カプセル製造装置、及び、カプセル製造方法
【課題】 粒径の大きさや皮膜の厚さを調整しつつ、均一な形状のカプセルを生成する。
【解決手段】 コアと、前記コアを内包する皮膜とを含むカプセルを形成するカプセル製造装置であって、前記皮膜を形成する第1の液体を噴射する第1噴射ノズルと、前記コアを形成する第2の液体を噴射する第2噴射ノズルと、を備え、前記第1噴射ノズルから、前記カプセルを形成することに用いる型に前記第1の液体を噴射して、前記皮膜の一部を形成し、前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、前記第1噴射ノズルから、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射して、前記コアを内包する皮膜を形成する。
【解決手段】 コアと、前記コアを内包する皮膜とを含むカプセルを形成するカプセル製造装置であって、前記皮膜を形成する第1の液体を噴射する第1噴射ノズルと、前記コアを形成する第2の液体を噴射する第2噴射ノズルと、を備え、前記第1噴射ノズルから、前記カプセルを形成することに用いる型に前記第1の液体を噴射して、前記皮膜の一部を形成し、前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、前記第1噴射ノズルから、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射して、前記コアを内包する皮膜を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル製造装置、及び、カプセル製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を皮膜で覆うことで生成されるカプセルが知られており、現在、機能性材料として食品、医薬品等の多岐の分野に渡って応用されている。このようなカプセルでは、その用途に応じて皮膜の厚さやカプセルの粒径が均一になるように生成されることが求められる場合がある。
【0003】
これに対して、ノズルから液滴を噴射することにより皮膜の厚さが均一になるようにカプセルを生成する方法がある。例えば、カプセルの皮膜や内包物を形成する材料液を多重ノズルから凝固液流中に噴射させて、多層の皮膜からなる液滴を形成させる。そして、該液滴が凝固液流中を移動する過程において最外層の皮膜を硬化させることで、カプセルを連続的に生成する方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−011765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のカプセル生成方法によれば、カプセル皮膜を形成する材料液の噴射量等を調整することで、皮膜の厚さを均一にし、また、粒径のばらつきが少ないカプセルを生成することができる。
【0006】
しかし、このような凝固液流中でカプセルを生成する方法では、材料液の特性や凝固液流の流速勾配など、様々な条件による制約を受ける。そのため、粒径の大きさや皮膜の厚さを自由に調整することは困難であり、様々なカプセル生成条件に十分対応することができなかった。
【0007】
本発明では、粒径の大きさや皮膜の厚さを調整しつつ、均一な形状のカプセルを生成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための主たる発明は、コアと、前記コアを内包する皮膜とを含むカプセルを形成するカプセル製造装置であって、前記皮膜を形成する第1の液体を噴射する第1噴射ノズルと、前記コアを形成する第2の液体を噴射する第2噴射ノズルと、を備え、前記第1噴射ノズルから、前記カプセルを形成することに用いる型に前記第1の液体を噴射して、前記皮膜の一部を形成し、前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、前記第1噴射ノズルから、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射して、前記コアを内包する皮膜を形成する、ことを特徴とするカプセル製造装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】カプセルの概念図である。
【図2】第1実施形態におけるカプセル製造装置の構成を表す概略図である。
【図3】第1実施形態のカプセル生成動作の工程を表すフロー図である。
【図4】図4A〜図4Cは、第1実施形態のカプセル生成動作を説明するための概略図である。
【図5】第2実施形態におけるカプセル製造装置の構成を表す概略図である。
【図6】第2実施形態のカプセル生成動作の工程を表すフロー図である。
【図7】図7A〜図7Cは、第2実施形態のカプセル生成動作を説明するための概略図である。
【図8】第3実施形態におけるカプセル製造装置の構成を表す概略図である。
【図9】第3実施形態のカプセル生成動作の工程を表すフロー図である。
【図10】図10A及び図10Bは、第3実施形態のカプセル皮膜(下側)の生成動作を説明する概略図である。
【図11】図11A及び図11Bは、第3実施形態のカプセル皮膜(上側)の生成動作を説明する概略図である。
【図12】2層の皮膜を有するカプセルの概略断面図である。
【図13】第4実施形態におけるカプセル製造装置の構成を表す概略図である。
【図14】第4実施形態のカプセル生成動作の工程を表すフロー図である。
【図15】図15A及び図15Bは、第1層皮膜(下側)及び第2層皮膜(下側)を生成する動作を説明する図である。
【図16】図16A及び図16Bは、第1層皮膜(上側)及び第2層皮膜(上側)を生成する動作を説明する図である。
【図17】皮膜形成液を複数回に分けて噴射することによって皮膜を形成する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0011】
コアと、前記コアを内包する皮膜とを含むカプセルを形成するカプセル製造装置であって、前記皮膜を形成する第1の液体を噴射する第1噴射ノズルと、前記コアを形成する第2の液体を噴射する第2噴射ノズルと、を備え、前記第1噴射ノズルから、前記カプセルを形成することに用いる型に前記第1の液体を噴射して、前記皮膜の一部を形成し、前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、前記第1噴射ノズルから、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射して、前記コアを内包する皮膜を形成する、ことを特徴とするカプセル製造装置。
【0012】
このようなカプセル製造装置によれば、第1噴射ノズルを用いて所望の厚さで皮膜の一部を形成し、形成された皮膜の一部に対して第2噴射ノズルを用いてコアを形成する。そして、形成されたコアに対して、先に皮膜の一部を形成した第1噴射ノズルを用いてコアを内包する皮膜を形成する。したがって、第1噴射ノズルによる第1の液体の噴射量を適切に制御することによって、粒径の大きさや皮膜の厚さが調整された、均一な形状のカプセルを生成することができる。
【0013】
かかるカプセル製造装置であって、光を照射する照射部をさらに備え、前記第1の液体は、前記光の照射を受けることによって硬化する液体であり、前記第1噴射ノズルから、前記型に前記第1の液体を噴射した後に、前記照射部から前記光を照射して前記皮膜の一部を形成し、前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、前記第1噴射ノズルから、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射した後に、前記照射部から前記光を照射して前記第1の液体を硬化し、前記コアを内包する皮膜を形成することが望ましい。
【0014】
このようなカプセル製造装置によれば、光を照射することによって硬化する第1の液体を用いてカプセルの皮膜を形成するため、照射する光の波長や周期を調整することで皮膜を所望の硬度とすることが可能となる。
【0015】
かかるカプセル製造装置であって、前記第1の液体を冷却する冷却部をさらに備え、前記第1の液体は、冷却されることによって硬化する液体であり、前記第1噴射ノズルから、前記型に前記第1の液体を噴射した後に、前記冷却部によって前記第1の液体を冷却して、前記皮膜の一部を形成し、前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、前記第1噴射ノズルから、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射した後に、前記冷却部によって前記第1の液体を冷却し、硬化させることで、前記コアを内包する皮膜を形成することが望ましい。
【0016】
このようなカプセル製造装置によれば、冷却によって硬化する第1の液体を用いてカプセルの皮膜を形成するため、冷却する温度を調整することで皮膜の硬度を調整することが可能である。
【0017】
かかるカプセル製造装置であって、前記第1の液体は、第3の液体と接触すると化学反応によって硬化する液体であり、前記第3の液体を噴射する第3噴射ノズルをさらに備え、前記第1噴射ノズルから前記型に前記第1の液体を噴射し、前記第3噴射ノズルから該型に前記第3の液体を噴射して、前記第1の液体と前記第3の液体とを接触させ、前記第1の液体を化学反応によって硬化させることによって、前記皮膜の一部を形成し、前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、前記第1噴射ノズルから前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射し、前記コアに対して噴射された前記第1の液体に対して、前記第3噴射ノズルから前記第3の液体を噴射し、前記第1の液体と前記第3の液体とを接触させ、前記第1の液体を硬化させることによって、前記コアを内包する皮膜を形成することが望ましい。
【0018】
このようなカプセル製造装置によれば、化学反応によって硬化する第1の液体を用いてカプセルの皮膜を形成するため、化学反応の条件を調整することによって、特性の異なる様々なカプセルを製造することができる。
【0019】
かかるカプセル製造装置であって、前記型に前記第1の液体を噴射する速度は、前記第2の液体を噴射する速度よりも速く、前記コアに対して前記第1の液体を噴射する速度は、前記第2の液体を噴射する速度よりも遅いことが望ましい。
【0020】
このようなカプセル製造装置によれば、型に第1の液体を噴射する際には、噴射する速度を速くすることによって、第1の液体が型に着弾する際に液滴を広がりやすくして、皮膜を形成しやすくする。一方、コアの上に第1の液体を噴射する際には、噴射する速度を遅くすることによって、着弾する第1の液体によってコアが破壊される可能性を低減することができるようになる。
【0021】
かかるカプセル製造装置であって、前記皮膜を形成する際に、前記第1噴射ノズルから、複数回に分けて前記第1の液体を前記型に噴射して、前記皮膜を形成することが望ましい。
【0022】
このようなカプセル製造装置によれば、第1の液体を複数回に分けて噴射することによって、皮膜を形成するため、大型のカプセル(皮膜)を形成することができる。
【0023】
また、カプセルを形成することに用いる型に第1の液体を噴射して、皮膜の一部を形成することと、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、第2の液体を噴射して、コアを形成することと、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射して、前記コアを内包する皮膜を形成することと、を有するカプセル製造方法が明らかとなる。
【0024】
また、光の照射を受けることによって硬化する第1の液体を、カプセルを形成することに用いる型に噴射した後、前記光を照射して前記第1の液体を硬化させることによって、皮膜の一部を形成することと、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、第2の液体を噴射して、コアを形成することと、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射した後に、前記光を照射して前記第1の液体を硬化させることによって、前記コアを内包する皮膜を形成することと、を有するカプセル製造方法が明らかとなる。
【0025】
===カプセルについて===
図1に本実施形態で生成されるカプセルの概念図を示す。本実施形態における「カプセル」は、多重カプセルとも呼ばれ、図のようにコア(内包物)、及びそれを覆う皮膜によって構成され、球状の外形を有する。このようなカプセルは、食料、医薬部外品、医薬品等、種々の分野で使用されており、カプセルの大きさ(内包物の容量)や、皮膜の厚さはその用途に応じて様々である。
【0026】
本実施形態では、インクジェット方式を用いて液滴を噴射することにより、カプセルの大きさや皮膜厚さを自由に調整しながら、所望のサイズで任意形状のカプセルを生成する。また、インクジェット方式により微少量の液滴を噴射することで、カプセルのサイズがマイクロメートルオーダーの所謂マイクロカプセルを生成することが可能である。例えば、0.1〜500pl(ピコリットル)程度の容量のカプセルサイズを生成することができる。
また、後述するように、皮膜を2層以上有する多重カプセルを生成することもできる。
【0027】
===第1実施形態===
第1実施形態では、紫外線(以下、UVとも呼ぶ)等の光(電磁波)を照射することで硬化する液体(以下、UV硬化液とも呼ぶ)を噴射してカプセルの皮膜を形成する。
【0028】
<カプセル製造装置の構成>
発明を実施するためのカプセル製造装置の構成について説明する。図2は、第1実施形態におけるカプセル製造装置1の構成を表す概略図である。本実施形態のカプセル製造装置は、ヘッドユニット10、キャリッジユニット20、照射ユニット40、及びコントローラー(不図示)を有する。また、カプセルを任意形状に生成する際には、型100を使用する。
【0029】
ヘッドユニット10は、カプセルを構成するコア及び皮膜の材料となる液体を噴射するためのものである。ヘッドユニット10は、コアを形成する液体材料であるコア形成液を噴射するコア形成ヘッド11と、皮膜を形成する液体材料である皮膜形成液を噴射する皮膜形成ヘッド15とを備える。なお、コア形成液及び皮膜形成液の種類は、カプセルの用途や製造方法に応じて適宜選択される。コア形成ヘッド11、及び皮膜形成ヘッド15は後述するキャリッジ21に搭載され、図2に示されるように移動方向に沿って並列に並んでいる。キャリッジ21が移動方向に移動することにより、コア形成ヘッド11、及び皮膜形成ヘッド15も移動方向に移動する。
【0030】
コア形成ヘッド11は、コア形成液を噴射するコア形成ノズルを有する。ノズル内部にはピエゾ素子PZT等の駆動素子や、弾性膜、圧力室等(共に不図示)が設けられている。コア形成液を噴射する際は、コントローラーからピエゾ素子PZTに駆動信号が印加され、該駆動信号の電位に応じてピエゾ素子PZTが伸縮する。ピエゾ素子PZTが伸縮すると、ノズル内部の弾性膜が変形し、圧力室内の圧力が上昇・下降することにより、ノズルからコア形成液の液滴が噴射される。
【0031】
皮膜形成ヘッド15もコア形成ヘッド11と同等の構造であり、皮膜形成液を噴射する皮膜形成ノズルを有する。そして、ピエゾ素子PZTの伸縮によって、皮膜形成ノズルから皮膜形成液の液滴を噴射する。
【0032】
なお、液体を噴射させるための動作を行う素子としては、ピエゾ素子PZT以外の他の素子を用いてもよい。例えば、発熱素子や静電アクチュエーターを用いることもできる。
【0033】
キャリッジユニット20は、ヘッドユニット10が取り付けられたキャリッジ21を所定の方向(図2の移動方向)に移動させるためのものである。キャリッジユニット20は、キャリッジ21と、キャリッジモーター22(不図示)とを有する。
【0034】
キャリッジ21は、ガイドレールに支持されながら移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモーター22によって駆動される。キャリッジモーター22の動作はコントローラーにより制御される。ヘッド21が移動方向に移動中に、ヘッドユニット10に設けられた各ノズルからコア形成液や皮膜形成液を断続的に噴射することによって、連続的にカプセルを生成することができる。
【0035】
照射ユニット40は、皮膜形成ヘッド15から噴射されて型100のポケット部110(後述)に着弾した皮膜形成液に向けてUVを照射するものである。皮膜形成液は照射ユニット40からのUVの照射を受けることにより、硬化する。
【0036】
本実施形態の照射ユニット40は、照射部41及び照射部42を備えている。照射部41はヘッド10の上方に設けられ、型100の上方からUVを照射する。照射部41は、UV照射の光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)若しくはメタルハライドランプを備える。照射時間、紫外線の波長などはカプセルの形状や大きさ、カプセル形成に使用される材料の種類等に応じて適宜決定される。なお、照射部41をキャリッジ21に搭載し、キャリッジと共に移動方向を移動させながらUVを照射する構成としてもよい。
【0037】
照射部42は、型100の下方に設けられ、型100の下方からUVを照射する。本実施形態の型100はアクリル樹脂等の透光性を有する部材で製造される場合がある(後述)。このような場合、照射部42を用いて型100の下方からUVを照射することにより、型100のポケット部110に着弾した皮膜形成液を効率的に硬化させることができる。ただし、カプセル製造装置1にとって、照射部42は必ずしも必要な構成要素ではない。型100が金属等透光性のない部材で製造される場合には、照射部42から照射されるUVは型100の陰になり、ポケット部110上の皮膜形成液まで到達しない場合があるからである。
【0038】
<型100について>
型100は、噴射された皮膜形成液等の液滴をカプセル構造に変換し、カプセルの外形を形成する。型100はシート状であり、ヘッド部10の各ノズルと対向するように配置される。型100の表面には、移動方向に並ぶ複数のポケット部110が設けられている。ポケット部110はそれぞれ半球状の溝であり、その大きさは生成するカプセルの直径に合わせて決定される。型100は金属やアクリル樹脂のフィルムから製造される。なお、型100が金属で形成される場合は、フォトエッチング加工によりポケット部110を形成することで、半球状の溝を精度よく形成することができる。
【0039】
また、型100の表面のポケット部110の形状は、半球状の溝に限定されるものではなく、型100が任意形状のポケット部110を備えることにより、任意形状のカプセルを形成することができ、任意形状のポケット部110は後述実施例においても適用可能である。
【0040】
<カプセルの材料について>
第1実施形態では、カプセル皮膜を形成する液体である皮膜形成液としてUV硬化モノマーを用いる。以下、皮膜形成液を第1の液体とする。UV硬化モノマーはUVの照射を受けて光重合反応を行なうことにより硬化する液体である。UV硬化モノマーとしては、水と同等以上の比重を有する水系のUV硬化モノマーや、水よりも比重が軽い油系のUV硬化モノマーを使用することができる。皮膜形成液としての具体的なUV硬化モノマーの選択は、実際のカプセルの用途に応じて決定される。
【0041】
また、第1実施形態では、カプセルのコアを形成する液体であるコア形成液として芳香族化合物を含む液体(芳香液溶液)を用いる。以下、コア形成液を第2の液体とする。芳香液溶液として、水と同等以上の比重を有する水系の芳香液溶液や、水よりも比重が軽い油系の芳香液溶液を使用することができる。本実施形態では、説明のためコア形成液として芳香液溶液を用いるが、実際のカプセル生成時には、カプセルの用途に応じてカプセルに内包させる必要のある物質を選択すればよい。
【0042】
<カプセルの生成動作>
第1実施形態におけるカプセル生成動作について説明する。図3は、第1実施形態のカプセル生成動作の工程を表すフロー図である。図4A〜図4Cは、第1実施形態のカプセル生成動作を説明するための概略図である。
【0043】
第1実施形態において、カプセルはS101〜S104の各工程を実行することによって生成される(図3)。
【0044】
はじめに、カプセル皮膜の一部(下側)が形成される(S101)。キャリッジ21に搭載された皮膜形成ヘッド15が移動方向を移動しつつ、下方に配置された型100のポケット部110に向けて皮膜形成ノズルから所定量の皮膜形成液(UV硬化モノマー)を噴射する(図4A)。噴射されたUV硬化モノマーはポケット部110に着弾し、その内壁形状に沿って濡れ広がり、半球状となる。ここで、皮膜形成液として油系のUV硬化モノマーを使用する場合は、ポケット部110の内壁に油等を塗布したり、内壁に表面加工を施したりすることによって親油処理をしておく。反対に、皮膜形成液として水系のUV硬化モノマーを使用する場合は、ポケット部110の内壁に親水処理をしておく。これにより、UV硬化モノマーはポケット部110の内壁に沿って濡れ広がりやすくなり、半球形状を維持しやすくなる。
【0045】
この状態で、照射部41からUVを照射することにより、半球形状のUV硬化モノマーを硬化させる。型100が透光性を有する場合には、前述の照射部42も同時に用いることで、より均等にUV硬化モノマーを硬化させることができる。なお、本工程ではUV硬化モノマーが半球形状を保てる程度に硬化されればよい。UVを照射するタイミングやUV照射出力は、使用される皮膜形成液の成分や、形成されるカプセルの大きさ(噴射される皮膜形成液の量)に応じて調整される。
【0046】
これによって、型100のポケット部110にそれぞれカプセル皮膜の一部、すなわち、球状カプセル皮膜の下側(半球状)が形成される。また、噴射される皮膜形成液の量や、ポケット部110の直径を変更することにより、カプセルの大きさやカプセル皮膜の厚さを自由に変更することができる。
【0047】
次に、カプセルのコアが形成される(S102)。キャリッジ21に搭載されたコア形成ヘッド11が移動方向を移動しつつ、S101において型100(ポケット部110)に形成されたカプセル皮膜の一部(下側)の上に、コア形成ノズルから所定量のコア形成液を噴射する(図4B)。たとえば、コア形成液は芳香剤溶液を有する溶液等がある。カプセル皮膜の一部(下側)の上に着弾したコア形成液は図4Bに示されるような液滴となる。これによって、型100のポケット部110に形成されたカプセル皮膜の上に、カプセルのコアとなる部分が形成される。
【0048】
なお、S101で形成されたカプセル皮膜(下側)はUV照射によって硬化されているため、本工程においてカプセル皮膜の上にコア形成液(芳香液溶液)が噴射されたとしても、皮膜形成液とコア形成液との混合が生じるおそれは少ない。したがって、皮膜形成液とコア形成液とが共に水と同等以上の比重を有する水系、若しくは、水よりも比重が軽い油系であっても、両者は混合しにくくなる。また、皮膜形成液として油系のUV硬化モノマーを使用し、コア形成液として油系よりも比重が大きい水系の芳香液溶液を使用するような場合でも、コア形成液が皮膜形成液よりも下に沈降しにくいため、該カプセル皮膜の上にコアを形成することが可能である。このように、本実施形態では、コア形成液の比重と、皮膜形成液の比重とが異なっていてもよい。言い換えると、コア形成液と皮膜形成液との比重差を考慮することなく、カプセル形成材料を選択することが可能である。
【0049】
続いて、カプセル皮膜の上側が形成される(S103)。キャリッジ21に搭載された皮膜形成ヘッド15が移動方向を移動しつつ、S102において型100(ポケット部110)に形成されたコアの上に、皮膜形成ノズルから所定量の皮膜形成液(UV硬化モノマー)を噴射する(図4C)。噴射されたUV硬化モノマーは、図4Cの黒丸で表されるコア形成液の液滴の上に着弾し、当該コアを覆うような形で広がる。この着弾直後のUV硬化モノマーに対して、照射部41からUVを照射することにより、コアを覆う形で皮膜形成液を硬化させる。これにより、中央部のコア、及び、コアを内包する皮膜からなる球状のカプセルが形成される。
【0050】
なお、本工程において、コア形成液(コア)の上に液体状のUV硬化モノマーを噴射する際に、両液体が混合するおそれがある。しかし、UV硬化モノマーとコア形成液とは粘度等の性質が異なる液体であり、UV硬化モノマーは、着弾後直ちにコア形成液と混合するわけではない。すなわち、両者は一定時間の間、分離した状態を保つ。この間に適切にUV照射を行なってUV硬化モノマーを硬化させることにより、コア形成液と皮膜形成液とを混合させることなく、カプセルを形成することができる。
【0051】
最後に、形成されたカプセルを型100から取り外す(S104)。S103の段階でカプセル皮膜が硬化されているため、ポケット部110を下方に向けてカプセルを自然落下させてもよいし、エアブローによってカプセルを吹き飛ばすことにより、形成されたカプセルを型100から取り外してもよい。
【0052】
本実施形態では多数のカプセルを連続的に生成することが可能であるが、生成されるカプセルは、型100のポケット部110の大きさに合わせて均一な外形となっている。そのため、カプセルの取り外し後に、同じサイズのカプセルを選別するような作業(分級作業)は不要である。また、不揃いなサイズのカプセルを廃棄する必要もないので、非常に効率的なカプセル生成方法である。
【0053】
なお、図4A及び図4Bでは、カプセル皮膜下側形成の工程(S101)とコア形成の工程(S102)を分けて説明しているが、両工程が連続的に実行されるようにしてもよい。例えば、皮膜形成ヘッド15から噴射された皮膜形成液が所定のポケット部110に着弾した直後に、瞬間的にUVを照射して皮膜(下側)を硬化させる。そして、キャリッジ21が移動方向に移動する間に、コア形成ヘッド11からその同じポケット部110にコア形成液を噴射させる。この動作を繰り返すことで、キャリッジ21が移動方向の一方側から他方側に移動する間に、カプセル皮膜下側とコアとが形成されるようにする。
【0054】
<第1実施形態のまとめ>
本実施形態のカプセル製造装置では、皮膜形成ノズルから、型100に皮膜形成液(第1の液体)を噴射した後に、照射部40からUVを照射して型100に着弾した皮膜形成液を硬化させることで、皮膜の一部(球状皮膜の下側)を形成する。次に、コア形成ノズルから、当該型100に形成された皮膜の一部の上に、コア形成液(第2の液体)を噴射して、コアを形成する。そして、皮膜形成ノズルから、当該型100に形成されたコアの上に皮膜形成液(第1の液体)を噴射した後に、照射部40からUVを照射して皮膜形成液を硬化させることで、コアを内包する皮膜を形成する。
【0055】
これにより、所望の厚さの皮膜を形成した上に、コアを形成し、さらにコアの上の皮膜も所望の厚さで形成するため、カプセル粒径の大きさや皮膜の厚さを自由に調整可能であり、均一な形状(サイズ)のカプセルを大量に生成することができる。また、コアの下側となる皮膜を固化させた後にコアを形成し、形成されたコアを内包するように皮膜を形成し固化させることから、コアを露出することなくコアの全体を皮膜で覆ったカプセルを形成させることができる。
【0056】
===第2実施形態===
第2実施形態では、皮膜形成液として、冷却することにより硬化する液体(以下、冷却硬化液とも呼ぶ)を用いる。
【0057】
<カプセル製造装置の構成>
図5は、第2実施形態におけるカプセル製造装置2の構成を表す概略図である。カプセル製造装置2は、基本的に第1実施形態におけるカプセル製造装置1と同様であるが、加熱ユニット60及び冷却ユニット70を有する点が異なる。なお、加熱ユニット60及び冷却ユニット70は外部装置としてもよい。また、カプセル製造装置2では照射部40は不要である。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0058】
加熱ユニット60は、皮膜形成液を過熱するためのものである。本実施形態で用いる皮膜形成液(冷却硬化液)は冷却によって硬化する性質を有する。そのため、噴射前に皮膜形成液が低温にさらされると皮膜形成ヘッド15の内部で硬化して、ノズルの目詰まり等を引き起こすおそれがある。そこで、加熱ユニット60によって噴射前の皮膜形成液を60℃程度の温度に加熱しておき、噴射前に硬化することを抑制してもよいが、加熱ユニット60は必須構成ではない。
【0059】
加熱ユニット60は、皮膜形成液を貯蔵しておくタンクに設けられ、タンクごと皮膜形成液を過熱する。過熱された状態の皮膜形成液は、伝送パイプを介して当該タンクから皮膜形成ヘッド15内部に供給される。これにより、流動性を有する液体状の皮膜形成液を噴射することが可能となる。
【0060】
冷却ユニット70は、型100のポケット部110に着弾した皮膜形成液を冷却して硬化させるためのものである。冷却ユニット70は、図のように型100に密着するようにして設けてもよく、型100のポケット部110を冷却することが可能であればよい。
【0061】
本実施形態では、冷却ユニット70としてペルチェ素子を用いることができる。ペルチェ素子は熱電素子の一種であり、電流が流れると金属間で熱が移動するという「ペルチェ効果」を利用して温度制御(冷却)を行なうことができる。カプセル生成動作中、ペルチェ素子に電力を供給し、型100の下部を4℃程度に保つことで、型100全体を冷却し、ポケット部110内壁面に着弾した皮膜形成液(冷却硬化液)を硬化させる。なお、本実施形態において、型100は熱伝導率の高い物質(例えば金属等)で作成される。
【0062】
<カプセルの材料について>
第2実施形態では、カプセル皮膜を形成する皮膜形成液(第1の液体)である冷却硬化液として、ゼラチン、寒天、ペクチン等のゲル化材を用いる。これらのゲル化材は、常温時(若しくは高温時)には液体状であるが、冷却すると硬化して固化する。この性質を利用して、カプセルの皮膜を形成する。
また、カプセルのコアを形成するコア形成液(第2の液体)として、第1実施形態と同様の芳香族化合物を含む液体(芳香液溶液)を用いる。
以下では、皮膜形成液としてゼラチンを用いた例について説明を行なう。
【0063】
<カプセルの生成動作>
第2実施形態におけるカプセル生成動作について説明する。図6は、第2実施形態のカプセル生成動作の工程を表すフロー図である。図7A〜図7Cは、第2実施形態のカプセル生成動作を説明するための概略図である。
【0064】
第1実施形態と同様、はじめに、カプセル皮膜の一部(下側)が形成される(S201)。ただし、第2実施形態では皮膜形成液の硬化方法が異なる。
【0065】
まず、加熱ユニット60によって60℃程度に加熱された液状の皮膜形成液(ゼラチン)が、皮膜形成ヘッド15の皮膜形成ノズルから噴射される(図7A)。噴射されたゼラチンの液滴は型100のポケット部110に着弾し、その内壁形状に沿って濡れ広がり、半球状となる。
【0066】
ここで、型100は、下部に設けられた冷却ユニット70により冷却され、4℃程度の温度に維持されている。そのため、半球状となったゼラチンはポケット部110の内壁面において急速に冷却され、硬化する。これにより、球状カプセル皮膜の下側が形成される。
【0067】
次に、カプセルのコアが形成される(S202)。コア形成の工程は第1実施形態のS102と全く同様である。すなわち、S201において型100(ポケット部110)に形成されたカプセル皮膜の一部(下側)の上に、コア形成ヘッド11のコア形成ノズルから所定量のコア形成液を噴射する(図7B)。そして、該カプセル皮膜の下側の上に着弾したコア形成液は図に示されるような液滴となる。これによって、当該下側の皮膜の上に、カプセルのコアとなる部分が形成される。
【0068】
続いて、カプセル皮膜の上側が形成される(S203)。キャリッジ21に搭載された皮膜形成ヘッド15が移動方向を移動しつつ、S202において型100(ポケット部110)に形成されたコアの上に、皮膜形成ノズルからゼラチンを噴射する(図7C)。噴射されたゼラチンは、コア形成液の液滴の上に着弾し、当該コアを覆うような形で広がる。
【0069】
ここで、冷却ユニット70で冷却された型100により、先に形成されたカプセル皮膜下側及びコアも4℃程度の温度に冷却されている。本実施形態で生成されるカプセルはサイズ(直径)が非常に小さいため、型100の温度が伝導しやすいからである。したがって。コアを覆うように広がったゼラチンはそのままの形状を維持しながら急速に冷却され、固化する。これにより、コアとそれを内包する皮膜からなる球状のカプセルが形成される。
【0070】
最後に、形成されたカプセルを型100から取り外す(S204)。取り外し方法は第1実施形態と同様にすればよい。
【0071】
<第2実施形態のまとめ>
第2実施形態では、皮膜形成ノズルから冷却硬化液からなる皮膜形成液(第1の液体)を型100に噴射して、当該型100によって冷却し、硬化させることで、皮膜の一部(球状皮膜の下側)を形成する。次に、コア形成ノズルから、当該型に形成された皮膜の一部の上に、コア形成液(第2の液体)を噴射して、コアを形成する。そして、皮膜形成ノズルから、当該型に形成されたコアの上に、冷却硬化液からなる皮膜形成液(第1の液体)を噴射して、該型100によって冷却し、硬化させることで、コアを内包する皮膜を形成する。
【0072】
これにより、第1実施形態と同様、カプセル粒径の大きさや皮膜の厚さを自由に調整しつつ、均一な形状(サイズ)のカプセルを大量に生成することができる。また、皮膜形成液としてゼラチン等の冷却硬化液(ゲル化材)を用いることにより、UV照射等の制御を行なうことなく、型のポケットで簡単に皮膜を硬化させることができる。
【0073】
===第3実施形態===
第3実施形態では、皮膜形成液として複数種類の液体を接触させて化学反応を生じさせることで、皮膜を硬化させる。具体的には、第1の皮膜形成液(第1の液体とする)と第2の皮膜形成液(第3の液体とする)とを接触・混合させることによって生じるゲル化反応を用いてカプセル皮膜を形成する。
【0074】
<カプセル製造装置の構成>
図8は、第3実施形態におけるカプセル製造装置3の構成を表す概略図である。カプセル製造装置3では、ヘッド部10の皮膜形成ヘッドとして、第1皮膜形成ヘッド16及び、第2皮膜形成ヘッド17を備える。また、カプセル製造装置3で照射部40は不要である。それ以外の構成は第1実施形態と同様である。
【0075】
ヘッド部10の第1皮膜形成ヘッド16は、皮膜を形成するための第1の皮膜形成液(第1の液体)を噴射するものである。第1皮膜形成ヘッド16の構造は前述の皮膜形成ヘッド15と同様である。すなわち、皮膜形成液(第1の皮膜形成液)を噴射する皮膜形成ノズルを備える。そして、ノズル内部にはピエゾ素子PZT等の駆動素子や、弾性膜、圧力室等(共に不図示)を有し、ピエゾ素子PZT等の駆動素子を伸縮させることによりノズルから皮膜形成液の液滴を噴射する。
【0076】
ヘッド部10の第2皮膜形成ヘッド17は、皮膜を形成するための第2の皮膜形成液(第3の液体)を噴射するものである。噴射する液体が異なる以外は、第1皮膜形成ヘッド16と全く同一の構造とする。
【0077】
なお、皮膜形成液として3種類以上の液体を混合して化学反応を生じさせる場合は、該皮膜形成液の種類に応じて皮膜形成ヘッドの数が増やされる。例えば、3液混合による化学反応を用いてカプセル皮膜を形成するような場合には、上述の第1・第2皮膜形成ヘッドに加えて、第3皮膜形成ヘッド(不図示)が設けられる。
【0078】
<カプセルの材料について>
第3実施形態では、カプセル皮膜を形成する皮膜形成液として、複数種類の液体を混合することで化学反応(ゲル化反応)を生じさせる液体を用いる。例えば、第1の皮膜形成液(第1の液体)としてアルギン酸ナトリウム水溶液を用い、第2の皮膜形成液(第3の液体)として塩化カルシウム水溶液を用いる。アルギン酸ナトリウムは塩化カルシウム(ゲル化反応材)と混合することによりゲル化して硬化する。なお、第1の皮膜形成液と第2の皮膜形成液とは入れ替えてもよく、本実施形態において皮膜形成液を噴射する際には、どちらの液体を先に噴射してもよい。
【0079】
また、カプセルのコアを形成するコア形成液(第2の液体)として、第1実施形態と同様の芳香族化合物を有する液体を用いる。
【0080】
<カプセルの生成動作>
第3実施形態におけるカプセル生成動作について説明する。図9は、第3実施形態のカプセル生成動作の工程を表すフロー図である。
【0081】
はじめに、カプセル皮膜の一部(下側)が形成される(S301)。ただし、第3実施形態では皮膜形成液の硬化方法が異なる。図10A及び図10Bに、第3実施形態のカプセル皮膜(下側)の生成動作を説明する概略図を示す。
【0082】
まず、第1皮膜形成ヘッド16から第1の皮膜形成液であるアルギン酸ナトリウム水溶液が噴射される(図10A)。噴射されたアルギン酸ナトリウム水溶液の液滴は型100のポケット部110に着弾し、その内壁形状に沿って濡れ広がり、図10Aに示されるような半球状となる。
【0083】
続いて、同じポケット部110に向けて、第2皮膜形成ヘッド17から第2の皮膜形成液である塩化カルシウム水溶液が噴射される。噴射された塩化カルシウム水溶液の液滴はポケット部110に着弾し、該ポケット部110の内壁に沿って広がっているアルギン酸ナトリウム水溶液と混合される。なお、第2の皮膜形成液の噴射速度を速くする等、適当に調整することによって、該第2の皮膜形成液は着弾時にポケット部110内壁面に拡散しやすくなるので、第1の皮膜形成液との混合を促進させることができる。
【0084】
これにより、該ポケット部110の内壁面においてゲル化反応が進行し、2つの液体が硬化して、図10Bに示されるように球状カプセル皮膜の下側が形成される。
【0085】
次に、カプセルのコアが形成される(S302)。コア形成の工程は第1実施形態のS102と全く同様である。すなわち、S301において型100(ポケット部110)に形成されたカプセル皮膜の一部(下側)の上に、コア形成ヘッド11のコア形成ノズルから所定量のコア形成液(芳香液溶液)を噴射する。これによって、当該下側の皮膜の上に、カプセルのコアとなる部分が形成される。
【0086】
次に、カプセル皮膜の上側が形成される(S303)。図11A及び図11Bに、第3実施形態のカプセル皮膜(上側)の生成動作を説明する概略図を示す。
【0087】
キャリッジ21に搭載された第1皮膜形成ヘッド16が移動方向を移動しつつ、S302において型100(ポケット部110)に形成されたコアの上に、第1の皮膜形成液であるアルギン酸ナトリウム水溶液を噴射する(図11A)。アルギン酸ナトリウム水溶液は、芳香液溶液の液滴(コア)の上に着弾し、図11Aに示されるように当該コアを覆うような形で広がる。
【0088】
続いて、同じポケット部110に向けて、第2皮膜形成ヘッド17から第2の皮膜形成液である塩化カルシウム水溶液が噴射される(図11B)。噴射された塩化カルシウム水溶液の液滴は、コアを覆うように広がっているアルギン酸ナトリウム水溶液と混合される。2液の混合によって、コアの上面部においてゲル化反応が進行し、2つの液体は硬化して図11Bに示されるように球状カプセル皮膜の上側が形成される。これにより、コアとそれを内包する皮膜からなる球状のカプセルが形成される。
【0089】
最後に、形成されたカプセルを型100から取り外す(S304)。取り外し方法は前述の各実施形態と同様である。
【0090】
<第3実施形態のまとめ>
第3実施形態では、第1皮膜形成ノズルから第1の皮膜形成液(第1の液体)を型100に噴射し、続いて第2皮膜形成ノズルから第2の皮膜形成液(第3の液体)を噴射し、型100の上で2液を接触・混合させる。混合の結果生じる化学反応によって2液を硬化させ、皮膜の一部(球状皮膜の下側)を形成する。次に、コア形成ノズルから、当該型に形成された皮膜の一部の上に、コア形成液(第2の液体)を噴射して、コアを形成する。そして、当該型に形成されたコアの上に、第1皮膜形成ノズルから第1の皮膜形成液(第1の液体)を、第2皮膜形成ノズルから第2の皮膜形成液(第3の液体)を噴射し両液を混合させる。混合の結果生じる化学反応によって2液を硬化させ、コアを内包する皮膜を形成する。
【0091】
これにより、第1実施形態と同様、カプセル粒径の大きさや皮膜の厚さを自由に調整しつつ、均一な形状(サイズ)のカプセルを大量に生成することができる。また、皮膜形成液として複数種類の液体を用い、それらを混合させることで化学反応を生じさせることにより、UV照射等の制御を行なうことなく、型上で簡単に皮膜を硬化させることができる。
【0092】
===第4実施形態===
第4実施形態では、多層の皮膜を有するカプセルを生成する。前述の各実施形態では1層の皮膜によってコアが覆われるカプセルを生成していたが、本実施形態では、例えば、2層の皮膜によってコアが覆われるカプセルを生成する。
【0093】
図12に、2層の皮膜を有するカプセルの概略断面図を示す。図のように、第1層皮膜がコアを内包し、その第1層皮膜をさらに第2層皮膜が内包する3重構造となっている。第1層皮膜と第2層皮膜とは、同一の皮膜形成液によって形成されてもよいし、異なる皮膜形成液によって形成されてもよい。以下の例では、異なる皮膜形成液を用いて2層の皮膜を形成することが可能なカプセル製造装置について説明する。
【0094】
<カプセル製造装置の構成>
図13は、第4実施形態におけるカプセル製造装置4の構成を表す概略図である。カプセル製造装置4では、ヘッド部10の皮膜形成ヘッドとして、第1層皮膜形成ヘッド18、及び、第2層皮膜形成ヘッド19を備える。それ以外の構造は第1実施形態と同様である。
【0095】
第1層皮膜形成ヘッド18、及び、第2層皮膜形成ヘッド19では噴射する液体(皮膜形成液)が異なるが、ヘッド自体の構造は共に第1実施形態の皮膜形成ヘッド15と同一である。
【0096】
第4実施形態では、第1層皮膜形成液としてUV硬化モノマーAを用い、第2層皮膜形成液としてUV硬化モノマーBを用いる。UV硬化モノマーは、カプセルの使用用途等に応じて最適な物質が適宜選択される。
【0097】
また、カプセルのコアを形成するコア形成液として、第1実施形態と同様の芳香族化合物を含む液体を用いる。
【0098】
<カプセル生成動作について>
第4実施形態におけるカプセル生成動作について説明する。図14は、第4実施形態のカプセル生成動作の工程を表すフロー図である。図15A及び図15Bは、第1層皮膜(下側)及び第2層皮膜(下側)を生成する動作を説明する図である。図16A及び図16Bは、第1層皮膜(上側)及び第2層皮膜(上側)を生成する動作を説明する図である。
【0099】
なお、本実施形態のカプセル生成動作は、前述の各実施形態に対して応用することが可能である。
【0100】
第4実施形態において、カプセルはS401〜S406の各工程を実行することによって生成される(図14)。
【0101】
まず、第2層のカプセル皮膜の一部(下側)が形成される(S401)。キャリッジ21に搭載された第2層皮膜形成ヘッド19が移動方向を移動しつつ、下方に配置された型100のポケット部110に向けて所定量の第2層皮膜形成液(UV硬化モノマーB)を噴射する(図15A)。噴射されたUV硬化モノマーBはポケット部110に着弾し、その内壁形状に沿って濡れ広がり、図15Aに示されるような半球状となる。この状態で、照射部41からUVを照射することにより、半球形状のUV硬化モノマーBを硬化させる。これにより、型100のポケット部110にそれぞれ第2層皮膜の下側(半球)が形成され、固定される。
【0102】
続いて、第1層のカプセル皮膜の一部(下側)が形成される(S402)。S402の動作は基本的にS401の動作の繰り返しである。S401で硬化された第2層皮膜の下側の上に、第1層皮膜形成ヘッド18から所定量の第1層皮膜形成液(UV硬化モノマーA)を噴射する(図15B)。そして、図に示されるように、第2層皮膜の上に半球状に広がったUV硬化モノマーAに対してUVを照射させ、硬化させる。これにより、第2層皮膜の下側(半球)の上に、さらに第1層皮膜の下側(半球)が形成され、固定される。
【0103】
次に、カプセルのコアが形成される(S403)。コア形成の工程は第1実施形態のS102と同様である。すなわち、S402において型100(ポケット部110)に形成された第1層カプセル皮膜(下側)の上に、コア形成ヘッド11のコア形成ノズルから所定量のコア形成液(芳香液溶液)を噴射する。これによって、第1層カプセル皮膜の上に、カプセルのコアとなる部分が形成される。
【0104】
次に、第1層カプセル皮膜の上側が形成される(S404)。S403において形成されたコアの上に、第1層皮膜形成ヘッド18から所定量の第1層皮膜形成液(UV硬化モノマーA)を噴射する(図16A)。噴射されたUV硬化モノマーAは、芳香液溶液の液滴(コア)の上に着弾し、図16Aに示されるように当該コアを覆うような形で広がる。そして、着弾直後のUV硬化モノマーAに対して、照射部41からUVを照射することにより、コアを覆う形でUV硬化モノマーAを硬化させる。これにより、コアを内包する球状の第1層皮膜が形成される。
【0105】
続いて、第2層カプセル皮膜の上側が形成される(S405)。S405の動作は基本的にS404の動作の繰り返しである。S404で形成された第1層皮膜の上に、第2層皮膜形成ヘッド19から所定量の第2層皮膜形成液(UV硬化モノマーB)を噴射する(図16B)。そして、図に示されるように、第1層皮膜の上に半球状に広がったUV硬化モノマーBに対してUVを照射させ、硬化させる。これにより、第1層皮膜を内包する形で第2層皮膜が形成される。
【0106】
最終的に、コア、第1層皮膜、及び、第2層皮膜の3重構造からなる(図12参照)カプセルが形成される。なお、皮膜形成の工程をさらに繰り返すことによって、2層以上の皮膜を有する多重カプセルを形成することも可能である。
【0107】
最後に、形成されたカプセルを型100から取り外す(S406)。取り外し方法は前述の各実施形態と同様である。
【0108】
<第4実施形態のまとめ>
第4実施形態では、第2層皮膜形成ノズルから第2層皮膜形成液を型100に噴射して硬化させ、続いて第1層皮膜形成ノズルから第1層の皮膜形成液を噴射して硬化させることで、球状皮膜の下側を2層分重ねて形成する。次に、コア形成ノズルから、当該型に形成された皮膜の一部の上に、コア形成液を噴射して、コアを形成する。そして、当該型に形成されたコアの上に、第1層皮膜形成ノズルから第1層皮膜形成液を噴射し硬化させ、第2層皮膜形成ノズルから第2層皮膜形成液を噴射して硬化させることで、コアを内包する皮膜を2層の皮膜を形成する。
【0109】
これにより、第1実施形態と同様、カプセル粒径の大きさや皮膜の厚さを自由に調整しつつ、均一な形状(サイズ)のカプセルを大量に生成することができる。また、皮膜の形成工程を、分けることで、2層以上の多層皮膜を有するカプセルを生成することができる。
【0110】
===変形例===
前述した各実施形態のカプセル生成動作について、各工程におけるカプセル形成材料(皮膜形成液及びコア形成液)の噴射速度を調整することにより、より効果的にカプセルを生成することができる。
【0111】
例えば、第1実施形態において、S101で噴射される皮膜形成液の噴射(第1の液体)速度をS102におけるコア形成液(第2の液体)の噴射速度よりも速くする。すなわち、下側皮膜を形成するための皮膜形成液の噴射速度をなるべく早くする。これにより、皮膜形成液は型100のポケット部110に勢いよく着弾するので、ポケット部110の内壁に沿って濡れ広がりやすくなる。これにより、皮膜形成液を半球形状にしやすくなる。
【0112】
また、S103で噴射される皮膜形成液(第1の液体)の噴射速度をS102におけるコア形成液(第2の液体)の噴射速度よりも遅くする。すなわち、上側皮膜を形成するための皮膜形成液の噴射速度をなるべく遅くする。これにより、皮膜形成液はコア(コア形成液の液滴)の上にゆっくりと着弾するので、コア形成液と皮膜形成液とが混合しにくくなる。
【0113】
このように、カプセル形成材料(液体)を噴射する速度を変更することで、カプセル形成材液滴の着弾時における広がり方を調整することができる。つまり、カプセルを精度よく形成することができるようになる。
【0114】
また、前述した各実施形態で皮膜を形成する際に、皮膜形成ノズルから複数回に分けて皮膜形成液(第1の液体)を噴射して該皮膜を形成することにより、噴射される液滴径を変更せずにカプセルを生成することもできる。
【0115】
例えば、第1実施形態の下側皮膜形成時(S101)において、1回の皮膜形成液噴射によって皮膜を形成するのではなく、皮膜形成液の噴射を少量ずつ複数回に分けて皮膜を形成する。図17に皮膜形成液を複数回に分けて噴射することにより、皮膜を形成する方法を説明する図を示す。図では3回に分けてカプセル皮膜(下側)を形成する。
【0116】
1回目の噴射では、型100のポケット部110中央に向けて皮膜形成液を着弾させる。着弾した皮膜形成液は図の斜線部で表される領域に広がるので、この状態でUVを照射して硬化させる。これにより、皮膜の一部分として皿型形状の皮膜が形成される。次に、皮膜形成ヘッド15(キャリッジ21)を右側に移動させ、ポケット部110の側面付近に向けて2回目の皮膜形成液噴射を行なう。着弾した皮膜形成液は図の横線部で表される領域に広がるので、この状態でUVを照射して硬化させる。続いて、皮膜形成ヘッド15(キャリッジ21)を左側に移動させ、ポケット部110の2回目とは反対側の面に向けて3回目の皮膜形成液噴射を行ない、UVを照射して硬化させる。このとき、1回目の噴射速度を早くして、2回目・3回目の噴射速度を遅くする等の調整をしてもよい。
【0117】
1回の皮膜形成液噴射で半球状の下側皮膜を全て形成しようとすると、着弾した皮膜形成液がポケット部110の内壁に均等に濡れ広がらず、きれいな半球状の皮膜が形成されない場合がある。そのような場合、図17のように図段階的に皮膜形成液を噴射させることにより、型100のポケット部110の内壁全体に亘って均等に皮膜形成液を行き渡らせ、正確な半球形状の皮膜を形成することができる。
【0118】
なお、皮膜形成ヘッドが、型100と平行な平面状を2次元的に移動できるようにしておくとさらに効果的である。すなわち、キャリッジ21の移動方向を、図2における左右方向のみではなく奥行き方向にも移動できるようする。皮膜形成ヘッド(皮膜形成ノズル)の位置を細かく移動させながら、多段階に分けて皮膜形成液を噴射させることによって、噴射される液滴径を変更せずに、大型の半球形状の皮膜を形成することができるようになる。また、噴射される液滴径を変更せずに、様々な大きさのポケット部110を備える型100に対応ができる。
【0119】
===その他の実施形態===
一実施形態としてのカプセル製造装置を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0120】
<カプセル生成動作について>
前述の各実施形態では、キャリッジユニットに搭載されたヘッドユニットを移動させながら、固定された型に対して、各ノズルからカプセル形成材料を噴射することでカプセルを生成する例が説明されていたが、この限りではない。例えば、型を移動させながら、固定されたヘッドからカプセル形成材料を噴射することでカプセルが生成される方法であってもよい。また、ヘッドと型が共に移動可能な構成であってもよい。
【0121】
<カプセル形成材料について>
前述の各実施形態では、コア形成液として、芳香剤溶液を用いて説明したが、食品分野で用いられるカプセルであれば、コア形成液は、各種エキス材料や各種果汁、甘味料、香料、防腐剤などでもよい。また、医薬分野で用いられるカプセルであれば、コア形成液として、各種医薬品成分であってもよく、バイオテクノロジー分野で用いられるカプセルであれば、微生物や動植物細胞をコア形成液としてもよい。
【0122】
本明細書において、カプセルを形成する材料として、前述の各実施形態で皮膜形成液とコア形成液とが例示されていたが、例示された以外のカプセル形成材料を用いてカプセルを形成することも可能である。
【符号の説明】
【0123】
1〜4 カプセル製造装置、
10 ヘッドユニット、11 コア形成ヘッド、15 皮膜形成ヘッド、
16 第1皮膜形成ヘッド、17 第2皮膜形成ヘッド、
18 第1層皮膜形成ヘッド、19 第2層皮膜形成ヘッド、
20 キャリッジユニット、21 キャリッジ、
40 照射ユニット、41 照射部、42 照射部、
60 加熱ユニット、
70 冷却ユニット、
100 型、110 ポケット部
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル製造装置、及び、カプセル製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を皮膜で覆うことで生成されるカプセルが知られており、現在、機能性材料として食品、医薬品等の多岐の分野に渡って応用されている。このようなカプセルでは、その用途に応じて皮膜の厚さやカプセルの粒径が均一になるように生成されることが求められる場合がある。
【0003】
これに対して、ノズルから液滴を噴射することにより皮膜の厚さが均一になるようにカプセルを生成する方法がある。例えば、カプセルの皮膜や内包物を形成する材料液を多重ノズルから凝固液流中に噴射させて、多層の皮膜からなる液滴を形成させる。そして、該液滴が凝固液流中を移動する過程において最外層の皮膜を硬化させることで、カプセルを連続的に生成する方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−011765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のカプセル生成方法によれば、カプセル皮膜を形成する材料液の噴射量等を調整することで、皮膜の厚さを均一にし、また、粒径のばらつきが少ないカプセルを生成することができる。
【0006】
しかし、このような凝固液流中でカプセルを生成する方法では、材料液の特性や凝固液流の流速勾配など、様々な条件による制約を受ける。そのため、粒径の大きさや皮膜の厚さを自由に調整することは困難であり、様々なカプセル生成条件に十分対応することができなかった。
【0007】
本発明では、粒径の大きさや皮膜の厚さを調整しつつ、均一な形状のカプセルを生成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための主たる発明は、コアと、前記コアを内包する皮膜とを含むカプセルを形成するカプセル製造装置であって、前記皮膜を形成する第1の液体を噴射する第1噴射ノズルと、前記コアを形成する第2の液体を噴射する第2噴射ノズルと、を備え、前記第1噴射ノズルから、前記カプセルを形成することに用いる型に前記第1の液体を噴射して、前記皮膜の一部を形成し、前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、前記第1噴射ノズルから、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射して、前記コアを内包する皮膜を形成する、ことを特徴とするカプセル製造装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】カプセルの概念図である。
【図2】第1実施形態におけるカプセル製造装置の構成を表す概略図である。
【図3】第1実施形態のカプセル生成動作の工程を表すフロー図である。
【図4】図4A〜図4Cは、第1実施形態のカプセル生成動作を説明するための概略図である。
【図5】第2実施形態におけるカプセル製造装置の構成を表す概略図である。
【図6】第2実施形態のカプセル生成動作の工程を表すフロー図である。
【図7】図7A〜図7Cは、第2実施形態のカプセル生成動作を説明するための概略図である。
【図8】第3実施形態におけるカプセル製造装置の構成を表す概略図である。
【図9】第3実施形態のカプセル生成動作の工程を表すフロー図である。
【図10】図10A及び図10Bは、第3実施形態のカプセル皮膜(下側)の生成動作を説明する概略図である。
【図11】図11A及び図11Bは、第3実施形態のカプセル皮膜(上側)の生成動作を説明する概略図である。
【図12】2層の皮膜を有するカプセルの概略断面図である。
【図13】第4実施形態におけるカプセル製造装置の構成を表す概略図である。
【図14】第4実施形態のカプセル生成動作の工程を表すフロー図である。
【図15】図15A及び図15Bは、第1層皮膜(下側)及び第2層皮膜(下側)を生成する動作を説明する図である。
【図16】図16A及び図16Bは、第1層皮膜(上側)及び第2層皮膜(上側)を生成する動作を説明する図である。
【図17】皮膜形成液を複数回に分けて噴射することによって皮膜を形成する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0011】
コアと、前記コアを内包する皮膜とを含むカプセルを形成するカプセル製造装置であって、前記皮膜を形成する第1の液体を噴射する第1噴射ノズルと、前記コアを形成する第2の液体を噴射する第2噴射ノズルと、を備え、前記第1噴射ノズルから、前記カプセルを形成することに用いる型に前記第1の液体を噴射して、前記皮膜の一部を形成し、前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、前記第1噴射ノズルから、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射して、前記コアを内包する皮膜を形成する、ことを特徴とするカプセル製造装置。
【0012】
このようなカプセル製造装置によれば、第1噴射ノズルを用いて所望の厚さで皮膜の一部を形成し、形成された皮膜の一部に対して第2噴射ノズルを用いてコアを形成する。そして、形成されたコアに対して、先に皮膜の一部を形成した第1噴射ノズルを用いてコアを内包する皮膜を形成する。したがって、第1噴射ノズルによる第1の液体の噴射量を適切に制御することによって、粒径の大きさや皮膜の厚さが調整された、均一な形状のカプセルを生成することができる。
【0013】
かかるカプセル製造装置であって、光を照射する照射部をさらに備え、前記第1の液体は、前記光の照射を受けることによって硬化する液体であり、前記第1噴射ノズルから、前記型に前記第1の液体を噴射した後に、前記照射部から前記光を照射して前記皮膜の一部を形成し、前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、前記第1噴射ノズルから、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射した後に、前記照射部から前記光を照射して前記第1の液体を硬化し、前記コアを内包する皮膜を形成することが望ましい。
【0014】
このようなカプセル製造装置によれば、光を照射することによって硬化する第1の液体を用いてカプセルの皮膜を形成するため、照射する光の波長や周期を調整することで皮膜を所望の硬度とすることが可能となる。
【0015】
かかるカプセル製造装置であって、前記第1の液体を冷却する冷却部をさらに備え、前記第1の液体は、冷却されることによって硬化する液体であり、前記第1噴射ノズルから、前記型に前記第1の液体を噴射した後に、前記冷却部によって前記第1の液体を冷却して、前記皮膜の一部を形成し、前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、前記第1噴射ノズルから、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射した後に、前記冷却部によって前記第1の液体を冷却し、硬化させることで、前記コアを内包する皮膜を形成することが望ましい。
【0016】
このようなカプセル製造装置によれば、冷却によって硬化する第1の液体を用いてカプセルの皮膜を形成するため、冷却する温度を調整することで皮膜の硬度を調整することが可能である。
【0017】
かかるカプセル製造装置であって、前記第1の液体は、第3の液体と接触すると化学反応によって硬化する液体であり、前記第3の液体を噴射する第3噴射ノズルをさらに備え、前記第1噴射ノズルから前記型に前記第1の液体を噴射し、前記第3噴射ノズルから該型に前記第3の液体を噴射して、前記第1の液体と前記第3の液体とを接触させ、前記第1の液体を化学反応によって硬化させることによって、前記皮膜の一部を形成し、前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、前記第1噴射ノズルから前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射し、前記コアに対して噴射された前記第1の液体に対して、前記第3噴射ノズルから前記第3の液体を噴射し、前記第1の液体と前記第3の液体とを接触させ、前記第1の液体を硬化させることによって、前記コアを内包する皮膜を形成することが望ましい。
【0018】
このようなカプセル製造装置によれば、化学反応によって硬化する第1の液体を用いてカプセルの皮膜を形成するため、化学反応の条件を調整することによって、特性の異なる様々なカプセルを製造することができる。
【0019】
かかるカプセル製造装置であって、前記型に前記第1の液体を噴射する速度は、前記第2の液体を噴射する速度よりも速く、前記コアに対して前記第1の液体を噴射する速度は、前記第2の液体を噴射する速度よりも遅いことが望ましい。
【0020】
このようなカプセル製造装置によれば、型に第1の液体を噴射する際には、噴射する速度を速くすることによって、第1の液体が型に着弾する際に液滴を広がりやすくして、皮膜を形成しやすくする。一方、コアの上に第1の液体を噴射する際には、噴射する速度を遅くすることによって、着弾する第1の液体によってコアが破壊される可能性を低減することができるようになる。
【0021】
かかるカプセル製造装置であって、前記皮膜を形成する際に、前記第1噴射ノズルから、複数回に分けて前記第1の液体を前記型に噴射して、前記皮膜を形成することが望ましい。
【0022】
このようなカプセル製造装置によれば、第1の液体を複数回に分けて噴射することによって、皮膜を形成するため、大型のカプセル(皮膜)を形成することができる。
【0023】
また、カプセルを形成することに用いる型に第1の液体を噴射して、皮膜の一部を形成することと、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、第2の液体を噴射して、コアを形成することと、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射して、前記コアを内包する皮膜を形成することと、を有するカプセル製造方法が明らかとなる。
【0024】
また、光の照射を受けることによって硬化する第1の液体を、カプセルを形成することに用いる型に噴射した後、前記光を照射して前記第1の液体を硬化させることによって、皮膜の一部を形成することと、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、第2の液体を噴射して、コアを形成することと、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射した後に、前記光を照射して前記第1の液体を硬化させることによって、前記コアを内包する皮膜を形成することと、を有するカプセル製造方法が明らかとなる。
【0025】
===カプセルについて===
図1に本実施形態で生成されるカプセルの概念図を示す。本実施形態における「カプセル」は、多重カプセルとも呼ばれ、図のようにコア(内包物)、及びそれを覆う皮膜によって構成され、球状の外形を有する。このようなカプセルは、食料、医薬部外品、医薬品等、種々の分野で使用されており、カプセルの大きさ(内包物の容量)や、皮膜の厚さはその用途に応じて様々である。
【0026】
本実施形態では、インクジェット方式を用いて液滴を噴射することにより、カプセルの大きさや皮膜厚さを自由に調整しながら、所望のサイズで任意形状のカプセルを生成する。また、インクジェット方式により微少量の液滴を噴射することで、カプセルのサイズがマイクロメートルオーダーの所謂マイクロカプセルを生成することが可能である。例えば、0.1〜500pl(ピコリットル)程度の容量のカプセルサイズを生成することができる。
また、後述するように、皮膜を2層以上有する多重カプセルを生成することもできる。
【0027】
===第1実施形態===
第1実施形態では、紫外線(以下、UVとも呼ぶ)等の光(電磁波)を照射することで硬化する液体(以下、UV硬化液とも呼ぶ)を噴射してカプセルの皮膜を形成する。
【0028】
<カプセル製造装置の構成>
発明を実施するためのカプセル製造装置の構成について説明する。図2は、第1実施形態におけるカプセル製造装置1の構成を表す概略図である。本実施形態のカプセル製造装置は、ヘッドユニット10、キャリッジユニット20、照射ユニット40、及びコントローラー(不図示)を有する。また、カプセルを任意形状に生成する際には、型100を使用する。
【0029】
ヘッドユニット10は、カプセルを構成するコア及び皮膜の材料となる液体を噴射するためのものである。ヘッドユニット10は、コアを形成する液体材料であるコア形成液を噴射するコア形成ヘッド11と、皮膜を形成する液体材料である皮膜形成液を噴射する皮膜形成ヘッド15とを備える。なお、コア形成液及び皮膜形成液の種類は、カプセルの用途や製造方法に応じて適宜選択される。コア形成ヘッド11、及び皮膜形成ヘッド15は後述するキャリッジ21に搭載され、図2に示されるように移動方向に沿って並列に並んでいる。キャリッジ21が移動方向に移動することにより、コア形成ヘッド11、及び皮膜形成ヘッド15も移動方向に移動する。
【0030】
コア形成ヘッド11は、コア形成液を噴射するコア形成ノズルを有する。ノズル内部にはピエゾ素子PZT等の駆動素子や、弾性膜、圧力室等(共に不図示)が設けられている。コア形成液を噴射する際は、コントローラーからピエゾ素子PZTに駆動信号が印加され、該駆動信号の電位に応じてピエゾ素子PZTが伸縮する。ピエゾ素子PZTが伸縮すると、ノズル内部の弾性膜が変形し、圧力室内の圧力が上昇・下降することにより、ノズルからコア形成液の液滴が噴射される。
【0031】
皮膜形成ヘッド15もコア形成ヘッド11と同等の構造であり、皮膜形成液を噴射する皮膜形成ノズルを有する。そして、ピエゾ素子PZTの伸縮によって、皮膜形成ノズルから皮膜形成液の液滴を噴射する。
【0032】
なお、液体を噴射させるための動作を行う素子としては、ピエゾ素子PZT以外の他の素子を用いてもよい。例えば、発熱素子や静電アクチュエーターを用いることもできる。
【0033】
キャリッジユニット20は、ヘッドユニット10が取り付けられたキャリッジ21を所定の方向(図2の移動方向)に移動させるためのものである。キャリッジユニット20は、キャリッジ21と、キャリッジモーター22(不図示)とを有する。
【0034】
キャリッジ21は、ガイドレールに支持されながら移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモーター22によって駆動される。キャリッジモーター22の動作はコントローラーにより制御される。ヘッド21が移動方向に移動中に、ヘッドユニット10に設けられた各ノズルからコア形成液や皮膜形成液を断続的に噴射することによって、連続的にカプセルを生成することができる。
【0035】
照射ユニット40は、皮膜形成ヘッド15から噴射されて型100のポケット部110(後述)に着弾した皮膜形成液に向けてUVを照射するものである。皮膜形成液は照射ユニット40からのUVの照射を受けることにより、硬化する。
【0036】
本実施形態の照射ユニット40は、照射部41及び照射部42を備えている。照射部41はヘッド10の上方に設けられ、型100の上方からUVを照射する。照射部41は、UV照射の光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)若しくはメタルハライドランプを備える。照射時間、紫外線の波長などはカプセルの形状や大きさ、カプセル形成に使用される材料の種類等に応じて適宜決定される。なお、照射部41をキャリッジ21に搭載し、キャリッジと共に移動方向を移動させながらUVを照射する構成としてもよい。
【0037】
照射部42は、型100の下方に設けられ、型100の下方からUVを照射する。本実施形態の型100はアクリル樹脂等の透光性を有する部材で製造される場合がある(後述)。このような場合、照射部42を用いて型100の下方からUVを照射することにより、型100のポケット部110に着弾した皮膜形成液を効率的に硬化させることができる。ただし、カプセル製造装置1にとって、照射部42は必ずしも必要な構成要素ではない。型100が金属等透光性のない部材で製造される場合には、照射部42から照射されるUVは型100の陰になり、ポケット部110上の皮膜形成液まで到達しない場合があるからである。
【0038】
<型100について>
型100は、噴射された皮膜形成液等の液滴をカプセル構造に変換し、カプセルの外形を形成する。型100はシート状であり、ヘッド部10の各ノズルと対向するように配置される。型100の表面には、移動方向に並ぶ複数のポケット部110が設けられている。ポケット部110はそれぞれ半球状の溝であり、その大きさは生成するカプセルの直径に合わせて決定される。型100は金属やアクリル樹脂のフィルムから製造される。なお、型100が金属で形成される場合は、フォトエッチング加工によりポケット部110を形成することで、半球状の溝を精度よく形成することができる。
【0039】
また、型100の表面のポケット部110の形状は、半球状の溝に限定されるものではなく、型100が任意形状のポケット部110を備えることにより、任意形状のカプセルを形成することができ、任意形状のポケット部110は後述実施例においても適用可能である。
【0040】
<カプセルの材料について>
第1実施形態では、カプセル皮膜を形成する液体である皮膜形成液としてUV硬化モノマーを用いる。以下、皮膜形成液を第1の液体とする。UV硬化モノマーはUVの照射を受けて光重合反応を行なうことにより硬化する液体である。UV硬化モノマーとしては、水と同等以上の比重を有する水系のUV硬化モノマーや、水よりも比重が軽い油系のUV硬化モノマーを使用することができる。皮膜形成液としての具体的なUV硬化モノマーの選択は、実際のカプセルの用途に応じて決定される。
【0041】
また、第1実施形態では、カプセルのコアを形成する液体であるコア形成液として芳香族化合物を含む液体(芳香液溶液)を用いる。以下、コア形成液を第2の液体とする。芳香液溶液として、水と同等以上の比重を有する水系の芳香液溶液や、水よりも比重が軽い油系の芳香液溶液を使用することができる。本実施形態では、説明のためコア形成液として芳香液溶液を用いるが、実際のカプセル生成時には、カプセルの用途に応じてカプセルに内包させる必要のある物質を選択すればよい。
【0042】
<カプセルの生成動作>
第1実施形態におけるカプセル生成動作について説明する。図3は、第1実施形態のカプセル生成動作の工程を表すフロー図である。図4A〜図4Cは、第1実施形態のカプセル生成動作を説明するための概略図である。
【0043】
第1実施形態において、カプセルはS101〜S104の各工程を実行することによって生成される(図3)。
【0044】
はじめに、カプセル皮膜の一部(下側)が形成される(S101)。キャリッジ21に搭載された皮膜形成ヘッド15が移動方向を移動しつつ、下方に配置された型100のポケット部110に向けて皮膜形成ノズルから所定量の皮膜形成液(UV硬化モノマー)を噴射する(図4A)。噴射されたUV硬化モノマーはポケット部110に着弾し、その内壁形状に沿って濡れ広がり、半球状となる。ここで、皮膜形成液として油系のUV硬化モノマーを使用する場合は、ポケット部110の内壁に油等を塗布したり、内壁に表面加工を施したりすることによって親油処理をしておく。反対に、皮膜形成液として水系のUV硬化モノマーを使用する場合は、ポケット部110の内壁に親水処理をしておく。これにより、UV硬化モノマーはポケット部110の内壁に沿って濡れ広がりやすくなり、半球形状を維持しやすくなる。
【0045】
この状態で、照射部41からUVを照射することにより、半球形状のUV硬化モノマーを硬化させる。型100が透光性を有する場合には、前述の照射部42も同時に用いることで、より均等にUV硬化モノマーを硬化させることができる。なお、本工程ではUV硬化モノマーが半球形状を保てる程度に硬化されればよい。UVを照射するタイミングやUV照射出力は、使用される皮膜形成液の成分や、形成されるカプセルの大きさ(噴射される皮膜形成液の量)に応じて調整される。
【0046】
これによって、型100のポケット部110にそれぞれカプセル皮膜の一部、すなわち、球状カプセル皮膜の下側(半球状)が形成される。また、噴射される皮膜形成液の量や、ポケット部110の直径を変更することにより、カプセルの大きさやカプセル皮膜の厚さを自由に変更することができる。
【0047】
次に、カプセルのコアが形成される(S102)。キャリッジ21に搭載されたコア形成ヘッド11が移動方向を移動しつつ、S101において型100(ポケット部110)に形成されたカプセル皮膜の一部(下側)の上に、コア形成ノズルから所定量のコア形成液を噴射する(図4B)。たとえば、コア形成液は芳香剤溶液を有する溶液等がある。カプセル皮膜の一部(下側)の上に着弾したコア形成液は図4Bに示されるような液滴となる。これによって、型100のポケット部110に形成されたカプセル皮膜の上に、カプセルのコアとなる部分が形成される。
【0048】
なお、S101で形成されたカプセル皮膜(下側)はUV照射によって硬化されているため、本工程においてカプセル皮膜の上にコア形成液(芳香液溶液)が噴射されたとしても、皮膜形成液とコア形成液との混合が生じるおそれは少ない。したがって、皮膜形成液とコア形成液とが共に水と同等以上の比重を有する水系、若しくは、水よりも比重が軽い油系であっても、両者は混合しにくくなる。また、皮膜形成液として油系のUV硬化モノマーを使用し、コア形成液として油系よりも比重が大きい水系の芳香液溶液を使用するような場合でも、コア形成液が皮膜形成液よりも下に沈降しにくいため、該カプセル皮膜の上にコアを形成することが可能である。このように、本実施形態では、コア形成液の比重と、皮膜形成液の比重とが異なっていてもよい。言い換えると、コア形成液と皮膜形成液との比重差を考慮することなく、カプセル形成材料を選択することが可能である。
【0049】
続いて、カプセル皮膜の上側が形成される(S103)。キャリッジ21に搭載された皮膜形成ヘッド15が移動方向を移動しつつ、S102において型100(ポケット部110)に形成されたコアの上に、皮膜形成ノズルから所定量の皮膜形成液(UV硬化モノマー)を噴射する(図4C)。噴射されたUV硬化モノマーは、図4Cの黒丸で表されるコア形成液の液滴の上に着弾し、当該コアを覆うような形で広がる。この着弾直後のUV硬化モノマーに対して、照射部41からUVを照射することにより、コアを覆う形で皮膜形成液を硬化させる。これにより、中央部のコア、及び、コアを内包する皮膜からなる球状のカプセルが形成される。
【0050】
なお、本工程において、コア形成液(コア)の上に液体状のUV硬化モノマーを噴射する際に、両液体が混合するおそれがある。しかし、UV硬化モノマーとコア形成液とは粘度等の性質が異なる液体であり、UV硬化モノマーは、着弾後直ちにコア形成液と混合するわけではない。すなわち、両者は一定時間の間、分離した状態を保つ。この間に適切にUV照射を行なってUV硬化モノマーを硬化させることにより、コア形成液と皮膜形成液とを混合させることなく、カプセルを形成することができる。
【0051】
最後に、形成されたカプセルを型100から取り外す(S104)。S103の段階でカプセル皮膜が硬化されているため、ポケット部110を下方に向けてカプセルを自然落下させてもよいし、エアブローによってカプセルを吹き飛ばすことにより、形成されたカプセルを型100から取り外してもよい。
【0052】
本実施形態では多数のカプセルを連続的に生成することが可能であるが、生成されるカプセルは、型100のポケット部110の大きさに合わせて均一な外形となっている。そのため、カプセルの取り外し後に、同じサイズのカプセルを選別するような作業(分級作業)は不要である。また、不揃いなサイズのカプセルを廃棄する必要もないので、非常に効率的なカプセル生成方法である。
【0053】
なお、図4A及び図4Bでは、カプセル皮膜下側形成の工程(S101)とコア形成の工程(S102)を分けて説明しているが、両工程が連続的に実行されるようにしてもよい。例えば、皮膜形成ヘッド15から噴射された皮膜形成液が所定のポケット部110に着弾した直後に、瞬間的にUVを照射して皮膜(下側)を硬化させる。そして、キャリッジ21が移動方向に移動する間に、コア形成ヘッド11からその同じポケット部110にコア形成液を噴射させる。この動作を繰り返すことで、キャリッジ21が移動方向の一方側から他方側に移動する間に、カプセル皮膜下側とコアとが形成されるようにする。
【0054】
<第1実施形態のまとめ>
本実施形態のカプセル製造装置では、皮膜形成ノズルから、型100に皮膜形成液(第1の液体)を噴射した後に、照射部40からUVを照射して型100に着弾した皮膜形成液を硬化させることで、皮膜の一部(球状皮膜の下側)を形成する。次に、コア形成ノズルから、当該型100に形成された皮膜の一部の上に、コア形成液(第2の液体)を噴射して、コアを形成する。そして、皮膜形成ノズルから、当該型100に形成されたコアの上に皮膜形成液(第1の液体)を噴射した後に、照射部40からUVを照射して皮膜形成液を硬化させることで、コアを内包する皮膜を形成する。
【0055】
これにより、所望の厚さの皮膜を形成した上に、コアを形成し、さらにコアの上の皮膜も所望の厚さで形成するため、カプセル粒径の大きさや皮膜の厚さを自由に調整可能であり、均一な形状(サイズ)のカプセルを大量に生成することができる。また、コアの下側となる皮膜を固化させた後にコアを形成し、形成されたコアを内包するように皮膜を形成し固化させることから、コアを露出することなくコアの全体を皮膜で覆ったカプセルを形成させることができる。
【0056】
===第2実施形態===
第2実施形態では、皮膜形成液として、冷却することにより硬化する液体(以下、冷却硬化液とも呼ぶ)を用いる。
【0057】
<カプセル製造装置の構成>
図5は、第2実施形態におけるカプセル製造装置2の構成を表す概略図である。カプセル製造装置2は、基本的に第1実施形態におけるカプセル製造装置1と同様であるが、加熱ユニット60及び冷却ユニット70を有する点が異なる。なお、加熱ユニット60及び冷却ユニット70は外部装置としてもよい。また、カプセル製造装置2では照射部40は不要である。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0058】
加熱ユニット60は、皮膜形成液を過熱するためのものである。本実施形態で用いる皮膜形成液(冷却硬化液)は冷却によって硬化する性質を有する。そのため、噴射前に皮膜形成液が低温にさらされると皮膜形成ヘッド15の内部で硬化して、ノズルの目詰まり等を引き起こすおそれがある。そこで、加熱ユニット60によって噴射前の皮膜形成液を60℃程度の温度に加熱しておき、噴射前に硬化することを抑制してもよいが、加熱ユニット60は必須構成ではない。
【0059】
加熱ユニット60は、皮膜形成液を貯蔵しておくタンクに設けられ、タンクごと皮膜形成液を過熱する。過熱された状態の皮膜形成液は、伝送パイプを介して当該タンクから皮膜形成ヘッド15内部に供給される。これにより、流動性を有する液体状の皮膜形成液を噴射することが可能となる。
【0060】
冷却ユニット70は、型100のポケット部110に着弾した皮膜形成液を冷却して硬化させるためのものである。冷却ユニット70は、図のように型100に密着するようにして設けてもよく、型100のポケット部110を冷却することが可能であればよい。
【0061】
本実施形態では、冷却ユニット70としてペルチェ素子を用いることができる。ペルチェ素子は熱電素子の一種であり、電流が流れると金属間で熱が移動するという「ペルチェ効果」を利用して温度制御(冷却)を行なうことができる。カプセル生成動作中、ペルチェ素子に電力を供給し、型100の下部を4℃程度に保つことで、型100全体を冷却し、ポケット部110内壁面に着弾した皮膜形成液(冷却硬化液)を硬化させる。なお、本実施形態において、型100は熱伝導率の高い物質(例えば金属等)で作成される。
【0062】
<カプセルの材料について>
第2実施形態では、カプセル皮膜を形成する皮膜形成液(第1の液体)である冷却硬化液として、ゼラチン、寒天、ペクチン等のゲル化材を用いる。これらのゲル化材は、常温時(若しくは高温時)には液体状であるが、冷却すると硬化して固化する。この性質を利用して、カプセルの皮膜を形成する。
また、カプセルのコアを形成するコア形成液(第2の液体)として、第1実施形態と同様の芳香族化合物を含む液体(芳香液溶液)を用いる。
以下では、皮膜形成液としてゼラチンを用いた例について説明を行なう。
【0063】
<カプセルの生成動作>
第2実施形態におけるカプセル生成動作について説明する。図6は、第2実施形態のカプセル生成動作の工程を表すフロー図である。図7A〜図7Cは、第2実施形態のカプセル生成動作を説明するための概略図である。
【0064】
第1実施形態と同様、はじめに、カプセル皮膜の一部(下側)が形成される(S201)。ただし、第2実施形態では皮膜形成液の硬化方法が異なる。
【0065】
まず、加熱ユニット60によって60℃程度に加熱された液状の皮膜形成液(ゼラチン)が、皮膜形成ヘッド15の皮膜形成ノズルから噴射される(図7A)。噴射されたゼラチンの液滴は型100のポケット部110に着弾し、その内壁形状に沿って濡れ広がり、半球状となる。
【0066】
ここで、型100は、下部に設けられた冷却ユニット70により冷却され、4℃程度の温度に維持されている。そのため、半球状となったゼラチンはポケット部110の内壁面において急速に冷却され、硬化する。これにより、球状カプセル皮膜の下側が形成される。
【0067】
次に、カプセルのコアが形成される(S202)。コア形成の工程は第1実施形態のS102と全く同様である。すなわち、S201において型100(ポケット部110)に形成されたカプセル皮膜の一部(下側)の上に、コア形成ヘッド11のコア形成ノズルから所定量のコア形成液を噴射する(図7B)。そして、該カプセル皮膜の下側の上に着弾したコア形成液は図に示されるような液滴となる。これによって、当該下側の皮膜の上に、カプセルのコアとなる部分が形成される。
【0068】
続いて、カプセル皮膜の上側が形成される(S203)。キャリッジ21に搭載された皮膜形成ヘッド15が移動方向を移動しつつ、S202において型100(ポケット部110)に形成されたコアの上に、皮膜形成ノズルからゼラチンを噴射する(図7C)。噴射されたゼラチンは、コア形成液の液滴の上に着弾し、当該コアを覆うような形で広がる。
【0069】
ここで、冷却ユニット70で冷却された型100により、先に形成されたカプセル皮膜下側及びコアも4℃程度の温度に冷却されている。本実施形態で生成されるカプセルはサイズ(直径)が非常に小さいため、型100の温度が伝導しやすいからである。したがって。コアを覆うように広がったゼラチンはそのままの形状を維持しながら急速に冷却され、固化する。これにより、コアとそれを内包する皮膜からなる球状のカプセルが形成される。
【0070】
最後に、形成されたカプセルを型100から取り外す(S204)。取り外し方法は第1実施形態と同様にすればよい。
【0071】
<第2実施形態のまとめ>
第2実施形態では、皮膜形成ノズルから冷却硬化液からなる皮膜形成液(第1の液体)を型100に噴射して、当該型100によって冷却し、硬化させることで、皮膜の一部(球状皮膜の下側)を形成する。次に、コア形成ノズルから、当該型に形成された皮膜の一部の上に、コア形成液(第2の液体)を噴射して、コアを形成する。そして、皮膜形成ノズルから、当該型に形成されたコアの上に、冷却硬化液からなる皮膜形成液(第1の液体)を噴射して、該型100によって冷却し、硬化させることで、コアを内包する皮膜を形成する。
【0072】
これにより、第1実施形態と同様、カプセル粒径の大きさや皮膜の厚さを自由に調整しつつ、均一な形状(サイズ)のカプセルを大量に生成することができる。また、皮膜形成液としてゼラチン等の冷却硬化液(ゲル化材)を用いることにより、UV照射等の制御を行なうことなく、型のポケットで簡単に皮膜を硬化させることができる。
【0073】
===第3実施形態===
第3実施形態では、皮膜形成液として複数種類の液体を接触させて化学反応を生じさせることで、皮膜を硬化させる。具体的には、第1の皮膜形成液(第1の液体とする)と第2の皮膜形成液(第3の液体とする)とを接触・混合させることによって生じるゲル化反応を用いてカプセル皮膜を形成する。
【0074】
<カプセル製造装置の構成>
図8は、第3実施形態におけるカプセル製造装置3の構成を表す概略図である。カプセル製造装置3では、ヘッド部10の皮膜形成ヘッドとして、第1皮膜形成ヘッド16及び、第2皮膜形成ヘッド17を備える。また、カプセル製造装置3で照射部40は不要である。それ以外の構成は第1実施形態と同様である。
【0075】
ヘッド部10の第1皮膜形成ヘッド16は、皮膜を形成するための第1の皮膜形成液(第1の液体)を噴射するものである。第1皮膜形成ヘッド16の構造は前述の皮膜形成ヘッド15と同様である。すなわち、皮膜形成液(第1の皮膜形成液)を噴射する皮膜形成ノズルを備える。そして、ノズル内部にはピエゾ素子PZT等の駆動素子や、弾性膜、圧力室等(共に不図示)を有し、ピエゾ素子PZT等の駆動素子を伸縮させることによりノズルから皮膜形成液の液滴を噴射する。
【0076】
ヘッド部10の第2皮膜形成ヘッド17は、皮膜を形成するための第2の皮膜形成液(第3の液体)を噴射するものである。噴射する液体が異なる以外は、第1皮膜形成ヘッド16と全く同一の構造とする。
【0077】
なお、皮膜形成液として3種類以上の液体を混合して化学反応を生じさせる場合は、該皮膜形成液の種類に応じて皮膜形成ヘッドの数が増やされる。例えば、3液混合による化学反応を用いてカプセル皮膜を形成するような場合には、上述の第1・第2皮膜形成ヘッドに加えて、第3皮膜形成ヘッド(不図示)が設けられる。
【0078】
<カプセルの材料について>
第3実施形態では、カプセル皮膜を形成する皮膜形成液として、複数種類の液体を混合することで化学反応(ゲル化反応)を生じさせる液体を用いる。例えば、第1の皮膜形成液(第1の液体)としてアルギン酸ナトリウム水溶液を用い、第2の皮膜形成液(第3の液体)として塩化カルシウム水溶液を用いる。アルギン酸ナトリウムは塩化カルシウム(ゲル化反応材)と混合することによりゲル化して硬化する。なお、第1の皮膜形成液と第2の皮膜形成液とは入れ替えてもよく、本実施形態において皮膜形成液を噴射する際には、どちらの液体を先に噴射してもよい。
【0079】
また、カプセルのコアを形成するコア形成液(第2の液体)として、第1実施形態と同様の芳香族化合物を有する液体を用いる。
【0080】
<カプセルの生成動作>
第3実施形態におけるカプセル生成動作について説明する。図9は、第3実施形態のカプセル生成動作の工程を表すフロー図である。
【0081】
はじめに、カプセル皮膜の一部(下側)が形成される(S301)。ただし、第3実施形態では皮膜形成液の硬化方法が異なる。図10A及び図10Bに、第3実施形態のカプセル皮膜(下側)の生成動作を説明する概略図を示す。
【0082】
まず、第1皮膜形成ヘッド16から第1の皮膜形成液であるアルギン酸ナトリウム水溶液が噴射される(図10A)。噴射されたアルギン酸ナトリウム水溶液の液滴は型100のポケット部110に着弾し、その内壁形状に沿って濡れ広がり、図10Aに示されるような半球状となる。
【0083】
続いて、同じポケット部110に向けて、第2皮膜形成ヘッド17から第2の皮膜形成液である塩化カルシウム水溶液が噴射される。噴射された塩化カルシウム水溶液の液滴はポケット部110に着弾し、該ポケット部110の内壁に沿って広がっているアルギン酸ナトリウム水溶液と混合される。なお、第2の皮膜形成液の噴射速度を速くする等、適当に調整することによって、該第2の皮膜形成液は着弾時にポケット部110内壁面に拡散しやすくなるので、第1の皮膜形成液との混合を促進させることができる。
【0084】
これにより、該ポケット部110の内壁面においてゲル化反応が進行し、2つの液体が硬化して、図10Bに示されるように球状カプセル皮膜の下側が形成される。
【0085】
次に、カプセルのコアが形成される(S302)。コア形成の工程は第1実施形態のS102と全く同様である。すなわち、S301において型100(ポケット部110)に形成されたカプセル皮膜の一部(下側)の上に、コア形成ヘッド11のコア形成ノズルから所定量のコア形成液(芳香液溶液)を噴射する。これによって、当該下側の皮膜の上に、カプセルのコアとなる部分が形成される。
【0086】
次に、カプセル皮膜の上側が形成される(S303)。図11A及び図11Bに、第3実施形態のカプセル皮膜(上側)の生成動作を説明する概略図を示す。
【0087】
キャリッジ21に搭載された第1皮膜形成ヘッド16が移動方向を移動しつつ、S302において型100(ポケット部110)に形成されたコアの上に、第1の皮膜形成液であるアルギン酸ナトリウム水溶液を噴射する(図11A)。アルギン酸ナトリウム水溶液は、芳香液溶液の液滴(コア)の上に着弾し、図11Aに示されるように当該コアを覆うような形で広がる。
【0088】
続いて、同じポケット部110に向けて、第2皮膜形成ヘッド17から第2の皮膜形成液である塩化カルシウム水溶液が噴射される(図11B)。噴射された塩化カルシウム水溶液の液滴は、コアを覆うように広がっているアルギン酸ナトリウム水溶液と混合される。2液の混合によって、コアの上面部においてゲル化反応が進行し、2つの液体は硬化して図11Bに示されるように球状カプセル皮膜の上側が形成される。これにより、コアとそれを内包する皮膜からなる球状のカプセルが形成される。
【0089】
最後に、形成されたカプセルを型100から取り外す(S304)。取り外し方法は前述の各実施形態と同様である。
【0090】
<第3実施形態のまとめ>
第3実施形態では、第1皮膜形成ノズルから第1の皮膜形成液(第1の液体)を型100に噴射し、続いて第2皮膜形成ノズルから第2の皮膜形成液(第3の液体)を噴射し、型100の上で2液を接触・混合させる。混合の結果生じる化学反応によって2液を硬化させ、皮膜の一部(球状皮膜の下側)を形成する。次に、コア形成ノズルから、当該型に形成された皮膜の一部の上に、コア形成液(第2の液体)を噴射して、コアを形成する。そして、当該型に形成されたコアの上に、第1皮膜形成ノズルから第1の皮膜形成液(第1の液体)を、第2皮膜形成ノズルから第2の皮膜形成液(第3の液体)を噴射し両液を混合させる。混合の結果生じる化学反応によって2液を硬化させ、コアを内包する皮膜を形成する。
【0091】
これにより、第1実施形態と同様、カプセル粒径の大きさや皮膜の厚さを自由に調整しつつ、均一な形状(サイズ)のカプセルを大量に生成することができる。また、皮膜形成液として複数種類の液体を用い、それらを混合させることで化学反応を生じさせることにより、UV照射等の制御を行なうことなく、型上で簡単に皮膜を硬化させることができる。
【0092】
===第4実施形態===
第4実施形態では、多層の皮膜を有するカプセルを生成する。前述の各実施形態では1層の皮膜によってコアが覆われるカプセルを生成していたが、本実施形態では、例えば、2層の皮膜によってコアが覆われるカプセルを生成する。
【0093】
図12に、2層の皮膜を有するカプセルの概略断面図を示す。図のように、第1層皮膜がコアを内包し、その第1層皮膜をさらに第2層皮膜が内包する3重構造となっている。第1層皮膜と第2層皮膜とは、同一の皮膜形成液によって形成されてもよいし、異なる皮膜形成液によって形成されてもよい。以下の例では、異なる皮膜形成液を用いて2層の皮膜を形成することが可能なカプセル製造装置について説明する。
【0094】
<カプセル製造装置の構成>
図13は、第4実施形態におけるカプセル製造装置4の構成を表す概略図である。カプセル製造装置4では、ヘッド部10の皮膜形成ヘッドとして、第1層皮膜形成ヘッド18、及び、第2層皮膜形成ヘッド19を備える。それ以外の構造は第1実施形態と同様である。
【0095】
第1層皮膜形成ヘッド18、及び、第2層皮膜形成ヘッド19では噴射する液体(皮膜形成液)が異なるが、ヘッド自体の構造は共に第1実施形態の皮膜形成ヘッド15と同一である。
【0096】
第4実施形態では、第1層皮膜形成液としてUV硬化モノマーAを用い、第2層皮膜形成液としてUV硬化モノマーBを用いる。UV硬化モノマーは、カプセルの使用用途等に応じて最適な物質が適宜選択される。
【0097】
また、カプセルのコアを形成するコア形成液として、第1実施形態と同様の芳香族化合物を含む液体を用いる。
【0098】
<カプセル生成動作について>
第4実施形態におけるカプセル生成動作について説明する。図14は、第4実施形態のカプセル生成動作の工程を表すフロー図である。図15A及び図15Bは、第1層皮膜(下側)及び第2層皮膜(下側)を生成する動作を説明する図である。図16A及び図16Bは、第1層皮膜(上側)及び第2層皮膜(上側)を生成する動作を説明する図である。
【0099】
なお、本実施形態のカプセル生成動作は、前述の各実施形態に対して応用することが可能である。
【0100】
第4実施形態において、カプセルはS401〜S406の各工程を実行することによって生成される(図14)。
【0101】
まず、第2層のカプセル皮膜の一部(下側)が形成される(S401)。キャリッジ21に搭載された第2層皮膜形成ヘッド19が移動方向を移動しつつ、下方に配置された型100のポケット部110に向けて所定量の第2層皮膜形成液(UV硬化モノマーB)を噴射する(図15A)。噴射されたUV硬化モノマーBはポケット部110に着弾し、その内壁形状に沿って濡れ広がり、図15Aに示されるような半球状となる。この状態で、照射部41からUVを照射することにより、半球形状のUV硬化モノマーBを硬化させる。これにより、型100のポケット部110にそれぞれ第2層皮膜の下側(半球)が形成され、固定される。
【0102】
続いて、第1層のカプセル皮膜の一部(下側)が形成される(S402)。S402の動作は基本的にS401の動作の繰り返しである。S401で硬化された第2層皮膜の下側の上に、第1層皮膜形成ヘッド18から所定量の第1層皮膜形成液(UV硬化モノマーA)を噴射する(図15B)。そして、図に示されるように、第2層皮膜の上に半球状に広がったUV硬化モノマーAに対してUVを照射させ、硬化させる。これにより、第2層皮膜の下側(半球)の上に、さらに第1層皮膜の下側(半球)が形成され、固定される。
【0103】
次に、カプセルのコアが形成される(S403)。コア形成の工程は第1実施形態のS102と同様である。すなわち、S402において型100(ポケット部110)に形成された第1層カプセル皮膜(下側)の上に、コア形成ヘッド11のコア形成ノズルから所定量のコア形成液(芳香液溶液)を噴射する。これによって、第1層カプセル皮膜の上に、カプセルのコアとなる部分が形成される。
【0104】
次に、第1層カプセル皮膜の上側が形成される(S404)。S403において形成されたコアの上に、第1層皮膜形成ヘッド18から所定量の第1層皮膜形成液(UV硬化モノマーA)を噴射する(図16A)。噴射されたUV硬化モノマーAは、芳香液溶液の液滴(コア)の上に着弾し、図16Aに示されるように当該コアを覆うような形で広がる。そして、着弾直後のUV硬化モノマーAに対して、照射部41からUVを照射することにより、コアを覆う形でUV硬化モノマーAを硬化させる。これにより、コアを内包する球状の第1層皮膜が形成される。
【0105】
続いて、第2層カプセル皮膜の上側が形成される(S405)。S405の動作は基本的にS404の動作の繰り返しである。S404で形成された第1層皮膜の上に、第2層皮膜形成ヘッド19から所定量の第2層皮膜形成液(UV硬化モノマーB)を噴射する(図16B)。そして、図に示されるように、第1層皮膜の上に半球状に広がったUV硬化モノマーBに対してUVを照射させ、硬化させる。これにより、第1層皮膜を内包する形で第2層皮膜が形成される。
【0106】
最終的に、コア、第1層皮膜、及び、第2層皮膜の3重構造からなる(図12参照)カプセルが形成される。なお、皮膜形成の工程をさらに繰り返すことによって、2層以上の皮膜を有する多重カプセルを形成することも可能である。
【0107】
最後に、形成されたカプセルを型100から取り外す(S406)。取り外し方法は前述の各実施形態と同様である。
【0108】
<第4実施形態のまとめ>
第4実施形態では、第2層皮膜形成ノズルから第2層皮膜形成液を型100に噴射して硬化させ、続いて第1層皮膜形成ノズルから第1層の皮膜形成液を噴射して硬化させることで、球状皮膜の下側を2層分重ねて形成する。次に、コア形成ノズルから、当該型に形成された皮膜の一部の上に、コア形成液を噴射して、コアを形成する。そして、当該型に形成されたコアの上に、第1層皮膜形成ノズルから第1層皮膜形成液を噴射し硬化させ、第2層皮膜形成ノズルから第2層皮膜形成液を噴射して硬化させることで、コアを内包する皮膜を2層の皮膜を形成する。
【0109】
これにより、第1実施形態と同様、カプセル粒径の大きさや皮膜の厚さを自由に調整しつつ、均一な形状(サイズ)のカプセルを大量に生成することができる。また、皮膜の形成工程を、分けることで、2層以上の多層皮膜を有するカプセルを生成することができる。
【0110】
===変形例===
前述した各実施形態のカプセル生成動作について、各工程におけるカプセル形成材料(皮膜形成液及びコア形成液)の噴射速度を調整することにより、より効果的にカプセルを生成することができる。
【0111】
例えば、第1実施形態において、S101で噴射される皮膜形成液の噴射(第1の液体)速度をS102におけるコア形成液(第2の液体)の噴射速度よりも速くする。すなわち、下側皮膜を形成するための皮膜形成液の噴射速度をなるべく早くする。これにより、皮膜形成液は型100のポケット部110に勢いよく着弾するので、ポケット部110の内壁に沿って濡れ広がりやすくなる。これにより、皮膜形成液を半球形状にしやすくなる。
【0112】
また、S103で噴射される皮膜形成液(第1の液体)の噴射速度をS102におけるコア形成液(第2の液体)の噴射速度よりも遅くする。すなわち、上側皮膜を形成するための皮膜形成液の噴射速度をなるべく遅くする。これにより、皮膜形成液はコア(コア形成液の液滴)の上にゆっくりと着弾するので、コア形成液と皮膜形成液とが混合しにくくなる。
【0113】
このように、カプセル形成材料(液体)を噴射する速度を変更することで、カプセル形成材液滴の着弾時における広がり方を調整することができる。つまり、カプセルを精度よく形成することができるようになる。
【0114】
また、前述した各実施形態で皮膜を形成する際に、皮膜形成ノズルから複数回に分けて皮膜形成液(第1の液体)を噴射して該皮膜を形成することにより、噴射される液滴径を変更せずにカプセルを生成することもできる。
【0115】
例えば、第1実施形態の下側皮膜形成時(S101)において、1回の皮膜形成液噴射によって皮膜を形成するのではなく、皮膜形成液の噴射を少量ずつ複数回に分けて皮膜を形成する。図17に皮膜形成液を複数回に分けて噴射することにより、皮膜を形成する方法を説明する図を示す。図では3回に分けてカプセル皮膜(下側)を形成する。
【0116】
1回目の噴射では、型100のポケット部110中央に向けて皮膜形成液を着弾させる。着弾した皮膜形成液は図の斜線部で表される領域に広がるので、この状態でUVを照射して硬化させる。これにより、皮膜の一部分として皿型形状の皮膜が形成される。次に、皮膜形成ヘッド15(キャリッジ21)を右側に移動させ、ポケット部110の側面付近に向けて2回目の皮膜形成液噴射を行なう。着弾した皮膜形成液は図の横線部で表される領域に広がるので、この状態でUVを照射して硬化させる。続いて、皮膜形成ヘッド15(キャリッジ21)を左側に移動させ、ポケット部110の2回目とは反対側の面に向けて3回目の皮膜形成液噴射を行ない、UVを照射して硬化させる。このとき、1回目の噴射速度を早くして、2回目・3回目の噴射速度を遅くする等の調整をしてもよい。
【0117】
1回の皮膜形成液噴射で半球状の下側皮膜を全て形成しようとすると、着弾した皮膜形成液がポケット部110の内壁に均等に濡れ広がらず、きれいな半球状の皮膜が形成されない場合がある。そのような場合、図17のように図段階的に皮膜形成液を噴射させることにより、型100のポケット部110の内壁全体に亘って均等に皮膜形成液を行き渡らせ、正確な半球形状の皮膜を形成することができる。
【0118】
なお、皮膜形成ヘッドが、型100と平行な平面状を2次元的に移動できるようにしておくとさらに効果的である。すなわち、キャリッジ21の移動方向を、図2における左右方向のみではなく奥行き方向にも移動できるようする。皮膜形成ヘッド(皮膜形成ノズル)の位置を細かく移動させながら、多段階に分けて皮膜形成液を噴射させることによって、噴射される液滴径を変更せずに、大型の半球形状の皮膜を形成することができるようになる。また、噴射される液滴径を変更せずに、様々な大きさのポケット部110を備える型100に対応ができる。
【0119】
===その他の実施形態===
一実施形態としてのカプセル製造装置を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0120】
<カプセル生成動作について>
前述の各実施形態では、キャリッジユニットに搭載されたヘッドユニットを移動させながら、固定された型に対して、各ノズルからカプセル形成材料を噴射することでカプセルを生成する例が説明されていたが、この限りではない。例えば、型を移動させながら、固定されたヘッドからカプセル形成材料を噴射することでカプセルが生成される方法であってもよい。また、ヘッドと型が共に移動可能な構成であってもよい。
【0121】
<カプセル形成材料について>
前述の各実施形態では、コア形成液として、芳香剤溶液を用いて説明したが、食品分野で用いられるカプセルであれば、コア形成液は、各種エキス材料や各種果汁、甘味料、香料、防腐剤などでもよい。また、医薬分野で用いられるカプセルであれば、コア形成液として、各種医薬品成分であってもよく、バイオテクノロジー分野で用いられるカプセルであれば、微生物や動植物細胞をコア形成液としてもよい。
【0122】
本明細書において、カプセルを形成する材料として、前述の各実施形態で皮膜形成液とコア形成液とが例示されていたが、例示された以外のカプセル形成材料を用いてカプセルを形成することも可能である。
【符号の説明】
【0123】
1〜4 カプセル製造装置、
10 ヘッドユニット、11 コア形成ヘッド、15 皮膜形成ヘッド、
16 第1皮膜形成ヘッド、17 第2皮膜形成ヘッド、
18 第1層皮膜形成ヘッド、19 第2層皮膜形成ヘッド、
20 キャリッジユニット、21 キャリッジ、
40 照射ユニット、41 照射部、42 照射部、
60 加熱ユニット、
70 冷却ユニット、
100 型、110 ポケット部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、前記コアを内包する皮膜とを含むカプセルを形成するカプセル製造装置であって、
前記皮膜を形成する第1の液体を噴射する第1噴射ノズルと、
前記コアを形成する第2の液体を噴射する第2噴射ノズルと、を備え、
前記第1噴射ノズルから、前記カプセルを形成することに用いる型に前記第1の液体を噴射して、前記皮膜の一部を形成し、
前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、
前記第1噴射ノズルから、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射して、前記コアを内包する皮膜を形成する、ことを特徴とするカプセル製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカプセル製造装置であって、
光を照射する照射部をさらに備え、
前記第1の液体は、前記光の照射を受けることによって硬化する液体であり、
前記第1噴射ノズルから、前記型に前記第1の液体を噴射した後に、前記照射部から前記光を照射して前記皮膜の一部を形成し、
前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、
前記第1噴射ノズルから、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射した後に、前記照射部から前記光を照射して前記第1の液体を硬化し、前記コアを内包する皮膜を形成する、ことを特徴とするカプセル製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載のカプセル製造装置であって、
前記第1の液体を冷却する冷却部をさらに備え、
前記第1の液体は、冷却されることによって硬化する液体であり、
前記第1噴射ノズルから、前記型に前記第1の液体を噴射した後に、前記冷却部によって前記第1の液体を冷却して、前記皮膜の一部を形成し、
前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、
前記第1噴射ノズルから、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射した後に、前記冷却部によって前記第1の液体を冷却し、硬化させることで、前記コアを内包する皮膜を形成する、ことを特徴とするカプセル製造装置。
【請求項4】
請求項1に記載のカプセル製造装置であって、
前記第1の液体は、第3の液体と接触すると化学反応によって硬化する液体であり、
前記第3の液体を噴射する第3噴射ノズルをさらに備え、
前記第1噴射ノズルから前記型に前記第1の液体を噴射し、前記第3噴射ノズルから該型に前記第3の液体を噴射して、前記第1の液体と前記第3の液体とを接触させ、前記第1の液体を化学反応によって硬化させることによって、前記皮膜の一部を形成し、
前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、
前記第1噴射ノズルから前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射し、前記コアに対して噴射された前記第1の液体に対して、前記第3噴射ノズルから前記第3の液体を噴射し、前記第1の液体と前記第3の液体とを接触させ、前記第1の液体を硬化させることによって、前記コアを内包する皮膜を形成する、ことを特徴とするカプセル製造装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のカプセル製造装置であって、
前記型に前記第1の液体を噴射する速度は、前記第2の液体を噴射する速度よりも速く、
前記コアに対して前記第1の液体を噴射する速度は、前記第2の液体を噴射する速度よりも遅いことを特徴するカプセル製造装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のカプセル製造装置であって、
前記皮膜を形成する際に、前記第1噴射ノズルから、複数回に分けて前記第1の液体を前記型に噴射して、前記皮膜を形成することを特徴するカプセル製造装置。
【請求項7】
カプセルを形成することに用いる型に第1の液体を噴射して、皮膜の一部を形成することと、
前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、第2の液体を噴射して、コアを形成することと、
前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射して、前記コアを内包する皮膜を形成することと、
を有するカプセル製造方法。
【請求項8】
光の照射を受けることによって硬化する第1の液体を、カプセルを形成することに用いる型に噴射した後、前記光を照射して前記第1の液体を硬化させることによって、皮膜の一部を形成することと、
前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、第2の液体を噴射して、コアを形成することと、
前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射した後に、前記光を照射して前記第1の液体を硬化させることによって、前記コアを内包する皮膜を形成することと、
を有するカプセル製造方法。
【請求項1】
コアと、前記コアを内包する皮膜とを含むカプセルを形成するカプセル製造装置であって、
前記皮膜を形成する第1の液体を噴射する第1噴射ノズルと、
前記コアを形成する第2の液体を噴射する第2噴射ノズルと、を備え、
前記第1噴射ノズルから、前記カプセルを形成することに用いる型に前記第1の液体を噴射して、前記皮膜の一部を形成し、
前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、
前記第1噴射ノズルから、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射して、前記コアを内包する皮膜を形成する、ことを特徴とするカプセル製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカプセル製造装置であって、
光を照射する照射部をさらに備え、
前記第1の液体は、前記光の照射を受けることによって硬化する液体であり、
前記第1噴射ノズルから、前記型に前記第1の液体を噴射した後に、前記照射部から前記光を照射して前記皮膜の一部を形成し、
前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、
前記第1噴射ノズルから、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射した後に、前記照射部から前記光を照射して前記第1の液体を硬化し、前記コアを内包する皮膜を形成する、ことを特徴とするカプセル製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載のカプセル製造装置であって、
前記第1の液体を冷却する冷却部をさらに備え、
前記第1の液体は、冷却されることによって硬化する液体であり、
前記第1噴射ノズルから、前記型に前記第1の液体を噴射した後に、前記冷却部によって前記第1の液体を冷却して、前記皮膜の一部を形成し、
前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、
前記第1噴射ノズルから、前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射した後に、前記冷却部によって前記第1の液体を冷却し、硬化させることで、前記コアを内包する皮膜を形成する、ことを特徴とするカプセル製造装置。
【請求項4】
請求項1に記載のカプセル製造装置であって、
前記第1の液体は、第3の液体と接触すると化学反応によって硬化する液体であり、
前記第3の液体を噴射する第3噴射ノズルをさらに備え、
前記第1噴射ノズルから前記型に前記第1の液体を噴射し、前記第3噴射ノズルから該型に前記第3の液体を噴射して、前記第1の液体と前記第3の液体とを接触させ、前記第1の液体を化学反応によって硬化させることによって、前記皮膜の一部を形成し、
前記第2噴射ノズルから、前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、前記第2の液体を噴射して、前記コアを形成し、
前記第1噴射ノズルから前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射し、前記コアに対して噴射された前記第1の液体に対して、前記第3噴射ノズルから前記第3の液体を噴射し、前記第1の液体と前記第3の液体とを接触させ、前記第1の液体を硬化させることによって、前記コアを内包する皮膜を形成する、ことを特徴とするカプセル製造装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のカプセル製造装置であって、
前記型に前記第1の液体を噴射する速度は、前記第2の液体を噴射する速度よりも速く、
前記コアに対して前記第1の液体を噴射する速度は、前記第2の液体を噴射する速度よりも遅いことを特徴するカプセル製造装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のカプセル製造装置であって、
前記皮膜を形成する際に、前記第1噴射ノズルから、複数回に分けて前記第1の液体を前記型に噴射して、前記皮膜を形成することを特徴するカプセル製造装置。
【請求項7】
カプセルを形成することに用いる型に第1の液体を噴射して、皮膜の一部を形成することと、
前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、第2の液体を噴射して、コアを形成することと、
前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射して、前記コアを内包する皮膜を形成することと、
を有するカプセル製造方法。
【請求項8】
光の照射を受けることによって硬化する第1の液体を、カプセルを形成することに用いる型に噴射した後、前記光を照射して前記第1の液体を硬化させることによって、皮膜の一部を形成することと、
前記型に形成された前記皮膜の一部に対して、第2の液体を噴射して、コアを形成することと、
前記型に形成された前記コアに対して、前記第1の液体を噴射した後に、前記光を照射して前記第1の液体を硬化させることによって、前記コアを内包する皮膜を形成することと、
を有するカプセル製造方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図17】
【図1】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図17】
【図1】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−213749(P2012−213749A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82027(P2011−82027)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]