説明

カプセルによる飲料生産装置用の抽出モジュール

【課題】カプセルから飲料を生産し、使用済みカプセルを確実に排出する構成の装置を提供する。
【解決手段】装置は、第1ジョー部材及び協働する第2ジョー部材を備えるモータ駆動の抽出モジュールを備え、抽出モジュールの開状態では、ジョー部材が相互から隔置され、閉状態では、ジョー部材がカプセル空間をしっかり封入し、さらに、閉状態と開状態間の抽出モジュールの移行を制御するモータ12と、モータ12及びジョー部材の少なくとも一方と機能的に接続され、モータ駆動の動作を閉鎖力に、つまり第1及び第2ジョー部材を相互に接近させる力に変換するように設計され、これが閉鎖運動の過程で増加する膝レバー構成19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、カプセルの容積内に導入された、例えば高圧温水などの液体と相互作用した場合に飲料又は液体食料を生産することができる成分を含有するカプセルに基づく飲料又は液体食料の生産に関する。
【背景技術】
【0002】
特にコーヒー自動販売機の分野では、当初は気密密封されて飲料成分を含むカプセルを、(密封したまま)開放した抽出モジュールに挿入する機械が、広く開発されている。次に、カプセルを囲む抽出モジュールをしっかり閉鎖し、カプセルの第1面に水を注入して、カプセルの容積内で飲料を生成し、生成した飲料をカプセルの第2面から放出することができる。
【0003】
飲料生産プロセスが終了すると、使用済みのカプセルを抽出モジュールから除去しなければならない。
【0004】
このようなカプセルによる飲料生産機械の取り扱いを容易にするために、異なる取組法が知られている。
【0005】
欧州特許第EP1095605A1号は、このようなカプセルの排出機械を教示し、ここでは抽出モジュールを開放すると、開放動作に機械的に結合した排出器装置が自動的に使用済みカプセルをその支持体から持ち上げる。
【0006】
液体をカプセルに注入するために、外側からカプセルに穴を開ける針状要素を使用することが多い。水の注入及び飲料の生産プロセスが終了すると、カプセルはこれらの注入手段に取り付けられたままである傾向がある。この問題を克服するために、欧州特許第EP1444932A1号は抽出モジュールを提示し、これは(往復の閉鎖運動とは対照的に)直線的に閉鎖され、水注入手段(針)からカプセルを切り離す手段を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第EP1095605A1号
【特許文献2】欧州特許第EP1444932A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上を鑑みて、本発明の目的は、確実かつ単純な機械的構成の技術を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、独立請求項の特徴によって達成される。従属請求項は、本発明の中心的概念をさらに発展させる。
【0010】
本発明の第1の態様は、カプセルから飲料を生産する装置に関し、装置は、
第1ジョー部材及び協働する第2ジョー部材を備えた抽出モジュールを備える。
抽出モジュールの開状態では、ジョー部材は相互から隔置される。閉状態では、ジョー部材はカプセル空間をしっかり封入する。
モータは、抽出モジュールの閉状態と開状態間の移行を駆動する。
機械的変換手段は、モータの駆動動作をジョー部材の相対的変位に伝達し、モータの駆動動作から閉鎖力、つまり第1及び第2ジョー部材が相互に接近する力への可変伝達率を有する。閉鎖力は、閉鎖運動の過程で増加する。したがって、閉鎖力は最も必要とされている場合、つまりジョー部材が挿入された任意のカプセルをしっかり封入しなければならない場合に最大値に到達する。
【0011】
機械的変換手段は、レバー構成を備えることができる。
【0012】
レバー構成は、モータによって駆動されるスピンドルに接続することができる。
【0013】
モータの回転駆動は、スピンドルを駆動シャフトの一部であるか、或いはそれと接続されているねじと相互作用させることによって、並進駆動に変換することができる。
【0014】
レバー構成は、2対の相互に平行なレバーで構成することができる。レバーの各対のレバーは、膝継手によってそれぞれ相互に接続することができる。モータは、膝継手を直接的又は間接的に始動させることができる。
【0015】
抽出モジュールの開状態で、各対のレバーは膝継手から延在する鋭角を形成することができる。抽出モジュールの閉状態では、各対のレバーは膝継手から延在する鈍角を形成することができる。
【0016】
各対のレバーのうち1つのレバーの膝継手に対向する先端は、それぞれジョー部材のうち一方に接続することができる。他方の先端はそれぞれ、並進状態で固定することができる。
【0017】
モータの位置及び/又は方向は、開状態と閉状態間の抽出モジュールの移行運動に従うことができる。
【0018】
抽出モジュールを閉状態と開状態間で移行させる場合に、位置合わせした軌跡に沿ってジョー部材が変位可能であるように、ジョー部材の案内手段を設けることができる。
【0019】
装置は、抽出モジュール及びモータを飲料生産装置の主要部分に装着する枠を備えることができる。
【0020】
ジョー部材の一方は、挿入されたカプセルに液体を注入する手段を備えることができる。他方のジョー部材は個々に、挿入されたカプセルから生産した飲料を放出する手段を備えることができる。
【0021】
装置は、カプセルを注入手段から能動的に切り離す手段を備えることができる。それによって、切り離し手段は、モータに駆動された抽出モジュールの閉状態から開状態に向かう移行運動に、機能的に結合することができる。
【0022】
本発明のさらなる態様は、飲料成分を含むカプセルから飲料を生産する装置に関する。装置は、第1ジョー部材及び協働する第2ジョー部材を有する抽出モジュールを備える。抽出モジュールの開状態では、ジョー部材は相互から隔置され、閉状態では、ジョー部材はカプセル空間をしっかり封入する。
【0023】
モータは、抽出モジュールの閉状態と開状態間の移行を駆動する。
【0024】
第1カプセル切り離し手段は、カプセルを第1ジョー部材から能動的に切り離すために設けられ、第2カプセル切り離し手段は、カプセルを第2ジョー部材から積極的に切り離すために設けられる。それによって、第1及び第2切り離し手段は、モータに駆動された抽出モジュールの移行運動に機能的に結合することができる。
【0025】
第1及び第2切り離し手段は、抽出モジュールの閉状態から開状態への移行運動に、機能的に結合することができ、したがって第1及び第2切り離し手段の一方は、他方の切り離し手段が個々に始動した後の確定時間に始動する。
【0026】
切り離し手段の少なくとも一方は、回転切り離し運動を実行するように設計することができる。
【0027】
本発明のさらなる態様は、カプセル(24)から飲料を生産する装置に関し、これは近づく2つのジョー部材によって囲まれた空間に障害物が感知されない場合のみ、開状態から閉状態へのモータの駆動活動を可能にする安全センサを備える。
【0028】
本発明のさらなる態様は、カプセルに基づく飲料生産システムを動作させる方法に関する。それによって抽出モジュールはモータによって駆動され、カプセルが挿入される開状態から、抽出モジュールが挿入されたカプセルをしっかり封入する閉状態へと移行する。抽出モジュールは、第1ジョー部材及び協働する第2ジョー部材を備える。モータの駆動動作は、閉鎖力に、つまりジョー部材を相互に近づける力に機械的に変換され、これは閉鎖運動の過程で増加する。
【0029】
本発明のさらなる態様は、カプセルに基づく飲料生産システムを動作させる方法に関し、ここでは抽出モジュールが、抽出モジュールによってしっかり封入されながら、挿入されたカプセルから飲料を生産する閉状態から、開状態へと移行し、抽出モジュールは、第1ジョー部材及び協働する第2ジョー部材を備える。それによって、カプセル(24)は、抽出モジュールが閉状態から開状態へと移行すると、両方のジョー部材から能動的に切り離される。
【0030】
カプセルは、ジョー部材の少なくとも一方から湾曲した軌跡で切り離すことができる。
【0031】
本発明のさらなる利点、特徴及び目的は、添付図面の図と組み合わせて考察した場合、本発明の実施例に関する以下の詳細な説明から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による飲料生産装置の抽出モジュールを示す図である。
【図2】抽出モジュールの構成要素を示す図である。
【図3】開状態にある抽出モジュールを示す部分図である。
【図4】抽出モジュールが閉状態にある場合の本発明による抽出モジュールを示す部分図である。
【図5】閉状態から開状態への移行運動中の本発明による抽出モジュールを示す図である。
【図6】図3に類似した開状態にある抽出モジュールの断面図である。
【図7】基本的に図4に対応する閉状態にある本発明の抽出モジュールの断面図である。
【図8】基本的に図5に対応するように、閉状態から開状態への移行運動中の本発明による抽出モジュールの断面図である。
【図9】中間状態にある場合の抽出モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
添付図面の図を詳細に参照する前に、幾つかの用語について説明する。
「飲料」とは、飲用に適した液体と、例えばスープなど液体食料との両方を含む。
「カプセル」は、飲料成分を乾燥、液体、固体又は他の形態で含むことができる任意の閉じた容器である。カプセルは、硬質外殻又は軟質外殻を有することができる。これは単一の材料から、又は材料の混合物で作成することができる。これは、例えばパッド又はカップ状の形状など、あらゆる種類の形状を有することができる。気密密封するか、しないことができる。
「抽出」及び「抽出モジュール」という用語は、コーヒー飲料の生産に言及する場合に通常使用される通りに使用されている。この用語は、例えば混合、溶解、焙煎など、液体と成分との間のあらゆる種類の相互作用を指すことを理解されたい。
【0034】
図1は、本発明の抽出モジュールの概観を示す。
【0035】
カプセル24の抽出モジュールは、様々な飲料生産装置、特にコーヒー焙煎装置に組み込むことができる。これは、電力及び加圧した水(例えば、熱ブロック又はボイラに接続されたポンプから供給される)の供給源に接続するだけでよい独立したモジュールを構成する。
【0036】
図1で見られるように、主枠の前方部分は、水平の後方部分に対して20°から40°の角度だけ、好ましくは水平面に対して30°上昇させることができる。したがって、カプセル24は、カプセル24の挿入運動が人間工学的にわずかに下方向へと配向されるように、後方に傾斜した姿勢にて抽出モジュール内で受け取られる。以下に説明するように、抽出モジュール内でカプセル24がこのように後方に傾斜すると、重力に関連して、使用済みカプセル24を抽出モジュールの後方に除去することも促進される。
【0037】
抽出モジュールの要素は、主枠26に取り付けられる。主枠26は、左枠1、右枠2、レバー軸3、上枠4、後方枠5及び下枠6で構成される。
【0038】
一般的に、抽出モジュールは、電子制御ユニット(図面には図示せず)によって制御された電動モータ12によって駆動される。電子制御ユニットは、安全システムからの出力検出信号に応じてモータ12を制御可能であるように、安全システムにも接続されることに留意されたい。
【0039】
電動モータ12は、第1ジョー、つまり上部焙煎装置ヘッド8を担持する可動焙煎ヘッド支持体7を、第2ジョー、つまり(可動焙煎ヘッド支持体7とは対照的に)並進状態で主枠26に取り付けられ、カプセル24を支持するような構成である下部焙煎ヘッド9(図2参照)を担持する下枠6に対して動作させるために、レバー19を備える機械的伝動装置を駆動する。
【0040】
上部焙煎ヘッド8は、その下側に例えば加圧された温水のような液体をカプセル24に注入する手段を呈する。次に、導入された液体は、カプセル24に含まれた飲料又は液体食料の成分と相互作用する。本発明は、例えば混合、焙煎、抽出又は溶解など、あらゆる種類の可能な相互作用を含む。
【0041】
導入された液体とカプセル27に含まれた成分との相互作用の結果である飲料又は液体食料は、次に下枠6に接続された放出手段27を使用してカプセル24から放出することができる。
【0042】
下枠6は下部焙煎ヘッド9とともに第2ジョー部材を構成し、これは可動焙煎ヘッド支持体7及びその上部焙煎ヘッドと協働し、これは一緒に第2ジョー部材を構成する。
【0043】
したがって、2つのジョー部材6、7を相互に対して動作させることができ、例えば図1で示すような開位置では、2つの(隔置された)ジョー部材6、7によって囲まれた空間内にカプセル24を挿入することができる。
【0044】
図1で示すような開位置から開始して、電動モータ12は上部焙煎ヘッド8を駆動し、閉位置に到達するまで下方向に動作させることができ(これについては、図4に関して以下に説明する)、閉位置では、2つのジョー部材6、7が挿入されたカプセル24をしっかり閉じこめる。飲料生産プロセスは、図4に示した抽出モジュールの閉状態で実行される。抽出モジュールが図1で示すような開位置に復帰すると、使用済みカプセル24と新しいものとの交換が実行される。
【0045】
モータ12の回転駆動動作は、2つのジョー部材6、7の直線相対運動に変換される。これに関して、図1で示すような実施例では、上部焙煎ヘッド8が、主枠26の一部である直線柱29に沿って案内される28。(実際には、可動焙煎ヘッド支持体7の各側に、それぞれ左枠1及び右枠2の個々に1つの案内部材28及び垂直柱29を設ける。)
【0046】
モータ12は、モータ・ブロックの軸受け中心軸41にて主枠26に回転自在に装着される。
【0047】
以下に説明するように、閉鎖運動の特に最終接近段階で、閉鎖力、つまり上下のジョーを相互に接近させる力が非常に大きくなるように設計される。抽出モジュールを操作する使用者の傷害及び/又は図示の抽出モジュールの部品の損傷との両方を防止するために、滑動ドア11及び安全スイッチ10を備えた安全システムを設ける(図2に図示)。
【0048】
滑動ドア11の下縁30が下降中に障害物に遭遇した場合、滑動ドア11はばね31のバイアス作用に抗して押し上げられ(図2参照)、したがって滑動ドア11が安全スイッチ10を始動させ、これによって下降が停止するか、電動モータ12の回転方向が逆転し、したがって上部ジョーが滑動ドア11とともに最終的に上昇する。
【0049】
図2は、図1の抽出モジュールの部品、つまり滑動ドア11、ばね31及び安全スイッチ10を備える安全システムを示す。さらに、図2は上部焙煎ヘッド8を担持する可動焙煎ヘッド支持体7を組立分解図で示す。図2では、主枠26(図1参照)の相互に平行な2本の柱29に沿って可動焙煎ヘッド支持体7を案内する2つの直線案内手段28を見ることができる。
【0050】
最後に、図2は下部焙煎ヘッド9がある下枠6の詳細図を示す。
【0051】
下部焙煎ヘッド9は穿孔手段32を備え、これはカプセル24の下面が穿孔手段32に押し当てられた場合に、カプセル24の下面を開放する働きをする。
【0052】
図示の実施例(図1参照)では、カプセルはパッドの形状を有する。相応して、下部焙煎ヘッド9には、カプセル24のマジック一致輪郭(magic matching contour)の中心を見い出す円錐台形の窪み33を設ける。生産された飲料は窪み33に収集され、次に下にある案内路27へと案内される。
【0053】
図3は、主枠26内に収容され、それに装着された静止及び可動部品をさらによく見るために、主枠26がない本発明による封入ユニットを示す。
【0054】
図3は、開状態の封入ユニットを示す。これは、上部焙煎ユニット7が下枠6から、並びに使用者が下枠6に配置するカプセル24の上面から隔置されていることから分かる。
【0055】
電動モータ12を、モータ・ブロック支持体16に取り付けた歯車箱13に接続する。
【0056】
歯車箱14はスピンドル15を駆動し、これは2つのシャフト案内部18を有するシャフトと協働する。シャフト16には、スピンドル15の回転駆動力がシャフト16の並進変位Δxに変換されるように内ねじを設ける。
【0057】
シャフト16を、膝継手構成に装着された4つのレバー19で構成されているレバー構成に接続する。
【0058】
レバー構成は、相互に平行な2対のレバーを備え、シャフト16が各対のレバー19の膝継手(接続継手)46を並進方向に変位させる(Δx参照)。
【0059】
各対のレバーのうち上部レバーの上部自由端は自由に回転するが、レバー軸3(図1参照)によって主枠26に並進状態で接続される。
【0060】
したがって、各対のレバー19の上部自由端が自由に回転するが、主枠26(図1参照)に並進状態で取り付けられるので、各対のレバーのうち対向するレバー19の下部自由端は、シャフト16がモータ12によって駆動されて、各対のレバー19の接続点を図3の左側へ押すと、下方向に直線運動する。
【0061】
これによるシャフト16の変位は、各対のレバー19の下部自由端の変位に対して、したがって可動焙煎ヘッド支持体7の変位に対して直角に配向される。
【0062】
各対のレバー19の下部自由端は、可動焙煎ヘッド支持体7に回転自在に接続される。
【0063】
その結果、スピンドル15の回転駆動力はシャフト16の並進変位に変換され、これは可動焙煎ヘッド支持体7の垂直変位に変換され、これは図3でΔyとされている。
【0064】
図3で示すような開位置では、各対のレバーは、シャフト16に接続された接続部又は膝継手46から見て鋭角を形成する。したがって、図3で示すような位置から開始して、シャフト16の比較的小さい変位Δxの結果、可動焙煎ヘッド支持体7の変位Δyが比較的大きくなる。相応して、閉鎖運動、つまり可動焙煎ヘッド支持体7を下降させる移行運動のこの初期段階で、可動焙煎ヘッド支持体7は比較的速いが比較的小さい力で下降する。
【0065】
可動焙煎ヘッド支持体7が下方向に駆動されるほど、各対19の最初の鋭角がさらに鈍角に変換される。閉鎖移行運動の最後に(図4参照)、各対のレバーを実際に位置合わせすることができる。つまり、これは最大180°の鈍角を形成する。
【0066】
したがって、接近移行運動の最後、つまり可動焙煎ヘッド支持体7が下枠6に突き当たりそうになると、シャフト16の同じ増分変位Δxが、(図3で示すような初期位置と比較して)可動焙煎ヘッド支持体7のこれよりはるかに小さい相対変位Δyに変換される。他方で、閉鎖力、つまり可動焙煎ヘッド支持体7を最終段階で下枠6に接近させ、最終的にこれに突き当てる力は、図3で示すような初期段階と比較すると、接近閉鎖運動のこの最終段階で非常に大きくなる。
【0067】
したがって、レバー構成19は、開閉運動の過程で伝達率が変化する機械的伝達手段の一例を表す。(抽出モジュールの開状態から開始する)閉鎖運動の初期段階で、閉鎖力は比較的小さい(さらに閉鎖速度は比較的速い)。他方で、機械的伝達手段は、閉鎖運動の最終段階のように、特に可動焙煎ヘッド支持体7が下枠6を圧迫する場合のように設計される。
【0068】
操縦軸22と協働するカプセル・ホルダ21の機能について、以下に説明することに留意されたい。
【0069】
図4は、閉鎖システムが、可動焙煎ヘッド支持体7及び下枠6がカプセル制限空間をぴったり封入する閉位置にある切欠図を示す。
【0070】
図4から分かるように、モータ12は、シャフト16が(図4の左側へと)最も前進した位置にあり、レバー19の対がもはや鋭角を形成せず、約180°の角度であるように、スピンドル15を駆動している。抽出モジュールのこの閉状態で、モータ12から駆動された比較的小さい力は、各対のレバー19の下部レバー19それぞれに非常に大きい下方向の力を引き起こす。
【0071】
図4で示すような位置で、飲料生産プロセスが実行されている。飲料生産プロセスが終了すると、電子制御部(図では図示せず)が電動モータ12を反対方向に回るように制御し、したがって可動焙煎ヘッド支持体7が持ち上げられ、図3で示すような位置へと戻るように、スピンドル15がシャフト16を後退させる。
【0072】
図3及び図4の以上の説明から、電動モータ12の寸法を比較的小さくできることが明白である。というのは、そのトルクが機械的伝達手段(レバー構成19)によって閉鎖力に伝達され、これが閉鎖移行運動の過程で増加するからである。
【0073】
以下、他の運動が抽出モジュールのこの主要開閉運動に機械的に結合されることを説明する。
【0074】
図3、図4及び図5には、下部カプセル切り離しユニット(カプセル排出装置)20が図示されている。特に図5から分かるように、カプセル排出装置20の主要素は基本的に、環状排出部材34、さらに例えば可動焙煎ヘッド支持体7の傾斜面7bと係合するピン20aなどを内側(図面で図示せず)に有する排出装置制御アーム35である。
【0075】
可動焙煎ヘッド支持体7が下方向に直線運動する図3から開始して、内部ピン20aを有する制御アーム35の先端は、抽出モジュールが図4で示すような閉状態に到達した場合に、制御アーム35の自由先端が傾斜面7aの最も内側の位置に配置されるまで、傾斜面7a上を滑動する。
【0076】
他方で、カプセルを下枠6と可動焙煎ヘッド支持体7の間のカプセル挿入空間に挿入すると、下部カプセル排出装置20の環状要素34が、カプセル24の縁部分と下枠6の間に挟まれる。
【0077】
次に、飲料生産プロセスが終了すると、可動焙煎ヘッド支持体7が(図4で示すような閉状態から開始して、図5の開放中間状態に向かって)再び上方向に持ち上げられると、制御アーム35の内側に取り付けられた係合ピン20aが傾斜面7bと係合し、したがって屈曲制御アーム35が軸受けの軸の周囲で回転する。これにより、カプセル排出装置20の環状部材34が、下枠6の上面に載っている図4で示すような位置から、図5で示すような回転位置へと回転する。それと同時に、環状部材34は、カプセル24(図5参照)の外縁と係合し、回転運動でカプセル24を下部焙煎ヘッド9の窪みから切り離す。
【0078】
以下で説明するように、下部カプセル排出装置20の回転運動は、(使用済み)カプセル24を滑動させ、トレイ(図面では図示せず)内に戻す。
【0079】
下部カプセル排出装置20の屈曲制御アーム35と可動焙煎ヘッド支持体7の傾斜面7bとの係合のせいで、カプセル24を下枠6から持ち上げるこの切り離し作用は、可動焙煎ヘッド支持体7の開放移行運動と機械的に結合することによって能動的に制御される。
【0080】
次に、本発明のさらなる特徴について、図6から図8の断面図に関して説明する。
【0081】
図6は、開状態にある本発明による抽出モジュールの断面図を示す。
【0082】
使用者が、カプセル24を挿入しようとしている。
【0083】
下部カプセル排出装置20は、カプセル24の外縁部分が下枠6に対して下部カプセル排出装置20の環状部材34を挟む位置にある。
【0084】
以下で説明するように、可動焙煎ヘッド支持体7に関する切り離し動作も、可動焙煎ヘッド支持体7の主要運動に機械的かつ能動的に結合される。カプセルを可動焙煎ヘッド支持体7から切り離すために、特に可動焙煎ヘッド支持体7の凹状部分に収容された注水手段36からカプセルを切り離すために、上部カプセル排出装置25を設ける。図6で示すような位置で、この上部カプセル排出装置25は後退位置にある。一般的に、上部カプセル排出装置25は、図6で示すような後退位置と、以下で説明する前進位置(例えば図8参照)の間で動作可能である。上部カプセル排出装置25の運動は、上部カプセル排出装置25の上端とシャフト16に並進状態で取り付けられた制御カム37との相互作用によって能動的に制御される。したがって、例えば後退又は前進位置で、可動焙煎ヘッド支持体7に相対する上部カプセル排出装置25の現在の相対位置は、(スピンドル15によって駆動される)シャフト16の現在位置及び制御カム37の特に設計された形状に依存する。
【0085】
図6には、ばねでバイアス付与した滑動ドア11及び安全スイッチ10を備える安全システムも見られる。
【0086】
さらに、図6には、操縦軸22及びばね23と可動焙煎ヘッド支持体7との相互作用によって制御された回転運動を実行可能なカプセル・ホルダ21が図示され、これについては以下でさらに詳細に説明する。
【0087】
いずれの場合も、カプセル・ホルダ21には止め壁39を設ける。図6で示すような位置で、止め壁39は、下枠6の下部焙煎ヘッド9の受け面を越えて延在する。したがって、使用者が図6で示すようにカプセル24を挿入している場合、この挿入は、止め壁39をこの受け面から上方向に突出させることによって容易になる。
【0088】
モータ12が可動焙煎ヘッド支持体7を駆動して図7で示すような閉位置にすると、注水手段38がカプセル24の上面の内側に押される。図7で示すようなこの位置で、加圧された水がカプセル24に入ることができ、カプセル24に含まれた飲料成分との相互作用を開始することができる。
【0089】
それと同時に、穿孔手段32は、カプセル24の下面を既に開放しており、生産された飲料を収集し、放出路27を通して放出することができる。
【0090】
図7から、抽出モジュールのこの閉位置で、上部カプセル排出装置25が最も後退した位置であることも分かる。この後退位置は、シャフト16の端部に設けた制御カム37によって制御される。
【0091】
可動焙煎ヘッド支持体7が図6で示すような開位置から図7で示すような閉位置へと移行すると、カプセル・ホルダ21の最初に直立している止め壁39が、可動焙煎ヘッド支持体7によって下方向に押される。止め壁39を有するカプセル・ホルダ21が(図面の反時計回りに)回転すると、ばね23に張力がかかる。張力がかかったばね23のせいで、操縦軸22が反時計回りに回転し、したがって操縦軸22の下方向に延在するストッパ・アーム42がカプセル・ホルダ21の直立止め部43の頂部で回転する。その結果、カプセル・ホルダ21は、ストッパ・アーム42及び止め部43のブロック効果のせいで、図7で示す下位置にてブロックされる。
【0092】
図6と図7を比較すると、モータ21、歯車箱13、モータ・ブロック支持体14、スピンドル15及びシャフト16は、主枠26に固定状態で装着されず、ジョー部材6、7の閉鎖及び開放移行運動それぞれの間に旋回運動を実行可能であることが分かる。
【0093】
上述したモータ・ブロック部品(モータ12、歯車箱13、モータ・ブロック支持体14、スピンドル15及びシャフト16)は実際には、モータ・ブロック軸受けの軸41(例えば図3参照)によって自由回転状態で主枠26に固定される。
【0094】
図7で示すような閉じた飲料生産状態から開始して、モータ12によって駆動された可動焙煎ヘッド支持体7が再び上昇しても、カプセル・ホルダ21は、カプセル・ホルダ21と操縦軸22との相互作用のせいで、この運動に即座に従わない。
【0095】
カプセル・ホルダ21のこの回転の遅れによって、図9で示すようにカプセル24が窪んだ位置から回転運動して下部カプセル排出装置20が持ち上がることが可能になり、したがってカプセル24は最終的に(図9で示すように)傾斜した下部カプセル排出装置20からカプセル・ホルダ21の滑動表面40上を滑動し、トレイ(図示せず)内に戻る。
【0096】
カプセル24のこの後方への変位は、抽出モジュールを、例えば30°の角度だけ後方に傾斜するように飲料生産装置内に装着することが好ましいことによって促進される。したがって、下部焙煎ヘッド9の後方部分は、その前方部分より下に位置決めされる。
【0097】
開放運動中、つまり可動焙煎ヘッド支持体7の上昇中に、シャフト16の制御カム37は、上部焙煎ヘッド8の注水手段に相対する上部カプセル排出装置25を相対的に突出運動させる。上部焙煎ヘッド8に相対する上部カプセル排出装置25のこの切り離し動作は、下部カプセル排出装置20の環状部材34が回転運動で下枠6からカプセル24を持ち上げる前に実行される。
【0098】
上部カプセル排出装置25及び下部カプセル排出装置20それぞれのこの切り離し動作の遅れは、シャフト16の制御カム37及び下部カプセル排出装置の屈曲制御アームの対応する設計によって規定される。
【0099】
図8から分かるように、図7で示すような閉位置から開始して、シャフト16がモータ12によって後退した場合、上部カプセル排出装置25は制御カム37の第1区間37aによって所定の位置に保持され、上部焙煎ヘッド8は既に上昇している。これは、上部焙煎ヘッド8に相対する上部カプセル排出装置の相対的な突出運動に対応し、したがってカプセル24は穿孔及び注入手段32から能動的に切り離される。
【0100】
上部カプセル排出装置25が制御カム37の第2窪み区間37bとの協働を開始する程度に、シャフト16が後退した場合のみ、上部カプセル排出装置25が自由に上部焙煎ヘッド8の上昇に従う。
【0101】
図8で示す上部焙煎ヘッド6の開放運動(上昇)中の状態で、カプセル・ホルダ21はなおその下位置でブロックされている。
【0102】
しかし、上方向の開放運動が図9に示す位置に到達すると、操縦軸の上部カム44が可動焙煎ヘッド支持体7の窪み45によって時計回りに回転し、したがって操縦軸22のブロック効果が消滅し、カプセル・ホルダ21が図6に示す上部位置に復帰することができ、ここで止め壁39が次のカプセル24の挿入時に後部止め部を形成する。
【0103】
要するに、主要な動作としてモータ12が抽出モジュールの開閉運動を駆動する。これと結合して、この主要な動作に、上部ジョー及び下部ジョーそれぞれの切り離し手段の遅延動作が結合される。最後に、カプセル・ホルダ21の変位の駆動も、前記主要な動作に機械的に結合される。
【符号の説明】
【0104】
1…左枠、2…右枠、3…レバー軸、4…上枠、5…後方枠、6…下枠、7…可動焙煎ヘッド支持体、7a…傾斜面、7b…傾斜面、8…上部焙煎ヘッド、9…下部焙煎ヘッド、10…安全スイッチ、11…滑動ドア、12…電動モータ、13…歯車箱、14…歯車箱、15…スピンドル、16…シャフト、18…案内部、19…レバー、20…カプセル排出装置、20a…ピン、21…カプセル・ホルダ、22…操縦軸、23…ばね、24…カプセル、25…上部カプセル排出装置、26…主枠、27…カプセル、28…案内部材、29…柱、30…下縁、31…ばね、32…穿孔手段、33…窪み、34…環状要素、35…制御アーム、36…注水手段、37…制御カム、37a…第1区間、37b…第2区間、38…注水手段、39…止め壁、40…滑動表面、41…軸受け中心軸、42…ストッパ・アーム、43…止め部、44…上部カム、45…窪み、46…膝継手。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル(24)から飲料を生産する装置であって、
第1ジョー部材(6)及び協働する第2ジョー部材(7)を備えた抽出モジュールを備え、
前記抽出モジュールの開状態では、前記ジョー部材(6、7)が相互から隔置され、閉状態では、前記ジョー部材(6、7)がぴったり接触し、
前記抽出モジュールの閉状態と開状態間の移行を制御するモータ(12)と、
前記モータ(12)の駆動動作を前記ジョー部材(6、7)の相対的変位に伝達することにより、前記抽出モジュールの前記開状態と前記閉状態間の移行の過程で変動する可変伝達率を有する機械的変換手段(19)と、
を備え、
前記機械的変換手段(19)が、前記モータ(12)の駆動動作を閉鎖力に、つまり前記第1及び第2ジョー部材(6、7)を相互に接近させる力に変換させるように設計され、閉鎖力が閉鎖運動の過程で増加し、
前記機械的変換手段(19)が、前記モータ(12)によって駆動されたスピンドル(15)に接続されるレバー構成(19)を備える、装置。
【請求項2】
前記スピンドル(15)を駆動シャフト(16)のねじと相互作用させることによって、前記モータの回転駆動を並進駆動に変換させる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記レバー構成(19)が相互に平行な2対のレバー(19)で構成され、レバー(19)の各対のレバーがそれぞれ、膝継手(46)によって相互に接続され、前記モータが前記膝継手(46)を直接的又は間接的に始動させる、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記抽出モジュールの前記開状態で、各対のレバー(19)が前記膝継手(46)から延在する鋭角を形成し、前記抽出モジュールの前記閉状態では、各対のレバー(19)が前記膝継手(46)から延在する最大180°の鈍角を形成する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
各対のレバーのうち1つのレバー(19)の前記膝継手(46)に対向する先端がそれぞれ、前記ジョー部材(6、7)の1つに接続され、他方の先端がそれぞれ並進状態で固定される、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項6】
前記モータ(12)の位置及び/又は方向が、前記開状態と前記閉状態との間の前記抽出モジュールの移行運動に従う、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記抽出モジュールをその閉状態と開状態の間で移行させる場合に、前記ジョー部材(6、7)が位置合わせされた軌跡に沿って変位可能であるように、ジョー部材案内手段(1、2)が設けられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記抽出モジュール及び前記モータ(12)を飲料生産装置の主要部品に装着する枠(26)を備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記枠(26)の前方部分が、前記枠の水平後方部分に相対して鋭角だけ持ち上げられる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記カプセル(24)が水平面に対して後方に傾斜する姿勢で前記抽出モジュール内に位置決めされる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記ジョー部材(6、7)の一方が、挿入されたカプセルに液体を注入する手段を備え、それぞれ他方のジョー部材が、生産された飲料を、挿入されたカプセル(24)から放出する手段を備える、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記カプセルを前記注入手段から能動的に切り離す手段を備え、前記切り離し手段が、前記抽出モジュールの前記モータ駆動の移行運動によってその閉状態からその開状態に向かって能動的に制御される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記カプセル(24)を前記第1ジョー部材から能動的に切り離す第1カプセル切り離し手段と、
前記カプセル(24)を前記第2ジョー部材から能動的に切り離す第2カプセル切り離し手段と、
を更に備え、
前記第1及び第2切り離し手段が、前記抽出モジュールの前記モータ駆動の移行運動と機械的に結合される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記切り離し手段の少なくとも一方が、回転切り離し運動を実行する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
接近する前記2つのジョー部材によって囲まれた空間に障害物が感知されない場合のみ、前記開状態から前記閉状態への前記モータの前記駆動活動を可能にする安全センサを更に備える、請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−6073(P2013−6073A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−219194(P2012−219194)
【出願日】平成24年10月1日(2012.10.1)
【分割の表示】特願2006−260101(P2006−260101)の分割
【原出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】