説明

カーテン縫製方法および遮光カーテン

【課題】縫い目のピンホールを遮光することのできるカーテン縫製方法であって、低コストで表地だけの一枚仕立てのカーテンに対しても適用可能なカーテン縫製方法を提供する。
【解決手段】本実施形態に係るカーテン縫製方法は、縫い合わせる二枚の布である折り返した表地5同士の間に遮光テープ10の片側を差し込んで重ねる重畳工程と、表地5の折返し部分を挟んである遮光テープ10と共に縫合する縫合工程と、遮光テープ10のもう一方側を折り返して縫合工程における縫い目20を覆うように貼り付ける遮蔽工程と、を備える。このように、遮光カーテン1の縫い目20のピンホールを遮光する遮光テープ10を縫合及び接着によって取り付けることで、強固に固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンの縫製方法に関し、特に、遮光カーテンの製造に適したカーテン縫製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光を遮断する機能を有する遮光カーテンが提供されているが、近年、遮光カーテンに求められる遮光性のレベルも高いレベルが要求されるようになっている。例えば、カーテンを縫製する際に生じる縫い目のミシン穴や針穴等のピンホールから漏れてくる僅かな光でさえも遮光して欲しいといった要望がある。
【0003】
このような要請に応えるために、下記特許文献1には、縫い目のピンホールを遮光した構造のシェードカーテンが開示されている。下記特許文献1では、カーテン布地を捲り上げ下げする操作ひもが挿通されるリングを保持するリングテープを裏芯地に縫合して取り付けた後に、この裏芯地の反対側の面に熱融着性材料を介して縫い目の無い表地を全面的に熱圧着する縫製方法が開示されている。
【0004】
このように、リングテープを取り付けるための縫い目を表地によって覆い隠せば、縫い目のピンホールを遮光することが可能となる。
【特許文献1】特開2006−75429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1のように、リングテープを芯地(裏地)と縫い付けた後に表地を全面接着して縫い目を隠す方法では、芯地と表地の双方を備えるカーテンにしか適用することができず、表地だけの一枚仕立てのカーテンには適用することができない。また、芯地と表地との間の全面に熱融着性材料を挟む必要があるためにコストが高くなってしまうと共に、芯地と表地の全面を熱融着する必要があるため、手間もかかる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされた発明であり、縫い目のピンホールを遮光することのできるカーテン縫製方法であって、低コストで表地だけの一枚仕立てのカーテンに対しても適用可能なカーテン縫製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るカーテン縫製方法は、縫い合わせる二枚の布に遮光テープの片側を重ねる重畳工程と、前記二枚の布を遮光テープと共に縫合する縫合工程と、前記遮光テープのもう一方側を折り返して前記縫合工程における縫い目を覆うように貼り付ける遮蔽工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る遮光カーテンは、表地と、前記表地の裏側に縫合されたリングテープと、前記表地と前記リングテープと一緒に片側を縫合された遮光テープであって、もう一方側が折り返されてこの縫合による縫い目を覆い隠すように貼り付けられている遮光テープと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るカーテン縫製方法によれば、カーテンを製造する際の縫い目のピンホールを遮光することができると共に、低コストで表地だけの一枚仕立てのカーテンに対しても適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態は、シェードカーテンの縁部の縫い目のピンホールと、リングテープを表地に縫い合わせた際の縫い目のピンホールとを遮光する場合を例に挙げて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る縫製方法を用いて製造された遮光カーテンの裏側の平面図である。図2は、図1に係る遮光カーテンの左上隅部分の拡大図、図3は、図1に係る遮光カーテンのリングテープ部分の拡大図である。
【0012】
本実施形態に係る遮光カーテン1は、表地5だけの一枚仕立てのシェードカーテンであり、図1に示すように、表地5の裏側には、縦方向に所定の間隔で、3つのリングテープ6が縫い付けられている。これらリングテープ6を取り付けるための縫い目を遮蔽してピンホールを遮光するために、遮光テープ10e〜10fが設置されている。
【0013】
また、表地5の四辺の縁部分は、それぞれ裏側に折り返されて縫い合わされているが、この縫い目を覆い隠してピンホールを遮光するために、遮光テープ10a〜10dが各四辺の縁部分に設置されている。
【0014】
図2に示すように、遮光カーテン1の左上隅部分では、表地5の左辺縁部が折り返された左辺折返し部5dと、表地5の上辺縁部が折り返された上辺折返し部5cにおいて、各折返し部5d,5cの縫い目20の上に遮光テープ10d,10cがそれぞれ貼り付けられている。なお、後述するように、遮光テープ10d,10cの片側は、折返し部5d,5cの間に挟まれて一緒に縫合されており、もう一方の側が折返し部5d,5cの上に折り返されて接着により貼り付けられている。また、縫い目20は、遮光テープ10の下側に隠れているので、図2では点線で示している。
【0015】
また、図3に示すように、リングテープ6は、幅広の第1テープ生地7の上に細い第2テープ生地8が重ねられた状態で、所定の間隔で第2テープ生地8が第1テープ生地に対して熱圧着されて(圧着部8a)形成されている。これにより、隣接する圧着部8aの間において、第1テープ生地7と第2テープ生地8とが接合されない状態となり、ここに図示しないリングを引っ掛けて設置することができる。
【0016】
そして、窓開口部の上部等に設置されたヘッドボックスから吊り下げられた昇降コードを順次リングに通しておけば、この昇降コードを引っ張り上げることで、遮光カーテン1が順次捲り上げられるように構成されている。なお、本実施形態では、リングテープ6の右側縁部のみが表地5に対して縦方向に縫い合わされているが、もちろん、両側を表地5に対して縫合するように構成しても良い。
【0017】
遮光テープ10fは、リングテープ6を表地5に縫い付けた際の縫い目20を覆うように貼り付けられている。なお、後述するように、遮光テープ10fの片側半分は、表地5とリングテープ6との間に挟まれて縫合されており、残りの片側半分が、リングテープ6の上に折り返されて貼り付けられている。また、縫い目20は、遮光テープ10下側に隠れているので、図3では点線で示している。
【0018】
続いて、図4を参照しながら、遮光テープ10の構成について説明する。図4は、遮光テープ10の構成を示す断面図である。同図に示すように、遮光テープ10は、四層構造となっており、上から、ポリエステル製の表地11、遮光フィルムからなる遮光層12、フッ素配合ポリウレタン製の裏層13、熱融着のためのホットメルトからなる糊層(接着層)14が配置されている。
【0019】
もちろん、遮光テープ10の構造は適宜変更可能であり、遮光機能を有する遮光層と、他の部材に貼り付けるための接着層とを有していれば良い。なお、遮光テープ10は、ロール状に巻いた状態で提供され、遮光カーテンの縫製時に、所定の必要な長さに裁断して用いるようにすれば良い。また、遮光テープ10には、中心線を軸に折り返すための切れ目が中心線上に形成されており、折返しが容易にできる。この切れ目は、表地11の層に入れられている。
【0020】
以上、本実施形態に係るカーテン縫製方法で製造された遮光カーテン1の構成について説明したが、続いて、遮光テープ10を取り付ける際の処理手順について、さらに図面を参照しながら詳細に説明する。図5は、表地の縁部分の縫い目に遮光テープを取り付ける際の状態を概略的に示すイメージ図であり、水平な断面での状態を示している。
【0021】
まず、表地5の縁部を折り返して縫い合わせる場合には、図5(a)に示すように、表地5の縁部を折り返すと共に、その折り返しにより挟まれた領域に遮光テープ10の片側を挟んだ状態で、折返し部分の縫合を行う。図5(a)には、この縫合による縫い目20を点線で示している。なお、遮光テープ10は、その糊層が図中の上側を向くように差し込まれる。
【0022】
続いて、図5(b)に示すように、遮光テープ10を中心線で折返して、縫い目20を覆い隠すように残りの片側半分を表地5の折返し部の上面に接触させた状態で、図中に矢印で示すように、上側からアイロンで押しつけて熱圧着を行う。アイロンの熱によって糊層14のホットメルトが溶解し、その後常温で固まることによって、遮光テープ10が表地5の縁部に接着される。
【0023】
そうすると、遮光テープ10の片側半分は、表地5の折返し部に挟まれた状態で表地5に縫合されると共に、遮光テープ10のもう一方の片側半分は、表地5の折返し部上に縫い目20を覆い隠すように接着固定される。このように、遮光テープ10を縫合及び接着により表地5にしっかりと固定しておけば、遮光カーテンの上げ下げを繰り返したりしても、遮光テープ10が剥がれてしまうといったことを防止できる。
【0024】
続いて、図6を参照しながら、リングテープ6の縫い目に遮光テープ10を取り付ける際の処理手順について説明する。図6は、リングテープの縫い目に遮光テープを取り付ける際の状態を概略的に示すイメージ図であり、水平な断面での状態を示している。
【0025】
まず、図6(a)に示すように、リングテープ6と表地5との間に遮光テープ10の片側半分を挟んだ状態で、リングテープ6、遮光テープ10及び表地5とを縫合する。図6(a)には、この縫合による縫い目20を点線で示している。なお、遮光テープ10は、その糊層が図中の上側(リングテープ6側)を向くように挟まれる。
【0026】
続いて、図6(b)に示すように、遮光テープ10を中心線の切れ目で折返して、リングテープ6の上に現れている縫い目20を覆い隠すように、もう一方の片側半分をリングテープ6の上側から接触させた状態で、図中に矢印で示すように、上側からアイロンで押しつけて熱圧着を行う。
【0027】
これにより、上記表地5の縁部の遮光の場合と同様に、遮光テープ10の片側半分がリングテープ6上の縫い目20を覆い隠すように接着固定され、縫い目20のピンホールから光が漏れるのを防止することができる。
【0028】
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係るカーテン縫製方法によれば、縫い合わせる二枚の布(遮光カーテン10の縁折返し部の表地5同士や、表地5とリングテープ6)に遮光テープ10の片側半分を重ねた状態でこれらを縫い合わせ、その後、遮光テープ10のもう一方側を折り返して縫い目20を隠すように貼り付けているので、縫合による縫い目20のポンホールを確実に遮光できると共に、縫合及び接着により遮光テープ10が縫い目20から剥がれることにないように強固に固定することができる。
【0029】
なお、本発明の実施の形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、シェードカーテンの縁部の折返し部分と、リングテープ部分の縫い目を遮光するケースを例に挙げて説明したが、本発明は、縫い目を遮光する必要がある種々の種類のカーテンに適用可能であることは言うまでもない。また、本発明は、リングテープ以外の部材をカーテンに縫い付ける際の縫い目にももちろん適用できる。また、本発明は、表地だけの一枚仕立てのカーテンだけでなく、裏地と表地等、二枚以上を貼り合わせるカーテンにも適用可能である。
【0030】
また、上記実施形態では、遮光テープに接着層を設けているが、別途接着フィルム等を用意し、遮光テープを貼り付ける際に間に挟んで接着するようにしても良いし、貼り付ける際に直接接着剤を塗るようにしても良い。
【0031】
また、上記実施形態では、遮光テープの片側半分を間に挟んでいるが、縫合される位置まで届くのであれば、挟む幅は適宜変更可能である。また、遮光テープの折返し部分も、縫い目の部分を折返して覆うことができるのであれば、折り返す幅は適宜変更可能である。もちろん、遮光テープの折り返し用の切れ目は無くても良いし、任意の位置に形成可能である。
【0032】
続いて、図7を参照しながら、本実施形態の変形例について説明する。図7は、本変形例に係る表地の縁部分の縫い目に遮光テープを取り付ける際の状態を概略的に示すイメージ図である。
【0033】
同図に示すように、本変形例では、折り返された表地5の間に遮光テープ10’を挟むのではなく、折り返した後に、折返し部の上に遮光テープ10’の片側を重畳させた上で、三枚を一緒に縫い合わせている。そして、縫い合わせ後に遮光テープ10’のもう一方の側を折返し、対向した遮光テープ10’の糊層同士を熱圧着により接着する。
【0034】
本変形例によれば、縫い合わされる二枚の布の間に遮光テープを挟んでいない分、固定の安定性では若干劣るが、上記実施形態と同様の作用効果により、縫い目のピンホールをしっかりと遮光することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本実施形態に係る縫製方法を用いて製造された遮光カーテンの裏側の平面図である。
【図2】図2は、図1に係る遮光カーテンの左上隅部分の拡大図である。
【図3】図3は、図1に係る遮光カーテンのリングテープ部分の拡大図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る遮光テープの構成を示す断面図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る表地の縁部分の縫い目に遮光テープを取り付ける際の状態を概略的に示すイメージ図である。
【図6】図6は、本実施形態に係るリングテープの縫い目に遮光テープを取り付ける際の状態を概略的に示すイメージ図である。
【図7】図7は、本実施形態の変形例に係る表地の縁部分の縫い目に遮光テープを取り付ける際の状態を概略的に示すイメージ図である。
【符号の説明】
【0036】
1 遮光カーテン
5 表地
6 リングテープ
10 遮光テープ
20 縫い目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫い合わせる二枚の布に遮光テープの片側を重ねる重畳工程と、
前記二枚の布を遮光テープと共に縫合する縫合工程と、
前記遮光テープのもう一方側を折り返して前記縫合工程における縫い目を覆うように貼り付ける遮蔽工程と、
を備えることを特徴とするカーテン縫製方法。
【請求項2】
前記重畳工程は、縫い合わせる二枚の間に前記遮光テープの片側を挟み込む工程であることを特徴とする請求項1記載のカーテン縫製方法。
【請求項3】
前記二枚の布は、表地とリングテープであることを特徴とする請求項1又は2記載のカーテン縫製方法。
【請求項4】
表地と、
前記表地の裏側に縫合されたリングテープと、
前記表地と前記リングテープと一緒に片側を縫合された遮光テープであって、もう一方側が折り返されてこの縫合による縫い目を覆い隠すように貼り付けられている遮光テープと、
を備えることを特徴とする遮光カーテン。
【請求項5】
前記遮光テープには、延在方向に沿って前記折返しのための切れ目が形成されていることを特徴とする請求項4記載の遮光カーテン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−297320(P2009−297320A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156153(P2008−156153)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【特許番号】特許第4198749号(P4198749)
【特許公報発行日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(508181076)株式会社マーメイド四国 (1)
【Fターム(参考)】