説明

アルコキシベンジルアミン

【課題】 抗菌作用を有する新規なアルコキシベンジルアミンの提供。
【解決手段】 式(1):

〔式中R1及びR2は、水素;C1−C20アルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、C3−C12シクロアルキル、C3−C7シクロアルキル−C1−C20アルキル、C1−C6アルコキシ−C1−C20アルキル、C1−C12アルコシキカルボニル、フェニル若しくはフェニル−C1−C20アルキル;カルボキシ;又はピリジノ−C1−C5アルキルであるか;或いはR1及びR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員〜7員単環複素環を形成し;R3及びR4は、C1−C20アルキルであり;そしてnは、0又は1である〕で示される化合物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルコキシベンジルアミン類、そのような化合物の調製及びグラム陽性菌とグラム陰性菌、酵母菌及び菌類に対する抗菌作用物質として表面の抗菌処理のため、また、化粧品、家庭用品、織物及びプラスチックの保存ためのその使用及び殺菌剤における使用に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】本発明のアルコキシベンジルアミン類は、式(1):
【0003】
【化8】


【0004】〔式中R1及びR2は、互いに独立して、水素;C1−C20アルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、C3−C12シクロアルキル、C3−C7シクロアルキル−C1−C20アルキル、C1−C6アルコキシ−C1−C20アルキル、C1−C12アルコキシカルボニル、フェニル若しくはフェニル−C1−C20アルキル(ここで、それぞれ非置換又は1個以上のヒドロキシ、ハロゲン、C1−C18アルキル、C1−C18アルコキシ若しくはアミノで置換されている);カルボキシ;又はピリジノ−C1−C5アルキルであるか;或いはR1及びR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員〜7員単環複素環式環を形成し;R3及びR4は、互いに独立して、C1−C20アルキル(これは、非置換又は1個以上のヒドロキシ、ハロゲン,C1−C18アルキル、C1−C18アルコキシ若しくはアミノで置換されている)であり;そしてnは、0又は1である〕に対応する。
【0005】C1−C20アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミル、イソアミル若しくはtert−アミル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オキタデシル又はエイコシルである。
【0006】C3−C18シクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル、シクロテトラデシル、シクロペンタデシル、シクロヘキサデシル、シクロヘプタデシル又はシクロオクタデシル、特に、シクロヘキシルである。
【0007】アルケニルは、上記定義の文脈内において、とりわけ、アリル、イソプロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−ペンタ−2,4−ジエニル、3−メチル−ブト−2−エニル、n−オクト−2−エニル、n−ドデク−2−エニル、イソドデセニル、n−ドデク−2−エニル及びn−オクタデク−4−エニルである。
【0008】C1−C5アルコキシ基は直鎖状又は分岐鎖状であり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ、オクタデシルオキシ又はエイコシルオキシである。
【0009】アルキニルには、例えば、エチニル、プロパルギル、2−ブチニル、1−ペンテニル及び2−ペンテニルが含まれる。
【0010】好ましくは、R1及びR2が、互いに独立して、水素;C1−C20アルキル、C5−C7シクロアルキル、フェニル若しくはフェニル−C1−C4アルキル(ここで、それぞれ非置換又は1個以上のヒドロキシ、ハロゲン、C1−C18アルキル、C1−C18アルコキシ若しくはアミノで置換されている);又はピリジノ−C1−C5アルキルである、式(1)の化合物である。
【0011】それらのうち、特に好ましくは、R1及びR2が、互いに独立して、C1−C20アルキル;フェニル;フェニル−C1−C4アルキル;又はピリジノ−C1−C4アルキルである、式(1)の化合物であり、特に、R1及びR2が、互いに独立して、C1−C12アルキル;ベンジル;又はピリジノエチルである、式(1)の化合物である。
【0012】また、好ましくは、R1及びR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、−(CH22-6−基(これは、更に置換されていないか、又は1個以上のC1−C5アルキル基で置換され、場合により1又は2個の−O−及び/若しくは−NR′−基及び/若しくは下記の式:
【0013】
【化9】


【0014】で中断されている)を形成し;R′が、水素;C1−C18アルキル、C5−C7シクロアルキル若しくはフェニル(ここで、それぞれ非置換又は1個以上のヒドロキシ、ハロゲン、C1−C18アルキル、C1−C18アルコキシ、アミノ若しくは第四級アンモニウムで置換されている);又は−COR″であり;そしてR″が、水素;又はC1−C4アルキルである、式(1)の化合物である。
【0015】それらのうち、特に好ましくは、R′が、水素;C1−C5アルキル;下記式:
【0016】
【化10】


【0017】の基;又は下記式:
【0018】
【化11】


【0019】の基であり、そしてR′″が、水素;又はC1−C5アルキルである、式(1)の化合物であり、更に特別には、R3及びR4が、互いに独立してC1−C18アルキルである、式(1)の化合物である。
【0020】特に好ましくは、R3がC3−C12アルキルである式(1)の化合物であり、R4がメチルであるそのような化合物である。
【0021】また、好ましくは、R3及びR4が同一の意味を有する式(1)の化合物である。
【0022】式(2):
【0023】
【化12】


【0024】(式中R1、R2、R3、R4及びnは、式(1)と同義である)の化合物が特に好ましい。
【0025】特に好ましくは、R1及びR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、−(CH22-6−基(これは、更に置換されていないか、又は1個以上のC1−C5アルキル基で置換され、場合により1又は2個の−O−及び/若しくは−NR′−基及び/若しくは下記の式:
【0026】
【化13】


【0027】で中断されている)を形成し;R′が、水素;C1−C18アルキル、C5−C7シクロアルキル若しくはフェニル(ここで、それぞれ非置換又は1個以上のヒドロキシ、ハロゲン、C1−C18アルキル、C1−C18アルコキシ、アミノ若しくは第四級アンモニウムで置換されている);又は−COR″であり;そしてR″が、水素;又はC1−C4アルキルであり;R3及びR4が、互いに独立してC1−C18アルキルであり;そしてnが0又は1である、式(2)の化合物である。
【0028】更に好ましくは、R1及びR2が、互いに独立して、C1−C20アルキル;フェニル;フェニル−C1−C4アルキル;又はピリジノ−C1−C4アルキルであり、R3がC3−C12アルキルであり;そしてR4がC1−C12アルキル、特にメチルである、式(2)の化合物である。
【0029】更なる本発明のアルコキシベンジルアミン類を例として下記の表1に示す。
【0030】
【表1】


【0031】
【表2】


【0032】
【表3】


【0033】
【表4】


【0034】
【表5】


【0035】
【表6】


【0036】
【表7】


【0037】
【表8】


【0038】
【表9】


【0039】
【表10】


【0040】
【表11】


【0041】
【表12】


【0042】
【表13】


【0043】
【表14】


【0044】
【表15】


【0045】
【表16】


【0046】
【表17】


【0047】
【表18】


【0048】
【表19】


【0049】
【表20】


【0050】
【表21】


【0051】
【表22】


【0052】
【表23】


【0053】
【表24】


【0054】
【表25】


【0055】
【表26】


【0056】
【表27】


【0057】
【表28】


【0058】マイクロタイタープレートにおける最小阻害濃度(MIC値)の測定培養液:試験細菌及び酵母菌のプレカルチャーを調製するためのカゼイン大豆小麦粉ペプトンブロス
【0059】使用した試験生物:Staphylococcus hominis DSM 20328Escherichia coli NCTC 8196
【0060】手順:試験物質をジメチルスルホキシド(DMSO)に予め溶解し、一連の希釈1:2で試験した。細菌をCASOブロスで一晩培養し、0.85%塩化ナトリウム溶液10ml(+0.1% Triton X−100)を使用して洗浄した。すべての試験生物を、0.85%塩化ナトリウム溶液を用いて1−5×106CFU/ml生物カウントに調整した。試験物質をマイクロタイタープレートに各ウエル8μlの量で予めピペットした。予め希釈した試験生物の懸濁液をCASOブロス中で1:100に希釈した。試験バッチを37℃で48時間インキュベートした。インキュベートした後、成長を、マイクロプレート読取機により620nmで試験バッチ(光学濃度)の濁度に基づいて測定した。最小阻害濃度(MIC値)は、試験生物の明らかな成長阻害(≦20%成長)が見出される(対照の成長と比較して)物質の濃度である。各試験生物と物質濃度に対して1個のマイクロタイタープレートを使用した。物質は全て2重に試験した。
【0061】本発明のアルコキシベンジルアミン類は慣用の合成方法により調製される。第1反応工程では、アルコキシヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド又はジヒドロキシベンズアルデヒドを、適切な溶媒、例えばトルエン、キシレン、DMF又はTHF中、補助塩基、例えばナトリウムアルカノラート(メタノラート、エタノラート、tert−ブタノラート)、ソーダ、カリ又は水酸化ナトリウムを使用して、適切なハロゲン化アルキルにより、40〜130℃の温度で1〜24時間アルキル化して、対応するモノ−又はビスアルコキシベンズアルデヒドを形成する。次に対応するモノ−又はビスアルコキシベンズアルデヒドを、適切な溶媒、例えば、THF、ジオキサン若しくはトルエン中、或いは水除去剤、例えばオルトギ酸トリメチル若しくは分子篩によるか、又は共沸蒸留により水を除去することにより溶媒を用いない過剰量の第二級アミン中、第二級アミンで縮合する。還元剤、例えば、シアノホウ水素化ナトリウム、ホウ水素化ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム又はギ酸を同時に加えて、10〜120℃の温度で0.5〜24時間かけて対応するモノ−又はビスアルコキシベンジルアミン類を直接得る。
【0062】反応の完全な過程を下記のスキームにより示すことができる。
【0063】
【化14】


【0064】本発明で使用されるアルコキシベンジルアミン類は、特に病原性グラム陽性及びグラム陰性菌に対して、そして皮膚の細菌叢に対して、また酵母菌及びかびに対して著しい抗菌作用を示す。
【0065】したがって消毒、脱臭のため、皮膚と粘膜及び外皮付属物(毛髪)の一般的及び抗菌処理のために特に適切であり、更に手及び創傷の消毒のために特に適切である。
【0066】したがって、例えば、シャンプー、入浴用添加剤、ヘアケア調製物、液体及び固形石鹸(合成界面活性剤と飽和及び/又は不飽和脂肪酸に基づく)、ローション及びクリーム、脱臭剤、他の水性又はアルコール性溶剤、例えば、皮膚の清浄溶剤、湿性清浄布、油剤又は粉末剤のようなパーソナルケア調製物における抗菌作用物質及び防腐剤として適切である。
【0067】したがって本発明は、また、少なくとも1個の式(1)の化合物及び化粧用に許容されうる担体又は補助剤を含むパーソナルケア調製物に関する。
【0068】本発明のパーソナルケア調製物は、式(1)の化合物を組成物の全重量に対して0.01〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%、そして化粧用として許容されうる補助剤を含有する。
【0069】パーソナルケア調製物の形態に応じて、式(1)のアルコキシベンジルアミンに加えて、更なる成分、例えば、金属イオン封鎖剤、着色剤、香油、増粘剤又は凝固剤(稠度制御剤)、皮膚軟化剤、UV吸収剤、皮膚保護剤、酸化防止剤、例えば、ジカルボン酸及び/又はアルミニウム、亜鉛、C14−C22脂肪酸のカルシウム若しくはマグネシウム塩のような機械的特性を改善する添加物、場合により防腐剤が含まれる。
【0070】本発明のパーソナルケア調製物は、油中水若しくは水中油エマルション、アルコール若しくはアルコール含有配合物、イオン若しくは非イオン両親媒性脂質の水泡分散体、ゲル、中実棒又はエアゾール配合物の形態であってよい。
【0071】油中水又は水中油エマルションにおいて、化粧用として許容されうる補助剤は、好ましくは油相5〜50%、乳化剤5〜20%及び水30〜90%を含む。油相には、化粧用配合物に適切なあらゆる油剤、例えば、1種以上の炭化水素油、蝋、天然油、シリコーン油、脂肪酸エステル又は脂肪アルコールが含まれる。好ましいモノ−又はポリオール類は、エタノール、イソプロパノ−ル、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール及びソルビトールである。
【0072】本発明の化粧用配合物は、種々の分野において使用される。例えば、特に下記の調製物が考慮される。
−スキンケア調製物、例えば、タブレット型若しくは液体石鹸、合成洗剤又はペースト洗剤の形態の皮膚洗浄及び清浄調製物;
−入浴用調製物、例えば、液体(フォームバス、ミルク、シャワー調製物)又は例えば、入浴用キューブ及び入浴用塩のような固形入浴用調製物;、−スキンケア調製物、例えば、スキンエマルション、マルチエマルション又はスキンオイル;
−化粧用パーソナルケア調製物、例えば、デイクリーム若しくはパウダークリーム、フェイスパウダー(ルース又は固形)、ルージュ又はクリームメーキャップの形態でのフェースメーキャップ、アイケア調製物、例えば、アイシャドウ調製物、マスカラ、アイライナー、アイクリーム又はアイフィックスクリーム;リップケア調製物、例えば、口紅、リップグロス、リップライナー、ネイルケア調製物、例えば、マニキュア液、マニキュア落とし、ネールハードナー又はあま皮落とし;
−生理衛生用調製物、例えば、生理用洗浄ローション又は生理用スプレー;
−フットケア調製物、例えば、フット浴、フットパウダー、フットクリーム若しくはフットバルサム、特殊脱臭剤及び発汗抑制剤又はたこ除去調製物;
−光保護調製物、例えば、サンミルク、ローション、クリーム若しくはオイル、日焼け止め、日焼け前調製物又は日焼け後調製物;
−日焼け用調製物、例えば、セルフ日焼け用クリーム;
−脱色調製物、例えば、皮膚しみ抜き用調製物又は皮膚の色を明るくする調製物;
−防虫剤、例えば、防虫油剤、ローション、スプレー若しくはスティック;
−脱臭剤、例えば、脱臭スプレー、ポンプスプレー、脱臭ジェル、スティック又はロールオン;
−制汗剤、例えば、制汗スティック、クリーム又はロールオン;
−創傷皮膚を洗浄及びケアする調製物、例えば、合成洗剤(固形又は液体)、ピール若しくはスクラブ調製物又はピールマスク;
−化学的な形態の毛髪除去調製物(脱毛)、例えば、毛髪除去パウダー、液体毛髪除去調製物、クリーム又はペースト状毛髪除去調製物、ジェル状又はエアゾール状の毛髪除去調製物;
−髭剃り用調製物、例えば、髭剃り用石鹸、フォーミングシェービングクリーム、ノンフォーミングシェービングクリーム、フォーム及びジェル、ドライシェービング用プリシェーブ調製物、又はアフターシェーブローション;
−芳香調製物、例えば、芳香剤(オーデコロン、オードトワレ、オードパルファム、パルファムドトワレ、香水)、香油又はパヒュームクリーム;
−歯のケア用、義歯ケア用及びマウスケア用調製物、例えば、練り歯磨き粉、ジェル状歯磨き粉、歯磨き粉、洗口濃縮剤、歯垢防止洗口剤、義歯洗浄剤又は義歯固定剤;
−化粧用毛髪処理調製物、例えば、シャンプー及びコンディショナーの形態の毛髪洗浄調製物、ヘアケア調製物、例えば、前処理調製物、ヘアトニック、整髪用クリーム、整髪用ジェル、ポマード、ヘアリンス、トリートメントパック、毛髪集中処理剤、髪型調製物、例えば、パーマネントウェーブ(ホットウエーブ、マイルドウエーブ、コールドウエーブ)用の毛髪ウエーブ調製物、ストレートヘア用調製物、液体へアセット調製物、ヘアフォーム、ヘアスプレー、漂白調製物、例えば、過酸化水素溶剤、毛髪の色を明るくするシャンプー、漂白クリーム、漂白パウダー、漂白ペースト若しくはオイル、一時的、半永久的若しくは永久的毛髪着色剤、自己酸化染料含有調製物又は天然毛髪着色剤、例えば、ヘンナ若しくはカミツレ。
【0073】例えば、抗菌石鹸は下記の組成を有する。式(1)の化合物0.01〜5重量%、二酸化チタン0.3〜1重量%、ステアリン酸1〜10重量%、100%になる量の石鹸基剤(例えば、獣脂脂肪酸若しくはココナッツ脂肪酸のナトリウム塩又はグリセロール)。
【0074】例えば、シャンプーは下記の組成を有する。式(1)の化合物0.01〜5重量%、ナトリウムラウレト−2−スルファート12.0重量%、コカミドプロピルベタイン4.0重量%、NaCl 3.0重量%、及び100%になる量の水。
【0075】例えば、脱臭剤は下記の組成を有する。式(1)の化合物0.01〜5重量%、エタノール60重量%、香油0.3重量%、及び100%になる量の水。
【0076】本発明は、また、式(1)の化合物を組成物の全重量に対して0.01〜15重量%、そして経口用として許容されうる補助剤を含有する経口組成物に関する。
【0077】経口組成物の例としては下記である。ソルビトール10重量%、グリセロール10重量%、エタノール15重量%、プロピレングリコール15重量%、ラウリル硫酸ナトリウム0.5重量%、ナトリウムメチルコシルタウラート0.25重量%、ポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレンブロックコポリマー0.25重量%、ペパーミントフレーバー0.10重量%、式(1)の化合物0.1〜0.5重量%、及び水48.6重量%。
【0078】本発明の経口組成物は、例えば、ジェル、ペースト、クリーム又は水溶性調製物(洗口剤)の形態であってよい。
【0079】本発明の経口組成物は、また、虫歯の形成に対して効果のあるフッ素イオンを放出する化合物、例えば、フッ化ナトリウム、カリウム、アンモニウム若しくはカルシウムのような無機フッ化塩、又はフッ化アミン(商標名Olafluorとして既知である)のような有機フッ化塩を含んでよい。
【0080】本発明の式(I)のアルコキシベンジルアミン類は、また、織物繊維材料の処理、特に保存に適切である。そのような材料としては、例えば、絹、羊毛、ポリアミド又はポリウレタン類、特に全種類のセルロース系繊維の未染色及び染色又は捺染繊維材料である。このような繊維材料としては、例えば、綿、リネン、ジュート及び大麻のような天然セルロース繊維、並びにセルロース及び再生セルロースである。好適な織物繊維材料は綿製である。
【0081】本発明のアルコキシベンジルアミン類は、また、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカルボナート、ラテックス等のプラスチック類の処理、特に抗菌特性の付与又は保存のために適切である。したがって使用分野は、例えば、床仕上げ剤、プラスチック被覆、プラスチック容器及び梱包材料;台所及び浴室用品(例えば、ブラシ、シャワーカーテン、スポンジ、バスマット)、ラテックス、フィルタ材料(エアー及びウオーターフィルタ)、医療分野で使用されるプラスチック製品、例えば、包帯材料、シリンジ、カテーテル等、所謂「医療用具」、グラブ及びマットレスである。
【0082】紙、例えば、衛生目的に使用される紙に、本発明のアルコキシベンジルアミン類を使用して抗菌特性を付与してもよい。
【0083】例えば、おむつ、生理用ナプキン、パンティーライナーのような不織布及び衛生用、家庭用布に本発明の抗菌特性を付与することも可能である。 また、式(1)のアルコキシベンジルアミン類は、例えば、液体若しくは粉末洗剤又は軟化剤の洗浄及び清浄配合物に使用される。 また、式(1)のアルコキシベンジルアミン類は、特に、塗装面を清浄及び消毒する家庭用及び汎用清浄剤に使用することができる。
【0084】例えば、清浄調製物は下記の組成を有する。式(1)の化合物0.01〜5重量%、オクチルアルコール4EO 3.0重量%、脂肪アルコールC8−C10ポリグルコシド1.3重量%、イソプロパノ−ル3.0重量%、100%になる量の水。
【0085】化粧品及び家庭用品の保存に加えて、例えば、紙処理において、特に紙処理液剤、デンプン又はセルロース誘導体のプリントインク増粘剤、表面被覆及び塗料において技術生産品の保存、技術生産品への抗菌特性の付与及び技術工程における殺生剤としての使用も可能である。
【0086】式(1)のアルコキシベンジルアミン類は、また、木材の抗菌処理並びに皮革の抗菌処理、皮革の保存及び皮革への抗菌特性の付与のために適切である。
【0087】本発明の化合物は、また、化粧品及び家庭用品を微生物による損害から保護するために適切である。
【0088】
【実施例】下記の実施例は本発明を説明するが、本発明を制限するものではない。
【0089】実施例アルコキシベンジルアミン類の調製ヒドロキシベンズアルデヒド類のアルキル化によるアルコキシベンズアルデヒド類の一般的調製方法アルデヒド43mmolをエタノール60mlに溶解し、炭酸カリウム6.5g(49mmol)を加えた。エタノール30ml中の適切なブロモアルカン43mmolの溶液を滴加した後、加熱を還流下、16時間実施した。少量のシリカゲル上で濾取し、溶媒を除去した後、残渣をtert−ブチルメチルエーテル400mlに取り、溶液をそれぞれ200mlの1M水酸化ナトリウム溶液で3回洗浄した。溶媒を除去した後、アルキル化したベンズアルデヒドを、更に精製しないで平行アミノ化に使用した。
【0090】このようにして、例えば、バニリン6.5g及びブロモドデカン10mlから3−メトキシ−4−ドデシルオキシベンズアルデヒド10.0g(理論値の73%)を得た。
【0091】式(3)〜(102)の化合物から種々のアルコキシル化ベンズアルデヒドを平行還元アミノ化する一般的方法アルコキシル化アルデヒド1mmolをオルトギ酸トリメチル(TMOF)2.5mlに溶解し、次にTMOF 2.5ml中のアミン1mmolの溶液及びギ酸0.19mlを加えた。分子篩(4A)を加えた後、混合物を120℃で4時間撹拌した。反応物を濃縮した後、生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィー(エタノール/トリエチルアミン10/1で溶離)により精製した。化合物の純度及び構造をHPLC/MSにより検査し、確認した。
【0092】このようにして、例えば3−メトキシ−4−ドデシルオキシベンズアルデヒドとピロリジンを反応させることにより、式(4)の化合物85g(理論値の23%)を得た(m/z = 375)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 式(1):
【化1】


〔式中R1及びR2は、互いに独立して、水素;C1−C20アルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、C3−C12シクロアルキル、C3−C7シクロアルキル−C1−C20アルキル、C1−C6アルコキシ−C1−C20アルキル、C1−C12アルコキシカルボニル、フェニル若しくはフェニル−C1−C20アルキル(ここで、それぞれは、非置換又は1個以上のヒドロキシ、ハロゲン、C1−C18アルキル、C1−C18アルコキシ若しくはアミノで置換されている);カルボキシ;又はピリジノ−C1−C5アルキルであるか;或いはR1及びR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員〜7員単環複素環を形成し;R3及びR4は、互いに独立して、C1−C20アルキル(これは、非置換又は1個以上のヒドロキシ、ハロゲン,C1−C18アルキル、C1−C18アルコキシ若しくはアミノで置換されている)であり;そしてnは、0又は1である〕で示される化合物。
【請求項2】 R1及びR2が、互いに独立して、水素;C1−C20アルキル、C5−C7シクロアルキル、フェニル若しくはフェニル−C1−C4アルキル(ここで、それぞれは、非置換又は1個以上のヒドロキシ、ハロゲン、C1−C18アルキル、C1−C18アルコキシ若しくはアミノで置換されている);又はピリジノ−C1−C5アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】 R1及びR2が、互いに独立して、C1−C20アルキル;フェニル;フェニル−C1−C4アルキル;又はピリジノ−C1−C4アルキルである、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】 R1及びR2が、互いに独立して、C1‐C12アルキル;ベンジル;又はピリジノエチルである、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】 R1及びR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、−(CH22-6−基(これは、更に置換されていないか、又は1個以上のC1−C5アルキル基で置換され、場合により1又は2個の−O−及び/若しくは−NR′−基及び/若しくは下記の式:
【化2】


で中断されている)を形成し、R′が、水素;C1−C18アルキル、C5−C7シクロアルキル若しくはフェニル(ここで、それぞれは、非置換又は1個以上のヒドロキシ、ハロゲン、C1−C18アルキル、C1−C18アルコキシ、アミノ若しくは第四級アンモニウムで置換されている);又は−COR″であり;そしてR″が、水素;又はC1‐C4アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】 R′が、水素;C1−C5アルキル;下記式:
【化3】


の基;又は下記式:
【化4】


の基であり、そしてR′″が、水素;又はC1−C5アルキルである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】 R3及びR4が、互いに独立してC1−C18アルキルである、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】 R3及びR4が同一の意味を有する、請求項7記載の化合物。
【請求項9】 R3がC3−C12アルキルである、請求項7記載の化合物。
【請求項10】 R4がメチルである、請求項7記載の化合物。
【請求項11】 式(2):
【化5】


(式中R1、R2、R3、R4及びnは、請求項1と同義である)に対応する、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】 R1及びR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、−(CH22-6−基(これは、更に置換されていないか、又は1個以上のC1−C5アルキル基で置換され、場合により1又は2個の−O−及び/若しくは−NR′−基及び/若しくは下記の式:
【化6】


で中断されている)を形成し、R′が、水素;C1−C18アルキル、C5−C7シクロアルキル若しくはフェニル(ここで、それぞれは、非置換又は1個以上のヒドロキシ、ハロゲン、C1−C18アルキル、C1−C18アルコキシ、アミノ若しくは第四級アンモニウムで置換されている);又は−COR″であり;そしてR″が、水素;又はC1−C4アルキルであり;R3及びR4が、互いに独立してC1−C18アルキルであり;そしてnが0又は1である、請求項11記載の化合物。
【請求項13】 R1及びR2が、互いに独立して、C1−C20アルキル;フェニル;フェニル−C1−C4アルキル;又はピリジノ−C1−C4アルキルであり;R3がC3−C12アルキルであり;そしてR4がC1−C12アルキル、特にメチルである、請求項11記載の化合物。
【請求項14】 下記の反応スキームに従って、ヒドロキシベンズアルデヒド(R4が水素の場合)若しくはアルコキシヒドロキシアルデヒド又はジヒドロキシベンズアルデヒドを、ハロゲン化アルキルを用いて、補助塩基を使用して溶媒中でアルキル化し(第1反応工程)、溶媒中、又は水除去剤によるか、若しくは共沸蒸留により水を除去することにより溶媒を用いない過剰量の第二級アミン中、得られた式(1d)のモノ−又はビスアルコキシベンズアルデヒドを第二級アミンと縮合し、同時に還元剤を加えて、式(1)の化合物を形成すること(第2反応工程)による、式(1)の化合物の調製方法。
【化7】


【請求項15】 表面の抗菌処理のための請求項1記載の式(1)の化合物の使用。
【請求項16】 皮膚、粘膜及び毛髪の抗菌処理、脱臭及び消毒のための式(1)の化合物の使用。
【請求項17】 式(1)の化合物が消毒及び脱臭のために使用される、請求項16記載の使用。
【請求項18】 織物繊維材料の処理のための式(1)の化合物の使用。
【請求項19】 式(1)の化合物が保存のために使用される、請求項18記載の使用。
【請求項20】 洗浄及び清浄配合物における式(1)の化合物の使用。
【請求項21】 プラスチック、紙、不織布、木材又は皮革への抗菌特性の付与、及び保存における式(1)の化合物の使用。
【請求項22】 技術生産品、特にデンプン又はセルロース誘導体のプリントインク増粘剤、表面被覆剤及び塗料への抗菌特性の付与、及び保存における式(1)の化合物の使用。
【請求項23】 技術工程における殺生剤としての式(1)の化合物の使用。
【請求項24】 組成物の全重量に対して0.01〜15重量%の式(1)の化合物及び化粧用として許容されうる補助剤を含有するパーソナルケア調製物。
【請求項25】 組成物の全重量に対して0.01〜15重量%の式(1)の化合物及び経口用として許容されうる補助剤を含有する経口組成物。

【公開番号】特開2003−226678(P2003−226678A)
【公開日】平成15年8月12日(2003.8.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】有
【出願番号】特願2002−292455(P2002−292455)
【出願日】平成14年10月4日(2002.10.4)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】