説明

ガス測定装置

【課題】圧力センサ等の気圧測定装置を追加装備することなく、測定環境に応じた正確なガス測定値を得る。
【解決手段】測定部12は、被測定ガスの所定パラメータについて測定値を得る。標高取得部14は、設置場所の標高を示す標高情報を取得する。気圧算出部15は、前記標高情報に基づいて前記設置場所における気圧を算出する。補正部13は、前記気圧の算出値に基づいて前記測定値を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定ガスの所定パラメータを測定するガス測定装置に関する。特に被測定者の呼吸ガス中の特定成分の濃度を測定するガス測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場等において呼吸管理を要する患者(被測定者)の呼吸をモニタするための様々な機器や方法が提案されている。例えばカプノメトリ(capnometry)と呼ばれる方法は、被測定者の呼気に含まれる二酸化炭素の分圧、すなわち呼気中の二酸化炭素濃度の経時的な変化を測定することにより、被測定者の呼吸状態を把握する方法として知られている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−131410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の測定値は大気圧の変動の影響を受けて変化することが知られている。例えば標高の低い場所と高い場所とでは、ある特定の状態を指す測定値に変化が生ずる。したがって得られた測定値から被測定者の状態を正確に把握できないという事態が生じうる。
【0005】
特許文献1に記載の構成においては、圧力センサを設けて測定環境における大気圧を測定し、測定された大気圧に基づいてガス濃度の測定値を補正している。この構成によれば正確な測定値を得ることができるが、圧力センサ等の気圧測定装置をガス濃度測定装置に加えて装備する必要があり、装置の大型化やコスト上昇の要因となる。
【0006】
本発明は上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、圧力センサ等の気圧測定装置を追加装備することなく、測定環境に応じた正確なガス測定値を得ることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明によれば、被測定ガスの所定パラメータについて測定値を得る測定部と、設置場所の標高を示す標高情報を取得する標高取得部と、前記標高情報に基づいて前記設置場所における気圧を算出する気圧算出部と、前記気圧の算出値に基づいて前記測定値を補正する補正部とを備える、ガス測定装置が提供される。
【0008】
複数の地理的位置と、当該複数の地理的位置の各々における標高とを含むデータベースが記憶された記憶部を更に備え、前記標高取得部は、選択された前記複数の地理的位置の一つにおける標高を前記標高情報として取得する構成としてもよい。
【0009】
ここで前記データベースは、前記複数の地理的位置の各々について気温情報を含んでおり、前記気圧算出部は、更に前記気温情報に基づいて前記気圧を算出する構成としてもよい。
【0010】
前記標高情報は、前記標高取得部が備えるGPS装置を通じて取得する構成としてもよい。または、外部に設置されたGPS装置が取得した前記標高情報を、前記標高取得部が備える通信部が通信により取得する構成としてもよい。
【0011】
前記被測定ガスとしては、酸素ガス、二酸化炭素ガス、麻酔ガス、笑気ガスのいずれかとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成によれば、ガス測定値の比較的大きな変動要因である気圧を、ガス測定装置の設置場所の標高に基づいて算出する。よって気圧センサのような測定装置を追加装備することなく、得られた正確な測定値から被測定者の状態を的確に把握することができる。
【0013】
複数の地理的位置と、当該複数の地理的位置の各々における標高とを含むデータベースを記憶しておけば、当該複数の地理的位置の一つを選択することによって容易に標高情報を取得することができる。
【0014】
データベースが複数の地理的位置の各々について気温情報を含む構成の場合、ガス測定装置の設置場所の気圧をより正確に算出することができる。当該気温情報がガス測定装置の使用時に応じたものであれば、気圧算出の正確性をより向上させることができる。
【0015】
標高情報をGPS装置が取得する構成とすれば、ユーザが地理的位置の一つを選択する必要がなくなり、標高情報の取得および測定値の補正をより簡易かつ自動的に遂行することができる。当該GPS装置が標高情報を取得可能であれば、上記のデータベースを省略することができる。
【0016】
GPS装置が外部に設置され、当該GPS装置が取得した標高情報を通信により取得する通信部を標高取得部が備える構成とすれば、単一のGPS装置を複数のガス測定装置で共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るガス測定装置を示す機能ブロック図である。
【図2】図1のガス測定装置における測定部の構成を模式的に示す図である。
【図3】図1のガス測定装置におけるデータベースの内容を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るガス測定装置を示す機能ブロック図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るガス測定装置を示す機能ブロック図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係るガス測定装置を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を添付の図面を参照しつつ以下詳細に説明する。
【0019】
本発明の第1の実施形態に係るガス測定装置1を図1に示す。ガス測定装置1は、例えば呼吸管理を要する患者等の被測定者の呼気中に含まれる二酸化炭素ガスの濃度(被測定ガスの所定パラメータ)を経時的に測定することにより、当該被測定者の呼吸状態をモニタするための装置である。
【0020】
図1に示すように、ガス測定装置1は、測定部12、補正部13、標高取得部14、気圧算出部15、入力部16、記憶部17、および表示部18を備えている。
【0021】
図2に測定部12の構成を模式的に示す。測定部12は、エアウェイ21、発光素子22、受光素子23、および濃度算出部24を備えている。
【0022】
エアウェイ21は、被測定者に装着された気管チューブに接続されることにより、その一端が被測定者の気管に連通されて被測定者の呼吸気が通過可能とされる。エアウェイ21の他端は、エアバックや人工呼吸器等の外部機器にチューブ等の呼吸回路を介して接続される。なおエアウェイ21は、被測定者の呼吸気が通過可能であれば必ずしも気管チューブに接続される必要はない。すなわち本発明は気管チューブを使用しない被測定者(挿管されていない被測定者)にも適用しうる。
【0023】
装着時において発光素子22および受光素子23は、エアウェイ21を挟んで対向するように配置される。
【0024】
発光素子22は、赤外光のうち、特に二酸化炭素ガスによる吸収度が高い波長を有する光を発光するように構成されている。発光素子22に電力を供給する構成については図示を省略している。
【0025】
受光素子23は、発光素子22から出射され、エアウェイ21を通過した光を受光可能な位置に受光面を有している。受光素子23は、受光面により受光された光の強度に応じた電圧の信号を出力する。
【0026】
エアウェイ21内に存在する二酸化炭素ガスの濃度が高いほど、発光素子22から出射されてエアウェイ21を通過する光の吸収率が高くなり、受光素子23の受光面により受光される光の強度は小さくなる。したがって被測定者の呼気中に含まれる二酸化炭素ガスの濃度が高いほど、受光素子23から出力される信号の電圧は低くなる。
【0027】
濃度算出部24は、受光素子23より入力された信号の電圧値から二酸化炭素ガスの濃度を算出し、測定値を得る。濃度算出部24により得られた測定値は補正部13へ出力される。
【0028】
なお測定値としては二酸化炭素ガスの濃度に対応した値をとる二酸化炭素ガス分圧を得ることとしてもよい。受光素子23の出力信号から二酸化炭素ガスの濃度または分圧の測定値を得る手法は公知であるため、詳細な説明を省略する。
【0029】
上記の測定値は気圧や気温の影響を受けて変化する。よって被測定者の状態を正確に示す値が測定者への表示に供されるためには、測定環境に応じて測定値を補正し、気圧や気温の影響を除去する必要がある。
【0030】
そこで本実施形態においては、標高取得部14がガス測定装置1の設置場所の標高を示す標高情報を取得し、気圧算出部15が当該標高情報に基づいて当該設置場所における気圧を算出し、補正部13が当該気圧の算出値に基づいて、測定部12の濃度算出部24より入力された測定値を補正する構成とされている。
【0031】
入力部16は標高取得部14と通信可能に接続されており、ユーザがガス測定装置1の設置場所を示す地理的位置情報を入力するためのものである。地理的位置情報としては、住所、郵便番号、電話番号、緯度経度等が例として挙げられる。
【0032】
記憶部17は標高取得部14と通信可能に接続されており、ユーザが入力部16を通じて入力した地理的位置情報が標高取得部14より送信される構成とされている。
【0033】
記憶部17はデータベース31を備えている。図3に示すようにデータベース31は、複数の地理的位置と、当該複数の地理的位置の各々における標高と平均気温の対応関係を予め記憶している。
【0034】
記憶部17に標高取得部14から地理的位置情報が入力されると、図示しない制御部がデータベース31内を検索し、当該地理的位置情報に対応する地理的位置を選択する。制御部は、選択された地理的位置に対応する標高および平均気温を、標高情報および気温情報として記憶部17から標高取得部14へ出力させる。
【0035】
なお上記の気温情報は、ガス測定装置1の使用時に応じた平均気温に自動または手動により変更可能としてもよい。この場合、データベース31内において、各地理的位置に複数の平均気温が対応付けられるのが望ましい。
【0036】
例えばユーザが「A県B市C町」という住所を入力部16を通じて入力すると、当該住所を示す地理的位置情報が標高取得部14を経由して記憶部17に入力される。次いで制御部がデータベース31を検索する。「A県B市C町」に対応する地理的位置が図3におけるL2として選択されると、L2に対応する標高情報H2(例えば標高1800m)および気温情報T2(例えば18°C)が記憶部17から標高取得部14へ出力される。
【0037】
標高取得部14は、記憶部17から取得した標高情報および気温情報を気圧算出部15へ出力する。気圧算出部15では、次式に基づいてガス測定装置1の設置場所における気圧P[hPa]を算出する。
【0038】
【数1】

【0039】
ここでPは標高0mにおける気圧(1013.0[hPa])、hは現在地の標高[m]、Tは現在地の気温[°C]、Tは標高0mにおける気温[°C]を示す。気圧算出部15は、標高取得部14より入力された標高情報および気温情報を、各々上記のhおよびTとして上式に代入してPを算出する。
【0040】
なおガス測定装置1が設置される室内は、一定温度となるように温度管理されているのが通常であり、また気温が測定値に与える影響は気圧と比較して小さいと考えられる場合には、上式においてTは室温(例えば25°C)の定数としてもよい。この場合、データベース31における平均気温のデータを省略することができる。
【0041】
気圧算出部15により算出されたガス測定装置1の設置場所における気圧の値は、補正部13に入力される。補正部13は、測定部12の濃度算出部24より入力された二酸化炭素ガス濃度(または分圧)の測定値を、気圧算出部15より入力された気圧の算出値に基づいて補正する。濃度または分圧の測定値を気圧に基づいて補正する方法は被測定ガス及び測定方法(原理や構造)により様々であるので、従来より採用されている手法を用いればよく、詳細な説明は省略する。
【0042】
補正部13は補正した二酸化炭素ガス濃度(または分圧)の測定値を表示部18に出力する。表示部18では、補正した測定値を測定者が視認できるように表示する。このとき当該補正された測定値から、STPD(Standard Temperature, Pressure and Dry)、BTPS(Body Temperature and Pressure, Saturated with water vapor)、ATPS(Ambient Temperature and Pressure, Saturated with water vapor)といった規格化された表示方法への換算を行ない、換算された値を表示するようにしてもよい。
【0043】
以上説明したように、ユーザがガス測定装置1の設置時において設置場所の住所や郵便番号といった地理的位置情報を入力するのみで、予め記憶されたデータベース31から少なくとも当該設置場所の標高情報が取得され、当該標高情報に基づいて二酸化炭素ガス濃度または分圧の測定値が補正される。したがって気圧センサのような測定装置を追加装備することなく、得られた正確な測定値から被測定者の状態を的確に把握することができる。
【0044】
次に図4を参照しつつ本発明の第2の実施形態に係るガス測定装置1Aについて説明する。第1の実施形態と実質的に同一または同様の構成には同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0045】
本実施形態のガス測定装置1Aは、標高取得部14AがGPS装置41を備えている点において第1の実施形態のガス測定装置1と異なる。
【0046】
ガス測定装置1Aの設置に際して、ユーザが標高取得処理を起動すると、標高取得部14Aが備えるGPS装置41がGPS衛星からの電波を受信する。GPS装置41は、受信した電波からガス測定装置1Aの地理的位置(緯度、経度、および標高)を特定する。GPS衛星から受信した電波から現在位置を特定する方法については公知であるため、詳細な説明を省略する。
【0047】
標高取得部14Aは、GPS装置41を通じて特定したガス測定装置1Aの設置場所における標高の値を、標高情報として気圧算出部15に出力する。気圧算出部15は、第1の実施形態と同様にして(1)式を用い、当該設置場所における気圧の値を算出する。ここで現在地における気温Tの値は、定数(室温)とする。
【0048】
補正部13は、測定部12の濃度算出部24より入力された二酸化炭素ガス濃度(または分圧)の測定値を、気圧算出部15より入力された気圧の算出値に基づいて補正する。
【0049】
本実施形態の構成によれば、標高取得部14AがGPS装置41を通じて標高情報を自動的に取得し、当該標高情報に基づいて測定値を補正するため、気圧センサのような測定装置を追加装備することなく、得られた正確な測定値から被測定者の状態を的確に把握することができる。
【0050】
また第1の実施形態のように地理的位置情報と標高情報の対応を示すデータベース31を予め用意する必要がない。ユーザによる地理的位置情報の入力も省略することができるため、標高情報の取得および測定値の補正をより簡易に遂行することができる。
【0051】
次に図5を参照しつつ本発明の第3の実施形態に係るガス測定装置1Bについて説明する。前述の実施形態と実質的に同一または同様の構成には同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0052】
本実施形態のガス測定装置1Bは、外部に設置されたGPS装置41と通信可能な通信部42を標高取得部14Bが備えている点において第2の実施形態のガス測定装置1Aと異なる。
【0053】
ガス測定装置1Bの設置に際して、ユーザが標高取得処理を起動すると、標高取得部14Bが備える通信部42が、ガス測定装置1Bの外部に設置されたGPS装置41に対して地理的位置情報の取得を指示する。
【0054】
GPS装置41は、GPS衛星からの受信した電波に基づいてガス測定装置1Bの地理的位置(緯度、経度、および標高)を特定する。通信部42は、特定されたガス測定装置1Bの地理的位置情報をGPS装置41から受信する。
【0055】
標高取得部14Bは、GPS装置41を通じて特定したガス測定装置1Bの設置場所における標高の値を、標高情報として気圧算出部15に出力する。気圧算出部15は、第1の実施形態と同様にして(1)式を用い、当該設置場所における気圧の値を算出する。ここで現在地における気温Tの値は、定数(室温)とする。
【0056】
補正部13は、測定部12の濃度算出部24より入力された二酸化炭素ガス濃度(または分圧)の測定値を、気圧算出部15より入力された気圧の算出値に基づいて補正する。
【0057】
本実施形態の構成によれば、標高取得部14Bが外部のGPS装置41を通じて標高情報を自動的に取得し、当該標高情報に基づいて測定値を補正するため、気圧センサのような測定装置を追加装備することなく、得られた正確な測定値から被測定者の状態を的確に把握することができる。
【0058】
また第1の実施形態のように地理的位置情報と標高情報の対応を示すデータベース31を予め用意する必要がない。ユーザによる地理的位置情報の入力も省略することができるため、標高情報の取得および測定値の補正をより簡易に遂行することができる。
【0059】
さらに本実施形態の構成によれば、各々が通信部42を備える複数のガス測定装置1Bが、外部に設置した単一のGPS装置41を共有することができる。各測定装置はGPS装置41を内蔵する必要がないため、コストの抑制に資する。
【0060】
次に図6を参照しつつ本発明の第4の実施形態に係るガス測定装置1Cについて説明する。前述の実施形態と実質的に同一または同様の構成には同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0061】
本実施形態のガス測定装置1Cは、GPS装置41Aを備える標高取得部14Cがデータベース31を備える記憶部17と通信可能に接続されている点において、第1の実施形態のガス測定装置1と異なる。
【0062】
ガス測定装置1Cの設置に際して、ユーザが標高取得処理を起動すると、標高取得部14Cが備えるGPS装置41AがGPS衛星からの電波を受信する。GPS装置41Aは、受信した電波からガス測定装置1Cの地理的位置(緯度および経度)を特定する。
【0063】
標高取得部14Cは、GPS装置41Aを通じて特定したガス測定装置1Cの設置場所における緯度と経度の値を、地理的位置情報として記憶部17に出力する。
【0064】
記憶部17に標高取得部14Cから地理的位置情報が入力されると、図示しない制御部がデータベース31内を検索し、当該地理的位置情報に対応する地理的位置を選択する。制御部は、選択された地理的位置に対応する標高および平均気温を、標高情報および気温情報として記憶部17から標高取得部14Cへ出力させる。
【0065】
例えば緯度X経度Yという値に対応する地理的位置が図3におけるLnとして選択されると、Lnに対応する標高情報Hn(例えば標高900m)および気温情報Tn(例えば20°C)が記憶部17から標高取得部14Cへ出力される。
【0066】
標高取得部14Cは、記憶部17から取得した標高情報および気温情報を気圧算出部15へ出力する。気圧算出部15は、第1の実施形態と同様にして(1)式を用い、当該設置場所における気圧の値を算出する。ここで(1)式における現在地の気温Tの値を定数(室温)とし、データベース31において平均気温のデータを省略してもよい。
【0067】
補正部13は、測定部12の濃度算出部24より入力された二酸化炭素ガス濃度(または分圧)の測定値を、気圧算出部15より入力された気圧の算出値に基づいて補正する。
【0068】
本実施形態の構成によれば、標高取得部14CがGPS装置41Aを通じて地理的情報を自動的に取得し、予め記憶されたデータベース31から少なくとも当該設置場所の標高情報が取得され、当該標高情報に基づいて二酸化炭素ガス濃度または分圧の測定値が補正される。したがって気圧センサのような測定装置を追加装備することなく、得られた正確な測定値から被測定者の状態を的確に把握することができる。
【0069】
またユーザによる地理的位置情報の入力も省略することができるため、標高情報の取得および測定値の補正をより簡易に遂行することができる。
【0070】
さらに少なくとも緯度と経度の二次元情報を取得できればよいため、三次元情報を取得するGPS装置41と比較して安価にGPS装置41Aを構成することができる。
【0071】
標高取得部14Cは、図5に示した第3の実施形態に係るガス測定装置1Bのように、通信部42を備える標高取得部14Bで置き換えることができる。この場合、通信部42が外部に設置されたGPS装置41Aからガス測定装置1Cの設置場所に係る地理的位置情報を取得し、当該地理的位置情報に基づいてデータベース31が検索されることとなる。
【0072】
上記の実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0073】
被測定ガスとしては、上記の二酸化炭素ガスに加え、酸素ガス、麻酔ガス、笑気ガス等を測定の対象としうる。所定パラメータは上記のガス濃度またはガス分圧に限られるものではない。少なくとも気圧の影響を受けるパラメータであれば、本発明の手法によって測定値の補正を行なうことができる。ガス濃度またはガス分圧以外のパラメータについて測定を行なう場合、測定部12は当該パラメータを測定するための公知の構成で適宜置き換えうる。
【0074】
上記の各実施形態においては、測定部12にエアウェイ21を含み、少なくとも発光素子22と受光素子23は、装置本体とは別体とされている。濃度算出部24は、発光素子22および受光素子23と共にセンサユニットを構成してもよいし、補正部13、標高取得部14、および気圧算出部15と共に装置本体に設けられてもよい。また補正部13、標高取得部14、および気圧算出部15の少なくとも一つは、当該センサユニットに設けられる構成としてもよい。
【0075】
上記の構成(いわゆるメインストリーム方式)に代えて、測定部12を装置本体に内蔵し、被測定者に装着された呼吸回路から分岐させたチューブを通じて被測定者の呼気を測定部12に導入する構成(いわゆるサイドストリーム方式)としてもよい。
【0076】
入力部16は装置の一部として構成する必要はない。例えばモニタ装置や汎用コンピュータを標高取得部14と通信可能に接続することによって、当該モニタ装置や汎用コンピュータが備えるマンマシンインターフェースを通じて地理的位置情報の入力が可能である。
【0077】
表示部18は装置の一部として構成する必要はない。適宜のモニタ装置を補正部13と通信可能に接続することによって、補正部13が出力する補正後の測定値を測定者への表示に供することができる。モニタ装置は前述の規格化された表示方法への換算機能を備えていることが望ましいが、補正部13が当該換算機能を備えている場合は、表示機能のみを備えるモニタ装置を用いることができる。
【符号の説明】
【0078】
1:ガス測定装置、12:測定部、13:補正部、14:標高取得部、15:気圧算出部、17:記憶部、31:データベース、41:GPS装置、42:通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定ガスの所定パラメータについて測定値を得る測定部と、
設置場所の標高を示す標高情報を取得する標高取得部と、
前記標高情報に基づいて前記設置場所における気圧を算出する気圧算出部と、
前記気圧の算出値に基づいて前記測定値を補正する補正部とを備える、ガス測定装置。
【請求項2】
複数の地理的位置と、当該複数の地理的位置の各々における標高とを含むデータベースが記憶された記憶部を更に備え、
前記標高取得部は、選択された前記複数の地理的位置の一つにおける標高を前記標高情報として取得する、請求項1に記載のガス測定装置。
【請求項3】
前記データベースは、前記複数の地理的位置の各々について気温情報を含んでおり、
前記気圧算出部は、更に前記気温情報に基づいて前記気圧を算出する、請求項2に記載のガス測定装置。
【請求項4】
前記標高情報は、GPS装置を通じて取得されたものである、請求項1から3のいずれか一項に記載のガス測定装置。
【請求項5】
前記標高取得部は、前記GPS装置を備える、請求項4に記載のガス測定装置。
【請求項6】
前記標高取得部は、外部に設置されたGPS装置が取得した前記標高情報を通信により取得する通信部を備える、請求項4に記載のガス測定装置。
【請求項7】
前記被測定ガスは、酸素ガス、二酸化炭素ガス、麻酔ガス、笑気ガスのいずれかである、請求項1から6のいずれか一項に記載のガス測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−68456(P2013−68456A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205831(P2011−205831)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】