV)で表される中間体化合物をアミン化合物と反応させることでアシルスルファモイルベンズアミド化合物を製造する。


[式中、R3及びR5は、それぞれハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-アルキルカルボニル、-CO-アリール、シアノ又はニトロなどであり;R4は、水素、(C1-C4)-アルキル、(C2-C4)-アルケニル又は(C2-C4)-アルキニルであり;nは0から4の整数であり、mは0から5の整数である]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物製造のための化学的方法の技術分野に関するものであり、特に、例えば有害生物防除剤の薬害軽減剤として有用な化合物である、広範囲でのアシルスルファモイルベンズアミドの新規な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薬害軽減剤の使用は、多くのタイプの有害生物防除剤の、特に、トウモロコシ、イネ、又は穀類のような有用な植物の栽培において、なかんずく発芽後処理において、実用性を拡大するために益々有用な手段である。
【0003】
特許国際公開番号WO 99/16744 には、アシルスルファモイルベンズアミド誘導体、及び除草剤による雑草防除に対する薬害軽減剤としての用途が記載されている。薬害が軽減された除草剤混合物は、極めて望ましい農学的特性を有し、そして商業的使用の可能性を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の刊行物には、当該化合物の製造について種々の方法が記載されているが、しかしながら、これらの方法は必ずしも極めて効率的というわけではなく、そして一般に容易に入手可能な出発物質からの多くの反応工程を必要としている。その結果、これら不利な点を被ることなく、そしてそれ故に工業的規模での実施に役立つ新しい方法を開発することは有益なことである。
【0005】
アシルスルファモイルベンズアミド誘導体の製造については2種類の一般的方法がWO 99/16744 には記載されている。
【0006】
そこに記載されている最初の方法は、ハロゲン化安息香酸、無水物若しくはカルボニルイミダゾリド、又は安息香酸及びN,N-ジクロヘキシルカルボジイミドのようなカップリング剤を用いたスルファモイルベンズアミドのアシル化反応を含むものである。当該方法の特別な実施例のいくつかがそこには記載されているが、それらは安息香酸とスルファモイルベンズアミド、1,1'-カルボニルジイミダゾール及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)との混合物をテトラヒドロフラン中で加熱することによって行なうことができる。しかしながら、当該方法は得られる収率の低さ、及び付加的にかなりの廃棄副産物を生じる1,1'-カルボニルジイミダゾールの法外な高値の故に、大規模な又は工業的実
施にとってはその有益性は限定されたものである。
【0007】
上記の文献に記載されている第二の一般的方法は、活性化したスルファモイルベンズアミド誘導体とアミンとの反応を含むものであるが、しかしながら、当該方法についての特定の実施例はそこには記載されていない。当該方法の不利な点は、酸クロリド誘導体のような活性化したスルファモイルベンズアミド誘導体の作成方法は、多くの反応工程を含んでいるが故に一般的には非効率であり、その結果として最終収率が低いか又は中程度であるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の既知方法の制限を克服すべく、アシルスルファモイルベンズアミド化合物の合成のための新しい二段階方法を開発し、それは反応工程数を減少し、そして工業的規模の方法に適用できるものである。
【0009】
本発明によれば、一般式(I):
式(I):
【化1】

[式中、R1は水素、-(CH2)p-ヘテロシクリル又は炭化水素基であり、ここにおいて後者の2つの基は、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルキル、(C1-C6)-アルコキシ、シアノ及びニトロからなる群から選択された一つ又はそれ以上の基で置換され又は非置換であり;
R2は、水素、(C1-C6)-アルキル、(C2-C6)-アルケニル、(C2-C6)-アルキニル、(C1-C6)-アルコキシ、(C2-C6)-アルケニルオキシであり、ここにおいて後者の5つの基は、ハロゲン、(C1-C4)-アルコキシ及び(C1-C4)-アルキルチオからなる群から選択された一つ又はそれ以上の基で置換され又は非置換であり;又は
R1及びR2は、連結している窒素原子と一緒に、3−から8−員の飽和環又は不飽和環を形成し;
R3及びR5は、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルキル、(C1-C6)-アルコキシ、S(O)q-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-アルキルカルボニル、-CO-アリール、シアノ若しくはニトロであり;又は隣接する二個のR5基が-O-CH2CH2-基を形成し;
R4は、水素、(C1-C4)-アルキル、(C2-C4)-アルケニル又は(C2-C4)-アルキニルであり;
nは0から4の整数であり、
mは0から5の整数であり、
pは0又は1であり、そして
qは0、1又は2である] で表される化合物又はその塩の製造方法が提供され;その方法は:
【0010】
a) 式(II):
【化2】

[式中、R3、R4及びnは、式(I)で定義した通りである] で表される化合物を、
【0011】
式(III):
【化3】

[式中、R5及びmは式(I)で定義した通りであり、そしてYはOH又はClである] で表される化合物と、塩素化試薬の存在下で反応させて、
【0012】
式(IV):
【化4】

[式中、R3、R4、R5、m及びnは、式(I)で定義した通りである] で表される化合物を得、そして、
【0013】
b)工程 a)で得られた式(IV)の化合物を、
式(V):
R1R2NH (V)
[式中、R1及びR2は、式(I)で定義した通りである]で表される化合物と、塩基の存在下で反応させることを含んでいる。
【0014】
当該方法において使用した塩素化試薬は、好ましくは、塩化チオニル、オキシ塩化リン又は五塩化リンのような硫黄又はリンを基礎とする塩素化試薬、及び、カルボン酸を、塩化オキサリル又はホスゲンのような対応する酸塩化物に変換するために用いる炭素を基礎とする塩素化試薬から選択される。好ましい塩素化試薬は塩化チオニルである。
【0015】
使用する塩素化試薬の量は、式(IV)の化合物の収率に影響し、そして他の要因の中でも、使用する溶媒、出発物質の量及びタイプに依存する予備実験により最適化することができる。多くの場合、当該最適量は化学量論的量よりもわずかに少ない量と過剰量との間である。
【0016】
使用する塩素化試薬の量は、式(III)におけるYの定義に依存し、例えばYがOHのと
きは、
式(IIIa):
【化5】

で表される化合物を出発物質として使用することができる。一方、YがClのときは、
式(IIIb):
【化6】

で表される化合物を使用することができる。
【0017】
YがOHのときは、使用する塩素化試薬の量は、好ましくは式(II)及び(IIIa)の化合物のカルボキシル基の当量あたり1から2モル当量であり、更に好ましくは式(II)及び(IIIa)の当量あたり1.1から2モル当量であり、最も好ましくは式(II)及び(IIIa)の当量あたり1.2から1.9モル当量である。
【0018】
YがClのときは、使用する塩素化試薬の量は、好ましくは式(II)の化合物の当量あたり1から2モル当量であり、更に好ましくは式(II)の化合物の当量あたり1.1から2モル当量であり、最も好ましくは式(II)の化合物の当量あたり1.2から1.9モル当量である。
【0019】
反応工程 a) において、式(IV)の化合物は通例の又は慣用の方法、例えば、好ましくは部分的蒸発中に得られる沈殿物を濾過することによって単離することができる。
【0020】
本発明の更なる特徴として、塩化チオニルの場合は留出物中に存在する、未反応の過剰な塩素化試薬を再使用することができる。
【0021】
(II):(IIIa)の比率は、好ましくは1:1であるが、しかしながら場合によっては、酸(IIIa)のわずかに過剰な量(10%まで)を加える方が、当該反応において酸(II)の変換をより完全なものとすることができて好都合なこともある。もしも対応する式(IIIb)の酸塩化物が部分的蒸発の後に反応混合物中に可溶性で残っているときは、当該沈殿物から所望の産物(IV)の分離に影響を与えるために、この変法を好適なものとして使用した。
【0022】
N,N-ジアルキルアシルアミドのような触媒、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド若しくはN,N-ジブチルホルムアミド、又はピリジン若しくはキノリンのような環状アミンが、場合によっては反応混合物中に残っていることもある。
【0023】
当該反応は溶媒なし、又は、好ましくは、安定なそして不活性な溶媒中、この溶媒は反応混合物中で塩素化試薬、式(III)又は(IV)の化合物と本質的に反応しない非極性又は極
性の有機溶媒であっていい。例えば、好ましいものとして選択される非極性の有機溶媒には、
- 脂肪族又は芳香族炭化水素、例えば、ヘプタン、オクタンのようなアルカン、又は、トルエン、ジメチルベンゼン(キシロール)若しくはトリメチルベンゼンのようなアルキル化ベンゼン、又はパラフィンオイル、
- ジクロロメタンのようなハロゲン化脂肪族炭化水素、又はクロロベンゼン若しくはジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素、又はベンゾトリフルオリドのようなハロアルキルベンゼン、及び
- シリコーン油、
が挙げられる。
【0024】
最も好ましい溶媒は、クロロベンゼン及びトルエンである。
【0025】
工程a)における反応温度は、使用する溶媒及び圧力に依存して広範囲に変えることが
できる。例えば、反応温度は70℃から140℃、好ましくは80℃から130℃、更に好ましくは80℃から115℃である。
【0026】
工程a)における反応は一般に極めて良好な収率で遂行し、式(IV)の化合物の典型的な
収率は90%以上であり、95%に至ることもある。式(IV)の化合物の純度は、通常極めて高い(典型的には少なくとも95%)。
【0027】
上記式(IIIb)の酸クロリド誘導体は、式(IIIa)の化合物を出発物質として使用する好適な反応における中間体として形成され、そして式(II)の化合物のスルファモイル基及び/又は、
式(VI):
【化7】

で表される酸クロリド誘導体のスルファモイル基をアシル化する。
【0028】
上述の式(II)の化合物を別個に塩素化して対応する式(III)の安息香酸から塩化アシル
スルファモイル安息香酸を合成するのとは対照的に、本発明の方法においては望ましくない二量体の副産物を本質的に回避することができる。
【0029】
工程b) における式(IV)の化合物と式(V)の化合物との反応は、付加塩基を加えて又は加えないで行うことができる。好ましくは付加塩基を用いて行なうが、その場合の塩基は、無機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム若しくはメトキシドナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物若しくはアルコキシド、又は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム若しくは炭酸リチウムのようなアルカリ金属炭酸塩、又は重炭酸ナトリウム若しくは重炭酸カリウムのようなアルカリ金属重炭酸塩、又は酢酸ナトリウムのようなアルカリ金属アルカノエート、又はアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩若しくは重炭酸塩であり、又は、有機塩基、例えば、トリエチルアミン若しくはトリブチルアミンのようなトリアルキルアミン、又はジメチルアニリンのようなN-ジアルキルアニリンである。
【0030】
好ましい付加塩基は、トリエチルアミン、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムである。
【0031】
使用する付加塩基の量は、一般に広範囲で変えることができ、そして予備実験によって最適化することができる。式(IV)の化合物のモル当量に対する好ましい付加塩基のモル当量は、1.2:1から1:1.2であり、更に好ましくは塩基と式(IV)の化合物とが等しいモル当量である。
【0032】
使用するアミン(V)の量は、式(IV)の化合物との関係ではわずかに過剰であることが好ましく、典型的には(IV)のモル当量に対する(V)のモル当量は約1.05である。
式(V)の化合物の2モル当量を使用することもできるが、その場合は1モル当量が当該反応において塩基として使用される。
【0033】
方法の工程b) は、典型的には溶媒の存在下又は非存在下で行なうことができる。溶媒を使用する場合は、実質的に式(IV)の化合物と反応しない限り、広範囲の極性又は非極性
の溶媒を使用することができる。多くの溶媒が使用でき、その例を挙げれば、アルキル化ベンゼン、例えばトルエンのような芳香族炭化水素、又はシアノアルカン、例えばアセトニトリルのようなニトリル、又はハロアルカン、例えばジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素、又はハロベンゼン、例えばクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族化合物、又はジアルキルエーテル、例えばジエチルエーテル若しくはジグリムのようなエーテル、又はテトラヒドロフラン若しくはジオキサンのような環状エーテル、又はN,N-ジメチルホルムアミド若しくはN,N-ジメチルアセトアミドのようなN,N-ジアルキルアシルアミド、又はN-メチルピロリジノンのようなN-アルキルピロリジノンを使用することができる。ニトリル溶媒が好ましく、最も好ましくはアセトニトリルである。
【0034】
工程b)の反応温度は、好ましくは0℃から150℃、更に好ましくは0℃から60℃であり、最も好ましくは10℃から20℃である。
式(I)の化合物は、簡単な方法で、例えば、反応混合物を水で希釈した後に、例えば塩酸のような鉱酸で酸性化し、そして濾過することにより単離することができる。式(I)の化合物の単離収率は一般に極めて高く、典型的には90%を超え、95%にも至る。一般に得られた生成物は純度が高く、典型的には少なくとも95%である。
【0035】
本発明の方法は、塩素化試薬に依存するが、1容器中での方法としても行なうことができる。この変法において好ましくは、反応工程a)の後に残存する塩素化試薬を除去し(例えば、蒸発により)、引き続いて同じ容器中で工程b)の反応を行なうことができる。
【0036】
本発明の更なる特徴は、式(III)の化合物、好ましくは上記に明示した式(IIIa)の化合
物と上記に明示した式(II)の化合物とを、上記に明示した塩素化試薬(好ましくは塩化チオニル)の存在下で反応させることにより、上記に明示した式(IV)の化合物を製造する方法を提供することである。
【0037】
本発明の更なる特徴は、式(III)の化合物、好ましくは上記に明示した式(IIIb)の化合
物と上記に明示した式(II)の化合物とを、上記に明示した塩素化試薬(好ましくは塩化チオニル)の存在下で反応させることにより、上記に明示した式(IV)の化合物を製造する方法を提供することである。
【0038】
本発明の更なる特徴は、上記に明示した式(IV)の化合物と上記に明示した式(V)の化合物とを反応させることにより、上記に明示した式(I)の化合物を製造する方法を提供することである。
【0039】
上記及び下記の式(I)及び全ての化学式において述べられる用語は、以下に略述する意味を有する:
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含んでいる。
用語「(C1-C4)-アルキル」は、1、2、3若しくは4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、1−ブチル、2-ブチル、2-メチルプロピル又は第三級ブチル基である。
【0040】
対応して、広範囲の炭素原子を有するアルキル基は、当該記述範囲に対応する多数の炭素原子を含んでいる直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味する。それ故、用語「(C1-C6)-アルキル」は、上述のアルキル基のほか、例えば、ペンチル、2-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル及びヘキシル基を含んでいる。
【0041】
「(C1-C4)-ハロアルキル」又は「(C1-C6)-ハロアルキル」は、「(C1-C4)-アルキル」又は「(C1-C6)-アルキル」で言及したそれぞれのアルキル基において、一つ又はそれ以上の水素原子が同数の同一又は異なるハロゲン原子で置換されたものであり、好ましくは、ト
リフルオロメチル、1−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、クロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル及び1,1,2,2−テトラフルオロエチル基のような、塩素若しくはフッ素で置換されたものである。
【0042】
「(C1-C4)-アルコキシ」又は「(C1-C6)-アルコキシ」は、その炭化水素基が用語「(C1-C4)-アルキル」又は「(C1-C6)-アルキル」でそれぞれ定義された意味を有するアルコキシ基である。より大きい範囲の炭素数を含んでいるアルコキシ基も同様に定義される。
【0043】
炭素原子数の記載を有する「アルケニル」及び「アルキニル」は、当該範囲に対応する多数の炭素原子を含んでいる直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素基を意味し、そして話題になっている不飽和基のいかなる部位であれ少なくとも一つの多重結合を有する。それ故「(C2-C6)-アルケニル」は、例えば、ビニル、アリル、2−メチル−2−プロペニル、2−ブテニル、ペンテニル、2−メチルペンテニル又はヘキセニル基を意味する。「(C2-C6)-アルキニル」は、例えば、エチニル、プロパルギル、2−メチル−2−プロピニル、2−ブチニル、2−ペンチニル及び2−ヘキシニル基を意味する。
【0044】
「(C3-C8)-シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル基のような単環式のアルキル基、及びノルボルニル基のような二環式のアルキル基を意味する。
【0045】
「(C3-C8)-シクロアルコキシ」又は「(C3-C8)-シクロアルキルチオ」は、酸素原子又は硫黄原子を経由して結合した上記の(C3-C8)-シクロアルキルの一つを意味する。
【0046】
「(C1-C4)-アルキルチオ」又は「(C1-C6)-アルキルチオ」は、それぞれの炭化水素基が、用語「(C1-C4)-アルキル」又は「(C1-C6)-アルキル」で与えられた意味を有するアルキルチオ基である。
【0047】
他の要素の用語、例えば、(C3-C6)-シクロアルケニルは、上記の定義に従って、対応して規定することができる。
【0048】
用語「アリール」は、好ましくは6〜14個の、特に好ましくは6〜12個の炭素原子を有する、同素環式(isocyclic)、単環式、二環式又は多環式の芳香族基であり、例えば
フェニル、ナフチル又はビフェニル、好ましくはフェニルである。
【0049】
用語「ヘテロシクリル」は、完全飽和、部分不飽和又は完全不飽和であり、そして窒素、硫黄及び酸素からなる群から選択される1〜5個の同一又は異なる原子を含んでいるが、しかしここにおいて、2個の酸素原子が直接隣接することはなく、そして少なくとも1個の炭素原子が環中に存在している単環式又は二環式の置換基を意味する。例えば、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,3,4-テトラゾリル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾ[b]フリル、インドリル、ベンゾ[c]チエニル、ベンゾ[c]フリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ジベンゾフリル、ジベンゾチエニル、カルバゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、1,3,5-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,2,4,5-テトラジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、1,8-ナフチリジニル、1,5-ナフチリジニル、1,6-ナフチリジニル、1,7-ナフチリジニル、フタラジニル、ピリドピリミジニル、プリニル、プテリジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、オキサゾリニル、テトラヒドロフ
リル、テトラヒドロピラニル、イソオキサゾリジニル又はチアゾリジニル基である。
【0050】
「炭化水素基」は、飽和、部分飽和、不飽和又は芳香族であってもよい直鎖状、分枝鎖状又は環式の炭化水素基であり、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、アリール又はCH2アリールであり
、好ましくは、20個までの炭素原子を有するアルキル、アルケニル及びアルキニル、又は3から6個の環原子を有するシクロアルキル又はフェニルである。
【0051】
2個又はそれ以上の基R3及び/又はR5が存在する場合、即ち、もしもm及び/又はnが1よりも大きいときは、これらの基はそれぞれ同一であるか又は異なるものである。
【0052】
もしも式(I)中のR1が、炭化水素基の場合は、この炭化水素基は好ましくは20個までの炭素原子を有する。もしもこの炭化水素基が更なる炭素を含んでいる置換基を有しているときは、当該R1基の全炭素原子の総数は、好ましくは2〜30個である。
【0053】
置換体の種類及び結合に依存して、式(I)の化合物は立体異性体として存在することができる。もし、例えば一つ又はそれ以上のアルケニル基が存在する場合は、ジアステレオマーが起り得る。もし、例えば一つ又はそれ以上の不斉炭素原子が存在する場合は、エナンチオマー及びジアステレオマーが起り得る。立体異性体は慣例の分離方法、例えばクロマトグラフィー分離法により、製造中に得られる混合物から分離することができる。また光学活性な出発物質及び/又は補助剤を用いる立体選択的反応を採用することにより、立体異性体を選択的に製造することも可能である。このように当該製法は、また式(I)により包含されるが特別に明示されてはいない全ての立体異性体及びその混合物に関するものでもある。
【0054】
式(I)の化合物は塩を形成することができる。塩の形成は、例えばR4=Hの場合のように酸性水素原子を有する式(I)の化合物に対する塩基の作用によって行なうことができる。適当な塩基は、例えば有機アミン及びアンモニア、アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩であり、特に水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム、及び重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムである。塩の形成は、またヘテロシクリル基が存在しそしてそれがイミダゾリル又はピリジルのような塩基性基であるときは、塩基性基に酸を加えることによっても得ることができる。この目的に適する酸は無機又は有機酸であり、例えば、HCl、HBr、H2SO4、HNO3又はH3PO4、又は酢酸、トリフルオロ酢酸、又はシュウ酸、又はスルホン酸であり、そして本発明の製法は、このような塩の形成をも含んでいる。
【0055】
好ましくは、R1は水素、(C1-C12)-アルキル、(C2-C8)-アルケニル、(C2-C8)-アルキニ
ル、(C3-C8)-シクロアルキル、(C3-C8)-シクロアルケニル、アリール、-CH2-アリール又
は-(CH2)p-ヘテロシクリルであり、ここにおいてヘテロシクリルは、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択された3個までの同一又は異なるヘテロ原子を有する3−から8−員環であり、後者の8つの基は、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルキル、(C1-C6)-アルコキシ、シアノ及びニトロからなる群から選択された一つ又はそれ以上の基で置換されているか、又は非置換である。
【0056】
また好ましくは、R1は水素、(C1-C8)-アルキル、(C2-C6)-アルケニル、(C2-C6)-アルキニル、(C3-C6)-シクロアルキル、(C5-C6)-シクロアルケニル、フェニル、又は-(CH2)p-ヘテロシクリルであり、ここにおいてヘテロシクリルは窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択された3個までのヘテロ原子を有する3−から6−員環である-(CH2)p-ヘテロシクリルであり、ここにおいて後者の7つの基は、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルキル及び(C1-C6)-アルコキシからなる群から選択された一つ又はそれ以上の基で置換
されているか、又は非置換である。
【0057】
また好ましくは、R1は水素、(C1-C6)-アルキル、(C2-C6)-アルケニル、(C2-C6)-アルキニル、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C3-C6)-シクロアルキル、(C3-C6)-シク
ロアルキル-(C1-C6)-アルキル、-CH2フリル、フェニル、-CH2フェニル若しくは-CH2CH2フェニルであり、ここにおいて後者の3つのフェニル基は一つ又はそれ以上のハロゲン基で置換されているか、又は非置換である。
【0058】
また好ましくは、R1は水素、(C1-C6)-アルキル、(C2-C5)-アルケニル、(C3-C6)-シクロアルキル、(C5-C6)-シクロアルケニル、フェニル、又は窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択された3個までのヘテロ原子を有する3−から6−員のヘテロ環であり、ここにおいて後者の6つの基は、ハロゲン、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-ハロアルキル及び(C1-C4)-アルコキシからなる群から選択した一つ又はそれ以上の基で置換されているか、又は非置換である。
【0059】
好ましくは、R2は、水素、(C1-C6)-アルキル又は(C1-C6)-アルコキシであり、ここにおいて後者の2つの基は、ハロゲン及び(C1-C4)-アルコキシからなる群から選択した一つ又はそれ以上の基で置換されているか、又は非置換である。
【0060】
また好ましくは、R2は水素、(C1-C6)-アルキル又は(C1-C6)-ハロアルキルである。
また好ましくは、R2は水素、(C1-C6)-アルキル又は(C2-C6)-アルキニルである。
また好ましくは、R1及びR2は、一緒に-(CH2)2-O-(CH2)2-、-(CH2)4-又は-(CH2)5-基を
形成する。
【0061】
好ましくは、R3 及びR5は、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルキル、(C1-C6)-アルコキシ、S(O)q-(C1-C6)-アルキル、シアノ若しくはニ
トロであり、又はR5は-CO-アリール、又は隣接する2個のR5基が-O-CH2CH2-基を形成する。
【0062】
また好ましくは、R3 及びR5は、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、(C1-C4)-アルキル
、(C1-C4)-ハロアルキル、(C1-C4)-アルコキシ、S(O)q-(C1-C4)-アルキル、シアノ若しくはニトロであり、又はR5は-CO-アリール、又は隣接する2個のR5基が-O-CH2CH2-基を形成する。
【0063】
また好ましくは、R3 及びR5は、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、(C1-C4)-アルキル
、(C1-C4)-ハロアルキル、(C1-C4)-アルコキシ、シアノ若しくはニトロであり、又はR5は-CO-アリール、又は隣接する2個のR5基が-O-CH2CH2-基を形成する。
【0064】
好ましくは、各R3 は独立に、ハロゲン、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-ハロアルキル、(C1-C4)-アルコキシ、S(O)q-(C1-C4)-アルキル、シアノ又はニトロである。
【0065】
更に好ましくは、各R3 は独立に、ハロゲン、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-ハロアルキ
ル、(C1-C4)-アルコキシ、シアノ又はニトロである。
更に好ましくは、R3 はハロゲン又はニトロである。
【0066】
好ましくは、R4は水素又は(C1-C6)-アルキルである。
更に好ましくは、R4は水素又は(C1-C4)-アルキルである。
最も好ましくはR4は水素である。
【0067】
好ましくは、各R5は独立に、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルキル、(C
1-C6)-アルコキシ、S(O)q-(C1-C6)-アルキル、シアノ、ニトロ、-CO-アリールであり、又は隣接する2個のR5基が-O-CH2CH2-基を形成し、更に好ましくは、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-アルコキシ、ニトロ若しくは-CO-ナフチルであり、又は隣接する2個のR5基が-O-CH2CH2-基を形成する。
【0068】
更に好ましくは、各R5 は独立に、ハロゲン、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-ハロアルキ
ル、(C1-C4)-アルコキシ、S(O)q-(C1-C4)-アルキル、シアノ、ニトロ若しくは-CO-アリールであり、又は隣接する2個のR5基が-O-CH2CH2-基を形成し、更に好ましくは、ハロゲン、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-アルコキシ、ニトロ若しくは-CO-ナフチルであり、又は隣接する2個のR5基が-O-CH2CH2-基を形成する。
【0069】
また好ましくは、R5 はそれぞれ独立に、ハロゲン、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-ハロ
アルキル、(C1-C4)-アルコキシ、シアノ又はニトロであり、更に好ましくはハロゲン、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-アルコキシ、シアノ又はニトロであり、更に好ましくは(C1-C4)-アルコキシである。
【0070】
好ましくは、nは0、1又は2であり、更に好ましくは0である。
好ましくは、mは0、1又は2であり、更に好ましくは1又は2であり、特に1である。
【0071】
式(I)の好ましい化合物は、式中のR1 が水素、(C1-C12)-アルキル、(C2-C8)-アルケニル、(C2-C8)-アルキニル、(C3-C8)-シクロアルキル、(C3-C8)-シクロアルケニル、アリール、-CH2アリール又は-(CH2)p-ヘテロシクリルであり、ここにおいてヘテロシクリルは、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択された同一若しくは異なる3個までのヘテロ原子を有する3−から8−員環であり、ここにおいて後者の8つの基は、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルキル、(C1-C6)-アルコキシ、シアノ及びニトロからなる群から選択された一つ又はそれ以上の基で置換されているか、又は非置換であり;
R2は水素、(C1-C6)-アルキル又は(C1-C6)-アルコキシであり、ここにおいて後者の2つの基は、ハロゲン及び(C1-C4)-アルコキシからなる群から選択された一つ又はそれ以上の基で置換されているか、又は非置換であり;
R3及びR5は、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルキル、(C1-C6)-アルコキシ、S(O)q-(C1-C6)-アルキル、シアノ若しくはニトロであり、又はR5は-CO-アリールであり、又は隣接する2個のR5基が-O-CH2CH2-基を形成する;そして
R4は水素又は(C1-C6)-アルキルである。
【0072】
式(I)の更に好ましい化合物は、式中のR1 が水素、(C1-C8)-アルキル、(C2 -C6)-アルケニル、(C2-C6)-アルキニル、(C3-C6)-シクロアルキル、(C5-C6)-シクロアルケニル、フェニル、又は-(CH2)p-ヘテロシクリルであり、ここにおいてヘテロシクリルは窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択された3個までのヘテロ原子を有する3−から6−員環であり、ここにおいて後者の7つの基は、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルキル及び(C1-C6)-アルコキシからなる群から選択された一つ又はそれ以上の基で置換されているか、又は非置換であり;
R2は水素、(C1-C6)-アルキル又は(C1-C6)-ハロアルキルであり;
R3 及びR5は、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-ハロア
ルキル、(C1-C4)-アルコキシ、S(O)q-(C1-C4)-アルキル、シアノ若しくはニトロであり、又はR5は-CO-アリールであり、又は隣接する2個のR5基が-O-CH2CH2-基を形成する;そして
R4は水素又は(C1-C4)-アルキルである。
【0073】
尚、式(I)の化合物で好ましいものは、式中のR1 が水素、(C1-C6)-アルキル、(C2-C6)
-アルケニル、(C2-C6)-アルキニル、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C3-C6)-シクロアルキル、(C3-C6)-シクロアルキル-(C1-C6)-アルキル、-CH2フリル、フェニル、-CH2フェニル、又は-CH2CH2フェニルであり、ここにおいて後者の3つの基は、一つ又はそれ以上のハロゲン基で置換されているか、又は非置換であり;
R2は水素、(C1-C6)-アルキル又は(C2-C6)-アルキニルであり;
又はR1及びR2は、一緒に-(CH2)2-O-(CH2)2-、-(CH2)4- 若しくは-(CH2)5- 基を形成し;
R3 はハロゲン又はニトロであり;
R4は水素又は(C1-C4)-アルキルであり;
R5 は、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルキル、(C1-C6)-アルコキシ、 S(O)q-(C1-C6)-アルキル、シアノ、ニトロ、-CO-アリール、又は隣接する2個のR5基が-O-CH2CH2-基を形成し、更に好ましくは、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-アルコキシ、ニトロ又は-CO-ナフチルであり、又は隣接する2個のR5基が-O-CH2CH2- 基を形成し

nは0、1又は2であり;そして
mは0、1又は2であり、更に好ましくは1又は2である。
【0074】
更に好ましい式(I)の化合物は、式中のR1 が水素、(C1-C6)-アルキル、(C2-C6)-アル
ケニル、(C3-C6)-シクロアルキル、(C5-C6)-シクロアルケニル、フェニル、又は窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択された3個までのヘテロ原子を有する3−から6−員のヘテロシクリルであり、ここにおいて後者の6つの基は、ハロゲン、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-ハロアルキル及び(C1-C4)-アルコキシからなる群から選択された一つ又はそれ以上の基で置換されているか、又は非置換であり;
R2は水素、(C1-C6)-アルキル又は(C1-C6)-ハロアルキルであり;
R3 及びR5は、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-ハロア
ルキル、(C1-C4)-アルコキシ、シアノ又はニトロであり;
R4は水素であり;
nは0、1又は2であり;そして
mは0、1又は2であり、更に好ましくは1又は2である。
【0075】
特に好ましい式(I)の化合物は、式中のR1が水素、(C1-C6)-アルキル又は(C3-C6)-シクロアルキルであり;
R2は及びR4はそれぞれ水素であり;
R5は(C1-C6)-アルコキシであり;
nは0であり;
mは0又は1であり、更に好ましくは1である。
そしてスルファモイル基はフェニル環中のCONR1R2基に対してパラ位に配置している。
【0076】
尚、以下の表1〜6において表示しそして定義している式 (Ia)、(Ib)、(Ic)、(IVa)、(IVb)及び(IVc)の製造の好ましい方法は、ここにおいて基R1、R2、R3、R4、R5 及びnが
上記に定義したものであり、そして好ましくは上記において好ましい意味として定義したものである。
【0077】
式(IV)の化合物は新規であり、そして本発明の更なる特徴を形成する。
式(II)、(III)、(V)及び(VI)の化合物は、既知の化合物であるか、又は既知の方法で
製造することができる。
【0078】
既知の製法と比較した場合、本発明は、より少ない工程でそしてより高い収率及びより高純度の生成物を与えるアシルスルファモイルベンズアミドを製造するための全般的な方法を提供するものである。
【0079】
以下の実施例は本発明を説明するものであるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
量、相対的量、百分率又は比率は、他の定義が特別に与えられていない限り、質量単位系で表示している。
【0081】
〔実施例〕
実施例1
塩化4-[[(2-メトキシ-5-クロロベンゾイル)アミノ]スルホニル]ベンゾイル
4-アミノスルホニル安息香酸(1モル)、2-メトキシ-5-クロロ安息香酸(1モル)及び塩化チエニル(2.5モル)のクロロベンゼン溶液(700ml)を120℃で7〜9時間加熱した。反応終
了後に溶媒200mlを真空下で除去した。該混合物を冷却し、そして沈殿物を濾過して取り
出し、そしてヘプタンで洗浄して上記の化合物を得た(mp. 138-140℃、理論値に対する
収率 93%)。塩化4-[[(ベンゾイル)アミノ]スルホニル]ベンゾイルを、上記と同様な方
法により、4-アミノスルホニル安息香酸及び安息香酸から合成した(mp. 180-182℃、理
論値に対する収率 96%)。塩化4-[[(2-クロロベンゾイル)アミノ]スルホニル]ベンゾイ
ルを、上記と同様な方法により、4-アミノスルホニル安息香酸及び2-クロロ安息香酸から合成した(mp. 198-200℃、理論値に対する収率 95%)。
【0082】
実施例2
N,N-ジエチル-4-[[(2-メトキシベンゾイル)アミノ]スルホニル]ベンズアミド
塩化4-[[(2-メトキシベンゾイル)アミノ]スルホニル]ベンゾイル(1モル)及びジエチルアミン(1モル)のアセトニトリル懸濁液(1000ml)に、10℃でトリエチルアミン(1モル)を加えた。該混合物を20℃で2時間撹拌した後、水(500ml)で希釈した。白色沈殿物を濾過
して取り出し、洗浄し、そして乾燥させて上記の化合物を得た。得られた生成物の収率は理論値に対して98%であり、そして純度は98%であった。
【0083】
実施例3
N-クロロプロピル-4-[[(2-クロロベンゾイル)アミノ]スルホニル]ベンズアミド
実施例2において記載した製法により、但しトリエチルアミンの代わりに炭酸カリウム(1当量)を用いて、上記の化合物を理論値に対する収率99%で得た。
【0084】
下記の表1〜3には、本発明の方法により製造した式(I)の化合物の多数の実施例を掲載している。
【0085】
表1〜6における省略記号は以下の通りである。
Bu = n-ブチル Et = エチル
Me = メチル c = シクロ
Pr = n-プロピル s = 第二級
i = イソ Mp = 融点
t = 第三級
【0086】
もしもアルキル基が、いかなる特別な記載もなく当該表に掲載されているときは、該アルキル基は直鎖である。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

【0089】
【表3】

【0090】
【表4】

【0091】
【表5】

【0092】
【表6】

【0093】
【表7】

【0094】
【表8】

【0095】
【表9】

【0096】
【表10】

【0097】
【表11】

【0098】
【表12】

【0099】
【表13】

【0100】
【表14】

【0101】
【表15】

【0102】
【表16】

【0103】
【表17】

【0104】
表4〜表6は、合成した式(IV)の化合物の実施例を掲載している。
【0105】
【表18】

【0106】
【表19】

【0107】
【表20】

【0108】
【表21】

【0109】
【表22】

【0110】
【表23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IV):
【化1】

[式中、R3及びR5は、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、 (C1-C6)-ハロアルキル、(C1-C6)-アルコキシ、S(O)q-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-アルキルカルボニル、-CO-アリール、シアノ又はニトロであり;又は隣接する二個のR5基が-O-CH2CH2-部分を形成し;
R4は、水素、(C1-C4)-アルキル、(C2-C4)-アルケニル又は(C2-C4)-アルキニルであり;
nは0から4の整数であり、
mは0から5の整数であり、そして
qは0、1又は2である]
で表される化合物又はその塩。
【請求項2】
R3は、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルキル、(C1-C6)-アルコキシ、S(O)q-(C1-C6)-アルキル、シアノ若しくはニトロであり、
R5は、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルキル、(C1-C6)-アルコキシ、S(O)q-(C1-C6)-アルキル、シアノ、ニトロ若しくは-CO-アリールであり、
又は隣接する二個のR5基が-O-CH2CH2-部分を形成する、
ことを特徴とする請求項1の化合物又はその塩。
【請求項3】
R4は水素又は(C1-C4)-アルキルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
R3及びR5は、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルキル、(C1-C6)-アルコキシ、S(O)q-(C1-C6)-アルキル、シアノ若しくはニトロであり、又はR5は-CO-アリールであり、又は隣接する二個のR5基が-O-CH2CH2-部分を形成する;そして
R4は水素又は(C1-C6)-アルキルである、
ことを特徴とする請求項1の化合物又はその塩。
【請求項5】
R3はハロゲン又はニトロであり;
R4は水素又は(C1-C4)-アルキルであり;
R5は、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルキル、(C1-C6)-アルコキシ、 S(O)q-(C1-C6)-アルキル、シアノ、ニトロ又は-CO-アリールであり、又は隣接する二個のR5基が-O-CH2CH2-部分を形成し;
nは0、1又は2であり;そして
mは0、1又は2である、
ことを特徴とする請求項1の化合物又はその塩。
【請求項6】
R3及びR5は、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-ハロアルキル、(C1-C4)-アルコキシ、S(O)q-(C1-C4)-アルキル、シアノ若しくはニトロであり、
又はR5は-CO-アリールであり、又は隣接する二個のR5基が-O-CH2CH2-部分を形成する;そして
R4は水素又は(C1-C4)-アルキルである、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項7】
R3は、ハロゲン、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-ハロアルキル、(C1-C4)-アルコキシ、シアノ又はニトロであることを特徴とする請求項1〜4及び6のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項8】
R3は、ハロゲン又はニトロであることを特徴とする請求項1〜4及び6のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項9】
R4は水素であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項10】
R5は独立に、ハロゲン、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-アルコキシ、ニトロ若しくは-CO-ナフチルであり、又は隣接する二個のR5基が-O-CH2CH2-部分を形成することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項11】
R5は、ハロゲン、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-ハロアルキル、(C1-C4)-アルコキシ、シアノ又はニトロであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項12】
nは0、1又は2であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項13】
mは0、1又は2であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項14】
R3及びR5は、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、(C1-C4)-アルキル、(C1-C4)-ハロアルキル、(C1-C4)-アルコキシ、シアノ又はニトロであり;
R4は水素であり;
nは0、1又は2であり;そして
mは0、1又は2であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項15】
mは1又は2であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項16】
式(IV)の化合物が、式(IVa):
【化2】

で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物
又はその塩。
【請求項17】
R3、R4及びR5基が以下の表のいずれかで定義される請求項16に記載の化合物又はその塩。

【請求項18】
R4は水素であり;
R5は(C1-C6)-アルコキシあり;
nは0であり;
mは0又は1であり、
そしてスルファモイル基はフェニル環中のCONR1R2基に対してパラ位に配置していることを特徴とする請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項19】
R5は(C1-C4)-アルコキシであることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項20】
mは1であることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項21】
式(I):
【化3】

[式中、R1は水素、-(CH2)p-ヘテロシクリル又は炭化水素基であり、ここにおいて後者の2つの基は、ハロゲン、(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルキル、(C1-C6)-アルコキシ、シアノ及びニトロからなる群から選択された一つ又はそれ以上の基で置換されているか、又は非置換であり;
R2は、水素、(C1-C6)-アルキル、(C2-C6)-アルケニル、(C2-C6)-アルキニル、(C1-C6)-アルコキシ、(C2-C6)-アルケニルオキシであり、ここにおいて後者の5つの基は、ハロゲ
ン、(C1-C4)-アルコキシ及び(C1-C4)-アルキルチオからなる群から選択された一つ又はそれ以上の基で置換されているか、又は非置換であり;又は
R1及びR2は、連結している窒素原子と一緒に、3−員から8−員の飽和環又は不飽和環を形成し;
R3、R4、R5、n、mおよびqは請求項1〜20のいずれかで定義した通りであり、pは0又は1である]
で表される化合物又はその塩の製造方法であって、
式(IV):
【化4】

の化合物を、式(V):
R1R2NH (V)
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、m及びnは式(I)で定義した通りである]
で表される化合物と反応させることを含む上記の方法。
【請求項22】
R1が水素、(C1-C6)-アルキル、(C2-C6)-アルケニル又は(C3-C6)-シクロアルキルであり、そして
R2は水素、(C1-C6)-アルキル、(C2-C6)-アルケニル又は(C1-C6)-ハロアルキルであることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
R1 が水素、(C1-C6)-アルキル又は(C3-C6)-シクロアルキルであり、そして
R2は水素であることを特徴とする請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
反応は、付加塩基の存在下で行うことを特徴とする請求項21〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
付加塩基は、トリエチルアミン、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムであることを特徴とする請求項24に記載の方法。

【公開番号】特開2011−178793(P2011−178793A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88185(P2011−88185)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【分割の表示】特願2006−515889(P2006−515889)の分割
【原出願日】平成16年6月11日(2004.6.11)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】