説明

エチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグ

本発明は式I:


によるエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグ及び医薬として許容できるその塩を指向する。本発明はまたジ−ステロイド型プロドラッグの医薬投与ユニット及びエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグの形成方法を含む。
【背景技術】
【0002】
非結合型17β−エストラジオールは最も活性の高い、自然に見いだされるヒトのエストロゲンである。しかしながら、経口吸収に続く消化管及び肝臓における乏しい吸収と大量の初回通過代謝のために、一般的には経口で活性がない。活性を増大させる方法は、吸収を改善するために微粉化された薬物の使用、並びにエストラジオール−17−バレレート及びスルフェートとグルクロニド誘導体の組み合わせであるウマエストロゲンのようなプロドラッグの使用を含むものであった(Martindale 32版、1999、Pharmaceutical Press)。
【0003】
活性を増大させる別の方法は17βエストラジオールの構造を変えることである。エチニルエストラジオールがこの一例である。17位のエチニル基は肝臓の第一流路代謝を17βエストラジオールに比べて顕著に減少させ、この化合物の活性を天然のエストロゲンである17βエストラジオールよりも高めることができる(Martindale 32版、1999、Pharmaceutical Press)。
【0004】
エチニルエストラジオールは避妊製剤において使用される最も共通のエストロゲンである。17βエストラジオールよりも増大された効能のために、比較的低い投与量で使用される(即ち、経口で1日当たり15〜50μg)(Martindale 32版、1999、Pharmaceutical Press)。他の投与経路でもより効能があり、即ち経膣では1日当たり15μgの投与量で採用し得る(米国特許番号5,989,581号を見よ)。17βエストラジオールよりも程度は少ないとはいえ、ホルモン置換療法においても使用されてきた。
【0005】
Taubertらに与えられた米国特許番号3,916,002号は、式:R-O-CO-(CH2)n-CO-O-R(式中、nは2〜8であり、Rはそれぞれ1価のステロイドラジカルである)を有するアンドロゲン、エストロゲン及びプロゲストゲンステロイドのオリゴマーステロイドエステルをいくつか記載している。ステロイドラジカルは3、16、又は17番の炭素原子のうちの1つにヒドロキシル置換基を有するステロイドから誘導される。これらはジカルボン酸の2つのカルボキシルラジカルと、3、16、又は17番の炭素原子にヒドロキシルラジカル置換基を有するステロイドアルコールとのエステル化により生成することができる。しかしながら、Taubertらはエストラジオール部分の3'C位で連結しているエチニルエストラジオールの新規なジ−ステロイド型プロドラッグを開示していない。
【0006】
エチニルエストラジオールは、避妊における使用で17βエストラジオールよりも好まれてきたが、エチニルエストラジオールの使用に伴う不利益もいくつかある。例えば、投与されるエチニルエストラジオールの全てが生物学的に利用可能ではない。エチニルエストラジオールは腸管壁及び肝臓で代謝され、バイオアベイラビリティに影響を受ける。そのうえ、そのバイオアベイラビリティは個人によっていくらか差がある(Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology,1991;6:733-736)。さらに、エチニルエストラジオールが肝臓で代謝されると腸肝リサイクルが生じることが観察されている(Methods And Findings in Experimental Clinical Pharmacology, 1982;4:133-42)。
【0007】
バイオアベイラビリティを改善するエチニルエストラジオールの新規なプロドラッグがあれば、たいへん有利である。
発明の概説
【0008】
本発明は式I:
【化1】

[式中、Rは
【化2】

より成る群から選択され;
このときX及びYは
【化3】

から独立して選択され;
そしてZは
(i)飽和又は不飽和でよく、且つ、1又はそれを超える低級アルキル、ヒドロキシ又はアミノ基によって所望により置換されていてもよい1〜10個の炭素原子を有する脂肪族直鎖;
(ii)A−B−D
(式中、A及びDは独立して-CO(CH2)f-であり(このときfは0〜5である)、そしてBは-O-(CH2CH2O)p-(このときpは1〜700である)である);又は
(iii)アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はそれらの組み合わせより成る群から選択されるアミノ酸から独立して誘導される2〜15個のアミノ酸単位を有するペプチド結合(このとき、前記ペプチドの両末端基はアスパラギン酸及びグルタミン酸から独立して誘導されるアミノ酸単位である)]
によるエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグ及びその医薬として許容できる塩である。
【0009】
本発明はまた、(a)式Iによるエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグ、及び(b)1又はそれを超える医薬として許容できる賦形剤を包含する医薬投与ユニットを含む。特に好ましい実施態様においては、医薬投与ユニットにプロゲストゲンが含まれる。
【0010】
本発明はまた、エチニルエストラジオールと連結剤とをエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグの形成に有効な条件下で反応させるステップを包含する、式Iの構造を有するエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグの形成方法を含む。所望により、この製法は例えばクロマトグラフィー又は再結晶のようなさらなる精製を含んでもよい。
【0011】
本発明の別の態様において、避妊を提供する方法が提供される。この方法は、それを必要とする患者に本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグの有効量を、好ましくはプロゲストゲンと組み合わせて、有効な期間投与するステップを包含する。
【0012】
本発明のさらに別の態様において、ホルモン処置を提供する方法が提供される。この方法は、それを必要とする患者に本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグの有効量を有効な期間投与するステップを包含する。
発明の詳細な説明
【0013】
本発明の目的のためには、プロドラッグは活性な薬物の不活性型を包含するか、又は薬物に好ましい特徴を与える化学基を含むか、のいずれかの存在である。
【0014】
本発明の目的のためには、室温は25℃±5℃を意味すると理解される。
【0015】
本発明において、エチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグはエチニルエストラジオール部分の3'C位で2価の連結基Rによって連結されるエチニルエストラジオール部分を有する。特に好ましい実施態様において連結基Rは、飽和又は不飽和でよく、直鎖又は分枝でよく、且つアミノ、ヒドロキシル又は低級アルキルによって所望により置換されていてもよい2〜10個の炭素原子から成る脂肪族骨格を有するカーボネート基又はジカルボキシル基より成る群から選択されてよい。本明細書中で使用される低級アルキルは1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝の脂肪族基である。また別の実施態様においてはRはポリオキシエチレン骨格を有するジカルボキシル基でもよい。さらに別の実施態様においては連結基は各末端にカルボン酸機能を有するペプチドでもよい。
【0016】
本発明において、本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグは以下の構造式:
【化4】

[式中、Rは
【化5】

より成る群から選択され;
このときX及びYは
【化6】

から独立して選択され;
そしてZは
(i)飽和又は不飽和でよく、且つ、1又はそれを超える低級アルキル、ヒドロキシ又はアミノ基によって所望により置換されていてもよい1〜10個の炭素原子を有する脂肪族直鎖;
(ii)A−B−D
(式中、A及びDは独立して-CO(CH2)f-であり(このときfは0〜5である)、そしてBは-O-(CH2CH2O)p-(このときpは1〜700である)である);又は
(iii)アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はそれらの組み合わせより成る群から選択されるアミノ酸から独立して誘導される2〜15個のアミノ酸単位を有するペプチド結合(このとき、前記ペプチドの両末端基はアスパラギン酸及びグルタミン酸から独立して誘導されるアミノ酸単位である)]
を有する。
【0017】
Y及びXがカルボキシル又はスルホン基であるとき、それらの基のカルボニル又は硫黄はZに結合していることは明らかであろう。従って、好ましい実施態様においてY及びXの両方がカルボニルであるとき、Rは
【化7】

である。ジ−ステロイド型プロドラッグの各エチニルエストラジオール部分の立体化学的コンホメーションはRの構造コンホメーションに依存するであろうことは、当業者にはさらに明らかであろう。
【0018】
好ましい実施態様において、Rは
【化8】

より成る群から選択される。また別の実施態様において、Rは
【化9】

である。
【0019】
好ましくは、エチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグは
【化10】

【化11】

【化12】

及びそれらの医薬として許容できる塩より成る群から選択される。
【0020】
本明細書中で使用される句「医薬として許容できる塩」は、特定の化合物の遊離酸及び塩基の生物学的有効性を保持しており、且つ生物学的にも他の観点からも有害でない塩を指す。医薬として許容できる塩の例は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソブチル酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニルブチル酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、g-ヒドロキシブチル酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩(メシラート)、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、及びマンデル酸塩を含む。望ましい塩は当業界で既知のいかなる適当な方法で製造してもよく、遊離塩基と無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、その他、又は有機酸、例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸若しくはガラクツロン酸のようなピラノシジル酸、クエン酸若しくは酒石酸のようなα−ヒドロキシ酸、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸のようなアミノ酸、安息香酸若しくはケイ皮酸のような芳香族酸、p−トルエンスルホン酸若しくはエタンスルホン酸のようなスルホン酸、その他との反応を含む。本発明においては、塩酸塩が好ましい塩である。
【0021】
医薬投与ユニットは本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグを1又はそれを超える医薬として許容できる賦形剤と組み合わせて含むように調合してもよい。
【0022】
本明細書において有用な賦形剤は広範な種類の添加剤又は成分、例えば充填剤、希釈剤(固体及び液体)、生体適合性ポリマー(例えば有機ポリシロキサン、ポリウレタン及びポリアクリル酸メチル)、皮膚浸透剤及び浸透促進剤、可溶化剤、潤滑剤、安定剤、流量調節剤、着色剤、流動促進剤、発泡剤、甘味剤、風味剤、香料、その他を含む。
【0023】
他のステロイド、例えばプロゲストゲンを医薬投与ユニットに含んでもよい。プロゲストゲンの具体例は、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルゲストレル、レボノルゲストレル、デソゲストレル、3−ケトデソゲストレル、ゲストデン、酢酸メドロキシプロゲステロン、その他を含む。
【0024】
医薬投与ユニットは経口摂取可能な剤形、例えば錠剤、カプセル剤、チュアブル錠剤若しくはカプセル剤、トローチ剤、液体懸濁剤、丸剤、又は徐放性投与剤形でよい。あるいは、医薬投与ユニットは経皮送達システムでもよい。又は、別の実施態様においては医薬投与ユニットは局所組成物、例えばゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、液剤その他でもよい。又は、代わりの実施態様においては医薬投与ユニットは経膣投与のため、例えば膣リングのように設計されてもよい。
【0025】
エチニルエストラジオールのステロイドプロドラッグは本明細書に記載される方法を使用して合成することができる。希望により、これらの方法を改変したり、又は代わりの合成方法を採用してもよい。合成方法は通常エチニルエストラジオールを出発材料として開始するが、エストロンから開始することもできる。しかしながら、エチニルエストラジオールと指示されているところでエチニルエストラジオールの誘導体を使用してもよいことは理解されるべきである。
【0026】
一般的には、本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグは、エチニルエストラジオール又はその誘導体と適当な連結剤とをエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグを形成するのに有効な条件下で反応させることにより形成される。
【0027】
本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型エステルの一つの合成方法は、エチニルエストラジオール又はその誘導体を、塩基の存在下でカーボネート連結剤及びカップリング剤と反応させることによる。結果として得られる化合物はジ−(3−エチニルエストラジオール)カーボネートである。反応は反応シーケンス1に描かれている。
【化13】

【0028】
好ましい実施態様において、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート(b−NPC)がカーボネート連結剤及びカップリング剤として働き、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)が塩基として選択され、そしてテトラヒドロフラン(THF)が溶媒として選択される。
【0029】
本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグ合成に使用され得る別の方法は、エチニルエストラジオール又はその誘導体を、飽和又は不飽和でよく、且つ1又はそれを超える低級アルキル、ヒドロキシ、又はアミノ基によって所望により置換されていてもよい1〜10個の炭素原子を有する(即ちnが1〜10の整数である)脂肪族二酸と反応させることを包含する。脂肪族二酸は連結剤であり、例えばコハク酸、酒石酸、リンゴ酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、グルタミン酸又はアスパラギン酸でよい。一つの実施態様においては、反応シーケンス2に示されるように、カップリング剤は塩基触媒の存在下で二酸と反応し得る。
【化14】

【0030】
反応シーケンス2Aは、カップリング剤が1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(EDCI)であり、そして塩基触媒が4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)及びトリエチルアミンである、好ましい実施態様を示す。反応を実施するために使用される溶媒は好ましくはクロロホルムであるが、他の多くの有機溶媒も適当であり得ることは当業者には容易に認識されるであろう。
【化15】

【0031】
本発明のプロドラッグ化合物は、エチニルエストラジオール又はその誘導体を式
G−CO−Z−X−G
(式中、Gはハロゲンであり、そしてZ及びXは前述のごとく定義される)の連結剤と直接反応させることによっても合成し得る。好ましいハロゲンはクロロ及びブロモである。例えば、反応シーケンス3に描かれるように、連結剤は塩基の存在下でエチニルエストラジオールと反応する塩化ジアシルでもよい。
【化16】

【0032】
反応シーケンス3Aを利用するにあたり、DMAP及びトリエチルアミンを塩基触媒として採用し得る。
【0033】
本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグのまた別の形成方法は、二酸アミノ酸、例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸を連結剤として用いる。
【0034】
反応シーケンス4はそのような合成機構を例示している。
【化17】

【0035】
エチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグは、反応シーケンス5に描かれるように、t−ブトキシカルボニルシステイン酸を連結剤として働かせて合成することもできる。
【化18】

【0036】
あるいは、反応シーケンス6に描かれるように、ポリエチレングリコールを無水コハク酸と反応させて、エチニルエストラジオール部分を3'C位で結合させる二酸連結剤を作成し得る。
【化19】

【0037】
そのうえ、エチニルエストラジオールを、連結剤として働くジペプチド又は適当な長さのいかなるペプチドとも反応させてもよい。ペプチド連結剤は、アミノ酸、例えばアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びそれらの組み合わせから誘導される2〜15単位を有する。2価の連結剤を形成するため、ペプチドの両末端基はアスパラギン酸又はグルタミン酸から独立して誘導される。両末端でアスパラギン酸、グルタミン酸、又はそれらの組み合わせと接続している限り、2〜15個のアミノ酸がペプチドリンカー形成のため一緒に連結されてよい。好ましくは、2〜12個のアミノ酸がペプチド形成のため一緒に連結される。さらに好ましくは、2〜5個のアミノ酸が2価ペプチドを形成する。例えば、反応シーケンス7に示されるように、アミン機能をn−(t−ブトキシカルボニル)で保護したジペプチドGly−Asp−Bocは連結基として作用し得る。
【化20】

【0038】
好ましくは、本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグ形成に使用される連結剤は、カーボネート、
H−Y−Z−X−H、又は
G−CO−Z−X−G
(式中、Gはハロゲンである)である。Zは2価のペプチド基でもよい。
【0039】
本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグの合成において使用され得るカップリング剤は、例えば、b−NPC、EDCI、及びそれらの混合物でよい。意図された目的を満たす限り、代わりの化合物を使用してもよい。
【0040】
記載された合成反応において、塩基は触媒として使用され得る。適当な塩基はDMAP、トリエチルアミン、又はそれらの混合物を含むがそれらに限定されない。
【0041】
合成反応において使用され得る溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、ジクロロメタン、その他である。
【0042】
エチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグの純度を高めるため、プロドラッグを1又はそれを超える洗浄ステップ、及び/又は再結晶ステップで処理してもよい。
【0043】
洗浄ステップは、エチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグによって形成される沈殿物をすすぐために使用してよい。上述のように、1又はそれを超える洗浄ステップを使用してよい。水、水酸化ナトリウム、又はいかなる適当な代替物も洗浄目的で一般的に使用し得る。
【0044】
前述のように、ジ−ステロイド型プロドラッグを1又はそれを超える再結晶ステップに供することにより純度を高め得る。再結晶ステップは様々な方法によって、そして適当な溶媒、例えば酢酸エチル、ヘプタン若しくはTHF、又はそれらの混合物(これらに限定されない)を使用して実施してよい。
【0045】
合成において、空気乾燥、減圧乾燥、オーブン乾燥、濾過、その他を含むがそれらに限定されない様々な方法によって、乾燥ステップを行ってもよい。乾燥は、生成物の乾燥を助ける、例えば硫酸マグネシウムのような乾燥剤の使用によって促進されてもよい。
【0046】
本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグ化合物は様々な分析方法を使用して特徴づけられてきた。例えば、合成された生成物の純度を確定するため高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が使用された。その構造を実証するため1H及び13C核磁気共鳴(NMR)、質量分析法及び赤外(IR)分光法が使用された。そのうえ、生成物は融点を決定することによりさらに特徴づけられた。
【0047】
本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグは、避妊を提供するために使用し得る。治療的有効量の本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグが、それを必要とする患者に有効な期間投与される。好ましくは、ジ−ステロイド型プロドラッグはプロゲストゲンと組み合わせて投与される。
【0048】
本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグは、ホルモン処置を提供するためにも使用し得る。そのような処置方法は、本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグの治療的有効量を、それを必要とする患者に有効な期間投与するステップを包含する。
【0049】
本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグは「治療的有効量」投与される。これは処置されるべき症状及び/又は状態を明確に改変するのに充分な量の化合物又は投与ユニットを意味すると理解される。治療的有効量は当業者には容易に決定され得るが、もちろんいくつかの要因に依存するであろう。例えば、処置されるべき状態及びその状態の深刻さ、処置される患者の年齢、体重、全般的な健康、性、食事、及び身体状態、処置の持続期間、並行して行う治療の性質、採用される特定の活性成分、利用される特定の医薬として許容できる賦形剤、投与時間、投与方法、排泄速度、薬物の組み合わせ、その他のいかなる関連する要因をも考慮するべきである。通常、本発明のエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグの1日あたりの投与量は、約0.025〜約100mcgのエチニルエストラジオールに相当する効能を有する。
【0050】
本発明のプロドラッグは、好ましくは経口又は経膣で投与される。好ましい投与剤形は錠剤又は膣リングである。
【0051】
本発明の特定の実施態様は以下の実施例を参照して具体的に説明される。これらの実施例はただ本発明の説明のために開示されるのであって、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものではないことは、理解されるであろう。
【実施例1】
【0052】
ジ−(3−エチニルエストラジオール)カーボネートの合成
製造
エチニルエストラジオール(20.0g、0.068モル)、b−NPC(10.3g、0.034モル)、4−DMAP(0.85g、0.007モル)及びTHF(200mL)をマグネチックスターラーに設置した500mL三ツ口丸底フラスコに加えた。この反応混合物を室温で約18時間攪拌した。この反応混合物を500mLの水中へ注ぐと、黄色沈殿が形成された。2M塩酸(25mL)を使用し攪拌しながらこの混合物を抽出した。黄色沈殿が白色になった。
【0053】
結果として得られる反応混合物を濾過し、そして沈殿を500mLの水でよく洗浄し、そして濾過した。この沈殿を次に500mLの1M水酸化ナトリウムでよく洗浄し、そして濾過した。
【0054】
この沈殿を次に500mLの水でよく洗浄し、そして濾過した。結果として得られるジ−(3−エチニルエストラジオール)カーボネートを真空オーブン中で一晩(約18時間)40℃で乾燥させた。
再結晶方法
【0055】
ジ−(3−エチニルエストラジオール)カーボネート(18.1g)及び酢酸エチル(1L)をコンデンサー及びマグネチックスターラーに設置した三ツ口丸底フラスコに加えた。この混合物を加熱して還流させた。この熱い混合物を濾過した。濾液を冷ましてゆっくり再結晶させた。次に、ジ−(3−エチニルエストラジオール)カーボネートを空気乾燥させた。
【0056】
この化合物をHPLCで分析して、純度98.5%と見出された。13C及び1HNMR並びにIR分光法による構造分析から、3'C−3'Cのカーボネートプロドラッグが形成されたことが明らかとなった。質量分析法によりこの化合物の形成が明らかとなった。融点は235℃と見出された。
【実施例2】
【0057】
ジ−(3−エチニルエストラジオール)スクシネートの合成
製造
コハク酸(3.17g;0.027モル)をマグネチックスターラーに設置した500mL三ツ口丸底フラスコに入れた。クロロホルム(300mL)を加え、そしてこの混合物を攪拌した。EDCI(1.2g、0.094モル)及びトリエチルアミン(12mL)を加え、そして約15分間攪拌した。次にエチニルエストラジオール(15g;0.051モル)、続いて4−ジメチルアミノピリジン(0.93g、0.007モル)を加えた。結果として得られる溶液を室温で約18時間攪拌し、次にこの反応混合物をクロロホルム(500mL)で希釈した。2M塩酸溶液(2×400mL)そして次にブライン(400mL)を使用してこの溶液を抽出した。最後に飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×400mL)を使用してこの溶液を抽出した。結果として得られるジ−(3−エチニルエストラジオール)スクシネートを硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。
再結晶方法
【0058】
ジ−(3−エチニルエストラジオール)スクシネート(10g)及び酢酸エチル/ヘプタン(50:50)混合物(200mL)をコンデンサー及びマグネチックスターラーに設置した三ツ口丸底フラスコに入れた。この混合物を加熱して還流させ、ほぼすべてのエチニルエストラジオールエステルを溶解させた。この熱い混合物を次に濾過した。濾液を冷ましてゆっくり再結晶させた(約18時間)。次に、ジ−(3−エチニルエストラジオール)スクシネートを濾過し、そして空気乾燥させた。続いて真空オーブン中で室温で約18時間乾燥させた。
【0059】
この化合物をHPLCで分析して、純度97.8%と見出された。13C及び1HNMR並びにIR分光法による構造分析から、3'C−3'Cで連結されたプロドラッグが形成されたことが明らかとなった。融点は198℃と見出された。
【実施例3】
【0060】
ジ−(3−エチニルエストラジオール)グルタレートの合成
製造
グルタル酸(3.43g;0.027モル)をマグネチックスターラーに設置した500mL三ツ口丸底フラスコに入れた。クロロホルム(300mL)を加え、そしてこの混合物を攪拌した。EDCI(14.1g、0.073モル)及びトリエチルアミン(12mL)を加え、そして約15分間攪拌した。次にエチニルエストラジオール(15g;0.051モル)、続いて4−DMAP(1.5g、0.012モル)を加えた。この溶液を室温で約18時間攪拌した。次にこの反応混合物をクロロホルム(250mL)で希釈し、そして1M塩酸溶液(2×500mL)そして次にブライン溶液(400mL)で抽出した。最後に飽和炭酸水素ナトリウム溶液(500mL次に250mL)を使用してこの溶液を抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮してジ−(3−エチニルエストラジオール)グルタレートを得た。
再結晶方法
【0061】
ジ−(3−エチニルエストラジオール)グルタレート(10.6g)及び酢酸エチル/ヘプタン(50:50)混合物(200mL)をコンデンサー及びマグネチックスターラーに設置した三ツ口丸底フラスコに入れた。この混合物を加熱して還流させ、ほぼすべてのエチニルエストラジオールエステルを溶解させた。この熱い混合物を濾過した。濾液を冷ましてゆっくり再結晶させた(約18時間)。ジ−(3−エチニルエストラジオール)グルタレートを濾過し、そして空気乾燥させた。続いて真空オーブン中で室温で約18時間乾燥させた。
【0062】
この化合物をHPLCで分析して、純度96.0%と見出された。13C及び1HNMR並びにIR分光法による構造分析から、3'C−3'Cプロドラッグが形成されたことが明らかとなった。融点は194℃と見出された。
【実施例4】
【0063】
ジ−(3−エチニルエストラジオール)アジペートの合成
製造
アジピン酸(3.8g;0.026モル)をマグネチックスターラーに設置した500mL三ツ口丸底フラスコに入れた。クロロホルム(300mL)を加え、そしてこの混合物を攪拌した。EDCI(14.1g、0.073モル)及びトリエチルアミン(12mL)を加え、そして約15分間攪拌した。次にエチニルエストラジオール(15g;0.051モル)、続いて4−ジメチルアミノピリジン(1.5g、0.012モル)を加えた。結果として得られる溶液を室温で約18時間攪拌した。この反応混合物をクロロホルム(500mL)で希釈し、そして2M塩酸溶液(2×400mL)そして次にブライン(400mL)で抽出した。最後に飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×400mL)を使用してこの溶液を抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮してジ−(3−エチニルエストラジオール)アジペートを得た。
再結晶方法
【0064】
ジ−(3−エチニルエストラジオール)アジペート(9g)及び酢酸エチル/ヘプタン(50:50)混合物(150mL)をコンデンサー及びマグネチックスターラーに設置した三ツ口丸底フラスコに入れた。この混合物を加熱して還流させ、ほぼすべてのエチニルエストラジオールエステルを溶解させた。この熱い混合物を次に濾過した。濾液を冷ましてゆっくり再結晶させた(約18時間)。ジ−(3−エチニルエストラジオール)アジペートを濾過し、そして空気乾燥させた。続いて真空オーブン中で室温で約18時間乾燥させた。
【0065】
この化合物をHPLCで分析して、純度90.9%と見出された。13C及び1HNMR並びにIR分光法による構造分析から、3'C−3'Cプロドラッグが形成されたことが明らかとなった。融点は179℃と見出された。
【実施例5】
【0066】
ジ−(3−エチニルエストラジオール)フマレートの合成
製造
エチニルエストラジオール(25g;0.085モル)をマグネチックスターラーに設置した1L三ツ口丸底フラスコに入れた。ジクロロメタン(375mL)を加え、そしてこの混合物を窒素中で室温で攪拌した。トリエチルアミン(15mL)を加えた。このフラスコを氷/水浴中に置き0℃まで冷却した。次に4−DMAP(0.78g;0.006モル)を加えた。この溶液を0℃で約15分間攪拌した。塩化フマリル(7.14g;0.047モル)をジクロロメタン(125mL)に溶解した。この塩化フマリル溶液を、温度を5℃より低く保ちながら、添加漏斗を介してエチニルエストラジオール溶液に1滴ずつ加えた。最後まで加えた後、この溶液をゆっくりと室温まで温め、そして次に窒素中で室温で(約20時間)攪拌した。結果として得られた懸濁液をジクロロメタン(1L)で希釈し、そしていかなる固体も捕獲するように濾過した。この固体を次にジクロロメタン(500mL)、そして2M塩酸溶液(500mL)で洗浄した。有機相を分離し、そして2M塩酸(500mL)、炭酸水素ナトリウム溶液(2×500mL)、そしてブライン(500mL)で抽出した。結果として得られるジ−(3−エチニルエストラジオール)フマレートを硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。この固体を新鮮なジクロロメタン(1000mL)に溶解させた。この混合物に脱色炭(35g)を加え、次に約30分間40℃まで加熱した。この固体を次にセライトベッドで濾過し、ジクロロメタン(500mL)ですすいだ。黄色の濾過物を次に濃縮した。
再結晶方法
【0067】
ジ−(3−エチニルエストラジオール)フマレート(14.6g)及びTHF/ヘプタン(2:1)混合物(300mL)をコンデンサー及びマグネチックスターラーに設置した三ツ口丸底フラスコに入れた。この混合物を加熱して還流させた。この熱い混合物を次に濾過して不溶物を除去した。濾液を冷ましてゆっくり再結晶させた(約18時間)。結果として得られるジ−(3−エチニルエストラジオール)フマレートを濾過し、そして空気乾燥させた。続いて真空オーブン中で室温で約18時間乾燥させた。
【0068】
この化合物をHPLCで分析して、純度98.4%と見出された。13C及び1HNMR並びにIR分光法による構造分析から、3'C−3'Cプロドラッグが形成されたことが明らかとなった。融点は260℃と見出された。
【実施例6】
【0069】
ジ−(3−エチニルエストラジオール)アスパルテート(Boc保護)の合成
製造−ステップ1
N−(t−ブトキシカルボニル)アスパラギン酸(8.65g;0.037モル)をマグネチックスターラーに設置した1L三ツ口丸底フラスコに入れた。クロロホルム(400mL)を加え、そしてこの混合物を攪拌した。EDCI(24g、0.125モル)及びトリエチルアミン(16mL)を加え、そして約15分間攪拌した。エチニルエストラジオール(20g;0.067モル)、続いて4−DMAP(2.0g、0.016モル)を加えた。この溶液を窒素雰囲気中で室温で約20時間攪拌した。この反応混合物をクロロホルム(500mL)で希釈し、2M塩酸溶液(2×500mL)、次にブライン(500mL)、そして最後に飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×500mL)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮してジ−(3−エストラジオール)アスパルテートをHPLCによる純度80.0%の白色固体として得た。この粗材料をHPLCで精製した。
【0070】
この化合物をHPLCで分析して、純度94.0%と見出された。13C及び1HNMR並びにIR分光法による構造分析から、3'C−3'Cプロドラッグが形成されたことが明らかとなった。融点は141℃と見出された。
製造−ステップ2 ジ−(3−エチニルエストラジオール)アスパルテート生成のための脱保護反応
【0071】
Boc保護したアスパラギン酸エチニルエストラジオール(26g;0.033モル)をマグネチックスターラーに設置した500mL三ツ口丸底フラスコに入れた。4M塩酸/ジオキサン(130mL)を加え、そしてこの混合物を窒素中で室温で約18時間攪拌した。過剰の塩酸及びジオキサンは減圧下で除去した。DCM(300mL)を加えた。この固体を完全に溶解し、そして溶媒を減圧下で除去した。
【0072】
この残余物を酢酸エチルでスラリー化し、濾過し、そしてヘプタン中で洗浄し、そして乾燥させて白色固体を得た。
【0073】
この化合物をHPLCで分析して、純度97.0%と見出された。13C及び1HNMR並びにIR分光法による構造分析から、3'C−3'Cプロドラッグが形成されたことが明らかとなった。融点は183〜184℃と見出された。
【0074】
本発明はその特定の実施態様を参照して以上に記載されてきたが、本明細書中に開示される発明の概念から乖離することなく多くの変更、改変、及び変形が可能なことは明らかである。従って、添付される請求項の精神と広い範囲内に当てはまるすべてのそのような変更、改変、及び変形を包含するように意図されている。本明細書中に引用されたすべての特許出願、特許、及び他の刊行物は参照することにより本明細書中に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式を有するエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグ:
【化1】

[式中、Rは
【化2】

より成る群から選択され;
このときX及びYは
【化3】

から独立して選択され;
そしてZは
(i)飽和又は不飽和でよく、且つ、1又はそれを超える低級アルキル、ヒドロキシ又はアミノ基によって所望により置換されていてもよい1〜10個の炭素原子を有する脂肪族直鎖;
(ii)A−B−D
(式中、A及びDは独立して-CO(CH2)f-であり(このときfは0〜5である)、そしてBは-O-(CH2CH2O)p-(このときpは1〜700である)である);又は
(iii)アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はそれらの組み合わせより成る群から選択されるアミノ酸から独立して誘導される2〜15個のアミノ酸単位を有するペプチド結合(このとき、前記ペプチドの両末端基はアスパラギン酸及びグルタミン酸から独立して誘導されるアミノ酸単位である)]。
【請求項2】
Rが
【化4】

である、請求項1に記載のプロドラッグ。
【請求項3】
Rが
【化5】

より成る群から選択される、請求項1に記載のプロドラッグ。
【請求項4】
Rが
【化6】

である、請求項1に記載のプロドラッグ。
【請求項5】
前記プロドラッグが、ジ−(3−エチニルエストラジオール)カーボネート、ジ−(3−エチニルエストラジオール)マレート、ジ−(3−エチニルエストラジオール)スクシネート、ジ−(3−エチニルエストラジオール)グルタレート、ジ−(3−エチニルエストラジオール)アジペート、ジ−(3−エチニルエストラジオール)フマレート、ジ−(3−エチニルエストラジオール)グルタメート、ジ−(3−エチニルエストラジオール)アスパルテート、及び医薬として許容できるそれらの塩より成る群から選択される、請求項1に記載のプロドラッグ。
【請求項6】
以下を含む、医薬投与ユニット:
(a)以下の式を有するエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグ:
【化7】

[式中、Rは
【化8】

より成る群から選択され;
このときX及びYは
【化9】

から独立して選択され;
そしてZは
(i)飽和又は不飽和でよく、且つ、1又はそれを超える低級アルキル、ヒドロキシ又はアミノ基によって所望により置換されていてもよい1〜10個の炭素原子を有する脂肪族直鎖;
(ii)A−B−D
(式中、A及びDは独立して-CO(CH2)f-であり(このときfは0〜5である)、そしてBは-O-(CH2CH2O)p-(このときpは1〜700である)である);又は
(iii)アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はそれらの組み合わせより成る群から選択されるアミノ酸から独立して誘導される2〜15個のアミノ酸単位を有するペプチド結合(このとき、前記ペプチドの両末端基はアスパラギン酸及びグルタミン酸から独立して誘導されるアミノ酸単位である)]、及び
(b)1又はそれを超える医薬として許容できる賦形剤。
【請求項7】
以下の式を有するエチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグの製造方法:
【化10】

[式中、Rは
【化11】

より成る群から選択され;
このときX及びYは
【化12】

から独立して選択され;
そしてZは
(i)飽和又は不飽和でよく、且つ、1又はそれを超える低級アルキル、ヒドロキシ又はアミノ基によって所望により置換されていてもよい1〜10個の炭素原子を有する脂肪族直鎖;
(ii)A−B−D
(式中、A及びDは独立して-CO(CH2)f-であり(このときfは0〜5である)、そしてBは-O-(CH2CH2O)p-(このときpは1〜700である)である);又は
(iii)アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はそれらの組み合わせより成る群から選択されるアミノ酸から独立して誘導される2〜15個のアミノ酸単位を有するペプチド結合(このとき、前記ペプチドの両末端基はアスパラギン酸及びグルタミン酸から独立して誘導されるアミノ酸単位である)]であって、
以下のステップを含む、前記製造方法:
(A)エチニルエストラジオール又はその誘導体を提供し;
(B)前記エチニルエストラジオールと連結剤とを混合し、このとき前記連結剤は
(a)カーボネート;
(b)1〜10個の炭素原子骨格を有する脂肪族二酸;
(c)G−CO−Z−X−G(式中、Gはハロゲンである);
(d)アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はそれらの組み合わせより成る群から選択されるアミノ酸から独立して誘導される2〜15個のアミノ酸単位を有するペプチド結合(このとき、前記ペプチドの両末端基はアスパラギン酸及びグルタミン酸から独立して誘導されるアミノ酸単位である);
(e)t−ブトキシカルボニル保護されたシステイン酸;及び
(f)ポリエチレングリコール及び無水コハク酸
より成る群から選択され;
(C)所望により、カップリング剤及び/又は塩基を混合する
ことにより、前記エチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグ又はその医薬として許容できる塩を形成する。
【請求項8】
前記連結剤が、カーボネート、
H−Y−Z−X−H、又は
G−CO−Z−X−G
(式中、Gはハロゲンである)である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記カップリング剤が、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩、及びそれらの混合物より成る群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの前記塩基が、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、及びそれらの混合物より成る群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記プロドラッグが、ジ−(3−エチニルエストラジオール)カーボネート又はその医薬として許容できる塩である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記プロドラッグが、ジ−(3−エチニルエストラジオール)スクシネート、ジ−(3−エチニルエストラジオール)マレート、ジ−(3−エチニルエストラジオール)グルタレート、ジ−(3−エチニルエストラジオール)アジペート、ジ−(3−エチニルエストラジオール)フマレート、ジ−(3−エチニルエストラジオール)グルタメート、ジ−(3−エチニルエストラジオール)アスパルテート、及びその医薬として許容できる塩より成る群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
避妊を必要とする患者に請求項1に記載の前記エチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグの有効量を有効な期間投与するステップを含む、避妊を提供する方法。
【請求項14】
ホルモン処置を必要とする患者に請求項1に記載の前記エチニルエストラジオールのジ−ステロイド型プロドラッグの有効量を有効な期間投与するステップを含む、ホルモン処置を必要とする患者にホルモン療法を提供する方法。

【公表番号】特表2007−517878(P2007−517878A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549277(P2006−549277)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/041469
【国際公開番号】WO2005/070950
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(506162149)ワーナー・チルコット・カンパニー・インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】