説明

カードリーダ

【課題】 電源ケーブルが装置の設置などにおいて邪魔にならないようにする。
【解決手段】 電源ケーブル3を接続するためのインレット4を備えるカードリーダ1において、電源部および直線状に配置された周辺機器を収容する下ケース7と、カードリーダ部を収容する上ケースと、インレット4に接続される電源ケーブル3を差し込む凹部9とを備える。そして、この凹部9には、インレット4に接続された状態の電源ケーブル3のプラグ部3aを離脱方向には妨げとなる係止部材31を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源部に外部から電源ケーブルを接続するためのインレットなどを有するカードリーダに関する。さらに詳述すると、本発明は、電源ケーブルをカードリーダ本体から不用意に脱落しないように固定するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
カードリーダなどの殆どの電気機器では、電源ケーブルやインターフェースケーブルのような外部との接続コードが使用される。これらの接続コードは、電気機器の装置本体の正面にあると見栄えが悪く、側部や上部にあると設置の邪魔になることから、装置本体の後部から真っ直ぐ後方に向けて鼠の尻尾のように突出しているものが多い(特許文献1)。
【0003】
また、カードリーダなどの電気機器では電源ケーブルのコネクタ(プラグ部)がインレットに接続して使用されるものがあり、このような場合において接続されたコネクタが不用意に脱離しないように固定するコネクタ支持手段を有するものもある(特許文献1)。
【0004】
この固定構造は、本体ケース外壁面部に接続用コネクタを設け、この接続用コネクタにケーブルコネクタ(以下、コネクタという)を接続するようにし、このコネクタを係止するため、本体ケースに、取付部と係止部とを有する金属薄板製の固定部材を取付部の長孔を通してねじ止めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−168516
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、接続コードが装置本体の後部から真っ直ぐ後方に向けて突出しているので、当該電気機器の設置方向に制約が生じてしまったり、あるいは電気機器の後方に空間を必要として設置場所が限定されてしまう。
また、突出する接続コードが電源ケーブルである場合、抜き差しタイプではなく、ユーザより電源ケーブルの長さ、色等や、適合規格を指定することもある。この場合には、簡単に電源ケーブルを交換できないことにより管理上コスト負担となる機種が増えてしまう虞がある。
【0007】
また、本体ケース外壁面部に接続用コネクタを設け、この接続用コネクタにコネクタを接続するようにしているため、コネクタが本体ケース外方に突出してしまう。そして、このコネクタを固定部材(係止部材)で係止するため、固定部材が本体ケース外方に延びてかなりのスペースを要する。また、装置本体を壁等の前に設置した場合、装置後部から延び出た電源ケーブルが壁等に当たって折れ曲がり発熱したり断線したりする虞がある。
【0008】
さらに、本体ケースに固定部材の取付部をねじ止めするため、工具を使って取付作業を行う必要があると共に、ねじの脱落や、固定部材の紛失の虞がある。
また、上記固定部材に外力、例えば、鉛直下方に力が加えられると容易に変形する可能性がある。
【0009】
そこで、本発明は、電源ケーブルがカードリーダ本体の設置などにおいて邪魔になることの無いカードリーダを提供することを目的とする。
また、本発明は、カードリーダ本体から電源ケーブルのプラグ部を突出させることなく、インレットに接続されたプラグ部が不用意に脱離しないように固定できるカードリーダを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、小スペースに配置でき、かつ、工具を用いる取付作業を必要としない係止部材を有するカードリーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明は、電源部と、該電源部に外部から電源ケーブルを接続するためのインレットなどの周辺機器と、カードリーダ部とを有するカードリーダにおいて、電源部および直線状に配置された周辺機器を収容する下ケースと、カードリーダ部を収容する上ケースと、インレットに接続される電源ケーブルを差し込む凹部とを備えるようにしている。
【0011】
したがって、電源ケーブルのインレット近傍の硬い部位(プラグ部)は凹部に入り込んでいるので、凹部から引き出された電源ケーブルは柔軟なものとなり装置からの突出方向を後方や側方など、自由に変更することができる。また、インレットを使用しているので、規格の異なる種々の電源ケーブルを使用することができる。さらに、電源部の周辺機器が直線状に配置されているので、ノイズの発生しやすい1次電源側の内部配線ケーブルを極力短くすることができ、ノイズの発生を最小限に抑えることができる。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のカードリーダにおいて、電源部および周辺機器とカードリーダ部とを隔てると共に、これらを機械的に支持して尚且つ電気的に接続するベースプレートを有するようにしている。したがって、ベースプレートにより電気的な接続を行っているので、配線を最低限に減らすことができると共に電源部や周辺機器からのノイズがカードリーダ部に飛ばないように遮蔽してカードリーダのノイズ発生を抑制することができる。
【0013】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載のカードリーダにおいて、周辺機器に設けられたショートバーを下ケースの外部から操作するための操作穴と、該操作穴を塞ぐ脚部材とを備えるようにしている。したがって、下または上ケースを取り外すことなくショートバーを操作することができるようになる。
【0014】
さらに、請求項4記載の発明は、前記インレットに接続された前記電源ケーブルのプラグ部を係止する係止部を有する係止部材を前記凹部に設けることにしている。
したがって、凹部のインレットに電源ケーブルのプラグ部を差し込み、このプラグ部を係止部材の係止部により係止して固定できる。これにより、電源ケーブルが引抜き方向に引っ張られても、インレットからプラグ部が外れることがない。
なお、電源ケーブルのプラグ部は、電源ケーブルの一部として一体に形成されたものでも、別体で接続されたものでもよい。
【0015】
さらに、請求項5記載の発明は、請求項4記載のカードリーダにおいて、前記係止部材は、前記凹部に回動可能に取付けられ、かつ、前記係止部が自由端であることにしている。
したがって、係止部材を回動させて係止部をプラグ部に係止できるので、係止部材を小スペースに設けることができ、かつ、係止部材を手指で回動操作できる。
【0016】
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載のカードリーダにおいて、前記係止部材の回動中心に対して前記係止部の前記プラグ部を係止する位置が前記電源ケーブル側となることにしている。
したがって、係止部は引き抜き方向の力が加わっても、電源ケーブル側に回動するようにできるので、プラグ部に係止した係止部が外れることがない。
【0017】
また、請求項7記載の発明は、請求項6記載のカードリーダにおいて、前記係止部材の回動範囲を規制するストッパをさらに有することにしている。
したがって、ストッパは係止部材の回動を所定の範囲に規制するので、プラグ部の引き抜き方向の移動を一定にできる。
なお、ストッパは電源ケーブルの中心線に近い位置に設けるのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
しかして、請求項1記載のカードリーダによれば、電源ケーブルのインレット近傍の硬い部位(プラグ部)は凹部に入り込んでいるので、凹部から引き出された電源ケーブルは柔軟なものとなりカードリーダからの突出方向を後方や側方など、自由に変更することができる。このため、カードリーダの設置場所の自由度を高めることができる。しかも、インレットを本体に内蔵しているので、電源ケーブルが本体から突出せずカードリーダ全体をコンパクトに収めることができる。
【0019】
また、インレットを使用しているので、規格の異なる種々の電源ケーブルを使用することができる。よって、カードリーダの汎用性を高めることができる。さらに、電源部の周辺機器が直線状に配置されているので、ノイズの発生しやすい1次電源側の内部配線ケーブルを極力短くすることができる。これにより、ノイズの発生を最小限に抑えることができるので、カードリーダ部の作動の信頼性を高めることができる。
【0020】
また、請求項2記載のカードリーダによれば、ベースプレートにより電気的な接続を行っているので、配線を最低限に減らすことができると共にノイズ発生を抑制することができる。
【0021】
さらに、請求項3記載のカードリーダによれば、下または上ケースを取り外すことなくショートバーを操作することができるようになるので、カードリーダの検査を容易に行うことができる。
【0022】
さらに、請求項4記載のカードリーダによれば、凹部のインレットに電源ケーブルのプラグ部を差し込み、このプラグ部を係止部材の係止部により係止して固定できるので、電源ケーブルが引抜き方向に引っ張られても、インレットからプラグ部が外れることがない。
また、電源ケーブルのプラグ部がカードリーダ外方に突出しないので、電源ケーブルの断線が防止される。
【0023】
また、請求項5記載のカードリーダによれば、係止部材を回動させて係止部をプラグ部に係止できるので、係止部材を小スペースに設けることができ、かつ、係止部材を手指で回動操作できる。
【0024】
さらに、請求項6記載のカードリーダによれば、係止部は引き抜き方向の力が加わっても、電源ケーブル側に回動するようにできるので、プラグ部に係止した係止部が外れることがない。
【0025】
さらに、請求項7記載のカードリーダによれば、ストッパは係止部材の回動を所定の範囲に規制するので、プラグ部の引き抜き移動を一定にできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のカードリーダの上ケースとベースプレートを外した時の下ケースを示す平面図である。
【図2】カードリーダの上ケースを外した時の下ケースを示す縦断面側面図である。
【図3】カードリーダを示す底面図である。
【図4】カードリーダを示す側面図である。
【図5】カードリーダを示す正面図である。
【図6】インレットに差し込まれたプラグ部に係止部を係止した状態を示すカードリーダの底面図で、要部のみを示す。
【図7】上ケースを外して凹部に係止板を配置したカードリーダのコネクタ部分を示す縦側断面図である。
【図8】凹部に係止板を配置した第2の実施例に係るカードリーダを示す側面図である。
【図9】インレットに差し込まれたプラグ部に係止部を係止した状態を示すカードリーダの底面図で、プラグ部を固定するストッパを設けた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0028】
(第1の実施形態)
図1から図5に、本発明のカードリーダに係る第1の実施形態の一例を示す。このカードリーダ1は、電源部2と、該電源部2に外部から電源ケーブル3を接続するためのインレット4などの周辺機器5と、カードリーダ部6とを有するものである。このカードリーダ1は、電源部2および直線状に配置された周辺機器5を収容する下ケース7と、カードリーダ部6を収容する上ケース8と、インレット4に接続される電源ケーブル3を差し込む凹部9とを備えるようにしている。
【0029】
凹部9は下ケース7の下面7aに開口している。このため、電源ケーブル3のインレット4の近傍の硬い部位(プラグ部)3aは凹部9に入り込んでいるので、凹部9から引き出された電源ケーブル3の部位3bは柔軟なものとなり装置からの突出方向を後方や側方など、自由に変更することができる。
【0030】
インレット4はアメリカ使用あるいはヨーロッパ使用等のタイプの異なる電源ケーブル3に対応するものとしている。このため、使用可能な地域が広がり、カードリーダの汎用性を高めることができる。このインレット4は、下ケース7の底部に埋め込まれるように配置されている。また、インレット4は装置の奥行方向のほぼ中央部に後方向きに配置されている。よって、電源ケーブル3を長手方向にして設けることができる。
【0031】
各ケース7,8はプラスチック製としている。下ケース7の下面7aには脚部材10,11が設けられている。脚部材としてはゴム足10あるいは下ケース7の突出部11としている。下ケース7の下面7aからの脚部材10,11の高さは電源ケーブル3の直径より大きくしている。これにより、電源ケーブル3は下ケース7の下面7aと床面とに挟まれて固定されることなく各方向に向けることができる。
【0032】
下ケース7に収容される周辺機器5は、インレット4の他に、電源スイッチ12と、ヒューズ13と、雷サージ基板14としている。インレット4が後方向きであるために、電源スイッチ12は装置の後部、ヒューズ13および雷サージ基板14は装置の前部に設けられている。これらの周辺機器5の接続は、図1に示すようにインレット4→電源スイッチ12→ヒューズ13→雷サージ基板14となっている。さらに、雷サージ基板14の出力コネクタ15と電源部2の入力コネクタ16とが接続されている。これら出力コネクタ15と入力コネクタ16とは近接した位置に設けられている。よって、これらを接続する接続コードでのノイズの発生を極力抑えることができる。なお、図中、符号19は雷サージ基板14の入力コネクタである。
【0033】
また、周辺機器5の一部、例えば雷サージ基板14にショートバー17が設けられている。このショートバー17を雷サージ基板14に接触させることにより内部回線を電気的にショートさせて絶縁試験および耐圧試験を行うことができる。下ケース7には、ショートバー17を下ケース7の外部から操作するための操作穴18と、該操作穴18を塞ぐ脚部材10とを備えるようにしている。これにより、下ケース7,上ケース8を取り外すことなくショートバー17を操作することができるので、良好な検査、生産性を得ることができる。ここでの脚部材としてはゴム足10を使用している。
【0034】
電源部2はAC/DC変換を行ってノイズの無い整流を得ている。電源部2の出力部20はカードリーダ部6に接続されている。
【0035】
電源部2および周辺機器5とカードリーダ部6とはベースプレート21に隔てられると共にねじ22等により機械的に支持されている。また、このベースプレート21は、電源部2および周辺機器5とカードリーダ部6とを電気的に接続している。このため、ベースプレート21によりFG(Frame Ground)接続を行っているので、配線を最低限に減らすことができると共に電源部2や周辺機器5からのノイズがカードリーダ部6に飛ばないように遮蔽してカードリーダ1のノイズ発生を抑制することができる。
【0036】
インレット4およびヒューズ13はインレットブラケット23に支持されている。雷サージ基板14はインレットブラケット23にFG接続されている。すなわち、インレットブラケット23は基板固定とアース機能を有している。電源部2は雷サージ基板14にコネクタ配線によりFG接続されている。インレットブラケット23はベースプレート21にねじ止めされている。
【0037】
インターフェース部24は装置の後部に設けられている。インターフェース基板25はインターフェースブラケット26にFG接続されている。このインターフェースブラケット26は基板固定とアース機能を有している。インターフェースブラケット26はベースプレート21にねじ止めされている。インターフェースコネクタ27は装置の後部に下向きに配置されている。
【0038】
カードリーダ部6は、図2に示すようにベースプレート21に戴置されることにより接続されている。
【0039】
下ケース7の凹部9は、電源ケーブル3を把持した手指が邪魔にならない程度の幅に設けられている。これにより、電源ケーブル3の抜き差しの操作性を担保することができる。
【0040】
カードリーダ1の前部にはフロントカバー28が設けられている。このフロントカバー28には、図5に示すようにカード挿入口29とLED表示部30とが設けられている。LED表示部30は、例えばPower、Ready、Error等の表示を行うようにする。
【0041】
上ケース8の上面8aは、図4に示すように水平面とされている。よって、この上面8aに例えばIDカード用の各種端末機器を載せて使用することができるので、省スペース化を図ることができる。また、装置全体がほぼ直方体の箱型になるので、梱包しやすくなる。
【0042】
上述したカードリーダ1を設置する際は、電源ケーブル3を凹部9に入れてインレット4に挿入する。このとき、凹部9の幅は電源ケーブル3を把持した手指が入るように十分に確保されているので、良好な操作性で作業を行うことができる。
【0043】
接続した電源ケーブル3は、凹部9から引き出して後方や側方に自由に向けることができる。よって、カードリーダ1の設置場所の自由度を高めることができる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、図6〜図8に第2の実施形態を示す。尚、第1の実施形態と同じ構成要素については同じ符号を使用し図示及びその説明を省略する。
【0045】
下ケース7の下面7aにはインレット4に電源ケーブル3のプラグ部3aを手指で持って差し込める程度の凹部9が形成されている。
【0046】
図6に示すように、凹部9の上壁9aには係止板31がリベット32をかしめて軸支されている。係止板31は、その自由端に係止部31aが起立して形成されていると共に、他端に当接部31bが形成されている。係止板31は操作者の手指で退避位置(2点鎖線)と固定位置(実線)との間をリベット32を回動軸として回動できるようになっている。この係止板31は、固定位置に回動させられたときに、電源ケーブル3の比較的硬くかつプラグ部3aを引き抜く方向において対向する部位、例えばプラグ部3aの肩部分に当接するように配置されている。本実施形態では、係止位置31は、金属製であるがケーブル抜け外れを防止するに十分な強度が得られるのであればプラスチック製でも、あるいはその他の材料でもかまわない。
【0047】
また、凹部9の上壁9aにはストッパ33が固定されており、このストッパ33は係止板31の当接部31bに当接してそれ以上係止板31が旋回しないように設けられている。
なお、係止板31の回動中心に対して係止部31aのプラグ部3aを係止する位置が電源ケーブル3側にA寸法分シフトして設けられており、電源ケーブル3が引っ張られて、係止部31aに力が加わったとき、係止板31が電源ケーブル3側に回動してより一層喰い込み、プラグ3aの抜け外れを防止する。
【0048】
上記構成において、カードリーダ1の係止板31を退避位置とした状態で、凹部9のインレット4に電源ケーブル3のプラグ部3aを手指で持って差し込む。
【0049】
次に、係止板31を手指で退避位置から固定位置に回転させて、係止部31aをプラグ部3aの比較的硬さのある部位である肩に係止し、かつ、当接部31bをストッパ33に当接させる。これにより、プラグ部3aはインレット4と係止部31aとによって固定される。
このストッパ33は、電源ケーブル3未挿入時の係止板31の無用な回転の防止することや、電源ケーブル3固定位置を一定にすることで、操作者によるストッパ33の固定位置のバラツキを回避している。さらに、電源ケーブル3が抜け方向に強引に引っ張られた場合、ストッパ33がないと、係止板31の回転中心であるリベット32だけに力が加わることになるため、破損する恐れがある。そのため、ストッパ33により抜け方向の力を分散させる狙いもある。
なお、本実施形態では、ストッパ33は、当接部31bに当接させているが、必ずしも当接させる必要はない、また、ストッパ33を設けなくてもよい。
また逆に、係止板31を手指で固定位置から退避位置に回動させて、インレット4に接続されたプラグ部3aの肩から係止部31aを外してから、インレット4からプラグ部3aを手指で持って引き抜く。
【0050】
上述したように、本実施形態のカードリーダ1は、係止板31を凹部9の上壁9aにリベット32をかしめて軸支し、係止板31を凹部9の小スペースに縦・横等の設置場所を選ばず配置でき、かつ、係止部31aを手指で回動操作できる。したがって、工具等を必要とせず、電源ケーブル3のプラグ部3aをインレット4に容易に差し抜きできる。さらに、係止板31が脱落・紛失する虞がない。
【0051】
また、本実施形態のカードリーダ1は、係止板31の回動中心に対して係止部31aのプラグ部3aを係止する位置が電源ケーブル3側にシフトして設けられ、ケーブル引抜き方向の力が加わった場合、係止板31が電源ケーブル3側に回動するようになっているので、インレット4に接続されたプラグ部3aを固定状態に確実に維持できる。
【0052】
また、本実施形態のカードリーダ1は、凹部9に電源ケーブル3のプラグ部3a近傍も収められるので、電源ケーブル3のプラグ部3a近傍の断線を防止できる。
【0053】
(第3の実施形態)
図9に第3の実施形態を示す。尚、第2の実施形態と同じ構成要素については同じ符号を使用し図示及びその説明を省略する。この実施形態のカードリーダは、ケース7の底面の電源ケーブル3のプラグ部3aを差し込む凹部9に、プラグ部3aを挟んで対向する位置にプラグ部3aが側方に移動するのを阻止するストッパ34が設けられ、係止板31を回動させて電源ケーブル3のプラグ部3aの肩部分に当接して固定するときに、該係止板31との間で電源ケーブル3のプラグ部3aを横方向にがたつかないように固定するようにされている。ストッパ34は、プラスチック製のブロックで構成されているが、その他の材料でも、単なる板形状でもかまわない。
【0054】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述した実施形態ではインレット4を後方向き(カード挿入口29とは反対側に向かう方向)に配置しているが、これには限られず前方向きに設けるようにしても良い。この場合、電源スイッチ12はカードリーダの前部に配置すると共に、ヒューズ13および雷サージ基板14は装置の後部に配置することが望ましい。また、電源部2と周辺機器5との左右方向の配置は図示したものと逆であっても良い。
【0055】
さらに、上述した実施形態では、雷サージ基板14はインレットブラケット23にFG接続されると共にインターフェース基板25はインターフェースブラケット26にFG接続されているが、これには限られず各接続をリード線によるものとしても良い。
【0056】
また、上述した第2の実施形態では、電源ケーブル3を接続するカードリーダ1について説明しているが、カードリーダに限らず、電源ケーブルを接続する電気機器に適用することができる。
また、上述した第2の実施形態では、係止部31aがプラグ部3aを一箇所で係止するようにしたが、これに代えて、係止部31aを二股形状にしてプラグ部3aを二箇所で係止するようにしても良い。
また、上述した第2の実施形態では、係止板31は凹部9の上壁9aに軸支するようにしたが、これに代えて、電源ケーブル3の抜き差しを妨げない位置となる凹部9の横壁に軸支するようにしても良い。
また、上述した第2の実施形態では、係止板31はプラグ部3aの引抜き方向の移動を規制するようにしたが、さらに、プラグ部3aの上下方向の移動を規制するように係止板31の形状を変更しても良い。例えば、係止板31に固定位置に切り換えたときに電源ケーブル3の上に重なる凹部9の上壁9aと平行なカバー材を突出させるように一体成形し、電源ケーブル3の抜き差し方向と直交する方向(上下方向)にケーブルを押さえてがたつきが生じないようにすることもある。
また、上述した第2の実施形態では、係止板31を凹部9の上壁9aに回転可能に支持するようにしたが、これに代えて、係止板31を電源ケーブル3の抜き差し方向に直交する方向にスライドさせる構成にしても良い。
また、上述した第2の実施形態では、係止板31を凹部9の電源ケーブル3の一側に設けるようにしたが、装置重量に合わせて電源ケーブル3の引抜き方向の力を大きくするために、係止板31を電源ケーブル3の両側に設けるようにしても良い。
また、上述した第2の実施形態では、係止板31を凹部9の上壁9aにリベット軸32をかしめて軸支するようにしたが、これに代えて、リベット軸32を半かしめ状態で軸支するようにしても良い。
また、上述した第2の実施形態では、係止板31を手指で回動操作するようにしたが、これに代えて、凹部9壁面と係止板31との間に捩りコイルばねを介設して、電源ケーブル3のプラグ部3aのインレット4への接続と同時に係止板31がプラグ部3aを自動的に係止するようにしても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 カードリーダ
2 電源部
3 電源ケーブル
3aプラグ部
4 インレット
5 周辺機器
6 カードリーダ部
7 下ケース
8 上ケース
9 凹部
10 ゴム足(脚部材)
17 ショートバー
18 操作穴
21 ベースプレート
31 係止板(係止部材)
31a係止部
31b当接部
32 リベット軸(回転中心)
33 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部と、該電源部に外部から電源ケーブルを接続するためのインレットなどの周辺機器と、カードリーダ部とを有するカードリーダにおいて、前記電源部および直線状に配置された前記周辺機器を収容する下ケースと、前記カードリーダ部を収容する上ケースと、前記インレットに接続される前記電源ケーブルを差し込む凹部とを備えることを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
前記電源部および周辺機器と前記カードリーダ部とを隔てると共に、これらを機械的に支持して尚且つ電気的に接続するベースプレートを有することを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項3】
前記周辺機器に設けられたショートバーを前記下ケースの外部から操作するための操作穴と、該操作穴を塞ぐ脚部材とを備えることを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記インレットに接続された前記電源ケーブルのプラグ部を係止する係止部を有する係止部材を前記凹部に設けたことを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項5】
前記係止部材は、前記凹部に回動可能に取付けられ、かつ、前記係止部が自由端であることを特徴とする請求項4記載のカードリーダ。
【請求項6】
前記係止部材の回動中心に対して前記係止部の前記プラグ部を係止する位置が前記電源ケーブル側となることを特徴とする請求項5記載のカードリーダ。
【請求項7】
前記係止部材の回動範囲を規制するストッパをさらに有することを特徴とする請求項6記載のカードリーダ

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−198631(P2010−198631A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96973(P2010−96973)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【分割の表示】特願2004−296242(P2004−296242)の分割
【原出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】