説明

クラスレート化合物、熱電変換素子、およびそれらの製造方法

【課題】BaGa16Sn30熱電変換材料に比べて高い性能指数(ZT)を示し、安価なクラスレート化合物、熱電変換素子、およびそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】BaGa16Sn30熱電変換材料のGaの一部をGaより安価なCuで置換する。この場合、Cuの仕込み比を0より大きく2.0以下とする。クラスレート化合物におけるCuの組成比(Cu×100/(Ba+Ga+Sn+Cu))は0より大きく0.061以下である。このように、GaをCuで置換したクラスレート化合物は、ゼーベック係数、比抵抗、および性能指数(ZT)についてBaGa16Sn30熱電変換材料よりも良い数値を示すことがわかった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラスレート化合物、熱電変換素子、およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱電変換素子は、ゼーベック効果による発電機能とその逆のペルチェ効果による熱電冷却機能とを有している。発電機能は熱電変換素子の両端に温度差を生じさせることで得られ、冷却機能は熱電変換素子に通電することで得られる。熱電変換素子の構造は、例えば2枚の電極プレート間にP型の熱電変換素子とN型の熱電変換素子とが交互に直列接続されたものになっている。
【0003】
このような熱電変換素子において、素子としての性能は熱電変換の性能指数Zとして求めることができる。熱電変換の性能指数Zは、Z=Sσ/κで表わされる。Sは熱電変換材料のゼーベック係数、σは熱電変換材料の電気伝導率、κは熱電変換材料の熱伝導率である。
【0004】
上述した熱電変換材料の一つとして、例えば特許文献1にあるようにクラスレート化合物が提案されている。このクラスレート化合物の中で、Ba(Ga,Sn)46クラスレートは特に低温領域での性能が高く(非特許文献1参照)、室温から400℃付近の用途に期待される熱電変換材料である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平13−044519号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】熱電変換シンポジウム2003論文集,日本熱電学会,p.148−149
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のBaGa16Sn30熱電変換材料は低温領域で比較的高い性能指数(ZT)を示すものの、その実用化の目安とされるZT=1.0には及ばず、更なる性能指数(ZT)の向上が望まれる。更に、BaGa16Sn30熱電変換材料の構成元素であるGaはBaやSnに比べてコストが高く、実用化を想定した場合にはGaより安価な元素へ変更することが望ましい。
【0008】
本発明は上記点に鑑み、BaGa16Sn30熱電変換材料に比べて高い性能指数(ZT)を示し、安価なクラスレート化合物、熱電変換素子、およびそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、発明者らは、BaGa16Sn30熱電変換材料のGaの一部をGaより安価なCuで置換したBa(Ga,Sn,Cu46というこれまでに合成例のない新規クラスレート材料を開発した。また、Gaの一部をCuで置換したBa(Ga,Sn,Cu46熱電変換材料は、BaGa16Sn30熱電変換材料に比べ高い性能指数(ZT)を示すことがわかった。
【0010】
そこで、請求項1に記載の発明では、組成式がBa(Ga,Sn,Cu46(但し、x+y+z=1,0≦x≦1,0≦y≦1,0<z≦1)で表されることを特徴としている。
【0011】
このように、従来のBaGa16Sn30クラスレート化合物に対してCuを含んだ構造としたことにより、従来のBaGa16Sn30クラスレート化合物に比べ、大きな性能指数(ZT)を得ることができる(図1参照)。また、Cuが含まれたことにより、安価なクラスレート化合物を得ることができる。
【0012】
ここで、本発明のクラスレート化合物におけるGaの原子比率であるGa×100/(Ba+Ga+Sn+Cu)は29.3〜29.4の範囲が好ましい(図1参照)。また、本発明のクラスレート化合物におけるSnの原子比率であるSn×100/(Ba+Ga+Sn+Cu)は55.8〜55.9の範囲が好ましい(図1参照)。上記範囲内であることにより請求項1に係るクラスレート化合物の製造が容易となる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、クラスレート化合物におけるCuの原子比率であるCu×100/(Ba+Ga+Sn+Cu)が0より大きく0.061以下であることを特徴とする。
【0014】
このように、Cu×100/(Ba+Ga+Sn+Cu)の比率が0より大きいことにより、クラスレート化合物の性能指数(ZT)が向上し、原料コストが安いクラスレート化合物とすることができる。また、Cu×100/(Ba+Ga+Sn+Cu)が0.061以下であることにより、本発明に係るクラスレート化合物の製造が容易となる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、熱電変換素子は請求項1または2に記載のクラスレート化合物を含んで構成されていることが特徴となっている。
【0016】
上述のように、クラスレート化合物がCuを含んでいることにより高い性能指数(ZT)が得られることから、Cuを含んだクラスレート化合物で熱電変換素子を構成することにより、高い性能指数(ZT)を有する熱電変換素子を得ることができる。
【0017】
このような熱電変換素子は、請求項1または2に記載のクラスレート化合物そのものであっても良いし、その他の成分を含んでいても良い。また、本発明の熱電変換素子はp型であっても良いし、n型であっても良い。
【0018】
請求項4に記載の発明では、請求項1または2に記載のクラスレート化合物の製造方法であって、クラスレート化合物の構成元素を溶融させて溶融物とする工程を有することを特徴とする。
【0019】
このように、クラスレート化合物の構成元素を溶融させて溶融物とすることで、請求項1または2に記載のクラスレート化合物を容易に製造することができる。そして、この溶融物を冷却すれば、固体の請求項1または2に記載のクラスレート化合物を得ることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明では、クラスレート化合物の構成元素を溶融させて溶融物とする工程では、溶融物におけるCuの原子比率を0より大きく2.0以下とすることを特徴とする。
【0021】
このように、溶融物におけるCuの比率を0より大きくすることにより、製造するクラスレート化合物にCuを含有させることができる。また、溶融物におけるCuの原子比率を2.0以下とすることにより、クラスレート化合物の製造が容易になる。
【0022】
そして、請求項6に記載の発明のように、請求項4または5に記載のクラスレート化合物の製造方法を用いることにより、クラスレート化合物そのものもしくはその他の成分を含んだ熱電変換素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係るクラスレート化合物の仕込み比、組成比、ゼーベック係数、比抵抗、および性能指数の表を示した図である。
【図2】クラスレート化合物を合成するときの代表的な電気炉の温度パターンを示した図である。
【図3】クラスレート化合物の合成直後の試料状態を表す説明図である。
【図4】本実施形態に係るクラスレート化合物の結晶構造の一例を示した図である。
【図5】図1の試料S2のX線回折チャートを示した図である。
【図6】温度に対する各試料の性能指数を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。まず、本発明に係るクラスレート化合物の製造方法について説明する。
【0025】
はじめに、クラスレート化合物の構成元素である純度99%以上のBa、Ga、Sn、およびCuを図1の表に表された仕込み比(原子比率)となるように秤量した。なお、例えばCuの原子比率とはCu×100/(Ba+Ga+Sn+Al)で表される。Ba、Ga、Snについても同様である。
【0026】
試料は仕込み比が異なるS1〜S5の5種類があり、それぞれについてクラスレート化合物を製造する。ここで、試料S0はCuを含まない従来品(BaGa16Sn30,type−VIII)である。
【0027】
なお、図1に示した表は、各試料S0〜S5の原料の仕込み比(at%)に対して得られた単結晶の組成比(at%)の他、500Kでのゼーベック係数(μV/K)、500Kでの比抵抗(Ωm)、および500Kでの性能指数(ZT)をそれぞれ示している。また、試料S4およびS5のゼーベック係数、比抵抗、および性能指数は未測定である。
【0028】
次に、秤量した原料を石英管内に配置し、石英管内部を真空ポンプで真空に引いた後、石英管内をArガスの充填と真空引きを数回繰り返し、最後は石英管内を真空状態にして石英管を封止した。続いて、図2に示される温度パターンに従って、原料を仕込んだ石英管を電気炉内で加熱溶融(約490℃)して溶融物とし、この溶融物をさらに390℃まで50時間かけて冷却し、単結晶を成長させた。
【0029】
この段階では、単結晶は余剰物質(フラックス)に混入した状態となっている。そこで、遠心分離機を用いて石英管内を50℃以下に冷却すると共に単結晶と余剰物質とを分離した。
【0030】
具体的には、上述のように単結晶を石英管内で成長させたが、図3に示されるように、石英管10に窪み11を設け、この窪み11を境に石英管10内を2つの部屋12、13に分けてある。また、石英管10の一方の部屋12の窪み11付近にグラスウール20を配置してある。そして、遠心分離の回転中心に対して石英管10の他方の部屋13を一方の部屋12よりも外側に配置することで、遠心力によってグラスウール20が石英管10の窪み11に引っ掛かると共に、結晶体30がグラスウール20に引っ掛かって石英管10の一方の部屋12に残され、加熱されて液状となっている余剰物質40はグラスウール20を介して他方の部屋13に分離される。このようにして、余剰物質40から結晶体30を分離し、金属光沢を持った結晶体30を石英管10から取り出した。
【0031】
このような方法で、図1の表に示されたBa、Ga、Cu、Snの仕込み比に応じた試料S1〜S5をそれぞれ製造した。すなわち、試料S1のCuの仕込み比を最も小さく設定し、試料S1〜S5については順にCuの仕込み比が大きくなるように設定した。
【0032】
そして、石英管10から取り出した結晶体30の一部を瑪瑙の乳鉢で粉砕し、X線回折装置で測定した。その結果、試料S1〜S5のいずれにおいても、図4に示したtype−VIIIのクラスレート構造であることを確認した。図4に示されるように、クラスレート化合物は、(Ga,Sn,Cu)が籠構造を形成し、Baがその籠構造に内包される構造となっている。
【0033】
図5は、試料S2のX線回折チャートを示した図である。この図に示されるように、矢印で示されたピークがtype−VIIIの結晶構造を示すピークである。このようなtype−VIIIのピークは、他の試料についても同様の結果であった。なお、図5のX線回折結果には、結晶体30の結晶表面に付着した余剰物質40によるピークも含まれている。
【0034】
また、結晶体30を研磨し、EPMA(Electron Probe Micro Analysis)で結晶体30の組成比を調べた結果を上記図1の表における「組成比」の欄に示す。全ての試料S1〜S5においてCuが検出され、クラスレート構造内にCuが置換していることがわかった。
【0035】
発明者らは結晶体30をカット研磨し、Seebeck Measurement System(MMR Technologies社製)でその比抵抗およびゼーベック係数を測定した。その結果、上記の図1の表に示されているように、全ての試料S1〜S3で負のゼーベック係数を示し、これらの試料S1〜S3がいずれもn型の熱電素子であることがわかった。また、得られた結晶体30の比抵抗およびゼーベック係数の絶対値は何れもCuを添加していない試料S0に比べ小さな値を示した。なお、図1では500Kでの比抵抗およびゼーベック係数を示しているが、他の温度でも同様の結果が得られた。
【0036】
さらに、発明者らは、温度Tに対する結晶体30の性能指数ZTを調べた。その結果を図6に示す。この図に示されるように、全ての試料S1〜S3の性能指数が従来の試料S0よりも高いという結果が得られた。すなわち、Cuが含まれた試料S1〜S3は、Cuが含まれていない従来の試料S0よりも熱電変換性能が高いと言える。なお、図1では500Kでの性能指数が示されている。一般に、熱電変換材料の性能指数ZTはZT=S・T/ρ・κで表されるためゼーベック係数Sの絶対値が低下すると性能指数ZTは低下するが、今回の試料S1〜S3は比抵抗ρも大きく低下したため、その性能指数ZTも向上する結果となった。
【0037】
ここで、上記のようにクラスレート化合物の結晶体30を成長させた場合、試料S4についてのCuの仕込み比が2.0at%のときに結晶体30のCuの組成比が図1に示されるように2.027at%であった。発明者らは、試料S4について特性の測定を行っていないが、仕込み比が試料S4よりも小さい試料S3については上述のように良好な結果を得ている。したがって、クラスレート化合物の構成元素を溶融させて溶融物とする場合、溶融物におけるCuの原子比率を0より大きく2.0以下とすることが好ましい。これにより、製造するクラスレート化合物にCuを含有させことができると共にクラスレート化合物の製造が容易になる。
【0038】
そして、Cuの仕込み比を変化させた各試料S1〜S3の中で最も良い性能指数が得られた試料S3のCuの原子比率は0.061である。したがって、クラスレート化合物や熱電変換素子のCuの原子比率は0より大きく0.061以下であれば確実に高い性能指数が得られる。
【0039】
以上のような製法により得られるCuを含んだクラスレート化合物そのものを熱電変換材料として用いることができる。また、クラスレート化合物を含んだ熱電変換素子を構成しても良い。この場合、熱電変換素子はn型でも良いし、p型でも良い。これにより、従来よりも性能指数が高い熱電変換素子が得られる。
【0040】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる製法によりクラスレート化合物を製造する。まず、純度99%以上のBa、Ga、Sn、およびCuをBa:Ga:Sn:Cu=4:16:30:0.5の仕込み比(at%)となるように秤量した。
【0041】
次に、アーク溶解法で原料を溶解させインゴットを作製した。このインゴットを石英ボートに載せ石英管内に配置した。石英管の内部はAr雰囲気とした。そして石英管を管状炉に入れてインゴットを溶融し、その後冷却して固化した。溶融からから冷却までの工程における管状炉の温度パターンは室温から490℃までは172℃/hrで昇温し、490℃で10時間保持し、490℃から390℃までは2℃/hrでゆっくり降温するように設定した。
【0042】
50℃以下に冷却した後、石英管から取り出した試料は、固化したフラックスの中に結晶体が埋まった構造をしていた。そこで、取り出した結晶体の一部を瑪瑙の乳鉢で粉砕し、X線回折装置で測定した結果、type−VIIIのクラスレート構造である事を確認した。
【0043】
得られた1mm程度の単結晶を研磨し、その表面の比抵抗とゼーベック係数を室温で測定した結果、比抵抗は7.15×10−5Ωmであった。また、単結晶のゼーベック係数は219μV/Kであった。この結果、性能指数は0.55と高い値を示した。また、本サンプルはゼーベック係数の符号からp型の熱電素子であった。
(比較例1)
まず、純度99%以上のBa、Ga、Sn、およびCuをBa:Ga:Sn:Cu=4:16:30:1.5の仕込み比(at%)となるように秤量した。
【0044】
次に、上記と同様にアーク溶解法で原料を溶解させインゴットを作製した。温度条件等は上記と同様である。得られた結晶体を瑪瑙の乳鉢で粉砕し、X線回折装置で測定した結果、クラスレート構造による回折ピークは見られなかった。
(比較例2)
まず、純度99%以上のBa、Ga、およびSnをBa:Ga:Sn=8:32:60の仕込み比(at%)となるように秤量した。つまり、クラスレート化合物の構成元素にCuを含んでいない。
【0045】
次に、秤量した原料をアーク溶解炉にて溶融し、その後、冷却して固化した。冷却時の速度は1000℃/hr以上であった。固化したインゴットを石英ボートに載せ、石英管内に配置した。石英管内部を真空ポンプで真空に引いた後、Arガスを充填しAr雰囲気とした。そして、石英管を電気管状炉に配置して試料を再溶融し、その後冷却して固化した。溶融から冷却工程における管状炉の温度パターンは室温から900℃までは1800℃/hrで昇温し、900℃で5時間保持し、550℃から350℃まで10℃/hrでゆっくり降温するように設定した。
【0046】
50℃以下に冷却した後、石英管から取り出した試料は、フラックスの中に結晶体が埋まった構造をしていた。取り出した結晶体を瑪瑙の乳鉢で粉砕し、X線回折装置で測定した結果、type−Iのクラスレート構造である事を確認した。
【0047】
取り出した結晶体を研磨し、EPMAで調べた結果、Ba:Ga:Sn=14.6:29.5:55.9の組成比(at%)となっていた。また、研磨した結晶体のゼーベック係数を測定した結果、その符合からp型の熱電変換材料であることがわかった。さらに、室温(25℃)にて結晶体の比抵抗を測定した結果、1×10−4Ωm以上の高い比抵抗を示した。
(比較例3)
まず、純度99%以上のBa、Ga、およびSnをBa:Ga:Sn=14.3:25.0:60.7の仕込み比(at%)となるように秤量した。
【0048】
次に、秤量した原料をアーク溶解炉にて溶融し、その後、冷却して固化した。冷却時の速度は1000℃/hr以上であった。50℃以下に冷却した後に取り出した試料を瑪瑙の乳鉢で粉砕し、放電プラズマ焼結装置で成形した。成形条件は、圧力:7.1kN、保持温度:400℃、保持時間:60minとした。
【0049】
そして、焼結品の一部を瑪瑙の乳鉢で粉砕し、X線回折装置で測定した結果、type−VIIIのクラスレート構造であることを確認した。同様の焼成品のゼーベック係数を測定した結果、その符号からn型の熱電変換材料であることがわかった。更に、500Kでの比抵抗は7.0×10−5Ωm以上の高い比抵抗を示した。
【0050】
比較例2、3の結果からBa、Ga、およびSnの系では仕込み比(配合原料比)を変えても電気伝導度が低いクラスレート化合物(つまり熱電変換材料)を製造することは困難であることが確認できた。したがって、本実施形態のように、図1に示されるようなCuの仕込み比でクラスレート化合物を製造することが重要である。
【0051】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、Cuの仕込み比を変更して得られた試料S1〜S5について説明したが、これは本発明のクラスレート化合物および熱電変換材料の一例であり、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 石英管
11 石英管の窪み
12 石英管の一方の部屋
13 石英管の他方の部屋
20 グラスウール
30 結晶体
40 余剰物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成式がBa(Ga,Sn,Cu46(但し、x+y+z=1,0≦x≦1,0≦y≦1,0<z≦1)で表されることを特徴とするクラスレート化合物。
【請求項2】
前記クラスレート化合物におけるCuの原子比率であるCu×100/(Ba+Ga+Sn+Cu)が0より大きく0.061以下であることを特徴とする請求項1に記載のクラスレート化合物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のクラスレート化合物を含んでいることを特徴とする熱電変換素子。
【請求項4】
請求項1または2に記載のクラスレート化合物の製造方法であって、
前記クラスレート化合物の構成元素を溶融させて溶融物とする工程を有することを特徴とするクラスレート化合物の製造方法。
【請求項5】
前記クラスレート化合物の構成元素を溶融させて溶融物とする工程では、前記溶融物におけるCuの原子比率を0より大きく2.0以下とすることを特徴とする請求項4に記載のクラスレート化合物の製造方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載のクラスレート化合物の製造方法を含んでいることを特徴とする熱電変換素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−222149(P2012−222149A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86395(P2011−86395)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成21年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ナノテク・先端部材実用化研究開発/カゴ状物質を利用したナノ構造制御高性能熱電変換材料の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)