説明

ウレタンプレポリマー

【課題】 常温液状であり、多孔質基材に塗布した際に基材内部に浸透することなく、弾力性を発現し、透湿性に優れた湿気硬化性を有するウレタンプレポリマーを提供する。
【解決手段】
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリイソシアネートをNCO/OH当量比1.1〜3.0で反応させた後、アミン系硬化促進剤を0.01〜5質量%含有させてなるウレタンプレポリマーにおいて、ポリエーテルポリオール/ポリエステルポリオールの質量比が95/5〜75/25であり、ポリエーテルポリオールの主成分がポリテトラメチレングリコール−ポリエチレングリコール共重合体またはポリプロピレングリコールであることを特徴とする無溶剤系のウレタンプレポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤などに有用なウレタンプレポリマーに関するものであり、詳しくは、室温で流動性があり、湿気により発泡しながら硬化し、透湿性に優れた無溶剤系のウレタンプレポリマー、該ウレタンプレポリマーの塗工方法及び該ウレタンプレポリマーからなる接着剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウレタンプレポリマーは、接着剤、塗料、シーリング材料に用いられ、特に湿気硬化型のウレタンプレポリマーは空気中の水分で硬化するため1液で使用できる。接着強度を得るためには、樹脂の構造上常温において固形のものが多く、溶剤で希釈されたり、メルター等の装置で加熱熔融し液状にして塗工に用いられてきた。また、繊維などの多孔質基材の塗工の際には、硬化するまでにウレタンプレポリマーが基材内部に浸透するため多孔質基材の風合いや弾力性が損なわれ、接着剤に用いる場合接着力が低下するという問題があった。さらに、皮膜は透湿性に乏しく、透湿性に乏しい基材同士をラミネートする場合には、透湿性を付与するためにドット接着などの方法が用いられてきたが接着強度が不足する問題があった。
【0003】
かかる状況下において、特許文献1によれば、ポリテトラメチレングリコールと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを反応させて得られたウレタンプレポリマーからなる一液形の接着剤が提案されているが、かかるウレタンプレポリマーによっても樹脂性状のほか、接着強度は未だ十分でなく、透湿性、発泡性、耐加水分解性等の接着剤に要求されるすべての品質性状を満足させるものは得られていない。
【特許文献1】特開昭61−141777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の課題は、前記の欠点を解決し、メルター等を用いる必要が無く常温液状であり、多孔質基材に塗布した際にも基材内部に浸透することなく弾力性を発現し、かつ硬化皮膜は透湿性に優れた湿気硬化性のウレタンプレポリマーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者らは、前記の本発明の課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、特定のポリエーテルポリオール成分および特定割合のポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールならびに特定の硬化促進剤を用いることにより得られるウレタンプレポリマーが前記課題を解決できることに着目し、かかる知見に基づいて本発明に想到した。
【0006】
かくして、本発明によれば、次の(1)〜(6)が提供される。
(1)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリイソシアネートをNCO/OH当量比1.1〜3.0で反応させた後、アミン系硬化促進剤を0.01〜5質量%含有させてなるウレタンプレポリマーにおいて、ポリエーテルポリオール/ポリエステルポリオールの質量比が95/5〜75/25であり、ポリエーテルポリオールの主成分がポリテトラメチレングリコール−ポリエチレングリコール共重合体またはポリプロピレングリコールであるウレタンプレポリマー。
(2)前記ポリエーテルポリオールの数平均分子量が500〜3000であり、ポリエステルポリオールの数平均分子量が300〜3000である前記(1)に記載のウレタンプレポリマー。
(3)前記ポリエステルポリオールが脂肪族ポリエステルポリオールである前記(1)または(2)に記載のウレタンプレポリマー。
(4)粘度が20,000dPa・s/25℃以下である前記(1)乃至(3)のいずれかに記載のウレタンプレポリマー。
(5)前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のウレタンプレポリマーを、湿気により発泡させながら硬化させることを特徴とするウレタンプレポリマー塗工方法。
(6)前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のウレタンプレポリマーからなる接着剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明のウレタンプレポリマーは、常温で液状であることから取扱いが容易であり、かつその硬化物は透湿性を有することから、透湿性基材をラミネートする接着剤として優れた性能を発揮する。更に、繊維などの接着剤としては洗濯による耐加水分解性が求められるが、これに対しても一定の耐性を有する。
【0008】
また、アミン系硬化促進剤を添加することにより、塗工後直ちに発泡し多孔質基材への塗工時に基材に吸収されることが無く初期の強度を発揮する事が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0010】
本発明に係るウレタンプレポリマーの合成成分として使用するポリエーテルポリオールは、ポリテトラメチレングリコールとポリエチレングリコールとの共重合体またはポリプロピレングリコールである。
【0011】
かかるポリエーテルポリオール以外のポリエーテルポリオールを使用すると、ウレタンプレポリマーが常温で固体となったり、得られた皮膜の耐加水分解性や透湿性が低くなるという問題が生じる。
【0012】
ラメチレングリコールとポリエチレングリコールの割合はポリテトラメチレングリコール/ポリエチレングリコールの質量比で80/20 〜 20/80の範囲を採用することができるが、好ましくは質量比で70/30〜30/70の範囲である。
【0013】
ポリエーテルポリオールの分子量は、数平均分子量で500〜3000であることが好ましく、800〜2500であることがより好ましい。数平均分子量が500未満では硬化皮膜の透湿性が悪くなり、一方、数平均分子量が3000を超えると多孔質基材との接着性が低下する。
【0014】
ポリエーテルポリオールは単独でまたは2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0015】
本発明に係るウレタンプレポリマーの合成成分として使用するポリエステルポリオールは特に限定されないが、2官能が好ましく、更には脂肪族ポリエステルポリオールが好ましい。脂肪族ポリエステルポリオールの酸成分としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などの二塩基酸が挙げられ、アルコール成分としてはエチレングリコール、1、2−プロパンジオール、n−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。
【0016】
ポリエステルポリオールの分子量は、数平均分子量で300〜3000であることが好ましい。数平均分子量が300未満では多孔質基材との接着性が低下する。また、数平均分子量が3000を超えると常温でのプレポリマーの流動性が悪くなる。
ポリエステルポリオールは単独でまたは2種以上組み合わせて用いることも出来る。
【0017】
ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールの割合は、ポリエーテルポリオール/ポリエステルポリオールの質量比で95/5〜75/25であり、好ましくは90/10〜80/20である。ポリエーテルポリオール/ポリエステルポリオールの質量比が95/5を超えると多孔質基材との接着強度が低下し好ましくない。また、ポリエーテルポリオール/ポリエステルポリオールの質量比が75/25未満では透湿性や耐加水分解性が低下し好ましくない。
【0018】
本発明に係るウレタンプレポリマーの合成成分として使用するポリイソシアネートは特に限定されないが、2官能のポリイソシアネートが好ましい。ポリイソシアネートの具体例としては、トリレンジイソシアネート、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−イソプロピル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−クロル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−ブトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアネート−ジフェニルエーテル、メシチレンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、ジュリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、o−ニトロベンジジンジイソシアネート、4,4−ジイソシアネートジベンジル、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどである。
【0019】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、低分子のポリオールを使用してもよい。
【0020】
ポリオールとポリイソシアネートの比率は、NCO/OH当量比で1.1〜3.0である。NCO/OH当量比が1.1未満では、接着後の硬化皮膜強度が劣る事により接着強度が低下し好ましくなく、一方、NCO/OH当量比が3.0を超えると接着後の硬化皮膜強度が硬くなり構成体としての風合いを損ない好ましくない。
【0021】
本発明に係るウレタンプレポリマーに対する配合成分として使用する硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤が好ましい。かかるアミン系硬化促進剤以外の硬化促進剤は硬化皮膜の発泡性に乏しく好ましくない。
【0022】
アミン系硬化促進剤の具体例として、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、エチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等が挙げられる。
【0023】
アミン系硬化促進剤の添加量はウレタンプレポリマーに対して0.01〜5質量%であり、好ましくは0.1〜2質量%である。添加量が0.01質量%未満では硬化皮膜の発泡性に乏しいので好ましくなく、一方、5.0質量%を超えるとポットライフが短くなり作業性が低下し好ましくない。
【0024】
本発明に係るウレタンプレポリマーの粘度は20,000dPa・s/25℃以下であることが好ましい。好ましくは10,000dPa・s/25℃以下であり、特に好ましくは3,000dPa・s/25℃以下である。また、常態が液状であれば、下限値は特に限定されるものではないが、50dPa・s/25℃以上であることが特に好ましい。粘度が20,000dPa・s/25℃以上では作業性に問題があり好ましくない。
【0025】
本発明のウレタンプレポリマーを基材に塗工すると、空気中の湿気により二酸化炭素を発生しながら硬化する。発泡しながら硬化するため、多孔質基材に塗工した際にウレタンプレポリマーが内部に浸透することがないため、基材の風合いや弾力性を損なうことがなく、また接着剤として使用する際は基材表面に必要量のウレタンプレポリマーが存在するため、塗布量不足による接着力低下がない。
【0026】
本発明のウレタンプレポリマーは、接着剤のほか、塗料、シーリング材料などに有用に用いられる。
【0027】
本発明に係るウレタンプレポリマーからなる接着剤は、かかるウレタンプレポリマーの用途の一つとして主要な領域を締めるものであり、本発明に係るウレタンプレポリマーの特異性が生かされたものである。
【0028】
すなわち、当該ウレタンプレポリマーは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリイソシアネートをNCO/OH当量比1.1〜3.0で反応させた後、アミン系硬化促進剤を0.01〜5質量%含有させてなるものであり、ポリエーテルポリオール/ポリエステルポリオールの質量比が95/5〜75/25であり、前記ポリエーテルポリオールの主成分がポリテトラメチレングリコールとポリエチレングリコールとの共重合体またはポリプロピレングリコールに特定されたものであり、かかるウレタンプレポリマーは、所定の粘度を有し、環境温度(常温)において常態が液状である。従って、接着剤として使用するためにさらに溶剤を必要とすることなしに、無溶剤系接着剤を提供することができる。
【0029】
また、接着剤として要求される接着強度等の品質性状は、後述の実施例においても示すようにすべて満たしたものである。
【0030】
なお、接着剤として使用するために、各種の添加剤、例えば、充填剤、可塑剤、安定剤等を所望により添加してもよい。
【実施例】
【0031】
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明する。もっとも、本発明は実施例等によって限定されるものではない。
【0032】
尚、実施例、比較例において部で表す数値は質量基準である。
【0033】
また、本発明に係るウレタンプレポリマー、該ウレタンプレポリマーの製造に使用するポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールの数平均分子量はGPCにより測定した。
【0034】
[実施例1]
攪拌機、温度計、ガス導入口などを付与した2リットルのガラス製反応容器にポリプロピレングリコール(数平均分子量2,000、OH価56)610部と1,4ブタンジオールとアジピン酸からなる二官能ポリエステルジオール(数平均分子量500、OH価235)152部を仕込み、加熱減圧して脱水処理後、窒素ガスを導入し内温を90〜100℃とする。予め加温熔融した4,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネート)を234部仕込み100℃で2時間攪拌反応させた。反応終了後40℃以下に冷却しアミン系硬化促進剤(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン)3.0部添加し攪拌混合した後に取り出した。
【0035】
得られたウレタンプレポリマーの粘度は、950dPa−s/25℃であった。この物のNCO/OH当量比は、1.54である。
【0036】
[実施例2]
攪拌機、温度計、ガス導入口などを付与した2リットルのガラス製反応容器に二官能ポリエーテルポリオール(ポリテトラメチレングリコールとポリエチレングリコールの共重合ポリエーテルポリオール、数平均分子量1,800、OH価62)588部と1,4ブタンジオールとアジピン酸からなる二官能ポリエステルジオール(数平均分子量500、OH価235)159部を仕込み、加熱減圧して脱水処理後、窒素ガスを導入し内温を90〜100℃とする。2,4−トリレンジイソシアネートを176部仕込み100℃で2時間攪拌反応させた。反応終了後40℃以下に冷却しアミン系硬化促進剤(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン)3.0部添加し攪拌混合した後に取り出した。
【0037】
得られたウレタンプレポリマーの粘度は、1、050dPa−s/25℃であった。この物のNCO/OH当量比は、1.57である。
【0038】
[実施例3]
攪拌機、温度計、ガス導入口などを付与した2リットルのガラス製反応容器にポリプロピレングリコール(数平均分子量2,000、OH価56)797部と、1,4ブタンジオールとアジピン酸からなる二官能ポリエステルジオール(数平均分子量2,000、OH価56)42部を仕込み、加熱減圧して脱水処理後、窒素ガスを導入し内温を90〜100℃とする。予め加温熔融した4,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネート)を157部仕込み100℃で2時間攪拌反応させた。反応終了後40℃以下に冷却しアミン系硬化促進剤(1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5)2.8部添加し攪拌混合した後に取り出した。
【0039】
得られたウレタンプレポリマーの粘度は、2,020dPa−s/25℃であった。この物のNCO/OH当量比は、1.50である。
[実施例4]
攪拌機、温度計、ガス導入口などを付与した2リットルのガラス製反応容器にポリプロピレングリコール(数平均分子量2,000、OH価56)671部と1,4ブタンジオールとアジピン酸からなる二官能ポリエステルジオール(数平均分子量2,000、OH価56)168部を仕込み、加熱減圧して脱水処理後、乾燥窒素ガスを導入し常圧に戻しながら内温を90〜100℃とする。予め加温熔融した4,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネート)を157部仕込み100℃で2時間攪拌反応させた。反応終了後40℃以下に冷却しアミン系硬化促進剤(1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5)2.8部添加し攪拌混合した後に取り出した。
【0040】
得られたウレタンプレポリマーの粘度は、2,340dPa−s/25℃であった。この物のNCO/OH当量比は、1.50である。
[実施例5]
攪拌機、温度計、ガス導入口などを付与した2リットルのガラス製反応容器にポリプロピレングリコール(数平均分子量2,000、OH価56)629部と1,4ブタンジオールとアジピン酸からなる二官能ポリエステルジオール(数平均分子量2,000、OH価56)210部を仕込み、加熱減圧して脱水処理後、乾燥窒素ガスを導入し常圧に戻しながら内温を90〜105℃とする。予め加温熔融した4,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネート)を157部仕込み100℃で3時間攪拌反応させた。反応終了後40℃以下に冷却しアミン系硬化促進剤(1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5)2.8部添加し攪拌混合した後に取り出した。
【0041】
得られたウレタンプレポリマーの粘度は、2,650dPa−s/25℃であった。この物のNCO/OH当量比は、1.49である。
【0042】
[比較例1]
攪拌機、温度計、ガス導入口などを付与した2リットルのガラス製反応容器にポリエチレングリコール(数平均分子量2,000、OH価56)620部と1,4ブタンジオールとアジピン酸からなる二官能ポリエステルジオール(数平均分子量500、OH価235)148部を仕込み、加熱減圧して脱水処理後、窒素ガスを導入し内温を90〜100℃とする。予め加温熔融した4,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネート)を232部仕込み100℃で2時間攪拌反応させた。反応終了後40℃以下に冷却しアミン系硬化促進剤(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン)3.0部添加し攪拌混合した後に取り出した。
【0043】
得られたウレタンプレポリマーは、25℃で固体であり、150dPa−s/100℃であった。
この物のNCO/OH当量比は、1.53である。
[比較例2]
攪拌機、温度計、ガス導入口などを付与した2リットルのガラス製反応容器にポリプロピレングリコール(数平均分子量2,000、OH価56)610部と1,4ブタンジオールとアジピン酸からなる二官能ポリエステルジオール(数平均分子量500、OH価235)152部を仕込み、加熱減圧して脱水処理後、窒素ガスを導入し内温を90〜100℃とする。予め加温熔融した4,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネート)を234部仕込み100℃で2時間攪拌反応させた。反応終了後40℃以下に冷却した後に取り出した。
【0044】
得られたウレタンプレポリマーは、25℃で900dPa−sであった。この物のNCO/OH当量比は、1.54である。
【0045】
[比較例3]
攪拌機、温度計、ガス導入口などを付与した2リットルのガラス製反応容器に二官能ポリエーテルポリオール(ポリテトラメチレングリコールとポリエチレングリコールの共重合ポリエーテルポリオール、数平均分子量1,800、OH価62)678部を仕込み、加熱減圧して脱水処理後、窒素ガスを導入し内温を90〜100℃とする。2,4−トリレンジイソシアネートを102部仕込み内温90〜100℃で3時間攪拌反応させた。反応終了後40℃以下に冷却しアミン系硬化促進剤(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン)3.0部添加し攪拌混合した後に取り出した。
【0046】
得られたウレタンプレポリマーは、25℃で340dPa−sであった。この物のNCO/OH当量比は、1.56である。
【0047】
[比較例4]
攪拌機、温度計、ガス導入口などを付与した2リットルのガラス製反応容器にポリプロピレングリコール(数平均分子量2,000、OH価56)420部と1,4ブタンジオールとアジピン酸からなる二官能ポリエステルジオール(数平均分子量500、OH価235)279部を仕込み、加熱減圧して脱水処理後、窒素ガスを導入し内温を90〜100℃とする。予め加温熔融した4,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネート)を298部仕込み90〜100℃で2時間攪拌反応させた。反応終了後40℃以下に冷却しアミン系硬化促進剤(1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5)3.0部添加し攪拌混合した後に取り出した。
【0048】
得られたウレタンプレポリマーは、25℃で940dPa−sであった。この物のNCO/OH当量比は、1.55である。
[比較例5]
攪拌機、温度計、ガス導入口などを付与した2リットルのガラス製反応容器にポリテトラメチレングリコール(数平均分子量2,000、OH価55)616部と1,4ブタンジオールとアジピン酸からなる二官能ポリエステルジオール(数平均分500、OH価235)149部を仕込み、加熱減圧して脱水処理後、乾燥窒素ガスを導入し常圧に戻しながら内温を90〜100℃とする。予め加温熔融した4,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネート)を235部仕込み100℃で2.5時間攪拌反応させた。反応終了後40℃以下に冷却し、アミン系硬化促進剤(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン)を3.0部添加し攪拌混合した後に取り出した。
【0049】
得られたウレタンプレポリマーは、25℃で固体であり、630dPa−s/100℃であった。この物のNCO/OH当量比は、1.55である。
[比較例6]
攪拌機、温度計、ガス導入口などを付与した2リットルのガラス製反応容器にポリプロピレングリコール(数平均分子量2,000、OH価56)610部と1,4ブタンジオールとアジピン酸からなる二官能ポリエステルジオール(数平均分子量500、OH価235)152部を仕込み、加熱減圧して脱水処理後、窒素ガスを導入し内温を90〜100℃とする。予め加温熔融した4,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネート)を234部仕込み100℃で2時間攪拌反応させた。反応終了後40℃以下に冷却し亜鉛系硬化促進剤(オクチックス亜鉛)3.0部添加し攪拌混合した後に取り出した。
【0050】
得られたウレタンプレポリマーの粘度は、990dPa−s/25℃であった。この物のNCO/OH当量比は、1.54である。
【0051】
実施例1〜5及び比較例1〜6で得られたウレタンプレポリマーを評価する為に以下の測定を実施した。
〔樹脂性状〕25℃及び100℃における粘度を測定した。(JIS K7117に準拠)
〔発泡性〕PET上に厚み100ミクロンになるようにウレタンプレポリマーを塗布し、温度40℃、湿度60%の恒温槽に24時間放置後のフィルム断面の外観を評価した。
○:均一な発泡層を確認 ×:発泡層は確認できない
〔透湿性試験〕ウレタンプレポリマーを離型紙上に塗布し、温度40℃、湿度60%の恒温槽に168時間放置後剥離して厚さ100ミクロンのフィルムを得た。これらのフィルムについてJIS L1099 A−1法に準じて透湿性を測定した。
〔耐加水分解性〕ウレタンプレポリマーを離型紙上に塗布し、温度40℃、湿度60%の恒温槽に168時間放置後剥離して厚さ100ミクロンのフィルムを得た。これらのフィルムについて温度70℃、湿度95%条件下で4週間放置後の耐加水分解性試験を行い、試験前のフイルム物性(100%伸張後のモジュラス)と比較した。
○:保持率80%以上 △:保持率80%未満50%以上
×:保持率50%未満
〔接着強度(ピール強度[N/25mm])〕:構成:PET/織布(綿布)
ウレタンプレポリマーをPETフィル上に100ミクロン塗工し、直ちに綿布を貼り合せ1kgローラで圧着し、温度40℃、湿度60%条件下にて7日間養成した後、25mm巾の短冊状の測定試料を作成し、300mm/minの速度で引張り接着強度を測定した。
【0052】
前記の実施例及び比較例の各ウレタンプレポリマーの成分配合割合及び性能評価結果を表−1にまとめた。
【0053】
前記の通り、実施例及び比較例の結果から、明らかなように、本発明に係るウレタンプレポリマーは接着強度、樹脂性状、透湿性、発泡性および耐加水分解性等の要求品質性状すべてを満たすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のウレタンプレポリマーは、接着剤、塗料、シーリング材料などの多方面の分野において用いることができ、有用な材料として産業上の利用可能性は極めて高い。
【0055】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリイソシアネートをNCO/OH当量比1.1〜3.0で反応させた後、アミン系硬化促進剤を0.01〜5質量%含有させてなるウレタンプレポリマーにおいて、ポリエーテルポリオール/ポリエステルポリオールの質量比が95/5〜75/25であり、前記ポリエーテルポリオールの主成分がポリテトラメチレングリコール−ポリエチレングリコール共重合体またはポリプロピレングリコールであることを特徴とする無溶剤系のウレタンプレポリマー。
【請求項2】
前記ポリエーテルポリオールの数平均分子量が500〜3000であり、前記ポリエステルポリオールの数平均分子量が300〜3000である請求項1記載のウレタンプレポリマー。
【請求項3】
前記ポリエステルポリオールが脂肪族ポリエステルポリオールである請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のウレタンプレポリマー。
【請求項4】
粘度が20,000dPa・s/25℃以下である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のウレタンプレポリマー。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のウレタンプレポリマーを、湿気により発泡させながら硬化させることを特徴とするウレタンプレポリマーの塗工方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のウレタンプレポリマーからなる接着剤。

【公開番号】特開2011−178826(P2011−178826A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41829(P2010−41829)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【出願人】(000238256)浮間合成株式会社 (99)
【Fターム(参考)】