説明

カードフラット用被覆部のための針布用支持部

【課題】固定作用をより強力にすると共に、破壊されることなしに針布用ワイヤを揺動させられる。
【解決手段】カードフラット用被覆部のための針布用支持部において、ベルト形状の支持部がプラスチック材料から形成されていて、少なくとも一つの補強用インサートがベース本体に埋め込まれていて、前記補強用インサートがベルト形状であって前記支持部の背部付近に配置されている。単純な手段により固定作用をより強力にすると共に破壊の欠陥を生じさせることなしに針布用ワイヤを揺動させるために、針布用支持部は、異なるプラスチック材料から構成されていて互いに連結された少なくとも二つの層(底部層および頂部層)を有しており、前記底部層は不織布から形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードフラット用被覆部のための針布用支持部に関する。特に、本発明は、ベルト形状の支持部がプラスチック材料から形成されていて、少なくとも一つの補強用インサートがベース本体に埋め込まれていて、補強用インサートがベルト形状であって支持部の背部付近に配置されている針布用支持部に関する。
【背景技術】
【0002】
実際には、可撓性針布はカード機のフラットのために主に使用されている。そのような針布は小型フックを備えている。これら小型フックは、弾性であって複数の織物層に対して設定されている。小型フックは、U字形状に湾曲していて膝部が設けられた、丸形または長円形のワイヤから形成されている。小型フックは、負荷を受けるときに湾曲すると共に、負荷が掛からないときに元位置まで回復する。(針布用支持部の)基礎部は、しばしばラバー層と組み合わされた複数の綿製織物層より形成されており、幅狭(51mm)または幅広(フラットの長さ程度に幅広)の連続したベルトの形態をなしている。丸形または長円形のワイヤから形成された小型の二重フックがそのような基礎部に押込まれている。基礎部の脚部には膝部が設けられており、基礎部は連結ブリッジを有している。膝部が必要であることによって、フックは湾曲した背部においてそれほど高くまで直立しないようになり、針布の間の間隔を小さくすることが可能になる。針布の把持作用を高めるために、先端の側部には通常は研削作用(側方研削)によりテーパが付けられている。さらに、先端の側部は硬化されている。フラット上における占有密度は、例えば6.45平方センチメートル(平方インチ)あたり、240−500本である。特に、動作時における望ましくない膨れが生じてカーディング用把持部が破損するのを回避するために、針布用支持部は寸法的に安定している必要がある。さらに、針布用支持部は、カーディングの力を受けたときに針布用ワイヤを確実に固定するのに十分な強度を有する必要があり、また、針布用ワイヤを降伏させてスプリングバックさせるために、針布用支持部は或る程度の弾力性を有する必要があると共に、穿孔に対して低抵抗である必要がある。
【0003】
公知の針布用支持部(特許文献1)は、適切な可塑剤(plasticisers)を備えた弾力性のある固体プラスチック材料、例えばポリ塩化ビニルまたはポリウレタンからなるベース本体から構成されている。織物層を具備する補強用インサートがベース本体に、或る場合には支持部の上方側部に近接して、他の場合には支持部の背部に近接して埋込まれている。そのような補強用インサートはプラスチック材料、例えばポリエステルより形成されている。針布用ワイヤはベース本体に固定されている。これら針布用ワイヤは、一方ではベース本体の弾性材料によって保持され、他方では織物のメッシュ織目に保持される。ベース本体はその全体が弾性プラスチック材料により形成されている。針布用ワイヤがベース本体の内側および外側で揺動するために弾力性が必要とされる。他方では、この弾力性は、針布用ワイヤの堅固な固定作用を弱め、それにより、二つの補強用織物がベース本体内に必要になると共に、針布用ワイヤが織物のメッシュ織目に保持されるようになる。補強用織物も支持部の上方側部の近傍に配置されていることは、固定する目的では、不利である。このことにより、中心領域、支持部の上方側部に近接した位置および支持部の外方においてベース本体内で針布用ワイヤが揺動するのを低下させる。針布用ワイヤは曲がる(buckle)場合があり、このことによって生産時に破壊が生じうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国公開公報第2921535号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、本発明の根底にある課題によって、前述した欠点を避け、単純な手段によって固定作用をより強力にすると共に、破壊されることなしに針布用ワイヤを揺動させられる、冒頭に紹介した種類の針布用支持部が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は請求項1の特徴部分により解決される。
すなわち1番目の発明によれば、カードフラット用被覆部のための針布用支持部であって、ベルト形状の前記支持部がプラスチック材料から形成されていて、少なくとも一つの補強用インサートがベース本体に埋め込まれており、前記補強用インサートはベルト形状であって前記支持部の背部付近に配置されている針布用支持部において、前記針布用支持部(16a)は、異なるプラスチック材料から構成されていて互いに連結された少なくとも二つの層(底部層23および頂部層24)を有しており、前記底部層(23)は不織布から形成されている、針布用支持部が提供される。
【0007】
本発明によれば、単純な手段によって固定作用をより強力にすると共に破壊の欠陥を生じさせることなしに針布用ワイヤを揺動させられる。ベース本体が少なくとも二つの層から構成されることによって、つまりベース本体が背部領域における少なくとも一つの底部層および上方側部領域における頂部層から構成されることによって、分離機能を良好に達成し、それにより、頂部層による強力な固定作用を達成できる。そのような機能を果たすために、底部層および頂部層は互いに異なるプラスチック材料から形成されている。針布用ワイヤが不織布層においてそれほど偏向しないので、底部層内の針布用ワイヤの堅固な固定作用が促進される。あらゆる補強用インサートが底部層に存在する結果として、固定作用はさらに補強される。有利には、不織布は交点を有していないので、穿孔に対する抵抗は低下する。最終的に、本発明に基づく針布用支持部は製品の品質を低費用で向上させられると共に、再現性のある品質(同一の製品特性)を達成できる。針布用支持部の品質(カードフラット材料の品質)は、カーディング時におけるフラット上の負荷および針布用支持部の製造時におけるフラット上の負荷に最適に適合される。
【0008】
請求項2から請求項33は本発明の有利な改良を包含する。
すなわち2番目の発明によれば、1番目の発明において、前記底部層(23)がポリエステル製不織布より形成されている。
3番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、前記ポリエステル製不織布はラテックスに含浸されている。
4番目の発明によれば、1番目から3番目のいずれかの発明において、前記不織布は機械的に硬化(consolidated)されている。
5番目の発明によれば、1番目から4番目のいずれかの発明において、前記不織布は貫通縫い合わせ(縫製)により硬化されている。
6番目の発明によれば、1番目から5番目のいずれかの発明において、前記被覆部は接着剤で硬化されている。
7番目の発明によれば、1番目から6番目のいずれかの発明において、前記不織布は熱処理により硬化されている。
8番目の発明によれば、1番目から7番目のいずれかの発明において、前記不織布はニードリング(needling)により硬化されている。
9番目の発明によれば、1番目から8番目のいずれかの発明において、前記頂部層(24)はポリウレタンより形成されている。
10番目の発明によれば、1番目から9番目のいずれかの発明において、前記ポリウレタンの層は約0.1mmから0.3mmの厚さである。
11番目の発明によれば、1番目から10番目のいずれかの発明において、前記ポリウレタンの層は、50から70、好ましくは60のショアー硬さAを有している。
12番目の発明によれば、1番目から11番目のいずれかの発明において、少なくとも一つの中間層(25)が前記底部層(23)と前記頂部層(24)との間に配置されている。
13番目の発明によれば、1番目から12番目のいずれかの発明において、前記中間層(25)はプラスチック材料より形成されている。
14番目の発明によれば、1番目から13番目のいずれかの発明において、前記中間層(25)は熱可塑性材料より形成されている。
15番目の発明によれば、1番目から14番目のいずれかの発明において、前記中間層(25)はポリ塩化ビニルより形成されている。
16番目の発明によれば、1番目から15番目のいずれかの発明において、前記ポリ塩化ビニルは、可塑剤を追加して使用される。
17番目の発明によれば、1番目から16番目のいずれかの発明において、前記ポリ塩化ビニルの層は、約0.6mmから1.0mm、好ましくは0.8mmの厚さである。
18番目の発明によれば、1番目から17番目のいずれかの発明において、前記ポリ塩化ビニルの層は、50から70、好ましくは66のショアー硬さAを有している。
19番目の発明によれば、1番目から18番目のいずれかの発明において、二つの補強用織物(27a、27b)が前記底部層(23)を通って延びている。
20番目の発明によれば、1番目から19番目のいずれかの発明において、ポリエステル製織物が補強用織物(27a、27b)として使用される。
21番目の発明によれば、1番目から20番目のいずれかの発明において、前記ポリエステル製織物が110dtexまたは1100dtex(dtex about 110 / dtex about 1100)の繊維を含んでいる。
22番目の発明によれば、1番目から21番目のいずれかの発明において、コーティング(26)が前記頂部層(24)上に存在している。
23番目の発明によれば、1番目から22番目のいずれかの発明において、前記コーティング(26)が表面コーティング用の組成物である。
24番目の発明によれば、1番目から23番目のいずれかの発明において、前記表面コーティング用の組成物が鋼に対して約0.18の低摩擦係数を有している。
25番目の発明によれば、1番目から24番目のいずれかの発明において、前記支持部(16a)は、約3.0mmから3.4mm、好ましくは3.2mmの厚さ(c)を有している。
26番目の発明によれば、1番目から25番目のいずれかの発明において、前記支持部(16a)は、3.0mmよりも小さい厚さ、好ましくは2.0mmよりも小さい厚さ(c)を有している。
27番目の発明によれば、1番目から26番目のいずれかの発明において、低延伸でかつ高強度のポリエステル製織物が使用されている。
28番目の発明によれば、1番目から27番目のいずれかの発明において、フィラメント織物が補強部(27a、27b)として使用されている。
29番目の発明によれば、1番目から28番目のいずれかの発明において、織布が補強部(27a、27b)として使用されている。
30番目の発明によれば、1番目から29番目のいずれかの発明において、ニットが補強部(27a、27b)として使用されている。
31番目の発明によれば、1番目から30番目のいずれかの発明において、前記コーティング(26)が耐付着性表面を形成している。
32番目の発明によれば、1番目から31番目のいずれかの発明において、前記層(23、24、25)が、付着性促進表面、例えば粗面を有している。
33番目の発明によれば、1番目から32番目のいずれかの発明において、前記後方側部には、活性化可能接着剤が設けられている。
【0009】
請求項34から請求項39は本発明の有利な実施形態を包含する。
すなわち34番目の発明によれば、カードフラット用被覆部のための針布用ストリップであって、ベルト形状の前記支持部がプラスチック材料から形成されていて、少なくとも一つの補強用インサートがベース本体に埋め込まれており、前記補強用インサートがベルト形状であって前記支持部の背部付近に配置されており、針布用ワイヤが1番目から33番目のいずれかの発明の前記支持部に挿入されて固定されている、針布用ストリップにおいて、前記針布用支持部(16a)は、異なるプラスチック材料から構成されていて互いに連結された少なくとも二つの層(底部層23および頂部層24)を有しており、前記底部層(23)は不織布から形成されている、針布用ストリップが提供される。
35番目の発明によれば、1番目から34番目のいずれかの発明において、頂部要素(16c)が前記支持部(16a)上に配置されている。
36番目の発明によれば、1番目から35番目のいずれかの発明において、前記頂部要素(16c)が金属箔製ストリップ、例えば鋼製バンドから構成されている。
37番目の発明によれば、1番目から36番目のいずれかの発明において、前記頂部要素(16c)および前記支持部(16a)が互いに連結されている。
38番目の発明によれば、1番目から37番目のいずれかの発明において、前記頂部要素(16c)および前記支持部(16a)が接着剤で互いに結合されている。
39番目の発明によれば、カードフラット用被覆部を含むフラットであって、ベルト形状の支持部がプラスチック材料から形成されていて、少なくとも一つの補強用インサートがベース本体に埋め込まれており、前記補強用インサートがベルト形状であって前記支持部の背部付近に配置されており、針布用ワイヤが、1番目から38番目のいずれかの発明の前記支持部に挿入されて固定されている、フラットにおいて、前記針布用支持部(16a)は、異なるプラスチック材料から構成されていて互いに連結された少なくとも二つの層(底部層23および頂部層24)を有しており、前記底部層(23)は不織布から形成されている、フラットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るフラットと針布用支持部と針布用ストリップとを備えたフラットカードの概略的側面図である。
【図2】回転カードトップのフラットと二つの側方滑り面の第一滑り面の一部とを示す図である。
【図3】針布用支持部の一部の長手方向断面図である。
【図4】(a)針布用ストリップ(針布用支持部および針布)の一部の長手方向断面図である。(b)(a)針布用ストリップ(針布用支持部および針布)の一部の横断方向断面図である。(c)メッシュ織目に保持された針布ワイヤを備えた補強用織物の一部を示す頂面図である。
【図5】カードフラット支持本体と針布用ストリップとを備えたカードフラットの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は以下において、図面中に示された代表的実施例に関して更に詳細に説明される。
図1は、送給ローラ1と、送給テーブル2と、テーカイン3a、3b、3cと、シリンダ4と、ドッファ5と、ストリッピング・ローラ6と、把持ローラ7、8と、ウェブ案内要素9と、ウェブ用ファネル10と、取出ローラ(供給ローラ)11、12と、カードトップ案内ローラ13a、13bおよびフラット14を備えた回転カードトップ13と、ケンス18と、ケンス用巻取器19とを備えた例えばTruetzschler フラット・カードTC 03などのフラット・カードを示している。各ローラの回転方向は、夫々の湾曲矢印により示される。符号Mはシリンダ4の中点(軸心)を表す。参照番号4aは針布を表し、4bはシリンダ4の回転方向を表す。符号Aは作用方向を表す。矢印Bはフラット14のカーディング位置における走行方向を表し、且つ、矢印Cはフラット14の戻り搬送方向を表す。各ローラ内に描かれた湾曲矢印は夫々のローラの回転方向を表す。
【0012】
図2によれば、フラットカードの各側において、数本の調節ネジを有する可撓屈曲部17がネジによって機械フレームの側方に固着されている。可撓屈曲部17は、凸状の外側面17aおよび下側面17bを有している。可撓屈曲部17の上方には、たとえば低摩擦プラスチック材料から成る第1滑り面20が在り、この第1滑り面20は凸状外側面20aおよび凹状内側面20bを有している。(機械の他側上の)第2滑り面は図示しない。凹状内側面20bは、凸状の外側面17a上に位置する。カードフラット14は両端部のそれぞれにてカード・フラット・ヘッドを有し、該ヘッドに対しては2本の鋼鉄ピン15*、15**が軸方向に固着されている。これら鋼鉄ピンは滑り面20の凸状外側面20a上で矢印Bの方向に摺動する。支持部材15の下側表面上にはカードフラット針布16が取付けられている。参照番号21は、カードフラット針布16の最近接位置における歯先円を表す。その円周部上において、シリンダ4はたとえば鋸歯針布などのシリンダ針布4aを有している。参照番号22は、シリンダ針布4aの歯先円を表す。歯先円21と歯先円22との間の距離は符号aにより表され、たとえば0.20mmである。凸状外側面20aと歯先円22との間の距離は、符号bにより表される。凸状外側面20aの半径はr1により表され、歯先円22の半径はr2により表される。半径r1およびr2は、シリンダ4の中心点M(図1参照)で交差する。
【0013】
図3に示される針布用支持部16bは三つの層23、24、25を有しており、これら層は互いに積層されると共に互いに連結されている。底部層23と頂部層24との間には中間層25が位置している。薄寸コーティング26が頂部層24上に配置されている。底部層23内には、比較的厚さが小さくて互いに平行な二つの補強用織物27a、27b(張力担持用織物)が設けられている。特別の要求に適合させるために、層24、25、26を極めて多様な厚さの値で形成することができる。
【0014】
針布用支持部の構造は以下において実施例により与えられるが、本発明はそのような実施例に限定されるものではない。
底部層23:二層のポリエステル張力担持織物6/2を備えたラテックス含浸ポリエステル不織布、110dtexまたは1100dtex(dtex110/dtex1100)。
中間層25:ポリ塩化ビニル製、厚さ約0.8mm、ショア硬さA約66。
頂部層24:ポリ塩化ビニル製、厚さ約0.2mm、ショア硬さA約60。
コーティング26:鋼に対して約0.18の低摩擦係数を有する表面コーティング組成物。
【0015】
底部層23(不織布層)の厚さdを変更した結果もしくは中間層25の厚さfまたは頂部層24の厚さeを変更した結果、針布用支持部16aの厚さcを変更できる。厚さcは例えば3.2mmである。しかしながら、例えば厚さの比較的小さい針布16bの場合には、例えば針布用支持部16a(カードフラット材料)の費用を下げるために、厚さcを3.2mmよりも小さく形成するようにしてもよい。
【0016】
図4(a)および図4(b)によれば、針布用ストリップ16’は、図3に基づく針布用支持部16aから形成されており、多数の針布用ワイヤ16bが針布用支持部16a内に挿入されて固定されている。針布用ワイヤ16bは、針布用支持部16aの後側から針布用支持部16a全体に通過しており、その自由端(先端)が頂部層26から突出している。針布用ワイヤ16bは補強用織物27a、27bのメッシュ織目に保持される(図4(c)を参照されたい)。
【0017】
図5によれば、カードフラット14はカード・フラット支持部材15および針布要素16から成る。針布要素16は、カード・フラット支持部材15に着脱可能(可逆的)に取付けられている。カード・フラット支持部材15は、カード・フラット脚部15aとカード・フラット背部15bとを備える形状化カード・フラット部材15’を含んでいる。たとえば押出し成形されたアルミニウム、圧縮成形されたプラスチックなどから作成された長寸の形状化カード・フラット部材15’の2つの端部のそれぞれにおいては、カード・フラット・ヘッドが存在している。図2に係る実施例によれば、これらカード・フラット・ヘッドのそれぞれは、2本のカード・フラット・ピン15*および15**を備えている。フラット15bから離間した側において、カード・フラット脚部15a上には2つのアーム15h、15iが長手方向に配置されており、それにより、カード脚部表面15cの領域においては二段凹所15d、15eが存在している。カード・フラット支持部材15は、たとえば磁気バンド、磁気ストリップ、磁気バーなどの磁気要素15fを更に含んでおり、磁気要素15fは、頂面15f1を介して接着剤層15gにより上側凹所15dにおけるカード脚部表面15cに締着される。前記カード・フラット支持部材の(シリンダ4の幅方向にみた)長さは、たとえば1mである。
【0018】
針布要素16は、プラスチック材料であるストリップ形態の針布用支持部16a(針布担体要素)とカードフラット針布16bとから成る針布用ストリップ16’を備える。カードフラット針布16bは針布先端19(小型ワイヤ・フック)を備えており、概ねU形状であるこれら小型ワイヤ・フックは、面16a1を通って押圧されることにより支持部16aに固定される。前記小型ワイヤ・フックが屈曲する領域は、面16a1を越えて突出する。小型ワイヤ・フック19の端部、すなわち針布先端は、面16a2を越えて突出していて拘束されていない。前記小型ワイヤ・フックは鋼鉄ワイヤから成る。針布要素16は更に、たとえば鋼鉄シートストリップ、鋼鉄バンドなどの頂部要素16cを含んでおり、頂部要素16cの底面16c2は例えば接着剤層である接続中間層16dによって針布用支持部16aの頂面16a1に固定される。16d1は中間層16dの頂面を表し且つ16d2は底面を表す。針布用ストリップ16’、中間層16dおよび頂部要素16cを備えた針布要素16’は凹所15e内に固定されることから、カードフラット針布16bのみがカード・フラット脚部15aの底面を越えて突出する。この固定作用は、頂部要素16c(鋼製ストリップ)の頂面16c1が磁気要素15f(取付面)の底面15f2と平坦に当接する様に、行われる。カードフラット支持部材15と針布要素16との間における確定的固定接続は、作動時に安定する。カードフラット針布16b上に作用するカーディング力は、フラット脚部15aにおけるアーム15h、15iにより吸収かつ補償される。
【0019】
本願明細書における不織布は、DIN61210の定義に基づいて、繊維状ウェブの硬化により生じた可撓性織物として理解されたい。繊維状ウェブは、一般的に繊維自体の接着力により一緒に保持された紡織繊維からなる織布配列体である。しかしながら、繊維ウェブが補強の目的で糸配列体または繊維配列体を具備するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 送給ローラ
2 送給テーブル
3a、3b、3c テーカイン
4 シリンダ
4a シリンダ針布
5 ドッファ
6 ローラ
7、8 把持ローラ
9 ウェブ案内要素
10 ウェブ用ファネル
13 回転カードトップ
13a、13b カードトップ案内ローラ
14 フラット
15 フラット支持部材
15’ フラット部材
15a フラット脚部
15b フラット背部
15c カード脚部表面
15d、15e 凹所
15f 磁気要素
15f1 頂面
15f2 底面
15g 接着剤層
15h、15i アーム
16 針布要素
16’ 針布要素、針布用ストリップ
16a 針布用支持部
16a1 頂面
16b カードフラット針布
16c 頂部要素
16c1 頂面
16c2 底面
16d 中間層
17 可撓屈曲部
17a 外側面
17b 下側面
19 フック
20 滑り面
20a 凸状外側面
20b 凹状内側面
21、22 歯先円
23 底部層
24 頂部層
25 中間層
26 頂部層、コーティング
27a、27b 補強用織物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードフラット用被覆部のための針布用支持部であって、ベルト形状の前記支持部がプラスチック材料から形成されていて、少なくとも一つの補強用インサートがベース本体に埋め込まれており、前記補強用インサートはベルト形状であって前記支持部の背部付近に配置されている針布用支持部において、
前記針布用支持部(16a)は、底部層と、頂部層と、前記底部層および前記頂部層の間に位置する中間層とを含んでおり、
前記底部層はラテックスに含浸されたポリエステル不織布より形成されており、
前記頂部層はポリ塩化ビニルから形成されている、針布用支持部。
【請求項2】
前記不織布は機械的に硬化されている請求項1に記載の針布用支持部。
【請求項3】
前記不織布は貫通縫い合わせ(縫製)により硬化されている請求項1に記載の針布用支持部。
【請求項4】
前記不織布は熱処理により硬化されている請求項1に記載の針布用支持部。
【請求項5】
前記不織布はニードリングにより硬化されている請求項1に記載の針布用支持部。
【請求項6】
前記中間層(25)はポリ塩化ビニルより形成されている請求項1に記載の針布用支持部。
【請求項7】
二つの補強用織物(27a、27b)が前記底部層(23)を通って延びている請求項1から6のいずれか一項に記載の針布用支持部。
【請求項8】
ポリエステル製織物が補強用織物(27a、27b)として使用される請求項7に記載の針布用支持部。
【請求項9】
前記ポリエステル製織物が110dtexまたは1100dtex(dtex about 110 / dtex about 1100)の繊維を含んでいる請求項8に記載の針布用支持部。
【請求項10】
コーティング(26)が前記頂部層(24)上に存在している請求項1から9のいずれか一項に記載の針布用支持部。
【請求項11】
前記コーティング(26)が表面コーティング用の組成物である請求項10に記載の針布用支持部。
【請求項12】
前記表面コーティング用の組成物が鋼に対して0.18の低摩擦係数を有している請求項11に記載の針布用支持部。
【請求項13】
低延伸でかつ高強度のポリエステル製織物が使用されている請求項8に記載の針布用支持部。
【請求項14】
フィラメント織物が補強部(27a、27b)として使用されている請求項7に記載の針布用支持部。
【請求項15】
織布が補強部(27a、27b)として使用されている請求項7に記載の針布用支持部。
【請求項16】
ニットが補強部(27a、27b)として使用されている請求項7に記載の針布用支持部。
【請求項17】
前記コーティング(26)が耐付着性表面を形成している請求項10に記載の針布用支持部。
【請求項18】
前記層(23、24、25)が、付着性促進表面を有している請求項1に記載の針布用支持部。
【請求項19】
カードフラット用被覆部のための針布用ストリップであって、ベルト形状の前記支持部がプラスチック材料から形成されていて、少なくとも一つの補強用インサートがベース本体に埋め込まれており、前記補強用インサートがベルト形状であって前記支持部の背部付近に配置されており、針布用ワイヤが請求項1から18のいずれか一項に記載の前記支持部に挿入されて固定されている、針布用ストリップにおいて、
前記針布用支持部(16a)は、異なるプラスチック材料から構成されていて互いに連結された少なくとも底部層(23)および頂部層(24)を有しており、前記底部層(23)は不織布から形成されている、針布用ストリップ。
【請求項20】
頂部要素(16c)が前記支持部(16a)上に配置されている請求項19に記載の針布用ストリップ
【請求項21】
前記頂部要素(16c)が金属箔製ストリップから構成されている請求項20に記載の針布用ストリップ
【請求項22】
前記頂部要素(16c)および前記支持部(16a)が互いに連結されている請求項20または21に記載の針布用ストリップ
【請求項23】
前記頂部要素(16c)および前記支持部(16a)が接着剤で互いに結合されている請求項22に記載の針布用ストリップ
【請求項24】
カードフラット用被覆部を含むフラットであって、ベルト形状の支持部がプラスチック材料から形成されていて、少なくとも一つの補強用インサートがベース本体に埋め込まれており、前記補強用インサートがベルト形状であって前記支持部の背部付近に配置されており、針布用ワイヤが、請求項1から23のいずれか一項に記載の前記支持部に挿入されて固定されている、フラットにおいて、
前記針布用支持部(16a)は、異なるプラスチック材料から構成されていて互いに連結された少なくとも底部層(23)および頂部層(24)を有しており、前記底部層(23)は不織布から形成されている、フラット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−117199(P2012−117199A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−23879(P2012−23879)
【出願日】平成24年2月7日(2012.2.7)
【分割の表示】特願2007−99593(P2007−99593)の分割
【原出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(590002323)ツリュツラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (85)
【Fターム(参考)】