説明

カードに供給される繊維量を制御するための装置

【課題】後続のカードによる繊維材料要求が変化した結果として圧力および/または繊維材料の量が比較的大きく変動した場合にも綿塊の一様な供給を可能にすることを目的とする。
【解決手段】少なくとも1つのカードに供給される綿塊量を制御するための装置において、カードの前段に接続された空気圧式供給分配路内に圧力測定素子が内蔵されており、この圧力測定素子が圧力を電気信号(圧力実際値)に変換できるようになっていて、圧力測定素子の出力端が調節装置を介してフロックコンベヤ、たとえばクリアラの制御可能な駆動装置と接続されている。圧力測定素子と調節装置との間に制御装置(コンピュータ)が存在しており、これに圧力実際値に対する信号を入力することができ、当該制御装置内でΔp/Δtの微分により修正された圧力実際値に対する電気信号が形成されて調節装置に供給され得るようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのカードに供給される繊維量を制御するための装置であって、カードの前段に接続された空気圧式供給分配路内に圧力測定素子が内蔵されており、この圧力測定素子が圧力を電気信号(圧力実際値)に変換できるようになっており、さらに圧力測定素子の出力端が調節装置を介して綿塊搬送装置、たとえばクリアラの制御可能な駆動装置と接続されているものに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の装置において、カードに供給される繊維材料の量は目標値と実際値との比較により制御され、それによって前段に接続された開繊ローラの供給速度が調節される。この制御法では、パイプ内の残留量(すなわち制御干渉後になおもパイプ内に存在している繊維材料の量)に制約されてカード供給時に圧力変動が生じ、カードの綿塊供給装置内のフリース密度に影響する。最適な一様なフリース密度のために、これらの圧力変動はできるだけわずかでなければならない。設定された目標圧力に対する実際の圧力の偏差は、あらかじめ設定された平均値に対するオープナの材料供給速度の偏差の尺度をなす。このように各々の圧力値には、供給速度の固定値が割り当てられている。偏差が大きいと、圧力目標値に達した際に残留量に基づき生産量は顕著に高すぎるか、または低すぎる結果となる。それによって圧力信号は過剰制御し、好ましくない変動を来す。カードの数を減らすと、たとえば1個のカードのスイッチを切ると、供給分配路(パイプ)は短くなり、その結果として静圧が高くなる。圧力測定素子で測定された圧力実際値が高くなると、クリアラによって供給される綿塊の量は直ちに変化し、綿塊供給は残余のカードにとって十分な量に減少する。しかし、制御干渉(クリアラの供給速度の変化)の前にパイプに供給された綿塊はまだパイプ内に残っている。この場合、この多量の綿塊は繊維材料抵抗(空気出口開口部の断面積の減少)に基づき静圧の一層の増加を引き起こし、その結果として綿塊供給が所定の尺度を越えてさらに減少するという不都合を来すことが短所である。さらに、残余のカードに対する残留量は過大な綿塊量を形成することも不都合である。上述した問題は1個のカードを遮断した場合のみ生じるのではなく、すべての稼働しているカードによる繊維材料の要求の変動によっても生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第0303023号公報(EP0303023)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、上記の短所を回避して、特に後続のカードによる繊維材料要求が変化した結果として圧力および/または繊維材料量が比較的大きく変動した場合にも、綿塊の一様な供給を可能にする、冒頭に記載した種類の装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、本発明により請求項1の特徴部に記載された特徴によって解決される。
すなわち1番目の発明においては、少なくとも1つのカードに供給される繊維量を制御するための装置であって、カードの前段に接続された空気圧式供給分配路内に圧力測定素子が組み込まれており、この圧力測定素子が圧力を電気信号(圧力実際値)に変換できるようになっており、さらに圧力測定素子の出力端が調節装置を介して綿塊搬送装置の制御可能な駆動装置と接続されているものにおいて、圧力測定素子(8)と調節装置(11)との間に制御装置(10)(コンピュータ)が存在しており、この制御装置(10)に圧力実際値(p1)に対する信号を入力することができ、該制御装置(10)内でΔp/Δtの微分により修正された圧力実際値(p2)に対する電気信号(y)が形成されて調節装置(11)に供給され得ることを特徴とする装置が提供される。
【0006】
本発明の手段により、後続のカードによる繊維材料要求が変化した結果として圧力および/または繊維材料量が比較的大きく変動した場合にも、パイプに綿塊を一様に供給することに成功する。設定素子(前段に接続されたクリアラの供給ローラに対する駆動機構)はパイプ内に圧力の変化が生じる前に調節される。時間に対する圧力曲線の上昇に基づき、経時的に増加する圧力値、一定の圧力値または減少する圧力値が「先取り」され、それによって綿塊の供給が相応に調節される。圧力信号の勾配は、Δp/Δtの微分によって求められる。この勾配は、オープナの供給速度に追加的に影響するために使用される。それによって圧力信号に供給速度を固定して割り当てることは、部分的に解消される。なぜならば、圧力の上昇時には、圧力が下降する場合よりも低い供給速度が求められるからである。したがって現下の圧力値は供給速度を指定するのみではない。それによって、圧力信号の減衰も達成できる。
【0007】
本発明の有利な構成が、請求項2〜10に記載されている。
2番目の発明によれば、1番目の発明において、駆動装置(2a)が絶えず調節可能である。
3番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、供給分配路(5)の壁に圧力測定素子(8)が配置されている。
4番目の発明によれば、1番目から3番目のいずれかの発明において、圧力(p1)がアナログ電気信号(χ)の形で検出される。
5番目の発明によれば、1番目から4番目のいずれかの発明において、調節装置(11)に、圧力目標値(p3)に対する目標値設定器(12)が接続されている。
6番目の発明によれば、1番目から5番目のいずれかの発明において、圧力測定素子(8)が静圧(p1)を検出する。
7番目の発明によれば、1番目から6番目のいずれかの発明において、プレートセグメント(6e)の変位から電気信号を得て調節装置(11)に供給できる。
8番目の発明によれば、1番目から7番目のいずれかの発明において、目標圧力がファジー論理解析により変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ブロック線図で示された本発明による装置を有する紡績準備装置の概略的な側面図である。
【図2】可動なプレートセグメントを有するカードフィーダの部分図である。
【図3】ラップ厚に対する測定装置を有するトランペットを示す図である。
【図4】図4は、図1と同様のブロック線図で示された本発明の装置とともに、2個のカードを有する設備を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示す紡績準備設備において、繊維材料Fはベールオープナ(図示しない)から混打綿機(図示しない)を経てクリアラ1、たとえばツリュツラー社のCVT3に供給される。クリアラ1の最後のローラから開繊および浄綿された綿塊が空気圧によりパイプ2、じんあい捕集機3、たとえばツリュツラー社のDUSTEX DX、ファン4を経て空気圧式供給分配路5に搬送される。この供給分配路5にはカードフィーダ6、たとえばツリュツラー社の給綿装置DIRECTFEED DFKが接続され、カード7、たとえばツリュツラー社の高性能カードDK903へと続いている。
【0010】
供給分配路5の壁内には、圧力測定素子8が設けられている。圧力測定素子8は測定値変換器9と接続していて、この測定値変換器9が圧力実際値を電気信号に変換し、制御装置10、たとえばコンピュータに入力する。制御装置10ではΔp/Δtの微分により修正された圧力実際値に対する電気信号が形成されて電子調節装置11に供給される。さらに圧力目標値に対する入力装置12が存在し、制御装置10および調節装置11に接続されている。調節装置11から電気信号が後続の駆動装置20、たとえばクリアラ1の回転数可変なフィードローラ1a、1bに対する調節可能な電動モータに送られる。
【0011】
さらに図1、図2に示すように、カードフィーダ6は上側のリザーブシュート6aと下側のフィードシュート6bとを有しており、これらの間に低速で回転するフィードローラ6cと高速で回転するオープニングローラ6dとからなる綿塊搬送装置が配置されている。フィードローラ6cはカードフィーダ6の全幅にわたってセグメント化されたフィードプレート6eと協働する。フィードプレート6eのセグメントは、ばね力に抗して回転継手6fを中心に変位可能である。各々のプレートセグメントには変位センサ6gが付属しており、これは制御装置(コンピュータ)13を介して調節装置11に接続されている。このように構成することによって、搬送された繊維材料の質量の変化が検出されて、電気信号に変換される。
【0012】
図1、図3に示すように、カード7の出口にはトランペット14が存在し、その後段には2個のデリバリローラ15a、15bが配置されている。トランペット14は、ばね16によって負荷され回転継手18の回りで回転可能な触知片17を有している。この触知片17は、調節装置11と接続している誘導変位センサ19と協働する。このように構成することによって、繊維塊の厚さの変化が検出されて電気信号に変換される。
【0013】
図4に示す紡績準備機械は、図1に示した設備と等しく、同じ部材には同じ参照符号を付してある。クリアラ1、たとえばツリュツラー社のCLEANOMAT CVT4の後段には、空気圧パイプ2を介してコンデンサ28、フィリングシュート29および繊維材料輸送ファン30が接続されている。繊維材料輸送ファン30はパイプ31を介して綿塊を供給分配路5に搬送する。供給分配路5には2個のカードフィーダ61 および62 を介して2個のカード71 および72 が接続されている。
【0014】
圧力測定素子8は測定値変換器9および制御装置10、たとえばコンピュータを介して調節装置11と接続されており、この調節装置11には目標値設定器12が接続されている。調節装置11の後段にはクリアラ1のフィードローラ1a、1bに対する駆動装置20が配置されている。
【符号の説明】
【0015】
1 クリアラ
5 供給分配路
6 カードフィーダ
7 カード
8 圧力測定素子
10 制御装置
11 調節装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのカードに供給される繊維量を制御するための装置であって、カードの前段に接続された空気圧式供給分配路内に圧力測定素子が組み込まれており、この圧力測定素子が圧力を電気信号に変換できるようになっており、さらに圧力測定素子の出力端が調節装置を介して綿塊搬送装置の制御可能な駆動装置と接続されているものにおいて、圧力測定素子(8)と調節装置(11)との間に制御装置(10)が存在しており、この制御装置(10)に圧力実際値(p1)に対する信号を入力することができ、該制御装置(10)内でΔp/Δtの微分により修正された圧力実際値(p2)に対する電気信号(y)が形成されて調節装置(11)に供給され得ることを特徴とする装置。
【請求項2】
駆動装置(2a)が絶えず調節可能であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
供給分配路(5)の壁に圧力測定素子(8)が配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
圧力(p1)がアナログ電気信号(χ)の形で検出されることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
調節装置(11)に、圧力目標値(p3)に対する目標値設定器(12)が接続されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
圧力測定素子(8)が静圧(p1)を検出することを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
供給分配路に少なくとも1つの綿塊供給装置が接続されており、上側ボックスと下側ボックスとの間に、フィードローラと複数の可動なプレートセグメントからなるフィードプレートとが存在している請求項1から6までのいずれか1項記載の装置において、プレートセグメント(6e)の変位から電気信号を得て調節装置(11)に供給できることを特徴とする装置。
【請求項8】
目標圧力がファジー論理解析により変更可能であることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−149376(P2012−149376A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−67612(P2012−67612)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【分割の表示】特願2001−297929(P2001−297929)の分割
【原出願日】平成13年9月27日(2001.9.27)
【出願人】(590002323)ツリュツラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (85)
【Fターム(参考)】