説明

クレンジング化粧料

【課題】メイク汚れと馴染みが良く、メイク汚れを容易に洗い流すことができ、使用後はさっぱりとした使用感が得られる、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有するクレンジング化粧料を提供すること。
【解決手段】非イオン性界面活性剤、油性成分、水、炭素数5〜10の1,2−アルカンジオール以外の多価アルコール、及び炭素数6の1,2−アルカンジオールを含有し、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有し、透明液状であり、粘度が1000mPa・S以下であることを特徴とするクレンジング化粧料とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクレンジング化粧料並びに該化粧料の製造方法に関する。詳しくは、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有するクレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
クレンジング化粧料は、油性クレンジング化粧料と水性クレンジング化粧料に大別することができる。油性クレンジンング化粧料は、多量の油性成分を含有することから、メイク汚れと馴染みが良く、優れたクレンジング効果を発揮する。その反面、一旦浮き出たメイク汚れが皮膚に再付着したり、拭き取り後の肌に油性成分特有のべたつき感が残り、更に洗顔をする必要があるという欠点がある。
【0003】
水性クレンジング化粧料は、油性成分の含有量が少量であることから、さっぱりとした使用感が得られる反面、メイク汚れとの馴染みに優れず、クレンジング効果に劣るという欠点を有している。
【0004】
そこで、水、非イオン性界面活性剤及び多価アルコールからなる界面活性剤相(D相)に油性成分を含有させ、油中D相乳化型としたクレンジング化粧料が提案されている(特許文献1を参照)。また、油性成分と非イオン性界面活性剤とを含有する油性クレンジング組成物を、使用時に一定割合の水と混入させ、バイコンティニュアスマイクロエマルションとする油性クレンジング化粧料(特許文献2を参照)が提案されている。
【0005】
しかし、特許文献1のクレンジング化粧料は、白濁した外観を呈する油中D相乳化を利用したものであるため、メイク汚れとの馴染みや、洗い流し時の水との馴染みに優れず、また、洗い流し時に、メイク汚れや製剤中の油分が乳化されて大きな乳化粒子を形成して解乳化し、肌に汚れや油分が再付着するという問題がある。
【0006】
特許文献2の油性クレンジング化粧料は、使用時に一定割合の水と混合する必要があり、使用者によっては、安定的なクレンジング効果が得られないという問題がある。
【0007】
一方、1,2−アルカンジオールなどの多価アルコールを用いたクレンジング化粧料も報告されている(特許文献3〜6を参照)。しかし、特許文献3〜5のクレンジング化粧料は、油性成分を含有しないことから、油性のメイク汚れの除去効果に満足いくものではない。また、特許文献6のクレンジング化粧料は、水連続相を有するエマルションであることから、ウォータープルーフマスカラなどの耐水性の高いメイク汚れとの馴染みに劣り、別途オイルクレンジング料などを用いる必要があるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−187355号公報
【特許文献2】特開2005−194249号公報
【特許文献3】特開2005−239586号公報
【特許文献4】特開2005−239587号公報
【特許文献5】特開2007−84456号公報
【特許文献6】特開2006−241151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであって、メイク汚れと馴染みが良く、メイク汚れを容易に洗い流すことができ、使用後はさっぱりとした使用感が得られる、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有するクレンジング化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は、非イオン性界面活性剤、油性成分、水、炭素数5〜10の1,2−アルカンジオール以外の多価アルコール、及び炭素数6の1,2−アルカンジオールを含有し、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有し、透明液状であり、粘度が1000mPa・S以下1mPa・S以上であることを特徴とするクレンジング化粧料に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のクレンジング化粧料は、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有することから、使用時のメイク汚れとの馴染みが良く、優れたメイク汚れの洗い流し効果を発揮する。しかも、使用後は、べたつき感が無く、さっぱりとした使用感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1のクレンジング化粧料の透過型電子顕微鏡写真(倍率:50000倍で撮影)である。
【図2】実施例1の成分を用いた擬似三成分相図である。
【図3】実施例2の成分を用いた擬似三成分相図である。
【図4】比較例1〜3の成分を用いた擬似三成分相図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のクレンジング化粧料は、非イオン性界面活性剤、油性成分、水、炭素数5〜10の1,2−アルカンジオール以外の多価アルコール、及び炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールを含有し、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有することを特徴とする。
【0014】
バイコンティニュアスマイクロエマルションとは、水及び油性成分共に、それぞれが連続した相をなした構造であり、光学等方性で透明な液状の性質を示す。バイコンティニュアスマイクロエマルション構造とすることで、両親媒性の低粘度の液状にすることができる。その結果、使用時のメイク汚れとの馴染みが良好となり、優れたメイク汚れの洗い流し効果を発揮することができる。
【0015】
本発明に用いられる非イオン性界面活性剤は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンデシルペンタデシルエーテル、ポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;モノミリスチン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ラウリン酸グリセリン、ミリスチン酸グリセリン、ステアリン酸グリセリン、ベヘニン酸グリセリン、オレイン酸グリセリン、イソステアリン酸グリセリン、ヤシ油脂肪酸グリセリン、硬化牛脂油脂肪酸グリセリン、ラノリン酸グリセリン等のモノグリセリン脂肪酸エステル;ステアリン酸ジグリセリル、オレイン酸ジグリセリル、イソステアリン酸ジグリセリル、ステアリン酸テトラグリセリル、オレイン酸テトラグリセリル、ラウリン酸ヘキサグリセリル、ステアリン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド等のポリオキシエチレン脂肪酸アミド;モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールラノリン、ジメチルラウリルアミンオキシド等を例示することができる。これらのうち、バイコンティニュアスマイクロエマルションを簡便に製造する観点から、HLB値が8以上25以下のものが好ましく、HLB値が10以上20以下のものがより好ましい。
【0016】
非イオン性界面活性剤の配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、化粧料中、5〜80質量%とすることが好ましく、10〜70質量%とするのがより好ましい。5質量%未満の配合量の場合、十分なバイコンティニュアスマイクロエマルション構造が得られない場合があるために、また、80質量%を超えて配合すると、メイク汚れとの馴染みや非イオン性界面活性剤の洗い落ち性に劣る場合があるために、いずれの場合も好ましくない。
【0017】
油性成分は、化粧料原料として使用できるものであれば特に限定されず、例えば、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボカド油等の油脂;カルナバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワレン、スクワラン等の炭化水素;メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン類;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸2−オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセロール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸2−オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセロール、2−エチルヘキサン酸ジグリセリド等の脂肪酸エステル;トリカプリル酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル等の脂肪酸トリグリセリドエステル;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸などが挙げられる。
【0018】
油性成分の配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、化粧料中、5〜80質量%とすることが好ましく、10〜70質量%とするのがより好ましい。5質量%未満の配合量の場合、メイク汚れとの馴染みに劣る場合があるために、また、80質量%を超えて配合すると、十分なバイコンティニュアスマイクロエマルション構造が得られない場合があるために、いずれの場合も好ましくない。
【0019】
水は、一般には精製水であり、水道水、イオン交換水などであっても良い。水の配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、化粧料中、5〜50質量%とすることが好ましく、10〜40質量%とするのがより好ましい。5質量%未満の配合量の場合、十分なバイコンティニュアスマイクロエマルション構造が得られない場合があるために、また、50質量%を超えて配合すると、メイク汚れとの馴染みに劣る場合があるために、いずれの場合も好ましくない。
【0020】
多価アルコールは、炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールと、それ以外の多価アルコールとの2種以上が用いられる。炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールを用いると、簡便にバイコンティニュアスマイクロエマルション構造とすることができる。
【0021】
炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールとは、具体的には、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,2−デカンジオールである。これらのうち、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、及び1,2−オクタンジオールのうちの1種以上を用いるのが好ましい。
【0022】
炭素数5〜10の1,2−アルカンジオール以外の多価アルコールとしては、化粧品原料として用いられるものであれば特に限定されず、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ソルビトール、マンニトール、グルコール等を例示することができる。
【0023】
炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールの配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、化粧料中、0.1〜50質量%とすることが好ましく、1〜30質量%とするのがより好ましい。0.1質量%未満の配合量の場合、液状化せずにゲル状となりメイク汚れとの馴染みや洗い落ち性に劣る場合があるために、また、50質量%を超えて配合すると、メイク汚れとの馴染みに劣る場合があるために、いずれの場合も好ましくない。
【0024】
また、炭素数5〜10の1,2−アルカンジオール以外の多価アルコールの配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、化粧料中、1〜60質量%とすることが好ましく、5〜50質量%とするのがより好ましい。1質量%未満の配合量の場合、十分なバイコンティニュアスマイクロエマルション構造が得られない場合があるために、また、60質量%を超えて配合すると、メイク汚れとの馴染みに劣る場合があるために、いずれの場合も好ましくない。
【0025】
多価アルコールの総配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、化粧料中、1.1〜70質量%とすることが好ましく、6〜60質量%とするのがより好ましい。1.1質量%未満の配合量の場合、十分なバイコンティニュアスマイクロエマルション構造が得られない場合があるために、また、70質量%を超えて配合すると、メイク汚れとの馴染みに劣る場合があるために、いずれの場合も好ましくない。
【0026】
尚、本発明のクレンジング化粧料には、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を保持できる範囲で、上記した成分の他、化粧品や医薬部外品に通常用いられる成分を適宜任意に配合することができる。例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤の各種界面活性剤;粘度鉱物、水溶性多糖類等の増粘性高分子;低級アルコール、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤;被膜形成性高分子化合物、無機顔料、粉体、色素、染料、ビタミン類、アミノ酸類、収斂剤、美白剤、動植物抽出物、酸、アルカリ等の添加成分などを例示することができる。
【0027】
本発明のクレンジング化粧料は、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有するので、光学等方性の透明な液状であり、D相ゲルや液晶ゲルに比し低粘度の性質を示す。本発明のクレンジング化粧料の粘度は、通常、1000mPa・S以下1mPa・S以上のさらさらとした液状を示す。
【0028】
尚、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を確認するためには、上記低粘度の性質の他、偏光板による光透過試験、水性及び油性色素の分散試験、透過型電子顕微鏡観察などにより決定することができる。
【0029】
具体的には、偏光板による光透過試験とは、光源の光を直行する2枚の偏光板により遮光し、その2枚の偏光板の間に試料を配置して観察する方法である。複屈折による光や縞模様が観察されないことで光学等方性を確認でき、光学異方性の液晶と区別することができる。
【0030】
色素の分散試験は、水性色素と油性色素のそれぞれを緩やかに振盪した際、速やかに分散することを観察することで、水及び油の双方に混ざり合う両親媒性液状のバイコンティニュアスマイクロエマルション構造の性質を確認することができ、液晶相、D相或いは可溶化相と区別することができる。
【0031】
透過型電子顕微鏡観察は、連続的なチャネルが相互に入り組んだ構造を有していることを観察することで、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有する相であることを確認することができ、液晶相や可溶化相と区別することができる。
【0032】
また、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有する本発明のクレンジング化粧料を製造するためには、種々の方法で製造することが可能であるが、以下の手順で操作すると、簡便にバイコンティニュアスマイクロエマルション構造のクレンジング化粧料を得ることができる。すなわち、炭素数5〜10の1,2−アルカンジオール以外の多価アルコール及び水を混合した多価アルコール水溶液相に、非イオン性界面活性剤を投入し、続いて油性成分を加えて、D相ゲル又は液晶の組成物を製造する。続いて、炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールを投入すると、簡便にバイコンティニュアスマイクロエマルション構造に変換することができる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。尚、含有量は、特記しない限り「質量%」を表す。また、POEは、ポリオキシエチレンの略であり、POEの付加モル数は括弧内に表記する。
【0034】
実施例1〜2及び比較例1〜3(尚、実施例1は参考例である)
〔試料の調製〕
表1に記した組成に従い、実施例1〜2及び比較例1〜3のクレンジング化粧料を調製した。すなわち、成分A1の多価アルコール水溶液に、成分Bを攪拌しながら投入し、成分Bの溶解温度まで加熱した。続いて成分Cを撹拌しながらゆっくりと加えて各比較例のクレンジング化粧料を得た。また、成分Cを加えたのち、成分A2の1,2−アルカンジオールを投入することで、各実施例のクレンジング化粧料を得た。
【0035】
〔試験例1:相状態の判定〕
外観試験、偏光板による光透過試験、水性及び油性色素の分散試験、透過型電子顕微鏡観察、粘度測定により、以下の判定基準に基づき相状態を判定した。結果を表1に併記する。
【0036】
<外観試験>
各試料の透明度及び性状を目視にて判定した。
【0037】
<粘度試験>
実施例及び比較例の各試料の粘度は、デジタル型粘度計(TV−22型粘度計、東機産業株式会社製)を用い、No.2ローターで、回転数12rpm、測定時間60秒の条件で測定した。
【0038】
<光透過試験>
宝石鑑定に用いられる光源と2枚の偏光板を備えた宝石偏光器を用い、2枚の偏光板が直行するように配置した。実施例及び比較例の各試料を偏光板の間に配置し、光の透過・屈折を観察し、光学等方性或いは光学異方性の判定をした。
【0039】
<分散試験>
30mL容ガラス製スクリュー管に実施例及び比較例の各試料を充填し、0.01質量%の青色1号水溶液を適量添加して軽く振盪し、各試料が青色透明溶液となるかを確認した。また、0.01質量%青色1号水溶液を0.1質量%β-カロテンのスクワラン溶液に替え、同様に操作して、黄色透明溶液となるかを確認した。
【0040】
<透過型電子顕微鏡観察>
実施例及び比較例の各試料を凍結割断レプリカ法によりレプリカを作成した。相状態の観察は、作成したレプリカを透過型電子顕微鏡(JEM1200EX型、日本電子株式会社製)を用いて倍率50000倍にて実施した。
【0041】
<判定基準>
BC:バイコンティニュアスマイクロエマルション
粘度は1000mP・s以下であり、光学等方性の透明な液状を示し、水性色素および油性色素を30秒以内に分散し、透過型電子顕微鏡観察で連続的なチャネルが相互に入り組んだ構造が観察された。
D:D相ゲル
粘度は1000mP・sより高く、光学等方性の透明なゲル状を示し、水性色素および油性色素を30秒以内に分散することができず、透過型電子顕微鏡観察で連続的なチャネルが相互に入り組んだ構造が観察されない。
O/D:D相ゲル中油型エマルション
粘度は1000mP・sより高く、光学等方性の白濁したゲル状を示し、水性色素および油性色素を30秒以内に分散することができず、透過型電子顕微鏡観察で連続的なチャネルが相互に入り組んだ構造が観察されない。
LC:液晶
粘度は1000mP・sより高く、光学異方性の透明なゲル状を示し、水性色素および油性色素を30秒以内に分散することができず、透過型電子顕微鏡観察で連続的なチャネルが相互に入り組んだ構造が観察されない。

【0042】
尚、実施例1の透過型電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0043】
また、実施例1の成分を用いた擬似三成分相図を図2に、実施例2の成分を用いた擬似三成分相図を図3に、比較例1〜3の成分を用いた擬似三成分相図を図4に、それぞれ示す。
【0044】
〔試験例4:クレンジング化粧料の評価〕
前腕内側部に口紅(商品名:クレージュ ルージュ ア レーヴル 502、株式会社ビューコス社製)を適量塗布し、実施例及び比較例の各クレンジング化粧料0.2gを塗布し、指でクレンジング動作を上下に15往復し、メイク汚れとの馴染みの度合いを評価した。その後、流水で洗い流し、メイク汚れの洗い流し性(クレンジング効果)及び使用後のさっぱり感を評価した。評価は、被験者20名で実施し、下記評価基準に従い判定した。結果を表1に併記する。
【0045】
<汚れとの馴染みの評価基準>
◎:18〜20名がメイク汚れとの馴染みが良いと回答。
○:14〜17名がメイク汚れとの馴染みが良いと回答。
△:10〜13名がメイク汚れとの馴染みが良いと回答。
×:0〜9名がメイク汚れとの馴染みが良いと回答。
【0046】
<クレンジング効果の評価基準>
◎:18〜20名が十分に洗い流しが良いと回答。
○:14〜17名が十分に洗い流しが良いと回答。
△:10〜13名が十分に洗い流しが良いと回答。
×:0〜9名が十分に洗い流しが良いと回答。
【0047】
<さっぱり感の評価基準>
◎:18〜20名がさっぱりとした使用感であると回答。
○:14〜17名がさっぱりとした使用感であると回答。
△:10〜13名がさっぱりとした使用感であると回答。
×:0〜9名がさっぱりとした使用感であると回答。
【0048】
【表1】

【0049】
表1の結果から、本発明のクレンジング化粧料は、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有するが故に、低粘度のためにメイク汚れとの馴染みが良く、しかもメイク汚れの洗い流し効果にも優れることが分かる。また、使用後は、べたつき感が無く、さっぱりとした使用感が得られることが分かる。
【0050】
尚、図2〜3の擬似三成分相図からも、実施例1〜2のクレンジング化粧料は、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造であることが分かる。また、比較例1〜3のクレンジング化粧料は、その他の相状態であることが分かる。
【0051】
実施例3〜10及び比較例4〜11(尚、実施例3,5,7,9は参考例である)
表2〜3の組成に従い、上記と同様に実施例及び比較例の各クレンジング化粧料を調製し、上記と同様に相状態の判定及びクレンジング化粧料の評価を行った。結果を表2〜3に併記する。
【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
表2〜3の結果から、本発明のクレンジング化粧料は、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有するが故に、低粘度のために使用時のメイク汚れとの馴染みが良く、しかもメイク汚れの洗い流し効果にも優れることが分かる。また、使用後は、べたつき感が無く、さっぱりとした使用感が得られることが分かる。
【0055】
以下、本発明にかかるクレンジング化粧料の処方例を示す(尚、処方例1、及び処方例3は、参考処方例である)。尚、配合量は質量%である。
【0056】
(処方例1)
流動パラフィン 19.0
スクワラン 1.0
ミリスチン酸デカグリセリル 40.0
1,2−オクタンジオール 5.0
グリセリン 17.5
精製水 残 量
合 計 100.0
【0057】
(処方例2)
パルミチン酸オクチル 40.0
ホホバ油 1.0
オリーブ油 0.1
メチルポリシロキサン 0.1
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 20.0
1,2−ペンタンジオール 1.0
1,2−ヘキサンジオール 2.0
1,2−オクタンジオール 2.0
グリセリン 19.5
トコフェロール 適 量
香料 適 量
精製水 残 量
合 計 100.0
【0058】
(処方例3)
流動パラフィン 20.0
スクワラン 0.5
デカメチルシクロペンタシロキサン 0.1
マカデミアナッツ油 0.1
イソステアリン酸ポリオキシエチレン(5)グリセリル 40.0
1、3−ブチレングリコール 16.5
ジプロピレングリコール 1.0
1,2−オクタンジオール 5.0
1,2−デカンジオール 1.0
香料 適 量
精製水 残 量
合 計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非イオン性界面活性剤、油性成分、水、炭素数5〜10の1,2−アルカンジオール以外の多価アルコール、及び炭素数6の1,2−アルカンジオールを含有し、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有し、透明液状であり、粘度が1000mPa・S以下1mPa・S以上であることを特徴とするクレンジング化粧料。
【請求項2】
非イオン性界面活性剤が、HLB値8以上の非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載のクレンジング化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−79291(P2013−79291A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−21601(P2013−21601)
【出願日】平成25年2月6日(2013.2.6)
【分割の表示】特願2008−38128(P2008−38128)の分割
【原出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年9月6日発行の第46回 日本油化学会年会講演要旨集において発表
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】