説明

インテグラーゼ阻害剤を含有する固形医薬組成物

ラルテグラビルを薬学的に許容される塩の形態で含有する経口投与用の圧縮錠剤を記載する。該錠剤は:(A)以下を含んでなる顆粒内構成要素:(i)ラルテグラビルのアルカリ金属塩の有効量;(ii)任意で第1の超崩壊剤、及び(iii)結合剤;と、(B)以下を含んでなる顆粒外構成要素:(i)第2の超崩壊剤、(ii)充填剤、及び(iii)滑沢剤とを含んでなる。該錠剤の調製法及び、HIVインテグラーゼを阻害するため、HIV感染症の治療若しくは予防のため、又はAIDSの治療、発症遅延、若しくは予防のための、任意選択で別の抗HIV剤と組合せた該錠剤の使用も記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の引用
本出願は、2009年10月26日出願の米国仮出願第61/254,869号の利益を主張し、前記仮出願の開示は、その記載全体が本明細書に採用される。
【0002】
本発明は、経口投与用の固形医薬組成物、特に、ラルテグラビルを薬学的に許容される塩の形態で含んでなる錠剤を対象とする。
【背景技術】
【0003】
化合物 N−(4−フルオロベンジル)−5−ヒドロキシ−1−メチル−2−(1−メチル−1−{[(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)カルボニル]アミノ}エチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキサミド(以降「ラルテグラビル」と称される)は、強力なHIVインテグラーゼ阻害剤である。ラルテグラビルの構造は、以下の通りである:
【0004】
【化1】

【0005】
米国特許第7169780号に開示されたラルテグラビルは、アイセントレス(Isentress(登録商標))錠中の医薬品有効成分(API)である。錠剤は、ラルテグラビル400mgをカリウム塩の形態で含有し、FDAにより、他の抗レトロウィルス剤との併用において、成人患者におけるヒト免疫不全ウィルス(HIV−1)感染症の治療用に承認されている。アイセントレス(登録商標)は、ファーストインクラスの新薬製品であり、かつHIV感染症の治療のために利用可能な薬剤という武器庫の中の重要な武器である。アイセントレス(登録商標)に対し補完的役割を果たす有用なものは、重量及び体積が小さく、かつ改善された薬物動態プロフィールを提供することによって特徴づけられる、ラルテグラビル含有錠であろう。
【0006】
以下の参考文献は、背景として興味深い。
【0007】
US2006/0122205 A1は、ラルテグラビルの結晶性カリウム塩を開示する。
【0008】
US2007/0292504 A1は、ラルテグラビルの塩基塩及び放出速度制御組成物を含有する、固形剤形の状態での経口投与用医薬製剤を開示する。実施例3は、ラルテグラビルカリウム塩(遊離フェノール 400mg)、微結晶セルロース、噴霧乾燥含水ラクトース、無水第二リン酸カルシウム、HPMC K4M、ポロキサマー 407、フマル酸ステアリルナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムを含有する圧縮錠剤の、乾式造粒プロセスによる調製を記載する。
【0009】
US2008/0118559 A1は、ラルテグラビルのアルカリ金属塩と抗造核剤とを含有する、固形剤形で経口投与するための医薬製剤を開示する。実施例3は、ラルテグラビルカリウム塩(100mg及び25wt.%、遊離フェノール基準で)、微結晶セルロース、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、HPMC 2910(6 cp)、及びステアリン酸マグネシウムを含有する、圧縮錠剤の乾式造粒法による調製を記載する。実施例6は、オパドライ・ホワイト(Opadry White)でフィルムコートされ、かつラルテグラビルカリウム塩(400mg及び50wt.%、遊離フェノール基準で)、微結晶セルロース、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、HPMC 2910(6 cp)、及びステアリン酸マグネシウムを含有する、圧縮錠剤の乾式造粒法による調製を記載する。
【0010】
WO2009/002823 A2は、ラルテグラビルと、硫酸アタザナビル及び顆粒内滑沢剤を含有する顆粒とを含んでなる圧縮錠剤を開示しており、ここで、該顆粒は、内側部分と外表面とを有しており、かつ顆粒内滑沢剤の少なくとも一部は、顆粒の内側部分に存在する。該圧縮錠剤は、HIV感染症の治療に有用である。
【発明の概要】
【0011】
発明の要旨
本発明は、医薬品有効成分としてラルテグラビルを、薬学的に許容される塩の形態で含有する経口投与用の圧縮錠剤を対象とする。さらに具体的には、本発明は、圧縮錠剤であって:
(A)以下を含んでなる顆粒内構成要素:
(i)ラルテグラビルのアルカリ金属塩の有効量;
(ii)任意で第1の超崩壊剤、及び
(iii)結合剤;と
(B)以下を含んでなる顆粒外構成要素:
(i)第2の超崩壊剤、
(ii)充填剤、及び
(iii)滑沢剤;とを含んでなり、
ただし、該錠剤がアタザナビル又はその薬学的に許容される塩を含まない、該圧縮錠剤を包含する。
【0012】
圧縮錠剤が、該錠剤がアタザナビル又はその薬学的に許容される塩を含まないことを除き、上記の(A)及び(B)に具体的に列挙されたものに加えて1つ以上の成分を含有し得ることが理解される。本明細書で用いるとき、ある物質(例えば、アタザナビル又はその薬学的に許容される塩)を「含まない」という用語は、本発明の圧縮錠剤がこの物質を含有しないことを意味する。圧縮錠剤は、1つ以上の追加の成分を、構成要素A若しくは構成要素Bの中に、又は構成要素A及びBの各々の中に包含し得る。圧縮錠剤は、1つ以上の追加の成分を、1つ以上の構成要素中に含有し得る。追加の成分は、API(アタザナビル及びその薬学的に許容される塩以外)、賦形剤、担体などから選択し得る。
【0013】
本発明の1つの実施態様(これに代えて、本明細書では実施態様E1と称される)は、上記に今定義された圧縮錠剤であり、これにおいて、第1の超崩壊剤は、顆粒内構成要素A中に存在する;すなわち、第1の超崩壊剤の存在は、任意ではない。したがって、実施態様E1は:
(A)(i)ラルテグラビルのアルカリ金属塩の有効量、(ii)第1の超崩壊剤、及び(iii)結合剤、を含んでなる顆粒内構成要素;と
(B)(i)第2の超崩壊剤、(ii)充填剤、及び(iii)滑沢剤、を含んでなる顆粒外構成要素;
とを含んでなる圧縮錠剤であって、ただし、該錠剤がアタザナビル又はその薬学的に許容される塩を含まない該錠剤である。
【0014】
本発明の圧縮錠剤は、アイセントレス(登録商標)錠をカバーするUS2007/0292504に記載されたものなどの、ポロキサマー含有ラルテグラビルに比較して、改善された薬物動態プロフィールを提供し得る。さらに具体的には、本発明のラルテグラビル含有圧縮錠剤は、アイセントレス(登録商標)錠に比較して、有意に低減された吸収変動性と共に、有意に増大された薬物吸収(すなわち、有意に高いAUC)を提供することが判明した(以下の実施例3参照)。本発明の錠剤に用いた処方は、アイセントレス(登録商標)錠の実際よりも、大きい薬物負荷量及び小さいイメージサイズをもつ錠剤の調製を可能にし得るものであり、それ故このことにより、この処方が他のAPIとの多剤混合薬における使用にとり、より魅力的なものとなる。
【0015】
本発明はまた、圧縮錠剤の調製法も包含する。本発明はさらに、HIVインテグラーゼの阻害のため、HIV感染の治療若しくは予防のため、又はAIDSの治療、発症の遅延、又は予防のための圧縮錠剤の使用も包含する。
【0016】
本発明の様々な実施態様、態様、及び特徴は、次の記載、実施例、及び添付のクレームにおいてさらに記載されているか、又は次の記載、実施例、及び添付のクレームから明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例3に記載された薬物動態研究の用量A及び用量Bの処置群についての個別及び平均のAUC値を示す図である。
【0018】
発明の詳細な記載
本発明の圧縮錠剤は、顆粒内構成要素と顆粒外構成要素とを含んでなり、ここで、顆粒内構成要素は、有効量のラルテグラビルを薬学的に許容される塩の形態で含有する。
【0019】
以下にさらに記載されるように、圧縮錠剤は、ある成分を顆粒形成より先に混ぜ合わせ、他の成分は造粒後に添加するようにする、造粒を含む方法を用いて調製される。用語「顆粒内構成要素」は、造粒工程に先立ち混合される圧縮錠剤の成分を指し、「顆粒外構成要素」は、造粒後に混合される成分を指す。
【0020】
用語「薬学的に許容される塩」は、親化合物の有効性を保有し、かつ生物学的に又は別の意味で望ましくないものではない(例えば、その受容者にとり毒性でもなければ有害でもない)塩を指す。ラルテグラビルの適切な塩は、塩基塩;すなわち、薬剤化合物と塩基との反応により生成される塩、を包含する。ラルテグラビル塩は、ナトリウム又はカリウム塩などのアルカリ金属塩であり、より典型的にはカリウム塩である。化合物のアルカリ金属塩は、適切な溶媒中に溶解された化合物を、アルカリ金属水酸化物(例えば、NaOH又はKOH)の水溶液で処理することにより生成し得る。
【0021】
用語「有効量」は、本明細書で用いる場合、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床家によって求められている、組織、系、動物、又はヒトにおける生物学的又は医学的応答を、誘起するAPI(例えば、ラルテグラビル)の量を意味する。有効量は、治療される疾患又は症状の徴候の軽減のために「治療上有効な量」であってよい。有効量はまた、予防される疾患又は症状の徴候の予防のために「予防上有効な量」であってもよい。薬剤化合物が酵素(例えば、HIVインテグラーゼ)の活性を阻害する場合、この用語はまた、酵素を阻害し、それにより、求められていた応答を誘起するのに充分な活性化合物の量(すなわち、「阻害有効量」)も包含する。
【0022】
顆粒内成分は、ラルテグラビル塩に加えて、結合剤及び任意で超崩壊剤を包含する。用語「超崩壊剤」は、投与後にその崩壊を促進するべく錠剤において用いられる、物質又は物質の混合物を指す。顆粒内超崩壊剤は、適切には、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、又はデンプングリコール酸ナトリウムであり、典型的には、クロスカルメロースナトリウム又はデンプングリコール酸ナトリウムであり、さらに典型的には、クロスカルメロースナトリウムである。圧縮錠剤中の顆粒内構成要素において用いられる超崩壊剤は、任意で、クロスカルメロースナトリウムとデンプングリコール酸ナトリウムとの組合せなどの、2種以上の超崩壊剤の組合せであってもよい。組合せの超崩壊剤は、別々に、又はブレンドとして、顆粒内構成要素の他の成分との混合に向けて添加し得る。
【0023】
用語「結合剤」は、顆粒の凝集性を提供又は改善し、かつまた圧縮錠剤の凝集性にも貢献し得る、物質又は物質の混合物を指す。結合剤は、例えば、錠剤が圧縮後に無傷のまま残ることを保証する。適切な結合剤は、ゼラチン、グアーガム、硬化植物油、及び種々のセルロースなどの物質を包含する。本発明の1つの態様においては、結合剤は、低粘度の結合剤である。用語「低粘度」は、20℃で約2ないし約100センチポアズ(cps)(1cps=1mPa sec(ミリパスカル秒))の範囲の粘度を有する2wt.%(すなわち、ポリマーの重量/水の重量)の水溶液を生成する結合剤を指す。本発明の圧縮錠剤における使用に適した低粘度の結合剤は、典型的には、20℃で約2ないし約50cps(例えば、約3ないし約20cps)の範囲の粘度を有する2wt.%溶液を生成する。適切な結合剤は、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、及びポリビニルピロリドンなどの、低粘度の水溶性ポリマーを包含する。低粘度結合剤は、典型的には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、又はメチルセルロースである。低粘度結合剤は、さらに典型的には、HPMC、HPC、又はPVPである。本発明の1つの態様においては、低粘度結合剤は、約7ないし約12wt.%のヒドロキシプロピル含有量、約28ないし約30wt.%のメトキシ含有量、及び約3ないし約20cpsの2wt.%水溶液の粘度を有するHPMCである。別の態様においては、結合剤は、ファーマコート(PHARMACOAT)として信越化学(Shin−Etsu Chemical Co.)から市販されているHPMC2910(6cps)のような、米国薬局方置換型2208、2906、又は2910であるHPMCである。
【0024】
結合剤は、2種以上の結合剤の組合せであってもよい。例えば、結合剤は、低粘度の、水溶性のポリマー(例えば、2種以上のHPMCポリマー)の組合せであってもよく、ここで、ポリマー混合物は、低い粘度範囲の平均粘度をもつ2wt.%溶液を生成する。ポリマー混合物の平均粘度は、一般に、各成分ポリマーの粘度とは異なる。組合せの結合剤は、別々に、又は混合物として、顆粒内構成要素の他の成分との混合に向けて添加し得る。
【0025】
顆粒外構成要素は、超崩壊剤、充填剤、及び滑沢剤を包含する。顆粒外超崩壊剤(これに代えて、本明細書では「第2の超崩壊剤」と称される)は、顆粒内超崩壊剤(これに代えて、本明細書では「第1の超崩壊剤」と称される)と同じか又は異なってもよい。顆粒外超崩壊剤は、適切には、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、又はデンプングリコール酸ナトリウムであり、典型的には、クロスカルメロースナトリウム、又はデンプングリコール酸ナトリウムであり、さらに典型的には、クロスカルメロースナトリウムである。本発明の1つの態様においては、圧縮錠剤の顆粒内構成要素は、超崩壊剤を含有せず、顆粒外構成要素は、クロスカルメロースナトリウムなどの超崩壊剤を含有する。圧縮錠剤は、好ましくは顆粒内及び顆粒外超崩壊剤の双方を含有する。顆粒内及び顆粒外超崩壊剤の双方を含有する圧縮錠剤は、より壊れにくいと考えられている;すなわち、錠剤は、顆粒外超崩壊剤のみを含有する類似の錠剤よりも、その圧縮及び溶解特性の面でよりより良好な再現性を有する。それ故、本発明の1つの態様においては、錠剤は顆粒内及び顆粒外超崩壊剤の双方を含有し、かつ双方の超崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムか、又は双方が、クロスカルメロースナトリウム及びデンプングリコール酸ナトリウムの組合せである。別の態様においては、圧縮錠剤は、顆粒内及び顆粒外超崩壊剤の双方を含有し、かつ双方がクロスカルメロースナトリウムである。
【0026】
充填剤(当該技術分野では「希釈剤」とも称される)は、錠剤に嵩を与えるべく使用される物質である。適切な充填剤には、無水第二リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム二水和物、第三リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、マンニトール、デキストリン、デキストロース、デキストレート、カオリン、ラクチトール、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルチトール、マルトデキストリン、マルトース、デンプン、スクロース、トレハロース、タルク、及びそれらの組合せが含まれる。本発明の1つの態様においては、充填剤は、ラクトース、微結晶セルロース、マンニトール、無水第二リン酸カルシウム、又は第二リン酸カルシウム二水和物である。本発明の別の態様においては、充填剤は、還元糖ではない;すなわち、この態様においては、結合剤は、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース、デキストロースなどではない。この態様の1つの特徴においては、充填剤は、微結晶セルロース、マンニトール、無水第二リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム二水和物、又はそれらの混合物である。この態様の別の特徴においては、充填剤は、微結晶セルロース、無水第二リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム二水和物、又はそれらの混合物である。
【0027】
本発明のなお別の態様においては、充填剤は、微結晶セルロースである。適切な微結晶セルロースの例は、公称粒子径約100μm、含水率約3%ないし約5%、及びルーズ嵩密度約0.28ないし約0.33g/ccを有するものとして特徴づけてよいものである。上記の特徴を有する微結晶セルロースは、例えば、アビセル(AVICEL)PH−102である。他の適切な微結晶セルロースは、以下の特徴をもつものである:
【0028】
【化2】

【0029】
したがって、本発明の圧縮錠剤における使用に適した微結晶セルロースの形態は、これに限定されないが、アビセルPH−101、アビセルPH−102、アビセルPH−103、及びアビセルPH−105(これらは全て、FMCコーポレーション(Corporation)から入手)、及びそれらの組合せを包含する。それ故、例えば、錠剤において使用される微結晶セルロースは、アビセルPH−102若しくはアビセルPH−105、又はそれらの組合せであってよい。
【0030】
本発明のなお別の態様においては、充填剤は、微結晶セルロースと無水第二リン酸カルシウムとの組合せである。適切な組合せの例は、約75%の微結晶セルロースと約25%の無水第二リン酸カルシウムとを含有する粉末であり、ここで、該粉末は、セルロース及びリン酸の湿式分散及び噴霧乾燥により調製される。かかる生成物は、アビセルDGとしてFMCコーポレーションから市販されている。
【0031】
滑沢剤の役割は、その圧縮に先立つ造粒工程から結果として生じる顆粒の流れを改善すること、及び/又は圧縮錠剤が圧縮装置に付着するのを妨げることである。適切な滑沢剤には、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、硬化ヒマシ油、硬化植物油、軽鉱油、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポリエチレングリコール、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸亜鉛、及びフマル酸ステアリルナトリウムが含まれる。本発明の1つの態様においては、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、又はそれらの2つ以上の組合せである。別の態様においては、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。滑沢剤の組合せを用いる場合、滑沢剤は、別々に、又は混合物として、顆粒に添加し得る。
【0032】
本発明の圧縮錠剤は、アタザナビル又はその薬学的に許容される塩、例えば硫酸アタザナビルを含有しない。硫酸アタザナビルは、下記の構造を有する:
【0033】
【化3】

【0034】
アタザナビル、硫酸アタザナビル、並びに調製及び使用法のさらなる記載は、例えば、US6087383、US2005/0256202 A1、及びWO2009/002823 A2に見ることができる。アタザナビルは、処方薬として、100、150、200、及び300mgカプセルの形態で、商品名レヤタズ(Reyataz(登録商標))(硫酸アタザナビル)で、ブリストール−マイヤーズ・スクイブ社(Bristol−Myers Squibb Company)から市販されている。
【0035】
本明細書において、文脈から明らかであるか又は別に明確に述べない限り、圧縮錠剤中のラルテグラビルの重量パーセントは、たとえそれが塩の形態で用いられていても、遊離フェノールによって表記される。錠剤成分(例えば、第1及び第2の超崩壊剤、結合剤、充填剤、滑沢剤など)の重量パーセントは、錠剤の全重量に基づいている。
【0036】
本発明の第2の実施態様(実施態様E2)は、上記に最初に定義した通り(すなわち、発明の要旨において定義された通り)の圧縮錠剤であり、ここで:
(A)(i)ラルテグラビルのアルカリ金属塩は、遊離フェノール基準で、少なくとも約30wt.%の量で用いられ;
(A)(ii)第1の超崩壊剤は、ゼロから約12wt.%までの範囲の量で用いられ;
(A)(iii)結合剤は、約0.5wt.%から約7wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(i)第2の超崩壊剤は、約3wt.%から約20wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(ii)充填剤は、約10wt.%から約40wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(iii)滑沢剤は、約0.5wt.%から約2.5wt.%までの範囲の量で用いられ;
ここで、超崩壊剤の全量は、約6wt.%から約20wt.%までの範囲であり;かつ
ここで、圧縮錠剤中の各成分の重量パーセントは、圧縮錠剤の全重量に基づいている。
【0037】
本発明の第3の実施態様(実施態様E3)は、実施態様E1において定義された圧縮錠剤であり、これにおいて;
(A)(i)ラルテグラビルのアルカリ金属塩は、遊離フェノール基準で、少なくとも約30wt.%の量で用いられ;
(A)(ii)第1の超崩壊剤は、約3wt.%から約12wt.%までの範囲の量で用いられ;
(A)(iii)結合剤(例えば、低粘度結合剤)は、約0.5wt.%から約7wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(i)第2の超崩壊剤は、約3wt.%から約15wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(ii)充填剤は、約10wt.%から約40wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(iii)滑沢剤は、約0.5wt.%から約2.5wt.%までの範囲の量で用いられ;
ここで、超崩壊剤の全量は、約6wt.%から約20wt.%までの範囲であり;かつ
ここで、圧縮錠剤中の各成分の重量パーセントは、圧縮錠剤の全重量に基づいている。
【0038】
本発明の第4の実施態様(実施態様E4)は、上記に最初に定義されたか、又は実施態様E1ないしE3のいずれかにおいて定義された圧縮錠剤であり、これにおいて;
(A)(ii)第1の超崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、及びそれらの組合せからなる群より選択され;
(A)(iii)結合剤は、20℃で、約2から約100センチポワズ(cp)までの範囲の粘度を有し、かつHPMC、HPC、PVP、及びそれらの組合せからなる群より選択され;
(B)(i)第2の超崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、及びそれらの組合せからなる群より選択され;
(B)(ii)充填剤は、微結晶セルロース、マンニトール、ラクトース、リン酸Ca、及びそれらの組合せからなる群より選択され;かつ
(B)(iii)滑沢剤は、ステアリン酸Mg、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、及びそれらの組合せからなる群より選択される。
【0039】
実施態様E4の第1の態様においては:
(A)(ii)第1の超崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、及びクロスポビドンからなる群より選択され;
(A)(iii)結合剤は、20℃で、約2から約100センチポワズ(cp)までの範囲の粘度を有し、かつHPMC、HPC、及びPVPからなる群より選択され;
(B)(i)第2の超崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、及びクロスポビドンからなる群より選択され;
(B)(ii)充填剤は、微結晶セルロース、マンニトール、ラクトース、リン酸Ca、及びそれらの組合せからなる群より選択され;かつ
(B)(iii)滑沢剤は、ステアリン酸Mg、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、及びそれらの組合せからなる群より選択される。第1の態様の1つの特徴においては、充填剤は、微結晶セルロース、リン酸Ca、及びそれらの組合せからなる群より選択される。実施態様E4の第1の態様の別の特徴においては、充填剤は、微結晶セルロースである。実施態様E4の第1の態様のなお別の特徴においては、充填剤は、微結晶セルロースと第二リン酸Ca(例えば、無水第二リン酸Ca)との組合せである。
【0040】
実施態様E4の第2の態様においては、充填剤は、微結晶セルロース、リン酸Ca、及びそれらの組合せからなる群より選択される。実施態様E4の第3の態様においては、充填剤は、微結晶セルロースである。実施態様E4の第4の態様においては、充填剤は、微結晶セルロースと第二リン酸Ca(例えば、無水第二リン酸Ca)との組合せである。
【0041】
本発明の別の実施態様(実施態様E5)は、上記に最初に定義されたか、又は上記の実施態様のいずれかにおいて定義された圧縮錠剤であり、ここで:
(A)(i)ラルテグラビルのアルカリ金属塩は、約50wt.%から約65wt.%までの範囲の量で用いられるNa又はK塩であり;
(A)(ii)第1の超崩壊剤は、約5wt.%から約10wt.%までの範囲の量で用いられ;
(A)(iii)結合剤は、約2wt.%から約6wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(i)第2の超崩壊剤は、約6wt.%から約12wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(ii)充填剤は、約6wt.%から約25wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(iii)滑沢剤は、約1wt.%から約2.5wt.%までの範囲の量で用いられ;
ここで、超崩壊剤の全量は、約10wt.%から約18wt.%までの範囲である。
【0042】
本発明の別の実施態様(実施態様E6)は、充填剤−−(B)(ii)−−が、約10wt.%から約25wt.%までの範囲の量で用いられることを除いて、実施態様E5と同一である。
【0043】
実施態様E5及び実施態様E6の1つの態様においては、第1の超崩壊剤及び第2の超崩壊剤は、同じ物質か、又は物質の同じ組合せである。
【0044】
本発明の別の実施態様(実施態様E7)は、上記に最初に定義されたか、又は上記の実施態様E1ないしE6のいずれか1つにおいて定義された圧縮錠剤であり、ここで:
(A)(ii)第1の超崩壊剤は、顆粒内クロスカルメロースNaであり;
(A)(iii)結合剤は、HPMCであり;
(B)(i)第2の超崩壊剤は、顆粒外クロスカルメロースNaであり;
(B)(ii)充填剤は、微結晶セルロース又は、微結晶セルロースと第二リン酸Ca(例えば、、無水第二リン酸Ca)との組合せであり;かつ
(B)(iii)滑沢剤は、ステアリン酸Mgである。
【0045】
本発明の別の実施態様(実施態様E8)は、充填剤が微結晶セルロースである(すなわち、充填剤は、微結晶セルロースと第二リン酸Caの組合せではない)ことを除いて、実施態様E7と同一である。
【0046】
本発明の別の実施態様(実施態様E9)は、実施態様E8において定義された圧縮錠剤であり、ここで:
(A)(i)ラルテグラビルのアルカリ金属塩は、約55wt.%から約60wt.%までの範囲の量で用いられるNa又はK塩であり;
(A)(ii)顆粒内クロスカルメロースNaは、約5wt.%から約7wt.%までの範囲の量で用いられ;
(A)(iii)HPMCは、約3wt.%から約5wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(i)顆粒外クロスカルメロースNaは、約8wt.%から約10wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(ii)微結晶セルロースは、約16wt.%から約18wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(iii)ステアリン酸マグネシウムは、約1wt.%から約2wt.%までの範囲の量で用いられ;
ここで、クロスカルメロースナトリウムの全量は、約13wt.%から約17wt.%までの範囲である。
【0047】
本発明の別の実施態様(実施態様E10)は、実施態様E7において定義された圧縮錠剤であり、ここで:
(A)(i)ラルテグラビルのナトリウム又はカリウム塩は、遊離フェノール基準で、、約55wt.%から約65wt.%までの範囲の量で用いられ;
(A)(ii)顆粒内クロスカルメロースNaは、約5wt.%から約8wt.%までの範囲の量で用いられ;
(A)(iii)HPMCは、約3wt.%から約5wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(i)顆粒外クロスカルメロースNaは、約8wt.%から約10wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(ii)充填剤は、約7wt.%から約10wt.%までの範囲の量で用いられる、微結晶セルロースと第二リン酸Caとの組合せであり;
(B)(iii)ステアリン酸マグネシウムは、約1wt.%から約2wt.%までの範囲の量で用いられ;
ここで、クロスカルメロースナトリウムの全量は、約13wt.%から約17wt.%までの範囲である。
【0048】
本発明の別の実施態様(実施態様E11)は、上記に最初に定義されたか、又は実施態様E1ないしE10のいずれか1つにおいて定義された圧縮錠剤であり、ここで:ラルテグラビルのアルカリ金属塩は、遊離フェノール基準で、単位用量当たり約200mgから約600mgまでの範囲の量で用いられる。
【0049】
本発明の別の実施態様(実施態様E12)は、上記に最初に定義されたか、又は実施態様E1ないしE11のいずれか1つにおいて定義された圧縮錠剤であり、ここで:ラルテグラビルのアルカリ金属塩は、ラルテグラビルのカリウム塩である。
【0050】
本発明の別の実施態様(実施態様E13)は、実施態様E7において定義された圧縮錠剤であり、ここで、該錠剤は、以下の組成を有する:
【0051】
【化4】

【0052】
この実施態様の1つの態様においては、錠剤中のラルテグラビルカリウムの単位投与量は、434.4mg(遊離フェノールに対して400mg)である。
【0053】
本発明の別の実施態様(実施態様E14)は、実施態様E7において定義された圧縮錠剤であり、ここで、該錠剤は、以下の組成を有する:
【0054】
【化5】

【0055】
この実施態様の1つの態様においては、錠剤中のラルテグラビルカリウムの単位投与量は、434.4mg(遊離フェノールに対して400mg)である。
【0056】
本発明の別の実施態様(実施態様E15)は、上記に最初に定義されたか、又は実施態様E1ないしE14のいずれか1つにおいて定義された圧縮錠剤であり、ここで、ラルテグラビルのアルカリ金属塩は、ラルテグラビルのカリウム塩であり、これは、ラルテグラビルの1型結晶性のカリウム塩である。1型結晶性塩は、US2006/0122205 A1の実施例2において記載されかつキャラクタライズされた結晶性塩である。ラルテグラビルの1型の塩は、5.9、20.0、及び20.6度の2θ値(すなわち、2θ値における反射)を含んでなる銅Kα照射(すなわち、放射線源は、CuKα1及びKα2照射の組合せである)を用いて得たX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。この実施態様の1つの態様においては、ラルテグラビルの1型結晶性カリウム塩は、5.9、12.5、20.0、20.6、及び25.6度の2θ値を含んでなる銅Kα照射を用いて得たX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。1型の代表的なXRPDパターンは、US2006/0122205 A1の図1に提示されている。
【0057】
本発明の別の実施態様(実施態様E16)は、上記に最初に定義されたか、又は実施態様E1ないしE15のいずれか1つにおいて定義された圧縮錠剤であり、ここで、錠剤は、還元糖を含まない;すなわち、還元糖は、錠剤中に含有されない。還元糖は、還元剤として作用し、かつ銅塩のアルカリ性溶液を容易に還元する糖である。ベネディクト試薬又はフェーリング溶液で検査したとき、赤レンガ色を生じる糖は、還元糖である。試験溶液中の色は、糖によってCu(II)イオンが酸化銅(I)へ還元されることに起因する。還元糖は、グルコース、フルクトース、ラクトース、アラビノース、及びマルトースを包含する。
【0058】
還元糖及びアミンを含有する組成物は、褐色の分解産物の生成をもたらし得る、メイラード縮合反応を受けやすい。還元糖を含まない本発明の錠剤は、それ故、錠剤中に存在し得るアミン含有物質により適合する。錠剤が、1つ以上のアミン基をもつ第2の医薬品有効成分を含むとき(例えば、ラルテグラビルとアミン含有性のHIV抗ウィルス剤との多剤混合薬を含有するモノリシック錠剤)、還元糖を含まない錠剤の使用は特に魅力的である。
【0059】
本発明の別の実施態様(実施態様E17)は、上記に最初に定義されたか、又は実施態様E1ないしE15のいずれか1つにおいて定義された圧縮錠剤であり、ここで、錠剤はポロキサマーを含まない;すなわち、ポリキサマーは錠剤中に含有されない。ポロキサマーは、酸化エチレンと酸化プロピレンとのブロックコポリマーである。コポリマーは、一般に、約1000から約20,000までの範囲の平均分子量と、約40から約90wt.%までの酸化エチレン含有量とを有する。ポロキサマーは、例えば、可溶化剤、乳化剤、又は湿潤剤として、医薬製剤において使用し得る。代表的なポロキサマーは、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー338、及びポロキサマー407を包含する。ある錠剤製剤では、高レベルのポロキサマーが圧縮に対し悪影響を及ぼす可能性があり、錠剤の圧縮形成の間に、錠剤物質を金型の壁にくっつける結果となり得る。高いポロキサマーレベルはまた、ある活性成分の吸収を阻害し得る。アイセントレス(登録商標)は、比較的高レベルのポロキサマーを含有しており、この錠剤は、投与後に比較的ゆっくりとラルテグラビルを放出することで特徴づけられる。かかる製剤中に別のHIV抗ウィルス剤を導入してラルテグラビルとの多剤混合薬を供することは、抗ウィルス剤の吸収に悪影響を及ぼす可能性があると考えられる。
【0060】
本発明の別の実施態様(実施態様E18)は、上記に最初に定義されたか、又は実施態様E1ないしE15のいずれか1つにおいて定義された圧縮錠剤であり、ここで、錠剤は、ポロキサマー及び還元糖を含まない;すなわち、ポロキサマーも還元糖も、錠剤中に含有されない。
【0061】
本発明の別の実施態様(実施態様E19)は、上記に最初に定義されたか、又は実施態様E1ないしE18のいずれか1つにおいて定義された圧縮錠剤であり、ここで、圧縮錠剤の崩壊時間は、約15分未満である。この実施態様の1つの態様においては、崩壊時間は、約5分から約12分までの範囲である。崩壊時間は、実施例2に記載された方法で測定される。
【0062】
上記に最初に定義された、並びに上記の態様及び実施態様の各々において記載された圧縮錠剤は、湿式造粒により調製可能であり、これにおいて、適切な製剤の全体の粒子サイズは、より小さい粒子の永久的な凝集によって増大される。湿式造粒は、乾いた顆粒内成分(例えば、ラルテグラビル塩、第1の超崩壊剤、及び結合剤)の充分に混合されたブレンドを、充分な溶媒(例えば、水、又は水とアルコールとの共溶媒)で加湿して、ブレンド内の粒子が互いに粘着してより大きい粒子を形成するようにすること、次いで選別するか、細かく砕くか、又は他の方法で粒子のサイズを操作することを包含する。ひとたび形成されれば、生じた湿った顆粒を次に乾燥させ、適切なサイズの粒子(すなわち、顆粒)に粉砕し、顆粒を滑沢剤及び任意で他の顆粒外成分(例えば、第2の超崩壊剤及び充填剤)とブレンドし、滑沢化された顆粒を錠剤に圧縮する。
【0063】
圧縮錠剤は、シュガーコートして、任意の不快な味をマスクするか、又はフィルムコート(例えば、ポリマーコート)して、環境劣化から錠剤を保護してもよい。コーティングはまた、経口投与後の薬剤放出に悪影響を及ぼさないようにするべきである。適切なフィルムコーティング懸濁液は、オパドライII(39K)(カラコン(Colorcon)、ペンシルベニア州、ウェストポイント、から入手可能)であり、これは、トリアセチン、ラクトース、及び二酸化チタンを用いたヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)−ベースのポリマーである。フィルムは、懸濁液を錠剤に噴霧すること、及び次に乾燥することにより適用し得る。適切なフィルムコーティング技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences(レミントンの薬学)」、第18版、ジェナーロ(A.R.Gennaro)編、Mack Publishing Co.、1990年、p.1665−1675、及び「Remington−The Science and Practice of Pharmacy(レミントン−薬学の科学と実践)」、第21版、2005年、第46章に記載されている。
【0064】
本発明の圧縮錠剤の調製に適した技術及び装置は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第18版、A.R.Gennaro編、1990年、第89章、及び「Remington−The Science and Practice of Pharmacy」、第21版、2005年、第45章に記載されている。
【0065】
本発明は、ラルテグラビルのアルカリ金属塩の有効量、任意で第1の超崩壊剤、結合剤(例えば、低粘度結合剤)、第2の超崩壊剤、充填剤、及び滑沢剤を含んでなる圧縮錠剤を調製するためのプロセス(これに代えて本明細書では、「プロセスP1」又は「P1プロセス」と称される)を包含し;ここで、該方法は:
(A)ラルテグラビル塩、第1の超崩壊剤(任意選択)、及び結合剤を乾式混合して、ドライブレンドを得ること;
(B)ドライブレンドを湿式造粒すること、及び次に、任意で湿式造粒混合物を粉砕すること、又は選別すること;
(C)工程Bの湿式造粒混合物を乾燥して、乾燥顆粒を得ること;
(D)工程Cの乾燥顆粒を粉砕すること及び選別すること;
(E)工程Dから得られた、粉砕され、選別された顆粒を、第2の超崩壊剤、充填剤、及び滑沢剤と混合して、滑沢化された顆粒ブレンドを得ること;及び
(F)工程Eの滑沢化された顆粒ブレンドを圧縮して錠剤を得ることを含んでなり;ただし、該プロセスが、アタザナビル又はその薬学的に許容される塩を用いないこと、及び得られた錠剤がアタザナビル又はその薬学的に許容される塩を含まない。
【0066】
混合は、工程Aにおいて、成分の比較的均一なブレンドを得るのに充分な時間にわたり行なわれる。混合は、高剪断造粒機、V−ブレンダー、又はビン−ブレンダーなどの任意の適切な混合装置において実施し得る。工程Bの湿式造粒は、造粒液(一般的には水)を、ブレンドされた成分を含有するミキサーに加えること、及び湿った成分を混合することにより実施し得る。湿った粒質物は、次に粉砕するか、又は別個の操作で(例えば、湿った粒質物を適切なサイズのメッシュスクリーンを押し通すことにより)選別し得る。別法として、あるミキサーは、ミキシングブレードとは独立して稼働するチョッパーブレードを具備しており、別個の粉砕/選別操作の必要がない。工程Cにおける乾燥は、約40℃ないし約90°の範囲の温度における、トレイ乾燥又は流動床乾燥によるなどの、任意の通常の方法で実施し得る。顆粒は、一般に約0.5−3%のLODまで乾燥される。工程Dの粉砕及び選別は、適切な粒子径;例えば、約50から1200ミクロンまでの範囲の平均直径をもつ粒子、を達成するまで実施される。工程Eにおける混合は、顆粒と顆粒外成分との均一なブレンドを得るのに充分な時間にわたり実施される。プロセスP1の1つの態様においては、工程Eは、(e−i)工程Dから得られた粉砕され、選別された顆粒を、第2の超崩壊剤及び充填剤と混合すること、及び次に(e−ii)滑沢剤を、サブステップe(i)から得られたブレンドに添加して、滑沢化された顆粒ブレンドを得ること、を含んでなる。顆粒ブレンドは次に、工程Fにおいて、ロータリープレスなどの標準的な打錠機を用いて錠剤に圧縮し、例えば円形又は楕円形の錠剤を得る。別に明確に述べない限り(工程Cにおけるように)、プロセスP1の工程は、周囲条件下で;すなわち、約25℃又はその付近で、実施される。
【0067】
プロセスP1によって調製された顆粒ブレンドは、有益な流動及び圧縮特性を有し得る。例えば、以下の実施例1に記載されたように調製されたラルテグラビルのK塩を含有する顆粒ブレンドは、US2007/0292504 A1(US’504の実施例3及び以下の参考実施例1参照)、及びUS2008/0118559 A1(US’559の実施例6参照)に記載された類似の乾式造粒ブレンドに比較して、優れた流動特性を有し、かつ圧縮成型型へくっつくか又は付着する傾向が低減される。
【0068】
P1プロセスの実施態様は、以下の特徴(i)ないし(xiv)の1つ以上を取入れている、今記載されたプロセスを包含する:
(i−a)ラルテグラビルのアルカリ金属塩は、化合物Iのナトリウム塩又はカリウム塩である;
(i−b)ラルテグラビルのアルカリ金属塩は、ラルテグラビルのカリウム塩である;又は
(i−c)ラルテグラビルのアルカリ金属塩は、ラルテグラビルの1型結晶性カリウム塩である;
(ii−a)ラルテグラビルのアルカリ金属塩は、遊離フェノール基準で、少なくとも約30wt.%の量で用いられる;
(ii−b)ラルテグラビルのアルカリ金属塩は、遊離フェノール基準で、約50wt.%から約65wt.%までの範囲の量で用いられるNa又はK塩である;
(ii−c)ラルテグラビルのアルカリ金属塩(例えば、ラルテグラビルのK塩)は、遊離フェノール基準で、約55wt.%から約60wt.%までの範囲の量で用いられる;又は
(ii−d)ラルテグラビルのアルカリ金属塩(例えば、ラルテグラビルのK塩)は、遊離フェノール基準で、約55wt.%から約65wt.%までの範囲の量で用いられる;
(iii−a)第1の超崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、及びそれらの組合せからなる群より選択される;
(iii−b)第1の超崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、及びクロスポビドンからなる群より選択される;又は
(iii−c)第1の超崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである;
(iv−a)第1の超崩壊剤は、ゼロから約12wt.%までの範囲の量で用いられる;
(iv−b)第1の超崩壊剤は、約3wt.%から約12wt.%までの範囲の量で用いられる;
(iv−c)第1の超崩壊剤は、約5wt.%から約10wt.%までの範囲の量で用いられる;又は
(iv−d)第1の超崩壊剤(例えば、クロスカルメロースNa)は、約5wt.%から約7wt.%までの範囲の量で用いられる;
(v−a)結合剤は、20℃で約2から約100センチポワズ(cp)の範囲の粘度を有し、かつHPMC、HPC、及びPVPからなる群より選択される;又は
(v−b)結合剤は、HPMCである;
(vi−a)結合剤は、約0.5wt.%から約7wt.%までの範囲の量で用いられる;
(vi−b)結合剤は、約2wt.%から約6wt.%までの範囲の量で用いられる;又は
(vi−c)結合剤(例えば、HPMC)は、約3wt.%から約5wt.%までの範囲の量で用いられる;
(vii−a)第2の超崩壊剤は、任意で第1の超崩壊剤と同じであり、かつクロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、及びそれらの組合せからなる群より選択される;
(vii−b)第2の超崩壊剤は、任意で第1の超崩壊剤と同じであり、かつクロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、及びクロスポビドンからなる群より選択される;又は
(vii−c)第2の超崩壊剤は、任意で第1の超崩壊剤と同じであり、かつクロスカルメロースナトリウムである;
(viii−a)第2の超崩壊剤は、約3wt.%から約20wt.%までの範囲の量で用いられる;(viii−aの1つのサブフィーチャーにおいては、第1の超崩壊剤は、特徴iv−aに示した量で用いられ、第2の超崩壊剤は、この特徴に示した通りに用いられ、かつ超崩壊剤の全量は、約6wt.%から約20wt.%までの範囲である)
(viii−b)第2の超崩壊剤は、約3wt.%から約15wt.%までの範囲の量で用いられる;(viii−bの1つのサブフィーチャーにおいては、第1の超崩壊剤は、特徴iv−bに示した量で用いられ、第2の超崩壊剤は、この特徴に示した通りに用いられ、かつ超崩壊剤の全量は、約6wt.%から約20wt.%までの範囲である)
(viii−c)第2の超崩壊剤は、約6wt.%から約12wt.%までの範囲の量で用いられる;(viii−cの1つのサブフィーチャーにおいては、第1の超崩壊剤は、特徴iv−cに示した量で用いられ、第2の超崩壊剤は、この特徴に示した通りに用いられ、かつ超崩壊剤の全量は、約10wt.%から約18wt.%までの範囲である)又は
(viii−d)第2の超崩壊剤(例えば、クロスカルメロースNa)は、約8wt.%から約10wt.%までの範囲の量で用いられる;(viii−dの1つのサブフィーチャーにおいては、第1の超崩壊剤は、特徴iv−dに示した量で用いられ、第2の超崩壊剤は、この特徴に示した通りに用いられ、かつ超崩壊剤の全量は、約13wt.%から約17wt.%までの範囲である)
(ix−a)充填剤は、微結晶セルロース、マンニトール、ラクトース、リン酸Ca、及びそれらの組合せからなる群より選択される;
(ix−b)充填剤は、微結晶セルロース(例えば、アビセルPH−102など)である;又は
(ix−c)充填剤は、微結晶セルロースと第二リン酸Caとの組合せ(例えば、アビセルDGなど)である;
(x−a)充填剤は、約10wt.%から約40wt.%までの範囲の量で用いられる;又は
(x−b)充填剤は、約10wt.%から約25wt.%までの範囲の量で用いられる;
(x−c)充填剤(例えば、微結晶セルロース)は、約16wt.%から約18wt.%までの範囲の量で用いられる;又は
(x−d)充填剤(例えば、微結晶セルロースと第二リン酸Caとの組合せ)は、約7wt.%から約10wt.%までの範囲の量で用いられる;
(xi−a)滑沢剤は、ステアリン酸Mg、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、及びそれらの組合せからなる群より選択される;又は
(xi−b)滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムを含んでなる;
(xii−a)滑沢剤は、約0.5wt.%から約2.5wt.%までの範囲の量で用いられる;又は
(xii−b)滑沢剤は、約1wt.%から約2.5wt.%までの範囲の量で用いられる;又は
(xii−c)滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)は、約1wt.%から約2wt.%までの範囲の量で用いられる;
(xiii−a)プロセスはさらに:(F)圧縮錠剤をコートすることを含んでなる;又は
(xiii−b)プロセスはさらに:(F)圧縮錠剤をフィルムコーティング懸濁液(例えば、オパドライII HP)でコートして、コーティングが圧縮錠剤の重量の約2から約4%までであるコーティング錠を得ることを含んでなる;及び
(xiv−a)ラルテグラビルのアルカリ金属塩(例えば、ラルテグラビルのカリウム塩)は、遊離フェノール基準で約200mgから約600mgまでの範囲の、錠剤当たりの量で用いられる;又は
(xiv−b)ラルテグラビルのアルカリ金属塩(例えば、ラルテグラビルのカリウム塩)は、遊離フェノール基準で約200mg、300mg、400mg、500mg、又は約600mgの、錠剤当たりの量で用いられる。
【0069】
上記の特徴(i)ないし(xiv)のただ1つを、最初に記載されたプロセスP1へ各々取入れることが、プロセスP1の1つの実施態様を構成することが理解される。また、特徴(i)ないし(xiv)の2つ以上を、最初に記載されたプロセスP1へ各々取入れることが、プロセスP1の1つの実施態様を構成することも理解される。特徴(i)ないし(xiv)の任意の組合せは、かかる組合せが内部矛盾しないか、さもなければ無効のプロセスをもたらさない限り、プロセスP1の範囲内である。
【0070】
プロセスP1の別の実施態様は、上記に最初に記載されたプロセスP1であり、ここで、プロセスにおいて用いた各成分の正体及び量は、実施態様E13において上記に記載の圧縮錠剤について示した通りである。
【0071】
プロセスP1の別の実施態様は、上記に最初に記載されたプロセスP1であり、ここで、プロセスにおいて用いた各成分の正体及び量は、実施態様E14において上記に記載の圧縮錠剤について示した通りである。
【0072】
本発明はまた、上記に最初に示されたか、又はプロセスP1の上記の実施態様のいずれかにおいて示された、プロセスP1によって調製される圧縮錠剤も包含する。
【0073】
本発明の圧縮錠剤は、HIVインテグラーゼの阻害、HIVによる感染症の治療若しくは予防、及び結果として起こるAIDSなどの病的状態の治療、予防、又は発症の遅延において有用である。AIDSの治療、AIDSの予防、AIDSの発症の遅延、HIV感染症の治療、又はHIV感染症の予防は、これに限定されないが、HIV感染症の広範な症状:AIDS、ARC、症候性及び無症候性の双方、並びに、実際の又は潜在的なHIVへの暴露、の治療又は予防を含むものとして定義される。例えば、本発明の錠剤は、輸血、体液交換、咬傷、偶発的針穿刺、又は外科手術中の患者血液への暴露などにより、HIVへの過去の暴露が疑われた後の、HIVによる感染症の治療又は予防において有用である。
【0074】
本発明は、患者においてHIVインテグラーゼ(例えば、HIV−1インテグラーゼ)を阻害するための方法であって、発明の要旨において上記に最初に定義された圧縮錠剤を、これを要する当該患者に投与することを含んでなる該方法を包含する。本発明はまた、患者においてHIV感染症(例えば、HIV−1感染症)を治療若しくは予防するため、又はAIDS(例えば、HIV−1によって引き起こされるAIDS)を治療、予防、若しくは発症遅延するための方法であって、上記に最初に定義された本発明の圧縮錠剤を、これを要する当該患者に投与することを含んでなる該方法も包含する。これらの方法においては、本発明の圧縮錠剤は、任意で、HIV抗ウィルス剤、抗感染剤、及び免疫調節剤から選択される1種以上の抗HIV剤と組合せて用い得る。これらの方法の実施態様は、圧縮錠剤がその上記の実施態様のいずれか1つに示した錠剤(例えば、実施態様E1ないしE19に記載された錠剤、及びP1プロセスから得られた圧縮錠剤)である、今記載された方法を包含する。
【0075】
用語「患者(subject)」(本明細書では「患者(patient)」と区別なく用いられる)は、治療、観察、又は実験の対象となっている動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを指す。
【0076】
本発明の錠剤を他の薬剤(例えば、抗HIV剤)と組合せて用いるか又は投与する場合、錠剤及び該薬剤を別々に、又は一緒に投与してもよく、また別々に投与する場合、錠剤及び該薬剤を同時に、又は異なる時間に(例えば、交互に)投与し得る。
【0077】
本発明はまた、(i)(a)療法(例えば、ヒトの身体の)、(b)医学、(c)HIVインテグラーゼの阻害、(d)HIVによる感染症の治療又は予防、或いは(e)AIDSの治療、予防、又は発症若しくは進行の遅延;における使用のため、(ii)(a)療法(例えば、ヒトの身体の)、(b)医学、(c)HIVインテグラーゼの阻害、(d)HIVによる感染症の治療又は予防、或いは(e)AIDSの治療、予防、又は発症若しくは進行の遅延;のための医薬としての使用のため、又は(iii)(a)療法(例えば、ヒトの身体の)、(b)医学、(c)HIVインテグラーゼの阻害、(d)HIVによる感染症の治療又は予防、或いは(e)AIDSの治療、予防、又は発症若しくは進行の遅延;のための医薬の調製又は製造における使用のための、発明の要旨において最初に定義されかつ記載された圧縮錠剤である、経口投与のための圧縮錠剤も包含する。これらの使用の実施態様は、最初に定義された本発明の圧縮錠剤が、その上記記載の実施態様(これは、特に、実施態様E1ないしE19に示した圧縮錠剤、及びP1プロセスから得られる圧縮錠剤を包含する)で置き換えられている、今記載された方法を包含する。これらの使用においては、本発明の圧縮錠剤は、任意で、HIV抗ウィルス剤(アタザナビル及びその薬学的に許容される塩を除く)、抗感染剤、及び免疫調節剤から選択される1種以上の抗HIV剤と組合せて使用し得る。
【0078】
「抗HIV剤」は、HIVの複製若しくは感染に必要なHIVインテグラーゼ若しくは他の酵素の阻害、HIV感染症の治療又は予防、及び/又は、AIDSの治療、予防、又は発症若しくは進行の遅延において、直接又は間接的に有効な任意の薬剤である。抗HIV剤が、HIV感染症又はAIDS、及び/又は、それから発生するか又はそれに随伴する疾患若しくは症状の、治療、予防、又は発症若しくは進行の遅延において有効であることが理解される。例えば、本発明の圧縮錠剤は、暴露前の期間であれ、及び/又は暴露後の期間であれ、アタザナビル及びその薬学的に許容される塩を除き、WO01/38332の表1において、又はWO02/30930の表において示したものなどの、HIV感染症又はAIDSの治療に有用な、1種以上のHIV抗ウィルス剤、免疫調節剤、抗感染剤、又はワクチンの有効量と組合せて、効果的に投与し得る。本発明の化合物と組合せた使用に適したHIV抗ウィルス剤は、例えば、以下の表Aに列記されたものを包含する:
【0079】
【表A−1】

【0080】
【表A−2】

【0081】
本発明の圧縮錠剤と抗HIV剤との組合せの範囲が、表Aに列記された、及び/又は、WO01/38332及びWO02/30930において上記で言及した表に列記された、HIV抗ウィルス剤に限定されず、アタザナビル又はその薬学的に許容される塩を含有する組成物を除き、HIV感染症又はAIDSの治療若しくは予防に有用な、任意の医薬組成物との任意の組合せを原則的に包含することが理解される。HIV抗ウィルス剤及び他の薬剤は、一般に、例えば、「Physician’s Desk Reference(医師用添付文書集)」、Thomson PDR、第57版(2003年)、第58版(2004年)、第59版(2005年)、及びその続版に記載された投与量を含め、当該技術分野において報告されたその通常の投与量範囲及び用法用量において、それらを組合せて用い得る。
【0082】
本明細書に示した使用及び治療法が、アタザナビル又はその薬学的に許容される塩との、本発明の圧縮錠剤及び多剤混合薬(以下に記載)の投与を除外することが、さらに理解される。
【0083】
本発明の圧縮錠剤は、適切には、錠剤当たり約50mgから約800mgまでのラルテグラビルを含有してよく、典型的には錠剤当たり約100mgから約700mgまでを含有し、さらに典型的には錠剤当たり約200mgから約600mgまでを含有する。特定の用量レベル及び投薬の頻度は、例えば、患者の年齢、体重、全身の健康、性別、及び食餌によって患者ごとに変更されてよい。特定の患者に適したラルテグラビルの適切な用量レベルは、当業者により、過度の実験作業を伴わずに決定し得る。成人に対し1日1回又は2回経口投与される、200ないし600mgのラルテグラビルを含有する本発明の圧縮錠剤が、HIV感染症の治療において有効であると考えられる。
【0084】
本発明はまた、経口投与用の固形の多剤混合薬(これに代えて、本明細書では混合薬「FDC」と称される)であって、ラルテグラビルのアルカリ金属の有効量を含有する第1の部分(ここで、第1の部分は、発明の要旨において最初に記載されたか、又はその態様若しくは実施態様(例えば、実施態様E1ないしE19)の任意の1つにおいて記載された圧縮錠剤において用いられる、顆粒内構成要素及び顆粒外構成要素を含んでなる);及び、別の抗HIV剤の有効量を含んでなる製剤を含んでなる第2の部分を含んでなり、ただし、該多剤混合薬が、アタザナビル又はその薬学的に許容される塩を含まない、該混合薬を包含する。第2の部分における抗HIV剤は、アタザナビル又はその薬学的に許容される塩を除いて、上記に定義及び記載された任意の抗HIV剤であってよい。1つの実施態様(実施態様FDC−E1)においては、第2の部分における抗HIV剤は、HIV付着阻害剤、CCR5阻害剤、CXCR4阻害剤、HIV細胞融合阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIVヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、HIV非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、又はHIVプロテアーゼ阻害剤である(アタザナビル又はその薬学的に許容される塩を除く)。別の実施態様(実施態様FDC−E2)においては、第2の部分における抗HIV剤は、上記の表Aに列記された薬剤からなる群より選択される。
【0085】
多剤混合薬の別の実施態様(実施態様FDC−E3)は、最初に記載されたか、又は実施態様FDC−E1及びFDC−E2のいずれかにおいて記載された混合薬であり、ここで、該混合薬は、二層の圧縮錠剤であり、これにおいて第1の部分は、1つの層中にあり、第2の部分は、2番目の層中にある。二層錠剤は、第1の部分と第2の部分とを一緒に圧縮することにより調製し得る。別法として、二層錠剤は、第1又は第2の部分を打錠機に投入すること;この部分を圧縮して、第1の錠剤層を形成すること;第1及び第2の部分のもう片方を、打錠機に投入すること;及び第1及び第2の部分の双方を圧縮して、二層錠剤を得ることにより調製し得る。
【0086】
多剤混合薬の別の実施態様(実施態様FDC−E4)は、最初に記載されたか、又は実施態様FDC−E1及びFDC−E2のいずれかにおいて記載された混合薬であり、ここで、該混合薬は、第1の部分及び第2の部分が同じ層中にある、モノリシック圧縮錠剤である。モノリシック錠剤は、第1及び第2の部分を一緒に混合すること、及び混合物を打錠機で圧縮することにより調製し得る。
【0087】
多剤混合薬の別の実施態様(実施態様FDC−E5)は、最初に記載されたか、又は実施態様FDC−E1ないしFDC−E4のいずれかにおいて記載された混合薬であり、ここで、該混合薬は、上記記載の方法において、シュガーコート及び/又はフィルムコートされる。
【0088】
本明細書で用いる略語は、以下を包含する:API=医薬品有効成分;APCI=大気圧化学イオン化(質量分光法);cp=センチポワズ;CPCG−3=グラットパウダーコーターグラニュレーター(Glatt Powder−Coater−Granulator)−3;EDTA=エチレンジアミン四酢酸;EG=顆粒外;g=グラム;HEC=ヒドロキシエチルセルロース;HPC=ヒドロキシプロピルセルロース;HPMC=ヒドロキシプロピルメチルセルロース;HPLC=高性能液体クロマトグラフィー;IG=顆粒内;LC/MS=液体クロマトグラフィー/質量分析;LOD=乾燥減量;MRM=多反応モニタリング法;PK=薬物動態;PVP=ポリビニルピロリドン;SD=標準偏差。
【0089】
以下の実施例は、本発明及びその実施を例示する役割を果たすに過ぎない。実施例は、本発明の範囲又は精神を限定するものとして解釈されるべきではない。ラルテグラビルは、US2006/0122205 A1の実施例1に記載された通り調製し得る。ラルテグラビルの1型結晶性一カリウム塩は、US2006/0122205 A1の実施例2に記載された通り調製し得る。
【実施例】
【0090】
参考例1
アイセントレス(登録商標)錠
アイセントレス(登録商標)錠は、US2007/0292504の実施例3に記載された乾式造粒法を用いて調製され、その後に、コア錠剤はオパドライIIでフィルムコートされ、これにおいてアイセントレス(登録商標)錠は、以下の組成を有する:
【0091】
【表2】

【0092】
実施例1
ラルテグラビルカリウムと顆粒内及び顆粒外クロスカルメロースNaとを含有する圧縮錠剤(錠剤Ex1)の調製
【0093】
【表3】

【0094】
遊離フェノール基準で400mgのラルテグラビルを含有する圧縮錠剤は、まず、ラルテグラビルK塩、HPMC、及び顆粒内部分のクロスカルメロースナトリウムの混合物(約4kg)を、フィールダー(Fielder)10/25L高剪断造粒機内で、インペラ速度 500rpm及びチョッパー速度 1800rpmで0.5分間ブレンドすること、次にUSP水(40wt.%;約1.6kg)を造粒機に添加すること、及び噴霧速度 320g/分において、250rpmで5分間造粒することにより調製した。造粒化された材料を、次にGPG−3流動床造粒機内で、入口空気温度 80℃で20−30分間乾燥し、これにおいて空気流速は、最初は200立方フィート/分(=5.66m/分)であり、乾燥中に徐々に減速して、最終流速 100立方フィート/分(=1.42m/分)とし、乾燥顆粒を約1wt.%のLODで得た。乾燥顆粒を次に、1.27mmの開口をもつ格子スクリーン(すなわち、No.50スクリーン)を具備した、2000rpmで操作される角棒を備えたクアドロ(Quadro)197コミル(Comil)を用いて粉砕及び選別して顆粒を得、これを微結晶セルロース及び顆粒外部分のクロスカルメロースナトリウムと、8クォートのV−シェルブレンダー内で、回転速度25rpmで5分間ブレンドした。次に、ステアリン酸マグネシウム(No.40メッシュサイズのスクリーンを用いて予め選別)をブレンダーに添加し、インペラ速度 25rpmで混合物をさらに5分間ブレンドした。滑沢化された顆粒を、次に扁平楕円型の成形型をもつ回転式打錠機を用いて、キー(Key)モデルHT−300硬度計の使用により測定される、約15キロポンド(すなわち、147ニュートン)の錠剤硬度を達成するのに必要な圧縮力で、700mgの錠剤に圧縮した。コア錠剤は、次にベクター(Vector)フィルムコーター(3.75Lパン)において、オパドライIIでコートされ、コア錠剤に対し約3wt.%の重量増でフィルムコート錠を得た。
【0095】
実施例2
ラルテグラビルカリウムと顆粒内及び顆粒外クロスカルメロースNaとを含有する圧縮錠剤(錠剤Ex2)の調製
【0096】
【表4】

【0097】
製剤
ラルテグラビル400mg(=64.5% 薬物負荷量)を含有し、かつ上記の表に示した成分を有する圧縮錠剤を、実施例1に記載した方法に従って調製した。これらの錠剤は、顆粒外充填剤として、アビセルPH−102(17.1wt.%)をアビセルDG(7.8wt.%)で置き換えたことを除いて、実施例1において調製された錠剤と同じ成分を含有した。
【0098】
崩壊
Ex1及びEx2錠の崩壊時間は、USP法<701>に従い、バンケル(Vankel)VK100崩壊システム(バリアン・インク(Varian Inc.))を用いて得られ、これにおいて、単一の錠剤をバスケット内に置き、バスケットを37℃で、0.01N HCl水溶液(脱イオン水)中に浸漬した。浸漬後に錠剤が消失するまでの時間が、崩壊時間である。Ex1及びEx2錠の崩壊時間(各タイプの錠剤につき2回の試験の平均値)は、ほぼ同じ;すなわち、Ex1錠では約10分間、またEx2錠では約9分間であった。
【0099】
実施例3
健康な男性及び女性のヒトにおける、アタザナビルと同時投与されたラルテグラビルの薬物動態研究
【0100】
ラルテグラビルのカリウム塩と硫酸アタザナビルとを含有する単一の経口投与の薬物動態を研究する、オープンラベル、5期間、無作為化、クロスオーバー試験を、軽食後に実施される投与により、健康な男女のヒトにおいて実施した。5つの期間のうちの最初の2期間において、各被験者は、
(A)レヤタズ(登録商標)(300mg)と同時投与された、参考例1に記載された方法で実質的に調製されたラルテグラビル400mg錠(すなわち、アイセントレス(登録商標))、及び
(B)レヤタズ(登録商標)(300mg)と同時投与された、実施例1に記載された方法で実質的に調製されたラルテグラビル400mg錠(すなわち、「錠剤Ex1」)、
の単回投与を連続的に受けた。
【0101】
血液試料は、投与前、及び投与後0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12、16、24、36、及び48時間で採取した。処置群A、B、C、D、及びEには、先の期間の用量投与から出発して、少なくとも5日間のウォッシュアウト期間があった。患者の安全性は、各投与の前後に、不利な体験を臨床的に評価することにより、また血液及び尿の実験室安全試験、バイタルサイン、身体検査、及び心電図を含む、他の安全パラメータを検査することによりモニターした。
【0102】
試料の調製及び分析:
ラルテグラビルアッセイには、血漿試料を96ウェル液−液抽出法を用いて抽出した。血漿抽出物を、Ace C18(50×3.0mm、3μm、チタンフリット(rits))HPLCカラムに注入し、42.5/57.5(v/v%)の0.1mM EDTA(0.1%ギ酸中)/メタノールからなる移動相のイソクラティック条件下、0.5mL/分の流速で分析した。試料抽出物を、APCIインターフェースを用いてイオン化し、MRMにより、ポジティブイオンモードでモニターした。LC/MS/MSアッセイの動的範囲は、ヒト血漿アリコート200μLを基準として、2−1000ng/mLであった。
【0103】
PK計算:
最後に検出可能な濃度までの時間(AUC0−last)に対する血漿濃度のプロットについての曲線下面積を、非コンパートメントモデル及び、線形アップ/対数ダウン計算法を用いて、WinNonLin バージョンv5.0.1で計算した。AUC値は、以下の等式:AUC0−∞=AUC0−last+Clast/β(式中、Clastは、最後に検出可能な濃度であり、βは、終末相における減衰の傾きである)に従って無限大まで外挿される。観察された最大血漿濃度(Cmax)、Cmaxの時間(Tmax)、及び投与の12時間後の血漿濃度(C12hr)は、精査によって測定した。
【0104】
ラルテグラビルの用量A及びBに関する薬物動態の結果は、以下の通りである:
【0105】
【化6】

【0106】
1.薬物動態値は、ラルテグラビルに関するものである。Tmaxの値は、中央値(最小−最大)であり;T1/2の値は、調和平均±疑似標準偏差(SD)であり;かつ、他の全てのパラメータの値は、算術平均±SDである。
2.各処置プロトコールにおける被験者の数は、20であった。
【0107】
図1は、用量A及び用量Bの処置群についての個別及び平均のAUC値を示す図である。
【0108】
アイセントレス(登録商標)錠(用量A)に比較して、Ex1錠(用量B)は、暴露の増加(すなわち、より高いAUC値)と、著しく低減された、AUC、Cmax、及びC12hrの変動性とをもたらした。より高いAUC値は、Ex1錠の効力について潜在的な利点を示しており、かつ実施例1の製剤を用いた錠剤では、低用量のラルテグラビルで同様の効力が可能となり得る。変動の低減は、同様に有利であって、ラルテグラビルのより一貫した血漿濃度をもたらし得る。
【0109】
上記の明細書は、例示を目的として示された実施例によって、本発明の原理を教示するものであるが、本発明の実施は、以下の特許請求の範囲内に入る全ての通常の変動、適応、及び/又は修飾を包含する。本明細書で引用した全ての刊行物、特許、及び特許出願は、その全てが本開示に採用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口投与用の圧縮錠剤であって:
(A)以下を含んでなる顆粒内構成要素:
(i)ラルテグラビルのアルカリ金属塩の有効量;
(ii)任意で第1の超崩壊剤、及び
(iii)結合剤;と
(B)以下を含んでなる顆粒外構成要素:
(i)第2の超崩壊剤、
(ii)充填剤、及び
(iii)滑沢剤;とを含んでなり、
ただし、前記錠剤がアタザナビル又はその薬学的に許容される塩を含まない、前記圧縮錠剤。
【請求項2】
(A)(i)ラルテグラビルの前記アルカリ金属塩が、遊離フェノール基準で、少なくとも約30wt.%の量で用いられ;
(A)(ii)前記第1の超崩壊剤が、ゼロから約12wt.%までの範囲の量で用いられ;
(A)(iii)前記結合剤が、約0.5wt.%から約7wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(i)前記第2の超崩壊剤が、約3wt.%から約20wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(ii)前記充填剤が、約10wt.%から約40wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(iii)前記滑沢剤が、約0.5wt.%から約2.5wt.%までの範囲の量で用いられ;
ここで、超崩壊剤の全量が、約6wt.%から約20wt.%までの範囲であり;かつ
ここで、圧縮錠剤中の各成分の重量パーセントが、圧縮錠剤の全重量に基づいている、請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項3】
前記第1の超崩壊剤が、顆粒内構成要素A中に存在する、請求項1に記載の経口投与用圧縮錠剤。
【請求項4】
(A)(i)ラルテグラビルの前記アルカリ金属塩が、遊離フェノール基準で、少なくとも約30wt.%の量で用いられ;
(A)(ii)前記第1の超崩壊剤が、約3wt.%から約12wt.%までの範囲の量で用いられ;
(A)(iii)前記結合剤が、約0.5wt.%から約7wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(i)前記第2の超崩壊剤が、約3wt.%から約15wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(ii)前記充填剤が、約10wt.%から約40wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(iii)前記滑沢剤が、約0.5wt.%から約2.5wt.%までの範囲の量で用いられ;
ここで、超崩壊剤の全量が、約6wt.%から約20wt.%までの範囲であり;かつ
ここで、前記圧縮錠剤中の各成分の重量パーセントが、前記圧縮錠剤の全重量に基づいている、請求項3に記載の圧縮錠剤。
【請求項5】
(A)(ii)前記第1の超崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、及びそれらの組合せからなる群より選択され;
(A)(iii)前記結合剤が、20℃で、約2から約100センチポワズ(cp)までの範囲の粘度を有し、かつHPMC、HPC、PVP、及びそれらの組合せからなる群より選択され;
(B)(i)前記第2の超崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、及びそれらの組合せからなる群より選択され;
(B)(ii)前記充填剤が、微結晶セルロース、マンニトール、ラクトース、リン酸Ca、及びそれらの組合せからなる群より選択され;かつ
(B)(iii)前記滑沢剤が、ステアリン酸Mg、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の圧縮錠剤。
【請求項6】
(A)(i)ラルテグラビルの前記アルカリ金属塩が、遊離フェノール基準で、約50wt.%から約65wt.%までの範囲の量で用いられるナトリウム又はカリウム塩であり;
(A)(ii)前記第1の超崩壊剤が、約5wt.%から約10wt.%までの範囲の量で用いられ;
(A)(iii)前記結合剤が、約2wt.%から約6wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(i)前記第2の超崩壊剤が、約6wt.%から約12wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(ii)前記充填剤が、約6wt.%から約25wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(iii)前記滑沢剤が、約1wt.%から約2.5wt.%までの範囲の量で用いられ;
ここで、超崩壊剤の全量が、約10wt.%から約18wt.%までの範囲である、請求項5に記載の圧縮錠剤。
【請求項7】
(A)(ii)前記第1の超崩壊剤が、顆粒内クロスカルメロースNaであり;
(A)(iii)前記結合剤が、HPMCであり;
(B)(i)前記第2の超崩壊剤が、顆粒外クロスカルメロースNaであり;
(B)(ii)前記充填剤が、微結晶セルロース又は、微結晶セルロースと第二リン酸Caとの組合せであり;かつ
(B)(iii)前記滑沢剤が、ステアリン酸Mgである、請求項6に記載の圧縮錠剤。
【請求項8】
(A)(i)ラルテグラビルの前記ナトリウム又はカリウム塩が、遊離フェノール基準で、約55wt.%から約60wt.%までの範囲の量で用いられ;
(A)(ii)前記顆粒内クロスカルメロースNaが、約5wt.%から約7wt.%までの範囲の量で用いられ;
(A)(iii)前記HPMCが、約3wt.%から約5wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(i)前記顆粒外クロスカルメロースNaが、約8wt.%から約10wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(ii)前記充填剤が、約16wt.%から約18wt.%までの範囲の量で用いられる微結晶セルロースであり;
(B)(iii)前記ステアリン酸マグネシウムが、約1wt.%から約2wt.%までの範囲の量で用いられ;
ここで、クロスカルメロースナトリウムの全量が、約13wt.%から約17wt.%までの範囲である、請求項7に記載の圧縮錠剤。
【請求項9】
(A)(i)ラルテグラビルの前記ナトリウム又はカリウム塩が、遊離フェノール基準で、約55wt.%から約65wt.%までの範囲の量で用いられ;
(A)(ii)前記顆粒内クロスカルメロースNaが、約5wt.%から約8wt.%までの範囲の量で用いられ;
(A)(iii)前記HPMCが、約3wt.%から約5wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(i)前記顆粒外クロスカルメロースNaが、約8wt.%から約10wt.%までの範囲の量で用いられ;
(B)(ii)前記充填剤が、約7wt.%から約10wt.%までの範囲の量で用いられる、微結晶セルロースと第二リン酸Caとの組合せであり;
(B)(iii)前記ステアリン酸マグネシウムが、約1wt.%から約2wt.%までの範囲の量で用いられ;
ここで、クロスカルメロースナトリウムの全量が、約13wt.%から約17wt.%までの範囲である、請求項7に記載の圧縮錠剤。
【請求項10】
前記錠剤が、ポロキサマー又は還元糖を含まない、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の圧縮錠剤。
【請求項11】
前記錠剤が、ポロキサマー及び還元糖を含まない、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の圧縮錠剤。
【請求項12】
ラルテグラビルの前記アルカリ金属塩が、遊離フェノール基準で、単位用量当たり約200mgから約600mgまでの範囲の量で用いられる、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の圧縮錠剤。
【請求項13】
ラルテグラビルの前記アルカリ金属塩が、ラルテグラビルのカリウム塩である、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の圧縮錠剤。
【請求項14】
以下の組成を有する、請求項7に記載の圧縮錠剤:
【化1】

【請求項15】
以下の組成を有する、請求項14に記載の圧縮錠剤:
【化2】

【請求項16】
以下の組成を有する、請求項7に記載の圧縮錠剤:
【化3】

【請求項17】
以下の組成を有する、請求項16に記載の圧縮錠剤:
【化4】

【請求項18】
ラルテグラビルのカリウム塩が、ラルテグラビルの1型結晶性カリウム塩である、請求項14ないし17のいずれか1項に記載の圧縮錠剤。
【請求項19】
前記圧縮錠剤の崩壊時間が、約15分未満である、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の圧縮錠剤。
【請求項20】
経口投与用の固形の多剤混合薬であって、ラルテグラビルのアルカリ金属の有効量を含有する第1の部分(ここで、前記第1の部分は、請求項1ないし19のいずれか1項に示した圧縮錠剤において用いられる顆粒内構成要素及び顆粒外構成要素を含んでなる);と、別の抗HIV剤の有効量を含んでなる製剤を含んでなる第2の部分とを含んでなり、ただし、前記多剤混合薬が、アタザナビル又はその薬学的に許容される塩を含まない、前記混合薬。
【請求項21】
前記第2の部分における前記抗HIV剤が、HIV付着阻害剤、CCR5阻害剤、CXCR4阻害剤、HIV細胞融合阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIVヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、HIV非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、又はHIVプロテアーゼ阻害剤である、請求項20に記載の多剤混合薬。
【請求項22】
前記混合薬が、二層の圧縮錠剤であり、これにおいて前記第1の部分が、1つの層中にあり、前記第2の部分が、2番目の層中にある、請求項20又は請求項21に記載の多剤混合薬。
【請求項23】
前記混合薬が、前記第1の部分及び前記第2の部分が同じ層中にあるモノリシック圧縮錠剤である、請求項20又は請求項21に記載の多剤混合薬。
【請求項24】
患者においてHIVインテグラーゼを阻害するための方法であって、請求項1ないし19のいずれか1項に記載の圧縮錠剤、又は請求項20ないし23のいずれか1項に記載の多剤混合薬を、かかる阻害を要する前記患者に投与することを含んでなる前記方法。
【請求項25】
患者においてHIV感染症を治療若しくは予防するため、又はAIDSを治療、予防、若しくは発症遅延するための方法であって、請求項1ないし19のいずれか1項に記載の圧縮錠剤、又は請求項20ないし23のいずれか1項に記載の多剤混合薬を、これを要する前記患者に投与することを含んでなる前記方法。
【請求項26】
HIVインテグラーゼの阻害、HIV感染症の治療若しくは予防、又はAIDSの治療、予防、若しくは発症遅延において使用するための、請求項1ないし19のいずれか1項に記載の圧縮錠剤、又は請求項20ないし23のいずれか1項に記載の多剤混合薬。
【請求項27】
HIVインテグラーゼの阻害、HIV感染症の治療若しくは予防、又はAIDSの治療、予防、若しくは発症遅延のための医薬の製造における使用のための、請求項1ないし19のいずれか1項に記載の圧縮錠剤、又は請求項20ないし23のいずれか1項に記載の多剤混合薬。


【図1】
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【公表番号】特表2013−508395(P2013−508395A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535360(P2012−535360)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/053507
【国際公開番号】WO2011/053504
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】