説明

カーボンナノファイバ基板上のカーボンナノチューブ

ナノファイバ基板から放射状に延びた少なくとも1つのカーボンナノチューブを有する階層構造、ならびにその使用方法および製造方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
カーボンナノチューブおよびその製造方法が知られている。カーボンナノチューブが発見されて以来、カーボンナノチューブは他に類を見ない構造および非常に優れた機械的・電子的特性のために広く関心を集めてきた。カーボンナノチューブは重量に対する強度の比(強度/重量比率;strength−to−weight ratio)が大きく、これまでに製造された材料の中で最も硬い材料の1つである。従来のカーボンファイバは鋼の約40倍の強度/重量比率を有するが、カーボンナノチューブは鋼よりも少なくとも2桁高い強度/重量比率を有する。また、カーボンナノチューブは非常に優れた柔軟性および弾性を示す。理論的研究によれば、カーボンナノチューブのヤング率は1〜5Tpaにもなり、2Tpaの平均値が得られたという測定結果もある。カーボンナノチューブは黒鉛型(graphitic)であるために高い化学的・熱的安定性を示すと考えられる。酸化に関する最近の研究は、カーボンナノチューブの酸化の開始が黒鉛ファイバと比較して約100℃高温側にシフトすることを示している。理論的な考察によれば、カーボンナノチューブは軸方向に高い熱伝導性を示すと予測されている。
【0002】
カーボンナノチューブの壁面は、1つの炭素原子が3つの隣接する炭素原子に結合して構成されている。その結果、六角形の環が繰り返し形成されてナノチューブの円筒状の壁を構成する。この円筒状構造は、1nmから数十nmの直径によってさらに特徴付けられる。ナノチューブの長さは直径の約十倍から数千倍の範囲である。
【0003】
カーボンナノチューブは、黒鉛状炭素の螺旋状の微小なチューブである。最も単純なカーボンナノチューブは単層カーボンナノチューブである。単層カーボンナノチューブは、螺旋状に傾斜して丸められ、端部で継ぎ目なく接合された黒鉛型シートから形成されたチューブである。通常、チューブは端部で閉じており、円錐状キャップを有する閉じたチューブとなっている。単層カーボンナノチューブの直径は、通常は10〜20オングストロームである。多層カーボンナノチューブはさらに複雑であり、複数の同心のチューブからなる。この複数の同心のチューブは、黒鉛型シートを閉じることによって形成されるか、あるいは、螺旋状に形成された一連の壁を有する構造によって形成される。同心のチューブ間の距離は通常は約0.34nmであり、黒鉛シート間の間隔と同じである。多層カーボンナノチューブは2つの同心のチューブのみを含む場合もあり、あるいは、50以上の同心のチューブを含む場合もある。
【0004】
カーボンナノチューブを形成するための合成方法としては、アーク放電、レーザアブレーション、一酸化炭素からの気相触媒成長、炭化水素からの化学気相蒸着(CVD)が挙げられる。カーボンナノチューブを成長させるための基板としては、シリコン結晶、石英ガラス、多孔質二酸化シリコン、酸化アルミニウムが知られている。これらの基板から回収されたカーボンナノチューブは、気体の貯蔵や電気化学エネルギーの貯蔵のためのカーボンナノチューブ複合材を製造する際に使用される。
【0005】
カーボンナノチューブを製造するためのCVD法では、基板に付着した多層ナノチューブが得られる傾向があり、この場合、ナノチューブは基板と垂直に半配向または平行配向して成長することがしばしばある。エチレン、メタン、ベンゼン等の炭化水素を含む前駆体の触媒分解では、温度、時間、前駆体濃度、流速等の反応パラメータが最適化された場合にカーボンナノチューブを生成する二次炭素源(secondary−carbon source)が得られる。Ni、Co、Feなどの薄い被膜等の核生成層を基板表面に添加し、分離された複数のナノチューブの成長を核形成または触媒作用によって促進する場合が多い。また、カーボンナノチューブは、例えば1種以上の触媒金属原子を含む化学成分(フェロセン等)と混合した炭化水素含有前駆体を使用することにより、金属核形成層を使用することなく基板上に核形成・成長させることができる。CVD時には、触媒金属原子は基板表面でナノチューブの核を形成するように機能する。
【0006】
オルク(Olk)に付与された米国特許第5,753,088号は、カーボンナノチューブの製造方法に関するものであり、炭素のアノード電極およびカソード電極を液体窒素、ヘリウムまたは水素に浸漬し、電極間に直流を流してカソード表面にカーボンナノチューブを成長させる。
【0007】
ベチューン(Bethune)らに付与された米国特許第5,424,054号は、炭素原子の単層と等しい壁厚を有するカーボンファイバまたはチューブの製造方法を開示している。この方法は、炭素棒カソードとコバルト触媒/炭素粉末を含む中空アノードとの間でのアーク放電を使用する。反応は不活性雰囲気下で行われる。
【0008】
リジマ(Lijima)に付与された米国特許第5,830,326号および米国特許第5,747,161号は、好ましくはアルゴンである希ガス雰囲気下で炭素電極間での直流放電を使用するカーボンナノチューブの製造方法を開示している。
【0009】
ベーカー(Baker)らに付与された米国特許第5,413,866号は、熱気相成長法を使用して製造された炭素フィラメントに関するものであり、触媒被覆基板の存在下で炭素含有ガスを分解する。反応に使用される金属触媒の種類は、得られる炭素フィラメント構造に影響を与える。
【0010】
アジャヤン(Ajayan)らに付与された米国特許第5,457,343号は、異物を含むカーボンナノチューブ、すなわち、貯蔵装置として使用されるカーボンナノチューブを開示している。ナノチューブは、不活性雰囲気下で放電法を使用して製造される。
【0011】
オオタ(Ohta)らに付与された米国特許第5,489,477号は、C60フラーレン構造を有する高分子量炭素材料の製造方法に関するものである。
【0012】
ダイ(Dai)らによる米国特許出願第09/133,948号は、島状触媒を使用して原子間力顕微鏡法のための個々のナノチューブを成長させる触媒化学気相成長(CVD)技術を開示している。島状触媒は、高温で炭化水素ガスに曝された場合にカーボンナノチューブを成長させることができる触媒粒子を含む。カーボンナノチューブは触媒粒子から成長させる。このように、原子間力顕微鏡のナノチューブ先端は、多層および単層ナノチューブの束をシリコンピラミッド先端の側面に付着させることによって得られている。
【0013】
現在も、別の基板に成長させたナノチューブやそれらに関連する方法が求められている。
【発明の開示】
【0014】
本発明は、ファイバに付着した第1のナノチューブを含む組成物を提供する。
【0015】
また、本発明は、ファイバ基板上にナノチューブを成長させる工程を含む方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、ファイバ基板上にナノチューブを成長させる工程を含む方法を提供する。
【0017】
また、本発明は、第1のナノチューブ基板上に第2のナノチューブを成長させる工程を含む方法を提供する。
【0018】
電界紡糸用ポリマーと少なくとも1種の金属とを含む溶液を電界紡糸して金属含有ナノファイバを製造する工程と、得られた前記金属含有ナノファイバを炭化する工程と、を含む、金属含有ナノファイバの製造方法。
【0019】
階層構造は導電性であり、階層構造の金属粒子は酸化還元反応のための触媒特性を示す場合が多い。例えば、電子は、金属粒子に向かう方向または金属粒子から遠ざかる方向に樹枝状構造を流れることができる。階層構造は比較的高い単位体積当たりの金属粒子濃度を有するように製造することができ、単位体積において比較的多くの酸化還元反応を触媒することができる。
【0020】
例えば、触媒金属ナノ粒子を担持する大きな比表面積を有する導電性膜は、燃料電池(H−O)の電極として非常に効果的である。本発明がなされる前には、このように、単位体積当たりに多くの担持粒子を有する膜構造は知られていなかった。
【0021】
本発明の構造の利点は、大きな比表面積、導電率、長いファイバ上での金属ナノ粒子の良好な分散、化学的に不活性であるという特性、および樹枝状構造である。本発明の構造は黒鉛にほぼ匹敵する導電性を有し、本発明の構造の比表面積は100m/gを超え、この比表面積は計算上では炭化電界紡糸ナノファイバの比表面積よりも10〜15倍大きく、金属触媒粒子は電界紡糸ファイバ上の各ナノチューブの先端で観察された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、カーボンナノファイバに付着したカーボンナノチューブ(CNT−CNF)を有する階層構造に関する。好ましくは、階層構造はカーボンナノチューブに付着したカーボンナノチューブ(CNT−CNF)も有する。
【0023】
階層構造を形成するためには、ナノファイバ基板を用意し、ナノファイバ基板から少なくとも1つのカーボンナノチューブを成長させてCNT−CNF構造を形成する。カーボンナノファイバは、従来のカーボンファイバまたはその他の適当なマクロ構造によって支持することができる。成長させたナノチューブ(CNT−CNF構造の一部であるナノチューブ)は、少なくとも1つの別のナノチューブを成長させる基板として好ましくは機能し、それによってCNT−CNT構造が形成される。
【0024】
以下、階層構造の構成要素について説明する。階層の構成要素は、階層構造の一部であるナノファイバまたはナノチューブである。階層構造の各構成要素は、第1の構成要素、第2の構成要素、第3の構成要素、第4の構成要素等と呼ぶものとする。構成要素の数字による表現は、階層構造における構成要素の相対的位置を説明するものである。例えば、「第1の構成要素ナノファイバ」は、階層構造の第1または最下層の構成要素であり、他の全てのナノチューブ構成要素が直接的または間接的に付着する基板として機能する。より具体的には、第1の構成要素ナノファイバは、第2の構成要素ナノチューブが成長・付着する(CNT−CNF構造を形成する)基板として機能する。第2の構成要素ナノチューブは、第3の構成要素ナノチューブが付着する(CNT−CNT構造)基板として好ましくは機能する。同様に、第3の構成要素ナノチューブは、第4の構成要素ナノチューブが付着する(CNT−CNT構造)基板として好ましくは機能する。
【0025】
階層構造は構成要素の数によって限定されるものではない。したがって、ある階層構造では1〜数千以上の第2の構成要素ナノチューブが存在してもよい。同様に、1〜数千以上の第3の構成要素ナノチューブが存在してもよい。ただし、第1の構成要素ファイバは階層構造の最下層基板として機能するため、第1の構成要素ファイバの数は一構造当たり1つである。ナノチューブ構成要素は1nm程度の短い距離で分離されていてもよく、第1の構成要素ナノファイバが長い場合には、長い距離で分離されていてもよい。
【0026】
本発明は、第1の構成要素ナノファイバに直接的または間接的に付着した複数のカーボンナノチューブ構成要素または一連のカーボンナノチューブ構成要素を有する階層構造とも定義される。第1の構成要素ナノファイバを除き、階層構造の全ての(例えば、第2、第3、第4の)構成要素はナノチューブである。上述したように、第1の構成要素であるナノファイバは、他の全てのナノチューブ構成要素が直接的または間接的に付着する最下層基板として機能する。直接的な付着は、カーボンナノチューブ構成要素が基板構成要素(ナノファイバまたはナノチューブである直前の(直下の)構成要素)に化学結合によって付着する場合に生じる。例えば、第2の構成要素ナノチューブが第1の構成要素ナノファイバに付着したり、第3の構成要素ナノチューブが第2の構成要素ナノファイバに付着する場合が該当する。一方、間接的な付着は、中間構成要素または一連の構成要素が連続しない構成要素を結合する場合に生じる。例えば、第3の構成要素ナノチューブが第2の構成要素ナノチューブを介して第1の構成要素ナノファイバに間接的に付着する場合が該当する。間接的な付着の別の例としては、第4の構成要素ナノチューブが第2および第3の構成要素ナノチューブを介して第1の構成要素ナノファイバに間接的に付着する場合が挙げられる。階層構造は、少なくとも第2の構成要素ナノチューブに付着した第1の構成要素ナノファイバを有する。階層構造は、後続する構成要素ナノチューブ、例えば、第3の構成要素ナノチューブ、第4の構成要素ナノチューブ、および第5の構成要素ナノチューブを有することが好ましい。
【0027】
好ましくは、階層構造は、ナノチューブがそれぞれの基板構成要素から実質的に放射方向に延びるように製造する(すなわち、第2の構成要素ナノチューブが第1の構成要素ナノファイバから直交する方向(垂直)に分岐し、第3の構成要素ナノチューブが第2の構成要素ナノファイバから直交する方向(垂直)に分岐する)。上述したように、階層構造は、各ナノチューブ構成要素(例えば、第2、第3の構成要素ナノチューブなど)が直前の構成要素ナノチューブまたはナノファイバから実質的に放射方向に延びるように構成されている。この構成によって、分岐状構造および半分岐状構造が得られる。そのような構成の例を図1〜14に示す。
【0028】
上述したように、階層構造のナノチューブは、好ましくは基板構成要素から実質的に放射方向に延びている。また、階層構造は、基板表面の選択された部分において後続するナノチューブ構成要素の成長を促進する方法によって製造することができる。すなわち、ナノチューブの成長は、基板構成要素上において均一ではなく、基板の表面の特定の部分で集中的にナノチューブを成長させる。この方法は通常、基板構成要素の1以上の所定の部分に触媒金属をスパッタリングすることによって行われる。例えば、第1の構成要素ナノファイバの表面の半分(軸平面に沿って第1の構成要素ナノチューブを二等分することによって形成された2つの表面領域の一方)に対してスパッタリングを行い、そこから第2の構成要素ナノチューブを成長させることができる。選択スパッタリング法(構成要素の表面領域の選択された部分に金属粒子をスパッタリングする方法)を使用することによって製造された階層構造は、金属粒子または核形成粒子を表面に有する基板ファイバの所定の部分から放射方向に延びるナノチューブの表面集中領域(surface−area concentration)を通常有する。
【0029】
階層構造は、各構成要素が大きさに応じて等級付けまたは階級付けされた構造と言うことができる。後続する各構成要素ナノチューブが先行する構成要素(ナノチューブまたはナノファイバ)よりも小さな直径および長さを有することが好ましい。例えば、ある階層構造において、第2の構成要素ナノチューブの長さおよび直径は、第1の構成要素ナノファイバよりも小さいことが好ましい。また、同一の構造において、第3の構成要素ナノチューブの長さおよび直径は、第2の構成要素ナノチューブよりも小さいことが好ましい。さらに、同一の構造において、第4の構成要素ナノチューブの長さおよび直径は、第3の構成要素ナノチューブよりも小さいことが好ましい。その他の構成要素についても同様である。本発明を説明するために「階層的」という用語を使用しているのは、後続する構成要素の大きさが減少していること(構成要素の長さおよび直径の階層構造)によるものである。
【0030】
したがって、階層構造は、構造を構成する構成要素が多くの桁に及ぶように構成することができる。例えば、階層構造においては、第1の構成要素ナノファイバの直径は約7000nm以下であってもよく、さらに大きな直径を有するカーボンファイバまたは黒鉛ファイバも有用である。後続する構成要素ナノチューブ(例えば、第4または第5の構成要素ナノチューブ)は1nm程度の小さな直径を有することができ、階層構造の構成要素の直径は3〜4桁に及ぶことになる。
【0031】
階層構造のナノチューブは、約10nmから約10mmの長さを通常有する。好ましくは、長さは約100nmから約2000nmの範囲である。より好ましくは、長さは約500nmから約10,000nmの範囲である。
【0032】
カーボンナノチューブの直径は、CVDによる合成に使用される金属触媒粒子の直径に比例することが知られている。したがって、所定の直径を有するカーボンナノチューブを製造するために合成変数(synthetic variable)を制御することができる。階層構造のナノチューブは通常、約1nmから約300mmの直径を有する。好ましくは、直径は約10nmから約100nmの範囲である。より好ましくは、ナノチューブの直径は約10nmから約30nmの範囲である。
【0033】
階層構造では、単層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブの双方を使用することができる。
【0034】
階層構造は、第1の構成要素ナノファイバまたはカーボンナノチューブ基板に付着した多くのカーボンナノチューブを有することが好ましい。例えば、複数の第2の構成要素ナノチューブが第1の構成要素ナノファイバ(第1の構成要素ファイバは第2の構成要素ナノチューブのための基板である)上に存在することが好ましい。通常、ナノファイバまたはナノチューブ基板上のナノチューブの密度は、基板表面積10nm(1μm)当たり約1個から約5000個であることができる。好ましくは、基板表面積1μm当たり約100個から約1000個のナノチューブがナノファイバまたはナノチューブ基板上に存在する。より好ましくは、基板表面積1μm当たり約500個から約600個のナノチューブがナノファイバまたはナノチューブ基板上に存在する。ただし、本発明は、ナノファイバまたはナノチューブ基板上のナノチューブの密度によって限定されるものではない。
【0035】
好ましくは、階層構造の各カーボンナノチューブの最も外側の端部には、その粒子状ナノチューブを形成するための触媒または核生成剤として機能する金属粒子が存在する。あるいは、これらの金属粒子は、酸や、炭素や階層構造のその他の必須成分を溶解したり化学的な影響を与えたりしない適当な溶媒に溶解させることによって除去することができる。
【0036】
上記金属粒子に加えて、カーボンナノチューブの最も外側の端部には、カーボンナノチューブの外壁面に別の金属粒子が存在することが好ましい。カーボンナノチューブの外壁面の金属粒子は、CVDまたはその他の手段による別のナノチューブ(後続する構成要素ナノチューブ)の成長において触媒として好ましくは機能する。
【0037】
好ましくは、カーボンナノチューブの外壁面の金属粒子は、ナノチューブの最も外側の表面に近接しているか、最も外側の表面に露出されている。使用することができる金属の例としては、ロジウム、ルテニウム、マンガン、クロム、銅、モリブデン、白金、ニッケル、コバルト、パラジウム、金、銀が挙げられる。ただし、使用することができる金属はこれらに限定されるものではない。
【0038】
ナノファイバはナノファイバ階層構造の第1の構成要素であり、階層構造のナノチューブの成長または支持のための直接的または間接的な支持構造として機能する。階層構造の第1の構成要素ナノファイバは特定の組成によって限定されるものではない。しかしながら、好ましくは、ナノファイバは電界紡糸(electrospun)されており、炭化物またはセラミックである。
【0039】
階層構造においてナノチューブを成長させるための支持体構成要素および基板として使用することができるナノファイバは、特定の長さまたは直径によって限定されるものではない。第1の構成要素ナノファイバの直径は、通常は約50nmから約5000nmの範囲である。好ましくは、第1の構成要素ナノファイバの直径は約100nmから約500nmの範囲である。
【0040】
第1の構成要素ナノファイバの長さは、通常は約1μmから数kmの範囲である。好ましくは、第1の構成要素ナノファイバの長さは、通常は約1mmから約20cmの範囲である。
【0041】
階層構造を製造する第1の工程として、少なくとも1つの第2の構成要素ナノチューブを第1の構成要素ナノファイバ上に成長させる。さらなる工程は、少なくとも1つの第3の構成要素ナノチューブを第2の構成要素ナノチューブ上に成長させることを含むことが好ましい。より好ましくは、後続する構成要素ナノチューブ、例えば、第4および第5の構成要素ナノチューブも成長させる。
【0042】
本発明で使用することができるナノファイバ基板は、特定の製造方法に限定されるものではない。ただし、好ましくは電気紡糸と炭化ファイバまたはセラミックファイバを得る熱処理によって製造される。
【0043】
電気紡糸は公知である。また、電界紡糸溶液に使用されるポリマーは特定の組成に限定されるものではない。好ましい電界紡糸用ポリマーはポリアクリロニトリルである。電界紡糸溶液に使用されるその他のポリマーとしては、(1)ポリ(アクリロニトリル−アクリル酸)またはポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)等のポリアクリロニトリルコポリマー、(2)ポリアクリル酸およびポリアクリル酸コポリマー(ポリ(アクリル酸−マレイン酸)、ポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリアミック酸等)が挙げられる。
【0044】
本発明は特定の溶媒の使用に限定されるものではなく、ナノファイバを電界紡糸するためにあらゆる公知の溶媒を使用することができる。
【0045】
電界紡糸溶液は、好ましくは金属成分を含む。金属成分を含む電界紡糸溶液を電界紡糸することによって、金属成分がファイバの一部を構成するナノファイバが得られる。電界紡糸溶液中の金属成分濃度は、得られるナノファイバの所望の金属成分濃度に基づいて当業者が適当な実験を行って決定することができる。使用可能な金属の好ましい例としては、鉄、ロジウム、ルテニウム、マンガン、クロム、銅、モリブデン、白金、ニッケル、コバルト、パラジウム、金、銀が挙げられる。ただし、使用することができる金属はこれらに限定されるものではない。カーボンナノチューブの成長における触媒または核形成剤として使用されているその他の金属も電界紡糸溶液に使用することができる。
【0046】
階層構造の構成要素(ナノファイバまたはナノチューブ)上に触媒金属粒子を堆積するために、物理的スパッタリング法を使用することができる。スパッタリング法によって、ファイバまたはナノチューブの単位表面積当たりの金属ナノ粒子の数が大きく増加する。
【0047】
スパッタリングに使用することができる金属の例としては、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、コバルト、モリブデン、鉄、その他の触媒金属が挙げられる。ただし、使用することができる金属はこれらに限定されるものではない。
【0048】
電界紡糸溶液における金属成分の量は、溶液中のポリマーの量に対して通常は約1%から約80%の範囲である。好ましくは、電界紡糸溶液における金属成分の濃度は、溶液中のポリマーの量に対して約20%から約50%の範囲である。
【0049】
本発明で使用することができるファイバ基板の製造方法は特に限定されるものではないが、ファイバ基板は電界紡糸によって製造することが好ましい。したがって、その他の公知のナノファイバの製造方法も使用することができる。好ましくは、得られたファイバ基板を熱処理して炭化ファイバまたはセラミックファイバを得る。
【0050】
炭化ナノファイバまたはセラミックナノファイバは、第1の構成要素ナノファイバとして好ましく使用される。炭化は公知の方法によって行うことができ、通常は対象となるナノファイバを約100℃から約1500℃の温度で約2時間から約10時間加熱することを含む。
【0051】
ポリアクリロニトリル(PAN)の炭化およびFe3+の還元は、(公知の方法によって)高温炉内において以下の工程によって行うことができる。1)大気中、250℃で3時間アニールする;2)アルゴン雰囲気下、5℃/分で500℃まで加熱する;3)Hおよびアルゴンの混合雰囲気(H/アルゴン=1/3)下、500〜550℃で4時間アニールし、Fe3+をFeに還元する;4)アルゴン雰囲気下、5℃/分で1100℃まで加熱してナノファイバを炭化し、(完全な炭化のために)最高温度で30分間保持する。
【0052】
セラミックナノファイバは公知の技術を使用して合成することができる。ゾルゲル法は、セラミックナノファイバを製造するために通常使用される公知の技術の一例である。ゾルゲル法は、所定の化学品を所定の比率(例えば、テトラエトキシシラン/エタノール/水/HCl=1/2/2/0.01)で使用してゾルゲル溶液を調製し、ゾルゲル溶液を電界紡糸してセラミック前駆体のナノファイバを得、この前駆体を大気中において300〜600℃で焼成してSiOナノファイバ等のセラミックナノファイバを製造することを含む。ゾルゲル法は、TiO、Al、Bナノファイバ等を製造するために使用することもできる。
【0053】
ナノチューブや単結晶ウィスカーを成長させるための多くの方法が知られており、階層構造の製造で使用することができる。
【0054】
使用することができる触媒の例としては、鉄、ニッケル、コバルト、パラジウム、マンガン、モリブデン、ロジウム、ルテニウム、白金等が挙げられる。金属触媒は、物理スパッタリング塗布および電界紡糸ナノファイバに含まれる金属化合物を金属ナノ粒子に転化させる公知の技術を使用して、第1の構成要素ナノファイバ上に形成することができる。分子触媒等のその他の触媒を階層構造に化学的に付着させてもよい。
【0055】
ナノチューブを成長させるための二次炭素源は、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチレン、エチンおよび/またはその他の炭化水素化合物であってもよい。
【0056】
多層カーボンナノチューブの場合には、成長温度は700〜800℃であり、単層カーボンナノチューブの場合には、成長温度は1000〜1200℃である。
【0057】
現在予測できるナノチューブの成長速度は50〜2000nm/分である。ナノチューブの好ましい長さは500nmから10,000μmである。
【0058】
階層構造は、粒子増強(particle−enhanced)走査ラマン分光法に有用である。粗面化された金属表面に近接して配置された場合、分子は非常に強められたラマン散乱を示し、この現象は表面増強(surface−enhanced)ラマン散乱(SERS)として知られている。ナノスケールの表面粗さは、主要な増強メカニズムである電磁共振を維持(支持)する。電磁共振は散乱強度を10倍まで増加させることができる。本発明のカーボンナノ階層構造の表面は非常に荒い。銀ナノ粒子等の金属ナノ粒子によって(プラズマスパッタリングを使用して)コーティングされたナノ構造は、粗い金属表面に吸着された分子のラマンスペクトルを強めるために理想的な荒い金属表面となる。
【0059】
また、階層構造は神経系への電気化学的接続にも有用であり、可逆的かつ生物学的に適合した方法で信号を神経系に直接送信したり、神経系から直接受信することができる。(電気的に絶縁され、好適な方法で機械的に支持された)長尺のファイバに印加された電気信号は、切断軸索の端部の人工シナプス等の神経系の適切な部分によって信号として認識される電気化学的空間を生じさせる。または、軸索の流体内にナノファイバ構造の端部を挿入することによっても同様な現象が生じる。
【0060】
階層構造は、液体およびガスの電気調節濾過(electrically modulated filtration)の「濾過媒体」にも有用である。すなわち、階層構造は電気泳動濾過装置に使用することができる。誘電泳動フィルターは、「IEEE transactions on industry applications」,Vol.39,No.5,9月/10月,2003年に記載されており、この文献の内容はこの参照によって本明細書の開示の一部をなすものとする。階層構造は、誘電泳動フィルターにおいて電極の一部として使用することができる。すなわち、公知の金属薄膜電極を階層構造で置き換えることができる。
【0061】
また、階層構造は、電子顕微鏡において粒子(ナノ粒子、ナノ結晶、分子等)を支持するためにも有用である。粒子の多くが同一であるサンプルが特に興味深い。一例としてタンパク質分子が挙げられる。同一のタンパク質分子は珍しいものではない。各分子は同一の構造に折り畳まれている。その構造における原子の位置を決定するために(または、需要は少ないが、重要な問題である、折り畳まれたタンパク質分子の形状を決定するために)、多くの異なる方向から分子を観察することが必要である。
【0062】
理想的には、3本の移動軸を有する3軸ゴニオメータに分子を取り付け、特に露出する視点方向を顕微鏡の軸に合わせ、粒子が顕微鏡の中心および軸の方向に沿った正確な点に配置されるように粒子を移動させることができる。そのようなゴニオメータは現在は存在しない。現在のゴニオメータは、やや不便で困難な代替手段である。
【0063】
タンパク質分子を支持する構造は、通常の電子顕微鏡のグリッドに取り付け、入手できる最も高品質なゴニオメータのステージに支持することができる。生化学技術によれば、金属先端または金属先端を支持するナノチューブ(またはナノ結晶)の側面に粒子の例としてのタンパク質分子を接続することができる。電子顕微鏡のゴニオメータステージは、一回に1つの粒子を視点に入れ、有用ではあるが限定された解決手段(例えば、ナノファイバ構造の軸周り)を行うために使用することができる。本発明の独自で非常に貴重な特性は広範囲の一定の向きに粒子を支持することができることであり、これは利用できるゴニオメータステージでは制御された方法でのみ行うことができる。これは、バックボーンナノファイバからの分岐の成長方向のランダム性と、粒子が構造に付着する場合のランダム性とによるものである。対象となる粒子は、電子が支持構造を通過することなくサンプルを通過することができる方向から観察されることになる。
【0064】
また、分岐または先端の結晶構造も観察することができ、粒子を形成でき、明確に特定でき、別の方向から調べることができる位置に粒子を移動させることなく制御された角度調整を行う際に役立つ指標として使用することができる。
【0065】
酸素と水素の結合またはその他の同様な反応が発生する燃料電池は、自動車を駆動するためのクリーンな電力を供給する。燃料電池の電極は燃料電池の鍵となる重要な技術である。金属ナノ粒子を担持し、大きな比表面積を有し、かつ、気体および液体が電極を通過することを可能とする細孔または流路を有する導電性膜構造材料が理想的である。
【0066】
カーボンシートの高い導電率と、機械的に強固なマクロシート(strong−mechanically macroscopic sheet)の各ナノチューブの先端からエッジおよび表面への直接的な経路のために、階層構造は燃料電池の電極を製造するために有用である。図6の(B)に示すように、プラズマスパッタリングによって貴金属粒子がナノチューブの表面に付着した。スパッタリングされた各触媒粒子は、支持するナノファイバシートへの直接の電気的経路を有する。ナノチューブによって塞がれていない各触媒粒子の表面の大部分は、燃料電池の動作に寄与する分子への電子の移動接触に利用することができる。また、階層ナノファイバの成長のパラメータによって、触媒粒子間の開放空間と電流を伝えるナノファイバが占める空間との比率を制御することができる。例えば、分子、イオン、電子の流れのいずれもが最適化された燃料電池電極を設計・製造することができる。
【0067】
また、階層構造は、カロテン−ポルフィリン−フラーレン化合物等の光取込(light−harvesting)化合物または光合成化合物の支持構造としても機能することができる。そのような構造は、フォトダイオードとして知られている。階層構造の導電率によって、光取込化合物はエネルギー源として機能し、電子を、階層構造を経てエネルギー蓄積装置またはその他の有用な構造へと通過させることができる。好ましくは、カロテン−ポルフィリン−フラーレン化合物/系等の光取込化合物を階層構造のカーボンナノチューブに付着させる。好ましくは、多数または高濃度の光取込化合物で階層構造を構成する。カロテン−ポルフィリン−フラーレン化合物等の光合成分子は、「Chemical and Engineering News」,Vol.81, No.38,8頁に記載されており、この文献の内容はこの参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。また、デンドリマーを階層構造のナノチューブに付着させ、使用方法においてエネルギー源として機能させることもできる。
【実施例】
【0068】
[実施例1]
I.図10は、金属化合物を含むポリアクリロニトリル(PAN)ナノファイバを製造するための電界紡糸装置の概略図を示す。電界は100V/mmであり、液状ポリマーとコレクタとの間の30cmの空隙に30kVの電位を印加した。このような電界紡糸装置は当業界で公知である。
【0069】
酢酸パラジウム[Pd(Ac)],白金アセチルアセトナート[Pt(Acc)],ニッケルアセチルアセトナート[Ni(Acc)],銅アセチルアセトナート[Cu(Acc)],コバルトアセチルアセトナート[Co(Acc)],鉄アセチルアセトナート[Fe(Acc)3],マグネシウムアセチルアセトナート[Mn(Acc)],クロムアセチルアセトナート[Cr(Acc)]およびその他の金属含有化合物を含むポリアクリロニトリル(PAN)ナノファイバを、PANおよび有機金属分子(例えば、Pd(Ac),Pt(Acc),Ni(Acc),Cu(Acc),Co(Acc),Fe(Acc),[Mn(Acc)],[Cr(Acc)]等)のDMF電界紡糸溶液から製造した。
【0070】
II.図11および図12は、金属ナノ粒子を担持した電界紡糸カーボンナノファイバを製造するための気体供給装置(gas system)を有する高温炉の概略図を示す。金属ナノ粒子はカーボンナノチューブの成長端となる。得られた樹枝状構造は、一端がカーボンナノファイバに付着し、他端が有効な触媒または酸化還元電極として知られる金属の金属ナノ粒子で終端したカーボンナノチューブを有する。図1〜図4は、カーボンナノファイバ構造上のカーボンナノチューブを示す。
【0071】
炉には2つの温度ゾーンを設けた。ゾーンIはガス流を450℃に予熱するために使用した。750℃のゾーンIIでは構造が形成される。
【0072】
例えば、ある実験では、有機金属化合物を含む電界紡糸ポリアクリロニトリルナノファイバを高温炉の位置Aに配置した。ナノファイバは、400cc/分の流速のアルゴン雰囲気下で室温から450℃(ゾーンII)まで加熱した。次に、1体積部のHと3体積部のアルゴンの還元混合物を炉に導入した。2時間後、金属前駆体が450℃で金属ナノ粒子に転化されてから、5℃/分の速度で温度を750℃(ゾーンII)まで上昇させた。750℃(ゾーンII)で25分間保持して炭化を終了させた後、炉をアルゴン雰囲気下で室温まで冷却した。炭化ナノファイバは、不織ナノファイバ膜という本来の形状を維持していた。ナノファイバ内の有機金属化合物は、炭化ナノファイバの内部および表面で金属ナノ粒子に還元されていた。ナノ粒子の大きさは、金属が異なる場合に2〜50nmの範囲で変動した。Feナノ粒子の典型的な直径は2〜8nmであり、Niナノ粒子では5〜15nm、Pdナノ粒子では10〜25nm、Mnナノ粒子では25〜50nm、Cuナノ粒子では20〜40nm、Coナノ粒子では2〜8nm、Crナノ粒子では10〜25nmであった。
【0073】
以下の工程によってカーボンナノファイバ構造上にカーボンナノチューブを形成した。上述した金属ナノ粒子を担持した炭化ナノファイバ膜を炉の位置Aに配置した。炉の温度をアルゴン雰囲気下で400℃(ゾーンI)および750℃(ゾーンII)に上昇させ、ヘキサンまたは炭素を含むその他の分子の液体を含むバブリングチャンバ内にアルゴン流を導入した。なお、アセチレン、エチレン、メタン、その他の炭化水素化合物も代替炭素源として使用することができる。5分間バブリングした後、バブリングチャンバを迂回するようにガス流を切り換えた。750℃(ゾーンII)で25分間保持した後、炉をアルゴン雰囲気下で室温まで冷却した。
【0074】
ヘキサンは炭素源として機能し、有機金属化合物の熱分解時にナノファイバの表面に形成された金属ナノ粒子は、カーボンナノチューブの形成のための触媒として機能した。ナノチューブは、幾分大きく、はるかに長いカーボンナノファイバ間の隙間に成長した。金属粒子は、ナノチューブの成長端に残っていた。炭化電界紡糸ナノファイバ上に成長したカーボンナノチューブは、元の粒子の大きさに応じて10〜60nmの直径を有していた。ナノファイバ膜構造上のカーボンナノチューブの密度は約0.32g/cmである。得られた多孔シートは、98Ω/□の電気抵抗率を有していた。多孔シートの非圧縮膜厚は約10μmだった。シートの体積抵抗率は約7.6×10−4Ω・mだった。
【0075】
Niナノ粒子等の堆積された触媒金属粒子を有するナノファイバ膜構造上のカーボンナノチューブは、第2階級(second−class)のカーボンナノチューブの形成のための基板として使用された。第2階級のカーボンナノチューブは、付加的な炭素源としてトルエンを使用して700℃で15分間の処理で形成された。得られた階層構造を図5〜図7に示す。
【0076】
[実施例2]
材料と装置:ポリアクリロニトリル(PAN)(Mw 86200,アルドリッチ(Aldrich)),酢酸パラジウム[Pd(Ac)](98%,アルドリッチ),白金アセチルアセトナート[Pt(Acc)](97%,アルドリッチ),ニッケルアセチルアセトナート[Ni(Acc)](95%,アルドリッチ),銅アセチルアセトナート[Cu(Acc)](97%,アルドリッチ),コバルトアセチルアセトナート[Co(Acc)](98%,アルドリッチ),鉄(II)アセチルアセトナート[Fe(Acc)](97%,アルドリッチ),N,N−ジメチルアセトアミド(DMF)(99%,アルドリッチ)を購入した状態で使用した。電界紡糸装置およびCVD装置は当業界で公知である。
【0077】
ハイブリッドナノファイバ:典型的な実験では、PANの7重量%DMF溶液にPd(Ac)等の有機塩M(Ac)またはM(Acc)を溶解して、5重量%のPANおよび5重量%のM(Ac)またはM(Acc)のDMF混合溶液を調製することを含む。電界紡糸ハイブリッドナノファイバ(図1〜図4)は、上記溶液を30〜40kVで電界紡糸して得られた。ハイブリッド電界紡糸ナノファイバは、H雰囲気下で電界紡糸ハイブリッドナノファイバを800℃で3時間アニールすることによって、カーボンと金属ナノ粒子とのハイブリッドナノファイバ(図5〜図7)に転化させた。
【0078】
カーボンナノチューブの成長:Pdナノ粒子を有するハイブリッドカーボンナノファイバをアルゴン雰囲気下で管状CVD炉に入れ、650〜700℃に加熱した。次に、反応物質としてのアセチレンガス(アルゴンに対して約1:10の比)を導入し、5分間反応させた。図5に結果を示す。
【0079】
考察:ポリアクリロニトリルは、Pd(Ac)やCu(Acc)等の各種有機塩の良溶媒であるDMF中での溶解性および炭素形成能力を有するため、ハイブリッドナノファイバのマトリックスとして選択された。電界紡糸ハイブリッドナノファイバの直径は100〜300nmだった。
【0080】
還元性水素ガスによって、電界紡糸ハイブリッドナノファイバは、炭素含有金属ナノ粒子のナノファイバに転化された。金属イオン、特に、Fe++やNi++等の非酸化性金属イオンは、水素によって金属粒子に還元された。
【0081】
得られた炭素とFe、NiまたはCo金属ナノ粒子のハイブリッドナノファイバは、強磁性であるとともに大気中で化学的に安定しており、金属ナノ粒子を被覆している炭素層の存在を示唆している。飽和磁化(Ms)は、ハイブリッドナノファイバにおける強磁性金属の重量の割合が増加するとともに増加している。ハイブリッドナノファイバ上の金属ナノ粒子は、化学合成またはカーボンナノチューブあるいはポリアセチレンの合成の触媒として使用することができる。図5〜図7に示すように、ハイブリッドナノファイバ上の合成されたカーボンナノチューブはTEMグリッドに配置することができ、サンプル調製時に触媒を失うことなく透過電子顕微鏡法を使用して直接観察することができる。ナノファイバ基板上の完全なカーボンナノチューブサンプルは、カーボンナノチューブの成長の観察のための理想的なサンプルである。
【0082】
[実施例3]
材料:ポリアクリロニトリル(PAN)(Mw 86200)、鉄アセチルアセトナート(Fe(Acc))(99.9%)、ジメチルホルムアミド(DMF)(99.9%)、ヘキサン(98.5%)はアルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.)から購入した。水素TおよびアルゴンTはプラックスエア(Praxair INC.)から購入した。全ての試薬はさらに精製することなく使用した。
【0083】
器具:リンドバーグHEVI−Duty社(Lindberg HEVI−Duty)から購入した高温炉に、ポリマーナノファイバを炭化するとともにカーボンナノチューブを形成するための35×950mmの管状石英反応器を取り付けた。ポリマーナノファイバの電界紡糸のために、Gamma High Voltage ResearchからES60−0.1 PモデルHV電源を購入した。
【0084】
PANとFe(Acc)との複合ナノファイバの電界紡糸:電界紡糸は、PAN/Fe(Acc)(重量比=2/l)の10重量%DMF溶液を使用し、100kV/mの電界で、紡糸口金とコレクタとの間の30cmの空隙に30kVの電位を印加して行った。
【0085】
電界紡糸ナノファイバの炭化ならびにカーボンナノファイバ上でのカーボンナノチューブの形成:PANとFe(Acc)との電界紡糸複合ナノファイバの炭化およびFe3+の還元ならびに炭化電界紡糸ナノファイバ上でのカーボンナノチューブの形成を、高温炉内で以下の工程によって行った。1)大気中、250℃で3時間アニールする;2)アルゴン雰囲気下、5℃/分で500℃まで加熱する;3)Hとアルゴンとの混合雰囲気(H/アルゴン=1/3)下、500〜550℃で4時間アニールする;4)アルゴン雰囲気下、5℃/分で1100℃まで加熱し、最高温度で30分間保持し、アルゴン雰囲気下で700℃まで冷却する;5)ヘキサンバブリングチャンバ内の600ml/分のアルゴン流を使用して、700℃の管状反応器にヘキサン蒸気を導入し、所定の時間(短いカーボンナノチューブでは3分間、長いカーボンナノチューブでは5分間、さらに長いカーボンナノチューブでは20分間)ヘキサン蒸気によって炭素を供給する;6)炭素源の供給を停止した後に同一温度で30分間保持し、アルゴン雰囲気下で室温まで冷却する。
【0086】
電子顕微鏡観察:SEM観察およびTEM観察は、JEOL JEM−5310走査電子顕微鏡および120kV FE1 TACNAI−12透過電子顕微鏡を使用して行った。
【0087】
(結果と考察)
PANとFe(Acc)との複合ナノファイバの電界紡糸:PANはカーボンナノファイバへの合成経路としてよく知られているため、電界紡糸ナノファイバを製造するための好適な前駆体としてPANが選択された。触媒前駆物質としては、カーボンナノチューブの形成のためにFe粒子触媒がよく知られているため、触媒前駆物質としてFe(Acc)を使用した。PANおよびFe(Acc)をDMFに溶解し、溶液を複合ナノファイバに電界紡糸した。カーボン前駆体ナノファイバは、PANとFe(Acc)とのナノファイバである。電界紡糸前駆体ナノファイバの直径は100〜300nmだった。ナノファイバに沿ったセグメントの直径の典型的な分布を図5〜図7に示す。
【0088】
電界紡糸ナノファイバの炭化ならびにカーボンナノファイバ上でのカーボンナノチューブの形成:前駆体ナノファイバの炭化およびFe3+の還元は、上述したMWNTの触媒気相成長に使用される設備と同様の高温炉を使用して行われた。炭化の第1の工程では、前駆体ナノファイバの酸化安定化が大気中において250℃で行われた。この処理では、熱可塑性PANが非可塑性環状化合物またはラダー化合物に転化された。Fe3+のFeへの還元は、ワン(Wang)らによって報告されているように、H雰囲気下において500〜550℃で達成された。高温では、ナノファイバ中のFeはFeナノ粒子に凝集した。Feナノ粒子の大きさは、図5〜図7のTEM像に示すように10〜20nmである。
【0089】
炭化電界紡糸ナノファイバの表面または内部における鉄粒子上でのカーボンナノチューブの形成のための引き続いて行なわれる処理では、ヘキサン蒸気を別の炭素源として使用した。ヘキサン内にバブリングしたアルゴンによって、ヘキサン蒸気が高温管状反応器内に導入された。700〜750℃で、ヘキサン分子は金属の触媒作用によってFeナノ粒子の表面で分解された。H等の分解生成物は除去された。炭素原子は金属粒子の表面または内部に保持されていた。炭素は金属の内部または金属の表面上を移動し、多層カーボンナノチューブの成長に寄与した。現在のところ、金属粒子が小さいために溶融するのか、金属粒子が部分的に溶融して反応生成物と共融混合物を形成するのか、または金属粒子がその表面上で炭素を吸着するのかは確認されていない。炭素原子または炭素原子のクラスターは、金属とカーボンチューブの成長端との間の界面に移動して、そこで炭素がチューブに組み込まれ、カーボンチューブが長くなるにつれて金属粒子は前進した。
【0090】
カーボンナノチューブは、幾分大きく、はるかに長いカーボンナノファイバ間の隙間に成長した。電界紡糸不織ナノファイバシートは非常に薄く調製できるため、カーボンナノファイバ構造上のカーボンナノチューブは薄いシート状に形成することができる(図8〜図10)。そのような構造あるいはそのような構造で構成されたシートは、高性能フィルター、強化複合材料、高多孔性カーボンナノ電極等の様々な用途や、透過電子顕微鏡におけるサンプルの支持体として使用することができる。これらの用途では、カーボンナノチューブを基板から分離する必要はない。
【0091】
Fe(Acc)を含む電界紡糸PANナノファイバが問題なく炭化され、Fe3+は500〜550℃で還元性水素ガスを使用することによって鉄ナノ微粒子に還元された。炭化電界紡糸ナノファイバは基板として使用され、ナノファイバの内部または表面に形成された金属ナノ粒子は、カーボンナノチューブの形成のための触媒として機能した。CVDによる触媒成長メカニズムによって、多層カーボンナノチューブがカーボンナノファイバ基板上に形成された。形成された多層カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバ基板は、カーボンナノファイバ上のカーボンナノチューブに特有の構造を形成した。
【0092】
[実施例4]
ポリアクリロニトリル(PAN)はカーボンナノファイバへの合成経路としてよく知られているため、電界紡糸ナノファイバを製造するための好適な前駆体としてPANが選択された。有機溶媒に溶解するFe(アセチルアセトナート)(Fe(Acc))を触媒前駆体として使用したのは、Fe粒子触媒がカーボンナノチューブの形成のために使用されることが多いためである。PANおよびFe(Acc)をともにジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた。得られた溶液を、Fe(Acc)を含むPAN前駆体ナノファイバへと電界紡糸した。この前駆体ナノファイバの直径は100〜300nmだった。直径の典型的な分布を図5〜図7に示す。立体電子顕微鏡法によって、鉄粒子の大部分が表面に存在し、少数のみがカーボンナノファイバ中に完全に埋没していることが分かった。埋没した粒子はナノチューブの成長に寄与しなかった。
【0093】
前駆体ナノファイバの炭化およびFe3+の還元は、上述した多層カーボンナノチューブの触媒気相成長に使用される炉と同様の管状高温炉を使用して行われた。第1の工程では、前駆体ナノファイバの酸化安定化が大気中において250℃で行われた。この処理では、熱可塑性PANが非可塑性環状化合物またはラダー化合物に転化された。Fe3+のFeへの還元は、リ(Li)らによって報告されているように、H雰囲気下において500〜550℃で達成された。炭化および還元処理時に、ナノファイバ中のFeはナノ粒子に凝集した。図6に示すように、Feナノ粒子の大きさは10〜20nmだった。PANナノファイバにおけるFe(Acc)の濃度が高くなると、図7に示すように、Feナノ粒子が大きくなった。
【0094】
ヘキサン蒸気をカーボンナノチューブの形成のための炭素源として使用した。ヘキサン内にバブリングしたアルゴンによって、ヘキサン蒸気が管状高温炉内に導入された。700℃で、ヘキサン分子は金属の触媒作用によってFeナノ粒子の表面で分解された。炭素原子は金属の表面に吸着されるとともに内部に固溶し、鉄粒子と黒鉛型カーボンナノチューブの成長端との間の界面に移動してチューブに組み込まれた。金属粒子は、ナノチューブが長くなるとともに前進した。特筆すべきことは、観察された成長プロセスのモフォロジは、気液固プロセスと同様であるように思われるが、700℃という温度は、鉄−炭素状態図の共晶温度(1154℃)よりも非常に低いということである。表面張力による小さな粒子の融点の低下は、満足できる説明とはならない。ベニサード(Benisaad)らによって与えられた公式「T=T−400/d」は、10nmよりも大きな直径を有する鉄粒子の場合に、融点の低下は700℃での液相の存在を説明できないことを示している。ベニサードの公式中、Tは鉄−炭素粒子の融点であり、Tは鉄−炭素相図における共晶温度であり、dは炭素−鉄粒子の直径(nm)である。他の元素の原子が鉄−炭素粒子の液化に影響を与えることも考えられる。水素は、ヘキサンの分解によって生成し、鉄を脆化させることが知られている。この温度領域における固相−固相変態に必要な炭素移動メカニズムも別の可能性として挙げられる。観察される触媒粒子は、電子顕微鏡法および回折による観察のほぼ理想的な方法で担持されており、カーボンナノチューブの成長メカニズムおよび鉄、炭素、水素の三成分相図に関する新たな情報をもたらす可能性がある。
【0095】
カーボンナノファイバ上のカーボンナノチューブの長さは、ヘキサン蒸気の供給時間に依存していた。供給時間を長くすると長いカーボンナノチューブが得られ、供給時間を短くすると短いカーボンナノチューブが得られた(図8〜図10)。
【0096】
CNT−CNF構造は、最初に鉄を担持したカーボンナノファイバの薄いシートを形成することによってシート状に形成された。次に、カーボンナノチューブは、幾分大きく、はるかに長いカーボンナノファイバ間の隙間に成長した。カーボンナノチューブは、薄いシート全体で約200nm離れて分散していた。図11および図12に示すように、ナノチューブによって構造中の開放経路の大きさが劇的に減少した。SEM像は、長いカーボンナノチューブが曲がって絡み合っていることを示している。螺旋コイル状カーボンナノチューブの成長のための方法がいくつか報告されている。高い温度で成長させたナノチューブは、高い長距離結晶秩序(long−range crystalline order)を有する傾向がある。図13(A)に示すカーボンナノファイバ構造上のカーボンナノチューブは850℃で形成された。このナノチューブは、700℃で形成された図13(B)に示すナノチューブよりも遙かに直線的である。
【0097】
100cmを超える面積および単位面積当たりの重量2.95g/mを有する自己支持型CNT−CNFシートが形成された(図6(A))。この多孔シートの非圧縮膜厚は約10μmだった。このシートの細孔容積は約86%である。得られた多孔シートは、98Ω/□の電気抵抗率を有していた。この多孔シートの体積抵抗率は約7.6×10−4Ω・mだった。このシートの幅は管状炉の大きさによって制限された。
【0098】
実験:ポリアクリロニトリル(PAN)およびFe(Acc)のジメチルホルムアミド混合溶液を使用して電界紡糸を行った。溶液中のPANとFe(Acc)はそれぞれ6.7重量%と3.3重量%である。電界は100kV/mであり、紡糸口金とコレクタとの間の30cmの空隙に30kVの電位を印加した。PANの安定化および炭化ならびにFe3+の還元は、高温炉内で以下の工程によって行われた。1)大気中、250℃で3時間アニールする;2)アルゴン雰囲気下、5℃/分の速度で500℃まで昇温する;3)Hおよびアルゴンの混合雰囲気(H/アルゴン=1/3)下、500〜550℃で4時間アニールし、Fe3+をFeに還元する;4)アルゴン雰囲気下、5℃/分の速度で1100℃まで昇温してナノファイバを炭化し、最高温度で30分間保持し、アルゴン雰囲気下で700℃まで冷却する。流速600ml/分のアルゴン流を室温でヘキサンにバブリングすることによって、700℃の管状反応器にヘキサン蒸気を導入した時にナノチューブが成長した。ヘキサン蒸気は、所定の時間(短いカーボンナノチューブでは3分間、長いカーボンナノチューブでは5分間、さらに長いカーボンナノチューブでは20分間)供給した。ヘキサン蒸気の供給を停止した後で温度を30分間一定に保ち、次にアルゴン雰囲気下で室温まで冷却した。像は、JEOL JEM−5310走査電子顕微鏡および120kV FE1 TACNAI−12透過電子顕微鏡を使用して撮影された。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】(A)PANとPt(Acc)との電界紡糸ハイブリッドナノファイバのSEM像である;(B)カーボンとPdナノ粒子とのハイブリッドナノファイバのTEM像である;(C)Pdナノ粒子ハイブリッドカーボンナノファイバの表面に成長したカーボンナノチューブのTEM像である;(D)電界紡糸Cuナノ粒子ハイブリッドカーボンナノファイバから成長した導電性ポリアセチレンナノファイバのTEM像である。
【図2】カーボンナノファイバ上のカーボンナノチューブの透過電子顕微鏡写真(A)および走査電子顕微鏡写真(B)である。これらの構造は、ポリアクリロニトリルナノファイバを電界紡糸し、ポリアクリロニトリルを炭化し、ヘキサンの熱分解によるカーボンナノチューブの触媒成長によって製造された。
【図3】ポリアクリロニトリルナノファイバを電界紡糸し、ポリアクリロニトリルを炭化し、カーボンナノチューブの触媒成長によって製造されたCNT−CNFの透過電子顕微鏡写真(A)および走査電子顕微鏡写真(B)である。
【図4】カーボンナノファイバ上のカーボンナノチューブの樹枝状構造の透過電子顕微鏡写真(A)および走査電子顕微鏡写真(B)である。
【図5】(A)電界紡糸によって製造されたPANとFe(Acc)との複合ナノファイバの走査電子顕微鏡写真である;(B)PANとFe(Acc)との複合ナノファイバの炭化およびH雰囲気下における500〜550℃でのFe3+の還元によって製造されたFeナノ粒子を含む炭化電界紡糸ナノファイバの透過電子顕微鏡写真である。インサートは高い倍率でナノファイバのセグメントを示している。
【図6】(A)電界紡糸によって製造されたPANとFe(Acc)との複合ナノファイバの走査電子顕微鏡写真である;(B)および(C)Fe(Acc)/PAN=1/2(B),1/1(C)の比率を有する前駆体PANナノファイバから製造されたFeナノ粒子を含む炭化電界紡糸ナノファイバの透過電子顕微鏡写真である。
【図7】カーボンナノファイバ上のカーボンナノチューブの階層構造の透過電子顕微鏡像であり、第1階級のカーボンナノチューブがカーボンナノファイバ上に成長し、第2階級のカーボンナノチューブが第1階級のカーボンナノチューブ上に成長した。
【図8】カーボンナノファイバ構造上のカーボンナノチューブの走査電子顕微鏡写真(A)および透過電子顕微鏡写真(B)であり、シートエッジ(A)と、炭化電界紡糸ナノファイバによって支持された非常に薄いカーボンナノ構造シート(B)とを示している。
【図9】カーボンナノ構造の透過電子顕微鏡写真であって、ヘキサン蒸気の供給時間の制御によるカーボンナノチューブの長さの制御を示している。(A)から(C)では、ヘキサン蒸気をそれぞれ3分間,5分間,20分間供給した。アルゴン流速は600ml/分とした。
【図10】有機金属化合物を含むポリアクリロニトリルナノファイバを製造するための電界紡糸装置の概略図である。
【図11】CNT−CNFの薄いシートの走査電子顕微鏡写真(A,B)と透過電子顕微鏡写真(C,D)である。(A)はシートの引き裂かれたエッジを示す。(B)は絡み合ったナノチューブのシートの表面を示す。(C)は、炭化ナノファイバがはっきりと表れ、隙間がナノチューブで満たされた薄いシートを示す。(D)は、カーボンナノファイバ間の(C)のナノチューブシートの一部の高倍率像である。
【図12】金属ナノ粒子とのハイブリッド炭化電界紡糸ナノファイバ、またはファイバ上に不織カ―ボンナノチューブが配置された膜を製造するための高温炉の概略図である。
【図13】カーボンナノ構造の透過電子顕微鏡写真である。(A)850℃で形成された長くわずかに湾曲したカーボンナノチューブ。(B)700℃で形成された湾曲したカーボンナノチューブ。
【図14】(A)95cmの面積内のCNT−CNFシートの一部の写真である。(B)プラズマスパッタリングによってパラジウムで被覆されたCNT−CNF構造の透過電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイバに付着した第1のナノチューブを含む組成物。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1のナノチューブが約30nmから約300mmの直径を有する組成物。
【請求項3】
請求項1において、
前記第1のナノチューブが約10nmから約10,000mmの長さを有する組成物。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1のナノチューブが単層または多層である組成物。
【請求項5】
請求項1において、
前記第1のナノチューブが金属を含む組成物。
【請求項6】
請求項5において、
前記金属が、ロジウム、ルテニウム、マンガン、クロム、銅、モリブデン、白金、ニッケル、コバルト、パラジウム、金または銀である組成物。
【請求項7】
請求項1において、
前記ファイバが電界紡糸ファイバである組成物。
【請求項8】
請求項1において、
前記ファイバが、セラミック、炭化物、元素または化学的に変性しやすい(chemically tractable)金属である組成物。
【請求項9】
請求項1において、
前記ファイバが窒化ホウ素、炭化ホウ素、炭化窒素またはシリコンである組成物。
【請求項10】
請求項1において、
第2のナノチューブが前記第1のナノチューブに付着している組成物。
【請求項11】
第1のナノチューブに付着した第2のナノチューブを含む組成物。
【請求項12】
ファイバ基板上にナノチューブを成長させる工程を含む方法。
【請求項13】
請求項11において、
前記ファイバ基板が電界紡糸ファイバである方法。
【請求項14】
請求項11において、
前記ファイバ基板が、セラミック、炭化物、元素または化学的に変性しやすい(chemically tractable)金属である方法。
【請求項15】
第1のナノチューブ基板上に第2のナノチューブを成長させる工程を含む方法。
【請求項16】
請求項14において、
前記第2のナノチューブが前記第1のナノチューブ基板よりも小さな直径を有する方法。
【請求項17】
請求項1に記載の組成物を電極として使用する工程を含む方法。
【請求項18】
請求項1に記載の組成物を濾過装置として使用する工程を含む方法。
【請求項19】
請求項17において、
前記濾過装置が約2nm以上の隙間を有する組成物。
【請求項20】
請求項1に記載の組成物を神経系への電気化学的接続または生体細胞の内部への電気化学的接続として使用する工程を含む方法。
【請求項21】
請求項1に記載の組成物を約1nmから約100nmの大きさを有する化合物の支持構造として使用する工程を含む方法。
【請求項22】
請求項1に記載の組成物を支持構造として使用してラマン分光法を行う工程を含む方法。
【請求項23】
電界紡糸用ポリマーと少なくとも1種の金属とを含む溶液を電界紡糸して金属含有ナノファイバを製造する工程と、
得られた前記金属含有ナノファイバを炭化する工程と、を含む、金属含有ナノファイバの製造方法。
【請求項24】
請求項22において、
前記電界紡糸用ポリマーがポリアクリロニトリルである方法。
【請求項25】
請求項22において、
前記金属が貴金属である方法。
【請求項26】
請求項22において、
前記金属がAg、Fe、Pd、NiまたはCoである方法。
【請求項27】
階層構造を燃料電池電極として使用することを含む方法。
【請求項28】
階層構造を電気泳動濾過装置において使用することを含む方法。
【請求項29】
階層構造をフォトダイオードにおける導電性媒体として使用することを含む方法。
【請求項30】
請求項28において、
カロテン−ポルフィリン−フラーレン化合物を階層構造を使用する方法に付着させる方法。
【請求項31】
請求項28において、
デンドリマーを前記階層構造に付着させる方法。
【請求項32】
階層構造を電池において使用することを含む方法。

【図10】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−515364(P2007−515364A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535392(P2006−535392)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/034274
【国際公開番号】WO2005/044723
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(505395700)ザ ユニバーシティ オブ アクロン (20)
【氏名又は名称原語表記】The University of Akron
【住所又は居所原語表記】302 E. Buchtel Common, Akron, OH 44325 U.S.A.
【Fターム(参考)】