説明

オピオイドアンタゴニストを含有する組成物

【解決手段】 オピオイドアンタゴニスト、特にアルビモパンおよびその活性代謝産物を含有し、経口投与用または非経口投与用に改善された溶解性および生物学的利用能(生体利用性)を有する組成物、注射可能な投与製剤、キットおよび製造方法並びに同使用方法を開示する。好ましい実施形態において、発明はオピオイドアンタゴニスト、特にアルビモパンおよびその活性代謝産物を含有し、容易に調製される低溶解性を有する注射可能な製剤は、保存時に安定であり、非経口的、特に注射による投与時にオピオイドアンタゴニストの最高濃度を提供する。前記結果は、処理技術および成分の選択の組合せによって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年6月4日に出願された米国特許出願第60/576,939号の利益を主張する2005年6月2日に出願された米国特許出願第 号に対して優先権を主張するものであり、それら全ての開示はこの参照により本願明細書に組み込まれるものである。
【0002】
本発明はオピオイドアンタゴニストを含有する組成物に関する。より詳しくは、本発明はオピオイドアンタゴニストを含有する組成物、注射可能な投与製剤、キット、および調製方法並びに同使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医薬品の錠剤およびカプセルなどの経口的投与形態は広く用いられる投与形態(剤形)である。しかし、特定の患者は、年令、虚弱、または意識が十分にないことにより錠剤またはカプセルを飲み込むことができないため、経口的投与形態を受け入れることができない。従って、静脈内注射、筋肉内注射、または皮下注射などの非経口的経路を介して薬剤を投与できることが望ましい。しかし、薬学的に許容される液体溶剤中に固形の活性成分を溶解することがしばしば困難であるため、非経口的経路を介した投与用に固形薬剤を製剤化することは、問題がある場合がある。
【0004】
低溶解性の問題は以下の方法で解決してきた。
1.前記溶剤中の活性成分の溶解度を増加するために可溶化界面活性剤を使用される場合がある。しかし残念ながら、可溶化界面活性剤は、敏感な患者においてアナフィラキシー反応を生じる場合がある。
2.水中油型エマルジョンを使用される場合があるが、このような製剤は、注射部位での痛み、物理的安定性が悪い、栓塞の可能性、および厳密な衛生的取扱の必要があるなどの多くの欠点を有する。
3.前記活性成分を、溶解度を増加する(β−シクロデキストリンのような)両親媒性物質で錯化することが使用される場合があるが、これらは、費用が高いこと、および現在、ヒトの医薬品への使用の受け入れが規制局により制限されるなどの限界がある。
【0005】
[[2(S)−[[4(R)−(3−ヒドロキシフェニル)−3(R),4−ジメチル−ピペリジニル]メチル]−1−オキソ−3−フェニルプロピル]アミノ]酢酸二水和物(USAN名称アルビモパン(alvimopan))およびその活性代謝産物は、術後イレウス、分娩後イレウス、そう痒症、便秘、オピオイド性腸機能障害、尿閉、胆道痙攣、オピオイド性腸機能障害、疝痛、術後の吐き気、および/又は術後の嘔吐、並びにその他の適応症の治療に使用される末梢作用性μオピオイドアンタゴニストである。アルビモパンは現在固形の投与形態(剤形)で入手できる。しかし、錠剤またはカプセルの嚥下に伴う問題、または、手術を受ける患者および意識のない患者への投与における問題を避けるために、注射可能な形態で活性成分を提供することが望ましいと思われる。アルビモパンおよびその活性代謝産物は、両性イオンである3,4−二置換−4−アリールピペリジン類である。これらは水および一般に薬学的に許容される多くの溶媒において溶解性が極めて低い。
【0006】
望ましい形態は、アルビモパンの注射可能な投与製剤であり、自然状態で両性イオン性である4−アリール置換ピペリジン化合物に関する。本発明はこれらおよびその他の重要な目的を対象としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
1実施形態において、本発明は以下の工程を有する方法を対象としており、
a.以下の組成物を提供する工程であって、この組成物は、
(i)化学式Iの少なくとも1つの化合物の薬学的に許容される金属塩であって、
【0008】
【化16】

【0009】
ここで、式中、
は、水素原子またはアルキル基であり、
は、水素原子、アルキル基またはアルケニル基であり、
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
は水素原子、アルキル基、またはアルケニル基であり、
AはORまたはNRであり、
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
は水素原子またはアルキル基であり、
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アラルキル基、アラルキル基、またはアルキレン置換Bであるか、あるいはRおよびRは結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
Bは、
【0010】
【化17】

【0011】
C(=O)WまたはNRであり、
は水素原子またはアルキル基、
は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基置換アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
WはOR10、NR1112またはOEであり、
10は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
11は水素原子またはアルキル基であり、
12は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アラルキル基、またはアルキレン置換C(=O)Yであるか、あるいはR11およびR12は結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
Eは、
【0012】
【化18】

【0013】
アルキレン置換(C=O)Dまたは−R13OC(=O)R14であり、
13はアルキル置換アルキレン基であり、
14はアルキル基であり、
DはOR15またはNR1617であり、
15は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
16は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、またはシクロアルケニル置換アルキル基であり、
17は水素原子またはアルキル基であるか、あるいはR16およびR17は結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
Yは、OR18またはNR1920であり、
18は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
19は、水素原子またはアルキル基であり、
20は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基、あるいはR19およびR20は結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
21は、水素原子またはアルキル基であり、さらに、
nは0ないし4である
前記薬学的に許容される金属塩と、
(ii)少なくとも1つの結晶化する充填剤と、
(iii)少なくとも1つの弱塩基と、
(iv)水と
を有する組成物であって、前記組成物は少なくとも約10.5の初期pHを有するものである、組成物を提供する工程と、
b.前記組成物の最終pHを約9〜約11の範囲に調製する工程と、
を有する方法であって、前記組成物は、患者に投与する際に、経口投与または非経口投与用に改善された溶解性および生物学的利用能を有するものである、方法を対象とする。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、前記組成物を乾燥し、その水の少なくとも一部を除去し、部分的あるいは完全な乾燥生成物を形成する前記乾燥工程をさらに含む方法を一部対象とする。
【0015】
なお他の実施形態において、本発明は、前記乾燥生成物と共に薬学的に許容される溶媒を混合し、前記乾燥生成物の溶液を形成することによって、前記乾燥生成物を再構成する工程をさらに含む方法を対象としている。
【0016】
別の実施形態において、本発明は前述の方法の各々によって生成される生成物を対象にしている。
【0017】
さらなる実施形態において、本発明は前記乾燥生成物の前記溶液を患者に投与する工程をさらに有する方法を対象にしている。
【0018】
なお、さらなる実施形態において、本発明は、以下を含む組成物を対象としており、
a.化学式Iの少なくとも1つの化合物の薬学的に許容される金属塩であって、
【0019】
【化19】

【0020】
ここで、式中、
は、水素原子またはアルキル基であり、
は、水素原子、アルキル基またはアルケニル基であり、
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
は、水素原子、アルキル基またはアルケニル基であり、
AはORまたはNRであり、
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
は、水素原子またはアルキル基であり、
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アラルキル基、またはアルキレン置換Bであるか、あるいはRおよびRは結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
Bは、
【0021】
【化20】

【0022】
C(=O)WまたはNRであり、
は、水素原子またはアルキル基であり、
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基置換アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
Wは、OR10、NR1112またはOEであり、
10は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
11は、水素原子またはアルキル基であり、
12は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アラルキル基、またはアルキレン置換C(=O)Yであるか、あるいはR11およびR12は結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
Eは、
【0023】
【化21】

【0024】
アルキレン置換(C=O)D、または−R13OC(=O)R14であり、
13は、アルキル置換アルキレン基であり、
14は、アルキル基であり、
Dは、OR15、またはNR1617であり、
15は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
16は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、またはシクロアルケニル置換アルキル基であり、
17は、水素原子またはアルキル基であるか、あるいはR16およびR17は結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
Yは、OR18またはNR1920であり、
18は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
19は、水素原子またはアルキル基であり、
20は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、または、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であるか、あるいはR19およびR20は結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
21は、水素原子またはアルキル基であり、さらに、
nは0ないし4である
前記薬学的に許容される金属塩と、
b.少なくとも1つの結晶化する充填剤と
を有する組成物であって、
ここで、前記組成物は、約1.0g/cm未満の密度(濃度)を有するものであって、患者への投与の際に、経口投与または非経口投与用に改善された溶解度および生物学的利用能を有するものである、組成物を対象としている。
【0025】
他の実施形態において、本発明は以下を有する組成物を対象としており、その組成物は、
a.化学式Iの少なくとも1つの化合物の薬学的に許容される金属塩であって、
【0026】
【化22】

【0027】
ここで、式中、
は、水素原子またはアルキル基であり、
は、水素原子、アルキル基またはアルケニル基であり、
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
は、水素原子、アルキル基、またはアルケニル基であり、
AはORまたはNRであり、
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
は、水素原子またはアルキル基であり、
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アラルキル基、またはアルキレン置換Bであるか、あるいはRおよびRは結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
Bは、
【0028】
【化23】

【0029】
C(=O)WまたはNRであり、
は、水素原子またはアルキル基であり、
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基置換アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アリール基またはアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
Wは、OR10、NR1112またはOEであり、
10は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
11は、水素原子またはアルキル基であり、
12は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アラルキル基、またはアルキレン置換C(=O)Yであるか、あるいはR11およびR12は結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
Eは、
【0030】
【化24】

【0031】
アルキレン置換(C=O)Dまたは−R13OC(=O)R14であり、
13は、アルキル置換アルキレン基であり、
14は、アルキル基であり、
Dは、OR15、またはNR1617であり、
15は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
16は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、またはシクロアルケニル置換アルキル基であり、
17は、水素原子またはアルキル基であるか、あるいはR16およびR17は結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
Yは、OR18、またはNR1920であり、
18は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
19は、水素原子またはアルキル基であり、
20は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、または、シクロアルケニル置換アルキル基、アラルキル基であるか、あるいはR19およびR20は結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
21は、水素原子またはアルキル基、および、
nは0ないし4である
前記薬学的に許容される金属塩と、
b.少なくとも1つの結晶化する充填剤と、
c.前記組成物の全重量に基づき約1重量%未満の溶解補助界面活性剤と、
d.前記組成物の全重量に基づき約10重量%未満の非水性溶媒と、
e.前記組成物の全重量に基づき約500重量%未満のシクロデキストリンと
を有する組成物であって、
前記組成物は、患者への投与の際に、経口投与または非経口投与用に改善された溶解度および生物学的利用能を有するものである、組成物を対象とする。
【0032】
なお別の実施形態において、本発明は前述の組成物を含む注射可能な投与製剤を対象としており、
さらに他の実施形態において、本発明は、
a.注射可能な投与製剤を有する容器と、
b.注射溶液を調製するための使用説明書と
を有するキットを対象にするものである。
【0033】
なお他の実施形態において、本発明は患者におけるオピオイドに関連する副作用の予防または治療方法を対象としており、前記方法は、
治療の必要な前記患者に前述の組成物の有効量を投与する工程を含む。
【0034】
前記方法は、イレウス、そう痒症、便秘、尿閉、胆道痙攣、オピオイド性腸機能障害、疝痛、吐き気または嘔吐、またはそれらの組合せ、特に術後イレウス、分娩後イレウス、オピオイド性腸機能障害、術後の吐き気、または術後の嘔吐、またはそれらの組合せの予防および治療に有用である。
【0035】
他の実施形態において、本発明は患者の痛みの予防または治療方法を対象にしており、前記方法は、
前述の組成物の有効量を必要な前記患者に投与する工程を有する。
【0036】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明からより明らかなものとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
前記および本開示の全体を通じて、以下の用語は、他に明示しない限り、以下の意味を有することが理解されるべきである。
【0038】
本明細書で用いられる「経口または非経口的投与用に改善された溶解度と生物学的利用能を有する組成物」とは、経口的または非経口的投与に適する、少なくとも1つのオピオイドアンタゴニストを含有する組成物であって、同じ活性成分(複数)および充填剤(複数)から調製されているが、前記組成物が形成された方法により異なった最終物理的性状(密度など)を有する組成物と比較して、より高い溶解性および生物学的利用能を有し、好ましくは、溶解補助剤、非水溶媒、シクロデキストリン、および先行技術において用いられる同等物のような望ましくない構成成分の含有を最小限度に抑えるか、あるいは排除して活性成分の溶解度を改善した組成物である。
【0039】
本明細書で用いられる「非経口的投与」とは、薬物を、消化管を通ってではなく腸の外部から患者に投与することに言及する。哺乳動物宿主への非経口的投与の主要経路は、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、眼内、滑液包内、心臓内、髄腔内、関節腔内、クモ膜下腔内(鞘内)、動脈内、経上皮(経皮的、腹腔内、眼科的、舌下、口内を含む)、局所的には、眼科的、真皮、眼、吸入法による経鼻吸入、エアロゾール、および直腸組織である。好ましい非経口的投与経路は、注射を介した静脈内、筋肉内、皮下の経路である。
【0040】
本明細書で用いられる「生物学的利用能」とは、薬物または他の物質が投与された後に標的組織に利用可能となる比率と程度に言及する。本発明の文脈における、生物学的利用能とは、前記オピオイドアンタゴニストが中枢神経系または末梢神経系のオピオイド受容体において利用できるようになる度合いに言及する。
【0041】
本明細書で用いられる「アルキル基」は、選択的に置換された、飽和直鎖、分枝鎖、または環状の約1〜約20の炭素原子(その中の炭素原子の範囲および特定数のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーション)を有する炭化水素を指し、本願明細書においては「低アルキル基」と称される約1〜約8個の炭素原子を有するものが好ましい。「分枝鎖」は、直線のアルキル鎖に、メチル基、エチル基、またはプロピル基のような低アルキル基が結合しているアルキル基に言及するものである。特定の好ましい実施形態において、前記アルキル基は、C−Cアルキル基、すなわち、1〜約5個の炭素原子を有する分枝鎖または直鎖のアルキル基である。他の好ましい実施形態において、前記アルキル基はC−Cアルキル基、すなわち、1〜約3個の炭素原子を有する分枝鎖または直鎖のアルキル基である。典型的なアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が含まれる。「低アルキル基」は1〜約6個の炭素原子を有するアルキル基に言及する。好ましいアルキル基は、1〜約3個の炭素原子の低アルキル基が含まれる。アルキル基は、これらに限定されるものではないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n―ペンチル基、シクロペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダマンチル基、3−メチルペンチル,2,2−ジメチルブチル基、および2,3−ジメチルブチル基を含む。
【0042】
本明細書で用いられる「アルキレン基」は、一般式−(CH−を有する二価アルキルラジカルを指し、ここでnは1〜10であり、その範囲のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーションを含む。前記アルキレン基は、直鎖、分枝鎖、または環状である。非限定的例は、メチレン、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン(−(CH−)、トリメチレン、ペンタメチレン、およびヘキサメチレンが含まれる。選択的にアルキレン基に沿って1若しくはそれ以上の酸素原子、硫黄原子が挿入されるか、あるいは選択的に窒素原子が置換されるていても良く、ここで窒素原子置換基は前述のアルキル基である。アルキレン基は選択的に置換することが可能である。本明細書で用いられる「低アルキレン基」という用語は、約1〜約6個の炭素原子を有するアルキレン基に言及する。好ましいアルキレン基は約1〜約4個の炭素原子を有するものである。
【0043】
本明細書で用いられる「アルケニル基」は一価のアルキルラジカルを指し、少なくとも一個の炭素間二重結合を含み、その鎖内に2〜約10個の炭素原子を有し、その範囲内のすべてのコンビネーションとサブコンビネーションを含む。アルケニル基は選択的に置換することが可能である。特定の好ましい実施形態において、前記アルケニル基はC−C10アルキル基、すなわち、2〜約10個の炭素原子を有する分枝鎖または直鎖のアルケニル基である。他の好ましい実施形態において、前記アルケニル基はC−Cアルケニル基、すなわち2〜約6個の炭素原子を有する分枝鎖または直鎖のアルケニル基である。さらに、他の好ましい実施形態において、前記アルケニル基はC−C10アルケニル基、すなわち約3〜約10個の炭素原子を有する分枝鎖または直鎖のアルケニル基である。なお他の好ましい実施形態において、前記アルケニル基はC−Cアルケニル基、すなわち2〜約5個の炭素原子を有する分枝鎖または直鎖のアルケニル基である。典型的ななアルケニル基は、例えば、ビニール基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、およびデセニル基である。
【0044】
本明細書で用いられる「アリール基」は、選択的にモノ−、ジ−、トリ−置換されたもの、または約5〜約50個の炭素原子(その中の炭素原子の範囲および特定数のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーション)を有するその他の多環式芳香環系を指し、約6〜約10個の炭素原子を有するものが好ましい。非限定的例は、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、およびフェナントレニル基を含む。
【0045】
本明細書で用いられる「アラルキル基」は、約6〜約50個の炭素原子(その中の炭素原子の範囲および特定数のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーション)を有するアリール置換基を有するアルキルラジカルを指し、約6〜約10個の炭素原子を有するものが好ましい。アラルキル基は、アリール基部分またはアルキル基部分のどちらかを選択的に置換することができる。非限定的例は、例えば、フェニルメチル基(ベンジル基)、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、フェニルエチル基、ジフェニルエチル基、および3−(4−メチルフェニル)プロピル基を含む。
【0046】
本明細書で用いられる「ヘテロアリール」は、少なくとも1つ、好ましくは、1〜約4個の硫黄原子、酸素原子または窒素原子のヘテロ原子環員を含む選択的にモノ−、ジ−、トリ−置換されたもの、または他の多環式芳香環系を指す。ヘテロアリール基は、例えば、約3〜約50個炭素原子(その中の炭素原子の範囲および特定数のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーション)を有することができるが、好ましくは、約4〜約10個の炭素原子を有する。ヘテロアリール基の非限定的例は、ピリール(pyrryl)基、フリル基、ピリジル基、1,2,4−チアジアゾリル基、ピリミジル基、チエニル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、テトラゾリル基、ピラジニル基、ピリミジル基、キノリル基、イソキノリル基、チオフェニル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾフリル基、ピラゾリル基、インドリル基、プリニル基、カルバゾリル基、ベンジミダゾリル基、およびイソキサゾリル基を含む。
【0047】
本明細書で用いられる「シクロアルキル基」は、その構造式内に約3〜約20個の炭素原子(その中の炭素原子の範囲および特定数のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーション)、好ましくは約3〜約10個の炭素原子、より好ましくは約3〜約8個、なお一層より好ましくは、約3〜約6個の炭素原子を有する、選択的に置換された環を1若しくはそれ以上有するアルキル基を指す。多環構造は、橋かけ環構造または縮合環構造であっても良い。前記シクロアルキル基は、例えば、アルキル基、好ましくはC−Cアルキル基、アルコキシ基、好ましくはC−Cアルコキシ基、またはハロ基で選択的に置換されていても良い。非限定的な例は、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、およびアダマンチル基を含む。
【0048】
本明細書で用いられる「シクロアルキル置換アルキル基」は、末端の炭素原子がシクロアルキル基、好ましくはC−Cシクロアルキル基で置換された直鎖アルキル基、好ましくは低級アルキル基を指す。非限定的例は、例えば、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルプロピル基、シクロプロピルメチル基、および同等物を含む。
【0049】
本明細書で用いられる「シクロアルケニル基」は、約4〜約10個の炭素原子およびその範囲の全てのコンビネーションおよびサブコンビネーションを有するオレフィン不飽和シクロアルキル基を指す。好ましい実施形態において、前記シクロアルケニル基はC−Cシクロアルケニル基、すなわち、約5〜約8個の炭素原子を有するシクロアルケニル基である。
【0050】
本明細書で用いられる「アルキルシクロアルキル基」は、1若しくはそれ以上のアルキル置換基を有するシクロアルキル基を含む選択的に置換される環系を指す。アルキルシクロアルキル基の非限定的例は、例えば、2−メチルシクロヘキシル基、3,3−ジメチルシクロペンチル基、trans−2,3−ジメチルシクロオクチル基、および4−メチルデカヒドロナフタレニル基を含む。
【0051】
本明細書で用いられる「ヘテロアラルキル基」は、約2〜約50個の炭素原子(その中の炭素原子の範囲および特定数のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーション)、好ましくは約6〜約25個の炭素原子を有するアルキルラジカルで置換された選択的に置換されたヘテロアリール置換を指す。非限定的例は、2−(1H−ピロール−3−イル)エチル、3−ピリジルメチル基、5−(2H−テトラゾリル)メチル基、および3−(ピリミジン−2−イル)−2−メチルシクロペンタニル基を含む。
【0052】
本明細書で用いられる「ヘテロシクロアルキル基」は、少なくとも1つ、および好ましくは1〜約4個の硫黄原子、酸素原子、または窒素原子のヘテロ原子環員を含む選択的に置換されたモノ−、ジ−、トリ−またはその他の多環式脂環系を示す。ヘテロシクロアルキル基は約3〜約20個の炭素原子(その中の炭素原子の範囲および特定数のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーション)を有することが可能であり、好ましくは、約4〜約10個の炭素原子を有する。前記ヘテロシクロアルキル基は不飽和であっても良く、また芳香環と縮合していても良い。非限定的例は、例えば、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチエニル基、ピペリジニル基、ピロリジニル基、イソキサゾリジニル基、イソチアゾリジニル基、ピラゾリジニル基、オキサゾリジニル基、チアゾリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピペラジニル基、デカヒドロキノリル基、オクタヒドロクロメニル基、オクタヒドロ−シクロペンタ[c]ピラニル基、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル基、オクタヒドロ−[2]ピリンジニル基、デカヒドロ−シクロオクタ[c]フラニル基、およびイミダゾリジニル基を含む。
【0053】
本明細書で用いられる用語「スピロアルキル基」は、選択的に置換されたアルキレン二価ラジカルであり、その両端が親基の同じ炭素原子に結合してスピロ環基を形成したものを指す。前記スピロアルキル基は、本明細書定義するその親基を合わせて、3〜20の環原子を有する。好ましくは、3〜10の環原子を有する。スピロアルキル基のその親基を含めた非限定的例は、1−(1−メチル−シクロプロピル)−プロパン−2−オン基、2−(1−フェノキシ−シクロプロピル)−エチルアミン基、および1−メチル−スピロ[4,7]ドデカン基を含む。
【0054】
本明細書で用いられる用語「アルコキシ基」は選択的に置換されたアルキル−O−基を指し、ここでアルキル基は前に定義した通りである。非限定的例は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、およびヘプトキシ基を含む。
【0055】
本明細書で用いられる用語「アリールオキシ基」は、選択的に置換されたアリール−O−基を指し、アリール基は前に定義した通りである。非限定的例は、例えば、フェノキシ基およびナフトキシ基を含む。
【0056】
本明細書で用いられる用語「アラルコキシ基」は、選択的に置換されたアラルキル−O−基を指し、アラルキル基は前に定義した通りである。非限定的例は、例えば、ベンジルオキシ基、1−フェニルエトキシ,2−フェニルエトキシ基、および3−ナフチルヘプトキシ基を含む。
【0057】
本明細書で用いられる用語「アリールオキシアリール基」は、アリールオキシ置換基を有するアリール基を指し、アリールオキシ基とアリール基は前に定義した通りである。アリールオキシアリール基は選択的に置換されることが可能である。非限定的例は、例えば、フェノキシフェニル基およびナフトキシフェニル基を含む。
【0058】
本明細書で用いられる用語「ヘテロアリールアリール基」は、ヘテロアリール置換基を有するアリール基を指し、ヘテロアリール基とアリール基は、前に定義した通りである。ヘテロアリールアリール基は、選択的に置換されることが可能であり。非限定的例は、例えば、3−ピリジルフェニル,2−キノリルナフタレニル基および2−ピロリルフェニル基を含む。
【0059】
本明細書で用いられる用語「アルコキシアリール基」は、アルコキシ置換基を有するアリール基を指し、アルコキシ基およびアリール基は前に定義した通りである。アルコキシアリール基は選択的に置換されることが可能であり。非限定的例は、例えば、パラ−アニシル基、メタ−t−ブトキシフェニル基およびメチレンジオキシフェニル基を含む。
【0060】
本明細書で用いられる用語「カルボキシ基」は、−C(=O)OH基を指す。
【0061】
本明細書で用いられる用語「アルカノイル基」は、−C(=O)−アルキル基を指し、アルキル基は前に定義した通りである。模範的なアルカノイル基は、アセチル(エタノイル)基、n−プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2−メチルブタノイル基、3−メチルブタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、ヘプタノイル基、デカノイル基、およびパルミトイル基を含む。
【0062】
本明細書で用いられる用語「複素環」は約4〜約10員、およびその範囲内のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーションを含む単環式または多環式の炭素環ラジカルを指し、ここで、1若しくはそれ以上の環員は、炭素原子以外の元素、例えば、窒素原子、酸素原子または硫黄原子である。前記複素環基は芳香族または非芳香族である。非限定的例は、例えば、ピロール基およびピペリジン基を含む。
【0063】
本明細書で用いられる「ハロ基」は、フルオロ基、クロロ基、またはブロモ基を指す。
【0064】
通常、置換される化学部分は、水素原子と置き換わる1若しくはそれ以上の置換基を含む。典型的なな置換基は、例えば、ハロ基(例えば、F、Cl、Br、I)、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基、スピロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヒドロキシル(−OH)基、ニトロ(−NO)基、シアノ(−CN)基、アミノ(−NH)基、−N−置換アミノ(−NHR")、−N,N−二置換アミノ(−N(R")R")基、カルボキシル(−COOH)基、−C(=O)R"基、−OR"基、−C(=O)OR"基、−NHC(=O)R"基、アミノカルボニル(−C(=O)NH)基、−N−置換アミノカルボニル(−C(=O)NHR")基、−N,N−二置換アミノカルボニル(−C(=O)N(R")R")基、チオール基、チオラ−ト(thiolato)(SR")基、スルホン酸(SOH)基、ホスホン酸(POH)基、S(=O)R"基、S(=O)NH基、S(=O)NHR"基、S(=O)NR"R"基、NHS(=O)R基、NR"S(=O)R"基、CF基、CFCF基、NHC(=O)R"基、および同等物を含む。前述の置換基に関して、各々の部分R"は、それぞれ、例えば、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロシクロアルキル基の何れであっても良い。
【0065】
本明細書で用いられる「副作用」とは、使用される物質または手段の目的以外の結果であって、薬物の投与によって求められる有益性以外の特に組織または臓器系へもたらされる有害作用としての結果を指す。例えば、オピオイド剤の場合、「副作用」という用語は、例えば、イレウス、そう痒症、便秘、尿閉、胆道痙攣、オピオイド性腸機能障害、疝痛、吐き気、または、嘔吐、あるいは、それらの組合せなどの状態を指す。
【0066】
本明細書で用いられる「イレウス」とは、腸または消化管、特に大腸の閉塞を指す。例えば、Dorland‘s Illustrated Medical Dictionary,p.816,27th ed(W.B.Saunders Company,Philadelphia,1988)を参照されたい。イレウスは、便の排泄の頻度が少ない、または排泄が困難な便秘とは区別しなければならない。例えば、Dorland‘s Illustrated Medical Dictionary,p.375,27th ed(W.B.Saunders Company,Philadelphia,1988)を参照されたい。イレウスは消化器官の正常な調和された運動が破壊され、その結果、腸内容物の前方突進不全をきたすことによって診断される。例えば、Resnick,J.Am.J.ofGastroenterology,1992,751およびResnick,J.Am.J.of Gastroenterology,1997,92,934を参照されたい。場合によっては、特に腹部の手術を含む術後に、腸機能障害が極めて重症になり、一週間以上続き、また胃腸管の一箇所以上に影響を与える場合がある。この状態はしばしば術後イレウスと呼ばれ、開腹術後にしばしば発症する(Livingston,E.H.およびPassaro,E.D.Jr.,Digestive Diseases and Sciences,1990,35,121参照)。同様に、分娩後イレウスは出産後の期間における女性の一般的問題であり、出産のストレスの結果として通常のオピオイドレベルが同様に変動することによって引き起こされると考えられる。
【0067】
本明細書で用いられる「有効量」とは、特定の疾患、障害または副作用の症状を抑制、予防または治療するために治療的に有効な、本明細書で前述した化合物の量を指す。このような疾患、障害、および副作用は、これらに限定されるものではないが、オピオイドの投与に関連する(例えば、痛みの治療および/または予防に関連して)これらの病理学的状態を含み、前記治療または予防は、例えば、細胞、組織、または受容体が前記本発明の化合物と接触することによって、その活性を阻害することを含む。したがって、例えば、前記用語「有効量」は、例えば、痛みの治療のためにオピオイドと共に使用した場合、痛みの病状の治療または予防を指す。前記用語「有効量」は、末梢作用性μオピオイドアンタゴニストと共に使用した場合は、通常オピオイド剤に伴う副作用(例えば、イレウス、そう痒症、便秘、尿閉、胆道痙攣、オピオイド性腸機能障害、疝痛、吐き気、または、嘔吐、あるいはそれらの組合せなどの副作用を含む)の治療および/または予防となる。
【0068】
本明細書で用いられる「併用」「併用療法」および「配合生成物」は、特定の実施形態においては、患者に制吐剤と、例えば、化学式Iの前記化合物を含む末梢作用性μオピオイドアンタゴニストとの同時投与、あるいは、制吐剤と、末梢作用性μオピオイドアンタゴニストと、オピオイド剤との同時投与を指す。組み合わせて投与される場合、各々の成分は、同時に、または異なった時間にあらゆる順序で順次投与することができる。このように、各成分は別々に投与されるが、望ましい治療効果が得られるように十分時間的に接近して投与される。
【0069】
本明細書で用いられる「投薬単位」とは、特定患者を治療するための単位投与量として適した物理的に個別の単位を指す。各単位は必要な薬理的担体と共に望ましい治療効果をもたらすように計算された活性化合物の事前決定の量を含む。本発明の投薬単位形態の仕様は、活性化合物(複数)の固有の特徴および得られる特定の治療効果、およびそのような活性化合物を混合する技術特有の制限事項によって決められる。
【0070】
本明細書で用いられる「薬学的に許容される」とは、正常な医学的判断の範囲内にあり、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題のある合併症が無くヒトおよび動物組織への接触に適し、妥当な利益対リスクの割合が相応である化合物、物質、成分、及び/または投与形態を指す。
【0071】
本明細書で用いられる「薬学的に許容される金属塩」とは、親化合物がその塩基性塩を作ることによって修飾される前記開示の化合物の誘導体類を指す。薬学的に許容される塩の例は、これらに限定されるものではないが、鉱物または塩基性残基(アミン類、アルカリおよびその同等物等)の有機酸塩類が含まれる。前記薬学的に許容される塩類は、例えば、非毒性無機塩基または有機塩基から形成される親化合物の通常の非毒性の塩類が含まれる。これらの生理的に許容される塩類は、既知の技術による方法、例えば、水溶性アルコール中に遊離アミン塩基を過剰な酸で溶解するか、または、遊離カルボン酸を水酸化物のようなアルカリ性金属塩基またはアミンで中和することによって調製される。
【0072】
本明細書を通じて述べられる化合物は、別の様式で使用または調製することができる。同形の結晶性形状、すべてのキラルおよびラセミ形状、N−オキサイド、水和物、および溶媒化合物もまた、本発明の範囲内であることが意図されている。
【0073】
本発明の特定の酸性または塩基性の化合物は両性イオンとして存在しても良い。前記化合物の遊離酸、遊離塩基、および両性イオンを含むすべての形態は、本発明の範囲内にあることが意図されている。アミノ基とカルボキシル基を共に含む化合物はしばしば、それらの両性イオン形態で平衡を保って存在することは、当業者において周知である。従って、本明細書を通じて述べられる、例えば、アミノ基とカルボキシル基の両方を含む前記化合物のすべては、また、それらの対応する両性イオンへの言及も含む。
【0074】
本明細書で用いられる「患者」は哺乳動物、好ましくはヒトを含む動物を指す。
【0075】
本明細書で用いられる「プロドラッグ」は、それ自体は通常不活性であるか、または、目的とされる活性に対して最小限に活性であるが、生体内変換により生物学的に活性な代謝産物に変換される反応の望ましい部位に到達する活性体の量を最大限にするように特に設計された化合物を指す。
【0076】
本明細書で用いられる「立体異性体」は、同一の化学構造を有するが、空間中の原子または基の配置が異なる化合物を指すものである。
【0077】
本明細書で用いられる「N−オキサイド」とは、芳香族複素環または第3アミンのいずれかの塩基性窒素原子が酸化されて、正の形式電荷を帯びている第四級窒素原子および、負の形式電荷を帯びている結合された酸素原子を生じる化合物を指す。
【0078】
あらゆる構成要素またはあらゆる化学式において変形が2回以上発生した場合、各々の発生におけるその定義は、各々の他の発生におけるその定義から独立している。置換基および/または変形のコンビネーションは、そのようなコンビネーションが安定な化合物を生じた場合のみ許容される。
【0079】
化学式Iで図示した本発明の方法、組成物、およびキットにおいて有用であるピペリジン誘導体類は、ピペリジン環の3および4位でトランスおよびシスの立体化学的異性体となることが可能である。化学式Iの最も好ましい化合物は、前記R置換基および前記R置換基が前記ピペリジンにおいて「trans」位にある。
【0080】
化学式Iの前記R置換基および前記R置換基の前記「シス」および「トランス」位に加えて、化学式IのR置換基およびR置換基を有する炭素原子の絶対立体化学はまた、通常用いられる「R」および「S」の定義を用いて定義される(Orchin他、The Vocabulary of Organic Chemistry,John Wiley and Sons,Inc.126頁、この参照により本明細書に組み込まれる)。本発明の好ましい化合物は、化学式Iのピペリジン環上のR置換基およびR置換基の両方の配置が「R」である。
【0081】
さらに、Rの構造によっては、非対称の炭素原子が前記分子に導入される場合がある。そのようなものとして、この様な分類の化合物はこれらのキラル中心で個々の「R」または「S」の立体異性体として存在するか、または異性体のラセミ混合物として存在することが可能であり、すべてが本発明の範囲内であることが意図されている。好ましくは、本発明の化合物の実質的に純粋な立体異性体、すなわち、キラル中心での配置が「R」または「S」である異性体、すなわち3つのキラル中心での前記配置が好ましくは3R、4R、Sまたは3R、4R、Rであるこれらの化合物である異性体が使われる。
【0082】
本発明で用いられるように、「末梢性」または「末梢作用性」とは中枢神経系外に作用する物質(薬剤)を指す。
【0083】
本発明で用いられる「中枢作用性」とは中枢神経系内に作用する物質を指す。
【0084】
本発明の方法、組成物、およびキットは、末梢性オピオイドアンタゴニスト化合物に関与する。前記「末梢性」という用語は、前記化合物が主に生理系統および中枢神経系外部の部分に作用することを示す。好ましい形態において、本発明の方法で用いられる前記末梢性オピオイドアンタゴニスト化合物は、胃腸組織のような末梢組織に対して高度の活性を示すが、中枢神経系の活性は減少され、好ましくは実質的に中枢神経系活性が無い。本明細書で用いられる前記の語句「実質的に中枢神経系活性の無い」とは、前記本方法で用いられる前記化合物が中枢神経系に対して示す薬理活性が約20%未満、好ましくは約15%未満、より好ましくは10%未満、さらに、より好ましくは約5%未満であること、および、最も好ましくは、本方法で用いられる前記化合物が中枢神経系へ示す薬理活性が約1%未満であることを意味する。
【0085】
さらに前記化合物がオピオイドの末梢性副作用を拮抗するために投与される本発明の特定の実施形態において、前記化合物が実質的に血液−脳関門を通過せず、従ってオピオイドの有利な作用を減少しないことが好ましい。本明細書で用いられる前記語句「実質的に通過しない」は、本方法で使用する化合物の約20重量%未満、好ましくは約15重量%未満、より好ましくは約10重量%未満、さらにより好ましくは約5重量%未満が血液−脳関門を通過すること、および最も好ましくは前記化合物の0重量%が血液−脳関門を通過することを意味する。選択された化合物は静注投与後に血漿濃度および脳中濃度を測定することによってCNS侵入度を評価することが可能である。
【0086】
米国特許第6,451,806号明細書および米国特許第6,469,030号明細書には、オピオイド剤および末梢作用性μオピオイドアンタゴニストを含むオピオイドアンタゴニストを有する方法および組成物が開示されており、前記開示の全体がこの参照により本願明細書に組み込まれる。前記方法および組成物は、とりわけ、痛みの治療および/または予防、およびイレウス、そう痒症、便秘、尿閉、胆道痙攣、オピオイド性腸機能障害、疝痛、嘔吐、吐き気またはその組合せ、特に術後、分娩後イレウス、オピオイド性腸機能障害、術後の吐き気または術後の嘔吐を含むオピオイド剤に不随する副作用の治療および/または予防に有用である。本発明の前記方法、組成物、およびキットは末梢性μオピオイドアンタゴニストに関し、例えば、痛みの治療および予防、および/またはオピオイド剤に不随する副作用(イレウス、そう痒症、便秘、尿閉、胆道痙攣、オピオイド性腸機能障害、疝痛、嘔吐、吐き気またはその組合せ、特に術後、分娩後イレウス、オピオイド性腸機能障害、術後の吐き気または術後の嘔吐を含む)の治療および予防のために末梢作用性μオピオイドアンタゴニストと中枢作用性制吐剤との組合せ、および末梢作用性μオピオイドアンタゴニストと中枢作用性制吐剤とオピオイド剤との組合せを対象とするものである。
【0087】
従って1実施形態において、本発明は、以下の工程を有する方法を提供するものであって、
a.組成物を提供する工程であって、
(i)化学式Iの少なくとも1つの化合物の薬学的に許容される金属塩であって、
【0088】
【化25】

【0089】
ここで、式中、
は水素原子またはアルキル基であり、
は水素原子、アルキル基またはアルケニル基であり、
は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基またはアラルキル基であり、
は水素原子、アルキル基またはアルケニル基であり、
AはORまたはNRであり、
は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
は水素原子またはアルキル基であり、
は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アラルキル基、アラルキル基、またはアルキレン置換Bであるか、あるいはRおよびRは結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
Bは、
【0090】
【化26】

【0091】
C(=O)WまたはNRであり、
は水素原子またはアルキル基であり、
は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基置換アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
WはOR10、NR1112またはOEであり、
10は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基または、アラルキル基であり、
11は水素原子またはアルキル基であり、
12は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アラルキル基、またはアルキレン置換C(=O)Yであるか、あるいはR11およびR12は結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
Eは、
【0092】
【化27】

【0093】
アルキレン置換(C=O)D、または−R13OC(=O)R14であり、
13はアルキル置換アルキレン基であり、
14はアルキル基であり、
DはOR15、またはNR1617であり、
15は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基または、アラルキル基であり、
16は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、またはシクロアルケニル置換アルキル基であり、
17は、水素原子またはアルキル基であるか、あるいはR16およびR17は結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
YはOR18、またはNR1920であり、
18は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
19は水素原子またはアルキル基であり、
20は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であるか、あるいはR19およびR20は結合している窒素原子と共に複素環を形成するものであり、
21は、水素原子またはアルキル基であり、さらに、
nは0〜4である
前記薬学的に許容される金属塩と、
(ii)少なくとも1つの結晶化する充填剤と、
(iii)少なくとも1つの弱塩基と、
(iv)水と、
を有する組成物であって、
前記組成物は少なくとも約10.5の初期pHを有する、
組成物を提供する工程と、
b.前記組成物の最終pHを約9〜約11の範囲に調製する工程であって、
前記組成物は、患者に投与する際に、経口投与用または非経口投与用に改善された溶解性および生物学的利用能を有するものに改善される、前記調整する工程と
を有する方法を提供するものである。
【0094】
本発明の前記方法は、とりわけ、特に静脈内に投与されるような注射可能な製剤によって、改善された溶解性および生物学的利用能を有する組成物を形成するために先行技術に比べて有用であり、最終製剤を形成するために同じ方法(pH調製、活性成分の薬学的に許容される金属塩の形成、そのままで凍結乾燥および/またはアニーリングするなど)で処理されなかったか、または、同じ物理的性状(密度または多孔率など)を持たない、前記同じ成分または異なった成分を含有する組成物が含まれる。
【0095】
前記方法の好ましい実施形態において、再構成する時は、前記溶液は室内条件の下で約5分以内、より好ましくは約1分以内、さらにより好ましくは約30秒以内で、好ましくは単に振盪、攪拌、または混合することによって形成される。本明細書において用いられる「室内条件下」は、直接熱または冷却を加えることなしに、通常の大気圧における約10℃〜約50℃の範囲の室温の下を意味する。前記溶液の形成は、例えば、視覚的観察による混合時の透明な溶液の存在、好ましくは溶液中におけるダイアフラムによる顕微鏡映写を用いて、コールターカウンター(Coulter counter)または、光散乱機器により透明な液の存在を確認することができる。
【0096】
本発明の好ましい実施形態は、初期pHは少なくとも約11に調製される。このpHが高いと組成物が不安定になるため、初期pHは約pH12を越えないようにする。前記初期pHは、強酸または弱酸、または強塩基または弱塩基を含む任意の適切な薬学的に許容されるpH調整剤によって調整されても良く、好ましくは薬学的に許容される金属炭酸塩、薬学的に許容される金属重炭酸塩、薬学的に許容される金属水酸化物、または塩酸であり、より好ましくは薬学的に許容される金属はナトリウムであり、さらにより好ましくは炭酸ナトリウム、または重炭酸ナトリウムであり、なおより好ましくは炭酸ナトリウムである。炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムは、これらが二酸化炭素を生成し、それによって前記組成物の望ましい低密度を生じるため好ましいものである。
【0097】
前記方法の好ましい実施形態において、最終pHは約9.5〜約10.5の範囲に調整される。前記最終pHは、強酸または弱酸、または強塩基または弱塩基、好ましくは、水酸化ナトリウムまたは塩酸を含む適切な薬学的に許容されるpH調整剤で調製される。
【0098】
前記方法の特定の好ましい実施形態において、化学式Iの少なくとも1つの化合物の薬学的に許容される金属塩はin situで調製される。
【0099】
前記方法の特定の好ましい実施形態において、化学式Iの前記化合物の薬学的に許容される金属塩は、少なくとも1つの弱塩基から形成され、ここで前記弱塩基は化学式Iの前記化合物に対して少なくとも等モル量が加えられる。好ましくは、弱塩基は大幅に過剰であってはならず、それはこのような大幅な過剰によって好ましくない高いpH(約12より大きい)を生じ、これによって組成物の不安定性をきたすためである。
【0100】
前記方法の特定の好ましい実施形態において、前記組成物は、始めに、水中において前記充填剤と、前記弱塩基の薬学的に許容される金属塩とを混合した後、前記混合物に化学式Iの化合物を加えて調製される。
【0101】
前記方法の特定の好ましい実施形態において、前記組成物は、水中において、化学式Iの前記化合物と、前記充填剤と、前記弱塩基の薬学的に許容される金属塩とを実質的に同時に混合することによって調製される。混合の文脈において用いられる、「実質的に同時に」とは、成分の各々を約5分以内に、好ましくは約1分以内に、より好ましくは約30秒以内に一緒に加えることを指すものである。
【0102】
前記方法の特定の好ましい実施形態において、前記薬学的に許容される金属とは、ナトリウム、カリウム、リチウムのようなアルカリ金属、またはカルシウム、マグネシウムのようなアルカリ土類金属、またはそれらの組合せである。ナトリウム、カルシウム、およびマグネシウムが好ましい。ナトリウムはより好ましい。非経口投与用にはカリウムは避けることが好ましい。
【0103】
前記方法は、さらに、少なくとも一部の水分を除去して、部分的または完全な乾燥生成物を形成するために前記組成物を乾燥する工程を有する。好ましい実施形態において、前記組成物は乾燥される段階時にアニールされる。本明細書で用いられる「アニールされる」とは、加熱および冷却の反復サイクルを含む、加熱し、次にゆっくり材料を冷却する工程を意味する。適切な乾燥には、凍結乾燥(凍結−乾燥)、噴霧乾燥、真空乾燥、およびその組合せがある。好ましい乾燥とは、凍結乾燥によることである。
【0104】
前記方法は、さらに、前記乾燥生成物を薬学的に許容される溶媒と共に混合し、前記乾燥生成物の溶液として再構成する工程を含む。
【0105】
前記方法の好ましい実施形態において、前記弱塩基は重炭酸塩または炭酸塩であり、より好ましくは炭酸塩である。これらの弱塩基は、それらが二酸化炭素を生成し、それによって、望ましい低密度の前記組成物をもたらすため、好ましいものである。
【0106】
前記組成物の好ましい実施形態において、前記薬学的に許容される溶媒は水溶性、好ましくは水、生理食塩液、リンガー溶液、ブドウ糖液、乳酸加リンガー溶液である。
【0107】
好ましい実施形態において、本発明の前記方法は、さらに、前記乾燥生成物の前記溶液を患者に投与する工程を含む。前記組成物は手術前、手術時、および/または手術時以外に投与されても良い。
【0108】
好ましい実施形態において、前記組成物は、注射、特に皮下注射、筋肉注射、または静脈注射によって投与される。
【0109】
結晶化するあらゆる薬学的に許容される充填剤が本発明の前記組成物に用いることが可能である。本明細書で用いられる「充填剤」とは、薬物(本発明の場合化学式Iの前記化合物)の運搬物質として働く不活性希釈剤または充填剤を指す。適切な充填剤は、Handbook of Pharmaceutical Excipients、第3版、Washington,D.C:American Pharmaceutical Association,1998に示されており、その開示はこの参照により本願明細書に組み込まれるものである。特定の他の好ましい実施形態において、前記充填剤は糖質または糖アルコールのようなポリオールである。適切な糖質類には、ショ糖、トレハロース、ラクトース、マルトースおよびそれらの混合物が含まれる。適切な糖アルコールには、マンニトール、キシリトール、エルスリトール、ラクチトール、イソマルト、ポリアルジトール、マルチトールおよびそれらの混合物が含まれる。マンニトールは特に好ましい。
【0110】
理論によって拘束されることは望まないが、結晶化する充填剤は、良好な力学的性状を有する望ましいケーキ構造を生じると考えられる。これらの性状は、迅速な再構成速度を確保するために重要である。さらに、凍結乾燥時に結晶化する充填剤の迅速な核生成は、はるかに大きい表面積を有するケーキを作り、従って結果として拡散性の高い溶剤となり、昇華速度が速くなる。無定型な形態となっている充填剤は、乾燥に高量のエネルギーを必要とし、望ましいケーキ構造をもたらさない。最初の氷晶の大きさは核生成と成長速度からの寄与に依存するため、無定形な固形を含むシステムで形成された小さい氷晶は、体積当たりの表面積が小さく間隙を生じる。この表面積が小さいと、拡散性の低い溶剤となり、昇華速度は低下する。
【0111】
特定の実施形態において、本発明は組成物を対象としており、その組成物は、
a.化学式Iの少なくとも1つの化合物の薬学的に許容される金属塩と、
b.少なくとも1つの結晶化する充填剤と
を有する組成物であって、
前記組成物は約1.0g/cm未満の密度を有するものであって、
前記組成物は、患者への投与の際に、経口投与用または非経口投与用に改善された溶解性および生物学的利用能を有するものである。
好ましくは、前記組成物の密度は約0.5g/cm未満であり、より好ましくは約0.2g/cm未満であり、なおより好ましくは0.15g/cm未満であり、さらになおより好ましくは約0.05g/cm〜約0.12g/cmの範囲の密度であり、より好ましくは約0.06g/cm〜約0.08g/cmの範囲の密度である。
【0112】
ある特定の他の実施形態において、本発明は以下の組成物を対象としており、その組成物は、
a.化学式Iの少なくとも1つの化合物の薬学的に許容される金属塩と、
b.少なくとも1つの結晶化する充填剤と、
c.前記組成物の全重量に基づいて約0.5重量%未満の溶解補助界面活性剤と、
d.前記組成物の全重量に基づいて約10重量%未満の非水溶性溶媒と、
e.前記組成物の全重量に基づいて約0.5重量%未満のシクロデキストリンと
を有する組成物であって、
前記組成物は、患者への投与の際に、経口投与用または非経口投与用に改善された溶解性および生物学的利用能を有するものである。
【0113】
これらの組成物は、乾燥生成物から再構成する際に、両性イオンの特性により極めて水溶性が低い化学式Iの化合物の場合より、化学式Iの前記化合物をより容易に溶液に溶解するために、経口投与用および非経口投与用に改善された溶解性および生物学的利用能を提供するものである。
【0114】
好ましくは、化学式Iの化合物の薬学的に許容される金属塩は、少なくとも約0.1mg/mlの濃度、より好ましくは少なくとも約1mg/mlの濃度、なお一層より好ましくは少なくとも約2mg/mlの濃度で存在する。
【0115】
好ましくは本発明の組成物は、さらに、少なくとも1つの薬学的に許容される溶媒を含む。前記組成物の好ましい実施形態において、前記薬学的に許容される溶媒は、水溶性であり、好ましくは、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、または乳酸加リンガー溶液である。
【0116】
好ましくは、前記組成物は、少なくとも約18ヶ月間の保存性を有する。本明細書で用いられる「保存性」は、前記製剤の製造および包装された日から、化学活性または生物活性が表記された有効性の所定のレベル、一般に約90%より低くならず、その物理的特性に認められる変化または有害な変化がない期間のことである。
【0117】
特定の好ましい実施形態において、本発明の前記組成物は、オピオイド、オピオイドのプロドラッグ、および/または薬理的に活性な代謝産物を含むものであるが、ただし、これらが含まれても化学式Iの化合物の溶解性または生物学的利用能が干渉されないことを条件とする。適切なオピオイドは、アルフェンタニル、ブプレノルフィリン、ブトルファノール、コデイン、デゾシン、ジヒドロコデイン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン(ペチジン)、メタドン、モルフィン、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドール、およびそれらの混合物が含まれる。好ましいオピオイドは、モルフィン、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジヒドロコデイン、プロポキシフェン、フェンタニルおよびトラマドールが含まれる。
【0118】
本発明の組成物は、さらに、鎮痛および/または、咳−感冒−鎮咳配合生成物として従来使用されてきた1つ若しくはそれ以上の他の活性成分を含むが、ただしこれらが含まれても化学式Iの化合物の溶解性または生物学的利用能が干渉されないことを条件とする。このような従来の成分は、例えば、アスピリン、COX−2阻害剤、アセトアミノフェン、フェニルプロパノラミン、フェニレフリン、クロールフェニラミン、カフェイン、および/またはグアイフェネシンが含まれる。含まれ得る一般的または従来の成分は、例えばPhysicians’Desk Reference,2004に述べられており、この開示はこの参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである。
【0119】
さらに、本発明の前記組成物は、オピオイド剤の鎮痛効力を向上させ、および/または鎮痛作用への耐性の発生を減少するように設計された1若しくはそれ以上の化合物を含むものであるが、ただし、これらが含まれても化学式Iの化合物の溶解性または生物学的利用能が干渉されないことを条件とする。このような化合物は、例えば、デキストロメトルファン、または他のNMDAアンタゴニスト(Mao,MJ.et al.,Pain,1996,67,361)、L−364,718、及び他のCCKアンタゴニスト(Dourish,CT.et al.,Eur.J.Pharmacol.,1988,147,469)、NOS阻害剤(Bhargava,H.N.et al.,Neuropeptides,1996,30,219)、PKC阻害剤(Bilsky,EJ.et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.1996,277,484)、及びダイノルフィンアンタゴニストまたは抗血清(Nichols,M.L.et al.,Pain,1997,69,317)が含まれる。前述の文書の各々の開示はこの参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0120】
前述の例に加えて、本発明の前記方法および組成物で使用される他のオピオイド、選択的に従来のオピオイド成分、および前記オピオイドの鎮痛効果を促進するためのおよび/または鎮痛作用への耐性の発生を減少するための任意選択化合物は、本開示による教示が与えられるならば、当業者にとって容易に明らかとなる可能性がある。
【0121】
好ましい4−アリール−ピペリジン誘導体類は、例えば、米国特許出願第A−5,250,542号、米国特許出願第A−5,159,081号明細書、米国特許出願第A−5,270,328号、および米国特許出願第A−5,434,171号明細書、米国特許出願第B−6,451,806号明細書、および米国特許出願第B−6,469,030号明細書に開示されている化合物が含まれ、これらの開示はこの参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものである。
【0122】
好ましい実施形態において、化学式Iの前記化合物は、トランス3,4−異性体である。
【0123】
化学式Iの化合物を使用する特定の実施形態において、
は水素原子であり、
はアルキルであり、
nは1または2であり、
はベンジル基、フェニル基、シクロヘキシル基、またはシクロヘキシルメチル基であり、
はアルキル基であることが好ましい。
【0124】
化学式Iの化合物を使用する特定の実施形態において、
AはORであり、さらに、
は水素原子、またはアルキル基であることが好ましい。
【0125】
化学式Iの化合物を使用する特定の実施形態において、
AはNRであり、
は水素原子であり、
はアルキレン置換Bであり、さらに、
BはC(O)Wであることが好ましい。
【0126】
化学式Iの化合物を使用する特定の実施形態において、
は(CH−Bであり、
qは約1〜約3であり、
WはOR10であり、さらに、
10は水素原子、アルキル基、フェニル−置換アルキル基、シクロアルキル基、またはシクロアルキル置換アルキル基であることが好ましい。
【0127】
化学式Iの化合物を使用する特定の実施形態において、
WはNR1112であり、
11は水素原子またはアルキル基であり、さらに、
12は水素原子、アルキル基またはアルキレンC(=O)Yであることが好ましい。
【0128】
化学式Iの化合物を使用する特定の実施形態において、
12は(CHC(O)Yであり、
mは1〜3であり、
YはOR18または、NR1920であり、さらに、
18、R19、およびR20はそれぞれ水素原子またはアルキル基であることが好ましい。
【0129】
化学式Iの化合物を使用する特定の実施形態において、
WはOEであり、
EはCHC(=O)Dであり、
DはOR15または、NR1617であり、
15は水素原子またはアルキル基であり、
16はメチル基または、ベンジル基であり、さらに、
17は水素原子であることが好ましい。
【0130】
化学式Iの化合物を使用する特定の実施形態において、
WはOEであり、
EはR13OC(=O)R14であり、
13は−CH(CH)−、または、−CH(CHCH)−であり、さらに、
14はアルキル基であることが好ましい。
【0131】
化学式Iの化合物を使用する特定の実施形態において、
AはORであり、さらに、
は水素原子であることが好ましい。
【0132】
化学式Iの化合物を使用する特定の実施形態において、ピペリジン環の3位および4位の立体配置は、各々Rであることが好ましい。
【0133】
化学式Iの好ましい構造式は、
Q−CHCH(CH(C))C(O)OH、
Q−CHCHCH(C)C(O)NHCHC(O)OCHCH
Q−CHCHCH(C)C(O)NHCHC(O)OH、
Q−CHCHCH(C)C(O)NHCHC(O)NHCH
Q−CHCHCH(C)C(O)NHCHC(O)NHCHCH
G−NH(CHC(O)NH
G−NH(CHC(O)NHCH
G−NHCHC(O)NH
G−NHCHC(O)NHCH
G−NHCHC(O)NHCHCH
G−NH(CHC(O)OCHCH
G−NH(CHC(O)NHCH
G−NH(CHC(O)OH、
G−NH(CHC(O)OH、
Q−CHCH(CH(CHn))C(O)NHCHC(O)OH、
Q−CHCH(CH(CHπ))C(O)NH(CHC(O)OH、
Q−CHCH(CH(CHπ))C(O)NH(CHC(O)NH
Z−NHCHC(O)OCHCH
Z−NHCHC(O)OH、
Z−NHCHC(O)NH
Z−NHCHC(O)N(CH
Z−NHCHC(O)NHCH(CH
Z−NHCHC(O)OCHCH(CH
Z−NH(CHC(O)OCH(C)、
Z−NH(CHC(O)OH、
Z−NH(CHZ)C(O)NHCHCH
Z−NH(CHC(O)NHCH
Z−NHCHC(O)NHCHC(O)OH、
Z−NHCHC(O)OCHC(O)OCH
Z−NHCHC(O)O(CH)4CH
Z−NHCHC(O)OCHC(O)NHCH
Z−NHCHC(O)O−(4−メトキシシクロヘキシル)、
Z−NHCHC(O)OCHC(O)NHCH(C)、および
Z−NHCHC(O)OCH(CH)OC(O)CH
を含み、ここで、Qは、
【0134】
【化28】

【0135】
であり、Gは
【0136】
【化29】

【0137】
であり、Zは、
【0138】
【化30】

【0139】
である。
【0140】
さらに、化学式Iの好ましい化合物は、
(3R,4R,S)−Z−NHCHC(O)OCHCH(CH
(+)−Z−NHCHC(0)0H、
(−)−Z−NHCHC(O)OH、
(3R,4R,R)−Z−NHCHC(O)−OCHCH(CH
(3S,4S,S)−Z−NHCHC(O)OCHCH(CH
(3S,4S,R)−Z−NHCHC(O)OCHCH(CH
(3R,4R)−Z−NHCHC(O)NHCH(C)、および
(3R,4R)−G−NH(CHC(O)OH
を含み、ここで、Q、Z、およびGは前記で定義した通りである。
【0141】
化学式Iのなお一層好ましい化合物は、(+)−Z−NHCHC(O)OHおよび(−)−Z−NHCHC(O)OHを含み、Zは前記で定義した通りである。前記化合物が(+)−Z−NHCHC(O)OHである場合が特に好ましい。[[2(S)−[[4(R)−(3−ヒドロキシフェニル)−3(R),4−ジメチル−ピペジリニル]メチル]−l−オキソ−3−フェニルプロピル]アミノ]酢酸二水和物(USAN名称アルビモパン)が特に好ましい化合物である。
【0142】
化学式Iのなお一層好ましい化合物は、Q−CHCH(CH(C))C(O)OHであり、Qは前記に定義した通りである。前記化合物が(3R,4R,S)−Q−CHCH(CH(C))C(O)OHである場合が特に好ましい。この化合物はアルビモパンの活性代謝産物であるが、経口的に投与すると、アルビモパンの鎮痛作用が好ましくなく反転する傾向が大きい。非経口的、特に静脈内に投与すると、はるかに低用量で投与することが可能であり、この傾向がそれに伴い減少される。
【0143】
消化管で局所的に作用する化学式Iの化合物は高い有効性を有し、経口的活性は特に好ましい。本発明の特に好ましい実施形態は、前記化合物(+)−Z−NHCHC(O)OH、すなわち、以下の化学式(II)の化合物である。
【0144】
【化31】

【0145】
化学式(II)の前記化合物は、pHが低い場合と高い場合を除いて、水中での溶解性が低い。両性イオン的性質は前記化合物に特有のものであり、全身的吸収性が低く、経口的投与後に消化管への局所的効果が維持されるなどの望ましい性質を与える。
【0146】
本発明の特に好ましい実施形態において、化学式Iの化合物は実質的に純粋な立体異性体である。
【0147】
なお他の実施形態において、本発明は前述の組成物を含む注射可能な投与製剤を対象としている。好ましい実施形態において、前記注射可能な投与製剤は、活性成分を含有する前記組成物が生理的pHより高いpHで調製されたという事実にもかかわらず、静脈穿刺による痛みと比べてごく僅かの痛みか、またはさらなる痛みは無いものである。
【0148】
なお他の実施形態において、本発明は患者におけるオピオイド剤に伴う副作用の予防または治療方法を対象にしており、前記方法はそれを必要とする患者に前述の組成物の有効量を投与する工程を含むものである。
【0149】
前記方法は、イレウス、そう痒症、便秘、尿閉、胆道痙攣、オピオイド性腸機能障害、疝痛、嘔吐または吐き気、またはその組合せ、特に、術後または分娩後イレウス、オピオイド性腸機能障害、術後の吐き気または術後の嘔吐の予防および治療に有用である。
【0150】
他の実施形態において、本発明は患者の痛みの予防または治療方法を対象としており、前記方法は、
それを必要とする前記患者に前述の組成物の有効量を投与する工程
を含むものである。
好ましい実施形態において、さらに前記組成物は少なくとも1つのオピオイドを含むものである。
【0151】
なお他の実施形態において、本発明はキットを対象としており、前記キットは、
a.注射可能な投与製剤を有する容器と、
b.注射溶液を調製するための説明書と
を有するものである。
好ましくは、前記キットは、さらに、シリンジを含むものである。好ましくは注射可能な投与製剤は、さらに、少なくとも1つのオピオイド剤を有する。前記組成物は、従来の医薬キット構成成分が選択的に含まれ得る。
【0152】
本発明はオピオイド化合物が関与する方法、組成物、およびキットを対象とするものである。前述したように、このようなオピオイド化合物は、例えば、痛みの治療および/または予防に有用である。しかし、前述したように、例えば、イレウス、そう痒症、便秘、尿閉、胆道痙攣、オピオイド性腸機能障害、疝痛、嘔吐または吐き気、またはその組合せ、特に、術後または分娩後のイレウス、オピオイド性腸機能障害、吐き気および/または嘔吐並びに他の副作用等の望ましくない副作用がオピオイド化合物を与えられる患者にしばしば発症する。本発明の方法、組成物、およびキットによって、オピオイド化合物に合併する望ましくない副作用の抑制が有利に達成される。従ってオピオイド剤を適切な末梢作用性μオピオイドアンタゴニスト化合物と組み合わせるか、または同時投与する併用方法、組成物、およびキットは、化合物および薬剤単独より有利な効力を提供する。
【0153】
これと関連して、前に述べた様に、患者は、例えば痛みのある状態を治療するためにオピオイド剤をしばしば投与される。しかし、前述のように、例えばイレウス、そう痒症、便秘、尿閉、胆道痙攣、オピオイド性腸機能障害、疝痛、嘔吐または吐き気、またはその組合せのような望ましくない副作用がオピオイド剤投与の結果生じる。これらの望ましくない副作用は、前記患者に投与されるオピオイド剤の前記量に関連して制限的要因として働く。これは、前記患者に投与できるオピオイド剤の量が前記の副作用の望ましくない発生により制限されることを意味する。言い換えると、一患者に投与することができるオピオイドの限られた量は、痛みの緩和の程度を不都合なほど減少することになる。現在の組み合わせ方法および組成物は、一患者に投与されるオピオイド剤の量を有利に増加するために用いられ、これによって痛みの緩和は向上されるが、前記オピオイドに伴う望ましくない副作用を減少するか、最小限にするか、および/または避けることができる。本発明の方法および組成物に使用される末梢作用性μオピオイドアンタゴニストは、好ましくは、実質的に中枢神経系作用はなく、従って望ましくは、オピオイド剤の鎮痛効果に影響しない。手術のどの理論にも拘束されることを意図していないが、イレウス、そう痒症、便秘、尿閉、胆道痙攣、オピオイド性腸機能障害、疝痛、嘔吐または吐き気、またはその組合せのようなオピオイド性副作用は、オピオイドと末梢作用性μ受容体との望ましくない相互作用から生じる。本発明の前記方法に従った末梢作用性μオピオイドアンタゴニストの投与は、オピオイド化合物と前記μ受容体との相互作用を遮断し、それによって、前記副作用、特に術後または分娩後イレウス、オピオイド性腸機能障害、吐き気、および/または嘔吐を予防および/または抑制する。
【0154】
前に例示したこれらに加えて、本発明の方法および組成物に使用される他のμオピオイドアンタゴニスト化合物は、当業者が一旦本開示の教示を得ると容易に明白となるであろう。
【0155】
本発明の方法で用いられる化合物はプロドラッグの形態で存在し得る。ここで用いられる「プロドラッグ」は、例えば、このようなプロドラッグが哺乳動物の対象に投与された場合の生体内で、本発明の方法において使用される化学式Iに従った活性の親ドラッグを遊離する共有結合した担体を含むことを意図するものである。プロドラッグは薬剤の多くの望ましい性質(例えば、溶解性、生物学的利用能、製造など)を向上することが知られているため、本発明で用いられる前記化合物は、必要であれば、プロドラッグの形態で送達することができる。従って本発明はプロドラッグの送達の方法を意図するものである。本発明で用いられる前記化合物、例えば、化学式Iのプロドラッグは所定の操作または生体内のいずれかによって切断されて親化合物に変化するように前記化合物に存在する官能基を変えることよって調整することができる。
【0156】
したがって、プロドラッグは、例えば、本明細書で述べる化合物が含まれ、ここでは、ヒドロキシ基、アミノ基、またはカルボキシ基が、前記プロドラッグを哺乳動物の対象に投与すると分解されて遊離ヒドロキシル基、遊離アミノ基、またはカルボン酸を各々形成する様に、ヒドロキシ基、アミノ基、またはカルボキシ基が結合している。例として、これらに限定されるものではないが、アルコールおよびアミン官能基類の酢酸塩誘導体、蟻酸塩誘導体、および安息香酸塩誘導体、およびメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、sec−ブチルエステル、tert−ブチルエステル、シクロプロピルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、およびフェネチルエステル類のようなアルキルエステル、炭素環式エステル、アリールエステル、およびアルキルアリールエステル、およびその同等物が含まれる。
【0157】
本発明の方法で用いられる化合物は、当業者に周知の多くの方法で調整され得る。前記化合物は、例えば、以下に述べる方法または当業者が好むその変法によって合成され得る。本発明に関連して開示するすべての方法は、ミリグラム、グラム、マルチグラム、キログラム、マルチキログラムまたは商業工業的規模を含むあらゆる規模で実施することが意図されている。前に詳細に述べたように、本方法で用いられる化合物は1若しくはそれ以上の非対称的に置換される炭素原子を含み、光学的に活性な形態または、ラセミ形態で単離される。したがって、特定の立体化学または異性体形態を特に示さない限り、すべてのキラル、ジアステレオ異性体、ラセミの形態および構造のすべての幾何学的な異性体の形態が意図されている。光学活性形態の調整および単離方法は当業者に周知である。例えば、立体異性体の混合物は、これらに限定されるものではないが、ラセミ体の分解、順相、逆相、およびキラルクロマトグラフィー、選択的塩の形成、再結晶化、および同等のもの、またはキラル出発原料からのキラル合成、あるいは、標的キラル中心の計画的合成による標準的技術によって分離される。
【0158】
容易に理解されるように、存在する官能基は合成の経過中に保護基を含む場合がある。保護基はそれ自体が、ヒドロキシル基やカルボキシル基などのように、選択的に官能基に対して付加及び除去することができる化学官能基として知られている。これらの基は化合物内に存在し、前記化合物が暴露される化学反応条件に対して官能基を不活性にすることを提供するものである。多様な保護基のすべてが本発明で用いられる。好ましい保護基には、ベンジルオキシカルボニル基およびtert−ブチルオキシカルボニル基が含まれる。本発明と共に用いられる他の好ましい保護基は、Greene,T.W.and Wuts,P.G.M.,Protective Groups in Organic Synthesis 第2版,Wiley&Sons,1991に記載されている。
【0159】
本発明の化学式Iの4−アリール−ピペリジン誘導体は、例えば、米国特許出願第A−5,250,542号明細書、米国特許出願第A−5,434,171号明細書、米国特許出願第A−5,159,081号明細書、米国特許出願第A−5,270,328号明細書、米国特許出願第B−6,451,806号明細書、米国特許出願第B−6,469,030号明細書、およびWerner,J.A.,他,Journal of Organic Chemistry,61,587−597(1996)に教示される方法を使用して合成され、その開示の全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。例えば、本化合物の合成において出発原料として用いられる3−置換−4−メチル−4−(3−ヒドロキシ−、または、アルカノイルオキシフェニル)ピペリジン誘導体は、米国特許出願第A−4,115,400号明細書および米国特許出願第A−4,891,379号明細書において教示されている一般的方法によって調整されても良く、その開示の全体はこの参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で述べる化合物の合成用出発原料である(3R,4R)−4−(3−ヒドロキシフェニ)−3,4−ジメチルピペリジンは、米国特許出願第A−4,581,456号明細書および米国特許出願第A−5,136,040号明細書に述べられている方法によって調整されてもよいが、β−立体化学が好ましいとされているのにしたがって調整し、その開示の全体はこの参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0160】
前記方法の第1工程は、3−アルコキシブロモベンゼンとアルキルリチウム試薬を反応させて3−アルコキシフェニルリチウム試薬を生成することを含む。この反応は不活性状態下で、乾燥ジエチルエーテルまたは、好ましくは乾燥テトラヒドロフランのような適切な非反応性溶媒の存在下で行われる。この方法で使用される好ましいアルキルリチウム試薬は、n−ブチルリチウム、特にsec−ブチルリチウムである。一般に、前記反応混合物に約等モルから僅かに過剰のアルキルリチウム試薬を加える。前記反応はおよそ−20℃〜およそ−100℃の温度、より好ましくはおよそ−50℃〜およそ−55℃で行われる。
【0161】
3−アルコキシフェニルリチウム試薬が生成された時点において、温度を−20℃〜−100℃に維持しながら、約等モル量の1−アルキル−4−ピペリドンを前記混合物に加える。前記反応は通常約1〜24時間後に完了する。この時点で、前記反応混合物を徐々に温めて室温にまで温める。前記反応混合物に塩化ナトリウム飽和溶液を加えることによって生成物が分離され、残留リチウム試薬が失活する。有機層を分離し、必要ならば、さらに精製することにより、適切な1−アルキル−4−アルコキシフェニル)ピペリジノール誘導体が得られる。
【0162】
調整された前記4−フェニルピペリジノールの脱水は、周知の方法に従って、強酸を用いて達成される。脱水は、塩酸、臭化水素酸、および同等物などの数種の強酸のいずれか1つを用いて種々の量で行うが、好ましくは、脱水はリン酸を用いて行うのが好ましく、特にトルエンまたはベンゼン中でp−トルエンスルホン酸を用いて行うのが好ましい。この反応は通常還流条件下で行われ、より一般的には約50℃〜150℃で行われる。このようにして形成された生成物は、前記生成物の塩の形態の酸性水溶液を塩基性化し、水に不混和性の適切な溶媒を用いて前記水溶液に抽出することにより単離する。その後、必要に応じて、エバポレート後生じた残留物をさらに精製することができる。
【0163】
l−アルキル−4−メチル−4−(3−アルコキシフェニル)テトラヒドロピリジン誘導体は、メタロエナミンアルキル化によって調整される。この反応は、好ましくは窒素またはアルゴンのような不活性雰囲気下でテトラヒドロフラン(THF)中、n−ブチルリチウムを用いて行う。一般に−約50℃〜約0℃、より好ましくは−約20℃〜−約10℃の範囲の温度に冷却されたTHF中にl−アルキル−4−(3−アルコキシフェニル)−テトラヒドロピリジンを入れた攪拌溶液に僅かに過剰のn−ブチルリチウムを加える。この混合物は、約10〜30分間攪拌した後、反応混合液の温度を0℃以下に維持しながら、約1.0〜1.5当量のハロゲン化メチル化合物を前記溶液に加える、。約5〜60分後に、前記反応混合液に水を加えると、有機相が分離される。前記生成物は標準の方法で精製することができるが、好ましくは、粗生成物は減圧下で蒸留するか、または、ヘキサン:酢酸エチル(65:35、V:V)とシリカゲルの混合液中で粗生成物を約2時間懸濁化することによって精製する。後者の方法によれば、前記生成物は、その後濾過し、濾過液を減圧下で濃縮することにより単離される。
【0164】
前記方法の次の工程には、環内の非共役型エナミンへのアミノメチル化のマンニッヒ反応の応用が関与する。この反応は、好ましくは約1.2〜2.0当量のホルムアルデヒド水溶液と、約1.3〜2.0当量の適切な二級アミンとを適切な溶媒中で混合して行われる。水が好ましい溶媒であるが、アセトンおよびアセトニトリルのような他の非求核性溶媒もまた、この反応に使用することができる。この溶液のpHは非求核性アニオンを生じる酸を用いて約3.0〜4.0に調整することができる。このような酸の例は、硫酸、スルホン酸(メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)、リン酸、およびテトラフルオロホウ酸が含まれるが、硫酸が好ましい。この溶液に、1当量のl−アルキル−4−メチル−4−(3−アルコキシフェニル)テトラヒドロピリジン(通常、硫酸水溶液に溶解したもの)を加えて、前記溶液のpHを非求核性酸または適切な第二級アミンで再調整する。前記反応期間中、pHを、好ましくはpH約1.0〜5.0の範囲、より好ましくはpH約3.0〜3.5の範囲に維持する。前記反応は約50℃〜約80℃の範囲、より好ましくは約70℃の温度で行われた場合、約1〜4時間後、さらに通常は約2時間後には実質的に完了する。その後前記反応液を約30℃に冷却し、水酸化ナトリウム溶液に加える。次に、この溶液はヘキサンまたは酢酸エチルなどの水に不混和性の有機溶媒を用いて抽出し、水で十分洗浄して残留ホルムアルデヒドを除去した後、有機相を減圧下で蒸発乾固する。
【0165】
前記方法の次の工程は、調整されたl−アルキル−4−メチル−4−(3−アルコキシフェニル)−3−テトラヒドロピリジンメタナミンを対応するトランス−l−アルキル−3,4−ジメチル−4−(3−アルコキシフェニル)ピペリジンへ触媒的水素化することが含まれる。実際には、この反応は2つの工程で起こる。最初の工程は、外部のC−N結合が還元的に切断されて3−メチルテトラヒドロピリジンを生成する水素化分解反応である。2番目の工程では、テトラヒドロピリジン環内の2,3−二重結合を還元して望ましいピペリジン環を生じる。
【0166】
エナミンの二重結合の還元によって、ピペリジン環の3および4位の炭素原子で重要な相対立体化学を導入した。通常、前記還元は、完全な立体選択性では起こらない。前記方法に用いた触媒は種々のパラジウム触媒の中から選択されるが、好ましくはプラチナ触媒である。
【0167】
前記方法の触媒水素化工程は、好ましくは酸性反応媒体中で行う。前記方法において使用するのに適切な溶媒は、メタノールまたはエタノールなどのアルコール類、並びに酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサンおよび同等物が含まれる。
【0168】
適切な立体化学の結果は、使用される触媒の量に依存する。所望の立体化学的結果をもたらすのに必要な触媒の量は、種々の触媒毒の有無にかかわる出発原料の純度に左右される。
【0169】
反応容器中の水素圧は重要でないが、約5〜約200psiの範囲にすることができる。出発原料の体積濃度は、これより増加または減少した出発原料の濃度を使用することもできるが、好ましくは、出発原料1g当たり約20mLの液体である。本明細書で指定する条件下では、分子を過剰に還元することは不可能であるため、触媒水素化の時間の長さは重要でない。前記反応は最高約24時間若しくはそれ以上続けることができるが、水素原子の理論的2モルを消費した後は還元状態を続ける必要はない。前記生成物は、例えば滴虫土を通して、反応混合液を濾過して分離し、減圧下で濾液を蒸発乾固する。さらに、このようにして分離した前記生成物の精製は必要でなく、好ましくは、ジアステレオ異性体混合物は、そのまま次の反応に維持することが好ましい。
【0170】
アルキル置換基は標準の脱アルキル化処理によってピペリジン環の1位から除去される。好ましくはクロロギ酸誘導体、特にビニルまたはフェニル誘導体を用いて、酸で除去する。次に、前記調整されたアルコキシ化合物を脱アルキル化して対応するフェノールとする。この反応は一般に48%の臭化水素酸水溶液中で前記化合物を反応させて行う。この反応は約50℃〜約150℃の温度、より好ましくは反応混合液の還流温度で行った場合、約30分〜約24時間後に実質的に完了する。その後前記混合物は、冷却することにより反応を停止し、その後塩基を用いて中和してpHを約8にする。前記水溶液は水に不混和性な有機溶媒で抽出される。有機相をエバポレートした後の残留物は、直接次の工程で用いられる。
【0171】
本発明の化合物に対する出発原料として用いられた化合物もまた、l−アルキル−4−メチル−4−(3−アルコキシフェニル)−3−テトラヒドロピリジンメタナミンを3位で臭素化し、このようにして生成された前記臭素化合物をリチオ化し、前記リチオ化中間体を臭化メチルなどのハロゲン化メチル合物と反応させて、対応するl−アルキル−3,4−ジメチル−4−(3−アルコキシフェニル)テトラヒドロピリジンメタナミンを得る。次にこの化合物を還元して、前に示した前記出発原料に変換する。
【0172】
前述のように、本発明の前記化合物は個別の立体異性体として存在することができる。反応条件は、好ましくは米国特許出願第4,581,456号明細書に開示されているように、あるいは、米国特許出願第5,250,542号明細書の実質的に立体選択的である実施例で述べられているように調整して、本質的に2つの鏡像異性体のラセミ混合物が生じる。次に、これらの鏡像異性体を分離する。これらの化合物の合成に用いられる分離された出発原料を調整するために使われる手順は、アルキル−3,4−ジメチル−4−(3−アルコキシフェニル)ピペリジンを(+)−ジトルオイル酒石酸または(−)−ジトルオイル酒石酸のどちらかで処理して前記の分離中間体を生じることが含まれる。この化合物は、次に、クロロギ酸ビニルの1位にて脱アルキル化され、最終的に目的の4−(3−ヒドロキシフェニル)ピペリジン異性体に変換される。
【0173】
または、3,4−アルキル−置換−4−(3−ヒドロキシフェニル)ピペリジン類の立体選択的合成は、アルコキシフェニルリチウム(−20℃〜−100℃)または対応するGrignard試薬(40℃〜60℃)および1,3−ジアルキル−4−ピペリドンを用いたWerner,J.A.他、Journal of Organic Chemistry,61,587−597(1996)および米国特許出願第A−5136,040号明細書に記載方法で行うことができる。
【0174】
得られたアルコールをクロロギ酸エチルでアシル化するとラセミ炭酸塩が生じ、これは(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(DTTA)で効率的に分離される。キラル的に純粋な炭酸塩の遊離塩基を熱処理によって除去(170〜200℃)すると、所望のオレフィンが得られた。
【0175】
例えば、n−ブチルリチウムの存在下で前記オレフィンを硫酸ジメチルでメチル化すると、トランス−3,4−ジメチルエナミンが得られた。エナミンを水素化ホウ素ナトリウムで還元した後、(+)−DTTA精製すると鏡像異性純度が99.5%より大きい化合物が得られた。遊離塩基をクロロギ酸フェニルで脱メチル化し、その後保護基を除去すると、化学式Iの化合物の作製に重要な中間体である(3R,4R)−3−(3,4−ジメチル−4−ピペリジニル)フェノールが得られた。アルビモパンはJournal of Organic Chemistry,61,587−597(1996)および米国特許出願第5,136,040号に記載されている方法によって製造される。
【0176】
当業者によって理解されるように、本発明の個々の鏡像異性体は、(+)または(−)の酒石酸ジベンゾイルを用いて本発明の化合物の対応するラセミ混合物から必要に応じて単離することができる。好ましくは(+)−トランス鏡像異性体が得られる。
【0177】
前記(+)トランス−3,4−立体異性体が好ましいが、本明細書で述べる化合物の可能な立体異性体のすべてが本発明の意図する範囲内にある。実質的に純粋な立体異性体と同様に立体異性体のラセミ混合物は本発明の範囲内である。本明細書で用いられる「実質的に純粋な」という用語は、他の可能性のある立体異性体に比べて目的の立体異性体の少なくとも約90モル%、より好ましくは少なくとも約95モル%、および最も好ましくは少なくとも98モル%であることに言及する。
【0178】
中間体は3,4−アルキル−置換−4−(3−ヒドロキシフェニル)ピペリジンを化学式LCH(CHn−1CHRC(O)Eの化合物と反応させることにより調整することができるが、ここで、Lは塩素、臭素、またはヨウ素のような離脱基であり、Eはカルボン酸、エステル、またはアミドであり、Rとnは前に定義した通りである。好ましくは、Lは塩素であり、前記反応は塩基の存在下で行うことにより、ピペリジンの窒素原子をアルキル化する。例えば、4−クロロ−2−シクロヘキシルブタン酸のエチルエステルは、(3R,4R)−4−(3−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルピペリジンと反応させることにより、4[(3R,4R)−4−(3−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチル−1−ピペリジン]ブタン酸,エチルエステルが生じる。前記カルボン酸のエステルが好ましいが、前記遊離酸自体か、または、前記カルボン酸のアミドを用いることができる。
【0179】
別の合成において、前記置換ピペリジンは、メチレンアルキルエステルと反応させてピペリジンの窒素原子をアルキル化することができる。例えば、2−メチレン−3−フェニルプロパン酸のエチルエステルは、所望のピペリジンと接触させることにより、2−ベンジル−3−ピペリジンプロパン酸のエチルエステルが得られる。
【0180】
他の合成経路には、置換ピペリジンとハロアルキルニトリルとの反応が関与する。結果として生じたピペリジンアルキルニトリルのニトリル基を加水分解すると対応するカルボン酸が得られる。
【0181】
各合成経路を用いて、得られたエステルまたはカルボン酸はアミンまたはアルコールと反応させることにより、修飾された化学構造が得られる。アミドの調整において、ピペリジンカルボン酸またはピペリジンカルボン酸エステルは、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ホウ酸、ボラン−トリメチルアミン、および同等物のようなカップリング剤の存在下でアミンと反応する。エステルはピペリジンカルボン酸を、p−トルエンスルホン酸、ボロントリフルオライドエーテル化合物、またはN,N−カルボニルジイミダゾールのようなカップリング剤の存在下で適切なアルコールと反応させて生成することができる。または、ピペリジン−カルボン酸塩化物は、塩化チオニル、3塩化リン、5塩化リン、および同等物のような試薬を用いて生成することができる。この塩化アルカノイルは、適切なアミンまたはアルコールと反応して対応するアミドまたはエステルを生じる。
【0182】
化学式Iの化合物は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.,ペンシルバニア州、Easton,1980)(この参考によりその全体が本願明細書に組み込まれる)に記載されているように選択された投与経路および標準の薬務を基礎として選択された薬学的に許容される充填剤と混合するものである。
【0183】
化学式Iの化合物は選択された投与経路、例えば、経口または非経口に合わせた種々の形態で哺乳動物宿主に投与することができる。この点では、非経口投与には、次の経路、すなわち、静脈内、筋肉内、皮下、眼内、滑液包内、経上皮(経皮的、眼の、舌下、口内など);局所的(眼科、皮膚、接眼、直腸および鼻吸入、エアゾールおよび直腸組織など)が含まれる。
【0184】
このような治療的に有用な組成物における活性化合物の量は、適切な投与量が得られるように好ましいものである。本発明による好ましい組成物または製剤は、一投与単位形態に約0.1〜1000mgの活性化合物、より好ましくは約1〜100mgの活性化合物が含有するように調製され得る。
【0185】
意図される使用に基づいて、これらの製剤は細菌の増殖を防ぐために保存剤を含む場合がある。
【0186】
注射可能な使用に適切な薬剤形態には、例えば、滅菌水溶液、および滅菌注射液または分散剤の即座調製用滅菌粉末が含まれる。すべての場合において前記形態は、好ましくは滅菌性かつ、注射針通過性の良い液体である。好ましくは、製造および保管の状態下で安定であり、好ましくは細菌および真菌のような微生物の汚染から守られる。微生物による作用を予防するには、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールおよび同等物の種々の抗細菌剤、抗真菌剤によって達成される。
【0187】
滅菌注射液は適切な溶媒中に必要量の活性化合物を必要に応じて前に列挙した種々の他の成分とともに組み合わせ、その後濾過滅菌して調製される。一般に、分散剤は滅菌活性成分を滅菌運搬体に組み込むことによって調整され、この滅菌運搬体は基本的な分散媒と前に列挙したもののうち、必要な他の成分を含有する。滅菌注射液の調製用滅菌粉末またはケーキの場合、好ましい調整方法には、噴霧乾燥、真空乾燥および、活性成分の粉末およびその前滅菌濾過液から好ましい成分をさらに産出する凍結乾燥技術が含まれる。
【0188】
本発明の前記組成物は経口的に投与される。例えば、本発明の乾燥組成物は硬質または軟らかいシェルゼラチンのカプセルに封入するか、圧縮して錠剤(舌下用などの迅速溶解性経口用錠剤、経口用崩壊錠剤)にするか、または、直接食事の食べ物に組み込む。
【0189】
経口投与用などの前記錠剤、トローチ、ピル、カプセルおよび同等物はまた、前記組成物の改善された溶解性および生物学的利用能を干渉しないことを条件に以下の1若しくはそれ以上を含む。すなわち、結合剤(トラガカント、アカシア、コーンスターチ、ジェラチン等)、賦形剤(リン酸カルシウム等)、崩壊剤(コーンスターチ、片栗粉、アルギン酸および同等物)、潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム等)、甘味剤(サッカロース、ラクトースまたはサッカリン等)、または香料添加剤(ペパミント、冬緑樹油またはチェリー人工甘味料)が含まれる。前記投与単位の形態がカプセルの場合、前記種類の材料に加えて液体の担体を含む場合がある。コーティング剤として、または前記投与単位の物理的形態を変えるために様々の他の材料が存在しても良い。例えば、錠剤、ピル、またはカプセルは、セラック、糖、またはその両方を用いてコーティングされる。シロップまたはエリキシルには活性化合物、甘味剤としてサッカロース、保存剤としてメチルおよびプロピルパラベン、色素、およびチェリーまたはオレンジ味のような人工香味料が含まれる。もちろん、あらゆる投与単位形態の調整に使われる材料は、使用された量において、好ましくは、薬学的に純粋であり、また実質的に非毒性である。さらに、前記活性化合物は徐放型の生成物および製剤に組み込まれる。
【0190】
前述のように、活性成分および担体の相対的割合は、例えば、前記化合物の溶解性と化学的性質、選択された投与経路および標準の薬務によって決定される。
【0191】
予防または治療に最も適切な本発明の化合物の投与量は、投与の形態、選択された特定の化合物、および治療される特定の患者の生理的特性によって異なる。一般に、最初は少量の投与量を用いて、必要であれば、その条件下で好ましい効果に達するまで少しずつ増加される。
【0192】
前記化学式Iの化合物のような末梢作用性μオピオイドアンタゴニスト化合物とオピオイドを組み合わせて含む薬学的組成物のような本発明の組み合わせ生成物は、本明細書で述べるこれらの非経口的投与形態で投与され、また本明細書で述べる様々方法で投与することもできる。好ましい実施形態において本発明の配合生成物は1つの投与形態で共に製剤化される(すなわち、1つの液体中に共に混合されるなど)。前記組み合わせ生成物が1つの投与形態で共に製剤化されない場合、前記オピオイド化合物および末梢作用性μオピオイドアンタゴニスト化合物は同時に(すなわち、共に)または、いかなる順序でも投与することができる。同時に投与しない場合、すなわち、順次投与する場合、好ましくは末梢作用性μオピオイドアンタゴニスト化合物とオピオイド化合物との投与間隔は約1時間未満、より好ましくは約30分未満、なお一層好ましくは約15分間未満、および、さらに一層好ましくは約5分間未満にする。
【0193】
末梢作用性オピオイドアンタゴニストおよびオピオイドは同じ方法(すなわち、例えば、両方とも非経口的に)で投与することが好ましいが、必要に応じて、これらは各々異なった方法(すなわち、例えば、配合生成物のオピオイド成分は経口的に投与し、末梢性μオピオイドアンタゴニスト成分は静脈内に投与する)で投与することができる。本発明の組み合わせ生成物の投与量は、特定薬剤の薬力学的特性および投与様式や経路、受容者の年令、健康および体重、症状の性質や程度、併用療法の種類、治療頻度、および目的とする効果など様々な要因によって異なる可能性がある。
【0194】
本開示を参照することによって、当業者は本発明の前記組み合わせ生成物の正しい投与量を容易に確かめることができるが、オピオイド化合物と末梢作用性μオピオイドアンタゴニストとが併用される一般的指標としては、例えば、通常1日投与量は、前記オピオイド化合物が約0.01〜約100mg/kg患者体重(およびその範囲内のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーション)であり、末梢作用性μオピオイドアンタゴニストが約0.001〜約100mg/kg患者体重(およびその範囲内のすべてのコンビネーションとサブコンビネーション)である。さらに、より好ましくは、1日投与量は、オピオイド剤が約0.1〜約10mg/kg患者体重と、末梢作用性μオピオイドアンタゴニストが約0.01〜約10mg/kg患者体重とである。なおより好ましくは、1日投与量は、オピオイドが約1.0mg/kg患者体重と、末梢作用性μオピオイドアンタゴニストが約0.01mg/kg患者体重とである。この種類の配合生成物の一般的な投与形態に関しては、前記オピオイド化合物(例えば、モルヒネ)が通常約5〜約200mgの量で含まれ、末梢作用性μオピオイドアンタゴニストが0.1〜約0.12mgの量とが含まれている。
【0195】
例えば、オピオイド投与または、痛みの治療の副作用の治療において有用である医薬キット(1若しくはそれ以上の滅菌容器内に治療有効量の末梢作用性μオピオイドアンタゴニスト化合物と共に治療有効量のオピオイドを含む)もまた、本発明の範囲に入る。前記容器の滅菌は当業者に周知の従来の滅菌方法を用いて実施される。物質の前記滅菌容器には個別の容器、またはUNTVIAL(登録商標)2部分容器(Abbott Labs,米国イリノイ州 Chicagoから入手可能)によって例示されるように必要に応じて1若しくはそれ以上のマルチパート容器が含まれる。前記任意選択のオピオイド化合物および前記末梢作用性μオピオイドアンタゴニスト化合物は、前述のように個別または単一の投与形態に組み込まれる。さらに、このようなキットは、当業者に容易に明白なように、必要に応じて、例えば、成分を混合するための追加のバイアルなどのような1若しくはそれ以上の種々の従来の医薬キットコンポーネントを含むものである。投与する成分の量を示すインサート、またはラベルによる説明、投与のガイドラインおよび/または成分を混合するためのガイドラインもまた、前記キットに含められる。
【0196】
化学式Iの化合物を含む本発明の方法、組成物、およびキットにおいて使用するための化合物は、μオピオイド受容体に対して優先結合を示すオピオイド受容体結合アッセイにおいて特性を示した。単離された組織(モルモットの回腸およびマウス輸精管)および他のin vitroシステム(例えば、GTPγS)における研究によって、これらの化合物はアンタゴニストとして作用し、アゴニストとしての測定可能な活性は示さなかった。動物実験では、本化合物を極めて低い用量で経口的または非経口的に投与した場合、モルヒネ依存性マウスにおいて便秘を反転させるが、用量を百倍またはそれより高用量にしない限り、モルヒネの鎮痛作用を遮断しないことが示された。このようなデータによって、本明細書で説明する化合物は極めて高度の末梢選択性を有することをを示している。
【0197】
実施例
本発明は以下の特定の限定されない実施例を参照することにより説明される。この実施例は本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0198】
アルビモパンの合成
アルビモパンは以下の合成方法によって調整した。
【0199】
1−ブロモ−3−(1−メチルエトキシ)ベンゼン(化合物1)の合成
【0200】
【化32】

【0201】
【表1】

【0202】
反応容器に粉末炭酸カリウム(96.0kg)およびエタノール1X(134kg)を入れた。前記反応混合液は20〜25℃に調整した。
【0203】
温度を20〜35℃に維持しながら、振盪しながら3−ブロモフェノール(80.0kg)を前記反応器に入れた。トランスファー機材は次の工程に進む前にエタノール1X(5kg)で洗浄した。前記温度は20〜25℃に調整した。2−ブロモプロパン(85.6kg)を前記反応器に入れた。トランスファー機材は次の工程に進む前にエタノール1X(5kg)で洗浄した。水(20L)を前記反応器に入れた。
【0204】
前記反応器内の溶液を60〜65℃に加熱し、その範囲で最低16時間保持した。前記混合液を45〜50℃に冷却し、前記混合液が3−ブロモフェノールであることを確認した。前記混合液は、結果を待っている間60〜65℃に加温した。前記混合液は再度45〜50℃に冷却した。
【0205】
前記反応器に水(303L)を入れた。前記反応混合液は常圧蒸留によって400Lの体積に濃縮した。前記濃縮混合液を20〜25℃に冷却した。
【0206】
ヘプタン(185kg)を前記反応器に入れた後、20〜25℃の温度にて最低20分間攪拌した。
【0207】
二相溶液を分離し、有機相は水(45L)および31%塩酸(6.6kg)溶液で洗浄した。前記有機相は水(56L)で洗浄した後、水(49L)および50%水酸化ナトリウム(4.4kg)溶液で洗浄した。前記有機相は最後にもう一度水(56L)で洗浄した。
【0208】
前記有機溶液は、水が回収されなくなるまで共沸蒸留によって乾燥した。次に前記反応混合液を常圧蒸留によって150〜170Lまで濃縮し、20〜25℃まで冷却した。前記溶液は次の工程で使用するために包装した。前記包装した生成物(化合物1)をサンプリングして検査したが、HPLC純度は98%a/a以上で、HPLCアッセイは55%w/w以上であった。
【0209】
cis−(±)−1,3−ジメチル−4−[3−(l−メチルエトキシ)フェニル]−4−ピペリジノール(化合物物2)の合成
【0210】
【化33】

【0211】
【表2】

【0212】
使用するテトラヒドロフランはロットで使用する前にサンプリングして含水量を調べた。
【0213】
反応器にテトラヒドロフラン(18kg)を入れ、振盪せずに加熱還流した。前記溶媒は1時間還流し、30℃以下に冷却した。反応器内の水分の量が仕様に適合していることを確認するために、KF分析を実施した。前記テトラヒドロフランを排出して廃棄し、前記反応器を乾燥させた。
【0214】
マグネシウム(2.1kg)を反応器に入れ、次にテトラヒドロフラン(80kg)を入れた。振盪しながら、前記反応混合液を常圧蒸留によって40〜44Lまで減らした。前記濃縮液は40〜45℃に冷却した。
【0215】
携帯用振盪ステンレススチール製タンクにテトラヒドロフラン(18kg)を入れて、少なくとも20分間振盪した。反応器内の水分の量が仕様に適合していることを確認するためにKF分析を実施した。前記テトラヒドロフランを排出して廃棄した。
【0216】
前記タンクにl−ブロモ−3−(l−メチルエトキシ)ベンゼン(27.9kg)およびテトラヒドロフラン(31kg)を入れた。前記溶液は室温で少なくとも20分間振盪した。
【0217】
前記タンクの前記混合液のうち2.5kgを40〜45℃の温度で開始された反応器に移した。前記混合液は40〜60℃に保持して最低30分間振盪した。
【0218】
前記タンクの混合液のうち2番目の2.5kgを反応器に移し、40〜45℃の温度で開始した。前記混合液は40〜60℃に保持して最低30分間振盪した。
【0219】
前記タンクの前記混合液のうち5kgを反応器に移し、40〜45℃の温度で開始した。前記混合液は40〜60℃に保持して最低30分間振盪した。
【0220】
前記タンクに1,3−ジメチル−4−ピペリドン(7.9kg)を入れ、トランスファー機材はテトラヒドロフラン(5kg)で次の工程に進む前に洗浄した。
【0221】
前記タンクの前記混合液のうち15kgを少なくとも1時間かけて前記反応器に移し、40〜45℃で開始した。前記混合液は40〜60℃の温度で15〜30分間振盪した。前記混合液は40〜45℃に冷却した。
【0222】
前記タンクの前記混合液のうち2番目の15kgを少なくとも1時間に渡って前記反応器に移し、40〜45℃で開始した。前記混合液は40〜60℃の温度で15〜30分間振盪した。前記混合液は40〜45℃に冷却した。
【0223】
前記タンクの前記混合液の3番目の15kgを少なくとも1時間に渡って前記反応器に移し、40〜45℃で開始した。前記混合液は40〜60℃の温度で15〜30分間振盪した。前記混合液は40〜45℃に冷却した。
【0224】
前記タンクの前記混合液の残りの液を少なくとも1時間に渡って前記反応器に移し、40〜45℃で開始した。前記トランスファー機材はテトラヒドロフラン(5kg)で次の工程に進む前に洗浄した。前記混合液は40〜60℃の温度で15〜30分間振盪した。前記混合液は40〜45℃に冷却した。
【0225】
前記反応が完了した後、前記混合液は20〜25℃に冷却した。
【0226】
2番目の反応器に水(40L)および塩化アンモニウム(6.6kg)を入れた。前記混合液を中等度の強さで振盪しながら、少なくとも20分間20〜25℃に保持した。
【0227】
固形物が溶解した時点で、ハイフロスーパーセル(Hyflo supercel)(4kg)を前記2番目の反応器に入れた。
【0228】
第1番目の反応器の有機混合液を振盪しながら2番目の反応器に移した。前記トランスファー機材はTHF(5kg)で次の工程に進む前に洗浄した。前記混合液は20〜25℃に温めて少なくとも15分間保持した。
【0229】
前記混合液を1番目の反応器に濾過して入れ、ヘプタン(2×6kg)で次の工程に進む前に洗浄し、少なくとも20分間、20〜25℃に保持した。
【0230】
二相溶液を分離し、有機層は水(16L)で洗浄した。前記有機層は常圧蒸留によって30〜34Lに濃縮し、45〜50℃まで冷却した。
【0231】
ヘプタン(54kg)を前記反応器に入れ、前記溶液は常圧蒸留によって69〜73Lまで濃縮した。前記溶液を30〜35℃に冷却した。前記反応混合の残留テトラヒドロフラン量および含水量を確認した。反応物は生成物の結晶で種晶し、前記混合液は0〜5℃まで少なくとも1時間にわたって冷却し、最小限3時間保持した。
【0232】
前記固形生成物を濾過によって分離し、低温ヘプタン(2×10kg)で洗浄し、乾燥した。前記生成物をサンプリングし、乾燥し、包装した。放送した生成物(化合物2)をサンプリングし、試験した。HPLC純度は97%a/a以上であり、次の工程に使用する前に放出した。
【0233】
cis−(±)−1,3−ジメチル−4−[3−(1−メチルエトキシ)フェニル]−4−ピペリジノール(化合物2)の精製
【0234】
【化34】

【0235】
【表3】

【0236】
反応器に化合物2(96.1kg)およびヘプタン(328L)を入れた。前記混合液を55〜60℃に加熱し、最小限1時間保持した。前記混合液において固形物のすべてが溶解したことを確認した。
【0237】
前記溶液は最低1時間以上30〜35℃に冷却し、最低1時間維持した。前記混合液において沈殿が生じることを確認した。前記混合液は最低2時間以上0〜5℃に冷却し、最低4時間維持した。
【0238】
化合物2の精製固形物を濾過して分離し、低温ヘプタン(2×131kg)で洗浄し、乾燥した。前記生成物はサンプリングし、包装した。包装された生成物をサンプリングし、HPLC純度試験を行い、97%a/aであり、次の工程で使用するために放出した。
【0239】
炭酸、エチル(3S,4R)−1,3−ジメチル−4−[3−(l−メチルエトキシ)フェニル]−4−ピペリジニルエステル化合物と(+)−D−2,3−bwas[(4−メチルベンゾイル)オキシ]ブタン二酸(1:1)(化合物3)の合成
【0240】
【化35】

【0241】
【表4】

【0242】
反応器に化合物2(10.8kg)および酢酸エチル(48kg)を入れた。前記混合液は、すべての固形物が溶解するまで最低30分間20〜25℃に維持した。前記溶液を0〜5℃に冷却した。
【0243】
トリエチルアミン(0.4kg)を前記反応器に入れ、前記トランスファー機材は酢酸エチル(1kg)で次の工程に進む前に洗浄した。
【0244】
0〜15℃の温度に保ちながら、エチルクロロホルメート(5.6kg)を前記反応器に入れた。前記トランスファー機材は酢酸エチル(3kg)で次の工程に進む前に洗浄した。前記混合物は最低3時間20〜25℃に維持した。
【0245】
温度を0〜38℃に保ちながら反応器に50%の水酸化ナトリウム(7.6kg)を入れた。前記トランスファー機材は水(17L)で次の工程に進む前に洗浄した。前記溶液は最低20分間20〜25℃に維持し、前記溶液のpHは10より高くなるように確認した。
【0246】
前記二相溶液を分離し、有機層は水(22L)で2回洗浄した。前記有機層は
共沸蒸留により乾燥し、次に常圧蒸留によって20〜24Lまで濃縮した。前記溶液は40〜50℃に冷却した。
【0247】
エタノール1X(60kg)を前記反応器に入れた。前記溶液は常圧蒸留によって30〜34Lに濃縮し、55〜60℃に冷却した。
【0248】
ガラスで線を引いた反応器に(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(15.8kg)およびエタノール1X(51kg)を入れた。中等度の振盪で、温度は60〜65℃に調整した。
【0249】
前記反応混合液は温度を60〜70℃に維持しながら、酸溶液に移した。前記トランスファー機材はエタノール1X(17kg)で次の工程に進む前に洗浄した。前記溶液は1〜1.5時間60〜65℃に保った。前記懸濁液は50〜55℃に冷却し、これを2〜2.5時間保持した。前記懸濁液は最低3時間にわたって20〜25℃に冷却し、最低10時間維持した。
【0250】
前記固形物を濾過して分離し、エタノール1X(17kg)で洗浄し、乾燥し、包装した。前記包装した粗生成物をサンプリングし、化合物3のキラル純度を試験した。
【0251】
反応器に前記粗生成物とエタノール1X(計算当たりとして)を入れた。前記混合物を60〜65℃に調整し、この温度で2〜2.5時間保持した。前記懸濁液は最低2時間に以上20〜25℃に冷却した。前記懸濁液を0〜5℃に冷却し、最低3時間維持した。
【0252】
前記固形化合物3を濾過により分離し、低温エタノール1X(17kg)で洗浄し、乾燥し、包装した。前記の包装した生成物をサンプリングして試験した結果、HPLC純度は99.0%a/a以上、キラルHPLCは99.5%以上であり、次の工程に使用する前に放出した。
【0253】
(3R,4R)−3−(3,4−ジメチル−4−ピペリジニル)フェノール(化合物4)の合成
【0254】
【化36】

【0255】
【表5】

【0256】
反応器に化合物3(18.3kg)、トルエン(48kg)、および水(32L)を入れた。前記混合液を20〜25℃に調整した。
【0257】
温度を20〜30℃に保ちながら前記反応器に水酸化ナトリウム(50%)(9.2kg)を入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に水(4L)で洗浄した。前記混合物は振盪しながら20〜25℃に冷却して1時間保持した。水層のpHは12より高くなるように確認した。
【0258】
前記二相溶液を分離し、有機層を水(14L)および水酸化ナトリウム溶液(50%)(0.7kg)で洗浄した。前記有機層は水(15L)で2回洗浄し、共沸蒸留にて乾燥した。前記溶液は80〜85℃に冷却した。
【0259】
温度を80〜85℃に保ちながらクロロギ酸フェニル(5.3kg)を最低1.5時間にわたって前記反応器に入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前にトルエン(2kg)で洗浄した。前記溶液を加熱還流し、これを最低3時間維持した後、50〜55℃に冷却した。前記混合物は、結果を待っている間還流を続けた。
【0260】
前記混合物を20〜25℃に冷却し、水(14L)を前記反応器に入れた。温度を20〜30℃に保ちながら、少なくとも1時間かけて水酸化ナトリウム(50%)(2.3kg)を前記反応器に入れた。前記トランスファー機材は次の反応に移る前に水(4L)で洗浄した。前記溶液は最低限1時間20〜25℃に保持した。
【0261】
前記二相溶液を分離し、有機層を水(15L)および塩酸溶液(31%)(1.9kg)で洗浄した。前記有機溶液は常圧蒸留して23〜26Lの量に濃縮し、65〜70℃に冷却した。
【0262】
前記反応器に水(7L)と酢酸(13.6kg)を入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に水(2L)で洗浄した。前記溶液を常圧蒸留で26〜29Lに濃縮し、50〜60℃に冷却した。
【0263】
臭化水素酸(19kg)を前記反応器に入れ、その後酢酸(4kg)を入れた。前記溶液は加熱還流し、最低限18時間維持した。前記溶液は55〜60℃に冷却した。前記溶液は10〜15℃に冷却した。
【0264】
水酸化ナトリウム(50%)(6kg)を10〜30℃の温度に保ちながら最低1時間かけて入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に水(5L)で洗浄した。前記温度は20〜25℃に調整され、pHは1.7未満となるように確認した。
【0265】
前記反応器に温度を20〜25℃に保ちながらt−ブチルメチルエーテル(16kg)を入れた。水(27L)を前記反応器に入れ、前記溶液を少なくとも30分間20〜25℃に保持した。
【0266】
前記二相溶液を分離し、前記水溶液を反応器に移した。水(5L)を前記反応器に入れ、次に塩酸(31%)(0.9kg)を加え、この間温度は20〜25℃に保った。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に水(2L)で洗浄した。前記二相溶液を最低限20分間20〜25℃に保った。
【0267】
前記二相溶液を分離し、水溶液はt−ブチルメチルエーテル(4kg)で2回洗浄した。
【0268】
酸性溶液を新しいPEドラムから200L入り反応器に移した。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に水(2L)で洗浄した。
【0269】
メタノール(8.7kg)を、温度を20〜25℃に保ちながら少なくとも30分間かけて前記反応器に入れた。
【0270】
携帯用振盪用ステンレススチール製タンクに水(41L)および水酸化ナトリウム(50%)(12.5kg)を入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に水(4L)で洗浄した。温度を20〜35℃に保ちながら前記溶液を前記反応器に移してpH10.0〜10.5を得た。
【0271】
前記懸濁液は0〜5℃に冷却し、最低4時間保持した。
【0272】
化合物4を濾過して単離し、冷水(2×9L)で洗浄し、乾燥し、包装した。前記包装した生成物をサンプリングして試験した。HPLC純度は98.5%a/a以上、キラル純度は99.0%およびHPLCアッセイは95%w/w以上で次の工程で使用する前に放出した。
【0273】
メチル(αS,3R,4R)−4−(3−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチル−α−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロピオン酸塩酸塩(化合物6)の合成
【0274】
【化37】

【0275】
【表6】

【0276】
反応器に化合物4(19.2kg)およびテトラヒドロフラン(222kg)を入れた。前記混合液は50%の振盪しながら40〜45℃に加熱した。
【0277】
アクリル酸メチル(8.5kg)を、40〜45℃の温度を保ちながら少なくとも30分間かけて前記反応器に入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前にTHF(17kg)で洗浄した。前記反応混合液は18〜19時間40〜45℃に保持した。前記反応混合液を20〜25℃に冷却した。
【0278】
携帯用振盪用ステンレススチール製タンクにハイフロスーパーセル(1.9kg)及びヘプタンを入れた。前記混合液を5分間振盪した。前記混合液を前記反応器に移し、次の反応に進む前にヘプタン(5kg)で洗浄した。前記混合液は少なくとも20分間20〜25℃に維持した。
【0279】
前記混合液を濾過して反応器に入れて清澄化し、次の工程に進む前にヘプタン(26kg)で洗浄して、−5〜0℃に冷却した。前記溶液を減圧蒸留して29〜48Lに濃縮して化合物5の溶液を生じた。
【0280】
ヘプタン(26kg)を30℃以下の温度で前記反応器に入れた。前記溶液を−5〜0℃に冷却し、減圧蒸留によって29〜48Lに濃縮した。
【0281】
テトラヒドロフラン(333kg)を反応器に入れ、次にジイソプロピルアミン(21.8kg)を入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前にテトラヒドロフラン(12kg)で洗浄した。前記溶液は−15〜−10℃に冷却した。
【0282】
温度を−15〜−5℃に保ちながら、最低1時間かけてヘキサン(87.4kg)に入れたn−ブチルリチウムを前記反応器に入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前にTHF(2×5kg)で洗浄した。前記溶液は1〜3時間の間−10〜−5℃の温度に保ち、次に−25〜−20℃に冷却した。
【0283】
前記反応器中のアクリル酸塩溶液を−25〜−15℃の温度に保ちながらこの反応器に移した。前記トランスファー機材は次の工程に進む前にTHF(8kg)で洗浄した。前記懸濁液は30〜60分間−25〜−20℃に維持した。
【0284】
温度を−25〜−20℃に保ちながら、最低2時間かけて前記反応器に臭化ベンジル(32.0kg)を入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前にTHF(8kg)で洗浄した。前記混合液を最低16時間−25〜−20℃の温度に保持した。
【0285】
携帯用貯蔵タンクに水(61L)および31%塩酸(18.1kg)を入れ、次に少なくとも2分間振盪して溶液にした。2番目の携帯用貯蔵タンクに水(61L)および31%塩酸(18.1kg)を入れてから、少なくとも2分間振盪して溶液とした。両方の酸性溶液を−25〜−15℃の温度に保ちながら、最低2時間かけて前記反応器に入れた。前記溶液は最低3時間にわたり20〜25℃に温めた。
【0286】
携帯用貯蔵タンクに水(29L)と水酸化ナトリウム(50%)(4.9kg)を入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に水(15L)で洗浄し、前記混合液は少なくとも2分間振盪して溶液とした。
【0287】
前記塩基性溶液(29kg)を20〜25℃に保ちながら、前記反応器に移し、pH9.0〜9.5を得た。前記二相溶液を分離し、前記水性溶液は前記600L入り反応器に移した。
【0288】
前記水性溶液はヘプタン(26kg)で洗浄した。結果として生じた有機溶液は1500L反応器に移し、前記トランスファー機材は次工程に進む前にヘプタン(17kg)で洗浄した。前記溶液は−30〜−20℃に冷却した。
【0289】
反応器にメタノール(113kg)を入れて、−30〜−20℃に冷却した。塩化水素ガス(14.4kg)を−30〜−10℃の温度に保ちながら前記反応器に入れた。
【0290】
−30〜−5℃の温度に保ちながら、前記酸性溶液を前記反応器に入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前にメタノール(19kg)で洗浄した。前記溶液の温度を−10〜−5℃に調整した。前記溶液は減圧蒸留によって168〜216Lの量に濃縮した。
【0291】
メタノール(77kg)を前記1500L反応器に入れて、前記反応器を洗浄した。次に前記溶液を−10〜−5℃に冷却し、減圧蒸留によって48〜68Lに濃縮した。
【0292】
メタノール(106kg)を30℃以下の温度で前記反応器に入れ、次に40〜45℃に加熱した。前記溶液は1〜2時間の間40〜45℃に維持した。前記溶液は最低限3時間にわたり20〜25℃に冷却し、少なくとも1時間の範囲で維持した。
【0293】
化合物6である前記粗生成物を濾過によって分離し、冷メタノール(2×15kg)で洗浄し、純度を検定した。前記濾液は、さらに処理するために保存した。
【0294】
反応器に湿った濾過ケーキとメタノール(60kg)を入れた。前記混合液は加熱還流し、還流は最低1〜2時間にわたり行った。前記溶液は最低4時間にわたり2〜7℃に冷却し、この冷却を最低1時間の範囲で維持した。
【0295】
前記粗生成物を濾過によって分離し、冷メタノール(2×15kg)で洗浄し、純度およびキラルをHPLCで調べた。
【0296】
前記反応器に湿った濾過ケーキとメタノール(60kg)を入れた。前記混合液は加熱還流し、還流は最低1時間行った。前記溶液を最低4時間かけて2〜7℃に冷却し、最低1時間の範囲で維持した。
【0297】
化合物6である前記生成物を濾過により分離し、冷メタノール(2×15kg)で洗浄し、サンプリングによりHPLCを用いて純度、キラル、および異性体を調べて包装した。前記包装した生成物はをサンプリングして検査した。HPLC純度は>99.0%a/aであり、キラルHPLCは3.0%であり、次の工程で使用する前に放出した。
【0298】
(αS,3R,4R)−4−(3−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチル−α−(フェニルメチル)−l−ピペリジンプロパン酸一水和物(化合物7)の合成
【0299】
【化37】

【0300】
【表7】

【0301】
反応器に化合物6(9.9kg)および水(74L)を入れた。前記混合液は20〜25℃に調整した。
【0302】
水酸化ナトリウム、50%(7.9kg)を少なくとも10分間かけて入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に水(10L)で洗浄した。前記混合液のpHは12より高くなるように確認した。
【0303】
前記溶液は最低4時間20〜25℃の温度にて振盪した。次に前記反応混合液は濾過して反応器に入れて清澄化した。前記生成物は次の工程に進む前に水(8L)で洗浄した。
【0304】
前記反応器にメタノール(84kg)を入れて、温度を20〜25℃にした。
【0305】
pHが9.0〜10.0になるまで31%塩酸(6.9kg)を少しずつ前記反応器に入れた。
【0306】
新しいPEドラムに水(7.6L)及び31%塩酸(2.5kg)を入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に水(4.0L)で洗浄し、前記溶液を少なくとも2分間振盪して混合した。
【0307】
ビーカーにメタノール(0.4kg)、水(0.5L)、および化合物7(100g)を入れた。前記混合液を前記反応器に入れて、水(0.3L)及びメタノール(0.2kg)溶液で洗浄して前記反応混合液を種晶した。
【0308】
調製した酸性溶液(10.4kg)を入れて前記反応器のpHが5.8〜6.2になるまで調整した。前記混合液は最低1時間20〜25℃の温度に保持し、確実に結晶が生じることを確認した。前記懸濁液を0〜5℃に冷却し、減圧蒸留によって107〜124Lに濃縮した。前記懸濁液は20〜25℃に調整し、前記pHが5.8〜6.2の間であることを確認した。
【0309】
前記懸濁液を2〜7℃に冷却し、最低4時間振盪した。
【0310】
前記生成物は濾過によって分離し、冷水(2×30L)で洗浄し、乾燥し、サンプリングして含水量を調べ、包装した。前記包装された生成物はサンプリングし、検査した。HPLC純度は98%a/a、キラルHPLCは98%およびHPLC検定は98%w/wであり、次の工程で使用する前に放出した。
【0311】
[[2(S)−[[4(R)−(3−ヒドロキシフェニル)−3(R),4−ジメチル−l−ピペリジニル]メチル]−l−オキソ−3−フェニルプロピル]アミノ]酢酸二水和物(アルビモパン)の合成
【0312】
【化38】

【0313】
【表8】

【0314】
携帯用振盪用ステンレススチール製タンク(PAST)にテトラヒドロフラン(15kg)と1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(4.7kg)を入れた。前記トランスファー機材はTHF(16kg)で次の工程に進む前に洗浄した。
【0315】
反応器に化合物7(7.9kg)、グリシンエチルエステル塩酸塩(3.1kg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(3.5kg)、テトラヒドロフラン(99kg)および精製水(3.3kg)を入れた。60%の振盪を加えながら、前記混合液を20〜25℃に調整した。
【0316】
トリエチルアミン(2.3kg)を前記反応器に入れた。前記トランスファー機材はテトラヒドロフラン(3kg)で洗浄した。前記溶液は20〜60分間20〜25℃に維持した。
【0317】
温度を20〜25℃に保ちながら、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド溶液を前記反応器に移した。前記トランスファー機材はテトラヒドロフラン(23kg)で次の工程に進む前に洗浄した。
【0318】
前記混合液は100%の振盪を加えながら、36〜38時間20〜25℃に維持した。
【0319】
前記混合液を0〜5℃に冷却した。前記混合液は1〜2時間の範囲で放置した後、別の反応器に濾過して入れた。前記反応混合液は次の工程に進む前に酢酸エチル(20kg)で洗浄した。前記混合液は0〜5℃に冷却し、減圧蒸留によって140〜149Lに濃縮した。
【0320】
前記反応器に酢酸エチル(731kg)を入れて、0〜5℃に冷却した。前記溶液を減圧蒸留によって140〜149Lに濃縮した。前記混合液は残留テトラヒドロフランについて確認した。
【0321】
携帯用振盪用ステンレススチール製タンクに精製水(94kg)、ソーダ灰(4.8kg)および重炭酸ナトリウム(3.1kg)を入れた。前記混合液を固形物が溶解するまで最低2分間振盪した。
【0322】
前記塩基性溶液を前記反応器に入れて、前記温度を20〜25℃に調整した。前記振盪を60%にして20〜60分間維持した。前記溶液のpHが9.5と10の間になるように確認し、必要に応じて調整した。前記二相溶液を分離し、前記有機溶液はブライン(112kg)で洗浄した。
【0323】
前記反応器に酢酸エチル(87kg)を入れ、0〜5℃に冷却した。前記溶液を減圧蒸留によって140〜149Lに濃縮して、−25〜−20℃に冷却した。前記温度を10〜11時間保持した。
【0324】
前記懸濁液を濾過して反応器に入れて、次の工程に進む前に酢酸エチル(20kg)で洗浄し、0〜5℃に温めた。濾液を減圧蒸留によって39〜51Lに濃縮した。
【0325】
エタノール1X(199kg)を前記反応器に入れ、0〜5℃に冷却した。前記溶液を減圧蒸留136〜161Lに濃縮した。前記反応器にエタノール1X(93kg)を入れ、前記混合液の酢酸エチルの残留の有無を確認した。
【0326】
携帯用保存タンクに精製水(83kg)および水酸化ナトリウム、50%(5.6kg)を入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に精製水(19kg)で洗浄した。前記混合液を少なくとも2分間振盪して溶液とした。前記塩基性溶液を前記反応器に移し、1.5〜3.5時間、20〜25℃に維持した。前記懸濁液を濾過して反応器に入れて、温度を20〜25℃に調整した。前記600L入り反応器を次の工程に進む前に精製水(13kg)で洗浄した。
【0327】
携帯用保存タンクに精製水(15kg)および31%塩酸(11.2kg)を入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に精製水(5kg)で洗浄した。前記混合液は最低2分間振盪して溶液とした。前記酸性溶液を前記反応器に少しずつ入れてpHを5.8〜6.2とした。
【0328】
前記粗生成物は濾過して分離し、精製水(2×26kg)で洗浄し、エタノール1X(13kg)で洗浄、乾燥、包装した。
【0329】
前記粗生成物を精製水(計算当たりの量)と共に反応器に入れた。
【0330】
新しいPEペイルに精製水(1.9kg)および水酸化ナトリウム、50%(5.3kg)を入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に精製水(1.0kg)で洗浄した。前記混合液は少なくとも2分間振盪して溶液とした。
【0331】
前記反応混合液は塩基性溶液(7.5kg)を用いてpHを少なくとも13に調整した。前記混合液は20〜60分間、20〜25℃に保持した。
【0332】
前記混合液は濾過して清澄化して反応器に入れた。前記反応器は次の工程に進む前に精製水(10kg)で洗浄し、エタノール1X(計算当たりの量)を入れた。
【0333】
携帯用保存タンクに精製水(14kg)および塩酸31%(9.0kg)を入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に精製水(4kg)で洗浄した。前記混合液は少なくとも2分間振盪して溶液とした。前記酸性溶液を少しずつ前記反応器に入れて、pH4.0〜4.5を得た。
【0334】
新しいPEペイルに精製水(1.9kg)および水酸化ナトリウム、50%(0.3kg)を入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に精製水(1.0kg)で洗浄した。前記混合液は少なくとも2分間振盪して溶液とした。前記塩基性溶液を少しずつ前記反応器に入れて、pH5.8〜6.2を得た。
【0335】
前記混合液は固形物の有無を確認し、前記懸濁液を最低12時間20〜25℃に保持した。
【0336】
前記生成物を濾過によって分離し、先ず精製水(計算当たりの量)で、次にエタノール1X(計算当たりの量)で洗浄し、再度精製水(計算当たりの量)で洗浄した。前記濾過ケーキを乾燥し、包装した。
【0337】
前記粗生成物を精製水(計算当たりの量)と共に反応器に入れた。
【0338】
新しいPEペイルに精製水(1.9kg)および水酸化ナトリウム、50%(5.3kg)を入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に精製水(1.0kg)で洗浄した。前記混合液は少なくとも2分間振盪して溶液とした。前記塩基性溶液を少しずつ前記反応器に入れて、pHを少なくとも13にした。
【0339】
前記混合液は20〜60分間、20〜25℃で振盪した。前記混合液を濾過して清澄化し別の反応器に入れた。前記反応器は次の工程に進む前に精製水(10kg)で洗浄した。前記反応器にエタノール1X(計算当たりの量)を入れた。
【0340】
携帯用保存タンクに精製水(13.5kg)および31%塩酸(9.2kg)を入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に精製水(3.9kg)で洗浄した。前記混合液は少なくとも2分間振盪して溶液とした。前記酸性溶液を少しずつ前記反応器に入れて、pH4.0〜4.5を得た。
【0341】
新しいPEペイルに精製水(1.9kg)および水酸化ナトリウム、50%(0.3kg)を入れた。前記トランスファー機材は次の工程に進む前に精製水(1.0kg)で洗浄した。前記混合液は少なくとも2分間振盪して溶液とした。前記塩基性溶液を少しずつ前記反応器に入れて、pH5.8〜6.2を得た。
【0342】
前記混合液は固形物の有無を確認し、前記懸濁液を最低12時間20〜25℃に保持した。
【0343】
前記生成物を濾過によって分離し、先ず精製水(計算当たりの量)で洗浄し、次にエタノール1X(計算当たりの量)で、再度精製水(計算当たりの量)で洗浄した。前記濾過ケーキはサンプリングし、塩化物の有無を調べ、乾燥し、包装した。
【0344】
前記ドライヤーに過乾燥生成物と精製水(2.0kg)を入れて、窒素でフラッシュして、指定の水和レベルに達するまで室温に放置した。
【0345】
次に水和した生成物を包装し、50L入り生成物ブレンダーに入れた。前記生成物を20〜30分間混合して、サンプリングし、乾燥度を調べた。前記生成物をさらに20〜30分間混合して、再度サンプルを取った。
【0346】
次に前記アルビモパンを包装し、サンプリングし、試験した。HPLC純度は99.2%w/w以上、キラルHPLCは99.0%以上、HPLCアッセイは98.0〜102.0%w/wおよび残留溶媒は合計で1.2%w/w以下であり、放出した。
【実施例2】
【0347】
注射用製剤の評価(製剤化の可能性および安定性試験)
アルビモパンを含有する注射用製剤の調製
アルビモパンは[[[(2S)−2−[[(3R,4R)−4−(3−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルピペリジン−l−イル]メチル]−l−オキソ−3−フェニルプロピル]アミノ]酢酸二水和物である。それはその自然の水和における形態で用いた。アルビモパンのすべての重量測定および濃度は無水を基準にして示されている。
【0348】
4つの生成物製剤は100mlバッチで調合した。
【0349】
【表9】

【0350】
最終溶液の体積の80%に緩衝液および充填剤を加え、前記pHは活性成分(アルビモパン)を加える前にpH10.5に調整した。次に前記溶液をpH10.5に再調整し、混合して清澄溶液とする。次に前記溶液を最終体積にし、前記pHを1規定の水酸化ナトリウムを用いてpH調整して10.5とする。前記最終溶液は無菌濾過した。12.5mLの一定量をバイアルに分配し、栓をし、次に凍結乾燥器の棚に配置し乾燥した。次に製剤1〜4を以下のように同時にアニーリングしながら凍結乾燥した。
【0351】
【表10】

【0352】
凍結およびアニーリングの結果は以下の通りである:
【0353】
【表11】

【0354】
製剤3は物理的に安定性と思われる凍結乾燥生成物を生じ、注射用水または食塩水1mg/mLで容易に再構成された。
【実施例3】
【0355】
生物学的利用能試験
種々の投薬形態(経口用カプセル、経口用液剤および静脈注射剤)について生物学的利用能を比較するためにアルビモパンを含有する以下の製剤を調製した。
【0356】
経口用カプセル
ポリエチレングリコール(PEG;分子量3350)中にアルビモパンが均一に分散された懸濁液を含有した。分析証明に基づくと、前記カプセルの実際の含有量は6mg中5.868mg(97.8%)と測定された。
【0357】
経口用液剤
経口用液剤はアルビモパン、プロピレングリコール(USP)、オレンジドリンクミックスおよび精製水(USP)を含有した。アルビモパンを50mL当たり12mg(0.24mg/mL)含有する前記単位用量の経口用液剤。分析証明に基づくと、経口用液剤の実際の含有量は12mg中11.868mg(98.9%)と測定された。
【0358】
静脈注射用製剤
注射用製剤はマンニトール(米国局方)および無水炭酸ナトリウム(NG)と共にアルビモパン(無溶媒、無水ベース)12.5mgを含む凍結乾燥粉末として製剤化した。水酸化ナトリウム(NF)および塩化水素(NF)は凍結乾燥粉末を形成するための凍結乾燥を行う前にpH調整のために用いた。前記凍結乾燥粉末に12.2ml注射用生食水を加えた後、再構成した溶液を1mg/mL含有させた。前記生成物は12mgバイアル内に保存した。分析証明に基づくと、静脈注射用製剤の実際の含有量は12mg中11.928mg(99.4%)と測定された。
【0359】
前記生物学的利用能は3つの分かれた期間(経口用カプセル剤からと経口用液剤からとのアルビモパンの相対的生物学的利用能のクロスオーバー試験、および静脈注射用製剤と比較した経口用カプセル剤からのアルビモパンの絶対的生物学的利用能)について評価した。
【0360】
36人の被験者を階層毎にわけ、各々のシーケンスにおいて男女被験者数を同等にし、前記試験において性別にほぼ同じ数とした。被験者は少なくとも14日間のウオッシュアウトを設け、各々の期間の投与日から始まる3つの別々の期間(3期間の各々の第1日)にアルビモパンの単回投与を受けた。各被験者は3つの期間の各々に12mg含有経口用カプセル剤の単回投与(2×6mgカプセル)、12mg経口用液剤の単回投与および12mg含有静脈注射剤の単回投与を受けた(各期間において一剤)。各期間はアルビモパンの単回投与と5日間の試験評価とで構成した。被験者が各単回投与を受ける順序は、前記被験者が無作為化された治療シーケンスによって決定した。6つの治療シーケンスの1つは無作為化スケジュールによって決められることができた。
【0361】
被験者は各試験薬の投与前少なくとも10時間は何も食べず(NPO)、試験薬投与後1時間も何も食べなかった。試験薬の各投与前および試験薬投与後96時間以内の特定の時点(経口投与(すなわち、カプセルまたは経口用液剤)または静脈注射用製剤が投与されたかどうかによって)で、アルビモパンの薬物動力学分析のための血液試料が採取された。この治験期間に各々の被験者から合計約460mLの血液が得られた。各々の期間に被験者は第3日目の全ての処置の完了後まで臨床施設に収容された。次に被験者は第4日目および第5日目にそれぞれ72時間後血液サンプル採取および96時間後血液サンプル採取のために臨床施設に戻ることを義務づけた。
【0362】
サンプル採取
経口用製剤の投与に関連して0時間(投与前の15分以内)および投与の0.5、1、1.5、2、3、4、6、9、12、18、24、36、48、72および96時間後にヘパリンナトリウム含有チューブに血液サンプル(7mL)を採取した。静注用液剤の場合、前述で得たサンプルに加えて注入開始の0.2時間(注入が終わった時)、0.25、0.33、および0.75時間後の4つのサンプルをさらに採取した。各サンプルの採取後すぐに各チューブはゆっくりと反転し、氷の中に配置した。サンプル採取の30分以内に、前記チューブは血漿から細胞を分離するために約5℃で、15分間1200×gにて遠心分離機にかけた。分離のための補助は使用しなかった。前記結晶は2本のポリプロピレン保存チューブに清潔なピペットを用いて等量を移し入れた。前記保存チューブにはプロトコール番号、被験者番号、期間番号、サンプルおよび検体の相対時間の情報のラベルを付けた。前記ラベルはラベルの接着を確実にするため透明なテープで貼り付けた。前記保存チューブは70℃以下の冷凍庫に出荷まで置いた。前記サンプルは冷凍して分析施設に送り、分析時まで冷凍したまま保存した。
【0363】
生体成分分析法(バイオアナリティカル法)
検証済みの、感度の良いLC/MS/MS(液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリ/マススペクトロメトリ)法を用いて血漿サンプルのアルビモパン濃度が測定された。前記アッセイでは固相抽出処理を用いて血漿からアルビモパン、その代謝産物および内部標準を抽出した。前記溶媒を揮発させ、その残留物を溶媒に溶解し、残留物の一部は液体クロマトグラフィー装置内に注入した。検出はSCIEXAPI3000(登録商標)マススペクトロメータを使用したMS/MS(マススペクトロメトリ/マススペクトロメトリ)によった。検量線およびQCサンプルを各測定に含めた。両方の検体の測定範囲は0.25ng/mL〜250ng/mLであり、また両方の検体の定量限界は0.25ng/mLであった。3つの濃度のQC標準を各々の分析測定(低、0.75ng/mL、中、25ng/mL、および高、175ng/mL)に含めた。静注用液剤による濃度が高かったため、別のスタンダードを加えた(800ng/mL)。低値のQCスタンダードについての測定間精度は変動係数(%CV)として示され、アルビモパンでは12.9%であり、また測定内精度は理論(%DMT)値の平均値の%偏差として示され、1.2%であった。
【0364】
薬物動態測定
血漿中のアルビモパン濃度はスプレッドシートに入力された。スプレッドシートの適合性用データをエントリファイルとして採用した後、前記情報をWinNonlin(登録商標)プロフェッショナル(バージョン3.3)を用いて処理して薬物動態変動を得、濃度−時間プロットおよび表を作成した。WinNonlinプログラムはWinNonlinバリデーションキット(バージオン3.3)を用いて検証された。経口的治療時のアルビモパンの薬物動態変動は、血管外インプットでノンコンパートメンタルモデル200を用いて得た。静脈内投与後のアルビモパンの血漿中濃度は、一定速度の注入でノンコンパートメンタルモデル2002を用いて分析した。注入時間はすべての被験者について12分として入力した。
【0365】
ノミナルのサンプリング時間をアルビモパンの薬物動態分析に用いた。サンプリング時間の予定時間からの偏差は有意とは見なさなかった。定量限界(BLQ)より低いとして報告されている濃度値は、平均濃度の計算および濃度−時間グラフにおいて0として取り扱った。
【0366】
アルビモパンの薬物動態分析の場合、BLQ測定結果をインプットファイルに含めた。血漿濃度は報告されている通りに用いられたが、BLQ測定結果を得た後に観察された測定可能な濃度は分析から除外した。
【0367】
WinNonlinアウトプットファイルから以下のアルビモパンについての薬物動態パラメータが得られた。
【0368】
【表12】

【0369】
前記臨床関連t1/2βを計算するために、λzの見積もりのためにマニュアルに選択した範囲を用いてWinNonlinで2番目のデータのノンコンパートメンタルモデリングを実施した。2番目のより長いディスポジション相の部分でない箇所(時点)を識別することによって範囲を選択した。この2番目のモデリングが関連しているかどうかを決定するために、アルビモパンの第1日目のデータからAUC(O−∞)’/AUC(O−∞)の比率を計算した。前記比率の平均値が85%以上であった場合、前記AUC(O−∞)’はAUC(O−∞)の臨床関連部分であると見なした。同様に、前記臨床関連t1/2βは、マニュアルで選択した範囲を用いたこの2番目のモデリングに基づいた。
【0370】
相対および絶対生物学的利用能の測定のための特定AUC比率を計算した。相対生物学的利用能目的の場合、前記経口用カプセルを検体(test)として、経口用液剤は参照(reference)として見なした。絶対生物学的利用能の場合は、経口投与された製剤はテストとして見なし、静注用製剤は参照として見なした。前記AUC比率(および95%信頼区間)をAUC(O−tlast)とAUC(O−∞)の両方を用いて計算した。AUC(O−∞)を主とする考察対象とした。前記計算は分散の分析(ANOVA)からの最小の平方平均(LS平均)に由来する。次に、2つの比較処理のための前記LS平均差を元のスケールに変換して生物学的利用能の比率を得た。以下の比率が相対および絶対生物学的利用能の測定のために計算された。
【0371】
【表13】

【0372】
静脈内投与後の全身血中クリアランス(CLβ)を以下の式を用いて計算した。
【0373】
CLβ=CL(C/Cβ
ここでCLは静注投与後の幾何平均CL(ml/分)で、C/Cβは血液対血漿構成比の0.68(すなわち、C=1;Cβ=0.68)の逆数であった。
【0374】
前記結果を以下の表に示す。
【0375】
【表14−1】

【0376】
【表14−2】

【0377】
経口用カプセルからのアルビモパンの絶対生物学的利用能および経口用液剤からのアルビモパンの絶対生物学的利用能はそれぞれ6.0%(95%信頼区間:4.7−7.7%)および14.3%(95%信頼区間:11.1−18.3%)であった。経口用液剤とアルビモパンカプセルの生物学的利用能は、41.9%(95%信頼区間:32.6−53.7%)であった。アルビモパンの静注用製剤によって提供される全身的暴露は、経口用カプセル剤の6倍、および経口用液剤の14倍高かった。
【0378】
本明細書において分子量のような物理的性質または化学式のような化学的性質についての範囲が用いられる場合、その中の特定の実施形態はその範囲のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーションを含むことを意図するものである。
【0379】
本文書中に引用、または記載する各々の特許、特許出願、および出版物の開示は、その全体を通じてこの参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0380】
当業者であれば、本発明の好ましい実施形態において多くの修正および変更を行うことができること、およびこのような修正および変更は本発明の精神から逸脱することなく行うことができることを理解するであろう。したがって、添付の請求項は本発明の真の精神および範囲に含まれるすべてのそのような同等の変更を含むことを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
a.組成物を提供する工程であって、この組成物は、
(i)少なくとも1つの化学式Iの化合物の薬学的に許容される金属塩であって、
【化1】

ここで、式中,

は水素原子またはアルキル基であり、
は水素原子、アルキル基またはアルケニル基であり、
は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
は水素原子、アルキル基、またはアルケニル基であり、
AはORまたはNRであり、
は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
は水素原子またはアルキル基であり、
は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アラルキル基、アラルキル基、またはアルキレン置換B、あるいは、RおよびRは結合している窒素原子と共に複素環を形成しているものであり、
Bは、
【化2】

C(=O)W、またはNRであり、
は水素原子またはアルキル基であり、
は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基置換アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であるか、あるいは、RおよびRは結合している窒素原子と共に複素環を形成しているものであり、
WはOR10、NR1112またはOEであり、
10は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
11は水素原子またはアルキル基であり、
12は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アラルキル基、またはアルキレン置換C(=O)Yであるか、あるいは、R11およびR12は結合している窒素原子と共に複素環を形成しているものであり、
Eは、
【化3】

アルキレン置換(C=O)D、または−R13OC(=O)R14であり、
13はアルキル置換アルキレン基であり、
14はアルキル基であり、
DはOR15、またはNR1617であり、
15は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
16は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、またはシクロアルケニル置換アルキル基であり、
17は水素原子またはアルキル基であるか、あるいは、R16およびR17は結合している窒素原子と共に複素環を形成しているものであり、
YはOR18またはNR1920であり、
18は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
19は水素原子またはアルキル基、
20は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、またはシクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であるか、あるいは、R19およびR20は結合している窒素原子と共に複素環を形成しているものであり、
21は水素原子またはアルキル基であり、さらに、
nは0ないし4である
前記薬学的に許容される金属塩と、
(ii)少なくとも1つの結晶化する充填剤と、
(iii)少なくとも1つの弱塩基と、
(iv)水と
を有する組成物であり、前記組成物は少なくとも約10.5の初期pHを有するものである、前記提供する工程と、
b.前記組成物の前記pHを約9〜約11の範囲の最終pHになるように調製する工程と
を有し、
前記組成物は患者に投与される際に経口投与用または非経口投与用に改善された溶解性および生物学的利用能を有するものである、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、この方法はさらに、前記組成物を乾燥し、その水分の少なくとも一部を除去し、部分的または完全乾燥生成物を形成する、前記乾燥する工程を有するものである。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、この方法はさらに、前記乾燥生成物の溶液を形成するために前記乾燥生成物と共に薬学的に許容される溶媒を混合することによって、前記乾燥生成物を再構成する工程を有するものである。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記少なくとも1つの化学式Iの化合物の薬学的に許容される金属塩は、in situで形成されるものである。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記少なくとも1つの化学式Iの化合物の薬学的に許容される金属塩は、弱塩基の前記薬学的に許容される金属塩から形成されるものである。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記弱塩基は、前記化学式Iの化合物に対して少なくともおよそ等モル量で加えられるものである。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記初期pHは少なくとも約11である。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記最終pHは約9.5〜約10.5の範囲である。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、初めに、前記充填剤と、前記弱塩基の薬学的に許容される金属塩とを水中で混合した後、前記化学式Iの化合物を前記混合物に加えることによって調製されるものである。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、前記化学式Iの化合物と、前記充填剤と、および前記弱塩基の薬学的に許容される金属塩とを水中で実質的に同時に混合することによって調製されるものである。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記薬学的に許容される金属は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、またはそれらの組合せである。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、前記薬学的に許容される金属はナトリウムである。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、前記弱塩基は重炭酸塩または炭酸塩である。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、前記弱塩基は炭酸塩である。
【請求項15】
請求項2記載の方法において、前記組成物は前記乾燥工程中にアニールされるものである。
【請求項16】
請求項2記載の方法において、前記乾燥工程は、凍結乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥、およびそれらの組合せから成る群から選択された方法を有するものである。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、前記方法は凍結乾燥である。
【請求項18】
請求項3記載の方法において、前記溶液は周囲条件下約5分未満で形成されるものである。
【請求項19】
請求項3記載の方法において、前記溶液は周囲条件下約1分未満で形成されるものである。
【請求項20】
請求項3記載の方法において、前記溶液は周囲条件下約30秒未満で形成されるものである。
【請求項21】
請求項3記載の方法において、前記薬学的に許容される溶媒は水溶性である。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、前記薬学的に許容される溶媒は、水、生理食塩液、リンガー溶液、デキストロース溶液、または乳酸加リンガー溶液である。
【請求項23】
請求項3記載の方法において、この方法は、さらに、
前記乾燥生成物の前記溶液を患者に投与する工程を有するものである。
【請求項24】
請求項23記載の方法において、前記投与する工程は手術の前に生じるものである。
【請求項25】
請求項23記載の方法において、前記投与する工程は手術中に生じるものである。
【請求項26】
請求項23記載の方法において、前記投与する工程は、手術がない場合に生じるものである。
【請求項27】
請求項23記載の方法において、前記投与する工程は非経口的経路によるものである。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、前記投与する工程は注射によるものである。
【請求項29】
請求項28記載の方法において、前記注射は皮下、筋肉内、または静脈内注射である。
【請求項30】
請求項1記載の方法において、化学式Iの前記化合物はトランス3,4−異性体である。
【請求項31】
請求項1記載の方法において、
式中、
は水素原子であり、
はアルキル基であり、
nは1または2であり、
はベンジル基、フェニル基、シクロヘキシル基またはシクロヘキシルメチル基であり、さらに、
はアルキル基である。
【請求項32】
請求項1記載の方法において、
式中、
AはORであり、さらに、
は水素原子またはアルキル基である。
【請求項33】
請求項1記載の方法において、
式中、
AはNRであり、
は水素原子であり、
ではアルキレン置換Bであり、さらに、
BはC(O)Wである。
【請求項34】
請求項1記載の方法において、
式中、
は(CH−Bであり、
qは約1〜約3であり、
WはOR10であり、さらに、
10は、水素原子、アルキル基、フェニル置換アルキル基、シクロアルキル基、またはシクロアルキル置換アルキル基である。
【請求項35】
請求項1記載の方法において、
式中、
WはNR1112であり
11は、水素原子またはアルキル基であり、
12は、水素原子、アルキル基、またはアルキレン置換C(=O)Yである。
【請求項36】
請求項1記載の方法において、
式中、
12は(CHC(O)Yであり、
mは1〜3であり、
YはOR18またはNR1920であり、さらに、
18、R19、およびR20はそれぞれ水素原子またはアルキル基である。
【請求項37】
請求項1記載の方法において、
式中、
WはOEであり、
EはCHC(=O)Dであり、
DはOR15またはNR1617であり
15は水素原子またはアルキル基であり、
16はメチル基またはベンジル基であり、さらに、
17は水素原子である。
【請求項38】
請求項1記載の方法において、
式中、
WはOEであり、
EはR13OC(=O)R14であり、
13は−CH(CH)−または−CH(CHCH)−であり、さらに、
14はアルキル基である。
【請求項39】
請求項1記載の方法において、前記ピペリジン環の3位および4位における立体配置は各々Rである。
【請求項40】
請求項1記載の方法において、前記化合物は、
Q−CHCH(CH(C))C(O)OH、
Q−CHCHCH(C)C(O)NHCHC(O)OCHCH
Q−CHCHCH(C)C(O)NHCHC(O)OH、
Q−CHCHCH(C)C(O)NHCHC(O)NHCH
Q−CHCHCH(C)C(O)NHCHC(O)NHCHCH
G−NH(CHC(O)NH
G−NH(CHC(O)NHCH
G−NHCHC(O)NH
G−NHCHC(O)NHCH
G−NHCHC(O)NHCHCH
G−NH(CHC(O)OCHCH
G−NH(CHC(O)NHCH
G−NH(CHC(O)OH、
G−NH(CHC(O)OH、
Q−CHCH(CH(C11))C(O)NHCHC(O)OH、
Q−CHCH(CH(C11))C(O)NH(CHC(O)OH、
Q−CHCH(CH(C11))C(O)NH(CHC(O)NH
Z−NHCHC(O)OCHCH
Z−NHCHC(O)OH、
Z−NHCHC(O)NH
Z−NHCHC(O)N(CH
Z−NHCHC(O)NHCH(CH
Z−NHCHC(O)OCHCH(CH
Z−NH(CHC(O)OCH(C)、
Z−NH(CHC(O)OH、
Z−NH(CHC(O)NHCHCH
Z−NH(CHC(O)NHCH
Z−NHCHC(O)NHCHC(O)OH、
Z−NHCHC(O)OCHC(O)OCH
Z−NHCHC(O)O(CHCH
Z−NHCHC(O)OCHC(O)NHCH
Z−NHCHC(O)O−(4−メトキシシクロヘキシル)、
Z−NHCHC(O)OCHC(O)NHCH(C)、および、
Z−NHCHC(O)OCH(CH)OC(O)CH
から成る群から選択されるものであり、
ここで、式中、
Qは
【化4】

であり、
Gは、
【化5】

であり、さらに、
Zは、
【化6】

である。
【請求項41】
請求項40記載の方法において、前記化合物は、
(3R,4R,S)−Z−NHCHC(O)OCHCH(CH
(+)−Z−NHCHC(O)OH、
(−)−Z−NHCHC(O)OH、
(3R,4R,R)−Z−NHCHC(O)−OCHCH(CH
(3S,4S,S)−Z−NHCHC(O)OCHCH(CH
(3S,4S,R)−Z-NHCHC(O)OCHCH(CH
(3R,4R)−Z−NHCHC(O)NHCH(C)、および
(3R,4R)−G−NH(CHC(O)OH
から成る群から選択されるものである。
【請求項42】
請求項41記載の方法において、前記化合物は、(+)−Z−NHCHC(O)OHおよび(−)−Z−NHCHC(O)OHの群から選択されるものである。
【請求項43】
請求項42記載の方法において、前記化合物は、(+)−Z−NHCHC(O)OHである。
【請求項44】
請求項43記載の方法において、前記化合物は、Q−CHCH(CH(C))C(O)OHである。
【請求項45】
請求項44記載の方法において、前記化合物は、(3R,4R,S)−Q−CHCH(CH(C))C(O)OHである。
【請求項46】
請求項1記載の方法において、前記化合物は実質的に純粋な立体異性体である。
【請求項47】
請求項1記載の方法において、前記充填剤はポリオールである。
【請求項48】
請求項47記載の方法において、前記ポリオールは、糖質、または糖アルコールである。
【請求項49】
請求項48記載の方法において、前記糖質は、ショ糖、トレハロース、ラクトース、マルトース、またはそれらの混合物である。
【請求項50】
請求項48記載の方法において、前記糖アルコールは、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、ラクチトール、イソマルト、ポリアルジトール、マルチトール、またはそれらの混合物である。
【請求項51】
請求項50記載の方法において、前記糖アルコールはマンニトールである。
【請求項52】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、さらに、
少なくとも1つのオピオイドを有するものである。
【請求項53】
請求項52記載の方法において、前記オピオイドは、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、デゾシン、ジヒドロコデイン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン(ペチジン)、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドール、およびそれらの混合物から成る群から選択されるものである。
【請求項54】
請求項1記載の方法によって生成される生成物。
【請求項55】
請求項2記載の方法によって生成される生成物。
【請求項56】
請求項55記載の生成物において、前記生成物は、約1.0g/cm未満の密度を有するものである。
【請求項57】
請求項3記載の方法によって生成される生成物。
【請求項58】
組成物であって、この組成物は、
a.(i)化学式Iの少なくとも1つの化合物の薬学的に許容される金属塩であって、
【化7】

ここで、式中、
は水素原子またはアルキル基であり、
は水素原子、アルキル基またはアルケニル基であり、
は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基またはアラルキル基であり、
は水素原子、アルキル基またはアルケニル基であり、
AはORまたはNRであり、
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
は水素原子またはアルキル基であり、
は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アラルキル基、アラルキル基、またはアルキレン置換Bであるか、あるいはRおよびRは結合している窒素原子と共に複素環を形成しているものであり、
Bは、
【化8】

C(=O)WまたはNRであり、
は水素原子またはアルキル基であり、
は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基置換アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アリール基またはアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは結合している窒素原子と共に複素環を形成しているものであり、
WはOR10、NR1112またはOEであり、
10は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
11は水素原子またはアルキル基であり、
12は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アラルキル基、または、アルキレン置換C(=O)Yであるか、あるいはR11およびR12は結合している窒素原子と共に複素環を形成しているものであり、
Eは
【化9】

アルキレン置換(C=O)D、または−R13OC(=O)R14であり、
13はアルキル置換アルキレン基であり、
14はアルキル基であり、
DはOR15、またはNR1617であり、
15は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
16は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、またはシクロアルケニル置換アルキル基であり、
17は水素原子またはアルキル基であるか、あるいはR16およびR17は結合している窒素原子と共に複素環を形成しているものであり、
YはOR18、またはNR1920であり、
18は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
19は水素原子またはアルキル基であり、
20は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であるか、あるいはR19およびR20は結合している窒素原子と共に複素環を形成しているものであり、
21は水素原子またはアルキル基であり、さらに、
nは0ないし4である、
前記薬学的に許容される金属塩と、
b.少なくとも1つの結晶化する充填剤と
を有する組成物であって、
前記組成物は、約1.0g/cm未満の密度を有するものであって、
前記組成物は、患者に投与する際に、経口投与用または非経口投与用に改善された溶解性および生物学的利用能を有するものである、組成物。
【請求項59】
請求項58記載の組成物において、前記組成物は約0.5g/cm未満の密度を有するものである。
【請求項60】
組成物であって、この組成物は、
a.化学式Iの少なくとも1つの化合物の薬学的に許容される金属塩であって、
【化10】

ここで、式中、
は、水素原子またはアルキル基であり、
は、水素原子、アルキル基またはアルケニル基であり、
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
は、水素原子、アルキル基、またはアルケニル基であり、
AはORまたはNRであり、
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
は、水素原子またはアルキル基であり、
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アラルキル基、アラルキル基、またはアルキレン置換Bであるか、あるいはRおよびRは結合している窒素原子と共に複素環を形成しているものであり、
Bは、
【化11】

C(=O)WまたはNRであり、
は水素原子またはアルキル基であり、
は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基置換アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であるか、あるいはRおよびRは結合している窒素原子と共に複素環を形成しているものであり、
WはOR10、NR1112またはOEであり、
10は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
11は水素原子またはアルキル基であり、
12は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、アラルキル基、またはアルキレン置換C(=O)Yであるか、あるいはR11およびR12は結合している窒素原子と共に複素環を形成しているものであり、
Eは、
【化12】

アルキレン置換(C=O)Dまたは−R13OC(=O)R14であり、
13はアルキル置換アルキレン基であり、
14はアルキル基であり、
DはOR15、またはNR1617であり、
15は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
16は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、またはシクロアルケニル置換アルキル基であり、
17は、水素原子またはアルキル基であるか、あるいはR16およびR17は結合している窒素原子と共に複素環を形成しているものであり、
YはOR18、またはNR1920であり、
18は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であり、
19は水素原子またはアルキル基であり、
20は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキル置換アルキル基またはシクロアルケニル置換アルキル基、またはアラルキル基であるか、あるいはR19およびR20は結合している窒素原子と共に複素環を形成しているものであり、
21は、水素原子またはアルキル基であり、さらに、
nは0ないし4である
前記薬学的に許容される金属塩と、
b.少なくとも1つの結晶化する充填剤と、
c.前記組成物の全重量に基づき約1重量%未満の水溶性界面活性剤と、
d.前記組成物の全重量に基づき約10重量%未満の非水溶性溶媒と、
e.前記組成物の全重量に基づき約500重量%未満のシクロデキストリンと
を有する組成物であって、
前記組成物は、患者に投与する際に経口投与用または非経口投与用に改善された溶解性および生物学的利用能を有するものである、組成物。
【請求項61】
請求項58または60記載の組成物において、前記化学式Iの化合物の薬学的に許容される金属塩は、少なくとも約0.1mg/mLの濃度で存在するものである。
【請求項62】
請求項58または60記載の組成物において、前記化学式Iの化合物の薬学的に許容される金属塩は、少なくとも約1mg/mLの濃度で存在するものである。
【請求項63】
請求項58または60記載の組成物において、前記化学式Iの化合物の薬学的に許容される金属塩は、少なくとも約2mg/mLの濃度で存在するものである。
【請求項64】
請求項58または60記載の組成物において、前記組成物は少なくとも約18ヶ月の保存性を有するものである。
【請求項65】
請求項58または60記載の組成物において、この組成物は、さらに、
少なくとも1つのオピオイドを有するものである。
【請求項66】
請求項65記載の組成物において、前記オピオイドは、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、デゾシン、ジヒドロコデイン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン(ペチジン)、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、およびトラマドールから成る群から選択されるものである。
【請求項67】
請求項58または60記載の組成物において、この組成物は、さらに、
少なくとも1つの薬学的に許容される溶媒を有するものである。
【請求項68】
請求項67記載の組成物において、前記薬学的に許容される溶媒は水溶性である。
【請求項69】
請求項68記載の組成物において、前記薬学的に許容される溶媒は、水、生理食塩液、リンガー溶液、ブドウ糖液、または乳酸加リンガー溶液である。
【請求項70】
請求項58または60記載の組成物において、前記化学式Iの化合物はトランス3,4−異性体である。
【請求項71】
請求項58または60記載の組成物において、
式中、
は水素原子であり、
はアルキル基であり、
nは1または2であり、
は、ベンジル基、フェニル基、シクロヘキシル基またはシクロヘキシルメチル基であり、さらに、
はアルキル基である。
【請求項72】
請求項58または60記載の組成物において、
式中、
AはORであり、さらに、
は水素原子またはアルキル基である。
【請求項73】
請求項58または60記載の組成物において、
式中、
AはNRであり、
は水素原子であり、
はアルキレン置換Bであり、さらに、
BはC(O)Wである。
【請求項74】
請求項58または60記載の組成物において、
式中、
は(CH−Bであり、
qは約1〜約3であり、
WはOR10であり、さらに、
10は、水素原子、アルキル基、フェニル置換アルキル基、シクロアルキル基、またはシクロアルキル置換アルキル基である。
【請求項75】
請求項58または60記載の組成物において、
式中、
WはNR1112であり
11は、水素原子またはアルキル基であり、
12は、水素原子、アルキル基、またはアルキレン置換C(=O)Yである。
【請求項76】
請求項58または60記載の組成物において、
式中、
12は(CHC(O)Yであり、
mは1〜3であり、
YはOR18またはNR1920であり、さらに、
18、R19およびR20はそれぞれ水素原子またはアルキル基である。
【請求項77】
請求項58または60記載の組成物において、
式中、
WはOEであり、
EはCHC(=O)Dであり、
DはOR15またはNR1617であり
15は水素原子またはアルキル基であり、
16はメチル基またはベンジル基であり、さらに、
17は水素原子である。
【請求項78】
請求項58または60記載の組成物において、
式中、
WはOEであり、
EはR13OC(=O)R14であり、
13は−CH(CH)−または−CH(CHCH)−であり、さらに、
14はアルキル基である。
【請求項79】
請求項58または60記載の組成物において、前記ピペリジン環の3位および4位の立体配置は各々Rである。
【請求項80】
請求項58または60記載の組成物において、前記化合物は、
Q−CHCH(CH(C))C(O)OH、
Q−CHCHCH(C)C(O)NHCHC(O)OCHCH
Q−CHCHCH(C)C(O)NHCHC(O)OH、
Q−CHCHCH(C)C(O)NHCHC(O)NHCH
Q−CHCHCH(C)C(O)NHCHC(O)NHCHCH
G−NH(CHC(O)NH
G−NH(CHC(O)NHCH
G−NHCHC(O)NH
G−NHCHC(O)NHCH
G−NHCHC(O)NHCHCH
G−NH(CHC(O)OCHCH
G−NH(CHC(O)NHCH
G−NH(CHC(O)OH、
G−NH(CHC(O)OH、
Q−CHCH(CH(C11))C(O)NHCHC(O)OH、
Q−CHCH(CH(C11))C(O)NH(CHC(O)OH、
Q−CHCH(CH(C11))C(O)NH(CHC(O)NH
Z−NHCHC(O)OCHCH
Z−NHCHC(O)OH、
Z−NHCHC(O)NH
Z−NHCHC(O)N(CH
Z−NHCHC(O)NHCH(CH
Z−NHCHC(O)OCHCH(CH
Z−NH(CHC(O)OCH(C)、
Z−NH(CHC(O)OH、
Z−NH(CHC(O)NHCHCH
Z−NH(CHC(O)NHCH
Z−NHCHC(O)NHCHC(O)OH、
Z−NHCHC(O)OCHC(O)OCH
Z−NHCHC(O)O(CHCH
Z−NHCHC(O)OCHC(O)NHCH
Z−NHCHC(O)O−(4−メトキシシクロヘキシル)、
Z−NHCHC(O)OCHC(O)NHCH(C)、および、
Z−NHCHC(O)OCH(CH)OC(O)CH
から成る群から選択されるものであり、
ここで、式中、
Qは、
【化13】

であり、
Gは、
【化14】

であり、さらに、
Zは、
【化15】

である。
【請求項81】
請求項58または60記載の組成物において、前記化合物は、
(3R,4R,S)−Z−NHCHC(O)OCHCH(CH
(+)−Z−NHCHC(O)OH、
(−)−Z−NHCHC(O)OH、
(3R,4R,R)−Z−NHCHC(O)−OCHCH(CH
(3S,4S,S)−Z−NHCHC(O)OCHCH(CH
(3S,4S,R)−Z−NHCHC(O)OCHCH(CH
(3R,4R)−Z−NHCHC(O)NHCH(C)、および、
(3R,4R)−G−NH(CHC(O)OH
から成る群から選択されるものである。
【請求項82】
請求項58または60記載の組成物において、前記化合物は、(+)−Z−NHCHC(O)OHおよび(−)−Z−NHCHC(O)OHから成る群から選択されるものである。
【請求項83】
請求項58または60記載の組成物において、前記化合物は、(+)−Z−NHCHC(O)OHである。
【請求項84】
請求項58または60記載の組成物において、前記化合物は、Q−CHCH(CH(C))C(O)OHである。
【請求項85】
請求項58または60記載の組成物において、前記化合物は、(3R,4R,S)−Q−CHCH(CH(C))C(O)OHである。
【請求項86】
請求項58または60記載の組成物において、前記化合物は実質的に純粋な立体異性体である。
【請求項87】
請求項58または60記載の組成物において、前記薬学的に許容される金属塩は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、またはそれらの組合せである。
【請求項88】
請求項58または60記載の組成物において、前記薬学的に許容される金属はナトリウムである。
【請求項89】
請求項58または60記載の組成物において、前記充填剤はポリオールである。
【請求項90】
請求項89記載の組成物において、前記ポリオールは、糖質または糖アルコールである。
【請求項91】
請求項90記載の組成物において、前記糖質は、ショ糖、トレハロース、ラクトース、マルトース、またはそれらの混合物である。
【請求項92】
請求項90記載の組成物において、前記糖アルコールは、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、ラクチトール、イソマルト、ポリアルジトール、またはマルチトールである。
【請求項93】
請求項92記載の方法において、前記糖アルコールはマンニトールである
【請求項94】
請求項58または60記載の組成物を有する注射可能な投与製剤。
【請求項95】
キットであって、
a.請求項94記載の注射可能な投与製剤を有する容器と、
b.注射可能な溶液を調製するための使用説明書と
を有するキット。
【請求項96】
請求項95記載のキットにおいて、このキットは、さらに、
シリンジを有するものである。
【請求項97】
患者におけるオピオイド剤に関連する副作用を予防または治療する方法であって、
請求項58または60記載の前記組成物の有効量を前記患者に投与する工程
を有する方法。
【請求項98】
請求項97記載の方法において、前記副作用は、イレウス、そう痒症、便秘、尿閉、胆道痙攣、オピオイド性腸機能障害、疝痛、吐き気または嘔吐、あるいはそれらの組合せである。
【請求項99】
請求項97記載の方法において、前記副作用は、術後イレウス、分娩後イレウス、そう痒症、便秘、尿閉、胆道痙攣、オピオイド性腸機能障害、疝痛、術後の吐き気、または術後の嘔吐、あるいはそれらの組合せである。
【請求項100】
患者の痛みを治療または予防する方法であって、
請求項58または60記載の前記組成物の有効量をそれ必要とする前記患者に投与する工程
を有する方法。
【請求項101】
請求項100記載の方法において、前記薬学的組成物は、さらに、
少なくとも1つのオピオイドを有するものである。
【請求項102】
請求項101記載の方法において、
前記オピオイドは、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、デゾシン、ジヒドロコデイン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン(ペチジン)、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドール、およびそれらの混合物から成る群から選択されるものである。

【公表番号】特表2008−501713(P2008−501713A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515640(P2007−515640)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/019658
【国際公開番号】WO2005/117873
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(505464866)アドラー コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】