説明

グレーチング

【課題】ベアリングバーと、該ベアリングバーの端部をベアリングバーと直交して連結するエンドプレート及び該エンドプレートと平行をなしてベアリングバーを連結するクロスバーよりなる鋼製のグレーチングにおいて、グレーチングと受枠の接触箇所が錆付いてくっ付くことによる取外しの困難さを解消する。
【解決手段】桝8に設置されるグレーチング1は、枠2と、該枠2の長エンドプレート2aと平行をなすベアリングバー3と、枠2の短エンドプレート2bと平行をなすクロスバー4と、枠2の各長エンドプレート2a及び短エンドプレート2bより外側に向けて突出する突片5a、5bよりなり、突片5aは外側の輪郭が斜め上向きに上側に向かうに従って出張るように突出して、上端をR状にした形態をなし、かつ下部が長エンドプレート2aより突出してベアリングバー3と同じ高さをなし、枡の開口縁に取着の受枠7に当って支持されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば側溝、排水溝、桝、投雪口等(以下、単に側溝等という)に設置されるグレーチングに関する。
【背景技術】
【0002】
グレーチングは通常、強度を保持する細板状のベアリングバーと、該ベアリングバーの端部をベアリングバーと直交して連結する形状保持用のエンドプレートと、該エンドプレートと平行をなしてベアリングバーを連結するクロスバーよりなり、鋼製のものやグラスファイバー製のものなどがあるが、鋼製である場合には一般に表面に防錆のため溶融亜鉛メッキが施されている。そして側溝等には、溝縁や開口縁の段状をなす受部或いは該受部に取着の受枠に多くの場合、グレーチングに溶接して取付けた角パイプよりなる嵩上げ材を介して設置されている。
【0003】
グレーチングは受部や受枠に通常、若干の余裕をもって設置されているため、受部や受枠との間に土が詰まったり、或いはグレーチングが一方の側に偏り、その一部である一側が受部や受枠に接触しがちであることから、接触箇所でのグレーチングの腐食により受部や受枠にくっ付いたり、鋼製の受枠と錆付いてグレーチングが開け難くなることがある。
【0004】
特許文献1には、グレーチングの側面上部に丸棒の鋼材を溶接して鍔部を形成し、受部との間に土が落ち込むのを抑え、土詰まりによりグレーチングが開け難くなるのを防止することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−332203
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されるグレーチングにはなお次のような問題がある。
(1)グレーチングを鋼製の受枠に設置する場合にはことにそうであるが、グレーチングが偏寄して設置され、一部の一側の鍔部が受枠に接触していると、接触箇所で錆付き易く、錆付くと、くっ付いた状態となってグレーチングの取外しが容易でなくなること、
(2)鍔部と受部や受枠との間の隙間より土混じりの雨水が流入し、土詰まりの問題を解消できないこと、とくに嵩上げ材を用いた場合には、該嵩上げ材と受部や受枠との間に土砂が溜まり易いこと、
(3)厨房においては、雑排水が溜まることで雑菌が繁殖しやすくなって腐敗臭をもたらし、衛生上好ましくないこと、
などである。
【0007】
本発明は、上記の問題、とりわけ錆付きによる取外しの困難さを解消することができるグレーチングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係わる発明は、強度を保持するベアリングバーと、該ベアリングバーの端部をベアリングバーと直交して連結するエンドプレート及び該エンドプレートと平行をなしてベアリングバーを連結するクロスバーよりなる鋼製のグレーチングであって、受部又は該受部に取着の鋼製の受枠と接触可能な側面には、一部が前記受部又は受枠と点接触状体で接触可能な突片が突設されることを特徴とし、
請求項2に係わる発明は、請求項1に係わる発明において、前記突片はエンドプレートより下方に突出して前記受部又は受枠に支持されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係わる発明は、請求項2に係わる発明において、前記突片はグレーチングより下方に突出し、グレーチングの嵩上げを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係わる発明によると、グレーチングが偏って設置され、突片の一部が受部又は受枠に当るようなことがあっても、その接触は点接触状態になり、接触箇所が錆付いたとしても取外しに支障を来たすことがない。
【0011】
請求項2に係わる発明によると、グレーチングと受部又は受枠との間の隙間から雨水や雑排水が入り込んでも、突片間のエンドプレート下より側溝等に排出され、該部に流入した土が溜まって詰まったり、溜まった雑排水が腐食するようなこともない。
【0012】
請求項3に係わる発明によると、突片が嵩上げ材としても機能し、嵩上げ材を不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】枠に設置した本発明に係わるグレーチングの平面図。
【図2】同正面図。
【図3】図1のA−A線における断面図。
【図4】図1に示すグレーチングの側面図。
【図5】図1のB−B線における断面図。
【図6】雨水等の流入態様を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態のグレーチングについて図面により説明する。
図1は、側溝等である枡に設置されるグレーチング1を示すもので、該グレーチング1は、一対の長エンドプレート2aと短エンドプレート2bよりなる矩形の枠2と、該枠2内に配置され、前記長エンドプレート2aと平行に適当間隔、好ましくは一定間隔で各両端を短エンドプレート2bに連結した強度を保持する細板状のベアリングバー3と、前記枠内に配置され、前記短エンドプレート2bと平行で、かつ前記ベアリングバー3と直交して該ベアリングバー3に溶接にて固着され、適当間隔、好ましくは一定間隔で、両端を前記長エンドプレート2aに連結した形状保持用のクロスバー4と、前記枠2の各長エンドプレート2a及び短エンドプレート2bより外側に向けて突出する突片5a、5bよりなり、突片5aは図2及び図3に示すように外側の輪郭が斜め上向きに上側に向かうに従って出張るように突出し、上端をR状にした形態をなしており、かつ下部が長エンドプレート2aより突出してベアリングバー3と同じ高さをなし、枡の開口縁に取着の受枠7に当って支持されるようになっている。
【0015】
突片5bは図4及び図5に示すように、前記突片5aよりも幅狭である以外は、突片5aとほぼ同じ形態なし、下部は短エンドプレート2bより突出してベアリングバー3と同じ高さをなし、前記受枠7に当って支持されるようになっている。
【0016】
前記突片5a及び5bは、好ましくは自転車のタイヤが嵌ることがなく、走行に支障を生ずることがない程度の間隔、例えば10cm以下の間隔で設けられている。
以上述べたグレーチング1は、全体が鋼製で、表面に溶融亜鉛メッキが施されている。
【0017】
前記受枠7はグレーチング1と略相似形の矩形で、鋼製であり、コンクリート製の杵の開口縁段部に取付けられ、グレーチング1が前後左右に若干の遊びを存して設置されている。図示する例では、グレーチング1は受枠7の中央に、前後左右に一定の隙間を存して設置されているが、図示するように受枠7の中央に設置されることは稀で、通常は前後及び若しくは左右に偏って設置される。
【0018】
本実施形態のグレーチング1によると、グレーチング1が偏って受枠7に設置され、突片5a、5bの上端が受枠7に接触しても、接触は突片上端での点接触状態となり、接触箇所が錆付いてくっ付くようになることがあったとしても、くっ付き箇所はごく小さいため、グレーチング1の取外しに支障を来たすことはない。また図6に示すようにグレーチング1のエンドプレート2a、2bと受け枠7との間より泥混じりの雨水や雑排水が矢印方向に流入しても突片5a及び5b間のエンドプレート2a、2bと受枠7との間の隙間を通って側溝等内に流入するようになり、グレーチング1と受枠7との間に溜まって土砂が詰まったり、溜まった雑排水に雑菌が繁殖して腐敗臭をもたらすようなことがない。
【0019】
前記実施形態では、グレーチング1が前後左右にエンドプレート2a、2bを有し、桝8に設置されているが、側溝に設置されるグレーチングのようにエンドプレートをベアリングバーの両端にのみ取付けてもよい。
【0020】
前記実施形態の突片5a、5bは下部がエンドプレート2a、2bより突出し、ベアリングバー3と同じ高さとなっているが、別の実施形態ではベアリングバー3よりも下方に突出して受枠7に支持され、嵩上げ材としての機能を兼備する。
【符号の説明】
【0021】
1・・グレーチング
2・・受枠
2a、2b・・エンドプレート
3・・ベアリングバー
4・・クロスバー
5a、5b・・突片
7・・受枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強度を保持するベアリングバーと、該ベアリングバーの端部をベアリングバーと直交して連結するエンドプレート及び該エンドプレートと平行をなしてベアリングバーを連結するクロスバーよりなる鋼製のグレーチングであって、受部又は該受部に取着の鋼製の受枠と接触可能な側面には、一部が前記受部又は受枠と点接触状体で接触可能な突片が突設されることを特徴とするグレーチング。
【請求項2】
前記突片はエンドプレートより下方に突出して前記受部又は受枠に支持されることを特徴とする請求項1記載のグレーチング。
【請求項3】
前記突片はグレーチングより下方に突出し、グレーチングの嵩上げを行うことを特徴とする請求項2記載のグレーチング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−154131(P2012−154131A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15908(P2011−15908)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000133294)株式会社ダイクレ (65)
【出願人】(511025721)
【Fターム(参考)】