説明

アミドを製造するための触媒組成物、及びアミドの製造方法

【課題】アミドを製造するための触媒組成物、及びアミドの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ヒドロキシルアミン塩と、硫酸と、窒素含有複素環化合物とを含む触媒組成物を触媒とし、ケトオキシムを利用して、前記触媒組成物の触媒作用下で転位してアミドを生成させる。本発明の触媒組成物を用いてアミドを製造することは、ケトオキシムの転化率を向上させ、アミドの選択率が高く、反応の水に対する許容度を向上させるなどの利点がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミドを製造するための触媒組成物、及びアミドの製造方法に関し、特に、ヒドロキシルアミン塩と、硫酸と、窒素含有複素環化合物とを含む触媒組成物の存在下で、ケトオキシムを触媒することによりアミドを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カプロラクタムはナイロン6繊維を製造する重要な原料である。シクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応はカプロラクタムを生産する上でキーポイントとなる反応工程であり、従来の転位反応プロセスでは、発煙硫酸(Oleum)を触媒とし、シクロヘキサノンオキシムを液相ベックマン転位反応によってカプロラクタム硫酸塩に転化し、さらにアンモニア水で硫酸を中和することによりカプロラクタムを得る。全反応においてケトオキシムの転化率はほぼ100%となり、アミドの選択率は99%となるが、全反応で利用した発煙硫酸は繰り返し使用できないだけでなく、中和後に価値の低い硫酸アンモニウムが大量に発生する問題があった。従って、近年、新たなカプロラクタム生産技術の研究開発の方向性としては、副生成物である硫酸アンモニウムの生成を低減又は回避することに重点が置かれている。例えば、米国特許第6265574号公報(特許文献1)には分子篩を触媒として使用し、流動層反応器で気相ベックマン転位反応を行うことが開示されている。その気相ベックマン転位反応では副生成物である硫酸アンモニウムを生成しないが、カプロラクタムの選択率は95.7%しかなく、反応操作温度(300℃〜350℃)は液相反応に比べると高い。また、気相転位反応の最大の欠点は、触媒の不活性化が速すぎるため、再生の回数が頻繁であり、長期間にわたる連続操作に不利であることである。
【0003】
気相反応に比べて、液相転位反応は反応条件が温和であり、設備に対する要求が高くないなどの利点を有し、既存設備の改造に有利である。従って、国内外の研究者は液相転位反応の研究を発展させ、相当な進展があった。例えば、日本の住友化学株式会社による中国特許1852898A号公報(特許文献2)には、スルホナート官能基を有するイオン液体を反応触媒として利用することにより、カプロラクタムの選択率が99%に達することが開示され、中国科学院蘭州化学物理研究所による中国特許1919834号公報(特許文献3)には、スルホニルクロリド官能基を有するイオン液体を触媒として利用することにより、カプロラクタムの選択率が97.2%に達することが開示され、オランダのDSM社によるWO2008/145312A1号公報(特許文献4)には、スルファトをアニオンとするイオン液体で転位反応を行うことにより、アミドの選択率が99%に達することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6265574号公報
【特許文献2】中国特許1852898A号公報
【特許文献3】中国特許1919834号公報
【特許文献4】国際公開WO2008/145312A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許で使用された触媒はいずれも何回も繰り返し使用することができない。それは、触媒の組成における水含有量が高すぎると、転位反応において、反応物であるケトオキシムが大量に加水分解してシクロヘキサノンを生成することにより、その反応選択性を低減させるので、毎度触媒を繰り返し使用するときに、予め水分を完全に除去しないと、繰り返し使用することができないためである。
【0006】
従って、ケトオキシムを触媒してアミドを製造するための触媒組成物であって、反応の水に対する許容度を効果的に向上させ、ケトオキシムの転化率及びアミドの選択率が高い触媒組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的とそれ以外の目的を達成するために、本発明は、ケトオキシムを触媒してベックマン転位反応によってアミドを生成するための触媒組成物であって、ヒドロキシルアミン塩と、硫酸と、窒素含有複素環化合物とを含む触媒組成物を提供する。具体的な実施例において、前記窒素含有複素環化合物は、下記式(I)、式(II)及びその組み合わせから選ばれる一種または複数種の化合物である。
【化1】

【0008】
その中、前記式(I)、式(II)において、それぞれの環は5員環〜10員環の一つを示し、一つまたは複数の窒素原子を含有する。R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子またはC1-8アルキル基であってもよく、前記C1-8アルキル基は、無置換のもの、またはヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、グアニジノ基(NH2C(=NH)NH-)、アミノ基(-NH2)、アミド基(-CONH2)、エステル基(-COOR、その中、RはC1-8アルキル基である)、スルホン酸基(-SO3H)、塩化スルフィニル基(ClSO-)、ヒドロキシフェニル基、C1-8アルキルチオ基、メルカプト基(-SH)、C6-10アリール基及び5員環〜10員環のヘテロアリール基から選ばれる置換基で置換されるものである。
【0009】
また、前記ヒドロキシルアミン塩は酸性ヒドロキシルアミン塩であり、例えば、前記酸性ヒドロキシルアミン塩は、硫酸ヒドロキシルアミン塩、塩酸ヒドロキシルアミン塩、硝酸ヒドロキシルアミン塩及びリン酸ヒドロキシルアミン塩からなる群から選ばれる一種または複数種の塩を含む。
【0010】
本発明は、本発明の触媒組成物の存在下で、前記触媒組成物でケトオキシムのベックマン転位反応を触媒することによりアミドを生成することを含むアミドの製造方法をも提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の触媒組成物はヒドロキシルアミン塩と、硫酸と、窒素含有複素環化合物とを含んでおり、酸性イオン液体を反応触媒として利用するのに比べて、本発明の触媒組成物を使用してアミドを製造することは、水に対する許容度を向上させ、ケトオキシム転位反応の転化率が高く、アミドの選択率が高いなどの利点があり、反応操作温度(約60℃〜150℃)が低く、触媒組成物を繰り返し使用することができ、工業的な大規模生産に適している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、特定の具体的な実施例により、本発明を実施するための形態を説明する。本技術分野に習熟した者は、本明細書に開示された内容によって簡単に本発明の利点や効果を理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施例によって施行又は応用することもでき、本明細書における各項の詳しい内容も、異なる観点と応用に基づいて、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、異なる修正と変更を施すことができる。
【0013】
本発明は、アミドを製造するための触媒組成物であって、ヒドロキシルアミン塩と、硫酸と、窒素含有複素環化合物とを含む触媒組成物を提供する。
【0014】
本発明において、前記ヒドロキシルアミン塩は酸性ヒドロキシルアミン塩であり、例えば、前記酸性ヒドロキシルアミン塩は、硫酸ヒドロキシルアミン塩、塩酸ヒドロキシルアミン塩、硝酸ヒドロキシルアミン塩及びリン酸ヒドロキシルアミン塩からなる群から選ばれる一種または複数種の塩を含む。ある具体的な実施例において、好ましくは、前記ヒドロキシルアミン塩は硫酸ヒドロキシルアミン塩である。また、前記ヒドロキシルアミン塩とケトオキシムとのモル比は0.001:1〜0.05:1であり、好ましくは0.005:1〜0.05:1であり、より好ましくは0.01:1〜0.05:1である。
【0015】
具体的な実施例において、前記窒素含有複素環化合物は、下記式(I)、式(II)及びその組み合わせから選ばれる一種または複数種の化合物である。
【化2】

【0016】
その中、前記式(I)、式(II)において、それぞれの環は5員環〜10員環の一つを示し、一つまたは複数の窒素原子を含有する。R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子またはC1-8アルキル基であってもよく、前記C1-8アルキル基は、無置換のもの、またはヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、グアニジノ基(NH2C(=NH)NH-)、アミノ基(-NH2)、アミド基(-CONH2)、エステル基(-COOR、その中、RはC1-8アルキル基である)、スルホン酸基(-SO3H)、塩化スルフィニル基(ClSO-)、ヒドロキシフェニル基、C1-8アルキルチオ基、メルカプト基(-SH)、C6-10アリール基及び5員環〜10員環のヘテロアリール基から選ばれる置換基で置換されるものである。
【0017】
本発明において、「C1-8アルキル基」とは、直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキル基であり、前記C1-8アルキル基の実例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、及びシクロへキシル基を含むが、これらに限定されない。その中、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基である。
【0018】
5員環及び6員環から選ばれる窒素含有複素環化合物について説明する。そこで、選ばれた窒素含有複素環化合物は、一つまたは2つの窒素原子を含有する。例えば、前記窒素含有複素環化合物は、N-メチルイミダゾール(N-Methylimidazole)、ピリジン(Pyridine)、ピペリジン(Piperidine)及びピロリジン(Pyrrolidine)からなる群から選ばれる一種または複数種の化合物である。
【0019】
また、本発明の触媒組成物が配置されるとき、または反応器に循環されるとき、前記ヒドロキシルアミン塩と硫酸とのモル比は0.00022:1〜0.011:1であり、前記ヒドロキシルアミン塩と窒素含有複素環化合物とのモル比は0.00044:1〜0.022:1であり、前記窒素含有複素環化合物と硫酸とのモル比は1:2である。
【0020】
さらに、本発明は、本発明の触媒組成物の存在下で、前記触媒組成物でケトオキシムのベックマン転位反応を触媒することによりアミドを生成することを含むアミドの製造方法を提供する。
【0021】
本発明の方法に適用されるケトオキシムは、アセトンオキシム、ブタノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム、アセトフェノンオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、シクロヘプタノンオキシム、シクロオクタノンオキシム、及びシクロドデカノンオキシムから選ばれるものである。本発明の一つの具体的な実施例において、前記ケトオキシムはシクロヘキサノンオキシムである。
【0022】
一般的に、触媒組成物にてケトオキシムを触媒してベックマン転位反応によってアミドを生成する工程の際に、通常、溶剤(例えば、水)において、反応温度は60℃〜150℃であり、好ましくは80℃〜130℃であり、最も好ましくは90℃〜120℃であって、反応時間は0.1〜10時間であり、好ましくは0.5〜3時間であり、最も好ましくは0.5〜1時間である。
【0023】
上記方法において、ヒドロキシルアミン塩とケトオキシムとのモル比は0.001:1〜0.05:1の範囲にあり、好ましくは0.005:1〜0.05:1の範囲にあり、より好ましくは0.01:1〜0.05:1の範囲にある。
【0024】
本発明におけるアミドを製造する実例において、ケトオキシムの転化率はほぼ100%となり、カプロラクタムの選択率は99.1%に達することが可能であり、水に対する許容度が高い。従って、本発明の触媒組成物の存在下で、ケトオキシムを触媒してベックマン転位反応によってアミドを生成することは、優れた反応活性を有する。
【0025】
以下、特定の具体的な実施例により、本発明の特徴や効果をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0026】
本発明の実施例は以下の通りであるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。ケトオキシム及びアミドはガスクロマトグラフィーで分析し、ケトオキシムの転化率とアミドの選択率は下記計算式により計算される。
【数1】

【数2】

【0027】
実施例1
丸底フラスコ内に、N-メチルイミダゾール0.1モル、硫酸0.2モルと硫酸ヒドロキシルアミン0.0005モルを加えて、触媒組成物の水含有量が1%である条件の下で、マグネチックスターラーで攪拌し、110℃に昇温した後、ケトオキシム0.05モルを加え、ベックマン転位反応を行った。0.5時間反応させた後、反応物であるケトオキシムの転化率と生成物であるアミドの選択率をガスクロマトグラフで測定し、結果を下記表1に記録した。
【0028】
【表1】

【0029】
比較例1
丸底フラスコ内に、N-メチルイミダゾール0.1モルと硫酸0.2モルを加えて、触媒組成物の水含有量が1%である条件の下で、マグネチックスターラーで攪拌し、110℃に昇温した後、ケトオキシム0.05モルを加え、ベックマン転位反応を行った。0.5時間反応させた後、反応物であるケトオキシムの転化率と生成物であるアミドの選択率をガスクロマトグラフで測定し、結果を下記表2に記録した。
【0030】
【表2】

【0031】
実施例2〜5
丸底フラスコ内に、N-メチルイミダゾール0.1モル、硫酸0.2モルと所定量の硫酸ヒドロキシルアミンを加えて、触媒組成物の水含有量が1%である条件の下で、マグネチックスターラーで攪拌し、110℃に昇温した後、ケトオキシム0.05モルを加え、ベックマン転位反応を行った。0.5時間反応させた後、反応物であるケトオキシムの転化率と生成物であるアミドの選択率をガスクロマトグラフで測定し、結果を下記表3に記録した。
【0032】
【表3】

【0033】
実施例6〜9
丸底フラスコ内に、N-メチルイミダゾール0.1モル、硫酸0.2モルと硫酸ヒドロキシルアミン0.0005モルを加えて、触媒組成物が異なる水含有量を有する条件の下で、マグネチックスターラーで攪拌し、110℃に昇温した後、ケトオキシム0.05モルを加え、ベックマン転位反応を行った。0.5時間反応させた後、反応物であるケトオキシムの転化率と生成物であるアミドの選択率をガスクロマトグラフで測定し、結果を下記表4に記録した。
【0034】
【表4】

【0035】
比較例2〜5
丸底フラスコ内に、N-メチルイミダゾール0.1モルと硫酸0.2モルを加えて、触媒組成物が異なる水含有量を有する条件の下で、マグネチックスターラーで攪拌し、110℃に昇温した後、ケトオキシム0.05モルを加え、ベックマン転位反応を行った。0.5時間反応させた後、反応物であるケトオキシムの転化率と生成物であるアミドの選択率をガスクロマトグラフで測定し、結果を下記表5に記録した。
【0036】
【表5】

【0037】
実施例10〜12
丸底フラスコ内に、N-メチルイミダゾール0.1モル、硫酸0.2モルとヒドロキシルアミン塩0.0005モルを加えて、触媒組成物の水含有量が1%である条件の下で、マグネチックスターラーで攪拌し、110℃に昇温した後、ケトオキシム0.05モルを加え、ベックマン転位反応を行った。0.5時間反応させた後、反応物であるケトオキシムの転化率と生成物であるアミドの選択率をガスクロマトグラフで測定し、結果を下記表6に記録した。
【0038】
【表6】

【0039】
上記の結果に示されるように、本発明は、ヒドロキシルアミン塩、硫酸及び窒素含有複素環化合物を反応触媒組成物とし、ケトオキシムを触媒しアミドを製造した場合、ケトオキシムの転化率及びアミドの選択率が高く、特に、硫酸ヒドロキシルアミンとケトオキシムとのモル比が0.01:1〜0.05:1の間にあるとき、最も好ましい転化率と選択率を有することになる。また、本発明の触媒組成物は、転位反応の水に対する許容度を向上させることができ、生産量の向上に有利である利点を有する。
【0040】
上記の実施例は例示的に本発明の原理とその効果を述べるものに過ぎず、本発明を限定するものではない。本技術分野に習熟した者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、上記の実施例に修正と変更を施すことができる。従って、本発明の主張する権利範囲は、特許請求の範囲に記載される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケトオキシムを触媒してベックマン転位反応によってアミドを生成する触媒組成物であって、
ヒドロキシルアミン塩と、
硫酸と、
窒素含有複素環化合物と、
を含む、アミドを製造するための触媒組成物。
【請求項2】
前記窒素含有複素環化合物は、下記式(I)、式(II)及びその組み合わせから選ばれる一種または複数種の化合物である請求項1に記載の触媒組成物。
【化1】

(その中、前記式(I)、式(II)において、それぞれの環は5員環〜10員環の一つを示し、一つまたは複数の窒素原子を含有する。R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子またはC1-8アルキル基であってもよく、前記C1-8アルキル基は、無置換のもの、またはヒドロキシル基、カルボキシル基、グアニジノ基、アミノ基、アミド基、エステル基(-COOR、その中、RはC1-8アルキル基である)、スルホン酸基、塩化スルフィニル基、ヒドロキシフェニル基、C1-8アルキルチオ基、メルカプト基、C6-10アリール基及び5員環〜10員環のヘテロアリール基から選ばれる置換基で置換されるものである。)
【請求項3】
前記ヒドロキシルアミン塩は酸性ヒドロキシルアミン塩である請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項4】
前記酸性ヒドロキシルアミン塩は、硫酸ヒドロキシルアミン塩、塩酸ヒドロキシルアミン塩、硝酸ヒドロキシルアミン塩及びリン酸ヒドロキシルアミン塩からなる群から選ばれる一種または複数種の塩を含む請求項3に記載の触媒組成物。
【請求項5】
前記ヒドロキシルアミン塩とケトオキシムとのモル比は0.001:1〜0.05:1である請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項6】
前記ヒドロキシルアミン塩とケトオキシムとのモル比は0.01:1〜0.05:1である請求項5に記載の触媒組成物。
【請求項7】
前記ヒドロキシルアミン塩と硫酸とのモル比は0.00022:1〜0.011:1であり、前記ヒドロキシルアミン塩と窒素含有複素環化合物とのモル比は0.00044:1〜0.022:1であり、前記窒素含有複素環化合物と硫酸とのモル比は1:2である請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項8】
前記窒素含有複素環化合物は、N-メチルイミダゾール(N-Methylimidazole)、ピリジン(Pyridine)、ピペリジン(Piperidine)及びピロリジン(Pyrrolidine)からなる群から選ばれる一種または複数種の化合物である請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項9】
ヒドロキシルアミン塩と、硫酸と、窒素含有複素環化合物とを含む触媒組成物の存在下で、前記触媒組成物でケトオキシムのベックマン転位反応を触媒することによりアミドを生成することを含むアミドの製造方法。
【請求項10】
前記窒素含有複素環化合物は、下記式(I)、式(II)及びその組み合わせから選ばれる一種または複数種の化合物である請求項9に記載のアミドの製造方法。
【化2】

(その中、前記式(I)、式(II)において、それぞれの環は5員環〜10員環の一つを示し、一つまたは複数の窒素原子を含有する。R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子またはC1-8アルキル基であってもよく、前記C1-8アルキル基は、無置換のもの、またはヒドロキシル基、カルボキシル基、グアニジノ基、アミノ基、アミド基、エステル基(-COOR、その中、RはC1-8アルキル基である)、スルホン酸基、塩化スルフィニル基、ヒドロキシフェニル基、C1-8アルキルチオ基、メルカプト基、C6-10アリール基及び5員環〜10員環のヘテロアリール基から選ばれる置換基で置換されるものである。)
【請求項11】
前記ヒドロキシルアミン塩は酸性ヒドロキシルアミン塩である請求項9に記載のアミドの製造方法。
【請求項12】
前記酸性ヒドロキシルアミン塩は、硫酸ヒドロキシルアミン塩、塩酸ヒドロキシルアミン塩、硝酸ヒドロキシルアミン塩及びリン酸ヒドロキシルアミン塩からなる群から選ばれる一種または複数種の塩を含む請求項11に記載のアミドの製造方法。
【請求項13】
前記ヒドロキシルアミン塩とケトオキシムとのモル比は0.001:1〜0.05:1である請求項9に記載のアミドの製造方法。
【請求項14】
前記ヒドロキシルアミン塩とケトオキシムとのモル比は0.01:1〜0.05:1である請求項13に記載のアミドの製造方法。
【請求項15】
前記ヒドロキシルアミン塩と硫酸とのモル比は0.00022:1〜0.011:1であり、前記ヒドロキシルアミン塩と窒素含有複素環化合物とのモル比は0.00044:1〜0.022:1であり、前記窒素含有複素環化合物と硫酸とのモル比は1:2である請求項9に記載のアミドの製造方法。
【請求項16】
前記窒素含有複素環化合物は、N-メチルイミダゾール(N-Methylimidazole)、ピリジン(Pyridine)、ピペリジン(Piperidine)及びピロリジン(Pyrrolidine)からなる群から選ばれる一種または複数種の化合物である請求項9に記載のアミドの製造方法。
【請求項17】
前記ケトオキシムは、アセトンオキシム、ブタノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム、アセトフェノンオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、シクロヘプタノンオキシム、シクロオクタノンオキシム、及びシクロドデカノンオキシムから選ばれるものである請求項9に記載のアミドの製造方法。
【請求項18】
前記ベックマン転位反応において反応温度は60℃〜150℃であり、反応時間は0.1〜10時間である請求項9に記載のアミドの製造方法。

【公開番号】特開2013−43176(P2013−43176A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−174519(P2012−174519)
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【出願人】(599004841)中國石油化學工業開發股▲分▼有限公司 (7)
【Fターム(参考)】