ウォームギヤ機構の評価試験装置
【課題】試験効率が良く、ひいてはウォームギヤ機構の開発を短期間で且つ低コストで実現することができるウォームギヤ機構の評価試験装置を提供する。
【解決手段】評価試験装置100は、ウォームの歯面の一部に相当する第1歯面1を傾斜状に有する円盤状の第1試験片2と、ウォームホイールの歯溝内で相対向する一対の歯面の一方に相当する第2歯面3を有する第2試験片4とを用いる。ロードセル24が第2試験片4の回転を拘束する。電動モータ7によって、第1試験片2を第1回転軸線C1の回りに回転駆動し、第1歯面1を第2歯面3に対して摺動させる。第1試験片2に種々の速度、負荷を与える条件で、例えば300回転した時点での温度を測定し評価する。
【解決手段】評価試験装置100は、ウォームの歯面の一部に相当する第1歯面1を傾斜状に有する円盤状の第1試験片2と、ウォームホイールの歯溝内で相対向する一対の歯面の一方に相当する第2歯面3を有する第2試験片4とを用いる。ロードセル24が第2試験片4の回転を拘束する。電動モータ7によって、第1試験片2を第1回転軸線C1の回りに回転駆動し、第1歯面1を第2歯面3に対して摺動させる。第1試験片2に種々の速度、負荷を与える条件で、例えば300回転した時点での温度を測定し評価する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォームギヤ機構の評価試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電動パワーステアリング装置の高出力化に伴い、減速機構が大型化しており、電動パワーステアリング装置を車両へレイアウトすることが非常に厳しくなってきている。また、減速機構として通例用いられているウォームギヤ機構のウォームホイールのギヤ部として樹脂を用いた場合、強度を満足するためにウォームホイールが大型になる傾向にある。また、高強度に耐え得る樹脂は高価であり、製造コストが高くなる。そこで、金属ギヤを用いることが考えられている。
【0003】
通例、歯車機構の性能試験は、例えば特許文献1や特許文献2のように、実際の歯車機構そのものを用いて実施している。電動パワーステアリング装置のウォームギヤ機構の耐久評価試験においても、実機のウォームギヤ機構そのものを用い、据え切り状態の負荷を与える促進試験として実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−52427号公報
【特許文献2】特開2006−242962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウォームホイールは多数の歯面を持つため、前記の耐久評価試験において、ウォームホイールの1つの歯面に負荷がかかるのは、(歯数/条数)回に1度である。このため、多大な試験時間を要している。具体的には、試験時間としては、通例、40日程度という長時間を要している。
このため、効率が悪く、開発期間が長くなり、開発コストが高くなるという問題があった。特に金属製のウォームホイールの場合、評価に際して、NC加工機を用いて特殊な歯面を有するウォームホイールを、その都度製作しなければならず、多大なコストを要していた。
【0006】
本発明の目的は、試験効率が良く、ひいてはウォームギヤ機構の開発を短期間で且つ低コストで実現することが可能となるウォームギヤ機構の試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ウォーム(51)の歯面(511)に相当する第1歯面(1;1A)を有する第1試験片(2;2A)と、ウォームホイール(52)の歯面(521,522)に相当する第2歯面(3;3A,3B)を有する第2試験片(4;4A,4B)と、前記第1歯面および前記第2歯面を押圧接触させるように、第1試験片および第2試験片を、それぞれ、支持する第1支持機構(5;5A)および第2支持機構(6;6A)と、前記第1歯面および前記第2歯面を相対摺動させるように、両試験片の何れか一方を他方に対して回転させる駆動機構(7;7A)と、を備え、前記第2試験片の第2歯面は、多くとも2つ設けられているウォームギヤ機構の評価試験装置を提供する。
【0008】
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
請求項2のように、前記第2歯面は単一で設けられ、前記単一で設けられる第2歯面(3)の歯面形状は、前記ウォームホイールの単一の歯溝内で相対向する一対の歯面の何れか一方の歯面形状に等しくされ、前記第1試験片は、回転軸線(C1)としての中心軸線を有し、前記駆動機構によって前記回転軸線の回りに回転駆動される円盤状をなし、前記第1歯面は、前記第1試験片の一側面(8)に傾斜状に設けられていてもよい。
【0009】
請求項3のように、前記第1試験片の回転方向(R1)に一様に連続していてもよい。 請求項4のように、前記第1歯面は、前記第1試験片の一側面を前記回転方向に分割した複数の領域(A1〜A6)毎に設けられており、前記複数の領域の第1歯面が、前記第1試験片の回転に伴って順次に前記第2歯面に接触してもよい。
請求項5のように、前記第1支持機構は、前記第1試験片を前記第1試験片の回転軸線方向に移動可能に支持する支持部(12)と、前記第1試験片の他側面(9)に設けられた受圧面(10a)を押圧しつつ前記受圧面に転がり接触して前記第1試験片を前記回転軸線の方向に支持する複数の転動体(15)と、を含み、前記第1試験片の他側面の受圧面は、前記第1試験片の一側面の、前記回転軸線の方向に関する起伏の周方向変化の位相とは逆位相の起伏を有していてもよい。
【0010】
請求項6のように、前記第2歯面は一対で設けられ、前記一対で設けられる第2歯面(3A,3B)の歯面形状は、前記ウォームホイールの単一の歯溝内で相対向する一対の歯面の歯面形状に等しくされ、前記第1試験片は、回転軸線としての回転対称軸線(C11)を有し、前記駆動機構によって前記回転対称軸線の回りに回転駆動される回転対称体(26)を含み、前記第1歯面は、前記回転対称体の回転方向に一様に連続していてもよい。
【0011】
請求項7のように、前記第1試験片としての回転対称体は、球面形成体(26)であり、前記第1歯面は、球面の一部であってもよい。
請求項8のように、前記第1歯面の曲率半径(P1)が、前記第2歯面の曲率半径(P2A,P2B,P3A,P3B)よりも小さくされていてもよい。
請求項9のように、前記第2の試験片の回転軸線(C21)が、前記第1の試験片の回転軸線としての回転対称軸線(C11)に対して傾斜していてもよい。
【0012】
請求項10のように、前記第2支持機構は、前記第1試験片の回転軸線としての第1回転軸線(C1;C11)に対して傾斜するか又は平行である第2回転軸線(C2;C21)の回りに回転可能に支持した支持体(20;20A)と、前記第2回転軸線の回りの、第2試験片の回転を抑制するように前記支持体を押圧するロードセル(24;24A)と、を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、ウォームホイールの歯面に相当する、第2試験片の多くとも2つの第2歯面に対して、ウォームの歯面に相当する、第1試験片の第1歯面を摺動接触させて、試験を行うので、試験時間を、従来と比較して格段に短くする(例えば数10秒〜数分とする)ことができる。したがって、試験効率が良く、ひいては歯車機構の開発を短期間で且つ低コストで実現することが可能となる
請求項2の発明によれば、第2試験片の単一の第2歯面に対して、回転駆動される円盤状の第1試験片としての一側面に設けられた第1歯面を摺動させて、効率良く試験を行うことができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、第1試験片の第1歯面が円盤の回転方向に一様に連続しているので、第1歯面の加工が容易である。したがって、試験に要するコストを低減することができる。
請求項4の発明によれば、円盤状の第1試験片の第1歯面が、第1試験片の一側面を回転方向に分割した複数の領域毎に設けられており、各領域の第1歯面が、第1試験片の回転に伴って順次に第2試験片の第2歯面に接触するので、実機に近似した試験条件を実現することができる。したがって、試験による評価の精度が向上する。
【0015】
請求項5の発明によれば、請求項4のように回転する円盤状の第1試験片の一側面の領域毎に設けられた複数の第1歯面が、順次に第2歯面に係合するときに、第1試験片の一側面の、回転軸線の方向に関する起伏の量だけ、第1試験片が、回転軸線の方向に往復動する。一方、第1試験片の他側面の受圧面が、第1試験片の一側面の、回転軸線の方向に関する起伏の周方向変化の位相とは逆位相の起伏を有しており、その受圧面を複数の転動体が転がり接触しつつ受けるので、第1試験片にガタつきや振動が生ずることを抑制することができる。したがって、安定した試験条件で試験を実施できるので、試験による評価の精度がより向上する。
【0016】
請求項6の発明によれば、第1試験片に含まれる回転対称体に、一様に連続する第1歯面を設け、この第1歯面を第2試験片の一対の第2歯面に対して摺動させるので、効率良く試験を行うことができる。一対の第2歯面の歯面形状が、ウォームホイールの単一の歯溝内で相対向する一対の歯面の歯面形状に等しくされているので、実際のウォームホイールにより則した精度の良い試験が行える。
【0017】
請求項7の発明によれば、第1試験片に含まれる回転対称体が球面形成体であり、第1歯面が球面の一部であるので、第1試験片の加工が容易であり、したがって、試験に要するコストを低減することができる。また、両歯面の線接触状態を実現したり、或いは回転方向に細長い接触楕円をもった実質的な点接触状態を実現したりして、実際の接触状態に近似した接触状態を実現することが可能となる。したがって、試験による評価の精度がより向上する。
【0018】
請求項8の発明によれば、第1歯面の曲率半径が第2歯面の曲率半径よりも小さくされているので、両歯面がエッジ当たりすることを抑制することができる。また、両歯面の接触部を例えば楕円状として、実際のウォームギヤ機構の歯面の接触状態に近づけることができる。したがって、試験による評価の精度がより向上する。
請求項9の発明によれば、第2試験片の第2回転軸線が、第1試験片の第1回転軸線((回転対称軸線)に対して傾斜しているので、接触線に対して滑り方向が交差する、実際のウォームギヤ機構の歯面の接触状態に近づけることができる。したがって、試験による評価の精度がより向上する。
【0019】
請求項10の発明によれば、第2試験片を支持する支持体をロードセルが押圧することにより、第2回転軸線の回りの、第2支持体の回転を抑制する。ロードセルによって測定された荷重を用いて、第2試験片に働く負荷トルクを容易に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の歯車の評価試験装置の一部破断側面図である。
【図2】ウォームおよびウォームホイールを含むウォームギヤ機構の概略斜視図である。
【図3】(a)はウォームの歯面に相当する第1歯面を有する第1試験片の正面図であり、(b)は第1試験片の側面図である。
【図4】ウォームに相当する第1試験片と第1試験片を軸方向に受けるローラとの関係を示す概略図である。
【図5】ウォームホイールの歯面に相当する第2歯面を有する第2試験片を支持する第2支持機構の概略側面図である。
【図6】本発明の別の実施形態の歯車の評価試験装置の断面図である。
【図7】図6の評価試験装置の模式的平面図である。
【図8】図6の実施形態において、ウォームホイールの歯面に相当する一対の第2歯面を有する第2試験片を支持する第2支持機構の概略側面図である。
【図9】図6の実施の形態において、第1試験片の第1回転軸線および第2試験片の第2回転軸線を含む面で切断された第1試験片および第2試験片の断面図である。
【図10】図6の実施形態において、第2試験片の第2回転軸線とは直交する面で切断された第1試験片および第2試験片の断面図であり、第1歯面と第2歯面の接触状態を示している。
【図11】第2試験片の第2歯面を第2回転軸線の方向に見た矢視図と第1回転軸線の方向に見た矢視図を説明する模式図である。
【図12】図6の実施形態の歯車の評価試験装置を用いて実施した評価試験の結果を示すグラフ図であり、負荷と温度との関係を示している。
【図13】図6の実施形態の歯車の評価試験装置を用いて実施した評価試験の結果を示すグラフ図であり、負荷と回転トルク(抵抗トルク)との関係を示している。
【図14】図6の実施形態の歯車の評価試験装置を用いて実施した評価試験の結果を示すグラフ図であり、回転速度と温度との関係を示している。
【図15】図6の実施形態の歯車の評価試験装置を用いて実施した評価試験の結果を示すグラフ図であり、回転速度と温度との関係を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下には、図面を参照して、本発明の実施形態を具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るウォームギヤ機構の評価試験装置の一部破断側面図である。図2はウォームギヤ機構の斜視図である。
図2に示すように、ウォームギヤ機構50は、互いに噛み合うウォーム51とウォームホイール52とによって構成されている。ウォーム51は渦巻き状に連続する歯面511を有している。ウォームホイール52の外周には、複数の歯溝53が周方向に等間隔で形成されている。ウォームホイール52は、各歯溝53において相対向する一対の歯面521,522を有している。
【0022】
図1を参照して、ウォームギヤ機構の評価試験装置100は、ウォーム51の歯面511の一部に相当する第1歯面1を有する第1試験片2と、ウォームホイール52の歯面521,522の何れか一方に相当する第2歯面3を有する第2試験片4と、第1歯面1および第2歯面3を押圧接触させるように、第1試験片2および第2試験片4を、それぞれ、支持する第1支持機構5および第2支持機構6と、第1試験片2を回転駆動する駆動機構としての電動モータ7とを備えている。
【0023】
第1試験片2の第1歯面1の歯面形状は、ウォーム51の歯面511の一部の歯面形状と同じである。第2試験片4の第2歯面3の歯面形状は、ウォームホイール52の単一の歯溝53内で相対向する一対の歯面521,522の歯面形状と同じである。
第1試験片2は、第1回転軸線C1としての中心軸線を有する円盤状をなしている。第1試験片2は、第1支持機構5によって支持された状態で第1回転軸線C1の回りに回転駆動される。第2支持機構6が、第2試験片4を、第1回転軸線C1とは平行な第2回転軸線C2の回りに回転可能に支持する要素(後述する第1支持体20、支軸21、軸受22,23)と、回転可能に支持された第2試験片4の回転を拘束する要素(後述するロードセル24)とを備えている。したがって、第2試験片4は、第2回転軸線C2回りに回転しない。
【0024】
第1試験片2は、軸方向X1に対向する一側面8および他側面8を有している。図3(a)に示すように、第1試験片2の一側面8には、第1回転軸線C1を中心とし、軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に対して傾斜する環状領域Aが設けられている。一側面8の環状領域Aは、第1試験片2の回転方向R1に並ぶ複数の領域A1〜A6に分割されており、各領域A1〜A6毎に、第1歯面1が設けられている。
【0025】
したがって、第1試験片2の回転に伴って、各領域A1〜A6の第1歯面1が、順次に第2試験片4の第2歯面3に接触するようになっている。第1歯面1がそれぞれ形成される各領域A1〜A6は、渦巻き状をなして斜め放射状に径方向外方へ延びる形状(巴状)の領域である。例えば第1試験片2の領域A5の第1歯面1が、第2試験片4の第2歯面3に接触するときには、回転方向R1の下流側の接触線CLで接触する状態から、回転方向R1の上流側の接触線CLで接触する状態へ(移行方向Z1へ)と順次に移行する。
【0026】
図1および図3(b)に示すように、第1試験片2の他側面9には、第1回転軸線C1を中心とする環状凹部10が設けられている。環状凹部10の底面が、後述するローラを受ける受圧面10aを構成している。また、図3(a)および(b)に示すように、第1試験片2には、第1回転軸線C1を中心とする被支持孔11が、両側面8,9を貫くように形成されている。
【0027】
図1に示すように、第1支持機構5は、第1試験片2の被支持孔11に挿通され、第1試験片2を一体回転可能に且つ軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に相対移動可能に支持する支持部としての回転軸12と、回転軸12の一対の端部121,122をそれぞれ回転可能に支持する一対の軸受13,14とを備えている。
軸受13,14としては、例えば針状ころ軸受が用いられる。各軸受13,14はそれぞれ固定部Bによって直接または間接的に支持されている。駆動機構としての電動モータ7は、回転軸12を回転駆動することにより、第1試験片2を第1回転軸線C1の回りに回転させる。
【0028】
また、第1支持機構5は、第1試験片2の他側面9の環状凹部10の底からなる受圧面10aを押圧しつつ受圧面10aに転がり接触して、第1試験片2を軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に支持する複数の転動体としての複数(例えば3つの)ローラ15を備えている。複数のローラ15は、固定部Bに固定された第1支持体16によって回転可能に支持されている。第1支持体16は、前記の軸受14を介して回転軸12の対応する端部122を回転可能に支持している。
【0029】
各ローラ15の支軸17の中心軸線K1は、第1試験片2の他側面9と平行である。図4に示すように、各ローラ15は、第1試験片2の回転方向R1に関して等間隔に配置されており、各ローラ15の支軸17の中心軸線K1は、第1試験片2の第1回転軸線C1と直交する方向に延びている。各ローラ15の支軸17の両端は、第1支持体16に保持された例えば玉軸受等の転がりからなる軸受18によって回転可能に支持されている。
【0030】
第1試験片2の他側面9に設けられた受圧面10aは、一側面8の環状領域Aの軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に関する起伏の周方向変化の位相とは逆位相の起伏を有している。したがって、下記の利点がある。
すなわち、環状領域Aを回転方向Rに分割した複数の領域A1〜A6毎に設けられた第1歯面1が、順次に第2試験片4の第2歯面3に係合するときに、第1試験片2が軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に往復動する。その往復動のストローク分を、ローラ15が押圧状態で転がり接触する受圧面10aに設けられた前記逆位相の起伏によって吸収することができる。これにより、第1試験片2にガタつきや振動が生ずることを抑制することができる。
【0031】
図1および図5に示すように、第2試験片4を支持する第2支持機構6は、第2試験片4を取り外し可能に取り付ける取付部19を有する第2支持体20と、第2支持体20と一体回転可能な支軸21の両端を回転可能に支持する例えば玉軸受等の転がり軸受からなる一対の軸受22,23と、固定部Bによって保持され、支軸21の中心軸線である第2回転軸線C2回りの第2支持体20の回転を抑制するように、第2支持体20の端面201(所定部)を押圧するロードセル24とを備えている。
【0032】
本実施形態では、第2支持体20の所定部としての端面201は、第2回転軸線C2と平行な面である。第2支持体20には、第2回転軸線C2を中心とするモーメント力(トルク)が負荷されており、ロードセル24は、抗力を第2支持体20の端面201に及ぼすことにより、前記モーメント力(トルク)に抗して第2支持体20の回転を拘束する抵抗トルクを発生させている。したがって、ロードセル24が受ける荷重F(測定荷重に相当)と、第2回転軸線C2を中心とする前記モーメント力(トルク)の腕の長さLとの積を算出することにより、第2試験片4が第1試験片2から受けている負荷トルクを求めることができる。
【0033】
本実施形態によれば、ウォームホイール52の歯面521または522に相当する、第2試験片4の単一の第2歯面3に対して、ウォーム51の歯面511の一部に相当する、第1試験片2の第1歯面1を摺動接触させて、試験を行うので、試験時間を、従来と比較して格段に短くする(例えば数10秒〜数分とする)ことができる。したがって、試験効率が良く、ひいては、歯車機構としてのウォームギヤ機構50の開発を短期間で且つ低コストで実現することが可能となる
特に、第2試験片4の単一の第2歯面3に対して、回転駆動される円盤状の第1試験片2の一側面8に設けられた第1歯面1を摺動させることにより、効率良く試験を行うことができる。また、第1試験片2の第1歯面1が、円盤状の第1試験片2の一側面8を回転方向R1に分割した複数の領域A1〜A6毎に設けられて、第1試験片2の回転に伴って順次に、第2試験片4の第2歯面3に接触するので、実機に近似した試験条件を実現することができる。したがって、試験による評価の精度が向上する。
【0034】
特に、第1試験片2の第1歯面1が、第1試験片2の第1回転軸線C1に対して傾斜状に設けられているので、接触線CLに対して滑り方向が交差する、実際のウォームギヤ機構50のウォームホイール52の歯面521または522の接触状態により近づけることができる。したがって、試験による評価の精度がより向上する。
また、円盤状の第1試験片2の一側面8の環状領域Aが回転方向R1に分割された複数の領域A1〜A6のそれぞれに、第1歯面1を設けており、各領域A1〜A6の第1歯面1が、順次に、第2試験片4の第2歯面3に係合するときに、第1試験片2の一側面8の環状領域Aが軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に関する起伏の量だけ、第1試験片2が軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に往復動する。
【0035】
一方、円盤状の第1試験片2の他側面10の受圧面10aが、一側面8の環状領域Aの軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に関する起伏の周方向変化の位相とは逆位相の起伏を有しており、受圧面10aを複数のローラ15が転がり接触しつつ受ける。したがって、第1試験片2にガタつきや振動が生ずることを抑制することができる。したがって、安定した試験条件で試験を実施できるので、試験による評価の精度がより向上する。
【0036】
また、第2支持機構6が、第2試験片4を支持し、第2回転軸線C2の回りに回転可能に支持された第2支持体20の端面201(所定部)に、ロードセル24を押し当てて、第2回転軸線C2回りの第2支持体20の回転を抑制するようにしている。したがって、ロードセル24によって測定された荷重を用いて、第2試験片4に働く負荷トルクを容易に求めることができる。試験条件を精度良く設定することが可能となる。
【0037】
次いで、図6は、本発明の別の実施形態に係るウォームギヤ機構の評価試験装置101の断面図であり、図7は評価試験装置101の模式的平面図である。図6に示すように、ウォームギヤ機構の評価試験装置101は、ウォーム51の歯面511の一部に相当する第1歯面1Aを有する第1試験片2Aと、ウォームホイール52の歯溝53内で相対向する一対の歯面521,522にそれぞれ相当する第2歯面3A,3Bをそれぞれ有する第2試験片4A,4Bと、第1歯面1Aと第2歯面3A,3Bを押圧接触させるように、第1試験片2Aおよび第2試験片4Aを、それぞれ、支持する第1支持機構5Aおよび第2支持機構6Aと、第1試験片2Aを回転駆動する駆動機構としての電動モータ7Aとを備えている。
【0038】
第1試験片2Aは、第1回転軸線としての回転対称軸線C11を有し、駆動機構としての電動モータ7Aによって回転対称軸線C11の回りに回転駆動される回転対称体である。具体的には、第1試験片2Aは、回転対称軸線C11の方向に延びる中空の軸部25と、軸部25の一端に単一の材料で一体に設けられた回転対称体としての球面形成体26とを備えている。
【0039】
第1歯面1Aは球面形成体26に設けられ、第1歯面1Aの歯面形状は、球面の一部である。第1歯面1Aは、第1試験片2Aの球面形成体26(回転対称体)の回転方向に一様に連続していることになる。また、第1試験片2Aの第1回転軸線(回転対称軸線C11)を含む両試験片2A;4A,4Bの断面において、両歯面1A;3A,3Bの接触部の法線H1が、回転対称軸線C11に対して傾斜している。
【0040】
第1支持機構5Aは、軸部25の中心孔25aに挿入され、一体回転可能に連結された回転軸12Aと、回転軸12Aを軸方向X1(回転対称軸線C1の方向)に回転可能に且つ軸方向に移動不能に支持する軸受27とを備えている。駆動機構としての電動モータ7Aが、回転軸12Aを介して第1試験片2Aを回転対称軸線C11の回りに回転駆動する。
【0041】
図8に示すように、各第2試験片4A,4Bは、直方体形状のブロックにより構成されている。図6に示すように、各第2試験片4A,4Bは、保持ブロック28に設けられた対応する保持溝29a,29bにそれぞれ固定されている。
第2支持機構6Aは、両試験片4A,4Bを保持した保持ブロック28を第1回転軸線としての回転対称軸線C11に対して傾斜した第2回転軸線C21の回りに支持する第2支持体20Aと、第2支持体20Aを軸体30を介して第1回転軸線としての回転対称軸線C11と同一軸線上の第3回転軸線C3の回りに回転可能に且つ軸方向X1(第3回転軸線C3の方向)に移動可能に支持する軸受31と、軸体30を介して第2支持体20Aを軸方向X1(第3回転軸線C3の方向)に押圧する弾性部材40と、軸体30と一体回転するように軸体30に設けられた径方向突起41に当接することにより、第3回転軸線C3回りの第2支持体20Aの回転による力を検出するロードセル24Aとを備えている。
【0042】
図6に示すように、第2支持体20Aは、互いの間に保持ブロック28の保持空間を区画する第1分割体32および第2分割体33と、分割体32,33同士を相対回転不能に且つ軸方向相対移動不能に連結する連結具34とを備えている。
第1分割体32は、保持ブロック28の一側面281に隙間を設けて対向する対向部35を有している。第2分割体33は、保持ブロック28の他側面282に隙間を設けて対向する対向部36および保持ブロック28の底面283を受ける受け面37を有している。
【0043】
弾性部材40によって第2支持体20Aに与えられる軸方向X1(第3回転軸線C3の方向)の力が、第2試験片4A,4Bを保持した保持ブロック28の底面283と第2支持体20Aの第1分割体32の受け面37との間に摩擦抵抗を発生させる。これにより生起される摩擦抵抗トルクによって、第2支持体20Aを介して第2試験片4A,4Bの回転が拘束されている。前記摩擦抵抗トルクに相当する力がロードセル24Aによって測定可能である。
【0044】
図8に示すように、第2試験片4A,4Bの歯面形状は、ウォームホイール52の単一の歯溝53内で相対向する一対の歯面521,522の歯面形状とそれぞれ同じである。各第2試験片4A,4Bは、各第2試験片4A,4Bをそれぞれを貫通して保持ブロック28にねじ込まれた固定ねじ38によって、保持ブロック28に固定されている。
図9は、第1試験片2Aの回転対称軸線C11(第1回転軸線)および第2試験片4A,4Bの第2回転軸線C21を含む、第1試験片2および第2試験片4A,4Bの断面を示している。図9に示すように、第2回転軸線C21は第1回転軸線としての回転対称軸線C11に対して傾斜している。
【0045】
また、第2歯面3Aの曲率中心Q3Aを中心とする、第2歯面3Aの曲率半径P3Aと、第2歯面3Bの曲率中心Q3Bを中心とする、第2歯面3Bの曲率半径P3Bとは、互いに等しい(P3A=P3B)。球面形成体26に設けられる第1歯面1Aの曲率半径P1が、第2歯面3A,3Bの曲率半径P3A,P3Bよりも小さくされている(P1<P3A=P3B)。
【0046】
図10は、第2回転軸線C21と直交する面で両試験片2A,4A(4B)を切断した断面図である。図10に示すように、第1歯面1Aの曲率半径P1が、第2歯面3A(3B)の曲率半径P2A,P2Bよりも小さくされている(P1<P2A=P2B)。
図11は、第2試験片4A,4Bの断面図の下方に、第2試験片4A,4Bの第2歯面3A,3Bを第2回転軸線C21の方向から見た模式図(真ん中の図)と、第2歯面3A,3Bを回転対称軸線C11の方向から見た模式図(下側の図)とを示している。
【0047】
第2回転軸線C21の方向から見た模式図(真ん中の図)に示すように、第2歯面3A,3Bに、それぞれ設けられる、第2回転軸線C21を中心とする円弧状の接触線CLA,CLBで両歯面1A;3A,3Bが接する(線接触)する。
また、回転対称軸線C11(第1回転軸線)の方向から見た模式部(下側の図)に示すように、各第2歯面3A,3Bの接触線CLA,CLBにおける滑り速度は、回転対称軸線C11から対応する接触線CLA,CLBまでの距離DA,DBに比例する。距離DBが距離DAよりも大きいので、接触線CLBにおける滑り速度が、接触線CLAにおける滑り速度よりも大きくなる。
【0048】
本実施形態によれば、ウォームホイール52の単一の歯溝53内で相対向する一対の歯面521,522に相当する第2歯面3A,3Bに対して、ウォーム51の歯面511に相当する、第1試験片2Aの第1歯面1Aを摺動接触させて、試験を行うので、試験時間を、従来と比較して格段に短くする(例えば数分とする)ことができる。したがって、試験効率が良く、ひいては歯車機構の開発を短期間で且つ低コストで実現することが可能となる。
【0049】
また、第1試験片2Aに含まれる回転対称体(球面形成体26)に、一様に連続する第1歯面1Aを設け、この第1歯面1Aを第2試験片4A,4Bの一対の第2歯面3A,3Bに対して摺動させるので、効率良く試験を行うことができる。一対の第2歯面3A,3Bの歯面形状が、ウォームホイール52の単一の歯溝53内で相対向する一対の歯面521,522の歯面形状に等しくされているので、実際のウォームホイール52に、より則した精度の良い試験が行える。
【0050】
また、第1試験片2Aに含まれる回転対称体が球面形成体26であり、第1歯面1Aが球面の一部であるので、第1試験片2Aの加工が容易であり、したがって、試験に要するコストを低減することができる。また、第1試験片2Aにより第2歯面3A,3Bに対して線接触状態を実現したり、或いは回転方向に細長い接触楕円をもった実質的な点接触状態を実現したりして、実際の接触状態に近似した接触状態を実現することが可能となる。したがって、試験による評価の精度がより向上する。
【0051】
また、図9に示すように、第2試験片4A,4Bの第2回転軸線C21が、第1試験片2Aの回転対称軸線C11(第1回転軸線)に対して傾斜しているので、接触線に対して滑り方向が交差する、実際のウォームギヤ機構50のウォームホイール52の歯面521,522の接触状態に近づけることができる。したがって、試験による評価の精度がより向上する。また、図11に示すように、第2歯面3Aで滑り速度と第2歯面3Bでの滑り速度とを異ならせることができるので、この点からも、実際のウォームギヤ機構50のウォームホイール52の各歯面521,522の接触状態に近づけることができる。
【0052】
また、図9に示すように、回転対称軸線C11(第1回転軸線)および第2回転軸線C21の双方を含む面で切断された両試験片2A;4A,4Bの断面において、第1歯面1Aの曲率半径P1が、第2歯面3A,3Bの曲率半径P3A,P3Bよりも小さくされている(P1<P3A=P3B)。また、図10に示すように、第2回転軸線C21と直交する面で両試験片2A,4A(4B)を切断した断面において、第1歯面1Aの曲率半径P1が第2歯面3A(3B)の曲率半径P2よりも小さくされている(P1<P2)。
【0053】
したがって、第1歯面1Aと各第2歯面3A,3Bとがエッジ当たりすることを抑制することができる。また、第1歯面1Aと各第2歯面3A,3Bとの接触部を例えば楕円状として、実際のウォームギヤ機構50の歯面511;521,522同士の接触状態に近づけることができる。したがって、試験による評価の精度がより向上する。
また、弾性部材40が、第2試験片3A,3Bを支持する第2支持体20Aを、軸体30を介して押圧することにより、第2回転軸線C3回りの第2支持体20Aの回転を抑制する。ロードセル24Aによって測定された、軸体30の第3軸線C3回りの荷重を用いて、第2試験片3A,3Bに働く負荷トルクを容易に求めることができる。試験条件を精度良く設定することが可能となる。
【0054】
図12から図15は、図6のウォームギヤ機構の評価試験装置101を用いて実施した各種評価試験の結果を示している。
試験条件は下記である。すなわち、第1試験片2Aの材質は、SCM420の浸炭品である。また、第2試験片4A,4Bの材質は、焼結材を用いた鍛造品である。第1試験片2Aの滑り速度は、0.5〜1.0m/秒とした。また、第2支持体に与える負荷は、最大で5000Nとした。温度条件は常温(室温)とし、試験中の温度上昇はなりゆきとした。また、潤滑条件としては、歯面に高荷重用のグリースを塗布した。
【0055】
図12に結果を示す第1試験では、第2試験片4A,4Bの第2支持体20Aに、弾性部材40が与える負荷を種々変更し、第1試験片2Aを回転速度190rpmで、総回転数300回転で回転させたときの第2歯面3A,3Bの温度を測定した。第2歯面3A,3Bの温度は複数箇所を測定し、平均値を求めた。図12に示すように、負荷の増大とともに、比例的に第2歯面3A,3Bの温度が上昇することが判明した。また、温度の評価基準が100°Cとした場合、負荷の値として5kNは許容されることが判明した。
【0056】
図13に結果を示す第2試験では、第2試験片4A,4Bの第2支持体20Aに、ロードセル24Aを介して与える負荷を種々変更し、第1試験片2Aを回転速度190rpmで、総回転数300回転で回転させたときの回転トルクを求めた。図13に示すように、負荷の増大とともに、回転トルクが比例的に増大することが判明した。
図14に結果を示す第3試験では、負荷を0.49〜4.9kNの範囲で種々変更し、また、回転速度を190〜1900rpmの範囲でを種々変更し、総回転数300回転で第1試験片2Aを回転させたときの、第2歯面3A(3B)の温度を測定した。図14に示すように、負荷が0.49kNと低い場合には、回転速度を高くしても、あまり温度上昇しないことが判明した。また、負荷が大きいほど、低い回転速度でも、高い温度となることが判明した。すなわち、回転速度が高いほど、また負荷が大きいほど、温度上昇に関して厳しくなることが判明した。
【0057】
図15に結果を示す第4試験では、負荷を0.49kNとし、回転速度を種々変更して、第2試験片2Aを総回転数300回転で回転させたときの回転トルクを求めた。図15に示すように、負荷が0.49kNと小さい場合には、回転速度を高くしても、回転トルが殆ど変化しないことが判明した。
以上のように、総回転数300回転で試験結果が出るので、回転速度が例えば1800rpmであれば、試験が僅か10秒で終了し、回転速度が例えば190rpmであれば、試験が約1分半で終了する。従来と比較して格段に試験効率が良いことが判明した。
【0058】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、図1の実施形態において、第1試験片2の他側面の受圧面10aの起伏を廃止し、第1支持体16を軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に移動可能とし、第1支持体16を例えば圧縮コイルばねや皿ばね等の弾性付勢部材によって、軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に弾性的に付勢するようにしてもよい。
【0059】
また、図3の実施の形態では、第1歯面1を回転方向R1に複数設けたが、回転方向R1に一様に連続する単一の第1歯面を設けるようにしてもよい。その他、本発明の請求項記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0060】
100;101…ウォームギヤ機構の評価試験装置、1;1A…第1歯面、2;2A…第1試験片、3;3A,3B…第2歯面、4;4A,4B…第2試験片、5;5A…第1支持機構、6,6A…第2支持機構、7;7A…電動モータ(駆動機構)、8…一側面、9…他側面、10…環状凹部、10a…受圧面、12,12A…回転軸(支持部)、15…ローラ(転動体)、19…取付部、20;20A…第2支持体、201…端面(所定部)、24,24A…ロードセル、25…軸部、26…球面形成体(回転対称体)、28…保持ブロック、283…底面、32…第1分割体、33…第2分割体、34…連結具、37…受け面、A…環状領域、A1〜A6…領域、C1…第1回転軸線、C11…回転対称軸線(第1回転軸線)、C2;C21…第2回転軸線、C3…第3回転軸線、CL;CLA,CLB…接触線、P;P3A,P3B…曲率半径、Q1…球面中心、Q3A,Q3B…曲率中心、R1…回転方向、X1…軸方向、50…ウォームギヤ機構、51…ウォーム、511…(ウォームの)歯面、52…ウォームホイール、521,522…(ウォームホイールの)歯面、53…歯溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォームギヤ機構の評価試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電動パワーステアリング装置の高出力化に伴い、減速機構が大型化しており、電動パワーステアリング装置を車両へレイアウトすることが非常に厳しくなってきている。また、減速機構として通例用いられているウォームギヤ機構のウォームホイールのギヤ部として樹脂を用いた場合、強度を満足するためにウォームホイールが大型になる傾向にある。また、高強度に耐え得る樹脂は高価であり、製造コストが高くなる。そこで、金属ギヤを用いることが考えられている。
【0003】
通例、歯車機構の性能試験は、例えば特許文献1や特許文献2のように、実際の歯車機構そのものを用いて実施している。電動パワーステアリング装置のウォームギヤ機構の耐久評価試験においても、実機のウォームギヤ機構そのものを用い、据え切り状態の負荷を与える促進試験として実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−52427号公報
【特許文献2】特開2006−242962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウォームホイールは多数の歯面を持つため、前記の耐久評価試験において、ウォームホイールの1つの歯面に負荷がかかるのは、(歯数/条数)回に1度である。このため、多大な試験時間を要している。具体的には、試験時間としては、通例、40日程度という長時間を要している。
このため、効率が悪く、開発期間が長くなり、開発コストが高くなるという問題があった。特に金属製のウォームホイールの場合、評価に際して、NC加工機を用いて特殊な歯面を有するウォームホイールを、その都度製作しなければならず、多大なコストを要していた。
【0006】
本発明の目的は、試験効率が良く、ひいてはウォームギヤ機構の開発を短期間で且つ低コストで実現することが可能となるウォームギヤ機構の試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ウォーム(51)の歯面(511)に相当する第1歯面(1;1A)を有する第1試験片(2;2A)と、ウォームホイール(52)の歯面(521,522)に相当する第2歯面(3;3A,3B)を有する第2試験片(4;4A,4B)と、前記第1歯面および前記第2歯面を押圧接触させるように、第1試験片および第2試験片を、それぞれ、支持する第1支持機構(5;5A)および第2支持機構(6;6A)と、前記第1歯面および前記第2歯面を相対摺動させるように、両試験片の何れか一方を他方に対して回転させる駆動機構(7;7A)と、を備え、前記第2試験片の第2歯面は、多くとも2つ設けられているウォームギヤ機構の評価試験装置を提供する。
【0008】
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
請求項2のように、前記第2歯面は単一で設けられ、前記単一で設けられる第2歯面(3)の歯面形状は、前記ウォームホイールの単一の歯溝内で相対向する一対の歯面の何れか一方の歯面形状に等しくされ、前記第1試験片は、回転軸線(C1)としての中心軸線を有し、前記駆動機構によって前記回転軸線の回りに回転駆動される円盤状をなし、前記第1歯面は、前記第1試験片の一側面(8)に傾斜状に設けられていてもよい。
【0009】
請求項3のように、前記第1試験片の回転方向(R1)に一様に連続していてもよい。 請求項4のように、前記第1歯面は、前記第1試験片の一側面を前記回転方向に分割した複数の領域(A1〜A6)毎に設けられており、前記複数の領域の第1歯面が、前記第1試験片の回転に伴って順次に前記第2歯面に接触してもよい。
請求項5のように、前記第1支持機構は、前記第1試験片を前記第1試験片の回転軸線方向に移動可能に支持する支持部(12)と、前記第1試験片の他側面(9)に設けられた受圧面(10a)を押圧しつつ前記受圧面に転がり接触して前記第1試験片を前記回転軸線の方向に支持する複数の転動体(15)と、を含み、前記第1試験片の他側面の受圧面は、前記第1試験片の一側面の、前記回転軸線の方向に関する起伏の周方向変化の位相とは逆位相の起伏を有していてもよい。
【0010】
請求項6のように、前記第2歯面は一対で設けられ、前記一対で設けられる第2歯面(3A,3B)の歯面形状は、前記ウォームホイールの単一の歯溝内で相対向する一対の歯面の歯面形状に等しくされ、前記第1試験片は、回転軸線としての回転対称軸線(C11)を有し、前記駆動機構によって前記回転対称軸線の回りに回転駆動される回転対称体(26)を含み、前記第1歯面は、前記回転対称体の回転方向に一様に連続していてもよい。
【0011】
請求項7のように、前記第1試験片としての回転対称体は、球面形成体(26)であり、前記第1歯面は、球面の一部であってもよい。
請求項8のように、前記第1歯面の曲率半径(P1)が、前記第2歯面の曲率半径(P2A,P2B,P3A,P3B)よりも小さくされていてもよい。
請求項9のように、前記第2の試験片の回転軸線(C21)が、前記第1の試験片の回転軸線としての回転対称軸線(C11)に対して傾斜していてもよい。
【0012】
請求項10のように、前記第2支持機構は、前記第1試験片の回転軸線としての第1回転軸線(C1;C11)に対して傾斜するか又は平行である第2回転軸線(C2;C21)の回りに回転可能に支持した支持体(20;20A)と、前記第2回転軸線の回りの、第2試験片の回転を抑制するように前記支持体を押圧するロードセル(24;24A)と、を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、ウォームホイールの歯面に相当する、第2試験片の多くとも2つの第2歯面に対して、ウォームの歯面に相当する、第1試験片の第1歯面を摺動接触させて、試験を行うので、試験時間を、従来と比較して格段に短くする(例えば数10秒〜数分とする)ことができる。したがって、試験効率が良く、ひいては歯車機構の開発を短期間で且つ低コストで実現することが可能となる
請求項2の発明によれば、第2試験片の単一の第2歯面に対して、回転駆動される円盤状の第1試験片としての一側面に設けられた第1歯面を摺動させて、効率良く試験を行うことができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、第1試験片の第1歯面が円盤の回転方向に一様に連続しているので、第1歯面の加工が容易である。したがって、試験に要するコストを低減することができる。
請求項4の発明によれば、円盤状の第1試験片の第1歯面が、第1試験片の一側面を回転方向に分割した複数の領域毎に設けられており、各領域の第1歯面が、第1試験片の回転に伴って順次に第2試験片の第2歯面に接触するので、実機に近似した試験条件を実現することができる。したがって、試験による評価の精度が向上する。
【0015】
請求項5の発明によれば、請求項4のように回転する円盤状の第1試験片の一側面の領域毎に設けられた複数の第1歯面が、順次に第2歯面に係合するときに、第1試験片の一側面の、回転軸線の方向に関する起伏の量だけ、第1試験片が、回転軸線の方向に往復動する。一方、第1試験片の他側面の受圧面が、第1試験片の一側面の、回転軸線の方向に関する起伏の周方向変化の位相とは逆位相の起伏を有しており、その受圧面を複数の転動体が転がり接触しつつ受けるので、第1試験片にガタつきや振動が生ずることを抑制することができる。したがって、安定した試験条件で試験を実施できるので、試験による評価の精度がより向上する。
【0016】
請求項6の発明によれば、第1試験片に含まれる回転対称体に、一様に連続する第1歯面を設け、この第1歯面を第2試験片の一対の第2歯面に対して摺動させるので、効率良く試験を行うことができる。一対の第2歯面の歯面形状が、ウォームホイールの単一の歯溝内で相対向する一対の歯面の歯面形状に等しくされているので、実際のウォームホイールにより則した精度の良い試験が行える。
【0017】
請求項7の発明によれば、第1試験片に含まれる回転対称体が球面形成体であり、第1歯面が球面の一部であるので、第1試験片の加工が容易であり、したがって、試験に要するコストを低減することができる。また、両歯面の線接触状態を実現したり、或いは回転方向に細長い接触楕円をもった実質的な点接触状態を実現したりして、実際の接触状態に近似した接触状態を実現することが可能となる。したがって、試験による評価の精度がより向上する。
【0018】
請求項8の発明によれば、第1歯面の曲率半径が第2歯面の曲率半径よりも小さくされているので、両歯面がエッジ当たりすることを抑制することができる。また、両歯面の接触部を例えば楕円状として、実際のウォームギヤ機構の歯面の接触状態に近づけることができる。したがって、試験による評価の精度がより向上する。
請求項9の発明によれば、第2試験片の第2回転軸線が、第1試験片の第1回転軸線((回転対称軸線)に対して傾斜しているので、接触線に対して滑り方向が交差する、実際のウォームギヤ機構の歯面の接触状態に近づけることができる。したがって、試験による評価の精度がより向上する。
【0019】
請求項10の発明によれば、第2試験片を支持する支持体をロードセルが押圧することにより、第2回転軸線の回りの、第2支持体の回転を抑制する。ロードセルによって測定された荷重を用いて、第2試験片に働く負荷トルクを容易に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の歯車の評価試験装置の一部破断側面図である。
【図2】ウォームおよびウォームホイールを含むウォームギヤ機構の概略斜視図である。
【図3】(a)はウォームの歯面に相当する第1歯面を有する第1試験片の正面図であり、(b)は第1試験片の側面図である。
【図4】ウォームに相当する第1試験片と第1試験片を軸方向に受けるローラとの関係を示す概略図である。
【図5】ウォームホイールの歯面に相当する第2歯面を有する第2試験片を支持する第2支持機構の概略側面図である。
【図6】本発明の別の実施形態の歯車の評価試験装置の断面図である。
【図7】図6の評価試験装置の模式的平面図である。
【図8】図6の実施形態において、ウォームホイールの歯面に相当する一対の第2歯面を有する第2試験片を支持する第2支持機構の概略側面図である。
【図9】図6の実施の形態において、第1試験片の第1回転軸線および第2試験片の第2回転軸線を含む面で切断された第1試験片および第2試験片の断面図である。
【図10】図6の実施形態において、第2試験片の第2回転軸線とは直交する面で切断された第1試験片および第2試験片の断面図であり、第1歯面と第2歯面の接触状態を示している。
【図11】第2試験片の第2歯面を第2回転軸線の方向に見た矢視図と第1回転軸線の方向に見た矢視図を説明する模式図である。
【図12】図6の実施形態の歯車の評価試験装置を用いて実施した評価試験の結果を示すグラフ図であり、負荷と温度との関係を示している。
【図13】図6の実施形態の歯車の評価試験装置を用いて実施した評価試験の結果を示すグラフ図であり、負荷と回転トルク(抵抗トルク)との関係を示している。
【図14】図6の実施形態の歯車の評価試験装置を用いて実施した評価試験の結果を示すグラフ図であり、回転速度と温度との関係を示している。
【図15】図6の実施形態の歯車の評価試験装置を用いて実施した評価試験の結果を示すグラフ図であり、回転速度と温度との関係を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下には、図面を参照して、本発明の実施形態を具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るウォームギヤ機構の評価試験装置の一部破断側面図である。図2はウォームギヤ機構の斜視図である。
図2に示すように、ウォームギヤ機構50は、互いに噛み合うウォーム51とウォームホイール52とによって構成されている。ウォーム51は渦巻き状に連続する歯面511を有している。ウォームホイール52の外周には、複数の歯溝53が周方向に等間隔で形成されている。ウォームホイール52は、各歯溝53において相対向する一対の歯面521,522を有している。
【0022】
図1を参照して、ウォームギヤ機構の評価試験装置100は、ウォーム51の歯面511の一部に相当する第1歯面1を有する第1試験片2と、ウォームホイール52の歯面521,522の何れか一方に相当する第2歯面3を有する第2試験片4と、第1歯面1および第2歯面3を押圧接触させるように、第1試験片2および第2試験片4を、それぞれ、支持する第1支持機構5および第2支持機構6と、第1試験片2を回転駆動する駆動機構としての電動モータ7とを備えている。
【0023】
第1試験片2の第1歯面1の歯面形状は、ウォーム51の歯面511の一部の歯面形状と同じである。第2試験片4の第2歯面3の歯面形状は、ウォームホイール52の単一の歯溝53内で相対向する一対の歯面521,522の歯面形状と同じである。
第1試験片2は、第1回転軸線C1としての中心軸線を有する円盤状をなしている。第1試験片2は、第1支持機構5によって支持された状態で第1回転軸線C1の回りに回転駆動される。第2支持機構6が、第2試験片4を、第1回転軸線C1とは平行な第2回転軸線C2の回りに回転可能に支持する要素(後述する第1支持体20、支軸21、軸受22,23)と、回転可能に支持された第2試験片4の回転を拘束する要素(後述するロードセル24)とを備えている。したがって、第2試験片4は、第2回転軸線C2回りに回転しない。
【0024】
第1試験片2は、軸方向X1に対向する一側面8および他側面8を有している。図3(a)に示すように、第1試験片2の一側面8には、第1回転軸線C1を中心とし、軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に対して傾斜する環状領域Aが設けられている。一側面8の環状領域Aは、第1試験片2の回転方向R1に並ぶ複数の領域A1〜A6に分割されており、各領域A1〜A6毎に、第1歯面1が設けられている。
【0025】
したがって、第1試験片2の回転に伴って、各領域A1〜A6の第1歯面1が、順次に第2試験片4の第2歯面3に接触するようになっている。第1歯面1がそれぞれ形成される各領域A1〜A6は、渦巻き状をなして斜め放射状に径方向外方へ延びる形状(巴状)の領域である。例えば第1試験片2の領域A5の第1歯面1が、第2試験片4の第2歯面3に接触するときには、回転方向R1の下流側の接触線CLで接触する状態から、回転方向R1の上流側の接触線CLで接触する状態へ(移行方向Z1へ)と順次に移行する。
【0026】
図1および図3(b)に示すように、第1試験片2の他側面9には、第1回転軸線C1を中心とする環状凹部10が設けられている。環状凹部10の底面が、後述するローラを受ける受圧面10aを構成している。また、図3(a)および(b)に示すように、第1試験片2には、第1回転軸線C1を中心とする被支持孔11が、両側面8,9を貫くように形成されている。
【0027】
図1に示すように、第1支持機構5は、第1試験片2の被支持孔11に挿通され、第1試験片2を一体回転可能に且つ軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に相対移動可能に支持する支持部としての回転軸12と、回転軸12の一対の端部121,122をそれぞれ回転可能に支持する一対の軸受13,14とを備えている。
軸受13,14としては、例えば針状ころ軸受が用いられる。各軸受13,14はそれぞれ固定部Bによって直接または間接的に支持されている。駆動機構としての電動モータ7は、回転軸12を回転駆動することにより、第1試験片2を第1回転軸線C1の回りに回転させる。
【0028】
また、第1支持機構5は、第1試験片2の他側面9の環状凹部10の底からなる受圧面10aを押圧しつつ受圧面10aに転がり接触して、第1試験片2を軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に支持する複数の転動体としての複数(例えば3つの)ローラ15を備えている。複数のローラ15は、固定部Bに固定された第1支持体16によって回転可能に支持されている。第1支持体16は、前記の軸受14を介して回転軸12の対応する端部122を回転可能に支持している。
【0029】
各ローラ15の支軸17の中心軸線K1は、第1試験片2の他側面9と平行である。図4に示すように、各ローラ15は、第1試験片2の回転方向R1に関して等間隔に配置されており、各ローラ15の支軸17の中心軸線K1は、第1試験片2の第1回転軸線C1と直交する方向に延びている。各ローラ15の支軸17の両端は、第1支持体16に保持された例えば玉軸受等の転がりからなる軸受18によって回転可能に支持されている。
【0030】
第1試験片2の他側面9に設けられた受圧面10aは、一側面8の環状領域Aの軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に関する起伏の周方向変化の位相とは逆位相の起伏を有している。したがって、下記の利点がある。
すなわち、環状領域Aを回転方向Rに分割した複数の領域A1〜A6毎に設けられた第1歯面1が、順次に第2試験片4の第2歯面3に係合するときに、第1試験片2が軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に往復動する。その往復動のストローク分を、ローラ15が押圧状態で転がり接触する受圧面10aに設けられた前記逆位相の起伏によって吸収することができる。これにより、第1試験片2にガタつきや振動が生ずることを抑制することができる。
【0031】
図1および図5に示すように、第2試験片4を支持する第2支持機構6は、第2試験片4を取り外し可能に取り付ける取付部19を有する第2支持体20と、第2支持体20と一体回転可能な支軸21の両端を回転可能に支持する例えば玉軸受等の転がり軸受からなる一対の軸受22,23と、固定部Bによって保持され、支軸21の中心軸線である第2回転軸線C2回りの第2支持体20の回転を抑制するように、第2支持体20の端面201(所定部)を押圧するロードセル24とを備えている。
【0032】
本実施形態では、第2支持体20の所定部としての端面201は、第2回転軸線C2と平行な面である。第2支持体20には、第2回転軸線C2を中心とするモーメント力(トルク)が負荷されており、ロードセル24は、抗力を第2支持体20の端面201に及ぼすことにより、前記モーメント力(トルク)に抗して第2支持体20の回転を拘束する抵抗トルクを発生させている。したがって、ロードセル24が受ける荷重F(測定荷重に相当)と、第2回転軸線C2を中心とする前記モーメント力(トルク)の腕の長さLとの積を算出することにより、第2試験片4が第1試験片2から受けている負荷トルクを求めることができる。
【0033】
本実施形態によれば、ウォームホイール52の歯面521または522に相当する、第2試験片4の単一の第2歯面3に対して、ウォーム51の歯面511の一部に相当する、第1試験片2の第1歯面1を摺動接触させて、試験を行うので、試験時間を、従来と比較して格段に短くする(例えば数10秒〜数分とする)ことができる。したがって、試験効率が良く、ひいては、歯車機構としてのウォームギヤ機構50の開発を短期間で且つ低コストで実現することが可能となる
特に、第2試験片4の単一の第2歯面3に対して、回転駆動される円盤状の第1試験片2の一側面8に設けられた第1歯面1を摺動させることにより、効率良く試験を行うことができる。また、第1試験片2の第1歯面1が、円盤状の第1試験片2の一側面8を回転方向R1に分割した複数の領域A1〜A6毎に設けられて、第1試験片2の回転に伴って順次に、第2試験片4の第2歯面3に接触するので、実機に近似した試験条件を実現することができる。したがって、試験による評価の精度が向上する。
【0034】
特に、第1試験片2の第1歯面1が、第1試験片2の第1回転軸線C1に対して傾斜状に設けられているので、接触線CLに対して滑り方向が交差する、実際のウォームギヤ機構50のウォームホイール52の歯面521または522の接触状態により近づけることができる。したがって、試験による評価の精度がより向上する。
また、円盤状の第1試験片2の一側面8の環状領域Aが回転方向R1に分割された複数の領域A1〜A6のそれぞれに、第1歯面1を設けており、各領域A1〜A6の第1歯面1が、順次に、第2試験片4の第2歯面3に係合するときに、第1試験片2の一側面8の環状領域Aが軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に関する起伏の量だけ、第1試験片2が軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に往復動する。
【0035】
一方、円盤状の第1試験片2の他側面10の受圧面10aが、一側面8の環状領域Aの軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に関する起伏の周方向変化の位相とは逆位相の起伏を有しており、受圧面10aを複数のローラ15が転がり接触しつつ受ける。したがって、第1試験片2にガタつきや振動が生ずることを抑制することができる。したがって、安定した試験条件で試験を実施できるので、試験による評価の精度がより向上する。
【0036】
また、第2支持機構6が、第2試験片4を支持し、第2回転軸線C2の回りに回転可能に支持された第2支持体20の端面201(所定部)に、ロードセル24を押し当てて、第2回転軸線C2回りの第2支持体20の回転を抑制するようにしている。したがって、ロードセル24によって測定された荷重を用いて、第2試験片4に働く負荷トルクを容易に求めることができる。試験条件を精度良く設定することが可能となる。
【0037】
次いで、図6は、本発明の別の実施形態に係るウォームギヤ機構の評価試験装置101の断面図であり、図7は評価試験装置101の模式的平面図である。図6に示すように、ウォームギヤ機構の評価試験装置101は、ウォーム51の歯面511の一部に相当する第1歯面1Aを有する第1試験片2Aと、ウォームホイール52の歯溝53内で相対向する一対の歯面521,522にそれぞれ相当する第2歯面3A,3Bをそれぞれ有する第2試験片4A,4Bと、第1歯面1Aと第2歯面3A,3Bを押圧接触させるように、第1試験片2Aおよび第2試験片4Aを、それぞれ、支持する第1支持機構5Aおよび第2支持機構6Aと、第1試験片2Aを回転駆動する駆動機構としての電動モータ7Aとを備えている。
【0038】
第1試験片2Aは、第1回転軸線としての回転対称軸線C11を有し、駆動機構としての電動モータ7Aによって回転対称軸線C11の回りに回転駆動される回転対称体である。具体的には、第1試験片2Aは、回転対称軸線C11の方向に延びる中空の軸部25と、軸部25の一端に単一の材料で一体に設けられた回転対称体としての球面形成体26とを備えている。
【0039】
第1歯面1Aは球面形成体26に設けられ、第1歯面1Aの歯面形状は、球面の一部である。第1歯面1Aは、第1試験片2Aの球面形成体26(回転対称体)の回転方向に一様に連続していることになる。また、第1試験片2Aの第1回転軸線(回転対称軸線C11)を含む両試験片2A;4A,4Bの断面において、両歯面1A;3A,3Bの接触部の法線H1が、回転対称軸線C11に対して傾斜している。
【0040】
第1支持機構5Aは、軸部25の中心孔25aに挿入され、一体回転可能に連結された回転軸12Aと、回転軸12Aを軸方向X1(回転対称軸線C1の方向)に回転可能に且つ軸方向に移動不能に支持する軸受27とを備えている。駆動機構としての電動モータ7Aが、回転軸12Aを介して第1試験片2Aを回転対称軸線C11の回りに回転駆動する。
【0041】
図8に示すように、各第2試験片4A,4Bは、直方体形状のブロックにより構成されている。図6に示すように、各第2試験片4A,4Bは、保持ブロック28に設けられた対応する保持溝29a,29bにそれぞれ固定されている。
第2支持機構6Aは、両試験片4A,4Bを保持した保持ブロック28を第1回転軸線としての回転対称軸線C11に対して傾斜した第2回転軸線C21の回りに支持する第2支持体20Aと、第2支持体20Aを軸体30を介して第1回転軸線としての回転対称軸線C11と同一軸線上の第3回転軸線C3の回りに回転可能に且つ軸方向X1(第3回転軸線C3の方向)に移動可能に支持する軸受31と、軸体30を介して第2支持体20Aを軸方向X1(第3回転軸線C3の方向)に押圧する弾性部材40と、軸体30と一体回転するように軸体30に設けられた径方向突起41に当接することにより、第3回転軸線C3回りの第2支持体20Aの回転による力を検出するロードセル24Aとを備えている。
【0042】
図6に示すように、第2支持体20Aは、互いの間に保持ブロック28の保持空間を区画する第1分割体32および第2分割体33と、分割体32,33同士を相対回転不能に且つ軸方向相対移動不能に連結する連結具34とを備えている。
第1分割体32は、保持ブロック28の一側面281に隙間を設けて対向する対向部35を有している。第2分割体33は、保持ブロック28の他側面282に隙間を設けて対向する対向部36および保持ブロック28の底面283を受ける受け面37を有している。
【0043】
弾性部材40によって第2支持体20Aに与えられる軸方向X1(第3回転軸線C3の方向)の力が、第2試験片4A,4Bを保持した保持ブロック28の底面283と第2支持体20Aの第1分割体32の受け面37との間に摩擦抵抗を発生させる。これにより生起される摩擦抵抗トルクによって、第2支持体20Aを介して第2試験片4A,4Bの回転が拘束されている。前記摩擦抵抗トルクに相当する力がロードセル24Aによって測定可能である。
【0044】
図8に示すように、第2試験片4A,4Bの歯面形状は、ウォームホイール52の単一の歯溝53内で相対向する一対の歯面521,522の歯面形状とそれぞれ同じである。各第2試験片4A,4Bは、各第2試験片4A,4Bをそれぞれを貫通して保持ブロック28にねじ込まれた固定ねじ38によって、保持ブロック28に固定されている。
図9は、第1試験片2Aの回転対称軸線C11(第1回転軸線)および第2試験片4A,4Bの第2回転軸線C21を含む、第1試験片2および第2試験片4A,4Bの断面を示している。図9に示すように、第2回転軸線C21は第1回転軸線としての回転対称軸線C11に対して傾斜している。
【0045】
また、第2歯面3Aの曲率中心Q3Aを中心とする、第2歯面3Aの曲率半径P3Aと、第2歯面3Bの曲率中心Q3Bを中心とする、第2歯面3Bの曲率半径P3Bとは、互いに等しい(P3A=P3B)。球面形成体26に設けられる第1歯面1Aの曲率半径P1が、第2歯面3A,3Bの曲率半径P3A,P3Bよりも小さくされている(P1<P3A=P3B)。
【0046】
図10は、第2回転軸線C21と直交する面で両試験片2A,4A(4B)を切断した断面図である。図10に示すように、第1歯面1Aの曲率半径P1が、第2歯面3A(3B)の曲率半径P2A,P2Bよりも小さくされている(P1<P2A=P2B)。
図11は、第2試験片4A,4Bの断面図の下方に、第2試験片4A,4Bの第2歯面3A,3Bを第2回転軸線C21の方向から見た模式図(真ん中の図)と、第2歯面3A,3Bを回転対称軸線C11の方向から見た模式図(下側の図)とを示している。
【0047】
第2回転軸線C21の方向から見た模式図(真ん中の図)に示すように、第2歯面3A,3Bに、それぞれ設けられる、第2回転軸線C21を中心とする円弧状の接触線CLA,CLBで両歯面1A;3A,3Bが接する(線接触)する。
また、回転対称軸線C11(第1回転軸線)の方向から見た模式部(下側の図)に示すように、各第2歯面3A,3Bの接触線CLA,CLBにおける滑り速度は、回転対称軸線C11から対応する接触線CLA,CLBまでの距離DA,DBに比例する。距離DBが距離DAよりも大きいので、接触線CLBにおける滑り速度が、接触線CLAにおける滑り速度よりも大きくなる。
【0048】
本実施形態によれば、ウォームホイール52の単一の歯溝53内で相対向する一対の歯面521,522に相当する第2歯面3A,3Bに対して、ウォーム51の歯面511に相当する、第1試験片2Aの第1歯面1Aを摺動接触させて、試験を行うので、試験時間を、従来と比較して格段に短くする(例えば数分とする)ことができる。したがって、試験効率が良く、ひいては歯車機構の開発を短期間で且つ低コストで実現することが可能となる。
【0049】
また、第1試験片2Aに含まれる回転対称体(球面形成体26)に、一様に連続する第1歯面1Aを設け、この第1歯面1Aを第2試験片4A,4Bの一対の第2歯面3A,3Bに対して摺動させるので、効率良く試験を行うことができる。一対の第2歯面3A,3Bの歯面形状が、ウォームホイール52の単一の歯溝53内で相対向する一対の歯面521,522の歯面形状に等しくされているので、実際のウォームホイール52に、より則した精度の良い試験が行える。
【0050】
また、第1試験片2Aに含まれる回転対称体が球面形成体26であり、第1歯面1Aが球面の一部であるので、第1試験片2Aの加工が容易であり、したがって、試験に要するコストを低減することができる。また、第1試験片2Aにより第2歯面3A,3Bに対して線接触状態を実現したり、或いは回転方向に細長い接触楕円をもった実質的な点接触状態を実現したりして、実際の接触状態に近似した接触状態を実現することが可能となる。したがって、試験による評価の精度がより向上する。
【0051】
また、図9に示すように、第2試験片4A,4Bの第2回転軸線C21が、第1試験片2Aの回転対称軸線C11(第1回転軸線)に対して傾斜しているので、接触線に対して滑り方向が交差する、実際のウォームギヤ機構50のウォームホイール52の歯面521,522の接触状態に近づけることができる。したがって、試験による評価の精度がより向上する。また、図11に示すように、第2歯面3Aで滑り速度と第2歯面3Bでの滑り速度とを異ならせることができるので、この点からも、実際のウォームギヤ機構50のウォームホイール52の各歯面521,522の接触状態に近づけることができる。
【0052】
また、図9に示すように、回転対称軸線C11(第1回転軸線)および第2回転軸線C21の双方を含む面で切断された両試験片2A;4A,4Bの断面において、第1歯面1Aの曲率半径P1が、第2歯面3A,3Bの曲率半径P3A,P3Bよりも小さくされている(P1<P3A=P3B)。また、図10に示すように、第2回転軸線C21と直交する面で両試験片2A,4A(4B)を切断した断面において、第1歯面1Aの曲率半径P1が第2歯面3A(3B)の曲率半径P2よりも小さくされている(P1<P2)。
【0053】
したがって、第1歯面1Aと各第2歯面3A,3Bとがエッジ当たりすることを抑制することができる。また、第1歯面1Aと各第2歯面3A,3Bとの接触部を例えば楕円状として、実際のウォームギヤ機構50の歯面511;521,522同士の接触状態に近づけることができる。したがって、試験による評価の精度がより向上する。
また、弾性部材40が、第2試験片3A,3Bを支持する第2支持体20Aを、軸体30を介して押圧することにより、第2回転軸線C3回りの第2支持体20Aの回転を抑制する。ロードセル24Aによって測定された、軸体30の第3軸線C3回りの荷重を用いて、第2試験片3A,3Bに働く負荷トルクを容易に求めることができる。試験条件を精度良く設定することが可能となる。
【0054】
図12から図15は、図6のウォームギヤ機構の評価試験装置101を用いて実施した各種評価試験の結果を示している。
試験条件は下記である。すなわち、第1試験片2Aの材質は、SCM420の浸炭品である。また、第2試験片4A,4Bの材質は、焼結材を用いた鍛造品である。第1試験片2Aの滑り速度は、0.5〜1.0m/秒とした。また、第2支持体に与える負荷は、最大で5000Nとした。温度条件は常温(室温)とし、試験中の温度上昇はなりゆきとした。また、潤滑条件としては、歯面に高荷重用のグリースを塗布した。
【0055】
図12に結果を示す第1試験では、第2試験片4A,4Bの第2支持体20Aに、弾性部材40が与える負荷を種々変更し、第1試験片2Aを回転速度190rpmで、総回転数300回転で回転させたときの第2歯面3A,3Bの温度を測定した。第2歯面3A,3Bの温度は複数箇所を測定し、平均値を求めた。図12に示すように、負荷の増大とともに、比例的に第2歯面3A,3Bの温度が上昇することが判明した。また、温度の評価基準が100°Cとした場合、負荷の値として5kNは許容されることが判明した。
【0056】
図13に結果を示す第2試験では、第2試験片4A,4Bの第2支持体20Aに、ロードセル24Aを介して与える負荷を種々変更し、第1試験片2Aを回転速度190rpmで、総回転数300回転で回転させたときの回転トルクを求めた。図13に示すように、負荷の増大とともに、回転トルクが比例的に増大することが判明した。
図14に結果を示す第3試験では、負荷を0.49〜4.9kNの範囲で種々変更し、また、回転速度を190〜1900rpmの範囲でを種々変更し、総回転数300回転で第1試験片2Aを回転させたときの、第2歯面3A(3B)の温度を測定した。図14に示すように、負荷が0.49kNと低い場合には、回転速度を高くしても、あまり温度上昇しないことが判明した。また、負荷が大きいほど、低い回転速度でも、高い温度となることが判明した。すなわち、回転速度が高いほど、また負荷が大きいほど、温度上昇に関して厳しくなることが判明した。
【0057】
図15に結果を示す第4試験では、負荷を0.49kNとし、回転速度を種々変更して、第2試験片2Aを総回転数300回転で回転させたときの回転トルクを求めた。図15に示すように、負荷が0.49kNと小さい場合には、回転速度を高くしても、回転トルが殆ど変化しないことが判明した。
以上のように、総回転数300回転で試験結果が出るので、回転速度が例えば1800rpmであれば、試験が僅か10秒で終了し、回転速度が例えば190rpmであれば、試験が約1分半で終了する。従来と比較して格段に試験効率が良いことが判明した。
【0058】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、図1の実施形態において、第1試験片2の他側面の受圧面10aの起伏を廃止し、第1支持体16を軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に移動可能とし、第1支持体16を例えば圧縮コイルばねや皿ばね等の弾性付勢部材によって、軸方向X1(第1回転軸線C1の方向)に弾性的に付勢するようにしてもよい。
【0059】
また、図3の実施の形態では、第1歯面1を回転方向R1に複数設けたが、回転方向R1に一様に連続する単一の第1歯面を設けるようにしてもよい。その他、本発明の請求項記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0060】
100;101…ウォームギヤ機構の評価試験装置、1;1A…第1歯面、2;2A…第1試験片、3;3A,3B…第2歯面、4;4A,4B…第2試験片、5;5A…第1支持機構、6,6A…第2支持機構、7;7A…電動モータ(駆動機構)、8…一側面、9…他側面、10…環状凹部、10a…受圧面、12,12A…回転軸(支持部)、15…ローラ(転動体)、19…取付部、20;20A…第2支持体、201…端面(所定部)、24,24A…ロードセル、25…軸部、26…球面形成体(回転対称体)、28…保持ブロック、283…底面、32…第1分割体、33…第2分割体、34…連結具、37…受け面、A…環状領域、A1〜A6…領域、C1…第1回転軸線、C11…回転対称軸線(第1回転軸線)、C2;C21…第2回転軸線、C3…第3回転軸線、CL;CLA,CLB…接触線、P;P3A,P3B…曲率半径、Q1…球面中心、Q3A,Q3B…曲率中心、R1…回転方向、X1…軸方向、50…ウォームギヤ機構、51…ウォーム、511…(ウォームの)歯面、52…ウォームホイール、521,522…(ウォームホイールの)歯面、53…歯溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォームの歯面に相当する第1歯面を有する第1試験片と、
ウォームホイールの歯面に相当する第2歯面を有する第2試験片と、
前記第1歯面および前記第2歯面を押圧接触させるように、第1試験片および第2試験片を、それぞれ、支持する第1支持機構および第2支持機構と、
前記第1歯面および前記第2歯面を相対摺動させるように、両試験片の何れか一方を他方に対して回転させる駆動機構と、を備え、
前記第2試験片の第2歯面は、多くとも2つ設けられているウォームギヤ機構の評価装置。
【請求項2】
請求項1において、前記第2歯面は単一で設けられ、
前記単一で設けられる第2歯面の歯面形状は、前記ウォームホイールの単一の歯溝内で相対向する一対の歯面の何れか一方の歯面形状に等しくされ、
前記第1試験片は、回転軸線としての中心軸線を有し、前記駆動機構によって前記回転軸線の回りに回転駆動される円盤状をなし、
前記第1歯面は、前記第1試験片の一側面に傾斜状に設けられているウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項3】
請求項2において、前記第1歯面は、前記第1試験片の回転方向に一様に連続しているウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項4】
請求項2において、前記第1歯面は、前記第1試験片の一側面を前記回転方向に分割した複数の領域毎に設けられており、
前記複数の領域の第1歯面が、前記第1試験片の回転に伴って順次に前記第2歯面に接触するウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項5】
請求項4において、前記第1支持機構は、前記第1試験片を前記第1試験片の回転軸線方向に移動可能に支持する支持部と、前記第1試験片の他側面に設けられた受圧面を押圧しつつ前記受圧面に転がり接触して前記第1試験片を前記回転軸線の方向に支持する複数の転動体と、を含み、
前記第1試験片の他側面の受圧面は、前記第1試験片の一側面の、前記回転軸線の方向に関する起伏の周方向変化の位相とは逆位相の起伏を有しているウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項6】
請求項1において、前記第2歯面は一対で設けられ、
前記一対で設けられる第2歯面の歯面形状は、前記ウォームホイールの単一の歯溝内で相対向する一対の歯面の歯面形状に等しくされ、
前記第1試験片は、回転軸線としての回転対称軸線を有し、前記駆動機構によって前記回転対称軸線の回りに回転駆動される回転対称体を含み、
前記第1歯面は、前記回転対称体の回転方向に一様に連続しているウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項7】
請求項6において、前記第1試験片としての回転対称体は、球面形成体であり、
前記第1歯面は、球面の一部であるウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項8】
請求項7において、前記第1歯面の曲率半径が、前記第2歯面の曲率半径よりも小さくされているウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項9】
請求項7または8において、前記第2の試験片の回転軸線が、前記第1の試験片の回転軸線としての回転対称軸線に対して傾斜しているウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項10】
請求項2から9の何れか1項において、前記第2支持機構は、前記第1試験片の回転軸線としての第1回転軸線に対して傾斜するか又は平行である第2回転軸線の回りに回転可能に支持した支持体と、前記第2回転軸線の回りの、第2試験片の回転を抑制するように前記支持体を押圧するロードセルと、を含むウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項1】
ウォームの歯面に相当する第1歯面を有する第1試験片と、
ウォームホイールの歯面に相当する第2歯面を有する第2試験片と、
前記第1歯面および前記第2歯面を押圧接触させるように、第1試験片および第2試験片を、それぞれ、支持する第1支持機構および第2支持機構と、
前記第1歯面および前記第2歯面を相対摺動させるように、両試験片の何れか一方を他方に対して回転させる駆動機構と、を備え、
前記第2試験片の第2歯面は、多くとも2つ設けられているウォームギヤ機構の評価装置。
【請求項2】
請求項1において、前記第2歯面は単一で設けられ、
前記単一で設けられる第2歯面の歯面形状は、前記ウォームホイールの単一の歯溝内で相対向する一対の歯面の何れか一方の歯面形状に等しくされ、
前記第1試験片は、回転軸線としての中心軸線を有し、前記駆動機構によって前記回転軸線の回りに回転駆動される円盤状をなし、
前記第1歯面は、前記第1試験片の一側面に傾斜状に設けられているウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項3】
請求項2において、前記第1歯面は、前記第1試験片の回転方向に一様に連続しているウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項4】
請求項2において、前記第1歯面は、前記第1試験片の一側面を前記回転方向に分割した複数の領域毎に設けられており、
前記複数の領域の第1歯面が、前記第1試験片の回転に伴って順次に前記第2歯面に接触するウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項5】
請求項4において、前記第1支持機構は、前記第1試験片を前記第1試験片の回転軸線方向に移動可能に支持する支持部と、前記第1試験片の他側面に設けられた受圧面を押圧しつつ前記受圧面に転がり接触して前記第1試験片を前記回転軸線の方向に支持する複数の転動体と、を含み、
前記第1試験片の他側面の受圧面は、前記第1試験片の一側面の、前記回転軸線の方向に関する起伏の周方向変化の位相とは逆位相の起伏を有しているウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項6】
請求項1において、前記第2歯面は一対で設けられ、
前記一対で設けられる第2歯面の歯面形状は、前記ウォームホイールの単一の歯溝内で相対向する一対の歯面の歯面形状に等しくされ、
前記第1試験片は、回転軸線としての回転対称軸線を有し、前記駆動機構によって前記回転対称軸線の回りに回転駆動される回転対称体を含み、
前記第1歯面は、前記回転対称体の回転方向に一様に連続しているウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項7】
請求項6において、前記第1試験片としての回転対称体は、球面形成体であり、
前記第1歯面は、球面の一部であるウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項8】
請求項7において、前記第1歯面の曲率半径が、前記第2歯面の曲率半径よりも小さくされているウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項9】
請求項7または8において、前記第2の試験片の回転軸線が、前記第1の試験片の回転軸線としての回転対称軸線に対して傾斜しているウォームギヤ機構の評価試験装置。
【請求項10】
請求項2から9の何れか1項において、前記第2支持機構は、前記第1試験片の回転軸線としての第1回転軸線に対して傾斜するか又は平行である第2回転軸線の回りに回転可能に支持した支持体と、前記第2回転軸線の回りの、第2試験片の回転を抑制するように前記支持体を押圧するロードセルと、を含むウォームギヤ機構の評価試験装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−61221(P2013−61221A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199336(P2011−199336)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
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