説明

エッチング液の電解処理方法

【課題】マンガン塩を含む新規なエッチング液について、使用によってハロゲン酸及び/又はハロゲン酸塩が蓄積した場合に、その濃度を低下させて長時間の継続使用を可能とする方法を提供する。
【解決手段】無機酸を20〜1200g/L、マンガン塩を0.01〜40g/L、並びに過ハロゲン酸および過ハロゲン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を1〜200g/L含有する水溶液からなるエッチング液の電解処理方法であって、
使用によってハロゲン酸又はハロゲン酸塩の濃度が上昇したエッチング液を陽極電解酸化処理することを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンガン塩を有効成分として含むエッチング液の電解処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形体に電気めっき皮膜を形成する方法としては、脱脂及びエッチングを行った後、必要に応じて、中和及びプリディップを行い、次いで、錫化合物及びパラジウム化合物を含有するコロイド溶液を用いて無電解めっき用触媒を付与し、その後必要に応じて活性化処理(アクセレーター処理)を行い、無電解めっき及び電気めっきを順次行う方法が一般的な方法である(非特許文献1)。
【0003】
この場合、エッチング処理液としては、三酸化クロムと硫酸の混合液からなるクロム酸混液が広く用いられているが、クロム酸混液は、有毒な6価クロムを含むために作業環境に悪影響があり、しかも廃水を安全に処理するためには、6価クロムを3価クロムイオンに還元した後、中和沈殿させることが必要であり、廃水処理のために煩雑な処理が要求される。このため、現場での作業時の安全性や廃水による環境への影響を考慮すると、クロム酸を含有しないエッチング処理液が望まれる。
【0004】
本発明者等はクロム酸混液に替わり得るエッチング液を開発すべく研究を重ねた結果、マンガン塩、無機酸、並びに過ハロゲン酸及び過ハロゲン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を有効成分として含む新規なエッチング液を見出した。該エッチング液は、クロム酸等の有害性の高い成分を含まない安全性の高いエッチング処理液であり、各種の樹脂成形体に対するエッチング処理に用いた場合に、高い密着性を有するめっき皮膜を形成することができる。
【0005】
しかしながら、該エッチング液を用いて連続的にエッチング処理を行うと、過ハロゲン酸及び過ハロゲン酸塩が還元されて、それぞれハロゲン酸及びハロゲン酸塩となり、生成したハロゲン酸及びハロゲン酸塩がエッチング液中に蓄積すると、エッチング液の自己分解が生じ易くなり、マンガン塩、過ハロゲン酸、過ハロゲン酸塩等の濃度が急激に低下して、エッチング液の組成を一定に保持できなくなる。このようにしてマンガン塩、過ハロゲン酸、過ハロゲン酸塩等の濃度が低下したエッチング液は、酸化作用が低下し、ついにはエッチングの継続が不可能となる。このため、上記したマンガン塩を有効成分として含むエッチング液について、エッチング液の自己分解による性能低下の問題を解決して、長寿命化を可能とする方法の開発が望まれる。
【非特許文献1】林忠夫,松岡政夫,縄舟秀美;電気鍍金研究会編「無電解めっき−基礎と応用」、日刊工業新聞社(1994)、pp.133
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、上記したマンガン塩を含む新規なエッチング液について、使用によってハロゲン酸及び/又はハロゲン酸塩が蓄積した場合に、その濃度を低下させて長時間の継続使用を可能とする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、上記したマンガン塩を有効成分として含むエッチング液について、使用に伴ってハロゲン酸及び/又はハロゲン酸塩が蓄積した場合に、陽極電解酸化処理を行うことによって、ハロゲン酸及びハロゲン酸塩の濃度を低下させることができ、エッチング液の性能の低下を防止して、優れたエッチング性能を長期間維持できることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記のエッチング液の電解処理方法を提供するものである。
1. 無機酸を20〜1200g/L、マンガン塩を0.01〜40g/L、並びに過ハロゲン酸および過ハロゲン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を1〜200g/L含有する水溶液からなるエッチング液の電解処理方法であって、
使用によってハロゲン酸及び/又はハロゲン酸塩の濃度が上昇したエッチング液を陽極電解酸化処理することを特徴とする方法。
2. ハロゲン酸及びハロゲン酸塩の合計濃度が10g/L以上含有する状態となったエッチング液を電解処理の対象とする上記項1に記載の方法。
3. 陽極として不溶性電極を用いる上記項1又は2に記載の方法。
4. 陽極電流密度0.1〜20A/dmで電解を行う上記項1〜3のいずれかに記載の方法。
5. 撹拌下に陽極電解酸化処理を行う上記項1〜4のいずれかに記載の方法。
【0009】
以下、本発明の処理方法について具体的に説明する。
【0010】
処理対象エッチング液
本発明の処理対象とするエッチング液は、無機酸を20〜1200g/L、マンガン塩を0.01〜40g/L、並びに過ハロゲン酸および過ハロゲン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を1〜200g/L含有する水溶液からなるものである。該エッチング液は、ABS樹脂などの各種の樹脂成形体に対して、良好な密着性を有するめっき皮膜を形成することが可能な、クロム酸混液に替わり得るエッチング処理液であって、安全性が高く、廃水処理が容易な新規なエッチング液である。
【0011】
該エッチング液における有効成分の内で、無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、炭酸、亜硫酸、亜硝酸、亜リン酸、亜ホウ酸、過酸化水素、過塩素酸等を用いることができる。これらの内で、特に、硫酸、塩酸等が好ましい。これらの無機酸は、一種単独または二種以上混合して用いることができる。無機酸の含有量は、20〜1200g/L程度であり、好ましくは300〜1000g/L程度である。
【0012】
該エッチング液における有効成分の内で、マンガン塩としては、特に過マンガン酸塩が好ましい。過マンガン酸塩としては、水溶液の塩であれば良く、その具体例としては、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム等を例示できる。マンガン塩は、一種単独または二種以上混合して用いることができる。マンガン塩の含有量は、0.01〜40g/L程度であり、好ましくは0.1〜10g/L程度である。
【0013】
該エッチング液における有効成分の内で、過ハロゲン酸としては、過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸等を挙げることができる。過ハロゲン酸塩としては、上記した過ハロゲン酸の水溶性塩を用いることができ、例えば、過ハロゲン酸ナトリウム、過ハロゲン酸カリウム等を用いることができる。過ハロゲン酸及び過ハロゲン酸塩は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0014】
過ハロゲン酸及び過ハロゲン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分の含有量は、1〜200g/L程度であり、好ましくは10〜100g/L程度である。
【0015】
エッチング液の電解処理方法
上記エッチング液は、エッチング処理を長期間行うとエッチング液中の過ハロゲン酸及び/又は過ハロゲン酸塩が還元されて、ハロゲン酸及び/又はハロゲン酸塩が生成し、これがエッチング液中に蓄積すると、エッチング液の分解が急激に進行する。
【0016】
本発明によれば、ハロゲン酸及び/又はハロゲン酸塩の濃度が上昇したエッチング液について、後述した方法で陽極電解酸化処理を行うことによって、ハロゲン酸及びハロゲン酸塩の濃度を低下させることができ、良好なエッチング性能を長期間維持することが可能となる。
【0017】
陽極電解酸化処理を行う時期については特に限定はなく、ハロゲン酸及び/又はハロゲン酸塩の蓄積が生じた場合に陽極電解酸化処理を適宜行えばよい。特に、ハロゲン酸およびハロゲン酸塩の合計濃度が10g/L程度以上になると、エッチング液の分解が急激に進行してマンガン塩、過ハロゲン酸、過ハロゲン酸塩等の濃度が著しく低下する傾向がある。このため、ハロゲン酸およびハロゲン酸塩の合計濃度が10g/L程度以上となったエッチング液については、陽極電解酸化処理を行うことが好ましい。
【0018】
尚、陽極電解処理を行う際に、処理対象となるエッチング液中におけるマンガン塩、無機酸及び過ハロゲン酸の濃度については特に限定はなく、任意の濃度のエッチング液について、陽極電解処理を行うことができる。尚、マンガン塩の濃度については、エッチング処理の進行に伴って減少するので、陽極酸化処理を行う際には、エッチング液中にマンガン塩が含まれていなくても良い。この様なエッチング液についても、陽極電解処理を行った後、有効成分の濃度を所定の範囲に調整することによって、継続して使用が可能となる。
【0019】
本発明の処理方法では、まず、処理対象となるエッチング液中に沈殿物が含まれる場合には、フィルター濾過などの方法によって沈殿物を除去することが好ましい。
【0020】
次いで、該エッチング液について、陽極電解酸化処理を行う。電解処理に用いる処理装置の一例の概略図を図1に示す。
【0021】
陽極としては、不溶性電極であれば特に限定なく使用できる。不溶性電極の具体例としては、Ti/Pt(Tiに白金系コーティングを施したもの)、Ti/Ir酸化物(TiにIr酸化物コーティングを施したもの)、Ti/Ru(TiにRu酸化物コーティングを施したもの)、Ti/Ir酸化物−Ru酸化物(TiにIr酸化物とRu酸化物を混合させてコーティングを施したもの)、Ti/Ir酸化物−Ta酸化物(TiにIr酸化物とTa酸化物を混合させてコーティングを施したもの)、Ti/Pt/Ir酸化物−Ru酸化物(Ti/PtにIr酸化物とRu酸化物を混合させてコーティングを施したもの)、Ti/Pt/Ir酸化物−Ta酸化物(Ti/PtにIr酸化物とTa酸化物を混合させてコーティングを施したもの)、ステンレス、アルミニウム、鉛合金(Pb−Sn合金,Pb−Ag合金,Pb−Sb合金)、鉛酸化物(一酸化鉛、二酸化鉛、三酸化鉛、四酸化三鉛)、鉛、酸化スズ、カーボン、ダイヤモンド電極(窒素やホウ素を含んだダイヤモンドをシリコンやニオブなどの基体に被覆したもの)、ITO電極(インジウムスズ酸化物)等を挙げることができる。これらの陽極の内で、鉛合金(Pb−Sn合金,Pb−Ag合金,Pb−Sb合金)、鉛酸化物(一酸化鉛、二酸化鉛、三酸化鉛、四酸化三鉛)、鉛等が好ましく、鉛酸化物が特に好ましい。
【0022】
陰極としては、特に制限はなく、不溶性電極及び可溶性電極をいずれも用いることができる。不溶性電極としては、上記した陽極と同様の電極を用いることができる。陰極としては、銅、ニッケル、スズ、鉄、亜鉛、黄銅、アルミニウム、ステンレスなどを用いることができる。特に、陰極としては、鉛合金、鉛、Pt/Ti、ニッケル、銅、黄銅、ステンレスなどが好ましい。
【0023】
電極の形状は特に制限されず、棒状、板状、メッシュ状あらゆる形を使用することができる。
【0024】
陽極と陰極は、必要に応じて、いずれか一方又は両方について、隔膜を用いて、エッチング液と直接接触させない状態としても良い。隔膜の材質については特に限定はなく、エッチング液中において安定な材料であればよい。例えば、素焼きの磁器製隔膜を用いることができる。磁器製隔膜の種類、形状、大きさなどについては特に限定はなく、電極を収容するための十分な大きさがあればよい。隔膜を用いる場合には、電極室中の電解液としては、例えば無機酸の水溶液を用いることができる。この場合、処理対象となるエッチング液中に含まれる無機酸と同一の無機酸を用いることが好ましい。電解液として用いる無機酸の濃度は、例えば、2〜200g/L程度とすることが好ましく、20〜100g/L程度とすることがより好ましい。
【0025】
極板の大きさについては特に限定はないが、陽極と陰極の表面積比は陽極:陰極=1:1〜100:1程度とすることが好ましく、1:1〜10:1程度とすることがより好ましい。
【0026】
陽極電解酸化処理の条件は、特に限定的ではないが、例えば、液温20〜70℃程度、好ましくは25〜70℃程度として、陽極電流密度を0.1〜20A/dm程度、好ましくは、1〜10A/dm程度とすればよい。
【0027】
陽極電解酸化処理の処理時間は、処理対象となるエッチング液の液量などによって異なるので、特に限定的ではないが、エッチング液中に含まれるハロゲン酸及びハロゲン酸塩の濃度が十分に低下するまで電解処理を行えばよい。
【0028】
陽極電解酸化処理は、エッチング液の撹拌下又は無撹拌下において行うことができる。特に、撹拌下において陽極電解酸化処理を行うことによって、ハロゲン酸及びハロゲン酸塩の濃度を大きく低下させることができる。撹拌方法については特に限定はなく、空気撹拌、窒素ガスによる撹拌、ポンプによる液循環等の任意の方法を採用できる。また、電極板を揺動させる方法によってエッチング液を撹拌してもよい。特に、空気撹拌、窒素ガスによる撹拌、ポンプによる液循環等の方法が好ましい。また、隔膜を用いて電解処理を行う場合には、隔膜内の電解液についても撹拌してもよい。
【0029】
上記した陽極電解酸化処理を行うことによって、エッチング液中に含まれるハロゲン酸及び/又はハロゲン酸塩の濃度が低下して、過ハロゲン酸及び/又は過ハロゲン酸塩の濃度が上昇する。また、マンガン塩の濃度については、わずかに減少する場合がある。このため、陽極電解酸化処理後、必要に応じて、マンガン塩、過ハロゲン酸、過ハロゲン酸塩等を添加することによって、エッチング液の性能を回復させて、再利用することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のエッチング液の処理方法によれば、無機酸、マンガン塩、並びに過ハロゲン酸および過ハロゲン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を有効成分として含む新規なエッチング液について、陽極電解酸化という簡単な方法によって、エッチング液中で増加するハロゲン酸及び/又はハロゲン酸塩の濃度を減少させることができる。
【0031】
よって、本発明の電解処理方法を採用することによって、上記したマンガン塩を有効成分とする安全性の高いエッチング液について、そのエッチング性能を長期間維持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0033】
実施例1
図1に示す構造の電解処理装置を用いて、下記表1に示す条件で電解処理を行った。
【0034】
【表1】

【0035】
処理対象のエッチング液の組成を下記表2に示す。各エッチング液の液量は、1Lとした。
【0036】
【表2】

【0037】
上記した条件による電解処理後のエッチング液の組成を下記表3に示す。
【0038】
【表3】

【0039】
以上の結果から明らかなように、表2に示した各組成のエッチング液について、電解処理を行うことによって、ハロゲン酸またはハロゲン酸塩の濃度を低下させて、過ハロゲン酸又は過ハロゲン酸塩の濃度を上昇させることができることが判る。
【0040】
実施例2
下記表4に示す組成のエッチング液を処理対象として、実施例1と同様の条件で電解酸化処理を行った。電解開始後、2時間、5時間及び10時間経過後のエッチング液の組成を下記表4に示す。
【0041】
【表4】

【0042】
以上の結果から明らかなように、電解時間の経過と共に、ヨウ素酸ナトリウム濃度が低下し、過ヨウ素酸ナトリウム濃度が上昇することが判る。
【0043】
耐分解性試験
実施例1で用いたNo.10のエッチング液について、陽極電解酸化処理前と陽極電解処理後のエッチング液を65℃で48時間放置した後、過マンガン酸カリウム、過ヨウ素酸ナトリウム及びヨウ素酸ナトリウムの各成分の濃度を測定した。尚、陽極電解酸化処理後のエッチング液については、過マンガン酸カリウムを添加して陽極電解酸化処理前のエッチング液と同じ0.5g/Lとして耐分解性試験を行った。
【0044】
放置後のエッチング液中の各成分の濃度を下記表5に示す。
【0045】
【表5】

【0046】
以上の結果から明らかなように、陽極電解酸化処理を行っていないエッチング液については、65℃で48時間放置後に、過マンガン酸カリウムと過ヨウ素酸ナトリウムの濃度が急激に低下して、ヨウ素酸ナトリウム量が増加しており、エッチング液の分解が進行したことが判る。これに対して、陽極電解酸化処理を行ったエッチング液については、放置後にも濃度変化は認められず、良好な安定性を有することが判る。
【0047】
エッチング性能試験
上記した方法で耐分解性試験を行う前のエッチング液と耐分解性試験後の各エッチング液を用いて、ABS樹脂(UMG ABS(株)製、商標名:サイコラック3001M)の平板(10cm×5cm×0.3cm、表面積約1dm)を被めっき物として下記表6に示す処理工程で無電解めっきを行った。
【0048】
【表6】

【0049】
上記した方法で無電解めっき皮膜を形成した後、試料表面における無電解めっき皮膜の形成された割合を測定して、無電解めっきの析出性を評価した。
【0050】
次いで、硫酸銅めっき浴を用いて、電流密度3A/dm、温度25℃で電気めっき処理を120分間行い、銅めっき皮膜を形成した。この様にして得られた試料について、80℃で120分間乾燥させ、室温になるまで放置した後、めっき皮膜に10mm幅の切り目を入れ、引張り試験器((株)島津製作所製、オートグラフSD−100−C)を用いて、樹脂に対して垂直にめっき皮膜を引張り、ピール強度を測定した。
【0051】
以上の結果を下記表7に示す。
【0052】
【表7】

【0053】
以上の結果から明らかなように、陽極電解酸化処理を行う前のエッチング液については、65℃で48時間放置した場合に、エッチング性能が大きく低下して、無電解めっきの析出性及びめっき皮膜の密着性が大きく低下することが判る。これに対して、陽極電解酸化処理を行ったエッチング液については、放置試験後においても良好なエッチング性能を維持しており、エッチング液の安定性が大きく向上したことが判る。
【0054】
実施例3
上記表2に記載したNo.1,3,5,7,及び9の各エッチング液を用いて、エッチング液に対して空気撹拌を行いながら、上記表1に記載した電解条件と同一の条件で電解処理を行った。電解処理後のエッチング液の組成を下記表8に示す。
【0055】
【表8】

【0056】
表8から明らかなように、空気撹拌下に陽極電解酸化処理を行うことによって、ハロゲン酸又はハロゲン酸塩の濃度を大きく低下させることができた。また、この結果を、表3に記載されている無撹拌状態で電解処理を行った場合の結果と比較すると、空気撹拌を行うことによって、ハロゲン酸又はハロゲン酸塩の濃度をより大きく低下させることができることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の電解方法を実施するための電解処理装置の一例の概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機酸を20〜1200g/L、マンガン塩を0.01〜40g/L、並びに過ハロゲン酸および過ハロゲン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を1〜200g/L含有する水溶液からなるエッチング液の電解処理方法であって、
使用によってハロゲン酸及び/又はハロゲン酸塩の濃度が上昇したエッチング液を陽極電解酸化処理することを特徴とする方法。
【請求項2】
ハロゲン酸及びハロゲン酸塩の合計濃度が10g/L以上となったエッチング液を電解処理の対象とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
陽極として不溶性電極を用いる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
陽極電流密度0.1〜20A/dmで電解を行う請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
撹拌下において陽極電解酸化処理を行う請求項1〜4のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−22948(P2009−22948A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105547(P2008−105547)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(591021028)奥野製薬工業株式会社 (132)
【Fターム(参考)】