説明

アミノ樹脂粒子、その製造方法およびその用途

【課題】 例えば、液晶表示板用のスペーサーとして用いた場合に、従来にない新規な構成によって、光抜け抑制能に優れるとともに、高い表示品位および液晶への信頼性や液晶表示板の動作信頼性をも兼ね備えたものにできるアミノ樹脂粒子と、このアミノ樹脂粒子を用いてなる液晶表示板用スペーサーと、を提供する。
【解決手段】 本発明にかかるアミノ樹脂粒子は、屈折率が1.6以上である。また、本発明にかかる液晶表示板用スペーサーは、このアミノ樹脂粒子が用いられてなる、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアミノ樹脂粒子と、それを用いた液晶表示板用スペーサーとに関する。さらに詳しくは、例えば、プラスチックフィルム・シートの滑り性向上剤、ブロッキング防止剤、つや消し仕上げ剤、光拡散剤、表面硬度向上剤などの各種改良剤や、液晶表示板用スペーサーや、測定・分析用標準粒子などの各種用途に有用であり、また、酸性染料、塩基性染料、蛍光染料および蛍光増白剤などの各種染料により着色すれば、塗料、インキおよびプラスチック着色用の顔料などとしても利用できる、アミノ樹脂粒子と、それを用いた液晶表示板用スペーサーとに関する。
【背景技術】
【0002】
アミノ樹脂粒子としては、メラミンやベンゾグアナミンをホルムアルデヒドによりメチロール化した初期縮合物を得た後、この初期縮合物を縮合硬化させて得られる樹脂粒子が代表的であり、機械的強度、耐溶剤性、耐熱性、耐薬品性等に優れ、プラスに帯電しやすいなどという理由から、上記各種用途に用いられることが知られている。なかでも特に、その圧縮弾性率の大きさのため、液晶表示板に用いればしっかりしたパネルを得ることができ、得られたパネル表面を指圧しても干渉縞が生じにくいということから、液晶表示板用のスペーサーとして好適に用いられることが知られている。
また、近年、これら用途分野においてはますます高性能化が進んでおり、より繊細で緻密な技術に基づく性能向上が求められているため、その要求特性は非常に高くなってきている。なかでも特に、液晶表示板用のスペーサーでは、バックライトの光漏れ・光抜けの抑制能に関し、スペーサーとしての他の性能とのバランスも含め、その要求特性の高さは顕著であり、液晶表示板のコントラスト等の表示品位に大きく関係する。
【0003】
バックライトの光抜けを防止し、コントラストを向上させるためには、従来から、一般的に、スペーサー粒子自身を例えば黒色や紺色などに着色し、実質的に遮光性にすることがなされている。このいわゆる遮光性スペーサーとしては、染料で染色したタイプや、カーボンブラックおよびチタンブラック等の黒色顔料を含有させたタイプなどがある。前者では、主に濃色系の染料で染色することにより、その色でバックライトの光(光のエネルギー)を吸収し、ひいては透過光を減少させ光抜けを抑制するようにしている。一方、後者では、濃色系のもともと不透明な顔料を含有させることにより、スペーサー粒子自身を実質的に不透明にして光抜けを抑制するようにしている。しかし、例えば、前者のタイプでは、いわゆる遮光性スペーサーにするための染色が容易であるものの、染料を完全にスペーサー中に固定化しておくことが困難なため、使用時等に液晶中に染料が溶出してしまうことが多々あり、低電圧駆動のTFT液晶表示板等に用いた場合に信頼性が低下するという問題などがある。また、後者のカーボンブラックおよびチタンブラック等の黒色顔料を含有させたタイプでは、スペーサーの硬度が高くなりすぎて、液晶表示板に用いた場合に振動によるキズが多く生じ、結果的に表示不良が多発するという問題があった。
【0004】
このような問題を解消するため、高屈折率の無機粉体を含有させることにより粒子自身の屈折率を大きくしたアミノ樹脂粒子が提案されたが、該樹脂粒子をスペーサーとして用いた場合、バックライトの光抜け抑制に優れたものとなるが、一方、低温発泡が生じたり、セルギャップ均一性に劣るという問題があった。また、従来から知られているアミノ樹脂粒子自身の屈折率は、例えば、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒドの縮合硬化粒子で1.52、また、メラミン・ホルムアルデヒドの縮合硬化粒子でも1.57であり、樹脂粒子自身の屈折率により上記問題を解消するにはまだ不十分であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、例えば、液晶表示板用のスペーサーとして用いた場合に、従来にない新規な構成によって、光抜け抑制能に優れるとともに、高い表示品位および液晶への信頼性や液晶表示板の動作信頼性をも兼ね備えたものにできるアミノ樹脂粒子と、このアミノ樹脂粒子を用いてなる液晶表示板用スペーサーと、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。
その結果、液晶表示板用スペーサーとして光抜け抑制能に優れたものとするために、新規な構成としてアミノ樹脂粒子の屈折率に着目した。屈折率に起因する光散乱効果を利用すれば、バックライトの光エネルギーの総量を減少させ、ひいては光抜けとなる透過光の量を抑制することができると考えたからであり、従来のように染料や顔料を使用して遮光性スペーサーとする技術思想とは全く異なる着想のため上記染料溶出の問題等も生じないからである。また、アミノ樹脂粒子の屈折率が他の樹脂粒子のそれよりも比較的高いことは従来から知られており、屈折率に起因する上記効果を得ようとした場合好適ではないかと考えたからである。しかしながら、従来公知のアミノ樹脂粒子であるベンゾグアナミン/メラミン/ホルムアルデヒドの縮合硬化樹脂粒子(屈折率1.52)やメラミン/ホルムアルデヒドの縮合硬化樹脂粒子(屈折率1.57)では、これらを液晶表示板用スペーサーとして用いた場合、結果として十分な光抜け抑制能を発揮することはできなかった。よって、どの程度高い屈折率であれば十分な光抜け抑制能を発揮できるのかということや、そもそも屈折率の高いアミノ樹脂粒子をスペーサーに用いることによって実質的に十分な光抜け抑制効果が得られるのか否かということも明らかではなかった。
【0007】
そこで、かかる知見に基づき、検討および試行錯誤を繰り返したところ、従来にはなかった特定の屈折率以上のアミノ樹脂粒子を用いれば、それ未満の屈折率のアミノ樹脂粒子を用いたときでは全く見られなかった、優れた光抜け抑制能を発揮し得ることを発見した。つまり、屈折率の高いアミノ樹脂粒子を用いることが実際に光抜け抑制効果を得ることにつながること、そして、十分な光抜け抑制能を発揮させるためのアミノ樹脂粒子の屈折率に関していわゆる臨界的な下限値を発見したのである。また、この発見とともに、上述のような屈折率が上記特定の値以上であるアミノ樹脂粒子を得るためには、アミノ樹脂粒子そのものの縮合硬化度をより高めるという点に着目すればよいことも発見し、そのような着想に基づく製造方法について種々の具体的条件を特定した。
【0008】
よって、このようなアミノ樹脂粒子およびその製造方法であれば、上記課題を一挙に解決できることを確認して本発明を完成した。また、このようなアミノ樹脂粒子を用いてなる液晶表示板用スペーサーであれば、上記課題を一挙に解決できることを確認して本発明を完成した。
すなわち、本発明にかかるアミノ樹脂粒子は、屈折率が1.6以上である、ことを特徴とする。
また、本発明にかかる液晶表示板用スペーサーは、上記本発明のアミノ樹脂粒子が用いられてなる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、液晶表示板用のスペーサーとして用いた場合に、従来にない新規な構成によって、光抜け抑制能に優れるとともに、高い表示品位および液晶への信頼性や液晶表示板の動作信頼性をも兼ね備えたものにできるアミノ樹脂粒子と、このアミノ樹脂粒子を用いてなる液晶表示板用スペーサーと、を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明にかかるアミノ樹脂粒子、その製造方法、および、本発明にかかるアミノ樹脂粒子が用いられてなる液晶表示板用スペーサー、に関する詳細について具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に何ら拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜実施し得る。
本発明にかかるアミノ樹脂粒子(以下、本発明のアミノ樹脂粒子と称することがある。)は、その屈折率が1.6以上であり、好ましくは1.63以上、より好ましくは1.65以上である。アミノ樹脂粒子の屈折率が、1.6未満であると、例えば、液晶表示板用スペーサーに用いた場合に、バックライトの光抜けを十分抑制することができないため好ましくない。
【0011】
本発明のアミノ樹脂粒子は、特に限定されるわけではないが、具体的には、例えば、ベンゾグアナミン、シクロへキサンカルボグアナミン、シクロへキセンカルボグアナミン、メラミン、アセトグアナミン、ノルボルネンカルボグアナミン、パラトルエンスルホンアミド、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym.−トリアジン)および尿素からなるアミノ系化合物群(A)より選ばれる少なくとも1種(以下、単に、化合物群(A)と称することがある。)と、ホルムアルデヒド(B)とを用いて反応させてなるアミノ樹脂の硬化樹脂粒子であり、詳しくは、化合物群(A)のアミノ基をホルムアルデヒド(B)によりメチロール化したものを、縮合・硬化させた樹脂の粒子である。上記メチロール化したものとは、一般に、化合物群(A)とホルムアルデヒド(B)との初期縮合物、好ましくは水親和性の初期縮合物といい、アミノ樹脂の前駆体となるものである。
【0012】
本発明のアミノ樹脂粒子は、特に限定されるわけではないが、例えば、白色または乳白色であることが好ましく、より好ましくは白色である。白色または乳白色であることによって、例えばプラスチックへの添加剤などのように、基材の色を大きく変化させない、あるいは、任意に着色することができる用途などに好ましく幅広く使用することができる。
本発明にかかるアミノ樹脂粒子の製造方法(以下、本発明の製造方法と称することがある。)については、以下のように、上記本発明のアミノ樹脂粒子を得るにあたり、上記初期縮合物を得るまでの反応過程と、この初期縮合物を用いて最終的に本発明のアミノ樹脂粒子を得るまでの反応過程と、について分けて説明する。なお、上記初期縮合物は、水親和性の初期縮合物(水親和性初期縮合物)であることが好ましく、以下においても同様とするが、特にそれを言及しない限り、初期縮合物と水親和性初期縮合物とは同等に取り扱うものとする。
【0013】
上記水親和性初期縮合物を得るまでの反応過程においては、上記ホルムアルデヒド(B)と反応させるアミノ系化合物としては、上記化合物群(A)以外のアミノ系化合物も用いてもよいが、その場合、用いるアミノ系化合物全体の40〜100重量%を上記化合物群(A)とすることが好ましい。
化合物群(A)としては、上記列挙したなかでも、ベンゾグアナミン、シクロへキサンカルボグアナミン、シクロへキセンカルボグアナミンおよびメラミンからなる群より選ばれる少なくとも1種が、球状粒子が得られやすいためより好ましく、さらにより好ましくはベンゾグアナミンおよび/またはメラミンである。
【0014】
ホルムアルデヒド(B)としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ホルマリン、トリオキサンおよびパラホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒドを発生するものであれば好ましい。アミノ系化合物群(A)とホルムアルデヒド(B)とを反応させる際は、通常、水を溶媒として用いるため、ホルムアルデヒド(B)の添加方法としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ホルマリン(水溶液)の状態で添加する方法や、トリオキサンやパラホルムアルデヒドを溶媒に添加して反応液中でホルムアルデヒドを発生させる方法などが好ましく挙げられる。
化合物群(A)とホルムアルデヒド(B)との反応させる際のモル比は、特に限定はされないが、具体的には、化合物群(A)1モルに対してホルムアルデヒド(B)が2〜4モルであることが好ましく、より好ましくは2〜3モルである。ホルムアルデヒド(B)の割合が上記範囲外となる場合は、化合物群(A)あるいはホルムアルデヒド(B)の未反応物が多くなるおそれがある。なお、反応溶媒中の、化合物群(A)およびホルムアルデヒド(B)の水への仕込み濃度は、反応に支障の無い範囲でより高濃度であることが好ましい。
【0015】
化合物群(A)とホルムアルデヒド(B)との反応させる際の、反応液のpHは、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水などを用いて、中性または弱塩基性に調整することが好ましい。反応温度は、特に限定されるわけではないが、例えば、70〜100℃であることが好ましい。そして、この反応は、反応液の粘度が、例えば、2×10−2〜5.5×10−2Pa・sとなった時点で、この反応液を冷却するなどの操作を行うことにより、終了させることが好ましい。これにより、上記水親和性初期縮合物を含む反応液が得られる。従って、反応時間は、特に限定されるものではない。反応液の粘度を、上記粘度とすることにより、ひいては粒度分布の狭い樹脂粒子を得ることができる。また、反応液の粘度が小さいほど、生成する樹脂粒子の粒子径が小さくなる傾向がある。なお、反応終了時点での反応液の粘度は、化合物群(A)およびホルムアルデヒド(B)を仕込んだ後の(反応開始時の)水溶液の粘度と比較して著しく高いため、仕込んだ原料の濃度などにはほとんど影響されない。
【0016】
上記初期縮合物の好ましい形態である水親和性初期縮合物については、水親和性の程度は、一般に、25℃で初期縮合物に水を滴下して白濁を生じるまでの水滴下量の、初期縮合物に対する割合(重量%)(以下、この値を水混和度ということがある。)によって評価され、この水混和度は、好ましくは100重量%以上であり、より好ましくは150重量%以上、さらにより好ましくは200重量%以上である。上記水混和度が100重量%未満の場合は、上記初期縮合物を界面活性剤を含んだ水溶液中でいかに分散しても、粒子径の比較的大きい不均一な乳濁液しか形成させることができず、結果的には樹脂粒子の粒子径のばらつきが大きくなる。
【0017】
次に、上記水親和性初期縮合物を原料として、本発明のアミノ樹脂粒子を得るまでの反応過程においては、本発明のアミノ樹脂粒子は、例えば、上記水親和性初期縮合物を界面活性剤を含む水性溶液中で酸性触媒の存在下で縮合硬化させて得られた粒子を、再度酸性触媒の存在下でさらに縮合硬化(再縮合硬化)させた後、この再縮合硬化させた粒子をスルファミン酸系化合物および/またはイミダゾール系化合物を含有させた水性液中において150℃以上で加熱し、加熱後この水性液から粒子を分離し、この分離した粒子を160以上で加熱処理する、ことによって得ることができる。
本発明のアミノ樹脂粒子を上述のような製造方法により得ることによって、従来よりも縮合硬化度の高いものとすることができ、所望の屈折率、すなわち、1.6以上、好ましくは1.63以上、より好ましくは1.65以上の屈折率を有するアミノ樹脂粒子とすることができる。
【0018】
詳しくは、この反応過程では、まず、原料となる水親和性初期縮合物に、酸性触媒を加えて、水性溶液中に乳濁させることが好ましく、界面活性剤および酸性触媒を加えて、水性溶液中に乳濁させることがより好ましい。その際、室温〜250℃、好ましくは40〜200℃で攪拌下に保持することが好ましい。界面活性剤および酸性触媒の添加方法については、特に限定はされず、例えば、水性溶液に予め界面活性剤および酸性触媒を混合しておいてから、水親和性初期縮合物を添加する方法でもよく、また、水性溶液中に水親和性初期縮合物を混合しておいてから界面活性剤および酸性触媒を添加する方法でもよい。
上記水性溶液としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、水、あるいは、水と水に対する溶解度が水100重量部に対して5重量部以上である有機溶剤との混合溶液、であることが好ましい。この有機溶剤としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、アセトン、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコールおよびtert−ブチルアルコールなどが挙げられ、これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0019】
水親和性初期縮合物の水性溶液中への仕込み濃度(固形分濃度)は、1〜60重量%であることが好ましく、より好ましくは2〜50重量%、さらにより好ましくは3〜30重量%である。上記固形分濃度が、1重量%未満であると、樹脂粒子の生産性が低下することとなり、60重量%を超えると、得られる樹脂粒子が肥大化したり、粒子どうしが凝集したりすることとなり、樹脂粒子の粒子径を制御することができないため、粒度分布の広い樹脂粒子しか得られない。
上記酸性触媒としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、アルキル基を有するスルホン酸であることが好ましく、さらにその他の酸を含んでいてもよい。
【0020】
上記酸性触媒の使用量は、特に限定されるわけではないが、具体的には、上記初期縮合物100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部である。上記使用量が0.1重量部未満の場合は、縮合効果に長時間を要し、硬化樹脂の安定な乳濁液が得られず凝集粗大化した粒子となり、20重量部を超える場合は、粒子の可塑化が生じて粒子間の凝集融着が生じやすくなる。
上記アルキル基を有するスルホン酸としては、特に限定はされないが、炭素数5〜20、好ましくは炭素数10〜18のアルキル基を有するスルホン酸などが好ましく挙げられる。なかでも、アルキルベンゼンスルホン酸が特に好ましい。これらアルキル基を有するスルホン酸は1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0021】
上記アルキルベンゼンスルホン酸としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、炭素数7〜20、好ましくは炭素数10〜18のアルキルベンゼンスルホン酸である。このようなアルキルベンゼンスルホン酸としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸などが好ましく挙げられる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
上記その他の酸としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、塩酸、硫酸、リン酸などの鉱酸:これら鉱酸のアンモニウム塩;スルファミン酸;ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸アミドなどのスルホン酸類;フタル酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、サリチル酸などの有機酸;などが挙げられる。これらその他の酸は、1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。上記その他の酸のなかでも、鉱酸およびスルホン酸類がより好ましく、塩酸、硫酸およびパラトルエンスルホン酸がさらにより好ましい。
【0022】
上記界面活性剤としては、特に限定されるわけではないが、具体的には、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、分子中に1個以上の重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有する重合性界面活性剤等が挙げられる。これら界面活性剤の使用量は、特に限定はされないが、初期縮合物100重量部に対し、0.01〜10重量部であることが好ましい。上記使用量が、0.01重量部未満の場合は、安定な乳濁液が得られず、10重量部を超えると球状粒子にならないおそれがある。
本発明の製造方法においては、上述のように縮合硬化させることにより一旦得られたアミノ樹脂粒子を、再度さらに縮合硬化(再縮合硬化)させる。再縮合硬化させる際は、上述のように縮合硬化させて得られたアミノ樹脂粒子を反応溶媒から分離せずそのまま用いて行ってもよいし、一旦反応溶媒から従来公知の方法により分離したアミノ樹脂粒子を用いて再度反応溶媒に仕込んで行ってもよいし、他の何らかの縮合硬化過程により得られたアミノ樹脂粒子を用いて再度反応溶媒に仕込んで行ってもよく、再縮合硬化させるアミノ樹脂粒子の種類およびその状態は、特に限定されない。
【0023】
再縮合硬化させる場合は、上述した縮合硬化反応と同様に酸性触媒の存在下で行うことが好ましい。この場合、酸性触媒の使用量は、特に限定されるわけではないが、具体的には、アミノ樹脂粒子100重量部に対して、1重量部以上であることが好ましく、より好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは2〜5重量部である。上記使用量が1重量部未満の場合は、アミノ樹脂粒子の硬化が不十分となり、所望の屈折率を有する粒子が得られないおそれがある。
再縮合硬化させる場合、その反応条件は、特に限定されるわけではないが、一般的には、反応温度は、70℃あるいはそれ以上の温度に昇温し、一定の反応時間保持することが好ましい。また、水性溶液の沸点より高い温度で行う際は、オートクレーブ等の密閉容器内で加圧して行う必要がある。ここで、反応温度は、より好ましくは80℃以上、さらにより好ましくは90℃以上である。反応時間は、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上、さらにより好ましくは1〜4時間である。反応温度が70℃未満であるとアミノ樹脂粒子の硬化が不十分となり、所望の屈折率を有する粒子が得られないおそれがある。反応時間が0.5時間未満であるとアミノ樹脂粒子の硬化が不十分となり、所望の屈折率を有する粒子が得られないおそれがある。
【0024】
本発明の製造方法においては、上記再縮合硬化させた後得られたアミノ樹脂粒子を、スルファミン酸系化合物および/またはイミダゾール系化合物を含有させた水性液中において150℃以上、好ましくは160℃以上、より好ましくは170℃以上で加熱する。この加熱を水性液の沸点より高い温度で行う際は、オートクレーブ等の密閉容器内で加圧して行う必要がある。このような加熱を行うことにより、アミノ樹脂粒子の縮合硬化をより進め、所望の屈折率を有する粒子を得ることができる。また、上記加熱の温度が150℃未満であると、所望の屈折率を有するアミノ樹脂粒子が得られないおそれがある。
上記スルファミン酸系化合物としては、特に限定されるわけではないが、具体的には、例えば、スルファミン酸(アミド硫酸)や、スルファミン酸アンモニウム(アミド硫酸アンモニウム)、スルファミン酸ニッケル(アミド硫酸ニッケル)などのスルファミン酸塩(アミド硫酸塩)などが好ましく挙げられる。
【0025】
上記イミダゾール系化合物としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−5−(ヒドロキシメチル)イミダゾール、2−アミノ−4,5−ジシアノイミダゾール、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾールトリメリテートなどが好ましく挙げられる。
【0026】
上記水性液は、水系媒体に上記スルファミン酸系化合物および/またはイミダゾール系化合物を含有させたものであるが、この水系媒体としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、アルコールやケトンなどの水溶性の有機溶媒などを適宜使用することができる。
スルファミン酸系化合物および/またはイミダゾール系化合物は、アミノ樹脂粒子に対して0.5重量%以上添加し含有させておくことが好ましく、より好ましくは0.5〜4重量%、さらにより好ましくは1〜3重量%である。0.5重量%未満である場合は、アミノ樹脂粒子の縮合硬化は進まず、所望の屈折率を有するアミノ樹脂粒子が得られないおそれがある。
【0027】
上記水性液中における加熱時間は、特に限定されるわけではないが、具体的には、例えば、1時間以上であることが好ましく、より好ましくは2時間以上、さらにより好ましくは3時間以上である。上記加熱時間が、1時間未満である場合は、アミノ樹脂粒子の縮合硬化は進まず、所望の屈折率を有するアミノ樹脂粒子が得られないおそれがある。
なお、上記スルファミン酸系化合物および/またはイミダゾール系化合物は、水性液の加熱前は上記水系媒体には溶解せず混合している状態であってもよく特に限定されるわけではないが、水性液を加熱した後は溶解することが好ましい。
本発明の製造方法においては、上記水性液中での加熱後、一旦上記水溶液中からアミノ樹脂粒子を分離し、分離した粒子を160℃以上、好ましくは170℃以上、より好ましくは180℃以上で加熱処理する。このような加熱処理を行うことにより、アミノ樹脂粒子の縮合硬化をより進め、所望の屈折率を有する粒子とすることができる。また、上記加熱処理の温度が160℃未満であると、所望の屈折率を有するアミノ樹脂粒子が得られないおそれがある。
【0028】
上記水性液中からの分離については、特に限定されるわけではなく、従来公知の方法を用いれば良く、例えば、自然沈降法あるいは遠心沈降法とデカンテーションとによる分離やろ過による分離などの各種分離法を用いればよい。また、分離に先立って、硫酸アルミニウム等の凝集剤を添加して分離を促進することもできる。
上記加熱処理の方法としては、特に限定されるわけではないが、具体的には、上記分離したアミノ樹脂粒子を、乾燥機、熱風乾燥機、真空(減圧)乾燥機などの装置を用いて加熱処理する方法が好ましい。
上記加熱処理の時間は、特に限定されるわけではないが、具体的には、例えば、1時間以上であることが好ましく、より好ましくは1〜8時間、さらにより好ましくは2〜5時間である。1時間未満である場合は、アミノ樹脂粒子の縮合硬化が不十分となり、所望の屈折率を有する粒子が得られないおそれがある。
【0029】
本発明の製造方法においては、特に限定されるわけではないが、上述のような過程を経てアミノ樹脂粒子を得た後、さらに得られたアミノ樹脂粒子の精製、分級を行うことが好ましい。つまり、所望のアミノ樹脂粒子以外の不純物を除去したり、アミノ樹脂粒子を所望の大きさで均一化することが好ましい。
上記精製については、その方法は特に限定はされないが、濾紙などを用いた通常の濾過方法によりアミノ樹脂粒子のみを得る方法や、デカンテによりアミノ樹脂粒子以外の上澄みを捨てる方法などが、簡便でもあるため好ましい。
上記分級については、その方法は特に限定されず、アミノ樹脂粒子を溶媒に分散させた状態で行う湿式分級であっても、乾式分級であってもよいとする。
【0030】
分級のための装置としては、特に限定はされないが、例えば、サイクロン、沈降塔、あるいは、ふるい等が好ましく用いられる。なお、ふるいは一定の目開きを通過するか否かで分級を行うものであり、例えば、目開き10μm以上のものについては細線を編んだふるいが用いられ、例えば、目開き20μm以下のものについては金属箔などをエッチングにより微細な孔をあけたものや、電成ふるいと呼ばれる、メッキによって矩形の孔を有するスクリーンを作製したものが用いられ、これらは細線を編んだふるいと比較して目開きが非常によくそろっており分級の精度を向上させることができる。特に電成ふるいはエッチングにより孔をあけたものと比較して、厚みより小さな孔加工が可能であり、サイドエッジがなく断面形状がきれいな優れたふるいであるため、本発明においても電成ふるいにより分級を行うことが特に好ましい。以下、電成ふるいについて詳しく説明する。
【0031】
上記電成ふるいとは、メッキによって矩形の孔を有するスクリーンを作製したものである。電成ふるいの作成方法としては、高精度にクロスライン状に腐食させたガラス原板上に、真空蒸着、スパッタリング等の物理メッキ、あるいは電解メッキ、無電解メッキ等の化学メッキにより導電性被膜を形成した後、腐食部分の溝以外のメッキ層を除去し、これに電解メッキ等の方法でメッシュを形成し、ガラス原板から剥離する方法が挙げられる。このようにして作製されたメッシュはガラス原板から剥離後、必要に応じてさらに電解メッキを施してもかまわない。また、他の作成方法として、ガラス平板上に真空蒸着、スパッタリング等の物理メッキ、あるいは電解メッキ、無電解メッキ等の化学メッキにより導電性被膜を形成し、その被膜上にレジストを塗布した後、所定の形状のパターンを形成し、その後エッチングによりパターン以外の部分を除去し、ガラス原板から剥離後、電解メッキを施す方法も挙げられる。
【0032】
電成ふるいの材質としては、金、白金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル及びこれらをベースとする種々の合金が用いられるが、ふるいの耐久性、耐蝕性やメッキ作業の容易さからニッケルを主成分とするものが特に好ましく用いられる。
電成ふるいは、開孔径、単位あたりの開孔数の調整が容易であるばかりでなく、開孔径分布が非常に良好であるため、ふるいとして用いた場合、非常に精度良く分級することが可能となる。
電成ふるいは非常に薄いため簡単に傷ついたり、破れたりし、分級された粒子へ金属系不純物の混入のおそれがある。特に分級した接着性スペーサーを液晶表示等の電子デバイスに用いる場合、金属系不純物の混入は品質および信頼性の低下の原因となるため重大な問題である。この問題を回避するため、電成ふるいの片面あるいは両面に格子状あるいはリング状等のサポートを設けて強度を上げることが好ましい。
【0033】
電成ふるいの分級装置への取り付けに関しては、特に超音波振動を印加する場合など、電成ふるいと分級装置とが擦れて電成ふるいが破損し分級された粒子へ金属系不純物が混入するおそれがあるため、エラストマーからなる部材を介して取り付けることが好ましい。
電成ふるいを用いた分級においては、粒子の分散液を電成ふるいを備えた分級装置に通すことによって湿式法により分級を行うことが好ましい。媒体として不活性ガスや空気などを用いる乾式法と比較して、湿式法による場合の方が超音波の照射効率、分散の安定性が高く、また電成ふるいへの粒子の付着が少ない。特に液晶表示装置用接着性スペーサー等の粒子径の小さいものは、一般的に凝集力が強いため、乾式法では分散が不十分になる場合がある。上記湿式法において、粒子を分散させる液状媒体としては、用いる電成ふるいの材質、開孔径、線数および粒子の性状あるいは粒子径分布などによって適切に選択することができる。また、分級に際しては、分級装置内に超音波照射チップを挿入した場合、水等の液状媒体に超音波照射を行うことで、分級の効率を好ましく向上させることができる。
【0034】
上記分級においては、アミノ樹脂粒子は、平均粒子径0.5〜50μmとなるように調製されることが好ましく、より好ましくは1.0〜40μm、さらにより好ましくは1.5〜30μmである。特に、本発明の製造方法により得られたアミノ樹脂粒子を、液晶表示板用スペーサーとして用いる場合は、上記平均粒子径は、1.0〜30μmとなるように調製されることが好ましく、より好ましくは1.0〜25μm、さらにより好ましくは1.0〜20μmである。
同様に、粒度分布については、変動係数が1〜50%であることが好ましく、より好ましくは2〜40%、さらにより好ましくは2〜30%である。特に、本発明の製造方法により得られたアミノ樹脂粒子を、液晶表示板用スペーサーとして用いる場合は、上記変動係数は、1〜10%となるように調製されることが好ましく、より好ましくは2〜8%、さらにより好ましくは2〜6%である。
【0035】
上記分級が、湿式分級の場合は、分級後のアミノ樹脂粒子を単離する。単離する方法としては、特に限定されないが、例えば、遠心分離、デカンテーション、溶媒を蒸発させる方法などがある。
本発明のアミノ樹脂粒子、および、本発明の製造方法により得られるアミノ樹脂粒子は、その用途としては、特に限定されるわけではないが、具体的には、例えば、プラスチックフィルム・シートの滑り性向上剤、ブロッキング防止剤、つや消し仕上げ剤、光拡散剤、表面硬度向上剤などの各種改良剤や、液晶表示板用スペーサーや、測定・分析用標準粒子などの各種用途に有用であり、また、酸性染料、塩基性染料、蛍光染料および蛍光増白剤などの各種染料により着色すれば、塗料、インキおよびプラスチック着色用の顔料、液晶表示板用着色スペーサーなどとして用いることもできる。上記各種用途のなかでも、特に、液晶表示板用スペーサーとして用いることが好ましい。
【0036】
本発明にかかる液晶表示板用スペーサー(以下、本発明の液晶表示板用スペーサーと称することがある。)は、屈折率が1.6以上、好ましくは1.63以上、より好ましくは1.65以上である上記本発明のアミノ樹脂粒子が用いられてなるものであり、優れた光抜け抑制能を発揮し得る。上記屈折率が1.6未満の場合は、バックライトによる光抜けが増大するおそれがある。上記本発明のアミノ樹脂粒子を用いることによって、優れた光抜け抑制能とともに、液晶への信頼性や液晶表示板への動的信頼性にも優れた液晶表示板用スペーサーとすることができる。
本発明の液晶表示板用スペーサーについては、本発明のアミノ樹脂粒子そのものがスペーサーとして用いられていても、本発明のアミノ樹脂粒子に何らかの処理を施すことにより特定の物性を有するスペーサーとして用いられていてもよく、特に限定はされず、どのような形態で用いられても有用なスペーサーとすることができる。例えば、本発明のアミノ樹脂粒子を粒子本体としてその表面を樹脂等で被覆することにより接着層を形成させた液晶表示板用接着性スペーサーや、本発明のアミノ樹脂粒子の合成時の反応系に染料などを含ませておくことによって樹脂粒子そのものを着色した液晶表示板用着色スペーサー、または、これら接着性と着色の機能を組み合わせた液晶表示板用接着性の着色スペーサー、などが、本発明の液晶表示板用スペーサーの形態として好ましく挙げられる。
【0037】
本発明の液晶表示板用スペーサーは、テレビ、モニター、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、カーナビゲーションシステム、DVD、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、PHS(携帯情報端末)などの種々の液晶表示装置に搭載されるスペーサーとして好ましく用いることでき、いずれにおいても上述したような優れた効果を発揮することができる。
【実施例】
【0038】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と記すことがある。
本実施例、比較例における測定方法について以下に示す。
〔圧縮弾性率〕
微小圧縮試験機(島津製作所社製、製品名:MCTM−200)を用いて、1個の粒子を圧縮速度0.27gf/sで圧縮する。その際、10%の圧縮変形における圧縮弾性率を下記式:
K=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2
(式中、Fは、粒子の10%圧縮変形における荷重値(kgf)を表し、Sは、粒子の10%圧縮変形における圧縮変位(mm)を表し、Rは、粒子の半径(mm)を表す。)
に従って求める。
〔屈折率〕
以下(i)〜(iii)の手順により求めることができる。
【0039】
(i) スライドグラス上に粒子をのせ、表1の液状の有機化合物または混合した有機化合物(以下、「化合物」と称す。)を添加し、カバーガラスで挟む。
(ii) 25℃で光学顕微鏡(透過)を用いて観察し、粒子が最も見えにくい化合物の種類を選択する。
(iii) 粒子が最も見えにくい化合物に対応する数値(表1)を粒子の屈折率とする。
なお、混合した有機化合物を使用した場合、その屈折率に関しては混合割合の加成性が成り立つものとし、計算により求めることができるとする。例えば、トルエン(Toluene)とニトロベンゼン(Nitrobenzene)とを1:2で混合した場合、その混合物の屈折率は、表1の数値を参考にして計算すると、
(1.496×1/3)+(1.550×2/3)≒1.532
となる。
【0040】
【表1】

【0041】
−実施例1−
四つ口フラスコにメラミン75部、ベンゾグアナミン75部、濃度37%のホルマリン238部および濃度10%の炭酸ナトリウム水溶液1.07部を仕込み混合物とした。この混合物を攪拌しながら85℃に昇温して重合を行い、水混和度250%の初期縮合物を得た。別に、ノニオン系界面活性剤のエマルゲン430(花王製、ポリオキシエチレンオレイルエーテル)6.0部を水2455部に溶解しておき、この界面活性剤水溶液の温度を50℃に昇温して攪拌した。攪拌状態下にある界面活性剤水溶液に上記初期縮合物を投入して、初期縮合物の乳濁液を得た。これに5%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液90部を加え、50〜60℃の温度で3時間保って縮合硬化し、硬化樹脂の乳濁液を得た。この乳濁液を冷水3000部に投入し急冷した。次いで、この乳濁液から硬化樹脂を沈降分離して得られたペーストを上記エマルゲン430 7.5部とドデシルベンゼンスルホン酸4.5部とを水2000部に溶解させて得た水溶液中に、超音波分散機を用いて分散した。分散して得られた乳濁液を徐々に90℃まで昇温することにより再縮合硬化し、1時間保持した後に急冷した。この乳濁液から硬化樹脂を沈降分離することにより、メラミン/ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒドのアミノ樹脂の硬化球状微粒子を得た。
【0042】
上記アミノ樹脂の硬化球状微粒子50g、水450g、スルファミン酸アンモニウム0.5gを、2リットルのオートクレーブに仕込んだ。窒素で置換した後、170℃まで昇温して3時間加熱加圧処理した。この処理後、粒子をろ別により分離し、純水で数回洗浄した後、160℃で4時間加熱処理することで乾燥し、その後解砕して、白色である実施例1のアミノ樹脂粒子(以下、アミノ樹脂粒子(1)と称すことがある。)を得た。
得られたアミノ樹脂粒子(1)の粒度分布を粒度分布測定機(コールター社製、コールターマルチサイザー)で測定したところ、平均粒子径が3.50μm、変動係数が3.2%であった。また、アミノ樹脂粒子(1)は、10%変形時の圧縮弾性率が1050kg/mmであり、25℃における屈折率が1.61であった。
【0043】
このようにして得られたアミノ樹脂粒子(1)を、液晶表示板用のスペーサーとして用い、従来公知の方法により、ノーマリーブラックタイプの12インチの低電圧駆動用低温ポリシリコンTFT透過型液晶表示板を作成したところ、スペーサーからのバックライトの光漏れは十分抑制されており、コントラストが高く、表示品位に優れた液晶表示板が得られた。また、50℃、1000時間の信頼性試験を行っても、以上は見られなかった。さらに、X、Y、Z方向に、3Gの振動を加えて耐振動性試験を行ったが、スペーサー周囲の光抜けの増大はなく、高コントラストを維持していた。
−実施例2−
実施例1において、メラミン75部およびベンゾグアナミン75部を、メラミン150部とした以外は同様の操作を行い、白色である実施例2のアミノ樹脂粒子(以下、アミノ樹脂粒子(2)と称すことがある。)を得た。
【0044】
得られたアミノ樹脂粒子(2)の粒度分布を粒度分布測定機(コールター社製、コールターマルチサイザー)で測定したところ、平均粒子径が2.20μm、変動係数が3.9%であった。また、アミノ樹脂粒子(2)は、10%変形時の圧縮弾性率が1590kg/mmであり、25℃における屈折率が1.63であった。
このようにして得られたアミノ樹脂粒子(2)を、液晶表示板用のスペーサーとして用い、従来公知の方法により、ノーマリーブラックタイプの12インチの低電圧駆動用低温ポリシリコンTFT透過型液晶表示板を作成したところ、スペーサーからのバックライトの光漏れは十分抑制されており、コントラストが高く、表示品位に優れた液晶表示板が得られた。また、50℃、1000時間の信頼性試験を行っても、以上は見られなかった。さらに、X、Y、Z方向に、3Gの振動を加えて耐振動性試験を行ったが、スペーサー周囲の光抜けの増大はなく、高コントラストを維持していた。
【0045】
−実施例3−
実施例1において、スルファミン酸アンモニウムの代わりに1−シアノエチル−2−メチルイミダゾールトリメリテートを用いた以外は同様の操作を行い、白色である実施例3のアミノ樹脂粒子(以下、アミノ樹脂粒子(3)と称すことがある。)を得た。
得られたアミノ樹脂粒子(3)の粒度分布を粒度分布測定機(コールター社製、コールターマルチサイザー)で測定したところ、平均粒子径が3.45μm、変動係数が3.8%であった。また、アミノ樹脂粒子(3)は、10%変形時の圧縮弾性率が1190kg/mmであり、25℃における屈折率が1.64であった。
【0046】
このようにして得られたアミノ樹脂粒子(3)を、液晶表示板用のスペーサーとして用い、従来公知の方法により、ノーマリーブラックタイプの12インチの低電圧駆動用低温ポリシリコンTFT透過型液晶表示板を作成したところ、スペーサーからのバックライトの光漏れは十分抑制されており、コントラストが高く、表示品位に優れた液晶表示板が得られた。また、50℃、1000時間の信頼性試験を行っても、以上は見られなかった。さらに、X、Y、Z方向に、3Gの振動を加えて耐振動性試験を行ったが、スペーサー周囲の光抜けの増大はなく、高コントラストを維持していた。
−実施例4−
実施例2において、スルファミン酸アンモニウムの代わりに1−シアノエチル−2−メチルイミダゾールトリメリテートを用いた以外は同様の操作を行い、白色である実施例4のアミノ樹脂粒子(以下、アミノ樹脂粒子(4)と称すことがある。)を得た。
【0047】
得られたアミノ樹脂粒子(4)の粒度分布を粒度分布測定機(コールター社製、コールターマルチサイザー)で測定したところ、平均粒子径が2.17μm、変動係数が4.0%であった。また、アミノ樹脂粒子(4)は、10%変形時の圧縮弾性率が1730kg/mmであり、25℃における屈折率が1.67であった。
このようにして得られたアミノ樹脂粒子(4)を、液晶表示板用のスペーサーとして用い、従来公知の方法により、ノーマリーブラックタイプの12インチの低電圧駆動用低温ポリシリコンTFT透過型液晶表示板を作成したところ、スペーサーからのバックライトの光漏れは十分抑制されており、コントラストが高く、表示品位に優れた液晶表示板が得られた。また、50℃、1000時間の信頼性試験を行っても、以上は見られなかった。さらに、X、Y、Z方向に、3Gの振動を加えて耐振動性試験を行ったが、スペーサー周囲の光抜けの増大はなく、高コントラストを維持していた。
【0048】
−比較例1−
実施例1において、粒子の分離・洗浄後の加熱処理(乾燥)温度を160℃から100℃にした以外は同様の操作を行い、白色である比較例1のアミノ樹脂粒子(以下、比較アミノ樹脂粒子(1)と称すことがある。)を得た。
得られた比較アミノ樹脂粒子(1)の粒度分布を粒度分布測定機(コールター社製、コールターマルチサイザー)で測定したところ、平均粒子径が3.53μm、変動係数が3.8%であった。また、比較アミノ樹脂粒子(1)は、10%変形時の圧縮弾性率が950kg/mmであり、25℃における屈折率が1.55であった。
【0049】
このようにして得られた比較アミノ樹脂粒子(1)を、液晶表示板用のスペーサーとして用い、従来公知の方法により、ノーマリーブラックタイプの12インチの低電圧駆動用低温ポリシリコンTFT透過型液晶表示板を作成したところ、スペーサーからのバックライトの光漏れが認められ、コントラストが劣っていた。
−比較例2−
実施例1において、スルファミン酸アンモニウムを用いて加熱加圧する際の温度を170℃から130℃にした以外は同様の操作を行い、白色である比較例2のアミノ樹脂粒子(以下、比較アミノ樹脂粒子(2)と称すことがある。)を得た。
【0050】
得られた比較アミノ樹脂粒子(2)の粒度分布を粒度分布測定機(コールター社製、コールターマルチサイザー)で測定したところ、平均粒子径が3.55μm、変動係数が4.1%であった。また、比較アミノ樹脂粒子(2)は、10%変形時の圧縮弾性率が900kg/mmであり、25℃における屈折率が1.54であった。
このようにして得られた比較アミノ樹脂粒子(2)を、液晶表示板用のスペーサーとして用い、従来公知の方法により、ノーマリーブラックタイプの12インチの低電圧駆動用低温ポリシリコンTFT透過型液晶表示板を作成したところ、スペーサーからのバックライトの光漏れが認められ、コントラストが劣っていた。
【0051】
−比較例3−
実施例1において、スルファミン酸アンモニウムを用いて加熱加圧する際にアントラキノン系の酸性染料(カヤシルスカイブルーR(日本化薬社製))10gを添加した以外は、実施例1と同様の操作を行い、濃青色である比較例3のアミノ樹脂粒子(以下、比較アミノ樹脂粒子(3)と称すことがある。)を得た。
得られた比較アミノ樹脂粒子(3)の粒度分布を粒度分布測定機(コールター社製、コールターマルチサイザー)で測定したところ、平均粒子径が3.54μm、変動係数が3.9%であった。また、比較アミノ樹脂粒子(3)は、10%変形時の圧縮弾性率が980kg/mmで、着色のため屈折率は測定不可能であった。
【0052】
このようにして得られた比較アミノ樹脂粒子(3)を、液晶表示板用のスペーサーとして用い、従来公知の方法により、ノーマリーブラックタイプの12インチの低電圧駆動用低温ポリシリコンTFT透過型液晶表示板を作成したところ、スペーサーからのバックライトの光漏れは十分抑制されており、コントラストが高く、表示品位に優れた液晶表示板が得られた。しかしながら、実施例1と同様の信頼性試験を行ったところ、300時間経過した時点で焼付きが認められた。
−比較例4−
実施例1において、初期縮合物にカーボンブラックを10部混合した以外は同様の操作を行い、黒色である比較例4のアミノ樹脂粒子(以下、比較アミノ樹脂粒子(4)と称すことがある。)を得た。
【0053】
得られた比較アミノ樹脂粒子(4)の粒度分布を粒度分布測定機(コールター社製、コールターマルチサイザー)で測定したところ、平均粒子径が3.51μm、変動係数が4.3%であった。また、比較アミノ樹脂粒子(4)は、10%変形時の圧縮弾性率が2100kg/mmであった。
このようにして得られた比較アミノ樹脂粒子(4)を、液晶表示板用のスペーサーとして用い、従来公知の方法により、ノーマリーブラックタイプの12インチの低電圧駆動用低温ポリシリコンTFT透過型液晶表示板を作成したところ、スペーサーからのバックライトの光漏れは十分抑制されていたが、カーボンブラックの導電性の影響により、所定の電圧をかけても所望の透過率が得られなかった。また、実施例1と同様の耐振動性試験を行ったところ、スペーサーが移動して、その移動に起因する配向膜やカラーフィルターの損傷(いわゆる振動きず)が多く発生し、表示品位が大幅に低下した。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、例えば、液晶表示板用のスペーサーとして用いた場合に、従来にない新規な構成によって、光抜け抑制能に優れるとともに、高い表示品位および液晶への信頼性や液晶表示板の動作信頼性をも兼ね備えたものにできるアミノ樹脂粒子およびその用途として好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率が1.6以上である、アミノ樹脂粒子。
【請求項2】
ベンゾグアナミン、シクロへキサンカルボグアナミン、シクロへキセンカルボグアナミン、メラミン、アセトグアナミン、ノルボルネンカルボグアナミン、パラトルエンスルホンアミドおよび尿素からなる群より選ばれる少なくとも1種とホルムアルデヒドとを反応させてなる、請求項1に記載のアミノ樹脂粒子。
【請求項3】
白色または乳白色である、請求項1に記載のアミノ樹脂粒子。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれかに記載のアミノ樹脂粒子が用いられてなる、液晶表示板用スペーサー。


【公開番号】特開2007−186716(P2007−186716A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93446(P2007−93446)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【分割の表示】特願2001−344945(P2001−344945)の分割
【原出願日】平成13年11月9日(2001.11.9)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】