説明

カルシウムチャネル遮断薬としての2−置換インドール誘導体

式Iにより表される2−置換インドール誘導体又はその医薬的に許容可能な塩。医薬組成物は単剤又は1種以上の他の治療活性化合物との併用剤として有効量の本発明の化合物と、医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する。例えば急性疼痛、慢性疼痛、内臓痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛、尿失禁、痒み、アレルギー性皮膚炎、癲癇、糖尿病性神経障害、過敏性腸症候群、鬱病、不安症、多発性硬化症、双極性障害及び脳卒中等のカルシウムチャネル活性に関連又は起因する病態の治療方法は単剤又は1種以上の他の治療活性化合物との併用剤として有効量の本発明の化合物を投与する段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一連の2−置換インドール誘導体に関する。特に、本発明は慢性及び神経因性疼痛を含む各種疼痛病態の治療に有用なN型電位依存性カルシウムチャネル遮断薬である2−置換インドール誘導体に関する。本発明の化合物はT型電位依存性カルシウムチャネルに対しても活性を示す。本発明に記載する化合物は膀胱機能障害、掻痒症、痒み、アレルギー性皮膚炎、中枢神経系(CNS)障害(例えば脳卒中、癲癇、本態性振戦、統合失調症、パーキンソン病、躁鬱病、双極性障害、鬱病、不安症、睡眠障害)、糖尿病性神経障害、高血圧、癌、糖尿病、不妊症及び性機能障害を含む病態の治療にも有用である。
【背景技術】
【0002】
イオンチャネルは興奮性及び非興奮性の両者の細胞において広範な細胞活動を制御する(Hille,2002)。イオンチャネルは多数の生理的プロセスに関与しているため、魅力的な治療ターゲットである。興奮性細胞では、常在イオンチャネル集合の機能協調によって細胞の電気的挙動が制御される。原形質膜カルシウムチャネルは電位依存性チャネル蛋白質の多様なスーパーファミリーのメンバーである。カルシウムチャネルはCa2+イオンを細胞外体液から細胞内に制御下に流入させる膜貫通型マルチサブユニット蛋白質である。全動物界の興奮性細胞と少なくとも一部の細菌、真菌及び植物細胞は1種以上のカルシウムチャネルをもつ。動物のほぼ全ての「興奮性」細胞(例えば中枢神経系(CNS)のニューロン、末梢神経細胞及び筋肉細胞(骨格筋、心筋並びに静脈及び動脈平滑筋細胞を含む))は電位依存性カルシウムチャネルをもつ。電位依存性カルシウムチャネルは原形質膜における電気活動と、細胞内カルシウムに依存性の細胞活動(筋肉収縮、神経伝達物質放出、ホルモン分泌及び遺伝子発現を含む)の間の重要な橋渡しをする。電位依存性カルシウムチャネルは原形質膜電気活性を積算し、細胞内カルシウム濃度の変化に変換するように機能し、これを迅速な時間スケールで実施することができる。
【0003】
骨格筋、心筋、肺、平滑筋及び脳を含む各種組織に由来する哺乳動物細胞で複数種のカルシウムチャネルが同定されている。この種の主要なファミリーはL型カルシウムチャネルであり、その機能は周知類のカルシウムチャネル遮断薬(ニフェジピン等のジヒドロピリジン類、ベラパミル等のフェニルアルキルアミン類、及びジルチアゼム等のベンゾチアゼピン類)により抑制される。この他に、T、N、P、Q及びRと呼ばれる類の原形質膜カルシウムチャネルもある。「T型」(乃至「低電位活性化型」)カルシウムチャネルはL型カルシウムチャネル(L=持続性)よりも開口時間が短い(T=一過性)ことからこのように呼ばれている。L、N、P及びQ型チャネルは高い正電位で活性化し(高電位活性化型)、種々の反応速度と電位依存性を示す。
【0004】
細胞生理における極めて重要な役割により、カルシウムチャネル活性の調節は顕著な効果を発揮することができる。カルシウムチャネルサブユニットの突然変異は家族性片麻痺性片頭痛、脊髄小脳変性症、チモシー症候群、不完全先天性停在性夜盲症及び家族性低カリウム血性周期性四肢麻痺を含む多数の遺伝病に関係があるとされている。c−AMP依存性プロテインキナーゼ及びG蛋白質を含むシグナル伝達経路による電位依存性カルシウムチャネルの調節はホルモンと神経伝達物質によるシグナル伝達の重要な要素である(Catterall,2000)。カルシウムチャネルの薬理的調節は顕著な治療効果を発揮することができ、高血圧の治療におけるL型カルシウムチャネル(Ca1.2)遮断薬の使用(Hockerman,et al.,1997)や、より最近では難治性疼痛の治療におけるN型カルシウムチャネル(Ca2.2)のペプチド遮断薬であるジコノチドの使用(Staats,et al.,2004)が挙げられる。ジコノチドはイモ貝から単離されたペプチド毒素であるコノトキシンに由来し、脊髄の作用部位に到達させると同時に心臓血管機能の調節に関与する自律神経系のチャネルとの接触を最小限にするためには髄腔内注入により投与しなければならない。ジコノチドは全身性及び限局性虚血のラットモデルで神経保護薬として極めて有効であることも示されており(Colburne et.Al.,Stroke(1999)30,662−668)、N型カルシウムチャネル(Ca2.2)の調節は脳卒中の治療に関係があると予想される。
【0005】
ジコノチド及び類縁ペプチドによる臨床及び前臨床実験によると、N型カルシウムチャネルは侵害受容シグナルを脊髄に伝達するのに重要な役割を果たすことが裏付けられる。全身投与が可能であり、末梢のN型カルシウムチャネル機能を保持しながら侵害受容シグナル伝達経路におけるN型カルシウムチャネルを有効に遮断することが可能なN型カルシウムチャネル遮断薬が同定されるならば、所定種の疼痛の重要な新規治療手段となろう。本発明は正常な心臓血管機能の維持に関与するN型カルシウムチャネルの遮断能が低く、生理的侵害受容シグナル伝達を維持するために必要なN型カルシウムチャネル活性を遮断することにより機能的選択性を示すN型カルシウムチャネル(Ca2.2)の遮断薬に関する。
【0006】
T型カルシウムチャネルは、ラットを含む各種温血動物から3種類のサブタイプが同定されている[J Biol.Chem.276(6)3999−4011(2001);Eur J Neurosci 11(12):4171−8(1999);Cell Mol Life Sci 56(7−8):660−9(1999)に総説]。これらのサブタイプはα1G、α1H及びα1Iと呼ばれ、これらのチャネルの分子特性によると、アミノ酸配列の相同度は60〜70%である。これらの各サブタイプの電気生理学的特性決定の結果、電位依存性活性化、不活性化、脱活性化及び定常状態不活性化レベルと、バリウム等の各種イオンに対するそれらの選択性は相違することが分かった(J Biol.Chem.276(6)3999−4011(2001))。薬理学的にも、これらのサブタイプはニッケルイオンによる遮断に対して異なる感受性を示した。更にこれらのチャネルサブタイプはその会合中に多様なスプライシングイベントを受ける性質があるため、多様な形態で発現される(J Biol.Chem.276(6)3999−4011(2001))。
【0007】
T型カルシウムチャネルは癲癇、本態性振戦、疼痛、神経因性疼痛、統合失調症、パーキンソン病、鬱病、不安症、睡眠障害、睡眠異常、精神病、統合失調症、心臓不整脈、高血圧、疼痛、癌、糖尿病、不妊症及び性機能障害を含む各種疾患及び障害に関連する病理に関係があるとされている(J Neuroscience,14,5485(1994);Drugs Future 30(6),573−580(2005);EMBO J,24,315−324(2005);Drug Discovery Today,11,5/6,245−253(2006))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Hille,2002
【非特許文献2】Catterall,2000
【非特許文献3】Hockerman,et al.,1997
【非特許文献4】Staats,et al.,2004
【非特許文献5】Colburne et.Al.,Stroke(1999)30,662−668
【非特許文献6】J Biol.Chem.276(6)3999−4011(2001)
【非特許文献7】Eur J Neurosci 11(12):4171−8(1999)
【非特許文献8】Cell Mol Life Sci 56(7−8):660−9(1999)
【非特許文献9】J Neuroscience,14,5485(1994)
【非特許文献10】Drugs Future 30(6),573−580(2005)
【非特許文献11】EMBO J,24,315−324(2005)
【非特許文献12】Drug Discovery Today,11,5/6,245−253(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は急性疼痛、慢性疼痛、癌性疼痛、内臓痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、三叉神経痛、片頭痛、線維筋肉痛及び脳卒中の治療に有用なN型カルシウムチャネル(Cav2.2)遮断薬である2−置換インドール誘導体に関する。本発明の化合物はT型電位依存性カルシウムチャネル(Cav3.1及びCav3.2)に対しても活性を示す。本発明に記載する化合物は膀胱機能障害、掻痒症、痒み、アレルギー性皮膚炎、中枢神経系(CNS)障害(例えば脳卒中、癲癇、本態性振戦、統合失調症、パーキンソン病、躁鬱病、双極性障害、鬱病、不安症、睡眠障害)、糖尿病性神経障害、高血圧、癌、糖尿病、不妊症及び性機能障害を含む他の病態の治療にも有用である。本発明は単剤又は1種以上の治療活性化合物との併用剤としての本発明の化合物と、医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物も提供する。
【0010】
本発明は更に、急性疼痛、慢性疼痛、内臓痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛及びCNS障害(限定されないが、癲癇、躁鬱病、鬱病、不安症及び双極性障害を含む)の治療方法として、本発明の化合物及び医薬組成物を投与する段階を含む方法を包含する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は式I:
【0012】
【化1】

により表される化合物とその医薬的に許容可能な塩、個々のエナンチオマー及びジアステレオマーを提供するものであり、
式中、各R
【0013】
【化2】

CN又はCHOHであり;
nは0〜3であり、但し、n=0のとき、RはH以外のものであり;
XはNR、O又は結合であり;

a)水素、いずれも場合によりC−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、F、Cl、Br、NH、NHR、NR、OH、OR、CONHR、COOR、COR、SR、SO10、SONHR、C−C10アリール又はC−C10ヘテロアリールから選択される置換基の1〜3個の基で置換されたC−Cアルキル又はC−Cシクロアルキル、
b)いずれも場合によりC−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、F、Cl、Br、NH、NHR、NR、OH、OR、CONHR、CONR、COOR及びCORから選択される置換基の1〜3個の基で置換されたC−C10アリール又はC−C10複素環、
c)CONR、COOR又はCOR、並びに
d)SOR10、SO10又はSONHR
から選択され;

(a)C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール又は(CH−C10複素環(なお、前記アルキル、シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは場合により(O)0−1−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、F、Cl、Br、CN、NH、NHR、NR、OH、OR、CONHR、CONR、COOR及びCORから選択される置換基の1〜3個の基で置換されている);
(b)CONR、COOR又はCOR
から選択され;

(a)H、C−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル及びC−Cシクロアルキル(なお、前記アルキル及びシクロアルキルは場合によりC−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、F、Cl、Br、NH、NHR、NR、OR、CONHR、COOR、COR、SR、SO10、SONHR、C−C10アリール及びC−C10ヘテロアリールから選択される置換基の1〜3個の基で置換されている)、NHC(O)(CHOR
(b)CN、CONHR、CONR、COOR又はCOR
(c)SOR10、SO10、SR又はSONR
(d)いずれも場合によりC−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、C−C10アリール、F、Cl、Br、CN、NH、NHR、NR、OH、OR、SO、CONHR、CONR、COOR又はCORの1〜3個の基で置換されたC−C10アリール又は(CH−C10ヘテロシクリル
から選択され;
及びRは各々独立してH及びC−Cアルキルから選択され、前記アルキルは場合によりC−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、F、Cl、Br、CN、NH、NHR、NR、OH、OR、CONHR、CONR、COOR及びCORから選択される置換基の1〜3個の基で置換されており、あるいはRとRは一緒になって3〜7員炭素環又は複素環を形成し;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルアリール及び(CH−C10ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アルキルアリール、アリール及びヘテロアリールは場合によりC−Cパーフルオロアルキル、CN、F、Cl、Br、NH、C−C10アリール、NHR、NR、OH、OR、CONHR、CONR、COOR及びCORから選択される置換基の1〜3個の基で置換されており;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cパーフルオロアルキル、F、Cl、Br、I、NR、OR、CONHR、CONR、COOR及びCORから選択され;
及びRは各々独立してH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、N(R、SO、−COOR、−C(O)C(ROCO、C(O)C(C3−7シクロアルキル)OR、C(O)C(C3−7シクロアルキル)OCO、(CH−C10アリール及び(CH−C10複素環から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは場合により(O)0−1−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、F、Cl、Br、CN、NH、NHR、NR、OH、OR、(CH−C10アリール、CONHR、CONR、COOR又はCORから選択される1〜3個の基で置換されており;
10はC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール及びC−C10ヘテロアリールから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは場合により(O)0−1−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、F、Cl、Br、CN、NH、NHR、NR、OH、OR、CONHR、CONR、COOR又はCORから選択される1〜3個の基で置換されている。
【0014】
本発明の1側面はR及びRがいずれもアルキルであり、他の全変項が当初に記載した通りであるときに実現される。
【0015】
本発明の別の側面は、R
【0016】
【化3】

であり、他の全変項が当初に記載した通りであるときに実現される。この発明の1サブ態様はXがNRであるときに実現される。この発明の別のサブ態様はXが−O−であるときに実現される。この発明の更に別のサブ態様はXが結合であるときに実現される。
【0017】
この発明の別の態様はRが水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル又は(CH−C10ヘテロシクリルであるときに実現される。この発明の1サブ態様はRが水素、C−Cアルキル又はC−Cシクロアルキルであるときに実現される。
【0018】
本発明の別の側面はRがCNであり、他の全変項が当初に記載した通りであるときに実現される。
【0019】
本発明の更に別の側面は、RがCHORであり、他の全変項が当初に記載した通りであるときに実現される。
【0020】
本発明の更に別の側面は、nが0又は1であり、他の全変項が当初に記載した通りであるときに実現される。
【0021】
本発明の更に別の側面は、RがC(O)OR、C(O)R、C−Cアルキル、C(O)N(R、C5−10複素環又は−SO10であり、他の全変項が当初に記載した通りであるときに実現され、前記アルキル及び複素環は場合により置換されている。この発明の1サブ態様はRがC(O)ORであるときに実現される。この発明の別のサブ態様はRがC(O)Rであるときに実現される。この発明の更に別のサブ態様はRが場合により置換されたC−Cアルキルであるときに実現される。この発明の更に別のサブ態様はRがC(O)N(Rであるときに実現される。この発明の更に別のサブ態様はRが場合により置換されたC5−10複素環であるときに実現される。
【0022】
本発明の別の側面は、RがC−Cアルキルであり、他の全変項が当初に記載した通りであるときに実現される。
【0023】
本発明の別の側面は、RがC−C10アリールであり、他の全変項が当初に記載した通りであるときに実現される。
【0024】
本発明の更に別の側面は、Rが(CH−C10複素環であり、他の全変項が当初に記載した通りであるときに実現される。
【0025】
本発明の別の側面は、RがH、C−Cアルキル、CN、CONR、SO10、−COOR、−COR又は(CH−C10複素環であり、他の全変項が当初に記載した通りであるときに実現される。この発明の1サブ態様はRがH又はC−Cアルキルであるときに実現される。
【0026】
本発明の更に別の側面は構造式II:
【0027】
【化4】

の化合物で実現され、式中、RはC−Cアルキル、C−C10アリール又は(CH−C10複素環から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは場合により(O)0−1−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、F、Cl、Br、CN、NH、NHR、NR、OH、OR、CONHR、CONR、COOR及びCORから選択される置換基の1〜3個の基で置換されており;X、R、R、R及びRは当初に記載した通りである。この発明の1サブ態様はRがC−C10アリールであり;RがC−Cアルキル、C(O)N(R、C5−10複素環、COOR又はCORであり、RがH、C−Cアルキルであり、Rが水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル又は(CH−C10ヘテロシクリルであるときに実現される。この発明の1サブ態様はRがフェニルであるときに実現される。この発明の別のサブ態様はnが0又は1であるときに実現される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書で使用する「アルキル」及び「アル」で始まる他の基(例えばアルコキシ、アルカノイル、アルケニル及びアルキニル)は直鎖でも分岐鎖でもその組合せでもよい炭素鎖を意味する。アルキル基の例としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル及びヘプチルが挙げられる。「アルケニル」、「アルキニル」等の用語は少なくとも1個の不飽和C−C結合を含む炭素鎖を意味する。
【0029】
「シクロアルキル」なる用語は指定炭素原子数の1個の環を含む飽和炭化水素を意味する。シクロアルキルの例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられる。
【0030】
「C0−4アルキル」なる用語は炭素原子数4、3、2、1又は0のアルキルを意味する。炭素原子数0のアルキルはアルキルが末端基である場合には水素原子置換基であり、アルキルが架橋基である場合には直接結合である。
【0031】
本明細書で単独又は組合せて使用する「アルコキシ」なる用語はオキシ結合原子に結合したアルキル基を意味する。「アルコキシ」なる用語はアルキルエーテル基も意味し、ここで「アルキル」なる用語は上記に定義した通りであり、「エーテル」は酸素原子を挟んで2個のアルキル基が結合したものを意味する。適切なアルコキシ基の例としてはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、メトキシメタン(別称「ジメチルエーテル」)及びメトキシエタン(別称「エチルメチルエーテル」)が挙げられる。
【0032】
本明細書で使用する「アリール」とは各環が7員までであり、少なくとも1個の環が芳香族である安定な任意単環式又は二環式炭素環を意味する。このようなアリール基の例としてはフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル又はビフェニルが挙げられる。
【0033】
本明細書で使用する複素環又は複素環式なる用語は炭素原子と、N、O及びSから構成される群から選択される1〜4個のヘテロ原子から構成される飽和又は不飽和の安定な5〜7員単環式又は安定な8〜11員二環式複素環を意味し、上記に定義した複素環の任意のものがベンゼン環に縮合した任意二環式基を含む。複素環は安定な構造を形成する限り、任意ヘテロ原子又は炭素原子で結合することができる。複素環又は複素環式なる用語はヘテロアリール部分を含む。このような複素環式基としては限定されないが、アゼピニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、1,3−ジオキソラニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニル及びチエニルが挙げられる。このような複素環式基の例の1態様としては限定されないが、アゼピニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、2−ピリジノニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニル、チエニル及びトリアゾリルが挙げられる。
【0034】
好ましくは、複素環は2−アゼピノニル、ベンゾイミダゾリル、2−ジアザピノニル、イミダゾリル、2−イミダゾリジノニル、インドリル、イソキノリニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピロリジニル、2−ピペリジノニル、2−ピリミジノニル、2−ピロリジノニル、キノリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル及びチエニルから選択される。
【0035】
本明細書で使用する「ヘテロアリール」なる用語は指定しない限り、飽和(例えばピペリジニル)でも部分飽和でも不飽和(例えばピリジニル)でもよい芳香環を含み、炭素原子と、N、O及びSから構成される群から選択される1〜4個のヘテロ原子から構成される安定な5〜7員単環式又は安定な9〜10員縮合二環式複素環系を意味し、窒素及び硫黄ヘテロ原子は場合により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は場合により四級化されていてもよく、上記に定義した複素環の任意のものがベンゼン環に縮合した任意二環式基を含む。複素環は安定な構造を形成する限り、任意ヘテロ原子又は炭素原子で結合することができる。このようなヘテロアリール基の例としては限定されないが、ベンゾイミダゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾチアゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、カルボリン、シンノリン、フラン、フラザン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリジン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、キナゾリン、キノリン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアジン、トリアゾール及びそのN−オキシドが挙げられる。
【0036】
ヘテロシクロアルキルの例としては、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリニル、ピロリジン−2−オン、ピペリジン−2−オン及びチオモルホリニルが挙げられる。
【0037】
「ハロゲン」とはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
【0038】
「哺乳動物」なる用語はヒトと動物(例えばイヌ、ネコ、ウマ、ブタ及びウシ)を意味する。
【0039】
本明細書に記載する化合物は1個以上の二重結合を含み、従って、シス/トランス異性体及び他の配座異性体となる場合がある。本発明は特に指定しない限り、このような可能な全異性体とこのような異性体の混合物を含む。
【0040】
本発明の化合物は1個以上の不斉中心を含み、従って、ラセミ化合物、ラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在する場合がある。
【0041】
当然のことながら、本明細書で構造式Iの化合物と言う場合には医薬的に許容可能な塩も含み、更に遊離化合物の前駆体として使用する場合又は他の合成操作で使用する場合には医薬的に許容できない塩も含む。
【0042】
本発明の化合物は医薬的に許容可能な塩として投与することができる。「医薬的に許容可能な塩」なる用語は医薬的に許容可能な非毒性塩基又は酸から製造される塩を意味する。本発明の化合物が酸性である場合には、無機塩基と有機塩基を含む医薬的に許容可能な非毒性塩基からその対応する塩を適切に製造することができる。このような無機塩基から誘導される塩としてはアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(二価及び一価)、三価鉄、二価鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(三価及び二価)、カリウム、ナトリウム、亜鉛等の塩が挙げられる。医薬的に許容可能な非毒性有機塩基から誘導される塩としては第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、環状アミン及び置換アミン(例えば天然及び合成置換アミン)の塩が挙げられる。塩を形成することが可能な他の医薬的に許容可能な非毒性有機塩基としては、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン及びトロメタミン等のイオン交換樹脂が挙げられる。
【0043】
本発明の化合物が塩基性である場合には、無機酸と有機酸を含む医薬的に許容可能な非毒性酸からその対応する塩を適切に製造することができる。このような酸としては例えば酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、琥珀酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
【0044】
本発明の医薬組成物は活性成分としての本発明の化合物(又はその医薬的に許容可能な塩)と、医薬的に許容可能なキャリヤーと、場合により1種以上の他の治療剤又はアジュバントを含有する。このような他の治療剤としては例えばi)オピエートアゴニスト又はアンタゴニスト、ii)カルシウムチャネルアンタゴニスト、iii)5HT受容体アゴニスト又はアンタゴニスト、iv)ナトリウムチャネルアンタゴニスト、v)NMDA受容体アゴニスト又はアンタゴニスト、vi)COX−2選択的阻害剤、vii)NK1アンタゴニスト、viii)非ステロイド性抗炎症薬(「NSAID」)、ix)選択的セロトニン再取込み阻害剤(「SSRI」)及び/又は選択的セロトニン・ノルエピネフリン再取込み阻害剤(「SSNRI」)、x)三環系抗鬱薬、xi)ノルエピネフリンモジュレーター、xii)リチウム、xiii)バルプロ酸塩、xiv)ニューロンチン(ガバペンチン)、並びにxv)ナトリウムチャネル遮断薬が挙げられる。本発明の組成物としては経口、直腸、局所及び非経口(皮下、筋肉内及び静脈内を含む)投与に適した組成物が挙げられるが、任意所定症例に最適な経路は特定宿主と、活性成分を投与する病態の種類及び重篤度によって異なる。医薬組成物は単位容量形態で適切に提供することができ、製薬分野で周知の任意方法により製造することができる。
【0045】
本発明の化合物及び組成物は慢性、内臓、炎症性及び神経因性疼痛症候群の治療に有用である。これらの化合物及び組成物は外傷性神経損傷、神経圧迫又は絞扼、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛及び糖尿病性神経障害に起因する疼痛の治療に有用である。本発明の化合物及び組成物は慢性腰痛、幻肢痛、慢性骨盤痛、神経腫疼痛、複合性局所疼痛症候群、慢性関節痛及び関連神経痛、並びに癌、化学療法、HIV及びHIV治療により誘発される神経障害に関連する疼痛の治療にも有用である。本発明の化合物は局部麻酔薬として利用することもできる。本発明の化合物は過敏性腸症候群と関連障害及びクローン病の治療にも有用である。
【0046】
本発明の化合物は癲癇と部分性及び全身性強直発作の治療に臨床利用される。本発明の化合物は脳卒中又は神経外傷に起因する虚血状態下における神経保護と、多発性硬化症の治療にも有用である。本発明の化合物は頻脈性不整脈の治療に有用である。更に、本発明の化合物は神経精神障害の治療にも有用であり、このような障害としては、気分障害(例えば鬱病乃至より特定的には鬱病性障害(例えば単発性又は再発性大鬱病性障害及び気分変調性障害)、又は双極性障害(例えばI型双極性障害、II型双極性障害及び気分循環性障害));不安障害(例えば広場恐怖症を伴うか又は伴わないパニック障害、パニック障害歴を伴わない広場恐怖症、特定恐怖症(例えば特定動物恐怖症、対人恐怖症)、強迫性障害、ストレス障害(外傷後ストレス障害及び急性ストレス障害を含む)、及び全般性不安障害)が挙げられる。
【0047】
ヒト等の霊長類に加え、他の各種哺乳動物も本発明の方法により治療することができる。例えば、限定されないが、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、又は他のウシ種、ヒツジ種、ウマ種、イヌ種、ネコ種、齧歯類種(例えばマウス)等の哺乳動物を治療することができる。他方、本方法は鳥類(例えばニワトリ)等の他の種で実施することもできる。
【0048】
当然のことながら、鬱病又は不安症の治療には、ノルエピネフリン再取込み阻害剤、選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、可逆的モノアミンオキシダーゼ阻害剤(RIMA)、セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害剤(SNRI)、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、非定型抗鬱剤、ベンゾジアゼピン、5−HT1Aアゴニスト又はアンタゴニスト、特に5−HT1A部分アゴニスト、ニューロキニン1受容体アンタゴニスト、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、及びその医薬的に許容可能な塩等の他の抗鬱剤又は抗不安剤と本発明の化合物を併用することができる。
【0049】
更に、当然のことながら、本発明の化合物は上記病態及び障害を予防するため、更にはナトリウムチャネル活性に関連する他の病態及び障害を予防するために予防有効用量レベルで投与することができる。
【0050】
本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液剤又は懸濁液剤は局所用途に利用することができる。本発明の趣旨ではマウスウォッシュやうがい薬も局所用途の範囲に含まれる。
【0051】
炎症性及び神経因性疼痛の疼痛の治療には約0.01mg/kg〜約140mg/kg体重/日又は患者一人1日当たり約0.5mg〜約7gの用量レベルが有用である。例えば、炎症性疼痛は化合物約0.01mg〜75mg/kg体重/日又は患者一人1日当たり約0.5mg〜約3.5gを投与することにより有効に治療することができる。神経因性疼痛は化合物約0.01mg〜125mg/kg体重/日又は患者一人1日当たり約0.5mg〜約5.5gを投与することにより有効に治療することができる。
【0052】
単一用量製剤を製造するためにキャリヤー材料と配合することができる活性成分の量は治療する宿主と特定投与方式により異なる。例えば、ヒト経口投与用製剤には活性剤約0.5mg〜約5gを組成物全体の約5〜約95%とすることができる適量のキャリヤー材料と適切に配合することができる。単位用量製剤は一般に活性成分約1mg〜約1000mg、通常は25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg又は1000mgを含有する。
【0053】
しかし、当然のことながら、任意特定患者の特定用量レベルは種々の因子により異なる。このような患者関連因子としては、患者の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食生活が挙げられる。他の因子としては、投与時間、投与経路、排泄速度、薬剤併用及び治療する特定疾患の重篤度が挙げられる。
【0054】
実際には、本発明の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を活性成分として慣用医薬配合技術により医薬キャリヤーと混和することができる。キャリヤーは例えば経口又は非経口(静脈内を含む)の投与に所望される製剤形態に応じて多様な形態をとることができる。従って、本発明の医薬組成物は規定量の活性成分を各々含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤等の経口投与に適した不連続単位として提供することができる。更に、本発明の組成物は散剤、顆粒剤、溶液剤、水性液体懸濁液剤、非水性液剤、水中油型エマルション又は油中水型液体エマルションとして提供することもできる。上記一般剤形に加え、本発明の化合物又はその医薬的に許容可能な塩は制御放出手段及び/又は送達装置により投与することもできる。本発明の組成物は任意製薬法により製造することができる。一般に、このような方法は1種以上の必要成分を構成するキャリヤーと活性成分を配合する段階を含む。一般に、組成物は活性成分を液体キャリヤー又は微粉状固体キャリヤー又はその両者と均一混和することにより製造される。その後、製剤を所望形態に適切に成形することができる。
【0055】
従って、本発明の医薬組成物は医薬的に許容可能なキャリヤーと、式I、Ia、Ib、IdもしくはIeの化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含有することができる。本発明の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を1種以上の治療活性化合物と共に医薬組成物に加えてもよい。
【0056】
使用する医薬キャリヤーは例えば固体、液体又は気体とすることができる。固体キャリヤーの例としては乳糖、白土、蔗糖、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアガム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸が挙げられる。液体キャリヤーの例としては糖蜜、落花生油、オリーブ油及び水が挙げられる。気体キャリヤーの例としては二酸化炭素と窒素が挙げられる。上記のように、経口製剤用組成物を製造するには、通常の医薬媒体の任意のものを使用することができる。例えば、懸濁液剤、エリキシル剤及び溶液剤等の経口液体製剤の場合には、水、グリコール、油類、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤等を使用することができ、散剤、カプセル剤及び錠剤等の経口固体製剤の場合には、澱粉、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等のキャリヤーを加えることができる。投与し易いという理由から錠剤とカプセル剤が固体医薬キャリヤーを利用する最も有利な経口用量単位形態である。所望により、標準水性又は非水性技術により錠剤にコーティングしてもよい。上記一般剤形に加え、本発明の化合物及び組成物を投与するには制御放出手段及び/又は送達装置も使用することができる。
【0057】
経口製剤用組成物を製造するには、適切な任意医薬媒体を使用することができる。例えば、懸濁液剤、エリキシル剤及び溶液剤等の経口液体製剤を形成するには、水、グリコール、油類、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤等を使用することができ、散剤、カプセル剤及び錠剤等の経口固体製剤を形成するには、澱粉、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤等のキャリヤーを使用することができる。投与し易いという理由から錠剤とカプセル剤が固体医薬キャリヤーを利用する有利な経口用量単位である。場合により、標準水性又は非水性技術により錠剤にコーティングしてもよい。
【0058】
本発明の組成物を含有する錠剤は場合により1種以上の補助成分又はアジュバントを加えて圧縮又は成形により製造することができる。圧縮錠剤は散剤や顆粒剤等の自由流動形態の活性成分を場合により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤又は分散剤と混合し、適切な機械で圧縮することにより製造することができる。成形錠剤は不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することにより製造することができる。錠剤には1錠当たり活性成分約0.1mg〜約500mgを加えると有利であり、各カシェ剤又はカプセル剤には1錠当たり活性成分約0.1mg〜約500mgを加えると有利である。従って、錠剤、カシェ剤又はカプセル剤1錠に活性成分0.1mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgを加えると適切であり、錠剤、カシェ剤又はカプセル剤1錠又は2錠を1日1回、2回、又は3回投与する。
【0059】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は活性化合物の水溶液又は水性懸濁液として製造することができる。例えば、ヒドロキシプロピルセルロース等の適切な界面活性剤を加えることができる。グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びその油中混合物中で分散液を製造することもできる。更に、微生物の有害な増殖を防ぐために防腐剤を加えることができる。
【0060】
注射用に適した本発明の医薬組成物としては滅菌水溶液又は分散液が挙げられる。更に、組成物はこのような滅菌注射溶液又は分散液の即席調製用滅菌粉末の形態でもよい。いずれの場合も、最終注射用製剤は無菌でなければならず、注射針を通過し易いように十分流動性でなければならない。医薬組成物は製造及び貯蔵条件下で安定でなければならないので、細菌や真菌等の微生物の汚染作用から保護する必要がある。キャリヤーは例えば、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、植物油及び適切なその混合物を含む溶媒又は分散媒とすることができる。
【0061】
本発明の医薬組成物は例えばエアゾール、クリーム、軟膏、ローション及び散布剤等の局所用に適した形態とすることができる。更に、組成物は経皮装置で使用するのに適した形態とすることができる。これらの製剤は本発明の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を使用して慣用加工法により製造することができる。1例として、クリーム又は軟膏は親水性材料と水を化合物約5重量%〜約10重量%と混合して所望コンシステンシーをもつクリーム又は軟膏とすることにより製造される。
【0062】
本発明の医薬組成物はキャリヤーを固体とする直腸投与に適した形態とすることができ、例えば混合物は単位用量座剤を形成する。適切なキャリヤーとしてはカカオバターや当分野で一般に使用されている他の材料が挙げられる。座剤は先ず組成物を軟化又は溶融キャリヤーと混合した後に冷却し、型で成形することにより適切に形成することができる。
【0063】
上記キャリヤー成分に加え、必要に応じて希釈剤、緩衝剤、香味剤、結合剤、界面活性剤、増粘剤、滑沢剤及び防腐剤(酸化防止剤を含む)等の1種以上の他のキャリヤー成分を上記医薬製剤に加えてもよい。更に、製剤を所期レシピエントの血液と等張にするように他のアジュバントを加えてもよい。本発明の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含有する組成物は粉末又は濃縮液形態で製造することもできる。
【0064】
本発明の化合物及び医薬組成物はナトリウムチャネルを遮断することが判明した。従って、本発明の1側面は有効量の本発明の化合物を投与することにより、哺乳動物においてニューロンナトリウムチャネルの遮断により改善することが可能な病態を治療及び予防することである。このような病態としては、例えば急性疼痛、慢性疼痛、内臓痛、炎症性疼痛及び神経因性疼痛が挙げられる。本発明の化合物及び組成物はヒトに加え、イヌやネコ等の非ヒト哺乳動物における上記病態(急性疼痛、慢性疼痛、内臓痛、炎症性疼痛及び神経因性疼痛を含む)の治療及び予防に有用である。当然のことながら、ヒト以外の哺乳動物の治療とは上記病態に相関する非ヒト哺乳動物における臨床病態の治療を意味する。
【0065】
更に、上述したように、本発明の化合物は1種以上の治療活性化合物と併用することができる。特に、本発明の化合物はi)オピエートアゴニスト又はアンタゴニスト、ii)カルシウムチャネルアンタゴニスト、iii)5HT受容体アゴニスト又はアンタゴニスト(5−HT1Aアゴニスト又はアンタゴニスト、及び5−HT1A部分アゴニストを含む)、iv)ナトリウムチャネルアンタゴニスト、v)N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アゴニスト又はアンタゴニスト、vi)COX−2選択的阻害剤、vii)ニューロキニン1受容体(NK1)アンタゴニスト、viii)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、ix)選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)及び/又は選択的セロトニン・ノルエピネフリン再取込み阻害剤(SSNRI)、x)三環系抗鬱薬、xi)ノルエピネフリンモジュレーター、xii)リチウム、xiii)バルプロ酸塩、xiv)ノルエピネフリン再取込み阻害剤、xv)モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、xvi)可逆的モノアミンオキシダーゼ阻害剤(RIMA)、xvii)α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、xviii)非定型抗鬱剤、xix)ベンゾジアゼピン、xx)コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、並びにxxi)ニューロンチン(ガバペンチン)と有利に併用することができる。
【0066】
本明細書で使用する略語は以下の意味である(下記以外の略語は特に指定しない限りそれらが通常使用されている意味である):Ac(アセチル),Bn(ベンジル),Boc(第3級ブトキシカルボニル),CAMP(環状アデノシン−3’,5’−一リン酸),DAST(三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄),DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン),DIBAL(水素化ジイソブチルアルミニウム),DMAP(4−(ジメチルアミノ)ピリジン),DMF(N,N−ジメチルホルムアミド),EDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩),EtN(トリエチルアミン),GST(グルタチオントランスフェラーゼ),HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール),LAH(水素化アルミニウムリチウム),Ms(メタンスルホニル;メシル;乃至SOMe),MsO(メタンスルホナート乃至メシラート),NBS(N−ブロモスクシンイミド),NCS(N−クロロスクシンイミド),NSAID(非ステロイド性抗炎症薬),PDE(ホスホジエステラーゼ),Ph(フェニル),r.t.乃至RT(室温),Rac(ラセミ),SAM(アミノスルホニル;スルホンアミド乃至SONH),SPA(シンチレーション近接アッセイ),Th(2−又は3−チエニル),TFA(トリフルオロ酢酸),THF(テトラヒドロフラン),Thi(チオフェンジイル),TLC(薄層クロマトグラフィー),TMEDA(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン),TMSI(ヨウ化トリメチルシリル),Tr乃至トリチル(N−トリフェニルメチル),C(アリル),Me(メチル),Et(エチル),n−Pr(ノルマルプロピル),i−Pr(イソプロピル),n−Bu(ノルマルブチル),i−ブチル(イソブチル),s−Bu(第2級ブチル),t−Bu(第3級ブチル),c−Pr(シクロプロピル),c−Bu(シクロブチル),c−Pen(シクロペンチル),c−Hex(シクロヘキシル)。
【0067】
本発明の化合物は下記一般スキームと実施例に記載する手順に従って製造することができる。下記スキーム及び実施例は更に本発明の範囲についても記載するが、これを限定するものではない。
【0068】
特に指定しない限り、以下の条件下で実験手順を実施した。全操作は室温乃至周囲温度、即ち18〜25℃の範囲の温度で実施した。溶媒の蒸発は60℃までの浴温度で減圧下(600〜4000パスカル:4.5〜30mmHg)にロータリーエバポレーターを使用して実施した。薄層クロマトグラフィー(TLC)又は高圧液体クロマトグラフィー−質量分析法(HPLC−MS)により反応過程を追跡し、単なる例証として反応時間を示す。TLC、質量分析法、核磁気共鳴(NMR)スペクトロメトリー又は微量分析データのうちの少なくとも1種の技術により全最終生成物の構造と純度を確認した。収率を記載する場合には例証に過ぎない。NMRデータを記載する場合には、主要診断プロトンのデルタ(δ)値として示し、指定溶媒を使用して300MHz、400MHz又は500MHzで測定し、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)に対する100万分率(ppm)として表す。シグナル形状に使用する慣用略語は、s.一重線;d.二重線;t.三重線;m.多重線;br.広幅等である。更に、「Ar」は芳香族シグナルを意味する。化学記号はその通常通りの意味であり、以下の略語を使用する。v(容量)、w(重量)、b.p.(沸点)、m.p.(融点)、L(リットル)、ml(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq(当量)。
【0069】
アッセイ例1:カリウム脱分極を使用してチャネル開口を開始させるCav2.2チャネルの蛍光アッセイ
電位依存性カルシウムチャネルのα2δ及びβサブユニットと共にヒトCav2.2チャネルをKEK293細胞で安定に発現させた。細胞外カリウム濃度により細胞膜電位のより厳密な制御を可能にするために、内向き整流性カリウムチャネル(Kir2.3)もこれらの細胞で発現させた。浴カリウム濃度が低い場合には、膜電位は相対的にマイナスであり、浴カリウム濃度の上昇に伴って脱分極される。このように、浴カリウム濃度を使用してチャネルの電位依存性状態を調節することができる。低濃度(4mM)カリウム又は高濃度(12、25又は30mM)カリウムの存在下で化合物を細胞に加えてインキュベートし、4mMカリウムにおける静止(閉)状態のチャネルの化合物遮断に対する親和性又は12、25もしくは30mMカリウムにおける開状態の不活性化チャネルの遮断に対する親和性を測定する。インキュベーション時間後に、より高濃度のカリウム(終濃度70mM)を加えて細胞を更に脱分極させることによりCav2.2チャネル開口を開始させる。各種カリウム濃度でインキュベーション後に化合物の阻害能から状態依存性遮断度を推定することができる。
【0070】
カルシウム感受性蛍光色素を蛍光プレートリーダーと共に使用してCav2.2チャネルを介するカルシウム流入を測定する。VIPR(Aurora Instruments)又はFLIPR(Molecular Devices)プレートリーダーを使用して蛍光変化を測定した。
【0071】
プロトコール
1.ポリ−D−リジンをコーティングした96又は384ウェルプレートに細胞を撒き、37℃−10%COインキュベーターで一晩保温する。
2.培地を捨て、カルシウムとマグネシウムを添加したダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(D−PBS)(Invitrogen;14040)0.2ml(96ウェルプレート)又は0.05ml(384ウェルプレート)で細胞を洗う。
3.カルシウムとマグネシウムを添加したD−PBS(Invitrogen;14040)に10mMグルコースと10mM Hepes/NaOH(pH7.4)を加え、これに4μM fluo−4(Molecular Probes;F−14202)と0.02%プルロニック酸(Molecular Probes;P−3000)を加えて調製した調製液0.1ml(96ウェルプレート)又は0.05ml(384ウェルプレート)を加える。
4.暗所で25℃にて60〜70分間インキュベートする。
5.色素を捨て、4、12、25又は30mMカリウム前分極緩衝液(PPB)0.1ml(96ウェルプレート)又は0.06ml(384ウェルプレート)で細胞を洗う。
6.試験化合物の存在下又は不在下で4、12、25、30mM PPB 0.1ml(96ウェルプレート)又は0.03ml(384ウェルプレート)を加える。
7.暗所で25℃にて30分間インキュベートする。
8.励起=480nm、発光=535nmでVIPR機器のセルプレートを読み取る。
9.VIPR読み取りを続けながら、最終アッセイ濃度の2倍の脱分極緩衝液0.1ml(96ウェルプレート)又は0.03ml(384ウェルプレート)をセルプレートに加える。
【0072】
【表1】

【0073】
アッセイ例2:自動電気生理系機器を使用したCav2.2チャネルの遮断の電気生理学的測定
Ion Works HT 384ウェル自動パッチクランプ電気生理系装置を使用してN型カルシウムチャネルの遮断を評価する。この機器は384ウェル(一度に48ウェル)からの同期記録が可能である。各ウェルで全細胞記録を1回ずつ実施する。全細胞記録は内部区画にアムホテリシンBを潅流することにより行う。
【0074】
使用依存性遮断を検出するように電圧プロトコールをデザインする。2Hz脱分極パルス列を与える(+20mVまで25msステップ20回)。実験シーケンスは対照列(化合物添加前)と、細胞に化合物を加えて5分間インキュベーション後の第2列(化合物添加後)から構成する。パルス列における最初のパルスの部分遮断を20回目のパルスの遮断に比較することにより化合物による使用依存性遮断を推定する。
【0075】
プロトコール
基本的にKissら[Kiss et al.2003;Assay and Drug Development Technologies,1:127−135]により記載されているようにIon Works HT(Molecular Devices Corp.)を使用してパラレルパッチクランプ電気生理学的測定を実施する。要約すると、N型カルシウムチャネルサブユニット(α1B,αδ,β3a)と内向き整流性カリウムチャネル(Kir2.3)を発現する安定なHEK293細胞株(CBKと言う)を使用し、N型カルシウムチャネルを流れるバリウム電流を記録する。使用前に細胞をT75培養プレートで60〜90%コンフルエントまで増殖させる。細胞をPBS(Ca/Mg不含)10mlで3回洗浄後、1×トリプシン1.0mlをフラスコに加える。細胞が丸みを帯びてプレートから剥がれるまで(通常では1〜3分間)37℃でインキュベートする。次に、血清と抗体を加えたCBK培地13mlを充填した15mlコニカルチューブに細胞を移し、卓上遠心機で設定2として2分間遠心する。上清を捨て、細胞ペレットを外液(mM):120 NaCl,20 BaCl,4.5 KCl,0.5 MgCl,10 HEPES,10グルコース(pH=7.4)に再懸濁する。ウェル当たり細胞1000〜3000個となるように懸濁液中の細胞濃度を調整する。細胞を再懸濁直後に使用する。内液(mM)は100 K−グルコース,40 KCl,3.2 MgCl,3 EGTA,5 HEPES,pH7.3にKOHを加える。穿孔剤としてアムホテリシンBを内液に加えることにより穿孔パッチ全細胞記録を行う。試験毎にDMSOでアムホテリシンBの36mg/mlストックを新たに調製する。このストック166μlを内液50mlに加え、120ug/mlの最終ワーキング液とする。
【0076】
Ion Works HTソフトウェア/ハードウェアシステムを使用して電圧プロトコールと膜電流の記録を実施する。1.25kHzで電流をサンプリングし、線形リークコンダクタンスを想定して保持電位から10mVステップを使用してリークサブトラクションを実施する。液間電位の補正は使用しない。細胞を−70mVで10秒間電圧クランプ後、2Hzで+20mVまで25msステップの20パルス列を与える。対照列の印加後、細胞に化合物を加えて5分間インキュベートし、第2列を印加する。最初のパルスの部分遮断を20回目のパルスの遮断に比較することにより化合物による使用依存性遮断を推定する。試験電位(+20mV)でシール抵抗が70MΩ未満又はBa電流が0.1nA未満のウェルは分析から除外する。IonWorksソフトウェアを使用して電流振幅を計算する。特注のExcel/Sigmaplot macroを使用して相対電流、阻害百分率及びIC50を計算する。
【0077】
フルイディクスヘッドにより96ウェル化合物プレートから化合物を細胞に添加する。添加中の化合物の希釈を補償するために、化合物プレート濃度はパッチプレート上の最終濃度の3倍とする。
【0078】
一般にスクリーニングと滴定の2種類の実験を実施する。スクリーニングモードでは、10〜20種類の化合物を単一濃度(通常は3uM)で評価する。溶媒対照ウェルでの比に正規化した化合物の存在下と不在下の電流振幅の比から阻害百分率を計算する。IC50を得るために、パッチプレート当たり2〜4種類の化合物で10点滴定を実施する。試験濃度範囲は一般に0.001〜20uMとする。ヒルの式をデータにフィットさせることによりIC50を計算する。使用したヒルの式は、相対電流=(Max−Min)/(1+(conc/IC50)∧傾き))+Minである。正規化目的とMaxとMinを決定するために、溶媒対照(DMSO)と(チャネルを完全に阻害する)0.3mM CdClを各プレートで試験する。
【0079】
アッセイ例3:全細胞電圧クランプとPatchXpress自動電気生理系機器を使用したCav2.2チャネルの遮断の電気生理学的測定
手動及び自動(PatchXpress)パッチクランプ電気生理系装置を使用してN型カルシウムチャネルの遮断を評価する。状態依存性遮断を検出するように電圧プロトコールをデザインする。分極(−90mV)又は脱分極(−40mV)保持電位から低周波数(0.067Hz)でパルス(50ms)を与える。静止状態のチャネルよりも不活性化/開状態のチャネルを優先的に遮断する化合物は−90mVよりも−40mVで効力が高くなる。
【0080】
プロトコール:
N型カルシウムチャネルサブユニット(α1B,αδ,β3a)と内向き整流性カリウムチャネル(Kir2.3)を発現する安定なHEK293細胞株(CBKと言う)を使用し、N型カルシウムチャネルを流れるバリウム電流を記録する。ポリ−D−リジンをコーティングしたカバーガラス(手動EP)又はT75培養プレート(PatchXpress)で細胞を増殖させる。PatchXpressでは、トリプシンを使用して細胞をフラスコから剥がす。いずれの場合も、外液(mM)は120 NaCl,20 BaCl,4.5 KCl,0.5 MgCl,10 HEPES,10グルコース,pH7.4にNaOHを添加する。内液(mM)は130 CsCl,10 EGTA,10 HEPES,2 MgCl,3 MgATP,pH7.3にCsOHを添加する。
【0081】
標準技術を使用して手動全細胞パッチクランプによりバリウム電流を測定する(Hamill et.al.Pfluegers Archiv 391:85−100(1981))。ホウケイ酸ガラスから微小電極を作製し、火炎研磨する。電極抵抗は一般に標準内液食塩水の充填時に2〜4MΩである。参照電極は銀−塩化銀ペレットとする。内液と外液の液間電位については電圧を補正せず、P/n法を使用してリークをサブトラクションする。重力による浴潅流により溶液を細胞に加える。実験チャンバー容量は〜0.2mlとし、潅流速度は0.5〜2ml/minとする。常に溶液がチャンバーに流れるように維持する。PULSEFITソフトウェア(HEKA Elektronik)を使用して電流振幅の測定を実施する。
【0082】
PatchXpress(Molecular Devices)は完全一体型フルイディクスと非同期的に作動する16ウェル全細胞自動パッチクランプ装置である。50〜80%の成功率で高抵抗(ギガオーム)シールが得られる。キャパシタンス及び直列抵抗補償は自動的に行われる。液間電位の補正は使用しない。P/n法を使用してリークをサブトラクションする。ピペッターにより96ウェル化合物プレートから化合物を細胞に添加する。PatchXpressソフトウェア/ハードウェアシステムを使用して電圧プロトコールと膜電流の記録を実施する。DataXpressソフトウェアを使用して電流振幅を計算する。
【0083】
手動及び自動のいずれのパッチクランプでも、細胞を−40mV又は−90mVで電圧クランプし、50msパルスを+20mVまで15秒毎に与える(0.067Hz)。用量を漸増させながら化合物を加え、阻害率%を測定する。化合物の存在下と不在下の電流振幅の比から阻害百分率を計算する。細胞当たり複数の用量が得られる場合に、IC50を計算する。試験濃度範囲は一般に0.1〜30uMとする。ヒルの式をデータにフィットさせることによりIC50を計算する。使用したヒルの式は、相対電流=1/(1+(conc/IC50)∧傾き))である。
【0084】
アッセイ例4:Cav3.1及びCav3.2チャネルのアッセイ
本発明の化合物のT型カルシウムチャネル遮断活性はXia,et al.,Assay and Drug Development Tech.,1(5),637−645(2003)に記載の当分野で周知の方法を使用して容易に測定することができる。
【0085】
典型的実験では、T型チャネルα1G、H又はI(CaV 3.1,3.2,3.3)を発現するHEK293細胞に由来するイオンチャネル機能を記録し、T型チャネルα1G、H又はI(CaV 3.1,3.2,3.3)により媒介されるカルシウム電流を遮断する化合物の活性を測定する。このT型カルシウム(Ca2+)アンタゴニストボルテージクランプアッセイでは、以下のようにヒトα1G、H又はI(CaV 3.1,3.2,3.3)カルシウムチャネルの静止状態からカルシウム電流を誘起する。T型(低電位活性化型)カルシウムチャネルの配列情報は例えばUS5,618,720、US5,686,241、US5,710,250、US5,726,035、US5,792,846、US5,846,757、US5,851,824、US5,874,236、US5,876,958、US6,013,474、US6,057,114、US6,096,514、WO99/28342及びJ.Neuroscience,19(6):1912−1921(1999)に詳細に開示されている。DMEM、6%ウシ胎仔血清(HYCLONE)、30μmolベラパミル、200μg/mlハイグロマイシンB、1Xペニシリン/ストレプトマイシンから構成されるH3D5増殖培地でt型チャネルを発現する細胞を増殖させた。ガラスピペットをピペットプラーで先端径1〜2μmまで引く。ピペットに細胞内液を充填し、塩化銀ワイヤーをピペットの長手方向に挿入した後、ボルテージクランプ増幅器のヘッドステージに接続する。トリプシン処理緩衝液は0.05%トリプシン、0.53mM EDTAとした。細胞外記録液(mM)は130mM NaCl,4mM KCl,1mM MgCl2,2mM CaCl2,10mM HEPES,30グルコース,pH7.4から構成する。内液(mM)は135mM CsMeSO4,1 MgCl2,10 CsCl,5 EGTA,10 HEPES,pH7.4、又は135mM CsCl,2 MgCl2,3 MgATP,2 Na2ATP,1 Na2GTP,5 EGTA,10 HEPES,pH7.4から構成する。ピペット先端を浴に挿入後、直列抵抗を記録する(許容範囲は1〜4MΩ)。ピペットと浴溶液間の接点電位を増幅器でゼロにする。次に細胞にパッチ電極を押し付け、パッチを破壊し、直列抵抗の補償(≧80%)後、全細胞Ca2+電流応答を記録しながら電位プロトコールを適用する。電位プロトコールは以下の通りとする。(1)−80mV保持電位から−20mVまで40ミリ秒周期で20秒間隔パルスを与える;−80mVから−20mVへの電位シフトにより開始されるピーク電流振幅の減少を測定することにより、チャネルに媒介される電流を阻害する薬剤の効力を直接測定する;(2)−100mV保持電位から−20mVまで40ミリ秒周期で15秒間隔パルスを与える;−100mVから−30mVへの電位シフトにより開始されるピーク電流振幅の減少を測定することにより、チャネルに媒介される電流を阻害する薬剤の効力を直接測定する。2つの保持電位における遮断の差を使用し、細胞の静止状態電位レベルにより誘発される異なる不活性化レベルで薬剤の効果を測定した。対照基線カルシウム電流を得た後に、試験化合物の濃度を増加させながら細胞外液を加える。所定化合物濃度で定常状態阻害に達したら、更に高濃度の化合物を加える。−20mVまでの脱分極段階中のピーク内向き対照Ca2+電流の%阻害を化合物濃度の関数としてプロットする。
【0086】
本発明で使用することができる化合物の固有のT型カルシウムチャネルアンタゴニスト活性はこれらのアッセイにより測定することができる。
【0087】
特に、下記実施例の化合物は上記アッセイでT型カルシウムチャネルを阻害する活性があり、一般にIC50は約10uM未満であった。本発明の範囲内の好ましい化合物は上記アッセイでT型カルシウムチャネルを阻害する活性があり、IC50は約1uM未満であった。このような結果は、T型カルシウムチャネル活性のアンタゴニストとして使用する際のこれらの化合物の固有活性を示唆するものである。
【0088】
インビボアッセイ:(齧歯類CFAモデル):
試験の3日前に雄性Sprague Dawleyラット(300〜400g)にCFA(完全フロイントアジュバント)200μlを投与した。CFAはヒト型結核菌(mycobacterium tuberculosis)を食塩水(1:1;Sigma)に懸濁し、結核菌0.5mg/mlを含有するエマルションを形成したものである。左後肢の足底面にCFAを注射した。
【0089】
化合物の経口投与の場合のみ、試験前夜はラットを絶食させる。試験日の朝にUgo Basile装置を使用し、1時間あけて2個の基線サンプルを採取する。ラットをタオルでくるむ。その左肢を加圧装置の下の軸受に載せる。フットペダルを踏み、一定線圧を加える。ラットが肢を引っ込めるか、声を上げるか、又はもがいたら加圧を停止する。次に右肢を試験する。次にラットに化合物を投与し、所定時点で試験する。化合物はDMSO(15%)/PEG300(60%)/水(25%)に加えて調製し、容量2ml/kgを投与した。
【0090】
(治療後−治療前)/(損傷前閾値−治療前)×100として可能な最大効果百分率(%MPE)を計算した。応答%は化合物投与後の任意時点でMPE30%のラット数である。繰り返しのある一元配置ANOVAフリードマン検定とダンの事後検定により治療効果を判定した。
【0091】
合成方法
本発明の化合物は下記スキームと実施例に記載する手順に従って製造することができる。特に定義する場合又は当業者に自明である場合を除き、置換基は上記式と同一である。
【0092】
本発明の新規化合物は例えばAdvanced Organic Chemistry,March,5th Ed.,John Wiley and Sons,New York,NY,2001;Advanced Organic Chemistry,Carey and Sundberg,Vol.A and B,3rd Ed.,Plenum Press,Inc.,New York,NY,1990;Protective groups in Organic Synthesis,Green and Wuts,2nd Ed.,John Wiley and Sons,New York,NY,1991;Comprehensive Organic Transformations,Larock,VCH Publishers,Inc.,New York,NY,1988;Handbook of Heterocyclic Chemistry,Katritzky and Pozharskii,2nd Ed.,Pergamon,New York,NY,2000とその引用文献に記載の技術等の当業者に公知の技術を使用して容易に合成することができる。本発明の化合物の出発材料はAldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI);Sigma Chemical Co.(St.Louis,MO);Lancaster Synthesis(Windham,N.H.);Ryan Scientific(Columbia,S.C.);Maybridge(Cornwall,UK);Matrix Scientific(Columbia,S.C.);Arcos(Pittsburgh,PA)及びTrans World Chemicals(Rockville,MD)等の商業ソースから容易に入手可能な化学前駆物質の標準合成変換を使用して製造することができる。
【0093】
化合物の合成手順として本明細書に記載する手順は1段階以上の保護基操作段階と、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー(TLC)、ラジアルクロマトグラフィー及び高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)等の精製段階を含むことができる。生成物はプロトン及び炭素−13核磁気共鳴法(H及び13C NMR)、赤外及び紫外分光法(IR及びUV)、X線結晶構造解析、元素分析及びHPLC−質量分析法(HPLC−MS)等の化学分野で周知の各種技術を使用して特性決定することができる。保護基操作方法、精製方法、構造同定方法及び定量方法は化学合成分野の当業者に周知である。
【0094】
適切な溶媒は反応成分の1種又は全部を少なくとも部分的に溶解し、反応成分又は生成物と有害な相互作用を生じない溶媒である。適切な溶媒は芳香族炭化水素(例えばトルエン、キシレン)、ハロゲン化溶媒(例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン)、エーテル(例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジグリム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール)、ニトリル(例えばアセトニトリル、プロピオニトリル)、ケトン(例えば2−ブタノン、ジエチルケトン、tert−ブチルメチルケトン)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及び水である。2種類以上の溶媒の混合物を使用することもできる。適切な塩基は一般にアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物(例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム及び水酸化カルシウム);アルカリ金属水素化物及びアルカリ土類金属水素化物(例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム及び水素化カルシウム);アルカリ金属アミド(例えばリチウムアミド、ナトリウムアミド及びカリウムアミド);アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩(例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素セシウム);アルカリ金属アルコキシド及びアルカリ土類金属アルコキシド(例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド及びマグネシウムエトキシド);アルカリ金属アルキル(例えばメチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム)、アルキルマグネシウムハロゲン化物、有機塩基(例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、コリジン、ルチジン及び4−ジメチルアミノピリジン);並びに二環式アミン(例えばDBU及びDABCO)である。
【0095】
当然のことながら、本発明に記載する所望化合物が得られるように、必要に応じて当業者に利用可能な標準官能基変換技術を使用して下記スキームに記載する化合物中に存在する官能基を更に操作することができる。
【0096】
同様に当然のことながら、単一エナンチオマーもしくはジアステレオマーとして、又は2個以上のエナンチオマーもしくはジアステレオマーを任意比率で含む混合物として、1個以上の不斉中心を含む下記スキーム及び表に記載する化合物を製造することができる。
【0097】
当業者に自明の他の変形又は変更も本発明の範囲と教示に含まれる。本発明は下記特許請求の範囲以外には限定されない。
【0098】
本発明に記載する2−置換インドールはHumphrey and Kuethe in Chem.Rev.,2006,106,2875−2911に記載されている各種合成法を使用して合成することができる。本発明の2−置換インドールのサブクラスである2−アリールインドールはスキーム1に要約するようなフィッシャーのインドール反応を使用して合成することができる。
【0099】
【化5】

【0100】
4−ニトロフェニルプロピオン酸誘導体1は以下の刊行物[a)Lawrence,N.J.,et.al.J.Org.Chem,2002,67,457−464;b)Bowman et.al.Org.Prep.Proced.Int 1990,22,636−638;c)Bizzaro,el.al.WO200185707;d)Baron et.al.Tetra.Lett.2002,43,723−726;e)selvakumar et.al.Tetra.Lett.2001,42,8395−8398;f)Davis et.al.J.Org.Chem.2000,65,8704−8708;g)Deshmukh et.al.Org.Prep.Proced.Int 1998,30,453−455;h)Bushell et.al.Tetrahedron 1998,54,2269−2274]に記載の方法を使用して各種市販出発材料から製造することができる。こうして製造された4−ニトロフェニルプロピオン酸誘導体1を酸触媒の存在下で0℃から反応溶媒の還流温度までの範囲の温度にて適切なR−OHと反応させると、対応するエステル誘導体が得られ、その後、適切な溶媒(例えばトルエン、THF、ジオキサン、DMF又はDMSO)中で適切な塩基(例えばNaH、EtN、ジイソプロピルエチルアミン、DBU、NaCO、KCO又はCsCO)の存在下にアルキル化剤R−X[例えばアルキルハロゲン化物、アルキルスルホン酸塩、ベンジルハロゲン化物又はヘテロアリール−アルキルハロゲン化物]と反応させると、生成物2が得られる。2のニトロ基を還元すると、対応するアニリン10(スキーム2)が得られ、その後、スキーム1に要約するようなジアゾニウム中間体の還元により対応するアリールヒドラジン3の変換することができる。その後、フィッシャーのインドール反応条件下で酸触媒の存在下に3を適切なカルボニルパートナー4と反応させると、2−アリールインドール5が得られ、スキームに要約するように適切なアルキル化剤RCH−Xでアルキル化すると、6が得られる。インドール5のフィッシャー合成はマイクロ波加熱下でも良好な収率で実施することができる。アリールインドール5を加水分解して対応するカルボン酸を得、アミド形成試薬7の存在下で適切なアミンと反応させることによりアミド誘導体8に容易に変換することもできる。ペプチド結合合成分野の当業者に公知の他の各種アミド形成方法又は試薬も使用することができる。その後、インドール8を適切なアルキル化剤でアルキル化すると、9が得られる。
【0101】
スキーム2に要約するようにラロックのインドール合成条件を使用して上記インドール5及び8を結合することもできる。4−ニトロフェニルプロピオン酸誘導体10から得られたアニリン11を一塩化ヨウ素で処理すると、ヨードアニリン12が得られ、ラロック条件下で適切なシリルアセチレン誘導体13で処理すると、対応するインドール14が得られる。14を一塩化ヨウ素で処理すると、2−ヨードインドール15が得られ、Pd触媒条件下で適切なアリールボロン酸塩16と反応させると、所望インドール5が得られる。同様に、Walsh et.alによりTetrahedron 2001,57,5233−5241に記載されているようなラロック条件を使用してアニリン11からインドール8を合成することもできる。あるいは、インドール5をエステル加水分解条件に付し、対応するカルボン酸16を得、適切なアミド形成試薬の存在下で適切なアミンと反応させると、アミド化合物8が得られる。
【0102】
【化6】

【0103】
2−置換インドール20は別法としてスキーム3に要約するように適切なアリールアセチレン中間体19の金属触媒環化反応を使用して12から製造することもできる。
【0104】
【化7】

【0105】
中間体19はアリールアセチレン中間体18の銅触媒反応下で2−ヨードアニリン誘導体17から容易に合成することができる。アセチレン中間体18は薗頭反応条件を使用してヨードベンゼンとTMS−アセチレンから製造することができる(Tetrahedron 2003,59,1571)。
【0106】
インドール5及び8を適切な塩基(例えばピリジン、DMAP、トリアルキルアミン、KCO、CsCO等)の存在下で塩化アシル、アシルイミダゾール、アシル炭酸塩、クロロギ酸塩及びイソシアネート等の適切なアシル化剤と反応させると、夫々対応するN−アシルインドール21及び22が得られる(スキーム3)。同様に、スキーム4に要約するように夫々インドール5及び8を適切な塩基の存在下で適切なスルホニル化剤と反応させることによりN−スルホニル誘導体23及び24を製造することができる。
【0107】
【化8】

【0108】
インドール26〜29はスキーム5に要約する反応を使用して3から製造することができる。3をフィッシャーのインドール反応条件下で適切なαケトエステル25と反応させると、対応するインドール26が得られ、N−アルキル化すると適切なインドール27が得られる。スキームに要約するようにインドール26のエステル基を加水分解し、得られたカルボン酸化合物を適切なアミド誘導体28に容易に変換することができる。インドール27も同様に対応するアミド29に変換することができる。
【0109】
【化9】

【0110】
(実施例1)
2−[2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドール−5−イル]−2−メチルプロパン酸エチル
【0111】
【化10】

【0112】
ステップ1:(4−ニトロフェニル)酢酸エチル
【0113】
【化11】

(熱電対、撹拌パドル、窒素ラインで包囲した冷却器及び加熱マントルを取り付けた)12L容3頸RBフラスコに4−ニトロフェニル酢酸(Aldrich)(500.00g)とエタノール(4L)を加えた後、濃硫酸(150mL)を(ゆっくりと)加えた。次に、薄黄色の反応混合物を2時間加熱還流した。次に反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、得られた残渣(淡黄色固体)にヘプタンを加えて粘稠スラリーとなるまで撹拌した。固体生成物をフィルターで採取し、ヘプタンで洗浄し、真空オーブンで乾燥し、所望生成物を薄黄色固体として得た(570g)。
【0114】
H−NMR(CDCl):δ1.24(t,3H),3.75(s,2H),4.18(q,2H),7.48(d,2H),8.20(d,2H)。質量スペクトル(m/e):210.2(M+H)。
【0115】
ステップ2:2−メチル−2−(4−ニトロフェニル)プロパン酸エチル
【0116】
【化12】

(クライゼンアダプターを取り付け、熱電対、窒素ライン、撹拌パドル及びセプタムをかぶせた滴下漏斗に連結した)22L容3頸RBフラスコに無水N,N−ジメチルホルムアミド(5.8L)を仕込み、0℃まで冷却した。次に撹拌下にナトリウムtert−ブトキシド(271g),97%(Aldrich)を少量ずつ加えた。0℃で30分間撹拌後、(上記ステップ1からの)(4−ニトロフェニル)酢酸エチル(570g)を(少量ずつ)反応混合物に加えた。得られた暗色混合物に反応温度を+10℃未満に維持しながらヨードメタン(175mL)をゆっくりと加えた。15分間撹拌後、更にナトリウムtert−ブトキシド(271g)を少量ずつ加えた後、更にヨードメタン(175mL)を加え、この間、常に温度を+10℃未満に維持した。20分間撹拌後、更にナトリウムtert−ブトキシド(27g)とヨードメタン(33mL)を加えて工程を繰り返した。その後、反応混合物を室温までゆっくりと一晩昇温した。反応混合物を氷水(5L)と酢酸(100mL)とEtOAc(4L)の混合物に注ぎ、層分離し、水層をEtOAc(4L)で逆抽出した。有機層を合わせて0.5N HCl水溶液(1.2L)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、暗赤色油状物を得た(652g)。
【0117】
H−NMR(CDCl):δ1.20(t,3H),1.62(s,6H),4.18(q,2H),7.50(d,2H),8.20(d,2H)。質量スペクトル(m/e):238.2(M+H)。
【0118】
ステップ3:2−(4−アミノフェニル)−2−メチルプロパン酸エチル
【0119】
【化13】

(上記ステップ2からの)2−メチル−2−(4−ニトロフェニル)プロパン酸エチル(652g)のエタノール(8L)溶液にN流下で10%Pd/C触媒(40g)を注意深く加えた。次に混合物を40psiの水素雰囲気下で室温にて24時間撹拌した。反応混合物をセライトパッドで濾過し、EtOHで洗浄し、濾液を合わせて減圧濃縮し、所望生成物を油状物として得た(565g;黄色)。
【0120】
H−NMR(CDCl):δ1.20(t,3H),1.62(s,6H),4.18(q,2H),6.66(d,2H),7.20(d,2H)。質量スペクトル(m/e):208(M+H)。
【0121】
ステップ4:2−(4−ヒドラジノフェニル)−2−メチルプロパン酸エチル
【0122】
【化14】

(クライゼンアダプターを取り付け、熱電対、窒素ライン、撹拌パドル及びセプタムをかぶせた滴下漏斗に連結した)12L容3頸RBフラスコに(上記ステップ3からの)2−(4−アミノフェニル)−2−メチルプロパン酸エチル(562g)と濃塩酸(2.8L)の混合物を仕込み、混合物を室温で1時間撹拌し、暗赤/茶色溶液を得た。次に溶液を−10℃まで冷却し、反応温度を−5℃〜−10℃に維持しながら亜硝酸ナトリウム(203g)の水(1.1L)溶液を加えた。混合物を−10℃で30分間撹拌後、予め形成しておいた塩化錫(II)2水和物(3065g)の濃HCl(2.2L)溶液に−10℃でゆっくりと加えた。−10℃で1時間後、水(8L)とメチルt−ブチルエーテル(8L)を加えた大型抽出器に混合物を移し、反応フラスコをメチルt−ブチルエーテル(4L)で洗浄した。有機相を合わせて分離し、HOで洗浄後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpH=8まで一晩処理した。沈殿した錫塩を濾去した。濾液からの有機相を分離し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、粗ヒドラジンを暗赤色油状物として得た(404g)。上記粗ヒドラジンの乾燥エーテル(8L)溶液に滴下漏斗を使用して1,4−ジオキサン(Aldrich)(500mL)中4.0M HClを滴下した。得られた混合物を一晩室温で撹拌後、ヘプタン(3L)で希釈し、濾過した。フィルター上の固体生成物(オレンジ色固体)をヘプタンで洗浄し、70℃で一晩減圧乾燥した(233g)。
【0123】
H−NMR(CDCl):δ1.20(t,3H),1.52(s,3H),1.55(s,3H)4.12(q,2H),6.8(d,2H),7.20(d,2H),7.3(m,2H)。質量スペクトル(m/e):223(M+H)。
【0124】
ステップ5:2−[2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドール−5−イル]−2−メチルプロパン酸エチル
【0125】
【化15】

(上記ステップ4からの)2−(4−ヒドラジノフェニル)−2−メチルプロパン酸エチル(2.4g)と3,5−ジメチルアセトフェノン(1.26g)のAcOH(30mL)溶液に無水塩化亜鉛(3.5g)を室温で加え、得られた混合物を100℃で16時間撹拌した。次に反応混合物を室温まで冷却し、減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチル(100mL)と水(100mL)に分配した。有機相を分離し、飽和炭酸水素ナトリウムとブラインで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。ヘキサン中20%EtOACを使用し、こうして得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、所望の標記インドールを固体として得た。
【0126】
H−NMR(CDCl):δ1.20(t,3H),1.6(s,6H),2.43(s,6H),4.12(q,2H),6.8(s,1H),7.0(s,1H),7.18(d,1H),7.30(s,1H),7.33(s,1H),7.38(d,1H),7.64(s,1H),8.20(br s,1H)。質量スペクトル(m/e):336(M+H)。
【0127】
(実施例2)
2−メチル−2−{2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−インドール−5−イル}プロパン酸エチル
【0128】
【化16】

(実施例1,ステップ4からの)2−(4−ヒドラジノフェニル)−2−メチルプロパン酸エチル(0.4g)のEtOH(3mL)溶液をBiotageマイクロ波反応バイアルに仕込んだ。この溶液に次に4−(トリフルオロメトキシ)アセトフェノン(0.24mL)と酢酸(0.045mL)を加え、混合物を110℃のマイクロ波で30分間加熱した。反応混合物を室温まで冷却後、無水ZnCl(0.38g)を加えた。次に180℃のマイクロ波下で30分間反応を続けた。次に反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(100mL)と水(100mL)に分配した。有機相を分離し、飽和炭酸水素ナトリウムとブラインで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。ヘプタン中20%メチルt−ブチルエーテルを使用し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、標記インドールを固体として得た。
【0129】
H−NMR(CDCl):δ1.22(t,3H),1.68(s,6H),4.16(q,2H),6.8(s,1H),7.24(d,1H),7.32(d,2H),7.38(d,1H),7.64(s,1H),7.69(d,2H),8.20(br s,1H)。質量スペクトル(m/e):392(M+H)。
【0130】
実施例1及び2に記載した手順を使用し、以下の2−置換インドールを製造した。
【0131】
【表2】


【0132】
(実施例19)
2−[2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドール−5−イル]−(N−シクロプロピル)−2−メチルプロパンアミド
【0133】
【化17】

【0134】
2−[2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドール−5−イル]−2−メチルプロパン酸
【0135】
【化18】

(実施例1,ステップ5からの)2−[2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドール−5−イル]−2−メチルプロパン酸エチル(1.5g)のメタノール(20mL)溶液に2M KOH水溶液(4mL)を室温にて加え、反応混合物を16時間還流した。室温まで冷却後、反応混合物を減圧濃縮した。こうして得られた残渣をEtOAcと1N HClに分配した。次に有機相をブラインで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、標記生成物を得た(1.2g)。
【0136】
H−NMR(CDCl):1.6(s,6H),2.43(s,6H),6.8(s,1H),7.0(s,1H),7.18(d,1H),7.30(s,1H),7.33(s,1H),7.38(d,1H),7.64(s,1H),8.20(br s,1H)。質量スペクトル(m/e):308(M+H)。
【0137】
ステップ2:2−[2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドール−5−イル]−(N−シクロプロピル)−2−メチルプロパンアミド
2−[2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドール−5−イル]−2−メチルプロパン酸(0.31g)のアセトニトリル(5mL)溶液に1−クロロ−N,N−2−トリメチルプロペニルアミン(0.14mL)を0℃にて加えた。次に混合物を室温で15分間撹拌後、減圧濃縮した。得られた残渣を塩化メチレン(5mL)に溶解し、シクロプロピルアミン(0.2mL)で室温にて30分間処理した。次に反応混合物をEtOAc(15mL)と水(15mL)に分配した。有機相を分離し、10%炭酸水素ナトリウム溶液、ブラインで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、標記生成物を得た。
【0138】
H−NMR(CDCl):δ1.6(s,6H),2.43(s,6H),4.12(q,2H),6.8(s,1H),7.0(s,1H),7.18(d,1H),7.30(s,1H),7.33(s,1H),7.38(d,1H),7.64(s,1H),8.20(br s,1H)。質量スペクトル(m/e):336(M+H)。
【0139】
(実施例20)
2−{7−ブロモ−1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−インドール−5−イル}−N−(tert−ブチル)−2−メチルプロピオンアミド
【0140】
【化19】

【0141】
2−(4−アミノ−3−ブロモ−5−ヨードフェニル)−2−メチルプロパン酸エチル
【0142】
【化20】

(Walsh et.al.によりTetrahedron 2001,57,5233−5241に記載されているように製造した)2−(4−アミノ−3−ヨードフェニル)−2−メチルプロパン酸エチル(2.0g,5.62mMol)の乾燥THF(60mL)溶液に室温で撹拌下にピリジニウムブロミドペルブロミド(2.698g,8.44mmol)のTHF(60ml)溶液を加えた。45分間撹拌後、混合物を濾過し、酢酸エチルと10% NaHSOに分配した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウムとブラインで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。EtOAc/イソヘキサンを溶離液とし、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Biotage 25M)により精製し、標記生成物を茶色固体として得た。質量スペクトル(m/e):399(M+H)。
【0143】
ステップ2:トリメチル{[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]エチニル}シラン
【0144】
【化21】

【0145】
1−ヨード−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン(1.087mL,6.94mMol)とTMS−アセチレン(1.166ml,8.33mmol)のTHF(30ml)溶液にヨウ化銅(I)(0.066g,0.347mMol)と、トランス−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(0.244g,0.347mmol)と、トリエチルアミン(2.90ml,20.83mmol)を加えた。3時間室温で撹拌後、反応混合物を濃縮した。残渣をヘプタンに溶解し、シリカゲルプラグで濾過し、濃縮し、所望生成物を油状物として得た。質量スペクトル(m/e):259(M+H)。
【0146】
ステップ3:1−エチニル−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン
【0147】
【化22】

(ステップ2からの)トリメチル{[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]エチニル}シラン(0.89g,3.45mMol)のTHF(8mL)溶液にTBAF(3.79mL,3.79mMol)をゆっくりと加えた。1時間室温で撹拌後、反応混合物を濃縮し、ジクロロメタンと水に分配した。有機相を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、所望生成物を得た。質量スペクトル(m/e):187(M+H)。
【0148】
ステップ4:2−(4−アミノ−3−ブロモ−5−{[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]エチニル}フェニル)−2−メチルプロパン酸エチル
【0149】
【化23】

(ステップ3からの)1−エチニル−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン(0.415g,2.23mMol)と(ステップ1からの)2−(4−アミノ−3−ブロモ−5−ヨードフェニル)−2−メチルプロパン酸エチル(0.89g,2.23mMol)のTHF(9mL)溶液にヨウ化銅(I)(0.021g,0.110mMol)と、トランス−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロリド(0.077g,0.110mMol)と、トリエチルアミン(0.923mL,6.62mMol)を加えた。3時間室温で撹拌後、反応混合物を濃縮し、ヘプタン中メチルt−ブチルエーテル(勾配0−40%)を使用し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。質量スペクトル(m/e):470(M+H)。
【0150】
ステップ5:2−{7−ブロモ−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−インドール−5−イル}−2−メチルプロパン酸エチル
【0151】
【化24】

(ステップ4からの)2−(4−アミノ−3−ブロモ−5−{[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]エチニル}フェニル)−2−メチルプロパン酸エチル(0.934g,1.988mmol)のN−メチル−2−ピロリジノン(9.00ml)溶液にカリウムt−ブトキシド(0.468g,4.17mmol)のN−メチル−2−ピロリジノン(9ml)溶液を室温にて滴下した。この温度で4時間撹拌後、反応混合物を水でクエンチし、メチルt−ブチルエーテルで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。ヘプタン中メチルt−ブチルエーテル(勾配0−40%)を溶離液とし、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。質量スペクトル(m/e):470(M+H)。
【0152】
ステップ6:2−{7−ブロモ−1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−インドール−5−イル}−2−メチルプロパン酸エチル
【0153】
【化25】

【0154】
NaH(0.028g)のDMF(1mL)懸濁液に撹拌下に(ステップ5からの)2−{7−ブロモ−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−インドール−5−イル}−2−メチルプロパン酸エチル(0.252g,0.537mmol)のDMF(1ml)溶液を0℃にて加えた。室温で45分間撹拌後、反応混合物を0℃まで冷却し、2−ブロモ−N−(tert−ブチル)アセトアミド(0.23g,1.181mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。次に反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水とブラインで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。アセトニトリル/水+0.1%TFA勾配を使用して粗生成物を逆相HPLC(C−18)により精製し、標記生成物を得た。質量スペクトル(m/e):583(M+H)。
【0155】
ステップ7:2−{7−ブロモ−1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−インドール−5−イル}−2−メチルプロピオン酸
【0156】
【化26】

(ステップ6からの)2−{7−ブロモ−1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−インドール−5−イル}−2−メチルプロパン酸エチル(0.33g,0.56mMol)のMeOH(6mL)溶液に2M KOH水溶液(0.578ml,1.156mMol)を加え、混合物を85℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、濃縮し、エーテルと2N NaOHに分配した。水層を1N HClで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮し、所望生成物を得た。質量スペクトル(m/e):555(M+H)。
【0157】
ステップ8:2−{7−ブロモ−1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−インドール−5−イル}−N−(tert−ブチル)−2−メチルプロピオンアミド
【0158】
【化27】

(ステップ7からの)2−{7−ブロモ−1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−インドール−5−イル}−2−メチルプロピオン酸(0.277g,0.499mMol)のCHCl(3ml)溶液に1−クロロ−N,N−2−トリメチルプロペニルアミン(0.073mL,0.549mMol)を0℃にて加えた。室温で45分間撹拌後、t−ブチルアミン(0.079ml,0.748mmol)とトリエチルアミン(0.104mL,0.748mmol)をCHCl(5ml)に加えた混合物を0℃にてゆっくりと加えた。室温で6時間撹拌後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウムとブラインで洗浄した。有機相を濃縮し、EtOAc/ヘキサンを溶離液とし、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Biotage 40M)により精製し、標記生成物を得た(0.12g)。質量スペクトル(m/e):610(M+H)。
【0159】
以下の刊行物[(a)Walsh et.al.Tetrahedron 2001,57,5233−5241;(b)Chu et.al.Tetrahedron Lett.1997,38,3871−3874;(c)Ishiyama et.al.Tetrahedron Lett.1997,38,3447−3450;(d)Giroux el.al.Tetrahedron Lett.1997,38,3841−3844;(e)Larock et.al.J.Amer.Chem Soc.1991,113,6689−6690;(f)Chen et.al.Tetrahedron Lett.1994,35,6981−6984]に類似化合物の合成について記載されている公知手順を使用して実施例21〜34(表1)を製造した。
【0160】
【表3】

【0161】
上記実施例1〜20に記載した手順と中間体を使用して実施例35〜95(表2〜4)を合成した。
【0162】
【表4】

【0163】
【表5】




【0164】
【表6】


【0165】
実施例1及び2に記載した手順を使用して以下の2−置換インドール(表5)を製造した。
【0166】
【表7】

【0167】
(実施例116)
N−(tert−ブチル)−5−[2−(tert−ブチルアミノ)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]−1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド
【0168】
【化28】

【0169】
ステップ1:5−(2−エトキシル−1,1−ジメチル−2−オキソエチル)−1H−インドール−2−カルボン酸エチル:
【0170】
【化29】

(実施例1,ステップ4からの)2−(4−ヒドラジノフェニル)−2−メチルプロパン酸エチル(0.85g,3.29mmol)のEtOH(2mL)溶液をBiotageマイクロ波反応バイアルに仕込んだ。この溶液に次にピルビン酸エチル(0.36mL,3.29mmol))と酢酸(0.094mL,1.64mmol)を加えた後、混合物を120℃のマイクロ波で30分間加熱した。反応混合物を室温まで冷却後、無水ZnCl(1343mg,9.86mmol)を加えた。次に180℃のマイクロ波下で30分間反応を続けた。次に反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(100mL)と水(100mL)に分配した。有機相を分離し、飽和炭酸水素ナトリウムとブラインで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。ヘプタン中20%メチルt−ブチルエーテルを使用し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、標記インドールを固体として得た(0.995g)。質量スペクトル(m/e):305(M+H)。
【0171】
ステップ2:1−(2−tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル−5−(2−エトキシル−1,1−ジメチル−2−オキソエチル)−1H−インドール−2−カルボン酸エチル:
【0172】
【化30】

【0173】
NaH(0.06g)のDMF(1mL)懸濁液に撹拌下に(ステップ1からの)5−(2−エトキシル−1,1−ジメチル−2−オキソエチル)−1H−インドール−2−カルボン酸エチル(0.425g,1.40mmol)のDMF(1ml)溶液を0℃にて加えた。室温で45分間撹拌後、反応混合物を0℃まで冷却し、2−ブロモ−N−(tert−ブチル)アセトアミド(0.408g,2.10mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。次に反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水とブラインで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、粗生成物を得た(0.47g)。質量スペクトル(m/e):417(M+H)。
【0174】
ステップ3:1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−5−(1−カルボキシ−1−メチルエチル)−1H−インドール−2−カルボン酸
【0175】
【化31】

(ステップ2からの)1−(2−tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル−5−(2−エトキシル−1,1−ジメチル−2−オキソエチル)−1H−インドール−2−カルボン酸エチル(0.75g,1.80mmol)のMeOH(5mL)溶液に2M KOH水溶液(1.80mL,3.60mmol)を加え、混合物を85℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、濃縮し、エーテルと2N NaOHに分配した。水層を1N HClで酸性化し、酢酸エチルで希釈した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮し、所望生成物を得た(0.63g)。質量スペクトル(m/e):361(M+H)。
【0176】
ステップ3:N−(tert−ブチル)−5−[2−(tert−ブチルアミノ)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]−1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド
【0177】
【化32】

【0178】
1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−5−(1−カルボキシ−1−メチルエチル)−1H−インドール−2−カルボン酸(0.173g,0.48mmol)のジクロロメタン(1mL)溶液に1−クロロ−N,N−2−トリメチルプロペニルアミン(0.133mL,1mmol)を0℃にて加えた。次に混合物を室温で45分間撹拌後、0℃まで冷却した。t−ブチルアミン(0.152mL,1.4mmol)とトリエチルアミン(0.1mL,0.72mmol)をジクロロメタン(5mL)に加えた混合物を反応混合物にゆっくりと加え、溶液を室温で4時間撹拌した。次に反応混合物をEtOAcと水に分配した。有機相を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、ブラインで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物を得た。EtOAc/ヘキサンを溶離液とし、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Biotage 40M)により精製し、標記生成物を黄色固体として得た(0.116g)。
【0179】
H−NMR(CDCl):δ1.23(s,9H),1.290(s,9H),1.51(s,9H),1.62(s,6H),4.93(s,2H),4.96(br s,1H),6.15(br s,1H),6.81(s,1H),7.19(br s,1H),7.31(d,1H),7.56(d,1H),7.60(s,1H)。質量スペクトル(m/e):471(M+H)。
【0180】
(実施例117)
N−(tert−ブチル)−2−{1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−3−シアノ−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−インドール−5−イル}−2−メチルプロパンアミド
【0181】
【化33】

(実施例63からの)N−(tert−ブチル)−2−{1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−2−[4−(トリフルオロメトキシル)フェニル]−1H−インドール−5−イル}−2−メチルプロパンアミド(0.40g,0.752mmol)のアセトニトリル(2.7mL)溶液に0℃にてイソシアン酸クロロスルホニル(0.065mL,0.752mmol)を5分間加え、30分間撹拌した。次に乾燥DMF(0.064mL)を加え、溶液を150℃のマイクロ波で1500秒間加熱した。溶液を酢酸エチルと水に分配し、飽和炭酸水素ナトリウム、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。次にこれを濾過し、濃縮し、粗生成物を得た。アセトニトリル/水+0.1%TFAを溶離液として残渣を分取逆相HPLC(C−18)により精製し、標記生成物(0.235mg)を無色固体として得た。
【0182】
H−NMR(CDCl):δ1.28(s,9H),1.34(s,9H),1.62(s,6H),4.54(s,2H),5.07(br s,1H),5.48(br s,1H),7.31(d,1H),7.38(d,1H),7.43(d,2H),7.65(d,2H),7.77(s,1H)。質量スペクトル(m/e):557(M+H)。
【0183】
(実施例118)
N−(tert−ブチル)−2−{1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−3−(メチルチオ)−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−インドール−5−イル}−2−メチルプロパンアミド
【0184】
【化34】

【0185】
N−(メチルチオ)フタルイミド(0.08g,0.414mmol)とN−(tert−ブチル)−2−{1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−2−[4−(トリフルオロメトキシル)フェニル]−1H−インドール−5−イル}−2−メチルプロパンアミド(実施例63)(200mg,0.376mmol)のN,N’−ジメチルアセトアミド(0.5mL)溶液に臭化マグネシウム(3.46mg,0.019mmol)を加え、溶液を150℃のマイクロ波で1500秒間加熱した。反応混合物を室温まで冷却後、溶液を酢酸エチルと水に分配し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、ブラインで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物を得た。アセトニトリル/水+0.1%TFAを溶離液として残渣を分取逆相HPLC(C−18)により精製し、標記生成物(168mg)を無色固体として得た。
【0186】
H−NMR(CDCl):δ1.27(s,18H),1.60(s,6H),2.25(s,3H),4.55(s,2H),5.04(br s,1H),5.19(br s,1H),7.30−7.35(m,2H),7.39(d,2H),7.52(d,2H),7.84(s,1H)。質量スペクトル(m/e):578(M+H)。
【0187】
(実施例119)
N−(tert−ブチル)−2−{1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−3−(メチルスルホニル)−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−インドール−5−イル}−2−メチルプロパンアミド
【0188】
【化35】

【0189】
N−(tert−ブチル)−2−{1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−3−(メチルチオ)−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−インドール−5−イル}−2−メチルプロパンアミド(0.097g,0.168mmol)(実施例118)のメタノール(1.2mL)溶液にオキソン(0.206g,0.336mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルと水に分配し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、ブラインで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物を得た。アセトニトリル/水+0.1%TFAを溶離液として残渣を分取逆相HPLC(C−18)により精製し、標記化合物を無色固体として得た(50mg)。
【0190】
H−NMR(CDCl):δ1.29(s,9H),1.32(s,9H),1.62(s,6H),2.9(s,3H),4.30(s,2H),5.14(br s,1H),5.41(br s,1H),7.30(s,1H),7.36−7.38(m,3H),7.57(d,2H),8.17(s,1H)。質量スペクトル(m/e):610(M+H)。
【0191】
(実施例120)
N−(tert−ブチル)−2−{1−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]−3−(メチルスルフィニル)−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−インドール−5−イル}−2−メチルプロパンアミド:
【0192】
【化36】

【0193】
標記化合物は実施例119に記載した反応から固体(50mg)として単離した。本生成物は実施例118に記載したチオール化合物の不完全酸化の結果として形成された。
【0194】
H−NMR(CDCl):δ1.29(s,9H),1.33(s,9H),1.63(d,6H),3.08(s,3H),4.50(s,2H),5.10(br s,1H),5.43(br s,1H),7.34−7.40(m,4H),7.51(d,2H),8.24(s,1H)。質量スペクトル(m/e):594(M+H)。
【0195】
上記実施例に記載した手順を使用して下表6に記載する化合物を製造した。
【0196】
【表8】


【0197】
(実施例140)
N−(tert−ブチル)−2−メチル−2−{(1−ピリジン−2−イル)−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−インドール−5−イル}プロパンアミド
【0198】
【化37】

【0199】
N−(tert−ブチル)−2−メチル−2−{(1−ピリジン−4−イル)−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−インドール−5−イル}プロパンアミド(実施例63)(0.041g,0.199mmol)のトルエン(0.3mL)溶液にヨウ化銅(I)(0.023g,0.122mmol)と、2−ヨードピリジン(0.041g,0.199mmol)と、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(0.026mL,0.245mmol)と、リン酸カリウム(0.143g,0.673mmol)を加え、溶液を密閉管で16時間加熱した。室温まで冷却後、反応混合物を酢酸エチルと水に分配した後、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し 粗生成物を得た。アセトニトリル/水+0.1% TFAを溶離液として残渣を逆相HPLC(C−18)により精製し、標記生成物を無色固体として得た(25mg)。
【0200】
H−NMR(CDCl):1.26(s,9H),1.63(s,6H),5.05(br s,1H),6.84(s,1H),7.02(d,1H),7.16(d,2H),7.21(d,1H),7.30(d,2H),7.38(t,1H),7.58(d,1H),7.70(s,1H),7.79(t,1H),8.71(d,1H)。質量スペクトル(m/e):496(M+H)。
【0201】
【表9】


【0202】
【表10】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、

【化2】

CN又はCHOHであり;
nは0〜3であり、但し、n=0のとき、RはH以外のものであり;
XはNR、O又は結合であり;

a)水素、いずれも場合によりC−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、F、Cl、Br、NH、NHR、NR、OH、OR、CONHR、COOR、COR、SR、SO10、SONHR、C−C10アリール又はC−C10ヘテロアリールから選択される置換基の1〜3個の基で置換されたC−Cアルキル又はC−Cシクロアルキル、
b)いずれも場合によりC−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、F、Cl、Br、NH、NHR、NR、OH、OR、CONHR、CONR、COOR及びCORから選択される置換基の1〜3個の基で置換されたC−C10アリール又はC−C10複素環、
c)CONR、COOR又はCOR、並びに
d)SOR10、SO10又はSONHR
から選択され;

(b)C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール又は(CH−C10複素環(なお、前記アルキル、シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは場合により(O)0−1−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、F、Cl、Br、CN、NH、NHR、NR、OH、OR、CONHR、CONR、COOR及びCORから選択される置換基の1〜3個の基で置換されている);
(b)CONR、COOR又はCOR
から選択され;

(a)H、C−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル及びC−Cシクロアルキル(なお、前記アルキル及びシクロアルキルは場合によりC−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、F、Cl、Br、NH、NHR、NR、OR、CONHR、COOR、COR、SR、SO10、SONHR、C−C10アリール及びC−C10ヘテロアリールから選択される置換基の1〜3個の基で置換されている)、NHC(O)(CHOR
(b)CN、CONHR、CONR、COOR又はCOR
(c)SOR10、SO10、SR又はSONR
(d)いずれも場合によりC−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、C−C10アリール、F、Cl、Br、CN、NH、NHR、NR、OH、OR、SO、CONHR、CONR、COOR又はCORの1〜3個の基で置換されたC−C10アリール又は(CH−C10ヘテロシクリル
から選択され;
及びRは各々独立してH及びC−Cアルキルから選択され、前記アルキルは場合によりC−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、F、Cl、Br、CN、NH、NHR、NR、OH、OR、CONHR、CONR、COOR及びCORから選択される置換基の1〜3個の基で置換されており、あるいはRとRは一緒になって3〜7員炭素環又は複素環を形成し;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルアリール及び(CH−C10ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アルキルアリール、アリール及びヘテロアリールは場合によりC−Cパーフルオロアルキル、CN、F、Cl、Br、NH、C−C10アリール、NHR、NR、OH、OR、CONHR、CONR、COOR及びCORから選択される置換基の1〜3個の基で置換されており;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cパーフルオロアルキル、F、Cl、Br、I、NR、OR、CONHR、CONR、COOR及びCORから選択され;
及びRは各々独立してH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、N(R、SO、−COOR、−C(O)C(ROCO、C(O)C(C3−7シクロアルキル)OR、C(O)C(C3−7シクロアルキル)OCO、(CH−C10アリール及び(CH−C10複素環から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは場合により(O)0−1−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、F、Cl、Br、CN、NH、NHR、NR、OH、OR、(CH−C10アリール、CONHR、CONR、COOR又はCORから選択される1〜3個の基で置換されており;
10はC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール及びC−C10ヘテロアリールから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは場合により(O)0−1−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、F、Cl、Br、CN、NH、NHR、NR、OH、OR、CONHR、CONR、COOR又はCORから選択される1〜3個の基で置換されている]により表される化合物並びにその医薬的に許容可能な塩、個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項2】

【化3】

である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
XがNRである請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Xが−O−である請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
Xが結合である請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
が水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル又は(CH−C10ヘテロシクリルであり、nが0又は1であり、RがC(O)OR、C(O)R、C−Cアルキル、C(O)N(R、C5−10複素環又は−SO10であり、RがC−Cアルキル、C−C10アリール又は(CH−C10複素環である請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル又は(CH−C10ヘテロシクリルであり、nが0又は1であり、RがC(O)OR、C(O)R、C−Cアルキル、C(O)N(R、C5−10複素環又は−SO10であり、RがC−Cアルキル、C−C10アリール又は(CH−C10複素環である請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
が水素又はC−Cアルキルであり、nが0又は1であり、RがC(O)OR、C(O)R、C−Cアルキル又はC(O)N(Rであり、RがC−Cアルキル又はC−C10アリールである請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
が水素又はC−Cアルキルであり、nが0又は1であり、RがC(O)OR、C(O)R、C−Cアルキル又はC(O)N(Rであり、RがC−Cアルキル又はC−C10アリールである請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
がH、C−Cアルキル、CN、CONR、SO10、−COOR、−COR又は(CH−C10複素環である請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
がH又はC−Cアルキルである請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1に記載の構造式II:
【化4】

[式中、RはC−Cアルキル、C−C10アリール又は(CH−C10複素環であり、前記アルキル、アリール及びヘテロアリールは場合により(O)0−1−Cパーフルオロアルキル、C−Cアルキル、F、Cl、Br、CN、NH、NHR、NR、OH、OR、CONHR、CONR、COOR及びCORから選択される置換基の1〜3個の基で置換されており;X、R、R、R及びRは請求項1に記載した通りである。]の化合物並びにその医薬的に許容可能な塩、個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項13】
がC−C10アリールであり、RがC−Cアルキル、C(O)N(R、C5−10複素環、COOR又はCORであり、RがH又はC−Cアルキルであり、Rが水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル又は(CH−C10ヘテロシクリルである請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
がフェニルである請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
表A、B、C、D及びE:
【表1】







【表2】

【表3】


【表4】


【表5】


から選択される化合物とその医薬的に許容可能な塩並びにその個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項16】
以下の化合物:
【表6】


【化5】

【表7】

【化5】

【表8】


【化5】

【表9】

【化5】


である請求項15に記載の化合物並びにその医薬的に許容可能な塩、個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項17】
不活性キャリヤーと有効量の請求項1に記載の化合物を含有する医薬組成物。
【請求項18】
慢性又は神経因性疼痛の治療又は予防を必要とする哺乳動物患者における慢性又は神経因性疼痛の治療又は予防方法であって、治療有効量又は予防有効量の請求項1に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を前記患者に投与する段階を含む前記方法。
【請求項19】
癲癇の治療又は抑制を必要とする哺乳動物患者における癲癇の治療又は抑制方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を前記患者に投与する段階を含む前記方法。
【請求項20】
睡眠の質の増進を必要とする哺乳動物患者における睡眠品質の増進方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を前記患者に投与する段階を含む前記方法。

【公表番号】特表2010−532748(P2010−532748A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506228(P2010−506228)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/005156
【国際公開番号】WO2008/133867
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】