インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
【課題】本発明は、簡単な構成で、ヘッドユニットにθズレ等が発生しても隣接ヘッドの繋ぎ目での画質の低下を低減できるインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【解決手段】液滴を吐出する複数のノズルをマトリクス配列したインクジェット記録ヘッドと、インクジェット記録ヘッドを千鳥配置したヘッドユニットと、ヘッドユニットを複数有するインクジェット記録装置であって、インクジェット記録ヘッドの長手方向の各端部に吐出選択ノズルを有し、隣接するインクジェット記録ヘッドの幅方向に近接した吐出選択ノズルが液滴を吐出するように選択されるとともに、インクジェット記録ヘッドが同一方向に配置されてヘッドユニットを構成することを特徴とするインクジェット記録装置。
【解決手段】液滴を吐出する複数のノズルをマトリクス配列したインクジェット記録ヘッドと、インクジェット記録ヘッドを千鳥配置したヘッドユニットと、ヘッドユニットを複数有するインクジェット記録装置であって、インクジェット記録ヘッドの長手方向の各端部に吐出選択ノズルを有し、隣接するインクジェット記録ヘッドの幅方向に近接した吐出選択ノズルが液滴を吐出するように選択されるとともに、インクジェット記録ヘッドが同一方向に配置されてヘッドユニットを構成することを特徴とするインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、インクジェット記録ヘッドのノズルから微小な液滴を記録媒体に対して吐出して印字や画像記録を行うものであり、記録媒体から離間した状態で記録動作を行うことができることから、様々な材質の記録媒体や物品に記録することが可能で、幅広い用途に使用されてきている。同時に、インクジェット記録方式では、高精細な画像を高速で記録することが求められている。
【0003】
インクジェット記録ヘッドのノズルを配列する方法としては、1つのヘッド内で配列する方法と、2つ以上のインクジェット記録ヘッドに跨って配列する方法がある。そして1つのインクジェット記録ヘッド内に相対位置精度の良いノズルを形成することと、2つ以上のインクジェット記録ヘッドに跨るノズル間の相対位置精度を良くすることの難易度を比較すると、前者は容易だが、後者はインクジェット記録ヘッドの相対位置関係に影響を受けるため、前者に比べて難しい。また、インクジェット記録装置へのインクジェット記録ヘッドの組み付け精度についても大きな課題となっており、インクジェット記録ヘッドやヘッドユニットに回転方向のズレ(いわゆるθズレ)等が発生した場合は、記録物の画質が低下するおそれがある。
【0004】
図3はヘッドユニット110に時計回りのθズレが発生した場合の模式図である。破線で示した線Sは、ヘッドユニット110に対しての垂線である。実線で示した線Lは、記録部200に対しての垂線である。このようにヘッドユニットにθズレが発生すると、インクが記録媒体に着弾した時に、ドット同士の距離にムラができ、白スジや黒スジが現出して画質が低下する場合がある。
【0005】
これらの問題を解決する方法として、ノズルを二次元的に平面配置した複数のヘッドユニットを隣接ヘッド間のノズルが幅方向で近接するように液滴吐出ヘッドを180°回転させて交互に千鳥状に配置した液滴吐出ヘッドが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
しかし、液滴吐出ヘッドを180°回転させて交互に千鳥状に配置すると、液滴吐出ヘッドの長手方向の片側上部に組み付け用の基準点を設ける場合、基準点が上側のヘッドと基準点が下側のヘッドが隣接して組み付けられることになり、液滴吐出ヘッドを回転させずに配置した場合と比べて、隣接ヘッドの繋ぎ目部分で熱変位による影響が2倍となり、画像品質に大きく影響するおそれがある。つまり、インクを加温する目的等でヘッドを加熱する場合は、熱の影響でヘッドが変形して画像品質に影響するおそれがあるが、基準点は固定されているので、基準点から遠ざかるほど、画像品質に影響が出やすい。これに対し、液滴吐出ヘッドの長手方向の両側に基準点を設ける場合では、基準点という高精度な加工箇所が2倍になり、加工時間・コストの増加や歩留まりの低下につながるおそれがある。また2種類のヘッドの向きに対応した印刷データとノズル配列に対するデータテーブルを準備する必要があり、効率的でない。また、ヘッドの数が多くなればなるほどこれらの手間が増え、作業効率が悪くなるおそれがある。
【0007】
これに対し、液滴吐出ヘッドを180°回転させずに、つまり互いに同一方向に千鳥配置した図を図6に示す。インクジェット記録ヘッド42、43、44の吐出面には複数のノズルが二次元方向にマトリクス配列されており、ヘッドユニット41ではインクジェット記録ヘッド42、43、44が千鳥配置されている。しかしインクジェット記録ヘッド43、44を図6のように隣接して配置した場合、インクジェット記録ヘッド43、44の繋ぎ目のノズル8とノズル81の間隔が幅方向に大きく開いてしまう(ノズル8とノズル81の間隔が近接しない)。そのためヘッドユニット41にθズレが発生した場合は、ノズル8とノズル81の幅方向に大きく開いた間隔により、記録物の画質の低下となって影響を受けるおそれがある。
【0008】
図8は、図6に示す従来の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドから吐出されたインクが着弾した様子を示した図であり、図6のインクジェット記録ヘッド43とインクジェット記録ヘッド44の繋ぎ目のノズル8とノズル81から吐出されたインクが記録媒体に着弾した様子を示した例である。図8(a)は、ヘッドユニット41に時計まわりのθズレが生じた場合のインク着弾の様子を示しており、ノズル8から吐出されたドット8Dとノズル81から吐出されたドット81Dがそれぞれラインを形成しているが、図10の正常な着弾の様子を示した図と比較するとドットが重なった部分(図8(a)の41Aと、図10のCを参照)が多くなっており、これが連続するといわゆる黒スジとなって目立つことになる。また、図8(b)は、ヘッドユニット41に反時計まわりのθズレが生じた場合のインク着弾の様子を示しており、ノズル8から吐出されたドット8D’とノズル81から吐出されたドット81D’がそれぞれラインを形成しているが、図10の正常な着弾の様子を示した図と比較するとドットの重なりが少なくなっており(図8(b)の41Bと、図10のCを参照)、これが連続するといわゆる白スジとなって目立つことになる。インクジェット記録ヘッドを千鳥配置した場合に、このようなθズレ等による記録物の画質の低下を防ぐためには、特許文献1のようにする方法もあるが、前述のように画像品質に影響が出たり、作業効率低下につながったりするおそれがある。
【特許文献1】特開2006−264188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、インクジェット記録ヘッドやヘッドユニットにθズレ等が発生しても、隣接したインクジェット記録ヘッドの繋ぎ目での画質の低下を軽減できるインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑みなされた本発明の一側面は、液滴を吐出する複数のノズルをマトリクス配列したインクジェット記録ヘッドと、前記インクジェット記録ヘッドを千鳥配置したヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを複数有するインクジェット記録装置であって、前記インクジェット記録ヘッドの長手方向の各端部に吐出選択ノズルを有し、隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第一の繋ぎ目の幅方向に近接した前記吐出選択ノズルが液滴を吐出するように選択されるとともに、前記インクジェット記録ヘッドを互いに同一方向に配置して前記ヘッドユニットを構成することを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0011】
これによれば、隣接するインクジェット記録ヘッドの第一の繋ぎ目の幅方向に近接した吐出選択ノズルが液滴を吐出するように選択されるとともに、インクジェット記録ヘッドを互いに同一方向に配置して前記ヘッドユニットを構成することで、隣接するインクジェット記録ヘッド間のノズルが幅方向で近接するように設定することができるようになり、インクジェット記録ヘッドやヘッドユニットのθズレの影響を低減して、隣接するインクジェット記録ヘッドの繋ぎ目での画質の低下を軽減することができる。特にヘッドユニットの中でも最もθズレの影響を受けやすいインクジェット記録ヘッドの第一の繋ぎ目での画質の低下を軽減することができる。加えてインクジェット記録ヘッドを互いに同一方向に配置することで、ヘッドの繋ぎ目の熱変位による影響を低減し、良好な画像を形成することができる。
【0012】
さらに、前記隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の前記吐出選択ノズルが幅方向に近接しない場合、前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の吐出選択ノズルではないノズル(以下、通常のノズルという)が近接するように配置して前記ヘッドユニットを構成することが好ましい。
【0013】
これによれば、隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の前記吐出選択ノズルが幅方向に近接しない場合、前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の通常のノズルが近接するように配置して前記ヘッドユニットを構成することで、インクジェット記録ヘッドの第一の繋ぎ目に次いでθズレの影響を受けやすい、第二の繋ぎ目での画質の低下を軽減することができる。
【0014】
さらに、前記隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の前記吐出選択ノズルが幅方向に近接しない場合、該吐出選択ノズルが液滴を吐出して画像を形成するようには選択されないことが好ましい。
【0015】
これによれば、隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の前記吐出選択ノズルが幅方向に近接しない場合、該吐出選択ノズルが液滴を吐出して画像を形成するようには選択されないことで、ヘッドユニットにθズレ等が発生しても画質に影響を及ぼすことがないようにすることができる。
【0016】
本発明の他の側面は、記録媒体を搬送する搬送工程と、複数のノズルをマトリクス配列した複数のインクジェット記録ヘッドから構成され、前記インクジェット記録ヘッドを千鳥配置した複数のヘッドユニットからなる記録部から液滴を吐出して前記記録媒体に記録を行うインクジェット記録工程と、を含むインクジェット記録方法であって、隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第一の繋ぎ目の幅方向に近接した、前記インクジェット記録ヘッドの長手方向の各端部に設けられた吐出選択ノズルが液滴を吐出するように選択されるとともに、前記ヘッドユニットを構成する前記インクジェット記録ヘッドを互いに同一方向に配置して、前記インクジェット記録ヘッドのノズルから前記記録媒体へ向けて液滴吐出動作を行うことを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0017】
これによれば、隣接するインクジェット記録ヘッドの第一の繋ぎ目の幅方向に近接した吐出選択ノズルが液滴を吐出するように選択されることで、隣接するインクジェット記録ヘッド間のノズルが幅方向で近接するように設定することができるようになり、インクジェット記録ヘッドやヘッドユニットのθズレの影響を低減して、隣接するインクジェット記録ヘッドの繋ぎ目での画質の低下を軽減することができる。加えてインクジェット記録ヘッドを互いに同一方向に配置することで、ヘッドの繋ぎ目の熱変位による影響を低減し、良好な画像を形成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、インクジェット記録ヘッドやヘッドユニットにθズレ等が発生しても、簡単な構成で、隣接するインクジェット記録ヘッドの繋ぎ目での画質の低下を軽減できるインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ライン型インクジェット記録装置に関する概略構成図である。
【図2】インクジェット記録ヘッドを千鳥配置したヘッドユニットを示した模式図である。
【図3】ヘッドユニットにθズレが発生した場合の模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのノズル配列を示した図である。
【図5】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのノズル配列を示した変形例である。
【図6】従来の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのノズル配列を示した図である。
【図7】インクジェット記録ヘッドの一例に関する模式図である。
【図8】図6に示す従来の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドから吐出されたインクが着弾した様子を示した図である。
【図9】図4に示す本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドから吐出されたインクが着弾した様子を示した図である。
【図10】インクジェット記録ヘッドやヘッドユニットにθズレが発生していない場合の正常な着弾の様子を示した図である。
【図11】ノズル密度25npiのノズル列を1mm間隔で4列並べて100npiのインクジェット記録ヘッドを構成した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。また、他の構成を含むようにしてもよい。
【0021】
<インクジェット記録装置の概要>
図1は、ライン型インクジェット記録装置に関する概略構成図である。インクジェット記録装置1は図1に示すように、搬送部10と、記録部20と、制御部50とを有する。インクジェット記録装置1では記録媒体Mの記録面に対して、例えばフルカラーの画像が記録される。なお、記録媒体Mの記録面は記録部20と対向している面であり、搬送部10の搬送面9と接していない面である。
【0022】
搬送部10は、コンベア等によって構成される。搬送部10は、搬送面9に貼り付けられた記録媒体MをY方向に搬送する。記録媒体Mは、セットされた供給部(不図示)から送り出され、搬送部10の一端側に供給されて搬送面9に貼り付けられる。その後、他端側に搬送され、巻取部(不図示)で巻きとられる。記録媒体Mは搬送中に記録部20からインク吐出を受けて画像が記録される。なお、記録媒体Mが所定の大きさに形成(裁断された物や、立体物や、板状物等)されたものの場合は、搬送部10の一端側の搬送面9に載せ置かれた記録媒体が搬送部10の他端側に搬送される。記録媒体は、搬送中に記録部20からインク吐出を受けて画像が記録され、その後回収される。
【0023】
記録部20は、複数のヘッドユニットを含む。ヘッドユニットは例えば、ブラックインクを吐出する複数のインクジェット記録ヘッドを配置したブラックインク用ヘッドユニット(図2の11k参照)、シアンインクを吐出する複数のインクジェット記録ヘッドを配置したシアンインク用ヘッドユニット(図2の11c参照)、マゼンタインクを吐出する複数のインクジェット記録ヘッドを配置したマゼンタインク用ヘッドユニット(図2の11m参照)、イエローインクを吐出する複数のインクジェット記録ヘッドを配置したイエローインク用ヘッドユニット(図2の11y参照)によって構成される。すなわち、記録部20は複数のインクジェット記録ヘッドによって構成されている。ブラックインク用ヘッドユニット11kを構成する複数のインクジェット記録ヘッドは、搬送方向に直交する方向(X方向)の複数列に整列された状態で、且つ隣接する列同士のインクジェット記録ヘッドが千鳥状となるように配置されている。シアンインク用ヘッドユニット11c、マゼンタインク用ヘッドユニット11m、イエローインク用ヘッドユニット11yのそれぞれにおける複数のインクジェット記録ヘッドについても、ブラックインク用ヘッドユニット11kと同様に配置されている。なお、各色のヘッドユニットを構成するインクジェット記録ヘッドは複数のノズルと各ノズルに対応した圧力室と、各圧力室に対応したピエゾ素子と、を有する。各色のインクは後述するようにして供給されて圧力室に収容され、インクジェット記録装置1に入力された記録データに従った吐出指令によって、ピエゾ素子に駆動電圧が印加されることで、圧力室に対応したノズルからそれぞれ吐出される。
【0024】
制御部50は、インクジェット記録装置1で実行される各種処理を制御する。制御部50は、例えば、インクジェット記録工程を含むインクジェット記録方法のための処理を制御する。具体的には、搬送部10を制御して記録媒体Mの搬送をコントロールしたり、記録部20を制御して、インクの吐出に関する処理をコントロールしたりする。制御部50は電子部品が搭載された回路基板及び電気配線等を含む。制御部50に含まれる少なくとも一部の構成は、記録部20の上部に設置されてもよい。
【0025】
インクジェット記録装置1は、この他、例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローのインクをそれぞれ貯留したメインタンク(不図示)を有する。ブラック用のメインタンクに貯留されたブラックインクは、ブラック用のインク供給ライン(不図示)を介してブラックインク用ヘッドユニット11kの複数のインクジェット記録ヘッドにそれぞれ供給される。シアン用のメインタンクに貯留されたシアンインクは、シアン用のインク供給ライン(不図示)を介してシアンインク用ヘッドユニット11cの複数のインクジェット記録ヘッドにそれぞれ供給される。マゼンタ用のメインタンクに貯留されたマゼンタインクは、マゼンタ用のインク供給ライン(不図示)を介してマゼンタインク用ヘッドユニット11mの複数のインクジェット記録ヘッドにそれぞれ供給される。イエロー用のメインタンクに貯留されたイエローインクは、イエロー用のインク供給ライン(不図示)を介してイエローインク用ヘッドユニット11yの複数のインクジェット記録ヘッドにそれぞれ供給される。
【0026】
インクジェット記録装置1は、ネットワークインターフェース等の所定のインターフェース(不図示)を有する。インクジェット記録装置1は、インターフェースを介して、パーソナルコンピュータ等の外部装置と通信可能に接続されている。外部装置は、インクジェット記録装置1に対し、記録面への画像の記録指令及び記録する画像を示す記録データ等を入力する。ここで、入力される記録データは、例えば、インクの吐出の有無を示す2階調のデータ、すなわち、1画素あたり1bit(ON/OFF)のデータ(バイナリーデータ)である。このような記録データによれば、データ量を少なくすることが可能で、高周波及び/又は多ノズルへの対応が容易となる。また、吐出パターンが1種類となるため、記録ヘッド及び/又はインクの設計、合わせ込みが容易となる。記録指令が入力されたインクジェット記録装置1では、所定の処理が実行され、インクジェット記録方法が実行される。インクジェット記録装置1でインクジェット記録方法が実行されると、入力された記録データによって示される画像が記録面に記録される。
【0027】
本発明のインクジェット記録方法では、まず、搬送部10が動作を開始し、搬送面9に貼り付けられた記録媒体Mの搬送が開始される。次に、記録部20において、入力される記録データに従った吐出指令によって、搬送されてきた記録媒体Mに対して各色のインクが吐出され、記録面に着弾する。各色のインクは、対応する色のヘッドユニットそれぞれの記録ヘッドのノズルから、上述したように適宜吐出される。これによって、ブラックインクによるブラックドットと、シアンインクによるシアンドットと、マゼンタインクによるマゼンタドットと、イエローインクによるイエロードットとが、記録面に形成される。
【0028】
記録媒体Mが所定の大きさに形成(裁断された物や、立体物や、板状物等)されたものの場合は、まず、搬送面9に記録媒体を載せ置き、搬送部10が動作を開始して記録媒体の搬送が開始される。次に、前述のように記録媒体に各色のインクにより記録が行われる。
記録が行われた記録媒体は、搬送部10の搬送方向下流側の端部まで搬送され、1つの記録媒体に対する画像の記録が終了し、記録媒体は回収される。この場合、搬送面9には、記録媒体が所定のタイミングで順次載せ置かれ、これの搬送が開始され、上記処理が連続的に繰り返して実行される。つまり、インクジェット記録装置1では、搬送工程と、インクジェット記録工程とを含むインクジェット記録方法が繰り返して連続的に実行される。
【0029】
インクが記録媒体Mに着弾した後に、後処理を行う後処理部を記録部の後に設けてもよい。例えば、画像の記録に水系のインクが用いられる場合には、各色のインクが記録媒体Mの記録面に着弾した後に、記録媒体Mに着弾したインクを乾燥させる後処理部を設けてもよい。また、画像の記録に紫外線硬化型インクが用いられる場合には、各色のインクが記録媒体Mの記録面に着弾した後に、記録媒体Mに着弾したインクを硬化させる後処理部を設けてもよい。また、記録部20を主走査方向(X方向)に走査して画像の記録を行うシリアル型インクジェット記録装置で、紫外線硬化型インクを用いて記録を行う場合は、記録媒体Mに着弾したインクを硬化させる後処理部が、記録部20に備えられていてもよい。
【0030】
<インクジェット記録ヘッドの概要>
図7は、インクジェット記録ヘッドの一例に関する模式図である。インクジェット記録ヘッド12の内部には、インクが充填される圧力室2が形成されており、インクジェット記録ヘッド12の吐出面側にはノズル3が穿設されている。ノズル3と圧力室2との間はインクが流通する流路が形成されている。圧力室2には、図示せぬインクタンクと連通するインク供給路が接続されており、インクタンクからインクが供給されるようになっている。
【0031】
これら圧力室2、ノズル3−圧力室2間のインク流通流路及びインク供給路を形成する場合、素材は特に限定されないが、熱による変形を防ぐために、金属の薄板にエッチングで所望の形状の溝を形成し、この溝が形成された複数の金属薄板を積層して接着することにより金属薄板の積層体内部に圧力室2、ノズル3−圧力室2間のインク流通流路及びインク供給路を形成することができる。インクジェットヘッドに用いられる金属薄板は、形成する溝の形状に応じて0.01mmから1mm厚の薄板を使用するとよい。
【0032】
ノズル3については、ノズルとなる径20〜30μmの小孔が穿設された金属や樹脂等の薄板を使用する。ノズル穿設薄板は、0.01mm〜0.5mmの厚さのものを用いるとよい。上述の金属薄板の積層体のインク流通流路にノズルとなる小孔が対応するように薄板をセットして接着することによりインク流通流路に連通するノズル3が形成される。
【0033】
圧力室2の上部には振動板7が取り付けられており、振動板7の上面には圧力室2に対応して板状の圧電素子4が接着固定されている。圧電素子4は、振動板7側の面に下部電極5が形成されており、その反対側の面には上部電極6が形成されている。
【0034】
振動板7は、厚さ0.01mm〜1mmの金属板やセラミック板等が用いられる。また、圧電素子4は、振動板7と同程度の厚さのものが使用される。
【0035】
圧電素子4は、下部電極5及び上部電極6の間に駆動信号を印加することで厚み方向と直交する方向に伸縮変形し、それに伴って圧電素子4に接着した振動板7が撓む。電極5−6間に電位差が生じていない状態から、電極6から電極5に向かう電界を生じさせるパルス信号を電極5−6間に印加すると圧電素子4は厚み方向と直交する方向に伸び変形し、圧電素子4に接着固定された振動板7は圧力室2を膨張させる方向に変形する。圧力室2の膨張により内部圧力が低下するのでノズル3−圧力室2間のインク流通流路、ノズル3及びインク供給路から圧力室2内にインクが引き込まれる。この状態を一定期間保持した後に、電極5から電極6に向かう電界を生じさせるパルス信号を電極5−6間に印加すると圧電素子4は厚み方向と直交する方向に縮み変形し、圧電素子4に接着固定された振動板7は圧力室2を収縮させる方向に変形する。圧力室2の収縮により内部圧力が上昇し圧力室2内に滞留するインクが、ノズル3−圧力室2間のインク流通流路を通ってノズル3へ移動する、いわゆる引き押し打ちによりノズル3からインク滴が吐出される。
【0036】
こうした一回の吐出動作が終了すると、電極5−6間は再び電位差が生じていない状態に保持され、次の吐出動作に備えた待機状態となる。
【0037】
インクジェット記録ヘッドには、通常組み付け時に使用する基準点が形成されている(図4のE、図5のF参照)。基準点を設ける位置や基準点の形は様々あるが、1つのヘッドユニットを構成する場合、通常は同じ種類のインクジェット記録ヘッドを用いる、つまり、基準点もそれぞれのインクジェット記録ヘッドの同じ位置に存在し、同じ形をしていることになる。従って、この基準点が同一方向になるようにインクジェット記録ヘッドを配置することで、インクジェット記録ヘッドを同一方向に配置することができる。
【0038】
<ヘッドユニット配置>
図2はインクジェット記録ヘッドを千鳥配置したヘッドユニットを示した模式図である。記録部20は、ブラックインク用ヘッドユニット11k、シアンインク用ヘッドユニット11c、マゼンタインク用ヘッドユニット11m、イエローインク用ヘッドユニット11yから構成されており、各色のヘッドユニットは複数のインクジェット記録ヘッドが千鳥状となるように配置されて構成されている。
【0039】
記録部20において、ブラックインク用ヘッドユニット11k、シアンインク用ヘッドユニット11c、マゼンタインク用ヘッドユニット11m、イエローインク用ヘッドユニット11yは、図2に示すように、搬送方向上流側から下流側に向けて、ブラックインク用ヘッドユニット11k、シアンインク用ヘッドユニット11c、マゼンタインク用ヘッドユニット11m、イエローインク用ヘッドユニット11yの順で配列されている。なお、これらのヘッドユニット11k、11c、11m、11yの配列順序は、これに限るものではなく、諸条件を考慮し適宜変更してもよい。なお、記録部20は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローとは異なるインク色のヘッドユニットを含むようにしてもよい。またヘッドユニット11k、11c、11m、11yそれぞれを構成する記録ヘッド列数は、上記に限るものではなく、諸条件を考慮し適宜変更してもよい。また、図2ではインクジェット記録ヘッドやヘッドユニットの回転方向のズレ(θズレ)については考慮していない。
【0040】
<ノズル配列>
図4は本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのノズル配列を示した図である。ヘッドユニット11はインクジェット記録ヘッド12、13、14を千鳥配置して形成されている。インクジェット記録ヘッド12、13、14の吐出面には複数のノズルが二次元方向にマトリクス配列されており、通常のノズルについてはオーバーラップはしないように配置されている。そしてインクジェット記録ヘッド12、13、14の長手方向の各端部に吐出選択ノズル12−21、12−22、13−21、13−22、14−21、14−22が形成されている。また、インクジェット記録ヘッド12、13、14には、それぞれ基準点Eが設けられており、基準点Eが互いに同一方向になるようにインクジェット記録ヘッド12、13、14が配置されている。液滴を加温する目的等でインクジェット記録ヘッドに熱をかける場合は、インクジェット記録ヘッドが熱により伸びたり変形したりするおそれがあるが、基準点Eが互いに同一方向になるようにインクジェット記録ヘッドを配置することで、熱でのインクジェット記録ヘッドの変形による画質の影響を低減することができる。
【0041】
インクジェット記録ヘッド12、13、14は前述のように互いに同一方向に配置されており、インクジェット記録ヘッド12と13、13と14のそれぞれの配置は、記録媒体への記録を行った時の記録品位への影響と、ノズルの有効活用とを考慮した配置となっている。具体的には、インクジェット記録ヘッド13と14を図4のように配置し、インクジェット記録ヘッド13と14の幅方向に近接した吐出選択ノズル13−22と14−21を吐出するように選択することで、ノズルの有効活用ができ、またインクジェット記録ヘッド13、14の繋ぎ目(第一の繋ぎ目)の吐出選択ノズル13−22と14−21の間隔が幅方向に近接するので、ヘッドユニット11にθズレ等が発生してもインクジェット記録ヘッド13と14の繋ぎ目による白スジや黒スジが目立ちにくくなり画質の低下を低減することができる。また、インクジェット記録ヘッド12と13を図4のように配置、つまりインクジェット記録ヘッド12と13の繋ぎ目(第二の繋ぎ目)の通常のノズルが幅方向に近接するように配置することで、ヘッドユニット11にθズレ等が発生しても画質の低下を低減することができる。更に、インクジェット記録ヘッド12と13の繋ぎ目の幅方向に近接しない吐出選択ノズル12−22と13−21が、液滴を吐出して画像を形成するようには選択しないことで、ヘッドユニット11にθズレ等が発生しても画質に影響を及ぼすことがないようにすることができる。加えてインクジェット記録ヘッド12、13、14を互いに同一方向に配置することで、ヘッドの繋ぎ目の熱変位による影響を低減し、良好な画像を形成することができる。
【0042】
ここで、幅方向に近接とは、ノズルをマトリクス配列したインクジェット記録ヘッドが千鳥配置されてヘッドユニットを構成する際に、隣接するヘッドの境界に近い部分に、双方のヘッドにそれぞれノズルが存在するということであり、さらに隣接する双方のヘッドの幅方向の略中央部より隣接ヘッド側にそれぞれのノズルが存在していることが好ましい。
【0043】
また、図4のインクジェット記録ヘッド13と14の繋ぎ目を第一の繋ぎ目とし、インクジェット記録ヘッド12と13の繋ぎ目を第二の繋ぎ目とする。ノズルをマトリクス配列すると、ノズルはインクジェット記録ヘッドに対して一定の角度を持って配列されるが、この配列により、インクジェット記録ヘッドが千鳥配置されてヘッドユニットを構成する。第一の繋ぎ目は、この時、隣接するヘッドの境界に近い部分に通常のノズルが存在しないために、吐出選択ノズルも使用して画像形成を行う繋ぎ目のことを表す。これに対し、第二の繋ぎ目は、この時、隣接するヘッドの境界に近い部分に通常のノズルが存在し、吐出選択ノズルを画像形成に使用しない繋ぎ目のことを表す。
【0044】
図5は本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのノズル配列を示した変形例である。ヘッドユニット31はインクジェット記録ヘッド32、33、34を千鳥配置して形成されている。インクジェット記録ヘッド32、33、34の吐出面には複数のノズルが二次元方向にマトリクス配列されており、通常のノズルが一部オーバーラップをするように配置されている。そしてインクジェット記録ヘッド32、33、34の長手方向の各端部に吐出選択ノズル32−21、32−22、33−21、33−22、34−21、34−22が形成されている。また、インクジェット記録ヘッド32、33、34には、それぞれ基準点Fが設けられており、基準点Fが互いに同一方向になるようにインクジェット記録ヘッド32、33、34が配置されている。液滴を加温する目的等でインクジェット記録ヘッドに熱をかける場合は、インクジェット記録ヘッドが熱により伸びたり変形したりするおそれがあるが、基準点Fが互いに同一方向になるようにインクジェット記録ヘッドを配置することで、熱でのインクジェット記録ヘッドの変形による画質の影響を低減することができる。
【0045】
インクジェット記録ヘッド32、33、34は前述のように互いに同一方向に配置されており、インクジェット記録ヘッド32と33、33と34のそれぞれの配置は、記録媒体への記録を行った時に記録品位への影響を考慮した配置となっている。具体的には、インクジェット記録ヘッド33と34を図5のように配置し、インクジェット記録ヘッド33と34の幅方向にオーバーラップした吐出選択ノズル33−22と34−21を吐出するように選択することで、双方の吐出選択ノズルで補完し合うように印刷することができ、インクジェット記録ヘッド33と34の相対位置が多少ずれても、インクジェット記録ヘッド33と34の繋ぎ目(第一の繋ぎ目)の白スジや黒スジが目立ちにくくなる。更に、これら吐出選択ノズルは幅方向で近接しているので、ヘッドユニットにθズレ等が発生しても画質の低下を低減することができる。また、インクジェット記録ヘッド32と33を図5のように配置、つまりインクジェット記録ヘッド32と33の繋ぎ目の通常のノズルが幅方向にオーバーラップするように配置することで、双方のノズルで補完し合うように印刷することができ、インクジェット記録ヘッド32と33の相対位置が多少ずれても、インクジェット記録ヘッド32と33の繋ぎ目(第二の繋ぎ目)の白スジや黒スジが目立ちにくくなる。更に、インクジェット記録ヘッド32と33の繋ぎ目の幅方向に近接しない吐出選択ノズル32−22と33−21を吐出しないように選択することで、ヘッドユニット31にθズレ等が発生しても画質に影響を及ぼすことがないようにすることができる。更にまた、インクジェット記録ヘッド32、33、34を互いに同一方向に配置することで、ヘッドの繋ぎ目の熱変位による影響を低減し、良好な画像を形成することができる。
【0046】
図9は、図4に示す本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドから吐出されたインクが着弾した様子を示した図であり、図4のインクジェット記録ヘッド13、14の繋ぎ目の吐出選択ノズル13−22と吐出選択ノズル14−21から吐出されたインクが記録媒体に着弾した様子を示した例である。また、図10は、インクジェット記録ヘッドやヘッドユニットにθズレが発生していない場合の正常な着弾の様子を示した図である。図9(a)は、ヘッドユニット11に時計まわりのθズレが生じた場合のインク着弾の様子を示しているが、図8(a)の従来のインク着弾の様子と比較すると黒スジが目立たなくなっており、図10の正常な着弾の様子に近くなっている(図8(a)の41A、図9(a)の11Aと図10のCを参照)。また、図9(b)は、ヘッドユニット11に反時計まわりのθズレが生じた様子を示しているが、やはり図8(b)の従来の着弾の様子と比較すると白スジが目立たなくなっており、図10の正常な着弾の様子に近くなっている(図8(b)の41B、図9(b)の11Bと図10のCを参照)。
【0047】
図11はノズル密度25npiのノズル列を1mm間隔で4列並べて100npiのインクジェット記録ヘッドを構成した図である。長手方向の長さGが26.13mm、幅方向の長さWが5mm、ノズル列の間隔W1がそれぞれ1mmであるインクジェット記録ヘッドを図11に例示する。また、長手方向の各端部に吐出選択ノズルを破線で示した。ノズルピッチNは0.254mmである。
【0048】
図11に示すインクジェット記録ヘッドを図4のように千鳥配置して、ヘッドユニットを構成した。このヘッドユニットの第一の繋ぎ目に存在するそれぞれの吐出選択ノズルから吐出されるドットのドットサイズを直径0.36mmとした場合、図10に示すような正常なドットピッチHは0.254mmである。吐出選択ノズルが存在しない図6のヘッドユニットで、第一の繋ぎ目のノズル8とノズル81から吐出されたインクが着弾した様子は図8に示すようになる。このときのドットピッチは、ヘッドユニットに時計回りの0.5°のθズレが生じた場合は、0.184mm(図8(a)の41AH参照)、ヘッドユニットに反時計回りの0.5°のθズレが生じた場合は、0.324mmとなり(図8(b)の41BH参照)、正常なドットピッチから大きく外れてしまい、明らかな白スジ・黒スジとして認識されることになる。これに対し、吐出選択ノズルがヘッドの長手方向の端部に存在する図4のヘッドユニットで、第一の繋ぎ目の吐出選択ノズル13−22と14−21から吐出されたインクが着弾した様子を示した様子は図9に示すようになる。このときのドットピッチは、ヘッドユニットに時計回りの0.5°のθズレが生じた場合は、0.236mm(図9(a)の11AH参照)、ヘッドユニットに反時計回りの0.5°のθズレが生じた場合は、0.271mmとなり(図9(b)の11BH参照)、従来の±0.5°のθズレが生じた場合のドットピッチから大きく改善されて、画像も白スジや黒スジとしては認識できない程度となり、本発明の効果が確認できる。
【0049】
尚、本発明のドットピッチとは、着弾したドットの中心部から、隣接の着弾したドットの中心部までの距離を示す。同様に、本発明のノズルピッチとは、ノズルの中心部から、隣接するドットを形成するノズルの中心部までの距離を示す。
【0050】
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置としては、インクジェット記録ヘッドを走査して記録媒体を間欠搬送することで記録を行うシリアル型インクジェット記録装置であってもよいし、インクジェット記録ヘッドを固定して記録媒体を搬送することで記録を行うライン型インクジェット記録装置であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 インクジェット記録装置
9 搬送面
10 搬送部
11 ヘッドユニット
12 13 14 インクジェット記録ヘッド
12−21 12−22 吐出選択ノズル
13−21 13−22 吐出選択ノズル
14−21 14−22 吐出選択ノズル
31 ヘッドユニット
32 33 34 インクジェット記録ヘッド
32−21 32−22 吐出選択ノズル
33−21 33−22 吐出選択ノズル
34−21 34−22 吐出選択ノズル
20 記録部
50 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、インクジェット記録ヘッドのノズルから微小な液滴を記録媒体に対して吐出して印字や画像記録を行うものであり、記録媒体から離間した状態で記録動作を行うことができることから、様々な材質の記録媒体や物品に記録することが可能で、幅広い用途に使用されてきている。同時に、インクジェット記録方式では、高精細な画像を高速で記録することが求められている。
【0003】
インクジェット記録ヘッドのノズルを配列する方法としては、1つのヘッド内で配列する方法と、2つ以上のインクジェット記録ヘッドに跨って配列する方法がある。そして1つのインクジェット記録ヘッド内に相対位置精度の良いノズルを形成することと、2つ以上のインクジェット記録ヘッドに跨るノズル間の相対位置精度を良くすることの難易度を比較すると、前者は容易だが、後者はインクジェット記録ヘッドの相対位置関係に影響を受けるため、前者に比べて難しい。また、インクジェット記録装置へのインクジェット記録ヘッドの組み付け精度についても大きな課題となっており、インクジェット記録ヘッドやヘッドユニットに回転方向のズレ(いわゆるθズレ)等が発生した場合は、記録物の画質が低下するおそれがある。
【0004】
図3はヘッドユニット110に時計回りのθズレが発生した場合の模式図である。破線で示した線Sは、ヘッドユニット110に対しての垂線である。実線で示した線Lは、記録部200に対しての垂線である。このようにヘッドユニットにθズレが発生すると、インクが記録媒体に着弾した時に、ドット同士の距離にムラができ、白スジや黒スジが現出して画質が低下する場合がある。
【0005】
これらの問題を解決する方法として、ノズルを二次元的に平面配置した複数のヘッドユニットを隣接ヘッド間のノズルが幅方向で近接するように液滴吐出ヘッドを180°回転させて交互に千鳥状に配置した液滴吐出ヘッドが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
しかし、液滴吐出ヘッドを180°回転させて交互に千鳥状に配置すると、液滴吐出ヘッドの長手方向の片側上部に組み付け用の基準点を設ける場合、基準点が上側のヘッドと基準点が下側のヘッドが隣接して組み付けられることになり、液滴吐出ヘッドを回転させずに配置した場合と比べて、隣接ヘッドの繋ぎ目部分で熱変位による影響が2倍となり、画像品質に大きく影響するおそれがある。つまり、インクを加温する目的等でヘッドを加熱する場合は、熱の影響でヘッドが変形して画像品質に影響するおそれがあるが、基準点は固定されているので、基準点から遠ざかるほど、画像品質に影響が出やすい。これに対し、液滴吐出ヘッドの長手方向の両側に基準点を設ける場合では、基準点という高精度な加工箇所が2倍になり、加工時間・コストの増加や歩留まりの低下につながるおそれがある。また2種類のヘッドの向きに対応した印刷データとノズル配列に対するデータテーブルを準備する必要があり、効率的でない。また、ヘッドの数が多くなればなるほどこれらの手間が増え、作業効率が悪くなるおそれがある。
【0007】
これに対し、液滴吐出ヘッドを180°回転させずに、つまり互いに同一方向に千鳥配置した図を図6に示す。インクジェット記録ヘッド42、43、44の吐出面には複数のノズルが二次元方向にマトリクス配列されており、ヘッドユニット41ではインクジェット記録ヘッド42、43、44が千鳥配置されている。しかしインクジェット記録ヘッド43、44を図6のように隣接して配置した場合、インクジェット記録ヘッド43、44の繋ぎ目のノズル8とノズル81の間隔が幅方向に大きく開いてしまう(ノズル8とノズル81の間隔が近接しない)。そのためヘッドユニット41にθズレが発生した場合は、ノズル8とノズル81の幅方向に大きく開いた間隔により、記録物の画質の低下となって影響を受けるおそれがある。
【0008】
図8は、図6に示す従来の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドから吐出されたインクが着弾した様子を示した図であり、図6のインクジェット記録ヘッド43とインクジェット記録ヘッド44の繋ぎ目のノズル8とノズル81から吐出されたインクが記録媒体に着弾した様子を示した例である。図8(a)は、ヘッドユニット41に時計まわりのθズレが生じた場合のインク着弾の様子を示しており、ノズル8から吐出されたドット8Dとノズル81から吐出されたドット81Dがそれぞれラインを形成しているが、図10の正常な着弾の様子を示した図と比較するとドットが重なった部分(図8(a)の41Aと、図10のCを参照)が多くなっており、これが連続するといわゆる黒スジとなって目立つことになる。また、図8(b)は、ヘッドユニット41に反時計まわりのθズレが生じた場合のインク着弾の様子を示しており、ノズル8から吐出されたドット8D’とノズル81から吐出されたドット81D’がそれぞれラインを形成しているが、図10の正常な着弾の様子を示した図と比較するとドットの重なりが少なくなっており(図8(b)の41Bと、図10のCを参照)、これが連続するといわゆる白スジとなって目立つことになる。インクジェット記録ヘッドを千鳥配置した場合に、このようなθズレ等による記録物の画質の低下を防ぐためには、特許文献1のようにする方法もあるが、前述のように画像品質に影響が出たり、作業効率低下につながったりするおそれがある。
【特許文献1】特開2006−264188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、インクジェット記録ヘッドやヘッドユニットにθズレ等が発生しても、隣接したインクジェット記録ヘッドの繋ぎ目での画質の低下を軽減できるインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑みなされた本発明の一側面は、液滴を吐出する複数のノズルをマトリクス配列したインクジェット記録ヘッドと、前記インクジェット記録ヘッドを千鳥配置したヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを複数有するインクジェット記録装置であって、前記インクジェット記録ヘッドの長手方向の各端部に吐出選択ノズルを有し、隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第一の繋ぎ目の幅方向に近接した前記吐出選択ノズルが液滴を吐出するように選択されるとともに、前記インクジェット記録ヘッドを互いに同一方向に配置して前記ヘッドユニットを構成することを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0011】
これによれば、隣接するインクジェット記録ヘッドの第一の繋ぎ目の幅方向に近接した吐出選択ノズルが液滴を吐出するように選択されるとともに、インクジェット記録ヘッドを互いに同一方向に配置して前記ヘッドユニットを構成することで、隣接するインクジェット記録ヘッド間のノズルが幅方向で近接するように設定することができるようになり、インクジェット記録ヘッドやヘッドユニットのθズレの影響を低減して、隣接するインクジェット記録ヘッドの繋ぎ目での画質の低下を軽減することができる。特にヘッドユニットの中でも最もθズレの影響を受けやすいインクジェット記録ヘッドの第一の繋ぎ目での画質の低下を軽減することができる。加えてインクジェット記録ヘッドを互いに同一方向に配置することで、ヘッドの繋ぎ目の熱変位による影響を低減し、良好な画像を形成することができる。
【0012】
さらに、前記隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の前記吐出選択ノズルが幅方向に近接しない場合、前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の吐出選択ノズルではないノズル(以下、通常のノズルという)が近接するように配置して前記ヘッドユニットを構成することが好ましい。
【0013】
これによれば、隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の前記吐出選択ノズルが幅方向に近接しない場合、前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の通常のノズルが近接するように配置して前記ヘッドユニットを構成することで、インクジェット記録ヘッドの第一の繋ぎ目に次いでθズレの影響を受けやすい、第二の繋ぎ目での画質の低下を軽減することができる。
【0014】
さらに、前記隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の前記吐出選択ノズルが幅方向に近接しない場合、該吐出選択ノズルが液滴を吐出して画像を形成するようには選択されないことが好ましい。
【0015】
これによれば、隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の前記吐出選択ノズルが幅方向に近接しない場合、該吐出選択ノズルが液滴を吐出して画像を形成するようには選択されないことで、ヘッドユニットにθズレ等が発生しても画質に影響を及ぼすことがないようにすることができる。
【0016】
本発明の他の側面は、記録媒体を搬送する搬送工程と、複数のノズルをマトリクス配列した複数のインクジェット記録ヘッドから構成され、前記インクジェット記録ヘッドを千鳥配置した複数のヘッドユニットからなる記録部から液滴を吐出して前記記録媒体に記録を行うインクジェット記録工程と、を含むインクジェット記録方法であって、隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第一の繋ぎ目の幅方向に近接した、前記インクジェット記録ヘッドの長手方向の各端部に設けられた吐出選択ノズルが液滴を吐出するように選択されるとともに、前記ヘッドユニットを構成する前記インクジェット記録ヘッドを互いに同一方向に配置して、前記インクジェット記録ヘッドのノズルから前記記録媒体へ向けて液滴吐出動作を行うことを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0017】
これによれば、隣接するインクジェット記録ヘッドの第一の繋ぎ目の幅方向に近接した吐出選択ノズルが液滴を吐出するように選択されることで、隣接するインクジェット記録ヘッド間のノズルが幅方向で近接するように設定することができるようになり、インクジェット記録ヘッドやヘッドユニットのθズレの影響を低減して、隣接するインクジェット記録ヘッドの繋ぎ目での画質の低下を軽減することができる。加えてインクジェット記録ヘッドを互いに同一方向に配置することで、ヘッドの繋ぎ目の熱変位による影響を低減し、良好な画像を形成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、インクジェット記録ヘッドやヘッドユニットにθズレ等が発生しても、簡単な構成で、隣接するインクジェット記録ヘッドの繋ぎ目での画質の低下を軽減できるインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ライン型インクジェット記録装置に関する概略構成図である。
【図2】インクジェット記録ヘッドを千鳥配置したヘッドユニットを示した模式図である。
【図3】ヘッドユニットにθズレが発生した場合の模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのノズル配列を示した図である。
【図5】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのノズル配列を示した変形例である。
【図6】従来の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのノズル配列を示した図である。
【図7】インクジェット記録ヘッドの一例に関する模式図である。
【図8】図6に示す従来の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドから吐出されたインクが着弾した様子を示した図である。
【図9】図4に示す本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドから吐出されたインクが着弾した様子を示した図である。
【図10】インクジェット記録ヘッドやヘッドユニットにθズレが発生していない場合の正常な着弾の様子を示した図である。
【図11】ノズル密度25npiのノズル列を1mm間隔で4列並べて100npiのインクジェット記録ヘッドを構成した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。また、他の構成を含むようにしてもよい。
【0021】
<インクジェット記録装置の概要>
図1は、ライン型インクジェット記録装置に関する概略構成図である。インクジェット記録装置1は図1に示すように、搬送部10と、記録部20と、制御部50とを有する。インクジェット記録装置1では記録媒体Mの記録面に対して、例えばフルカラーの画像が記録される。なお、記録媒体Mの記録面は記録部20と対向している面であり、搬送部10の搬送面9と接していない面である。
【0022】
搬送部10は、コンベア等によって構成される。搬送部10は、搬送面9に貼り付けられた記録媒体MをY方向に搬送する。記録媒体Mは、セットされた供給部(不図示)から送り出され、搬送部10の一端側に供給されて搬送面9に貼り付けられる。その後、他端側に搬送され、巻取部(不図示)で巻きとられる。記録媒体Mは搬送中に記録部20からインク吐出を受けて画像が記録される。なお、記録媒体Mが所定の大きさに形成(裁断された物や、立体物や、板状物等)されたものの場合は、搬送部10の一端側の搬送面9に載せ置かれた記録媒体が搬送部10の他端側に搬送される。記録媒体は、搬送中に記録部20からインク吐出を受けて画像が記録され、その後回収される。
【0023】
記録部20は、複数のヘッドユニットを含む。ヘッドユニットは例えば、ブラックインクを吐出する複数のインクジェット記録ヘッドを配置したブラックインク用ヘッドユニット(図2の11k参照)、シアンインクを吐出する複数のインクジェット記録ヘッドを配置したシアンインク用ヘッドユニット(図2の11c参照)、マゼンタインクを吐出する複数のインクジェット記録ヘッドを配置したマゼンタインク用ヘッドユニット(図2の11m参照)、イエローインクを吐出する複数のインクジェット記録ヘッドを配置したイエローインク用ヘッドユニット(図2の11y参照)によって構成される。すなわち、記録部20は複数のインクジェット記録ヘッドによって構成されている。ブラックインク用ヘッドユニット11kを構成する複数のインクジェット記録ヘッドは、搬送方向に直交する方向(X方向)の複数列に整列された状態で、且つ隣接する列同士のインクジェット記録ヘッドが千鳥状となるように配置されている。シアンインク用ヘッドユニット11c、マゼンタインク用ヘッドユニット11m、イエローインク用ヘッドユニット11yのそれぞれにおける複数のインクジェット記録ヘッドについても、ブラックインク用ヘッドユニット11kと同様に配置されている。なお、各色のヘッドユニットを構成するインクジェット記録ヘッドは複数のノズルと各ノズルに対応した圧力室と、各圧力室に対応したピエゾ素子と、を有する。各色のインクは後述するようにして供給されて圧力室に収容され、インクジェット記録装置1に入力された記録データに従った吐出指令によって、ピエゾ素子に駆動電圧が印加されることで、圧力室に対応したノズルからそれぞれ吐出される。
【0024】
制御部50は、インクジェット記録装置1で実行される各種処理を制御する。制御部50は、例えば、インクジェット記録工程を含むインクジェット記録方法のための処理を制御する。具体的には、搬送部10を制御して記録媒体Mの搬送をコントロールしたり、記録部20を制御して、インクの吐出に関する処理をコントロールしたりする。制御部50は電子部品が搭載された回路基板及び電気配線等を含む。制御部50に含まれる少なくとも一部の構成は、記録部20の上部に設置されてもよい。
【0025】
インクジェット記録装置1は、この他、例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローのインクをそれぞれ貯留したメインタンク(不図示)を有する。ブラック用のメインタンクに貯留されたブラックインクは、ブラック用のインク供給ライン(不図示)を介してブラックインク用ヘッドユニット11kの複数のインクジェット記録ヘッドにそれぞれ供給される。シアン用のメインタンクに貯留されたシアンインクは、シアン用のインク供給ライン(不図示)を介してシアンインク用ヘッドユニット11cの複数のインクジェット記録ヘッドにそれぞれ供給される。マゼンタ用のメインタンクに貯留されたマゼンタインクは、マゼンタ用のインク供給ライン(不図示)を介してマゼンタインク用ヘッドユニット11mの複数のインクジェット記録ヘッドにそれぞれ供給される。イエロー用のメインタンクに貯留されたイエローインクは、イエロー用のインク供給ライン(不図示)を介してイエローインク用ヘッドユニット11yの複数のインクジェット記録ヘッドにそれぞれ供給される。
【0026】
インクジェット記録装置1は、ネットワークインターフェース等の所定のインターフェース(不図示)を有する。インクジェット記録装置1は、インターフェースを介して、パーソナルコンピュータ等の外部装置と通信可能に接続されている。外部装置は、インクジェット記録装置1に対し、記録面への画像の記録指令及び記録する画像を示す記録データ等を入力する。ここで、入力される記録データは、例えば、インクの吐出の有無を示す2階調のデータ、すなわち、1画素あたり1bit(ON/OFF)のデータ(バイナリーデータ)である。このような記録データによれば、データ量を少なくすることが可能で、高周波及び/又は多ノズルへの対応が容易となる。また、吐出パターンが1種類となるため、記録ヘッド及び/又はインクの設計、合わせ込みが容易となる。記録指令が入力されたインクジェット記録装置1では、所定の処理が実行され、インクジェット記録方法が実行される。インクジェット記録装置1でインクジェット記録方法が実行されると、入力された記録データによって示される画像が記録面に記録される。
【0027】
本発明のインクジェット記録方法では、まず、搬送部10が動作を開始し、搬送面9に貼り付けられた記録媒体Mの搬送が開始される。次に、記録部20において、入力される記録データに従った吐出指令によって、搬送されてきた記録媒体Mに対して各色のインクが吐出され、記録面に着弾する。各色のインクは、対応する色のヘッドユニットそれぞれの記録ヘッドのノズルから、上述したように適宜吐出される。これによって、ブラックインクによるブラックドットと、シアンインクによるシアンドットと、マゼンタインクによるマゼンタドットと、イエローインクによるイエロードットとが、記録面に形成される。
【0028】
記録媒体Mが所定の大きさに形成(裁断された物や、立体物や、板状物等)されたものの場合は、まず、搬送面9に記録媒体を載せ置き、搬送部10が動作を開始して記録媒体の搬送が開始される。次に、前述のように記録媒体に各色のインクにより記録が行われる。
記録が行われた記録媒体は、搬送部10の搬送方向下流側の端部まで搬送され、1つの記録媒体に対する画像の記録が終了し、記録媒体は回収される。この場合、搬送面9には、記録媒体が所定のタイミングで順次載せ置かれ、これの搬送が開始され、上記処理が連続的に繰り返して実行される。つまり、インクジェット記録装置1では、搬送工程と、インクジェット記録工程とを含むインクジェット記録方法が繰り返して連続的に実行される。
【0029】
インクが記録媒体Mに着弾した後に、後処理を行う後処理部を記録部の後に設けてもよい。例えば、画像の記録に水系のインクが用いられる場合には、各色のインクが記録媒体Mの記録面に着弾した後に、記録媒体Mに着弾したインクを乾燥させる後処理部を設けてもよい。また、画像の記録に紫外線硬化型インクが用いられる場合には、各色のインクが記録媒体Mの記録面に着弾した後に、記録媒体Mに着弾したインクを硬化させる後処理部を設けてもよい。また、記録部20を主走査方向(X方向)に走査して画像の記録を行うシリアル型インクジェット記録装置で、紫外線硬化型インクを用いて記録を行う場合は、記録媒体Mに着弾したインクを硬化させる後処理部が、記録部20に備えられていてもよい。
【0030】
<インクジェット記録ヘッドの概要>
図7は、インクジェット記録ヘッドの一例に関する模式図である。インクジェット記録ヘッド12の内部には、インクが充填される圧力室2が形成されており、インクジェット記録ヘッド12の吐出面側にはノズル3が穿設されている。ノズル3と圧力室2との間はインクが流通する流路が形成されている。圧力室2には、図示せぬインクタンクと連通するインク供給路が接続されており、インクタンクからインクが供給されるようになっている。
【0031】
これら圧力室2、ノズル3−圧力室2間のインク流通流路及びインク供給路を形成する場合、素材は特に限定されないが、熱による変形を防ぐために、金属の薄板にエッチングで所望の形状の溝を形成し、この溝が形成された複数の金属薄板を積層して接着することにより金属薄板の積層体内部に圧力室2、ノズル3−圧力室2間のインク流通流路及びインク供給路を形成することができる。インクジェットヘッドに用いられる金属薄板は、形成する溝の形状に応じて0.01mmから1mm厚の薄板を使用するとよい。
【0032】
ノズル3については、ノズルとなる径20〜30μmの小孔が穿設された金属や樹脂等の薄板を使用する。ノズル穿設薄板は、0.01mm〜0.5mmの厚さのものを用いるとよい。上述の金属薄板の積層体のインク流通流路にノズルとなる小孔が対応するように薄板をセットして接着することによりインク流通流路に連通するノズル3が形成される。
【0033】
圧力室2の上部には振動板7が取り付けられており、振動板7の上面には圧力室2に対応して板状の圧電素子4が接着固定されている。圧電素子4は、振動板7側の面に下部電極5が形成されており、その反対側の面には上部電極6が形成されている。
【0034】
振動板7は、厚さ0.01mm〜1mmの金属板やセラミック板等が用いられる。また、圧電素子4は、振動板7と同程度の厚さのものが使用される。
【0035】
圧電素子4は、下部電極5及び上部電極6の間に駆動信号を印加することで厚み方向と直交する方向に伸縮変形し、それに伴って圧電素子4に接着した振動板7が撓む。電極5−6間に電位差が生じていない状態から、電極6から電極5に向かう電界を生じさせるパルス信号を電極5−6間に印加すると圧電素子4は厚み方向と直交する方向に伸び変形し、圧電素子4に接着固定された振動板7は圧力室2を膨張させる方向に変形する。圧力室2の膨張により内部圧力が低下するのでノズル3−圧力室2間のインク流通流路、ノズル3及びインク供給路から圧力室2内にインクが引き込まれる。この状態を一定期間保持した後に、電極5から電極6に向かう電界を生じさせるパルス信号を電極5−6間に印加すると圧電素子4は厚み方向と直交する方向に縮み変形し、圧電素子4に接着固定された振動板7は圧力室2を収縮させる方向に変形する。圧力室2の収縮により内部圧力が上昇し圧力室2内に滞留するインクが、ノズル3−圧力室2間のインク流通流路を通ってノズル3へ移動する、いわゆる引き押し打ちによりノズル3からインク滴が吐出される。
【0036】
こうした一回の吐出動作が終了すると、電極5−6間は再び電位差が生じていない状態に保持され、次の吐出動作に備えた待機状態となる。
【0037】
インクジェット記録ヘッドには、通常組み付け時に使用する基準点が形成されている(図4のE、図5のF参照)。基準点を設ける位置や基準点の形は様々あるが、1つのヘッドユニットを構成する場合、通常は同じ種類のインクジェット記録ヘッドを用いる、つまり、基準点もそれぞれのインクジェット記録ヘッドの同じ位置に存在し、同じ形をしていることになる。従って、この基準点が同一方向になるようにインクジェット記録ヘッドを配置することで、インクジェット記録ヘッドを同一方向に配置することができる。
【0038】
<ヘッドユニット配置>
図2はインクジェット記録ヘッドを千鳥配置したヘッドユニットを示した模式図である。記録部20は、ブラックインク用ヘッドユニット11k、シアンインク用ヘッドユニット11c、マゼンタインク用ヘッドユニット11m、イエローインク用ヘッドユニット11yから構成されており、各色のヘッドユニットは複数のインクジェット記録ヘッドが千鳥状となるように配置されて構成されている。
【0039】
記録部20において、ブラックインク用ヘッドユニット11k、シアンインク用ヘッドユニット11c、マゼンタインク用ヘッドユニット11m、イエローインク用ヘッドユニット11yは、図2に示すように、搬送方向上流側から下流側に向けて、ブラックインク用ヘッドユニット11k、シアンインク用ヘッドユニット11c、マゼンタインク用ヘッドユニット11m、イエローインク用ヘッドユニット11yの順で配列されている。なお、これらのヘッドユニット11k、11c、11m、11yの配列順序は、これに限るものではなく、諸条件を考慮し適宜変更してもよい。なお、記録部20は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローとは異なるインク色のヘッドユニットを含むようにしてもよい。またヘッドユニット11k、11c、11m、11yそれぞれを構成する記録ヘッド列数は、上記に限るものではなく、諸条件を考慮し適宜変更してもよい。また、図2ではインクジェット記録ヘッドやヘッドユニットの回転方向のズレ(θズレ)については考慮していない。
【0040】
<ノズル配列>
図4は本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのノズル配列を示した図である。ヘッドユニット11はインクジェット記録ヘッド12、13、14を千鳥配置して形成されている。インクジェット記録ヘッド12、13、14の吐出面には複数のノズルが二次元方向にマトリクス配列されており、通常のノズルについてはオーバーラップはしないように配置されている。そしてインクジェット記録ヘッド12、13、14の長手方向の各端部に吐出選択ノズル12−21、12−22、13−21、13−22、14−21、14−22が形成されている。また、インクジェット記録ヘッド12、13、14には、それぞれ基準点Eが設けられており、基準点Eが互いに同一方向になるようにインクジェット記録ヘッド12、13、14が配置されている。液滴を加温する目的等でインクジェット記録ヘッドに熱をかける場合は、インクジェット記録ヘッドが熱により伸びたり変形したりするおそれがあるが、基準点Eが互いに同一方向になるようにインクジェット記録ヘッドを配置することで、熱でのインクジェット記録ヘッドの変形による画質の影響を低減することができる。
【0041】
インクジェット記録ヘッド12、13、14は前述のように互いに同一方向に配置されており、インクジェット記録ヘッド12と13、13と14のそれぞれの配置は、記録媒体への記録を行った時の記録品位への影響と、ノズルの有効活用とを考慮した配置となっている。具体的には、インクジェット記録ヘッド13と14を図4のように配置し、インクジェット記録ヘッド13と14の幅方向に近接した吐出選択ノズル13−22と14−21を吐出するように選択することで、ノズルの有効活用ができ、またインクジェット記録ヘッド13、14の繋ぎ目(第一の繋ぎ目)の吐出選択ノズル13−22と14−21の間隔が幅方向に近接するので、ヘッドユニット11にθズレ等が発生してもインクジェット記録ヘッド13と14の繋ぎ目による白スジや黒スジが目立ちにくくなり画質の低下を低減することができる。また、インクジェット記録ヘッド12と13を図4のように配置、つまりインクジェット記録ヘッド12と13の繋ぎ目(第二の繋ぎ目)の通常のノズルが幅方向に近接するように配置することで、ヘッドユニット11にθズレ等が発生しても画質の低下を低減することができる。更に、インクジェット記録ヘッド12と13の繋ぎ目の幅方向に近接しない吐出選択ノズル12−22と13−21が、液滴を吐出して画像を形成するようには選択しないことで、ヘッドユニット11にθズレ等が発生しても画質に影響を及ぼすことがないようにすることができる。加えてインクジェット記録ヘッド12、13、14を互いに同一方向に配置することで、ヘッドの繋ぎ目の熱変位による影響を低減し、良好な画像を形成することができる。
【0042】
ここで、幅方向に近接とは、ノズルをマトリクス配列したインクジェット記録ヘッドが千鳥配置されてヘッドユニットを構成する際に、隣接するヘッドの境界に近い部分に、双方のヘッドにそれぞれノズルが存在するということであり、さらに隣接する双方のヘッドの幅方向の略中央部より隣接ヘッド側にそれぞれのノズルが存在していることが好ましい。
【0043】
また、図4のインクジェット記録ヘッド13と14の繋ぎ目を第一の繋ぎ目とし、インクジェット記録ヘッド12と13の繋ぎ目を第二の繋ぎ目とする。ノズルをマトリクス配列すると、ノズルはインクジェット記録ヘッドに対して一定の角度を持って配列されるが、この配列により、インクジェット記録ヘッドが千鳥配置されてヘッドユニットを構成する。第一の繋ぎ目は、この時、隣接するヘッドの境界に近い部分に通常のノズルが存在しないために、吐出選択ノズルも使用して画像形成を行う繋ぎ目のことを表す。これに対し、第二の繋ぎ目は、この時、隣接するヘッドの境界に近い部分に通常のノズルが存在し、吐出選択ノズルを画像形成に使用しない繋ぎ目のことを表す。
【0044】
図5は本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドのノズル配列を示した変形例である。ヘッドユニット31はインクジェット記録ヘッド32、33、34を千鳥配置して形成されている。インクジェット記録ヘッド32、33、34の吐出面には複数のノズルが二次元方向にマトリクス配列されており、通常のノズルが一部オーバーラップをするように配置されている。そしてインクジェット記録ヘッド32、33、34の長手方向の各端部に吐出選択ノズル32−21、32−22、33−21、33−22、34−21、34−22が形成されている。また、インクジェット記録ヘッド32、33、34には、それぞれ基準点Fが設けられており、基準点Fが互いに同一方向になるようにインクジェット記録ヘッド32、33、34が配置されている。液滴を加温する目的等でインクジェット記録ヘッドに熱をかける場合は、インクジェット記録ヘッドが熱により伸びたり変形したりするおそれがあるが、基準点Fが互いに同一方向になるようにインクジェット記録ヘッドを配置することで、熱でのインクジェット記録ヘッドの変形による画質の影響を低減することができる。
【0045】
インクジェット記録ヘッド32、33、34は前述のように互いに同一方向に配置されており、インクジェット記録ヘッド32と33、33と34のそれぞれの配置は、記録媒体への記録を行った時に記録品位への影響を考慮した配置となっている。具体的には、インクジェット記録ヘッド33と34を図5のように配置し、インクジェット記録ヘッド33と34の幅方向にオーバーラップした吐出選択ノズル33−22と34−21を吐出するように選択することで、双方の吐出選択ノズルで補完し合うように印刷することができ、インクジェット記録ヘッド33と34の相対位置が多少ずれても、インクジェット記録ヘッド33と34の繋ぎ目(第一の繋ぎ目)の白スジや黒スジが目立ちにくくなる。更に、これら吐出選択ノズルは幅方向で近接しているので、ヘッドユニットにθズレ等が発生しても画質の低下を低減することができる。また、インクジェット記録ヘッド32と33を図5のように配置、つまりインクジェット記録ヘッド32と33の繋ぎ目の通常のノズルが幅方向にオーバーラップするように配置することで、双方のノズルで補完し合うように印刷することができ、インクジェット記録ヘッド32と33の相対位置が多少ずれても、インクジェット記録ヘッド32と33の繋ぎ目(第二の繋ぎ目)の白スジや黒スジが目立ちにくくなる。更に、インクジェット記録ヘッド32と33の繋ぎ目の幅方向に近接しない吐出選択ノズル32−22と33−21を吐出しないように選択することで、ヘッドユニット31にθズレ等が発生しても画質に影響を及ぼすことがないようにすることができる。更にまた、インクジェット記録ヘッド32、33、34を互いに同一方向に配置することで、ヘッドの繋ぎ目の熱変位による影響を低減し、良好な画像を形成することができる。
【0046】
図9は、図4に示す本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドから吐出されたインクが着弾した様子を示した図であり、図4のインクジェット記録ヘッド13、14の繋ぎ目の吐出選択ノズル13−22と吐出選択ノズル14−21から吐出されたインクが記録媒体に着弾した様子を示した例である。また、図10は、インクジェット記録ヘッドやヘッドユニットにθズレが発生していない場合の正常な着弾の様子を示した図である。図9(a)は、ヘッドユニット11に時計まわりのθズレが生じた場合のインク着弾の様子を示しているが、図8(a)の従来のインク着弾の様子と比較すると黒スジが目立たなくなっており、図10の正常な着弾の様子に近くなっている(図8(a)の41A、図9(a)の11Aと図10のCを参照)。また、図9(b)は、ヘッドユニット11に反時計まわりのθズレが生じた様子を示しているが、やはり図8(b)の従来の着弾の様子と比較すると白スジが目立たなくなっており、図10の正常な着弾の様子に近くなっている(図8(b)の41B、図9(b)の11Bと図10のCを参照)。
【0047】
図11はノズル密度25npiのノズル列を1mm間隔で4列並べて100npiのインクジェット記録ヘッドを構成した図である。長手方向の長さGが26.13mm、幅方向の長さWが5mm、ノズル列の間隔W1がそれぞれ1mmであるインクジェット記録ヘッドを図11に例示する。また、長手方向の各端部に吐出選択ノズルを破線で示した。ノズルピッチNは0.254mmである。
【0048】
図11に示すインクジェット記録ヘッドを図4のように千鳥配置して、ヘッドユニットを構成した。このヘッドユニットの第一の繋ぎ目に存在するそれぞれの吐出選択ノズルから吐出されるドットのドットサイズを直径0.36mmとした場合、図10に示すような正常なドットピッチHは0.254mmである。吐出選択ノズルが存在しない図6のヘッドユニットで、第一の繋ぎ目のノズル8とノズル81から吐出されたインクが着弾した様子は図8に示すようになる。このときのドットピッチは、ヘッドユニットに時計回りの0.5°のθズレが生じた場合は、0.184mm(図8(a)の41AH参照)、ヘッドユニットに反時計回りの0.5°のθズレが生じた場合は、0.324mmとなり(図8(b)の41BH参照)、正常なドットピッチから大きく外れてしまい、明らかな白スジ・黒スジとして認識されることになる。これに対し、吐出選択ノズルがヘッドの長手方向の端部に存在する図4のヘッドユニットで、第一の繋ぎ目の吐出選択ノズル13−22と14−21から吐出されたインクが着弾した様子を示した様子は図9に示すようになる。このときのドットピッチは、ヘッドユニットに時計回りの0.5°のθズレが生じた場合は、0.236mm(図9(a)の11AH参照)、ヘッドユニットに反時計回りの0.5°のθズレが生じた場合は、0.271mmとなり(図9(b)の11BH参照)、従来の±0.5°のθズレが生じた場合のドットピッチから大きく改善されて、画像も白スジや黒スジとしては認識できない程度となり、本発明の効果が確認できる。
【0049】
尚、本発明のドットピッチとは、着弾したドットの中心部から、隣接の着弾したドットの中心部までの距離を示す。同様に、本発明のノズルピッチとは、ノズルの中心部から、隣接するドットを形成するノズルの中心部までの距離を示す。
【0050】
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置としては、インクジェット記録ヘッドを走査して記録媒体を間欠搬送することで記録を行うシリアル型インクジェット記録装置であってもよいし、インクジェット記録ヘッドを固定して記録媒体を搬送することで記録を行うライン型インクジェット記録装置であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 インクジェット記録装置
9 搬送面
10 搬送部
11 ヘッドユニット
12 13 14 インクジェット記録ヘッド
12−21 12−22 吐出選択ノズル
13−21 13−22 吐出選択ノズル
14−21 14−22 吐出選択ノズル
31 ヘッドユニット
32 33 34 インクジェット記録ヘッド
32−21 32−22 吐出選択ノズル
33−21 33−22 吐出選択ノズル
34−21 34−22 吐出選択ノズル
20 記録部
50 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルをマトリクス配列したインクジェット記録ヘッドと、前記インクジェット記録ヘッドを千鳥配置したヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを複数有するインクジェット記録装置であって、
前記インクジェット記録ヘッドの長手方向の各端部に吐出選択ノズルを有し、隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第一の繋ぎ目の幅方向に近接した前記吐出選択ノズルが液滴を吐出するように選択されるとともに、前記インクジェット記録ヘッドを互いに同一方向に配置して前記ヘッドユニットを構成することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェット記録装置であって、
前記隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の前記吐出選択ノズルが幅方向に近接しない場合、前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の通常のノズルが近接するように配置して前記ヘッドユニットを構成することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載のインクジェット記録装置であって、
前記隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の前記吐出選択ノズルが幅方向に近接しない場合、該吐出選択ノズルが液滴を吐出して画像を形成するようには選択されないことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項4】
記録媒体を搬送する搬送工程と、搬送面から鉛直方向に離間した位置に液滴を吐出する複数のノズルをマトリクス配列した複数のインクジェット記録ヘッドから構成され、前記インクジェット記録ヘッドを千鳥配置した複数のヘッドユニットからなる記録部から液滴を吐出して前記記録媒体に記録を行うインクジェット記録工程を含むインクジェット記録方法であって、
隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第一の繋ぎ目の幅方向に近接した、前記インクジェット記録ヘッドの長手方向の各端部に設けられた吐出選択ノズルが液滴を吐出するように選択されるとともに、前記ヘッドユニットを構成する前記インクジェット記録ヘッドを互いに同一方向に配置して、前記インクジェット記録ヘッドのノズルから前記記録媒体へ向けて液滴吐出動作を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルをマトリクス配列したインクジェット記録ヘッドと、前記インクジェット記録ヘッドを千鳥配置したヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを複数有するインクジェット記録装置であって、
前記インクジェット記録ヘッドの長手方向の各端部に吐出選択ノズルを有し、隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第一の繋ぎ目の幅方向に近接した前記吐出選択ノズルが液滴を吐出するように選択されるとともに、前記インクジェット記録ヘッドを互いに同一方向に配置して前記ヘッドユニットを構成することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェット記録装置であって、
前記隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の前記吐出選択ノズルが幅方向に近接しない場合、前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の通常のノズルが近接するように配置して前記ヘッドユニットを構成することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載のインクジェット記録装置であって、
前記隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第二の繋ぎ目の前記吐出選択ノズルが幅方向に近接しない場合、該吐出選択ノズルが液滴を吐出して画像を形成するようには選択されないことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項4】
記録媒体を搬送する搬送工程と、搬送面から鉛直方向に離間した位置に液滴を吐出する複数のノズルをマトリクス配列した複数のインクジェット記録ヘッドから構成され、前記インクジェット記録ヘッドを千鳥配置した複数のヘッドユニットからなる記録部から液滴を吐出して前記記録媒体に記録を行うインクジェット記録工程を含むインクジェット記録方法であって、
隣接する前記インクジェット記録ヘッドの第一の繋ぎ目の幅方向に近接した、前記インクジェット記録ヘッドの長手方向の各端部に設けられた吐出選択ノズルが液滴を吐出するように選択されるとともに、前記ヘッドユニットを構成する前記インクジェット記録ヘッドを互いに同一方向に配置して、前記インクジェット記録ヘッドのノズルから前記記録媒体へ向けて液滴吐出動作を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−82151(P2013−82151A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224460(P2011−224460)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】
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