説明

アスタキサンチン配合ペット用食物

アスタキサンチンおよび/またはそのエステルを有効成分として含有する排泄物消臭効果、睡眠改善効果、知覚や認識能力など感性改善効果、視覚改善効果、糖尿病および糖尿病合併症の治療・改善・予防効果のあるペット用食物を提供する。このペット用食物によれば、尿や糞などの排泄物の消臭、睡眠の改善、知覚や認識能力など感性の改善、視覚の改善、糖尿病および糖尿病合併症の治療や改善が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿や糞などの排泄物消臭効果、睡眠改善効果、知覚や認識能力など感性改善効果、視覚改善効果、糖尿病および糖尿病合併症の治療・改善・予防効果を有するアスタキサンチンおよび/またはそのエステルを配合したマウス、ラット、モルモット、ウサギ、サル、犬、猫、ハムスター、豚、牛、羊、馬、ワニ、ヘビ、トカゲ、鳥などのペット用食物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アスタキサンチンはβ−カロチノイドと同じカロテノイドの一種で、エビ、カニ等の甲殻類、サケ、タイ等の魚類、緑藻ヘマトコッカス等の藻類、赤色酵母ファフィア等の酵母類等、天然、特に海洋に広く分布する食経験豊かな赤色色素である。
【0003】
近年アスタキサンチンがビタミンE(α−トコフェロール)の100〜1,000倍、β−カロテンの約40倍もの強力な抗酸化作用を有することが見いだされ、従来単なる色素として扱われていた時代から、現在アスタキサンチンは健康食品として業界から期待されるまでに至っている。アスタキサンチンの有するその他の機能特性として、抗炎症作用、抗動脈硬化作用、糖尿病に対する作用、光障害に対する網膜保護作用、日周リズム調節作用、免疫賦活作用、抗ストレス作用、筋肉持続力向上作用、精子の質向上作用や膀胱がん誘発抑制等数多くの報告がなされている。また、皮膚に対する作用としては、色素沈着抑制、メラニン生成抑制および光加齢抑制の効果が報告されている。
【0004】
近年、ペットに対する関心の高まり、特に室内で飼育されるペットの増加により、ペットの健康やペットの美観、ペットの挙動による飼い主への影響の問題が生じている。特に、ペットの生活環境や食事環境が影響している睡眠の障害、知覚や嗅覚など感性低下、視覚低下、糞や尿などの排泄物の臭い、糖尿病や糖尿病合併症などの各種の症状などが大きな原因となっている。ペットのこれらの症状や状態に対して、薬剤の投与が行われてきたが、慢性的な症状や状態であること、副作用などの問題があり、毒性のない天然由来の治療・予防・改善効果を有するものが求められている。これまで、アスタキサンチンおよび/またはそのエステルが、ペットの尿や糞などの排泄物消臭効果、睡眠改善効果、知覚や認識能力など感性改善効果、視覚改善効果、糖尿病および糖尿病合併症の治療・改善・予防効果を有することは知られていない。
【0005】
近年、我が国では独身者や高齢者の増加、核家族化にともない、ペットを飼う家庭が急増している。さらにペットが屋内で飼育される場合が増加しており、飼い主にとってペットの糞や尿などの排泄物の臭いが問題となっている。悪臭の苦情件数でもアパートや個人住宅などからの都市生活型の悪臭苦情が増加している。ペットにとって安全でかつ排泄物の防臭効果を有するペット用食物が強く求められている。
【0006】
排泄物の消臭効果を有するペット用食物としては、枯草菌の発酵液に樹木含有成分液を含有させた発酵健康飼料(特許文献1参照)、銅クロロフィリン塩を有効成分として含有する、家畜動物の糞尿臭消臭剤(特許文献2参照)、ケイヒの葉から水−メタノール混合溶液により抽出した抽出物を含有する動物糞尿消臭飼料(特許文献3参照)、乳酸菌類と茶抽出物を含有する排便消臭用組成物(特許文献4参照)などがあげられる。
【0007】
医療技術の進歩、室内環境の改善によってペットの寿命が延びたことによるペットの老齢化や、人間活動の深夜化および不規則化にともなうペットの生体リズムの障害によるペットの睡眠障害の発生が多くなってきている。ペットの睡眠障害はペット自体の健康に害をもたらすだけでなく、ペットと飼い主の生活リズムが異なることにより飼い主の安眠を妨げもする。
【0008】
睡眠改善効果を有するペット用食物としては、トリプトファンと炭水化物とからなる動物における睡眠の開始を促進する組成物(特許文献5参照)、新規なメラトニン誘導体を活性成分として含む哺乳動物の睡眠障害処置の医薬組成物(特許文献6参照)、アセチルコリンエステラーゼ・インヒビターを含んでなる愛玩動物の年齢関連行動障害を治療するための医薬組成物(特許文献7参照)などがあげられる。
【0009】
生活環境の都市化にともなう生活リズム障害や老化、病気などによりペットの知覚や嗅覚などの感受性に低下が生じ、ペットの愛玩性が低下することが知られている。特許文献7には、ペットの感受性を改善するべく、アセチルコリンエステラーゼ・インヒビターを投与することも記載されている。
【0010】
ペットの視覚改善に関しては、アスタキサンチンおよび/またはそのエステルを網膜疾患の治療に用いる方法(特許文献8参照)、アスタキサンチンおよび/またはそのエステルからなる眼の調節機能改善剤(特許文献9参照)が知られており、さらに、アスタキサンチンおよび/またはその食用に許容されるエステルを添加してなる白内障を予防する作用またはその進行を抑制する作用を有する飲食物が白内障の発症または進行を抑制するだけでなく白内障による視力障害とともに併発される単眼復視、眼精疲労、ハレーションをも抑制しうるとの報告(特許文献10参照)もある。
【0011】
ペット数の増加、ペット飼育環境の変化、飼い主の知識不足による餌の過剰投与により、糖尿病のペット数が増加してきている。その大部分は遺伝的素因のほか、餌の過剰投与や室内飼育による運動不足等の生活習慣に起因する血糖値の上昇によって発症し、様々な合併症を伴っている。ペットはその食習慣により食事制限、インスリン注射が困難であり、また薬剤の投与では種々の弊害があるため、天然物由来で毒性のない餌による糖尿病および糖尿病合併症の治療・改善・予防が望まれている。
【特許文献1】特開平5−192087号公報
【特許文献2】特開平3−266943号公報
【特許文献3】特開2001−258480号公報
【特許文献4】特開2002−114690号公報
【特許文献5】特開昭58−201715号公報
【特許文献6】特開平7−196493号公報
【特許文献7】特開2000−309545号公報
【特許文献8】米国特許第5,527,533号明細書
【特許文献9】国際公開第02/094253号パンフレット
【特許文献10】特開平10−276721号公報
【発明の開示】
【0012】
本発明は、ペットの糞や尿などの排泄物消臭効果、睡眠改善効果、感性改善効果、視覚改善効果、糖尿病および糖尿病合併症の治療・改善・予防効果を有するマウス、ラット、モルモット、ウサギ、サル、犬、猫、ハムスター、豚、牛、羊、馬、ワニ、ヘビ、トカゲ、鳥などのペット用食物を提供することを目的とする。
【0013】
発明者等は前記の点について研究を行った結果、アスタキサンチンおよび/またはそのエステルがペットの糞や尿などの排泄物消臭効果、睡眠改善効果、感性改善効果、視覚改善効果、糖尿病および糖尿病合併症の治療・改善・予防効果を有することを見出し本発明を完成した。本発明は係る知見に基づいてなされたものである。
【0014】
即ち、本発明は、
(1)アスタキサンチンおよび/またはそのエステルを含有することを特徴とするペット用食物、
(2)アスタキサンチンおよび/またはそのエステルを含有してなる排泄物消臭効果を有することを特徴とする(1)のペット用食物、
(3)アスタキサンチンおよび/またはそのエステルを含有してなる睡眠改善効果を有することを特徴とする(1)のペット用食物、
(4)アスタキサンチンおよび/またはそのエステルを含有してなる感性改善効果を有することを特徴とする(1)のペット用食物、
(5)アスタキサンチンおよび/またはそのエステルを含有してなる視覚改善効果を有することを特徴とする(1)のペット用食物、
(6)アスタキサンチンおよび/またはそのエステルを含有してなる糖尿病および糖尿病合併症の治療・改善・予防効果を有することを特徴とする(1)のペット用食物、
(7)該ペットがマウス、ラット、モルモット、ウサギ、サル、犬、猫、ハムスター、豚、牛、羊、馬、ワニ、ヘビ、トカゲ、鳥の少なくとも一種であることを特徴とする(1)〜(6)のペット用食物、及び
(8)該ペットが犬および/または猫であることを特徴とする(1)〜(6)のペット用食物
を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の毒性のないアスタキサンチンを配合したペット用食物を用いてペットを飼育することによって、ペットの排泄物の臭気が軽減し、ペットの感性が向上して人への反応が顕著になり、ペットが熟眠することによる健康の向上、視覚の改善、糖尿病および糖尿病合併症の治療・改善・予防が可能となり、ペットの飼育をより良好に行うことができる。
【0016】
本発明において「アスタキサンチン」とは、天然物由来のものまたは合成により得られるものを意味する。天然物由来のものとしては、例えば、エビ、オキアミ、カニなどの甲殻類の甲殻、卵および臓器、種々の魚介類の皮および卵、緑藻ヘマトコッカスなどの藻類、赤色酵母ファフィアなどの酵母類、海洋性細菌、福寿草および金鳳花などの種子植物から得られるものをあげることができる。天然からの抽出物および化学合成品は市販されており、入手は容易である。
【0017】
アスタキサンチンは、例えば、赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌などを、公知の方法に準拠して、適宜な培地で培養することにより得られる。培養や抽出のしやすさ、アスタキサンチンを最も高濃度で含有することや生産性の高さから緑藻ヘマトコッカスが最も好適である。緑藻ヘマトコッカス類のアスタキサンチン含量の高いものを得る培養方法としては、異種微生物の混入・繁殖がなく、その他の夾雑物の混入が少ない密閉型の培養方法が好ましく、例えば、密閉型のドーム形状、円錐形状又は円筒形状の培養装置と装置内で移動自在のガス吐出装置を有する培養基を用いて培養する方法(国際公開第99/50384号パンフレット参照)や、密閉型の培養装置に光源を入れ内部から光を照射して培養する方法、平板状の培養槽で培養する方法が適している。
【0018】
前記培養物または前記甲殻類からアスタキサンチンを抽出および精製する方法については種々の方法が知られている。例えば、ジエステル型アスタキサンチンが油溶性物質であることから、アスタキサンチンを含有する天然物からアセトン、アルコール、酢酸エチル、ベンゼン、クロロホルムなどの油溶性有機溶媒でアスタキサンチン含有成分を抽出することができる。抽出後、常法に従って溶媒を除去してモノエステル型のアスタキサンチンとジエステル型のアスタキサンチンの混合濃縮物を得ることができる。得られた濃縮物は、所望によりさらに精製しても良い。
【0019】
アスタキサンチンの使用形態としては、前記方法で得たアスタキサンチンの抽出物およびそれらを含有した粉末や水溶液、または赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌などの乾燥品およびそれらの破砕品を用いることができる。
【0020】
アスタキサンチンは、3,3′−ジヒドロキシ−β,β−カロテン−4,4′−ジオンであり、立体異性体を有する。具体的には、(3R,3′R)−アスタキサンチン、(3R,3′S)−アスタキサンチンおよび(3S,3′S)−アスタキサンチンの3種の立体異性体が知られているが、本発明にはそのいずれも用いることができる。
【0021】
本発明の記載で、特に記載がない限り、アスタキサンチンはアスタキサンチンおよび/またはそのエステルを含む。さらに、アスタキサンチンのエステルにはモノエステル体および/またはジエステル体を含む。
【0022】
アスタキサンチンは突然変異原性が観察されず、安全性が高い化合物であることが知られている。
【0023】
本発明のアスタキサンチンを有効成分とするペット用食物には、アスタキサンチンの遊離体、モノエステル体、ジエステル体の少なくとも一種を用いることができる。ジエステル体は2つの水酸基がエステル結合により保護されているため物理的に遊離体やモノエステル体よりも安定性が高くペット用食物中で酸化分解されにくい。しかし、生体中に取り込まれると生体内酵素により速やかにアスタキサンチンに加水分解され、効果を示すものと考えられている。
【0024】
アスタキサンチンのモノエステルとしては、低級または高級飽和脂肪酸、あるいは低級または高級不飽和脂肪酸によりエステル化されたエステル類をあげることができる。前記低級または高級飽和脂肪酸、あるいは低級または高級不飽和脂肪酸の具体例としては、酢酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、へプタデカン酸、エライジン酸、リシノール酸、ベトロセリン酸、バクセン酸、エレオステアリン酸、プニシン酸、リカン酸、パリナリン酸、ガドール酸、5−エイコセン酸、5−ドコセン酸、セトール酸、エルシン酸、5,13−ドコサジエン酸、セラコール酸、デセン酸、ステリング酸、ドデセン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などをあげることができる。また、アスタキサンチンのジエステルとしては前記脂肪酸からなる群から選択される同一または異種の脂肪酸によりエステル化されたジエステル類をあげることができる。
【0025】
さらに、アスタキサンチンのモノエステルとしては、グリシン、アラニンなどのアミノ酸;酢酸、クエン酸などの一価または多価カルボン酸;リン酸、硫酸などの無機酸;グルコシドなどの糖;グリセロ糖脂肪酸、スフィンゴ糖脂肪酸などの糖脂肪酸;グリセロ脂肪酸などの脂肪酸;グリセロリン酸などによりエステル化されたモノエステル類をあげることができる。なお、考えられ得る場合は前記モノエステル類の塩も含む。
【0026】
アスタキサンチンのジエステルとしては、前記低級飽和脂肪酸、高級飽和脂肪酸、低級不飽和脂肪酸、高級不飽和脂肪酸、アミノ酸、一価または多価カルボン酸、無機酸、糖、糖脂肪酸、脂肪酸およびグリセロリン酸からなる群から選択される同一または異種の酸によりエステル化されたジエステル類をあげることができる。なお、考えられ得る場合は前記ジエステル類の塩も含む。
【0027】
グリセロリン酸のジエステルとしては、グリセロリン酸の飽和脂肪酸エステル類、または高級不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸または飽和脂肪酸から選択される脂肪酸類を含有するグリセロリン酸エステル類などをあげることができる。
【0028】
本発明のペット用食物のアスタキサンチン効果を高めるために、1種以上の抗酸化剤を配合することができる。抗酸化剤としては、例えば、ビタミンE類(トコフェロール類)、ビタミンC類、カロテノイド類、ポリフェノール類、不飽和脂肪酸含有油及びその他の天然抽出物があげられる。
【0029】
ビタミンE類は、ビタミンE、トコトリエールおよびそれらの誘導体を包含する。ビタミンE類としてはそれらのうちの1種以上が含まれているオイルが用いられても良い。ビタミンE類の具体例としては、dl−α−トコフェロール、d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、酢酸d−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸d−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸d−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、d−β−トコフェロール、酢酸dl−β−トコフェロール、酢酸d−β−トコフェロール、コハク酸dl−β−トコフェロール、コハク酸d−β−トコフェロール、ニコチン酸dl−β−トコフェロール、ニコチン酸d−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、d−γ−トコフェロール、酢酸dl−γ−トコフェロール、酢酸d−γ−トコフェロール、コハク酸dl−γ−トコフェロール、コハク酸d−γ−トコフェロール、ニコチン酸dl−γ−トコフェロール、ニコチン酸d−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、d−δ−トコフェロール、酢酸dl−δ−トコフェロール、酢酸d−δ−トコフェロール、コハク酸dl−δ−トコフェロール、コハク酸d−δ−トコフェロール、ニコチン酸dl−δ−トコフェロール、ニコチン酸d−δ−トコフェロール、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール等があげられる。特に、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノールが好ましい。
【0030】
ビタミンC類は、ビタミンCおよびそれの誘導体を包含する。ビタミンC類誘導体としては、例えばアスコルビン酸グルコシドなどの配糖体のほか、パルミチン酸L−アスコルビル、イソパルミチン酸L−アスコルビル、ジパルミチン酸L−アスコルビル、ジイソパルミチン酸L−アスコルビル、ステアリン酸L−アスコルビル、イソステアリン酸L−アスコルビル、ジステアリン酸L−アスコルビル、ジイソステアリン酸L−アスコルビル、ミリスチン酸L−アスコルビル、イソミリスチン酸L−アスコルビル、ジミリスチン酸L−アスコルビル、ジイソミリスチン酸L−アスコルビル、2−エチルヘキサン酸L−アスコルビル、ジ2−エチルヘキサン酸L−アスコルビル、オレイン酸L−アスコルビル、ジオレイン酸L−アスコルビル、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビルなどのL−アスコルビン酸アルキルエステル;L−アスコルビン酸−2−リン酸エステル、L−アスコルビン酸−3−リン酸エステルなどのL−アスコルビン酸リン酸エステル;L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル、L−アスコルビン酸−3−硫酸エステルなどのL−アスコルビン酸硫酸エステルなどがあげられる。
【0031】
カロテノイド類としては、β−カロチン、α−カロチン、リコペン、ルテイン、カンタキサンチン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、β−アポ−8′−カロチナール及びドナリエラ、ニンジン、パーム油由来のカロチン、トマト色素などがあげられる。
【0032】
不飽和脂肪酸含有油は、リノール酸、アラキドン酸、α−リノレン酸、エイコペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などの不飽和脂肪酸やこれらの不飽和脂肪酸を含むグリセロイド、これらの不飽和脂肪酸を含むリン脂質を含有している油であり、例えば、イワシ油、エゴマ油、キウイ種子油、ツバキ油、ハトムギ油、ブドウ種子油、ブラックカラント油、ボリジ種子油、月見草油、大麻油、コーン油、大豆油、亜麻仁油、バター、ラード、ココナッツ油、ヤシ油、オリーブ油、キャノーラ油、新紅花、魚油などがあげられる。
【0033】
その他の天然抽出物としては、エゾウコギ抽出物、キウイ抽出物、クララ抽出物、ケイケットウ抽出物、紅景天抽出物、コーヒー抽出物、コムギ抽出物、サイシン抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、ツキミソウ抽出物、トマト抽出物、ブドウ抽出物、ブラックカラント抽出物、ホウセンカ抽出物、メロスリア抽出物、ヨクイニン抽出物、アルテア抽出物、イブキトラノオ抽出物、イラクサ抽出物、インチンコウ抽出物、ウコン抽出物、オウレン抽出物、海藻抽出物、ゲンチアナ抽出物、コガネバナ抽出物、コンフリー抽出物、シソ抽出物、スイカズラ抽出物、チョウジ抽出物、甜茶抽出物、トウキ抽出物、ユキノシタ抽出物、ローズマリー抽出物、ワレモコウ抽出物、イチョウバ抽出物、ブルーベリー抽出物などがあげられる。
【0034】
本発明のペット用食物における、アスタキサンチンと前述の抗酸化剤の割合は配合されるアスタキサンチンや抗酸化剤の種類によっても異なるが、通常、アスタキサンチン1重量部に対して抗酸化剤は0.1〜200重量部、好ましくはアスタキサンチン1重量部に対して抗酸化剤は0.2〜20重量部、より好ましくはアスタキサンチン1重量部に対して抗酸化剤は0.5〜5重量部である。
【0035】
アスタキサンチンを含有する本発明のペット用食物は、ペットの排泄物消臭効果、睡眠改善効果、感性改善効果、視覚改善効果、糖尿病および糖尿病合併症の治療・改善・予防効果を目的として使用することができる。
【0036】
本発明における排泄物消臭効果とは、ペット排泄物の減臭、消臭および防臭を指し、アスタキサンチンを含有したペット用食物を与えることにより、ペットの糞尿の悪臭が大幅に減少することである。アスタキサンチンが悪臭の主な原因であるアンモニアを発生させる尿素を分解する腸内細菌や植物由来のウレアーゼの阻害や、腸内の環境を整えることにより腸内の有用細菌の増殖を促進しているものと考えられる。
【0037】
本発明におけるペットの睡眠改善効果とは、ストレス、病気、生活リズムの変化、薬物の服用、身体の疾患、老化などによって生じる睡眠障害を改善、治療および抑制する効果である。睡眠障害とは、入眠困難、熟眠困難などの不眠症のことであり、入眠困難とは症状的には寝つきが悪いことである。また熟眠困難とは、夜中に何度も目が覚めて眠りが浅い「中途覚醒」、明け方近くに目が覚めそのまま朝まで眠れない「早期覚醒」、睡眠時間の割には熟眠感が得られない「熟眠感困難」などの症状があげられる。
【0038】
本発明におけるペットの感性改善効果とは、ストレス、病気、生活リズムの変化、老化などによって生じる知覚や認識能力の障害が改善、治療又は抑制されることをいう。例えば、音や見知らぬ人に敏感に反応したり、飼い主がペットの注意を引こうとペットに対して動作をしたり、エサを与えたりしたときに、喜ぶような感情を表すようにすること、ペットが飼い主に対して注意を惹こうとすることや、飼い主に対して適切な挨拶をしようとする傾向が増大することなどである。体調の改善により、毛並みなども良くなる効果がある。
【0039】
本発明におけるペットの視覚改善効果とは、ストレス、病気、生活リズムの変化、老化などによって生じる視覚の障害が改善、治療又は抑制されることをいう。視覚の障害には、近視、遠視、乱視および老眼などの屈折異常、調節異常、網膜症、黄斑症、緑内障、白内障、ドライアイ、結膜炎などの病気、疲労などの障害があげられる。また、目やにを防止する効果も含まれる。
【0040】
本発明におけるペットの糖尿病の治療・改善・予防効果とは、遺伝的素因のほか餌の過剰投与や室内飼育による運動不足等の生活習慣に起因する血糖値の上昇による糖尿病とその合併症が治療、改善又は予防されることをいう。本発明はI型糖尿病、II型糖尿病の両方に効果があるが、II型糖尿病により効果がある。後天的な要因によって生じるII型糖尿病の特徴であるインスリン抵抗性は、肥満、特に内臓脂肪蓄積に伴うものであることが多く、同時に高脂血症や高血圧等を合併する場合が多い。本発明のペット用食物は、高血糖の改善、すなわち上昇した血糖値を低下させることにより、糖尿病を治療、改善又は予防する。
【0041】
本発明のペット用食物は、糖尿病の治療・改善・予防により、糖尿病の合併症である神経障害、網膜障害、腎症および虚血疾患に関する疾病を治療・改善・予防する効果も有している。神経障害においては、突発性の難聴、眼や顔面の異常(麻痺や痛み)、起立性低血圧、下痢や便秘(消化器症状)、排尿障害、四肢の痛み、知覚の異常、筋肉の委縮、壊疽の治療・改善・予防に効果がある。網膜障害においては、黄斑変性、緑内障、白内障、単純網膜症、前増殖網膜症および増殖網膜症に効果がある。また、虚血疾患においては脳梗塞・心筋梗塞の治療・改善・予防にも効果がある。
【0042】
本発明のペット用食物は、固形製剤、固形、ペレット状、粒状、ビスケット状、練り状などの形態およびドライフード、セミドライフード(例えば、水分含有量10〜50重量%程度のペット用食物)、または缶詰などのウェットフード(例えば、水分含有量が50〜80重量%程度のペット用食物)等に特に制限されない。従来のペット用食物製造の過程において適当な工程でアスタキサンチンをペット用食物の材料に添加混合、またはアスタキサンチンの水溶液をペット用食物にふりかけて製造することができる。本発明のペット用食物は、市販のペット用食物にアスタキサンチンを添加混合したり、振りかけても作ることができる。また、人用の栄養補助食品と同様に、摂取が容易である錠剤、舌下錠、丸剤、散剤、粉剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤および軟カプセルなどの固形製剤で製造することができる。
【0043】
ペット用食物に配合可能な原料としては、ペット用食物として使用し得るものなら特に制限はない。ペット用食物の原料としては、ペット用食物の種類に応じて、慣用の成分、例えば、魚粉、魚肉、魚介類、フィッシュミール、畜肉、肉粉、肉骨粉、血粉、フェザーミール、蚕蛹油粕、脱脂粉乳、動物性油脂(牛油、豚油、骨油など)、鶏卵類、乳類などの動物性原料;ビール酵母、トルラ酵母などの微生物;トウモロコシ、マイロ、小麦、大麦、ライ麦、エン麦、小麦粉、玄米、アワ、大豆、キナコ、キャッサバなどの穀類;アルファー化デンプン、デンプンなどのデンプン類;大豆油粕、脱皮大豆油粕、ナタネ油粕、ラッカセイ油粕、ヤシ油粕、ヒマワリ油粕、アマニ油粕、ゴマ油粕、サフラワー油粕、パーム核油粕、カポック油粕などの油粕類;米ヌカ、大麦ヌカ、ふすまなどのヌカ類;グルンフィード、グルテンミール、澱粉粕、精蜜、醤油粕、ビール粕、ビートパルプ、バガス、豆腐粕、麦芽根、ミカン皮、蜜柑ジュース粕などの製造粕類;アルファルファミール、チモシー乾草、藁などの繊維素;賦形剤、結合剤、崩壊剤、食塩、砂糖などの糖類、ビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類などの成分を一種または二種以上配合して使用することができる。
【0044】
固形製剤に配合可能な原料としては、前述の原料の他に、例えば、人の食品分野で一般的に用いられる担体があげられ、担体とアスタキサンチンを均一に混合して製造することができる。担体の具体例としては、シュークロース、ソルビトール、フラクトース等の糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ゴマ油、菜種油、オリーブ油、大豆油などの油類、ストロベリー・フレーバー、ペッパーミントなどのフレーバー類などがあげられる。また、散剤、丸剤、カプセル、軟カプセル、錠剤の形態の場合には、ラクトース、グリコース、シュークロース、乳糖、マニトール、コーンスターチ、二酸化ケイ素などの賦形剤、デンプン、アルギン酸ソーダなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、カゼインなどの結合剤、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、サポニン、レシチンなどの乳化剤、グアーガム、アルギン酸、カラギーナン、寒天、ペクチン、アラビアガム、結晶セルロースなどの増粘剤、グリセリンなどの可塑剤を用いることもできる。錠剤および軟カプセルは摂取が容易であるので好ましい。
【0045】
ペット用食物は、必要に応じて、強化剤、品質改良剤、抗生物質、抗菌剤、酵素、防黴剤、抗酸化剤、着色料、甘味料、香料などの添加剤を含んでいてもよい。
【0046】
ペット用食物におけるアスタキサンチンの含有量は、特に制限されるものではないが、嗜好性を損わない範囲で選択でき、遊離のアスタキサンチン換算で、例えば、ペット用食物の全量に対して0.0001〜10重量%、好ましくは0.0005〜5重量%、さらに好ましくは0.0005〜3重量%である。
【0047】
固形製剤であれば、1回当たりまたは1日当たりの投与量を規定することができて好適であり、重量200〜1000mgの固形製剤1個中のアスタキサンチンの配合量は、遊離のアスタキサンチン換算で0.1〜10mg、好ましくは0.2〜5mgである。
【0048】
ペットに対するペット用食物の投与量は、年齢、体重などに応じて選択でき、例えば、遊離のアスタキサンチン換算で、体重1kg当り、1〜500μg/日、好ましくは2〜300μg/日、さらに好ましくは5〜200μg/日程度である。なお、投与時間はいつでもよく、投与回数は1日当り一度であっても複数回であってもよい。
【0049】
本発明は、種々のペットに適用される。ペットは、食用のためではなく愛玩用のために人間が改良してきた動物であり、人間との接触の機会を多くもつものである。ペットの具体例としては、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、サル、犬、猫、ハムスター、豚、牛、羊、馬、ワニ、ヘビ、トカゲ、鳥などがあげられ、本発明は特に犬、猫などに好適に適用される。
【0050】
本発明をさらに詳細に説明にするために以下に実施例をあげるが、本発明がこの実施例のみに限定されないことはいうまでもない。下記実施例中のアスタキサンチンは富士化学工業(株)製のヘマトコッカス藻からの抽出物を含有するアスタキサンチンオイルである。下記実施例中のアスタリール50F〔商品名、富士化学工業(株)製〕はアスタキサンチン遊離体換算で5%のアスタキサンチンの脂肪酸エステルとトリグリセリド類からなるオイルであり、アスタリールパウダー〔商品名、富士化学工業(株)製〕とはアスタリール50Fを20%含有した粉末である。
【0051】
実施例1
犬29匹(体重2.2〜27kg)それぞれを1ヶ月間特別な食事ではなく市販ドッグフードにより飼育した。その後、1ヶ月間、同様の市販ドッグフードとアスタキサンチン含有錠剤〔アスタキサンチン遊離体換算で1mg含有、(株)メニワン製〕を共に与えた。食事は1日に2回、1回の食事に付き1個のアスタキサンチン含有錠剤を与えた。
1ヶ月の投与後、夜間の熟眠度合い、外部からの刺激に対する感性、及び視覚のそれぞれが投与前と比べて向上したか否かを評価した結果を表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
熟眠に関しては、熟眠するようになったり、睡眠中に聞き慣れない音がしたときに敏感な反応を示すなどの変化が認められた場合には向上と評価した。感性に関しては、活発に走り回るようになったり、表情が豊かになったり、毛並みが良くなったりするなどの変化が認められた場合には向上と評価した。視覚に関しては、飼い主や対象物に対して集中して視線を向けるようにようになったり目やにが減少するなどの変化が認められた場合に向上と評価した。表1の評価結果欄の数値は、それぞれ犬の頭数を示す。表1の結果から明らかなように、熟眠、感性、視覚のそれぞれに改善効果があった。
【0054】
実施例2
実施例1と同様に、猫8匹(体重5.8〜8kg)に1ヶ月間、アスタキサンチン含有錠剤〔アスタキサンチン遊離体換算で1mg含有、(株)メニワン製〕を与えた。
1ヶ月の投与後、夜間の熟眠度合い、外部からの刺激に対する感性、及び視覚のそれぞれが投与前と比べて向上したか否かを評価した結果を表2に示す。
【0055】
【表2】

【0056】
表2の結果から明らかなように、熟眠、感性、視覚のそれぞれに改善効果があった。
【0057】
実施例3 糞臭気改善作用
3ヵ月以上にわたって同じ市販ドッグフードのみを与えて飼育を続けた4匹の犬に、アスタリール[(株)ナチュリル製、1錠あたりアスタキサンチン遊離体0.67mg含有]を夕食時に1日当たり2錠ずつ投与することを4週間行った。アスタキサンチン投与前及びアスタキサンチン投与中、下痢、疲労状態等を示さず健常であることを確認した。アスタキサンチン投与前と投与後に排泄された糞をそれぞれ収集し、各糞の先端部、中間部および末端部から等量ずつ採取したものを混合して検体とした。検体は容量100mlの遮光容器に入れて冷暗所で保管し24時間以内に試験に供した。
【0058】
[糞臭気試験]
室温を22℃に設定した部屋で、臭気測定装置〔KALMOR−Σ、(株)カルモア製〕により、各検体の臭気を測定した。具体的には、280mm×200mmの密閉ビニール袋に測定プローブを挿入し、検体が入っていないビニール袋内の臭気(初期値)を計り、次に秤量した100mgの検体をビニール袋内に入れてから15分経過後、検体が入ったビニール袋内の臭気(測定値)を計り、測定値から初期値を引き臭気値を求めた。
【0059】
【表3】

【0060】
表3の結果は、危険率5%以下であり、有意である。表3の結果から明らかなように、アスタキサンチンを投与することによって、排泄物の臭気は減少していることがわかる。
【0061】
実施例4
三協ラボラトリーズ(株)より購入したストレプトゾトシン(STZ)を投与して作製した糖尿病モデルのビーグル犬(体重約10kg、6ヶ月齢)1匹に、アスタリール50F[富士化学工業(株)製、1錠(300mg)にアスタキサンチン遊離体0.67mg含有]を餌にまぜ、4週間に渡って投与した。試験開始時、開始2週間後および4週間後に採血を行い、血清を分離後、血糖値を測定した。ビーグル犬は金属ケージに収容し、温度22±2℃、湿度55±10%、照明12時間(午前7時〜午後7時)の条件で飼育し、毎日午前9時に1gのアスタリール50Fを餌と共に与えた。
【0062】
【表4】

【0063】
表4から明らかなように、糖尿病ビーグル犬では、投与2週間後および4週間後の血糖値が有意に低下した。
【0064】
実施例5
ビーグル犬1匹にアスタリール50Fを餌にまぜ、4週間に渡って投与し、投与前と投与後の相違点を観察した。ビーグル犬は生後6ヶ月齢(体重約10kg)で三協ラボラトリーズ(株)より購入した。購入後、約4週間の予備飼育を行い、その間の一般状態、体重、摂餌量において異常がないことを確認して使用した。ビーグル犬は金属ケージに収容し、温度22±2℃、湿度55±10%、照明12時間(午前7時〜午後7時)の条件で飼育し、毎日午前9時に1gのアスタリール50Fを餌と共に与えた。
アスタキサンチンの投与後、糞や尿などの排泄物の臭い、外部からの刺激に対する感性、夜間の熟眠度合い、及び視覚のそれぞれが投与前と比べて改善されたか否かを評価した結果を表5に示す。
【0065】
【表5】

【0066】
表5の評価結果欄の+は改善効果があったことを示す。表5の結果から、本発明のアスタキサンチンを含有するペット用食物は、排泄物の消臭、熟眠の増加、感性の増加、視覚の改善に効果があることが分かる。
【0067】
実施例6
アスタリールパウダー 10重量部
ブルーベリー粉末 2重量部
Vプレミックス 3重量部
乳糖 50重量部
バレイショデンプン 32重量部
ポリビニルアルコール 2重量部
ステアリン酸マグネシウム 1重量部
以上の成分をV型混合機で混合した後、ロータリー打錠機(畑鉄工所社製、HT-AP18SS-II)で打錠し、錠剤型のペット用食物を作成した。
【0068】
実施例7
小麦粉 34.9重量部
澱粉 23重量部
乾燥粉砕魚粉 15重量部
乾燥肉骨粉 15重量部
脱脂粉乳 5重量部
ショ糖エステル 3重量部
動物性油脂 2重量部
ビタミン・ミネラル類 1重量部
アスタリール50F 0.1重量部
水 55重量部
以上の成分を混合し、ディスクペレット造粒機(不二パウダル(株)製)を用いて造粒し、100〜300mgのペレット(サイズ4mmφ×約5〜10mm)を調製した。このペレットを50℃で10時間乾燥してドライフードを得た。
【0069】
実施例8
とうもろこし 33重量部
小麦粉 30重量部
脱脂大豆 14.9重量部
ミートミール 10重量部
チキンミール 5重量部
ふすま 5重量部
ビタミン・ミネラルミックス 1重量部
アスタリール50F 0.1重量部
以上の成分を混合・粉砕し、開口1mmの篩で篩過したのち、固形分が約27重量%となるように加水した。直径8mmの丸型ダイスが装着されたクッキングエクストルーダー(ウエンガー社製)を用いて押出し処理を行ない、膨化物を得た。得られた膨化物を、ベルト式乾燥機にて120℃で20分間乾燥した後、95重量部の膨化物に対して5重量部の大豆油を噴霧して、ドライドッグフードを得た。
【0070】
実施例9
とうもろこし 32.9重量部
小麦粉 25重量部
脱脂大豆 15重量部
フィッシュミール 10重量部
ミートミール 10重量部
チキンミール 5重量部
ビタミン・ミネラルミックス 1重量部
リン酸カルシウム 1重量部
アスタリール50F 0.1重量部
以上の成分を混合・粉砕し、開口1mmの篩で篩過したのち、固形分が約27重量%となるように加水した。直径8mmの丸型ダイスが装着されたクッキングエクストルーダー(ウエンガー社製)を用いて押出し処理を行ない、膨化物を得た。92重量部の膨化物に対して5重量部の大豆油と3重量部のフィッシュエキスを噴霧し、ドライキャットフードを得た。
【0071】
実施例10
鶏肉 74.9重量部
鶏内臓 20重量部
ビタミン・ミネラルミックス 5重量部
アスタリール50F 0.1重量部
以上の成分をミキサーにて混合した後、2%食塩水中で100℃で10分間蒸煮処理を行なったものを冷ましてから缶に詰めて、缶タイプのドッグフードを得た。缶は直径75mm×高さ110mmであり、各缶には300gの肉を100gの水ととともに詰めた。缶詰は最後に120℃にて70分間、レトルト殺菌を行なった。
【0072】
実施例11
蒸煮血合肉 93.9重量部
ビタミン・ミネラルミックス 5重量部
炭酸カルシウム 1重量部
アスタリール50F 0.1重量部
蒸煮したかつおとまぐろの血合肉を主原料とした前記に示した組成の混合物をフレーク状にして、缶タイプキャットフードを得た。缶は直径100mm×高さ120mmであり、各缶には160gの肉を100gの水とともに詰めた。缶詰は最後に110℃にて80分間レトルト殺菌を行なった。
【0073】
実施例6〜11のペット用食物を犬または猫に与えたところ、匂いなどを気にすることなく、何らためらいもなく食べた。また、排泄物消臭効果、睡眠改善効果、感性改善効果、視覚改善効果に関しては、実施例5と同等の結果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスタキサンチンおよび/またはそのエステルを含有することを特徴とするペット用食物。
【請求項2】
アスタキサンチンおよび/またはそのエステルを含有してなる排泄物消臭効果を有することを特徴とする請求項1のペット用食物。
【請求項3】
アスタキサンチンおよび/またはそのエステルを含有してなる睡眠改善効果を有することを特徴とする請求項1のペット用食物。
【請求項4】
アスタキサンチンおよび/またはそのエステルを含有してなる感性改善効果を有することを特徴とする請求項1のペット用食物。
【請求項5】
アスタキサンチンおよび/またはそのエステルを含有してなる視覚改善効果を有することを特徴とする請求項1のペット用食物。
【請求項6】
アスタキサンチンおよび/またはそのエステルを含有してなる糖尿病および糖尿病合併症の治療・改善・予防効果を有することを特徴とする請求項1のペット用食物。
【請求項7】
該ペットがマウス、ラット、モルモット、ウサギ、サル、犬、猫、ハムスター、豚、牛、羊、馬、ワニ、ヘビ、トカゲ、鳥の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜6に記載のペット用食物。
【請求項8】
該ペットが犬および/または猫であることを特徴とする請求項1〜6に記載のペット用食物。

【国際公開番号】WO2005/058064
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【発行日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516375(P2005−516375)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018950
【国際出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【出願人】(390011877)富士化学工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】