説明

カラオケ装置及びプログラム

【課題】利用者による歌唱や演奏からなる投稿データを作成する際の満足度を高める。
【解決手段】楽曲演奏時の参加人数や当該演奏に指定された演奏モードに応じて、投稿録音フラグを「ステレオ」又は「モノラル」に設定する。投稿録音フラグが「ステレオ」に設定されている場合、演奏中に録音した複数の録音データのモノラル音源信号を、ステレオの左右のチャンネルにほぼ均等な数に割振った複音の投稿データを作成する(a)。あるいは、演奏中に録音した1つの録音データのモノラル音源信号を、ステレオの左右2チャンネルのうち何れか一方に割当て、他方を無音にした複音の投稿データを作成する(b)。投稿録音フラグが「モノラル」に設定されている場合、演奏中に録音した全ての録音データのそれぞれを、ステレオの左右両方のチャンネルに割振った単音の投稿データを作成する(c)。そして、作成した投稿データを所定の投稿用サーバにアップロードする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信カラオケシステムにおいて投稿された歌唱音や演奏音の録音データを含む投稿データを再生するカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信カラオケシステムのサービス形態として、投稿データを通信カラオケシステムのサーバに投稿し、サーバに投稿された各利用者の投稿データをカラオケ装置で再生するサービスが提案されている(特許文献1参照)。投稿データは、例えば、利用者による歌唱音や楽器演奏音の音源データや動画データ等を含む。このような投稿システムでは、カラオケ装置に備え付けのカメラで撮像した歌唱者や楽器演奏者の姿が録画される。また、カラオケ装置に備え付けのマイクで入力した歌唱音や演奏音が録音される。これら録画又は録音されたデータが投稿データとして通信カラオケシステムのサーバにアップロードされる。アップロードされた投稿データは、通信カラオケシステムに接続したカラオケ装置や、パソコン、携帯電話等の端末によってインターネットを介して再生することができる。
【0003】
さらに、通信カラオケシステムに接続したカラオケ装置において投稿データを再生する場合、投稿データの再生による歌唱音や演奏音の出力と同時に、そのカラオケ装置に備え付けのマイクで入力した別の歌唱音や演奏音が同時に出力される。また、同じ楽曲を歌唱又は演奏した別の投稿データが複数同時に出力される。これにより、その場にいない他人とのコラボレーションを楽しむことができるといったサービスも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−53541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、カラオケボックス等の商用施設に設置されるカラオケ装置には、左右2チャンネルのスピーカが備え付けられるようになっている。よって、左右2チャンネルのステレオ音源で制作されたカラオケ楽曲のデータを再生する場合、左右のスピーカからそれぞれ異なる音が出力され、臨場感のあるカラオケ演奏を楽しめるようになっている。
【0006】
ところが、カラオケ装置に備え付けのマイクの入力音や、歌唱音や演奏音を録音した投稿データは、一般的にはモノラル音源として作成されている。このため、たとえステレオ対応の左右2系統のスピーカが備えられていても、スピーカ出力時には左右両方のスピーカから同じ音が出力されることになる。また、複数のマイクからの入力音や投稿データによるコラボレーションをする場合、複数の外部入力音が全てミックスされて両方のスピーカから同じ音が出力されることになる。
【0007】
これに対し、カラオケ装置に複数のスピーカが備え付けられていれば、投稿データやマイク入力音等の音源についても、それぞれのスピーカから異なる音声を出力させて臨場感のある音を聴きたいといった要望や、意図的に複数の音源を合成させた音声を出力させて一体感のある音を聴きたいといった利用者からの要望がある。しかしながら、そのような要望に対応できる技術は今までに実現されておらず、利用者の要望に応えられなかった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、利用者による歌唱や演奏からなる投稿データを作成する際に、単一チャンネルの音源としてスピーカ出力をしたり、複数チャンネルの音源としてスピーカ出力したりできるようにすることで、利用者の満足度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明は、カラオケシステムの利用者による歌唱音又は楽器の演奏音が録音された投稿データをカラオケシステムにおける所定の投稿サーバにアップロードするカラオケ装置に関する。本発明のカラオケ装置は、入力音取得手段と、録音手段と、設定取得手段と、判断手段と、生成手段と、アップロード手段とを備える。
【0010】
入力音取得手段は、カラオケ装置の複数のチャンネルから入力可能な外部入力音であって、入力された各外部入力音を単一チャンネルの音源信号として取得する。録音手段は、入力音取得手段により取得した単一チャンネルの音源信号の録音データを生成する。設定取得手段は、録音手段により生成した録音データを、投稿データに変換する方法を示す投稿設定情報を取得する。判断手段は、設定取得手段により取得した投稿設定情報が、複数チャンネルの音源信号からなる複音の投稿データに変換することを示すかを判断する。
【0011】
そして、生成手段は、判断手段により録音データを複音の投稿データに変換すると判断された場合、単一チャンネルの音源信号からなる録音データから、複数チャンネルの音源信号に変換した複音の投稿データを生成する。アップロード手段は、生成手段により生成された投稿データを、投稿サーバにアップロードする。
【0012】
このような構成によれば、取得した投稿設定情報における任意の内容に応じて、録音データを所定の複数チャンネルの音源信号からなる複音の投稿データに変換することができる。なお、ここでいう複数チャンネルとは、例えば、スピーカが左右2系統に分かれたステレオ出力に対応するものや、ステレオよりも多くのチャンネルを有するサラウンド出力に対応するもの等である。
【0013】
また、複音の投稿データにおける各チャンネルは、それぞれ異なる有音の音声信号のみで構成されるものであってもよいし、有音の音声信号からなるチャンネルと無音(ミュート)のチャンネルとの組合せであってもよい。さらに、外部入力音が複数系統ある場合、各系統の外部入力音の録音データをそれぞれ複数チャンネルの音源信号に変換し、それらを各チャンネルに割振るように構成することもできる。
【0014】
本発明によって、利用者の歌唱や演奏を録音した投稿データを作成する際に、単一チャンネルの録音データを複数チャンネルの投稿データに変換可能としたことで、複数チャンネルの音源信号で各スピーカから異なる音声を出力させて臨場感のある音を聴けるようにしたい、といった利用者からの要望に応えることができる。
【0015】
特に、投稿データ自体が複数チャンネルの音声信号で構成されているため、投稿データをダウンロードして再生する側において、再生時に単一チャンネルの音源信号を複数チャンネルに変換するといった特殊な再生方法が不要である。これにより、カラオケ装置だけでなく、例えば携帯型情報通信端末のような他の情報処理端末で本発明の投稿データを再生する場合においても、サービスの利用が容易となる。
【0016】
ところで、録音データを複音の投稿データに変換するか否かを判断するための投稿設定情報の具体的な内容等については、請求項2に記載のようにすることが考えられる。すなわち、投稿設定情報は、投稿データにおける複数チャンネルの音源信号をそれぞれ個別に再生可能な第1モードが設定されているかを示している。そして、判断手段は、複音の投稿データに変換する条件として、投稿設定情報が、第1モードが設定されていることを示すかを判断する。判断手段により第1モードが設定されていると判断された場合、生成手段は、単一チャンネルの音源信号からなる録音データから、複数チャンネルの音源信号へ変換した複音の投稿データを生成する。
【0017】
投稿データを作成する際、例えば、歌唱や演奏の練習をするための練習モードや複数人で行う合唱や合奏モードを指定する利用者においては、個々のチャンネルの対応するパートごとに歌唱や演奏を詳しく聴けるようにしたいといった要望があると考えられる。そこで、上記構成によれば、そのような観点において、第1モードに対応する特定のモードを指定した投稿者側の意図を反映した内容で複音の投稿データを作成することができる。
【0018】
つぎに、請求項3に記載のカラオケ装置は以下の構成を有する。カラオケ装置は、複数のスピーカと接続可能である。判断手段は、投稿設定情報に基づいて、録音データを複音の投稿データに変換するか、又は複数チャンネルの音源信号からなる単音の投稿データに変換するかを判断する。そして、生成手段は、判断手段により単音の投稿データに変換すると判断された場合、単一チャンネルの音源信号からなる録音データを、複数のスピーカにより同一の音として出力される音源信号に変換した単音の投稿データを生成する。
【0019】
このような構成によれば、取得した投稿設定情報における任意の内容に応じて、録音データを所定の複数チャンネルの音源信号からなる複音の投稿データに変換したり、複数のスピーカにより同一の音として出力される単音の投稿データに変換することを選択的に行うことができる。ここでいう「複数のスピーカにより同一の音として出力される」とは、例えば、スピーカが左右2系統あるいはそれ以上に分かれている場合であれば、全てのスピーカから同じ音を出力(モノラル出力)するものである。
【0020】
本発明によって、利用者の歌唱や演奏を録音した投稿データを作成する際に、録音データを複音の投稿データに変換して各スピーカから異なる音声を出力させて臨場感のある音を聴けるようにしたり、録音データを単音の投稿データに変換して各スピーカから同じように音声を出力させて一体感のある音を聴けるようしたいといった利用者からの要望に応えることができる。
【0021】
ところで、録音データを複音の投稿データに変換するか、又は単音の投稿データに変換するかを判断するための投稿設定情報の具体的な内容等については、請求項4に記載のようにすることが考えられる。
【0022】
すなわち、投稿設定情報は、投稿データにおける複数チャンネルの音源信号をそれぞれ個別に再生可能な第1モード、又は、投稿データにおける複数チャンネルの音源信号を複数のスピーカにより同一の音として再生可能な第2モードが設定されているかを示している。判断手段は、複音の投稿データに変換する条件として、投稿設定情報が、第1モードが設定されていることを示すかを判断する一方、単音の投稿データに変換する条件として、投稿設定情報が、第2モードが設定されていることを示すかを判断する。そして、判断手段により第1モードが設定されていると判断された場合、生成手段は、単一チャンネルの音源信号からなる録音データから、複数チャンネルの音源信号へ変換した複音の投稿データを生成する。一方、判断手段により第2モードが設定されていると判断された場合、生成手段は、単一チャンネルの音源信号からなる録音データを、複数のスピーカにより同一の音として出力される音源信号に変換した単音の投稿データを生成する。
【0023】
投稿データを作成する際、例えば、練習モードや合唱・合奏モード等の特定モードを指定する利用者においては、個々のチャンネルの対応するパートごとに歌唱や演奏を詳しく聴けるようにしたいといった要望があると考えられる。一方、例えばライブ(本番)モード等の特定モードを指定する利用者においては、出力される音声全体が一体感があるように聴けるようにしたいといった要望があると考えられる。上記構成によれば、そのような観点において、第1モードに対応する特定のモード、あるいは第1モードに対応する特定のモードを指定した投稿者側の意図を反映した内容で、複音の投稿データを作成するか単音の投稿データを選択するかを選択できるので、便利である。
【0024】
ところで、本発明のカラオケ装置では、自カラオケ装置において生成した投稿データのアップロードに加え、カラオケシステムにおいて数多くアップロードされた投稿データを取得し、それを再生するサービスを提供することも想定している。その投稿データの再生機能についての工夫として、請求項5に記載のように構成することが考えられる。
【0025】
すなわち、カラオケシステムにおいてアップロードされた複数チャンネルの音源信号からなる投稿データを取得する投稿データ取得手段と、投稿データ取得手段により取得された投稿データに基づいて、カラオケ装置に接続された複数のスピーカから、複数チャンネルの音源信号を出力させる音声出力制御手段と、投稿データ取得手段により取得された投稿データの複数のチャンネルを、複数のスピーカそれぞれに割当てるチャンネル設定手段とを更に備える。そして、チャンネル設定手段は、各スピーカに割当てられたチャンネル数の差が所定差以内になるようにチャンネルを割当てる。
【0026】
複数の投稿データを同時並行して音声出力可能としたことで、複数の利用者による投稿作品のコラボレーションを楽しむといったサービスを提供可能となる。その際、複数の投稿データにより同時出力される音声の聴き易さや臨場感を高めるといった観点においては、各スピーカから出力される音源信号のチャンネル数が、複数のスピーカの間でなるべく均等に割当てられていることが望ましい。
【0027】
そこで、上記構成によれば、同時出力の対象となる複数の投稿データにおいて各スピーカに割当てられるチャンネル数の差が所定差以内になるように、チャンネルを均等に割当てることができ、同時出力される音声の聴き易さや臨場感を向上できる。
【0028】
あるいは、投稿データの再生機能に関する別の工夫として、請求項6に記載のように構成することも考えられる。すなわち、音声出力制御手段は、投稿データにおける複数チャンネルの音源信号のうち、所定の設定情報に基づいてミュートする又は所定の音量を下げるチャンネルに対応する音源信号をミュートする又は所定の音量を下げる。
【0029】
このような構成によれば、投稿データにおける複数チャンネルの音源信号のうち、一部のチャンネルをミュート(消音)することで、特定のチャンネルの再生音のみを出力させるといった制御を行うこともできる。このようにすると、利用者が特定の音源を聞き取りやすくなるといった効果も得られる。それに加え、どのスピーカから投稿データの再生音を出力させるかを利用者によって指定可能に構成してもよい。
【0030】
なお、本発明は、請求項7に記載のように、カラオケシステムの利用者による歌唱音又は楽器の演奏音が録音された投稿データを所定の投稿サーバにアップロードする情報処理装置において実行されるプログラム、あるいは当該プログラムを記憶する記憶媒体等の態様で実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】カラオケシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】音声制御部13の機能的構成を示す説明図である。
【図3】投稿データ作成処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】投稿データ作成処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】投稿データ再生時のチャンネル割当て方法の一例を示す説明図である。
【図6】投稿データ作成時のチャンネル割当て方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[カラオケシステム1の構成の説明]
図1に示すように、カラオケシステム1は、カラオケボックス等のカラオケ店舗内に設置されるカラオケ装置10と、外部のカラオケサーバ30とを備える。カラオケ装置10は、カラオケボックス内LAN(以下、単に「LAN」という)40に接続されている。LAN40は、ルータ50に接続されている。これにより、カラオケ装置10は、LAN40、ルータ50を介し、インターネット60によって、カラオケサーバ30とのデータ通信が可能となっている。
【0033】
カラオケ装置10は、装置全体の制御を司る制御部11を中心に構成されている。制御部11は、CPU,ROM,RAM,I/O等を中心に構成された情報処理デバイスであり、HDD19から読込んだプログラムやデータに基づいて種々の処理を実行する。制御部11はバスライン12に接続されており、また、制御部11には音声制御部13が接続されている。
【0034】
バスライン12には、操作処理部14、画像入力部15、インターフェース部16、ビデオRAM17、映像再生部18、及びハードディスクドライブ(HDD)19が接続されている。また、音声制御部13には、2本のマイク20a,20b、MIDI音源22、及びステレオ出力に対応した左右2系統のスピーカ23(左スピーカ23a、右スピーカ23b)が接続されている。
【0035】
操作処理部14は、操作部14aからの信号を処理する。操作部14aからは、演奏する楽曲データを特定する曲番号、楽曲データの演奏速度、演奏キーなどの情報がユーザによって入力される。操作部14aは、例えば、装置本体と無線通信を行うリモコンとして具現化される。画像入力部15には、カメラ15aが接続されている。カメラ15aは、カラオケ装置10が設置される室内に設置され、カラオケの歌唱者や楽器の演奏者を撮影可能となっている。カメラ15aからの信号は、画像入力部15にて処理され、処理された映像信号はバスライン12を通じて出力される。インターフェース部16は、カラオケ装置10をLAN40に接続するための構成である。これにより、上述したように、インターネット60によるカラオケサーバ30とのデータ通信が可能となる。なお、カメラ15aは、カラオケ装置10の外部に設置されて、カラオケ装置10と接続されてもよい。
【0036】
ビデオRAM17は、映像情報を一時的に記憶する。このビデオRAM17は、映像再生部18にも接続されている。映像再生部18は、ビデオRAM17からの映像情報及びバスライン12を介して送信されてくる映像データに基づく映像の再生を行う。映像再生部18が再生する映像としては、カラオケ演奏と共に表示する背景及び歌詞画像や、カラオケサーバ30からダウンロードした利用者の投稿動画の映像等が含まれる。映像再生部18には、映像制御部24が接続されている。また、映像制御部24には、表示部25が接続されている。表示部25は、モニタ装置として具現化される。このような構成により、映像制御部24は、映像再生部18から出力される映像を表示部25に表示可能となっている。
【0037】
HDD19は、いわゆるハードディスクドライブ装置であり、カラオケサーバ30から配信されるカラオケの楽曲データを多数収録したカラオケデータベースや、カラオケ装置10の動作を制御するシステムプログラムやアプリケーションプログラム、各種の情報コンテンツの再生に用いられるデータ等の各種データを記憶する。また、HDD19は、カラオケサーバ30から取得した投稿データを記憶する。
【0038】
次に、音声制御部13に接続される構成について述べる。2本のマイク20a,20bは、利用者によるカラオケの歌唱音や楽器の演奏音を単一チャンネル(モノラル)の信号として入力するための入力装置である。MIDI音源22は、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データに基づく楽音を発生する。上述したHDD19に記憶される楽曲データは、楽音を発生するためのMIDIデータや、歌唱や演奏する人数を判別する情報等を含んでいる。左右のスピーカ23a,23bは、音声制御部13から出力される音源信号を音に変えて出力する。
【0039】
音声制御部13は、HDD19に記憶されている楽曲データを、MIDI音源22を介して音源信号に変換すると共に、マイク20a,20bからの外部入力音や、制御部11を通じて入力される投稿データを音源信号に変換して、それらの音源信号を左右のスピーカ23a,23bに出力する。また、マイク20a,20bからの外部入力音を、単一チャンネルのモノラル音源信号としてデジタル化して録音する。
【0040】
音声制御部13は、左右2チャンネルで構成されるステレオ音源信号それぞれを左右のスピーカ23a,23bに個別に出力する。また、単一チャンネルで構成されるモノラル音源信号を左右のスピーカ23a,23bに同じ音として出力する。さらに、楽曲データの再生、並びに、それと並行して行う外部入力音(歌唱音・演奏音)の出力及び投稿データの再生において、フラグ等で示される特定の条件に応じて、マイク20a,20bからの外部入力音や投稿データのモノラル音源信号をステレオ音源信号に変換した上で、その変換したステレオ音源信号を左右のスピーカ23a,23bに振り分けて出力する(詳細な手順については後述する。)。なお、モノラル音源信号をステレオ音源信号に変換する手法については周知技術を用いることができる。
【0041】
次にカラオケサーバ30の構成について説明する。カラオケサーバ30は、周知のサーバ装置であり、コンピュータシステムを構成している。カラオケサーバ30は主に楽曲データを複数のカラオケ装置10に対して配信する。ここでは特に、データベース31を有している。このデータベース31に、通信ネットワークを通じて複数のカラオケ装置10からアップロードされた投稿動画のデータ(投稿データ)が蓄積されている。この投稿データは、カラオケ装置10を利用して歌唱や演奏をした利用者の映像及び音声を記録したデータからなる。投稿データは、楽曲情報と対応付けられている。楽曲情報は、楽曲を特定可能な情報であり、この楽曲情報を基に検索可能となっている。楽曲情報は、楽曲番号や曲名としてもよいし、検索の便宜などから、歌手名を含めてもよい。
【0042】
このような投稿データ及び対応付けられる各情報は、カラオケ装置10で楽曲演奏が行われる際に作成される。例えば、投稿データは、カメラ15aから画像入力部15を介して入力された利用者の映像、及びマイク20a,20bにて入力された利用者の歌唱音や演奏音から作成される。このとき、マイク20a,20bにて入力されたモノラル音源信号は、ステレオ音源信号に変換されて、投稿データが作成される。投稿データの作成時におけるモノラル音源信号からステレオ音源信号への変換手順の詳細な内容については、後述する。楽曲情報は、このとき演奏された楽曲の楽曲番号や曲名とする。
【0043】
このようにして作成された投稿データは、HDD19に一時的に記憶され、当該投稿データの作成に関わる利用者の了承を得た上で、カラオケサーバ30にアップロードされることが考えられる。このようにすれば、十分な数の投稿データをカラオケサーバ30のデータベース31に蓄積することが可能となる。そして、カラオケ装置10は、利用者の選択した投稿データを制御部11及びインターフェース部16を通じてカラオケサーバ30からダウンロードする。そして、カラオケ装置10は、その投稿データに対応付けてある楽曲の演奏と同期して投稿データを再生すると共に、カラオケ装置10に備え付けのマイクで入力した利用者の歌唱音や演奏音を同時に出力する。さらに、カラオケ装置10は、同じ楽曲に対応する別の投稿データを複数同時に再生することも可能である。
【0044】
[音声制御部13の機能的構成の説明]
つぎに、カラオケ装置10の音声制御部13における機能的構成について、図2を参照しながら説明する。
【0045】
音声制御部13は、モノラル/ステレオ変換部13aと、合成部13bとを備える。モノラル/ステレオ変換部13aは、モノラル音源信号として入力されるマイク20a,20bからの外部入力音をステレオ音源信号に変換し、各チャンネルの音源信号を左右のチャンネルごとに分配して出力する。合成部13bは、モノラル/ステレオ変換部13aから出力された複数チャンネルの音源信号と、予めステレオ音源信号で作成されている投稿データの複数チャンネルの音源信号とを左右のチャンネル別にミキシングする。そして、合成部13bは、それぞれを左右のスピーカ23a,23bに出力する。
【0046】
モノラル/ステレオ変換部13aは、上記のように外部入力音をステレオ音源信号に変換してから出力する動作を、各種フラグで示される条件に基づく制御部11からの制御に応じて実行する。
【0047】
図2(a)は、モノラル/ステレオ変換部13aがモノラル音源信号をステレオ音源信号に変換する事例を模式的に示す説明図である。ここでは、2つの外部入力音1,2の音源信号と、2つの投稿データ1,2の音源信号が同時に再生出力される事例を想定する。
【0048】
モノラル/ステレオ変換部13aは、入力された外部入力音1,2の各モノラル音源信号をそれぞれ左右2チャンネルのステレオ音源信号に変換する。このとき、外部入力音1については、左(L)側のみ音が出力されるようなステレオ音源信号に変換するか、あるいは左右両側から音が出力されるようなステレオ音源信号に変換したのちに右(R)側を消音(ミュート)して出力する。反対に、外部入力音2については、右(R)側のみ音が出力されるようなステレオ音源信号に変換するか、あるいは左右両側から音が出力されるようなステレオ音源信号に変換したのちに左(L)側を消音(ミュート)して出力する。このようにして、複数の外部入力音のステレオ音源信号の出力先が左右のスピーカ23a,24bに均等に分配されるように、各個の外部入力音のステレオ音源信号の出力先を左右のスピーカ23a,24bの何れかに割振る。
【0049】
一方、投稿データ1,2については、ステレオ音源信号を対応するそれぞれ出力先のスピーカスピーカ23a,24bに割当てて出力する。ただし、左右の1組ステレオ音源信号のうち、何れか一方が消音(ミュート)された投稿データが複数存在する場合、複数の投稿データのステレオ音源信号の出力先が左右のスピーカ23a,24bに均等に分配されるように、各個の投稿データのステレオ音源信号の出力先を左右のスピーカ23a,24bの何れかに割振る。
【0050】
合成部13bは、外部入力音1のステレオ音源信号(L側)と、投稿データ1のステレオ音源信号(L側)と、投稿データ2のステレオ音源信号(L側)とをミキシングして左スピーカ23aに出力すると共に、外部入力音2のステレオ音源信号(R側)と、投稿データ1のステレオ音源信号(R側)と、投稿データ2のステレオ音源信号(R側)とをミキシングして右スピーカ23bに出力する。
【0051】
図2(b)は、モノラル/ステレオ変換部13aがモノラル音源信号をステレオ音源信号に変換しないでモノラル音源信号のまま出力する事例を模式的に示す説明図である。ここでは、外部入力音1及び投稿データ1の2つの音源信号を同時に再生出力する事例を想定する。
【0052】
音声制御部13に入力された外部入力音1及び投稿データ1の音源信号は、それぞれ左右2つのチャンネルに同じ音として出力される。合成部13bは、L側に出力された外部入力音1及び投稿データ1の音源信号をミキシングして左スピーカ23aに出力すると共に、R側に出力された外部入力音1及び投稿データ1の音源信号をミキシングして右スピーカ23bに出力する。
【0053】
[投稿データ作成処理の説明]
つぎに、カラオケ装置10の制御部11が実行する投稿データ作成処理の手順について図3,4のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、演奏する楽曲が利用者によって選択されることで実行される。また、この処理は、利用者によって選択された楽曲の再生前、再生中及び再生後の各段階に対応して、再生前処理、再生中処理及び再生後処理の各段階に分類される。
【0054】
(1)再生前処理
図3に示すとおり、制御部11は、まず、利用者から選択された演奏対象の楽曲の属性データを参照し、当該楽曲が複数人で歌唱又は演奏すると定められた楽曲であるか否かを判定する(S100)。演奏対象の楽曲が複数人で歌唱又は演奏する楽曲である場合(S100:YES)、制御部11はS106の処理に進み、外部出力フラグを「ステレオ」に設定する。つづいて、制御部11はS108の処理に進み、投稿録音フラグを「ステレオ」に設定する。
【0055】
なお、外部出力フラグとは、マイク20a,20bからの外部入力音をモノラルでスピーカから出力するか、ステレオでスピーカから出力するかを指定する設定情報であり、制御部11のメモリ等に保持される。また、投稿録音フラグとは、マイク20a,20bからの外部入力音を録音して生成した投稿データに付与する投稿再生フラグをモノラルに設定するかステレオに設定するかを指定する情報であり、制御部11のメモリ等に保持される。
【0056】
一方、演奏対象の楽曲が単独で歌唱又は演奏する楽曲である場合(S100:NO)、制御部11は、S102に進み、当該楽曲が楽器演奏曲であるか否かを判定する。演奏対象の楽曲が楽器演奏曲である場合(S102:YES)、制御部11はS106に進み、外部出力フラグを「ステレオ」に設定する。つづいて、制御部11はS108に進み、投稿録音フラグを「ステレオ」に設定する。
【0057】
一方、演奏対象の楽曲が楽器演奏曲でない場合(S102:NO)、制御部11は、S104に進み、今回の楽曲の演奏に対して指定されている演奏モードの情報を取得し、その演奏モードを判定する。ここでいう演奏モードとは、例えば、歌唱や演奏の練習をするための専用のモードである「練習モード」や、合唱や合奏をするための専用のモードである「合唱・合奏モード」、本番として一体感を高める「ライブ(本番)モード」といった、モードごとに通常の演奏とは異なる演出効果を付加する機能である。本カラオケシステム1では、楽曲の演奏に際して利用者が所望の演奏モードを選択できるようになっている。ここでは、練習モードや合唱・合奏モードは、個々のチャンネルの対応するパートごとに歌唱や演奏を聴けるようにするためのステレオ対応モード(本発明の第1モードに相当する。)に定義されているものとする。また、ライブ(本番)モードは、出力される音声全体が一体感があるように聴けるようにするためのモノラル対応モード(本発明の第2モードに相当する。)に定義されているものとする。
【0058】
「練習モード」や「合唱・合奏モード」等のステレオ対応モードが指定されている場合(S104:ステレオ対応モード)、制御部11はS106に進み、外部出力フラグを「ステレオ」に設定する。つづいて、制御部11はS108に進み、投稿録音フラグを「ステレオ」に設定する。一方、「ライブ(本番)モード」等のモノラル対応モードが指定されている場合(S104:モノラル対応モード)、制御部11はS110に進み、外部出力フラグを「モノラル」に設定する。つづいて、制御部11はS112に進み、投稿録音フラグを「モノラル」に設定する。
【0059】
つぎに、S114では、制御部11は、利用者から指定された楽曲の演奏と同期して、この楽曲と対応付けられている投稿データの再生を行うか否かを判定する。なお、投稿データの再生は、利用者からの選択指示によりカラオケサーバ30からダウンロードしたデータに基づいて、制御部11により行われる。投稿データの再生を行う場合(S114:YES)、制御部11はS116に進む。一方、再生を行わない場合(S114:NO)、制御部11はS200に進む。
【0060】
投稿データの再生を行う場合に進むS116では、制御部11は、再生対象となる個々の投稿データについて、指定された特定のチャンネルをミュートするOFF設定がされているか否かを判定する。指定チャンネルのOFF設定は、再生対象となる任意の投稿データの左右何れかのチャンネルの音源信号をミュートする指示を、投稿データの再生前にユーザから予め受付けることにより設定される。
【0061】
何れかの投稿データに指定チャンネルのOFF設定がされている場合(S116:YES)、制御部11はS118に進み、該当の投稿データの指定チャンネルをミュートにする。なお、ミュートとして、投稿データの指定チャンネルの音量を所定の音量以下に下げる処理が実行されてもよい。一方、何れの投稿データにも指定チャンネルのOFF設定がされていない場合(S116:NO)、制御部11はS120に進む。
【0062】
つぎに、S120では、制御部11は、再生対象の投稿データの中に指定チャンネルのOFF設定がされていない投稿データが複数あるか否かを判定する。OFF設定がされていない投稿データが複数ある場合(S120:YES)、制御部11はS122に進む。一方、OFF設定がされていない投稿データが複数ではない場合(SS120:NO)、制御部11はS124に進む。
【0063】
OFF設定がされていない投稿データが複数ある場合に進むS122では、OFF設定のない全ての投稿データについて、L側の有音のチャンネルの合計数と、R側の有音のチャンネルの合計数とに2以上の差がある場合、その差が1又は0の最小数となるように、何れかの投稿データにおける有音のチャンネルを左右入れ替える。
【0064】
この処理の具体例について図5を参照しながら説明する。ここでは、左右2チャンネルの音源信号からなる3つの投稿データ1,2,3を同時に再生する事例を想定している。ただし、これらの投稿データ1〜3については、何れも指定チャンネルのOFF設定がないものとする。各投稿データ1〜3における当初のチャンネルの割当ては、図5(a)に示すとおりである。すなわち、投稿データ1にはL・R両側のチャンネルにそれぞれ異なる音声データが含まれており、両方とも有音のチャンネルとなっている。一方、投稿データ2,3のそれぞれには、L側のチャンネルのみ音声データが含まれており、R側が無音のチャンネルとなっている。この時点で、投稿データ1〜3におけるL側の有音のチャンネルの合計数は3で、R側の有音のチャンネルの合計数は1となっており、左右の差が2以上となっている。
【0065】
そこで、左右の有音のチャンネルの合計数の差が2以上ある不均衡な状態を解消するため、これらの投稿データ1〜3のうち、片方のチャンネルが無音となっている何れかの投稿データに含まれる有音のチャンネルを反対側のチャンネルに変換、すなわち左右のチャンネルを入替え、左右のチャンネルの合計数の差が1又は0の最小数になるようにする。チャンネル変更後における各投稿データ1〜3のチャンネルの割当ては、図5(b)に示すとおりである。ここでは、投稿データ2のL側を無音のチャンネル、R側を有音のチャンネルに変更している。なお、この事例においては、投稿データ3の方を変更してもよい。チャンネル変更後の投稿データ1〜3におけるL側の有音のチャンネルの合計数は2で、R側の有音のチャンネルの合計数は2となっており、左右の差は0となっている。もし、左右全てのチャンネルの合計が奇数である場合、左右の差が1となるようにチャンネルの変更を行う。
【0066】
図3のフローチャートの説明に戻る。つぎのS124では、制御部11は、楽曲の演奏開始に合わせて、再生対象の各投稿データを各設定に従って再生する。つまり、制御部11は、各投稿データのステレオ音源信号に基づいて、割振られた所定の出力先のスピーカに出力するように音声制御部13を制御する。また、S118においてミュートに設定したチャンネルの音源信号についてはスピーカに出力しない。ここまでが投稿データ作成処理における再生前処理に相当する。以降の説明は図4を参照する(図4のS200へ)。
【0067】
(2)再生中処理
図4に示すとおり、S200では、制御部11は、楽曲の再生中においてカラオケ装置10に備え付けのマイク20a,20bからの外部入力音があるか否かを判定する。外部入力音がある場合(S200:YES)、制御部11は、S202に進む一方、外部入力音がない場合(S200:NO)、制御部11は、S212に進む。
【0068】
外部入力音が存在する場合に進むS202では、制御部11は、外部入力音を所定形式のデータに録音する。つぎに、S204では、制御部11は、上記再生前処理において設定された外部出力フラグを読取り、その外部出力フラグが「ステレオ」に設定されているか否かを判定する。外部出力フラグが「ステレオ」に設定されている場合(S204:YES)、制御部11はS206に進む。一方、外部出力フラグが「モノラル」に設定されている場合(S204:NO)、制御部11はS210に進む。
【0069】
外部出力フラグが「ステレオ」に設定されている場合に進むS206では、制御部11は、モノラル/ステレオ変換部13aを通じて各外部入力音のモノラル音源信号をステレオ音源信号に変換する。このとき、制御部11は、初めから左右のどちらか1チャンネルからのみ音が出力されるようなステレオ音源信号に変換してもよいし、左右両側から音が出力されるようなステレオ音源信号に一旦変換してから、不要なチャンネルの音を消音(ミュート)して出力してもよい。つぎに、S206で変換を行った各外部入力音のステレオ音源信号の出力先が左右のスピーカ23a,24bに均等に分配されるように、制御部11は、各外部入力音の出力先を割振り、音声制御部13を通じて出力する(S208)。例えば、外部入力音が1つであれば、制御部11は、そのステレオ音源信号の出力先を左右の何れか一方に割振って出力する。また、外部入力音が2つであれば、制御部11は、それらのステレオ音源信号の出力先を左右に1つずつ割振って出力する。また、どのスピーカからどのマイクの外部入力音を出力させるかを利用者によって指定できるように、カラオケ装置10が構成されていてもよい。
【0070】
一方、外部出力フラグが「モノラル」に設定されている場合に進むS210では、制御部11は、音声制御部13を通じて外部入力音を全てのスピーカから同じ音として出力する。つぎに、S212では、制御部11は、楽曲の演奏が終了したか否かを判定する。楽曲の演奏が終了していない場合(S212:NO)、制御部11は、S200に戻り、楽曲の演奏が終了した場合(S212:YES)、制御部11は、S214に進む。ここまでが投稿データ作成処理における再生中処理に相当する。
【0071】
(3)再生後処理
演奏が終了した場合に進むS214では、制御部11は、今回の演奏において取得した録音データがあるか否かを判定する。録音データがある場合(S214:YES)、制御部11は、S216に進み、録音データがない場合(S214:NO)、制御部11は本処理を終了する。録音データがある場合に進むS216では、制御部11は、上記再生前処理において設定された投稿録音フラグを読取り、その投稿録音フラグが「ステレオ」に設定されているか否かを判定する。投稿録音フラグが「ステレオ」に設定されている場合(S216:YES)、制御部11はS218に進み、投稿録音フラグが「モノラル」に設定されている場合(S216:NO)、制御部11はS224に進む。
【0072】
投稿録音フラグが「ステレオ」に設定されている場合に進むS218では、複数の入力系統からそれぞれ入力された複数の録音データがあるか否かを判定する。録音データが複数ある場合(S218:YES)、制御部11はS220に進み、録音データが1つの場合(S218:NO)、制御部11はS222に進む。
【0073】
録音データが複数ある場合に進むS220では、制御部11は、複数の録音データのモノラル音源信号を、左右のチャンネルにほぼ均等な数に割振った複音の投稿データを作成する。この処理の具体例を図6(a)に示す。図6(a)の事例では、3つの録音データ1,2,3から複音の投稿データを作成する事例を想定している。これらの録音データ1〜3は、それぞれ音声データA,B,Cからなるモノラルの音源信号で構成されている。この場合、例えば、L側のチャンネルには音声データA,Cを合成したものを割当てる。一方、R側のチャンネルには音声データBを割当てる。このようにして、左右で異なる音声信号で構成された複音の投稿データを作成する。もし、録音データの数が偶数であれば、左右の各チャンネルに同数の録音データを割当てる。もし、録音データの数が奇数であれば、左右の差が1となるように、左右の各チャンネルに割り当てる録音データが変更される。
【0074】
図4のフローチャートの説明に戻る。録音データが1つの場合に進むS222では、録音データを左右2チャンネルのうち何れか一方に割当て、他方を無音にした複音の投稿データを作成する。この処理の具体例を図6(b)に示す。図6(b)の事例では、1つの録音データ1から複音の投稿データを作成する事例を想定している。この録音データ1は、音声データAからなるモノラルの音源信号で構成されている。この場合、例えば、L側のチャンネルには音声データAを割当て、R側のチャンネルを無音にする。このようにして、左右で異なる音声信号で構成された複音の投稿データを作成する。
【0075】
図4のフローチャートの説明に戻る。投稿録音フラグが「モノラル」の場合に進むS224では、今回の演奏で作成した全ての録音データのそれぞれを左右両方のチャンネルに割振った単音の投稿データを作成する。この処理の具体例を図6(c)に示す。図6(c)の事例では、3つの録音データ1,2,3から単音の投稿データを作成する事例を想定している。これらの録音データ1〜3は、それぞれ音声データA,B,Cからなるモノラルの音源信号で構成されている。この場合、左右両方のチャンネルに全ての音声データA,B,Cを合成したものを割当てて、左右同じ音声信号で構成された単音の投稿データを作成する。
【0076】
図4のフローチャートの説明に戻る。つぎのS226では、制御部11は、S220,S222,S224の何れかで作成した投稿データと、今回の演奏時にカメラ15aにより撮像された映像データと、今回演奏した楽曲の楽曲情報とを対応付けてカラオケサーバ30にアップロードし、本処理を終了する。
【0077】
[実施形態の構成と特許請求の範囲に記載の構成との対応]
実施形態のカラオケ装置10の各構成と、特許請求の範囲に記載の構成との対応は次のとおりである。実施形態の音声制御部13が、特許請求の範囲における入力音取得手段及び録音手段に相当する。また、制御部11が、設定取得手段、判断手段、生成手段、音声出力制御手段、及びチャンネル設定手段に相当する。また、制御部11及びインターフェース部16が、投稿データ取得手段に相当する。
【0078】
[効果]
実施形態のカラオケ装置10によれば、次のような効果を奏する。
演奏する楽曲の参加人数や、歌唱曲か演奏曲か、あるいは練習モードや、合唱・合奏モード、ライブ(本番)モード等の特定の演奏モードが指定されているか等の設定情報に応じて、録音データをステレオ対応の複音の投稿データに変換するか、モノラル対応の単音の投稿データに変換するかを選択できる。これにより、投稿データを作成する際に、ステレオ対応の投稿データにより各スピーカから異なる音声を出力させて臨場感のある音を聴けるようにすることができる。また、モノラル対応の投稿データにより各スピーカから同じように音声を出力させて一体感のある音を聴けるようしたいといった利用者からの要望に応えることができる。
【0079】
投稿データ自体がステレオの音声信号で構成されているため、投稿データをダウンロードして再生する側において、再生時にモノラルの音源信号をステレオに変換するといった特殊な再生方法が不要である。これにより、カラオケ装置だけでなく、例えば携帯型情報通信端末のような他の情報処理端末で本発明の投稿データを再生する場合においても、サービスの利用が容易となる。
【0080】
複数の投稿データを同時並行して音声出力可能としたことで、複数の利用者による投稿作品のコラボレーションを楽しむといったサービスを提供可能である。その際、同時再生の対象となる複数の投稿データにおいて各スピーカに割当てられるチャンネル数の差が所定差以内になるように、チャンネルを均等に割当てることができ、同時出力される音声の聴きやすさや臨場感を向上できる。
【0081】
投稿データにおける複数チャンネルの音源信号のうち、一部のチャンネルをミュートすることで、特定のチャンネルの再生音のみを出力させることができる。このようにすると、利用者が特定の音源を聞き取りやすくなるといった効果も得られる。
【0082】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく様々な態様にて実施することが可能である。
【0083】
上記実施形態のカラオケ装置10では、マイクからの外部入力音や投稿データのモノラル音源信号を左右2チャンネルのステレオ音源信号に変換する事例について説明した。これに対し、ステレオよりも多くのチャンネルを有する4チャンネルステレオやサラウンド出力等に対応した2チャンネル以上の複数チャンネルの音源信号に変換するように構成してもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、マイクからの外部入力音をステレオ音源信号に変換したもののうち、右か左のどちらか一方のチャンネルのみ音を出力するように制御する構成であったが、スレレオ音源信号に変換したものを左右両方のチャンネルからそれぞれ音を出力するように制御する構成にしてもよい。または、マイク以外に、カラオケ装置10と電気的に接続可能な電子楽器等から、外部入力音がカラオケ装置10へ入力されてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…カラオケシステム、10…カラオケ装置、11…制御部、12…バスライン、13…音声制御部、13a…モノラル/ステレオ変換部、13b…合成部、14…操作処理部、14a…操作部、15…画像入力部、15a…カメラ、16…インターフェース部、17…ビデオRAM、18…映像再生部、19…ハードディスクドライブ(HDD)、20a,20b…マイク、22…MIDI音源、23a…左スピーカ、23b…右スピーカ、24…映像制御部、25…表示部、30…カラオケサーバ、31…データベース、40…カラオケボックス内LAN、50…ルータ、60…インターネット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ装置の利用者による歌唱音又は楽器の演奏音が録音された投稿データをカラオケシステムにおける所定の投稿サーバにアップロードするカラオケ装置であって、
前記カラオケ装置の複数のチャンネルから入力可能な外部入力音であって、入力された各外部入力音を単一チャンネルの音源信号として取得する入力音取得手段と、
前記入力音取得手段により取得した単一チャンネルの音源信号の録音データを生成する録音手段と、
前記録音手段により生成した録音データを、前記投稿データに変換する方法を示す投稿設定情報を取得する設定取得手段と、
前記設定取得手段により取得した投稿設定情報が、複数チャンネルの音源信号からなる複音の投稿データに変換することを示すかを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記録音データを前記複音の投稿データに変換すると判断された場合、単一チャンネルの音源信号からなる前記録音データから、前記複数チャンネルの音源信号に変換した前記複音の投稿データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された投稿データを、前記投稿サーバにアップロードするアップロード手段と、
を備えることを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカラオケ装置において、
前記投稿設定情報は、投稿データにおける複数チャンネルの音源信号をそれぞれ個別に再生可能な第1モードが設定されているかを示し、
前記判断手段は、前記複音の投稿データに変換する条件として、前記投稿設定情報が、前記第1モードが設定されていることを示すかを判断し、
前記判断手段により前記第1モードが設定されていると判断された場合、前記生成手段は、単一チャンネルの音源信号からなる前記録音データから、前記複数チャンネルの音源信号へ変換した前記複音の投稿データを生成すること
を特徴とするカラオケ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のカラオケ装置において、
前記カラオケ装置は、複数のスピーカと接続可能であり、
前記判断手段は、前記投稿設定情報に基づいて、前記録音データを前記複音の投稿データに変換するか、又は前記複数チャンネルの音源信号からなる単音の投稿データに変換するかを判断し、
前記生成手段は、前記判断手段により前記単音の投稿データに変換すると判断された場合、単一チャンネルの音源信号からなる前記録音データを、前記複数のスピーカにより同一の音として出力される音源信号に変換した単音の投稿データを生成すること
を特徴とするカラオケ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のカラオケ装置において、
前記投稿設定情報は、投稿データにおける複数チャンネルの音源信号をそれぞれ個別に再生可能な第1モード、又は、投稿データにおける複数チャンネルの音源信号を前記複数のスピーカにより同一の音として再生可能な第2モードが設定されているかを示し、
前記判断手段は、前記複音の投稿データに変換する条件として、前記投稿設定情報が、前記第1モードが設定されていることを示すかを判断する一方、前記単音の投稿データに変換する条件として、前記投稿設定情報が、前記第2モードが設定されていることを示すかを判断し、
前記判断手段により前記第1モードが設定されていると判断された場合、前記生成手段は、単一チャンネルの音源信号からなる前記録音データから、前記複数チャンネルの音源信号へ変換した前記複音の投稿データを生成し、前記判断手段により前記第2モードが設定されていると判断された場合、前記生成手段は、単一チャンネルの音源信号からなる前記録音データを、前記複数のスピーカにより同一の音として出力される音源信号に変換した前記単音の投稿データを生成すること
を特徴とするカラオケ装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のカラオケ装置において、
前記カラオケシステムにおいてアップロードされた前記複数チャンネルの音源信号からなる投稿データを取得する投稿データ取得手段と、
前記投稿データ取得手段により取得された投稿データに基づいて、前記カラオケ装置に接続された複数のスピーカから、前記複数チャンネルの音源信号を出力させる音声出力制御手段と、
前記投稿データ取得手段により取得された前記投稿データの前記複数のチャンネルを、前記複数のスピーカそれぞれに割当てるチャンネル設定手段とを更に備え、
前記チャンネル設定手段は、各スピーカに割当てられたチャンネル数の差が所定差以内になるようにチャンネルを割当てること
を特徴とするカラオケ装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載のカラオケ装置において、
前記カラオケシステムにおいてアップロードされた前記複数チャンネルの音源信号からなる投稿データを取得する投稿データ取得手段と、
前記投稿データ取得手段により取得された投稿データに基づいて、前記カラオケ装置に接続された複数のスピーカから、前記複数チャンネルの音源信号を出力させる音声出力制御手段とを更に備え、
前記音声出力制御手段は、前記投稿データにおける前記複数チャンネルの音源信号のうち、所定の設定情報に基づいてミュートする又は所定の音量を下げるチャンネルに対応する音源信号を、ミュートする又は所定の音量を下げること
を特徴とするカラオケ装置。
【請求項7】
カラオケシステムの利用者による歌唱音又は楽器の演奏音が録音された投稿データを前記カラオケシステムにおける所定の投稿サーバにアップロードする情報処理装置において実行されるプログラムであって、
前記譲歩処理装置の複数のチャンネルから入力可能な外部入力音であって、入力された各外部入力音を単一チャンネルの音源信号として取得する入力音取得ステップと、
前記入力音取得ステップにおいて取得された、前記単一チャンネルの音源信号の録音データを生成する録音ステップと、
前記録音ステップにおいて生成した録音データを、前記投稿データに変換する方法を示す投稿設定情報を取得する設定取得ステップと、
前記設定取得ステップにおいて取得した投稿設定情報が、複数チャンネルの音源信号からなる複音の投稿データに変換することを示すかを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて前記録音データを前記複音の投稿データに変換すると判断された場合、単一チャンネルの音源信号からなる前記録音データから、前記複数チャンネルの音源信号に変換した前記複音の投稿データを生成する生成ステップと、
前記生成ステップにおいて生成された投稿データを、前記投稿サーバにアップロードするアップロードステップと、
を有することを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate