説明

エレクトロクロミック化合物

【課題】長時間に亘って発色状態を維持することが可能なエレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、表示素子及び表示装置を提供する。
【解決手段】エレクトロクロミック化合物は、一般式


で表される化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、表示素子及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙に替わる電子媒体として、電子ペーパーが知られている。電子ペーパーは、表示装置が紙のように用いられる。
【0003】
電子ペーパー用途の表示装置としては、反射型液晶表示装置、電気泳動表示装置等が知られている。しかしながら、白反射率及びコントラスト比を確保しながら、多色表示することは大変困難である。一般に、多色表示するためには、カラーフィルタを設けるが、カラーフィルタが光を吸収することに加え、一画素を、例えば、レッド、グリーン及びブルーに3分割するため、白反射率が低下し、それに伴ってコントラスト比が低下する。
【0004】
一方、カラーフィルタを設けない反射型の表示装置として、エレクトロクロミック表示装置が知られている。エレクトロクロミック表示装置は、エレクトロクロミック化合物の構造によって様々な色を発色できるため、多色カラー表示装置として期待されている。
【0005】
特許文献1には、一般式
A−(CX−B
(ただし、Aは、一価の結合基であり、Bは、酸化還元発色団であり、Xは、ハロゲン原子であり、nは1以上の整数である。)
で表されるエレクトロクロミック化合物が開示されている。
【0006】
しかしながら、さらに長時間に亘って発色状態を維持することが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術が有する問題に鑑み、長時間に亘って発色状態を維持することが可能なエレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、表示素子及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のエレクトロクロミック化合物は、一般式
【0009】
【化1】

(式中、X、X、X、X、X、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、アミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換若しくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、アミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Yは、パーハロアルキル基であり、Zは、カルボキシル基、ホスホン酸基、スルホン酸基、リン酸基又はヒドロキシル基であり、Eは、オキシ基、チオ基又はセレノ基であり、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のアルキニレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基又は置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、A及びBは、それぞれ独立に、1価のアニオンである。)
で表される化合物である。
【0010】
本発明のエレクトロクロミック化合物は、一般式
【0011】
【化2】

(式中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10及びX11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、アミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換若しくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、アミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Yは、パーハロアルキル基であり、Zは、カルボキシル基、ホスホン酸基、スルホン酸基、リン酸基又はヒドロキシル基であり、Lは、置換若しくは無置換のアリーレン基であり、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のアルキニレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基又は置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、A及びBは、それぞれ独立に、1価のアニオンであり、nは0以上3以下の整数である。)
で表される化合物である。
【0012】
本発明のエレクトロクロミック化合物は、一般式
【0013】
【化3】

(式中、X、X、X、X、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、アミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換若しくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、アミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Yは、パーハロアルキル基であり、Zは、カルボキシル基、ホスホン酸基、スルホン酸基、リン酸基又はヒドロキシル基であり、Aは、N、O、S又はSeを1個以上含み、Lと結合するCを含む置換又は無置換の5員環の複素環基であり、Lは、置換又は無置換のアリーレン基であり、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のアルキニレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基又は置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、B及びCは、それぞれ独立に、1価のアニオンであり、nは1以上3以下の整数である。)
で表される化合物である。
【0014】
本発明のエレクトロクロミック化合物は、一般式
【0015】
【化4】

(式中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、アミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換若しくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、アミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Yは、パーハロアルキル基であり、Zは、カルボキシル基、ホスホン酸基、スルホン酸基、リン酸基又はヒドロキシル基であり、Aは、置換又は無置換のベンゼン由来のn価の基であり、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のアルキニレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基又は置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、B及びCは、それぞれ独立に、1価のアニオンであり、nは2以上6以下の整数であり、mは1以上n−1以下の整数である。)
で表される化合物である。
【0016】
本発明のエレクトロクロミック組成物は、本発明のエレクトロクロミック化合物が導電性又は半導体性のナノ構造体に結合又は吸着している。
【0017】
本発明のエレクトロクロミック組成物は、導電性又は半導体性のナノ構造体に、一般式
【0018】
【化5】

(式中、Bは、ハロゲン基であり、Cは、アルキレン基であり、Dは、ハロゲン基又はアルコキシ基であり、D及びDは、それぞれ独立に、ハロゲン基、アルコキシ基又はアルキル基である。)
で表される化合物を反応させた後、一般式
【0019】
【化6】

(式中、X、X、X、X、X、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、アミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換若しくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、アミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Yは、パーハロアルキル基であり、Eは、オキシ基、チオ基又はセレノ基であり、Rは、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のアルキニレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基又は置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、Aは、1価のアニオンである。)
で表される化合物を反応させて製造されている。
【0020】
本発明のエレクトロクロミック組成物は、導電性又は半導体性のナノ構造体に、一般式
【0021】
【化7】

(式中、Bは、ハロゲン基であり、Cは、アルキレン基であり、Dは、ハロゲン基又はアルコキシ基であり、D及びDは、それぞれ独立に、ハロゲン基、アルコキシ基又はアルキル基である。)
で表される化合物を反応させた後、一般式
【0022】
【化8】

(式中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10及びX11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、アミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換若しくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、アミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Yは、パーハロアルキル基であり、Lは、置換若しくは無置換のアリーレン基であり、Rは、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のアルキニレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基又は置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、Aは、1価のアニオンであり、nは0以上3以下の整数である。)
で表される化合物を反応させて製造されている。
【0023】
本発明のエレクトロクロミック組成物は、導電性又は半導体性のナノ構造体に、一般式
【0024】
【化9】

(式中、Cは、ハロゲン基であり、Dは、アルキレン基であり、Eは、ハロゲン基又はアルコキシ基であり、E及びEは、それぞれ独立に、ハロゲン基、アルコキシ基又はアルキル基である。)
で表される化合物を反応させた後、一般式
【0025】
【化10】

(式中、X、X、X、X、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、アミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換若しくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、アミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Yは、パーハロアルキル基であり、Aは、N、O、S又はSeを1個以上含み、Lと結合するCを含む置換又は無置換の5員環の複素環基であり、Lは、置換又は無置換のアリーレン基であり、Rは、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のアルキニレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基又は置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、Bは、1価のアニオンであり、nは1以上3以下の整数である。)
で表される化合物を反応させて製造されている。
【0026】
本発明のエレクトロクロミック組成物は、導電性又は半導体性のナノ構造体に、一般式
【0027】
【化11】

(式中、Cは、ハロゲン基であり、Dは、アルキレン基であり、Eは、ハロゲン基又はアルコキシ基であり、E及びEは、それぞれ独立に、ハロゲン基、アルコキシ基又はアルキル基である。)
で表される化合物を反応させた後、一般式
【0028】
【化12】

(式中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、アミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換若しくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、アミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Yは、パーハロアルキル基であり、Aは、置換又は無置換のベンゼン由来のn価の基であり、Rは、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のアルキニレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基又は置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、Bは、1価のアニオンであり、nは2以上6以下の整数であり、mは1以上n−1以下の整数である。)
で表される化合物を反応させて製造されている。
【0029】
本発明の表示素子は、表示電極と、前記表示電極に対して、所定の間隔を隔てて対向して設けられている対向電極と、前記表示電極及び前記対向電極の間に挟持されている電解質を有する表示素子であって、前記表示電極の前記対向電極が設けられている側の表面に、本発明のエレクトロクロミック化合物又は本発明のエレクトロクロミック組成物を含む表示層が形成されている。
【0030】
本発明の表示装置は、本発明の表示素子と、前記表示素子を駆動する手段を有する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、長時間に亘って発色状態を維持することが可能なエレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、表示素子及び表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の表示素子の一例を示す図である。
【図2】図1の表示素子の変形例を示す図である。
【図3】実施例1及び比較例1の表示基板の発色状態の光吸収スペクトルである。
【図4】実施例1及び比較例1のメモリ性試験の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
【0034】
本発明のエレクトロクロミック化合物は、一般式(1)〜(4)で表される化合物である。
【0035】
本発明のエレクトロクロミック化合物は、末端にパーハロアルキル基を有する炭化水素基がピリジニウムイオンの窒素原子に結合しているため、還元電位の絶対値が小さくなり、長時間に亘って発色状態を維持することができる、即ち、メモリ性に優れる。
【0036】
パーハロアルキル基におけるハロゲン原子としては、特に限定されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
【0037】
1価のアニオンとしては、特に限定されないが、CFSO、Br、Cl、ClO、PF、BF等が挙げられる。
【0038】
なお、本発明のエレクトロクロミック化合物は、合成の容易さ及び安定性の面から、対称的な構造であることが好ましい。
【0039】
一般式(1)で表される化合物としては、特に限定されないが、化学式(1−1)〜(1−12)で表される化合物が挙げられる。
【0040】
【化13】

【0041】
【化14】

【0042】
【化15】

【0043】
【化16】

【0044】
【化17】

【0045】
【化18】

【0046】
【化19】

【0047】
【化20】

【0048】
【化21】

【0049】
【化22】

【0050】
【化23】

【0051】
【化24】

なお、一般式(1)で表される化合物は、シアンを発色及び消色することができる。
【0052】
一般式(2)で表される化合物としては、特に限定されないが、化学式(2−1)〜(2−9)で表される化合物が挙げられる。
【0053】
【化25】

【0054】
【化26】

【0055】
【化27】

【0056】
【化28】

【0057】
【化29】

【0058】
【化30】

【0059】
【化31】

【0060】
【化32】

【0061】
【化33】

なお、一般式(2)で表される化合物は、マゼンタを発色及び消色することができる。
【0062】
一般式(3)で表される化合物としては、特に限定されないが、化学式(3−1)〜(3−8)で表される化合物が挙げられる。
【0063】
【化34】

【0064】
【化35】

【0065】
【化36】

【0066】
【化37】

【0067】
【化38】

【0068】
【化39】

【0069】
【化40】

【0070】
【化41】

なお、一般式(3)で表される化合物は、イエローを発色及び消色することができる。
【0071】
一般式(4)で表される化合物としては、特に限定されないが、化学式(4−1)〜(4−8)で表される化合物が挙げられる。
【0072】
【化42】

【0073】
【化43】

【0074】
【化44】

【0075】
【化45】

【0076】
【化46】

【0077】
【化47】

【0078】
【化48】

【0079】
【化49】

なお、一般式(4)で表される化合物は、イエローを発色及び消色することができる。
【0080】
以上のように、一般式(1)〜(4)で表される化合物は、マゼンタ、イエロー及びシアンの3原色を発色及び消色することができるため、フルカラー表示素子に適用することができる。
【0081】
本発明のエレクトロクロミック組成物は、本発明のエレクトロクロミック化合物が導電性又は半導体性のナノ構造体に、結合又は吸着している。具体的には、本発明のエレクトロクロミック化合物は、Zがカルボキシル基、ホスホン酸基、スルホン酸基、リン酸基又はヒドロキシル基であるため、水素結合等を介して、導電性又は半導性のナノ構造体に結合又は吸着している。このとき、導電性又は半導性のナノ構造体に対する結合力が大きいことから、Zがホスホン酸基であることが好ましい。
【0082】
また、本発明のエレクトロクロミック組成物は、導電性又は半導体性のナノ構造体に、一般式(5)で表される化合物を反応させた後、一般式(6)又は(7)で表される化合物を反応させて製造されている、又は、導電性又は半導体性のナノ構造体に、一般式(8)で表される化合物を反応させた後、一般式(9)又は(10)で表される化合物を反応させて製造されている。
【0083】
一般式(5)又は(8)で表される化合物は、導電性又は半導性のナノ構造体の表面のヒドロキシル基と反応し、シロキサン結合を形成することができる。
【0084】
このとき、一般式(5)で表される化合物においては、導電性又は半導性のナノ構造体に対する結合力が大きいことから、D、D及びDがエトキシ基、メトキシ基等のアルコキシ基又はクロロ基であることが好ましい。また、Bは、ブロモ基であることが好ましく、Cは、炭素数が1〜6のアルキレン基であることが好ましい。同様に、一般式(8)で表される化合物においては、導電性又は半導性のナノ構造体に対する結合力が大きいことから、E、E及びEがエトキシ基、メトキシ基等のアルコキシ基又はクロロ基であることが好ましい。また、Cは、ブロモ基であることが好ましく、Dは、炭素数が1〜6のアルキレン基であることが好ましい。
【0085】
一般式(6)、(7)、(9)又は(10)で表される化合物は、合成の容易さ及び安定性の面から、対称的な構造であることが好ましい。
【0086】
導電性又は半導性のナノ構造体としては、特に限定されないが、ナノ粒子集積体、ナノポーラス構造体等のナノスケールの凹凸を有する構造体が挙げられる。
【0087】
導電性又は半導性のナノ構造体を構成する材料としては、特に限定されないが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、シリカ、酸化イットリウム、酸素ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、発消色の応答速度に優れた多色表示が可能であることから、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム又は酸化タングステンが好ましく、酸化チタンが特に好ましい。
【0088】
導電性又は半導性のナノ構造体を構成するナノ粒子は、平均一次粒径が30nm以下であることが好ましい。これにより、光の透過率が向上し、比表面積が大きくなる。
【0089】
導電性又は半導性のナノ構造体は、比表面積が100m/g以上であることが好ましい。これにより、発消色の表示コントラスト比に優れた多色表示が可能となる。
【0090】
図1に、本発明の表示素子の一例を示す。表示素子10は、表示電極11aが形成されている表示基板11と、表示電極11aに対して、所定の間隔を隔てて対向して設けられている対向電極12aが形成されている対向基板12を有する。また、表示電極11aの対向電極12aが設けられている側の表面に、本発明のエレクトロクロミック化合物13aを含む表示層13が形成されている。具体的には、エレクトロクロミック化合物13aは、Zがカルボキシル基、ホスホン酸基、スルホン酸基、リン酸基又はヒドロキシル基であるため、水素結合等を介して、表面にヒドロキシル基を有する表示電極11aに結合又は吸着している。さらに、表示基板11及び対向基板12の間に電解液14が充填されている。このとき、エレクトロクロミック化合物13aは、表示電極11の表面で酸化還元反応することにより、発色及び消色する。
【0091】
また、対向電極12の表示電極11側の表面に、白色の顔料粒子を含む反射層15が形成されているため、表示素子10は、反射型の表示素子である。さらに、表示基板11及び対向基板12は、スペーサ16を介して、貼り合わされている。
【0092】
表示層13を形成する方法としては、特に限定されないが、ディッピング法、蒸着法、スピンコート法、印刷法、インクジェット法等が挙げられる。
【0093】
図2に、表示素子10の変形例を示す。表示素子20は、表示電極11aの対向電極12bが設けられている側の表面に、エレクトロクロミック化合物13aを含む表示層13が形成されている代わりに、本発明のエレクトロクロミック組成物23aを含む表示層23が形成されている以外は、表示素子10と同一の構成である。
【0094】
表示層23を形成する方法としては、特に限定されないが、ディッピング法、蒸着法、スピンコート法、印刷法、インクジェット法等が挙げられる。
【0095】
表示基板11は、表示電極11aが形成されている透明基板11bである。
【0096】
表示電極11aを構成する材料としては、透明であれば、特に限定されないが、スズをドープした酸化インジウム(以下、ITOという)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、FTOという)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、ATOという)等の無機材料が挙げられる。中でも、スパッタ法を用いて、容易に薄膜を形成できることから、インジウム酸化物、スズ酸化物又は亜鉛酸化物を含む無機材料が好ましく、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOが特に好ましい。
【0097】
透明基板11bを構成する材料としては、ガラス、プラスチック等が挙げられる。このとき、透明基板11bとして、プラスチックフィルムを用いると、軽量でフレキシブルな表示素子を作製することができる。
【0098】
対向基板12は、対向電極12aが形成されている基板12bである。
【0099】
対向電極12aを構成する材料としては、特に限定されないが、ITO、FTO、酸化亜鉛、亜鉛、白金、カーボン等が挙げられる。このとき、対向電極12aが、エレクトロクロミック化合物が酸化(又は還元)するときに、還元(又は酸化)する材料を含むと、安定に発色及び消色することが可能な表示素子が得られる。
【0100】
基板12bを構成する材料としては、ガラス、プラスチック等が挙げられる。
【0101】
なお、対向基板12の代わりに、亜鉛板等の金属板を用いてもよい。
【0102】
電解液14としては、支持塩を溶媒に溶解させた溶液、イオン液体等が用いられる。このため、イオン伝導度が高い。
【0103】
支持塩としては、特に限定されないが、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、CFSOLi、CFCOOLi、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等の金属塩;過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0104】
溶媒としては、特に限定されないが、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類等が挙げられる。
【0105】
なお、電解液14の代わりに、ゲル状の電解質;ポリマー電解質等の固体電解質を用いてもよい。ポリマー電解質としては、パーフルオロスルホン酸系高分子等が挙げられる。これにより、耐久性に優れる表示素子を作製することができる。
【0106】
反射層15は、白色の顔料粒子及び樹脂(不図示)を含む塗布液を対向電極12上に塗布することにより形成することができる。
【0107】
白色の顔料粒子を構成する材料としては、特に限定されないが、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化セシウム、酸化イットリウム等の金属酸化物が挙げられる。
【0108】
白色の顔料粒子は、反射率を考慮すると、平均粒径が50〜400nmであることが好ましい。
【0109】
なお、反射層15を形成する代わりに、ポリマー電解質中に白色の顔料粒子を分散させてもよい。
【0110】
表示素子10、20を駆動する方法としては、表示電極11aと対向電極12aの間に、所定の電圧を印加することが可能であれば、特に限定されない。このとき、パッシブ駆動する方法を用いると、安価な表示装置が得られる。また、アクティブ駆動する方法を用いると、高速で、高精細に表示することが可能な表示装置が得られる。なお、対向基板12にアクティブ駆動素子を設けることにより、容易にアクティブ駆動することができる。
【0111】
表示素子10、20は、電子書籍、電子看板、電子棚札等の表示装置に適用することができる。
【実施例】
【0112】
(実施例1)
[化学式(3−1)で表される化合物の合成]
4−ブロモ安息香酸ヒドラジド5.7g、4−ブロモ安息香酸10.0g及びオキシ塩化リン13mlを反応フラスコに仕込み、110℃で3時間撹拌した後、放冷した。次に、反応液を氷水中に徐々に排出した後、希水酸化ナトリウム水溶液で中和し、生成物を析出させた。さらに、析出した生成物を濾過した後、水及びメタノールで順次洗浄し、乾燥して、中間体(A)8.3gを得た。
【0113】
中間体(A)4.6g、4−ピリジンボロン酸3.1g、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)0.84g、炭酸セシウム11.7g、水24ml及び1,4−ジオキサン60mlを、窒素で置換した反応フラスコに仕込み、90℃で12時間撹拌した後、放冷した。次に、反応液をクロロホルムで希釈した後、濾過した。さらに、濾液を水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、クロロホルムを留去した。得られた固体を、溶離液として、クロロホルム/エタノール混合溶媒(容量比20/1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体(B)2.8gを得た。
【0114】
中間体(B)1.0g、トリフルオロメタンスルホン酸2,2,2−トリフルオロエチル1.0g及びトルエン20mlを反応フラスコに仕込み、100℃で2時間撹拌した後、放冷した。次に、析出した生成物を濾過した後、2−プロパノールで洗浄し、乾燥して、中間体(C)2.15gを得た。
【0115】
中間体(C)0.5g、4−ブロモメチルベンジルホスホン酸0.2g及びジメチルホルムアミド3.0mlを仕込み、90℃で1.5時間反応させた後、放冷した。次に、反応液を氷冷した2−プロパノール中に排出し、分散させた後、回収し、100℃で2日間減圧乾燥させて、化学式(3−1)で表される化合物0.33gを得た。
【0116】
【化50】

[表示素子の作製]
スパッタ法を用いて、40mm×40mmのガラス基板11bの上面の16mm×23mmの領域に、厚さが約100nmのITOからなる表示電極11aを形成して、表示基板11を得た。表示電極11aの端部間の抵抗を測定したところ、約200Ωであった。
【0117】
次に、スピンコート法を用いて、表示電極11a上に、酸化チタンのナノ粒子の分散液SP210(昭和タイタニウム社製)を塗布し、120℃で15分間アニール処理して、ナノ粒子集積体を形成した。さらに、スピンコート法を用いて、化学式(3−1)で表される化合物の1質量%2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液を塗布し、120℃で10分間アニール処理して、ナノ粒子集積体の表面に化学式(3−1)で表される化合物を吸着させて、エレクトロクロミック組成物23bを含む表示層23を形成した。
【0118】
一方、スパッタ法を用いて、40mm×40mmのガラス基板12bの上面の全面に、厚さが約150nmのITOからなる対向電極12aを形成して、対向基板12を得た。
【0119】
表示基板11及び対向基板12を、75μmのスペーサ15を介して貼り合わせ、セルを得た。次に、過塩素酸テトラブチルアンモニウムを、ジメチルスルホキシド(DMSO)に対して、0.2mol%溶解させた電解液14中に、平均一次粒径が300nmの酸化チタン粒子CR50(石原産業社製)を35質量%分散させた液をセル内に封入して、反射層15を形成し、表示素子20を得た。
【0120】
[発消色試験]
表示素子20の表示電極11aに負極を、対向電極12aに正極を接続し、3.0Vの電圧を1秒間印加したところ、イエローを発色した。次に、−4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、完全に消色した。
【0121】
[光吸収スペクトルの測定]
表示層23が形成されている表示基板11を石英セルに入れ、対極として、白金電極、参照電極として、Ag/Ag電極RE−7(ビー・エー・エス社製)を用い、過塩素酸テトラブチルアンモニウムを、ジメチルスルホキシド(DMSO)に対して、0.2mol%溶解させた電解液で石英セルを満たした。ポテンショスタットALS−660C(ビー・エー・エス社製)を用いて、−1.01V(vs.Ag/Ag電極)の電圧を印加したところ、イエローを発色した。
【0122】
このことから、還元電位の絶対値が小さいことが確認された。
【0123】
重水素タングステンハロゲン光源DH−2000(オーシャンオプティクス社製)を用いて、石英セルに光を照射し、透過した光をスペクトロメータUSB4000(オーシャンオプティクス社製)で検出したところ、図3に示す光吸収スペクトルが得られた。
【0124】
図3から、発色状態における表示基板11は、極大吸収波長が450nm付近であることが確認された。
【0125】
[メモリ性試験]
表示素子20の表示電極11aに負極を、対向電極12aに正極を接続し、3.0Vの電圧を1秒間印加したところ、イエローを発色した。次に、表示電極11a及び対向電極12aと負極及び正極との接続を解除し、断線状態とした。
【0126】
ハロゲン光源HL−2000−HP(オーシャンオプティクス社製)を用いて、表示素子20に対して45°の角度から光を照射し、反射した波長が450nmの光をスペクトロメータUSB4000(オーシャンオプティクス社製)で検出したところ、図4に示す結果が得られた。なお、電圧を印加する前の消色状態における反射率を100%、電圧を印加した直後の飽和発色状態における反射率を0%とした。
【0127】
図4から、電圧を印加した後、1400秒間経過しても、25%程度しか消色しておらず、メモリ性が優れることが確認された。
【0128】
(比較例1)
[化合物(C)の合成]
中間体(B)0.45g、8−ブロモオクチルホスホン酸ジエチル2.0g、1−プロパノール3ml及び水6mlを反応フラスコに仕込み、90℃で40時間撹拌した後、放冷した。反応液を、水15mlと酢酸エチル30mlの混合液中に排出し、水層を分取した。得られた水層及び濃塩酸20mlを反応フラスコに仕込み、90℃で23時間撹拌した後、放冷した。反応液から水を留去し、タール状の残留物をメタノールに溶解させた後、撹拌下、2−プロパノール/エタノール混合溶媒(容量比2/1)中に滴下して生成物を結晶化させた。さらに、濾過した後、2−プロパノールで洗浄し、乾燥して、化合物(C)0.40gを得た。
【0129】
【化51】

[表示素子の作製]
化学式(3−1)で表される化合物の代わりに、化合物(C)を用いた以外は、実施例1と同様にして、表示素子を得た。
【0130】
[発消色試験]
表示素子の表示電極11aに負極を、対向電極12aに正極を接続し、3.0Vの電圧を1秒間印加したところ、イエローを発色した。次に、−4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、完全に消色した。
【0131】
[光吸収スペクトルの測定]
表示層が形成されている表示基板を石英セルに入れ、対極として、白金電極、参照電極として、Ag/Ag電極RE−7(ビー・エー・エス社製)を用い、過塩素酸テトラブチルアンモニウムを、ジメチルスルホキシド(DMSO)に対して、0.2mol%溶解させた電解液で石英セルを満たした。ポテンショスタットALS−660C(ビー・エー・エス社製)を用いて、−1.08V(vs.Ag/Ag電極)の電圧を印加したところ、イエローを発色した。
【0132】
このことから、還元電位の絶対値が実施例1よりも大きいことが確認された。
【0133】
重水素タングステンハロゲン光源DH−2000(オーシャンオプティクス社製)を用いて、石英セルに光を照射し、透過した光をスペクトロメータUSB4000(オーシャンオプティクス社製)で検出したところ、図3に示す光吸収スペクトルが得られた。
【0134】
図3から、発色状態における表示基板は、極大吸収波長が450nm付近であることが確認された。
【0135】
[メモリ性試験]
表示素子の表示電極11aに負極を、対向電極12aに正極を接続し、3.0Vの電圧を1秒間印加したところ、イエローを発色した。次に、表示電極11a及び対向電極12aと負極及び正極との接続を解除し、断線状態とした。
【0136】
ハロゲン光源HL−2000−HP(オーシャンオプティクス社製)を用いて、表示素子に対して45°の角度から光を照射し、反射した波長が450nmの光をスペクトロメータUSB4000(オーシャンオプティクス社製)で検出したところ、図4に示す結果が得られた。
【0137】
図4から、電圧を印加した後、350秒間経過すると、50%程度消色しており、実施例1よりもメモリ性が劣ることが確認された。
【符号の説明】
【0138】
10、20 表示素子
11 表示基板
11a 表示電極
11b 透明基板
12 対向基板
12a 対向電極
12b 基板
13 表示層
13a エレクトロクロミック化合物
14 電解液
15 反射層
16 スペーサ
23 表示層
23a エレクトロクロミック組成物
【先行技術文献】
【特許文献】
【0139】
【特許文献1】特開2009−215464号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
【化1】

(式中、X、X、X、X、X、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、アミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換若しくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、アミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Yは、パーハロアルキル基であり、Zは、カルボキシル基、ホスホン酸基、スルホン酸基、リン酸基又はヒドロキシル基であり、Eは、オキシ基、チオ基又はセレノ基であり、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のアルキニレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基又は置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、A及びBは、それぞれ独立に、1価のアニオンである。)
で表される化合物であることを特徴とするエレクトロクロミック化合物。
【請求項2】
一般式
【化2】

(式中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10及びX11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、アミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換若しくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、アミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Yは、パーハロアルキル基であり、Zは、カルボキシル基、ホスホン酸基、スルホン酸基、リン酸基又はヒドロキシル基であり、Lは、置換若しくは無置換のアリーレン基であり、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のアルキニレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基又は置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、A及びBは、それぞれ独立に、1価のアニオンであり、nは0以上3以下の整数である。)
で表される化合物であることを特徴とするエレクトロクロミック化合物。
【請求項3】
一般式
【化3】

(式中、X、X、X、X、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、アミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換若しくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、アミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Yは、パーハロアルキル基であり、Zは、カルボキシル基、ホスホン酸基、スルホン酸基、リン酸基又はヒドロキシル基であり、Aは、N、O、S又はSeを1個以上含み、Lと結合するCを含む置換又は無置換の5員環の複素環基であり、Lは、置換又は無置換のアリーレン基であり、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のアルキニレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基又は置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、B及びCは、それぞれ独立に、1価のアニオンであり、nは1以上3以下の整数である。)
で表される化合物であることを特徴とするエレクトロクロミック化合物。
【請求項4】
一般式
【化4】

(式中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、アミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換若しくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、アミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Yは、パーハロアルキル基であり、Zは、カルボキシル基、ホスホン酸基、スルホン酸基、リン酸基又はヒドロキシル基であり、Aは、置換又は無置換のベンゼン由来のn価の基であり、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のアルキニレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基又は置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、B及びCは、それぞれ独立に、1価のアニオンであり、nは2以上6以下の整数であり、mは1以上n−1以下の整数である。)
で表される化合物であることを特徴とするエレクトロクロミック化合物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック化合物が導電性又は半導体性のナノ構造体に結合又は吸着していることを特徴とするエレクトロクロミック組成物。
【請求項6】
導電性又は半導体性のナノ構造体に、一般式
【化5】

(式中、Bは、ハロゲン基であり、Cは、アルキレン基であり、Dは、ハロゲン基又はアルコキシ基であり、D及びDは、それぞれ独立に、ハロゲン基、アルコキシ基又はアルキル基である。)
で表される化合物を反応させた後、一般式
【化6】

(式中、X、X、X、X、X、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、アミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換若しくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、アミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Yは、パーハロアルキル基であり、Eは、オキシ基、チオ基又はセレノ基であり、Rは、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のアルキニレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基又は置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、Aは、1価のアニオンである。)
で表される化合物を反応させて製造されていることを特徴とするエレクトロクロミック組成物。
【請求項7】
導電性又は半導体性のナノ構造体に、一般式
【化7】

(式中、Bは、ハロゲン基であり、Cは、アルキレン基であり、Dは、ハロゲン基又はアルコキシ基であり、D及びDは、それぞれ独立に、ハロゲン基、アルコキシ基又はアルキル基である。)
で表される化合物を反応させた後、一般式
【化8】

(式中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10及びX11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、アミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換若しくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、アミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Yは、パーハロアルキル基であり、Lは、置換若しくは無置換のアリーレン基であり、Rは、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のアルキニレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基又は置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、Aは、1価のアニオンであり、nは0以上3以下の整数である。)
で表される化合物を反応させて製造されていることを特徴とするエレクトロクロミック組成物。
【請求項8】
導電性又は半導体性のナノ構造体に、一般式
【化9】

(式中、Cは、ハロゲン基であり、Dは、アルキレン基であり、Eは、ハロゲン基又はアルコキシ基であり、E及びEは、それぞれ独立に、ハロゲン基、アルコキシ基又はアルキル基である。)
で表される化合物を反応させた後、一般式
【化10】

(式中、X、X、X、X、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、アミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換若しくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、アミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Yは、パーハロアルキル基であり、Aは、N、O、S又はSeを1個以上含み、Lと結合するCを含む置換又は無置換の5員環の複素環基であり、Lは、置換又は無置換のアリーレン基であり、Rは、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のアルキニレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基又は置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、Bは、1価のアニオンであり、nは1以上3以下の整数である。)
で表される化合物を反応させて製造されていることを特徴とするエレクトロクロミック組成物。
【請求項9】
導電性又は半導体性のナノ構造体に、一般式
【化11】

(式中、Cは、ハロゲン基であり、Dは、アルキレン基であり、Eは、ハロゲン基又はアルコキシ基であり、E及びEは、それぞれ独立に、ハロゲン基、アルコキシ基又はアルキル基である。)
で表される化合物を反応させた後、一般式
【化12】

(式中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、アミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換若しくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、アミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノスルホニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Yは、パーハロアルキル基であり、Aは、置換又は無置換のベンゼン由来のn価の基であり、Rは、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、置換若しくは無置換のアルキニレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基又は置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、Bは、1価のアニオンであり、nは2以上6以下の整数であり、mは1以上n−1以下の整数である。)
で表される化合物を反応させて製造されていることを特徴とするエレクトロクロミック組成物。
【請求項10】
表示電極と、前記表示電極に対して、所定の間隔を隔てて対向して設けられている対向電極と、前記表示電極及び前記対向電極の間に挟持されている電解質を有する表示素子であって、
前記表示電極の前記対向電極が設けられている側の表面に、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック化合物又は請求項5乃至9のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック組成物を含む表示層が形成されていることを特徴とする表示素子。
【請求項11】
請求項10に記載の表示素子と、
前記表示素子を駆動する手段を有することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−224548(P2012−224548A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90463(P2011−90463)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(000179306)山田化学工業株式会社 (29)
【Fターム(参考)】