説明

エアゾールバルブおよびエアゾール製品

【課題】 エアゾール製品の内容物がエアゾール製品の外部から内部にマウンテンカップのステム用孔を介して充填される場合に、マウンテンカップとカバーとの間に内容物が流入することを防止することができるエアゾールバルブを提供する。
【解決手段】 エアゾールバルブ30は、エアゾール製品10の内容物の噴射を行うためのステム70と、内容物を収納する容器20に取り付けられるためのマウンテンカップ40と、マウンテンカップ40が容器20に取り付けられた場合にマウンテンカップ40のうち容器20の内部側になる部分を覆う合成樹脂製のカバー50とを備えており、マウンテンカップ40は、ステム70が挿入される貫通孔であるステム用孔40aが形成されており、マウンテンカップ40は、ステム用孔40aの近傍でカバー50を挟み込んで固定しているカバー挟込部43を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール製品に使用されるエアゾールバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアゾールバルブとして、エアゾール製品の内容物の噴射を行うためのステムと、この内容物を収納する容器に取り付けられるためのマウンテンカップとを備えているものが知られている(特許文献1参照。)。このマウンテンカップは、ステムが挿入される貫通孔であるステム用孔が形成されている。また、マウンテンカップには、容器に取り付けられた場合に容器の内部側になる部分に樹脂被膜が設けられている。この樹脂被膜は、マウンテンカップを形成する金属が内容物によって腐食させられること、マウンテンカップを形成する金属が内容物に溶け出すことなど、マウンテンカップが内容物と触れることによって生じる不具合を防止するために設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−272681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の発明者は、マウンテンカップが内容物と触れることによって生じる不具合を、マウンテンカップとは別に製造された合成樹脂製のカバーによって防止することを考えた。しかしながら、本願の発明者は、マウンテンカップが容器に取り付けられた場合にマウンテンカップのうち容器の内部側になる部分を覆う合成樹脂製のカバーをエアゾールバルブが備えた場合、エアゾール製品の内容物がエアゾール製品の外部から内部にマウンテンカップのステム用孔を介して充填されるときに、マウンテンカップとカバーとの間に内容物が流入するという問題を発見した。
【0005】
そこで、本発明は、エアゾール製品の内容物がエアゾール製品の外部から内部にマウンテンカップのステム用孔を介して充填される場合に、マウンテンカップとカバーとの間に内容物が流入することを防止することができるエアゾールバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエアゾールバルブは、エアゾール製品の内容物の噴射を行うためのステムと、前記内容物を収納する容器に取り付けられるためのマウンテンカップと、前記マウンテンカップが前記容器に取り付けられた場合に前記マウンテンカップのうち前記容器の内部側になる部分を覆う合成樹脂製のカバーとを備えており、前記マウンテンカップは、前記ステムが挿入される貫通孔であるステム用孔が形成されており、前記マウンテンカップは、前記ステム用孔の近傍で前記カバーを挟み込んで固定しているカバー挟込部を備えていることを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明のエアゾールバルブは、マウンテンカップがステム用孔の近傍でカバーを挟み込んで固定しているので、エアゾール製品の内容物がエアゾール製品の外部から内部にステム用孔を介して充填される場合に、マウンテンカップとカバーとの間に内容物が流入することを防止することができる。
【0008】
また、本発明のエアゾールバルブの前記マウンテンカップは、前記ステム用孔を形成する端部である孔形成端部を備えており、前記孔形成端部は、前記カバー挟込部の一部を構成しており、前記カバー挟込部は、前記ステムの延在方向に前記孔形成端部が前記カバーを押し付けていることによって、前記カバーを挟み込んで固定していても良い。
【0009】
この構成により、本発明のエアゾールバルブは、孔形成端部がカバーとステムとの間でステムの延在方向と直交する方向にカバーを押し付けている構成と比較して、孔形成端部をエアゾール製品の内部から遠ざけることができるので、エアゾール製品の内容物が孔形成端部に触れることによって生じる不具合の発生を抑えることができる。
【0010】
また、本発明のエアゾールバルブの前記カバーは、前記マウンテンカップが前記容器に取り付けられた場合に前記容器および前記マウンテンカップの隙間を封ずるシール部を備えていても良い。
【0011】
この構成により、本発明のエアゾールバルブは、マウンテンカップがエアゾール製品の内容物と触れることによって生じる不具合だけでなく、エアゾール製品の容器と、マウンテンカップとの隙間を介してエアゾール製品の内容物がエアゾール製品の内部から外部に漏れ出すことも、同一のカバーによって防止することができる。
【0012】
また、本発明のエアゾール製品は、本発明のエアゾールバルブと、前記エアゾールバルブが取り付けられた前記容器とを備えていることを特徴とする。
【0013】
この構成により、本発明のエアゾール製品は、マウンテンカップがステム用孔の近傍でカバーを挟み込んで固定しているので、内容物が外部から内部にステム用孔を介して充填される場合に、マウンテンカップとカバーとの間に内容物が流入することを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のエアゾールバルブは、エアゾール製品の内容物がエアゾール製品の外部から内部にマウンテンカップのステム用孔を介して充填される場合に、マウンテンカップとカバーとの間に内容物が流入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係るエアゾール製品の側面断面図である。
【図2】カバーが取り付けられる前の図1に示すマウンテンカップの側面断面図である。
【図3】マウンテンカップに取り付けられる前の図1に示すカバーの側面断面図である。
【図4】(a)図2に示すマウンテンカップにカバーが押し込められた状態を示す図である。(b)図4(a)に示すマウンテンカップがプレス加工によって変形されている途中の状態を示す図である。
【図5】図2に示すマウンテンカップにカバーが取り付けられた状態を示す図である。
【図6】図1に示す例とは異なる例での本発明の一実施の形態に係るエアゾール製品の側面断面図である。
【図7】図6に示す例においてマウンテンカップにカバーが取り付けられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
まず、本実施の形態に係るエアゾール製品の構成について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係るエアゾール製品10の側面断面図である。
【0019】
図1に示すように、エアゾール製品10は、内容物を収納する容器20と、容器20に取り付けられたエアゾールバルブ30と、エアゾールバルブ30に取り付けられた合成樹脂製のボタン90とを備えている。
【0020】
以下において、容器20と、エアゾールバルブ30とによって囲まれた空間を容器内空間10aという。
【0021】
容器20は、金属製であり、内面に樹脂被膜が設けられている。容器20は、開口21の周囲に形成されたビード部22を有している。容器20の内容物には、例えば液体状態のガスなどの噴射剤も含まれている。以下においては、粉末と、噴射剤である液体状態のガスとが内容物である例について説明する。
【0022】
エアゾールバルブ30は、容器20に取り付けられるための金属製のマウンテンカップ(Mounting Cup)40と、マウンテンカップ40が容器20に取り付けられた場合にマウンテンカップ40のうち容器20の内部側になる部分を覆う合成樹脂製のカバー50と、容器20の内部側でマウンテンカップ40に固定されている合成樹脂製のハウジング60と、内容物の噴射を行うための合成樹脂製のステム70と、マウンテンカップ40およびハウジング60に挟まれていてステム70が挿入されているゴム製のステムラバー81と、ハウジング60に収納されて容器20の外部側に向けてステム70を付勢する金属製のスプリング82と、容器20の内部でハウジング60に取り付けられた合成樹脂製のパイプ83とを備えている。
【0023】
以下において、ハウジング60と、ステム70と、ステムラバー81とによって囲まれた空間をバルブ内空間10bという。
【0024】
マウンテンカップ40は、ステム70が挿入される貫通孔であるステム用孔40aが中央に形成されている。マウンテンカップ40は、カバー50を挟んで容器20のビード部22に取り付けられる容器取付部41と、中央に設けられていてハウジング60を保持するハウジング保持部42と、ステム用孔40aの近傍でカバー50を挟み込んで固定しているカバー挟込部43とを備えている。
【0025】
カバー挟込部43は、ステム用孔40aを形成する端部である孔形成端部43aと、ハウジング保持部42および孔形成端部43aを接続して孔形成端部43aとともにカバー50を挟み込む挟込接続部43bとを備えている。カバー挟込部43は、ステム70の延在方向である矢印30aで示す方向に孔形成端部43aがカバー50を押し付けていることによって、カバー50を挟み込んで固定している。
【0026】
カバー50は、マウンテンカップ40のカバー挟込部43に挟み込まれる端部である被挟込端部51と、マウンテンカップ40が容器20に取り付けられた場合に容器20およびマウンテンカップ40の隙間を封ずる端部であるシール部52とを備えている。
【0027】
ハウジング60は、マウンテンカップ40のハウジング保持部42によって保持されている部分に形成されたスリット60aと、気化したガスを流通させるために容器内空間10aおよびバルブ内空間10bを連通させるベーパータップ孔60bと、液体状態のガスおよび粉末を流通させるためにバルブ内空間10bおよびパイプ83の流路83aを連通させる主孔60cとが形成されている。ハウジング60は、ハウジング60およびステム70の間に流路を形成するために放射状に複数設けられたリブ61を備えている。なお、ステム70が押し下げられていないとき、バルブ内空間10bには、容器内空間10a内で気化してベーパータップ孔60bを介して導入されたガスが充満している。
【0028】
ステム70は、容器20の内容物を容器20の外部に噴出するための非貫通の噴出孔71と、噴出孔71に連通しているステム孔72とを備えている。
【0029】
ステムラバー81は、矢印30aで示す方向に貫通してステム70が挿入されている孔81aが形成されている。
【0030】
ボタン90は、利用者によって押されるための操作部91と、エアゾールバルブ30のステム70に取り付けられるステム取付部92とを備えている。ボタン90は、ステム取付部92が取り付けられたステム70から噴射された内容物を外部に噴射するための噴射孔90aが形成されている。
【0031】
次に、マウンテンカップ40へのカバー50の取り付け方法について説明する。
【0032】
図2は、カバー50が取り付けられる前のマウンテンカップ40の側面断面図である。図3は、マウンテンカップ40に取り付けられる前のカバー50の側面断面図である。図4(a)は、マウンテンカップ40にカバー50が押し込められた状態を示す図である。図4(b)は、マウンテンカップ40がプレス加工によって変形されている途中の状態を示す図である。図5は、マウンテンカップ40にカバー50が取り付けられた状態を示す図である。
【0033】
図2に示すマウンテンカップ40に図3に示すカバー50が押し込められると、カバー50がその柔軟性によって変形するので、マウンテンカップ40およびカバー50は、図4(a)に示す状態になる。
【0034】
次いで、マウンテンカップ40の孔形成端部43aが挟込接続部43bに近付くとともに、挟込接続部43bがハウジング保持部42に近付くように、孔形成端部43aおよび挟込接続部43bがプレス加工によって変形されると、マウンテンカップ40およびカバー50は、図4(b)に示す状態になった後、最終的に図5に示す状態になる。
【0035】
最後に、カバー50のうち、例えば、マウンテンカップ40の容器取付部41に接触する部分と、マウンテンカップ40の容器取付部41およびハウジング保持部42の略中間の部分に接触する部分との少なくとも2か所が加熱されることによってマウンテンカップ40に溶着される。
【0036】
次に、エアゾールバルブ30の製造方法について説明する。
【0037】
図5に示す状態であるマウンテンカップ40およびカバー50は、マウンテンカップ40のハウジング保持部42がカシメられることによって、ステム70、ステムラバー81およびスプリング82を収納しているハウジング60を保持する。ここで、カバー50は、その柔軟性によってマウンテンカップ40の変形とともに変形する。そして、ハウジング60にパイプ83が取り付けられる。以上のようにして、エアゾールバルブ30は製造される。
【0038】
次に、エアゾール製品10の製造方法について説明する。
【0039】
以上のようにして製造されたエアゾールバルブ30は、マウンテンカップ40の容器取付部41がカシメられることによって、容器20のビード部22に取り付けられる。ここで、カバー50は、その柔軟性によってマウンテンカップ40の変形とともに変形する。
【0040】
そして、マウンテンカップ40のステム用孔40aと、ステム70との間から液体状態のガスおよび粉末が内容物として導入されると、導入された液体状態のガスおよび粉末の圧力によってステムラバー81が押し下がり、カバー50と、ステムラバー81との間に空間が生じる。
【0041】
したがって、マウンテンカップ40のステム用孔40aと、ステム70との間から導入された液体状態のガスおよび粉末は、カバー50と、ステムラバー81との間に生じた空間と、ハウジング60のスリット60aとを介して、容器内空間10aに充填される。
【0042】
なお、マウンテンカップ40がステム用孔40aの近傍でカバー50を挟み込んで固定しているので、エアゾール製品10の内容物は、エアゾール製品10の外部から内部にステム用孔40aを介して充填される場合に、マウンテンカップ40とカバー50との間に流入することがない。
【0043】
最後に、エアゾールバルブ30のステム70にボタン90が取り付けられる。以上のようにして、エアゾール製品10は製造される。
【0044】
次に、エアゾール製品10の使用方法について説明する。
【0045】
ボタン90は、利用者によって操作部91が押し下げられると、エアゾールバルブ30のステム70をスプリング82に抗して押し下げる。
【0046】
ステム70が押し下げられると、孔81aを形成する部分でステム70に接触しているステムラバー81がステム70の移動に伴って変形することによって、ステムラバー81によるステム孔72の封が解除される。
【0047】
ステムラバー81によるステム孔72の封が解除されて、ステム孔72がバルブ内空間10bと、噴出孔71とを連通させると、バルブ内空間10bに充満していたガスがステム孔72を介して噴出孔71から噴出する。噴出孔71から噴出したガスは、ボタン90の噴射孔90aを介してエアゾール製品10の外部に噴射される。
【0048】
バルブ内空間10bに充満していたガスがステム孔72を介して噴出孔71から噴出すると、バルブ内空間10bの圧力が減少することによって、液体状態のガスおよび粉末がパイプ83の流路83aおよびハウジング60の主孔60cを介してバルブ内空間10b内に導入されるとともに、容器内空間10a内で気化したガスもハウジング60のベーパータップ孔60bを介してバルブ内空間10b内に導入される。そして、バルブ内空間10b内に導入されたガスおよび粉末は、互いに混ぜ合わされてステム孔72を介して噴出孔71から噴出する。噴出孔71から噴出したガスおよび粉末は、ボタン90の噴射孔90aを介してエアゾール製品10の外部に噴射される。
【0049】
このようにして、エアゾール製品10の内容物である粉末は、ボタン90の噴射孔90aを介してエアゾール製品10の外部に噴射される。
【0050】
以上に説明したように、エアゾール製品10およびエアゾールバルブ30は、マウンテンカップ40がステム用孔40aの近傍でカバー50を挟み込んで固定しているので、エアゾール製品10の内容物がエアゾール製品10の外部から内部にステム用孔40aを介して充填される場合に、マウンテンカップ40とカバー50との間に内容物が流入することを防止することができる。
【0051】
なお、合成樹脂製のカバー50は、マウンテンカップ40が容器20に取り付けられた場合にマウンテンカップ40のうち容器20の内部側になる部分を覆っているので、マウンテンカップ40を形成する金属がエアゾール製品10の内容物によって腐食させられること、マウンテンカップ40を形成する金属がエアゾール製品10の内容物に溶け出すことなど、マウンテンカップ40がエアゾール製品10の内容物と触れることによって生じる不具合を防止することができる。
【0052】
エアゾール製品10およびエアゾールバルブ30は、マウンテンカップ40が容器20に取り付けられた場合に容器20およびマウンテンカップ40の隙間を封ずるシール部52をカバー50が備えているので、マウンテンカップ40がエアゾール製品10の内容物と触れることによって生じる不具合だけでなく、エアゾール製品10の容器20と、マウンテンカップ40との隙間を介してエアゾール製品10の内容物がエアゾール製品10の内部から外部に漏れ出すことも、同一のカバー50によって防止することができる。
【0053】
なお、エアゾール製品10およびエアゾールバルブ30は、マウンテンカップ40が容器20に取り付けられた場合に容器20およびマウンテンカップ40の隙間を封ずるシール部材を、カバー50とは別に備えるようになっていても良い。
【0054】
エアゾール製品10およびエアゾールバルブ30は、ステム70の延在方向である矢印30aで示す方向にマウンテンカップ40の孔形成端部43aがカバー50を押し付けていることによって、カバー挟込部43がカバー50を挟み込んで固定しているので、孔形成端部43aがカバー50とステム70との間でステム70の延在方向と直交する方向にカバー50を押し付けている構成と比較して、孔形成端部43aをエアゾール製品10の内部から遠ざけることができる。したがって、エアゾール製品10およびエアゾールバルブ30は、孔形成端部43aがカバー50とステム70との間でステム70の延在方向と直交する方向にカバー50を押し付けている構成と比較して、エアゾール製品10の内容物が孔形成端部43aに触れることによって生じる不具合の発生を抑えることができる。
【0055】
なお、エアゾール製品10およびエアゾールバルブ30は、ステム70の延在方向に孔形成端部43aがカバー50を押し付けている構成でなくても良い。例えば、エアゾール製品10およびエアゾールバルブ30は、図6および図7に示すように、孔形成端部43aがカバー50とステム70との間でステム70の延在方向と直交する方向にカバー50を押し付けている構成であっても良い。
【0056】
図6は、図1に示す例とは異なる例での本発明の一実施の形態に係るエアゾール製品10の側面断面図である。図7は、図6に示す例においてマウンテンカップ40にカバー50が取り付けられた状態を示す図である。
【0057】
図6および図7に示すマウンテンカップ40は、ステム70の延在方向と直交する方向に孔形成端部43aがカバー50を押し付けていることによって、カバー挟込部43がカバー50を挟み込んで固定している。すなわち、図6および図7に示すエアゾール製品10およびエアゾールバルブ30は、孔形成端部43aがカバー50とステム70との間でステム70の延在方向と直交する方向にカバー50を押し付けていることによって、カバー挟込部43がカバー50を挟み込んで固定している。
【0058】
ここで、カバー挟込部43が図6に示すような構成である場合、マウンテンカップ40のうちステム用孔40aを形成する面は、例えば、ステム70の移動に伴ってステムラバー81が変形したときなどに、ステムラバー81に接触する可能性がある。したがって、図6に示すエアゾール製品10は、ステムラバー81を透過したエアゾール製品10の内容物とマウンテンカップ40が触れる可能性が、図1に示すエアゾール製品10と比較して高い。すなわち、図6に示すエアゾール製品10は、エアゾール製品10の内容物がマウンテンカップ40に触れることによって生じる上述した不具合が発生する可能性が、図1に示すエアゾール製品10と比較して高い。
【0059】
なお、マウンテンカップ40のうちステム用孔40aを形成する面は、マウンテンカップ40が金属板から切断された後でプレス加工によって製造される場合に、切断面である。したがって、マウンテンカップ40が切断される前の金属板の表面に樹脂被膜が設けられていたとしても、切断面には樹脂被膜が設けられていない。すなわち、マウンテンカップ40のうちステム用孔40aを形成する面は、マウンテンカップ40が金属板から切断された後でプレス加工によって製造される場合に、エアゾール製品10の内容物と触れることによって上述した不具合が生じ易い。
【符号の説明】
【0060】
10 エアゾール製品
20 容器
30 エアゾールバルブ
40 マウンテンカップ
40a ステム用孔
43 カバー挟込部
43a 孔形成端部
50 カバー
52 シール部
70 ステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール製品の内容物の噴射を行うためのステムと、前記内容物を収納する容器に取り付けられるためのマウンテンカップと、前記マウンテンカップが前記容器に取り付けられた場合に前記マウンテンカップのうち前記容器の内部側になる部分を覆う合成樹脂製のカバーとを備えており、
前記マウンテンカップは、前記ステムが挿入される貫通孔であるステム用孔が形成されており、
前記マウンテンカップは、前記ステム用孔の近傍で前記カバーを挟み込んで固定しているカバー挟込部を備えていることを特徴とするエアゾールバルブ。
【請求項2】
前記マウンテンカップは、前記ステム用孔を形成する端部である孔形成端部を備えており、
前記孔形成端部は、前記カバー挟込部の一部を構成しており、
前記カバー挟込部は、前記ステムの延在方向に前記孔形成端部が前記カバーを押し付けていることによって、前記カバーを挟み込んで固定していることを特徴とする請求項1に記載のエアゾールバルブ。
【請求項3】
前記カバーは、前記マウンテンカップが前記容器に取り付けられた場合に前記容器および前記マウンテンカップの隙間を封ずるシール部を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエアゾールバルブ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れかに記載のエアゾールバルブと、前記エアゾールバルブが取り付けられた前記容器とを備えていることを特徴とするエアゾール製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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