説明

ガス分解装置

【課題】 本発明は、反応容器の芯部領域において高温を確保することが容易なガス分解装置を提供する。
【解決手段】 本発明のガス分解装置は、ガスを分解するために用いる装置であって、ガスを含む気体が導入される容器11と、容器内に位置する、該ガスの分解の促進作用を有する触媒金属粒子を含む触媒体5と、容器内を加熱するための加熱装置とを備え、加熱装置が、高周波誘導加熱用のコイル3を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス分解装置に関し、より具体的には、分解対象のガス分子を効率よく低濃度にまで分解することができるガス分解装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アンモニアは農業や工業に不可欠の化合物であるが、ヒトには有害であるので、水中や大気中のアンモニアを分解する方法が、多く開示されてきた。とくに化合物半導体を製造するときの廃ガスには、アンモニア、水素等が含まれるのが普通であり、アンモニアの異臭を完全に除去するには、ppmオーダーにまで除害する必要がある。この目的のために、半導体製造装置の廃ガス放出の際にスクラバーを通して、薬品を含む水に有害ガスを吸収させる方法が多く用いられてきた。
しかし、エネルギや薬品等を投入することなく安価なランニングコストを得るために、アンモニアの接触分解触媒としてニッケル触媒、鉄触媒等を用いた装置が提案された(特許文献1)。この触媒を用いた装置では、分解速度を確保するために反応筒を、450℃〜1200℃、好ましくは600℃〜900℃に加熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−150320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の反応温度を確保するために各種の方策が考えられる。加熱炉を反応筒まわりに取り付ける方式、触媒充填部にヒータを埋設する方式、導入するアンモニア含有ガスを予熱器で反応温度付近まで予熱する方式、導入するアンモニア含有ガスと分解後の出口ガス(高温)とを熱交換させる方式、などがある。どのような加熱方式においても、分解処理量を確保するにはアンモニア含有ガスの流速を、所定レベル以上維持しなければならない。
しかし、外部に加熱炉を設ける方式では、アンモニア含有ガスの流速を増加させるために反応筒の径を大きくした場合、内部(芯部)の加熱が困難となる。またヒータを触媒中に埋設する方式では、ヒータだけでなく発熱しない電極部などがアンモニア含有ガスが通る部分に配置されることになり、その電極部では昇温が不十分なために、アンモニア分解が不十分となる。さらに電極部では腐食が問題となる。要約すると、アンモニア含有ガスの処理すべき量が増加すると、所定の流速を維持して分解量を確保するには、反応容器の径を大きくしなければならない。しかし反応容器の径を大きくすると内部または芯部領域の昇温が不十分になり、芯部領域を通って未分解のままアンモニアが流出するおそれが生じる。
上記の現象または問題点は、アンモニアに限らず、多くのガス除害装置に共通に認められる。
【0005】
本発明は、反応容器の芯部領域において高温を確保することが容易なガス分解装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガス分解装置は、ガスを分解するために用いる装置である。この装置は、ガスを含む気体が導入される容器と、容器内に位置する、該ガスの分解の促進作用を有する触媒金属粒子を含む触媒体と、容器内を加熱するための加熱装置とを備える。そして、加熱装置が、高周波誘導加熱用のコイルを備えることを特徴とする。
【0007】
これによって触媒金属粒子が容器内で高周波誘導加熱されるので、容器の芯部領域に位置する触媒体もその外側に劣らず昇温される。このため芯部領域でもガス分解を十分促進することができ、芯部領域を未分解のまま通り抜けるガスを大幅に減らすことができる。なお、加熱装置は、高周波誘導加熱装置だけでもよいし、外部を囲む加熱炉(外部ヒータ)、内部の触媒中に埋設するヒータ等と併用してもよい。
触媒金属粒子としては、アンモニア分解等の触媒作用を有する金属粒子をあげることができる。上記のように金属の導電性を利用して触媒金属粒子に集中して高周波誘導加熱することができる。このため、触媒金属粒子に集中して高周波誘導加熱をすることでエネルギの効率利用をはかりながら、さらに高い触媒作用をその触媒金属粒子から得ることができる。
触媒体とは、触媒金属粒子を表面に有する複合体をさす。触媒を担持する担体と、その表面に配置された、触媒金属粒子、セラミック粉末(凝集防止材)、このあと説明する強磁性体粉末(粒子)、等を備える。なお、粉末と粒子とは、同じ意味で用いており、相互に言い換えてもよい。
【0008】
触媒体が強磁性体の金属粒子を含むことができる。
強磁性体の金属粒子を含むことで、高周波誘導加熱において強磁性体の金属粒子は誘導エネルギを高い吸収率で吸収することができる。強磁性体は、磁化−外部磁場の高周波におけるヒステリシスの面積(エネルギ損)が大きい。これは強磁性体内では、交番磁界によって磁壁移動を伴う磁化の反転などが生じるためである。そのエネルギ損が熱エネルギになるので、大きな発熱を得ることができる。このため、容易に容器内の芯部領域を昇温して容器内壁に近い部分との温度差を小さくすることができる。なお、強磁性体の金属粒子は、キュリー点以下の温度で強磁性体に特有の高周波誘導加熱されやすい性質を示すが、キュリー点を超えても金属に起因する導電性は保持されるので、高周波誘導加熱されることは言うまでもない。
なお、上記の強磁性体の金属粒子について、高周波誘導加熱における加熱容易性を有することについて説明した。しかし、強磁性体の金属粒子は、ニッケル粒子にみられるように分解の触媒作用を有してもよい。すなわち触媒金属粒子は、強磁性体の金属粒子であってもよいし、逆に強磁性体の金属粒子が触媒金属粒子であってもよい。
【0009】
強磁性体のキュリー温度Tcを300℃以上とすることができる。
これによって、意図した加熱温度に能率よく昇温し、また温度保持を遂行することができる。たとえば鉄(Fe)粒子は金属粒子であり、導電性に基づき高周波誘導加熱することができ、かつ強磁性体であり、キュリー温度Tcが770℃なので能率よく反応温度に加熱することができ、かつ反応温度付近の保温も高周波誘導加熱によって能率よくできる。鉄の他に、コバルト(Co)、Fe−Co合金、Fe−Ni合金、Fe−Cr−Co合金等を用いることができる。
【0010】
触媒体が、導電性の非金属粒子を含んでもよい。
カーボン粉末などの非金属粒子は導電性があり、高周波誘導加熱することができる。
【0011】
触媒が、平均直径2mm以上8mm以下の塊状の担体と、該担体の表面に配置された触媒金属粒子とを備えることができる。
平均直径2mm以上の塊状の担体を用いることで、通気性を確保することで圧力損失を下げることができる。一方、平均直径8mmを超えると未分解のまま素通りガスの割合が大きくなるおそれがあるので、平均直径8mm以下とする。上記の導電性の非金属粒子、および/または強磁性体の金属粒子は、担体の中に位置してもよいし、担体の表面に配置されていてもよい。また、導電性の非金属粒子および強磁性体の金属粒子、は無くてもよい。
【0012】
容器内の軸線を含む芯部領域に、導電体または強磁性体の金属を備えることができる。
これによって圧力損失を増大させることなく、高周波誘導加熱される金属を芯部領域に配置して、芯部領域の温度を確保することが容易になる。
【0013】
容器の一部または全部が絶縁体で形成されているようにできる。
これによって、石英管などの、優れた耐熱性を備えた材料を用いて容器を製作することができる。
【0014】
容器の一部または全部が非磁性体で形成されているようにできる。
これによって、オーステナイト系ステンレス鋼などの、耐熱性および優れた強度と、経済性とを備えた材料を用いて容器を製作することができる。高周波誘導加熱については周波数を調整することで該容器によってシールドされる程度を小さくして、これらの材料でできた容器の内部を加熱することが可能となる。
コイルのターン数は何ターンでもよく、1ターンでも数百ターンでもよい。
【0015】
気体がアンモニアを含んでおり、加熱装置により容器内を450℃以上950℃以下に加熱することができる。
これによって、容器の芯部を未分解のまま通り抜けるアンモニアを無くすことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のガス分解装置によれば、反応容器の芯部領域において高温を確保することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1におけるガス分解装置を示す縦断面図である。
【図2】図1のガス分解装置における触媒体を示し、(a)はセラミックス(アルミナ)担体およびそれに担持された金属触媒粒子およびセラミックス粉末(凝集抑制材)、(b)は強磁性体粉末を付加したもの、(c)は強磁性体粉末をセラミックス担体内に配置したもの、を示す図である。
【図3】別の触媒体を示し、(a)は図2(b)における強磁性体粉末に代えて導電性カーボン粉末を用いたもの、(b)は図2(c)における強磁性体粉末に代えて導電性カーボン粉末を用いたもの、を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2におけるガス分解装置を示す縦断面図である。
【図5】図1のガス分解装置に配置した鉄線の具体的配置を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるガス分解装置10の縦断面図である。本実施の形態では分解対象のガスはアンモニアの例を説明するが、分解対象のガス(分子)は何でもよく、とくにアンモニアに限定されるものではない。本実施の形態では、化合物半導体の製造装置から排気される気体中にアンモニアが20%程度含まれている例について説明する。このアンモニア分解装置10では、アンモニアを含む気体が導入配管17を通って気体導入部21に導入される。この気体導入部21には、気体が石英管11または反応容器の芯部領域に直線的に進まないように邪魔板13が配置されており、気体を容器内の内壁側へと誘導する。上述のように、芯部領域はその外側に比べて温度が低く、未分解のままガスが排出されるおそれがあるからである。
反応容器の主要部は石英管11で構成され、その外側に断熱材12が巻かれており、熱の放散を防いでいる。石英管11の上端は気体導入管17、また下端は気体排出管18が接続されている。石英管11内には、塊状ないしボール状の触媒体5が充填され、その触媒体5を上下から挟むように金属多孔体7a,7bが配置されている。金属多孔体7a,7bは留め具6で止められている。金属多孔体7a,7bは、クロマイジングなどによって合金化して電気抵抗を高めたものを用い、これに通電することで加熱してもよい。図1では、金属多孔体7a,7bに対して通電加熱は行っていない。金属多孔体7a,7bは、圧力損失を増大させないために、気孔率または比表面積が大きいめっき金属多孔体を用いるのがよく、たとえば金属多孔体7a,7bの比表面積を1000(m/m)以上とするのがよい。このような高い比表面積は、発泡連続化された樹脂に金属めっきを施すことで形成される金属めっき多孔体により実現できる。とくに商品名セルメット(登録商標:住友電気工業株式会社)は、上記の高い気孔率を有しており、市販されている。
石英管11/断熱材12を巻き回すように、高周波誘導加熱用のコイル3が配置されている。コイル3には、石英管11の芯部領域に位置する触媒体5等が十分加熱されるように、ターン数、周波数、電流等が設定される。芯部領域の温度は、アンモニア分解の場合、700℃〜850℃の範囲にするのがよい。
【0019】
このガス分解装置10において、たとえばアンモニアを含む気体は、気体導入部21に入ったあと、邪魔板13に流れの向きを変えられて金属多孔体7aから触媒体5の中に入ってゆく。触媒体5は、このあと説明するように塊状ないしボール状であるため、必ず間隙が生じていて、気体はその間隙を通りながら、触媒体5の表面に位置する触媒金属粒子たとえばニッケル粒子に接触して分解する。アンモニアは水素と窒素とに分解する。触媒体5の領域を通って気体は金属多孔体7bを経て気体排出部22に到達する。この気体排出部22で、気体中のガス成分は十分低くなければならない。アンモニアの場合、25ppm以下にする。
石英管11内の平均温度は、たとえばアンモニア分解の場合上記のように700℃〜850℃程度にするが、要求される分解能率に応じて、温度を変えることができる。また、分解対象のガスによって温度を変えることができる。なお、図1では、加熱装置として高周波誘導加熱用のコイル3のみを示しているが、ヒータと併用してもよいことは言うまでもない。
【0020】
本実施の形態では、高周波誘導加熱用のコイル3によって加熱するので、石英管11の芯部領域およびその外側を、必要とされる分解速度を確保するのに必要な温度以上に、あます所なく加熱することができる。従来のように、反応容器の外側からヒータ等で加熱する方式では、分解処理能力を高めるために反応容器の径を大きくすると、芯部領域はその外側に比べて温度が大きく低下する問題があった。芯部領域の温度がその外側より大きく温度低下すると、芯部領域を通るガスは未分解のまま排出される。反応容器の大径化をしてアンモニア濃度の上限値25ppm以下を満たすことができない場合、その大きな原因は、上記の芯部領域における温度低下にあった。
しかし、図1に示す高周波誘導加熱用のコイル3を用いることで、芯部領域に狙いをつけて高周波誘導加熱の条件を設定することで、芯部領域が大きく温度低下しないように加熱できる。このため芯部領域がその外側領域よりも大きく温度低下することは避けられ、反応容器を大径化しても、分解後の排出気体中のガス濃度を十分低く下げることができる。アンモニアの場合、規制値である25ppm以下に確実に下げることができる。
【0021】
図2は塊状ないしボール状の触媒体5を示す図である。図2(a)は、触媒体5が、セラミック担体であるアルミナ担体5bと、その表面に配置された触媒金属粒子のニッケル粒子5aおよび絶縁体のセラミック粉末5cとで形成されている場合を示す。図2(b)は、図2(a)の構成に加えてさらに強磁性体粉末5mが、アルミナ担体5bの表面に位置している。また、図2(c)では、強磁性体粉末5mが、アルミナ担体5bの内部に位置している。
本実施の形態では、上記のように、高周波誘導加熱用のコイル3を用いるので、触媒体5が強磁性体粉末(粒子)5mを含むことで、高周波誘導加熱において強磁性体の金属粉末は誘導エネルギを高い吸収率で吸収することができる。上記のように強磁性体は、磁壁移動に伴う磁化の反転などにより、磁化−外部磁場の高周波におけるヒステリシスの面積(エネルギ損)が大きい。そのエネルギ損が熱エネルギになるので、高周波誘導加熱によって大きな発熱を得ることができる。このため、容器内の芯部領域を容易に昇温して容器内壁に近い部分との温度差を小さくすることができる。なお、強磁性体の金属粒子は、キュリー点以下の温度で強磁性体に特有の高周波誘導加熱されやすい性質を示すが、キュリー点を超えても金属に起因する導電性は保持されるので、高周波誘導加熱される。
上記の強磁性体の金属粒子について、高周波誘導加熱における加熱容易性を有することについて説明した。しかし、強磁性体の金属粒子は、ニッケル粒子にみられるように分解の触媒作用を有してもよい。すなわち触媒金属粒子は、強磁性体の金属粒子であってもよいし、逆に強磁性体の金属粒子が触媒金属粒子であってもよい。
強磁性体粉末5mとしては、たとえばキュリー温度Tcが高いFe−Co合金、Ni−Fe合金、純鉄、低炭素鋼などを用いるのがよい。図2(a)〜(c)に共通するニッケル粒子5aはアンモニア分解の触媒作用が大きく、また、導電性も高いので高周波誘導加熱される。このため、触媒粒子5aが直接、高周波誘導加熱されて高温を確保するので、アンモニア分解の促進、またはアンモニア分解速度の向上に寄与することができる。また絶縁体のセラミックス粉末はニッケル粒子同士間の焼結防止または凝集抑制のために配置する。金属粒子どうし凝集または焼結すると表面積が減少して触媒作用が低下する。
【0022】
図3は、別の触媒体5を示す図である。図3(a)は、セラミックス担体であるアルミナ担体5bと、そのアルミナ担体5b上にニッケル粒子5a、セラミック粉末5cおよびカーボン粉末5gとが位置している。図2(b)に示す強磁性体粉末5mの代わりにカーボン粉末5gを用いている。カーボン粉末5gは、導電性が高いものを用いる。また、図3(b)は、アルミナ担体5bの内部にカーボン粉末5gを配置している。導電性の高いカーボン粉末5gは、高周波誘導加熱によって加熱され、高温を確保するのに有効である。
【0023】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2におけるガス分解装置10の縦断面図である。本実施の形態におけるガス分解装置10は、反応容器11内の芯部領域に、鉄線9を単体で備える点で、実施の形態1と相違する。その他の点では、実施の形態1と共通する。
図4に示す鉄線9は、図5に示すように配置されている。(a)は斜視図(鉄線の本数を少し誇張して図示している)、(b)は平面図である。鉄線9は、石英管11の芯部領域に集中している。芯部領域の径は、石英管または反応容器の径の25%〜50%程度の領域である。この芯部領域に鉄線9を集中して配置することで、高周波誘導加熱を芯部領域の温度をその外側よりも大きく低下させることなく行うことができる。鉄線9は、強磁性体であり、磁区構造を生じさせる大きさを持つので、高周波磁化におけるヒステリシス曲線の囲む面積を大きくできる。このため、芯部領域に位置する鉄線9を能率よく高周波誘導加熱することで、反応容器の芯部領域の温度を周囲より大きく低下させずに、芯部でも高温を容易に確保することができる。この結果、アンモニアが未分解のまま芯部領域を通り過ぎるのを防ぐことができる。
【0024】
金属線9の径は、圧力損失を大きく増加させない範囲であれば、多少大きくてもよい。たとえば触媒体5の平均直径の2倍程度以下の直径の金属線でもよい。下限はいくら細くてもよい。金属線9の長さは、図4では反応容器(石英管)11内の触媒体5が充填されている範囲に配置されているが、反応容器11の長さ(軸線方向長さ)の25%〜75%程度であってもよい。
【0025】
上記において、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のガス分解装置によれば、ガス分解の処理能力を向上させるために、反応容器の径を大きくした場合でも、反応容器の芯部領域の温度を高くすることができる。このため未分解のガスを含む気体が芯部領域を通り抜け、所定のガス濃度以下に抑えられなくなる事態を避けることができる。
【符号の説明】
【0027】
3 高周波誘導加熱用コイル、5 触媒、5a ニッケル粒子など触媒金属粒子、5b セラミックス担体(塊状ないしボール状)、5c セラミックス粉末(凝集抑制材)、5g 導電性カーボン粉末、5m 強磁性体粉末、6 留め具、7a、7b 金属多孔体、9 金属線または強磁性体金属線、10 ガス分解装置、11 石英管(反応容器)、12 断熱材、13 邪魔板、17 気体導入管、18 気体排出管、21 気体導入部、22 気体排出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを分解するために用いる装置であって、
前記ガスを含む気体が導入される容器と、
前記容器内に位置する、前記ガスの分解の促進作用を有する触媒金属粒子を含む触媒体と、
前記容器内を加熱するための加熱装置とを備え、
前記加熱装置が、高周波誘導加熱用のコイルを備えることを特徴とする、ガス分解装置。
【請求項2】
前記触媒体が強磁性体の金属粒子を含むことを特徴とする、請求項1に記載のガス分解装置。
【請求項3】
前記強磁性体のキュリー温度Tcが300℃以上であることを特徴とする、請求項2に記載のガス分解装置。
【請求項4】
前記触媒体が、導電性の非金属粒子を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項5】
前記触媒体が、平均直径2mm以上8mm以下の塊状の担体と、該担体の表面に配置された前記触媒金属粒子とを備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項6】
前記容器内の軸線を含む芯部領域に、導電体または強磁性体の金属を備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項7】
前記容器の一部または全部が絶縁体で形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項8】
前記容器の一部または全部が非磁性体で形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項9】
前記気体がアンモニアを含んでおり、前記加熱装置により前記容器内を450℃以上950℃以下に加熱することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のガス分解装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−111538(P2013−111538A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260593(P2011−260593)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】