説明

キャップ装着装置およびキャップ装着方法

【課題】複数の容器の開口部にキャップを容易に装着できるキャップ装着装置およびキャップ装着方法を提供する。
【解決手段】複数のキャップ3を、可撓性を有する保持シート5に形成された複数の保持部5bによってそれぞれ保持したうえで、X方向とY方向とにそれぞれ所定ピッチで配置された複数の容器2の開口部2aにそれぞれ軽く嵌めておき、キャップ装着装置10の回転体11を軸回りに回転させながら、該回転体11をX方向に移動させていくことによって、複数の容器2の開口部2aに軽く嵌めておいたキャップ3を、前記回転体11に設けられた突出部12によって次々に押圧して容器2の開口部2aに装着していくとともに、キャップ3を装着した際に該キャップ3が外れた保持部5bに突出部12を係合することによって、保持シート5を軸回りに回転している回転体11で巻き取っていく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容する容器の開口部にキャップを装着するキャップ装着装置およびキャップ装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物質の生化学的反応などの試験を系統的に行う際に用いられる装置として、分注装置が知られている。この分注装置では、試薬や検体などの液体収容用のウェルが規則配列で設けられたマイクロタイタープレートや、小型の試験管形状のチューブを対象として、液体の分注操作が行われる。チューブを用いる場合には、使用される分注装置の分注ティップの配列に対応して製作されたチューブラックに縦姿勢で保持させ、上面の開口部から液体の注入や取り出しが行われる。
【0003】
そしてチューブを対象として分注を行った後、液体を外部雰囲気と遮断するなどの目的でチューブ(容器)を閉塞する必要がある場合には、チューブの開口部にキャップを装着する。このキャップの装着作業は、キャップを指先等でチューブの開口部に押し込んで装着したり、特許文献1に記載の装置を用いて行っている。キャップとしては樹脂をチューブの開口部に嵌合する嵌合部を有する形状に成形したものが用いられ、このキャップをチューブの開口部に装着する際には、キャップの上面を保持具に保持させた状態で、キャップの嵌合部を開口部内に上方から押し込むようにしている。
【特許文献1】特開2000−81441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、チューブラックに保持されているチューブ(容器)は、例えば8行×12列の行列状に配置されているので、かなりの数となる。したがって、これら多数の容器の開口部にキャップを装着するのには、効率が悪く非常に手間のかかる作業となる。
また、キャップは容器を閉塞して密閉する目的で装着されることから、嵌合部と容器の開口部との嵌め合い部は接触面に面圧が作用するような嵌め合い状態に設定されている。したがって、キャップを上方から押し込むには、強い押込み力を必要とし、容易に装着することができない場合があった。
さらに、キャップを装着する場合に、予め複数のキャップを、可撓性を有する保持シートに形成された複数の保持孔にそれぞれ挿通した状態で保持したうえで、複数の容器の開口部に装着す場合があるが、この場合、保持シートを剥がす際に、キャップが容器から外れたり、容器がラックから飛び出たりする場合もあった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、複数の容器の開口部にキャップを容易に装着できるキャップ装着装置およびキャップ装着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のキャップ装着装置は、X方向とこれに直交するY方向とにそれぞれ所定ピッチで配置されたうえでラックに保持された複数の容器の開口部にそれぞれキャップを装着するキャップ装着装置であって、
Y方向と平行な軸線回りに回転可能な回転体と、この回転体の外周部に周方向に所定間隔でかつY方向に所定間隔で放射状に突出して設けられて、前記複数の容器の開口部に軽く嵌められたキャップを押圧可能な突出部とを備え、
前記回転体とラックとは、前記容器の開口部と前記回転体とが対向した状態でX方向に相対的に移動可能であることを特徴とする。
【0007】
ここで、回転体とラックとがX方向に相対的に移動可能とする場合、ラックを固定した状態で回転体をX方向に移動可能としてもよいし、回転体を固定した状態でラックをX方向に移動可能としてもよいし、回転体とラックとの双方をX方向に移動可能としてもよい。
【0008】
請求項2に記載のキャップ装着方法は、請求項1に記載のキャップ装着装置によって、複数の容器の開口部にそれぞれキャップを装着するキャップ装着方法であって、
X方向とY方向とにそれぞれ所定ピッチで配置された複数の容器の開口部にそれぞれキャップを軽く嵌めておき、
前記回転体を軸回りに回転させながら、該回転体と前記ラックとを相対的にX方向に移動させていくことによって、前記複数の容器の開口部に軽く嵌めておいたキャップを、前記突出部によって次々に押圧して容器の開口部に装着していくことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載のキャップ装着方法は、請求項1に記載のキャップ装着装置によって、複数の容器の開口部にそれぞれキャップを装着するキャップ装着方法であって、
前記複数のキャップを、可撓性を有する保持シートに形成された複数の保持部によってそれぞれ保持したうえで、X方向とY方向とにそれぞれ所定ピッチで配置された複数の容器の開口部にそれぞれ軽く嵌めておき、
前記回転体を軸回りに回転させながら、該回転体と前記ラックとを相対的にX方向に移動させていくことによって、前記複数の容器の開口部に軽く嵌めておいたキャップを、前記突出部によって次々に押圧して容器の開口部に装着していくとともに、キャップを装着した際に該キャップが外れた前記保持部に前記突出部を係合することによって、前記保持シートを軸回りに回転している回転体で巻き取っていくことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載のキャップ装着方法は、請求項1に記載のキャップ装着装置によって、複数の容器の開口部にそれぞれキャップを装着するキャップ装着方法であって、
前記複数のキャップを、可撓性を有する保持シートに形成された複数の保持部によってそれぞれ保持したうえで、X方向とY方向とにそれぞれ所定ピッチで配置された複数の容器の開口部にそれぞれ軽く嵌めておき、
次に、前記回転体の突出部のない部分で保持シートの上面および/またはキャップの上面を押圧しながら、該回転体と前記ラックとを相対的にX方向に移動させることによって、前記キャップを容器の開口部に仮装着していき、
次に、前記回転体を軸回りに回転させながら、該回転体と前記ラックとを相対的にX方向に移動させていくことによって、前記複数の容器の開口部に仮装着しておいたキャップを、前記突出部によって次々に押圧して容器の開口部に本装着していくとともに、キャップを本装着した際に該キャップが外れた前記保持部に前記突出部を係合することによって、前記保持シートを軸回りに回転している回転体で巻き取っていくことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のキャップ装着装置によれば、X方向とY方向とにそれぞれ所定ピッチで配置されたうえでラックに保持された複数の容器の開口部にそれぞれキャップを軽く嵌めておき、回転体を軸回りに回転させながら、該回転体とラックとを相対的にX方向に移動させていくことによって、複数の容器の開口部に軽く嵌めておいたキャップを、突出部によって次々に押圧して容器の開口部に装着していくことができる。つまり、Y方向に配置されている複数の容器の開口部に、回転体の軸線方向に配置された複数の突出部によって一列一斉にキャップを押圧して装着でき、回転体を回転させながら該回転体とラックとを相対的にX方向に移動させることによって、次々に、その列の容器の開口部に一斉にキャップを押圧して装着できる。したがって、複数の容器の開口部にキャップを容易に装着できる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1と同様に、複数の容器の開口部にキャップを容易に装着できる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2と同様に、複数の容器の開口部にキャップを容易に装着できるとともに、キャップを装着した際に該キャップが外れた保持シートの保持部に回転体に立設された突出部を係合することによって、保持シートを軸回りに回転している回転体で巻き取っていくので、保持シートを容易かつ確実にキャップから剥がすことができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、保持シートによって保持された複数のキャップを複数の容器の開口部にそれぞれ軽く嵌めておき、次に、前記回転体の突出部のない部分で保持シートの上面および/またはキャップの上面を押圧しながら、該回転体とラックとを相対的にX方向に移動させることによって、容器の開口部にキャップを安定的に仮装着できる。
このように安定的に仮装着されているキャップを、前記回転体を軸回りに回転させながら、該回転体とラックとを相対的にX方向に移動させていくことによって前記突出部によって次々に押圧して容器の開口部に本装着していくことができ、よって、より確実に複数の容器の開口部にキャップを容易に装着できる。
また、キャップを本装着した際に該キャップが外れた保持シートの保持部に回転体に設けられた突出部を係合することによって、保持シートを軸回りに回転している回転体で巻き取っていくので、保持シートを容易かつ確実にキャップから剥がすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明に係るキャップ装着装置を説明する前に、キャップとこのキャップが装着される容器、この容器を多数保持するラックについて説明する。
図1に示すように、ラック1にはチューブ状の容器2を縦横複数並べて保持するための凹部1aが格子状(行列状)の平面規則配列で設けられており、凹部1aには容器2が直立姿勢で挿入され保持される。なお、本実施の形態では、凹部1aはX方向に8個、Y方向に12個、合計96個形成されている。
【0016】
容器2は透明樹脂を上部が開口した試験管形状に成形した樹脂部品であり、開口部2aには必要に応じてキャップ3が装着される。キャップ3は上面中央に凹部3aが設けられ、上縁部に鍔部3bが張り出した形状の樹脂製の栓部材である。キャップ3の下部は鍔部3bよりも径寸法が小さい円柱状の嵌合部3cとなっている。
キャップ3の容器2の開口部2aへの装着に際しては、嵌合部3cを開口部2a内に設けられた段付部2bに圧入する。凹部3aには内径が中間部分よりも外側に拡がった底部3dが設けられている。
【0017】
図2は、キャップ3を保持する保持シート5を示している。キャップ3は、屈曲自在な樹脂製のシート5aに凹部3aを上向きにした姿勢で保持されており、ラック1における凹部1aの配列と同一配列でシート5aに設けられた保持部5bに、鍔部3bを係止させて挿入されている。保持部5bは鍔部3bが係止できるような大きさ保持孔5bである。
なお、保持部5bは、孔とせず凸部としてもよい。この場合、この凸部をシート5aの下面に形成し、この凸部をキャップ3の凹部3aに係合することによってキャップ3を保持してもよい。また、凸部には後述する突出部12が係合可能な孔を形成する。
【0018】
次に、本発明に係るキャップ装着装置について説明する。
図3に示すように、キャップ装着装置10は、回転体11とこの回転体11の外周部に所定間隔で設けられた複数本の突出部12とを備えている。
回転体11は円柱状に形成されており、その軸線方向は前記ラック1に保持された複数のキャップ3が12個配列されたY方向に向けられている。また、回転体11の軸線方向の長さはラック1のY方向における長さより若干長くなっている。回転体11の両端部はアーム13によって軸線回りに回転可能に支持されており、該回転体11の端面に軸線と同軸に設けられた入力軸11bには、図示しない駆動モータの出力軸が直接または適宜の減速機構を介して連結されている。そして、この駆動モータによって回転体11は軸線回りに回転するようになっている。
【0019】
また、前記アーム13は、X方向に延在する図示しないガイドレールによってX方向に移動可能となっており、該アーム13は図示しない移動機構によってX方向に移動するようになっている。移動機構としては例えば、ラック&ピニオンやボールねじ&ナット等が挙げられるが、これに限るものではない。ラック&ピニオンの場合は、ラックをガイドレールに沿って配置するとともに、このラックに噛合するピニオンを前記アームに回転可能に取り付ければよい。また、ボールねじ&ナットの場合は、ボールねじをガイドレールに沿って配置するとともに、このボールねじに螺合するナットを前記アームに取り付ければよい。また、前記アーム13は図示しない昇降機構によって昇降可能となっている。昇降機構としては例えばシリンダ装置が挙げられるがこれに限るものではない。
なお、前記回転体11は、その回転速度や回転位置が図示しない制御部によって制御され、アーム13はそのX方向への移動速度や移動位置が図示しない制御部によって制御され、さらに昇降速度や昇降位置が図示しない制御部によって制御されるようになっている。
【0020】
前記突出部12は回転体11の外周部に周方向に一定間隔でかつY方向に一定間隔で放射状に突出して設けられている。これら突出部12は複数(実施の形態では96個)の容器2の開口部2aに軽く嵌められたキャップ3を押圧可能なものであり、その先端部はキャップ3の上面に設けられた凹部3aより小径となっている。また、回転体11の周方向に一定間隔で立設された複数の突出部12間のピッチはX方向に配置された複数の容器3の開口部3a間のピッチと等しくなっており、Y方向に一定間隔で立設された複数の突出部12間のピッチは、Y方向に配置された複数の容器3の開口部3a間のピッチと等しくなっている。
このように回転体11の外周部には、96個の突出部12が放射状に突出して設けられており、それぞれの突出部12よって、ラック1に保持されている96個の容器2の開口部2aに向けてキャップ3を押圧可能となっている。
【0021】
また、前記突出部12は回転体11の周方向に一定間隔で設けられているが、この回転体11の外周部の一部には、突出部12が設けられていない外周部分11aがある。この外周部分11aの周方向の長さは、突出部12の周方向におけるピッチより長くなっており、この外周部分11aによって平らな保持シート5の表面を、突出部12が保持シート5の表面に当たらないようにして、押圧できるようになっている。
【0022】
次に上記構成のキャップ装着装置10によって、ラック1に保持された複数(96個)の容器2の開口部2aにキャップ3を装着する方法について説明する。
まず、図3(a)に示すように、複数のキャップ3を、可撓性を有する保持シート5に形成された複数の保持孔5b(図2参照)にそれぞれ挿通した状態で保持したうえで、X方向とY方向(図3において紙面と直交する方向)とにそれぞれ所定ピッチで配置された複数の容器2の開口部2aにそれぞれ軽く嵌めておく。容器2は例えば96個あるが、これら容器2は96個の凹部1aを備えたラック1に保持される。ラック1にはX方向に8個の凹部1aが一定間隔で設けられており、Y方向に12個の凹部1aが一定間隔で設けられている。このような凹部1aにそれぞれ容器2が挿入される。したがって、ラック1にはX方向に容器2が一定間隔で8個、Y方向に容器2が一定間隔で12個、合計96個保持されている。
そして、容器2を保持したラック1を、キャップ取外し装置10のテーブル10aに載置または固定した後、スタートスイッチを入れると、テーブル10aが装置内部に向かって移動し、これによってラック1が装置内に移動する。なお、手動により、テーブル10aを装置内部に向かって移動させて、ラック1を装置内に移動させるようにしてもよい。
【0023】
次に、図3(b)に示すように、アーム13が下降することによって、回転体11が下降する。この際、回転体11の最下端部に位置する突出部12が一列目のキャップ3を押圧して該キャップ3を容器2の開口部2aに装着する。なお、回転体11の最下端部に位置する突出部12はY方向(図3(b)において紙面と直交する方向)に一定間隔で12個あり、一列目のキャップ3もY方向に同じ一定間隔で12個ある。したがって、回転体11の最下端部に位置する突出部12が一列目のキャップ3を押圧することによって、12個のキャップ3が12個の容器2の開口部2aに同時に装着される。
また、キャップ3が容器2の開口部2aに装着されると、保持シート5の一列目の保持孔5bからキャップ3が外れると同時に、該保持孔5bに前記突出部12が挿通されて係合する。つまり、保持シート5の一列目の12個の保持孔5bに12個の突出部12が挿通されて係合する。
【0024】
次に、図3(c)に示すように、回転体11を軸線回りに時計方向に回転させつつ、アーム13をX方向右方に移動させていくことによって、回転体11を右方に移動(前進)させて二列目以降の容器2の開口部2aに軽く嵌めておいたキャップ3を、回転移動してくる突出部12によって次々に押圧して容器2の開口部2aに装着していくとともに、キャップ3を装着した際に該キャップ3が外れた2列目以降の保持孔5bに突出部12を係合することによって、保持シート5を軸回りに回転している回転体11で巻き取っていく。なお、回転体11の右方への移動速度は、回転体11の接線方向の回転速度と等しく設定する。
【0025】
上記のようにして、回転体11を回転させつつ右方に移動させて、図3(d)に示すように、8列目のキャップ3を押し込んで容器2の開口部2aに装着したら、前記アーム13を上昇させて回転体11を上昇させる。回転体11の外周部には保持シート5が巻き取られている。
その後アーム13を左方に移動(後退)させることによって、回転体11を後退させて、ラック1の後方(左方)にある廃棄ボックス14の直上に位置させる。
【0026】
次に、図3(e)に示すように、廃棄ボックス14に設けられている爪部14aを、回転体11に巻き取られている保持シート5の先端部に引っ掛ける。この場合、例えば、保持シート5の先端部にある保持孔5bに爪部14aの先端部を挿入して引っ掛ければよい。
そして、この状態で回転体11を時計回りに回転させることによって、保持シート5を巻き出して、回転体11から外し、廃棄ボックス14内に廃棄する。
この保持シート14の廃棄後、または廃棄と同時にテーブル10aを装置外に移動し、これによって、ラック1を装置外に移動する。このラック1に保持されている全ての容器2の開口部2aにキャップ3が装着されているかどうかを目視等によって確認した後、このラック1を取り出してキャップ装着作業を終了する。
【0027】
このように、本実施の形態によれば、ラック1に保持された96個の容器2の開口部2aにそれぞれキャップ3を軽く嵌めておき、回転体11を軸回りに回転させながら、該回転体11を右方に移動(前進)させていくことによって、96個の容器2の開口部2aに軽く嵌めておいたキャップ3を、突出部12によって次々に押圧して容器2の開口部2aに装着していくことができる。つまり、Y方向に配置されている12個の容器2の開口部2aに、回転体11の軸線方向に配置された12個の突出部12によって一列一斉に12個のキャップ3を押圧して装着でき、回転体11を回転させながら8列分前進させることによって、次々に、その列の容器2の開口部2aに一斉にキャップを押圧して装着できる。したがって、96個の容器2の開口部2aにキャップ3を容易に装着できる。
また、キャップ3を装着した際に該キャップ3が外れた保持シート5の保持孔5bに回転体11に立設された突出部12を係合することによって、保持シート5を軸回りに回転している回転体11で巻き取っていくので、保持シート5を容易かつ確実にキャップ3から剥がすことができる。
【0028】
なお、本実施の形態では、96個のキャップ3を、保持シート5に形成された96個の保持孔5bにそれぞれ挿通した状態で保持したうえで、96個の容器2の開口部2aにそれぞれ軽く嵌めたが、この保持シート5を用いず、96個の容器2の開口部2aにキャップ3を軽く嵌めておいてもよい。
【0029】
また、前記キャップ装着装置10によって、以下のようにして容器2の開口部2aにキャップを装着してもよい。
すなわち、図4(a)に示すように、96個のキャップ3を、可撓性を有する保持シート5に形成された96個の保持孔5b(図2参照)にそれぞれ挿通した状態で保持したうえで、X方向とY方向(図4において紙面と直交する方向)とにそれぞれ所定ピッチで配置された複数の容器2の開口部2aにそれぞれ軽く嵌めておく。
そして、容器2を保持したラック1を、キャップ取外し装置10のテーブル10aに載置または固定した後、スタートスイッチを入れると、テーブル10aが装置内部に向かって移動し、これによってラック1が装置内に移動する。なお、手動により、テーブル10aを装置内部に向かって移動させて、ラック1を装置内に移動させるようにしてもよい。
【0030】
次に、図4(b)に示すように、アーム13が下降することによって、回転体11が下降し、その突出部12がない外周部分11aによって、1列目のキャップ3の上面およびその列に位置する保持シート5の上面を押圧する。これによって、一列目のキャップ3を容器2の開口部2aに仮装着する。
【0031】
次に、図4(c)に示すように、前記アーム13によって、回転体11をX方向左方に移動(後退)させることによって、前記外周部分11aによって保持シート5の上面およびキャップ3の上面を押圧していくことによって、キャップ3を容器2の開口部2aに仮装着していく。
【0032】
全てのキャップ3を全ての容器2の開口部2aに仮装着したら、図4(d)に示すように、回転体11を軸線回りに時計方向に回転させつつ、アーム13をX方向右方に移動させていくことによって、回転体11を右方に移動(前進)させて、容器2の開口部2aに仮装着されているキャップ3を、回転移動してくる突出部12によって次々に押圧して容器2の開口部2aに本装着していくとともに、キャップ3を本装着した際に該キャップ3が外れた保持孔5bに突出部12を係合することによって、保持シート5を軸回りに回転している回転体11で巻き取っていく。なお、回転体11の右方への移動速度は、回転体11の接線方向の回転速度と等しく設定する。
【0033】
上記のようにして、回転体11を回転させつつ右方に移動させて、図4(e)に示すように、8列目のキャップ3を押し込んで容器2の開口部2aに本装着したら、前記アーム13を上昇させて回転体11を上昇させる。回転体11の外周部には保持シート5が巻き取られている。
その後アーム13をさらに右方に移動(前進)させることによって、回転体11を前進させて、ラック1の前方(右方)にある廃棄ボックス14の直上に位置させる。
【0034】
次に、図4(f)に示すように、廃棄ボックス14に設けられている爪部14aを、回転体11に巻き取られている保持シート5の先端部に引っ掛ける。この場合、例えば、保持シート5の先端部にある保持孔5bに爪部14aの先端部を挿入して引っ掛ければよい。
そして、この状態で回転体11を時計回りに回転させることによって、保持シート5を巻き出して、回転体11から外し、廃棄ボックス14内に廃棄する。
この保持シート14の廃棄後、または廃棄と同時にテーブル10aを装置外に移動し、これによって、ラック1を装置外に移動する。このラック1に保持されている全ての容器2の開口部2aにキャップ3が装着されているかどうかを目視等によって確認した後、このラック1を取り出してキャップ装着作業を終了する。
【0035】
このように、保持シート5によって保持された96個のキャップ3を96個の容器2の開口部2aにそれぞれ軽く嵌めておき、次に、回転体11の突出部12のない外周部分11aで保持シート5の上面およびキャップ3の上面を押圧しながら、該回転体11をX方向に移動させることによって、容器2の開口部2aにキャップ3を安定的に仮装着できる。
このように安定的に仮装着されているキャップ3を、回転体11を軸回りに回転させながら、該回転体11をX方向に移動させていくことによって突出部12によって次々に押圧して容器2の開口部2aに本装着していくことができ、よって、より確実に96個の容器2の開口部2aにキャップ3を容易に装着できる。
また、キャップ3を本装着した際に該キャップ3が外れた保持シート5の保持孔5bに回転体11に設けられた突出部12を係合することによって、保持シート5を軸回りに回転している回転体11で巻き取っていくので、保持シート5を容易かつ確実にキャップ3から剥がすことができる。
【0036】
なお、本実施の形態では、回転体11をX方向に移動させるようにしたが、これに代えて、回転体11をY方向に移動させるようにしてもよい。この場合、回転体11をその軸線をX方向に向けて配置するとともに、突出部12を回転体11の外周部に周方向に一定間隔で12個かつY方向に一定間隔で8個放射状に突出して設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るキャップ装着装置によって装着される容器をラックとともに示すもので、(a)は容器およびラックの斜視図、(b)は容器を示す図である。
【図2】キャップを保持した状態を示す保持シートの斜視図である。
【図3】本発明に係るキャップの装着方法の一例を示す工程図であり、(a)はラックに保持された容器にキャップを軽く嵌めている状態を示す側面図、(b)はキャップ装着装置によって、一列目のキャップを容器に装着している状態を示す側面図、(c)はキャップ装着装置によって容器にキャップを次々に装着している状態を示す側面図、(d)はキャップを容器に装着し終えた状態を示す側面図、(e)は回転体に巻き取られた保持シートを廃棄する状態を示す側面図である。
【図4】本発明に係るキャップの装着方法の他の例を示す工程図であり、(a)はラックに保持された容器にキャップを軽く嵌めている状態を示す側面図、(b)はキャップ装着装置によって、一列目のキャップを容器に仮装着している状態を示す側面図、(c)はキャップ装着装置によって容器にキャップを次々に仮装着している状態を示す側面図、(d)はキャップ装着装置によって容器にキャップを次々に本装着している状態を示す側面図、(e)はキャップを容器に本装着し終えた状態を示す側面図、(f)は回転体に巻き取られた保持シートを廃棄する状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 ラック
2 容器
2a 開口部
3 キャップ
5 保持シート
5b 保持孔(保持部)
10 キャップ装着装置
11 回転体
11a 外周部分(突出部のない部分)
12 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X方向とこれに直交するY方向とにそれぞれ所定ピッチで配置されたうえでラックに保持された複数の容器の開口部にそれぞれキャップを装着するキャップ装着装置であって、
Y方向と平行な軸線回りに回転可能な回転体と、この回転体の外周部に周方向に所定間隔でかつY方向に所定間隔で放射状に突出して設けられて、前記複数の容器の開口部に軽く嵌められたキャップを押圧可能な突出部とを備え、
前記回転体とラックとは、前記容器の開口部と前記回転体とが対向した状態でX方向に相対的に移動可能であることを特徴とするキャップ装着装置。
【請求項2】
請求項1に記載のキャップ装着装置によって、複数の容器の開口部にそれぞれキャップを装着するキャップ装着方法であって、
X方向とY方向とにそれぞれ所定ピッチで配置された複数の容器の開口部にそれぞれキャップを軽く嵌めておき、
前記回転体を軸回りに回転させながら、該回転体と前記ラックとを相対的にX方向に移動させていくことによって、前記複数の容器の開口部に軽く嵌めておいたキャップを、前記突出部によって次々に押圧して容器の開口部に装着していくことを特徴とするキャップ装着方法。
【請求項3】
請求項1に記載のキャップ装着装置によって、複数の容器の開口部にそれぞれキャップを装着するキャップ装着方法であって、
前記複数のキャップを、可撓性を有する保持シートに形成された複数の保持部によってそれぞれ保持したうえで、X方向とY方向とにそれぞれ所定ピッチで配置された複数の容器の開口部にそれぞれ軽く嵌めておき、
前記回転体を軸回りに回転させながら、該回転体と前記ラックとを相対的にX方向に移動させていくことによって、前記複数の容器の開口部に軽く嵌めておいたキャップを、前記突出部によって次々に押圧して容器の開口部に装着していくとともに、キャップを装着した際に該キャップが外れた前記保持部に前記突出部を係合することによって、前記保持シートを軸回りに回転している回転体で巻き取っていくことを特徴とするキャップ装着方法。
【請求項4】
請求項1に記載のキャップ装着装置によって、複数の容器の開口部にそれぞれキャップを装着するキャップ装着方法であって、
前記複数のキャップを、可撓性を有する保持シートに形成された複数の保持部によってそれぞれ保持したうえで、X方向とY方向とにそれぞれ所定ピッチで配置された複数の容器の開口部にそれぞれ軽く嵌めておき、
次に、前記回転体の突出部のない部分で保持シートの上面および/またはキャップの上面を押圧しながら、該回転体と前記ラックとを相対的にX方向に移動させることによって、前記キャップを容器の開口部に仮装着していき、
次に、前記回転体を軸回りに回転させながら、該回転体と前記ラックとを相対的にX方向に移動させていくことによって、前記複数の容器の開口部に仮装着しておいたキャップを、前記突出部によって次々に押圧して容器の開口部に本装着していくとともに、キャップを本装着した際に該キャップが外れた前記保持部に前記突出部を係合することによって、前記保持シートを軸回りに回転している回転体で巻き取っていくことを特徴とするキャップ装着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−197054(P2007−197054A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18262(P2006−18262)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(300090846)株式会社ライフテック (13)
【Fターム(参考)】