説明

アルコール製剤充填容器

【課題】短時間で殺菌もでき、少量添加でも日持ち向上効果を有する、安価なアルコール製剤充填容器を提供すること。
【解決手段】容器にエタノールを55.00〜60.00質量%、グリセリン脂肪酸エステルを0.10〜0.15質量%、茶抽出物製剤を0.02〜0.03質量%、精製水39.82〜44.88質量%のエタノール製剤を充填する。なお、この充填されたアルコール製剤に含まれている茶抽出物製剤は、茶抽出物、クエン酸、澱粉分解物からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、食品の日持ち向上効果を有するアルコール製剤を充填した容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から様々なアルコール製剤があり、アルコールの他に様々な物質を添加していた。
【0003】
たとえば特許文献1では竹及び/又は竹茹から水系溶媒で抽出された成分を添加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−17248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、日持ち効果を向上させるためにアルコール製剤に添加剤を使用していたが、その添加剤が高価なため、その価格を抑えようとして添加剤を減らした結果、食品に添加するアルコール製剤の量が多くなったりすることがあった。
【0006】
本考案の目的は、少量でも日持ち向上効果を有するアルコール製剤充填容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本考案の容器は、エタノールを55.00〜60.00%、グリセリン脂肪酸エステルを0.10〜0.15%、茶抽出物製剤を0.02〜0.03%、精製水を39.82〜44.88%のアルコール製剤を充填したものである。
【0008】
なお、前記茶抽出物製剤は茶抽出物、クエン酸、澱粉分解物からなる。
【発明の効果】
【0009】
本考案のアルコール製剤容器を使うことによって、少量でも食品の日持ちを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本考案の一実施例であるアルコール製剤充填容器のポリタンクを側方から見た断面図である。
【図2】本考案のもう一つの実施例で、アルコール製剤充填容器のスプレーボトルを側方から見た断面図である。
【図3】本考案のさらにもう一つの実施例で、アルコール製剤充填容器の一斗缶の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本考案の実施例である容器1を側方から見た断面図である。
【実施例1】
【0012】
図1に示すように、容器のポリタンク1にエタノール58.000質量%、グリセリン脂肪酸エステル0.125質量%、茶抽出物製剤0.025質量%、精製水41.850質量%のアルコール製剤2が4L充填されている。食品に対して添加、浸漬することにより、その食品の保存性を高めることができる。
【実施例2】
【0013】
もう一つの実施例である図2では、容器をスプレー3とし、その中に実施例1と同組成のアルコール製剤4が500ml充填されている。トリガー5を引くことによって充填されたアルコール製剤ミストを噴霧する。実施例1では特定質量を対象物に添加、浸漬する時に便利だが、スプレーに入れることによって、食品の外側に噴霧するときに便利である。
【実施例3】
【0014】
さらにもう一つの実施例である図3では、容器を一斗缶6とし、その中に実施例1と同組成のアルコール製剤7が500ml充填されている。大量に使用するときや、コストを下げるのに使用される。
【実施例4】
【0015】
本実施例1のアルコール製剤2を用いて、除菌力のテストを行った。1mlのアルコール製剤2に、10cfu/mlに調整した大腸菌(Escherichia coli)懸濁液若しくは黄色ブドウ球菌(S.aureus)懸濁液を10μl加えて撹拌し、菌入りアルコール製剤を調整した。この菌入りアルコール製剤から白金耳で1μlを採取して、標準寒天培地のプレートに塗抹し、35℃で2日間培養した。この作業の中の各種菌懸濁液をアルコール製剤に加えてから1μl採取するまでの時間を15、30、60秒に分けた。その結果、大腸菌若しくは黄色ブドウ球菌でも、15〜60秒の各時間に採取した全てのシャーレで生菌コロニーを確認できなかった。
【実施例5】
【0016】
本実施例1のアルコール製剤2を用いて、20℃保存のカスタードクリームにおける一般生菌の増殖抑制効果を確認した。市販の粉末カスタードクリームと牛乳と混ぜてカスタードクリームを作製し、エタノール濃度が2%となるようにアルコール製剤2を添加し、添加カスタードクリーム1を調製した。またエタノール濃度2%になるようにエタノールのみをカスタードクリームに添加し、添加カスタードクリーム2を調製した。これら添加カスタードクリーム1および2に加え、アルコール製剤無添加のカスタードクリームの3種類を20℃で9日目まで保存し、経時的に一般生菌数を測定した。
【0017】
無添加のカスタードクリームは、喫食可能の目安である一般生菌数10cfu/gを4日目で越え、9日目には5.8×10cfu/gとなった。添加カスタードクリーム2および1の9日目での一般生菌数はそれぞれ1.8×10cfu/g、1.7×10cfu/gとなり、アルコール製剤2を添加したものが最も菌の増殖を抑制した。
【実施例6】
【0018】
本実施例1のアルコール製剤2を用いて、30℃保存のカスタードクリームにおける一般生菌の増殖抑制効果を確認した。実施例5同様に、無添加カスタードクリーム、添加カスタードクリーム1および2を調製し、30℃で4日目まで保存して一般生菌数を測定した。
【0019】
無添加のカスタードクリームは2日目に10cfu/gを越え、4.0×10cfu/gとなった。添加カスタードクリーム2および1の4日目での一般生菌数はそれぞれ7.0×10cfu/g、1.4×10cfu/gとなり、アルコール製剤2を添加したものが最も菌の増殖を抑制した。
【0020】
本考案は前記各実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば容器の形状は図1に限らず、また収容できるアルコール製剤の量も本実施例に限らない。
【符号の説明】
【0021】
1 ポリタンク
2 アルコール製剤
3 スプレー
4 アルコール製剤
5 トリガー
6 一斗缶
7 アルコール製剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノール55.00〜60.00質量%、グリセリン脂肪酸エステル0.10〜0.15質量%、茶抽出物製剤0.02〜0.03質量%、精製水39.82〜44.88質量%のエタノール溶液を充填した、アルコール製剤充填容器。
【請求項2】
前記茶抽出物製剤が、茶抽出物、クエン酸、澱粉分解物からなる請求項1記載のアルコール製剤充填容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−120568(P2011−120568A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58593(P2010−58593)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願変更の表示】意願2009−8798(D2009−8798)の変更
【原出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000112912)フロイント産業株式会社 (55)
【Fターム(参考)】