説明

エアロールユニット

【課題】シャフトの損傷を防止し、かつコスト低減が可能なエアロールユニットの構造を提供する。
【解決手段】エアロールユニット1は、ロール本体20に連結されたシャフト21と、シャフト21に装着されたカラー3と、カラー3を非接触で支持するエアベアリング4と、スラストプレート5を介してカラー3に取り付けられた回り止め板6と、を備えており、カラー3の内径r2がシャフト21の外径r1より大きく設定されている。回り止め板6には、内周面65と外周面66とを径方向に繋ぐスリット67が形成されるとともに、外周面66からスリット67を跨ぐように深座ぐり付き穴68が形成され、この深座ぐり付きネジ穴68にボルト83を挿入して、ボルト83を締めたり緩めたりすることで、回り止め板6のシャフト21への取付および取外しが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールを非接触で支持するエアロールユニットの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高い回転精度が求められるテープ、シート、フィルム等の搬送に、ロールを非接触で支持するエアロールユニットが用いられている。エアロールユニットは、ロールと、ロールに連結されたシャフトを非接触で支持するエアベアリングと、を備える。このようなエアロールユニットとして、例えば、特許文献1には、ロールと、ロールと一体的に形成された同芯のシャフトと、シャフトを非接触で支持するエアベアリングと、を備えたエアロールユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−200091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エアロールユニットの作動中に、障害等によりエアベアリングへの給気が遮断されたり、ロールに過大な衝撃が加わったりした場合に、エアベアリングとシャフトとが接触して、シャフトが損傷することがある。損傷の程度によっては、シャフトを交換しなければならい。特に、ロールとシャフトとが一体的に形成されている場合、シャフトを交換する際に、ロールも同時に交換しなければならず、コストが嵩む。
【0005】
また、エアベアリングでシャフトを非接触で支持するためには、シャフトの外周面とエアベアリングの内周面との間に、圧縮空気層を介在させるための僅かな間隙を形成する必要がある。このため、シャフトの外周面を高精度に加工しなければならない。特に、長いシャフトの外周面を高精度に加工することは困難であり、コストも嵩む。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シャフトの損傷を防止し、かつコスト低減が可能なエアロールユニットの構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、シャフトにカラーを装着し、このカラーを非接触で支持するようにエアベアリングを配置する。また、カラーの、シャフトへの取付けおよびシャフトからの取外しを行う取付手段を設けて、カラーの内径をシャフトの外径より大きくする。
【0008】
例えば、本発明は、ロールを非接触で支持するエアロールユニットであって、
前記ローラに連結されたシャフトと、
前記シャフトの外径よりも大きな内径を有し、当該シャフトが着脱可能に挿入されたカラーと、
前記カラーの外周面を非接触で支持するエアベアリングと、
前記カラーを、前記シャフトから取外し可能に前記シャフトに固定する取付手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シャフトに装着されたカラーがエアベアリングにより支持されるので、障害等によりエアベアリングへの給気が遮断されたり、ロールに過大な衝撃が加わったりした場合でも、カラーによりシャフトが保護され、シャフトとエアベアリングの直接接触を避けることができ、シャフトの損傷を防止することができる。また、カラーは、シャフトに比べて長さを短くすることが可能なため、外周面を高精度に加工することが容易となる。このため、カラーの外周面とエアベアリングの内周面との間に圧縮空気層を介在させるための僅かな間隙を形成するための加工が容易となり、コストを低減できる。また、カラーの、シャフトへの取付およびシャフトからの取外しを行う取付手段を設けるとともに、カラーの内径をシャフトの外径より大きくしているので、カラーの交換作業が容易になるとともに、カラーがシャフトに対して相対的に回転し、シャフトの外周面が傷付くのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係るエアロールユニット1の一部を省略した部分断面図である。
【図2】図2は、図1に示すエアロールユニット1の側面図である。
【図3】図3は、ロール2の一部を省略した正面図である。
【図4】図4(A)は、カラー3の正面図であり、図4(B)は、図4(A)のB−B断面図である。
【図5】図5(A)は、スラストプレート5の正面図であり、図5(B)は、図5(A)のC−C断面図である。
【図6】図6(A)は、エアベアリング4の正面図であり、図6(B)は、図6(A)のD−D断面図である。
【図7】図7(A)は、回り止め板6の正面図であり、図7(B)は、図7(A)のE−E断面図である。
【図8】図8(A)は、ハウジング7の正面図であり、図8(B)は、図8(A)のF−F断面図である。
【図9】図9は、図1のA部拡大図であり、エアベアリング4への給気中におけるロール2の支持状態を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係るエアロールユニット1の一部を省略した部分図であり、図2は、図1に示すエアロールユニット1の側面図である。
【0013】
図示するように、本実施の形態に係るエアロールユニット1は、シャフト21を有するロール2と、シャフト21に装着された円筒形のカラー3と、カラー3を非接触で支持するエアベアリング4と、エアベアリング4のスラスト方向の移動を規制するスラストプレート5と、シャフト21に対するカラー3の相対的な回転を阻止する回り止め板6と、エアベアリング4を保持するハウジング7と、を備えている。
【0014】
図3は、ロール2の一部を省略した正面図である。
【0015】
図示するように、ロール2は、テープ、シート、フィルム等の被搬送物を搬送するためのロール本体20と、ロール本体20の両端面22に一体的に形成されたシャフト21と、を備えている。シャフト21は、ロール本体20と同軸に、ロール本体20の両端面22から突出するように形成されている。シャフト21は、根元部(ロール本体20の端面22との連結部分)23が先端部24よりも大径の段付きシャフトとなっており、このため、シャフト21の根元部23と先端部24との連結部分には段差面25が形成されている。
【0016】
図4(A)は、カラー3の正面図であり、図4(B)は、図4(A)のB−B断面図である。
【0017】
図示するように、カラー3は、円筒状のカラー本体30と、カラー本体30の一方の端面31側の外周から張り出したフランジ32と、を備えている。カラー3の材質は、シャフト21と同材質が望ましい。
【0018】
カラー本体30の他方の端面33には、スラストプレート5取付用のネジ穴34が複数形成されている。
【0019】
カラー本体30には、フランジ32側の端面31がシャフト21の段差面25と当接するように、フランジ32側からシャフト21が挿入される。また、カラー3をシャフト21から容易に取り外せるように、カラー本体30の内径r2は、シャフト21の外径r1より僅かに大きめ(例えば隙間4μm以下)に設定されている。
【0020】
図5(A)は、スラストプレート5の正面図であり、図5(B)は、図5(A)のC−C断面図である。
【0021】
図示するように、スラストプレート5は、カラー3の内径r2とほぼ同径の内径r4を持つ中空円板状を有しており、一方の面51から他方の面52へ貫通する複数のカラー3取付用のボルト穴53と、一方の面51に開口する複数の回り止め板6取付用のネジ穴54と、が形成されている。
【0022】
カラー3が装着されたシャフト21をスラストプレート5内に他方の面52側から挿入した状態で、ボルト81を、スラストプレート5のカラー3取付用ボルト穴53のそれぞれに挿入して、カラー3のネジ穴34に螺合させることにより、スラストプレート5は、カラー3の他方の端面33側に取り付けられる。このとき、スラストプレート5の他方の面52は、カラー3のフランジ32の、カラー本体31側の面36に対向する。
【0023】
図6(A)は、エアベアリング4の正面図であり、図6(B)は、図6(A)のD−D断面図である。
【0024】
図示するように、エアベアリング4は、円筒状のベアリング本体40と、ベアリング本体40の一方の端面41の外周から張り出したフランジ43と、ベアリング本体40の内周面44側に形成されたラジアル軸受用多孔質焼結層45と、ベアリング本体40の両端面41、42側に形成されたスラスト軸受用多孔質焼結層46と、を備えている。ベアリング本体40の一方の端面41には固定ピン用穴47が形成され、ベアリング本体40の外周面48には止め輪用溝49が形成されている。
【0025】
エアベアリング4は、フランジ43とカラー3のフランジ32とが対向するように、カラー3に装着される。また、カラー3を非接触でラジアル方向に支持できるように(具体的には、カラー3の外周面35とエアベアリング4の内周面44との間に後述のラジアル軸受用圧縮空気層L1(図9参照)が形成されるように)、エアベアリング4の内径r5は、ラジアル軸受用圧縮空気層L1の厚さの2倍分、カラー3の外径r3より大きく設定されている。また、スラストプレート5が取り付けられたカラー3を非接触でスラスト方向に支持できるように(具体的には、カラー3のフランジ32の、カラー本体31側の面36と、エアベアリング4の他方の端面42との間、およびエアベアリング4の一方の端面41とスラストプレート5の他方の面52との間に、後述のスラスト軸受用圧縮空気層L2(図9参照)が形成されるように)、エアベアリング4の一方の端面41から他方の端面42までの長さd2は、カラー3の他方の端面33からフランジ32の、カラー本体31側の面36までの長さd1より、両側のスラスト軸受用圧縮空気層L2の厚さ分、短く設定されている。
【0026】
ラジアル軸受用多孔質焼結層45は、ベアリング本体40の内周面44に形成された通気路410(図9参照)に繋がっており、この通気路410を介してポンプ(不図示)より供給された圧縮空気が、ラジアル軸受用多孔質焼結層45内の孔を介して、ラジアル軸受用多孔質焼結層45の表面(ベアリング本体40の内周面44)から均一に放出される。同様に、スラスト軸受用多孔質焼結層46は、ベアリング本体40の両端面41、42に形成された通気路411(図9参照)に繋がっており、これらの通気路411を介してポンプ(不図示)より供給された圧縮空気が、各スラスト軸受用多孔質焼結層46内の孔を介して、各スラスト軸受用多孔質焼結層46の表面(エアベアリング4の両端面41、42)から均一に放出される。固定ピン用穴47は、エアベアリング4に圧縮空気が供給されていない状況におけるエアロールユニット1の運搬、搬入時などにおいて、シャフト21の空回りによるエアベアリング4の内周面44とカラー3の外周面35との摺接防止用の固定ピン(不図示)を挿入するために形成されたピン穴である。止め輪用溝49は、ハウジング7に保持されたエアベアリング4の抜け止め用の止め輪85を装着するために形成された溝である。
【0027】
図7(A)は、回り止め板6の正面図であり、図7(B)は、図7(A)のE−E断面図である。
【0028】
図示するように、回り止め板6は、中空円板状を有しており、一方の面61から他方の面62へ貫通した複数のスラストプレート5取付用のボルト穴63と、一方の面61から他方の面62へ貫通した固定ピン用穴64と、回り止め板6の内周面65と外周面66とを径方向に繋ぐスリット67と、外周面66からスリット67を跨ぐシャフト21把持用の深座ぐり付きネジ穴68と、が形成されている。
【0029】
回り止め板6の他方の面62がスラストプレート5の一方の面51と当接するように、シャフト21を回り止め板6内に他方の面62側から挿入した状態で、ボルト82を回り止め板6のボルト穴63のそれぞれに挿入して、スラストプレート5のネジ穴54に螺合させることにより、回り止め板6とカラー3とが固定される。また、シャフト21の空回り防止用の固定ピン(不図示)を固定ピン用穴64に挿入して、その先端をエアベアリング4の固定用ピン穴47に差し込むことにより、回り止め板6を介して、シャフト21に対するエアベアリング4の相対的な回転ならびに軸方向の移動が阻止される。
【0030】
ボルト83を深座ぐり付きネジ穴68に挿入して締め込むことにより、スリット67の隙間t1が狭くなり、回り止め板6の内径r6が小さくなる。これにより、回り止め板6が、シャフト21を強固に把持し、シャフト21に固定される。したがって、ボルト83を深座ぐり付きネジ穴68に挿入して締め込んでいない状態では、回り止め板6の内径r6は、回り止め板6をシャフト21から容易に取り外せるように、シャフト21の外径r1より大きくなり、ボルト83を深座ぐり付きネジ穴68に挿入して締め込んだ状態では、回り止め板6の内径r6は、回り止め板6がシャフト21を強固に把持するように、シャフト21の外径r1より小さくなる。
【0031】
図8(A)は、ハウジング7の正面図であり、図8(B)は、図8(A)のF−F断面図である。
【0032】
図示するように、ハウジング7は、エアベアリング4を保持するハウジング本体70と、エアベアリング4嵌入用の中空部740が形成された球面ブッシュ74と、球面ブッシュ74を保持するホルダ75と、中空円板状のストッパ76と、を備えている。
【0033】
ハウジング本体70には、一方の面71から他方の面72に貫通したエアベアリング4保持用の貫通穴73と、一方の面71側に開口するストッパ76取付用のネジ穴77と、が形成されている。ハウジング本体70の貫通穴73は、ホルダ75抜け止め用の段差79を有する段付き穴となっており、エアベアリング4が中空部740内に嵌入された球面ブッシュ74を保持するホルダ75が、ハウジング本体70の一方の面71から貫通穴73に挿入された場合に、ホルダ75は、この段差79と当接して、ハウジング本体70の他方の面72側から抜け出る方向への移動が阻止される。
【0034】
ストッパ76には、一方の面761から他方の面762へ貫通した複数のハウジング本体70取付用のボルト穴78が形成されている。また、ストッパ76の内径r7は、球面ブッシュ75の端部の外径r8より大きく、かつ、ハウジング本体70の一方の端面71側における貫通穴73の外径r9より小さく設定されている。エアベアリング4が中空部740内に嵌入された球面ブッシュ74を保持したホルダ75が、ハウジング本体70の貫通穴73の段差79に当接した状態で、ボルト84を、ストッパ76のボルト穴78のそれぞれに挿入し、ハウジング本体70のネジ穴77に螺合させることにより、ストッパ76をハウジング本体70の一方の面71側に取り付けると、ストッパ76により、ハウジング本体70の一方の面71から抜け出る方向へのホルダ75の移動が阻止される。これにより、エアベアリング4がハウジング7に保持される。この状態で、エアベアリング4の止め輪用溝49に止め輪85を装着することにより、ハウジング7に保持されたエアベアリング4のスラスト方向の移動が防止される。
【0035】
つぎに、上記構成のエアロールユニット1において、エアベアリング4への給気中におけるシャフト21の支持状態を説明する。
【0036】
図9は、図1のA部拡大図であり、エアベアリング4への給気中におけるロール2の支持状態を模式的に示した図である。
【0037】
図示するように、組み付け状態(図1の状態)にあるエアロールユニット1において、ポンプ(不図示)から、エアベアリング4内に形成された通気路410に圧縮空気が供給されると、ラジアル軸受用多孔質焼結層45の表面(エアベアリング4の内周面44)から圧縮空気c1が均一に放出され、これにより、カラー3の外周面35とエアベアリング4の内周面44との隙間t2にラジアル軸受用圧縮空気層L1が形成される。このラジアル軸受用圧縮空気層L1により、シャフト21に装着されたカラー3がラジアル方向に非接触で支持される。同様に、エアベアリング4内に形成された通気路411に圧縮空気が供給されると、スラスト軸受用多孔質焼結層46の表面(エアベアリング4の両端面41、42)から圧縮空気c2が均一に放出され、これにより、カラー3のフランジ32の、カラー本体30側の面36とエアベアリング4の他方の端面42との隙間t3、およびエアベアリング4の一方の端面41とスラストプレート5の他方の面52との隙間t4にそれぞれスラスト軸受用圧縮空気層L2が形成される。これらのスラスト軸受用圧縮空気層L2により、シャフト21に装着されたカラー3がスラスト方向に非接触で支持される。
【0038】
なお、エアロールユニット1において、軸方向の移動を前述のようにスラスト軸受を用いて管理するのではなく、他の手法により管理する場合においては、スラスト軸受ならびにスラストプレート5を省くことも可能である。また、この場合、カラー3のフランジ32を取り除くことも可能である。
【0039】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0040】
本実施の形態に係るエアロールユニット1では、シャフト21の外周にカラー3を装着し、このカラー3を非接触で支持するようにエアベアリング4を配置している。また、回り止め板6を用いて、スラストプレート5が取り付けられたカラー3の、シャフト21への取付およびシャフト21からの取外しを可能にするとともに、カラー3の内径r2をシャフト21の外径r1より大きくしている。
【0041】
このように、シャフト21の外周に装着されたカラー3がエアベアリング4により支持されるので、障害等によりエアベアリング4への給気が遮断されたり、ロール2に過大な衝撃が加わったりした場合でも、カバー3がシャフト21を保護し、シャフト21が損傷するのを防止できる。
【0042】
また、カラー3は、シャフト21に比べ長さが短くでき、このため、シャフト21と比べて簡単に、外周面35を高精度に加工できるので、カラー3の外周面35とエアベアリング4の内周面44との間にラジアル軸受用圧縮空気層L1のための僅かな隙間t2を形成するのが容易となり、コストを低減できる。
【0043】
また、回り止め板6を用いることにより、スラストプレート5が取り付けられたカラー3の、シャフト21への取付およびシャフト21からの取外しを可能にするとともに、カラー3の内径r2をシャフト21の外径r1より大きくしているので、カラー3の交換作業が容易になるとともに、カラー3とシャフト21との相対的な回転が阻止されるので、摺接等によりシャフト21の外周面が傷付くのを防止できる。
【0044】
また、本実施の形態に係るエアロールユニット1では、中空円板状の回り止め板6に、内周面65と外周面66とを繋ぐようにスリット67を形成するとともに、外周面66からスリット67を跨ぐようにシャフト21把持用の深座ぐり付きネジ穴68を形成している。この深座ぐり付きネジ穴68にボルト83を挿入して、このボルト83を締めたり緩めたりすることにより、回り止め板6の内径r6を変化させ、シャフト21への取付および取外しを可能にしている。このため、カラー3の、シャフト21への取付およびシャフト21からの取外しが容易となり、カラー3を交換する際の作業性が向上する。
【0045】
また、本実施の形態に係るエアロールユニット1では、カラー3にスラストプレート5をボルト81で固定し、さらに、このスラストプレート5に回り止め板6をボルト82で固定することにより、カラー3を回り止め板6に固定している。このため、カラー3の、回り止め板6への取付・回り止め板6からの取外しが容易となり、カラー3を交換する際の作業性がさらに向上する。
【0046】
また、本実施の形態に係るエアロールユニット1では、ベアリング本体40の一方の端面41に固定ピン用穴47を形成するとともに、回り止め板6に、一方の面61から他方の面62へ貫通する固定ピン用穴64を形成している。このため、固定ピン(不図示)を回り止め板6の固定ピン用穴64に挿入して、その先端をベアリング本体40の固定用ピン穴47に差し込むことにより、回り止め板6を介して、シャフト21に対するエアベアリング4の回転運動を拘束することができる。これにより、エアロールユニット1の運搬、搬入時などにおいて、シャフト21が空回りするのを防止できる。
【0047】
また、例えば、様々な内外径寸法のカラー3を準備しておき、作業者が、それらのカラー3のなかから、シャフト21の外径とエアベアリング4のベアリング本体の内径r5に適合するカラー3を選択できるようにすれば、シャフト21とエアベアリング4との組み合わせを選ばない汎用性を実現することができる。
【0048】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0049】
例えば、上記の実施の形態では、エアベアリング4として、ベアリング本体40の内周面44側にラジアル軸受用多孔質焼結層45に形成され、ベアリング本体40の両端面41、42側にスラスト軸受用多孔質焼結層46が形成されているものについて説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0050】
エアベアリング4は、スラスト軸受用多孔質焼結層46が省略されたものでもよい。この場合でも、ラジアル軸受用多孔質焼結層45から放出された圧縮空気c1が、カラー3のフランジ32の、カラー本体30側の面36とエアベアリング4の他方の端面42との隙間t3、およびエアベアリング4の一方の端面41とスラストプレート5の他方の面52との隙間t4に移動して、スラスト軸受用圧縮空気層L2を形成することが可能である。
【0051】
また、ラジアル軸受用多孔質焼結層45およびスラスト軸受用多孔質焼結層46の代わりに、ベアリング本体40の内周面44、あるいは内周面44および両端面41、42に、エアベアリング4内の通気路410、411に繋がる自成絞りあるいはオリフィス絞りが形成されているものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1:エアロールユニット、2:ロール、3:カラー、4:エアベアリング、5:スラストプレート、6:回り止め板、7:ハウジング、20:ロール本体、21:シャフト、22:ロール本体20の端面、23:シャフト21の根元部、24:シャフト21の先端部、25:シャフト21の段差面、30:カラー本体、31:カラー本体30の一方の端面、32:フランジ、33:カラー本体30の他方の端面、34:ネジ穴、40:ベアリング本体、41:ベアリング本体40の一方の端面、42:ベアリング本体40の他方の端面、43:フランジ、44:ベアリング本体40の内周面、45:ラジアル軸受用多孔質焼結層、46:スラスト軸受用多孔質焼結層、47:固定ピン用穴、48:ベアリング本体40の外周面、49:止め輪用溝、51:スラストプレート5の一方の面、52:スラストプレート5の他方の面、53:カラー取付用のボルト穴、54:回り止め板取付用のネジ穴、61:回り止め板6の一方の面、62:回り止め板6の他方の面、63:ボルト穴、64:固定ピン用穴、65:回り止め板6の内周面、66:回り止め板6の外周面、67:スリット、68:深座ぐり付きネジ穴、70:ハウジング本体、71:ハウジング本体70の一方の面、72:ハウジング本体70の他方の面、73:貫通穴、74:球面ブッシュ、75:ホルダ、76:ストッパ、77:ネジ穴、78:ボルト穴、79:貫通穴73の段差、81〜84:ボルト、85:止め輪、410、411:通気路、740:中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールを非接触で支持するエアロールユニットであって、
前記ローラに連結されたシャフトと、
前記シャフトの外径よりも大きな内径を有し、当該シャフトが着脱可能に挿入されたカラーと、
前記カラーの外周面を非接触で支持するエアベアリングと、
前記カラーを、前記シャフトから取外し可能に前記シャフトに固定する取付手段と、を有する
ことを特徴とするエアロールユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のエアロールユニットであって、
前記取付手段は、
前記シャフトが挿入された中空円板状の回り止め板と、
前記回り止め板に前記カラーを着脱可能に固定する固定手段と、を有する
ことを特徴とするエアロールユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のエアロールユニットであって、
前記固定手段は、
前記カラーの一方の端面に取り付けられた中空円板状のスラストプレートと、
前記スラストプレートを前記回り止め板に固定するためのボルトと、を有する
ことを特徴とするエアロールユニット。
【請求項4】
請求項2または3に記載のエアロールユニットであって、
前記エアベアリングの一方の端面には、ピン挿入用穴が形成されており、
前記回り止め板には、前記エアベアリングと前記シャフトとの回転を拘束するための固定ピンを通すためのピン挿入用貫通穴が形成されており、
前記固定ピンは、前記ピン挿入用貫通穴を介して、当該固定ピンの先端部が前記ピン挿入穴に挿入される
ことを特徴とするエアロールユニット。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか一項に記載のエアロールユニットであって、
前記回り止め板には、径方向のスリットと、前記スリットと交差するネジ穴と、が形成されており、
前記回り止め板の外周面から前記スリットを通過して前記ネジ穴にねじこまれ、当該スリットの間隔を調節するネジをさらに有する
ことを特徴とするエアロールユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−92223(P2013−92223A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235514(P2011−235514)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】