説明

カード読取り装置

【課題】 ICカードと磁気カードの両方の読取りが可能であり、しかも、ICカードや磁気カードの読取り処理をするときの操作性が高く、また、ICカードの取り忘れを防止することのできるカード読取り装置を提供する。
【解決手段】 カード読取り装置1は、ICカード2の読取り処理を行うときにICカード2が挿入される挿入口9と、ICカード2が挿入口9へ挿入されるときにICカード2をガイドするガイド平面10を有するカードガイド部11と、磁気カード3の読取り処理を行うときに磁気カード3をガイドするガイド壁面12、13を有するスリット部14を備える。挿入口9とカードガイド部11とスリット部14は、装置本体2の表示部6と操作部7より手前側に設けられる。この場合、ICカード2の挿入方向と磁気カード3のスワイプ方向が交差し、ガイド平面10の向きとガイド壁面12、13の向きが交差している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードの読取り機能と磁気カードの読取り機能の両方を備えた携帯型のカード読取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯型の決済端末装置として、ICカードの読取り機能を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。携帯型の決済端末装置は、物流業界や保険業界などで用いられる。例えば、物流業界で用いられる決済端末装置では、荷物の集荷や配達をするときに、顧客の玄関先などでICカードを用いて決済を行うことができる。なお、この特許文献1の装置(ICカード読み取り書き込み機)では、装置本体の手前側の側面に、ICカードを挿入するための挿入口が設けられている。
【0003】
しかしながら、この従来の装置(ICカード読み取り書き込み機)では、ICカードの読取り機能は備えられているものの、磁気カードの読取り機能を備えていないため、磁気カードの読取りをすることができない。
【0004】
近年、携帯型の決済端末装置に、ICカードの読取り機能と磁気カードの読取り機能の両方を備えさせる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2の装置(ICカード読取機器)では、装置本体の右側の側面に、磁気カードを挿入するための挿入溝が設けられている。
【0005】
そこで、仮に、特許文献2の技術を、上記の特許文献1の装置に適用することができたとする。そうすると、結果として得られる決済端末装置では、装置本体の手前側の側面に、ICカードを挿入するための挿入口が設けられ、装置本体の右側の側面に、磁気カードを挿入するための挿入溝が設けられることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第98/15929号
【特許文献2】特開2009−211427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、そのような決済端末装置では、ICカードの挿入口と磁気カードの挿入溝が、装置本体の離れた場所(手前側の側面と右側の側面)に、それぞれ別々に配置されることになり、ICカードや磁気カードの読取り処理を行うときにユーザの目線が動く(ICカードの読取り処理をするときと、磁気カードの読取り処理をするときとで、ユーザが違う場所を見る)ことになり、挿入したICカードの取り忘れなどのミスを誘発するおそれがあるという問題があった。
【0008】
また、ユーザの装置本体の持ち方によっては、ICカードの読取り処理をするときと、磁気カードの読取り処理をするときとで、装置本体の持ち替えをしなければならないことがあり、そうすると、持ち替えの際に装置本体を落としてしまうリスクが生じるという問題があった。さらに、ICカードの挿入時と磁気カードの挿入時とで、装置本体に力が加えられる場所(力点)が異なるので、ICカードや磁気カードの読取りの際に、ユーザは装置本体を強めに保持しなければならないという問題があった。また、装置本体の横側の側面に磁気カードの挿入溝を設けると、その分だけ装置本体の横幅が大きくならざるを得ず、装置本体の横幅が大きいと片手での保持がし難くなるという問題もあった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、ICカードと磁気カードの両方の読取りが可能であり、しかも、装置本体が小型であるため、ICカードや磁気カードの読取り処理をするときの操作性が高く、また、ICカードの取り忘れを防止することのできるカード読取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のカード読取り装置は、装置本体の上面に表示部と操作部とを備えた携帯型のカード読取り装置であって、前記カード読取り装置は、ICカードの読取り処理を行うときに、前記ICカードが挿入される挿入口と、前記ICカードが前記挿入口へ挿入されるときに、前記ICカードをガイドするガイド平面を有するカードガイド部と、磁気カードの読取り処理を行うときに、スワイプされる前記磁気カードをガイドするガイド壁面を有するスリット部と、を備え、前記挿入口と前記カードガイド部と前記スリット部は、前記装置本体の前記表示部と前記操作部より手前側に設けられ、前記ICカードの挿入方向と前記磁気カードのスワイプ方向とが交差し、かつ、前記ガイド平面の向きと前記ガイド壁面の向きとが交差した構成を有している。
【0011】
この構成により、ICカードの挿入口と磁気カードのスリット部が、ユーザの手元側(装置本体の手前側)に集められている。したがって、ICカードの挿入口と磁気カードのスリット部が別々に離れた場所に配置される場合に比べて、ICカードや磁気カードの読取り処理を行うときにユーザの目線が手元に集中し、ICカードの取り忘れなどのユーザのミスを減らすことができる。また、この場合、ICカードの挿入方向と磁気カードのスワイプ方向が交差し、かつ、ガイド平面(ICカードの移動面)の向きとガイド壁面(磁気カードの移動面)の向きとが交差しているので、ICカードが挿入されたままの状態(ICカードを取り忘れた状態)で磁気カードをスワイプしようとした場合に、ICカードに阻害されて磁気カードをスワイプすることができない。これにより、ICカードの取り忘れが防止される。
【0012】
さらに、ICカードの挿入口と磁気カードのスリット部とが、互いに近い場所(装置本体の手前側)に集められているので、カードの種類(ICカードか磁気カードか)に応じて装置本体を持ち替える必要がなく、持ち替えの際に装置本体を落としてしまうリスクを減らすことができる。また、ICカードの挿入口と磁気カードのスリット部が、互いに近い場所(装置本体の手前側)に集められているので、ICカードの挿入時や磁気カードのスワイプ時に装置本体に力が加えられる場所(力点)も集中し、ICカードや磁気カードの読取り処理の際に、ユーザが装置本体を保持し易くなる。これにより、ICカードや磁気カードの読取り処理をするときの操作性が向上する。
【0013】
また、本発明のカード読取り装置では、前記ガイド壁面は、互いに対向する第1のガイド壁面と第2のガイド壁面とを含み、前記第1のガイド壁面には、前記挿入口が設けられ、前記第2のガイド壁面には、前記ガイド平面の端部により形成される切欠き部が設けられた構成を有している。
【0014】
この構成により、ICカードの読取り処理の際には、第2のガイド壁面の切欠き部(ガイド平面の端部)から第1のガイド壁面の挿入口へICカードがガイドされ、磁気カードの読取り処理の際には、第1のガイド壁面と第2のガイド壁面によって磁気カードが挟まれてガイドされる。このように、磁気カードをガイドするための構成(第1のガイド壁面と第2のガイド壁面)を、ICカードをガイドするための構成(ガイド平面)として利用することができる。したがって、それぞれの構成を別途設ける場合に比べて、省スペース化を図ることができる。
【0015】
また、本発明のカード読取り装置では、前記ガイド壁面の向きは、前記装置本体の底面の向きと交差した構成を有している。
【0016】
この構成により、テーブル等の設置面の上にカード読取り装置を置いて磁気カードの読取り処理をするときに、ガイド壁面(磁気カードの移動面)の向きが装置本体の底面(設置面)の向きと平行にならない。磁気カードの移動面の向きが設置面の向きと平行であると、磁気カードをスワイプするときに設置面が干渉するおそれがある。これに対して、本発明では、磁気カードの移動面の向きが設置面の向きと平行にならないので、磁気カードをスワイプするときに設置面が干渉するのが防止される。
【0017】
また、本発明のカード読取り装置では、前記挿入口の左右の幅は、前記切欠き部の左右の幅より大きく設定されており、前記挿入口の下辺の高さは、前記ガイド平面の端部の高さより低く設定されており、前記挿入口の上辺の高さは、前記ガイド平面の端部の高さに前記ICカードの厚さを加えた高さより高く設定された構成を有している。
【0018】
この構成により、挿入口の大きさ(左右の幅、上下の高さ)が、ガイド平面の端部(切欠き部)より大きく設定されているので、ICカードを挿入口に挿入するときに、ICカードが挿入口に引っ掛かり難くなり、ガイド平面の端部から挿入口にICカードをスムーズに案内することができる。
【0019】
また、本発明のカード読取り装置では、前記第2のガイド壁面には、前記磁気カードの読取りを行うための磁気カード読取り部が備えられており、前記磁気カード読取り部の上部は、前記ガイド平面によって覆われた構成を有している。
【0020】
この構成により、第2のガイド壁面に備えられる磁気カード読取り部の上部を、ガイド平面によって保護することができる。したがって、磁気カード読取り部の上部を保護するための専用の保護カバーを設ける必要がなくなり、その分だけ、磁気カード読取り部の小型化が可能になる。
【0021】
また、本発明のカード読取り装置では、前記ガイド平面の長さは、前記ICカードが前記挿入口に挿入されたときに前記挿入口から外出している前記ICカードの長さよりも大きく設定された構成を有している。
【0022】
この構成により、ICカードが挿入口に挿入されたときに、ICカードがガイド平面から突出することがない。ICカードがガイド平面から突出していると、カード読取り装置を落としてしまった場合などに、ICカードが損傷してしまうおそれがある。これに対して、本発明では、ICカードがガイド平面から突出していないので、カード読取り装置を落としてしまった場合などに、ICカードが損傷してしまうのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、ICカードと磁気カードの両方の読取りが可能であり、しかも、ICカードや磁気カードの読取り処理をするときの操作性が高く、また、ICカードの取り忘れを防止することができるという効果を有するカード読取り装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態におけるカード読取り装置(決済端末装置)の斜視図
【図2】本発明の実施の形態におけるカード読取り装置の側面図
【図3】本発明の実施の形態におけるカード読取り装置の平面図
【図4】本発明の実施の形態における第1のガイド壁面と第2のガイド壁面の説明図
【図5】本発明の実施の形態における磁気カード読取り部(磁気ヘッド)の斜視図
【図6】本発明の実施の形態における磁気カード読取り部(磁気ヘッド)の取付け構造の説明図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態のカード読取り装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、物流業界や保険業界などで決済端末装置として用いられる携帯型のカード読取り装置の場合を例示する。
【0026】
本発明の実施の形態のカード読取り装置の構成を、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態のカード読取り装置の斜視図である。また、図2は、カード読取り装置の側面図であり、図3は、カード読取り装置の平面図である。
【0027】
図1に示すように、本実施の形態のカード読取り装置1は、物流業界などで用いられる携帯型の決済端末装置であり、ICカード2の読取り機能と磁気カード3の読取り機能の両方を備えている。カード読取り装置1の装置本体4の上部には、プリンタ部5が設けられている。カード読取り装置1の装置本体4の上面の中央部には、表示部6と操作部7が設けられている。プリンタ部5からは、配達した荷物(または集荷した荷物)の伝票などがプリントアウトされる。表示部6は、液晶モニタなどで構成されており、操作部7は、テンキーや機能ボタンなどで構成されている。
【0028】
ユーザは、装置本体4の中央部を下側から手で保持して、カード読取り装置1で各種の操作(例えば、操作部7からの情報入力操作や、ICカード2や磁気カード3の読取り操作など)を行う。したがって、装置本体4の下面の中央部は、ユーザ保持部8であるともいえる。なお、ユーザ保持部8に対応する装置本体4の上面の部分(装置本体4の上面の中央部)には、表示部6と操作部7が設けられている。
【0029】
図1〜図3に示すように、カード読取り装置1の装置本体4には、ICカード2の読取り処理をするときに、ICカード2が挿入される挿入口9と、挿入口9へ挿入されるICカード2をガイドするガイド平面10を有するカードガイド部11を備えている。ガイド平面10の左右両側にはガイド側壁20が設けられており、ガイド平面10と2つのガイド側壁20は、断面視でコの字状とされている(図4(b)参照)。また、カード読取り装置1の装置本体4には、磁気カード3の読取り処理をするときに、スワイプされる磁気カード3をガイドする2つのガイド壁面12、13を有するスリット部14を備えている。また、図2に示すように、装置本体4の内部には、ICカード2の読取り処理を行うためのICカード読取り部15と、磁気カード3の読取り処理を行うための磁気カード読取り部16(磁気ヘッド)が設けられている。
【0030】
本実施の形態では、挿入口9とカードガイド部11とスリット部14が、装置本体4の手前側(より具体的には、表示部6と操作部7より手前側)に設けられている。したがって、挿入口9とカードガイド部11とスリット部14は、ユーザ保持部8よりも手前側に設けられているともいえる。そして、図1に示すように、ICカード2の挿入方向と磁気カード3のスワイプ方向とが垂直に交差しており、ガイド平面10の向きとガイド壁面12、13の向きとが垂直に交差している。また、ガイド平面10の向きは、装置本体4の底面の向きと平行であり、ガイド壁面12、13の向きは、装置本体4の底面の向きと垂直に交差している。
【0031】
2つのガイド壁面12、13は、互いに対向する第1のガイド壁面12と第2のガイド壁面13である。図4は、第1のガイド壁面12と第2のガイド壁面13の説明図である。図4(a)に示すように、第1のガイド壁面12には、横長四角形状の挿入口9が設けられており、図4(b)に示すように、第2のガイド壁面13には、凹形状の切欠き部が設けられている。この切欠き部は、カードガイド部11(ガイド平面10と2つのガイド側壁20)の端部により形成されている(図1参照)。
【0032】
そして、図4に示すように、挿入口9の左右の幅W1は、切欠き部の左右の幅W2より大きく設定されている。また、挿入口9の下辺の高さH1は、切欠き部の底辺(ガイド平面10の端部)の高さH2より低く設定されている。さらに、挿入口9の上辺の高さH3は、切欠き部の底辺(ガイド平面10の端部)の高さH2にICカード2の厚さを加えた高さより高く設定されている。
【0033】
また、ガイド平面10の長さは、ICカード2が挿入口9に挿入されたときに挿入口9から外出している部分(ICカード2の外出部分)の長さより大きく設定されている。すなわち、ICカード2を挿入口9に挿入した状態で、ICカード2がガイド平面10の内部に収まるように設計されている。なお、ガイド平面10の長さは、ICカード2の外出部分の長さより僅かに小さく設定されてもよい。すなわち、ICカード2を挿入口9に挿入した状態で、ICカード2がガイド平面10から少しだけ突出するように設計されてもよい。
【0034】
また、図2に示すように、第1のガイド壁面12と第2のガイド壁面13には、それぞれ磁気カード読取り部16が設けられている。第2のガイド壁面13に設けられた磁気カード読取り部16は、ガイド平面10によって上部が覆われている。
【0035】
ここで、図5と図6を参照して、本実施の形態における磁気カード読取り部16(磁気ヘッド)の構成について説明しておく。図5は、磁気カード読取り部16の斜視図であり、図6は、磁気カード読取り部16の取付け構造の説明図である。
【0036】
図5および図6に示すように、磁気カード読取り部16の両側の中央部には、それぞれ突片部17が設けられている。突片部17には、線バネ18が当接されている。線バネ18は、突片部17を押さえた状態で、バネ固定部19に両端部が挿入されて、固定される。このようにして、磁気カード読取り部16は、線バネ18の弾性力によって適度な付勢力が与えられた状態で、ガイド壁面12、13に裏側から取り付けられる。
【0037】
この場合、磁気カード読取り部16の中央部(両側の中央部)が、一本の線バネ18によって押さえられる。磁気カード読取り部16の上部と下部を、二本の線バネによって押さえる場合には、上部と下部にそれぞれ突片部17を設ける必要があるため、その分、磁気カード3の読取り部の高さが大きくなってしまう。それに比べて、本実施の形態では、磁気カード読取り部16の中央部を、一本の線バネ18によって押さえているので、磁気カード3の読取り部の高さを小さくすることができ、その分だけ小型化が可能になる。
【0038】
このような本発明の実施の形態のカード読取り装置1によれば、ICカード2と磁気カード3の両方の読取りが可能であり、しかも、ICカード2や磁気カード3の読取り処理をするときの操作性が高く、また、ICカード2の取り忘れを防止することができる。なお、ICカード2と磁気カード3の両方が、同時に使用される(読取り処理される)ことはない。
【0039】
すなわち、本実施の形態では、ICカード2の挿入口9と磁気カード3のスリット部14が、ユーザの手元側(装置本体4の手前側)に集められている。したがって、ICカード2の挿入口9と磁気カード3のスリット部14が別々に離れた場所に配置される場合に比べて、ICカード2や磁気カード3の読取り処理を行うときにユーザの目線が手元に集中し、ICカード2の取り忘れなどのユーザのミスを減らすことができる。また、この場合、ICカード2の挿入方向と磁気カード3のスワイプ方向が交差し、かつ、ガイド平面10(ICカード2の移動面)の向きとガイド壁面12、13(磁気カード3の移動面)の向きとが交差しているので、ICカード2が挿入されたままの状態(ICカード2を取り忘れた状態)で磁気カード3をスワイプしようとした場合に、ICカード2に阻害されて磁気カード3をスワイプすることができない。これにより、ICカード2の取り忘れが防止される。
【0040】
さらに、ICカード2の挿入口9と磁気カード3のスリット部14とが、互いに近い場所(装置本体4の手前側)に集められているので、カードの種類(ICカード2か磁気カード3か)に応じて装置本体4を持ち替える必要がなく、持ち替えの際に装置本体4を落としてしまうリスクを減らすことができる。また、ICカード2の挿入口9と磁気カード3のスリット部14が、互いに近い場所(装置本体4の手前側)に集められているので、ICカード2の挿入時や磁気カード3のスワイプ時に装置本体4に力が加えられる場所(力点)も集中し、ICカード2や磁気カード3の読取り処理の際に、ユーザが装置本体4を保持し易くなる。これにより、ICカード2や磁気カード3の読取り処理をするときの操作性が向上する。
【0041】
また、本実施の形態では、ICカード2の読取り処理の際には、第2のガイド壁面13の切欠き部(ガイド平面10の端部)から第1のガイド壁面12の挿入口9へICカード2がガイドされ、磁気カード3の読取り処理の際には、第1のガイド壁面12と第2のガイド壁面13によって磁気カード3が挟まれてガイドされる。このように、磁気カード3をガイドするための構成(第1のガイド壁面12と第2のガイド壁面13)を、ICカード2をガイドするための構成(ガイド平面10)として利用することができる。したがって、それぞれの構成を別途設ける場合に比べて、省スペース化を図ることができる。
【0042】
また、本実施の形態では、テーブル等の設置面の上にカード読取り装置1を置いて磁気カード3の読取り処理をするときに、ガイド壁面12、13(磁気カード3の移動面)の向きが装置本体4の底面(設置面)の向きと平行にならない。磁気カード3の移動面の向きが設置面の向きと平行であると、磁気カード3をスワイプするときに設置面が干渉するおそれがある。これに対して、本発明では、磁気カード3の移動面の向きが設置面の向きと平行にならないので、磁気カード3をスワイプするときに設置面が干渉するのが防止される。
【0043】
また、本実施の形態では、挿入口9の大きさ(左右の幅、上下の高さ)が、ガイド平面10の端部(切欠き部)より大きく設定されているので、ICカード2を挿入口9に挿入するときに、ICカード2が挿入口9に引っ掛かり難くなり、ガイド平面10の端部から挿入口9にICカード2をスムーズに案内することができる。
【0044】
また、本実施の形態では、第2のガイド壁面13に備えられる磁気カード読取り部16の上部を、ガイド平面10によって保護することができる。したがって、磁気カード読取り部16の上部を保護するための専用の保護カバーを設ける必要がなくなり、その分だけ、磁気カード読取り部16の小型化が可能になる。
【0045】
また、本実施の形態では、ICカード2が挿入口9に挿入されたときに、ICカード2がガイド平面10から突出することがない。ICカード2がガイド平面10から突出していると、カード読取り装置1を落としてしまった場合などに、ICカード2が損傷してしまうおそれがある。これに対して、本発明では、ICカード2がガイド平面10から突出していないので、カード読取り装置1を落としてしまった場合などに、ICカード2が損傷してしまうのを防ぐことができる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明にかかるカード読取り装置は、ICカードと磁気カードの両方の読取りが可能であり、しかも、ICカードや磁気カードの読取り処理をするときの操作性が高く、また、ICカードの取り忘れを防止することができるという効果を有し、物流業界や保険業界などで決済端末装置等として用いられ、有用である。
【符号の説明】
【0048】
1 カード読取り装置(決済端末装置)
2 ICカード
3 磁気カード
4 装置本体
5 プリンタ部
6 表示部
7 操作部
8 ユーザ保持部
9 挿入口
10 ガイド平面
11 カードガイド部
12 第1のガイド壁面
13 第2のガイド壁面
14 スリット部
15 ICカード読取り部
16 磁気カード読取り部(磁気ヘッド)
17 突片部
18 線バネ
19 バネ固定部
20 ガイド側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の上面に表示部と操作部とを備えた携帯型のカード読取り装置であって、
前記カード読取り装置は、
ICカードの読取り処理を行うときに、前記ICカードが挿入される挿入口と、
前記ICカードが前記挿入口へ挿入されるときに、前記ICカードをガイドするガイド平面を有するカードガイド部と、
磁気カードの読取り処理を行うときに、スワイプされる前記磁気カードをガイドするガイド壁面を有するスリット部と、
を備え、
前記挿入口と前記カードガイド部と前記スリット部は、前記装置本体の前記表示部と前記操作部より手前側に設けられ、
前記ICカードの挿入方向と前記磁気カードのスワイプ方向とが交差し、かつ、前記ガイド平面の向きと前記ガイド壁面の向きとが交差していることを特徴とするカード読取り装置。
【請求項2】
前記ガイド壁面は、互いに対向する第1のガイド壁面と第2のガイド壁面とを含み、
前記第1のガイド壁面には、前記挿入口が設けられ、前記第2のガイド壁面には、前記ガイド平面の端部により形成される切欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項3】
前記ガイド壁面の向きは、前記装置本体の底面の向きと交差していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカード読取り装置。
【請求項4】
前記挿入口の左右の幅は、前記切欠き部の左右の幅より大きく設定されており、
前記挿入口の下辺の高さは、前記ガイド平面の端部の高さより低く設定されており、
前記挿入口の上辺の高さは、前記ガイド平面の端部の高さに前記ICカードの厚さを加えた高さより高く設定されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のカード読取り装置。
【請求項5】
前記第2のガイド壁面には、前記磁気カードの読取りを行うための磁気カード読取り部が備えられており、
前記磁気カード読取り部の上部は、前記ガイド平面によって覆われていることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに記載のカード読取り装置。
【請求項6】
前記ガイド平面の長さは、前記ICカードが前記挿入口に挿入されたときに前記挿入口から外出している前記ICカードの長さよりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のカード読取り装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate