説明

アンテナ装置

【課題】従来は、和パターン、差パターン用別回路で大規模となる。差パターンを複数アンテナのサブアレーで振幅分布制御するものは、第一装置で和パターンの低サイドローブ化振幅設定がされ、第二装置でサブアレー単位の差パターン低サイドローブ化振幅設定をしても性能に限界がある。
【解決手段】アンテナ開口を形成する複数の素子アンテナ、各素子アンテナ受信信号に振幅付与の振幅制御手段、和パターンで低サイドローブ化実現用振幅設定の第一振幅設定装置、差パターンで低サイドローブ化実現用振幅設定の第二振幅設定装置、第一振幅設定装置と第二振幅設定装置の設定振幅を合成し、振幅制御手段を制御する合成器、各素子アンテナ受信信号に所定位相を与える位相制御手段、位相制御手段の出力でモノパルス和パターン信号形成の給電回路、位相制御手段の出力でモノパルス差パターン信号形成の給電回路を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関し、特にモノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号の低サイドローブ化を実現するアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
まず従来のモノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号を実現するアンテナ装置について受信アンテナを想定して説明する。図18は従来のモノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号を実現するアンテナ装置であり、1は複数の素子アンテナ、2は複数の素子アンテナ1各々に設けられた複数の低雑音増幅器、3は複数の低雑音増幅器2の各々に設けられた複数の第一可変減衰器、4は複数の低雑音増幅器2の各々に、第一可変減衰器3と並列に設けられた複数の第二可変減衰器、5は第一可変減衰器3の各第一可変減衰器毎に設けられた複数の第一移相器、6は複数の第二可変減衰器4の各第二可変減衰器毎に設けられた複数の第二移相器、7は和パターン信号低サイドローブ化の振幅分布を設定する第一振幅設定装置、8は差パターン信号低サイドローブ化の振幅分布を設定する第二振幅設定装置、9は複数の第一移相器5の出力から和パターン信号を形成する和パターン形成給電回路、10は複数の第二移相器6の出力から差パターン信号を形成する差パターン信号給電回路である。
【0003】
次に動作について説明する。まず、第一振幅設定装置7で和パターン信号の低サイドローブ化を実現する予め分布が定められている振幅分布を選定・設定して各第一可変減衰器3に設定する。次に第二振幅設定装置8で差パターン信号の低サイドローブ化を実現する予め分布が定められている振幅分布を選定・設定して各第二可変減衰器4に設定する。ここで和パターン信号の低サイドローブ化を実現する分布として、例えば非特許文献1に記載のテイラー分布があり、差パターン信号の低サイドローブ化を実現する分布として非特許文献2に記載のベイリス分布がある。次に第一移相器5で各素子アンテナ毎の各第一可変減衰器3の出力を和パターン信号を形成する位相にそろえ、第二移相器6で各第二可変減衰器4の出力を差パターン信号を形成する位相にそろえる。これにより第一移相器5の出力を入力する和パターン形成給電回路9でモノパルス和パターン信号が、第二移相器6の出力を入力する差パターン形成給電回路10でモノパルス差パターン信号がそれぞれ独立に同時に形成される。またモノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号共に低サイドローブ化を実現できているので、干渉波の抑圧が可能となる。
【0004】
また非特許文献3には、図19に示すような他のアンテナ装置が提案されている。
図19において、1は複数の素子アンテナ、2は複数の素子アンテナ1各々に設けられた複数の低雑音増幅器、3は複数の低雑音増幅器2の各々に設けられた複数の第一可変減衰器、11は複数の素子アンテナで構成される複数のサブアレー、4は各サブアレー11の出力毎に設けられた第二可変減衰器、5は第一可変減衰器3の各第一可変減衰器毎に設けられた複数の第一移相器、6は複数の第二可変減衰器4の各第二可変減衰器毎に設けられた複数の第二移相器、7は和パターン信号低サイドローブ化の振幅分布を設定する第一振幅設定装置、8は差パターン信号低サイドローブ化の振幅分布を設定する第二振幅設定装置、9はモノパルス和パターン信号を形成する和パターン形成給電回路、10はモノパルス差パターン信号を形成する差パターン形成給電回路、11は複数の素子アンテナで構成されるサブアレーである。
【0005】
動作については、まず、第一振幅設定装置7でモノパルス和パターン信号の低サイドローブ化を実現する予め分布が定められている振幅分布を選定し各第一可変減衰器3に設定する。次に第一移相器5でモノパルス和パターン信号を形成する位相を各素子アンテナ毎の第一可変減衰器3の出力に対し設定する。次に第一振幅設定装置7で設定された振幅を基に、第二振幅設定装置8によって複数個のアンテナで構成されるサブアレー11の単位でモノパルス差パターン信号が低サイドローブとなる予め分布が定められている振幅分布を選定し第二可変減衰器4に設定する。次に第二移相器6でサブアレー11の単位毎の各第二可変減衰器4の出力に対し、モノパルス差パターン信号を形成する位相を設定する。これにより差パターン信号においては複数個のアンテナ単位で構成されるサブアレー11単位で振幅を制御することにより従来と比べて回路規模を小さくし、モノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号共に低サイドローブ化を実現する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】吉田孝監修、「改訂レーダ技術」、電子情報通信学会編、平成8年10月1日初版発行、pp134-135
【非特許文献2】Robert J. Mailloux, “Phased Array Antennas Handbook Second Edition”, Artech House, 2005, pp130-133
【非特許文献3】L. Manica他, “Excitation matching procedure for sub-arrayed monopulse arrays with maximum directivity”, IET Radar Sonar Navig., 2009, Vol. 3, No. 1, pp42-48
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のアンテナ装置では、モノパルス和パターン信号用、モノパルス差パターン信号用に別々の回路を必要とするので、回路規模が大きくなる課題がある。それに対して、非特許文献3により差パターン信号においては複数個のアンテナで構成されるサブアレー単位で振幅分布を制御することによって回路規模を小さくすることができるアンテナ装置が提案されている。しかし第一振幅設定装置によってモノパルス和パターン信号で低サイドローブとなる振幅が設定されているので、サブアレー単位でモノパルス差パターン信号が低サイドローブとなるように第二振幅設定装置の振幅を設定したとしても性能に限界があると考えられる。
本発明では上記のような課題を解決し、回路規模が大きくならずにモノパルス和パターン信号、差パターン信号の低サイドローブ化を実現するアンテナ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るアンテナ装置は、
アレーアンテナの開口を形成する複数個の素子アンテナと、
各素子アンテナに対応して設けられ、各素子アンテナが受信した信号を所定の振幅比にする励振振幅を与える複数の振幅制御手段と、
モノパルス和パターン信号で低サイドローブ化が実現される振幅を設定する第一の振幅設定装置と、
モノパルス差パターン信号で低サイドローブ化が実現される振幅を設定する第二の振幅設定装置と、
第一の振幅設定装置と第二の振幅設定装置により設定された振幅を合成し、この合成された振幅で上記複数の振幅制御手段の励振振幅を制御する合成器と、
各振幅制御手段に対応して設けられ、各振幅制御手段の出力信号の位相をそろえるための位相を与える複数の位相制御手段と、
複数の位相制御手段の出力からモノパルス和パターン信号を形成する和パターン形成給電回路と、同じく複数の位相制御手段の出力からモノパルス差パターン信号を形成する差パターン形成給電回路を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るアンテナ装置によれば、第一振幅設定装置で設定されるモノパルス和パターン信号低サイドローブ化の振幅分布と、第二振幅設定装置で設定されるモノパルス差パターン信号低サイドローブ化の振幅分布とを合成器で合成し、この合成された振幅分布になるように複数の振幅制御手段を合成器で制御し、その複数の振幅制御手段の出力信号の位相を複数の位相制御手段でそろえ、複数の位相制御手段の出力から和パターン形成給電回路および差パターン形成給電回路でモノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号を形成しているので、回路規模が大きくならずにモノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号の低サイドローブ化が実現でき、かつ干渉波などによる影響を抑圧できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1に関するアンテナ装置の機能ブロック図である。
【図2】本実施の形態1で想定するアレーアンテナの開口を示す説明図である。
【図3】図2のアンテナ開口を形成する素子アンテナの振幅分布特性図である。
【図4】実施の形態1により生成されるモノパルス和パターン信号とモノパルス差パターン信号の波形図である。
【図5】可変減衰器をテイラー分布に設定した時のモノパルス和パターン信号とモノパルス差パターン信号の波形図である。
【図6】可変減衰器をベイリス分布に設定した時のモノパルス和パターン信号とモノパルス差パターン信号の波形図である。
【図7】実施の形態2におけるアンテナ装置の機能ブロック図である。
【図8】実施の形態3におけるアンテナ装置の機能ブロック図である。
【図9】本実施の形態3で想定するアンテナ開口と、サブアレーの説明図である。
【図10】実施の形態3および従来装置によるモノパルス和パターン信号の波形図である。
【図11】実施の形態3および従来装置によるモノパルス差パターン信号の波形図である。
【図12】実施の形態4におけるアンテナ装置の機能ブロック図である。
【図13】実施の形態5におけるアンテナ装置の機能ブロック図である。
【図14】実施の形態6におけるアンテナ装置の機能ブロック図である。
【図15】実施の形態7におけるアンテナ装置の機能ブロック図である。
【図16】ハイブリッド回路により構成されるモノパルスパターン形成給電回路の機能ブロック図である。
【図17】実施の形態8におけるアンテナ装置の機能ブロック図である。
【図18】モノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号を実現する従来のアンテナ装置の機能ブロック図である。
【図19】モノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号を実現する従来の他のアンテナ装置の機能ブロック図である。
【図20】実施の形態3における第三振幅設定装置の振幅分布特性図である。
【図21】実施の形態3における第四振幅設定装置の振幅分布特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に関するアンテナ装置の機能ブロック図を表したものであり、ここでは受信アンテナを想定して説明する。101はアレーアンテナの開口を形成し、飛来してきた信号を受信する複数個の素子アンテナ、102は複数の素子アンテナ101の各素子アンテナ毎に設けられ、各素子アンテナが受信した信号を増幅する複数の低雑音増幅器、103は複数の低雑音増幅器102の各低雑音増幅器毎に設けられ、低雑音増幅器が増幅した素子アンテナの受信信号を可変減衰し、各素子アンテナ間の受信信号の振幅を所定の振幅比にする複数の振幅制御手段としての可変減衰器、104は複数の可変減衰器103の各可変減衰器毎に設けられ、各振幅制御手段としての可変減衰器の出力信号の位相をそろえるための位相を与える位相制御手段としての複数の移相器である。
【0012】
105は複数の移相器104の出力からモノパルス和パターン信号を形成する和パターン形成給電回路、106は複数の移相器104の出力からモノパルス差パターン信号を形成する差パターン形成給電回路、107はモノパルス和パターン信号で低サイドローブ化が実現される振幅を設定する第一振幅設定装置、108はモノパルス差パターン信号で低サイドローブ化が実現される振幅を設定する第二振幅設定装置、109は第一振幅設定装置107と第二振幅設定装置108の振幅を合成する合成器である。図2は本実施の形態で想定するアレーアンテナの開口21を示す説明図であり、図3は図2に示す素子アンテナの振幅分布特性図である。
【0013】
動作について説明する。まず、第一振幅設定装置107においてモノパルス和パターン信号で低サイドローブ化を実現する振幅を設定する。ここではテイラー分布とし図3の31に示す分布特性がそれにあたる。次に第二振幅設定装置108においてモノパルス差パターン信号で低サイドローブ化を実現する振幅を設定する。ここではベイリス分布とし図3の32に示す分布特性がそれにあたる。次にこれら第一振幅設定装置107と第二振幅設定装置108で設定された2つの振幅を合成器109により合成する。合成した振幅は図3の33に示す分布特性になる。合成した振幅を可変減衰器103に設定する。
【0014】
次に空間からの信号が素子アンテナ101で受信され、各受信信号は各素子アンテナ101に接続される低雑音増幅器102により増幅される。次に増幅された各信号は可変減衰器103で、合成器109で合成された図3の33に示す分布特性になるように抵抗を制御し信号を可変減衰する。次いで、移相器104で可変減衰器の出力信号の位相をそろえ、各信号は和パターン形成給電回路105と差パターン形成給電回路106に入力されモノパルス和パターン信号とモノパルス差パターン信号が出力される。
【0015】
出力されたモノパルス和パターン信号とモノパルス差パターン信号を図4に示す。図4の41はモノパルス和パターン信号、42はモノパルス差パターン信号である。比較として図5に可変減衰器をテイラー分布に設定した時のモノパルス和パターン信号43、モノパルス差パターン信号44を示す。また図6に可変減衰器をベイリス分布に設定した時のモノパルス和パターン信号45、モノパルス差パターン信号46を示す。この図6においてはモノパルス和パターン信号45と、モノパルス差パターン信号46の特性は似通っており、両特性の判別はしがたいが、本実施の形態では、このモノパルス和パターン信号45と、モノパルス差パターン信号46の両特性を判定するのではなく、図4のモノパルス和パターン信号41と図6のモノパルス和パターン信号45を比較するためのものである。図5の可変減衰器をテイラー分布に設定した時のモノパルス差パターン信号44の最大サイドローブレベルと図4の本実施の形態におけるモノパルス差パターン信号42の最大サイドローブレベルを比較すると、本実施の形態の方がサイドローブレベルは低い。また図6に示す可変減衰器をベイリス分布に設定した時のモノパルス和パターン信号45の最大サイドローブレベルと本実施の形態におけるモノパルス和パターン信号41の最大サイドローブレベルを比較すると、本実施の形態の方がサイドローブレベルは低い。
【0016】
以上のように本実施の形態ではモノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号共に低サイドローブ化が実現でき、干渉波などによる影響を抑圧できる。
本実施の形態ではモノパルス和パターン信号で低サイドローブ化を実現する振幅としてテイラー分布、モノパルス差パターン信号で低サイドローブ化を実現する振幅としてベイリス分布を挙げたが、低サイドローブ化を実現する振幅としては、このテイラー分布およびベイリス分布に限るものではない。
【0017】
実施の形態2.
図7は実施の形態2におけるアンテナ装置の機能ブロック図であり、110は第一振幅制御装置107と第二振幅制御装置108の重み荷重をそれぞれ個別に設定する重み計算装置、111は重み計算装置110で決められたそれぞれの重み荷重を第一振幅制御装置107及び第二振幅制御装置108の振幅にそれぞれ乗算する2つの乗算器である。
なお、実施の形態1と同一の符号のものは同一のものを示し、説明を省略する。
【0018】
次に動作について説明する。まず、第一振幅設定装置107においてモノパルス和パターン信号で低サイドローブ化を実現する振幅を決める。ここではテイラー分布とし図3の31に示す分布特性がそれにあたる。次に第二振幅設定装置108においてモノパルス差パターン信号で低サイドローブ化を実現する振幅を決める。ここではベイリス分布とし図3の32に示す分布特性がそれにあたる。次に重み計算装置110の重み荷重を第一振幅設定装置107用と第二振幅設定装置108用と別々に設定する。まず、第一振幅設定装置107の振幅に対する重み荷重を“1”とし、第二振幅設定装置108の振幅に対する重み荷重を“0”とする。
次にそれぞれの重み荷重を第一振幅設定装置107と第二振幅設定装置108の振幅にそれぞれの乗算器111により乗算する。それぞれの乗算器111により重み荷重が乗算された振幅が合成器109により合成される。ここでは第二振幅設定装置108の振幅は“0”となり出力されず、第一振幅設定装置107の振幅が出力され、各可変減衰器103に設定される。これにより和パターン信号で低サイドローブとなる振幅が設定され、モノパルス和パターン信号で低サイドローブが必要となる運用モードに適したアンテナ装置となる。
【0019】
次に第一振幅設定装置107の振幅に対する重み荷重を“1”とし、第二振幅設定装置108の振幅に対する重み荷重も“1”とする。それぞれの重み荷重が乗算器111により第一振幅設定装置107および第二振幅設定装置108の振幅に乗算され、合成器109により合成される。このとき重み荷重は共に“1”なので、図3の33に示す分布特性と同じ振幅分布が得られる。これによりモノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号共に低サイドローブとなる振幅が設定され、モノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号で低サイドローブが必要となる運用モードに適したアンテナ装置となる。
【0020】
以上のように本実施の形態ではモノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号共に低サイドローブ化が実現でき、干渉波などによる影響を抑圧でき、さらに重み荷重の値をいろいろ設定することにより複数の運用モードに切り替えることができる。
本実施の形態ではモノパルス和パターン信号と、モノパルス差パターン信号で共に低サイドローブが必要となる運用モードにおいては、重み荷重を共に“1”としたが、この限りではない。
【0021】
実施の形態3.
図8は実施の形態3におけるアンテナ装置の機能ブロック図であり、103は素子アンテナ単位で素子アンテナ間の信号振幅を所定の振幅比に設定する第一振幅制御手段としての第一可変減衰器、104は素子アンテナ単位での位相をそろえるため位相を設定する第一位相制御手段としての第一移相器、112は複数個の素子アンテナで構成されるサブアレー、113はサブアレー112の単位でモノパルス和パターン用の信号の振幅を設定する第ニ振幅制御手段としての第二可変減衰器、114はサブアレー単位でモノパルス和パターン用の信号の位相をそろえるため位相を設定する第ニ位相制御手段としての第二移相器、115はサブアレー112の単位でモノパルス差パターン用の信号の振幅を設定する第三可変減衰器、116はサブアレー112の単位でモノパルス差パターン用の信号の位相を設定する第三位相制御手段としての第三移相器、117は合成器109により合成された振幅を基にサブアレー112単位でのモノパルス和パターン信号で低サイドローブとなるように振幅を設定する第三振幅設定装置、118は合成器109により合成された振幅を基にサブアレー112単位でのモノパルス差パターン信号で低サイドローブとなるように振幅を設定する第四振幅設定装置である。
なお、実施の形態1及び2と同一の符号のものは同一のものを示し、説明を省略する。
図9は本実施の形態3で想定するアレーアンテナの開口21を示す説明図で、22は複数の素子アンテナで構成されるサブアレーである。
【0022】
次に動作について説明する。まず、第一振幅設定装置107においてモノパルス和パターン信号で低サイドローブ化を実現する振幅を決める。ここではテイラー分布とし図3の31に示す分布特性がそれにあたる。次に第二振幅設定装置108においてモノパルス差パターン信号で低サイドローブ化を実現する振幅を決める。ここではベイリス分布とし図3の32に示す分布特性がそれにあたる。次にこれら2つの振幅を合成器109により合成する。合成した振幅は図3の33に示す分布特性になる。合成した振幅を可第一変減衰器103に設定する。次に合成した振幅を基に第三振幅設定装置117によりサブアレー単位でモノパルス和パターン信号において低サイドローブ化を実現する振幅を決定し、サブアレー単位での第二可変減衰器113に設定する。ここで第三振幅設定装置117の振幅分布は図20に示される分布特性とする。次に合成した振幅を基に第四振幅設定装置118によりサブアレー単位でモノパルス差パターン信号において低サイドローブ化を実現する振幅を決定し、サブアレー単位での第三可変減衰器115に設定する。ここで第四振幅設定装置118の振幅分布は図21に示される分布特性とする。
【0023】
第二可変減衰器113により、第二可変減衰器113に設定された、第三振幅設定装置117の振幅に基づいて第二可変減衰器113の抵抗を制御しサブアレー112単位の各出力信号が可変減衰され、モノパルス和パターン信号用として出力される。
また、同様に第三可変減衰器115により、第三可変減衰器115に設定された、第四振幅設定装置118の振幅に基づいて第三可変減衰器115の抵抗を制御しサブアレー112単位の各出力信号が可変減衰され、モノパルス差パターン信号用として出力される。
次いで、第二移相器114及び第三移相器116により第二可変減衰器113と第三可変減衰器115の各出力信号の位相をそれぞれそろえ、各信号は和パターン形成給電回路105と差パターン形成給電回路106に入力されモノパルス和パターン信号とモノパルス差パターン信号が出力される。
これにより各素子の振幅を基にサブアレー単位でモノパルス和パターン信号モノパルス差パターン信号が低サイドローブ化となるように振幅を制御することによりモノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号共に低サイドローブ化が可能となる。
【0024】
図10に実施の形態3により生成されたモノパルス和パターン信号の分布特性、図11に実施の形態3により生成されたモノパルス差パターン信号の分布特性を示す。比較のため図18に示す従来のアンテナ装置を用いた時のモノパルス和パターン信号の分布特性、モノパルス差パターン信号の分布特性を示す。51は図18に示す従来のアンテナ装置におけるモノパルス和パターン信号の分布特性、52は本実施の形態3におけるモノパルス和パターン信号の分布特性、53は図18に示す従来のアンテナ装置におけるモノパルス差パターン信号の分布特性、54は本実施の形態3におけるモノパルス差パターン信号の分布特性を示す。図10よりモノパルス和パターン信号に関しては本実施の形態3により生成されたモノパルス和パターン信号52と従来のアンテナ装置におけるモノパルス和パターン信号51とは特性分布が似通っており、判別し難いが同等のサイドローブレベルとなっていることが分かる。しかし、図11よりモノパルス差パターン信号においては本実施の形態3により生成されたモノパルス差パターン信号54の方が従来のアンテナ装置におけるモノパルス差パターン信号53に比べ低サイドローブ化が実現されていることが分かる。
【0025】
以上のようにサブアレー単位で振幅を制御することによりモノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号共に低サイドローブ化を実現でき、干渉波を抑圧でき、従来よりもサイドローブレベルは低くなる。ここで第三振幅設定装置117の振幅分布を図20、第四振幅設定装置118の振幅分布を図21に示される特性としたが、これは図3の合成された振幅を基に設定されており、低サイドローブ化を実現する分布であればこの限りではない。
【0026】
実施の形態4.
図12は本実施の形態4におけるアンテナ装置の機能ブロック図を表したものである。本実施の形態4は、実施の形態3に実施の形態2の重み荷重を設定する重み計算装置110と、重み荷重を第一振幅制御装置107及び第二振幅制御装置108の振幅にそれぞれ乗算する2つの乗算器111を設けたものである。
重み計算装置110で個別に設定されたそれぞれの重み荷重が、第一振幅設定装置107と、第二振幅設定装置108の振幅にそれぞれの乗算器111により乗算され、その乗算された振幅を合成器109で合成する。
第三振幅設定装置117は合成器109により合成された振幅を基にサブアレー単位でモノパルス和パターン信号で低サイドローブとなるように振幅を設定し、第四振幅設定装置118は合成器109により合成された振幅を基にサブアレー単位でモノパルス差パターン信号で低サイドローブとなるように振幅を設定する。以下図6に示す実施の形態3と同様に動作し、和パターン形成給電回路105と差パターン形成給電回路106からモノパルス和パターン信号とモノパルス差パターン信号が出力される。
なお、実施の形態1から3と同一の符号は同一のものを表し、その構成と動作はここでは説明を省略する。
【0027】
本実施の形態においては第一振幅設定装置と第二振幅設定装置の重み荷重を決める重み計算装置110とそれぞれの振幅に重み荷重を乗算するそれぞれの乗算器111により、複数のモードに適した振幅を設定でき、サブアレー単位で和パターン信号、差パターン信号が低サイドローブとなるように第三振幅設定装置と第四振幅設定装置で第二可変減衰器113と第三可変減衰器115により振幅を制御することにより干渉波の抑圧が可能となり、従来よりもサイドローブレベルは低くなる。
【0028】
実施の形態5.
図13は本実施の形態におけるアンテナ装置の機能ブロック図を表したもので、119は第三振幅設定装置117によってサブアレー112の単位でオン・オフ制御される第一スイッチ、120は第四振幅設定装置118によってサブアレー112の単位でオン・オフ制御される第二スイッチを表す。実施の形態1から4と同一の符号は同一のものを表し、ここでは説明を省略する。
第一スイッチ119は各サブアレー112の出力を第三振幅設定装置117の振幅分布によりオンーオフ制御し、モノパルス和パターン信号生成用の信号を出力する。ここで第三振幅設定装置117はアンテナ開口中心付近の素子をオンし、アンテナ開口端付近の素子をオフすることによって、和パターンで低サイドローブ化を実現するようにスイッチを制御する。
第ニスイッチ120は各サブアレー112の出力を第四振幅設定装置118の振幅分布によりオンーオフ制御し、モノパルス差パターン信号生成用の信号を出力する。ここで第四振幅設定装置118はアンテナ開口中心付近の素子をオフし、アンテナ開口端付近の素子をオンすることによって、差パターンで低サイドローブ化を実現するようにスイッチを制御する。
以降は、本実施の形態4と同様に第二移相器114の出力が和パターン形成給電回路105に、第三移相器116の出力が差パターン形成給電回路106に入力されそれぞれモノパルス和パターン信号とモノパルス差パターン信号が出力される。
【0029】
本実施の形態においては第一振幅設定装置107と第二振幅設定装置108の重み荷重を決める重み計算装置110と、第一振幅設定装置107と第二振幅設定装置108それぞれの振幅値に重み荷重を乗算するそれぞれの乗算器111により、複数のモードに適した振幅を設定でき、サブアレー単位でモノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号が低サイドローブとなるように第一、第二のスイッチを第三振幅設定装置117、第四振幅設定装置118の振幅分布によりオン・オフ制御することにより干渉波の抑圧が可能となり、従来よりもサイドローブレベルは低くなる。ここで第三振幅設定装置117と第四振幅設定装置118のスイッチ制御を上記のように設定したが、低サイドローブを実現すれば、この限りでない。
【0030】
実施の形態6.
図14は本実施の形態6におけるアンテナ装置の機能ブロック図を表したもので、121は第一移相器104の各出力信号、即ち各アンテナ素子の受信信号の位相を主方向にビーム走査するように第一移相器104を制御する第一位相設定装置、122は第二移相器114及び第三移相器116を制御し、第二移相器114及び第三移相器116のサブアレー単位での出力信号の主方向よりのビームのずれを補正する位相を制御する第二位相設定装置を表し、実施の形態1から5と同一の符号は同一のものを示し、ここでは説明を省略する。
【0031】
第一位相制御装置121は、第一移相器104を制御して、第一可変減衰器103の出力信号の位相を主方向にビーム走査するように第一移相器104を制御する。第ニ位相制御装置122は、第二移相器114及び第三移相器116を位相制御して、第二可変減衰器113と第三可変減衰器115の各出力信号における主方向よりのビームのずれを補正する。
和パターン形成給電回路105は、主方向よりのビームのずれが補正されたサブアレー112単位での第二可変減衰器113の各信号を入力し、モノパルス和パターン信号を出力する。
同様に差パターン形成給電回路106は、主方向よりのビームのずれが補正されたサブアレー112単位での第三可変減衰器115の各信号を入力し、モノパルス差パターン信号を出力する。
【0032】
本実施の形態においては主方向にビーム走査が可能となり、さらにビームのずれをサブアレー単位の位相で補正可能となる。またサブアレー単位でモノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号が低サイドローブとなるように振幅を制御することにより干渉波の抑圧が可能となり、従来よりもサイドローブレベルは低くなる。
【0033】
実施の形態7.
図15は本実施の形態におけるアンテナ装置の機能ブロック図を表したもので、125はハイブリッド回路により和パターン形成給電回路と差パターン形成給電回路が混成構成されるモノパルスパターン形成給電回路を表す。本実施の形態は実施の形態6における和パターン形成給電回路105および差パターン形成給電回路106をそれぞれモノパルスパターン形成給電回路125で構成したものである。なお、実施の形態1から6と同一の符号は同一のものを表し、ここでは説明を省略する。
【0034】
図16にハイブリッド回路により構成されるモノパルスパターン形成給電回路125の構成を表し、127は和パターン形成給電回路と差パターン形成給電回路が混成構成されるハイブリッド回路、128は半開口分の出力信号を合成する出力信号合成器、129は残りの半開口からの出力信号を合成する出力信号合成器、126は終端器を表す。図16(1) に示す回路によりモノパルス和パターン信号が形成され、図16(2) に示す回路によりモノパルス差パターン信号が形成される。
【0035】
動作については、半開口分の第二移相器114からのサブアレー単位の出力信号が和パターン形成給電回路用のモノパルスパターン形成給電回路125の出力信号合成器128に入力され、残りの半開口分の第二移相器114からのサブアレー単位の出力信号が和パターン形成給電回路用のモノパルスパターン形成給電回路125の出力信号合成器129に入力される。第二移相器114の出力信号は出力信号合成器128及び129で合成され、合成された信号がハイブリッド回路127に入力される。また、半開口分の第三移相器116からのサブアレー単位の出力信号が差パターン形成給電回路用のモノパルスパターン形成給電回路125の出力信号合成器128に入力され、残りの半開口分の第三移相器116からのサブアレー単位の出力信号が差パターン形成給電回路用のモノパルスパターン形成給電回路125の出力信号合成器129に入力される。第三移相器116の出力信号は出力信号合成器128及び129で合成され、合成された信号がハイブリッド回路127に入力される。
【0036】
ハイブリッド回路127によりモノパルス和パターン信号及びモノパルス差パターン信号が出力されるが、図16(1) に示す回路はモノパルス和パターン信号を形成する和パターン形成給電回路用のモノパルスパターン形成給電回路125で終端器126により差パターン信号は出力されず、モノパルス和パターン信号が出力される。また、図16(2) はモノパルス差パターン信号を形成する差パターン形成給電回路用のモノパルスパターン形成給電回路125で終端器126により和パターン信号は出力されず、モノパルス差パターン信号が出力される。
【0037】
本実施の形態ではハイブリッド回路127により構成されるモノパルスパターン形成給電回路を用いることでモノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号が形成可能となる。
【0038】
実施の形態8.
図17は本実施の形態におけるアンテナ装置の機能ブロック図を表したもので、123はサブアレー112の出力アナログ信号をディジタル信号に変換するサブアレー112の単位ごとに和パターン信号用と差パターン信号用に設けられた2つのAD変換器、124は複数のAD変換器123のサブアレー単位でのディジタル信号処理し、モノパルス和パターン信号、モノパルス差パターン信号を出力するディジタルビームフォーミング部である。
【0039】
第一位相設定装置121は、実施の形態6と同様に第一可変減衰器103の出力信号の位相を主方向にビーム走査するように第一移相器104を制御する。
ディジタルビームフォーミング部124は、和パターン信号用のA/D変換機123の出力と、差パターン信号用のA/D変換機123の出力を入力し、合成器109の振幅分布を基に、各サブアレー毎の振幅を制御し、また、第ニ位相設定装置122からの信号により、合成器109の振幅分布を基に、振幅が制御されたA/D変換機123の和パターン信号用出力と、差パターン信号用出力の主方向からのビームのずれを補正し、モノパルス和パターン信号と、モノパルス差パターン信号を形成し出力する。
【0040】
本実施の形態では第一振幅設定装置107と第二振幅設定装置108の振幅を合成器109で合成した振幅を基にディジタルビームフォーミング部124により、サブアレー単位でディジタル信号処理し、さらに第ニ位相設定装置122により、信号の主方向からのビームのずれを補正することにより、和パターン信号、差パターン信号の低サイドローブ化が可能となり、干渉波が抑圧できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明によるアンテナ装置は、モノパルス和パターン信号、差パターン信号の低サイドローブ化が実現でき、遠方にある物体を探知して、その物体までの距離と方位を測るレーダ装置への適用が可能である。
【符号の説明】
【0042】
101;素子アンテナ、102;低雑音増幅器、103;可変減衰器、104;移相器、105;和パターン信号形成給電回路、106;差パターン信号形成給電回路、107;第一振幅設定装置、108;第二振幅設定装置、109;合成器、110;重み計算装置、111;乗算器、112;サブアレー、113;第二可変減衰器、114;第二移相器、115;第三可変減衰器、116;第三移相器、117;第三振幅設定装置、118;第四振幅設定装置、119;第一スイッチ、120;第二スイッチ、121;第一位相設定装置、122;第二位相設定装置、123;A/D変換器、124;ディジタルビームフォーミング部、125;モノパルスパターン形成給電回路、126;終端器、127;ハイブリッド回路、128,129;出力信号合成器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレーアンテナの開口を形成する複数個の素子アンテナと、
各素子アンテナに対応して設けられ、各素子アンテナが受信した信号を所定の振幅比にする励振振幅を与えるた複数の振幅制御手段と、
モノパルス和パターン信号で低サイドローブ化が実現される振幅を設定する第一振幅設定装置と、
モノパルス差パターン信号で低サイドローブ化が実現される振幅を設定する第二振幅設定装置と、
第一振幅設定装置と第二振幅設定装置により設定された振幅を合成し、この合成された振幅で上記複数の振幅制御手段の励振振幅を制御する合成器と、
各振幅制御手段に対応して設けられ、各振幅制御手段の出力信号の位相をそろえるための位相を与える複数の位相制御手段と、
複数の位相制御手段の出力からモノパルス和パターン信号を形成する和パターン形成給電回路と、同じく複数の位相制御手段の出力からモノパルス差パターン信号を形成する差パターン形成給電回路を備えたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
アレーアンテナのアンテナ開口を形成する複数個の素子アンテナと、各素子アンテナに対応して設けられ、各素子アンテナが受信した信号を所定の振幅比にする励振振幅を与える複数の第一振幅制御手段と、
各第一振幅制御手段に対応して設けられ、各第一振幅制御手段の出力信号の位相をそろえるための位相を与える複数の第一位相制御手段と、
複数個の上記素子アンテナと素子アンテナに対応する第一振幅制御手段と、第一振幅制御手段に対応する第一位相制御手段により形成された複数のサブアレーの組と、
モノパルス和パターンで低サイドローブ化を実現する振幅を設定する第一振幅設定装置と、
モノパルス差パターンで低サイドローブ化を実現する振幅を設定する第二振幅設定装置と、
第一振幅設定装置と第二振幅設定装置の振幅を合成し、この合成された振幅で上記複数の第一振幅制御手段を制御する合成器と、
サブアレーの組の単位でのモノパルス和パターン信号生成用信号の振幅比を所定の値にする励振振幅を与える複数の第二振幅制御手段と、
第二振幅制御手段の出力信号の位相をそろえるための位相を与える複数の第二位相制御手段と、
サブアレーの組の単位でのモノパルス差パターン信号生成用信号の振幅比を所定の値にする励振振幅を与える複数の第三振幅制御手段と、
第三振幅制御手段の出力信号の位相をそろえるための位相を与える複数の第四位相制御手段と、
合成器で合成された振幅を基に、複数のサブアレーの組の出力のモノパルス和パターン信号で低サイドローブ化を実現する振幅を設定し、この設定された振幅で第二振幅制御手段の励振振幅を制御する第三振幅設定装置と、
合成器で合成された振幅を基に、複数のサブアレーの組の出力のモノパルス差パターン信号で低サイドローブ化を実現する振幅を設定し、この設定された振幅で第三振幅制御手段の励振振幅を制御するする第四振幅設定装置と、
複数の第二位相制御手段の出力からモノパルス和パターン信号を形成する和パターン形成給電回路と、複数の第三位相制御手段の出力からモノパルス差パターン信号を形成する差パターン形成給電回路を備えたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
各振幅制御手段は可変減衰器によって実現されることを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
第二振幅制御手段と第三振幅制御手段はそれぞれ複数のスイッチによって構成され、
第二振幅制御手段は第三振幅設定装置によってそれぞれのスイッチのオン―オフが制御され、第三振幅制御手段は第四振幅設定装置によってそれぞれのスイッチのオン―オフが制御され構成にされることを特徴とする請求項2または3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
第一移相制御手段の信号を主方向にビーム走査するための位相を第一移相制御手段に与える第一位相設定装置と、主方向からのビームのずれを補正する位相を第二位相制御手段と、第三位相制御手段に与える第二の位相設定装置を備えたことを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
モノパルス和パターンを形成する給電回路とモノパルス差パターンを形成する給電回路は、
モノパルス和パターン信号の低サイドローブ化の生成用に振幅と位相が制御された、アレーアンテナを形成する複数の素子アンテナの受信信号、または複数の素子アンテナを一組としてサブアレーを形成し、このサブアレーの複数の組によりアレーアンテナを形成する複数のサブアレーの出力信号を入力し合成する出力信号合成器と、
モノパルス差パターン信号の低サイドローブ化の実現用に振幅と位相が制御された、アレーアンテナを形成する複数の素子アンテナの受信信号、または複数の素子アンテナを一組としてサブアレーを形成し、このサブアレーの複数の組によりアレーアンテナを形成する複数のサブアレーの出力信号を入力し合成する出力信号合成器と、
両方の合成器の出力を入力し、モノパルス和パターン信号とモノパルス差パターン信号を生成するハイブリッド回路と、
モノパルス和パターン信号またはモノパルス差パターン信号の何れか一方を終端する終端器とで構成される
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
アレーアンテナのアンテナ開口を形成する複数個の素子アンテナと、各素子アンテナに対応して設けられ、各素子アンテナが受信した信号を所定の振幅比にする励振振幅を与える複数の第一振幅制御手段と、
各第一振幅制御手段に対応して設けられ、各第一振幅制御手段の出力信号の位相をそろえるための位相を与える複数の第一位相制御手段と、
複数個の上記素子アンテナと各素子アンテナに対応する第一振幅制御手段と、第一振幅制御手段に対応する第一位相制御手段により形成された複数のサブアレーの組と、
和パターンで低サイドローブ化を実現する振幅を設定する第一振幅設定装置と、差パターンで低サイドローブ化を実現する振幅を設定する第二振幅設定装置と、第一振幅設定装置と第二振幅設定装置の振幅を合成し、この合成された振幅で上記複数の第一振幅制御手段を制御する合成器と、
第一位相制御手段における第一振幅制御手段の出力信号の位相をそろえる処理は、第一振幅制御手段の出力信号を主方向にビーム走査する処理であり、この第一振幅制御手段の出力信号を主方向にビーム走査するための位相を第一移相制御手段に与える第一位相制御設定装置と、
サブアレーの各組にそれぞれ設けられた組単位でのモノパルス和パターン信号生成用のアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器とモノパルス差パターン信号生成用のアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器と
モノパルス和パターン信号生成用のA/D変換機の出力と、モノパルス差パターン信号生成用のA/D変換機の出力を入力し、合成器の振幅分布を基に、各サブアレー毎のA/D変換機の出力信号の振幅を制御し振幅が制御されたA/D変換機のモノパルス和パターン信号生成用出力と、モノパルス差パターン信号生成用出力からのモノパルス和パターン信号と、モノパルス差パターン信号を形成し出力するディジタルビームフォーミング部と、
ディジタルビームフォーミング部における振幅が制御されたA/D変換機のモノパルス和パターン信号用出力と、モノパルス差パターン信号用出力の主方向からのビームのずれを補正する第ニ位相設定装置を備えたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項8】
第一振幅設定装置で設定された振幅と、第二振幅設定装置で設定された振幅のそれぞれの重み荷重を定める重み計算装置と、第一振幅設定装置で設定された振幅に重み荷重を乗算する乗算器と、第二振幅設定装置で設定された振幅に重み荷重を乗算する乗算器を備え、合成器は、それぞれ重み荷重が乗算された第一振幅制御装置の振幅と第二振幅制御装置の振幅を合成することを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−175469(P2012−175469A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36431(P2011−36431)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】