説明

ウェハの表面処理方法及び表面処理液

【課題】ケイ素元素を含むウェハとレジストとの密着性を高めることが可能な表面処理液及び表面処理方法を提供すること。
【解決手段】ウェハ表面にケイ素元素含有ウェハ用表面処理液を接触させて、該ウェハ表面を疎水化する、表面処理工程、前記ウェハ表面から前記処理液を除去する、処理液除去工程、前記ウェハ表面にレジストを成膜する、レジスト成膜工程を含み、表面処理工程において下記一般式[1]で表されるケイ素化合物と、酸と、希釈溶媒とを含むケイ素元素含有ウェハ用表面処理液を用いる。
SiX4−a [1]
[式[1]中、Rは、それぞれ互いに独立して、水素基、又は炭素数が1〜18の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xは、それぞれ互いに独立して、ケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基であり、aは1〜3の整数である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス製造などにおけるレジストとケイ素元素含有ウェハの密着性を改善するケイ素元素含有ウェハの表面処理方法、及び、ケイ素元素含有ウェハ用表面処理液に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップの製造では、レジストを成膜した後、リソグラフィやエッチングなどを経てシリコンウェハ表面に微細なレジストパターンが形成される。さらに、このレジストパターンを型にして、ウェハ表面のエッチングが行われ、ウェハ表面に凹凸パターンが形成される。前記のレジストの成膜において、レジストとウェハ表面の密着性が不十分である場合が多いため、レジストの成膜前にHMDSなどのシランカップリング剤を用いてウェハ表面を疎水化処理することで密着性を改善できることが知られている(例えば、特許文献1)。この処理を行った後、レジストの成膜を行うことで、ウェハとレジストとの密着性が改善し、良好なレジストパターンを形成することが可能である。しかし、パターンが微細化されるにしたがって、ウェハとレジストの接触面積がより小さくなるため、ウェハとレジストとの密着性はより高いものが要求される。この密着性が不足していると、レジストパターンの剥がれや倒れの問題が発生する。さらに、前記パターンの微細化に対応した液浸リソグラフィにおいては、液浸中にレジストが剥がれやすいことが特に問題となっている。ウェハ表面の疎水性をより向上させると、ウェハとレジストとの密着性をより改善できる傾向があるため、これまで種々のシランカップリング剤を用いて、ウェハ表面の疎水性向上が検討されている(例えば、特許文献2、3)。
【0003】
ウェハを疎水化する方法としては、シランカップリング剤を含有する処理液にウェハを浸漬する方法、シランカップリング剤を含有する処理液をウェハ上にスピン処理する方法などの、シランカップリング剤を含有する処理液とウェハを接触させる方法、又は、シランカップリング剤を窒素などのガスでバブリングした気体を、加熱した状態のウェハ表面に吹き付ける方法(ベーパープライム法)などが知られている(例えば、特許文献1)。しかし、シランカップリング剤の処理性能から考えると、短時間での処理が可能なベーパープライム法が一般的である(例えば、特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭47−026043号公報
【特許文献2】特開平09−102458号公報
【特許文献3】特開2007−19465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ケイ素元素を含むウェハ(以降、「ケイ素元素含有ウェハ」または単に「ウェハ」と記載する場合がある)とレジストとの密着性は、ウェハ表面を充分に疎水化することで改善することができる。ウェハ表面の疎水化には、ウェハ表面に存在する水酸基などの反応活性点と、疎水性を持つ化合物とを結合させる必要がある。従来の技術では、ウェハの疎水化は、シランカップリング剤を窒素などのガスでバブリングした気体を、加熱した状態のウェハ表面に吹き付ける方法(ベーパープライム法)によって行われている。これは、シランカップリング剤を含有する処理液とウェハを接触させる方法では、該シランカップリング剤の反応性が低いため、ウェハ表面を充分に疎水化できない、あるいはウェハ表面に充分な疎水性を発現するのに長時間を要する問題があるため、該問題を解決するために、短時間でウェハ表面に充分な疎水性を発現しやすいベーパープライム法を採用する必要があったためである。しかし、該方法ではシランカップリング剤を蒸気化させるために特殊な装置(チャンバー)が必要であり、装置内でバッチごとに処理する必要があるためスループットが悪い問題があった。また、ウェハを加熱する必要があることからエネルギーロスの大きい処理方法であった。本発明は、特殊な装置を必要とせず、エネルギーロスが少なく、スループットが改善された、ケイ素元素を含むウェハ表面を疎水化することにより、該ウェハとレジストとの密着性を高めることが可能な、ケイ素元素含有ウェハの表面処理方法、及び、ケイ素元素含有ウェハ用表面処理液(以降、「表面処理液」、又は単に「処理液」と記載する場合がある)を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ケイ素元素を含むウェハ表面を疎水化することにより、該ウェハとレジストとの密着性を高める前記ウェハの表面処理方法であって、以下に示す工程、
前記ウェハ表面にケイ素元素含有ウェハ用表面処理液を接触させて、該ウェハ表面を疎水化する、表面処理工程、
前記ウェハ表面から前記処理液を除去する、処理液除去工程、
前記ウェハ表面にレジストを成膜する、レジスト成膜工程
を含み、表面処理工程において下記一般式[1]で表されるケイ素化合物と、酸と、希釈溶媒とを含むケイ素元素含有ウェハ用表面処理液を用いることを特徴とする、ケイ素元素含有ウェハの表面処理方法である。
SiX4−a [1]
[式[1]中、Rは、それぞれ互いに独立して、水素基、又は炭素数が1〜18の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xは、それぞれ互いに独立して、ケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基であり、aは1〜3の整数である。]
【0007】
前記表面処理工程は、前記処理液でケイ素元素含有ウェハをスピン処理すること、または、前記処理液中にケイ素元素含有ウェハを浸漬処理することであることが好ましい。
【0008】
また本発明は、上記のケイ素元素含有ウェハの表面処理方法において用いるケイ素元素含有ウェハ用表面処理液であって、下記一般式[1]で表されるケイ素化合物と、酸と、希釈溶媒とを含むことを特徴とする、ケイ素元素含有ウェハ用表面処理液である。
SiX4−a [1]
[式[1]中、Rは、それぞれ互いに独立して、水素基、又は炭素数が1〜18の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xは、それぞれ互いに独立して、ケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基であり、aは1〜3の整数である。]
【0009】
また、前記ケイ素化合物は下記一般式[2]で表されるケイ素化合物であることが好ましい。
SiX [2]
[式[2]中、R、Xはそれぞれ一般式[1]と同様である。]
【0010】
また、前記ケイ素化合物は下記一般式[3]で表されるケイ素化合物であることが好ましい。
(CHSiX [3]
[式[3]中、Rは炭素数が4〜18の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xは一般式[1]と同様である。]
【0011】
また、前記一般式[3]のRの炭素数は6〜18であることが好ましい。
【0012】
前記ケイ素元素含有ウェハ用表面処理液に含まれる酸は、有機酸であることが好ましい。
【0013】
また、前記ケイ素元素含有ウェハ用表面処理液の総量100質量%に対して、前記ケイ素化合物は0.1〜50質量%含有されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のケイ素元素含有ウェハの表面処理方法、及び、ケイ素元素含有ウェハ用表面処理液を用いることで、特殊な装置を用いることなく、ケイ素元素を含むウェハ表面に疎水性を付与することができ、その結果、従来に比べ、前記ウェハ表面の疎水化のための表面処理に伴うエネルギーロスを低減することができるとともに、該処理のスループットを改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。本発明の処理液を用いて表面処理するケイ素元素を含むウェハは、シリコンウェハや、シリコンウェハ上に、熱酸化法やCVD法、スパッタ法などにより酸化ケイ素膜が形成されたもの、CVD法やスパッタ法などにより窒化ケイ素膜やポリシリコン膜が形成されたもの、及び、前記の窒化ケイ素膜やポリシリコン膜やシリコンウェハ表面が自然酸化したものも含まれる。また、シリコンおよび/または酸化ケイ素を含む複数の成分から構成されたウェハ、シリコンカーバイドウェハ、及びウェハ上にケイ素元素を含む各種膜が形成されたものも、ウェハとして用いることができる。さらには、サファイアウェハ、各種化合物半導体ウェハ、プラスチックウェハなどケイ素元素を含まないウェハ上に、ケイ素元素を含む各種膜が形成されたものであっても良い。なお、前記処理液はケイ素元素を含むウェハ表面、ウェハ上に形成されたケイ素元素を含む膜表面、及び前記ウェハや前記膜から形成されたケイ素元素を含むパターンが形成されたウェハなどを疎水化することができる。なお、本発明のケイ素元素含有ウェハの表面処理方法を施す前に、ケイ素元素含有ウェハ表面を予め洗浄してもよい。前記洗浄に用いる洗浄液としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒の混合液、及び、それらに酸または塩基が溶解されたもの等が挙げられる。前記洗浄として、ケイ素元素含有ウェハを洗浄液中に浸漬してもよいし、ケイ素元素含有ウェハをほぼ水平に保持して回転させながら回転中心付近に前記洗浄液を供給してウェハを1枚ずつ洗浄処理するスピン処理を行ってもよい。また、前記洗浄液を加熱した状態で用いてもよい。
【0016】
本発明は、ケイ素元素を含むウェハ表面を疎水化することにより、該ウェハとレジストとの密着性を高める前記ウェハの表面処理方法であって、以下に示す工程、
前記ウェハ表面にケイ素元素含有ウェハ用表面処理液を接触させて、該ウェハ表面を疎水化する、表面処理工程、
前記ウェハ表面から前記処理液を除去する、処理液除去工程、
前記ウェハ表面にレジストを成膜する、レジスト成膜工程
を含み、表面処理工程において前記一般式[1]で表されるケイ素化合物と、酸と、希釈溶媒とを含むケイ素元素含有ウェハ用表面処理液を用いることを特徴とする、ケイ素元素含有ウェハの表面処理方法である。
【0017】
前記表面処理工程では、前記ウェハ表面にケイ素元素含有ウェハ用表面処理液を接触させて、ウェハ表面を疎水化する。ウェハ表面にケイ素元素含有ウェハ用表面処理液を接触させる方法は限定されないが、前記処理液でケイ素元素含有ウェハをスピン処理すること、または、前記処理液中にケイ素元素含有ウェハを浸漬処理することが好ましい。
【0018】
前記スピン処理は、例えば、ウェハをほぼ水平に保持して回転させながら回転中心付近に液体を供給してウェハを1枚ずつ処理する方法である。また、前記浸漬処理は、例えば、一度に複数枚のウェハをケイ素元素含有ウェハ用表面処理液の浸漬槽に浸漬して処理する方法である。本発明のケイ素元素含有ウェハ用表面処理液は、液体とウェハを接触させる表面処理方法であっても、短時間でウェハ表面に充分な疎水性を付与することが可能であるため、上記のようなスピン処理や浸漬処理にも適用することができる。なお、本発明のケイ素元素含有ウェハ用表面処理液を用いて前記スピン処理を行うと、表面処理工程からレジスト成膜工程まで連続して行えることから、生産工程の簡素化に繋がると考えられる。
【0019】
なお、本発明のケイ素元素含有ウェハ用表面処理液を用いた表面処理方法でウェハ表面に付与された疎水性は、必ずしも連続的に付与されていなくてもよく、また、必ずしも均一に付与されていなくてもよいが、レジストとの密着性をより高めるため、連続的に、また、均一に付与されていることがより好ましい。
【0020】
表面処理工程では、処理液の温度を高くすると、より短時間でウェハ表面を疎水化しやすくなる。しかし、処理液の温度を高くしすぎると、前記表面処理液の沸騰や蒸発などにより該処理液の安定性が損なわれる恐れがあるため、前記処理液は10〜160℃で保持されることが好ましく、特には15〜120℃が好ましい。
【0021】
処理液除去工程では、疎水化されたウェハ表面からケイ素元素含有ウェハ用表面処理液を除去する。除去する方法は、前記ウェハ表面から処理液を乾燥させて除去する方法でも良いし、前記ウェハ表面の処理液を該処理液とは異なる溶媒や水で置換した後、前記ウェハ表面から該溶媒や水を乾燥させて除去する方法でも良い。前記乾燥には、スピン乾燥法、IPA(2−プロパノール)蒸気乾燥、マランゴニ乾燥、加熱乾燥、温風乾燥、真空乾燥などの周知の乾燥方法適用することができる。また、前記ウェハ表面の処理液を前記溶媒や水で置換した後、該溶媒や水を次工程のレジスト成膜工程で用いる硬化前のレジストに置換することにより、表面処理工程、処理液除去工程、及びレジスト成膜工程を連続的に行っても良い。この場合、表面処理工程をスピン処理によって行い、その後の処理液除去工程、及びレジスト成膜工程も同様のスピン処理によって行うと、前記のように、表面処理工程からレジスト成膜工程までを連続的に行うことができるため、スループットの改善が期待できる。
【0022】
処理液除去工程後、疎水化されたウェハ表面にレジストを成膜するレジスト成膜工程を行う。レジストの成膜方法については特に限定されず、既知の方法を用いることが可能である。例えば、ウェハをほぼ水平に保持して回転させながら回転中心付近に硬化前のレジストを供給して、1枚ずつ、ウェハ表面にレジストを成膜する、スピン成膜処理などがより好適に用いられる。
【0023】
半導体チップの製造では、レジストを成膜した後、以下のような操作を経てウェハ表面にパターンが形成される。すなわち、レジスト成膜工程を行った後、レジストにパターンが形成され、その後ウェハ表面にパターンが形成される。パターンが形成されるのであればその方法は特に限定されないが、一般的な方法としては、レジスト成膜工程でウェハ表面にレジストを塗布した後、レジストマスクを介してレジストに露光し、露光されたレジスト、または、露光されなかったレジストをエッチング除去することによって所望のパターンを有するレジストを作製する。また、レジストにパターンを有するモールドを押し当てることでも、パターンを有するレジストを得ることができる。続いて、ウェハをエッチングする。このとき、レジストパターンの凹の部分が選択的にエッチングされる。最後に、レジストを剥離すると、パターンを有するシリコンウェハが得られる。
【0024】
また本発明は、上記のケイ素元素含有ウェハの表面処理方法において用いるケイ素元素含有ウェハ用表面処理液であって、前記一般式[1]で表されるケイ素化合物と、酸と、希釈溶媒とを含むことを特徴とする、ケイ素元素含有ウェハ用表面処理液である。
【0025】
前記一般式[1]で表されるケイ素化合物のRで表される炭化水素基は疎水性基であり、処理した後のウェハ表面を良好な疎水性の表面にする。該疎水性基によって、単位面積あたりの水酸基数量が多い酸化ケイ素などの表面はもちろん、単位面積あたりの水酸基数量が少ない窒化ケイ素などの表面に対しても、疎水性を発現させることができる。また、その反応性部位であるXで表される基は、ウェハ表面に存在する水酸基と反応し、該ウェハ表面のケイ素元素との間にシロキサン結合を形成するための官能基である。前記のようなケイ素化合物と、酸と、希釈溶媒とを含むウェハ用表面処理液を用いることで、処理液とウェハを接触させる方法であっても、短時間で前記ケイ素化合物と、ウェハ表面の水酸基とを化学的に反応せしめることが可能であり、ウェハ表面に疎水性を付与することが可能である。
【0026】
一般式[1]で示されるケイ素化合物としては、例えば、(CHSiNH、C(CHSiNH、C(CHSiNH、C(CHSiNH、C11(CHSiNH、C13(CHSiNH、C15(CHSiNH、C17(CHSiNH、C19(CHSiNH、C1021(CHSiNH、C1123(CHSiNH、C1225(CHSiNH、C1327(CHSiNH、C1429(CHSiNH、C1531(CHSiNH、C1633(CHSiNH、C1735(CHSiNH、C1837(CHSiNH、CF(CHSiNH、C(CHSiNH、C(CHSiNH、C(CHSiNH、C11(CHSiNH、C13(CHSiNH、C15(CHSiNH、C17(CHSiNH、[(CHSi]NH、[C(CHSi]NH、[C(CHSi]NH、[C(CHSi]NH、[C11(CHSi]NH、[C13(CHSi]NH、[C15(CHSi]NH、[C17(CHSi]NH、[C19(CHSi]NH、[C1021(CHSi]NH、[C1123(CHSi]NH、[C1225(CHSi]NH、[C1327(CHSi]NH、[C1429(CHSi]NH、[C1531(CHSi]NH、[C1633(CHSi]NH、[C1735(CHSi]NH、[C1837(CHSi]NH、[CF(CHSi]NH、[C(CHSi]NH、[C(CHSi]NH、[C(CHSi]NH、[C11(CHSi]NH、[C13(CHSi]NH、[C15(CHSi]NH、[C17(CHSi]NH、[CH(CSi]NH、[(CSi]NH、[C(CSi]NH、[C(CSi]NH、[C11(CSi]NH、[C13(CSi]NH、[C15(CSi]NH、[C17(CSi]NH、[C19(CSi]NH、[C1021(CSi]NH、[C1123(CSi]NH、[C1225(CSi]NH、[C1327(CSi]NH、[C1429(CSi]NH、[C1531(CSi]NH、[C1633(CSi]NH、[C1735(CSi]NH、[C1837(CSi]NH、[(CHSi]N、[C(CHSi]N、[C(CHSi]N、[C(CHSi]N、[C11(CHSi]N、[C13(CHSi]N、[C15(CHSi]N、[C17(CHSi]N、[C19(CHSi]N、[C1021(CHSi]N、[C1123(CHSi]N、[C1225(CHSi]N、[C1327(CHSi]N、[C1429(CHSi]N、[C1531(CHSi]N、[C1633(CHSi]N、[C1735(CHSi]N、[C1837(CHSi]N、[CF(CHSi]N、[C(CHSi]N、[C(CHSi]N、[C(CHSi]N、[C11(CHSi]N、[C13(CHSi]N、[C15(CHSi]N、[C17(CHSi]N、(CHSiN(CH、C(CHSiN(CH、C(CHSiN(CH、C(CHSiN(CH、C11(CHSiN(CH、C13(CHSiN(CH、C
15(CHSiN(CH、C17(CHSiN(CH、C19(CHSiN(CH、C1021(CHSiN(CH、C1123(CHSiN(CH、C1225(CHSiN(CH、C1327(CHSiN(CH、C1429(CHSiN(CH、C1531(CHSiN(CH、C1633(CHSiN(CH、C1735(CHSiN(CH、C1837(CHSiN(CH、(CHHSiN(CH、C(CH)HSiN(CH、C(CH)HSiN(CH、C(CH)HSiN(CH、C11(CH)HSiN(CH、C13(CH)HSiN(CH、C15(CH)HSiN(CH、C17(CH)HSiN(CH、C19(CH)HSiN(CH、C1021(CH)HSiN(CH、C1123(CH)HSiN(CH、C1225(CH)HSiN(CH、C1327(CH)HSiN(CH、C1429(CH)HSiN(CH、C1531(CH)HSiN(CH、C1633(CH)HSiN(CH、C1735(CH)HSiN(CH、C1837(CH)HSiN(CH、CF(CHSiN(CH、C(CHSiN(CH、C(CHSiN(CH、C(CHSiN(CH、C11(CHSiN(CH、C13(CHSiN(CH、C15(CHSiN(CH、C17(CHSiN(CH、(CSiN(CH、C(CSiN(CH、C(CSiN(CH、C11(CSiN(CH、C13(CSiN(CH、C15(CSiN(CH、C17(CSiN(CH、C19(CSiN(CH、C1021(CSiN(CH、C1123(CSiN(CH、C1225(CSiN(CH、C1327(CSiN(CH、C1429(CSiN(CH、C1531(CSiN(CH、C1633(CSiN(CH、C1735(CSiN(CH、C1837(CSiN(CH、(CSiN(CH、C11(CSiN(CH、C13(CSiN(CH、C15(CSiN(CH、C17(CSiN(CH、C19(CSiN(CH、C1021(CSiN(CH、C1123(CSiN(CH、C1225(CSiN(CH、C1327(CSiN(CH、C1429(CSiN(CH、C1531(CSiN(CH、C1633(CSiN(CH、C1735(CSiN(CH、C1837(CSiN(CH、(CHSi[N(CH、C(CH)Si[N(CH、C(CH)Si[N(CH、C(CH)Si[N(CH、C11(CH)Si[N(CH、C13(CH)Si[N(CH、C15(CH)Si[N(CH、C17(CH)Si[N(CH、C19(CH)Si[N(CH、C1021(CH)Si[N(CH、C1123(CH)Si[N(CH、C1225(CH)Si[N(CH、C1327(CH)Si[N(CH、C1429(CH)Si[N(CH、C1531(CH)Si[N(CH、C1633(CH)Si[N(CH、C1735(CH)Si[N(CH、C1837(CH)Si[N(CH、CF(CH)Si[N(CH、C(CH)Si[N(CH
、C(CH)Si[N(CH、C(CH)Si[N(CH、C11(CH)Si[N(CH、C13(CH)Si[N(CH、C15(CH)Si[N(CH、C17(CH)Si[N(CH、CHSi[N(CH、CSi[N(CH、CSi[N(CH、CSi[N(CH、C11Si[N(CH、C13Si[N(CH、C15Si[N(CH、C17Si[N(CH、C19Si[N(CH、C1021Si[N(CH、C1123Si[N(CH、C1225Si[N(CH、C1327Si[N(CH、C1429Si[N(CH、C1531Si[N(CH、C1633Si[N(CH、C1735Si[N(CH、C1837Si[N(CH、CFSi[N(CH、CSi[N(CH、CSi[N(CH、CSi[N(CH、C11Si[N(CH、C13Si[N(CH、C15Si[N(CH、C17Si[N(CH、(CHSiN(C、C(CHSiN(C、C(CHSiN(C、C(CHSiN(C、C11(CHSiN(C、C13(CHSiN(C、C15(CHSiN(C、C17(CHSiN(C、C19(CHSiN(C、C1021(CHSiN(C、C1123(CHSiN(C、C1225(CHSiN(C、C1327(CHSiN(C、C1429(CHSiN(C、C1531(CHSiN(C、C1633(CHSiN(C、C1735(CHSiN(C、C1837(CHSiN(C、CF(CHSiN(C、C(CHSiN(C、C(CHSiN(C、C(CHSiN(C、C11(CHSiN(C、C13(CHSiN(C、C15(CHSiN(C、C17(CHSiN(C、(CSiN(C、C(CSiN(C、C(CSiN(C、C11(CSiN(C、C13(CSiN(C、C15(CSiN(C、C17(CSiN(C、C19(CSiN(C、C1021(CSiN(C、C1123(CSiN(C、C1225(CSiN(C、C1327(CSiN(C、C1429(CSiN(C、C1531(CSiN(C、C1633(CSiN(C、C1735(CSiN(C、C1837(CSiN(C、(CSiN(C、C11(CSiN(C、C13(CSiN(C、C15(CSiN(C、C17(CSiN(C、C19(CSiN(C、C1021(CSiN(C、C1123(CSiN(C、C1225(CSiN(C、C13
27(CSiN(C、C1429(CSiN(C、C1531(CSiN(C、C1633(CSiN(C、C1735(CSiN(C、C1837(CSiN(Cなどのアミノシラン系化合物やシラザン系化合物が挙げられる。
【0027】
また、例えば、(CHSiNCO、C(CHSiNCO、C(CHSiNCO、C(CHSiNCO、C11(CHSiNCO、C13(CHSiNCO、C15(CHSiNCO、C17(CHSiNCO、C19(CHSiNCO、C1021(CHSiNCO、C1123(CHSiNCO、C1225(CHSiNCO、C1327(CHSiNCO、C1429(CHSiNCO、C1531(CHSiNCO、C1633(CHSiNCO、C1735(CHSiNCO、C1837(CHSiNCO、CF(CHSiNCO、C(CHSiNCO、C(CHSiNCO、C(CHSiNCO、C11(CHSiNCO、C13(CHSiNCO、C15(CHSiNCO、C17(CHSiNCO、(CSiNCO、C(CSiNCO、C(CSiNCO、C11(CSiNCO、C13(CSiNCO、C15(CSiNCO、C17(CSiNCO、C19(CSiNCO、C1021(CSiNCO、C1123(CSiNCO、C1225(CSiNCO、C1327(CSiNCO、C1429(CSiNCO、C1531(CSiNCO、C1633(CSiNCO、C1735(CSiNCO、C1837(CSiNCO、(CSiNCO、C11(CSiNCO、C13(CSiNCO、C15(CSiNCO、C17(CSiNCO、C19(CSiNCO、C1021(CSiNCO、C1123(CSiNCO、C1225(CSiNCO、C1327(CSiNCO、C1429(CSiNCO、C1531(CSiNCO、C1633(CSiNCO、C1735(CSiNCO、C1837(CSiNCO、(CHSi(NCO)、C(CH)Si(NCO)、C(CH)Si(NCO)、C(CH)Si(NCO)、C11(CH)Si(NCO)、C13(CH)Si(NCO)、C15(CH)Si(NCO)、C17(CH)Si(NCO)、C19(CH)Si(NCO)、C1021(CH)Si(NCO)、C1123(CH)Si(NCO)、C1225(CH)Si(NCO)、C1327(CH)Si(NCO)、C1429(CH)Si(NCO)、C1531(CH)Si(NCO)、C1633(CH)Si(NCO)、C1735(CH)Si(NCO)、C1837(CH)Si(NCO)、CF(CH)Si(NCO)、C(CH)Si(NCO)、C(CH)Si(NCO)、C(CH)Si(NCO)、C11(CH)Si(NCO)、C13(CH)Si(NCO)、C15(CH)Si(NCO)、C17(CH)Si(NCO)、CHSi(NCO)、CSi(NCO)、CSi(NCO)、CSi(NCO)、C11Si(NCO)、C13Si(NCO)、C15Si(NCO)、C17Si(NCO)、C19Si(NCO)、C1021Si(NCO)、C1123Si(NCO)、C1225Si(NCO)、C1327Si(NCO)、C1429Si(NCO)、C1531Si(NCO)、C1633Si(NCO)、C1735Si(NCO)、C1837Si(NCO)、CFSi(NCO)、CSi(NCO)、CSi(NCO)、CSi(NCO)、C11Si(NCO)、C13Si(NCO)、C15Si(NCO)、C17Si(NCO)などのイソシアネートシラン系化合物が挙げられる。
【0028】
これらのケイ素化合物のうち、炭化水素基の水素原子がハロゲン原子で置換される場合、疎水化性能を考慮すると置換するハロゲン原子としてはフッ素原子であることが好ましい。
【0029】
また、一般式[1]のXで表される、ケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基は、炭素、水素、ホウ素、窒素、リン、酸素、硫黄、ケイ素、ゲルマニウム、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などの元素から構成される官能基であれば良く、例えば、−NHSi(CH基、−NHSi(CH基、−NHSi(CH17基、−N(CH基、−N(C基、−N(C基、−N(CH)(C)基、−NH(C)基、−NCO基、イミダゾール基、アセトアミド基などが挙げられる。
【0030】
また、一般式[1]のaは1〜3の整数であればよいが、aが1又は2である場合、前記処理液を長期保存すると、水分の混入などにより、ケイ素化合物の重合が発生し、該処理液中に不溶物が析出したり、該処理液の疎水性付与効果が低下したりする恐れがあるため、保存可能期間が短くなる可能性がある。そのため、処理液のポットライフを考慮すると、一般式[1]のaが3のもの(すなわち、前記一般式[2]で表されるケイ素化合物)が好ましい。
【0031】
また、一般式[1]で表されるケイ素化合物のうち、Rが、炭素数が4〜18の無置換もしくは水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基1個とメチル基2個からなるもの(すなわち、前記一般式[3]で表されるケイ素化合物)は、ウェハ表面の水酸基との反応速度が速いので好ましい。これは、ウェハ表面の水酸基と前記ケイ素化合物との反応において、疎水性基による立体障害が反応速度に大きな影響を与えるためであり、ケイ素元素に結合するアルキル鎖は最も長い一つを除く残り二つは短い方が好ましいからである。上記のような構造のケイ素化合物を用いることにより、ウェハ表面に優れた疎水性を付与できる傾向があり、単位面積あたりの水酸基数量が少ない、例えば、窒化ケイ素などの表面に対しても、優れた疎水性を付与できるので好ましい。
【0032】
さらに、前記一般式[3]のRの炭素数が6〜18であるとウェハ表面への疎水性付与効果が大きいためより好ましい。前記のような処理液を用いると、表面に反応活性点である水酸基が少ない、例えば、窒化ケイ素などの表面に対しても、より優れた疎水性を付与しやすくなるため好ましい。
【0033】
上記のケイ素化合物は、本発明の処理液の総量100質量%に対して、0.1〜50質量%含有されることが好ましく、より好適には前記処理液の総量100質量%に対して0.3〜20質量%である。ケイ素化合物が0.1質量%未満では、希釈溶媒中に微量に含まれる水分などと反応して失活し易いため、疎水化処理する能力が乏しく、ウェハ表面を充分に疎水化することができない場合がある。一方、50質量%より多い場合、ウェハ表面に不純物として残留する懸念があること、またコスト的な観点から見ても好ましくない。
【0034】
また、本発明の処理液には、前記一般式[1]で表されるケイ素化合物が2種以上含有されても良いし、前記一般式[1]で表されるケイ素化合物と前記一般式[1]で表されるケイ素化合物以外のケイ素化合物が含有されても良い。
【0035】
また、本発明の処理液には酸が含有されている。該酸が存在することにより、前記ケイ素化合物と、ウェハ表面の水酸基との反応が促進される。このような酸として、トリフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、無水ペンタフルオロプロピオン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、無水トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸、塩化水素などの水を含まない酸が挙げられる。特に、前記反応の促進効果を考慮すると、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、硫酸、塩化水素などの酸が好ましく、当該の酸は水分を含んでいないことが好ましい。特に、触媒効果や有機溶媒への溶解性を考慮すると、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸無水物などの有機酸が好ましく、当該の酸は水分を含んでいないことが好ましい。
【0036】
酸の添加量は、前記ケイ素化合物の総量100質量%に対して、0.01〜100質量%が好ましい。添加量が少なくなると触媒効果が低下するので好ましくない。また、過剰に添加しても触媒効果は向上せず、ケイ素化合物よりも多くすると、逆に触媒効果が低下する場合もある。さらに、不純物としてウェハ表面に残留する懸念もある。このため、前記酸の添加量は、前記ケイ素化合物の総量100質量%に対して、0.01〜100質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜50質量%である。
【0037】
また、本発明の処理液には希釈溶媒が含有されている。前記希釈溶媒は、前記ケイ素化合物と酸とを溶解するものであれば良く、例えば、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、含ハロゲン溶媒、スルホキシド系溶媒、ラクトン系溶媒、カーボネート系溶媒、アルコール類、多価アルコールの誘導体、窒素元素含有溶媒などの有機溶媒が好適に使用される。水を希釈溶媒として用いた場合、水により処理液中のケイ素化合物の反応性部位(前記一般式[1]のX)が加水分解してシラノール基(Si−OH)が生成する可能性がある。該反応性部位は、このシラノール基とも反応するために、ケイ素化合物同士が結合して2量体が生成する可能性がある。この2量体は、ウェハ表面の水酸基との反応性が低いため、ウェハ表面を疎水化するのに要する時間が長くなる恐れがあることから、水を希釈溶媒として使用することは好ましくない。
【0038】
さらに、前記ケイ素化合物は、プロトン性溶媒と反応しやすいため、前記有機溶媒として、非プロトン性溶媒を用いると、短時間で疎水性を発現しやすくなるので特に好ましい。なお、非プロトン性溶媒は、非プロトン性極性溶媒と非プロトン性非極性溶媒の両方のことである。このような非プロトン性溶媒としては、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、含ハロゲン溶媒、スルホキシド系溶媒、ラクトン系溶媒、カーボネート系溶媒、水酸基を持たない多価アルコールの誘導体、N−H結合を持たない窒素元素含有溶媒が挙げられる。前記炭化水素類の例としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどがあり、前記エステル類の例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセト酢酸エチルなどがあり、前記エーテル類の例としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどがあり、前記ケトン類の例としては、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノンなどがあり、前記含ハロゲン溶媒の例としては、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロシクロペンタン、パーフルオロシクロヘキサン、ヘキサフルオロベンゼンなどのパーフルオロカーボン、1、1、1、3、3−ペンタフルオロブタン、オクタフルオロシクロペンタン、2,3−ジハイドロデカフルオロペンタン、ゼオローラH(日本ゼオン株式会社製)などのハイドロフルオロカーボン、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、アサヒクリンAE−3000(旭硝子株式会社製)、Novec7100、Nove7200、Novec7300、Novec7600(いずれも3M製)などのハイドロフルオロエーテル、テトラクロロメタンなどのクロロカーボン、クロロホルムなどのハイドロクロロカーボン、ジクロロジフルオロメタンなどのクロロフルオロカーボン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンなどのハイドロクロロフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルなどがあり、前記スルホキシド系溶媒の例としては、ジメチルスルホキシドなどがあり、前記ラクトン系溶媒の例としては、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-ヘキサノラクトン、γ-ヘプタノラクトン、γ-オクタノラクトン、γ-ノナノラクトン、γ-デカノラクトン、γ-ウンデカノラクトン、γ-ドデカノラクトン、δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、δ-オクタノラクトン、δ-ノナノラクトン、δ-デカノラクトン、δ-ウンデカノラクトン、δ-ドデカノラクトン、ε-ヘキサノラクトンなどがあり、前記カーボネート系溶媒の例としては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートなどがあり、前記水酸基を持たない多価アルコール誘導体の例としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールジアセテート、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラプロピレングリコールジアセテート、ブチレングリコールジメチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチレングリコールジアセテート、グリセリントリアセテートなどがあり、N−H結合を持たない窒素元素含有溶媒の例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチルアミン、ピリジンなどがある。
【0039】
また、前記希釈溶媒の一部、又は、全てに不燃性のものを使うと、処理液が不燃性になる、あるいは、引火点が高くなって、該処理液の危険性が低下するので好ましい。含ハロゲン溶媒は不燃性のものが多く、不燃性含ハロゲン溶媒は不燃性希釈溶媒として好適に使用できる。また、「化学品の分類および表示に関する国際的調和システム;GHS」によると、引火点が93℃以下の溶媒を「引火性液体」として定義している。そのため、不燃性溶媒でなくとも、前記希釈溶媒として引火点が93℃を超える溶媒を用いると、前記処理液の引火点は93℃以上になりやすく、該処理液が「引火性液体」に該当し難くなるため、安全性の観点から好ましい。
【0040】
また、ラクトン系溶媒や、カーボネート系溶媒や、多価アルコールの誘導体は、引火点が高いものが多いので、これを溶媒に用いると、処理液の危険性を低くできるので好ましい。上記の安全性の観点から、具体的には引火点が93℃を超える、γ-ブチロラクトン、γ-ヘキサノラクトン、γ-ヘプタノラクトン、γ-オクタノラクトン、γ-ノナノラクトン、γ-デカノラクトン、γ-ウンデカノラクトン、γ-ドデカノラクトン、δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、δ-オクタノラクトン、δ-ノナノラクトン、δ-デカノラクトン、δ-ウンデカノラクトン、δ-ドデカノラクトン、ε-ヘキサノラクトン、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールイソモノブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールジアセテート、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラプロピレングリコールジアセテート、ブチレングリコールジメチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチレングリコールジアセテート、グリセリントリアセテート等を前記溶媒として用いることがより好ましい。
【0041】
また、希釈溶媒には、微量の水分であれば存在してもよい。ただし、この水分が溶媒に大量に含まれると、ケイ素化合物は該水分によって加水分解して反応性が低下することがある。このため、溶媒中の水分量は低くすることが好ましく、該水分量は、前記ケイ素化合物と混合したときに、該ケイ素化合物に対して、モル比で1モル倍未満とすることが好ましく、0.5モル倍未満にすることが特に好ましい。
【実施例】
【0042】
ウェハ表面の疎水性の程度と、レジストとウェハの密着性についてはこれまでに種々検討されてきており、ウェハ表面の疎水性が高いほど密着性が良くなることが分かっている。そこで、本発明の処理液を用いてケイ素元素を含むウェハ表面を処理し、処理後のウェハ表面の水に対する接触角を測定することにより、処理後のウェハ表面の疎水性を評価した。なお、実施例及び比較例において、ケイ素元素を含むウェハとして、平滑な酸化ケイ素膜付きシリコンウェハ;表面に厚さ1μmの熱酸化膜層を有するシリコンウェハ(以降、単に「酸化ケイ素膜付きシリコンウェハ」と記載する場合がある)、LP−CVDで作製した窒化ケイ素膜付きシリコンウェハ;表面に厚さ50nmの窒化ケイ素層を有するシリコンウェハ(以降、単に「窒化ケイ素膜付きシリコンウェハ」と記載する場合がある)を用いた。
【0043】
[接触角の評価方法]
ウェハ表面上に純水約2μlを置き、水滴とウェハ表面とのなす角を接触角計(協和界面科学製:CA−X型)で測定し接触角とした。
【0044】
[実施例1]
(1)表面処理液の調製
ケイ素化合物としてヘキサメチルジシラザン〔(CHSiNHSi(CH〕;3g、酸としてトリフルオロ酢酸無水物〔(CFCO)O〕;0.3g、希釈溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA);96.7gを混合し、約5分間撹拌して、表面処理液の総量に対するケイ素化合物の濃度(以降「ケイ素化合物濃度」と記載する)が3質量%の表面処理液を得た。
【0045】
(2)ウェハの洗浄
酸化ケイ素膜付きシリコンウェハを室温で1質量%のフッ酸水溶液に2分間浸漬し、次いで室温で純水に1分間浸漬し、室温で2−プロパノールに1分間浸漬した。また、窒化ケイ素膜付きシリコンウェハを室温で1質量%のフッ酸水溶液に2分間浸漬し、次いで室温で純水に1分間浸漬し、室温で28質量%アンモニア水:30質量%過酸化水素水:水を1:1:5の体積比で混合し、ホットプレートで液温を70℃とした洗浄液に1分間浸漬し、室温で純水に1分間浸漬し、室温で2−プロパノールに1分間浸漬した。
【0046】
(3)ウェハ表面への表面処理液による表面処理
「(2)ウェハの洗浄」後の、酸化ケイ素膜付きシリコンウェハ、及び窒化ケイ素膜付きシリコンウェハを、それぞれ、上記「(1)表面処理液の調製」で調製した表面処理液に20℃で1分間浸漬させた。その後、ウェハを室温で2−プロパノールに1分間浸漬し、次いで、室温で純水に1分間浸漬した。最後に、ウェハを純水から取出し、エアーを吹き付けて、表面の純水を除去した。
【0047】
得られた各ウェハを上記「接触角の評価方法」に記載した要領で評価したところ、表1に示すとおり、酸化ケイ素膜付きシリコンウェハでは、表面処理前の初期接触角が10°未満であったものが、表面処理後の接触角は88°となり、優れた疎水性を示した。また、窒化ケイ素膜付きシリコンウェハでは、表面処理前の初期接触角が10°未満であったものが、表面処理後の接触角は58°となり、疎水性を示した。
【0048】
【表1】

【0049】
[実施例2〜3]
実施例1で用いたケイ素化合物と酸を適宜変更して、ウェハの表面処理を行い、さらにその評価を行った。結果を表1に示す。なお、(CHSiN(CHはトリメチルシリルジメチルアミン、〔CF(CH(CHSi〕NHはビストリフルオロプロピルジメチルシラザン、CFCOOHはトリフルオロ酢酸を示す。
【0050】
[実施例4]
ケイ素化合物としてブチルジメチルシリルジメチルアミン〔C(CHSiN(CH〕;1g、酸としてトリフルオロ酢酸〔CFCOOH〕;0.1g、希釈溶媒としてPGMEA;98.9gを混合し、約5分間撹拌して、表面処理液を調製した。さらに、各ウェハの表面処理液への浸漬時間を10分間とした。それ以外は、すべて実施例1と同じである。酸化ケイ素膜付きシリコンウェハの評価結果は表1に示すとおり、表面処理後の接触角は87°となり、優れた疎水性を示した。また、窒化ケイ素膜付きシリコンウェハの評価結果は表1に示すとおり、表面処理後の接触角は71°となり、優れた疎水性を示した。
【0051】
[実施例5〜25]
実施例4で用いたケイ素化合物、ケイ素化合物濃度、酸、酸濃度、希釈溶媒、各ウェハの表面処理液への浸漬時間、及び、各ウェハの表面処理液への浸漬温度を適宜変更して、ウェハの表面処理を行い、さらにその評価を行った。結果を表1に示す。なお、表1中で、C17(CHSiN(CHはオクチルジメチルシリルジメチルアミンを意味し、Novec7100/PGMEAはハイドロフルオロエーテル(3M製Novec7100)とPGMEAをNovec7100:PGMEA=90:8.9の質量比で混合した溶媒を意味し、CTFP/PGMEAは1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(CTFP)とPGMEAをCTFP:PGMEA=90:8.9の質量比で混合した溶媒を意味し、DCTFP/PGMEAはcis−1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(DCTFP)とPGMEAをDCTFP:PGMEA=90:8.9の質量比で混合した溶媒を意味する。
【0052】
[実施例26]
(1)表面処理液の調製
実施例6と同様の表面処理液を作製した。
【0053】
(2)ウェハの洗浄
実施例1と同様の操作で酸化ケイ素膜付きシリコンウェハ、及び窒化ケイ素膜付きシリコンウェハを洗浄した。
【0054】
(3)ウェハ表面への表面処理液による表面処理
「(2)ウェハの洗浄」後のウェハを、ほぼ水平に保持して回転させるウェハ保持回転機構であるスピンチャックに保持させ、該スピンチャックを約100rpmの回転速度で回転させながら、上記「(1)表面処理液の調製」で調製した処理液を20℃で60秒間供給しスピン処理した。その後、同様に回転させたウェハに、室温で2−プロパノールを1分間供給し、次いで、室温で純水を1分間供給した。最後に、そのまま該ウェハを約100rpmの回転速度で回転させて、ウェハ表面から純水を除去した。
【0055】
得られた各ウェハを上記「接触角の評価方法」に記載した要領で評価したところ、表1に示すとおり、酸化ケイ素膜付きシリコンウェハでは、表面処理前の初期接触角が10°未満であったものが、表面処理後の接触角は101°となり、優れた疎水性を示した。また、窒化ケイ素膜付きシリコンウェハでは、表面処理前の初期接触角が10°未満であったものが、表面処理後の接触角は85°となり、優れた疎水性を示した。なお、前記のようなスピン処理で表面処理工程を行うと、次工程の処理液除去工程、さらには、その後のレジスト成膜工程を連続して行うことが出来るため、生産工程の簡素化に繋がり、ひいては、スループットの改善に寄与する。
【0056】
[実施例27]
ケイ素化合物としてオクチルシリルトリスジメチルアミン〔C17Si〔N(CH〕;1g、酸としてトリフルオロ酢酸無水物〔(CFCO)O〕;0.1g、希釈溶媒としてPGMEA;98.9gを混合し、約5分間撹拌して、表面処理液を調製した。それ以外は、すべて実施例1と同じである。酸化ケイ素膜付きシリコンウェハの評価結果は表1に示すとおり、表面処理後の接触角は93°となり、優れた疎水性を示した。また、窒化ケイ素膜付きシリコンウェハの評価結果は表1に示すとおり、表面処理後の接触角は87°となり、優れた疎水性を示した。しかし、前記処理液を大気中で30分間放置したところ、該処理液中に白色固体が沈殿物として析出した。これは、処理液中に大気中の水分が混入することにより、ケイ素化合物の重合が進んだために不溶物が発生したものと考えられる。なお、本実施例以外の実施例においては上記のような固体の析出は起こらなかった。
【0057】
[比較例1]
ケイ素化合物として、ヘキサメチルジシラザン〔(CHSiNHSi(CH〕;3g、希釈溶媒としてハイドロフルオロエーテル(3M製Novec7100);97gを混合し、約5分間撹拌して、表面処理液を調製した。500mLビーカーに該表面処理液を入れて、200℃設定のホットプレート上に置き、沸騰させた。実施例1の「(2)ウェハの洗浄」と同様に洗浄を行った酸化ケイ素膜付きシリコンウェハ、及び窒化ケイ素膜付きシリコンウェハを、一度乾燥させた後、沸騰により蒸気化された表面処理液の蒸気に5分間曝すことで、ベーパープライム法を簡易的に再現し、ウェハを表面処理した。蒸気の正確な温度は分からないが、Novec7100の沸点である61℃は超えているものと考えられる。酸化ケイ素膜付きシリコンウェハの評価結果は表1に示すとおり、表面処理後の接触角は81°となり、優れた疎水性を示したものの、処理液とウェハを接触させる表面処理方法に比べ、エネルギーロスが大きかった。一方、窒化ケイ素膜付きシリコンウェハの評価結果は表1に示すとおり、表面処理後の接触角は46°となり、疎水性が充分では無かった。
【0058】
[比較例2]
ケイ素化合物として、ヘキサメチルジシラザン〔(CHSiNHSi(CH〕;10g、希釈溶媒としてPGMEA;90gを混合し、約5分間撹拌して、表面処理液を調製した。さらに、各ウェハの表面処理液への浸漬時間を60分間とした。それ以外は、すべて実施例1と同じである。酸化ケイ素膜付きシリコンウェハの評価結果は表1に示すとおり、表面処理後の接触角は63°となり、疎水性を示したものの、処理液とウェハを接触させる表面処理方法では、疎水性を発現させるために長時間を要し、スループットが悪かった。また、窒化ケイ素膜付きシリコンウェハの評価結果は表1に示すとおり、表面処理後の接触角は36°となり、疎水性は充分では無かった。
【0059】
上述のように、酸と希釈溶媒と前記一般式[1]で表されるケイ素化合物を含む処理液を用いる実施例1〜27では、処理液とウェハを接触させる表面処理方法によって、ウェハ表面に疎水性を付与することができた。さらに、酸と希釈溶媒と前記一般式[2]で表されるケイ素化合物を含む処理液を用いる実施例1〜26では、ウェハ表面に疎水性を付与できるとともに、処理液を大気中で放置しても、該処理液中に不溶物が析出することがなかった。さらに、酸と希釈溶媒と前記一般式[3]で表されるケイ素化合物を含む処理液を用いる実施例4〜26では、ウェハ表面により優れた疎水性を付与することができた。さらに、酸と希釈溶媒と前記一般式[3]のRの炭素数が6〜18であるケイ素化合物を含む処理液を用いる実施例6〜26では、ウェハ表面に特に優れた疎水性を付与することができた。
【0060】
また、上記実施例でウェハを表面処理した方法は、比較例1で簡易的に再現した従来のベーパープライム法に比べ、ウェハ表面の疎水化のための表面処理に伴うエネルギーロスが少なかった。また、例えば実施例26でウェハを表面処理したスピン処理は、本発明の表面処理工程、処理液除去工程、レジスト成膜工程を連続的に行うことができるため、従来のベーパープライム法に比べ、スループットが良好であった。
【0061】
さらに、比較例1では、単位面積あたりの水酸基数量が多い酸化ケイ素膜付きシリコンウェハに対しては優れた疎水性を付与できたものの、単位面積あたりの水酸基数量が少ない窒化ケイ素膜付きシリコンウェハに対しては十分な疎水性を付与することができなかったのに対し、上記実施例では、酸化ケイ素膜付きシリコンウェハ、及び、窒化ケイ素膜付きシリコンウェハのいずれに対しても疎水性を付与することができた。
【0062】
処理液中に酸を含有しない比較例2では、単位面積あたりの水酸基数量が多い酸化ケイ素膜付きシリコンウェハに対しては疎水性を付与できたものの、疎水性を発現させるために長時間を要し、スループットが悪かった。また、単位面積あたりの水酸基数量が少ない窒化ケイ素膜付きシリコンウェハに対しては十分な疎水性を付与することができなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素元素を含むウェハ表面を疎水化することにより、該ウェハとレジストとの密着性を高める前記ウェハの表面処理方法であって、以下に示す工程、
前記ウェハ表面にケイ素元素含有ウェハ用表面処理液を接触させて、該ウェハ表面を疎水化する、表面処理工程、
前記ウェハ表面から前記処理液を除去する、処理液除去工程、
前記ウェハ表面にレジストを成膜する、レジスト成膜工程
を含み、表面処理工程において下記一般式[1]で表されるケイ素化合物と、酸と、希釈溶媒とを含むケイ素元素含有ウェハ用表面処理液を用いることを特徴とする、ケイ素元素含有ウェハの表面処理方法。
SiX4−a [1]
[式[1]中、Rは、それぞれ互いに独立して、水素基、又は炭素数が1〜18の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xは、それぞれ互いに独立して、ケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基であり、aは1〜3の整数である。]
【請求項2】
前記表面処理工程が、前記処理液でケイ素元素含有ウェハをスピン処理すること、または、前記処理液中にケイ素元素含有ウェハを浸漬処理することであることを特徴とする、請求項1に記載のケイ素元素含有ウェハの表面処理方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のケイ素元素含有ウェハの表面処理方法において用いるケイ素元素含有ウェハ用表面処理液であって、下記一般式[1]で表されるケイ素化合物と、酸と、希釈溶媒とを含むことを特徴とする、ケイ素元素含有ウェハ用表面処理液。
SiX4−a [1]
[式[1]中、Rは、それぞれ互いに独立して、水素基、又は炭素数が1〜18の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xは、それぞれ互いに独立して、ケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基であり、aは1〜3の整数である。]
【請求項4】
前記ケイ素化合物が下記一般式[2]で表されるケイ素化合物であることを特徴とする、請求項3に記載のケイ素元素含有ウェハ用表面処理液。
SiX [2]
[式[2]中、R、Xはそれぞれ一般式[1]と同様である。]
【請求項5】
前記ケイ素化合物が下記一般式[3]で表されるケイ素化合物であることを特徴とする、請求項3又は請求項4に記載のケイ素元素含有ウェハ用表面処理液。
(CHSiX [3]
[式[3]中、Rは炭素数が4〜18の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xは一般式[1]と同様である。]
【請求項6】
前記一般式[3]のRの炭素数が6〜18であることを特徴とする、請求項5に記載のケイ素元素含有ウェハ用表面処理液。
【請求項7】
前記ケイ素元素含有ウェハ用表面処理液に含まれる酸が、有機酸であることを特徴とする、請求項3乃至請求項6のいずれかに記載のケイ素元素含有ウェハ用表面処理液。
【請求項8】
前記ケイ素元素含有ウェハ用表面処理液の総量100質量%に対して、前記ケイ素化合物が0.1〜50質量%含有されることを特徴とする、請求項3乃至請求項7のいずれかに記載のケイ素元素含有ウェハ用表面処理液。