説明

アダマンタン誘導体を含む感光性組成物

【課題】現像性、密着性に優れた硬化物を与えるアダマンタン誘導体を含む感光性組成物及び感光性積層体を提供する。
【解決手段】原料である式(II)と、多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸無水物との反応で得られるアダマンタン誘導体(A)、重合開始剤(B)、希釈剤(C)、着色剤(D)及びバインダー樹脂(E)を含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アダマンタン誘導体を含む感光性組成物、及びこれを用いた感光性積層体等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子・光学材料分野において、液晶や有機EL等を用いたフラットパネルディスプレイの高精細化、高視野角化、高画質化、また発光ダイオード(LED)等の光半導体を用いた光源の高輝度、短波長化、白色化、さらに電子回路の高周波数化や光を用いた回路・通信等、光学・電子部品の高性能化・改良検討が進められている。
【0003】
アクリル系樹脂は光学特性に優れるが、耐熱性が不十分であることが欠点であった。例えば特許文献1は光学部材として広く知られているBPA型のアクリレート樹脂を開示している。しかしながら、BPA型のアクリレート樹脂は耐熱黄変性が不足する。耐熱性の向上のため、多官アクリレートモノマーを用いた架橋アクリル樹脂が検討されている。特に、脂環式アクリレートの硬化物は、ガラス転移温度が高く、硬化収縮率及び吸湿率が小さいことから、脂環式アクリレートを含むアクリレート共重合体に関する技術は多数開示されている。例えば、モノマー成分Aとしてエステル部分に炭素数4以下の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート、モノマー成分Bとして脂環式多官能(メタ)アクリレート、及び重合開始剤を含有し、加熱又は光によって硬化する樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2)。また、光学接着剤等を用途とする、エステル部に炭化水素5〜22の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとアルキレンオキサイドを有する多官能(メタ)アクリレートによる組成物が開示されている(例えば、特許文献3)。しかし、接着剤としての実装時の耐熱性を満足させるものではあるが、構造体としての耐熱性や機械特性については不十分である。
【0004】
エポキシアクリレート樹脂は、各種コーティング剤、構造材料、配線基板のソルダーレジスト、液晶ディスプレイやイメージセンサーのカラーフィルター用保護膜、カラーレジスト、ナノインプリント等に用いられている。ソルダーレジストに関して、ビスフェノールA型エポキシアクリレートが開示されている(特許文献4)。また、カラーフィルター用感光性組成物としてクレゾールノボラック型エポキシアクリレートが開示されている(特許文献5)。しかし、これらは透明性、(長期)耐熱性、(長期)耐光性に限界があり、それらの要求特性を満たす材料が求められている。ソルダーレジストや液晶ディスプレイ関連材料にエポキシアクリレートを使用する場合、これを含む感放射性樹脂組成物として用いられる場合が多く、樹脂組成物の透明性が不充分であり、感度がよくないために露光表面のみの硬化となり、良好なレジストパターンが得られないという問題もある。
【0005】
また、半導体等を集積した電子回路についても、情報化社会の進展に伴い、情報量や通信速度の増大と装置の小型化が進んでおり、回路の小型化、集積化、高周波数化が必要となっている。さらに、より高速処理が可能となる光導波路等を用いた光回路も検討されている。これらに使用される封止樹脂、接着用樹脂、フィルム、あるいはレンズ用の樹脂として、従来、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂等が使用されている。しかし、これらの樹脂は、電子回路では誘電率が高かったり、耐熱性が不足したり、光導波路やLED封止では透明性の低下や樹脂の劣化による黄変等の問題があった。
【0006】
特許文献6〜8のフルオレン骨格の化合物はアルカリ可溶性樹脂として用いられるが、透明性や耐熱性が不十分であり、さらに吸水率が悪い。
【0007】
一方、アダマンタンは、シクロヘキサン環が4個、カゴ形に縮合した構造を有し、対称性が高く、安定な化合物であり、その誘導体は、特異な機能を示すことから、医薬品原料や高機能性工業材料の原料等として有用であることが知られている。例えば光学特性や耐熱性等を有することから、光ディスク基板、光ファイバーあるいはレンズ等に用いることが試みられている(特許文献9,10)。また、アダマンタンエステル類を、その酸感応性、ドライエッチング耐性、紫外線透過性等を利用して、フォトレジスト用樹脂原料として、使用することが試みられている(特許文献11,12)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−60656号公報
【特許文献2】特開2006−193660号公報
【特許文献3】特開平11−61081号公報
【特許文献4】特開平8−286371号公報
【特許文献5】特開2002−341533号公報
【特許文献6】特開2001−354735号公報
【特許文献7】特開2006−330209号公報
【特許文献8】特開2007−71995号公報
【特許文献9】特開平6−305044号公報
【特許文献10】特開平9−302077号公報
【特許文献11】特開平4−39665号公報
【特許文献12】特開2007−23019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、現像性、密着性に優れた硬化物を与えるアダマンタン誘導体を含む感光性組成物及び感光性積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、以下の感光性組成物等が提供される。
1.式(I)で表されるアダマンタン誘導体(A)、重合開始剤(B)、希釈剤(C)、着色剤(D)及びバインダー樹脂(E)を含む組成物。
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素を示す。R,Rはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン化メチル基を示す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、水酸基又はハロゲン化メチル基を示す。Yはカルボキシ含有基を示す。jは1〜4の整数、kは1〜4の整数、mは2〜9の整数を示す。sは0〜10の整数を示し、rは1又は0を示す。j,k,m又はsが2以上のとき、複数の基はそれぞれ同一でも異なってもよい。星印は結合位置を示す。)
2.Rの炭化水素が、直鎖状アルキル、分岐状アルキル又は環状アルキルである1記載の組成物。
3.Rが炭素数1〜6の直鎖状アルキル、炭素数3〜6の分岐状アルキル又は炭素数5〜10の環状アルキルである1又は2記載の組成物。
4.Yが下記式のいずれかで表わされる1〜3のいずれか記載の組成物。
【化2】

(式中、星印は結合位置を示す。)
5.前記着色剤(D)が黒色顔料である1〜4のいずれか記載の組成物。
6.さらに密着増強剤(F)を含む1〜5のいずれか記載の組成物。
7.樹脂フィルムと、1〜6のいずれか記載の組成物から得られる層を含む感光性積層体。
8.7記載の感光性積層体を用いたカラーレジスト、ブラックマトリックス用レジスト、ドライフィルムレジスト及びソルダーレジスト。
9.7記載の感光性積層体を用いた半導体用下地膜。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現像性、密着性に優れた硬化物を与えるアダマンタン誘導体を含む感光性組成物及び感光性積層体が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の組成物は、式(I)で表されるアダマンタン誘導体(A)、重合開始剤(B)、希釈剤(C)、着色剤(D)及びバインダー樹脂(E)を含む。アダマンタン誘導体(A)はアルカリ可溶性樹脂である。この組成物は光、熱等により重合して硬化する。
【化3】

式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素を示す。
,Rはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン化メチル基を示す。
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、水酸基又はハロゲン化メチル基を示す。
Yはカルボキシ含有基を示す。
jは1〜4の整数、kは1〜4の整数、mは2〜9の整数を示す。sは0〜10の整数を示し、rは1又は0を示す。
j,k,m又はsが2以上のとき、複数の基はそれぞれ同一でも異なってもよい。製造の便宜では同一が好ましい。
星印は結合位置を示す。
【0013】
の炭化水素は、好ましくは、直鎖状アルキル、分岐状アルキル又は環状アルキルである。さらに、Rは、溶解性等の観点から炭素数1〜6の直鎖状アルキル又は炭素数3〜6の分岐状アルキルが好ましく、t−ブチル基等が特に好ましい。また、耐熱性の観点から炭素数5〜10の環状化合物が好ましく、特にアダマンタンが好ましい。
として炭化水素がベンゼン環に結合しているので、重合時に、ベンゼン環にラジカルが生ずることを抑制できる。
【0014】
式(I)中、R、Rはそれぞれ好ましくは、水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基である。Rは好ましくは、水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基であり、より好ましくは水素原子またはメチル基である。
反応性の観点から、mは好ましくは2〜5、より好ましくは2である。以下同様に、さらにjとkの値についてはベンゼンにラジカルを抑制させるという観点から、ベンゼンのkは好ましくは1〜2、である。jは好ましくは1〜2、である。rは好ましくは0〜1、より好ましくは0である。sは好ましくは2〜4である。
【0015】
また、式(I)中、Yは好ましくは下記式のいずれかで表わされる。
【化4】

式中、星印は結合位置を示す。
【0016】
より好ましくは、Yは、飽和又は不飽和環にカルボキシ基が結合した基で、好ましくは飽和又は不飽和6員環にカルボキシ基が結合した基である。
【0017】
アダマンタン誘導体(A)の含有量は、組成物全体(希釈剤を含む)の1〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
【0018】
次に式(I)で表されるアダマンタン誘導体の製造方法を説明する。
式(I)で表されるアダマンタン誘導体は、対応する下記式(11)で表されるアダマンタン誘導体と多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸無水物とを反応させて得ることができる。
【化5】

式中、R〜R,j,k,m,s及びrは上記式(I)と同じである。
【0019】
式(11)で表されるアダマンタン誘導体は特願2009−209114に記載の方法で製造できる。具体的には、アダマンタンヒドロキシベンゼン類とアルコール類又はアルキルハロゲン類を反応させて下記式(II)で表わされるアダマンタン誘導体を得、されに、これと、式(III)で表わされる化合物とを反応させて、式(IV)で表される誘導体を得る。前者の反応は好ましくは酸性触媒下で行う。後者の反応は好ましくは塩基性触媒存在下で行い、その際、4級アンモニウム塩を相関移動触媒として添加してもよい。
【化6】

(式中、R、j、k、mは上記式(I)と同じである。)
【化7】

(式中、Qは、ハロゲン原子を示す。)
【化8】

(式中、R、j、k、mは上記式(I)と同じである。)
【0020】
式(IV)で表わされる誘導体と、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより、式(11)で表されるアダマンタン誘導体が得られる。触媒として、有機アミン、4級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィン等を用いることができる。
【0021】
上記の多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物は特に制限はないが、例えば、二塩基性カルボン酸やその無水物、これら以外の多塩基性カルボン酸やその無水物が挙げられる。具体的な化合物としては、例えば、以下の式で表される化合物が挙げられる。
【0022】
【化9】

【0023】
また、これら以外にトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸等の多塩基性カルボン酸又はその無水物等が挙げられ、好ましくは、ピロメリット酸無水物、無水フタル酸である。
これらの多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0024】
アダマンタン誘導体(11)と多価カルボン酸及び/又は多価カルボン酸無水物との反応においては、多価カルボン酸及び多価カルボン酸無水物は、アダマンタン誘導体(11)の水酸基1当量に対して、酸無水物基換算で通常0.2〜1当量、好ましくは0.2〜0.6当量の割合で用いられる。反応温度は通常80〜130℃、好ましくは90〜125℃である。
【0025】
この反応は無溶媒又は溶媒の存在下で行う。溶媒としては、アダマンタン誘導体の溶解度が0.5質量%以上、好ましくは5質量%以上の溶媒が好ましい。溶媒の使用量はアダマンタン誘導体の濃度が通常0.5質量%以上、好ましくは5質量%以上となる量である。このとき、アダマンタン誘導体は懸濁状態でもよいが、溶解していることが好ましい。
溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、酢酸エチル、ジエチルエーテル、THF(テトラヒドロフラン)、アセトン、メチルエチルケトン、MIBK(メチルイソブチルケトン)等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
反応生成物は、蒸留、晶析、カラム分離等により精製することができ、精製方法は反応生成物の性状と不純物の種類により選択することができる。
【0026】
重合開始剤(B)は、光重合開始剤や熱重合開始剤が使用できる。光重合開始剤として、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)等のベンゾフェノン類、N,N’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1オン等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物等が挙げられる。
【0027】
密着性及び感度の見地からは、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体が好ましい。2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対称な化合物でもよいし、相違して非対称な化合物でもよい。
これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0028】
(B)成分の配合量は、組成物全体に対して、0.005〜10重量%であることが好ましく、0.01〜10重量%であることがより好ましい。0.005重量%未満では感度が不充分となる傾向があり、10重量%を超えるとレジスト底部の硬化性が低下し、また、スカムが発生する傾向がある。
【0029】
希釈剤(C)としては、有機溶剤が使用できる。本願でいう希釈剤とは(A),(E)成分を溶解させることができる有機溶剤を示す。
有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、乳酸メチル等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
(C)成分は、後述する(E)成分及び上記(A)成分を溶解させ、これらの重合反応等を容易にする。(C)成分の使用量は特定の割合に限定されるものではなく、選択する塗布方法等に応じて適宜設定できる。(C)成分の含有量は通常、組成物全体の30〜90重量%であり、塗膜形成時の塗布のし易さや膜厚制御の観点から、好ましくは60〜90重量%、より好ましくは70〜90重量%である。
【0031】
着色剤(D)として、例えば塩素化フタロシアニングリーン、クロムグリーン、コバルトグリーン、酸化クロムグリーン、臭素化フタロシアニングリーン、コバルト・クロムグリーン、チタン・ニッケル・コバルト亜鉛系グリーン等の顔料を用いることができる。
【0032】
青色系の着色剤としては、その構造中にハロゲン原子を含まない銅フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue 15)、無金属フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue 16)、チタニルフタロシアニンブルー、鉄フタロシアニンブルー、ニッケルフタロシアニンブルー、アルミフタロシアニンブルー、錫フタロシアニンブルー、アルカリブルー(C.I.Pigment Blue 1,2,3,10,14,18,19,24,56,57,61)、スルホン化CuPc(C.I.Pigment Blue 17)、紺青(C.I.Pigment Blue 27)、群青(C.I.Pigment Blue 29)、コバルトブルー(C.I.Pigment Blue 28)、スカイブルー(C.I.Pigment Blue 35)、Co(Al,Cr)(C.I.Pigment Blue 36)、ジスアゾ(C.I.Pigment Blue 25,26)、インダントロン(C.I.Pigment Blue 60)、インジゴ(C.I.Pigment Blue 63,66)コバルトフタロシアニン(C.I.Pigment Blue 75)等の顔料が挙げられる。
【0033】
黄色系の着色剤としては、ハロゲン原子を含まないモノアゾイエロー(C.I.Pigment Yellow 1,4,5,9,65,74)、ベンツイミダゾロンイエロー(C.I.Pigment Yellow 120,151,175,180,181,194)、フラバントロンイエロー( C.I.Pigment Yellow 24)、アゾメチルイエロー(C.I.Pigment Yellow 117,129)、アントラキノンイエロー(C.I.Pigment Yellow 123,147)、イソインドリンイエロー(C.I.Pigment Yellow 139,185)、ジスアゾイエロー(C.I.Pigment Yellow 155)、縮合多環系(C.I.Pigment Yellow 148,182,192)、酸化鉄(C.I.Pigment Yellow 42)、ジスアゾメチン(C.I.Pigment Yellow 101)、アゾレーキ(C.I.Pigment Yellow 61,62,100,104,133,168,169)、金属錯体(C.I.Pigment Yellow 150,153,177,179)等の顔料が挙げられる。これらのうち、ハロゲンフリーかつ分子式にアゾ基を有しない黄色系着色剤としては、黄色系統のイソインドリン系着色剤及びアントラキノン系着色剤の少なくとも1種の有機系着色剤が挙げられる。イソインドリン系着色剤は、耐候性、耐溶剤性、耐熱性を有している。具体的には、イソインドリンイエロー、フラバンスロンイエロー、アンスラピリミジンイエロー、チタンイエロー等が挙げられる。
【0034】
緑色系の着色剤としては、上記のハロゲンフリーの青色系着色剤の1種又は複数種と黄色系着色剤の1種又は複数種とを併用してもよく、黄色系着色剤として黄色系統のイソインドリン系着色剤及びアントラキノン系着色剤の少なくとも1種の有機系着色剤を用いることも好ましい。
このようなハロゲンフリーの着色剤を従来のフタロシアニン系グリーンを用いたソルダーレジストインキと同じ色調とするためには、黄色系着色剤1に対して青色系着色剤を0.1〜10、より好ましくは、青色系着色剤を1〜5とする。
着色剤としては顔料が好ましい。
【0035】
着色剤として黒色顔料を用いることができる。
黒色顔料は、有機顔料と無機顔料のどちらを用いてもよく、有機顔料としては、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等が、無機顔料としては、カーボンブラック類、チタンブラック、チタン酸窒化物、黒色低次酸化チタン、グラファイト粉末、鉄黒、酸化銅、等を挙げることが出来る。この他、Cu、Fe、Mn、Cr、Co、Ni、V、Zn、Se、Mg、Ca、Sr、Ba、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Hg、Pb、Bi、Si及びAl等の各種金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸鉛又は金属炭酸塩等の無機顔料も用いることができる。遮光性及びブラックマトリックスとしての感度、解像度、密着性への影響の観点から、カーボンブラックが好ましい。ブラックマトリックスの絶縁性の観点からチタンブラックが好ましい。
【0036】
着色剤の含有量は、組成物全体の0.05〜50重量%が好ましく、0.05〜30重量%がより好ましい。
【0037】
本願におけるバインダー樹脂とは架橋剤成分のことを示す。好ましいバインダー樹脂(E)は、エチレン性不飽和化合物である。エチレン性不飽和化合物は、エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有し、重合性、架橋性、及びそれに伴う露光部と非露光部の現像液溶解性の差異を拡大できる等の点から、エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物であることが好ましく、また、その不飽和結合が(メタ)アクリロイルオキシ基に由来する(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましい。
【0038】
バインダー樹脂の酸価は、30〜200mgKOH/gであることが好ましく、50〜150mgKOH/gであることがより好ましい。この酸価が30mgKOH/g未満では現像時間が長くなる傾向があり、200mgKOH/gを超えると光硬化したレジストの耐現像液性が低下する傾向がある。
【0039】
エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物としては、代表的には、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物のウレタン(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリル酸又はヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物のエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0040】
不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物のエステル類において、ポリヒドロキシ化合物としては、糖アルコール、糖アルコールのアルキレンオキサイド付加物、アルコールアミン等が挙げられる。
【0041】
糖アルコールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(付加数2〜14)、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(付加数2〜14)、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
糖アルコールのアルキレンオキサイド付加物の糖アルコールは上記と同様である。アルキレンオキサイド付加物としては、エチレンオキサイド付加物、又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
アルコールアミン類としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0042】
不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物のエステル類としては以下の化合物を例示できる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加トリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールプロピレンオキサイド付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等;クロトネート、イソクロトネート、マレエート、イタコネート、シトラコネート等である。
この中でも好ましくは、化合物の合成、入手のし易さから、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートである。
【0043】
上記の他、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類としては、不飽和カルボン酸と、ヒドロキノン、レゾルシン、ピロガロール、ビスフェノールF、ビスフェノールA等の芳香族ポリヒドロキシ化合物、又はこれらのエチレンオキサイド付加物との反応物等が挙げられる。
これらの具体例としては、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAビス〔オキシエチレン(メタ)アクリレート〕、ビスフェノールAビス〔グリシジルエーテル(メタ)アクリレート〕等;上記の不飽和カルボン酸と、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の複素環式ポリヒドロキシ化合物との反応物、例えば、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート等;不飽和カルボン酸と多価カルボン酸とポリヒドロキシ化合物との反応物、例えば、(メタ)アクリル酸とフタル酸とエチレングリコールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とマレイン酸とジエチレングリコールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とテレフタル酸とペンタエリスリトールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とアジピン酸とブタンジオールとグリセリンとの縮合物等が挙げられる。
【0044】
ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン等の脂肪族ポリイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等の芳香族ポリイソシアネート、イソシアヌレート等の複素環式ポリイソシアネート等のポリイソシアネート化合物との反応物等が挙げられる。
【0045】
(メタ)アクリル酸又はヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類としては、例えば、(メタ)アクリル酸、又は上記のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、(ポリ)エチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)テトラメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ペンタメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ネオペンチルグリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ヘキサメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ソルビトールポリグリシジルエーテル等の脂肪族ポリエポキシ化合物、フェノールノボラックポリエポキシ化合物、ブロム化フェノールノボラックポリエポキシ化合物、(o−,m−,p−)クレゾールノボラックポリエポキシ化合物、ビスフェノールAポリエポキシ化合物、ビスフェノールFポリエポキシ化合物等の芳香族ポリエポキシ化合物、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の複素環式ポリエポキシ化合物等のポリエポキシ化合物との反応物等が挙げられる。
以上のエチレン性不飽和化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
好ましくは、エステル(メタ)アクリレート類又はウレタン(メタ)アクリレート類が好ましく、中でも、合物の合成、入手のしやすさから、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が特に好ましい。
【0047】
成分(E)の好ましい含有量は、組成物全体の0.05重量%〜30質量%である。0.05重量%未満では架橋剤としての効果がなくなる恐れがあり、30重量%超では、架橋密度が上がり、膜が硬くなりすぎ、脆くなる恐れがある。より好ましく1重量%〜10重量%である。
【0048】
密着増強剤(F)として、窒素を含む基を有し窒素に結合している水素が1つ以下である化合物を用いることができる。この化合物としては、例えば、2級又は3級アミンであるアミン系シラン化合物、イソシアネート系シラン化合物、ケチミン系シラン化合物等が挙げられる。これらの化合物を用いることにより、密着性を向上させることができる。
密着増強剤は、組成物全重量を基準にして、10〜10000ppmで配合することが好ましく、5000〜9000ppmで配合することがより好ましい。この範囲にすることにより、密着性を向上させることができる。
【0049】
また、本発明の組成物は、成分(A)〜(E)又は(A)〜(F)の他、必要に応じて、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、可塑剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等を含むことができる。これらは組成物全体に対してそれぞれ0.01〜20重量%程度含有させることができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0050】
可塑剤としては、例えば、ジエチルフタレ−ト等のフタル酸エステル類やp−トルエンスルホンアミド、ポリプロピレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、モノアルキルエ−テル、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物やプロピレンオキシド付加物等のポリアルキレンオキシド変性ビスフェノールA誘導体等が挙げられる。
【0051】
本発明の組成物の用途は特に制限はないが、例えば、銅、銅系合金、鉄、鉄系合金等の金属面上に塗布、乾燥して、液状レジストとして用いる。このとき必要に応じて保護フィルムを被覆する。保護フィルムとして、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルム等が使用される。
【0052】
次に本発明の感光性積層体について説明する。
本発明の感光性積層体は、樹脂フィルム(支持体)と上記の組成物から得られる感光性の組成物層を含む。
支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルム等が挙げられる。これらの重合体フィルムの厚みは、1〜100μmとすることが好ましい。
【0053】
組成物層は、本発明の組成物を支持体上に塗布し、乾燥することにより得ることができる。
組成物は、希釈材(C)の量を調整して固形分30〜60重量%程度の溶液として塗布することができる。
塗布は、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法で行うことができる。乾燥は70〜150℃、5〜30分間程度で行うことができる。また、組成物層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する観点から、2重量%以下とすることが好ましい。
【0054】
組成物層の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μm程度であることが好ましい。
【0055】
感光性積層体は、組成物層の支持体と反対側の面上に保護フィルムを備えていてもよい。保護フィルムとしては、上記支持体の説明において例示した重合体フィルムが使用可能であるが、組成物層及び支持体の接着力よりも、組成物層及び保護フィルムの接着力の方が小さくなるものを用いることが好ましい。また、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。
感光性積層体は、保護フィルムの他に、クッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層や保護層を有していてもよい。
【0056】
感光性積層体のヘーズ(Haze)は5.0以下が好ましい。ヘーズとは濁度を表す値であり、ランプにより照射され試料中を透過した全透過率Tと、試料中で拡散され散乱した光の透過率Dにより、ヘーズ値H=D/T×100として求められる。これらはJIS−K−7105により規定されており、市販の濁度計によって容易に測定可能である。
厚さは、薄い方が画像形成性、経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要から、1〜100μmのものが一般的である。
【0057】
感光性積層体はカラーレジスト、ブラックマトリックス用レジスト、ドライフィルムレジスト、ソルダーレジスト又は半導体用下地膜等に用いられる。感光性の組成物層は、紫外線等の光で硬化させることができる。照射強度はモノマーや重合開始剤の種類、硬化物の膜厚等から決められるので任意であるが、通常、100〜5000mJ/cm、より好ましくは100〜1500mJ/cmである。
【0058】
本発明の感光性積層体を用いてレジストパターンを形成する場合、感光性積層体に上述の保護フィルムが存在している場合には、初めに保護フィルムを除去する。次いで、組成物層側の面が回路形成用基板に向かうように配置し、組成物層を例えば70〜130℃程度に加熱しながら基板方向に圧着する。このときの圧力は0.1〜1MPa程度(1〜10kgf/cm程度)が好ましい。また、減圧下で圧着することも可能である。組成物層が積層される基板の表面は通常金属面であるが、特に制限はない。
【0059】
このようにして基板上に積層された組成物層に、ネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線が画像状に照射される。上記活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光等を有効に放射するものが用いられる。尚、感光性積層体の支持体が透明である場合には、支持体を通して組成物層への活性光線の照射を行うことができる。一方、支持体が透明でない場合は、活性光線の照射の前に支持体を剥離除去することが必要である。感光性積層体が支持体と組成物層との間に中間層(クッション層等)を備える場合も同様である。露光後、組成物層上に支持体が存在している場合には、支持体を除去し、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液によるウエット現像、ドライ現像等で未露光部を除去して現像し、レジストパターンを形成することができる。
【0060】
上記アルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜5重量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%水酸化ナトリウムの希薄溶液等が挙げられる。上記アルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、組成物層の現像性に合わせて調節される。
アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、有機溶剤等を混入させてもよい。
【0061】
現像の方式としては、例えば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm程度の露光を行うことによりレジストパターンをさらに硬化して用いてもよい。
【0062】
本発明の感光性積層体を用いてプリント配線板を製造する場合、現像されたレジストパターンをマスクとして、回路形成用基板の表面をエッチング、めっき等の公知方法で処理する。めっき法としては、例えば、銅めっき、はんだめっき、ニッケルめっき、金めっき等が挙げられる。
次いで、レジストパターンは、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液よりさらに強アルカリ性の水溶液で剥離することができる。強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜10重量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10重量%水酸化カリウム水溶液等が挙げられる。剥離方式としては、例えば、浸漬方式、スプレー方式等が挙げられる。また、レジストパターンが形成されたプリント配線板は、多層プリント配線板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
また、現像後に金属面のエッチングを行う際には、例えば、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液等を用いることができる。
【0063】
また、上述した本発明のレジストパターンの形成方法及び本発明のプリント配線板の製造方法において用いられる回路形成用基板としては、銅、銅系合金、鉄、鉄系合金等の金属からなる基板が挙げられる。このような回路形成用基板は、レジストパターンを形成すべき表面の十点平均粗さ(Rz)が2μm以下であることが好ましい。これにより、微細配線化及び低誘電損失化を実現することができる。さらに、本発明の感光性組成物又は感光性積層体を用いると、エッチング又はめっきの際の剥離、配線の断線及びショートの発生を抑制することができる。
【0064】
ブラックマトリックスは、感光性積層体を用いて以下のようにして形成できる。感光性積層体に保護層が存在する場合にはこれを剥離しながら、感光性積層体の感光性樹脂面とガラス基材とをラミネーターにより貼り合わせる。この時ガラス基材は加熱することが好ましい。さらに有機ポリマーフィルムを介して紫外線露光機により所望のパターンに露光するか、有機ポリマーフィルムを剥離して露光する。次に、有機ポリマーフィルムを介して露光した場合には該フィルムを剥離し、アルカリ水溶液等の現像液により未露光部分を除去することにより、パターンを形成し、加熱処理することによりブラックマトリックスを形成する。
【実施例】
【0065】
以下、製造例、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明する。
製造例1
滴下ロート、温度指示計、三方コックを取付けた200mlの4ツ口フラスコに、下記に示すエポキシ樹脂[101]10g、アクリル酸6.3g、テトラエチルアンモニウムブロミド0.61g、メトキノン0.01gを仕込み、100℃、12時間加熱攪拌した。その後、反応液を冷却し、水50ml、飽和炭酸ナトリウム水溶液50mlの順にトルエン相を洗浄した。トルエン相に、フタル酸無水物8.6g、テトラエチルアンモニウムブロミド0.61gを仕込み、攪拌しながら100℃に昇温し、12時間攪拌した。その後、反応液に酢酸エチル500mlを加え、有機相を水150ml、飽和食塩水150mlで洗浄した。その後、溶媒を留去後、下記に示すアダマンタン誘導体[102]を得た(収量21g、酸価110mgKOH/g)。酸価は、1/10N−KOHエタノ−ル(50%)水溶液で滴定して求めた。
【0066】
【化10】

【0067】
製造例2
滴下ロート、温度指示計、三方コックを取付けた200mlの4ツ口フラスコに、下記に示すエポキシ樹脂[201]10g(出光興産製)、アクリル酸5.12g、テトラエチルアンモニウムブロミド0.50g、メトキノン0.01gを仕込み100℃、12時間加熱攪拌した。その後、反応液を冷却し、水50ml、飽和炭酸ナトリウム水溶液50mlの順にトルエン相を洗浄した。トルエン相に、フタル酸無水物7.0g、テトラエチルアンモニウムブロミド0.50gを仕込み、攪拌しながら100℃に昇温し、12時間攪拌した。その後、反応液に酢酸エチル500mlを加え、有機相を水150ml、飽和食塩水150mlで洗浄した。その後、溶媒を留去後、下記に示すアダマンタン誘導体[202]を得た(収量18g、酸価115mgKOH/g)。
【0068】
【化11】

【0069】
製造例3
滴下ロート、温度指示計、三方コックを取付けた200mlの4ツ口フラスコに、上記のエポキシ樹脂[201]10g、アクリル酸6.1g、テトラエチルアンモニウムブロミド0.50g、メトキノン0.01gを仕込み100℃、12時間加熱攪拌した。その後、反応液を冷却し、水50ml、飽和炭酸ナトリウム水溶液50mlの順にトルエン相を洗浄した。トルエン相に、テトラヒドロ無水フタル酸7.2g、テトラエチルアンモニウムブロミド0.50gを仕込み、攪拌しながら100℃に昇温し、12時間攪拌した。その後、反応液に酢酸エチル500mlを加え、有機相を水150ml、飽和食塩水150mlで洗浄した。その後、溶媒を留去後、下記に示すアダマンタン誘導体[302]を得た。(収量17g、酸価100mgKOH/g)
【0070】
【化12】

【0071】
製造例4
滴下ロート、温度指示計、三方コックを取付けた200mlの4ツ口フラスコに、ビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂のアクリレート変性体10g、テトラエチルアンモニウムブロミド1.66g、ピロメリット酸無水物2.1g、DMF70ml、重合禁止剤0.1gを仕込み、攪拌しながら100℃に昇温し、12時間攪拌した。その後、反応液に酢酸エチル300mlを加え、有機相を水150ml、飽和食塩水150mlで洗浄した。その後、溶媒を留去後、式(IV)で表される酸無水物変性体を得た(収量10.2g、酸価81mgKOH/g)。
【0072】
【化13】

【0073】
実施例1
<感光性組成物の調製>
製造例1で得られた化合物[101]((A)成分)5g、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート((E)成分)2g、開始剤イルガキュア184((B)成分)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.2g、カーボンブラック((D)成分)(三菱化学社製MA−100)1.96gにメチルエチメケトン((C)成分)30g、を加え、均一に混合して感光性組成物を調製した。
【0074】
<パターン作成>
感光性組成物を、スピンコーターを用いて、125mm×125mmのガラス基板上に、ポストベーク後の膜厚が1.0μmとなるように塗布し、90℃で1分間プリベークし、その後I線照度30mW/cmの超高圧水銀ランプで100mJ/cmの紫外線を照射し感光部分の光硬化反応を行った。
次に、この露光済み塗板を0.1%水酸化カリウム水溶液中、25℃にて0.1MPa圧シャワー現像及び0.5MPa圧のスプレー水洗を行い、塗膜の未露光部を除去してパターンを形成し、現像性の評価をおこなった。
その後、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間熱ポストベークしてパターン形状評価を行った。
【0075】
<評価>
以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
(1)現像性
現像によるパターン形成時に、未露光部が高い溶解性を保持している場合は○、剥離片等が生じる場合は×とした。
(2)プロセスマージン
10μmパターンマスクで露光した部分を現像したときに、パターン部が10±1μmを維持している時間を記録した。線幅の測定は、SEMを用いた。
(3)パターン形状
プロセスマージンで得られた時間内において、SEM形状観察時、パターンの断面形状が矩形を維持している場合は○、逆テーパーや剥がれが生じた場合は×とした。
(4)密着性
ポストベーク実施済みのパターン形成基板を、121℃、100%RH、2気圧、24時間の条件下においてPCT(プレッシャー・クッカー)テストを実施後、20μmパターン部にセロハンテープを貼り付けピーリングテストを行うことでパターン密着性を評価した。パターンが保持している場合は○、パターンの剥がれが生じた場合は×とした。
(5)ライン直線性
現像後の10μm線について、顕微鏡でパターン部の直線性やうねり等の有無を評価した。そこで、非常に直線性がよくフリンジ等が発生していない場合は○、フリンジ等が発生し直線性の悪い場合は×と評価した。
【0076】
実施例2
製造例1で得られた化合物の代わりに、製造例2で得られた化合物[202]((A)成分)5gを用いた他は実施例1と同様にして感光性組成物を調製し、評価をした。結果を表1に示す。
【0077】
実施例3
製造例1で得られた化合物の代わりに、製造例3で得られた化合物[302]((A)成分)5gを用いた他は実施例1と同様にして感光性組成物を調製し、評価をした。結果を表1に示す。
【0078】
比較例1
製造例1で得られた化合物の代わりに、製造例4で得られた化合物(IV)5gを用いた他は実施例1と同様にして感光性組成物を調製し、評価をした。結果を表1に示す。
【0079】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のアダマンタン誘導体を含む組成物から得られる感光性積層体は、プリント回路基板用レジスト、ソルダーレジスト、永久膜レジスト、カラーレジスト、ブラックマトリックス等に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表されるアダマンタン誘導体(A)、重合開始剤(B)、希釈剤(C)、着色剤(D)及びバインダー樹脂(E)を含む組成物。
【化14】

(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素を示す。R,Rはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン化メチル基を示す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、水酸基又はハロゲン化メチル基を示す。Yはカルボキシ含有基を示す。jは1〜4の整数、kは1〜4の整数、mは2〜9の整数を示す。sは0〜10の整数を示し、rは1又は0を示す。j,k,m又はsが2以上のとき、複数の基はそれぞれ同一でも異なってもよい。星印は結合位置を示す。)
【請求項2】
の炭化水素が、直鎖状アルキル、分岐状アルキル又は環状アルキルである請求項1記載の組成物。
【請求項3】
が炭素数1〜6の直鎖状アルキル、炭素数3〜6の分岐状アルキル又は炭素数5〜10の環状アルキルである請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
Yが下記式のいずれかで表わされる請求項1〜3のいずれか記載の組成物。
【化15】

(式中、星印は結合位置を示す。)
【請求項5】
前記着色剤(D)が黒色顔料である請求項1〜4のいずれか記載の組成物。
【請求項6】
さらに密着増強剤(F)を含む請求項1〜5のいずれか記載の組成物。
【請求項7】
樹脂フィルムと、請求項1〜6のいずれか記載の組成物から得られる層を含む感光性積層体。
【請求項8】
請求項7記載の感光性積層体を用いたカラーレジスト、ブラックマトリックス用レジスト、ドライフィルムレジスト及びソルダーレジスト。
【請求項9】
請求項7記載の感光性積層体を用いた半導体用下地膜。

【公開番号】特開2011−102921(P2011−102921A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258252(P2009−258252)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】