説明

エアフィルター用非ハロゲン難燃濾材

【課題】エアフィルターの圧力損失、粉塵捕集効率や強度といった一般的なフィルター特性を維持しつつ、かつ難燃性を有しながらも燃焼時に有害物質を発生せず安全に焼却処分できる濾材を提供する。
【解決手段】少なくとも2種類のポリオレフィン系シートが熱接着されており、かつ少なくとも1種類のシート部に、N−アルコキシヒンダードアミン系化合物とフォスファゼン系化合物の混合体である非ハロゲン系難燃剤を1.0〜3.0重量%含有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルター、特にJIS B 9908:2001で規定されている性能評価方法のうち、形式2の方法において50%から99%の粒子捕集効率を発現するフィルターユニットに用いられる濾材において、粉塵捕集性能を有しつつ濾材剛性を有し、難燃性に優れ、且つ焼却可能な難燃濾材に関するものであり、特に非ハロゲン難燃濾材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、エアフィルターの安全性の観点から使用されるエアフィルター用の濾材は難燃性の付与の要望が高くなっている。しかしながら、主に用いられているハロゲン系難燃剤は燃焼時に発生する臭化水素や塩化水素などの酸性ガスだけでなく、最近はダイオキシンの発生についても問題視されている。そのため非ハロゲン難燃剤を用いた濾材に関して種々の検討されている。
【0003】
たとえば、セルロースを主体とした繊維にリン酸塩を主体とした難燃剤が添加された熱溶融性樹脂を混ぜてシート化されたフィルターがある(例えば、特許文献1)。
またハロゲンを含有しないポリエステル繊維を主成分としてイソシアナート系樹脂で結着したシートがある(例えば、特許文献2)。
さらにポリオレフィン系の繊維シートを使用した例としてN−アルコキシヒンダードアミン誘導体に所定量のアリールフォスファイトが含有された樹脂組成物をメッシュシート状にして難燃性を得て他の不織布と積層して複合シート化しているもの(例えば、特許文献3)や、荷電されたポリプロピレン系不織布にメラミンリン酸塩を含有したポリオレフィン系ネットを接合したシートで難燃性と濾材としての性能を両立したものがある(例えば、特許文献4)。
非ハロゲン難燃剤に限定されていないが、一方を荷電されたポリプロピレン系シートと通気性を有する2種の積層されたシートの間に難燃剤を含有した濾材も検討されている(例えば、特許文献5)。
さらには2層の積層濾材であるが下流側にポリオレフィン系の芯鞘繊維と不燃性のマイクロガラス繊維を混抄したシートを積層したものもある(例えば、特許文献6)。
【0004】
特にビルの外気取入口に取り付ける空調用の中性能フィルターは、低い圧力損失やある一定のJISに基づく粒子捕集効率および寿命特性としての粉塵保持特性も必要となる。さらに付着した粉塵や難燃成分が再飛散しないことや、サーマルリサイクルが可能なように焼却処分が容易なことも必要である。特許文献1ではリン酸塩系の難燃剤を用いているためリン酸塩が再飛散する可能性があり、特許文献2ではポリエステルを主体としたシートであるため荷電することが出来ず、希望とする捕集効率を得ようとする場合に濾材の目付や密度を上げる必要があり、結果として圧力損失が高くなる問題を有している。さらに、特許文献3、4については構造部材に難燃化されたネットを用いているため空調用の高い風速で用いた場合濾材の剛性がなく、変形して効率低下や圧力損失の上昇、寿命の低下の可能性がある。特許文献5では実際に非ハロゲン系難燃剤を用いた場合、従来のハロゲン系難燃剤に比べて難燃付与が弱く、難燃性を発現するのにかなりの量の難燃剤が必要となる。そのため結果として濾材の圧力損失が上昇する可能性がある。また、特許文献6においては相当量のガラス成分を含むため焼却が困難である。以上のように空調用フィルターとしての所定の濾過性能と寿命を維持しつつ難燃性を有しながらも燃焼時の有毒ガス発生がなく、添加物の再飛散の危険性がない濾材が得られていない。
【0005】
【特許文献1】特開平11−253717号公報
【特許文献2】特開2001−310106号公報
【特許文献3】特開2003−292688号公報
【特許文献4】特開2004−181354号公報
【特許文献5】特開2002−292214号公報
【特許文献6】特開2007−144415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はエアフィルターの圧力損失、粉塵捕集効率や強度といった一般的なフィルター特性を維持しつつ、かつ難燃性を有しながらも燃焼時に有害物質を発生せず安全に焼却処分できる濾材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み、鋭意検討した結果得られたものである。すなわち本発明は、以下の通りである。
1.少なくとも2種類のポリオレフィン系シートが熱接着されており、かつ少なくとも1種類のシート部に非ハロゲン系難燃剤としてN−アルコキシヒンダードアミン系化合物とフォスファゼン系化合物の混合体を1.0〜3.0重量%を含有しているエアフィルター用非ハロゲン難燃濾材。
2.非ハロゲン系難燃剤を含有しているシート部がポリピプロピレン繊維とポリエチレン繊維とによって融着して構成されている上記1に記載のエアフィルター用非ハロゲン難燃濾材。
3.非ハロゲン系難燃剤を含有しているシート部が非ハロゲン系難燃剤を含有していないシート部の1.0〜5.0倍の重量を有している上記1または2に記載のエアフィルター用非ハロゲン難燃濾材。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、エアフィルターの圧力損失、粉塵捕集効率や強度といった一般的なフィルター特性を維持しつつ、フィルターの製造や使用時に必要である適度な強度を得ることが出来、かつ難燃性を有しながらも燃焼時に有害物質を発生せず安全に焼却処分できる濾材を提供出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は少なくとも2種類のポリオレフィン系シートが熱接着されており、かつ1種類のシート部に非ハロゲン系難燃剤を含有しているエアフィルター用非ハロゲン難燃濾材である。ここで用いるポリオレフィン系シートとは、いずれの層においても原料がポリプロピレンを主成分として構成され、シート化したものが好ましく、そのうち非ハロゲン系難燃剤をふくむ層がポリプロピレン繊維と接合成分としてポリエチレンをふくむ層から構成されているものが好ましい。この組成によって主原料が炭素と水素のみで構成されるため燃焼時に発生するガスに有害成分が含まれない。しかし、少なくとも2種類のシートが熱接着されていて、少なくとも1種類のシートに非ハロゲン難燃剤を含有し、残りのシートには難燃剤を含んでいないことが濾材としての除塵性能を発現する上で好ましい。
【0010】
非ハロゲン難燃剤を含有するシートは濾材を構成するための構造部材となる部分で、濾材の形態を維持することが出来る強度と通気した場合の圧力損失が適度である必要がある。そのため、主繊維部がポリプロピレン繊維であり、該繊維がポリエチレンによって融着して構成されていることが好ましい。融着の方法は、ポリプロピレン繊維とポリエチレン樹脂とを熱融着によりシート化する方法、ポリプロピレンを芯成分に、ポリエチレンを鞘成分にした芯鞘複合繊維を用いる方法の他、ポリプロピレン短繊維ウェブにポリエチレン樹脂粉末を適当な比率で混合して熱セットする方法、該ポリプロピレン短繊維ウェブにポリエチレンシートをお互いに多重積層し、熱セットする方法、該ポリプロピレン短繊維とポリエチレン短繊維と液層で混合し湿式抄紙する方法がある。
【0011】
中でもポリプロピレンを芯成分に、ポリエチレンを鞘成分にした芯鞘複合繊維を用い、ウェブ状にしてからシート化することが融着特性と工程の合理性の観点から好適に用いられる。
該芯鞘複合繊維はシートの強度と圧力損失を考慮した場合、2.2〜22dtexの繊維を用いることが好ましく、22dtexより繊度の大きいものである場合、難燃剤を含有した場合の融着強度が低下するためシートの強度が弱くなり好ましくない。また2.2dtex未満である場合、繊維直径が細くなるためシートにした場合の圧力損失が高くなり好ましくない。
【0012】
主成分のポリプロピレン繊維と接着成分としてのポリエチレンとの比率は配合の方法により様々であるが充分な接着性を得るためにはポリプロピレン繊維とポリエチレンが重量比で1:4〜4:1に調整されることが望ましい。また、接合成分として他の素材、たとえばポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体などがあるが、ポリプロピレン繊維との接着性が悪く、剥離しやすい欠点を有しており好ましくない。
【0013】
本発明の濾材において難燃剤を含有するシートに含まれる難燃剤は、下記化学式1で表されるフォスファゼン化合物や下記化学式2で表されるN−アルコキシヒンダードアミン化合物の混合体からなる難燃剤がポリオレフィン系シートの難燃性とシートの強度を付与する上で特に好適に使用される。
【0014】
【化1】

【0015】
【化2】

【0016】
該難燃剤は一般に市販されているものでよいが、シートの重量に対して1.0〜3.0重量%、好ましくは1.5〜2.5重量%含有することで繊維シートを保持する接合性と難燃性を維持することができる。難燃剤の量が1.0重量%未満である場合、期待する難燃性が得られなくなり、半面3.0重量%より大きい場合はシート化する場合の熱融着性が悪化し、期待するシート強度が得られなくなり、好ましくない。
【0017】
難燃剤をシートに混入する方法としては、事前にポリプロピレンポリマー混ぜて紡糸する方法や難燃剤を繊維に含浸塗布する方法、接着剤となるポリエチレンに混ぜて使用する方法があるが特に限定されない。
【0018】
さらに本発明の濾材では少なくとも1種類の難燃剤を含まないシートが必要である。このシートは濾材において5μm以下の粉塵を効率的に捕集する微粉塵捕集層を形成するもので、捕集する効率の必要性に応じて適宜選択される。特に、使用初期において低い圧力損失に対して高い粉塵捕集効率が必要とされる場合、シートが荷電されたほうが好ましい。
【0019】
難燃剤を含まないシートとしては荷電特性に優れるポリプロピレン繊維から構成されることが好ましい。形態としては公知のスパンボンド不織布やメルトブロー不織布、湿式抄紙からなる紙状物で厚み0.1〜0.5mmのものであることが、ひだ折り状のエアフィルターを作る上から好ましい。
【0020】
シートの荷電は特に公知の方法によるものでかまわないが、濾材の捕集性能を保持するためには難燃剤を含む層との熱融着によって積層された後に荷電することが好ましい。
【0021】
本発明の濾材においては非ハロゲン難燃剤を含む層と含まない層が熱融着することによって構成されているが、非ハロゲン系難燃剤を含有しているシート部は含有していないシートの1.0倍以上5.0倍以下、好ましく1.2倍から4.5倍の重量を有していることが濾材の難燃性を維持する上で好ましい。非ハロゲン系難燃剤を含有しているシート部の量が含有していないシート量の1.0倍未満である場合、充分な難燃性を得ることが出来ず、5.0倍より大きい場合、難燃性が充分得られるものの、濾材の構造を保持する部分が相対的に大きくなるため濾材の圧力損失が大きくなるか、微粉塵の捕集効率が悪化するため好ましくない。
【0022】
非ハロゲン難燃剤を含む層と含まない層が相互に熱融着する方法は、非ハロゲン難燃剤とポリエチレンをふくむ層がウェブを形成し、含まないシートと積層して熱プレスする方法が好適に用いられる。また、該2層の積層物の間に粉末ポリエチレン樹脂を散布して熱プレスする方法やポリエチレンシートを該2層の層間に挿入して熱プレスする方法がある。また。融着前のウェブは密度が極端に低くハンドリングが悪いため、ハンドリング用にさらに1種類のシートを使用し、積層してもよい。このシートは濾材としての性能を損なわない程度に低い目付と厚みを有し、低い圧力損失であることが好まれ、特に目付15g/m以下のポリプロピレンで構成されたスパンボンド不織布が好適である。さらに該シートは難燃剤を含んでいても含まなくても良いが、ウェブとの合計の重量に対して1.0〜3.0重量%の範囲に調整される必要がある。熱プレスする方法はポリエチレンの溶融温度以上、ポリプロピレンの溶融温度未満の雰囲気で加熱圧着することによって行われる。プレスはカレンダーロールによる方法、フェルトカレンダーによる方法など加熱プレスする方法であれば特に限定されない。
【実施例】
【0023】
次に実施例、比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、測定方法は下記の方法で実施した。
(1)目付(g/m
200mm角の寸法で切り出し、秤量して寸法で除した。
(2)厚み(mm)
荷重0.7kPaの厚みを読み取った。
(3)引張強度(N/cm)
濾材の長手方向および巾方向に長さ200mm、巾50mmで各3点サンプリングし、引張試験機にて引張速度100mm/minで引張り、破断時の強度を測定した。
(4)剥離強度(N/cm)
濾材の長手方向および巾方向に長さ200mm、巾50mmで各3点サンプリングした。濾材構成成分の微粉塵捕集層を一方の側80mmを残す状態で剥離し、剥離されていない側に長さ200mm、巾50mm、厚さ1mmのステンレス板をあて、剥離した微粉塵捕集層とステンレス板があてっている剥離された層とに20mmのチャックを用いてサンプルを挟んだ。引張試験機にて引張速度100mm/minで引張り、60mm剥離したときの平均強度を測定した。
(5)濾材圧力損失(Pa)
有効直径5cmのカラムに濾材を装てんし、風速10cm/sのときの上下流の差圧を測定した。
(6)濾材の粒子捕集効率(%)
測定時に上下流の空気をサンプリングし、パーティクルカウンター(商品名「KC−01B」リオン社製)で粒子径0.3〜0.5μmの粒子数を計測し、上流側の粒子数から下流側の粒子数を引いた値に上流側の粒子数で除して100を掛けて捕集効率とした。
(7)燃焼性試験
JIS L 1091 A−1法に準じて残炎時間(秒)と燃焼面積(cm)を測定し、区分を決定した。
【0024】
以下実施例中および比較例で使用している難燃剤を以下に示した。
(1)非ハロゲン系難燃剤A
フォスファゼン系難燃剤(KEMIDANT 302S(商品名)、(1,1,3,3,5,5−ヘキサ(アリールオキシ)シクロトリホスファゼン)、ケミプロ化成(株)製)
(2)非ハロゲン系難燃剤B
N−アルコキシヒンダードアミン系難燃剤、FLAMESTAB NOR 116(商品名)チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
(3)非ハロゲン系難燃剤C
イントメッセント系難燃剤 アデカスタブFP2200(商品名)アデカ社製
【0025】
以下実施例中および比較例で用いたシートの荷電方法を以下に示した。
(1)荷電装置
アース側:アルミ板に厚さ2mmのシリコンシートを敷設した。
電極側:針間隔10mmの針電極
電極−アース間距離:針先端からシリコンシートまで10mm
(2)荷電方法
印加電圧:20kV
荷電時間:30秒
【0026】
<実施例1>
ハンドリング用の繊度5.5dtex、目付12g/mのポリプロピレンスパンボンド30cm角の上に、非ハロゲン系難燃剤A1.5重量%、非ハロゲン系難燃剤B0.5重量%を含有するポリプロピレン(芯成分)/ポリエチレン(鞘成分)(ポリプロピレン:ポリエチレン重量比は1:1)で構成される3.3dtex、長さ64mmの短繊維を開繊し、カード機を通して目付80g/mのウェブ(部)を作成した。該短繊維ウェブ30cm角に、繊度2.2dtex、目付25g/mのポリプロピレンスパンボンド30cm角(II部)を置き、積層体とした。該積層体を温度145℃、プレスギャップ0.8mmに設定された熱プレス機にセットし、4.9MPaの圧力で2分間プレスし、熱接着を行った。得られたシートは、II部側をシリコンシート側に置き、シートを荷電処理した。
【0027】
<実施例2>
ハンドリング用の繊度5.5dtex、目付12g/mのポリプロピレンスパンボンド30cm角の上に、非ハロゲン系難燃剤A1.5重量%、非ハロゲン系難燃剤B0.5重量%を含有するポリプロピレン(芯成分)/ポリエチレン(鞘成分)(ポリプロピレン:ポリエチレン重量比は1:1)で構成される3.3dtex、長さ64mmの短繊維を開繊し、カード機を通して目付60g/mのウェブ(I部)を作成した。該短繊維ウェブ30cm角に、平均繊維直径3.5μm、目付22g/mのポリプロピレンメルロブロー不織布30cm角(II部)を置き、積層体とした。該積層体を温度145℃、プレスギャップ0.5mmに設定された熱プレス機にセットし、4.9MPaの圧力で2分間プレスし、熱接着を行った。得られたシートは、II部側をシリコンシート側に置き、シートを荷電処理した。
【0028】
<実施例3>
ハンドリング用の繊度5.5dtex、目付12g/mのポリプロピレンスパンボンド30cm角の上に、非ハロゲン系難燃剤A1.5重量%、非ハロゲン系難燃剤B0.5重量%を含有するポリプロピレン(芯成分)/ポリエチレン(鞘成分)(ポリプロピレン:ポリエチレン重量比は1:1)で構成される3.3dtex、長さ64mmの短繊維を開繊し、カード機を通して目付60g/mのウェブ(I部)を作成した。該短繊維ウェブ30cm角を、平均繊維直径3.5μm、目付40g/mのポリプロピレンメルロブロー不織布30cm角(II部)を置き、積層体とした。該積層体を温度145℃、プレスギャップ0.5mmに設定された熱プレス機にセットし、4.9MPaの圧力で2分間プレスし、熱接着を行った。得られたシートは、II部側をシリコンシート側に置き、シートを荷電処理した。
【0029】
<実施例4>
非ハロゲン系難燃剤A1.5重量%、非ハロゲン系難燃剤B0.5重量%を含有する繊度3.3dtex、長さ64mmポリプリピレン短繊維を開繊し、カード機を通して目付10g/mのウェブを作成した。このウェブに非ハロゲン系難燃剤A1.5重量%、非ハロゲン系難燃剤B0.5重量%を含有するポリエチレン粉末を10g/mを篩によって散布し、粉末含有ウェブとした。該粉末含有ウェブを3層積層して30cm角に切り取り、ハンドリング用の繊度5.5dtex、目付12g/mのポリプロピレンスパンボンド30cm角の上に置き、ウェブ積層体(I部)とした。この上に平均繊維直径3.5μm、目付40g/mのポリプロピレンメルロブロー不織布30cm角(II部)を置き、積層体とした。該積層体を温度145℃、プレスギャップ0.5mmに設定された熱プレス機にセットし、4.9MPaの圧力で3分間プレスし、熱接着を行った。得られたシートは、II部側をシリコンシート側に置き、シートを荷電処理した。
【0030】
<比較例5>
ハンドリング用の繊度5.5dtex、目付12g/mのポリプロピレンスパンボンド30cm角の上に、非ハロゲン系難燃剤A1.5重量%、非ハロゲン系難燃剤B0.5重量%を含有するポリプロピレン(芯成分)/ポリエチレン(鞘成分)(ポリプロピレン:ポリエチレン重量比は1:1)で構成される3.3dtex、長さ64mmの短繊維をカード機に通して目付30g/mのウェブ(I部)を作成した。該短繊維ウェブ30cm角の上に、平均繊維直径3.5μm、目付40g/mのポリプロピレンメルロブロー不織布30cm角(II部)を置き、積層体とした。該積層体を温度145℃、プレスギャップ0.8mmに設定された熱プレス機にセットし、4.9MPaの圧力で2分間プレスし、熱接着を行った。得られたシートは、II部側をシリコンシート側に置き、シートを荷電処理した。
【0031】
<比較例1>
ハンドリング用の繊度5.5dtex、目付12g/mのポリプロピレンスパンボンド30cm角の上に、非ハロゲン系難燃剤A0.5重量%、非ハロゲン系難燃剤B0.15重量%を含有するポリプロピレン(芯成分)/ポリエチレン(鞘成分)(ポリプロピレン:ポリエチレン重量比は1:1)で構成される3.3dtex、長さ64mmの短繊維を開繊し、カード機を通して目付80g/mのウェブ(I部)を作成した。該短繊維ウェブ30cm角の上に、繊度2.2dtex、目付25g/mのポリプロピレンスパンボンド30cm角(II部)を置き、積層体とした。該積層体を温度145℃、プレスギャップ0.8mmに設定された熱プレス機にセットし、4.9MPaの圧力で2分間プレスし、熱接着を行った。得られたシートは、II部側をシリコンシート側に置き、シートを荷電処理した。
【0032】
<比較例2>
ハンドリング用の繊度5.5dtex、目付12g/mのポリプロピレンスパンボンド30cm角の上に、非ハロゲン系難燃剤A3.0重量%、非ハロゲン系難燃剤B1.0重量%を含有するポリプロピレン(芯成分)/ポリエチレン(鞘成分)(ポリプロピレン:ポリエチレン重量比は1:1)で構成される3.3dtex、長さ64mmの短繊維を開繊し、カード機を通して目付80g/mのウェブ(I部)を作成した。該短繊維ウェブ30cm角に、繊度2.2dtex、目付25g/mのポリプロピレンスパンボンド30cm角(II部)を置き、積層体とした。該積層体を温度145℃、プレスギャップ0.8mmに設定された熱プレス機にセットし、4.9MPaの圧力で4分間プレスし、熱接着を行った。得られたシートは、II部側をシリコンシート側に置き、シートを荷電処理した。
【0033】
<比較例3>
ハンドリング用の繊度5.5dtex、目付12g/mのポリプロピレンスパンボンド30cm角の上に、非ハロゲン系難燃剤A1.5重量%、非ハロゲン系難燃剤B0.5重量%を含有するポリプロピレン(芯成分)/エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVA)(鞘成分)(ポリプロピレン:EVA重量比は1:1)で構成される3.3dtex、長さ64mmの短繊維を開繊し、カード機を通して目付60g/mのウェブ(I部)を作成した。該短繊維ウェブ30cm角の上に、平均繊維直径3.5μm、目付22g/mのポリプロピレンメルロブロー不織布30cm角(II部)を置き、積層体とした。該積層体を温度145℃、プレスギャップ0.5mmに設定された熱プレス機にセットし、4.9MPaの圧力で2分間プレスし、熱接着を行った。得られたシートは、II部側をシリコンシート側に置き、シートを荷電処理した。
【0034】
<比較例4>
ハンドリング用の繊度5.5dtex、目付12g/mのポリプロピレンスパンボンド30cm角の上に、非ハロゲン系難燃剤C3重量%を含有するポリプロピレン(芯成分)/ポリエチレン(鞘成分)(ポリプロピレン:ポリエチレン重量比は1:1)で構成される3.3dtex、長さ64mmの短繊維を解繊し、カード機を通して目付80g/mのウェブ(I部)を作成した。該短繊維ウェブ30cm角に、繊度2.2dtex,目付25g/mのポリプロピレンスパンボンド30cm角(II部)を置き、積層体とした。該積層体を温度145℃、プレスギャップ0.8mmに設定された熱プレス機にセットし、4.9MPaの圧力で2分間プレスし、熱接着を行った。得られたシートは、II部側をシリコンシート側に置き、シートを荷電処理した。
【0035】
実施例1〜5及び比較例1〜4で得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0036】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0037】
エアフィルターの圧力損失、粉塵捕集効率や強度といった一般的なフィルター特性を維持しつつ、フィルターの製造や使用時に必要である適度な強度を得ることが出来、かつ難燃性を有しながらも燃焼時に有害物質を発生せず安全に焼却処分できる空調用フィルター濾材を提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本願発明のろ材構成の一例である。
【符号の説明】
【0039】
1 : ハンドリング用シート
2 : 難燃剤含有層
3 : 微粉塵捕集層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種類のポリオレフィン系シートが熱接着されており、かつ少なくとも1種類のシート部に非ハロゲン系難燃剤としてN−アルコキシヒンダードアミン系化合物とフォスファゼン系化合物の混合体を1.0〜3.0重量%を含有しているエアフィルター用非ハロゲン難燃濾材。
【請求項2】
非ハロゲン系難燃剤を含有しているシート部がポリピプロピレン繊維とポリエチレン繊維とによって融着して構成されている請求項1に記載のエアフィルター用非ハロゲン難燃濾材。
【請求項3】
非ハロゲン系難燃剤を含有しているシート部が非ハロゲン系難燃剤を含有していないシート部の1.0〜5.0倍の重量を有している請求項1または2に記載のエアフィルター用非ハロゲン難燃濾材。

【図1】
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【公開番号】特開2009−279479(P2009−279479A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131639(P2008−131639)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】