説明

アドレス特定システム及びプログラム

【課題】複数の情報提供サイトの存在を意識することなくトレーサビリティ情報を取得する。
【解決手段】インターネット4には商品識別コードを受け付けてトレーサビリティ情報を提供する複数の情報提供サイト31が存在している。ウェブサイト5には、複数の情報提供サイト31を識別するサイト識別コードと複数の情報提供サイト31のアドレスとを対応付けた変換テーブル52が記憶される。消費者端末1からはサイト識別コードと商品識別コードとを含む問い合せコードがウェブサイト5に送信される。ウェブサイト5は、サイト識別コードにより一の情報提供サイト31のアドレスを特定し、その情報提供サイト31に商品識別コードを送信してトレーサビリティ情報を要求し、得られたトレーサビリティ情報を消費者端末1に転送する。消費者端末1では複数の情報提供サイト31の存在を意識することなくトレーサビリティ情報を取得できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介したトレーサビリティ情報の取得に係る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
牛肉の安全性に対する信頼確保やBSE(牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病)のまん延防止などを目的とした「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別処置法(いわゆる、牛トレーサビリティ法)」の公布を受け、近年、個体識別コードによって一元的に牛を管理し、牛肉の生産履歴などのトレーサビリティ情報を消費者に提供するトレーサビリティシステムがほぼ確立されている。
【0003】
また一方で、近年の食品の虚偽表示問題や消費者の食品に対する安全衛生意識の高まりを受け、「豚肉」「鶏肉」「鶏卵」「養殖水産物」「米」「青果物」「きのこ類」「加工食品」「輸入食品」など、法制化された「牛肉」以外の各種の食品に関しても、トレーサビリティシステムを構築する機運が高まりつつある。
【0004】
一般に、トレーサビリティシステムにおいては、食品の識別単位ごとに商品識別コードが付与される。例えば「牛肉」では、牛の個体が識別単位とされ、牛の個体のそれぞれに「個体識別コード」が付与される。そして、識別単位ごと(すなわち、商品識別コードごと)にトレーサビリティ情報が管理され、これにより、商品識別コードとトレーサビリティ情報とを対応付けた情報データベースが構築される。
【0005】
また、小売店舗において消費者への販売に供される食品(商品)には商品識別コードを示すラベル等が貼付され、消費者に対して商品識別コードが提供される。消費者は、家庭にあるパーソナルコンピュータや携帯電話等の通信装置を用いて、上述した情報データベースを公開するインターネット上のウェブサイト(情報提供サイト)にアクセスし、商品に付された商品識別コードをその情報提供サイトに受け渡すことで、トレーサビリティ情報を取得することが可能とされている。
【0006】
なお、このようなトレーサビリティシステムを開示した先行技術文献としては、以下のようなものがある。
【0007】
【特許文献1】特許第3532901号公報
【特許文献2】特開2002−56285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した情報データベースは、通常、食品を管理する管理団体や食品メーカ等の情報提供団体によって食品分類ごとに個別に構築される。したがって、その情報データベースを公開する情報提供サイトも食品分類ごとに個別に構築され、そのアドレス(URL)は互いに異なることになる。
【0009】
このため、多種多様な食品分類に係る複数の情報提供サイトが構築されると、消費者はある食品のトレーサビリティ情報を入手するために、その食品分類を取り扱う情報提供サイトのアドレスを特定し、さらに、そのアドレスを入力して特定の情報提供サイトにアクセスする必要がある。したがって消費者は、食品分類が互いに異なる複数の食品についてトレーサビリティ情報の入手を希望する場合は、情報提供サイトのアドレスを特定し、かつ、その入力を行うという作業を複数の食品ごとに行う必要がある。煩雑な作業は一般に消費者から敬遠されるため、このような作業が必要であることは、トレーサビリティ情報を消費者へ簡便に提供するというトレーサビリティの基本趣旨にも反することになる。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の情報提供サイトの存在を意識することなくトレーサビリティ情報を容易に取得できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、ネットワークを介して通信可能なアドレス特定システムであって、受け渡された商品識別コードに対応するトレーサビリティ情報を提供する複数の情報提供サイトのアドレスと、前記複数の情報提供サイトを識別するサイト識別コードとを関連付けたテーブルを記憶する記憶手段と、一のサイト識別コードと一の商品識別コードとを含む複合識別コードを、アクセス元の情報端末から受け付ける受付手段と、前記受付手段が受け付けた前記複合識別コードのうちの前記サイト識別コードに関連付けられたアドレスを前記テーブルから特定し、特定した前記アドレスが示す情報提供サイトに、前記受付手段が受け付けた前記複合識別コードのうちの前記商品識別コードを受け渡すことで提供される前記トレーサビリティ情報を、前記アクセス元の情報端末に取得させる特定手段と、を備えている。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のアドレス特定システムにおいて、第1のサーバと、第2のサーバとを備え、前記第1のサーバは、アクセス元の情報端末に、前記第2のサーバへのリンクを含むウェブページを提供する手段、を備え、前記第2のサーバは、前記記憶手段と、前記受付手段と、前記特定手段と、を備え、前記受付手段は、前記ウェブページのリンクによってアクセスした情報端末から前記複合識別コードを受け付ける。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載のアドレス特定システムにおいて、前記サイト識別コードは、トレーサビリティ情報を提供する情報提供団体を識別する団体コードと、サブコードとを含む。
【0014】
また、請求項4の発明は、受け渡された商品識別コードに対応するトレーサビリティ情報を提供する複数の情報提供サイトのアドレスと、前記複数の情報提供サイトを識別するサイト識別コードとを関連付けたテーブルを記憶し、かつ、ネットワークを介して通信可能なコンピュータによって実行可能なプログラムであって、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、一のサイト識別コードと一の商品識別コードとを含む複合識別コードを、アクセス元の情報端末から受け付ける工程と、受け付けた前記複合識別コードのうちの前記サイト識別コードに関連付けられたアドレスを前記テーブルから特定する工程と、特定した前記アドレスが示す情報提供サイトに、受け付けた前記複合識別コードのうちの前記商品識別コードを受け渡すことで提供される前記トレーサビリティ情報を、前記アクセス元の情報端末に取得させる工程と、を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1ないし4の発明によれば、複合識別コードを一つのサイトに送信するだけで、目的とするトレーサビリティ情報を有する情報提供サイトのアドレスが特定され、その情報提供サイトから商品識別コードに対応するトレーサビリティ情報が取得される。このため、複数の情報提供サイトの存在を意識することなく、トレーサビリティ情報を容易に取得できる。
【0016】
また、特に請求項3の発明によれば、一の情報提供者が、食品の種別ごとに異なる情報提供サイトを提供する場合など、複数の情報提供サイトを管理する場合に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
なお、本明細書では、「トレーサビリティ」という用語を「材料個体、生産履歴、流通履歴、及び、加工履歴などの食品に関する情報を事後的に追跡できること」の意として用いる。また、トレーサビリティにおいて扱われる「材料個体、生産履歴、流通履歴、及び、加工履歴などの食品に関する情報」を「トレーサビリティ情報」という。
【0019】
<第1の実施の形態>
<1−1.システムの概要>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るアドレス特定システムが適用されるネットワークシステム100の概要を示す図である。図1に示すように、このネットワークシステム100においては、食品を購入した消費者が取り扱う消費者端末1と、食品を販売する販売者が管理する販売者サーバ2と、トレーサビリティ情報を提供する情報提供団体が管理する情報サーバ3とが、インターネット4を介して接続されている。これにより、消費者端末1、販売者サーバ2及び情報サーバ3のそれぞれは、装置相互間でインターネット4を介して通信可能となっている。
【0020】
ここで「販売者」とは、食品を消費者に販売するものをいい、代表的には、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の小売店舗を運営する会社である。また、「情報提供団体」とは、食品のトレーサビリティ情報を管理して、そのトレーサビリティ情報を消費者に提供する団体をいい、食肉や農産物などを管理する管理団体や食品加工メーカなどが含まれる。本実施の形態では、このような「情報提供団体」が、「牛肉」「豚肉」「鶏肉」「鶏卵」「養殖水産物」「米」「青果物」「きのこ類」「加工食品」「輸入食品」などの食品分類ごとに存在しており、それぞれが情報サーバ3を管理しているものとする。したがって、ネットワークシステム100には、複数の情報サーバ3が含まれている。
【0021】
販売者サーバ2及び情報サーバ3は、それぞれ、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えた一般的なコンピュータで構成されており、ウェブサーバとして機能するためのアプリケーションがインストールされている。これにより、販売者サーバ2及び情報サーバ3のそれぞれはウェブサーバとして機能し、その内部にはインターネット4上の通信装置に各種コンテンツを公開するウェブサイトが構築されている。
【0022】
また、消費者端末1は、各種入力のためのキーや各種表示を行うディスプレイを備えたインターネット4に接続可能な情報端末であり、代表的には、家庭にあるパーソナルコンピュータや携帯電話等である。消費者端末1には、インターネット4上のウェブサイトを閲覧するためのウェブブラウザ11が予めインストールされている(図2参照。)。消費者は、このような消費者端末1のウェブブラウザ11を用いることで、インターネット4上のウェブサイトから各種コンテンツを取得することができる。
【0023】
図2は、販売者サーバ2及び情報サーバ3に構築されたウェブサイトの概略構成を他の構成を含めて示す図である。
【0024】
図に示すように、情報サーバ3内に構築されたウェブサイト31は、ウェブページ32と、照会プログラム33と、情報データベース34とを含んで構成されている。ウェブサイト31を構成するこれらの要素は、情報サーバ3のハードディスクに記憶される。
【0025】
情報データベース34は、情報サーバ3の情報提供団体が取り扱う食品分類の食品に係るトレーサビリティ情報を蓄積したものである。この情報データベース34の内容は、常に最新のトレーサビリティ情報を含むように情報提供団体によって管理されている。情報データベース34においてトレーサビリティ情報は、食品の識別単位ごとに管理されており、この識別単位ごとに食品に付与される商品識別コードと関連付けられている。このような食品の識別単位は食品分類によって異なり、例えば、「牛肉」では「牛の個体」が識別単位となり、「加工食品」では「製造ロット」が識別単位となる。
【0026】
照会プログラム33は、情報サーバ3上で実行されるプログラムであり、その実行により、情報データベース34を検索して商品識別コードに対応するトレーサビリティ情報を特定する機能が実現される。
【0027】
また、ウェブページ32は、商品識別コードの入力を促すページであり、このページにおいて入力された商品識別コードは、照会プログラム33に受け渡される。これらの照会プログラム33及びウェブページ32にはそれぞれ、インターネット4上の固有のアドレス(URL)が割り当てられており、これらはインターネット4上の通信装置から利用可能に公開されている。
【0028】
情報サーバ3のウェブサイト31は、このような構成により、商品識別コードを受け付けて、それに対応するトレーサビリティ情報を返信する「情報提供サイト」として機能する。
【0029】
具体的には、インターネット4に接続された一の通信装置から情報提供サイト31へのアクセスがあると、その通信装置にウェブページ32、すなわち、商品識別コードの入力を促す画面が表示される。これに従って、通信装置において一の商品識別コードが入力されると、入力された商品識別コードは情報サーバ3に送信されて、照会プログラム33に受け渡される。照会プログラム33はこれに応答して、受け渡された商品識別コードに基づいて情報データベース34を検索し、その商品識別コードに対応するトレーサビリティ情報を特定する。そして照会プログラム33は、特定したトレーサビリティ情報を通信装置に送信する。このような処理によって、通信装置において入力された商品識別コードに対応するトレーサビリティ情報が、通信装置において取得されるようになっている。
【0030】
なお、図2では一の情報サーバ3のウェブサイト31の構成のみを示しているが、複数の情報サーバ3のそれぞれにおいては、同様の構成を有するウェブサイト31が構築されており、そのウェブサイトのそれぞれが、商品識別コードを受け付けてそれに対応するトレーサビリティ情報を返信する情報提供サイト31として機能する。
【0031】
ただし、このように複数の情報提供サイト31が存在していると、消費者はある食品のトレーサビリティ情報を入手するために、これら複数の情報提供サイト31のうちのその食品分類を取り扱う一の情報提供サイト31のアドレスを特定し、そのアドレスを通信装置に入力する必要があり、非常に煩雑な作業が必要である。このため、本実施の形態では、販売者サーバ2内に構築されたウェブサイト5が、消費者が必要とする食品分類を取り扱う一の情報提供サイト31のアドレスを特定するアドレス特定システムとしての機能を有している。アドレス特定システムとしてのウェブサイト5は、消費者が扱う消費者端末1から「問い合せコード」を受け付け、この「問い合せコード」に基づいて情報提供サイト31のアドレスを特定するようになっている(詳細は後述)。
【0032】
図に示すように、このウェブサイト5は、ウェブページ51と、変換テーブル52と、プログラム53とを含んで構成されている。ウェブサイト5を構成するこれらの要素は、販売者サーバ2のハードディスクに記憶される。
【0033】
ウェブページ51は、販売者が提供する各種情報を示すHTMLデータ及び画像データ等から構成される。ウェブサイト5には複数のウェブページ51が含まれており、それぞれにアドレス(URL)が割り当てられている。また、これらの複数のウェブページ51には、「問い合せコード」の入力を促すページも含まれている。
【0034】
変換テーブル52は、情報提供サイト31のアドレスの特定に用いられるデータであり、複数の情報提供サイト31を識別するためのサイト識別コードと、複数の情報提供サイト31のアドレスとが対応付けられている。図3は、変換テーブル52の一例を示す図である。図に示すように、変換テーブル52は、テーブル形式となっており、そのレコードごとに、一のサイト識別コードと一の情報提供サイト31のアドレス(URL)とが関連付けられている。サイト識別コードは、複数の情報提供サイト31に対して重複のないように割り当てられた識別コードである。また、情報提供サイト31のアドレスとしては、情報提供サイト31にそれぞれ含まれる照会プログラム33を示すものが採用される。
【0035】
図2に戻り、プログラム53は、CGI,PHP,ASP等のウェブサーバとしての販売者サーバ2上で実行されるプログラムである。販売者サーバ2のCPUによってプログラム53を実行することにより、アドレス特定システムとして必要な処理機能(アドレス特定機能)が実現される。図2において模式的に示すコード受付部61、サイト特定部62及び情報要求部63は、プログラム53を実行することにより実現される機能である。これらの機能については後述する。
【0036】
<1−2.問い合せコード>
次に、アドレス特定システムとしてのウェブサイト5に消費者端末1から送信される「問い合せコード」について説明する。
【0037】
この「問い合せコード」は、販売者サーバ2を管理する販売者の小売店舗において販売される各商品に付与されるものである。例えば、図4に示すような値付ラベル7を商品に貼付することによって、商品に対して「問い合せコード」が付与される。図に示すように、値付ラベル7においては、商品の販売のために必要な商品名や売価等の通常の値付情報72とともに、問い合せコード71が印字されている。商品を購入した消費者は、商品に貼付されたこのような値付ラベル7から、当該商品に係る問い合せコード71を認識することになる。
【0038】
図5は、値付ラベル7に印字された問い合せコード71の一例を示す図である。図に示すように、本実施の形態では問い合せコード71として15桁の数値が採用されている。また、本実施の形態では、これら15桁の数値とともに、その数値をエンコードしたバーコード71bも値付ラベル7に印刷されるようになっている。
【0039】
問い合せコード71は、サイト識別コードC1と商品識別コードC2とを含む複合識別コードとなっている。より具体的には、15桁の問い合せコード71は、上位の桁から順に、6桁のサイト識別コードC1と、8桁の商品識別コードC2と、1桁のチェックデジットC3とで構成されている。
【0040】
サイト識別コードC1は、当該値付ラベル7が貼付された商品の食品分類を取り扱う情報提供サイト31を示している。例えば、商品が「牛肉」であれば「牛肉」のトレーサビリティ情報を提供する情報提供サイト31のサイト識別コードが示され、また、商品が「養殖水産物」であれば「養殖水産物」のトレーサビリティ情報を提供する情報提供サイト31のサイト識別コードが示されることになる。一方、商品識別コードC2は、当該値付ラベル7が貼付された商品の商品識別コード(トレーサビリティ情報を管理する食品の識別単位ごとの識別コード)そのものである。
【0041】
また、サイト識別コードC1は、5桁の団体コードC11と1桁のサブコードC12とで構成される。団体コードC11は、複数の情報提供団体のそれぞれに固有の識別コードである。このように、サイト識別コードC1を、団体コードC11とサブコードC12とで構成することで、一の情報提供団体が複数の情報提供サイト31を管理する場合に対応することができる。
【0042】
例えば、食品分類の「青果物」を取り扱う情報提供団体が、「みかん」と「りんご」とでそれぞれ別個の情報提供サイト31を提供している場合には、「みかん」の情報提供サイト31と、「りんご」の情報提供サイト31とのそれぞれに別個のサイト識別コードを割り当てる必要がある。このような場合に、情報提供団体とサイト識別コードとを一対一で対応付けていると、情報提供サイト31のそれぞれに固有のサイト識別コードを割り当てることができなくなる。これに対し、本実施の形態のように、団体コードとサブコードとを組合せたサイト識別コードを採用することで、一の情報提供団体が扱う商品種別(「みかん」「りんご」)などをサブコードによって区別することができるため、商品種別ごとの情報提供サイト31に固有のサイト識別コードを容易に割り当てることができることになる。
【0043】
<1−3.トレーサビリティ情報の取得の流れ>
図6は、消費者端末1が、アドレス特定システムとしてのウェブサイト5を利用してトレーサビリティ情報を取得するまでの流れを示す図である。図6中において、処理S1は消費者端末1での処理を示し、処理S2は販売者サーバ2(ウェブサイト5)での処理を示し、処理S3は情報サーバ3(情報提供サイト31)で処理を示している。以下、図2及び図6を参照しつつ、トレーサビリティ情報の取得の流れについて説明する。
【0044】
まず、ある商品のトレーサビリティ情報の取得を希望する消費者が、消費者端末1のウェブブラウザ11を利用して、当該商品を販売した販売者が提供しているウェブサイト5にアクセスする。販売者のウェブサイト5のアドレスは、例えば、小売店舗内でのポスター、買物袋、あるいは、値付ラベル等によって消費者に示される。また、著名な販売者のウェブサイト5であれば、消費者は検索エンジンなどを用いて容易にそのアドレスを入手できる。
【0045】
これらによって取得したアドレスを消費者がウェブブラウザ11に入力することにより、消費者端末1から販売者サーバ2のウェブサイト5にアクセス要求がなされる(ステップS11)。これに応答して、販売者サーバ2から消費者端末1にウェブサイト5のウェブページ51のうちのトップページが返信され(ステップS21)、消費者端末1のウェブブラウザ11にトップページが表示される。
【0046】
図7は、消費者端末1のウェブブラウザ11において、販売者のウェブサイト5のトップページが表示された様子を示す図である。このトップページにおいては、ウェブサイト5内の他のウェブページ51へとリンクするリンクボタン81〜84が表示されている。そして、これらのうちの一つのリンクボタン84が、トレーサビリティ情報を問い合せるためのウェブページ51へとリンクしている。以下、このトレーサビリティ情報を問い合せるためのリンクボタンを、「問い合せボタン」という。
【0047】
消費者端末1において問い合せボタン84がマウスのクリックなどによって選択されると(ステップS12)、これに応答して販売者サーバ2から、ウェブページ51のうちの、問い合せボタン84のリンク先である「問い合せコード」の入力を促すページ(以下、「問い合せページ」という。)が返信され(ステップS22)、消費者端末1のウェブブラウザ11に表示される。
【0048】
図8は、消費者端末1のウェブブラウザ11において「問い合せページ」が表示された様子を示す図である。図に示すように、この問い合せページにおいては、15桁の問い合せコードを入力するためのテキストボックス85、及び、入力を確定するための確定ボタン86が含まれている。
【0049】
消費者により、トレーサビリティ情報の取得対象となる商品に付与された問い合せコードがテキストボックス85に入力され、確定ボタン86が押下されると、入力された問い合せコードが、消費者端末1から販売者サーバ2に送信される(ステップS13)。なお、消費者端末1が、バーコードリーダを備えた携帯電話等であれば、値付ラベル7に印字されたバーコード71bをバーコードリーダで読取らせることで、問い合せコードが消費者端末1に入力されるようになっていてもよい。
【0050】
送信された問い合せコードは、販売者サーバ2のコード受付部61によって受け付けられる(ステップS23)。問い合せコードが受け付けられると、これに応答してサイト特定部62によって、問い合せコードに係る情報提供サイト31のアドレスが取得される。すなわち、問い合せコードに含まれるサイト識別コードに基づいて、変換テーブル52が参照され、サイト識別コードに関連付けられた一の情報提供サイト31のアドレスが特定される。この特定処理は、問い合せコードに含まれるサイト識別コードを、情報提供サイト31のアドレスに変換する処理であるとも表現できる。このようにして特定されたアドレスは、問い合せコードが付与された商品の食品分類を取り扱う情報提供サイト31を示すことになる(ステップS24)。
【0051】
次に、特定されたアドレスが示す情報提供サイト31の照会プログラム33に対して、問い合せコードに含まれる商品識別コードに対応するトレーサビリティ情報が、情報要求部63によって要求される。すなわち、その情報提供サイト31の情報サーバ3に、商品識別コードが送信される(ステップS25)。
【0052】
送信された商品識別コードは、情報サーバ3に受信され、情報提供サイト31に含まれる照会プログラム33に受け渡される(ステップS31)。商品識別コードが受け渡されると、これに応答して照会プログラム33によって、情報データベース34が検索され、その商品識別コードに対応するトレーサビリティ情報が特定される(ステップS32)。そして特定されたトレーサビリティ情報が、販売者サーバ2に返信される(ステップS33)。
【0053】
販売者サーバ2に返信されたトレーサビリティ情報は、情報要求部63によって受信され、さらに、情報要求部63によってアクセス元の消費者端末1に対して転送される(ステップS26)。これにより、消費者端末1においてトレーサビリティ情報が受信され(ステップS14)、図9に示すように、消費者端末1のウェブブラウザ11にトレーサビリティ情報87が表示されることになる(ステップS15)。
【0054】
このように、アドレス特定システムとしてのウェブサイト5は、受け付けた「問い合せコード」のうちの「サイト識別コード」に基づいて情報提供サイト31のアドレスを特定し、さらに、そのアドレスが示す情報提供サイト31に対して「問い合せコード」のうちの「商品識別コード」を受け渡してトレーサビリティ情報を代理で取得し、アクセス元となった消費者端末1に転送するようになっている。
【0055】
したがって、図6の消費者端末1の処理のみに注目してわかるように、消費者においては、消費者端末1を用いて販売者のウェブサイト5にアクセスし、目的とする商品に付与された「問い合せコード」を単に入力するのみで、当該商品のトレーサビリティ情報を取得できることになる。また、消費者は、一つのウェブサイト(本実施の形態では、商品を購入した販売者のウェブサイト5)のアドレスのみを把握すれば足り、複数の情報提供サイト31の全てのアドレスを把握する必要もない。したがって、消費者は、複数の情報提供サイト31の存在を全く意識することなく、非常に簡便にトレーサビリティ情報を取得することができることになる。
【0056】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。上記第1の実施の形態では、情報提供サイト31のアドレスを特定してトレーサビリティ情報を代理取得する機能(以下、「アドレス特定機能」という。)を販売者サーバ2が有していた。本実施の形態では、販売者が提供する販売者サーバ2はアドレス特定機能を有しておらず、アドレス特定機能を有するウェブサーバが販売者サーバ2とは別に設けられるようになっている。
【0057】
図10は、第2の実施の形態に係るネットワークシステム200の概要を示す図である。図10に示すように、このネットワークシステム100においては、消費者端末1、販売者サーバ2、及び、複数の情報サーバ3の他、アドレス特定機能を有するウェブサーバである特定サーバ9がインターネット4を介して接続されている。この特定サーバ9は、例えば、販売者とは別のサービス事業者(情報提供サイト31のアドレスを特定してトレーサビリティ情報を代理取得するサービスを提供する事業者)によって管理されている。
【0058】
この特定サーバ9は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えた一般的なコンピュータで構成されており、ウェブサーバとして機能するためのアプリケーションがインストールされている。したがって、特定サーバ9においても、インターネット4上の通信装置に各種コンテンツを公開するウェブサイトが構築されている。
【0059】
図11は、販売者サーバ2、情報サーバ3及び特定サーバ9に構築されたウェブサイトの概略構成を他の構成を含めて示す図である。
【0060】
図11に示すように、本実施の形態においては、販売者サーバ2内に構築されたウェブサイト21は、ウェブページ22のみを有している。一方で、特定サーバ9内には、第1の実施の形態の販売者サーバ2と同様のウェブサイト5が構築されている。すなわち、特定サーバ9のウェブサイト5は、「問い合せページ」を含むウェブページ51と、図3と同様の変換テーブル52と、プログラム53(コード受付部61、サイト特定部62及び情報要求部63を実現するもの)とを含んで構成されている。特定サーバ9においては、これらの要素によって「アドレス特定機能」が実現されることになる。
【0061】
なお、第1の実施の形態の販売者サーバ2と、この第2の実施の形態の特定サーバ9とは、ウェブページ51の内容が多少異なる他は、同一構成と考えてよい。また、情報サーバ3や消費者端末1についての構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0062】
図12は、本実施の形態において、消費者端末1がトレーサビリティ情報を取得するまでの流れを示す図である。図12中において、処理S1は消費者端末1での処理を示し、処理S2は販売者サーバ2での処理を示し、処理S3は情報サーバ3(情報提供サイト31)で処理を示し、処理S9は特定サーバ9(ウェブサイト5)での処理を示している。以下、図11及び図12を参照しつつ、本実施の形態におけるトレーサビリティ情報の取得の流れについて説明する。
【0063】
まず、消費者が、消費者端末1のウェブブラウザ11を利用して販売者が提供しているウェブサイト21にアクセスする。消費者端末1からは、販売者サーバ2のウェブサイト21に対してアクセス要求がなされ(ステップS11)、これに応答して、販売者サーバ2から消費者端末1にウェブサイト21のウェブページ22のうちのトップページが返信される(ステップS21)。
【0064】
そして、消費者端末1のウェブブラウザ11において図7に示すようなトップページが表示される。ここまでは第1の実施の形態と同様である。ただし、本実施の形態においては、トップページに表示された「問い合せボタン」84のリンク先は、特定サーバ9のウェブサイト5の「問い合せページ」に設定されている。
【0065】
したがって、消費者端末1において問い合せボタン84がマウスのクリックなどによって選択されると(ステップS12)、これに応答して特定サーバ9から「問い合せページ」が返信され(ステップS91)、消費者端末1のウェブブラウザ11に表示される。
【0066】
以降は、第1の実施の形態において販売者サーバ2によってなされた処理と同様の処理が、特定サーバ9においてなされる。すなわち、消費者端末1から問い合せコードが特定サーバ9に送信され(ステップS13)、送信された問い合せコードは、特定サーバ9のコード受付部61によって受け付けられる(ステップS92)。
【0067】
問い合せコードが受け付けられると、これに応答してサイト特定部62によって、問い合せコードに係る情報提供サイト31のアドレスが特定され(ステップS93)、特定されたアドレスが示す情報提供サイト31に商品識別コードが送信される(ステップS94)。
【0068】
送信された商品識別コードは、情報提供サイト31に含まれる照会プログラム33に受け渡され(ステップS31)、照会プログラム33によって、その商品識別コードに対応するトレーサビリティ情報が特定される(ステップS32)。そして特定されたトレーサビリティ情報が、特定サーバ9に返信される(ステップS33)。
【0069】
特定サーバ9に返信されたトレーサビリティ情報は、情報要求部63によって受信され、さらに、情報要求部63によってアクセス元の消費者端末1に対して転送される(ステップS95)。これにより、消費者端末1においてトレーサビリティ情報が受信され(ステップS14)、消費者端末1のウェブブラウザ11にトレーサビリティ情報87が表示されることになる(ステップS15)。
【0070】
以上のように、本実施の形態のネットワークシステム200においては、販売者サーバ2とは別に、アドレス特定機能を有する特定サーバ9が設けられる。このため、本実施の形態の販売者サーバ2は、アクセス元となる消費者端末1に対して、問い合せボタン84(特定サーバ9へのリンク)を含むウェブページを提供するのみとなる。一方で、特定サーバ9は、問い合せボタン84のリンクによってアクセスした消費者端末1から問い合せコードを受け付け、情報提供サイト31のアドレスを特定して、トレーサビリティ情報を代理取得することになる。つまり、本実施の形態のアドレス特定システムは、消費者からのポータルサイトとしての役目を果たすウェブサイトを提供する販売者サーバ2と、アドレス特定機能のみを有するウェブサイトを提供する特定サーバ9とで構成されているともいえる。
【0071】
このようにすることで、特定サーバ9を提供するサービス事業者としては、販売者のウェブサイトの集客性によって、多くの消費者にトレーサビリティ情報を提供することができる。一方、販売者は、ウェブサイトにアドレス特定機能を設ける必要が無いため、その構成を簡便なものにすることができる。つまり、販売者のウェブサイトにおいては、特定サーバ9へリンクする一つのリンクボタンのみをトップページなどに配置すれば足りることになる。
【0072】
ここで例えば、特定サーバ9が存在しない場合について想定する。この場合に、販売者がウェブサイトにおいて、複数の情報提供サイト31のそれぞれに消費者を導くためには、複数の情報提供サイト31のそれぞれへのリンクボタンをトップページなどに配置する必要がある。これに対して、本実施の形態では、このような複数のリンクボタンの配置が必要とならず、一つのリンクボタンのみを配置すれば足りるため、簡潔かつ明瞭なトップページを消費者に提供することができる。
【0073】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0074】
例えば、上記実施の形態では、識別コード(サイト識別コード、商品識別コード、及び、問い合せコード)は数値のみで構成されていたが、これに限定されず、数値、アルファベット、記号あるいはそれらの組合せのいずれであってもよい。
【0075】
また、上記実施の形態のアドレス特定システムは、情報提供サイト31のアドレスを特定した後、特定したアドレスが示す情報提供サイト31に対してトレーサビリティ情報を代理で要求するものであったが、特定したアドレスが示す情報提供サイト31に消費者端末1に直接的に要求させるようにしてもよい。例えば、アドレス特定システムが情報提供サイト31のアドレスを特定した後に、その特定した情報提供サイト31のアドレスと、問い合せコードに含まれる商品識別コードとを消費者端末1に送信すれば、消費者端末1が直接的に情報提供サイト31に対してトレーサビリティ情報を要求することができる。上記実施の形態とこの変形例とのいずれの態様であっても、アドレス特定システムは、特定したアドレスが示す情報提供サイトに、受け付けた複合識別コードのうちの商品識別コードを受け渡すことで提供されるトレーサビリティ情報を、アクセス元の情報端末に取得させるように機能することになる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1の実施の形態のネットワークシステムの概要を示す図である。
【図2】第1の実施の形態のウェブサイトの概略構成を示す図である。
【図3】変換テーブルの一例を示す図である。
【図4】問い合せコードが印字された値付ラベルを示す図である。
【図5】問い合せコードの一例を示す図である。
【図6】第1の実施の形態のトレーサビリティ情報を取得する流れを示す図である。
【図7】販売者のウェブサイトのトップページが表示された様子を示す図である。
【図8】問い合せコードを入力するウェブページが表示された様子を示す図である。
【図9】トレーサビリティ情報が表示された様子を示す図である。
【図10】第2の実施の形態のネットワークシステムの概要を示す図である。
【図11】第2の実施の形態のウェブサイトの概略構成を示す図である。
【図12】第2の実施の形態のトレーサビリティ情報を取得する流れを示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1 消費者端末
2 販売者サーバ
3 情報サーバ
52 変換テーブル
7 値付ラベル
C1 サイト識別コード
C2 商品識別コード
C11 団体コード
C12 サブコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して通信可能なアドレス特定システムであって、
受け渡された商品識別コードに対応するトレーサビリティ情報を提供する複数の情報提供サイトのアドレスと、前記複数の情報提供サイトを識別するサイト識別コードとを関連付けたテーブルを記憶する記憶手段と、
一のサイト識別コードと一の商品識別コードとを含む複合識別コードを、アクセス元の情報端末から受け付ける受付手段と、
前記受付手段が受け付けた前記複合識別コードのうちの前記サイト識別コードに関連付けられたアドレスを前記テーブルから特定し、特定した前記アドレスが示す情報提供サイトに、前記受付手段が受け付けた前記複合識別コードのうちの前記商品識別コードを受け渡すことで提供される前記トレーサビリティ情報を、前記アクセス元の情報端末に取得させる特定手段と、
を備えることを特徴とするアドレス特定システム。
【請求項2】
請求項1に記載のアドレス特定システムにおいて、
第1のサーバと、第2のサーバとを備え、
前記第1のサーバは、
アクセス元の情報端末に、前記第2のサーバへのリンクを含むウェブページを提供する手段、
を備え、
前記第2のサーバは、
前記記憶手段と、
前記受付手段と、
前記特定手段と、
を備え、
前記受付手段は、前記ウェブページのリンクによってアクセスした情報端末から前記複合識別コードを受け付けることを特徴とするアドレス特定システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアドレス特定システムにおいて、
前記サイト識別コードは、トレーサビリティ情報を提供する情報提供団体を識別する団体コードと、サブコードとを含むことを特徴とするアドレス特定システム。
【請求項4】
受け渡された商品識別コードに対応するトレーサビリティ情報を提供する複数の情報提供サイトのアドレスと、前記複数の情報提供サイトを識別するサイト識別コードとを関連付けたテーブルを記憶し、かつ、ネットワークを介して通信可能なコンピュータによって実行可能なプログラムであって、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、
一のサイト識別コードと一の商品識別コードとを含む複合識別コードを、アクセス元の情報端末から受け付ける工程と、
受け付けた前記複合識別コードのうちの前記サイト識別コードに関連付けられたアドレスを前記テーブルから特定する工程と、
特定した前記アドレスが示す情報提供サイトに、受け付けた前記複合識別コードのうちの前記商品識別コードを受け渡すことで提供される前記トレーサビリティ情報を、前記アクセス元の情報端末に取得させる工程と、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−50506(P2006−50506A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232513(P2004−232513)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(500133554)株式会社関西スーパーマーケット (1)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】