説明

グルクロノラクトン含有経口用固形製剤

【課題】甘味剤で効果的に矯味されたグルクロノラクトンを含有する、経口用固形製剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の経口用固形製剤によれば、グルクロノラクトン、ならびにグリチルリチン酸および/またはその塩を含有することよりなり、スクロースをさらに含有することが好ましい。そして、有機酸および/またはその塩をさらに含有することがより好ましく、高甘味度甘味剤をさらに含有することがより好ましい

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグルクロノラクトン含有経口用固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活の中で、「疲れた」「だるい」等肉体疲労を感じる原因の一つは、体内に有害物質や老廃物が蓄積されるためである。肝臓にはこの有害物質や老廃物を分解し、体外へ排出するための代謝・解毒作用があり、必要な栄養分を補給して早く疲労を改善することが、毎日の健康を維持するためには大切である。肝臓に作用し、代謝機能を整え、滋養強壮効果の高い成分に、グルクロノラクトンがある。しかし、グルクロノラクトンは、口中に含んだ際に、後を引く不快な味を呈する。
通常、経口用固形製剤における不快な味のマスキング方法としては、甘味剤、香料等の配合や、フィルムコーティング、糖衣等のコーティング、カプセル錠にする方法がある。しかし、不快な味を有する成分を含有する口腔内崩壊錠やチュアブル錠等を製造するに際しては、口腔内での速やかな崩壊性を要するため前記方法が採用できず、矯味が大きな課題となる。一般的に口腔内崩壊錠等では、矯味剤としてアスパルテームやアセルファムカリウム等の高甘味度甘味剤が用いられる。
しかし、前記甘味剤の添加のみでは、不快な味の矯味が不充分な場合がある。このような問題に対して、メントールと特定の甘味剤とを組み合わせた矯味方法が報告されている(例えば、特許文献1)。また、不快な味を有する薬物含有粒子に、疎水性物質および/または水不溶性高分子からなる被膜を施す方法が報告されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2000−159691号公報
【特許文献2】特開平7−76517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、グルクロノラクトンの不快な味の矯味においては、アスパルテームやアセスルファムカリウムの混合では充分な矯味効果を得ることができない。また、特許文献2の技術では、不快な味を有する成分を均一な粒子径を有する微小球形粒子に加工する必要があり、製造工程が煩雑となる。
本発明は、矯味効果に優れた、グルクロノラクトンを含有する経口用固形製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述のように、グルクロノラクトンは不快な味を有し、口腔内崩壊錠等で通常矯味剤として使用されているアスパルテームやアセスファムカリウムのような高甘味度甘味剤では、充分な矯味効果が得られない。グルクロノラクトンを経口用固形製剤、特に口腔内崩壊錠やチュアブル錠に使用する場合には、矯味が大きな課題となる。そこで、上記状況を鑑みて矯味剤としての効果を検討した結果、グリチルリチン酸等が、他の甘味剤に比べて、グルクロノラクトンに対して特異的に高い矯味効果を示すことを見い出して、本発明に至った。
【0005】
本発明の経口用固形製剤は、グルクロノラクトン、ならびにグリチルリチン酸および/またはその塩を含有することを特徴とし、スクロースをさらに含有することが好ましい。そして、有機酸および/またはその塩をさらに含有することがより好ましく、さらにアセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクラロース、ステビア、ソーマチンからなる群から選ばれる1種または2種以上の甘味剤を含有することがより好ましい。
【0006】
本発明の経口用固形製剤は、粒剤または錠剤であることを特徴とし、前記錠剤は口腔内崩壊錠、チュアブル錠であることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、グルクロノラクトンの矯味に効果的なグリチルリチン酸および/またはその塩を含有させることで、簡便かつ効果的に矯味された、グルクロノラクトンを含有する経口用固形製剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(経口用固形製剤)
本発明の経口用固形製剤は、グルクロノラクトンと、グリチルリチン酸および/またはその塩とを含有する。
<グルクロノラクトン>
本発明におけるグルクロノラクトンは、例えば、住友化学株式会社製のグルクロノラクトンが挙げられる。
グルクロノラクトンの経口用固形製剤における含有量は特に限定されず、1回の服用量と粒数により適宜設定することができる。なお、グルクロノラクトンを経口投与する場合の用法・用量は、通常、成人において1回0.3〜1g、1日3回である。製剤中の含有量が少ないほど製剤の服用量が多大となることから、1製剤中のグルクロノラクトン含有量を10質量%程度以上とすると、服用性の点で好ましい。
【0009】
<グリチルリチン酸および/またはその塩>
本発明におけるグリチルリチン酸および/またはその塩(以下、グリチルリチン酸等ということがある)としては、経口投与が認められる物質であれば良く、例えばグリチルリチン、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸アルカリ金属塩(グリチルリチン酸二カリウム)等が挙げられる。これらを含有するカンゾウ抽出物等も同様に使用することができる。この内の1種を使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明の経口用固形製剤におけるグリチルリチン酸等の配合量は、特に限定されない。しかし、グルクロノラクトンに対するグリチルリチン酸等の配合量が、グリチルリチン酸等/グルクロノラクトン(質量比)=1/40未満であると充分なマスキング効果が発揮できず、1/4倍を超えると経口用固形製剤が甘くなりすぎる。したがって、グリチルリチン酸等/グルクロノラクトン(質量比)=1/40〜1/4であることが好ましく、より好ましくは1/30〜1/5、さらに好ましくは1/20〜1/6、特に好ましくは1/15〜1/6である。
【0010】
<スクロース>
本発明において、スクロースをグリチルリチン酸等と併用することにより、グルクロノラクトンの不快な味の矯味効果をさらに向上させることができる。
本発明におけるスクロースの形態は特に限定されず、グラニュー糖、上白糖、粉糖等が挙げられる。スクロースの製剤中の含有量は特に限定はされないが、矯味効果と甘味の強さとのバランスの検討から、スクロース/グルクロノラクトン(質量比)=1/10〜5/2とすることが好ましく、より好ましくは1/7〜4/2、さらに好ましくは1/5〜3/2である。
【0011】
<酸味剤>
酸味剤は、グリチルリチン酸等と併用することにより、グルクロノラクトンの不快な味の矯味効果を向上させることができる。
本発明における酸味剤としては、クエン酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸等の有機酸およびその塩が挙げられ、この中でもクエン酸、酒石酸が好ましい。この内の1種でも、2種以上を併用しても良い。
本発明の経口用固形製剤における酸味剤の含有量は、矯味効果と酸味の強さとのバランスの検討から、酸味剤/グルクロノラクトン(質量比)=1/20〜3/2とすることが好ましく、より好ましくは1/15〜1/1、さらに好ましくは1/10〜2/3であり、前記範囲内で、酸味剤の種類に応じて適宜決定することが好ましい。
【0012】
<高甘味度甘味剤>
高甘味度甘味剤は、グリチルリチン酸等と併用することにより、グルクロノラクトンの不快な味の矯味効果を向上させることができる。
本発明の高甘味度甘味剤(スクロースよりも甘味が非常に強い甘味剤で、通常、スクロースの数十倍以上の高い甘味度を有する。種類により苦味を有するものもある。)としては特に限定されることはないが、アセスファムカリウム、サッカリンおよびその誘導体、スクラロース、アスパルテーム等が挙げられる。この中でも、アセスルファムカリウム、サッカリンおよびその誘導体、ステビア、ソーマチン等が、グリチルリチン酸等との併用に好ましい。
本発明の経口用固形製剤における高甘味度甘味剤の含有量は、矯味効果と甘味の強さ、苦味の発現などの検討から、高甘味度甘味剤/グルクロノラクトン(質量比)=1/600〜1/6とすることが好ましく、より好ましくは1/300〜1/7、さらに好ましくは1/200〜1/8であり、この範囲で、高甘味度甘味剤の種類により適宜設定することが好ましい。
【0013】
<結合剤>
結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、α化デンプン、部分α化デンプン等が挙げられるが、好ましい結合剤はヒドロキシプロピルセルロースである。
結合剤の配合量は本発明の効果の点では特に限定されることはないが、製剤としての強度を維持するのに充分な結合力を付与するためにはグルクロノラクトンに対する結合剤の配合量が1質量%以上であることが好ましく、速やかな崩壊時間のためには15質量%以下とすることが好ましい。したがって、グルクロノラクトンに対する結合剤の配合量は、1〜15質量%であり、好ましく1〜12質量%、更に好ましくは2〜10質量%である。
【0014】
<崩壊剤>
崩壊剤としては、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン等が挙げられる。それぞれの中で1種または2種以上を組み合わせても良い。これらの崩壊剤の中で、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムが崩壊性の観点から好ましく、最も好ましいのはクロスポビドンである。
崩壊剤の配合量は、経口用固形製剤中、0.5〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは3〜6質量%である。この範囲で、特に口腔内での崩壊性、崩壊時の舌触りが良好である。
【0015】
<その他任意成分>
本発明の経口用固形製剤には、上記の他、本発明を損なわない範囲で、他の任意成分(例えば、賦形剤、滑沢剤、香味剤、ビタミン類等)を配合することができる。
賦形剤としては、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、乳糖、白糖、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、カオリン等が挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸等が挙げられる。
香味剤としては、フルーツフレーバーやメントール等のモノテルペン類が挙げられ、トロピカルフルーツフレーバー、アプリコットフレーバー、パイナップルフレーバー、チェリーフレーバー、グリーンアップルフレーバーが好ましい。
ビタミン類としては、特に限定されることなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ビタミンA、硝酸チアミン等のビタミンB1、リン酸リボフラビン等のビタミンB2、ニコチン酸アミド等のビタミンB3、塩酸ピリドキシン等のビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンE、アスコルビン酸等のビタミンC、パントテン酸カルシウム等が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
(経口用固形製剤の製造方法)
本発明の経口用固形製剤は、粒剤、錠剤、口腔内崩壊錠またはチュアブル錠の形態で製造される。以下、粒剤、錠剤、口腔内崩壊錠、チュアブル錠の製造方法について、順次説明する。
<粒剤>
本発明の粒剤は、グルクロノラクトンとグリチルリチン酸等を含有して造粒することにより製造する。
本発明の粒剤の造粒方法は特に限定されることなく、既存の造粒方法から選択することができる。造粒方法としては、グルクロノラクトンに必要に応じて賦形剤や結合剤等を混合した後、さらにグリチルリチン酸等を添加して混合し、これらの混合物を圧縮し造粒する乾式圧縮法が挙げられる。また、グルクロノラクトンにバインダー液を用いて造粒した後、グリチルリチン酸等と必要に応じて賦形剤等を添加して造粒を行う湿式造粒法(高速攪拌造粒法、押し出し造粒法、流動層造粒法)等が挙げられる。この中でも、グルクロノラクトンに均一に結合剤を噴霧できる利点から、湿式造粒法、特に流動層造粒法が好ましい。
前記造粒装置は特に限定されることはなく、既存の設備を用いることができる。例えば、流動層造粒装置、攪拌造粒装置、容器回転型造粒装置等を挙げることができる。具体的には、流動層造粒装置としてマルチプレックス(製品名、株式会社パウレック製)やスパイラルフロー(製品名、フロイント産業株式会社製)等、攪拌造粒装置としてハイスピードミキサー(製品名、深江パウテック株式会社製)や高速撹拌造粒機(製品名、株式会社ダルトン製)等が挙げられる。
造粒により得られた粒剤の粒子径は、特に限定されることはなく、用途と目的に応じて決定されることが好ましい。
また、本発明の粒剤である経口用固形製剤には、本発明を損なわない範囲で、前記任意成分の中から選択された成分を添加して造粒することができる。
【0017】
<錠剤>
本発明の錠剤は、グルクロノラクトンとグリチルリチン酸等を混合し、これを成型することにより製造する。
本発明の錠剤の成型方法は特に限定されず、既存の成型方法を用いることができる。例えば、グルクロノラクトンとグリチルリチン酸等と前記任意成分を混合し、打錠成型機で任意の形状に成型する方法が挙げられる。また、前記粒剤と前記任意成分を混合し、打錠成型機で任意の形状に成型することもできる。成型方法は特に限定されないが、例えば、リブラ(製品名、菊水製作所製)、L−41型(製品名、畑鐵工所製)等のロータリー式の打錠成型機等を用いて打錠することにより製造することができる。
錠剤の寸法は特に限定されず、グルクロノラクトンの含有量と用量を勘案して決定することができる。
【0018】
<口腔内崩壊錠、チュアブル錠>
本発明の口腔内崩壊錠、チュアブル錠は、グルクロノラクトンとグリチルリチン酸等を混合し、これを成型することにより製造する。
本発明の口腔内崩壊錠、チュアブル錠の成型方法は特に限定されず、既存の成型方法を用いることができる。例えば、グルクロノラクトンとグリチルリチン酸等と前記崩壊剤・結合剤と前記任意成分を混合して、打錠成型機で任意の形状に成型する方法が挙げられる。また、前記粒剤に前記崩壊剤・結合剤と前記任意成分を混合して打錠成型機で成型する方法が挙げられる。成型方法は特に限定されず、前記錠剤と同様の成型機を用いることができる。
口腔内崩壊錠、チュアブル錠の寸法は特に限定されず、グルクロノラクトンの含有量と用量を勘案して決定することができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、実施例に限定されるものではない。
なお、実施例、比較例に使用した各成分の詳細は表1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】
(実施例1)
ヒドロキシプロピルセルロース120質量部を純水に溶解し、6%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を調製した。グルクロノラクトン3000質量部を流動層造粒装置に投入にし、前記6%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液全量をグルクロノラクトンに噴霧しながら流動させて造粒を行い、グルクロノラクトン造粒物Aを得た。
またヒドロキシプロピルセルロース120質量部を純水に溶解し、6%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を調製した。マンニトール3000質量部を流動層造粒装置に投入し、前記6%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液全量をグルクロノラクトンに噴霧しながら流動させて造粒を行い、マンニトール造粒物を得た。
前記グルクロノラクトン造粒物725.0質量部、グリチルリチン酸二カリウム70.0質量部、クロスポビドン230.0質量部、ステアリン酸マグネシウム10.0質量部、残分を前記マンニトール造粒物、全量を2000.0質量部として、混合した。混合は、V型混合機(V5型、徳寿工作所製)により行い、ステアリン酸マグネシウム以外を投入して15分間混合後、ステアリン酸マグネシウムを投入し、さらに5分間混合して、混合物を得た。
前記混合物をロータリー式打錠装置(製品名:リブラ、菊水製作所製)により、φ10mm、スミ角平に成型を行い、325mg/個の口腔内崩壊錠を得た。
得られた口腔内崩壊錠について、後述する官能評価を実施し、その結果を表2に示す。
【0022】
(実施例2〜23)
表2〜4に示す組成に従って、実施例1と同様にして口腔内崩壊錠を得た。得られた口腔内崩壊錠について、後述する官能評価を実施し、その結果を表2〜4に示す。
【0023】
(比較例1〜4)
表4に示す組成に従って、実施例1と同様にして口腔内崩壊錠を得た。得られた口腔内崩壊錠について、後述する官能評価を実施し、その結果を表4に示す。
【0024】
(実施例24)
ヒドロキシプロピルセルロース120質量部を純水に溶解し、6%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を作成した。グルクロノラクトン3000質量部を流動層造粒装置に投入し、前記6%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧しながら造粒し、グルクロノラクトン造粒物Aを得た。
また、ヒドロキシプロピルセルロース120質量部を純水に溶解し、6%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を作成した。表5の配合に従い、マンニトール1300質量部 、ベンフォチアミン300質量部、リボフラビン200質量部、塩酸ピリドキシン200質量部、ニコチン酸アミド1000質量部を投入し、6%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧しながら造粒を行い、ビタミン類造粒物を得た。
前記グルクロノラクトン造粒物675.0質量部と、前記ビタミン類造粒物180.0質量部と、グラニュー糖650.0質量部、グリチルリチン酸二カリウム65.0質量部、酒石酸160.0質量部、アセスルファムカリウム11.0質量部、クロスポビドン210.0質量部、フレーバー45.0質量部、ステアリン酸マグネシウム10.0質量部、残分を実施例1同様のマンニトール造粒物、全量を2000.0質量部とし、混合した。混合は、実施例1と同様に行い、混合物を得た。
前記混合物をロータリー式打錠装置により、φ10mm、スミ角平に成型を行い、350mg/個の口腔内崩壊錠を得た。
得られた口腔内崩壊錠について、後述する官能評価を実施し、その結果を表6に示す。
【0025】
(実施例25)
表6に示す組成に従って、実施例24と同様にして口腔内崩壊錠を得た。得られた口腔内崩壊錠について、後述する官能評価を実施し、その結果を表6に示す。
【0026】
(実施例26)
表6に示す組成に従って、実施例24と同様にしてチュアブル錠を得た。得られたチュアブル錠について、後述する官能評価を実施し、その結果を表6に示す。
【0027】
(実施例27)
ヒドロキシプロピルセルロース120質量部を純水に溶解し、6%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を作成した。グルクロノラクトン1500質量部および紛糖1500質量部を流動層造粒装置に投入し、前記6%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧しながら造粒し、グルクロノラクトン造粒物Bを得た。
前記グルクロノラクトン造粒物1500.0質量部と、実施例24同様のビタミン類造粒物200.0質量部と、グリチルリチン酸二カリウム70.0質量部、酒石酸180.0質量部、アセスルファムカリウム12.0質量部、残分を実施例1同様のマンニトール造粒物、全流緒を2000.0質量部とし、混合した。混合はV型混合機により、全成分を投入して20分間混合し、混合物を得た。
前記混合物を、940.0mgずつ分包し、顆粒剤を得た。
得られた顆粒剤について、後述する官能評価を実施し、その結果を表7に示す。
【0028】
(官能評価)
<苦味の評価>
12名のパネラーが実施例1〜25と比較例1〜4で得られた口腔内崩壊錠、ならびに実施例26で得られたチュアブル錠、実施例27で得られた顆粒剤を口に含み、それぞれの苦みについて後述の基準により5段階評価を行った。12名のパネラーによる評価点の平均値をもって苦みの評価とした。なお、口中に含んだ製剤は、評価終了後、全量吐出した。
<評価基準>
全く苦くない・・・・・・・・・・・1点
殆ど苦くない・・・・・・・・・・・2点
少し苦い・・・・・・・・・・・・・3点
かなり苦い・・・・・・・・・・・・4点
非常に苦い・・・・・・・・・・・・5点
【0029】
<甘味の評価>
12人のパネラーが、実施例1〜23と、比較例1〜4で得られた口腔内崩壊錠を口に含み、それぞれ甘味について、後述の基準により7段階評価を行った。12名のパネラーによる評価点の平均値をもって甘味の評価とした。なお、口中に含んだ製剤は、評価終了後、全量吐出した。
<評価基準>
全く甘くない・・・・・・・・・・・1点
かなり甘くない・・・・・・・・・・2点
少しだけ甘い・・・・・・・・・・・3点
ちょうど良い甘さ・・・・・・・・・4点
少し甘すぎる・・・・・・・・・・・5点
かなり甘すぎる・・・・・・・・・・6点
非常に甘すぎる・・・・・・・・・・7点
【0030】
【表2】

【0031】
【表3】

【0032】
【表4】

【0033】
【表5】

【0034】
【表6】

【0035】
【表7】

【0036】
本発明であるグリチルリチン酸二カリウムを添加した経口用固形製剤である実施例1〜23は、グリチルリチン酸二カリウムを添加しない比較例1〜4に比べて、明らかに苦みに関する矯味効果が高いことがわかった。また、グラニュー糖を添加した実施例6〜10、および、有機酸を添加した実施例11〜16の苦味評価は、実施例1と比較し、改善されており、グラニュー糖と有機酸の両者を配合した実施例17の評価は、実施例1および6〜16と比較して、さらに改善されていた。さらに、高甘味度甘味剤を添加することで、苦味の評価は、より改善されることがわかった。一方、グリチルリチン酸二カリウムを配合せず、他の矯味剤のみを配合した比較例2〜4では、矯味効果が小さいことがわかった。
また、苦みを呈するビタミン類を添加した実施例24〜26においても、苦みの矯味効果が高く、口腔内崩壊錠のみならず、粒剤においても同様の矯味効果が得られていた(実施例27)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルクロノラクトンと、グリチルリチン酸および/またはその塩とを含有することを特徴とする、経口用固形製剤。
【請求項2】
スクロースをさらに含有してなる、請求項1に記載の経口用固形製剤。
【請求項3】
有機酸および/またはその塩をさらに含有してなる、請求項1または2に記載の経口用固形製剤。
【請求項4】
アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクラロース、ステビア、ソーマチンからなる群から選ばれる1種または2種以上の甘味剤をさらに含有してなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項5】
粒剤または錠剤であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項6】
前記錠剤が口腔内崩壊錠、チュアブル錠であることを特徴とする、請求項5に記載の経口用固形製剤。


【公開番号】特開2009−137872(P2009−137872A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315149(P2007−315149)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】