オリゴヌクレオチドの検出のための比色法および蛍光法
試料において標的核酸配列の存在または非存在を検出するための方法およびキットが提供されている。方法およびキットは、金属ナノ粒子の使用および金属ナノ粒子と核酸分子の間の静電気的相互作用を含む。方法は、金属ナノ粒子とのss-核酸およびds-核酸の示差的相互作用に頼っている。比色検出アプローチは、コロイド懸濁液において金属ナノ粒子と静電気的に会合したss-核酸の、それらを凝集に対して安定させる能力を利用する。タグ付けされたss-オリゴヌクレオチドプローブを含む蛍光アプローチは、ss-核酸の金属ナノ粒子上への示差的吸着を、標的にハイブリダイズしなかったプローブ上の蛍光タグの示差的消光に変換する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ハイブリダイゼーションに基づく核酸検出方法およびそれを実施するための材料に関する。なお、本出願は、2003年5月16日に出願された米国仮特許出願第60/471,257号、および2004年3月12日に出願された米国仮特許出願第60/552,793号の恩典を主張し、それらのそれぞれは、全体が、参照として本明細書に組み入れられている。本発明は、少なくとも一部は、認可AG18231としてNational Institutes of Healthから受けた財政的支援でなされた。米国政府は、本発明において一定の権利を保有しうる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
特定のオリゴヌクレオチド配列の検出は、臨床診断、生化学的および医学的研究、食品および薬品産業、ならびに環境モニタリング、病理学および遺伝学にとって重要である(Primrose et al., Principles of Genome Analysis and Genomics, Blackwell Publishing, Malden, MA, 第3版 (2003); Hood et al., Nature 421:444-448 (2003); Rees, Science 296:698-700 (2002))。現在のアッセイ法は、2つの主な欠点をもつチップに基づく方法(Epstein et al., Analytica Chimica Acta 469:3-36 (2002); Chee et al., Science 274:610-614 (1996))に支配されている。第一に、標的標識が通常、必要とされる。第二に、表面上に立体的に抑圧されたプローブへのハイブリダイゼーションは遅い。サンドイッチアッセイ(Elghanian et al., Science 277:1078-1081 (1997); Taton et al., Science 289:1757-1760 (2000); Cao et al., Science 297:1536-1540 (2002); Park et al., Science 295:1503-1506 (2002))、固定化分子ビーコン(Dubertret et al., Nat. Biotech. 19:365-370 (2001); Du et al., J. of Am. Chem. Soc. 125:4012-4013 (2003))、表面プラズモン共鳴(Brockman et al., Annual Review of Physical Chemistry 51:41-63 (2000))、ポーラスシリコン微小空洞発光(Chan et al., Materials Science & Engineering C-Biomimetic and Supramolecular Systems 15:277-282 (2001))、および反射干渉分光法(Lin et al., Science 278:840-843 (1997); Pan et al., Nano Lett. 3:811-814 (2003))のようなアプローチは、前者の問題を避けるが、プローブ固定化のための複雑な表面付着化学をなお必要とし、遅い応答に悩む可能性がある。これらの場合のいくつかにおいて、結合していない標的を除去するために重要なリンス段階が必要とされる、または第二ハイブリダイゼーション段階がアッセイに必要とされる。
【0003】
DNA配列のためのほとんどすべてのアッセイ法は、単一コピーほどのDNAから特定の配列セグメントを容易に検出される量まで増幅するためにポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)を用いる(Reed et al., Practical Skills in Biomolecular Sciences, Addison Wesley Longman Limited, Edinburgh Gate, Harlow, England (1998); Walker et al., Molecular Biology and Biotechnology, The Royal Society of Chemistry, Thomas Graham House, Cambridge, UK (2000))。PCRの使用は、感受性問題を扱うだけでなく、与えられたアッセイ法について対象ではない可能性がある大量のDNAの影響を改善するために試料を効果的に精製もする。これらの特徴は、目下、表面プラズモン共鳴(「SPR」)(Thiel et al., Anal. Chem. 69:4948-4956 (1997); Jordan et al., Anal. Chem. 69:4939-4947 (1997); Nelson et al., Anal. Chem. 73:1-7 (2001); He et al., J. Am. Chem. Soc. 122:9071-9077 (2000))、蛍光マイクロアレイ(Sueda et al., Bioconjugate Chem. 13:200-205 (2002); Paris et al., Nucleic Acids Res. 26:3789-3793 (1998); Lepecq et al., Mol. Biol. 27:87-106 (1967))、半導体または金属ナノ粒子に基づいたアッセイ法
、および水溶性共役高分子に基づくセンサー(Gaylord et al., J. Am. Chem. Soc. 125:896-900 (2003))のような多種多様の革新的な検出アプローチの開発にもかかわらず、PCRの使用を、ゲノムDNAの分析にほとんど欠くことのできないものにさせている。これらの技術は、主として、精製された合成オリゴヌクレオチドにおいて実証されたが、それらのいくつかを、PCR増幅された試料に適合するように適応させることが可能でありうる。しかしながら、いったんPCR増幅が利用されたならば、追加の増幅は簡単であるため、アッセイの優秀さは、主として、それの感受性よりむしろそれの単純性により決定される。上記のアプローチの大部分は、指摘されているように、高価な器械類を必要とする、または、DNA、基質もしくはナノ粒子を修飾するための時間のかかる合成を含む。さらに、立体障害を導入し、プローブと標的の間の遅くかつ非効率的な結合へと導く基質の存在下でハイブリダイゼーションを行うことが通常、必要である。結果として、PCR増幅された試料の後処理は、高価で、かつ時間のかかるものでありうる(Rolfs et al., PCR: Clinical Diagnostics and Research, Springer-Verlag, Berlin Heidelberg (1992))。
【0004】
DNAと負に帯電した金ナノ粒子の複合体は、長年研究されてきており(Mirkin et al., Nature 382:607-609 (1996); Alivisatos et al., Nature 382:609-611 (1996))、多数の創造的なスキームが、ナノ組み立てかまたはオリゴヌクレオチド検出かのいずれかのために、特定の標的DNA配列を結合しうる、DNA配列で共有結合的に官能性をもたせた金ナノ粒子を開発した
。
【0005】
前記に基づいて、標的核酸の検出のために修飾を必要としない伝導性金属ナノ粒子および標的核酸分子を利用するアッセイ法を提供することが望ましく思われる。さらに、ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーションを非常に遅くさせ、より非効率的にさせる表面結合プローブの立体的束縛なしに最適な条件下で行われうるように、検出から完全に分離しているアッセイ法を提供することが望ましく思われる。
【0006】
本発明は、これらの目的を達成することおよび当技術分野におけるこれらを始めとする欠点を克服することに向けられる。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本発明の第一局面は、検査溶液(例えば、試料)において標的核酸分子の存在または非存在を検出するための方法に関する。この方法は、以下の段階を含む:ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを標的核酸を含む可能性のある検査溶液と混合する段階であって、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブおよび検査溶液が、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブと検査溶液に存在する任意の標的核酸のハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にするのに効果的な条件下で混合される段階;ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子に、その混合段階後ハイブリダイズされないままである少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを複数の金属ナノ粒子と静電気的に会合することを可能にするのに効果的な条件下で曝露する段階;および少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたか、または複数の金属ナノ粒子の1つもしくはそれ以上と静電気的に会合したかを判定する段階であって、標的核酸へのハイブリダイゼーション、または1つもしくはそれ以上の金属ナノ粒子との静電気的会合がハイブリダイゼーション溶液の光学的性質により示される段階。
【0008】
特に好ましい本発明のこの局面についてのいくつかの態様がある。一つの態様は、比色アッセイ法と呼ばれているのだが、非標識オリゴヌクレオチドプローブを利用し、曝露段階後、ハイブリダイゼーション溶液の色変化を検出することにより判定を行うことを含み、色変化が、標的核酸の存在下における複数の金属ナノ粒子の実質的凝集を示している。色変化が生じない(有意ではない変化)場合には、標的核酸の非存在が示されている。もう一つの態様は、蛍光標識されたオリゴヌクレオチドプローブを利用し、複数の金属ナノ粒子への曝露後蛍光が検出されうるかどうかを判定することを含み、蛍光の消失が標的核酸の非存在を示し、残った蛍光がそれの存在を示している。標識オリゴヌクレオチドプローブによる蛍光が残っている場合には、オリゴヌクレオチドプローブは、二重鎖を形成しており、金属ナノ粒子から解離したままである(すなわち、蛍光消光が生じなかった)。
【0009】
本発明の第二局面は、標的核酸分子において一塩基多型(「SNP」)を検出するための方法に関する。この方法は、検査ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、(i)標的核酸分子を含む検査溶液および(ii)一塩基多型を含む可能性がある標的核酸分子の領域にハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを混合する段階であって、その混合段階が、少なくとも1つのハイブリダイゼーション複合体を形成するように、標的核酸分子と少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブとの間のハイブリダイゼーションを可能にするのに効果的な条件下で行われる段階;対照ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、(i)標的核酸分子を含む対照溶液および(ii)一塩基多型を含まない標的核酸分子の領域に完全にハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを混合する段階であって、その混合段階が、少なくとも1つのハイブリダイゼーション複合体を形成するように、標的核酸分子と少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブとの間のハイブリダイゼーションを可能にするのに効果的な条件下で行われる段階;少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの融解温度と少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの融解温度の間である温度にハイブリダイゼーション溶液を維持しながら、検査および対照ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子に、ハイブリダイゼーション溶液においてハイブリダイズしていないプローブが金属ナノ粒子と静電気的に会合するのを可能にするのに効果的な条件下で曝露する段階;ならびに、標的核酸分子における一塩基多型の存在を示す、検査および対照ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質が実質的に異なるかどうかを判定する段階により行われる。
【0010】
本発明の第三局面は、標的核酸分子においてSNPを検出するための方法に関する。この方法は以下の段階により行われる:ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、(i)標的核酸分子を含む溶液ならびに(ii)ヌクレオチド配列が一塩基多型を含む可能性がある標的核酸分子の領域にハイブリダイズする、ヌクレオチド配列およびそれに付着した蛍光標識を有する少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを混合する段階であって、その混合段階が、少なくとも1つのハイブリダイゼーション複合体を形成するように、標的核酸分子と少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブとの間のハイブリダイゼーションを可能にするのに効果的な条件下で行われる段階;ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子に、ハイブリダイゼーション溶液においてハイブリダイズしていないプローブが金属ナノ粒子と静電気的に会合するのを可能にするのに効果的な条件下で曝露する段階;蛍光標識によるフォトルミネセンスの消光が始まるハイブリダイゼーション溶液の温度を判定する段階であって、その温度が融解温度を示している、段階;ならびにハイブリダイゼーション溶液についての融解温度を完全に相補的なプローブの既知の融解温度と比較する段階であって、融解温度間の差が標的核酸分子における一塩基多型の存在を示している段階。
【0011】
本発明の第四局面は、検査溶液において標的核酸を検出するための方法に関する。この方法は以下の段階を含む:標的核酸を含む可能性のある検査溶液の一部をポリメラーゼ連鎖反応にかけ、ポリメラーゼ連鎖反応の一本鎖核酸産物を含む産物溶液を得る段階;ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを産物溶液に、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブと産物溶液に存在する任意の標的核酸とのハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にするのに効果的な条件下で、混合する段階;ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子に、ハイブリダイゼーション溶液における任意の一本鎖核酸が複数の金属ナノ粒子と会合するのを可能にするのに効果的な条件下で、曝露する段階;および少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが、標的核酸にハイブリダイズしたか、または複数の金属ナノ粒子の1つもしくはそれ以上と静電気的に会合したかを判定する段階であって、標的核酸へのハイブリダイゼーションまたは1つもしくはそれ以上の金属ナノ粒子との静電気的会合が、ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質により示される段階。
【0012】
本発明の第五局面は、病原体の核酸を含む可能性のある試料を得る段階、およびその後、病原体の標的核酸に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いて本発明の方法を行う段階であって、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたことを判定する段階が病原体の存在を示している段階を含む、試料において病原体を検出する方法に関する。
【0013】
本発明の第六局面は、遺伝学的スクリーニングの方法に関する。この方法は、試料を得る段階、試料からDNAを単離する段階、試料から単離されたDNAを増幅する段階、その後、遺伝学的疾患、遺伝性疾患などを診断するのに特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いて本発明の方法を行う段階であって、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたことを判定する段階が遺伝学的疾患、遺伝性疾患、の素因または生物体の同定を示している段階により行われる。
【0014】
本発明の第七局面は、試料においてタンパク質を検出する方法に関する。この方法は、試料を得る段階、試料を用いて免疫ポリメラーゼ連鎖反応手順を行う段階であって、免疫ポリメラーゼ連鎖反応手順が結果として、タンパク質に結合している核酸の増幅を生じる段階、およびその後、タンパク質に結合している核酸(またはそれの相補体)に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いて本発明の方法を行う段階であって、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたことを判定する段階が、そのタンパク質が試料に存在することを示している段階により行われる。
【0015】
本発明の第八局面は、ポリメラーゼ連鎖反応により調製された増幅核酸の量を定量する方法に関する。この方法は、それぞれ、増幅されるべき核酸分子またはそれの相補体にハイブリダイズする能力があるヌクレオチド配列を有する2つまたはそれ以上の蛍光標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを供給する段階;標的核酸分子および/またはそれの相補体ならびに供給された蛍光標識オリゴヌクレオチドプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応を行う段階;ならびに、そのポリメラーゼ連鎖反応実行段階後、得られた試料について本発明の蛍光定量的方法を行う段階であって、試料から検出された蛍光レベルが、増幅核酸分子へ組み入れられたプライマーの量を示している段階により行われる。
【0016】
本発明の第九局面は、ユーザーが本発明の1つまたは複数の方法を行うのを可能にする様々な構成要素を含むキットに関する。一つの態様により、キットは、最小限として、金属ナノ粒子を含むコロイド溶液を含む第一容器、および標的核酸分子に実質的に相補的であるヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを含む水溶液を含む第二容器を含む。
【0017】
本発明のアッセイ法およびキットは、金属ナノ粒子と核酸分子の間の静電気的相互作用を利用する、金属ナノ粒子および核酸分子の使用を含む。特に、本出願人らは、本発明のアッセイ法および材料により利用されうる4つの独特な相互作用を同定した。これらは以下のものを含む:(1)特定の条件下で、一本鎖核酸は、負に帯電した金属ナノ粒子上に吸着するが、二本鎖核酸分子は吸着しないという発見;(2)一本鎖核酸分子の、コロイド溶液に懸濁された金属ナノ粒子上への吸着は、塩により引き起こされる凝集に対してナノ粒子を安定化させる;(3)一本鎖核酸分子についての吸着速度は、配列長に依存する;および(4)一本鎖核酸分子についての吸着速度は、溶液の温度に依存する。
【0018】
一本鎖および二本鎖DNAの静電気的性質の間の本質的な違いは、おそらく、ss-DNAはそれの塩基を露出するのに十分にほどけうるが、ds-DNAは負に帯電したリン酸バックボーンを常に提示する安定した二重らせん幾何学的配置をもつために、生じる(Watson, The Double Helix: A Personal Account of the Discovery of the Structure of DNA, Weidenfeld and Nicholson, London (1968); Bloomfield et al., Nuclei Acids: Structures, Properties, and Functions, University Science Books, Sausalito, California (1999)、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。溶液における伝導性金属ナノ粒子は、典型的には、吸着された陰イオン(例えば、クエン酸)により、その斥力が、金属粒子間の強いファンデルワールス引力がそれらを凝集させるのを防ぎ、安定化される(Hunter, Foundations of Colloid Science, Oxford University Press Inc., New York (2001); Shaw, Colloid and Surface Chemistry, Butterworth-Heinemann Ltd., Oxford (1991)、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。ds-DNAの帯電したリン酸バックボーンと吸着されたクエン酸イオンの間の斥力は、金属ナノ粒子とds-DNAの間の静電気的相互作用に優越し、それにより、ds-DNAは吸着しない。ss-DNAは、それの塩基を部分的にほどくのに十分柔軟であるため、それらは金属ナノ粒子に曝露されうる。これらの条件下において、バックボーン上の負電荷は、十分遠いので、塩基と金属ナノ粒子の間の引力のファンデルワールス力は、ss-DNAを金属に貼り付かせるのに十分である。二重鎖構造は、塩基を露出させるのに必要とされる、ほどくことを許さないため、同じ機構がds-DNAに作用しない。本発明において、ss-DNAの金属ナノ粒子への選択的吸着が実証されている。さらに、ss-DNAの吸着は、通常にはクエン酸イオンの反発相互作用を遮蔽する塩濃度における凝集に対して金属ナノ粒子を安定化させることが示されている。金属ナノ粒子の色は、主として、表面プラズモン共鳴により判定され、これは、ナノ粒子の凝集により劇的に影響を及ぼされる(Link et al., Intl. Reviews in Physical Chemistry 19:409-453 (2000); Kreibig et al., Surface Science 156:678-700 (1985); Quinten et al., Surface Science 172:557-577 (1986)、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。ss-DNAおよびds-DNAの静電気的性質における違いは、単純な比色ハイブリダイゼーションアッセイ法を設計するために用いられうる。アッセイ法は、非修飾の市販されている材料を用いる非タグ化オリゴヌクレオチドの配列特異的検出のために用いられうる。アッセイ法は、100フェムトモルのレベルにおける視覚的検出のために実行するのが容易であり、プローブと標的の間の一塩基ミスマッチを検出するように容易に適合することが示されている。また、本明細書には、標的とプローブの配列間のどれくらいの長さのミスマッチが、金属ナノ粒子上に吸着するオリゴヌクレオチドの性向に影響を及ぼすかについての初期研究も示されている。
【0019】
本発明のアッセイ法およびキットにおいて上記で同定された相互作用を利用することにより、本発明は、以前に開発された検出手順を凌ぐ多数の利点を提供する、標的核酸を検出する方法を与える。これらの利点の一部は以下のものを含む:標的標識が必要とされない;アッセイ法は、溶液中で起こり、約10分未満(ハイブリダイゼーション過程を減速させる傾向にあるチップまたは表面に基づくアッセイ法より有意に速い)内で標的核酸の検出を可能にする;検出手順はハイブリダイゼーション手順から時間的に分離されるので、ハイブリダイゼーション過程は、ほとんど検出手順を考慮せずに最適化されうる;およびアッセイ法は市販されている材料を用いて行われうる。本発明の2つの基本的な態様、比色アッセイ法および蛍光定量アッセイ法、は有意な利点を提供する。比色アッセイ法は、蛍光顕微鏡または光電子増倍管のような高価な検出装置を必要とすることなく行われうる。比色アッセイ法における陽性または陰性結果の検出は、観測者の肉眼により評価されうる。アッセイ法は、極めて感受性が高く、フェムトモル範囲における(または蛍光アプローチの場合においてより低い)濃度での標的核酸を検出する能力がある、核酸の複合混合物間を識別する能力がある、および野生型標的とSNPsを有するものとを識別する能力がある。ゲノムDNAにおけるSNPsの検出は、特に難しいが、それは多数の遺伝性疾患および癌と関連しており、かつさらに多くの原因である可能性が高いため、診断テクノロジーの最前線にある(Friedberg, Nature 421:436-439 (2003); Futreal et al., Nature 409:850-852 (2002)、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。
【0020】
発明の詳細な説明
本発明の方法は、試料または検査溶液において標的核酸分子の存在(または実質的な非存在)を検出するために用いられうる。基本的に、方法は、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブおよび検査溶液を、その少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブと検査溶液に存在する任意の標的核酸とのハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にするのに効果的な条件下で混合する段階を含む。標的核酸が存在しないまたは標的核酸が実質的に存在しない場合には、ハイブリダイゼーション複合体が生じないまたはハイブリダイゼーション複合体が実質的に生じない。ハイブリダイゼーションが起こるようにさせておいた後(すなわち、プローブと標的の間のハイブリダイゼーションが可能である場合には)、ハイブリダイゼーション溶液は、複数の金属ナノ粒子に、任意のハイブリダイズしていないプローブが複数の金属ナノ粒子と静電気的に会合するのを可能にするのに効果的な条件下で、曝露される。その後、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたか、または複数の金属ナノ粒子の1つもしくはそれ以上と静電気的に会合したかの判定がなされる。この判定は、下記で考察されているように、ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質によりなされる。
【0021】
検出されることが意図される標的核酸分子は、DNAまたはRNAでありうる。DNAまたはRNAは、試料から直接的に単離され、十分な量で存在する場合には、その後、検査されうる、またはまず、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)もしくは逆転写PCRにより増幅されうる。このように、検出されうるDNAは、増幅されたcDNAでありうる。DNAが増幅されたcDNAでありうるため、cDNAはまた、合成、天然または構造的に改変されたヌクレオシド塩基をそれに組み入れていることもありうる。
【0022】
標的核酸分子はまた、任意の生物体源(例えば、ヒトまたは別の動物、ウイルス、細菌、昆虫、植物など)由来でありうる。
【0023】
別の方法として、標的核酸は、タンパク質もしくはポリペプチドに連結またはそうでなければ結合したヌクレオチド配列を含みうる。そのような場合、標的核酸の検出は、タンパク質またはポリペプチドの存在を直接的に確認する。または、標的核酸は、免疫PCR手順に関与するタンパク質もしくはポリペプチドに連結したヌクレオチド配列を含みうる;その後に増幅される標的cDNAは、検査されるべき試料における標的核酸の存在を間接的に確認する(すなわち、標的cDNAの非存在は、標的が最初の試料に存在しないことを確認する)。
【0024】
本発明に用いられうる一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、非標識でありうるか、または蛍光標識に結合あるいはそうでなければ連結しうるかのいずれかである。オリゴヌクレオチドプローブへの蛍光標識の連結は、イオン力、共有結合性力もしくは当技術分野において周知の他の力のような、既知の核酸結合化学を用いて、または物理的手段により達成されうる(例えば、Dattagupta et al., Analytical Biochemistry 177:85-89 (1989); Saiki et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6230-6234 (1989); Gravitt et al., J. Clin. Micro. 36:3020-3027 (1998)を参照、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。末端塩基または末端塩基近くの別の塩基のいずれでも蛍光標識に結合しうる。例えば、オリゴヌクレオチドプローブの末端ヌクレオチド塩基は、(限定されるわけではないが)カルボキシル、アミノ、ヒドロキシル、チオールなどのような反応基を含むように修飾されうる。
【0025】
蛍光標識は、核酸に結合されうる任意のフルオロフォアでありえ、好ましくは、適切な検出装置で検出かつ容易に同定されうるフォトルミネセンスの性質をもつ。例示的蛍光標識は、限定されるわけではないが、蛍光色素、半導体量子ドット、ランタニド原子含有複合体、および蛍光タンパク質を含む。本発明に用いられるフルオロフォアは、視覚的にかまたは当技術分野において公知の型の光学検波器を用いるかのいずれかで、検出可能である蛍光放射最大値を特徴とする。可視スペクトルにおいて蛍光放射最大値をもつフルオロフォアが好ましい。
【0026】
例示的色素は、限定されるわけではないが、Cy2(商標)、YO-PRO(商標)-1、YOYO(商標)-1、カルセイン、FITC、FluorX(商標)、Alexa(商標)、ローダミン110、5-FAM、Oregon Green(商標)500、Oregon Green(商標)488、RiboGreen(商標)、Rhodamine Green(商標)、ローダミン123、Magnesium Green(商標)、Calcium Green(商標)、TO-PRO(商標)-1、TOTO(登録商標)-1、JOE、BODIPY(登録商標)530/550、Dil、BODIPY(登録商標) TMR、BODIPY(登録商標)558/568、BODIPY(登録商標)564/570、Cy3(商標)、Alexa(商標)546、TRITC、Magnesium Orange(商標)、フィコエリトリンR&B、ローダミンファロイジン、Calcium Orange(商標)、ピロニンY、ローダミンB、TAMRA、Rhodamine Red(商標)、CY3.5(商標)、ROX、Calcium Crimson(商標)、Alexa(商標)594、Texas Red(登録商標)、ナイルレッド、YO-PRO(商標)-3、YOYO(商標)-3、R-フィコシアニン、C-フィコシアニン、TO-PRO(商標)-3、TOTO(登録商標)-3、DiD、DilC(5)、Cy5(商標)、チアジカルボシアニンおよびCy5.5(商標)を含む。今、公知または今後開発される他の色素は、それらの励起および発光特性が光源と適合し、かつ存在しうる他のフルオロフォアに干渉しない(すなわち、蛍光共鳴エネルギー移転またはFRETに関与する能力がない)限り、同様に用いられうる。
【0027】
オリゴヌクレオチドプローブへの色素の付着は、例えば、末端塩基かまたは末端塩基近くの別の塩基のいずれかが色素に結合するのを可能にする様々な公知の技術のいずれかを用いて行われうる。例えば、3'-テトラメチルローダミン(TAMRA)が、3'-TAMRA-CPGのような市販されている試薬を用いて、製造会社(Glen Research, Sterling, Virginia)の使用説明書に従って付着されうる。他の例示的手順は、例えば、Dubertret et al., Nature Biotech. 19:365-370 (2001); Wang et al., J. Am. Chem. Soc., 125:3214-3215 (2003); Bioconjugate Techniques, Hermanson, ed. (Academic Press) (1996)に記載されており、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている。
【0028】
例示的タンパク質は、限定されるわけではないが、エクオレア(Aequorea)およびレニラ(Renilla)のような様々な源由来の天然に存在するおよび改変された(すなわち、変異体)両方の緑色蛍光タンパク質(Prasher et al., Gene 111:229-233 (1992); PCT出願WO 95/07463、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている);ビブリオ(Vibrio)およびフォトバクテリウム(Photobacterium)のような様々な源由来の天然に存在するおよび改変された両方の青色蛍光タンパク質(Karatani et al., Photochem. Photobiol. 55(2):293-299 (1992); Lee et al., Methods Enzymol. (Biolumin. Chemilumin.) 57:226-234 (1978); Gast et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 80(1):14-21 (1978)、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている);ならびに藍色細菌および真核生物藻類由来の型のフィコビリタンパク質(Apt et al., J. Mol. Biol. 238:79-96 (1995); Glazer, Ann. Rev. Microbiol. 36:173-198 (1982); Fairchild et al., J. Biol. Chem. 269:8686-8694 (1994); Pilot et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6983-6987 (1984); Lui et al., Plant Physiol. 103:293-294 (1993); Houmard et al, J. Bacteriol. 170:5512-5521 (1988)、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている)を含み、それらのいくつかは、ProZyme, Inc. (San Leandro, CA)から市販されている。今、公知または今後開発される他の蛍光タンパク質は、それらの励起および発光特性が光源と適合し、かつ存在しうる他のフルオロフォアに干渉しない限り、同様に用いられうる。
【0029】
オリゴヌクレオチドプローブへの蛍光タンパク質の付着は、核酸へ色素を繋ぐために用いられる実質的に同じ手順を用いて行われうり、例えば、全体が参照として本明細書に組み入れられている、Bioconjugate Techniques, Hermanson, ed. (Academic Press) (1996)を参照されたい。
【0030】
ナノ結晶粒子または半導体ナノ結晶(Quantum Dot(商標)粒子としても知られている)は、半径がバルク励起子ボーア半径より小さいのだが、分子と物体のバルク形状の中間的な物質のクラスを構成する。すべての3次元における電子および正孔の両方の量子閉じこめは、晶子サイズを減少させて、物質の有効バンドギャップにおける増加へと導く。その結果として、半導体ナノ結晶の光吸収および発光の両方は、ナノ結晶のサイズが小さくなるにつれて、青色(より高いエネルギー)へとシフトする。本発明のキャップドナノ結晶粒子は、一次光源で照射され、二次発光は、ナノ結晶粒子に用いられた半導体物質のバンドギャップに対応する振動数で生じる。バンドギャップは、ナノ結晶粒子のサイズの関数である。キャップドナノ結晶粒子の狭いサイズ分布の結果として、照射されたナノ結晶粒子は、高純度の光という結果になる狭いスペクトル範囲の光を放射する。粒子サイズは直径が約1 nmと約1000 nmの間、好ましくは約2 nmと約50 nmの間、より好ましくは約5 nm〜約20 nmでありうる。
【0031】
結果として生じるナノ結晶粒子の蛍光放射は、物質の選択および粒子のサイズ分布を制御することに基づいて制御されうる。例えば、ZnSeおよびZnS粒子は、青色または紫外線領域(〜400 nmまたはそれ未満)において蛍光放射を示す;Au、Ag、CdSe、CdSおよびCdTeは、可視スペクトル(約440 nmと約700 nmの間)において蛍光放射を示す;InAsおよびGaAsは、近赤外領域(〜1000 nm)に蛍光放射を示す、ならびにPbS、PbSeおよびPbTeは、近赤外領域(すなわち、約700nm〜2500 nmの間)に蛍光放射を示す。ナノ結晶粒子の成長を制御することにより、所望の波長において蛍光を発する粒子を作製することが可能である。上で述べたように、より小さい粒子は、同じ物質のより大きい粒子と比較して青色(より高いエネルギー)へのシフトを与える。
【0032】
ナノ結晶粒子の調製は、公知の手順、例えば、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている、Murray et al., MRS Bulletin 26(12):985-991 (2001); Murray et al., IBM J. Res. Dev. 45(1):47-56 (2001); Sun et al., J. Appl. Phys. 85(8, Pt. 2A):4325-4330 (1990); Peng et al., J. Am. Chem. Soc. 124(13):3343-3353 (2002); Peng et al., J. Am. Chem. Soc. 124(9):2049-2055 (2002); Qu et al., Nano Lett. 1(6):333-337 (2001); Peng et al., Nature 404(6773):59-61 (2000); Talapin et al., J. Am. Chem. Soc. 124(20):5782-5790 (2002); shevenko et al., Advanced Materials 14(4):287-290 (2002); Talapin et al., Colloids and Surfaces, A: Physiochemical and Engineering Aspects 202(2-3):145-154 (2002); Talapin et al., Nano Lett. 1(4):207-211 (2001)、に従って行われうる。または、ナノ結晶粒子は、Evident Technologiesのような商業的ソースから購入されうる。
【0033】
オリゴヌクレオチドプローブへのナノ結晶粒子の付着は、色素をそれらに繋ぐために用いられる実質的に同じ手順を用いて行われうる。これらの手順についての詳細は、例えば、全体が参照として本明細書に組み入れられている、Bioconjugate Techniques, Hermanson, ed. (Academic Press) (1996)に記載されている。
【0034】
例示的ランタニド原子は、限定されるわけではないが、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLvを含む。これらのうち、Nd、ErおよびTbは、それらが蛍光適用に一般に用いられているため、好ましい。オリゴヌクレオチドプローブへのランタニド原子(またはランタニド原子を含む複合体)の付着は、色素をそれらに繋ぐために用いられる実質的に同じ手順を用いて行われうる。これらの手順についての詳細は、例えば、全体が参照として本明細書に組み入れられている、Bioconjugate Techniques, Hermanson, ed. (Academic Press) (1996)に記載されている。
【0035】
複数のプローブが用いられ、それぞれが蛍光標識に結合している場合、蛍光標識は、適切な検出装置を用いてお互いに区別されうることが好ましい。すなわち、1つの蛍光標識の蛍光放射は、利用されることになっている別の蛍光標識の蛍光放射に重複または干渉してはならない。同様に、任意の1つの蛍光標識の吸収スペクトルは、別の蛍光標識の発光スペクトルに重複(他方の標識による発光を隠すことができる蛍光共鳴エネルギー移転を生じうる)してはならない。
【0036】
一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、RNAまたはDNAのいずれかから形成されうり、1つもしくはそれ以上の修飾塩基、1つもしくはそれ以上の修飾糖、1つもしくはそれ以上の修飾バックボーン、またはそれらの組み合わせを含みうる。修飾された塩基、糖またはバックボーンは、プローブの標的核酸分子への親和性を増強させるか、または蛍光標識への結合を可能にするかのいずれかのために用いられうる。修飾塩基の例示的型は、当技術分野において知られており、限定されるわけではないが、アルキル化塩基、アルキニル化塩基、チオウリジン、およびG-クランプを含む(Flanagan et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 30:3513-3518 (1999)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。修飾糖の例示的型は、当技術分野において知られており、限定されるわけではないが、LNA、2'-O-メチル、2'-O-メトキシエチル、および2'-フルオロを含む(例えば、Freier and Attmann, Nucl. Acids Res. 25:4429-4443 (1997)を参照、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。修飾バックボーンの例示的型は、当技術分野において知られており、限定されるわけではないが、ホスホラミデート、チオホスホラミデートおよびアルキルホスホネートを含む。他の修飾塩基、糖および/またはバックボーンは、もちろん、利用されうる。
【0037】
一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、検査溶液において(存在する場合には)標的核酸への迅速なハイブリダイゼーション、および検査溶液に後で導入された金属ナノ粒子との迅速な静電気的会合を可能にするのに適している任意の長さでありうる。迅速さにより、一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、オリゴヌクレオチドプローブの導入前の検査溶液における他の核酸との会合率より大きい(好ましくは少なくとも1桁)率で金属ナノ粒子と静電気的に会合しうることが意図される。例として、かつ非限定的に、一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、好ましくは約10ヌクレオチド長と約50ヌクレオチド長の間、より好ましくは約10ヌクレオチド長と30ヌクレオチド長の間、最も好ましくは約12ヌクレオチド長と20ヌクレオチド長の間である。
【0038】
一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、標的核酸にハイブリダイズするように向けられるそれらの全長またはその任意の部分をもちうる。オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸配列の一部に100パーセントまたは完全に相補的であるヌクレオチド配列を有することが好ましい。
【0039】
検査溶液に導入されるオリゴヌクレオチドプローブの量は、ハイブリダイゼーション溶液へ導入される金属ナノ粒子の総量および/または存在すると考えられる標的核酸の総量に基づいて決定されうる。
【0040】
比色アッセイ法について、オリゴヌクレオチドプローブの量は、ハイブリダイゼーション溶液に存在する金属ナノ粒子の量より少なくともわずかに多い(すなわち、1:1比より多い)ことが好ましく、より好ましくは、約10:1より多く、かつ約30:1までである。用いられるプローブおよび標的の量におけるほどよい釣り合いは、アッセイ法の最適化にとって望ましい。試料における核酸の量が合理的に推定されうる場合には、プローブ:標的の比は約0.3:1と約3:1の間であるべきである。合理的推定がなされえない場合には、濃度系列が行われうる。
【0041】
蛍光アッセイ法について、試験溶液における標的およびプローブの相対的濃度は重要ではない。その代わり、すべてのハイブリダイズしていないプローブが消光されるように、過剰の金属ナノ粒子が利用される(かつ、過剰標的は蛍光を発しない)。
【0042】
1つより多い一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが同時に利用される場合、上記で開示された同じ基準が考慮されうる。
【0043】
オリゴヌクレオチドプローブは、標準的合成手順を用いて合成されうる、またはMidland Certified Reagent Co. (Midland, Texas)およびIntegrated DNA Technologies, Inc. (Coralville, Iowa)のような商業的ベンダーから取り寄せられうる。
【0044】
比色アッセイ法について、金属ナノ粒子は、好ましくは、金属ナノ粒子のコロイド懸濁液を含む溶液の形をとって供給される。蛍光定量アッセイ法について、コロイド金属ナノ粒子は、溶液中で供給されるうるか、またはそれらは、標準的連結プロトコールを用いて固体表面(例えば、ガラス表面)上に固定化されうるかのいずれかである。コロイド金属ナノ粒子を固定化することにより、安定したコロイド金属ナノ粒子溶液を調製または供給する必要はない。商業的には、これはより望ましいアプローチであると思われる。
【0045】
金属ナノ粒子は、ナノ粒子が、適切な条件下で、一本鎖核酸分子と静電気的に会合する、または他の金属ナノ粒子と凝集する能力があることを可能にする、任意の伝導性金属または合金から形成されうる。(本発明における使用の前に、コロイド懸濁液は、実質的に凝集がない安定した環境に金属ナノ粒子を維持していることが、認識されるべきである。)重要なことには、金属ナノ粒子は、有意にはハイブリダイゼーション複合体(すなわち、二本鎖核酸分子)と静電気的に会合しない。例示的金属ナノ粒子は、限定されるわけではないが、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、白金ナノ粒子、混合金属ナノ粒子(例えば、銀コアを囲む金シェル)、およびそれらの組み合わせを含む。
【0046】
コロイド金属ナノ粒子の懸濁液は、全体が参照として本明細書に組み入れられている、Grabar et al., Anal. Chem. 67:735-743 (1995)に記載された手順を用いて形成されうる。金属ナノ粒子は、好ましくは、それらの外側表面に結合するどんなリガンドも含まない。しかしながら、それらは、例えば溶液中のクエン酸イオンにより安定化される。コロイド懸濁液は、好ましくは、約5 nmと約500 nmの間、最も好ましくは約10 nmと30 nmの間の金属ナノ粒子を含む。
【0047】
アッセイを実施するにあたって、プローブと標的の間のハイブリダイゼーションの検出は、2つの好ましいアプローチの1つにおいて達成されうる:比色的アプローチまたは蛍光定量的アプローチ。それぞれは他方を凌ぐ別個の利点をもち、要望どおりに用いられうる。
【0048】
比色アッセイ法(プローブは非標識でありうる)において、ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質は、その可視の色である。ハイブリダイゼーション溶液の色変化は、図1に示されているように、複数の金属ナノ粒子の凝集を引き起こすことによりもたらされうる。比色アッセイ法は、定量が必要でない場合、および高価な検出装置が利用できない場合において、特に有用である。ハイブリダイゼーション溶液における色変化の検出は、ユーザー(すなわち、アッセイを行う人)の肉眼観察により行われうる。
【0049】
凝集は、実体のない数のオリゴヌクレオチドプローブが金属ナノ粒子と静電気的に会合した場合のみ起こる。実質的な数のオリゴヌクレオチドプローブが金属ナノ粒子と静電気的に会合した場合には(平均して、ナノ粒子あたり約1つまたは2つより多い)、凝集は有意に阻害される。凝集(色変化)は、標的核酸が検査溶液に存在したことを示している。凝集の誘導は、塩溶液をハイブリダイゼーション溶液へ導入することにより行われうり、塩は、金属ナノ粒子の静電気的性質を変えて、それによりそれらの凝集を促進するのに十分な濃度である。塩溶液は、好ましくは、約0.01 Mと約1 Mの間、より好ましくは約0.1 Mと約0.3 Mの間のNa+濃度を含む。塩溶液のハイブリダイゼーション媒体への導入は、金属ナノ粒子を含む溶液の導入と同時にかまたはそれに相次いでかのいずれかで(約15分までの遅れをもつかまたはもたないかのいずれかで)、行われうる。
【0050】
比色アッセイ法は肉眼観察により検出されうるため、ユーザーが色における検出可能な変化についてハイブリダイゼーション溶液を調べることができるか、またはアッセイが、凝集した金属ナノ粒子を含む比較できる溶液(陰性対照)および/もしくは実質的に凝集していない金属ナノ粒子を含む比較できる溶液(陽性対照)の色を複製する1つもしくはそれ以上の対照(陽性または陰性)と並行して行われうる。
【0051】
蛍光定量的アッセイ法において、ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質は、フルオロフォアによる蛍光スペクトルまたは蛍光ピークの大きさである。フルオロフォア標識のフォトルミネセンス性質は、ハイブリダイゼーション手順を金属ナノ粒子の存在下で進行するようにさせておいた後に、検出される。ハイブリダイズしないオリゴヌクレオチドプローブは、それらのサイズに基づいて、ハイブリダイゼーション溶液において、より長い核酸分子より金属ナノ粒子と静電気的により迅速に会合するため、ハイブリダイゼーションの非存在(すなわち、標的の非存在)は、オリゴヌクレオチドプローブが1つまたはそれ以上の金属ナノ粒子と静電気的に会合した場合の蛍光標識による蛍光の実質的な消光により示される。オリゴヌクレオチドと標的核酸分子の間のハイブリダイゼーション(すなわち、標的の存在)は、金属ナノ粒子の凝集(上記と同じ様式で達せられる)後でさえも維持されるフォトルミネセンス性質により示される。これらの選択肢は、図2に示されている。蛍光定量的アッセイ法は、対象となる標的が試料においてたった1つもしくは多数の核酸鎖である場合、標的核酸の定量が望まれる場合、または複数の別個の標的核酸分子の存在が同じハイブリダイゼーション溶液内で同時に分析されることになっている(すなわち、それぞれ、それに付着した別個のフルオロフォアをもつ複数のオリゴヌクレオチドプローブを用いて)場合、高感度のために特に有用である。ハイブリダイゼーション溶液の蛍光性質の検出は、当技術分野において知られているような適切な検出装置(例えば、蛍光顕微鏡、光電子増倍管、CCDカメラ、フォトダイオードなど)を用いて達成されうる。
【0052】
蛍光定量的アッセイ法は、ハイブリダイゼーション溶液においてフルオロフォアに起因する蛍光を測定することを含むため、ユーザーは、蛍光の存在または非存在のいずれについてもハイブリダイゼーション溶液を調べることができる。対照は必要ではない。
【0053】
蛍光定量的アッセイ法は少量に対してさえも感度が高く、フォトルミネセンス性質は、精密な器械類で検出されうるため、蛍光定量的アッセイ法は、検査溶液に存在する標的核酸の量を定量するのに向いている。検査溶液に存在する標的核酸の量を定量するための1つのアプローチは、検査溶液からの結果を、それぞれが既知であるが異なる量の標的核酸を含む2つの対照溶液から得られた結果と比較することを含む。このように、フォトルミネセンス性質の測定は、検査溶液および2つの対照溶液から得られる。各溶液のフォトルミネセンスに基づいて、第一および第二対照溶液に存在する標的核酸の量に対する検査溶液における標的核酸の量を計算することが可能である。または、検査溶液における標的核酸の量は、測定された光学的性質(検査溶液からの)および標的核酸の量に対する測定された光学的(例えば、フォトルミネセンス)性質の検量線を用いて計算されうる。
【0054】
本発明のアッセイ法の重要な使用の1つは、上で述べたように、1つまたは複数の型のPCRと共である。PCRは、試料における核酸の総量を素速く増幅することができるため、しばしば、ハイブリダイゼーションに基づく検出手順と共に用いられる。本発明の重要な利点の1つは、アッセイが、サーモサイクラーに使用されるハイブリダイゼーション媒体を用いて行われうることである。しかしながら、唯一の必要条件は、PCRの産物(典型的には二本鎖cDNA)が、金属ナノ粒子を導入する前に変性されなければならないことである。具体的には、二本鎖cDNAは、オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイゼーション媒体へ導入する前または後であるが、金属ナノ粒子を導入する前に、変性されうる。二本鎖cDNAを変性しなかったことは、存在する場合であるが、いずれの標的核酸とオリゴヌクレオチドプローブの間のハイブリダイゼーションも妨げ、結果として、誤った可能性のある陰性結果を生じる。一本鎖産物を得る代替のPCR手順は、PCR産物を変性することなく用いられうる。
【0055】
本発明のアッセイ法のもう一つの重要な使用は、標的核酸分子において一塩基多型(「SNP」)を検出することについてである。これは、比色アッセイ法かまたは蛍光定量的アッセイ法のどちらが行われることになっているかに依存してわずかに異なる様式で行われる。
【0056】
基本的には、比色アッセイ法は、検査溶液および対照溶液を用いて並行して行われる。検査ハイブリダイゼーション溶液は、標的核酸分子、およびSNPを含む可能性がある標的核酸分子の領域にハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを含む。プローブは、SNPを含む領域に完全にはハイブリダイズしない(すなわち、塩基対形成がSNPと生じない)ヌクレオチド配列を含む。対照ハイブリダイゼーション溶液は、標的核酸分子、および一塩基多型を含まない標的核酸分子の領域に完全にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを含む。検査および対照のハイブリダイゼーション溶液の両方は、その後、金属ナノ粒子に曝露され、ハイブリダイゼーション溶液におけるいずれのハイブリダイズしていないプローブも金属ナノ粒子と静電気的に会合するようにさせておく。重要なことには、アッセイのこの段階中、ハイブリダイゼーション溶液は、少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの融解温度と少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの融解温度(それは完全に相補的であるため、より高い融解温度をもつ)の間である温度に維持される。行われることになっているアッセイ法(比色または蛍光定量)に依存して、検査および対照のハイブリダイゼーション溶液の光学的性質が実質的に異なるかどうかの判定がなされる。実質的な差は、標的核酸分子における一塩基多型の存在を示している。
【0057】
SNPsを検出するにおいて、第一および第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、同じヌクレオチド配列(かつ同じ長さでありうる)または異なるヌクレオチド配列を有しうる。すなわち、2つのオリゴヌクレオチドプローブは、標的核酸の同じ領域または異なる領域にハイブリダイズしうる。後者の場合には、対照溶液における標的核酸分子は、例えば、検査溶液において検出されることになっている特定のSNPを有しないことがわかっているcDNA分子である。前者の場合には、対照溶液における標的核酸分子のハイブリダイゼーション領域は、安定しており、かつSNPsを含まない(すなわち、野生型配列を含む)ことがわかっている。2つのオリゴヌクレオチドプローブのそれらのそれぞれの標的との融解温度間の差を増大させるために、対照アッセイについてのオリゴヌクレオチドプローブは、より長くありうる、またはプローブと標的の間の安定性を増強させる改変された構造(例えば、修飾塩基、バックボーンなど)をもちうる。
【0058】
蛍光定量的アッセイ法は、蛍光標識からのフォトルミネセンスの消光が始まる時にハイブリダイゼーション溶液の温度が測定される(すなわち、温度を、消光が始まるまでゆっくり低下させる)ことを除けば、実質的には上記のように行われる。測定された温度は、プローブと標的核酸の間の融解温度を表す。この測定された融解温度は、その後、完全に相補的なプローブの既知の融解温度(この測定は、市販キットで提供されうるかまたは並行してアッセイを行うことにより測定されうるかのいずれかである)と比較される。融解温度間の差は、標的核酸分子における一塩基多型の存在を示している。
【0059】
本発明のアッセイ法のさらにもう一つの重要な使用は、試料において病原体の存在を検出することについてである。基本的に、試料を得て(例えば、組織試料、食物試料、水試料など)、試料から核酸を単離する。核酸、RNAまたはDNAのいずれかを単離したならば、そのアッセイ法を用いる検出を可能にするのに十分な試料が存在しているかどうか、またはPCRもしくはRT-PCRが単離された核酸を増幅するのに必要であるかどうかに関して評価がなされうる。このように、増幅は必要である場合もあるし、必要でない場合もある。例えば、試料から単離された全RNAは、RT-PCRなしで進行するのに十分な量でありうる;一方で、試料から単離された全DNAは、増幅を必要としうる。とにかく、本発明のアッセイ法が行われ、ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質(色または蛍光強度)が測定または評価されて、病原体の存在を示す、一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたかどうかを判定する。
【0060】
本発明のアッセイ法のさらにもう一つの重要な使用は、遺伝学的スクリーニングについてである。基本的に、試料を患者から得て、試料から核酸を単離する。遺伝学的スクリーニングは、典型的にはDNA単離および分析を含むため、典型的には(必ずしもではないが)、増幅を必要とする。とにかく、本発明のアッセイ法が行われ、ハイブリダイゼーション溶液のフォトルミネセンス性質が測定または評価されて、一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたかどうかを判定し、遺伝学的疾患、遺伝性疾患についての遺伝子マーカーの存在を示す(例えば、父性、母性、同系性など)、または生物体を同定する。
【0061】
本発明のアッセイ法のさらなる使用は、試料におけるタンパク質または抗体の検出である。免疫PCRは、標的とされるタンパク質が試料に存在している場合のみcDNA増幅を与えることができる手順である。従って、本発明のアッセイ法は、免疫PCRの増幅検出手順と連結されて、ハイブリダイゼーション媒体における増幅されたcDNA、およびそれに伴って試料における標的タンパク質、の存在を確認することができる。基本的には、試料を得て、試料を用いて免疫PCRを行い、免疫PCRは、結果として、タンパク質に連結している核酸の増幅を生じる。その後、本発明のアッセイ法が行われ、タンパク質に連結している核酸(またはそれの相補体)が本発明の比色または蛍光定量的アッセイ法の標的となる。
【0062】
本発明のアッセイ法のさらなる使用は、ポリメラーゼ連鎖反応(または類似した増幅手順)により調製された増幅核酸の量を定量することである。基本的には、それぞれが、増幅されることになっている核酸分子またはそれの相補体にハイブリダイズする能力があるヌクレオチド配列を有する、1つまたはそれ以上の、および好ましくは2つまたはそれ以上の蛍光標識されたオリゴヌクレオチドプライマーが供給される。プライマーを用いる増幅は、標的核酸分子および/またはそれの相補体、ならびに供給された蛍光標識オリゴヌクレオチドプライマーを用いる様々な公知の増幅手順(ポリメラーゼ連鎖反応のような)のいずれかを用いて行われる。その後、本発明の蛍光定量法が、増幅手順が行われた後に得られた試料上で行われる。試料から検出される蛍光のレベルは、増幅された核酸分子へ組み入れられたプライマーの量を示している。増幅が続く(および、より長い増幅された配列へより多いプライマーが組み入れられる)につれて、与えられた試料からの蛍光の量は、より長い核酸が金属ナノ粒子に静電気的に会合する率の低下により増加するはずである。他方、伸長されないプライマーは、金属ナノ粒子に迅速に会合し、結果として、それらに付着した標識による蛍光の消光を生じる。
【0063】
本発明のさらなる局面は、本発明のアッセイ法を実施するために用いられうる1つまたは複数の型のキットに関する。キットは、他にも構成要素はあるが、金属ナノ粒子のコロイド溶液を含む第一容器、および標的核酸分子に実質的に相補的であるヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを含む水溶液を含む第二容器を含みうる。行われるアッセイ法(比色または蛍光定量)に依存して、第二容器におけるオリゴヌクレオチドプローブは、上記の型の蛍光標識に連結している場合もあるし、連結していない場合もある。蛍光定量的アッセイ法および複数の標的間を識別する能力について、第二容器は、任意で、追加のオリゴヌクレオチドプローブ(同じまたは異なる標的核酸分子へ向けられる)を含みうり、それぞれが別個の蛍光放射パターンをもつ。前記の容器および構成要素に加えて、比色アッセイ法のための対照溶液、塩溶液を含む容器、および様々な使用説明書もまた提供されうる。
【0064】
実施例
以下の実施例は、本発明の態様を例証するために提供されるが、決して、それの範囲を限定することを意図されるものではない。
【0065】
実施例1についての材料および方法
HAuCl4のクエン酸還元により合成された約13 nm直径の金ナノ粒子のコロイド溶液(Grabar et al., Anal. Chem. 67:735-743 (1995)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)を用いた。コロイド溶液の濃度は、典型的には17 nMであった。凍結乾燥されたオリゴヌクレオチド配列およびそれらの相補体をMWG Biotech (High Point, NC)から購入し、10 mM リン酸緩衝溶液に溶解した。典型的には、プローブおよび標的の試みられるハイブリダイゼーションは、0.3 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝溶液において室温で5分間、行われた。特定の塩濃度は、実験によって変わり、図面の説明で示されている。試験ハイブリダイゼーション後、試験溶液を金コロイドと混合し、すぐに続いて、塩/緩衝溶液の追加を行った。
【0066】
試料は、水を参照として、Perkin Elmer UV/VIS/NIRスペクトロメーターLambda 19を用いて吸収スペクトルを記録するために5 mm路長をもつ水晶キュベットに置かれた。蛍光スペクトルおよび強度対時間について、MWG Biotech(High Point, NC)から購入された色素標識オリゴヌクレオチドが用いられた。1 cm路長をもつ水晶セルにおける溶液は、前面収集幾何学的配置および4 nm 分解能をもつJobin-Yvon Fluorolog-3スペクトロメーターにおいて研究された。共鳴ラマンスペクトルが、これらの色素標識オリゴヌクレオチド上で、定常状態532 nm 励起、およびレイリー散乱を拒絶するためのポログラフィックノッチフィルターをもつOcean Optics CCDアレイによる検出で、取られた。分解能は、約10 cm-1であった。写真は、Canon S-30デジタルカメラで撮られた。
【0067】
実施例1 − 金ナノ粒子の、二本鎖核酸と比較した、優先的な一本鎖核酸の吸着
色素タグ付きss-DNAと金ナノ粒子との間の優先的相互作用についての直接的証拠は、図4A〜Bに図示されている。色素タグ付きss-DNAは金上に吸着するが、ds-DNAは吸着しないという事実は、色素タグ付きss-DNAかまたは色素タグ付きds-DNAのいずれかを含む溶液へコロイド金を添加することの効果を通して見られうる。色素タグ付きss-DNAの場合、色素フォトルミネセンスの消光および色素からの共鳴ラマン散乱の増大が観察された。これらの両方とも、金プラズモンとの電子的相互作用の効果であるため、色素と金の間の密接した接触を必要とする。
【0068】
図5Aは、ss-DNAまたはds-DNAおよび塩/緩衝液溶液の添加前および後のコロイドのスペクトルを示している。通常には、塩への曝露は、反発相互作用を遮蔽し、コロイド凝集を引き起こす(Hunter, Foundations of Colloid Science, Oxford University Press Inc., New York (2001); Shaw, Colloid and Surface Chemistry, Butterworth-Heinemann Ltd., Oxford (1991)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。明らかに、金ナノ粒子に基づいたss-DNAの吸着は、塩を導入された場合の凝集に対してコロイド金粒子を追加的に安定化させる。従って、適当量のss-DNAを含む溶液は、凝集を防ぎ、金コロイドはピンク色のままであるが、ds-DNAを含む溶液は、凝集に影響を及ぼさず、溶液は青色に変化する。おそらく、これは、表面をより負に帯電しているように出現させる電荷の再分布を扱わなければならない。ラマン研究は、ss-DNAがクエン酸イオンに取って代わらないことを示唆している。
【0069】
図5Bは、2つのss-DNAについて同じデータの濃縮型を図示し、どのように色がss-DNAの量に依存するかを実証している。顕著には、金ナノ粒子あたりほんのわずかのss-DNAを含む溶液は、ナノ粒子の表面積が数百個のss-DNA 24マーを収容するのに十分であるという事実にもかかわらず、明らかに異なる吸収スペクトルをもつ。十分なss-DNAで、コロイドはピンク色のままであるが、ds-DNAを形成しうる試験溶液のハイブリダイゼーションは青っぽいコロイドへ導く(図5C)。実際的見地から、これは、与えられた試料が図1に描かれたプロトコールの筋道に沿って一本鎖DNAを含むかまたは二本鎖DNAを含むかを判定するアッセイ法の設計を可能にする。方法の極めて重要な特徴は、ハイブリダイゼーションが最適化条件(pH、塩および緩衝液濃度)下で標識無しのオリゴヌクレオチドで行われうり、検出段階から完全に独立していることである。また、標的とプローブとの間の濃度ミスマッチについて、それらの比率が0から1まで異なる溶液を用いることにより何が起きるかが調べられた。結果(図5C)は、技術が、標的の存在を検出するそれの能力において驚くほど頑健であることを証明している。較正された比色測定法は、標的の量を定量的に判定するのに用いられうる。
【0070】
同様に、分析物溶液がプライマーおよび他の断片が存在しているところのポリメラーゼ連鎖増幅の産物に見出されうるようなオリゴヌクレオチド配列の混合物を含む場合が、考えられうる(Rolfs et al., PCR: Clinical Diagnostics and Research, Springer-Verlag, Berlin Heidelberg (1992)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。図6Aは、標的配列の様々な画分と混合されたオリゴヌクレオチド分析物についての結果を図示しており、30%の標的でも容易に検出されることは明らかである。濃度ミスマッチに類似した状況は、標的およびプローブの配列が相補的であるが、異なる長さをもつ場合に起こる。その場合、ハイブリダイズした鎖の一部がss-DNAの静電気的性質をもつように見え、一方、他の部分は二本鎖のように見える。定性的には、結果は、完全な長さの一致をもつものと類似しており、比較的長い長さの差(5〜10塩基対のオーダーにおける)をもつハイブリダイズしたプローブ鎖と標的鎖さえも、二本鎖としてふるまう。
【0071】
金ナノ粒子の非常に高い吸光係数(Doremus, J. Chem. Phys. 40:2389-2396 (1994)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)は、比色法を極めて高感度にさせる。17 nM 濃度において(Grabar et al., Anal. Chem. 67:735-743(1995)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)、1 cm路長は、単一体に近い光学密度を提供する。経験的には、100フェムトモル未満の金粒子を含む5 μL 液滴において色を視覚的に同定することは容易である。図5Bは、ナノ粒子濃度よりわずかだけ大きいss-DNA濃度が、塩に曝露された場合の凝集に対してコロイドを安定化させるのに十分であることを図示している。従って、器械類なしに、オーダー100フェムトモルのss-DNAとds-DNAの量の間を識別しうることが期待されるものと思われる。ナノ粒子あたりたった1つまたは2つのss-DNA鎖の吸着が金の表面積のうちのほんの少しを覆っているとしても、クエン酸コーティングにおける電荷の再配列を通してナノ粒子の周りに分布する正味の負電荷を加えるように見える。上の推論と一致して、4.3 nMの標的濃度(図6B)または60フェムトモルほどの標的の総量(図6C)が容易に可視的差を生じる。色を評価するために吸収スペクトロメーターを利用することは、感度において少なくとも1桁の向上が生じるはずであり、光熱偏向のような吸収を測定するための零位法の使用は、なおさらに感度を増大させるものと思われる(Jackson, Applied Optics 20:1333-1344 (1981)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。
【0072】
方法は、生物学的に重要な一塩基多型の検出に必須であるプローブと標的の間の一塩基対ミスマッチを同定するように容易に適応する(Rolfs et al., PCR: Clinical Diagnostics and Research, Springer-Verlag, Berlin Heidelberg (1992)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。ds-DNAのss-DNA断片への解離の速度式は結合強度に依存し(Owczarzy et al., Biopolymers 44:217-239 (1997); Santalucia et al., J. Am. Chem. Soc. 113:4313-4322 (1991)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)、それゆえに、ミスマッチしたds-DNA(ds'-DNA)については、完全にマッチしたds-DNAについてより速いという事実が利用された。試験溶液由来のds-DNAを、金コロイドおよび塩/緩衝溶液を加える前に、塩を含まない水において短時間だけ脱ハイブリダイズするようにさせておいた。アッセイを行う2分前まで待って、完全にマッチしたds-DNAセグメント
およびそれの相補体)と一塩基対ミスマッチしたds-DNAセグメント
との間で明らかな色の違いが観察された(図6D)。脱ハイブリダイゼーションはまた、単に緩衝/塩溶液の導入を遅らせるだけで、金コロイド溶液においてなされうるが、ds-DNAは、水においてよりコロイド溶液において安定であることが見出され、金コロイドにおいて10分後、アッセイにより判定された場合、有意な脱ハイブリダイゼーションはなかった。一塩基対ミスマッチしたDNAセグメントは、5分後に明らかな脱ハイブリダイゼーションを示した。オリゴヌクレオチド溶液および金コロイドの混合物を、緩衝/塩溶液と混合する前に1分間または2分間、超音波にかけることは、脱ハイブリダイゼーションを加速し、ds-DNAとds'-DNAの間の優れた対比を与えた(図6E)。
【0073】
ss-DNAおよびds-DNAは、それらの静電気的性質により金ナノ粒子上に吸着する異なる性向をもつことが実証された。これは、市販されている材料のみを用いる、10分もかからない、検出装置を必要としない、一塩基ミスマッチに対して感受性がある、かつ濃度または長さミスマッチの適度な寛容性がある、オリゴヌクレオチド認識アッセイ法を設計するために用いられた。記載されたアッセイ法は、それの速さおよび平易さのほかにさらなる利点をもつ。DNAの静電気的性質を利用しうる能力のため、ハイブリダイゼーションは検出から分離されるので、DNA結合の動力学および熱力学は、プローブの官能性をもたせた表面に関連した立体的束縛によりかき乱されない。さらに、アッセイ法は、もっぱら液相で起こるため均一で、マイクロウェルプレートの標準的ロボット操作を用いて自動化するのを簡単にさせる特徴をもつ。ss-DNAを金粒子上に異なって吸着する能力はまた、分析物のタグ付けをなおも避ける、蛍光に基づいた感度の高いアッセイ法の基礎を形成しうる。プローブ鎖上に組み入れられた蛍光色素に関して、ss-DNAの蛍光は、蛍光が消光される金ナノ粒子近くにあるように色素を強要するため、図4Aのように選択的に消光されうる(Dubertret et al., Nature Biotechnol. 19:365-370 (2001); Du et al., J. Am. Chem. Soc. 125:4012-4013 (2003)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。しかしながら、タグ付きのプローブss-DNAが標的に結合する場合には、そのds-DNAは金に吸着せず、蛍光は持続する。
【0074】
実施例2〜6についての材料および方法
13 nmをもつ金粒子は、HAuCl4の還元により合成された(Gradar et al., Anal. Chem. 67:735-743 (1995)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。簡単には、1 mM HAuCl4の500 mLを激しく撹拌しながら、沸き返るほど沸騰させた。38.8 mM クエン酸ナトリウムの50 mLを素速く溶液に添加し、沸騰を10分間、続けた。その後、加熱マントルを除去し、撹拌をさらに15分間、続けた。
【0075】
すべてのオリゴヌクレオチドは、MWG Biotech, Inc. (High Point, NC)から購入され、さらに精製することはなかった。プローブは、0.3 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝溶液において、室温または適切な温度で5分間より多く、標的とハイブリダイズする。
【0076】
実施例2に用いられるプローブおよび標的は以下のとおりである:
ローダミンレッド標識プローブ:
;
および標的核酸:
。
【0077】
実施例3および4に用いられるプローブおよび標的は以下のとおりである:
ローダミンレッド標識プローブ:
;
相補性標的A:
;
相補的標的B:
;および
非相補的標的C:
。
【0078】
実施例5に用いられるプローブおよび標的は以下のとおりである:
ローダミンレッド標識プローブ:
;
相補的標的A':
;および
相補的標的B':
。
【0079】
実施例6に用いられるプローブおよび標的は以下のとおりである:
ローダミンレッド標識プローブ1:
;
相補的標的1:プローブ1の相補体;
Cy5標識プローブ2:
;
相補的標的2:プローブ2の相補体;および
非相補的標的:
。
【0080】
ハイブリダイズした溶液の画分を、17 nM 金コロイド溶液の500 μLに加え、特定の説明がない場合には、0.1 M 食塩水 10 mM リン酸緩衝溶液のもう500 μLを加えた。この混合物の蛍光は、蛍光計または蛍光顕微鏡のいずれか、およびカメラを用いて直ちに記録された。蛍光スペクトルは、570 nmでの励起で蛍光計で測定され、特定の説明がない限り4 nm帯域に設定されたスリットで585 nmから680 nmまでの発光範囲が与えられた。蛍光画像は、ノッチフイルターおよび狭い帯域干渉フィルターを備えた蛍光共焦点顕微鏡で記録された。蛍光は、532 nm レーザー源により励起された。
【0081】
実施例2 − 色素タグ付きの一本鎖DNAおよび二本鎖DNAの示差的蛍光消光
5'末端に共有結合性に付着したローダミンレッド蛍光色素で標識されたDNAオリゴヌクレオチドがプローブとして用いられた。プローブのμM溶液の数マイクロリットルを、0.3 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝液における試験ハイブリダイゼーションとしての標的配列に曝露した。ハイブリダイゼーション溶液をコロイド金懸濁液に加え、ds-DNAを安定化させるのを補助するためにさらにリン酸緩衝食塩水を加えた。
【0082】
図7Aは、相補的および非相補的標的を含む試験溶液からのフォトルミネセンスを比較する測定の結果を図示している。ハイブリダイズしていないプローブは金ナノ粒子上に効率的に吸着して、それらの蛍光が消光されるため、100:1より大きい蛍光対比が観察された。吸着機構は、上の実施例1に考察されているように、完全に静電気性である。吸着および付随した蛍光消光は不可逆性である。
【0083】
試験ハイブリダイゼーション溶液および塩の金コロイドへの添加は、最終的にコロイドの凝集を引き起こす。後者は沈殿へ導くので、ナノ粒子は、もはやプローブ蛍光の有効な消光剤ではない。コロイドを安定化させるために関連していないss-DNA鎖を用いることにより二重鎖を満足させるのに十分な塩での条件下で凝集からコロイドを保護することが可能である。しかしながら、図7Aのデータは、蛍光測定が約15分間以内になされる限り、これは必要ではないことを図示している。
【0084】
溶液の比較的大きな容量が典型的蛍光計に必要とされるため、同じ測定プロトコールを用いる方法の感度を評価することは実際的ではない。図7Bは、たった0.1フェムトモルの標的を含む溶液の非常に小さいアリコートの蛍光を測定することを図示しており、これは、蛍光顕微鏡およびカメラで容易に検出される。方法は本質的に零位法であるため、それが、標的オリゴヌクレオチドの10コピー(0.1アトモル)より少ないところまで下がっての比較的簡単な蛍光検出に用いられうることは理にかなっている(Cao et al., Science 297:1536-1540 (2002)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。
【0085】
実施例3 − 長い標的配列への適用
ゲノム分析について、合成されたオリゴヌクレオチドよりずっと長いDNA標的上で特定の配列を検出することが望ましい。これらは、臨床試料から直接的に、またはPCRを用いて増幅された試料から引き出されうる。図8Aは、長い標的の部分へのマッチを検出するための原理の証明である。標的の大きな部分が一本鎖のままであり、かつおそらくss-DNAの静電気的性質をもつと思われるという事実にもかかわらず、アッセイ法は、これらの長い標的が短い色素タグ付きプローブに相補的な配列を含むかどうかを判定するために用いられうる。この場合、吸着および消光が観察されない理由は、本明細書の実施例7に述べられているように、長いss-DNA配列は、よりずっとゆっくりした速度で金ナノ粒子上に吸着することである。従って、技術は、短い色素タグ付きプローブ(<25マー)が用いられる場合、最も実際的である。
【0086】
実施例4 − 標的配列の混合物への適用
アッセイ法の唯一の必要条件は、分析物において標的配列にハイブリダイズしないss-DNAプローブが金に吸着し、消光されることであるため、唯一の制約は、コロイド金の量がすべてのプローブDNAを吸着するのに十分でなければならないことである。それゆえに、アッセイ法は、図8Bのデータにより実証されているように、DNAオリゴヌクレオチドの複合混合物においてさえも標的鎖が存在するかどうかを判定するように働きうる。その場合、標的配列の存在を検証するために、1%相補的標的が99%非相補的標的と混合された。感度と共に、アッセイ法の混合物に対する寛容性は、それがPCRによる標的増幅なしに用いられる可能性を与える。
【0087】
実施例5 − 一塩基ミスマッチ検出
完全にマッチした対照を導入し、ストリンジェント性試験でその2つを比較することにより一塩基ミスマッチを検出するように技術を適応させることは簡単である。例証的目的のために、一塩基だけ異なる2つの異なる標的配列が用いられた。これらのうちの1つは、色素タグ付きプローブと完全にマッチする。唯一の手順の違いは、2つの試験ハイブリダイゼーション溶液を金コロイドへ導入する前に、それらは、46℃、ミスマッチについての融解温度より上でかつ完全マッチについてのより下である温度、で5分間、それぞれ維持されることである。ミスマッチした鎖は脱ハイブリダイズし、それにより、蛍光が消光されうる一本鎖プローブを放出する。ミスマッチをもつ試料は、それゆえに、完全にマッチした標的よりずっと少ないフォトルミネセンスを示す。図9は、中間部分においてプローブに相補的な一つの長い標的、および1つの末端においてプローブに相補的なもう一つの長い標的による検出を示している。この手順は、ゲノムDNAにおける一塩基多型の迅速な検出に適用でき、現在、標準的プロトコールである時間のかかる高価なゲルシーケンシング手順を排除することへの興奮するような将来的展望があると思われる(Rolfs et al., PCR: Clinical Diagnostics and Research, Springer-Verlag, Berlin Heidelberg (1992)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。実際には、もちろん、2つの異なるプローブ鎖配列を用いて、野生型配列に相補的なプローブを、標的にされた位置に一塩基ミスマッチをもつものと比較するものと考えられる。
【0088】
実施例6 − 同時的複数標的検出
示差的消光アッセイ法はまた、単一の標的上のいくつかの配列またはいくつかの標的を同時に探すように多重化されうる。図10は、2つの異なる色素をもつ2つの異なるプローブが標的の混合物とハイブリダイズするこれを図示している。分光器による検出が用いられる場合には、このアプローチを、通常の色素をもつ5つまたは6つの標的まで、および鮮明な発光を有する半導体ナノ粒子フルオロフォアをもつよりいっそう多くまで拡大することを想像するのは妥当と思われる。これは、もちろん、これらが、方法の基礎である絶対必要な静電学を混乱させないことを前提とする。
【0089】
要約すれば、これらの実験は、ss-DNAおよびds-DNAの静電気的性質における違いに基づいたDNA配列認識のための簡単なアッセイ法を実証している。特定の塩濃度について、ss-DNAはクエン酸コーティング化金ナノ粒子上に吸着するが、ds-DNAは吸着せず、この事実は、色素タグ付きss-DNAプローブの蛍光を区別して消光するために利用されうる。方法は標的修飾を必要としない、ただ市販されている材料を用いる、オリゴヌクレオチドの混合物を含む分析物について働く、および一塩基ミスマッチの検出に適用されうる。おそらく、アプローチの最も魅力的な特徴は、それの速度である。ハイブリダイゼーション段階は最適化条件下の溶液中で起こり、検出段階から分離されているため、全体のアッセイは10分未満内に完了されうる。DNAオリゴヌクレオチドの0.1フェムトモル未満に対する感受性が実証されたが、方法はほぼ零位法であり、蛍光検出に頼っているため、数桁、これを向上させることはおそらく可能である。方法が病原体検出、SNPsの臨床的分析および生体分子研究への適用への大いなる見込みをもつことが考えられる。
【0090】
実施例7〜9についての材料および方法
すべての合成されたオリゴヌクレオチドは、MWG Biotech, Inc. (High Point, NC)から購入され、さらに精製することなく用いられた。
【0091】
金ナノ粒子のコロイド溶液は、Grabar et al., Anal. Chem. 67:735-743 (1995)(全体が参照として本明細書に組み入れられている)に記載された手順に従って合成された。簡単には、1 mM HAuCl4(Alfa Aesar, Ward Hill, MA)の250 mLを撹拌しながらそれの沸点まで加熱した。38.8 mM クエン酸ナトリウム(Alfa Aesar, Ward Hill, MA)の25 mLを沸騰溶液に素速く添加し、同時にもう15分間、溶液を煮沸かつ撹拌し続けた。溶液を室温まで冷却し、使用のために無期限に保存することができる。
【0092】
この研究におけるすべての写真は、Canon PowerShot S30デジタルカメラで記録された。吸収スペクトルは、Perkin Elmer UV/VIS/NIRスペクトロメーターラムダ19で記録された。2 mmまたは5 mm路長をもつ水晶セルが用いられ、水が参照として用いられた。蛍光スペクトルおよび強度対時間は、それぞれ、4 nm帯域に設定されたスリットを以て、570 nmでの励起および590 nmでの発光でJobin-Yvon Fluorolog-3スペクトロメーターで記録された。1 cm路長および前面収集をもつ水晶セルが蛍光測定のために用いられた。
【0093】
実施例7 − ss-DNAの金ナノ粒子への吸着に対するオリゴヌクレオチドプローブ長および温度の影響
ss-DNAの金ナノ粒子凝集への効果を研究するために、300 μL 金コロイドを、0.2 M NaClを含む10 mM PBSの10 μLにおける300ピコモル24マーss-DNA
と混合し、その後、0.2 M NaClを含む10 mM PBSの100 μLを添加した。比較のために、100 μL 脱イオン水を、0.2 M NaCl含有10 mM PBSの100 μLと、300 μL 金コロイドと、別々に、混合した。吸収スペクトルは、2 mm路長のセルで記録され、混合物の写真が撮られた。スペクトルは経時的に安定している。
【0094】
配列長依存性のss-DNAの金ナノ粒子への吸着を調べるために、5'末端にローダミンレッドタグをもつ2 μL(2 μM)ss-DNAを13 nm金コロイドの1000 μLへ加えた。ss-DNA配列は、10マー
、24マー
および50マー
であった。蛍光強度対時間は、蛍光計で記録された。
【0095】
ss-DNA吸着の温度依存性を研究するために、2 μL(100 μM)50マーss-DNAおよび13 nm 金コロイドの300 μLを22℃、45℃、70℃および95℃まで、それぞれ、2分間、加熱した。0.2 M NaClを含む22℃における10 mM PBSの300 μLの溶液をすぐに加え、吸収スペクトルを5 mm路長セルで測定した。
【0096】
短いおよび長いss-DNA混合物の吸着を研究するために、2 μM ローダミンレッド標識15マー
の4 μLを、試験ハイブリダイゼーションのために、0.3 M NaCl(2 μM濃度における4 μL)を含む10 mM PBSにおける3つの異なる50マー(配列下記)のそれぞれと混合した。
【0097】
中央において15マーに相補的な
;
末端において15マーに相補的な
。
15マーに非相補的な
。
ハイブリダイゼーションのための5分後、各溶液を、13 nm 金コロイドの1 mL、および0.1 M NaClを含む10 mM PBSの追加の0.4 mLと混合し、その結果生じた蛍光スペクトルを蛍光計で記録した。300 μL 金コロイド、6 μL(20 μM)ハイブリダイズしたDNA溶液および0.2 M NaClを含む10 mM PBSの300 μLの混合物の色写真を、非標識の同じ配列の15マーなしでCanon S-30カメラで撮った。
【0098】
金コロイドの色は、懸濁液におけるナノ粒子の凝集の程度に対して非常に感度が高く(Quinten et al., Surf. Sci. 172:557 (1986); Lazarides et al., J. Phys. Chem. B 104:460 (2000); Storhoff et al., J. Am. Chem. Soc. 122:4640-4650 (2000)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)、凝集は、塩のような電解質で容易に引き起こされうる(Hunter, Foundations of Colloid Science, Oxford University Press Inc., New York (2001); Shaw, Colloid and Surface Chemeistry, Butterworth-Heinemann Ltd., Oxford (1991)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。この現象は、吸収分光分析法または視覚的観察により容易にモニターされうる。水溶液中の金ナノ粒子(直径13 nm)は、負に帯電したクエン酸イオンのコーティングにより凝集に対して安定化される(Bloomfield et al., Nucleic Acids: Structures, Properties, and Functions, University Science Books, Sausalito, California (1999)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。個々の粒子として、金ナノ粒子は、520 nmに表面プラズマ共鳴吸収ピークをもち(図11A:赤色)、ピンク色に見える(図11A、挿入写真:左バイアル)。金ナノ粒子の即時の凝集は、十分な塩が加えられ、イオンコーティング化金ナノ粒子間の静電気的斥力を遮蔽する場合に起こる。結果は、広い特色のない吸収スペクトル(図11A:青色)、および金ナノ粒子凝集体の表面プラズマ共鳴に特有な青灰色(図11A、挿入写真:中央バイアル)である(Quinten et al., Surf. Sci. 172:557 (1986); Lazarides et al., J. Phys. Chem. B 104:460-467 (2000); Storhoff et al., J. Am. Chem. Soc. 122:4640-4650 (2000)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。
【0099】
他の状態では凝集を引き起こす塩の添加の前に十分なss-DNAが金コロイドへ加えられている場合には、塩はもはや、金ナノ粒子の凝集を引き起こさないことが見出された。これらの環境下において、金コロイドはそれの吸収スペクトルおよび色を保持する(図11A:緑色および挿入写真:右バイアル)。コロイドの安定化についての理由は、オリゴヌクレオチドが吸着し、斥力を増大させる金ナノ粒子へ負電荷を加えることである。この主張は、ローダミンレッドタグ付きss-DNAを用いる蛍光消光実験により確認される(図11B)。オリゴヌクレオチドが金ナノ粒子に吸着する場合、色素の金への近接に伴って、蛍光消光へ導く(Maxwell et al., J. Am. Chem. Soc. 124:9606-9612 (2002); Dubertret et al., Nat. Biotech. 19:365-370 (2001)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。蛍光消光実験はまた、吸着速度が配列長に依存し、より短い配列が金ナノ粒子にずっとより速く貼り付く(図11B)ことを示す。さらに、温度上昇は結果としてより速い吸着を生じることが見出されている(図11C)。図11A〜Dにおけるデータから推測される金ナノ粒子上へのss-DNA吸着および金ナノ粒子凝集の両方とも不可逆性である。
【0100】
負に帯電した金ナノ粒子上へのss-DNAの吸着は、ss-DNAが、それの天然の立体配置において、らせん状に巻かれて、親水性の負に帯電したリン酸バックボーンが水溶液に最も多く曝露されている(Bloomfield et al., Nuclei Acids: Structures, Properties, and Functions, University Science Books, Sausalito, California (1999)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)ということからの一般の通念(Maxwell et al., J. Am. Chem. Soc. 124:9606-9612 (2002); Graham et al., Angew. Chem. Int. Ed. 39:1061 (2000)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)とは正反対である。ss-DNAが金ナノ粒子へ貼り付くという事実、加えて配列長および温度への依存性は、コロイド科学の理論から導かれる単純な絵で説明されうる(Hunter, Foundations of Colloid Science, Oxford University Press Inc., New York (2001); Shaw, Colloid and Surface Chemistry, Butterworth-Heinemann Ltd., Oxford (1991)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。金ナノ粒子およびss-DNAの両方は、溶液から対イオンを引きつけ、図12に概略的に描いているように電子二重層により十分説明される。あらゆる場合において、オリゴヌクレオチドとナノ粒子の間に引力のファンデルワールス力がある。静電気力は二極性相互作用によるものであり、ss-DNAの立体配置および配向に依存する。一時的な構造的揺らぎが、ss-DNAの短いセグメントがほどけるのを可能にし、塩基が金ナノ粒子に直面する時、静電気力の引力が、ss-DNAを不可逆性に金へ吸着させる。必須の揺らぎは、短い配列において、らせん状に巻かれた形態を強制しうる残っている鎖がほとんどないため、より広く行き渡る。これゆえに、短いss-DNAオリゴヌクレオチドがより速く吸着する。同様に、温度の上昇は、塩基を露出させ、らせん状に巻かれた構造をほどいて吸着をより速くさせる揺らぎを促進する。温度の上昇はまた、より長いDNA鎖における二次構造を壊すように働き、それにより図12の幾何学的配置により容易に到達できるようにさせるものと思われる。
【0101】
長さ依存性吸着は、典型的には大きさで数百個の塩基対であるPCR増幅されたDNA配列の検出に適切なアッセイ法を開発するために利用されうる(Reed et al., Practical Skills in Biomolecular Sciences, Addison Wesley Longman Limited, Edinburgh Gate, Harlow, England (1998); Walker et al., Molecular Biology and Biotechnology, The Royal Society of Chemistry, Thomas Graham House, Cambridge, UK (2000)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。短いオリゴヌクレオチド「プローブ」は、これらが長い鎖にハイブリダイズする場合、それらが金ナノ粒子上に迅速には吸着しないという考えで設計されうる。それゆえに、プローブと長い鎖の部分との間に配列マッチがある場合、それらは、塩で引き起こされる凝集およびそれに伴った色変化を防ぐことができない。または、短いプローブが蛍光標識されている場合には、それらの蛍光は、それらが長い標的鎖へのハイブリダイゼーションにより「縛り付けられて」いない限り、金ナノ粒子上への吸着により消光される。図11Dは、合成50塩基オリゴヌクレオチド標的およびローダミン標識15塩基プローブでのこれらのアッセイのそれぞれについて原理の証明を図示している。
【0102】
実施例8 − PCR増幅された標的cDNAの検出
University of Rochester Medical CenterのMing Qi博士から入手されたゲノムDNAは、PCR鋳型として用いられた。プライマーは合成されたオリゴヌクレオチド
であった。QT延長症候群を示すKCNE1遺伝子の特定の領域を、Promega PCRマスターミックス(Promega, Madison, WI)において、Tag DNAポリメラーゼで、95℃で5 min;95℃で30s、56℃で30sおよび72℃で30sの35サイクル;72℃で10 min、増幅し、その後、4℃に保ち、189 bp PCR産物を生じた。
【0103】
これらのモデル実験後、PCR増幅DNAの分析において発生する重要な問題を扱う簡単な比色アッセイ法が設計された。第一に、増幅DNAが所望の配列を含むかどうかを、プローブとのハイブリダイゼーションを評価することにより確かめることができる。第二に、増幅された配列においてSNPsを同定することが簡単である。すべての実験は、さらに精製することなく、臨床診断実験室から得られたPCR産物において行われる。探索される配列は、QT延長症候群と呼ばれる致命的心不整脈の患者研究において採取されたゲノムDNAから得られる(Priori et al., J. Interv. Card. Electr. 9:93 (2003)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。この疾患は、KCNE1遺伝子における突然変異と関連していた(Splawski et al., Circulation 102:1178-1185 (2000)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。
【0104】
PCR増幅された配列における点突然変異についての現行のアッセイ法は、時間のかかる手順、高価な器械類または両方を含む(Reed et al., Practical Skills in Biomolecular Sciences, Addison Wesley Longman Limited, Edinburgh Gate, Harlow, England (1998); Walker et al., Molecular Biology and Biotechnology, The Royal Society of Chemistry, Thomas Graham House, Cambridge, UK (2000); Rolfs et al., PCR: Clinical Diagnostics and Research, Springer-Verlag, Berlin Heidelberg (1992)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。方法は、適切な配列の増幅、およびそのPCRを行うために用いられた同じサーマルサイクラーでのSNPsについての試験結果を検証するのに10分もかからない。所望の配列の増幅を確認するために、図13Aに概略的に図示されたプロトコールに従った。プライマーより低い融解温度をもつ、所望のPCR産物に相補的な配列を有する2つのss-DNAプローブが選択され、これらをPCR産物溶液へ加えた。PCR増幅されたds-DNAは95℃で脱ハイブリダイズし、ss-DNAを生じる。これらの混合物は、プローブがPCR増幅配列と、存在している場合には、ハイブリダイズできるように、プローブの融解温度より下でアニールされる。同時に、消費されなかったプライマーもまた、それらがプローブのより高い融解温度をもつため、PCR産物に結合する。PCR過程自身においてのように、PCR増幅された相補体の再ハイブリダイゼーションからの結合位置の競合は、それが立体的理由でより遅いので、無視してよい。金コロイドがこの混合物に曝露される場合、プローブが増幅されたDNA標的にハイブリダイズしたならば、ハイブリダイゼーション溶液における塩は、即時に金ナノ粒子凝集および色変化を引き起こす(図13B、左バイアル)。PCR産物がプローブに相補的でない、またはPCR増幅が全く失敗している場合、プローブは金ナノ粒子へ吸着し、凝集を防ぐ(図13B、右バイアル)。
【0105】
実施例9 − PCR増幅された標的cDNAの配列検出および一塩基対ミスマッチ検出
配列検出について、修飾されていないPCR産物の8 μLを、0.3 M NaClを含む10 mM PBSに2つの相補的プローブかまたは2つの非相補的プローブのいずれかを含む1 μM プローブ溶液の6 μLと混合した。5分間の95℃での変性および1分間の50℃でのアニーリング後、60 μL 金コロイドを加え、写真を撮った。プローブ配列は以下のとおりである:
。
【0106】
一塩基対ミスマッチ(SNP)検出について、8 μL PCR産物を一塩基ミスマッチと重なっている1 μM プローブの6 μLと、および8 μL PCR産物を一塩基対ミスマッチと重なっていない1 μM プローブの6 μLと、それぞれ、混合した。混合物を95℃で5分間、加熱し、50℃、54℃および58℃で1分間、それぞれ、アニールし、その後、金コロイドの60 μLを加え、写真を撮った。プローブは以下のとおりであった:
(SNPと重なっていない)、
(SNPと重なっている)。
【0107】
一塩基対ミスマッチ検出は、一塩基ミスマッチがプローブの標的配列へのハイブリダイゼーションをまだなお許すため、少しばかり異なるプロトコールを必要とする。特定の配列検出に関する、図14Aに描かれた方針と同じ概念が用いられた。PCRプライマーのより低い、同じ融解温度をもつ4つのプローブが選択された。配列は、標的の野生型配列に相補的であるように選択された。プローブのうちの2つは、可能性のある点突然変異の位置に重なって結合するが、2つは、対照として用いられ、研究中のSNPに重ならない位置に結合した。標的配列上に突然変異が存在する場合には、突然変異をカバーするプローブは、完全にマッチするように設計されている配列における他の場所に位置した対照プローブより低い温度で脱ハイブリダイズする。どちらの配列の融点よりも下の温度において、プローブは、PCR増幅されたDNAに付着したままであり、塩で引き起こされる金ナノ粒子凝集を防ぐことはできない(図14B:a、b)。完全およびミスマッチの配列の両方の融解温度より上では、脱ハイブリダイゼーションはどちらについても起こり、金ナノ粒子凝集は妨げられる(図14B:e、f)。ミスマッチの配列が脱ハイブリダイズするよりも上であるが、完全にマッチした配列が脱ハイブリダイズするよりも下の温度において、SNPの存在を示す色の違いが検出される(図14B:c、d)。
【0108】
ss-DNAは、長さおよび温度依存性である速度で金ナノ粒子に吸着することが、これらの実験により実証された。さらに、ss-DNAの金ナノ粒子上への吸着は、塩に引き起こされる凝集に対してコロイドを効果的に安定化させうる。これらの観察は、厳密にはDNAの静電気的性質に基づいた、PCR増幅されたDNAについての簡単で速い比色アッセイ法を設計するために利用された。アプローチは、ゲル電気泳動および他の複雑なシーケンシング手順の必要性を排除する。それは、安価な市販されている材料で10分未満内に遂行されうり、PCRに用いられるプログラム可能なサーマルサイクラー以外の器械類は必要とされない。方法の重要な特徴は、チップに基づいたアッセイ法(Fodor et al., Nature 364:555-556 (1993); Chee et al., Science 274:610-614 (1996)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)または官能性をもたせたナノ粒子を利用する他のアプローチ(Elghanian et al., Science 277:1078-1081 (1997); Taton et al., Science 289:1757-1760 (2000); Park et al., Science 295:1503-1506 (2002); Cao et al., Science 297:1536-1540 (2002); Maxwell et al., J. Am. Chem. Soc. 124:9606-9612 (2002); Dubertret et al., Nat Biotech 19:365-370 (2001); Sato et al., J. Am. Chem. Soc. 125:8102-8103 (2003)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)と違って、ハイブリダイゼーションが、アッセイから独立して制御されうる最適化条件下で起こることである。アッセイ法はまた、QT延長症候群として知られている遺伝性心不整脈に関連したSNPsについてスクリーニングするゲノムDNAの臨床試料に適用された。このアプローチがPCR増幅されたDNAの後処理についてのいくつかの伝統的な分析方法に取って代わることができること、およびそれが広い適用を見出すであろうことが考えられる。
【0109】
実施例10 − 修飾RNAプローブを用いたRNA検出
配列検出について、100 μM 2'-o-メチルRNAプローブの2.4 μLを、10 mM PBSおよび0.3 M NaCl溶液に1つの相補的プローブかまたは1つの非相補的プローブのいずれかを含む100 μM RNA標的の2.4 μLと混合した。2分間の95℃での変性および30分間のプローブの融解温度より下の温度でのアニーリング後、200 μL 金コロイドを加え、写真を撮った。RNAおよび金コロイドの量は、適宜、増加または減少されうる。この場合、比較的多量のRNAおよび金が、通常のスペクトロメーターで可視スペクトルを測定するのに用いられた。
【0110】
プローブおよび標的配列は以下のとおりである:
2'-o-メチルRNAプローブ:
;
完全にマッチした標的:
非相補的標的:
。
【0111】
一塩基対ミスマッチ(SNP)検出について、100 μM 2'-o-メチルRNAプローブ1(標的と完全にマッチしている)の2.4 μLを100 μM 標的の2.4 μLと、および100 μM 2'-o-メチルRNAプローブ2(標的と1ミスマッチ)の2.4 μLを100 μM 標的の2.4 μLと、それぞれ、混合した。混合物を95℃で2分間、加熱し、50℃および60℃で30分間、それぞれ、アニールし、その後、金コロイドの200 μLを加え、写真を撮った。
【0112】
プローブおよび標的配列は以下のとおりである:
2'-o-メチルRNAプローブ:
完全にマッチした標的:
1ミスマッチの標的:
。
【0113】
図15A〜Bに示されているように、RNAプローブは、SNPと野生型配列を効果的に識別するために用いられうる。
【0114】
実施例11 − 免疫PCRプロトコール
捕獲抗体、およびストレプトアビジンを介してビオチン化DNA分子に連結されるビオチン化検出抗体を用いる検出プロトコールは、標準的免疫PCR手順を用いて抗原の存在を検出するのに用いられうる。抗原が存在する場合には、PCRは結果として、ビオチン化DNA分子の増幅を生じる。抗原が存在したと仮定すれば、増幅されたPCR産物は、上記の実施例に記載された比色または蛍光定量的検出方法により検出される。
【0115】
好ましい態様が本明細書で詳細に描写および記載されたが、様々な改変、追加、置換などが本発明の精神から逸脱することなくなされうることは、当業者にとって明らかであると思われ、それゆえに、これらは、特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲内にあるとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】一本鎖と二本鎖のオリゴヌクレオチドを区別すること;およびその結果として、選択的オリゴヌクレオチド検出のための比色法の図表示である。円は、コロイド金属(例えば、金)ナノ粒子を表す。
【図2】選択的オリゴヌクレオチド検出のための蛍光定量的方法の図表示である。パネルA、BおよびDにおける赤色の星は、プローブ鎖上の蛍光標識からの確認できる(すなわち、消光していない)蛍光を表す。薄い緑色の鎖および濃い緑色の鎖は、それぞれ、一本鎖核酸分子および二本鎖核酸分子を表す。パネルCおよびDにおける円は、金属(例えば、金)ナノ粒子を表す。オリゴヌクレオチドプローブと標的核酸分子の間のハイブリダイゼーションは、金属ナノ粒子を導入する前に起こる。ナノ粒子が、DNA二重鎖形成が生じなかったハイブリダイゼーション溶液へ導入される場合、プローブ上のタグからの蛍光は消光される(パネルC)。ナノ粒子が、ハイブリダイゼーションが生じた溶液へ導入される場合、二重鎖形成プローブ上のタグからの蛍光は観察される(パネルD)。
【図3】免疫PCRを本発明の方法と組み合わせたタンパク質検出の概略的プロトコールである。
【図4】図4A〜Bは、金ナノ粒子上へのss-DNAの優先的な吸着についての証拠を提供する。図4Aは、ss-DNA(破線)およびds-DNA(実線)に付着したローダミンレッドから放射される蛍光のグラフ式図解である。蛍光スペクトルは、試験ハイブリダイゼーション溶液(色素標識ss-DNAの最終濃度:50 nM)、金コロイドの500 μL、および0.1 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝溶液(PBS)の500 μLからなる混合物から記録された。ss-DNA(破線)曲線は、プローブおよびそれの非相補的標的(nc-標的)を含む混合物から記録された。点曲線は、プローブおよびそれの相補的標的(c-標的)を含む混合物から記録された。図4Bは、ss-DNA(実線)およびds-DNA(破線)上にタグ付けされたローダミングリーン(Rhodamine Green)からの表面増強共鳴ラマン散乱(「SERRS」)のグラフによる図解である。SERRSは、5ピコモルのプローブおよび5ピコモルのnc-標的(実線曲線)または5ピコモルのc-標的(破線曲線)、ならびに0.5 M NaClを含む10 mM PBSの100 μL、加えて300 μL 銀コロイドの混合物から記録された。1645 cm-1、1558 cm-1、1509 cm-1および1363 cm-1におけるラマンモードは、ローダミングリーンのコアの芳香族C-C伸縮モードであるが、1279 cm-1および1182 cm-1におけるラマンモードは、それぞれ、ローダミンC-O-C伸縮およびC-C伸縮振動である。
【図5】図5A〜Cは、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションの比色検出を示す。図5Aは、金コロイド(菱形)、ならびにss-DNA1(円)、ss-DNA2(三角)およびss-DNA1とss-DNA2のハイブリダイゼーションからのds-DNA(四角)をそれぞれ含む混合物の吸収スペクトルを示すグラフである。金コロイドは、混合物においてと同じ濃度まで水で希釈された。混合物は、試験ハイブリダイゼーション溶液(塩緩衝溶液における5 μL(60 μM)ss-DNA)を含み、17 nM 金コロイドの500 μLに加えられ、続いて10 mM PBSおよび0.2 M NaClの200 μLに加えられた。図5Bは、700 nmにおける吸光度に対する520 nmにおける吸光度の比率対金ナノ粒子あたりのDNAの数に表されるオリゴヌクレオチド濃度のグラフによる図解である。DNA配列および混合物は、DNAの量の変化を除いては、図5Aにおいてと同じである。図5Bは、重症急性呼吸器症候群(「SARS」)ウイルスに特有のDNA配列断片の比色検出を示す写真である(Drosten et al., The New England Journal of Medicine 348:1967-1976 (2003)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。すべての溶液は、120ピコモルのプローブ、200 μL 金コロイド、ならびに10 mM PBSおよび0.2 M NaClの100 μLを含んだ。溶液においてのプローブの量に対する標的の量の比率は、それぞれ、0、0.2、0.4、0.6および1(左から右へ)であった。
【図6】図6A〜Eは、混合物、低濃度、低量における、および一塩基ミスマッチをもつ標的の比色検出を示す。図6Aは、混合物における標的配列の検出を示す写真である。試験ハイブリダイゼーション溶液の3.5 μLを金コロイドの300 μLおよび0.2 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝溶液の300 μLと混合した。左から右への溶液に含まれる相補的標的は、残りを作り上げている非相補的標的を含む全オリゴヌクレオチド濃度の50%、40%、30%および0%であった。すべての溶液は、相補的標的および非相補的標的の合計に等しい105ピコモルのプローブを含んだ。図6Bは、低濃度溶液における標的DNAの検出を示す写真である。金コロイドの100 μLを300 μL 水に希釈し、1 μL 試験ハイブリダイゼーション溶液、および0.3 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝溶液の300 μLと混合した(最終標的濃度:4.3 nM)。左のバイアルはマッチしていないss-DNA鎖を含んだが、右のバイアルは相補的鎖を含んだ。図6Cは、低量の標的の検出を示す写真である。金コロイドの5 μLを、0.3 μM オリゴヌクレオチドを含む試験ハイブリダイゼーション溶液の0.2 μLと混合し、その後、0.2 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝溶液の3 μLと混合した。それぞれ、60フェムトモルを含む非相補的ss-DNA(左)混合物および相補的ss-DNA(右)の結果として生じた液滴を、観察のために逆プラスチックバイアル上に置いた。図6Dは、水における脱ハイブリダイゼーション速度式によるds-DNAにおける一塩基対ミスマッチの同定を示す写真である。ds-DNA溶液の1 μLを、100 μL 水において、0分間、1分間および2分間、それぞれ、脱ハイブリダイズさせ、その後、金ナノ粒子の300 μlおよび0.3 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝溶液の300 μLと混合した(最終ds-DNA濃度:0.043 μM)。各脱ハイブリダイゼーション時間群の左バイアルにおける溶液は一塩基対ミスマッチをもつds-DNAを含み、右バイアルは完全にマッチした標的鎖およびプローブ鎖を含んだ。赤色は、ds-DNAの一部が脱ハイブリダイズしたことを示す。図6Eは、金コロイドにおける脱ハイブリダイゼーション速度式による、ds-DNAにおける一塩基対ミスマッチの同定を示す写真である。1 μL オリゴヌクレオチドおよび300 μLの金ナノ粒子を、0.5分、1分および2分、それぞれ、超音波処理し、その後、0.3 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝溶液の300 μLと混合した(最終標的濃度:0.05 μM)。各脱ハイブリダイゼーション時間群の左バイアルにおける溶液は、一塩基対ミスマッチをもつds-DNAを含み、右バイアルは完全にマッチした標的鎖およびプローブ鎖を含んだ。赤色は、ds-DNAの一部が脱ハイブリダイズしたことを示す。オリゴヌクレオチド配列は、テキストで同定される。
【図7】図7A〜Bは、金ナノ粒子がss-DNA上に標識されたフルオロフォアからの蛍光を優先的に消光することを示す。図7Aは、ローダミンレッド標識されたss-DNAプローブおよびそれの相補的標識(黒塗りの四角)または非相補的標的(白抜きの四角)の5 μL(10 μM)試験ハイブリダイズした溶液、500 μLの金コロイド、ならびに0.1 M NaClを含む10 mM PBSの500 μLの混合物の蛍光スペクトルを示すグラフである。図7Bは、共焦点蛍光顕微鏡で測定された蛍光画像強度プロファイルを示すグラフである。試験ハイブリダイゼーション溶液の0.5 μL(0.1 μM)を、希釈された金コロイド(脱イオン水で20倍に希釈された)の500 μLおよび0.1 M NaClを含む10 mM PBSの500 μLと混合した。黒塗りの円は、相補的標的を含む混合物の2 μLから記録された;白抜きの円は、非相補的標的を含む混合物の2 μLから記録された。
【図8】図8A〜Bは、長い標的および混合物における長い標的の検出を示す。図8Aは、長い標的について機能する方法を示すグラフである。蛍光スペクトルは、相補的標的a(黒塗りの四角)、相補的標的b(白抜きの四角)、および非相補的標的c(黒塗りの三角)をそれぞれ含む溶液から記録された。溶液は、試験ハイブリダイズした溶液の4 μL(10 μM)、500 μL 金コロイド、および0.1 M NaClを含む10 mM PBSの500 μLを含んだ。図8Bは、混合物における長い標的について機能する方法を示すグラフである。蛍光スペクトルは、1%相補的標的a(黒塗りの四角)、1%相補的標的b(白抜きの四角)、および非相補的標的(黒塗りの三角)をそれぞれ含む混合物から記録された。試験ハイブリダイズした溶液におけるオリゴヌクレオチドの構成要素は、10ピコモルの非相補的標的、0.5ピコモルのプローブ、および0.1ピコモルの候補を含んだ。混合物は、試験ハイブリダイズした溶液の0.5 μL、500 μL 金コロイド(250 μL 水で希釈された)、および0.1 M NaClを含む10 mM PBSの500 μLから構成された。
【図9】図9A〜Bは、一塩基対ミスマッチ検出を示す。図9Aは、長い標的aおよび標的a'の中央に結合するプローブを示すグラフである。図9Bは、長い標的bおよび相補的標的b'の1つの末端に結合するプローブを示すグラフである。一塩基対ミスマッチ検出のための蛍光スペクトルは、46℃水浴で温められた1 μL(10 μM)試験ハイブリダイズした溶液(同量のプローブおよび標的)、500 μL 金コロイド、ならびに10 mM PBSおよび0.1 M NaClの500 μLを含む混合物から記録された。黒塗りの四角は、完全マッチしたds-DNAを含む混合物から記録され、白抜きの四角は、一塩基対ミスマッチをもつds-DNAを含む混合物から記録された。
【図10】図10A〜Bは、同時の複数標的検出を示す。図10Aは、プローブ1にタグ付けされたローダミンレッドの吸収極大である570 nmにおける励起を示すグラフである。図10Bは、プローブ2にタグ付けされたcy5の吸収極大である648 nMにおける励起を示すグラフである。(注:図10Bにおけるスペクトル(黒塗りの四角)の二番目のピークは、570 nmにより励起されたプローブ2にタグ付けされたcy5の発光である。)
【図11】図11A〜Dは、金ナノ粒子へのss-DNAの吸着を示す。図11Aは、300 μL 金コロイドおよび100 μL 脱イオン水(赤色)、10 mM PBS(0.2 M NaCl)の100 μL(青色)、最初に300ピコモルの24ベースのss-DNA、その後10 mM PBS(0.2 M NaCl)の100 μL(緑色)の吸収スペクトルをグラフで示している。図11Bは、4ピコモルのローダミンレッドタグ付きのss-DNAの1000 μL 金コロイドへの添加後のフォトルミネセンス強度対時間を示すグラフである。10マー(赤色)、24マー(緑色)および50マー(青色)。図11Cは、異なる温度で2分間、加熱され、続いて10 mM PBS(0.2 M NaCl)の300 μLを添加された、200ピコモルのss-DNA(50マー)および300 μLの金ナノ粒子の混合物の吸収スペクトルをグラフで示している。22℃(青色)、45℃(シアン色)、70℃(緑色)、および95℃(赤色)。図11Dは、ローダミンレッド標識された15マーss-DNA、50マーss-DNAおよび金コロイドのハイブリダイズした溶液の蛍光スペクトルをグラフで示しており、15マーは、50マーに、中央で(赤色)、末端で(緑色)結合する、およびどこへも結合しない(青色)。下の方の挿入図は、15マーと50マーの間の結合位置を概略的に示している。上の方の挿入図は、15マー上に蛍光標識をもたない対応する混合物(左から右へ)の色写真を含む。
【図12】負に帯電した金属ナノ粒子とss-DNAの間の相互作用の概略図である。くさび形様構造(左)は、金属ナノ粒子を表し、構造(右)は、リン酸バックボーン(実線の垂線)およびヌクレオチド塩基(水平線)を有するss-核酸を表す。
【図13】PCR増幅されたDNA配列の同定を示す。図13Aは、検出プロトコールの概略図である。PCR産物およびプローブの混合物を変性し、相補的プローブの融解温度より下でアニールし、続いて金コロイドを添加する。長い青色および緑色の線は、PCR増幅されたDNA断片を表し、ピンク色および淡青色の中位のバーは過剰のPCRプライマーを表す。短い青色および緑色のバーは、結合し、結果として金ナノ粒子凝集(紫色)を生じる、相補的プローブである。短い紫色およびオレンジ色のバーは、結合せず、金ナノ粒子に吸着して、ナノ粒子凝集を防ぎ、溶液をピンク色のままにしておく、非相補的プローブである。図13Bは、相補的プローブ(a)および非相補的プローブ(b)での結果として生じる溶液の色写真である。8 μL PCR産物、3.5ピコモルのプローブおよび70 μL 金コロイドが各バイアルに用いられた。
【図14】図14A〜Bは、一塩基対ミスマッチ検出を示す。図14Aは、検出方針を示している。長い緑色および青色の線における赤色スポットは、可能性のあるSNPの位置を表す。長い緑色および青色の線は、PCR増幅されたDNA断片の相補的配列である。短い緑色および青色のバーは、図示されているように、PCR増幅されたDNA断片の野生型配列の部分に相補的なプローブである。図14Bは、一塩基対ミスマッチの検出を示す写真である。バイアルb、dおよびfは、プローブが一塩基ミスマッチに重なっているPCR産物を含み、バイアルa、cおよびeは、プローブが一塩基ミスマッチに重なっていないPCR産物を含む。写真は、50℃(a、b)、54℃(c、d)および58℃(e、f)でアニールされた混合物について撮られた。8 μL PCR産物、3.5ピコモルのプローブおよび70 μL 金コロイドが各バイアルに用いられた。
【図15】図15A〜Bは、RNAプローブおよびRNA標的を用いる一塩基対ミスマッチ検出を示している。図15A〜Bに示された記号は以下のとおりである:ds:二重鎖;ds':ミスマッチを含む二重鎖;ss:対照。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ハイブリダイゼーションに基づく核酸検出方法およびそれを実施するための材料に関する。なお、本出願は、2003年5月16日に出願された米国仮特許出願第60/471,257号、および2004年3月12日に出願された米国仮特許出願第60/552,793号の恩典を主張し、それらのそれぞれは、全体が、参照として本明細書に組み入れられている。本発明は、少なくとも一部は、認可AG18231としてNational Institutes of Healthから受けた財政的支援でなされた。米国政府は、本発明において一定の権利を保有しうる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
特定のオリゴヌクレオチド配列の検出は、臨床診断、生化学的および医学的研究、食品および薬品産業、ならびに環境モニタリング、病理学および遺伝学にとって重要である(Primrose et al., Principles of Genome Analysis and Genomics, Blackwell Publishing, Malden, MA, 第3版 (2003); Hood et al., Nature 421:444-448 (2003); Rees, Science 296:698-700 (2002))。現在のアッセイ法は、2つの主な欠点をもつチップに基づく方法(Epstein et al., Analytica Chimica Acta 469:3-36 (2002); Chee et al., Science 274:610-614 (1996))に支配されている。第一に、標的標識が通常、必要とされる。第二に、表面上に立体的に抑圧されたプローブへのハイブリダイゼーションは遅い。サンドイッチアッセイ(Elghanian et al., Science 277:1078-1081 (1997); Taton et al., Science 289:1757-1760 (2000); Cao et al., Science 297:1536-1540 (2002); Park et al., Science 295:1503-1506 (2002))、固定化分子ビーコン(Dubertret et al., Nat. Biotech. 19:365-370 (2001); Du et al., J. of Am. Chem. Soc. 125:4012-4013 (2003))、表面プラズモン共鳴(Brockman et al., Annual Review of Physical Chemistry 51:41-63 (2000))、ポーラスシリコン微小空洞発光(Chan et al., Materials Science & Engineering C-Biomimetic and Supramolecular Systems 15:277-282 (2001))、および反射干渉分光法(Lin et al., Science 278:840-843 (1997); Pan et al., Nano Lett. 3:811-814 (2003))のようなアプローチは、前者の問題を避けるが、プローブ固定化のための複雑な表面付着化学をなお必要とし、遅い応答に悩む可能性がある。これらの場合のいくつかにおいて、結合していない標的を除去するために重要なリンス段階が必要とされる、または第二ハイブリダイゼーション段階がアッセイに必要とされる。
【0003】
DNA配列のためのほとんどすべてのアッセイ法は、単一コピーほどのDNAから特定の配列セグメントを容易に検出される量まで増幅するためにポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)を用いる(Reed et al., Practical Skills in Biomolecular Sciences, Addison Wesley Longman Limited, Edinburgh Gate, Harlow, England (1998); Walker et al., Molecular Biology and Biotechnology, The Royal Society of Chemistry, Thomas Graham House, Cambridge, UK (2000))。PCRの使用は、感受性問題を扱うだけでなく、与えられたアッセイ法について対象ではない可能性がある大量のDNAの影響を改善するために試料を効果的に精製もする。これらの特徴は、目下、表面プラズモン共鳴(「SPR」)(Thiel et al., Anal. Chem. 69:4948-4956 (1997); Jordan et al., Anal. Chem. 69:4939-4947 (1997); Nelson et al., Anal. Chem. 73:1-7 (2001); He et al., J. Am. Chem. Soc. 122:9071-9077 (2000))、蛍光マイクロアレイ(Sueda et al., Bioconjugate Chem. 13:200-205 (2002); Paris et al., Nucleic Acids Res. 26:3789-3793 (1998); Lepecq et al., Mol. Biol. 27:87-106 (1967))、半導体または金属ナノ粒子に基づいたアッセイ法
、および水溶性共役高分子に基づくセンサー(Gaylord et al., J. Am. Chem. Soc. 125:896-900 (2003))のような多種多様の革新的な検出アプローチの開発にもかかわらず、PCRの使用を、ゲノムDNAの分析にほとんど欠くことのできないものにさせている。これらの技術は、主として、精製された合成オリゴヌクレオチドにおいて実証されたが、それらのいくつかを、PCR増幅された試料に適合するように適応させることが可能でありうる。しかしながら、いったんPCR増幅が利用されたならば、追加の増幅は簡単であるため、アッセイの優秀さは、主として、それの感受性よりむしろそれの単純性により決定される。上記のアプローチの大部分は、指摘されているように、高価な器械類を必要とする、または、DNA、基質もしくはナノ粒子を修飾するための時間のかかる合成を含む。さらに、立体障害を導入し、プローブと標的の間の遅くかつ非効率的な結合へと導く基質の存在下でハイブリダイゼーションを行うことが通常、必要である。結果として、PCR増幅された試料の後処理は、高価で、かつ時間のかかるものでありうる(Rolfs et al., PCR: Clinical Diagnostics and Research, Springer-Verlag, Berlin Heidelberg (1992))。
【0004】
DNAと負に帯電した金ナノ粒子の複合体は、長年研究されてきており(Mirkin et al., Nature 382:607-609 (1996); Alivisatos et al., Nature 382:609-611 (1996))、多数の創造的なスキームが、ナノ組み立てかまたはオリゴヌクレオチド検出かのいずれかのために、特定の標的DNA配列を結合しうる、DNA配列で共有結合的に官能性をもたせた金ナノ粒子を開発した
。
【0005】
前記に基づいて、標的核酸の検出のために修飾を必要としない伝導性金属ナノ粒子および標的核酸分子を利用するアッセイ法を提供することが望ましく思われる。さらに、ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーションを非常に遅くさせ、より非効率的にさせる表面結合プローブの立体的束縛なしに最適な条件下で行われうるように、検出から完全に分離しているアッセイ法を提供することが望ましく思われる。
【0006】
本発明は、これらの目的を達成することおよび当技術分野におけるこれらを始めとする欠点を克服することに向けられる。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本発明の第一局面は、検査溶液(例えば、試料)において標的核酸分子の存在または非存在を検出するための方法に関する。この方法は、以下の段階を含む:ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを標的核酸を含む可能性のある検査溶液と混合する段階であって、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブおよび検査溶液が、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブと検査溶液に存在する任意の標的核酸のハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にするのに効果的な条件下で混合される段階;ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子に、その混合段階後ハイブリダイズされないままである少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを複数の金属ナノ粒子と静電気的に会合することを可能にするのに効果的な条件下で曝露する段階;および少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたか、または複数の金属ナノ粒子の1つもしくはそれ以上と静電気的に会合したかを判定する段階であって、標的核酸へのハイブリダイゼーション、または1つもしくはそれ以上の金属ナノ粒子との静電気的会合がハイブリダイゼーション溶液の光学的性質により示される段階。
【0008】
特に好ましい本発明のこの局面についてのいくつかの態様がある。一つの態様は、比色アッセイ法と呼ばれているのだが、非標識オリゴヌクレオチドプローブを利用し、曝露段階後、ハイブリダイゼーション溶液の色変化を検出することにより判定を行うことを含み、色変化が、標的核酸の存在下における複数の金属ナノ粒子の実質的凝集を示している。色変化が生じない(有意ではない変化)場合には、標的核酸の非存在が示されている。もう一つの態様は、蛍光標識されたオリゴヌクレオチドプローブを利用し、複数の金属ナノ粒子への曝露後蛍光が検出されうるかどうかを判定することを含み、蛍光の消失が標的核酸の非存在を示し、残った蛍光がそれの存在を示している。標識オリゴヌクレオチドプローブによる蛍光が残っている場合には、オリゴヌクレオチドプローブは、二重鎖を形成しており、金属ナノ粒子から解離したままである(すなわち、蛍光消光が生じなかった)。
【0009】
本発明の第二局面は、標的核酸分子において一塩基多型(「SNP」)を検出するための方法に関する。この方法は、検査ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、(i)標的核酸分子を含む検査溶液および(ii)一塩基多型を含む可能性がある標的核酸分子の領域にハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを混合する段階であって、その混合段階が、少なくとも1つのハイブリダイゼーション複合体を形成するように、標的核酸分子と少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブとの間のハイブリダイゼーションを可能にするのに効果的な条件下で行われる段階;対照ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、(i)標的核酸分子を含む対照溶液および(ii)一塩基多型を含まない標的核酸分子の領域に完全にハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを混合する段階であって、その混合段階が、少なくとも1つのハイブリダイゼーション複合体を形成するように、標的核酸分子と少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブとの間のハイブリダイゼーションを可能にするのに効果的な条件下で行われる段階;少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの融解温度と少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの融解温度の間である温度にハイブリダイゼーション溶液を維持しながら、検査および対照ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子に、ハイブリダイゼーション溶液においてハイブリダイズしていないプローブが金属ナノ粒子と静電気的に会合するのを可能にするのに効果的な条件下で曝露する段階;ならびに、標的核酸分子における一塩基多型の存在を示す、検査および対照ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質が実質的に異なるかどうかを判定する段階により行われる。
【0010】
本発明の第三局面は、標的核酸分子においてSNPを検出するための方法に関する。この方法は以下の段階により行われる:ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、(i)標的核酸分子を含む溶液ならびに(ii)ヌクレオチド配列が一塩基多型を含む可能性がある標的核酸分子の領域にハイブリダイズする、ヌクレオチド配列およびそれに付着した蛍光標識を有する少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを混合する段階であって、その混合段階が、少なくとも1つのハイブリダイゼーション複合体を形成するように、標的核酸分子と少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブとの間のハイブリダイゼーションを可能にするのに効果的な条件下で行われる段階;ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子に、ハイブリダイゼーション溶液においてハイブリダイズしていないプローブが金属ナノ粒子と静電気的に会合するのを可能にするのに効果的な条件下で曝露する段階;蛍光標識によるフォトルミネセンスの消光が始まるハイブリダイゼーション溶液の温度を判定する段階であって、その温度が融解温度を示している、段階;ならびにハイブリダイゼーション溶液についての融解温度を完全に相補的なプローブの既知の融解温度と比較する段階であって、融解温度間の差が標的核酸分子における一塩基多型の存在を示している段階。
【0011】
本発明の第四局面は、検査溶液において標的核酸を検出するための方法に関する。この方法は以下の段階を含む:標的核酸を含む可能性のある検査溶液の一部をポリメラーゼ連鎖反応にかけ、ポリメラーゼ連鎖反応の一本鎖核酸産物を含む産物溶液を得る段階;ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを産物溶液に、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブと産物溶液に存在する任意の標的核酸とのハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にするのに効果的な条件下で、混合する段階;ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子に、ハイブリダイゼーション溶液における任意の一本鎖核酸が複数の金属ナノ粒子と会合するのを可能にするのに効果的な条件下で、曝露する段階;および少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが、標的核酸にハイブリダイズしたか、または複数の金属ナノ粒子の1つもしくはそれ以上と静電気的に会合したかを判定する段階であって、標的核酸へのハイブリダイゼーションまたは1つもしくはそれ以上の金属ナノ粒子との静電気的会合が、ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質により示される段階。
【0012】
本発明の第五局面は、病原体の核酸を含む可能性のある試料を得る段階、およびその後、病原体の標的核酸に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いて本発明の方法を行う段階であって、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたことを判定する段階が病原体の存在を示している段階を含む、試料において病原体を検出する方法に関する。
【0013】
本発明の第六局面は、遺伝学的スクリーニングの方法に関する。この方法は、試料を得る段階、試料からDNAを単離する段階、試料から単離されたDNAを増幅する段階、その後、遺伝学的疾患、遺伝性疾患などを診断するのに特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いて本発明の方法を行う段階であって、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたことを判定する段階が遺伝学的疾患、遺伝性疾患、の素因または生物体の同定を示している段階により行われる。
【0014】
本発明の第七局面は、試料においてタンパク質を検出する方法に関する。この方法は、試料を得る段階、試料を用いて免疫ポリメラーゼ連鎖反応手順を行う段階であって、免疫ポリメラーゼ連鎖反応手順が結果として、タンパク質に結合している核酸の増幅を生じる段階、およびその後、タンパク質に結合している核酸(またはそれの相補体)に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いて本発明の方法を行う段階であって、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたことを判定する段階が、そのタンパク質が試料に存在することを示している段階により行われる。
【0015】
本発明の第八局面は、ポリメラーゼ連鎖反応により調製された増幅核酸の量を定量する方法に関する。この方法は、それぞれ、増幅されるべき核酸分子またはそれの相補体にハイブリダイズする能力があるヌクレオチド配列を有する2つまたはそれ以上の蛍光標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを供給する段階;標的核酸分子および/またはそれの相補体ならびに供給された蛍光標識オリゴヌクレオチドプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応を行う段階;ならびに、そのポリメラーゼ連鎖反応実行段階後、得られた試料について本発明の蛍光定量的方法を行う段階であって、試料から検出された蛍光レベルが、増幅核酸分子へ組み入れられたプライマーの量を示している段階により行われる。
【0016】
本発明の第九局面は、ユーザーが本発明の1つまたは複数の方法を行うのを可能にする様々な構成要素を含むキットに関する。一つの態様により、キットは、最小限として、金属ナノ粒子を含むコロイド溶液を含む第一容器、および標的核酸分子に実質的に相補的であるヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを含む水溶液を含む第二容器を含む。
【0017】
本発明のアッセイ法およびキットは、金属ナノ粒子と核酸分子の間の静電気的相互作用を利用する、金属ナノ粒子および核酸分子の使用を含む。特に、本出願人らは、本発明のアッセイ法および材料により利用されうる4つの独特な相互作用を同定した。これらは以下のものを含む:(1)特定の条件下で、一本鎖核酸は、負に帯電した金属ナノ粒子上に吸着するが、二本鎖核酸分子は吸着しないという発見;(2)一本鎖核酸分子の、コロイド溶液に懸濁された金属ナノ粒子上への吸着は、塩により引き起こされる凝集に対してナノ粒子を安定化させる;(3)一本鎖核酸分子についての吸着速度は、配列長に依存する;および(4)一本鎖核酸分子についての吸着速度は、溶液の温度に依存する。
【0018】
一本鎖および二本鎖DNAの静電気的性質の間の本質的な違いは、おそらく、ss-DNAはそれの塩基を露出するのに十分にほどけうるが、ds-DNAは負に帯電したリン酸バックボーンを常に提示する安定した二重らせん幾何学的配置をもつために、生じる(Watson, The Double Helix: A Personal Account of the Discovery of the Structure of DNA, Weidenfeld and Nicholson, London (1968); Bloomfield et al., Nuclei Acids: Structures, Properties, and Functions, University Science Books, Sausalito, California (1999)、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。溶液における伝導性金属ナノ粒子は、典型的には、吸着された陰イオン(例えば、クエン酸)により、その斥力が、金属粒子間の強いファンデルワールス引力がそれらを凝集させるのを防ぎ、安定化される(Hunter, Foundations of Colloid Science, Oxford University Press Inc., New York (2001); Shaw, Colloid and Surface Chemistry, Butterworth-Heinemann Ltd., Oxford (1991)、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。ds-DNAの帯電したリン酸バックボーンと吸着されたクエン酸イオンの間の斥力は、金属ナノ粒子とds-DNAの間の静電気的相互作用に優越し、それにより、ds-DNAは吸着しない。ss-DNAは、それの塩基を部分的にほどくのに十分柔軟であるため、それらは金属ナノ粒子に曝露されうる。これらの条件下において、バックボーン上の負電荷は、十分遠いので、塩基と金属ナノ粒子の間の引力のファンデルワールス力は、ss-DNAを金属に貼り付かせるのに十分である。二重鎖構造は、塩基を露出させるのに必要とされる、ほどくことを許さないため、同じ機構がds-DNAに作用しない。本発明において、ss-DNAの金属ナノ粒子への選択的吸着が実証されている。さらに、ss-DNAの吸着は、通常にはクエン酸イオンの反発相互作用を遮蔽する塩濃度における凝集に対して金属ナノ粒子を安定化させることが示されている。金属ナノ粒子の色は、主として、表面プラズモン共鳴により判定され、これは、ナノ粒子の凝集により劇的に影響を及ぼされる(Link et al., Intl. Reviews in Physical Chemistry 19:409-453 (2000); Kreibig et al., Surface Science 156:678-700 (1985); Quinten et al., Surface Science 172:557-577 (1986)、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。ss-DNAおよびds-DNAの静電気的性質における違いは、単純な比色ハイブリダイゼーションアッセイ法を設計するために用いられうる。アッセイ法は、非修飾の市販されている材料を用いる非タグ化オリゴヌクレオチドの配列特異的検出のために用いられうる。アッセイ法は、100フェムトモルのレベルにおける視覚的検出のために実行するのが容易であり、プローブと標的の間の一塩基ミスマッチを検出するように容易に適合することが示されている。また、本明細書には、標的とプローブの配列間のどれくらいの長さのミスマッチが、金属ナノ粒子上に吸着するオリゴヌクレオチドの性向に影響を及ぼすかについての初期研究も示されている。
【0019】
本発明のアッセイ法およびキットにおいて上記で同定された相互作用を利用することにより、本発明は、以前に開発された検出手順を凌ぐ多数の利点を提供する、標的核酸を検出する方法を与える。これらの利点の一部は以下のものを含む:標的標識が必要とされない;アッセイ法は、溶液中で起こり、約10分未満(ハイブリダイゼーション過程を減速させる傾向にあるチップまたは表面に基づくアッセイ法より有意に速い)内で標的核酸の検出を可能にする;検出手順はハイブリダイゼーション手順から時間的に分離されるので、ハイブリダイゼーション過程は、ほとんど検出手順を考慮せずに最適化されうる;およびアッセイ法は市販されている材料を用いて行われうる。本発明の2つの基本的な態様、比色アッセイ法および蛍光定量アッセイ法、は有意な利点を提供する。比色アッセイ法は、蛍光顕微鏡または光電子増倍管のような高価な検出装置を必要とすることなく行われうる。比色アッセイ法における陽性または陰性結果の検出は、観測者の肉眼により評価されうる。アッセイ法は、極めて感受性が高く、フェムトモル範囲における(または蛍光アプローチの場合においてより低い)濃度での標的核酸を検出する能力がある、核酸の複合混合物間を識別する能力がある、および野生型標的とSNPsを有するものとを識別する能力がある。ゲノムDNAにおけるSNPsの検出は、特に難しいが、それは多数の遺伝性疾患および癌と関連しており、かつさらに多くの原因である可能性が高いため、診断テクノロジーの最前線にある(Friedberg, Nature 421:436-439 (2003); Futreal et al., Nature 409:850-852 (2002)、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。
【0020】
発明の詳細な説明
本発明の方法は、試料または検査溶液において標的核酸分子の存在(または実質的な非存在)を検出するために用いられうる。基本的に、方法は、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブおよび検査溶液を、その少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブと検査溶液に存在する任意の標的核酸とのハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にするのに効果的な条件下で混合する段階を含む。標的核酸が存在しないまたは標的核酸が実質的に存在しない場合には、ハイブリダイゼーション複合体が生じないまたはハイブリダイゼーション複合体が実質的に生じない。ハイブリダイゼーションが起こるようにさせておいた後(すなわち、プローブと標的の間のハイブリダイゼーションが可能である場合には)、ハイブリダイゼーション溶液は、複数の金属ナノ粒子に、任意のハイブリダイズしていないプローブが複数の金属ナノ粒子と静電気的に会合するのを可能にするのに効果的な条件下で、曝露される。その後、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたか、または複数の金属ナノ粒子の1つもしくはそれ以上と静電気的に会合したかの判定がなされる。この判定は、下記で考察されているように、ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質によりなされる。
【0021】
検出されることが意図される標的核酸分子は、DNAまたはRNAでありうる。DNAまたはRNAは、試料から直接的に単離され、十分な量で存在する場合には、その後、検査されうる、またはまず、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)もしくは逆転写PCRにより増幅されうる。このように、検出されうるDNAは、増幅されたcDNAでありうる。DNAが増幅されたcDNAでありうるため、cDNAはまた、合成、天然または構造的に改変されたヌクレオシド塩基をそれに組み入れていることもありうる。
【0022】
標的核酸分子はまた、任意の生物体源(例えば、ヒトまたは別の動物、ウイルス、細菌、昆虫、植物など)由来でありうる。
【0023】
別の方法として、標的核酸は、タンパク質もしくはポリペプチドに連結またはそうでなければ結合したヌクレオチド配列を含みうる。そのような場合、標的核酸の検出は、タンパク質またはポリペプチドの存在を直接的に確認する。または、標的核酸は、免疫PCR手順に関与するタンパク質もしくはポリペプチドに連結したヌクレオチド配列を含みうる;その後に増幅される標的cDNAは、検査されるべき試料における標的核酸の存在を間接的に確認する(すなわち、標的cDNAの非存在は、標的が最初の試料に存在しないことを確認する)。
【0024】
本発明に用いられうる一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、非標識でありうるか、または蛍光標識に結合あるいはそうでなければ連結しうるかのいずれかである。オリゴヌクレオチドプローブへの蛍光標識の連結は、イオン力、共有結合性力もしくは当技術分野において周知の他の力のような、既知の核酸結合化学を用いて、または物理的手段により達成されうる(例えば、Dattagupta et al., Analytical Biochemistry 177:85-89 (1989); Saiki et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6230-6234 (1989); Gravitt et al., J. Clin. Micro. 36:3020-3027 (1998)を参照、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。末端塩基または末端塩基近くの別の塩基のいずれでも蛍光標識に結合しうる。例えば、オリゴヌクレオチドプローブの末端ヌクレオチド塩基は、(限定されるわけではないが)カルボキシル、アミノ、ヒドロキシル、チオールなどのような反応基を含むように修飾されうる。
【0025】
蛍光標識は、核酸に結合されうる任意のフルオロフォアでありえ、好ましくは、適切な検出装置で検出かつ容易に同定されうるフォトルミネセンスの性質をもつ。例示的蛍光標識は、限定されるわけではないが、蛍光色素、半導体量子ドット、ランタニド原子含有複合体、および蛍光タンパク質を含む。本発明に用いられるフルオロフォアは、視覚的にかまたは当技術分野において公知の型の光学検波器を用いるかのいずれかで、検出可能である蛍光放射最大値を特徴とする。可視スペクトルにおいて蛍光放射最大値をもつフルオロフォアが好ましい。
【0026】
例示的色素は、限定されるわけではないが、Cy2(商標)、YO-PRO(商標)-1、YOYO(商標)-1、カルセイン、FITC、FluorX(商標)、Alexa(商標)、ローダミン110、5-FAM、Oregon Green(商標)500、Oregon Green(商標)488、RiboGreen(商標)、Rhodamine Green(商標)、ローダミン123、Magnesium Green(商標)、Calcium Green(商標)、TO-PRO(商標)-1、TOTO(登録商標)-1、JOE、BODIPY(登録商標)530/550、Dil、BODIPY(登録商標) TMR、BODIPY(登録商標)558/568、BODIPY(登録商標)564/570、Cy3(商標)、Alexa(商標)546、TRITC、Magnesium Orange(商標)、フィコエリトリンR&B、ローダミンファロイジン、Calcium Orange(商標)、ピロニンY、ローダミンB、TAMRA、Rhodamine Red(商標)、CY3.5(商標)、ROX、Calcium Crimson(商標)、Alexa(商標)594、Texas Red(登録商標)、ナイルレッド、YO-PRO(商標)-3、YOYO(商標)-3、R-フィコシアニン、C-フィコシアニン、TO-PRO(商標)-3、TOTO(登録商標)-3、DiD、DilC(5)、Cy5(商標)、チアジカルボシアニンおよびCy5.5(商標)を含む。今、公知または今後開発される他の色素は、それらの励起および発光特性が光源と適合し、かつ存在しうる他のフルオロフォアに干渉しない(すなわち、蛍光共鳴エネルギー移転またはFRETに関与する能力がない)限り、同様に用いられうる。
【0027】
オリゴヌクレオチドプローブへの色素の付着は、例えば、末端塩基かまたは末端塩基近くの別の塩基のいずれかが色素に結合するのを可能にする様々な公知の技術のいずれかを用いて行われうる。例えば、3'-テトラメチルローダミン(TAMRA)が、3'-TAMRA-CPGのような市販されている試薬を用いて、製造会社(Glen Research, Sterling, Virginia)の使用説明書に従って付着されうる。他の例示的手順は、例えば、Dubertret et al., Nature Biotech. 19:365-370 (2001); Wang et al., J. Am. Chem. Soc., 125:3214-3215 (2003); Bioconjugate Techniques, Hermanson, ed. (Academic Press) (1996)に記載されており、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている。
【0028】
例示的タンパク質は、限定されるわけではないが、エクオレア(Aequorea)およびレニラ(Renilla)のような様々な源由来の天然に存在するおよび改変された(すなわち、変異体)両方の緑色蛍光タンパク質(Prasher et al., Gene 111:229-233 (1992); PCT出願WO 95/07463、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている);ビブリオ(Vibrio)およびフォトバクテリウム(Photobacterium)のような様々な源由来の天然に存在するおよび改変された両方の青色蛍光タンパク質(Karatani et al., Photochem. Photobiol. 55(2):293-299 (1992); Lee et al., Methods Enzymol. (Biolumin. Chemilumin.) 57:226-234 (1978); Gast et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 80(1):14-21 (1978)、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている);ならびに藍色細菌および真核生物藻類由来の型のフィコビリタンパク質(Apt et al., J. Mol. Biol. 238:79-96 (1995); Glazer, Ann. Rev. Microbiol. 36:173-198 (1982); Fairchild et al., J. Biol. Chem. 269:8686-8694 (1994); Pilot et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6983-6987 (1984); Lui et al., Plant Physiol. 103:293-294 (1993); Houmard et al, J. Bacteriol. 170:5512-5521 (1988)、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている)を含み、それらのいくつかは、ProZyme, Inc. (San Leandro, CA)から市販されている。今、公知または今後開発される他の蛍光タンパク質は、それらの励起および発光特性が光源と適合し、かつ存在しうる他のフルオロフォアに干渉しない限り、同様に用いられうる。
【0029】
オリゴヌクレオチドプローブへの蛍光タンパク質の付着は、核酸へ色素を繋ぐために用いられる実質的に同じ手順を用いて行われうり、例えば、全体が参照として本明細書に組み入れられている、Bioconjugate Techniques, Hermanson, ed. (Academic Press) (1996)を参照されたい。
【0030】
ナノ結晶粒子または半導体ナノ結晶(Quantum Dot(商標)粒子としても知られている)は、半径がバルク励起子ボーア半径より小さいのだが、分子と物体のバルク形状の中間的な物質のクラスを構成する。すべての3次元における電子および正孔の両方の量子閉じこめは、晶子サイズを減少させて、物質の有効バンドギャップにおける増加へと導く。その結果として、半導体ナノ結晶の光吸収および発光の両方は、ナノ結晶のサイズが小さくなるにつれて、青色(より高いエネルギー)へとシフトする。本発明のキャップドナノ結晶粒子は、一次光源で照射され、二次発光は、ナノ結晶粒子に用いられた半導体物質のバンドギャップに対応する振動数で生じる。バンドギャップは、ナノ結晶粒子のサイズの関数である。キャップドナノ結晶粒子の狭いサイズ分布の結果として、照射されたナノ結晶粒子は、高純度の光という結果になる狭いスペクトル範囲の光を放射する。粒子サイズは直径が約1 nmと約1000 nmの間、好ましくは約2 nmと約50 nmの間、より好ましくは約5 nm〜約20 nmでありうる。
【0031】
結果として生じるナノ結晶粒子の蛍光放射は、物質の選択および粒子のサイズ分布を制御することに基づいて制御されうる。例えば、ZnSeおよびZnS粒子は、青色または紫外線領域(〜400 nmまたはそれ未満)において蛍光放射を示す;Au、Ag、CdSe、CdSおよびCdTeは、可視スペクトル(約440 nmと約700 nmの間)において蛍光放射を示す;InAsおよびGaAsは、近赤外領域(〜1000 nm)に蛍光放射を示す、ならびにPbS、PbSeおよびPbTeは、近赤外領域(すなわち、約700nm〜2500 nmの間)に蛍光放射を示す。ナノ結晶粒子の成長を制御することにより、所望の波長において蛍光を発する粒子を作製することが可能である。上で述べたように、より小さい粒子は、同じ物質のより大きい粒子と比較して青色(より高いエネルギー)へのシフトを与える。
【0032】
ナノ結晶粒子の調製は、公知の手順、例えば、それぞれは全体が参照として本明細書に組み入れられている、Murray et al., MRS Bulletin 26(12):985-991 (2001); Murray et al., IBM J. Res. Dev. 45(1):47-56 (2001); Sun et al., J. Appl. Phys. 85(8, Pt. 2A):4325-4330 (1990); Peng et al., J. Am. Chem. Soc. 124(13):3343-3353 (2002); Peng et al., J. Am. Chem. Soc. 124(9):2049-2055 (2002); Qu et al., Nano Lett. 1(6):333-337 (2001); Peng et al., Nature 404(6773):59-61 (2000); Talapin et al., J. Am. Chem. Soc. 124(20):5782-5790 (2002); shevenko et al., Advanced Materials 14(4):287-290 (2002); Talapin et al., Colloids and Surfaces, A: Physiochemical and Engineering Aspects 202(2-3):145-154 (2002); Talapin et al., Nano Lett. 1(4):207-211 (2001)、に従って行われうる。または、ナノ結晶粒子は、Evident Technologiesのような商業的ソースから購入されうる。
【0033】
オリゴヌクレオチドプローブへのナノ結晶粒子の付着は、色素をそれらに繋ぐために用いられる実質的に同じ手順を用いて行われうる。これらの手順についての詳細は、例えば、全体が参照として本明細書に組み入れられている、Bioconjugate Techniques, Hermanson, ed. (Academic Press) (1996)に記載されている。
【0034】
例示的ランタニド原子は、限定されるわけではないが、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLvを含む。これらのうち、Nd、ErおよびTbは、それらが蛍光適用に一般に用いられているため、好ましい。オリゴヌクレオチドプローブへのランタニド原子(またはランタニド原子を含む複合体)の付着は、色素をそれらに繋ぐために用いられる実質的に同じ手順を用いて行われうる。これらの手順についての詳細は、例えば、全体が参照として本明細書に組み入れられている、Bioconjugate Techniques, Hermanson, ed. (Academic Press) (1996)に記載されている。
【0035】
複数のプローブが用いられ、それぞれが蛍光標識に結合している場合、蛍光標識は、適切な検出装置を用いてお互いに区別されうることが好ましい。すなわち、1つの蛍光標識の蛍光放射は、利用されることになっている別の蛍光標識の蛍光放射に重複または干渉してはならない。同様に、任意の1つの蛍光標識の吸収スペクトルは、別の蛍光標識の発光スペクトルに重複(他方の標識による発光を隠すことができる蛍光共鳴エネルギー移転を生じうる)してはならない。
【0036】
一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、RNAまたはDNAのいずれかから形成されうり、1つもしくはそれ以上の修飾塩基、1つもしくはそれ以上の修飾糖、1つもしくはそれ以上の修飾バックボーン、またはそれらの組み合わせを含みうる。修飾された塩基、糖またはバックボーンは、プローブの標的核酸分子への親和性を増強させるか、または蛍光標識への結合を可能にするかのいずれかのために用いられうる。修飾塩基の例示的型は、当技術分野において知られており、限定されるわけではないが、アルキル化塩基、アルキニル化塩基、チオウリジン、およびG-クランプを含む(Flanagan et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 30:3513-3518 (1999)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。修飾糖の例示的型は、当技術分野において知られており、限定されるわけではないが、LNA、2'-O-メチル、2'-O-メトキシエチル、および2'-フルオロを含む(例えば、Freier and Attmann, Nucl. Acids Res. 25:4429-4443 (1997)を参照、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。修飾バックボーンの例示的型は、当技術分野において知られており、限定されるわけではないが、ホスホラミデート、チオホスホラミデートおよびアルキルホスホネートを含む。他の修飾塩基、糖および/またはバックボーンは、もちろん、利用されうる。
【0037】
一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、検査溶液において(存在する場合には)標的核酸への迅速なハイブリダイゼーション、および検査溶液に後で導入された金属ナノ粒子との迅速な静電気的会合を可能にするのに適している任意の長さでありうる。迅速さにより、一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、オリゴヌクレオチドプローブの導入前の検査溶液における他の核酸との会合率より大きい(好ましくは少なくとも1桁)率で金属ナノ粒子と静電気的に会合しうることが意図される。例として、かつ非限定的に、一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、好ましくは約10ヌクレオチド長と約50ヌクレオチド長の間、より好ましくは約10ヌクレオチド長と30ヌクレオチド長の間、最も好ましくは約12ヌクレオチド長と20ヌクレオチド長の間である。
【0038】
一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、標的核酸にハイブリダイズするように向けられるそれらの全長またはその任意の部分をもちうる。オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸配列の一部に100パーセントまたは完全に相補的であるヌクレオチド配列を有することが好ましい。
【0039】
検査溶液に導入されるオリゴヌクレオチドプローブの量は、ハイブリダイゼーション溶液へ導入される金属ナノ粒子の総量および/または存在すると考えられる標的核酸の総量に基づいて決定されうる。
【0040】
比色アッセイ法について、オリゴヌクレオチドプローブの量は、ハイブリダイゼーション溶液に存在する金属ナノ粒子の量より少なくともわずかに多い(すなわち、1:1比より多い)ことが好ましく、より好ましくは、約10:1より多く、かつ約30:1までである。用いられるプローブおよび標的の量におけるほどよい釣り合いは、アッセイ法の最適化にとって望ましい。試料における核酸の量が合理的に推定されうる場合には、プローブ:標的の比は約0.3:1と約3:1の間であるべきである。合理的推定がなされえない場合には、濃度系列が行われうる。
【0041】
蛍光アッセイ法について、試験溶液における標的およびプローブの相対的濃度は重要ではない。その代わり、すべてのハイブリダイズしていないプローブが消光されるように、過剰の金属ナノ粒子が利用される(かつ、過剰標的は蛍光を発しない)。
【0042】
1つより多い一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが同時に利用される場合、上記で開示された同じ基準が考慮されうる。
【0043】
オリゴヌクレオチドプローブは、標準的合成手順を用いて合成されうる、またはMidland Certified Reagent Co. (Midland, Texas)およびIntegrated DNA Technologies, Inc. (Coralville, Iowa)のような商業的ベンダーから取り寄せられうる。
【0044】
比色アッセイ法について、金属ナノ粒子は、好ましくは、金属ナノ粒子のコロイド懸濁液を含む溶液の形をとって供給される。蛍光定量アッセイ法について、コロイド金属ナノ粒子は、溶液中で供給されるうるか、またはそれらは、標準的連結プロトコールを用いて固体表面(例えば、ガラス表面)上に固定化されうるかのいずれかである。コロイド金属ナノ粒子を固定化することにより、安定したコロイド金属ナノ粒子溶液を調製または供給する必要はない。商業的には、これはより望ましいアプローチであると思われる。
【0045】
金属ナノ粒子は、ナノ粒子が、適切な条件下で、一本鎖核酸分子と静電気的に会合する、または他の金属ナノ粒子と凝集する能力があることを可能にする、任意の伝導性金属または合金から形成されうる。(本発明における使用の前に、コロイド懸濁液は、実質的に凝集がない安定した環境に金属ナノ粒子を維持していることが、認識されるべきである。)重要なことには、金属ナノ粒子は、有意にはハイブリダイゼーション複合体(すなわち、二本鎖核酸分子)と静電気的に会合しない。例示的金属ナノ粒子は、限定されるわけではないが、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、白金ナノ粒子、混合金属ナノ粒子(例えば、銀コアを囲む金シェル)、およびそれらの組み合わせを含む。
【0046】
コロイド金属ナノ粒子の懸濁液は、全体が参照として本明細書に組み入れられている、Grabar et al., Anal. Chem. 67:735-743 (1995)に記載された手順を用いて形成されうる。金属ナノ粒子は、好ましくは、それらの外側表面に結合するどんなリガンドも含まない。しかしながら、それらは、例えば溶液中のクエン酸イオンにより安定化される。コロイド懸濁液は、好ましくは、約5 nmと約500 nmの間、最も好ましくは約10 nmと30 nmの間の金属ナノ粒子を含む。
【0047】
アッセイを実施するにあたって、プローブと標的の間のハイブリダイゼーションの検出は、2つの好ましいアプローチの1つにおいて達成されうる:比色的アプローチまたは蛍光定量的アプローチ。それぞれは他方を凌ぐ別個の利点をもち、要望どおりに用いられうる。
【0048】
比色アッセイ法(プローブは非標識でありうる)において、ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質は、その可視の色である。ハイブリダイゼーション溶液の色変化は、図1に示されているように、複数の金属ナノ粒子の凝集を引き起こすことによりもたらされうる。比色アッセイ法は、定量が必要でない場合、および高価な検出装置が利用できない場合において、特に有用である。ハイブリダイゼーション溶液における色変化の検出は、ユーザー(すなわち、アッセイを行う人)の肉眼観察により行われうる。
【0049】
凝集は、実体のない数のオリゴヌクレオチドプローブが金属ナノ粒子と静電気的に会合した場合のみ起こる。実質的な数のオリゴヌクレオチドプローブが金属ナノ粒子と静電気的に会合した場合には(平均して、ナノ粒子あたり約1つまたは2つより多い)、凝集は有意に阻害される。凝集(色変化)は、標的核酸が検査溶液に存在したことを示している。凝集の誘導は、塩溶液をハイブリダイゼーション溶液へ導入することにより行われうり、塩は、金属ナノ粒子の静電気的性質を変えて、それによりそれらの凝集を促進するのに十分な濃度である。塩溶液は、好ましくは、約0.01 Mと約1 Mの間、より好ましくは約0.1 Mと約0.3 Mの間のNa+濃度を含む。塩溶液のハイブリダイゼーション媒体への導入は、金属ナノ粒子を含む溶液の導入と同時にかまたはそれに相次いでかのいずれかで(約15分までの遅れをもつかまたはもたないかのいずれかで)、行われうる。
【0050】
比色アッセイ法は肉眼観察により検出されうるため、ユーザーが色における検出可能な変化についてハイブリダイゼーション溶液を調べることができるか、またはアッセイが、凝集した金属ナノ粒子を含む比較できる溶液(陰性対照)および/もしくは実質的に凝集していない金属ナノ粒子を含む比較できる溶液(陽性対照)の色を複製する1つもしくはそれ以上の対照(陽性または陰性)と並行して行われうる。
【0051】
蛍光定量的アッセイ法において、ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質は、フルオロフォアによる蛍光スペクトルまたは蛍光ピークの大きさである。フルオロフォア標識のフォトルミネセンス性質は、ハイブリダイゼーション手順を金属ナノ粒子の存在下で進行するようにさせておいた後に、検出される。ハイブリダイズしないオリゴヌクレオチドプローブは、それらのサイズに基づいて、ハイブリダイゼーション溶液において、より長い核酸分子より金属ナノ粒子と静電気的により迅速に会合するため、ハイブリダイゼーションの非存在(すなわち、標的の非存在)は、オリゴヌクレオチドプローブが1つまたはそれ以上の金属ナノ粒子と静電気的に会合した場合の蛍光標識による蛍光の実質的な消光により示される。オリゴヌクレオチドと標的核酸分子の間のハイブリダイゼーション(すなわち、標的の存在)は、金属ナノ粒子の凝集(上記と同じ様式で達せられる)後でさえも維持されるフォトルミネセンス性質により示される。これらの選択肢は、図2に示されている。蛍光定量的アッセイ法は、対象となる標的が試料においてたった1つもしくは多数の核酸鎖である場合、標的核酸の定量が望まれる場合、または複数の別個の標的核酸分子の存在が同じハイブリダイゼーション溶液内で同時に分析されることになっている(すなわち、それぞれ、それに付着した別個のフルオロフォアをもつ複数のオリゴヌクレオチドプローブを用いて)場合、高感度のために特に有用である。ハイブリダイゼーション溶液の蛍光性質の検出は、当技術分野において知られているような適切な検出装置(例えば、蛍光顕微鏡、光電子増倍管、CCDカメラ、フォトダイオードなど)を用いて達成されうる。
【0052】
蛍光定量的アッセイ法は、ハイブリダイゼーション溶液においてフルオロフォアに起因する蛍光を測定することを含むため、ユーザーは、蛍光の存在または非存在のいずれについてもハイブリダイゼーション溶液を調べることができる。対照は必要ではない。
【0053】
蛍光定量的アッセイ法は少量に対してさえも感度が高く、フォトルミネセンス性質は、精密な器械類で検出されうるため、蛍光定量的アッセイ法は、検査溶液に存在する標的核酸の量を定量するのに向いている。検査溶液に存在する標的核酸の量を定量するための1つのアプローチは、検査溶液からの結果を、それぞれが既知であるが異なる量の標的核酸を含む2つの対照溶液から得られた結果と比較することを含む。このように、フォトルミネセンス性質の測定は、検査溶液および2つの対照溶液から得られる。各溶液のフォトルミネセンスに基づいて、第一および第二対照溶液に存在する標的核酸の量に対する検査溶液における標的核酸の量を計算することが可能である。または、検査溶液における標的核酸の量は、測定された光学的性質(検査溶液からの)および標的核酸の量に対する測定された光学的(例えば、フォトルミネセンス)性質の検量線を用いて計算されうる。
【0054】
本発明のアッセイ法の重要な使用の1つは、上で述べたように、1つまたは複数の型のPCRと共である。PCRは、試料における核酸の総量を素速く増幅することができるため、しばしば、ハイブリダイゼーションに基づく検出手順と共に用いられる。本発明の重要な利点の1つは、アッセイが、サーモサイクラーに使用されるハイブリダイゼーション媒体を用いて行われうることである。しかしながら、唯一の必要条件は、PCRの産物(典型的には二本鎖cDNA)が、金属ナノ粒子を導入する前に変性されなければならないことである。具体的には、二本鎖cDNAは、オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイゼーション媒体へ導入する前または後であるが、金属ナノ粒子を導入する前に、変性されうる。二本鎖cDNAを変性しなかったことは、存在する場合であるが、いずれの標的核酸とオリゴヌクレオチドプローブの間のハイブリダイゼーションも妨げ、結果として、誤った可能性のある陰性結果を生じる。一本鎖産物を得る代替のPCR手順は、PCR産物を変性することなく用いられうる。
【0055】
本発明のアッセイ法のもう一つの重要な使用は、標的核酸分子において一塩基多型(「SNP」)を検出することについてである。これは、比色アッセイ法かまたは蛍光定量的アッセイ法のどちらが行われることになっているかに依存してわずかに異なる様式で行われる。
【0056】
基本的には、比色アッセイ法は、検査溶液および対照溶液を用いて並行して行われる。検査ハイブリダイゼーション溶液は、標的核酸分子、およびSNPを含む可能性がある標的核酸分子の領域にハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを含む。プローブは、SNPを含む領域に完全にはハイブリダイズしない(すなわち、塩基対形成がSNPと生じない)ヌクレオチド配列を含む。対照ハイブリダイゼーション溶液は、標的核酸分子、および一塩基多型を含まない標的核酸分子の領域に完全にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを含む。検査および対照のハイブリダイゼーション溶液の両方は、その後、金属ナノ粒子に曝露され、ハイブリダイゼーション溶液におけるいずれのハイブリダイズしていないプローブも金属ナノ粒子と静電気的に会合するようにさせておく。重要なことには、アッセイのこの段階中、ハイブリダイゼーション溶液は、少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの融解温度と少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの融解温度(それは完全に相補的であるため、より高い融解温度をもつ)の間である温度に維持される。行われることになっているアッセイ法(比色または蛍光定量)に依存して、検査および対照のハイブリダイゼーション溶液の光学的性質が実質的に異なるかどうかの判定がなされる。実質的な差は、標的核酸分子における一塩基多型の存在を示している。
【0057】
SNPsを検出するにおいて、第一および第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、同じヌクレオチド配列(かつ同じ長さでありうる)または異なるヌクレオチド配列を有しうる。すなわち、2つのオリゴヌクレオチドプローブは、標的核酸の同じ領域または異なる領域にハイブリダイズしうる。後者の場合には、対照溶液における標的核酸分子は、例えば、検査溶液において検出されることになっている特定のSNPを有しないことがわかっているcDNA分子である。前者の場合には、対照溶液における標的核酸分子のハイブリダイゼーション領域は、安定しており、かつSNPsを含まない(すなわち、野生型配列を含む)ことがわかっている。2つのオリゴヌクレオチドプローブのそれらのそれぞれの標的との融解温度間の差を増大させるために、対照アッセイについてのオリゴヌクレオチドプローブは、より長くありうる、またはプローブと標的の間の安定性を増強させる改変された構造(例えば、修飾塩基、バックボーンなど)をもちうる。
【0058】
蛍光定量的アッセイ法は、蛍光標識からのフォトルミネセンスの消光が始まる時にハイブリダイゼーション溶液の温度が測定される(すなわち、温度を、消光が始まるまでゆっくり低下させる)ことを除けば、実質的には上記のように行われる。測定された温度は、プローブと標的核酸の間の融解温度を表す。この測定された融解温度は、その後、完全に相補的なプローブの既知の融解温度(この測定は、市販キットで提供されうるかまたは並行してアッセイを行うことにより測定されうるかのいずれかである)と比較される。融解温度間の差は、標的核酸分子における一塩基多型の存在を示している。
【0059】
本発明のアッセイ法のさらにもう一つの重要な使用は、試料において病原体の存在を検出することについてである。基本的に、試料を得て(例えば、組織試料、食物試料、水試料など)、試料から核酸を単離する。核酸、RNAまたはDNAのいずれかを単離したならば、そのアッセイ法を用いる検出を可能にするのに十分な試料が存在しているかどうか、またはPCRもしくはRT-PCRが単離された核酸を増幅するのに必要であるかどうかに関して評価がなされうる。このように、増幅は必要である場合もあるし、必要でない場合もある。例えば、試料から単離された全RNAは、RT-PCRなしで進行するのに十分な量でありうる;一方で、試料から単離された全DNAは、増幅を必要としうる。とにかく、本発明のアッセイ法が行われ、ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質(色または蛍光強度)が測定または評価されて、病原体の存在を示す、一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたかどうかを判定する。
【0060】
本発明のアッセイ法のさらにもう一つの重要な使用は、遺伝学的スクリーニングについてである。基本的に、試料を患者から得て、試料から核酸を単離する。遺伝学的スクリーニングは、典型的にはDNA単離および分析を含むため、典型的には(必ずしもではないが)、増幅を必要とする。とにかく、本発明のアッセイ法が行われ、ハイブリダイゼーション溶液のフォトルミネセンス性質が測定または評価されて、一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたかどうかを判定し、遺伝学的疾患、遺伝性疾患についての遺伝子マーカーの存在を示す(例えば、父性、母性、同系性など)、または生物体を同定する。
【0061】
本発明のアッセイ法のさらなる使用は、試料におけるタンパク質または抗体の検出である。免疫PCRは、標的とされるタンパク質が試料に存在している場合のみcDNA増幅を与えることができる手順である。従って、本発明のアッセイ法は、免疫PCRの増幅検出手順と連結されて、ハイブリダイゼーション媒体における増幅されたcDNA、およびそれに伴って試料における標的タンパク質、の存在を確認することができる。基本的には、試料を得て、試料を用いて免疫PCRを行い、免疫PCRは、結果として、タンパク質に連結している核酸の増幅を生じる。その後、本発明のアッセイ法が行われ、タンパク質に連結している核酸(またはそれの相補体)が本発明の比色または蛍光定量的アッセイ法の標的となる。
【0062】
本発明のアッセイ法のさらなる使用は、ポリメラーゼ連鎖反応(または類似した増幅手順)により調製された増幅核酸の量を定量することである。基本的には、それぞれが、増幅されることになっている核酸分子またはそれの相補体にハイブリダイズする能力があるヌクレオチド配列を有する、1つまたはそれ以上の、および好ましくは2つまたはそれ以上の蛍光標識されたオリゴヌクレオチドプライマーが供給される。プライマーを用いる増幅は、標的核酸分子および/またはそれの相補体、ならびに供給された蛍光標識オリゴヌクレオチドプライマーを用いる様々な公知の増幅手順(ポリメラーゼ連鎖反応のような)のいずれかを用いて行われる。その後、本発明の蛍光定量法が、増幅手順が行われた後に得られた試料上で行われる。試料から検出される蛍光のレベルは、増幅された核酸分子へ組み入れられたプライマーの量を示している。増幅が続く(および、より長い増幅された配列へより多いプライマーが組み入れられる)につれて、与えられた試料からの蛍光の量は、より長い核酸が金属ナノ粒子に静電気的に会合する率の低下により増加するはずである。他方、伸長されないプライマーは、金属ナノ粒子に迅速に会合し、結果として、それらに付着した標識による蛍光の消光を生じる。
【0063】
本発明のさらなる局面は、本発明のアッセイ法を実施するために用いられうる1つまたは複数の型のキットに関する。キットは、他にも構成要素はあるが、金属ナノ粒子のコロイド溶液を含む第一容器、および標的核酸分子に実質的に相補的であるヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを含む水溶液を含む第二容器を含みうる。行われるアッセイ法(比色または蛍光定量)に依存して、第二容器におけるオリゴヌクレオチドプローブは、上記の型の蛍光標識に連結している場合もあるし、連結していない場合もある。蛍光定量的アッセイ法および複数の標的間を識別する能力について、第二容器は、任意で、追加のオリゴヌクレオチドプローブ(同じまたは異なる標的核酸分子へ向けられる)を含みうり、それぞれが別個の蛍光放射パターンをもつ。前記の容器および構成要素に加えて、比色アッセイ法のための対照溶液、塩溶液を含む容器、および様々な使用説明書もまた提供されうる。
【0064】
実施例
以下の実施例は、本発明の態様を例証するために提供されるが、決して、それの範囲を限定することを意図されるものではない。
【0065】
実施例1についての材料および方法
HAuCl4のクエン酸還元により合成された約13 nm直径の金ナノ粒子のコロイド溶液(Grabar et al., Anal. Chem. 67:735-743 (1995)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)を用いた。コロイド溶液の濃度は、典型的には17 nMであった。凍結乾燥されたオリゴヌクレオチド配列およびそれらの相補体をMWG Biotech (High Point, NC)から購入し、10 mM リン酸緩衝溶液に溶解した。典型的には、プローブおよび標的の試みられるハイブリダイゼーションは、0.3 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝溶液において室温で5分間、行われた。特定の塩濃度は、実験によって変わり、図面の説明で示されている。試験ハイブリダイゼーション後、試験溶液を金コロイドと混合し、すぐに続いて、塩/緩衝溶液の追加を行った。
【0066】
試料は、水を参照として、Perkin Elmer UV/VIS/NIRスペクトロメーターLambda 19を用いて吸収スペクトルを記録するために5 mm路長をもつ水晶キュベットに置かれた。蛍光スペクトルおよび強度対時間について、MWG Biotech(High Point, NC)から購入された色素標識オリゴヌクレオチドが用いられた。1 cm路長をもつ水晶セルにおける溶液は、前面収集幾何学的配置および4 nm 分解能をもつJobin-Yvon Fluorolog-3スペクトロメーターにおいて研究された。共鳴ラマンスペクトルが、これらの色素標識オリゴヌクレオチド上で、定常状態532 nm 励起、およびレイリー散乱を拒絶するためのポログラフィックノッチフィルターをもつOcean Optics CCDアレイによる検出で、取られた。分解能は、約10 cm-1であった。写真は、Canon S-30デジタルカメラで撮られた。
【0067】
実施例1 − 金ナノ粒子の、二本鎖核酸と比較した、優先的な一本鎖核酸の吸着
色素タグ付きss-DNAと金ナノ粒子との間の優先的相互作用についての直接的証拠は、図4A〜Bに図示されている。色素タグ付きss-DNAは金上に吸着するが、ds-DNAは吸着しないという事実は、色素タグ付きss-DNAかまたは色素タグ付きds-DNAのいずれかを含む溶液へコロイド金を添加することの効果を通して見られうる。色素タグ付きss-DNAの場合、色素フォトルミネセンスの消光および色素からの共鳴ラマン散乱の増大が観察された。これらの両方とも、金プラズモンとの電子的相互作用の効果であるため、色素と金の間の密接した接触を必要とする。
【0068】
図5Aは、ss-DNAまたはds-DNAおよび塩/緩衝液溶液の添加前および後のコロイドのスペクトルを示している。通常には、塩への曝露は、反発相互作用を遮蔽し、コロイド凝集を引き起こす(Hunter, Foundations of Colloid Science, Oxford University Press Inc., New York (2001); Shaw, Colloid and Surface Chemistry, Butterworth-Heinemann Ltd., Oxford (1991)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。明らかに、金ナノ粒子に基づいたss-DNAの吸着は、塩を導入された場合の凝集に対してコロイド金粒子を追加的に安定化させる。従って、適当量のss-DNAを含む溶液は、凝集を防ぎ、金コロイドはピンク色のままであるが、ds-DNAを含む溶液は、凝集に影響を及ぼさず、溶液は青色に変化する。おそらく、これは、表面をより負に帯電しているように出現させる電荷の再分布を扱わなければならない。ラマン研究は、ss-DNAがクエン酸イオンに取って代わらないことを示唆している。
【0069】
図5Bは、2つのss-DNAについて同じデータの濃縮型を図示し、どのように色がss-DNAの量に依存するかを実証している。顕著には、金ナノ粒子あたりほんのわずかのss-DNAを含む溶液は、ナノ粒子の表面積が数百個のss-DNA 24マーを収容するのに十分であるという事実にもかかわらず、明らかに異なる吸収スペクトルをもつ。十分なss-DNAで、コロイドはピンク色のままであるが、ds-DNAを形成しうる試験溶液のハイブリダイゼーションは青っぽいコロイドへ導く(図5C)。実際的見地から、これは、与えられた試料が図1に描かれたプロトコールの筋道に沿って一本鎖DNAを含むかまたは二本鎖DNAを含むかを判定するアッセイ法の設計を可能にする。方法の極めて重要な特徴は、ハイブリダイゼーションが最適化条件(pH、塩および緩衝液濃度)下で標識無しのオリゴヌクレオチドで行われうり、検出段階から完全に独立していることである。また、標的とプローブとの間の濃度ミスマッチについて、それらの比率が0から1まで異なる溶液を用いることにより何が起きるかが調べられた。結果(図5C)は、技術が、標的の存在を検出するそれの能力において驚くほど頑健であることを証明している。較正された比色測定法は、標的の量を定量的に判定するのに用いられうる。
【0070】
同様に、分析物溶液がプライマーおよび他の断片が存在しているところのポリメラーゼ連鎖増幅の産物に見出されうるようなオリゴヌクレオチド配列の混合物を含む場合が、考えられうる(Rolfs et al., PCR: Clinical Diagnostics and Research, Springer-Verlag, Berlin Heidelberg (1992)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。図6Aは、標的配列の様々な画分と混合されたオリゴヌクレオチド分析物についての結果を図示しており、30%の標的でも容易に検出されることは明らかである。濃度ミスマッチに類似した状況は、標的およびプローブの配列が相補的であるが、異なる長さをもつ場合に起こる。その場合、ハイブリダイズした鎖の一部がss-DNAの静電気的性質をもつように見え、一方、他の部分は二本鎖のように見える。定性的には、結果は、完全な長さの一致をもつものと類似しており、比較的長い長さの差(5〜10塩基対のオーダーにおける)をもつハイブリダイズしたプローブ鎖と標的鎖さえも、二本鎖としてふるまう。
【0071】
金ナノ粒子の非常に高い吸光係数(Doremus, J. Chem. Phys. 40:2389-2396 (1994)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)は、比色法を極めて高感度にさせる。17 nM 濃度において(Grabar et al., Anal. Chem. 67:735-743(1995)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)、1 cm路長は、単一体に近い光学密度を提供する。経験的には、100フェムトモル未満の金粒子を含む5 μL 液滴において色を視覚的に同定することは容易である。図5Bは、ナノ粒子濃度よりわずかだけ大きいss-DNA濃度が、塩に曝露された場合の凝集に対してコロイドを安定化させるのに十分であることを図示している。従って、器械類なしに、オーダー100フェムトモルのss-DNAとds-DNAの量の間を識別しうることが期待されるものと思われる。ナノ粒子あたりたった1つまたは2つのss-DNA鎖の吸着が金の表面積のうちのほんの少しを覆っているとしても、クエン酸コーティングにおける電荷の再配列を通してナノ粒子の周りに分布する正味の負電荷を加えるように見える。上の推論と一致して、4.3 nMの標的濃度(図6B)または60フェムトモルほどの標的の総量(図6C)が容易に可視的差を生じる。色を評価するために吸収スペクトロメーターを利用することは、感度において少なくとも1桁の向上が生じるはずであり、光熱偏向のような吸収を測定するための零位法の使用は、なおさらに感度を増大させるものと思われる(Jackson, Applied Optics 20:1333-1344 (1981)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。
【0072】
方法は、生物学的に重要な一塩基多型の検出に必須であるプローブと標的の間の一塩基対ミスマッチを同定するように容易に適応する(Rolfs et al., PCR: Clinical Diagnostics and Research, Springer-Verlag, Berlin Heidelberg (1992)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。ds-DNAのss-DNA断片への解離の速度式は結合強度に依存し(Owczarzy et al., Biopolymers 44:217-239 (1997); Santalucia et al., J. Am. Chem. Soc. 113:4313-4322 (1991)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)、それゆえに、ミスマッチしたds-DNA(ds'-DNA)については、完全にマッチしたds-DNAについてより速いという事実が利用された。試験溶液由来のds-DNAを、金コロイドおよび塩/緩衝溶液を加える前に、塩を含まない水において短時間だけ脱ハイブリダイズするようにさせておいた。アッセイを行う2分前まで待って、完全にマッチしたds-DNAセグメント
およびそれの相補体)と一塩基対ミスマッチしたds-DNAセグメント
との間で明らかな色の違いが観察された(図6D)。脱ハイブリダイゼーションはまた、単に緩衝/塩溶液の導入を遅らせるだけで、金コロイド溶液においてなされうるが、ds-DNAは、水においてよりコロイド溶液において安定であることが見出され、金コロイドにおいて10分後、アッセイにより判定された場合、有意な脱ハイブリダイゼーションはなかった。一塩基対ミスマッチしたDNAセグメントは、5分後に明らかな脱ハイブリダイゼーションを示した。オリゴヌクレオチド溶液および金コロイドの混合物を、緩衝/塩溶液と混合する前に1分間または2分間、超音波にかけることは、脱ハイブリダイゼーションを加速し、ds-DNAとds'-DNAの間の優れた対比を与えた(図6E)。
【0073】
ss-DNAおよびds-DNAは、それらの静電気的性質により金ナノ粒子上に吸着する異なる性向をもつことが実証された。これは、市販されている材料のみを用いる、10分もかからない、検出装置を必要としない、一塩基ミスマッチに対して感受性がある、かつ濃度または長さミスマッチの適度な寛容性がある、オリゴヌクレオチド認識アッセイ法を設計するために用いられた。記載されたアッセイ法は、それの速さおよび平易さのほかにさらなる利点をもつ。DNAの静電気的性質を利用しうる能力のため、ハイブリダイゼーションは検出から分離されるので、DNA結合の動力学および熱力学は、プローブの官能性をもたせた表面に関連した立体的束縛によりかき乱されない。さらに、アッセイ法は、もっぱら液相で起こるため均一で、マイクロウェルプレートの標準的ロボット操作を用いて自動化するのを簡単にさせる特徴をもつ。ss-DNAを金粒子上に異なって吸着する能力はまた、分析物のタグ付けをなおも避ける、蛍光に基づいた感度の高いアッセイ法の基礎を形成しうる。プローブ鎖上に組み入れられた蛍光色素に関して、ss-DNAの蛍光は、蛍光が消光される金ナノ粒子近くにあるように色素を強要するため、図4Aのように選択的に消光されうる(Dubertret et al., Nature Biotechnol. 19:365-370 (2001); Du et al., J. Am. Chem. Soc. 125:4012-4013 (2003)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。しかしながら、タグ付きのプローブss-DNAが標的に結合する場合には、そのds-DNAは金に吸着せず、蛍光は持続する。
【0074】
実施例2〜6についての材料および方法
13 nmをもつ金粒子は、HAuCl4の還元により合成された(Gradar et al., Anal. Chem. 67:735-743 (1995)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。簡単には、1 mM HAuCl4の500 mLを激しく撹拌しながら、沸き返るほど沸騰させた。38.8 mM クエン酸ナトリウムの50 mLを素速く溶液に添加し、沸騰を10分間、続けた。その後、加熱マントルを除去し、撹拌をさらに15分間、続けた。
【0075】
すべてのオリゴヌクレオチドは、MWG Biotech, Inc. (High Point, NC)から購入され、さらに精製することはなかった。プローブは、0.3 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝溶液において、室温または適切な温度で5分間より多く、標的とハイブリダイズする。
【0076】
実施例2に用いられるプローブおよび標的は以下のとおりである:
ローダミンレッド標識プローブ:
;
および標的核酸:
。
【0077】
実施例3および4に用いられるプローブおよび標的は以下のとおりである:
ローダミンレッド標識プローブ:
;
相補性標的A:
;
相補的標的B:
;および
非相補的標的C:
。
【0078】
実施例5に用いられるプローブおよび標的は以下のとおりである:
ローダミンレッド標識プローブ:
;
相補的標的A':
;および
相補的標的B':
。
【0079】
実施例6に用いられるプローブおよび標的は以下のとおりである:
ローダミンレッド標識プローブ1:
;
相補的標的1:プローブ1の相補体;
Cy5標識プローブ2:
;
相補的標的2:プローブ2の相補体;および
非相補的標的:
。
【0080】
ハイブリダイズした溶液の画分を、17 nM 金コロイド溶液の500 μLに加え、特定の説明がない場合には、0.1 M 食塩水 10 mM リン酸緩衝溶液のもう500 μLを加えた。この混合物の蛍光は、蛍光計または蛍光顕微鏡のいずれか、およびカメラを用いて直ちに記録された。蛍光スペクトルは、570 nmでの励起で蛍光計で測定され、特定の説明がない限り4 nm帯域に設定されたスリットで585 nmから680 nmまでの発光範囲が与えられた。蛍光画像は、ノッチフイルターおよび狭い帯域干渉フィルターを備えた蛍光共焦点顕微鏡で記録された。蛍光は、532 nm レーザー源により励起された。
【0081】
実施例2 − 色素タグ付きの一本鎖DNAおよび二本鎖DNAの示差的蛍光消光
5'末端に共有結合性に付着したローダミンレッド蛍光色素で標識されたDNAオリゴヌクレオチドがプローブとして用いられた。プローブのμM溶液の数マイクロリットルを、0.3 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝液における試験ハイブリダイゼーションとしての標的配列に曝露した。ハイブリダイゼーション溶液をコロイド金懸濁液に加え、ds-DNAを安定化させるのを補助するためにさらにリン酸緩衝食塩水を加えた。
【0082】
図7Aは、相補的および非相補的標的を含む試験溶液からのフォトルミネセンスを比較する測定の結果を図示している。ハイブリダイズしていないプローブは金ナノ粒子上に効率的に吸着して、それらの蛍光が消光されるため、100:1より大きい蛍光対比が観察された。吸着機構は、上の実施例1に考察されているように、完全に静電気性である。吸着および付随した蛍光消光は不可逆性である。
【0083】
試験ハイブリダイゼーション溶液および塩の金コロイドへの添加は、最終的にコロイドの凝集を引き起こす。後者は沈殿へ導くので、ナノ粒子は、もはやプローブ蛍光の有効な消光剤ではない。コロイドを安定化させるために関連していないss-DNA鎖を用いることにより二重鎖を満足させるのに十分な塩での条件下で凝集からコロイドを保護することが可能である。しかしながら、図7Aのデータは、蛍光測定が約15分間以内になされる限り、これは必要ではないことを図示している。
【0084】
溶液の比較的大きな容量が典型的蛍光計に必要とされるため、同じ測定プロトコールを用いる方法の感度を評価することは実際的ではない。図7Bは、たった0.1フェムトモルの標的を含む溶液の非常に小さいアリコートの蛍光を測定することを図示しており、これは、蛍光顕微鏡およびカメラで容易に検出される。方法は本質的に零位法であるため、それが、標的オリゴヌクレオチドの10コピー(0.1アトモル)より少ないところまで下がっての比較的簡単な蛍光検出に用いられうることは理にかなっている(Cao et al., Science 297:1536-1540 (2002)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。
【0085】
実施例3 − 長い標的配列への適用
ゲノム分析について、合成されたオリゴヌクレオチドよりずっと長いDNA標的上で特定の配列を検出することが望ましい。これらは、臨床試料から直接的に、またはPCRを用いて増幅された試料から引き出されうる。図8Aは、長い標的の部分へのマッチを検出するための原理の証明である。標的の大きな部分が一本鎖のままであり、かつおそらくss-DNAの静電気的性質をもつと思われるという事実にもかかわらず、アッセイ法は、これらの長い標的が短い色素タグ付きプローブに相補的な配列を含むかどうかを判定するために用いられうる。この場合、吸着および消光が観察されない理由は、本明細書の実施例7に述べられているように、長いss-DNA配列は、よりずっとゆっくりした速度で金ナノ粒子上に吸着することである。従って、技術は、短い色素タグ付きプローブ(<25マー)が用いられる場合、最も実際的である。
【0086】
実施例4 − 標的配列の混合物への適用
アッセイ法の唯一の必要条件は、分析物において標的配列にハイブリダイズしないss-DNAプローブが金に吸着し、消光されることであるため、唯一の制約は、コロイド金の量がすべてのプローブDNAを吸着するのに十分でなければならないことである。それゆえに、アッセイ法は、図8Bのデータにより実証されているように、DNAオリゴヌクレオチドの複合混合物においてさえも標的鎖が存在するかどうかを判定するように働きうる。その場合、標的配列の存在を検証するために、1%相補的標的が99%非相補的標的と混合された。感度と共に、アッセイ法の混合物に対する寛容性は、それがPCRによる標的増幅なしに用いられる可能性を与える。
【0087】
実施例5 − 一塩基ミスマッチ検出
完全にマッチした対照を導入し、ストリンジェント性試験でその2つを比較することにより一塩基ミスマッチを検出するように技術を適応させることは簡単である。例証的目的のために、一塩基だけ異なる2つの異なる標的配列が用いられた。これらのうちの1つは、色素タグ付きプローブと完全にマッチする。唯一の手順の違いは、2つの試験ハイブリダイゼーション溶液を金コロイドへ導入する前に、それらは、46℃、ミスマッチについての融解温度より上でかつ完全マッチについてのより下である温度、で5分間、それぞれ維持されることである。ミスマッチした鎖は脱ハイブリダイズし、それにより、蛍光が消光されうる一本鎖プローブを放出する。ミスマッチをもつ試料は、それゆえに、完全にマッチした標的よりずっと少ないフォトルミネセンスを示す。図9は、中間部分においてプローブに相補的な一つの長い標的、および1つの末端においてプローブに相補的なもう一つの長い標的による検出を示している。この手順は、ゲノムDNAにおける一塩基多型の迅速な検出に適用でき、現在、標準的プロトコールである時間のかかる高価なゲルシーケンシング手順を排除することへの興奮するような将来的展望があると思われる(Rolfs et al., PCR: Clinical Diagnostics and Research, Springer-Verlag, Berlin Heidelberg (1992)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。実際には、もちろん、2つの異なるプローブ鎖配列を用いて、野生型配列に相補的なプローブを、標的にされた位置に一塩基ミスマッチをもつものと比較するものと考えられる。
【0088】
実施例6 − 同時的複数標的検出
示差的消光アッセイ法はまた、単一の標的上のいくつかの配列またはいくつかの標的を同時に探すように多重化されうる。図10は、2つの異なる色素をもつ2つの異なるプローブが標的の混合物とハイブリダイズするこれを図示している。分光器による検出が用いられる場合には、このアプローチを、通常の色素をもつ5つまたは6つの標的まで、および鮮明な発光を有する半導体ナノ粒子フルオロフォアをもつよりいっそう多くまで拡大することを想像するのは妥当と思われる。これは、もちろん、これらが、方法の基礎である絶対必要な静電学を混乱させないことを前提とする。
【0089】
要約すれば、これらの実験は、ss-DNAおよびds-DNAの静電気的性質における違いに基づいたDNA配列認識のための簡単なアッセイ法を実証している。特定の塩濃度について、ss-DNAはクエン酸コーティング化金ナノ粒子上に吸着するが、ds-DNAは吸着せず、この事実は、色素タグ付きss-DNAプローブの蛍光を区別して消光するために利用されうる。方法は標的修飾を必要としない、ただ市販されている材料を用いる、オリゴヌクレオチドの混合物を含む分析物について働く、および一塩基ミスマッチの検出に適用されうる。おそらく、アプローチの最も魅力的な特徴は、それの速度である。ハイブリダイゼーション段階は最適化条件下の溶液中で起こり、検出段階から分離されているため、全体のアッセイは10分未満内に完了されうる。DNAオリゴヌクレオチドの0.1フェムトモル未満に対する感受性が実証されたが、方法はほぼ零位法であり、蛍光検出に頼っているため、数桁、これを向上させることはおそらく可能である。方法が病原体検出、SNPsの臨床的分析および生体分子研究への適用への大いなる見込みをもつことが考えられる。
【0090】
実施例7〜9についての材料および方法
すべての合成されたオリゴヌクレオチドは、MWG Biotech, Inc. (High Point, NC)から購入され、さらに精製することなく用いられた。
【0091】
金ナノ粒子のコロイド溶液は、Grabar et al., Anal. Chem. 67:735-743 (1995)(全体が参照として本明細書に組み入れられている)に記載された手順に従って合成された。簡単には、1 mM HAuCl4(Alfa Aesar, Ward Hill, MA)の250 mLを撹拌しながらそれの沸点まで加熱した。38.8 mM クエン酸ナトリウム(Alfa Aesar, Ward Hill, MA)の25 mLを沸騰溶液に素速く添加し、同時にもう15分間、溶液を煮沸かつ撹拌し続けた。溶液を室温まで冷却し、使用のために無期限に保存することができる。
【0092】
この研究におけるすべての写真は、Canon PowerShot S30デジタルカメラで記録された。吸収スペクトルは、Perkin Elmer UV/VIS/NIRスペクトロメーターラムダ19で記録された。2 mmまたは5 mm路長をもつ水晶セルが用いられ、水が参照として用いられた。蛍光スペクトルおよび強度対時間は、それぞれ、4 nm帯域に設定されたスリットを以て、570 nmでの励起および590 nmでの発光でJobin-Yvon Fluorolog-3スペクトロメーターで記録された。1 cm路長および前面収集をもつ水晶セルが蛍光測定のために用いられた。
【0093】
実施例7 − ss-DNAの金ナノ粒子への吸着に対するオリゴヌクレオチドプローブ長および温度の影響
ss-DNAの金ナノ粒子凝集への効果を研究するために、300 μL 金コロイドを、0.2 M NaClを含む10 mM PBSの10 μLにおける300ピコモル24マーss-DNA
と混合し、その後、0.2 M NaClを含む10 mM PBSの100 μLを添加した。比較のために、100 μL 脱イオン水を、0.2 M NaCl含有10 mM PBSの100 μLと、300 μL 金コロイドと、別々に、混合した。吸収スペクトルは、2 mm路長のセルで記録され、混合物の写真が撮られた。スペクトルは経時的に安定している。
【0094】
配列長依存性のss-DNAの金ナノ粒子への吸着を調べるために、5'末端にローダミンレッドタグをもつ2 μL(2 μM)ss-DNAを13 nm金コロイドの1000 μLへ加えた。ss-DNA配列は、10マー
、24マー
および50マー
であった。蛍光強度対時間は、蛍光計で記録された。
【0095】
ss-DNA吸着の温度依存性を研究するために、2 μL(100 μM)50マーss-DNAおよび13 nm 金コロイドの300 μLを22℃、45℃、70℃および95℃まで、それぞれ、2分間、加熱した。0.2 M NaClを含む22℃における10 mM PBSの300 μLの溶液をすぐに加え、吸収スペクトルを5 mm路長セルで測定した。
【0096】
短いおよび長いss-DNA混合物の吸着を研究するために、2 μM ローダミンレッド標識15マー
の4 μLを、試験ハイブリダイゼーションのために、0.3 M NaCl(2 μM濃度における4 μL)を含む10 mM PBSにおける3つの異なる50マー(配列下記)のそれぞれと混合した。
【0097】
中央において15マーに相補的な
;
末端において15マーに相補的な
。
15マーに非相補的な
。
ハイブリダイゼーションのための5分後、各溶液を、13 nm 金コロイドの1 mL、および0.1 M NaClを含む10 mM PBSの追加の0.4 mLと混合し、その結果生じた蛍光スペクトルを蛍光計で記録した。300 μL 金コロイド、6 μL(20 μM)ハイブリダイズしたDNA溶液および0.2 M NaClを含む10 mM PBSの300 μLの混合物の色写真を、非標識の同じ配列の15マーなしでCanon S-30カメラで撮った。
【0098】
金コロイドの色は、懸濁液におけるナノ粒子の凝集の程度に対して非常に感度が高く(Quinten et al., Surf. Sci. 172:557 (1986); Lazarides et al., J. Phys. Chem. B 104:460 (2000); Storhoff et al., J. Am. Chem. Soc. 122:4640-4650 (2000)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)、凝集は、塩のような電解質で容易に引き起こされうる(Hunter, Foundations of Colloid Science, Oxford University Press Inc., New York (2001); Shaw, Colloid and Surface Chemeistry, Butterworth-Heinemann Ltd., Oxford (1991)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。この現象は、吸収分光分析法または視覚的観察により容易にモニターされうる。水溶液中の金ナノ粒子(直径13 nm)は、負に帯電したクエン酸イオンのコーティングにより凝集に対して安定化される(Bloomfield et al., Nucleic Acids: Structures, Properties, and Functions, University Science Books, Sausalito, California (1999)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。個々の粒子として、金ナノ粒子は、520 nmに表面プラズマ共鳴吸収ピークをもち(図11A:赤色)、ピンク色に見える(図11A、挿入写真:左バイアル)。金ナノ粒子の即時の凝集は、十分な塩が加えられ、イオンコーティング化金ナノ粒子間の静電気的斥力を遮蔽する場合に起こる。結果は、広い特色のない吸収スペクトル(図11A:青色)、および金ナノ粒子凝集体の表面プラズマ共鳴に特有な青灰色(図11A、挿入写真:中央バイアル)である(Quinten et al., Surf. Sci. 172:557 (1986); Lazarides et al., J. Phys. Chem. B 104:460-467 (2000); Storhoff et al., J. Am. Chem. Soc. 122:4640-4650 (2000)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。
【0099】
他の状態では凝集を引き起こす塩の添加の前に十分なss-DNAが金コロイドへ加えられている場合には、塩はもはや、金ナノ粒子の凝集を引き起こさないことが見出された。これらの環境下において、金コロイドはそれの吸収スペクトルおよび色を保持する(図11A:緑色および挿入写真:右バイアル)。コロイドの安定化についての理由は、オリゴヌクレオチドが吸着し、斥力を増大させる金ナノ粒子へ負電荷を加えることである。この主張は、ローダミンレッドタグ付きss-DNAを用いる蛍光消光実験により確認される(図11B)。オリゴヌクレオチドが金ナノ粒子に吸着する場合、色素の金への近接に伴って、蛍光消光へ導く(Maxwell et al., J. Am. Chem. Soc. 124:9606-9612 (2002); Dubertret et al., Nat. Biotech. 19:365-370 (2001)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。蛍光消光実験はまた、吸着速度が配列長に依存し、より短い配列が金ナノ粒子にずっとより速く貼り付く(図11B)ことを示す。さらに、温度上昇は結果としてより速い吸着を生じることが見出されている(図11C)。図11A〜Dにおけるデータから推測される金ナノ粒子上へのss-DNA吸着および金ナノ粒子凝集の両方とも不可逆性である。
【0100】
負に帯電した金ナノ粒子上へのss-DNAの吸着は、ss-DNAが、それの天然の立体配置において、らせん状に巻かれて、親水性の負に帯電したリン酸バックボーンが水溶液に最も多く曝露されている(Bloomfield et al., Nuclei Acids: Structures, Properties, and Functions, University Science Books, Sausalito, California (1999)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)ということからの一般の通念(Maxwell et al., J. Am. Chem. Soc. 124:9606-9612 (2002); Graham et al., Angew. Chem. Int. Ed. 39:1061 (2000)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)とは正反対である。ss-DNAが金ナノ粒子へ貼り付くという事実、加えて配列長および温度への依存性は、コロイド科学の理論から導かれる単純な絵で説明されうる(Hunter, Foundations of Colloid Science, Oxford University Press Inc., New York (2001); Shaw, Colloid and Surface Chemistry, Butterworth-Heinemann Ltd., Oxford (1991)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。金ナノ粒子およびss-DNAの両方は、溶液から対イオンを引きつけ、図12に概略的に描いているように電子二重層により十分説明される。あらゆる場合において、オリゴヌクレオチドとナノ粒子の間に引力のファンデルワールス力がある。静電気力は二極性相互作用によるものであり、ss-DNAの立体配置および配向に依存する。一時的な構造的揺らぎが、ss-DNAの短いセグメントがほどけるのを可能にし、塩基が金ナノ粒子に直面する時、静電気力の引力が、ss-DNAを不可逆性に金へ吸着させる。必須の揺らぎは、短い配列において、らせん状に巻かれた形態を強制しうる残っている鎖がほとんどないため、より広く行き渡る。これゆえに、短いss-DNAオリゴヌクレオチドがより速く吸着する。同様に、温度の上昇は、塩基を露出させ、らせん状に巻かれた構造をほどいて吸着をより速くさせる揺らぎを促進する。温度の上昇はまた、より長いDNA鎖における二次構造を壊すように働き、それにより図12の幾何学的配置により容易に到達できるようにさせるものと思われる。
【0101】
長さ依存性吸着は、典型的には大きさで数百個の塩基対であるPCR増幅されたDNA配列の検出に適切なアッセイ法を開発するために利用されうる(Reed et al., Practical Skills in Biomolecular Sciences, Addison Wesley Longman Limited, Edinburgh Gate, Harlow, England (1998); Walker et al., Molecular Biology and Biotechnology, The Royal Society of Chemistry, Thomas Graham House, Cambridge, UK (2000)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。短いオリゴヌクレオチド「プローブ」は、これらが長い鎖にハイブリダイズする場合、それらが金ナノ粒子上に迅速には吸着しないという考えで設計されうる。それゆえに、プローブと長い鎖の部分との間に配列マッチがある場合、それらは、塩で引き起こされる凝集およびそれに伴った色変化を防ぐことができない。または、短いプローブが蛍光標識されている場合には、それらの蛍光は、それらが長い標的鎖へのハイブリダイゼーションにより「縛り付けられて」いない限り、金ナノ粒子上への吸着により消光される。図11Dは、合成50塩基オリゴヌクレオチド標的およびローダミン標識15塩基プローブでのこれらのアッセイのそれぞれについて原理の証明を図示している。
【0102】
実施例8 − PCR増幅された標的cDNAの検出
University of Rochester Medical CenterのMing Qi博士から入手されたゲノムDNAは、PCR鋳型として用いられた。プライマーは合成されたオリゴヌクレオチド
であった。QT延長症候群を示すKCNE1遺伝子の特定の領域を、Promega PCRマスターミックス(Promega, Madison, WI)において、Tag DNAポリメラーゼで、95℃で5 min;95℃で30s、56℃で30sおよび72℃で30sの35サイクル;72℃で10 min、増幅し、その後、4℃に保ち、189 bp PCR産物を生じた。
【0103】
これらのモデル実験後、PCR増幅DNAの分析において発生する重要な問題を扱う簡単な比色アッセイ法が設計された。第一に、増幅DNAが所望の配列を含むかどうかを、プローブとのハイブリダイゼーションを評価することにより確かめることができる。第二に、増幅された配列においてSNPsを同定することが簡単である。すべての実験は、さらに精製することなく、臨床診断実験室から得られたPCR産物において行われる。探索される配列は、QT延長症候群と呼ばれる致命的心不整脈の患者研究において採取されたゲノムDNAから得られる(Priori et al., J. Interv. Card. Electr. 9:93 (2003)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。この疾患は、KCNE1遺伝子における突然変異と関連していた(Splawski et al., Circulation 102:1178-1185 (2000)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。
【0104】
PCR増幅された配列における点突然変異についての現行のアッセイ法は、時間のかかる手順、高価な器械類または両方を含む(Reed et al., Practical Skills in Biomolecular Sciences, Addison Wesley Longman Limited, Edinburgh Gate, Harlow, England (1998); Walker et al., Molecular Biology and Biotechnology, The Royal Society of Chemistry, Thomas Graham House, Cambridge, UK (2000); Rolfs et al., PCR: Clinical Diagnostics and Research, Springer-Verlag, Berlin Heidelberg (1992)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。方法は、適切な配列の増幅、およびそのPCRを行うために用いられた同じサーマルサイクラーでのSNPsについての試験結果を検証するのに10分もかからない。所望の配列の増幅を確認するために、図13Aに概略的に図示されたプロトコールに従った。プライマーより低い融解温度をもつ、所望のPCR産物に相補的な配列を有する2つのss-DNAプローブが選択され、これらをPCR産物溶液へ加えた。PCR増幅されたds-DNAは95℃で脱ハイブリダイズし、ss-DNAを生じる。これらの混合物は、プローブがPCR増幅配列と、存在している場合には、ハイブリダイズできるように、プローブの融解温度より下でアニールされる。同時に、消費されなかったプライマーもまた、それらがプローブのより高い融解温度をもつため、PCR産物に結合する。PCR過程自身においてのように、PCR増幅された相補体の再ハイブリダイゼーションからの結合位置の競合は、それが立体的理由でより遅いので、無視してよい。金コロイドがこの混合物に曝露される場合、プローブが増幅されたDNA標的にハイブリダイズしたならば、ハイブリダイゼーション溶液における塩は、即時に金ナノ粒子凝集および色変化を引き起こす(図13B、左バイアル)。PCR産物がプローブに相補的でない、またはPCR増幅が全く失敗している場合、プローブは金ナノ粒子へ吸着し、凝集を防ぐ(図13B、右バイアル)。
【0105】
実施例9 − PCR増幅された標的cDNAの配列検出および一塩基対ミスマッチ検出
配列検出について、修飾されていないPCR産物の8 μLを、0.3 M NaClを含む10 mM PBSに2つの相補的プローブかまたは2つの非相補的プローブのいずれかを含む1 μM プローブ溶液の6 μLと混合した。5分間の95℃での変性および1分間の50℃でのアニーリング後、60 μL 金コロイドを加え、写真を撮った。プローブ配列は以下のとおりである:
。
【0106】
一塩基対ミスマッチ(SNP)検出について、8 μL PCR産物を一塩基ミスマッチと重なっている1 μM プローブの6 μLと、および8 μL PCR産物を一塩基対ミスマッチと重なっていない1 μM プローブの6 μLと、それぞれ、混合した。混合物を95℃で5分間、加熱し、50℃、54℃および58℃で1分間、それぞれ、アニールし、その後、金コロイドの60 μLを加え、写真を撮った。プローブは以下のとおりであった:
(SNPと重なっていない)、
(SNPと重なっている)。
【0107】
一塩基対ミスマッチ検出は、一塩基ミスマッチがプローブの標的配列へのハイブリダイゼーションをまだなお許すため、少しばかり異なるプロトコールを必要とする。特定の配列検出に関する、図14Aに描かれた方針と同じ概念が用いられた。PCRプライマーのより低い、同じ融解温度をもつ4つのプローブが選択された。配列は、標的の野生型配列に相補的であるように選択された。プローブのうちの2つは、可能性のある点突然変異の位置に重なって結合するが、2つは、対照として用いられ、研究中のSNPに重ならない位置に結合した。標的配列上に突然変異が存在する場合には、突然変異をカバーするプローブは、完全にマッチするように設計されている配列における他の場所に位置した対照プローブより低い温度で脱ハイブリダイズする。どちらの配列の融点よりも下の温度において、プローブは、PCR増幅されたDNAに付着したままであり、塩で引き起こされる金ナノ粒子凝集を防ぐことはできない(図14B:a、b)。完全およびミスマッチの配列の両方の融解温度より上では、脱ハイブリダイゼーションはどちらについても起こり、金ナノ粒子凝集は妨げられる(図14B:e、f)。ミスマッチの配列が脱ハイブリダイズするよりも上であるが、完全にマッチした配列が脱ハイブリダイズするよりも下の温度において、SNPの存在を示す色の違いが検出される(図14B:c、d)。
【0108】
ss-DNAは、長さおよび温度依存性である速度で金ナノ粒子に吸着することが、これらの実験により実証された。さらに、ss-DNAの金ナノ粒子上への吸着は、塩に引き起こされる凝集に対してコロイドを効果的に安定化させうる。これらの観察は、厳密にはDNAの静電気的性質に基づいた、PCR増幅されたDNAについての簡単で速い比色アッセイ法を設計するために利用された。アプローチは、ゲル電気泳動および他の複雑なシーケンシング手順の必要性を排除する。それは、安価な市販されている材料で10分未満内に遂行されうり、PCRに用いられるプログラム可能なサーマルサイクラー以外の器械類は必要とされない。方法の重要な特徴は、チップに基づいたアッセイ法(Fodor et al., Nature 364:555-556 (1993); Chee et al., Science 274:610-614 (1996)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)または官能性をもたせたナノ粒子を利用する他のアプローチ(Elghanian et al., Science 277:1078-1081 (1997); Taton et al., Science 289:1757-1760 (2000); Park et al., Science 295:1503-1506 (2002); Cao et al., Science 297:1536-1540 (2002); Maxwell et al., J. Am. Chem. Soc. 124:9606-9612 (2002); Dubertret et al., Nat Biotech 19:365-370 (2001); Sato et al., J. Am. Chem. Soc. 125:8102-8103 (2003)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)と違って、ハイブリダイゼーションが、アッセイから独立して制御されうる最適化条件下で起こることである。アッセイ法はまた、QT延長症候群として知られている遺伝性心不整脈に関連したSNPsについてスクリーニングするゲノムDNAの臨床試料に適用された。このアプローチがPCR増幅されたDNAの後処理についてのいくつかの伝統的な分析方法に取って代わることができること、およびそれが広い適用を見出すであろうことが考えられる。
【0109】
実施例10 − 修飾RNAプローブを用いたRNA検出
配列検出について、100 μM 2'-o-メチルRNAプローブの2.4 μLを、10 mM PBSおよび0.3 M NaCl溶液に1つの相補的プローブかまたは1つの非相補的プローブのいずれかを含む100 μM RNA標的の2.4 μLと混合した。2分間の95℃での変性および30分間のプローブの融解温度より下の温度でのアニーリング後、200 μL 金コロイドを加え、写真を撮った。RNAおよび金コロイドの量は、適宜、増加または減少されうる。この場合、比較的多量のRNAおよび金が、通常のスペクトロメーターで可視スペクトルを測定するのに用いられた。
【0110】
プローブおよび標的配列は以下のとおりである:
2'-o-メチルRNAプローブ:
;
完全にマッチした標的:
非相補的標的:
。
【0111】
一塩基対ミスマッチ(SNP)検出について、100 μM 2'-o-メチルRNAプローブ1(標的と完全にマッチしている)の2.4 μLを100 μM 標的の2.4 μLと、および100 μM 2'-o-メチルRNAプローブ2(標的と1ミスマッチ)の2.4 μLを100 μM 標的の2.4 μLと、それぞれ、混合した。混合物を95℃で2分間、加熱し、50℃および60℃で30分間、それぞれ、アニールし、その後、金コロイドの200 μLを加え、写真を撮った。
【0112】
プローブおよび標的配列は以下のとおりである:
2'-o-メチルRNAプローブ:
完全にマッチした標的:
1ミスマッチの標的:
。
【0113】
図15A〜Bに示されているように、RNAプローブは、SNPと野生型配列を効果的に識別するために用いられうる。
【0114】
実施例11 − 免疫PCRプロトコール
捕獲抗体、およびストレプトアビジンを介してビオチン化DNA分子に連結されるビオチン化検出抗体を用いる検出プロトコールは、標準的免疫PCR手順を用いて抗原の存在を検出するのに用いられうる。抗原が存在する場合には、PCRは結果として、ビオチン化DNA分子の増幅を生じる。抗原が存在したと仮定すれば、増幅されたPCR産物は、上記の実施例に記載された比色または蛍光定量的検出方法により検出される。
【0115】
好ましい態様が本明細書で詳細に描写および記載されたが、様々な改変、追加、置換などが本発明の精神から逸脱することなくなされうることは、当業者にとって明らかであると思われ、それゆえに、これらは、特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲内にあるとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】一本鎖と二本鎖のオリゴヌクレオチドを区別すること;およびその結果として、選択的オリゴヌクレオチド検出のための比色法の図表示である。円は、コロイド金属(例えば、金)ナノ粒子を表す。
【図2】選択的オリゴヌクレオチド検出のための蛍光定量的方法の図表示である。パネルA、BおよびDにおける赤色の星は、プローブ鎖上の蛍光標識からの確認できる(すなわち、消光していない)蛍光を表す。薄い緑色の鎖および濃い緑色の鎖は、それぞれ、一本鎖核酸分子および二本鎖核酸分子を表す。パネルCおよびDにおける円は、金属(例えば、金)ナノ粒子を表す。オリゴヌクレオチドプローブと標的核酸分子の間のハイブリダイゼーションは、金属ナノ粒子を導入する前に起こる。ナノ粒子が、DNA二重鎖形成が生じなかったハイブリダイゼーション溶液へ導入される場合、プローブ上のタグからの蛍光は消光される(パネルC)。ナノ粒子が、ハイブリダイゼーションが生じた溶液へ導入される場合、二重鎖形成プローブ上のタグからの蛍光は観察される(パネルD)。
【図3】免疫PCRを本発明の方法と組み合わせたタンパク質検出の概略的プロトコールである。
【図4】図4A〜Bは、金ナノ粒子上へのss-DNAの優先的な吸着についての証拠を提供する。図4Aは、ss-DNA(破線)およびds-DNA(実線)に付着したローダミンレッドから放射される蛍光のグラフ式図解である。蛍光スペクトルは、試験ハイブリダイゼーション溶液(色素標識ss-DNAの最終濃度:50 nM)、金コロイドの500 μL、および0.1 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝溶液(PBS)の500 μLからなる混合物から記録された。ss-DNA(破線)曲線は、プローブおよびそれの非相補的標的(nc-標的)を含む混合物から記録された。点曲線は、プローブおよびそれの相補的標的(c-標的)を含む混合物から記録された。図4Bは、ss-DNA(実線)およびds-DNA(破線)上にタグ付けされたローダミングリーン(Rhodamine Green)からの表面増強共鳴ラマン散乱(「SERRS」)のグラフによる図解である。SERRSは、5ピコモルのプローブおよび5ピコモルのnc-標的(実線曲線)または5ピコモルのc-標的(破線曲線)、ならびに0.5 M NaClを含む10 mM PBSの100 μL、加えて300 μL 銀コロイドの混合物から記録された。1645 cm-1、1558 cm-1、1509 cm-1および1363 cm-1におけるラマンモードは、ローダミングリーンのコアの芳香族C-C伸縮モードであるが、1279 cm-1および1182 cm-1におけるラマンモードは、それぞれ、ローダミンC-O-C伸縮およびC-C伸縮振動である。
【図5】図5A〜Cは、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションの比色検出を示す。図5Aは、金コロイド(菱形)、ならびにss-DNA1(円)、ss-DNA2(三角)およびss-DNA1とss-DNA2のハイブリダイゼーションからのds-DNA(四角)をそれぞれ含む混合物の吸収スペクトルを示すグラフである。金コロイドは、混合物においてと同じ濃度まで水で希釈された。混合物は、試験ハイブリダイゼーション溶液(塩緩衝溶液における5 μL(60 μM)ss-DNA)を含み、17 nM 金コロイドの500 μLに加えられ、続いて10 mM PBSおよび0.2 M NaClの200 μLに加えられた。図5Bは、700 nmにおける吸光度に対する520 nmにおける吸光度の比率対金ナノ粒子あたりのDNAの数に表されるオリゴヌクレオチド濃度のグラフによる図解である。DNA配列および混合物は、DNAの量の変化を除いては、図5Aにおいてと同じである。図5Bは、重症急性呼吸器症候群(「SARS」)ウイルスに特有のDNA配列断片の比色検出を示す写真である(Drosten et al., The New England Journal of Medicine 348:1967-1976 (2003)、それは全体が参照として本明細書に組み入れられている)。すべての溶液は、120ピコモルのプローブ、200 μL 金コロイド、ならびに10 mM PBSおよび0.2 M NaClの100 μLを含んだ。溶液においてのプローブの量に対する標的の量の比率は、それぞれ、0、0.2、0.4、0.6および1(左から右へ)であった。
【図6】図6A〜Eは、混合物、低濃度、低量における、および一塩基ミスマッチをもつ標的の比色検出を示す。図6Aは、混合物における標的配列の検出を示す写真である。試験ハイブリダイゼーション溶液の3.5 μLを金コロイドの300 μLおよび0.2 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝溶液の300 μLと混合した。左から右への溶液に含まれる相補的標的は、残りを作り上げている非相補的標的を含む全オリゴヌクレオチド濃度の50%、40%、30%および0%であった。すべての溶液は、相補的標的および非相補的標的の合計に等しい105ピコモルのプローブを含んだ。図6Bは、低濃度溶液における標的DNAの検出を示す写真である。金コロイドの100 μLを300 μL 水に希釈し、1 μL 試験ハイブリダイゼーション溶液、および0.3 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝溶液の300 μLと混合した(最終標的濃度:4.3 nM)。左のバイアルはマッチしていないss-DNA鎖を含んだが、右のバイアルは相補的鎖を含んだ。図6Cは、低量の標的の検出を示す写真である。金コロイドの5 μLを、0.3 μM オリゴヌクレオチドを含む試験ハイブリダイゼーション溶液の0.2 μLと混合し、その後、0.2 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝溶液の3 μLと混合した。それぞれ、60フェムトモルを含む非相補的ss-DNA(左)混合物および相補的ss-DNA(右)の結果として生じた液滴を、観察のために逆プラスチックバイアル上に置いた。図6Dは、水における脱ハイブリダイゼーション速度式によるds-DNAにおける一塩基対ミスマッチの同定を示す写真である。ds-DNA溶液の1 μLを、100 μL 水において、0分間、1分間および2分間、それぞれ、脱ハイブリダイズさせ、その後、金ナノ粒子の300 μlおよび0.3 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝溶液の300 μLと混合した(最終ds-DNA濃度:0.043 μM)。各脱ハイブリダイゼーション時間群の左バイアルにおける溶液は一塩基対ミスマッチをもつds-DNAを含み、右バイアルは完全にマッチした標的鎖およびプローブ鎖を含んだ。赤色は、ds-DNAの一部が脱ハイブリダイズしたことを示す。図6Eは、金コロイドにおける脱ハイブリダイゼーション速度式による、ds-DNAにおける一塩基対ミスマッチの同定を示す写真である。1 μL オリゴヌクレオチドおよび300 μLの金ナノ粒子を、0.5分、1分および2分、それぞれ、超音波処理し、その後、0.3 M NaClを含む10 mM リン酸緩衝溶液の300 μLと混合した(最終標的濃度:0.05 μM)。各脱ハイブリダイゼーション時間群の左バイアルにおける溶液は、一塩基対ミスマッチをもつds-DNAを含み、右バイアルは完全にマッチした標的鎖およびプローブ鎖を含んだ。赤色は、ds-DNAの一部が脱ハイブリダイズしたことを示す。オリゴヌクレオチド配列は、テキストで同定される。
【図7】図7A〜Bは、金ナノ粒子がss-DNA上に標識されたフルオロフォアからの蛍光を優先的に消光することを示す。図7Aは、ローダミンレッド標識されたss-DNAプローブおよびそれの相補的標識(黒塗りの四角)または非相補的標的(白抜きの四角)の5 μL(10 μM)試験ハイブリダイズした溶液、500 μLの金コロイド、ならびに0.1 M NaClを含む10 mM PBSの500 μLの混合物の蛍光スペクトルを示すグラフである。図7Bは、共焦点蛍光顕微鏡で測定された蛍光画像強度プロファイルを示すグラフである。試験ハイブリダイゼーション溶液の0.5 μL(0.1 μM)を、希釈された金コロイド(脱イオン水で20倍に希釈された)の500 μLおよび0.1 M NaClを含む10 mM PBSの500 μLと混合した。黒塗りの円は、相補的標的を含む混合物の2 μLから記録された;白抜きの円は、非相補的標的を含む混合物の2 μLから記録された。
【図8】図8A〜Bは、長い標的および混合物における長い標的の検出を示す。図8Aは、長い標的について機能する方法を示すグラフである。蛍光スペクトルは、相補的標的a(黒塗りの四角)、相補的標的b(白抜きの四角)、および非相補的標的c(黒塗りの三角)をそれぞれ含む溶液から記録された。溶液は、試験ハイブリダイズした溶液の4 μL(10 μM)、500 μL 金コロイド、および0.1 M NaClを含む10 mM PBSの500 μLを含んだ。図8Bは、混合物における長い標的について機能する方法を示すグラフである。蛍光スペクトルは、1%相補的標的a(黒塗りの四角)、1%相補的標的b(白抜きの四角)、および非相補的標的(黒塗りの三角)をそれぞれ含む混合物から記録された。試験ハイブリダイズした溶液におけるオリゴヌクレオチドの構成要素は、10ピコモルの非相補的標的、0.5ピコモルのプローブ、および0.1ピコモルの候補を含んだ。混合物は、試験ハイブリダイズした溶液の0.5 μL、500 μL 金コロイド(250 μL 水で希釈された)、および0.1 M NaClを含む10 mM PBSの500 μLから構成された。
【図9】図9A〜Bは、一塩基対ミスマッチ検出を示す。図9Aは、長い標的aおよび標的a'の中央に結合するプローブを示すグラフである。図9Bは、長い標的bおよび相補的標的b'の1つの末端に結合するプローブを示すグラフである。一塩基対ミスマッチ検出のための蛍光スペクトルは、46℃水浴で温められた1 μL(10 μM)試験ハイブリダイズした溶液(同量のプローブおよび標的)、500 μL 金コロイド、ならびに10 mM PBSおよび0.1 M NaClの500 μLを含む混合物から記録された。黒塗りの四角は、完全マッチしたds-DNAを含む混合物から記録され、白抜きの四角は、一塩基対ミスマッチをもつds-DNAを含む混合物から記録された。
【図10】図10A〜Bは、同時の複数標的検出を示す。図10Aは、プローブ1にタグ付けされたローダミンレッドの吸収極大である570 nmにおける励起を示すグラフである。図10Bは、プローブ2にタグ付けされたcy5の吸収極大である648 nMにおける励起を示すグラフである。(注:図10Bにおけるスペクトル(黒塗りの四角)の二番目のピークは、570 nmにより励起されたプローブ2にタグ付けされたcy5の発光である。)
【図11】図11A〜Dは、金ナノ粒子へのss-DNAの吸着を示す。図11Aは、300 μL 金コロイドおよび100 μL 脱イオン水(赤色)、10 mM PBS(0.2 M NaCl)の100 μL(青色)、最初に300ピコモルの24ベースのss-DNA、その後10 mM PBS(0.2 M NaCl)の100 μL(緑色)の吸収スペクトルをグラフで示している。図11Bは、4ピコモルのローダミンレッドタグ付きのss-DNAの1000 μL 金コロイドへの添加後のフォトルミネセンス強度対時間を示すグラフである。10マー(赤色)、24マー(緑色)および50マー(青色)。図11Cは、異なる温度で2分間、加熱され、続いて10 mM PBS(0.2 M NaCl)の300 μLを添加された、200ピコモルのss-DNA(50マー)および300 μLの金ナノ粒子の混合物の吸収スペクトルをグラフで示している。22℃(青色)、45℃(シアン色)、70℃(緑色)、および95℃(赤色)。図11Dは、ローダミンレッド標識された15マーss-DNA、50マーss-DNAおよび金コロイドのハイブリダイズした溶液の蛍光スペクトルをグラフで示しており、15マーは、50マーに、中央で(赤色)、末端で(緑色)結合する、およびどこへも結合しない(青色)。下の方の挿入図は、15マーと50マーの間の結合位置を概略的に示している。上の方の挿入図は、15マー上に蛍光標識をもたない対応する混合物(左から右へ)の色写真を含む。
【図12】負に帯電した金属ナノ粒子とss-DNAの間の相互作用の概略図である。くさび形様構造(左)は、金属ナノ粒子を表し、構造(右)は、リン酸バックボーン(実線の垂線)およびヌクレオチド塩基(水平線)を有するss-核酸を表す。
【図13】PCR増幅されたDNA配列の同定を示す。図13Aは、検出プロトコールの概略図である。PCR産物およびプローブの混合物を変性し、相補的プローブの融解温度より下でアニールし、続いて金コロイドを添加する。長い青色および緑色の線は、PCR増幅されたDNA断片を表し、ピンク色および淡青色の中位のバーは過剰のPCRプライマーを表す。短い青色および緑色のバーは、結合し、結果として金ナノ粒子凝集(紫色)を生じる、相補的プローブである。短い紫色およびオレンジ色のバーは、結合せず、金ナノ粒子に吸着して、ナノ粒子凝集を防ぎ、溶液をピンク色のままにしておく、非相補的プローブである。図13Bは、相補的プローブ(a)および非相補的プローブ(b)での結果として生じる溶液の色写真である。8 μL PCR産物、3.5ピコモルのプローブおよび70 μL 金コロイドが各バイアルに用いられた。
【図14】図14A〜Bは、一塩基対ミスマッチ検出を示す。図14Aは、検出方針を示している。長い緑色および青色の線における赤色スポットは、可能性のあるSNPの位置を表す。長い緑色および青色の線は、PCR増幅されたDNA断片の相補的配列である。短い緑色および青色のバーは、図示されているように、PCR増幅されたDNA断片の野生型配列の部分に相補的なプローブである。図14Bは、一塩基対ミスマッチの検出を示す写真である。バイアルb、dおよびfは、プローブが一塩基ミスマッチに重なっているPCR産物を含み、バイアルa、cおよびeは、プローブが一塩基ミスマッチに重なっていないPCR産物を含む。写真は、50℃(a、b)、54℃(c、d)および58℃(e、f)でアニールされた混合物について撮られた。8 μL PCR産物、3.5ピコモルのプローブおよび70 μL 金コロイドが各バイアルに用いられた。
【図15】図15A〜Bは、RNAプローブおよびRNA標的を用いる一塩基対ミスマッチ検出を示している。図15A〜Bに示された記号は以下のとおりである:ds:二重鎖;ds':ミスマッチを含む二重鎖;ss:対照。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、検査溶液において標的核酸の存在または非存在を検出するための方法:
ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを標的核酸を含む可能性のある検査溶液と混合する段階であって、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブおよび検査溶液が、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブと検査溶液に存在する任意の標的核酸のハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にするのに効果的な条件下で混合される段階;
ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子に、該混合段階後ハイブリダイズされないままである少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを複数の金属ナノ粒子と静電気的に会合することを可能にするのに効果的な条件下で曝露する段階;および
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたか、または複数の金属ナノ粒子の1つもしくはそれ以上と静電気的に会合したかを判定する段階であって、標的核酸へのハイブリダイゼーション、または1つもしくはそれ以上の金属ナノ粒子との静電気的会合がハイブリダイゼーション溶液の光学的性質により示される段階。
【請求項2】
曝露段階が以下の段階を含む、請求項1記載の方法:
ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子を含む懸濁液に接触させる段階、および塩溶液を添加する段階。
【請求項3】
複数の金属ナノ粒子が約1 nMと約100 nMの間の濃度でハイブリダイゼーション溶液へ導入される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
塩溶液が約0.01 Mと約5 Mの間のNa+濃度を含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
接触段階および添加段階が同時に行われる、請求項2記載の方法。
【請求項6】
接触段階および添加段階が連続して行われる、請求項2記載の方法。
【請求項7】
接触段階と添加段階の間に遅延をさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが約1 nM〜約10,000 nMの濃度でハイブリダイゼーション溶液に存在する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
判定段階が以下の段階を含む、請求項1記載の方法:
曝露段階後ハイブリダイゼーション溶液の色変化を検出する段階であって、色変化が標的核酸の存在下での複数の金属ナノ粒子の実質的凝集を示す段階。
【請求項10】
検出段階がハイブリダイゼーション溶液の色を1つまたはそれ以上のあらかじめ較正された対照溶液と比較する段階を含む、請求項7記載の方法。
【請求項11】
検出段階がユーザーの肉眼観察により行われる、請求項7記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが蛍光標識に連結されている、請求項1記載の方法。
【請求項13】
蛍光標識が有機色素、半導体量子ドット、ランタニド原子含有複合体および蛍光タンパク質からなる群より選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
光学的性質が蛍光スペクトルまたは蛍光ピークの大きさである、請求項12記載の方法。
【請求項15】
判定段階が以下の段階を含む、請求項12記載の方法:
曝露段階後蛍光標識により引き起こされる蛍光の実質的低下を検出する段階であって、複数の金属ナノ粒子の1つまたはそれ以上と静電気的に会合したプローブによる蛍光の消光を示し、それにより、標的核酸の非存在を示している段階。
【請求項16】
検査溶液が複数の異なる標的核酸を含み、かつ少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブが対応する複数の異なるオリゴヌクレオチドプローブを含み、複数の異なるオリゴヌクレオチドプローブのそれぞれが別個の蛍光標識を有する、請求項12記載の方法。
【請求項17】
複数の金属ナノ粒子が金ナノ粒子、銀ナノ粒子、白金ナノ粒子、混合金属ナノ粒子およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
ハイブリダイゼーション溶液におけるハイブリダイゼーション複合体が、有意には複数の金属ナノ粒子と静電気的に会合しない、請求項1記載の方法。
【請求項19】
標的核酸がDNAである、請求項1記載の方法。
【請求項20】
標的核酸がRNAである、請求項1記載の方法。
【請求項21】
標的核酸がヒト、ウイルス、細菌、動物、昆虫または植物から得られる、請求項1記載の方法。
【請求項22】
標的核酸が合成の、天然の、または構造的に改変されたDNAもしくはRNAである、請求項1記載の方法。
【請求項23】
標的核酸がタンパク質またはポリペプチドに連結した核酸分子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項24】
標的核酸がポリメラーゼ連鎖反応の産物である、請求項1記載の方法。
【請求項25】
検査溶液がポリメラーゼ連鎖反応溶液から得られる、請求項24記載の方法であって、該方法が以下の段階をさらに含む方法:
混合段階前にポリメラーゼ連鎖反応の産物を変性させる段階。
【請求項26】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブのそれぞれが約10ヌクレオチド長と約50ヌクレオチド長の間である、請求項1記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブが構造的に改変されたDNAまたはRNAを含む、請求項1記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブが標的核酸に100パーセント相補的であるヌクレオチド配列を含む、請求項1記載の方法。
【請求項29】
検査溶液において標的核酸の量を定量する方法であって、該方法が以下の段階を含む方法:
それぞれが既知であるが異なる量の標的核酸を含む第一および第二対照溶液を供給する段階;
第一および第二対照溶液ならびに検査溶液について請求項1記載の方法を行う段階であって、該実行段階が検査溶液ならびに第一および第二対照溶液を用いて形成されるハイブリダイゼーション溶液の光学的性質を測定する段階を含む段階;および
第一および第二対照溶液に存在する標的核酸の量に対して検査溶液における標的核酸の量を計算する段階。
【請求項30】
光学的性質がハイブリダイゼーション溶液の色である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブがそれぞれ、蛍光標識を含み、かつ光学的性質が蛍光標識により引き起こされる蛍光スペクトルまたは蛍光ピークの大きさである、請求項29記載の方法。
【請求項32】
検査溶液において標的核酸の量を定量する方法であって、該方法が以下の段階を含む方法:
検査溶液について請求項1記載の方法を行う段階であって、該実行段階が検査溶液を用いて形成されたハイブリダイゼーション溶液の光学的性質を測定する段階を含む段階;ならびに
測定された光学的性質、および測定された光学的性質対標的核酸の量の検量線を用いて検査溶液において標的核酸の量を判定する段階。
【請求項33】
標的核酸分子において一塩基多型を検出する方法であって、該方法が以下の段階を含む、方法:
検査ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、(i)標的核酸分子を含む検査溶液および(ii)一塩基多型を含む可能性がある標的核酸分子の領域にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを混合する段階であって、該混合段階が、少なくとも1つのハイブリダイゼーション複合体を形成するように、標的核酸分子と少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの間のハイブリダイゼーションを可能にするのに効果的な条件下で行われる段階;
対照ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、(i)標的核酸分子を含む対照溶液および(ii)一塩基多型を含まない標的核酸分子の領域に完全にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを混合する段階であって、該混合段階が、少なくとも1つのハイブリダイゼーション複合体を形成するように、標的核酸分子と少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブとの間のハイブリダイゼーションを可能にするのに効果的な条件下で行われる段階;
少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの融解温度と少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの融解温度の間である温度にハイブリダイゼーション溶液を維持しながら、検査および対照ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子に、ハイブリダイゼーション溶液におけるハイブリダイズしていないプローブが金属ナノ粒子と静電気的に会合するのを可能にするのに効果的な条件下で曝露する段階;ならびに
標的核酸分子における一塩基多型の存在を示している、検査および対照ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質が実質的に異なるかどうかを判定する段階。
【請求項34】
曝露段階が以下の段階を含む、請求項33記載の方法:
検査および対照ハイブリダイゼーション溶液のそれぞれを複数の金属ナノ粒子に接触させる段階、ならびに
検査および対照ハイブリダイゼーション溶液のそれぞれに塩溶液を添加する段階。
【請求項35】
複数の金属ナノ粒子が約1 nMと約100 nMの間の濃度で検査および対照ハイブリダイゼーション溶液のそれぞれへ導入される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
塩溶液が約0.01 Mと約5 Mの間のNa+濃度を含む、請求項34記載の方法。
【請求項37】
接触段階および添加段階が同時に行われる、請求項34記載の方法。
【請求項38】
接触段階および添加段階が連続して行われる、請求項34記載の方法。
【請求項39】
接触段階と添加段階の間に遅延をさらに含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1つの第一および第二の一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが約1 nM/ml〜約100,000 nM/mlの濃度で検査および対照ハイブリダイゼーション溶液に存在する、請求項33記載の方法。
【請求項41】
検査および対照ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質がそれらの色であり、色の違いが検査溶液における一塩基多型の存在を示す、請求項33記載の方法。
【請求項42】
検出段階がユーザーの肉眼観察により行われる、請求項41記載の方法。
【請求項43】
第一および第二の一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが同じヌクレオチド配列を含む、請求項33記載の方法。
【請求項44】
第一および第二の一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが異なるヌクレオチド配列を含む、請求項33記載の方法。
【請求項45】
複数の金属ナノ粒子が金ナノ粒子、銀ナノ粒子、白金ナノ粒子、混合金属ナノ粒子およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項33記載の方法。
【請求項46】
標的核酸がDNAである、請求項33記載の方法。
【請求項47】
標的核酸がRNAである、請求項33記載の方法。
【請求項48】
標的核酸がヒト、ウイルス、細菌、動物、昆虫または植物から得られる、請求項33記載の方法。
【請求項49】
標的核酸がポリメラーゼ連鎖反応の一本鎖産物である、請求項33記載の方法。
【請求項50】
検査溶液がポリメラーゼ連鎖反応から得られ、混合段階の前に変性条件に曝露される、請求項33記載の方法。
【請求項51】
第一および第二の一本鎖オリゴヌクレオチドプローブのそれぞれが約10ヌクレオチド長と約50ヌクレオチド長の間である、請求項33記載の方法。
【請求項52】
少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブおよび少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが実質的に同じ長さである、請求項33記載の方法。
【請求項53】
第一および第二の一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの1つまたは両方が構造的に改変されたDNAまたはRNAを含む、請求項33記載の方法。
【請求項54】
標的核酸分子において一塩基多型を検出するための方法であって、該方法が以下の段階を含む方法:
(i)標的核酸分子を含む溶液ならびに(ii)ヌクレオチド配列およびそれに付着した蛍光標識を含む少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを混合する段階であって、ヌクレオチド配列が、一塩基多型を含む可能性がある標的核酸分子の領域にハイブリダイズして、ハイブリダイゼーション溶液を形成し、該混合段階が、少なくとも1つのハイブリダイゼーション複合体を形成するように、標的核酸分子と少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの間のハイブリダイゼーションを可能にするのに効果的な条件下で行われる段階;
ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子に、ハイブリダイゼーション溶液におけるハイブリダイズしていないプローブが金属ナノ粒子と静電気的に会合するのを可能にするのに効果的な条件下で曝露する段階;
蛍光標識によるフォトルミネセンスの消光が始まるハイブリダイゼーション溶液の温度を判定する段階であって、該温度が融解温度を表している段階;ならびに
ハイブリダイゼーション溶液についての融解温度を、完全に相補的なプローブの既知の融解温度と比較する段階であって、融解温度間の差が標的核酸分子における一塩基多型の存在を示す段階。
【請求項55】
蛍光標識が有機色素、半導体量子ドット、ランタニド原子含有複合体および蛍光タンパク質からなる群より選択される、請求項54記載の方法。
【請求項56】
複数の金属ナノ粒子が約1 nMと約100 nMの間の濃度でハイブリダイゼーション溶液へ導入される、請求項54記載の方法。
【請求項57】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが約1 nM/ml〜約100,000 nM/mlの濃度でハイブリダイゼーション溶液に存在する、請求項54記載の方法。
【請求項58】
複数の金属ナノ粒子が金ナノ粒子、銀ナノ粒子、白金ナノ粒子、混合金属ナノ粒子およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項54記載の方法。
【請求項59】
標的核酸がDNAである、請求項54記載の方法。
【請求項60】
標的核酸がRNAである、請求項54記載の方法。
【請求項61】
標的核酸がヒト、ウイルス、細菌、動物、昆虫または植物から得られる、請求項54記載の方法。
【請求項62】
標的核酸がポリメラーゼ連鎖反応の一本鎖産物である、請求項54記載の方法。
【請求項63】
検査溶液がポリメラーゼ連鎖反応から得られ、混合段階の前に変性条件に曝露される、請求項54記載の方法。
【請求項64】
一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが約10ヌクレオチド長と約50ヌクレオチド長の間である、請求項54記載の方法。
【請求項65】
一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが構造的に改変されたDNAまたはRNAを含む、請求項54記載の方法。
【請求項66】
以下のものを含むキット:
金属ナノ粒子を含むコロイド溶液を含む第一容器;
標的核酸分子に実質的に相補的であるヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを含む水溶液を含む第二容器。
【請求項67】
金属ナノ粒子が、結合した核酸分子を実質的に含まない表面を特徴とする、請求項66記載のキット。
【請求項68】
金属ナノ粒子が直径が約5 nmと約500 nmの間である、請求項66記載のキット。
【請求項69】
金属ナノ粒子が金ナノ粒子、銀ナノ粒子、白金ナノ粒子、混合金属ナノ粒子およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項66記載のキット。
【請求項70】
約0.01 Mと約5 Mの間のNa+濃度を含む塩溶液を含む容器をさらに含む、請求項66記載のキット。
【請求項71】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが約1 nM〜約100,000 nMの濃度で水溶液中に存在する、請求項66記載のキット。
【請求項72】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが蛍光標識に結合している、請求項66記載のキット。
【請求項73】
蛍光標識が有機色素、半導体量子ドット、ランタニド原子含有複合体および蛍光タンパク質からなる群より選択される、請求項72記載のキット。
【請求項74】
第三容器が少なくとも2つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを含む、請求項66記載のキット。
【請求項75】
少なくとも2つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブのそれぞれが蛍光標識に結合しており、蛍光標識が少なくとも2つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブについて異なっている、請求項74記載のキット。
【請求項76】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブのそれぞれが約10ヌクレオチド長と約50ヌクレオチド長の間である、請求項66記載のキット。
【請求項77】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが構造的に改変されたDNAまたはRNAを含む、請求項66記載のキット。
【請求項78】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸に100パーセント相補的であるヌクレオチド配列を含む、請求項66記載のキット。
【請求項79】
以下の段階を含む、検査溶液において標的核酸を検出するための方法:
標的核酸を含む可能性のある検査溶液の一部をポリメラーゼ連鎖反応にかけ、ポリメラーゼ連鎖反応の一本鎖核酸産物を含む産物溶液を得る段階;
ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを産物溶液に、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブと産物溶液に存在する任意の標的核酸とのハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にするのに効果的な条件下で混合する段階;
ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子に、ハイブリダイゼーション溶液における任意の一本鎖核酸が複数の金属ナノ粒子と会合するのを可能にするのに効果的な条件下で曝露する段階;および
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが、標的核酸にハイブリダイズしたか、または複数の金属ナノ粒子の1つもしくはそれ以上と静電気的に会合したかを判定する段階であって、標的核酸へのハイブリダイゼーションまたは1つもしくはそれ以上の金属ナノ粒子との静電気的会合が、ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質により示される段階。
【請求項80】
複数の金属ナノ粒子が約1 nMと約100 nMの間の濃度でハイブリダイゼーション溶液へ導入される、請求項79記載の方法。
【請求項81】
複数の金属ナノ粒子が金ナノ粒子、銀ナノ粒子、白金ナノ粒子、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項79記載の方法。
【請求項82】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが約1 nM〜約100,000 nMの濃度でハイブリダイゼーション溶液に存在する、請求項79記載の方法。
【請求項83】
判定段階が以下の段階を含む、請求項79記載の方法:
曝露段階後、溶液の色変化を検出する段階であって、色変化が標的核酸の非存在下における複数の金属ナノ粒子の実質的な凝集を示す、段階。
【請求項84】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが蛍光標識に結合している、請求項79記載の方法。
【請求項85】
蛍光標識が有機色素、半導体量子ドット、ランタニド原子含有複合体および蛍光タンパク質からなる群より選択される、請求項84記載の方法。
【請求項86】
判定段階が以下の段階を含む、請求項79記載の方法:
標的核酸の存在を示している、曝露後蛍光標識により引き起こされるフォトルミネセンスを検出する段階。
【請求項87】
ハイブリダイゼーション溶液におけるハイブリダイゼーション複合体が、有意には、複数の金属ナノ粒子と静電気的に会合しない、請求項79記載の方法。
【請求項88】
標的核酸がcDNAであり、かつポリメラーゼ連鎖反応が逆転写ポリメラーゼ連鎖反応である、請求項79記載の方法。
【請求項89】
標的核酸が合成の、天然の、または構造的に改変されたDNAもしくはRNAである、請求項79記載の方法。
【請求項90】
標的核酸がタンパク質またはポリペプチドに連結した核酸分子を含む、請求項79記載の方法。
【請求項91】
ポリメラーゼ連鎖反応が免疫ポリメラーゼ連鎖反応である、請求項79記載の方法。
【請求項92】
以下の段階を含む、試料において病原体を検出する方法:
病原体の核酸を含む可能性のある試料を得る段階;および
請求項1記載の方法を行う段階であって、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたことを判定する段階が、病原体の存在を示している段階。
【請求項93】
試料から単離された核酸がRNAであり、かつ標的核酸がRNAである、請求項92記載の方法。
【請求項94】
試料から単離された核酸がRNAであり、かつ標的核酸がcDNAである、請求項92記載の方法であって、該方法が以下の段階をさらに含む方法:
実行段階の前に単離されたRNAを逆転写ポリメラーゼ連鎖反応により増幅する段階。
【請求項95】
以下の段階を含む、遺伝学的スクリーニングの方法:
試料を得る段階;
試料からDNAを単離する段階;
試料から単離されたDNAを増幅する段階;および
請求項1記載の方法を行う段階であって、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたことを判定する段階が、遺伝学的疾患、遺伝性疾患、の素因を示す、または生物体を同定する段階。
【請求項96】
以下の段階を含む、試料においてタンパク質を検出する方法:
試料を得る段階;
試料を用いて免疫ポリメラーゼ連鎖反応手法を行う段階であって、免疫ポリメラーゼ連鎖反応手法が結果として、タンパク質に結合した核酸の増幅を生じる段階;および
請求項1記載の方法を行う段階であって、タンパク質に結合している核酸が標的核酸であり、かつ少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたことを判定する段階が、そのタンパク質が試料に存在することを示している段階。
【請求項97】
ポリメラーゼ連鎖反応により調製された増幅核酸の量を定量する方法であって、該方法が以下の段階を含む方法:
それぞれ、増幅されるべき核酸分子またはそれの相補体にハイブリダイズする能力があるヌクレオチド配列を含む2つまたはそれ以上の蛍光標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを供給する段階;
標的核酸分子および/またはそれの相補体ならびに供給された蛍光標識オリゴヌクレオチドプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応を行う段階;ならびに
該ポリメラーゼ連鎖反応実行段階後、得られた試料について請求項1記載の方法を行う段階であって、試料から検出された蛍光レベルが増幅核酸分子へ組み入れられたプライマーの量を示す段階。
【請求項1】
以下の段階を含む、検査溶液において標的核酸の存在または非存在を検出するための方法:
ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを標的核酸を含む可能性のある検査溶液と混合する段階であって、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブおよび検査溶液が、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブと検査溶液に存在する任意の標的核酸のハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にするのに効果的な条件下で混合される段階;
ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子に、該混合段階後ハイブリダイズされないままである少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを複数の金属ナノ粒子と静電気的に会合することを可能にするのに効果的な条件下で曝露する段階;および
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたか、または複数の金属ナノ粒子の1つもしくはそれ以上と静電気的に会合したかを判定する段階であって、標的核酸へのハイブリダイゼーション、または1つもしくはそれ以上の金属ナノ粒子との静電気的会合がハイブリダイゼーション溶液の光学的性質により示される段階。
【請求項2】
曝露段階が以下の段階を含む、請求項1記載の方法:
ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子を含む懸濁液に接触させる段階、および塩溶液を添加する段階。
【請求項3】
複数の金属ナノ粒子が約1 nMと約100 nMの間の濃度でハイブリダイゼーション溶液へ導入される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
塩溶液が約0.01 Mと約5 Mの間のNa+濃度を含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
接触段階および添加段階が同時に行われる、請求項2記載の方法。
【請求項6】
接触段階および添加段階が連続して行われる、請求項2記載の方法。
【請求項7】
接触段階と添加段階の間に遅延をさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが約1 nM〜約10,000 nMの濃度でハイブリダイゼーション溶液に存在する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
判定段階が以下の段階を含む、請求項1記載の方法:
曝露段階後ハイブリダイゼーション溶液の色変化を検出する段階であって、色変化が標的核酸の存在下での複数の金属ナノ粒子の実質的凝集を示す段階。
【請求項10】
検出段階がハイブリダイゼーション溶液の色を1つまたはそれ以上のあらかじめ較正された対照溶液と比較する段階を含む、請求項7記載の方法。
【請求項11】
検出段階がユーザーの肉眼観察により行われる、請求項7記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが蛍光標識に連結されている、請求項1記載の方法。
【請求項13】
蛍光標識が有機色素、半導体量子ドット、ランタニド原子含有複合体および蛍光タンパク質からなる群より選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
光学的性質が蛍光スペクトルまたは蛍光ピークの大きさである、請求項12記載の方法。
【請求項15】
判定段階が以下の段階を含む、請求項12記載の方法:
曝露段階後蛍光標識により引き起こされる蛍光の実質的低下を検出する段階であって、複数の金属ナノ粒子の1つまたはそれ以上と静電気的に会合したプローブによる蛍光の消光を示し、それにより、標的核酸の非存在を示している段階。
【請求項16】
検査溶液が複数の異なる標的核酸を含み、かつ少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブが対応する複数の異なるオリゴヌクレオチドプローブを含み、複数の異なるオリゴヌクレオチドプローブのそれぞれが別個の蛍光標識を有する、請求項12記載の方法。
【請求項17】
複数の金属ナノ粒子が金ナノ粒子、銀ナノ粒子、白金ナノ粒子、混合金属ナノ粒子およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
ハイブリダイゼーション溶液におけるハイブリダイゼーション複合体が、有意には複数の金属ナノ粒子と静電気的に会合しない、請求項1記載の方法。
【請求項19】
標的核酸がDNAである、請求項1記載の方法。
【請求項20】
標的核酸がRNAである、請求項1記載の方法。
【請求項21】
標的核酸がヒト、ウイルス、細菌、動物、昆虫または植物から得られる、請求項1記載の方法。
【請求項22】
標的核酸が合成の、天然の、または構造的に改変されたDNAもしくはRNAである、請求項1記載の方法。
【請求項23】
標的核酸がタンパク質またはポリペプチドに連結した核酸分子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項24】
標的核酸がポリメラーゼ連鎖反応の産物である、請求項1記載の方法。
【請求項25】
検査溶液がポリメラーゼ連鎖反応溶液から得られる、請求項24記載の方法であって、該方法が以下の段階をさらに含む方法:
混合段階前にポリメラーゼ連鎖反応の産物を変性させる段階。
【請求項26】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブのそれぞれが約10ヌクレオチド長と約50ヌクレオチド長の間である、請求項1記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブが構造的に改変されたDNAまたはRNAを含む、請求項1記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブが標的核酸に100パーセント相補的であるヌクレオチド配列を含む、請求項1記載の方法。
【請求項29】
検査溶液において標的核酸の量を定量する方法であって、該方法が以下の段階を含む方法:
それぞれが既知であるが異なる量の標的核酸を含む第一および第二対照溶液を供給する段階;
第一および第二対照溶液ならびに検査溶液について請求項1記載の方法を行う段階であって、該実行段階が検査溶液ならびに第一および第二対照溶液を用いて形成されるハイブリダイゼーション溶液の光学的性質を測定する段階を含む段階;および
第一および第二対照溶液に存在する標的核酸の量に対して検査溶液における標的核酸の量を計算する段階。
【請求項30】
光学的性質がハイブリダイゼーション溶液の色である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブがそれぞれ、蛍光標識を含み、かつ光学的性質が蛍光標識により引き起こされる蛍光スペクトルまたは蛍光ピークの大きさである、請求項29記載の方法。
【請求項32】
検査溶液において標的核酸の量を定量する方法であって、該方法が以下の段階を含む方法:
検査溶液について請求項1記載の方法を行う段階であって、該実行段階が検査溶液を用いて形成されたハイブリダイゼーション溶液の光学的性質を測定する段階を含む段階;ならびに
測定された光学的性質、および測定された光学的性質対標的核酸の量の検量線を用いて検査溶液において標的核酸の量を判定する段階。
【請求項33】
標的核酸分子において一塩基多型を検出する方法であって、該方法が以下の段階を含む、方法:
検査ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、(i)標的核酸分子を含む検査溶液および(ii)一塩基多型を含む可能性がある標的核酸分子の領域にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを混合する段階であって、該混合段階が、少なくとも1つのハイブリダイゼーション複合体を形成するように、標的核酸分子と少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの間のハイブリダイゼーションを可能にするのに効果的な条件下で行われる段階;
対照ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、(i)標的核酸分子を含む対照溶液および(ii)一塩基多型を含まない標的核酸分子の領域に完全にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを混合する段階であって、該混合段階が、少なくとも1つのハイブリダイゼーション複合体を形成するように、標的核酸分子と少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブとの間のハイブリダイゼーションを可能にするのに効果的な条件下で行われる段階;
少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの融解温度と少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの融解温度の間である温度にハイブリダイゼーション溶液を維持しながら、検査および対照ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子に、ハイブリダイゼーション溶液におけるハイブリダイズしていないプローブが金属ナノ粒子と静電気的に会合するのを可能にするのに効果的な条件下で曝露する段階;ならびに
標的核酸分子における一塩基多型の存在を示している、検査および対照ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質が実質的に異なるかどうかを判定する段階。
【請求項34】
曝露段階が以下の段階を含む、請求項33記載の方法:
検査および対照ハイブリダイゼーション溶液のそれぞれを複数の金属ナノ粒子に接触させる段階、ならびに
検査および対照ハイブリダイゼーション溶液のそれぞれに塩溶液を添加する段階。
【請求項35】
複数の金属ナノ粒子が約1 nMと約100 nMの間の濃度で検査および対照ハイブリダイゼーション溶液のそれぞれへ導入される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
塩溶液が約0.01 Mと約5 Mの間のNa+濃度を含む、請求項34記載の方法。
【請求項37】
接触段階および添加段階が同時に行われる、請求項34記載の方法。
【請求項38】
接触段階および添加段階が連続して行われる、請求項34記載の方法。
【請求項39】
接触段階と添加段階の間に遅延をさらに含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1つの第一および第二の一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが約1 nM/ml〜約100,000 nM/mlの濃度で検査および対照ハイブリダイゼーション溶液に存在する、請求項33記載の方法。
【請求項41】
検査および対照ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質がそれらの色であり、色の違いが検査溶液における一塩基多型の存在を示す、請求項33記載の方法。
【請求項42】
検出段階がユーザーの肉眼観察により行われる、請求項41記載の方法。
【請求項43】
第一および第二の一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが同じヌクレオチド配列を含む、請求項33記載の方法。
【請求項44】
第一および第二の一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが異なるヌクレオチド配列を含む、請求項33記載の方法。
【請求項45】
複数の金属ナノ粒子が金ナノ粒子、銀ナノ粒子、白金ナノ粒子、混合金属ナノ粒子およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項33記載の方法。
【請求項46】
標的核酸がDNAである、請求項33記載の方法。
【請求項47】
標的核酸がRNAである、請求項33記載の方法。
【請求項48】
標的核酸がヒト、ウイルス、細菌、動物、昆虫または植物から得られる、請求項33記載の方法。
【請求項49】
標的核酸がポリメラーゼ連鎖反応の一本鎖産物である、請求項33記載の方法。
【請求項50】
検査溶液がポリメラーゼ連鎖反応から得られ、混合段階の前に変性条件に曝露される、請求項33記載の方法。
【請求項51】
第一および第二の一本鎖オリゴヌクレオチドプローブのそれぞれが約10ヌクレオチド長と約50ヌクレオチド長の間である、請求項33記載の方法。
【請求項52】
少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブおよび少なくとも1つの第二一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが実質的に同じ長さである、請求項33記載の方法。
【請求項53】
第一および第二の一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの1つまたは両方が構造的に改変されたDNAまたはRNAを含む、請求項33記載の方法。
【請求項54】
標的核酸分子において一塩基多型を検出するための方法であって、該方法が以下の段階を含む方法:
(i)標的核酸分子を含む溶液ならびに(ii)ヌクレオチド配列およびそれに付着した蛍光標識を含む少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを混合する段階であって、ヌクレオチド配列が、一塩基多型を含む可能性がある標的核酸分子の領域にハイブリダイズして、ハイブリダイゼーション溶液を形成し、該混合段階が、少なくとも1つのハイブリダイゼーション複合体を形成するように、標的核酸分子と少なくとも1つの第一一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの間のハイブリダイゼーションを可能にするのに効果的な条件下で行われる段階;
ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子に、ハイブリダイゼーション溶液におけるハイブリダイズしていないプローブが金属ナノ粒子と静電気的に会合するのを可能にするのに効果的な条件下で曝露する段階;
蛍光標識によるフォトルミネセンスの消光が始まるハイブリダイゼーション溶液の温度を判定する段階であって、該温度が融解温度を表している段階;ならびに
ハイブリダイゼーション溶液についての融解温度を、完全に相補的なプローブの既知の融解温度と比較する段階であって、融解温度間の差が標的核酸分子における一塩基多型の存在を示す段階。
【請求項55】
蛍光標識が有機色素、半導体量子ドット、ランタニド原子含有複合体および蛍光タンパク質からなる群より選択される、請求項54記載の方法。
【請求項56】
複数の金属ナノ粒子が約1 nMと約100 nMの間の濃度でハイブリダイゼーション溶液へ導入される、請求項54記載の方法。
【請求項57】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが約1 nM/ml〜約100,000 nM/mlの濃度でハイブリダイゼーション溶液に存在する、請求項54記載の方法。
【請求項58】
複数の金属ナノ粒子が金ナノ粒子、銀ナノ粒子、白金ナノ粒子、混合金属ナノ粒子およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項54記載の方法。
【請求項59】
標的核酸がDNAである、請求項54記載の方法。
【請求項60】
標的核酸がRNAである、請求項54記載の方法。
【請求項61】
標的核酸がヒト、ウイルス、細菌、動物、昆虫または植物から得られる、請求項54記載の方法。
【請求項62】
標的核酸がポリメラーゼ連鎖反応の一本鎖産物である、請求項54記載の方法。
【請求項63】
検査溶液がポリメラーゼ連鎖反応から得られ、混合段階の前に変性条件に曝露される、請求項54記載の方法。
【請求項64】
一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが約10ヌクレオチド長と約50ヌクレオチド長の間である、請求項54記載の方法。
【請求項65】
一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが構造的に改変されたDNAまたはRNAを含む、請求項54記載の方法。
【請求項66】
以下のものを含むキット:
金属ナノ粒子を含むコロイド溶液を含む第一容器;
標的核酸分子に実質的に相補的であるヌクレオチド配列を有する少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを含む水溶液を含む第二容器。
【請求項67】
金属ナノ粒子が、結合した核酸分子を実質的に含まない表面を特徴とする、請求項66記載のキット。
【請求項68】
金属ナノ粒子が直径が約5 nmと約500 nmの間である、請求項66記載のキット。
【請求項69】
金属ナノ粒子が金ナノ粒子、銀ナノ粒子、白金ナノ粒子、混合金属ナノ粒子およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項66記載のキット。
【請求項70】
約0.01 Mと約5 Mの間のNa+濃度を含む塩溶液を含む容器をさらに含む、請求項66記載のキット。
【請求項71】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが約1 nM〜約100,000 nMの濃度で水溶液中に存在する、請求項66記載のキット。
【請求項72】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが蛍光標識に結合している、請求項66記載のキット。
【請求項73】
蛍光標識が有機色素、半導体量子ドット、ランタニド原子含有複合体および蛍光タンパク質からなる群より選択される、請求項72記載のキット。
【請求項74】
第三容器が少なくとも2つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを含む、請求項66記載のキット。
【請求項75】
少なくとも2つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブのそれぞれが蛍光標識に結合しており、蛍光標識が少なくとも2つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブについて異なっている、請求項74記載のキット。
【請求項76】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブのそれぞれが約10ヌクレオチド長と約50ヌクレオチド長の間である、請求項66記載のキット。
【請求項77】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが構造的に改変されたDNAまたはRNAを含む、請求項66記載のキット。
【請求項78】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸に100パーセント相補的であるヌクレオチド配列を含む、請求項66記載のキット。
【請求項79】
以下の段階を含む、検査溶液において標的核酸を検出するための方法:
標的核酸を含む可能性のある検査溶液の一部をポリメラーゼ連鎖反応にかけ、ポリメラーゼ連鎖反応の一本鎖核酸産物を含む産物溶液を得る段階;
ハイブリダイゼーション溶液を形成するために、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを産物溶液に、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブと産物溶液に存在する任意の標的核酸とのハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にするのに効果的な条件下で混合する段階;
ハイブリダイゼーション溶液を複数の金属ナノ粒子に、ハイブリダイゼーション溶液における任意の一本鎖核酸が複数の金属ナノ粒子と会合するのを可能にするのに効果的な条件下で曝露する段階;および
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが、標的核酸にハイブリダイズしたか、または複数の金属ナノ粒子の1つもしくはそれ以上と静電気的に会合したかを判定する段階であって、標的核酸へのハイブリダイゼーションまたは1つもしくはそれ以上の金属ナノ粒子との静電気的会合が、ハイブリダイゼーション溶液の光学的性質により示される段階。
【請求項80】
複数の金属ナノ粒子が約1 nMと約100 nMの間の濃度でハイブリダイゼーション溶液へ導入される、請求項79記載の方法。
【請求項81】
複数の金属ナノ粒子が金ナノ粒子、銀ナノ粒子、白金ナノ粒子、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項79記載の方法。
【請求項82】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが約1 nM〜約100,000 nMの濃度でハイブリダイゼーション溶液に存在する、請求項79記載の方法。
【請求項83】
判定段階が以下の段階を含む、請求項79記載の方法:
曝露段階後、溶液の色変化を検出する段階であって、色変化が標的核酸の非存在下における複数の金属ナノ粒子の実質的な凝集を示す、段階。
【請求項84】
少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが蛍光標識に結合している、請求項79記載の方法。
【請求項85】
蛍光標識が有機色素、半導体量子ドット、ランタニド原子含有複合体および蛍光タンパク質からなる群より選択される、請求項84記載の方法。
【請求項86】
判定段階が以下の段階を含む、請求項79記載の方法:
標的核酸の存在を示している、曝露後蛍光標識により引き起こされるフォトルミネセンスを検出する段階。
【請求項87】
ハイブリダイゼーション溶液におけるハイブリダイゼーション複合体が、有意には、複数の金属ナノ粒子と静電気的に会合しない、請求項79記載の方法。
【請求項88】
標的核酸がcDNAであり、かつポリメラーゼ連鎖反応が逆転写ポリメラーゼ連鎖反応である、請求項79記載の方法。
【請求項89】
標的核酸が合成の、天然の、または構造的に改変されたDNAもしくはRNAである、請求項79記載の方法。
【請求項90】
標的核酸がタンパク質またはポリペプチドに連結した核酸分子を含む、請求項79記載の方法。
【請求項91】
ポリメラーゼ連鎖反応が免疫ポリメラーゼ連鎖反応である、請求項79記載の方法。
【請求項92】
以下の段階を含む、試料において病原体を検出する方法:
病原体の核酸を含む可能性のある試料を得る段階;および
請求項1記載の方法を行う段階であって、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたことを判定する段階が、病原体の存在を示している段階。
【請求項93】
試料から単離された核酸がRNAであり、かつ標的核酸がRNAである、請求項92記載の方法。
【請求項94】
試料から単離された核酸がRNAであり、かつ標的核酸がcDNAである、請求項92記載の方法であって、該方法が以下の段階をさらに含む方法:
実行段階の前に単離されたRNAを逆転写ポリメラーゼ連鎖反応により増幅する段階。
【請求項95】
以下の段階を含む、遺伝学的スクリーニングの方法:
試料を得る段階;
試料からDNAを単離する段階;
試料から単離されたDNAを増幅する段階;および
請求項1記載の方法を行う段階であって、少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたことを判定する段階が、遺伝学的疾患、遺伝性疾患、の素因を示す、または生物体を同定する段階。
【請求項96】
以下の段階を含む、試料においてタンパク質を検出する方法:
試料を得る段階;
試料を用いて免疫ポリメラーゼ連鎖反応手法を行う段階であって、免疫ポリメラーゼ連鎖反応手法が結果として、タンパク質に結合した核酸の増幅を生じる段階;および
請求項1記載の方法を行う段階であって、タンパク質に結合している核酸が標的核酸であり、かつ少なくとも1つの一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸にハイブリダイズしたことを判定する段階が、そのタンパク質が試料に存在することを示している段階。
【請求項97】
ポリメラーゼ連鎖反応により調製された増幅核酸の量を定量する方法であって、該方法が以下の段階を含む方法:
それぞれ、増幅されるべき核酸分子またはそれの相補体にハイブリダイズする能力があるヌクレオチド配列を含む2つまたはそれ以上の蛍光標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを供給する段階;
標的核酸分子および/またはそれの相補体ならびに供給された蛍光標識オリゴヌクレオチドプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応を行う段階;ならびに
該ポリメラーゼ連鎖反応実行段階後、得られた試料について請求項1記載の方法を行う段階であって、試料から検出された蛍光レベルが増幅核酸分子へ組み入れられたプライマーの量を示す段階。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−516426(P2007−516426A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533143(P2006−533143)
【出願日】平成16年5月17日(2004.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/015413
【国際公開番号】WO2004/111602
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(303036496)ユニバーシティー オブ ロチェスター (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月17日(2004.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/015413
【国際公開番号】WO2004/111602
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(303036496)ユニバーシティー オブ ロチェスター (6)
【Fターム(参考)】
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