アスベスト判定法
【目的】 建材や保温材中にロックウールが含まれている場合でも、アスベスト含有の擬似判定が出ないアスベスト判定法において、0.1%超の試料にも対応できる簡易なアスベスト判定法を提供すること。
【構成】 下記工程からなるアスベスト判定法。
1)粉砕試料に前処理液(ギ酸等の水溶液)を滴下・静置して行なう第一溶出操作を経たスラリー原液を膜状ロ材によりロ過分離する前処理工程、
2)該膜状ロ材上のロ滓に溶解液(塩酸等の強酸水溶液)を滴下して行なう第二溶出操作を経て、判定試料を作成する判定試料作成工程、及び
3)該判定試料にアスベストの呈色判定試薬であるMg又はFeの呈色反応試薬(発色液)を添加して呈色によりアスベストの有無を判定する呈色判定工程。
【構成】 下記工程からなるアスベスト判定法。
1)粉砕試料に前処理液(ギ酸等の水溶液)を滴下・静置して行なう第一溶出操作を経たスラリー原液を膜状ロ材によりロ過分離する前処理工程、
2)該膜状ロ材上のロ滓に溶解液(塩酸等の強酸水溶液)を滴下して行なう第二溶出操作を経て、判定試料を作成する判定試料作成工程、及び
3)該判定試料にアスベストの呈色判定試薬であるMg又はFeの呈色反応試薬(発色液)を添加して呈色によりアスベストの有無を判定する呈色判定工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスベストを簡易に判定することのできるアスベスト判定法に関する。特に、アスベスト・ロックウール混合建材等におけるアスベスト判定に好適な発明である。以下の説明で「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
【背景技術】
【0002】
アスベストとは天然に産出する結晶構造を持つ繊維状けい酸塩鉱物のことで、国際労働機関では、「岩石を形成する鉱物の蛇紋石及び角閃石グループに属する無機けい酸塩」と定義されている。すなわち、図1に示すクリソタイル、アモサイト、クロシドライト、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトの6種の鉱物がアスベストに分類されており、本明細書では、この6種を意味する。
【0003】
そして、アスベストは、耐久性、耐熱性、保温性に優れているため、建築・建設材料、水道本管用材料、工業材料、家庭用品等の材料として、多用されてきた。
【0004】
しかし、アスベストはその呼吸器系に対する発ガン性の故に、原則製造等禁止になり、さらには、労働衛生上の見地から、特に、建築物の解体や、壁面補修に際してのアスベスト除去作業が問題となっている。
【0005】
他方、ロックウール(岩綿)は、アスベスト(石綿)の代用品の材料として、アスベストと同様の用途に多用されてきた。
【0006】
その際、古い建築物の場合、内・外壁面等にロックウール材料及びアスベスト材料のどちらを使用していたか判然としない場合が多い。このため、実際は、アスベスト不含有にもかかわらず、アスベスト含有に対応した作業(労働)環境とする必要がある。すなわち、作業場のクローズド化、及び、作業者が、より完全(厳格:高水準)である防護マスク・防護服を着用する必要がある。
【0007】
また、ロックウールは、上記のように用途がアスベストと共通するが、廃棄物として取り扱う場合には、特別管理産業廃棄物に該当するアスベストとは明確に区別する必要がある。なお、ロックウールは、ガラス屑に該当する産業廃棄物である。
【0008】
そして、上記のような壁面等におけるアスベスト材料の使用の有無を判定するためのアスベスト判定法(アスベストスクリーニング法)として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1における請求項1を引用する。
【0009】
「試料中のアスベスト含有の有無を、鉄分の呈色反応を介して判定するための試験法であって、(1) 被検査体から採取した試料用塊の一部を粉砕して試料を調製する試料調製工程、(2) 試料に有機酸を添加して粉砕混合後、精製水で酸成分を洗い落す前処理工程、(3) 前処理工程後の試料に非酸化性の無機酸水溶液及びキレート化剤である呈色試薬を添加して、アスベスト鉄分を溶出させる判定溶液調製工程、(4) 判定溶液のpHが呈色安定領域にあるときはそのまま、 pH が呈色安定領域以下のときは pH調節剤を添加して pH呈色安定領域に調整して、それぞれ呈色の有無を判定する(呈色)判定工程、からなることを特徴とする。」
しかし、本発明者らは、上記アスベスト判定では、アスベスト非含有のロックウール材料が、アスベスト含有との誤判定が発生するおそれがあることを知見した。
【0010】
上記アスベスト判定法を試料に課した場合、該試料がロックウールを含有すると、ロックウールもまた鉄元素を含有するため、フッ化水素酸やケイフッ化水素酸を用いてケイ酸成分を溶解することで微量の鉄元素を溶出させて、鉄分の呈色反応を利用するため、アスベスト非含有でも、鉄元素を含有するアスベスト(アモサイト系又はクロシドライト系:図1参照)含有の擬似判定がでる。
【0011】
そこで、ロックウールが含まれている場合、アスベスト含有の擬似判定が出ない簡易なアスベスト判定法の出現が希求されていた。
【0012】
当該希求に応えることのできるアスベスト判定法として、例えば、特許文献2に記載されたものがある。特許文献2における請求項1を引用する。
「 1)粉砕状態の試料を前処理液に静置接触させる、ロックウール中のマグネシウム分及び鉄分(以下「ロックウール金属成分」という。)の溶出操作を経た後、該溶出液を除去する前処理工程、
2)該溶出液除去後の固形分を、溶解液に静置接触させる、アスベスト中のマグネシウム分及び鉄分(以下「アスベスト金属成分」という。)の溶出操作を経て判定液を調製する判定液調製工程、及び
3)該判定液にマグネシウム又は鉄の呈色反応試薬を添加して呈色によりアスベストの有無を判定する呈色判定工程、を含み、
前記前処理液として前記ロックウール金属成分に対する溶解性が前記アスベスト金属成分に対する溶解性に比して高い酸性水溶液からなるものを使用し、前記溶解液として前記アスベスト金属成分に対する溶解性が前記前処理液に比して高い酸性水溶液からなるものを使用することを特徴とするアスベスト判定法。」
そして、廃棄物処理法および同法施工令・施行規則の改正により(施行期日:平成18年10月1日)、新たに「工作物(建築物を含む。)の新築、改築又は除去に伴って生ずる」一般廃棄物または産業廃棄物で「石綿をその重量の0.1%を超えて含有するもの」を「石綿含有一般廃棄物」並びに「石綿含有産業廃棄物」として規定された。
【特許文献1】特許第3341152号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開2008−26269号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上記特許文献2に記載された方法は、アスベスト含有率が1%以上の試料の判定を想定しており(同文献段落0060、0070)、アスベスト含有率0.1%超の試料のスクリーニング(選別)には、対応困難であることが分かった(本願表4参照)。
【0014】
本発明は、上記にかんがみて、建材や保温材中にロックウールが含まれている場合でも、アスベスト含有の擬似判定が出ないアスベスト判定法において、0.1%超の試料にも対応できる簡易なアスベスト判定法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意開発に努力をした結果、下記構成とすれば、アスベスト濃度が1%未満の、特に、0.1%超の試料に対しても対応可能であることと知見して、本発明のアスベスト判定法に想到した。
「 1)粉砕状態の試料に前処理液を滴下して所定時間静置して行なう第一溶出操作を経たスラリー原液を、該溶出液を膜状ロ材によりロ過分離する前処理工程、
2)該膜状ロ材上のロ滓に溶解液を滴下して行なう第二溶出操作を経て、判定試料を作成する判定試料作成工程、及び
3)該判定試料にアスベストの呈色判定試薬であるMg又はFeの呈色反応試薬(発色液)を添加して呈色によりアスベストの有無を判定する呈色判定工程、を含み、
前記前処理液としてpKa:3.0〜4.0の脂肪族カルボン酸の水溶液を用いるとともに、前記溶解液として、水素酸をベースとする強酸の水溶液を用いることを特徴とするアスベスト判定法。」
上記構成のアスベスト判定法は、前処理工程で特定の脂肪族カルボン酸を使用して第一溶出操作を経てロ過分離した後の膜状ロ材上のロ滓(残渣)に、第二溶出操作をして判定試料を作成し、該判定試料に呈色反応試薬を添加すれば、アスベスト濃度が低く(1%未満)でも、判定可能となることを知見したものである。特に、アスベスト呈色判定試薬として、Mg用発色液(キシリジルブルー)を使用すれば、各種アスベストに対して含有率0.1%のスクリーニングも可能である。
【0016】
更に、判定試料作成工程を、前記膜状ロ材として親水性の(メンブラン)フィルターを使用し、該親水性の(メンブラン)フィルター上で前記溶解液を保持・静置して前記判定試料を作成すれば、採取試料が従来(特許文献2)に比して少なくて済む。例えば、採取量50mg必要としたが、採取量20mgでも判定可能なことを確認している。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るアスベスト判定法は、上記のような方法を採用することにより 特許文献2の場合と同様、ロックウールが含まれていても、アスベスト金属成分の有りの擬似判定が出ることがない。さらに、試料中のアスベスト含有率(1%未満)が低くてもアスベスト判定が可能となり、法改正への対応が容易となる。
【0018】
したがって、アスベスト判定を確実に行うことができ、アスベスト除去作業等において、作業場クローズド化ないし防護服等による作業環境対策を過剰に講じる必要がなくなる。即ち、建築・建設現場における壁補修作業や解体作業を適正に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下の説明で、組成を示す「%」および「部」は、特に断らない限り質量単位である。また、各工程の操作温度は、特に断らない限り、常温とする。
【0020】
本実施形態は、基本的には、試料中のアスベスト金属成分の有無を、マグネシウムや鉄の呈色反応を介して判定するアスベスト判定法に係るものであり、下記1)前処理工程、2)判定試料作成工程、及び、3)呈色判定工程からなる(図2・3参照)。
【0021】
(1)前処理工程:粉砕状態の試料に前処理液を滴下して所定時間静置して、第一溶出操作を経て得られるスラリー原液を、該溶出液を膜状ロ材によりロ過分離する工程である。
【0022】
試料の採取量は、試料の種類により異なるが、例えば、約200mgとする。
【0023】
ここで前処理液としては、pKa:約3.0〜4.0の脂肪族カルボン酸の水溶液をベースとするものを用いる。
【0024】
より、具体的には、ギ酸(pKa:3.75)、クエン酸(pKa:3.13)、グリコール酸(pKa:3.83)等を挙げることができる。これらのうちで、ギ酸が望ましい。
【0025】
該脂肪族カルボン酸の濃度は、有機酸の種類により異なるが、例えば、ギ酸の場合、通常、約10〜30%、望ましくは約15〜25%、更に望ましくは20%前後とする。
【0026】
この第一溶出操作により、ロックウール中のMg及びFe(以下、まとめて「ロックウール金属成分」ということがある。)が短時間で溶出されて殆ど残留しないが(図6参照)、アスベスト中のMg及びFe(以下、まとめて「アスベスト金属成分」ということがある。)は、高温でなければ初期溶出量が小さくその後は殆ど溶出せず、残留量の経時的低下が殆どない(図5参照)。
【0027】
ここで、特許文献2に記載のリン酸をベースとする前処理液を使用した場合には、ロックウール金属成分は上記特定脂肪族カルボン酸と同様、ロックウール金属成分は短時間で溶出されて殆ど残留しないが(図4参照)、アスベスト金属成分は、高温・低温に関係なく初期溶出量も大きくさらに経時的にも溶出量は増大して残留量の経時的低下が大きい(図3参照)。
【0028】
なお、上記脂肪族カルボン酸は、同時に、銅などの微量呈色妨害成分を溶出させ、試料中から排除する作用も奏する(特許文献2段落0022)。
【0029】
適宜、低級脂肪族アルコールを添加して、試料に対する親水性を適合させる。具体的な低級脂肪族アルコールとしては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を挙げることができる。低級脂肪族アルコールの添加量は、約0.5〜4%(望ましくは約1.5〜3%)とする。
【0030】
また、上記静置時間は、前処理液のカルボン酸濃度にもよるが、通常、約40〜80min(望ましくは約50〜70min)とする。短すぎては、ロックウール金属成分を、溶出除去できず、長すぎては、分析時間(前処理時間)が長くなるとともに、アスベスト金属成分も、溶出してしまうおそれがある。
【0031】
上記膜状ロ材としては、ロ紙でもよいが、前処理工程及び判定試料作成工程における溶出操作に際して溶出金属(Mg及びFe)がロ紙に捕獲されて、誤判定が出易くなる。このため、膜状ロ材は、溶出金属捕獲のおそれがない親水性のメンブランフィルター(合成樹脂膜)が望ましい。メンブランフィルターの孔径は、従来のロ紙の同様のろ過能を有するものでよく、孔径約0.45〜1μmの範囲のものを適宜使用できる。親水性のメンブランフィルターとしては、例えば、セルロースエステルから成るものを使用できる。
【0032】
ここで、ロ過の態様は、通常、減圧ロ過とするが、加圧ロ過であってもよい。
【0033】
減圧ロ過には、図13に示すような、それぞれ分離可能(図例ではネジ結合)とされたロ液受け器11とファンネル(原液入れ器)12と、両者の間に配されるフィルターホルダー13とを備えたロ過器15を使用する。これら相互は、第一・第二ユニオンナット14、14Aでねじ着脱可能とされている。また、ロ過器15は溶解液としてフッ化水素酸を含むものを使用するので、通常、樹脂製(例えば、ポリカーボネート)とする。
【0034】
ロ液受け器11は、本体側面に吸引口11bを有するとともに、フィルターホルダー13は、上端にロ材を支持する目皿部13aを有する。
【0035】
該目皿部13a上に膜状ロ材17が、上下にシール部材(Oリング)19、19を配して載置可能とされている。そして、ファンネル12の下側開口部の下端フランジ部12bで、第一ユニオンナット14により膜状ロ材17/Oリング19、19組が圧縮されて膜状ロ材17が気密保持される。
【0036】
この前処理工程は、より具体的には、例えば、下記の如く行う(図12参照)。
【0037】
粉砕状態の採取試料(例えば、200mg)をプラスチックビーカ(例えば、フッ素樹脂製1000mLビーカ)に投入し、前処理液を滴下して、均一分散状態となるまで攪拌後、所定時間、ロックウール成分が十分に溶出するまで静置してスラリー原液を得る。この静置時間は、通常約30〜90min、望ましくは約40〜80minとする(図5〜6参照)。
【0038】
予め、ロ液受け器11に締結されたフィルターホルダー13の目皿部13aに膜状ロ材17をセット後、該フィルターホルダー13に原液入れ器12を取り付けておく。
【0039】
該原液入れ器12に上記スラリー原液を投入する。その後、吸引ロ過を行った後、ロ滓21を純水で数回、ロ過洗浄をする。
【0040】
なお、上記においてスラリー原液の上済み液は、原液受け瓶13へ投入前に、試料(固形分)が系外に流出しないように捨てておくことが望ましい。ロ過効率が向上するためである。
【0041】
(2)判定試料作成工程:該膜状ロ材17上のロ滓21に溶解液を滴下して、第二溶出操作を経て、判定試料を作成する工程である。
【0042】
ここでは、呈色判定を膜状ロ材17上のロ滓で行う場合を例に採るが、膜状ロ材17上のロ滓21に溶解液を滴下して、ロ過操作を経てロ液を回収し、該ロ液を判定試料として呈色判定を行ってもよい。
【0043】
ロ液で呈色判定する方法では、ロ過の過程で純水洗浄が必要となり、溶出アスベスト金属成分の濃度が低くなる。このため、ロ滓で発色判定行う方が、ロ液で行う場合に比して、呈色判定(発色)において高感度となる。
【0044】
このため、膜状ロ材17の下面側には、通常、不透過性合成樹脂膜乃至撥水性膜状ロ材(例えばPTFE製)を当接させておくことが望ましい。アスベスト含有率が少ないと、少量の溶解液の透過でも、膜状ロ材17上のロ滓21からMgやFeが溶出逸散して、アスベスト非含有の誤判定が出るおそれがある。
【0045】
ここで、溶解液としては、水素酸をベースとする強酸の水溶液を用いる。例えば、通常、塩酸を使用する。水素酸の濃度は、水素酸の種類により異なるが、HClの場合、濃度は約4〜10%(更には約6〜8%)が望ましい。
【0046】
該溶解液は、フッ化水素酸を含むものとすることが、アスベスト成分(Fe及びMg)に対する溶解度が増大して望ましい(図8〜10参照)。ここで、フッ化水素酸(HF)の添加量は、約1〜5%(更には約2〜4%)となる量が望ましい。
【0047】
溶解液は、さらに、水溶性増粘剤を含むものとすることが望ましい。水溶増粘剤を含むものとすることにより、溶解液が増粘し、前記膜状ロ材への溶解液の浸透を抑制でき、結果的に、溶解液のロ滓生成アスベスト金属成分の膜状ロ材内への移行(散逸)を抑制できる。
【0048】
水溶性増粘剤としては、特に限定されない。通常、低級脂肪族アルコール、望ましくは、グリセリンやエチレングリコール等の低級脂肪族多価アルコールを使用する。
【0049】
この第二溶出操作により、アスベスト中のMg及びFe(以下「アスベスト金属成分」という。)が溶出されて、後述のアスベスト呈色反応が可能となる。
【0050】
この判定試料作成工程は(ロ紙上で呈色する場合)、前記具体的な前処理工程に続いて、下記のようにして行う(図12)。
【0051】
まず、ファンネル11をフィルターホルダー13から取り外し、フィルターホルダー13上端の目皿部13aから膜状ロ材17を、ロ滓21を載せたままで取り外す。そして、目皿部13a上に溶解液不透過性膜(例えば、フッ素樹脂からなる疎水性のメンブランフィルター)23を、膜状ロ材17と重ね合わせ、再度、フィルターホルダー13にファンネル12を気密的(シール部材19、19を使用して)に組み付ける。
【0052】
この状態で、溶解液を膜状ロ材17上のロ滓21に対して、溶解液25を滴下して、所定時間静置する。このとき、溶解液25の滴下量は、採取試料が略浸る程度とする(図13(A2)参照)。
(3)呈色判定工程:該判定液に鉄(Fe)又はマグネシウム(Mg)の呈色反応試薬(単に「呈色試薬(発色液)」ということがある。)を添加して呈色によりアスベスト含有の有無を判定する工程である。
【0053】
呈色反応工程に使用する試薬は、Mgの呈色試薬が全てのアスベストが判定できて望ましいが、アモサイト(茶石綿)やクロシドライト(白石綿)の場合は、Feの呈色試薬でも判定可能である。
【0054】
Mg呈色試薬(発色液)としては、Mgと反応して呈色するキレート剤(呈色試薬)であれば特に限定されず、キシリジンブルー、チタンイエロー、オキシン、エリオクロムブラックT、フタレインコンプレクソン、メチルチモールブルー等を挙げることができる。これらのうちで、特に、下記構造式で示されるキシリジルブルーIまたはキシリジンブルーIIが、Mgの吸光光度定量試薬として最高の感度を有するとともに反応時間が短いため望ましい。なお、キシリジンブルーIIは、キシリジンブルーIの構造式からSO3Naをとったもので、キシリジンブルーIに比して感度が約7%高い。後述の実施例ではキシリジンブルーIを用いた。
【0055】
【化1】
また、Fe呈色試薬(発色液)としては、前記特許文献2に記載されているもの、即ち、4,7−ジフェニル−1、10−フェナントロリン、1,10−フェナントロリン、2,2'−ビピリジル、2,4,6−トリス−(2−ピリジル)−s−トリアジンを使用することができる。これらのうちで、特に、バソフェナントロリン(4,7−ジフェニル−1、10−フェナントロリン)と称される下記構造式のものが望ましい。
【0056】
【化2】
その際、呈色に好適なpHに調節することが望ましく、pH調節液としては、塩基性緩衝液、例えば、塩化アンモニウム・アンモニア混液や酢酸アンモニウム・アンモニア混液等を使用することができる。
【0057】
より具体的には、呈色試薬とpH緩衝液とは、下記組合わせのものを例示でき、それらの使用量は、例えば、pH緩衝液2〜5mL、呈色試薬(発色液)0.5〜2mLとする。
【0058】
<Mg呈色試薬(発色液)>
キシリジルブルー0.8gをエチルアルコール1Lに溶解したもの。
【0059】
<キシリジルブルー用pH調節液>
塩化アンモニウム70gを純水約200mLに溶解後、アンモニア水570mLを加え純水で1Lに定容したもの。
【0060】
<Fe呈色試薬(発色液)>
バソフェナントロリン0.5gをエチルアルコール約500mLに溶解した後、塩酸10mLを加え、純水で1Lに定容したもの。
【0061】
<バソフェナントロリンpH緩衝液>
酢酸アンモニウム500gを純水に溶解して1Lに定容したもの。
【実施例】
【0062】
以下、本発明の発明特定事項を支持する試験例、及び、本発明の効果を確認するために行った試験例(実施例)について説明する。
【0063】
なお、前処理試験・溶解試験で誘導プラズマ分光分析(ICP−AES)による定量分析は、以下の装置および条件で実施した。
【0064】
装置:セイコーインスツルメンツ株式会社製「VISTA−MPX型」
分析線:Fe 234.350nm、Mg 279.553nm、Y(内標準物質) 371.029nm
また、各試験例で使用した各種のアスベストは、いずれも、社団法人日本作業環境協会供給の標準物質を使用し、ロックウールはJIS A 9521に適合する規格品を使用した。
【0065】
<前処理試験>
本試験は、アスベストとロックウールについて、前処理液によるMg及びFeの除去率の違いを見るために行った。ロックウールを選択したのは、建材の中でアスベストと目視で区別できず、かつ、Mg及びFeの双方を含有してアスベストであるとの誤判定が出易いためである。
【0066】
前処理液は、表1に示す組成の前処理液A・Bを使用した。
【0067】
【表1】
ロックウールおよび比較的酸に弱いとされるクリソタイルに対する前処理液の影響を図2に示す手順に従って試験をした。
【0068】
試料として、ロックウールは約200mg、クリソタイルは約100mgを精秤採取した。そして、前処理試験は、温度20℃、40℃及び60℃の各温度で、静置時間10分、30分、60分、120分及び180分の条件で行った。
【0069】
図3〜6に示す結果から、前処理液B(ギ酸)は、前処理液A(リン酸系)に比して、格段に残留量の当初低下及び経時的低下が小さいことが分かる。すなわち、ギ酸乃至ギ酸と均等の有機酸が前処理液として適していることが分かる。
【0070】
<溶解試験>
前処理後に残留するアスベスト中のMg及びFeを効率よく溶解する条件を見出すために、図7に示す手順に従って試験を行った。
【0071】
クリソタイル、クロシドライト及びアモサイトの各種アスベストを、約20mg精秤採取した。そして、溶解試験は、表2に示す各種溶解液を用いて、温度20℃×静置時間10分、20分及び30分の条件で行った。
【0072】
【表2】
図8〜10に示す結果から、塩酸濃度が相対的に高くかつフッ化水素酸を添加した溶解液Cが、格段に溶解性が高いことが確認できた。
【0073】
<呈色方法・判定方法の検討試験>
特許文献2において、アスベストに含まれるMg及びFeを高感度に検出する手法として、それぞれ、呈色試薬として、Mgに対してはキシリジンブルー、Feに対してはバソフェナントロリンを用いることが有効であることを確認している(段落0049〜0050、段落0054〜0055)。
【0074】
各呈色試薬を使用して、建材を模擬した低濃度アスベスト含有試料(模擬試料)について行った。
【0075】
各模擬試料は、石膏をベースとして、アスベスト等が固化後に、表3に示す含有率になるように配合し、図11に示す手順に従って作成した。
【0076】
【表3】
上記で作成した各模擬試料について、図12に示す手順に従って、前処理、判定試料作成および呈色判定を行った。
【0077】
なお、前処理工程は前記前処理液A・Bを、試料作成工程の溶解液は前記溶解液A・Cを、それぞれ使用した。
【0078】
また、呈色試験は、Mgに対しては下記キシジルブルー法及び、Feに対してはバソフェナントロリン法を使用した。
【0079】
1)キシリジルブルー法
・前記発色液および緩衝液を使用した。
【0080】
2) バソフェナントロリン法
・前記発色液および緩衝液を使用した。
【0081】
それらの結果を示す表4から、前処理液B(ギ酸)の溶解液Cの組合わせにより、キシリジンブルー法で、全ての種類のアスベスト0.1%含有建材等の判定に有効であることが確認できた。バソフェナントロリン法では、クリソタイル以外のアモサイト及びクロシドライトの0.1%含有建材の判定に有効であることが確認できた。
【0082】
また、前処理液A(リン酸/塩酸混合系)と溶解液Cの組合わせでは、安定した判定ができないことが確認できた。
【0083】
【表4】
なお、無作為に選んだ廃建材30個の試料について、膜状ロ材上で判定をする簡易判定法(膜状ロ材上で簡易判定)と公定法(分散染色法:JIS 1481)で行ったが、整合性は83%であることを確認している。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】アスベストの分類図である。
【図2】本発明のアスベスト判定法に使用する前処理液のMg/Fe除去・残存率に与える影響について調査した前処理試験の手順図である。
【図3】図2の前処理試験で前処理液をリン酸系とした場合のアスベスト(クリソタイル)における経時Mg/Fe残存率を示すグラフ図である。
【図4】同じく前処理液をギ酸とした場合の経時Mg/Fe残存率を示すグラフ図である。
【図5】図2の前処理試験で前処理液をリン酸系とした場合のロックウールにおける経時Mg/Fe残存率を示すグラフ図である。
【図6】同じく前処理液をギ酸とした場合の経時Mg/Fe残存率を示すグラフ図である。
【図7】判定試料作成工程で使用する溶解液の溶解性試験の手順図である。
【図8】クリソタイルの溶解性試験における経時Mg/Fe溶解量を示すグラフ図である。
【図9】クロシドライトの溶解性試験における経時Mg/Fe溶解量を示すグラフ図である。
【図10】アモサイトの溶解性試験における経時Mg/Fe溶解量を示すグラフ図である。
【図11】本発明のアスベスト判定法における模擬試験用の模擬試料の作成手順図である。
【図12】本発明の効果を確認するために行った模擬試験の手順図である。
【図13】本発明のアスベスト判定法に使用可能な減圧ロ過器の一例を示す外観図並びに前処理工程(A1)及び判定試料作成工程(A2)における説明要部断面図である。
【符号の説明】
【0085】
11 ロ液受け器
12 ファンネル(原液入れ器)
13 フィルターホルダー
15 減圧ロ過器
17 膜状ロ材(親水性のメンブランフィルター)
21 ロ滓
23 溶解液不透過性膜
25 溶解液
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスベストを簡易に判定することのできるアスベスト判定法に関する。特に、アスベスト・ロックウール混合建材等におけるアスベスト判定に好適な発明である。以下の説明で「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
【背景技術】
【0002】
アスベストとは天然に産出する結晶構造を持つ繊維状けい酸塩鉱物のことで、国際労働機関では、「岩石を形成する鉱物の蛇紋石及び角閃石グループに属する無機けい酸塩」と定義されている。すなわち、図1に示すクリソタイル、アモサイト、クロシドライト、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトの6種の鉱物がアスベストに分類されており、本明細書では、この6種を意味する。
【0003】
そして、アスベストは、耐久性、耐熱性、保温性に優れているため、建築・建設材料、水道本管用材料、工業材料、家庭用品等の材料として、多用されてきた。
【0004】
しかし、アスベストはその呼吸器系に対する発ガン性の故に、原則製造等禁止になり、さらには、労働衛生上の見地から、特に、建築物の解体や、壁面補修に際してのアスベスト除去作業が問題となっている。
【0005】
他方、ロックウール(岩綿)は、アスベスト(石綿)の代用品の材料として、アスベストと同様の用途に多用されてきた。
【0006】
その際、古い建築物の場合、内・外壁面等にロックウール材料及びアスベスト材料のどちらを使用していたか判然としない場合が多い。このため、実際は、アスベスト不含有にもかかわらず、アスベスト含有に対応した作業(労働)環境とする必要がある。すなわち、作業場のクローズド化、及び、作業者が、より完全(厳格:高水準)である防護マスク・防護服を着用する必要がある。
【0007】
また、ロックウールは、上記のように用途がアスベストと共通するが、廃棄物として取り扱う場合には、特別管理産業廃棄物に該当するアスベストとは明確に区別する必要がある。なお、ロックウールは、ガラス屑に該当する産業廃棄物である。
【0008】
そして、上記のような壁面等におけるアスベスト材料の使用の有無を判定するためのアスベスト判定法(アスベストスクリーニング法)として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1における請求項1を引用する。
【0009】
「試料中のアスベスト含有の有無を、鉄分の呈色反応を介して判定するための試験法であって、(1) 被検査体から採取した試料用塊の一部を粉砕して試料を調製する試料調製工程、(2) 試料に有機酸を添加して粉砕混合後、精製水で酸成分を洗い落す前処理工程、(3) 前処理工程後の試料に非酸化性の無機酸水溶液及びキレート化剤である呈色試薬を添加して、アスベスト鉄分を溶出させる判定溶液調製工程、(4) 判定溶液のpHが呈色安定領域にあるときはそのまま、 pH が呈色安定領域以下のときは pH調節剤を添加して pH呈色安定領域に調整して、それぞれ呈色の有無を判定する(呈色)判定工程、からなることを特徴とする。」
しかし、本発明者らは、上記アスベスト判定では、アスベスト非含有のロックウール材料が、アスベスト含有との誤判定が発生するおそれがあることを知見した。
【0010】
上記アスベスト判定法を試料に課した場合、該試料がロックウールを含有すると、ロックウールもまた鉄元素を含有するため、フッ化水素酸やケイフッ化水素酸を用いてケイ酸成分を溶解することで微量の鉄元素を溶出させて、鉄分の呈色反応を利用するため、アスベスト非含有でも、鉄元素を含有するアスベスト(アモサイト系又はクロシドライト系:図1参照)含有の擬似判定がでる。
【0011】
そこで、ロックウールが含まれている場合、アスベスト含有の擬似判定が出ない簡易なアスベスト判定法の出現が希求されていた。
【0012】
当該希求に応えることのできるアスベスト判定法として、例えば、特許文献2に記載されたものがある。特許文献2における請求項1を引用する。
「 1)粉砕状態の試料を前処理液に静置接触させる、ロックウール中のマグネシウム分及び鉄分(以下「ロックウール金属成分」という。)の溶出操作を経た後、該溶出液を除去する前処理工程、
2)該溶出液除去後の固形分を、溶解液に静置接触させる、アスベスト中のマグネシウム分及び鉄分(以下「アスベスト金属成分」という。)の溶出操作を経て判定液を調製する判定液調製工程、及び
3)該判定液にマグネシウム又は鉄の呈色反応試薬を添加して呈色によりアスベストの有無を判定する呈色判定工程、を含み、
前記前処理液として前記ロックウール金属成分に対する溶解性が前記アスベスト金属成分に対する溶解性に比して高い酸性水溶液からなるものを使用し、前記溶解液として前記アスベスト金属成分に対する溶解性が前記前処理液に比して高い酸性水溶液からなるものを使用することを特徴とするアスベスト判定法。」
そして、廃棄物処理法および同法施工令・施行規則の改正により(施行期日:平成18年10月1日)、新たに「工作物(建築物を含む。)の新築、改築又は除去に伴って生ずる」一般廃棄物または産業廃棄物で「石綿をその重量の0.1%を超えて含有するもの」を「石綿含有一般廃棄物」並びに「石綿含有産業廃棄物」として規定された。
【特許文献1】特許第3341152号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開2008−26269号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上記特許文献2に記載された方法は、アスベスト含有率が1%以上の試料の判定を想定しており(同文献段落0060、0070)、アスベスト含有率0.1%超の試料のスクリーニング(選別)には、対応困難であることが分かった(本願表4参照)。
【0014】
本発明は、上記にかんがみて、建材や保温材中にロックウールが含まれている場合でも、アスベスト含有の擬似判定が出ないアスベスト判定法において、0.1%超の試料にも対応できる簡易なアスベスト判定法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意開発に努力をした結果、下記構成とすれば、アスベスト濃度が1%未満の、特に、0.1%超の試料に対しても対応可能であることと知見して、本発明のアスベスト判定法に想到した。
「 1)粉砕状態の試料に前処理液を滴下して所定時間静置して行なう第一溶出操作を経たスラリー原液を、該溶出液を膜状ロ材によりロ過分離する前処理工程、
2)該膜状ロ材上のロ滓に溶解液を滴下して行なう第二溶出操作を経て、判定試料を作成する判定試料作成工程、及び
3)該判定試料にアスベストの呈色判定試薬であるMg又はFeの呈色反応試薬(発色液)を添加して呈色によりアスベストの有無を判定する呈色判定工程、を含み、
前記前処理液としてpKa:3.0〜4.0の脂肪族カルボン酸の水溶液を用いるとともに、前記溶解液として、水素酸をベースとする強酸の水溶液を用いることを特徴とするアスベスト判定法。」
上記構成のアスベスト判定法は、前処理工程で特定の脂肪族カルボン酸を使用して第一溶出操作を経てロ過分離した後の膜状ロ材上のロ滓(残渣)に、第二溶出操作をして判定試料を作成し、該判定試料に呈色反応試薬を添加すれば、アスベスト濃度が低く(1%未満)でも、判定可能となることを知見したものである。特に、アスベスト呈色判定試薬として、Mg用発色液(キシリジルブルー)を使用すれば、各種アスベストに対して含有率0.1%のスクリーニングも可能である。
【0016】
更に、判定試料作成工程を、前記膜状ロ材として親水性の(メンブラン)フィルターを使用し、該親水性の(メンブラン)フィルター上で前記溶解液を保持・静置して前記判定試料を作成すれば、採取試料が従来(特許文献2)に比して少なくて済む。例えば、採取量50mg必要としたが、採取量20mgでも判定可能なことを確認している。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るアスベスト判定法は、上記のような方法を採用することにより 特許文献2の場合と同様、ロックウールが含まれていても、アスベスト金属成分の有りの擬似判定が出ることがない。さらに、試料中のアスベスト含有率(1%未満)が低くてもアスベスト判定が可能となり、法改正への対応が容易となる。
【0018】
したがって、アスベスト判定を確実に行うことができ、アスベスト除去作業等において、作業場クローズド化ないし防護服等による作業環境対策を過剰に講じる必要がなくなる。即ち、建築・建設現場における壁補修作業や解体作業を適正に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下の説明で、組成を示す「%」および「部」は、特に断らない限り質量単位である。また、各工程の操作温度は、特に断らない限り、常温とする。
【0020】
本実施形態は、基本的には、試料中のアスベスト金属成分の有無を、マグネシウムや鉄の呈色反応を介して判定するアスベスト判定法に係るものであり、下記1)前処理工程、2)判定試料作成工程、及び、3)呈色判定工程からなる(図2・3参照)。
【0021】
(1)前処理工程:粉砕状態の試料に前処理液を滴下して所定時間静置して、第一溶出操作を経て得られるスラリー原液を、該溶出液を膜状ロ材によりロ過分離する工程である。
【0022】
試料の採取量は、試料の種類により異なるが、例えば、約200mgとする。
【0023】
ここで前処理液としては、pKa:約3.0〜4.0の脂肪族カルボン酸の水溶液をベースとするものを用いる。
【0024】
より、具体的には、ギ酸(pKa:3.75)、クエン酸(pKa:3.13)、グリコール酸(pKa:3.83)等を挙げることができる。これらのうちで、ギ酸が望ましい。
【0025】
該脂肪族カルボン酸の濃度は、有機酸の種類により異なるが、例えば、ギ酸の場合、通常、約10〜30%、望ましくは約15〜25%、更に望ましくは20%前後とする。
【0026】
この第一溶出操作により、ロックウール中のMg及びFe(以下、まとめて「ロックウール金属成分」ということがある。)が短時間で溶出されて殆ど残留しないが(図6参照)、アスベスト中のMg及びFe(以下、まとめて「アスベスト金属成分」ということがある。)は、高温でなければ初期溶出量が小さくその後は殆ど溶出せず、残留量の経時的低下が殆どない(図5参照)。
【0027】
ここで、特許文献2に記載のリン酸をベースとする前処理液を使用した場合には、ロックウール金属成分は上記特定脂肪族カルボン酸と同様、ロックウール金属成分は短時間で溶出されて殆ど残留しないが(図4参照)、アスベスト金属成分は、高温・低温に関係なく初期溶出量も大きくさらに経時的にも溶出量は増大して残留量の経時的低下が大きい(図3参照)。
【0028】
なお、上記脂肪族カルボン酸は、同時に、銅などの微量呈色妨害成分を溶出させ、試料中から排除する作用も奏する(特許文献2段落0022)。
【0029】
適宜、低級脂肪族アルコールを添加して、試料に対する親水性を適合させる。具体的な低級脂肪族アルコールとしては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を挙げることができる。低級脂肪族アルコールの添加量は、約0.5〜4%(望ましくは約1.5〜3%)とする。
【0030】
また、上記静置時間は、前処理液のカルボン酸濃度にもよるが、通常、約40〜80min(望ましくは約50〜70min)とする。短すぎては、ロックウール金属成分を、溶出除去できず、長すぎては、分析時間(前処理時間)が長くなるとともに、アスベスト金属成分も、溶出してしまうおそれがある。
【0031】
上記膜状ロ材としては、ロ紙でもよいが、前処理工程及び判定試料作成工程における溶出操作に際して溶出金属(Mg及びFe)がロ紙に捕獲されて、誤判定が出易くなる。このため、膜状ロ材は、溶出金属捕獲のおそれがない親水性のメンブランフィルター(合成樹脂膜)が望ましい。メンブランフィルターの孔径は、従来のロ紙の同様のろ過能を有するものでよく、孔径約0.45〜1μmの範囲のものを適宜使用できる。親水性のメンブランフィルターとしては、例えば、セルロースエステルから成るものを使用できる。
【0032】
ここで、ロ過の態様は、通常、減圧ロ過とするが、加圧ロ過であってもよい。
【0033】
減圧ロ過には、図13に示すような、それぞれ分離可能(図例ではネジ結合)とされたロ液受け器11とファンネル(原液入れ器)12と、両者の間に配されるフィルターホルダー13とを備えたロ過器15を使用する。これら相互は、第一・第二ユニオンナット14、14Aでねじ着脱可能とされている。また、ロ過器15は溶解液としてフッ化水素酸を含むものを使用するので、通常、樹脂製(例えば、ポリカーボネート)とする。
【0034】
ロ液受け器11は、本体側面に吸引口11bを有するとともに、フィルターホルダー13は、上端にロ材を支持する目皿部13aを有する。
【0035】
該目皿部13a上に膜状ロ材17が、上下にシール部材(Oリング)19、19を配して載置可能とされている。そして、ファンネル12の下側開口部の下端フランジ部12bで、第一ユニオンナット14により膜状ロ材17/Oリング19、19組が圧縮されて膜状ロ材17が気密保持される。
【0036】
この前処理工程は、より具体的には、例えば、下記の如く行う(図12参照)。
【0037】
粉砕状態の採取試料(例えば、200mg)をプラスチックビーカ(例えば、フッ素樹脂製1000mLビーカ)に投入し、前処理液を滴下して、均一分散状態となるまで攪拌後、所定時間、ロックウール成分が十分に溶出するまで静置してスラリー原液を得る。この静置時間は、通常約30〜90min、望ましくは約40〜80minとする(図5〜6参照)。
【0038】
予め、ロ液受け器11に締結されたフィルターホルダー13の目皿部13aに膜状ロ材17をセット後、該フィルターホルダー13に原液入れ器12を取り付けておく。
【0039】
該原液入れ器12に上記スラリー原液を投入する。その後、吸引ロ過を行った後、ロ滓21を純水で数回、ロ過洗浄をする。
【0040】
なお、上記においてスラリー原液の上済み液は、原液受け瓶13へ投入前に、試料(固形分)が系外に流出しないように捨てておくことが望ましい。ロ過効率が向上するためである。
【0041】
(2)判定試料作成工程:該膜状ロ材17上のロ滓21に溶解液を滴下して、第二溶出操作を経て、判定試料を作成する工程である。
【0042】
ここでは、呈色判定を膜状ロ材17上のロ滓で行う場合を例に採るが、膜状ロ材17上のロ滓21に溶解液を滴下して、ロ過操作を経てロ液を回収し、該ロ液を判定試料として呈色判定を行ってもよい。
【0043】
ロ液で呈色判定する方法では、ロ過の過程で純水洗浄が必要となり、溶出アスベスト金属成分の濃度が低くなる。このため、ロ滓で発色判定行う方が、ロ液で行う場合に比して、呈色判定(発色)において高感度となる。
【0044】
このため、膜状ロ材17の下面側には、通常、不透過性合成樹脂膜乃至撥水性膜状ロ材(例えばPTFE製)を当接させておくことが望ましい。アスベスト含有率が少ないと、少量の溶解液の透過でも、膜状ロ材17上のロ滓21からMgやFeが溶出逸散して、アスベスト非含有の誤判定が出るおそれがある。
【0045】
ここで、溶解液としては、水素酸をベースとする強酸の水溶液を用いる。例えば、通常、塩酸を使用する。水素酸の濃度は、水素酸の種類により異なるが、HClの場合、濃度は約4〜10%(更には約6〜8%)が望ましい。
【0046】
該溶解液は、フッ化水素酸を含むものとすることが、アスベスト成分(Fe及びMg)に対する溶解度が増大して望ましい(図8〜10参照)。ここで、フッ化水素酸(HF)の添加量は、約1〜5%(更には約2〜4%)となる量が望ましい。
【0047】
溶解液は、さらに、水溶性増粘剤を含むものとすることが望ましい。水溶増粘剤を含むものとすることにより、溶解液が増粘し、前記膜状ロ材への溶解液の浸透を抑制でき、結果的に、溶解液のロ滓生成アスベスト金属成分の膜状ロ材内への移行(散逸)を抑制できる。
【0048】
水溶性増粘剤としては、特に限定されない。通常、低級脂肪族アルコール、望ましくは、グリセリンやエチレングリコール等の低級脂肪族多価アルコールを使用する。
【0049】
この第二溶出操作により、アスベスト中のMg及びFe(以下「アスベスト金属成分」という。)が溶出されて、後述のアスベスト呈色反応が可能となる。
【0050】
この判定試料作成工程は(ロ紙上で呈色する場合)、前記具体的な前処理工程に続いて、下記のようにして行う(図12)。
【0051】
まず、ファンネル11をフィルターホルダー13から取り外し、フィルターホルダー13上端の目皿部13aから膜状ロ材17を、ロ滓21を載せたままで取り外す。そして、目皿部13a上に溶解液不透過性膜(例えば、フッ素樹脂からなる疎水性のメンブランフィルター)23を、膜状ロ材17と重ね合わせ、再度、フィルターホルダー13にファンネル12を気密的(シール部材19、19を使用して)に組み付ける。
【0052】
この状態で、溶解液を膜状ロ材17上のロ滓21に対して、溶解液25を滴下して、所定時間静置する。このとき、溶解液25の滴下量は、採取試料が略浸る程度とする(図13(A2)参照)。
(3)呈色判定工程:該判定液に鉄(Fe)又はマグネシウム(Mg)の呈色反応試薬(単に「呈色試薬(発色液)」ということがある。)を添加して呈色によりアスベスト含有の有無を判定する工程である。
【0053】
呈色反応工程に使用する試薬は、Mgの呈色試薬が全てのアスベストが判定できて望ましいが、アモサイト(茶石綿)やクロシドライト(白石綿)の場合は、Feの呈色試薬でも判定可能である。
【0054】
Mg呈色試薬(発色液)としては、Mgと反応して呈色するキレート剤(呈色試薬)であれば特に限定されず、キシリジンブルー、チタンイエロー、オキシン、エリオクロムブラックT、フタレインコンプレクソン、メチルチモールブルー等を挙げることができる。これらのうちで、特に、下記構造式で示されるキシリジルブルーIまたはキシリジンブルーIIが、Mgの吸光光度定量試薬として最高の感度を有するとともに反応時間が短いため望ましい。なお、キシリジンブルーIIは、キシリジンブルーIの構造式からSO3Naをとったもので、キシリジンブルーIに比して感度が約7%高い。後述の実施例ではキシリジンブルーIを用いた。
【0055】
【化1】
また、Fe呈色試薬(発色液)としては、前記特許文献2に記載されているもの、即ち、4,7−ジフェニル−1、10−フェナントロリン、1,10−フェナントロリン、2,2'−ビピリジル、2,4,6−トリス−(2−ピリジル)−s−トリアジンを使用することができる。これらのうちで、特に、バソフェナントロリン(4,7−ジフェニル−1、10−フェナントロリン)と称される下記構造式のものが望ましい。
【0056】
【化2】
その際、呈色に好適なpHに調節することが望ましく、pH調節液としては、塩基性緩衝液、例えば、塩化アンモニウム・アンモニア混液や酢酸アンモニウム・アンモニア混液等を使用することができる。
【0057】
より具体的には、呈色試薬とpH緩衝液とは、下記組合わせのものを例示でき、それらの使用量は、例えば、pH緩衝液2〜5mL、呈色試薬(発色液)0.5〜2mLとする。
【0058】
<Mg呈色試薬(発色液)>
キシリジルブルー0.8gをエチルアルコール1Lに溶解したもの。
【0059】
<キシリジルブルー用pH調節液>
塩化アンモニウム70gを純水約200mLに溶解後、アンモニア水570mLを加え純水で1Lに定容したもの。
【0060】
<Fe呈色試薬(発色液)>
バソフェナントロリン0.5gをエチルアルコール約500mLに溶解した後、塩酸10mLを加え、純水で1Lに定容したもの。
【0061】
<バソフェナントロリンpH緩衝液>
酢酸アンモニウム500gを純水に溶解して1Lに定容したもの。
【実施例】
【0062】
以下、本発明の発明特定事項を支持する試験例、及び、本発明の効果を確認するために行った試験例(実施例)について説明する。
【0063】
なお、前処理試験・溶解試験で誘導プラズマ分光分析(ICP−AES)による定量分析は、以下の装置および条件で実施した。
【0064】
装置:セイコーインスツルメンツ株式会社製「VISTA−MPX型」
分析線:Fe 234.350nm、Mg 279.553nm、Y(内標準物質) 371.029nm
また、各試験例で使用した各種のアスベストは、いずれも、社団法人日本作業環境協会供給の標準物質を使用し、ロックウールはJIS A 9521に適合する規格品を使用した。
【0065】
<前処理試験>
本試験は、アスベストとロックウールについて、前処理液によるMg及びFeの除去率の違いを見るために行った。ロックウールを選択したのは、建材の中でアスベストと目視で区別できず、かつ、Mg及びFeの双方を含有してアスベストであるとの誤判定が出易いためである。
【0066】
前処理液は、表1に示す組成の前処理液A・Bを使用した。
【0067】
【表1】
ロックウールおよび比較的酸に弱いとされるクリソタイルに対する前処理液の影響を図2に示す手順に従って試験をした。
【0068】
試料として、ロックウールは約200mg、クリソタイルは約100mgを精秤採取した。そして、前処理試験は、温度20℃、40℃及び60℃の各温度で、静置時間10分、30分、60分、120分及び180分の条件で行った。
【0069】
図3〜6に示す結果から、前処理液B(ギ酸)は、前処理液A(リン酸系)に比して、格段に残留量の当初低下及び経時的低下が小さいことが分かる。すなわち、ギ酸乃至ギ酸と均等の有機酸が前処理液として適していることが分かる。
【0070】
<溶解試験>
前処理後に残留するアスベスト中のMg及びFeを効率よく溶解する条件を見出すために、図7に示す手順に従って試験を行った。
【0071】
クリソタイル、クロシドライト及びアモサイトの各種アスベストを、約20mg精秤採取した。そして、溶解試験は、表2に示す各種溶解液を用いて、温度20℃×静置時間10分、20分及び30分の条件で行った。
【0072】
【表2】
図8〜10に示す結果から、塩酸濃度が相対的に高くかつフッ化水素酸を添加した溶解液Cが、格段に溶解性が高いことが確認できた。
【0073】
<呈色方法・判定方法の検討試験>
特許文献2において、アスベストに含まれるMg及びFeを高感度に検出する手法として、それぞれ、呈色試薬として、Mgに対してはキシリジンブルー、Feに対してはバソフェナントロリンを用いることが有効であることを確認している(段落0049〜0050、段落0054〜0055)。
【0074】
各呈色試薬を使用して、建材を模擬した低濃度アスベスト含有試料(模擬試料)について行った。
【0075】
各模擬試料は、石膏をベースとして、アスベスト等が固化後に、表3に示す含有率になるように配合し、図11に示す手順に従って作成した。
【0076】
【表3】
上記で作成した各模擬試料について、図12に示す手順に従って、前処理、判定試料作成および呈色判定を行った。
【0077】
なお、前処理工程は前記前処理液A・Bを、試料作成工程の溶解液は前記溶解液A・Cを、それぞれ使用した。
【0078】
また、呈色試験は、Mgに対しては下記キシジルブルー法及び、Feに対してはバソフェナントロリン法を使用した。
【0079】
1)キシリジルブルー法
・前記発色液および緩衝液を使用した。
【0080】
2) バソフェナントロリン法
・前記発色液および緩衝液を使用した。
【0081】
それらの結果を示す表4から、前処理液B(ギ酸)の溶解液Cの組合わせにより、キシリジンブルー法で、全ての種類のアスベスト0.1%含有建材等の判定に有効であることが確認できた。バソフェナントロリン法では、クリソタイル以外のアモサイト及びクロシドライトの0.1%含有建材の判定に有効であることが確認できた。
【0082】
また、前処理液A(リン酸/塩酸混合系)と溶解液Cの組合わせでは、安定した判定ができないことが確認できた。
【0083】
【表4】
なお、無作為に選んだ廃建材30個の試料について、膜状ロ材上で判定をする簡易判定法(膜状ロ材上で簡易判定)と公定法(分散染色法:JIS 1481)で行ったが、整合性は83%であることを確認している。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】アスベストの分類図である。
【図2】本発明のアスベスト判定法に使用する前処理液のMg/Fe除去・残存率に与える影響について調査した前処理試験の手順図である。
【図3】図2の前処理試験で前処理液をリン酸系とした場合のアスベスト(クリソタイル)における経時Mg/Fe残存率を示すグラフ図である。
【図4】同じく前処理液をギ酸とした場合の経時Mg/Fe残存率を示すグラフ図である。
【図5】図2の前処理試験で前処理液をリン酸系とした場合のロックウールにおける経時Mg/Fe残存率を示すグラフ図である。
【図6】同じく前処理液をギ酸とした場合の経時Mg/Fe残存率を示すグラフ図である。
【図7】判定試料作成工程で使用する溶解液の溶解性試験の手順図である。
【図8】クリソタイルの溶解性試験における経時Mg/Fe溶解量を示すグラフ図である。
【図9】クロシドライトの溶解性試験における経時Mg/Fe溶解量を示すグラフ図である。
【図10】アモサイトの溶解性試験における経時Mg/Fe溶解量を示すグラフ図である。
【図11】本発明のアスベスト判定法における模擬試験用の模擬試料の作成手順図である。
【図12】本発明の効果を確認するために行った模擬試験の手順図である。
【図13】本発明のアスベスト判定法に使用可能な減圧ロ過器の一例を示す外観図並びに前処理工程(A1)及び判定試料作成工程(A2)における説明要部断面図である。
【符号の説明】
【0085】
11 ロ液受け器
12 ファンネル(原液入れ器)
13 フィルターホルダー
15 減圧ロ過器
17 膜状ロ材(親水性のメンブランフィルター)
21 ロ滓
23 溶解液不透過性膜
25 溶解液
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)粉砕状態の試料に前処理液を滴下して所定時間静置して行う第一溶出操作を経て得られるスラリー原液を、膜状ロ材によりロ過分離する前処理工程、
2)該膜状ロ材上のロ滓に溶解液を滴下して、第二溶出操作を経て行う判定試料を作成する判定試料作成工程、及び
3)該判定試料にアスベストの呈色判定試薬であるMg又はFeの呈色反応試薬(発色液)を添加して呈色によりアスベストの有無を判定する呈色判定工程、を含み、
前記前処理液としてpKa:3.0〜4.0の脂肪族カルボン酸の水溶液を用いるとともに、前記溶解液として、水素酸をベースとする強酸の水溶液を用いることを特徴とするアスベスト判定法。
【請求項2】
前記前処理液がギ酸(pKa:3.75)の濃度10〜30質量%水溶液であり、前記溶解液が濃度4〜10質量%の塩酸であることを特徴とする請求項1記載のアスベスト判定法。
【請求項3】
前記溶解液が、さらに、フッ化水素酸を1〜5質量%を含むことを特徴とする請求項2記載のアスベスト判定法。
【請求項4】
前記溶解液が、さらに、水溶性増粘剤を含むことを特徴とする請求項3記載のアスベスト判定法。
【請求項5】
前記水溶性増粘剤を低級脂肪族多価アルコールとすることを特徴とする請求項4記載のアスベスト判定法。
【請求項6】
前記Mgの発色液をキシリジルブルーとすることを特徴とする請求項1記載のアスベスト判定法。
【請求項7】
前記第二溶出操作を、前記溶解液の滴下後、前記膜状ロ材上で前記溶解液を保持・静置して行うことを特徴とする請求項1〜6いずれか一記載のアスベスト判定法。
【請求項8】
前記膜状ロ材を親水性のメンブランフィルターとすることを特徴とする請求項7記載のアスベスト判定法。
【請求項1】
1)粉砕状態の試料に前処理液を滴下して所定時間静置して行う第一溶出操作を経て得られるスラリー原液を、膜状ロ材によりロ過分離する前処理工程、
2)該膜状ロ材上のロ滓に溶解液を滴下して、第二溶出操作を経て行う判定試料を作成する判定試料作成工程、及び
3)該判定試料にアスベストの呈色判定試薬であるMg又はFeの呈色反応試薬(発色液)を添加して呈色によりアスベストの有無を判定する呈色判定工程、を含み、
前記前処理液としてpKa:3.0〜4.0の脂肪族カルボン酸の水溶液を用いるとともに、前記溶解液として、水素酸をベースとする強酸の水溶液を用いることを特徴とするアスベスト判定法。
【請求項2】
前記前処理液がギ酸(pKa:3.75)の濃度10〜30質量%水溶液であり、前記溶解液が濃度4〜10質量%の塩酸であることを特徴とする請求項1記載のアスベスト判定法。
【請求項3】
前記溶解液が、さらに、フッ化水素酸を1〜5質量%を含むことを特徴とする請求項2記載のアスベスト判定法。
【請求項4】
前記溶解液が、さらに、水溶性増粘剤を含むことを特徴とする請求項3記載のアスベスト判定法。
【請求項5】
前記水溶性増粘剤を低級脂肪族多価アルコールとすることを特徴とする請求項4記載のアスベスト判定法。
【請求項6】
前記Mgの発色液をキシリジルブルーとすることを特徴とする請求項1記載のアスベスト判定法。
【請求項7】
前記第二溶出操作を、前記溶解液の滴下後、前記膜状ロ材上で前記溶解液を保持・静置して行うことを特徴とする請求項1〜6いずれか一記載のアスベスト判定法。
【請求項8】
前記膜状ロ材を親水性のメンブランフィルターとすることを特徴とする請求項7記載のアスベスト判定法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【公開番号】特開2010−78399(P2010−78399A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245540(P2008−245540)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(593230176)株式会社ユニケミー (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(593230176)株式会社ユニケミー (3)
【Fターム(参考)】
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