説明

ケーブルの固定構造

【課題】2本のケーブルを摩耗などからより適正に保護する。
【解決手段】エンジンと2つのモータとを内部に収納すると共にマウント部材を介して車体に取り付けられた駆動源ユニットと、2つのインバータを内部に収納すると共に車体に直接取り付けられたインバータユニットと、モータとインバータとをそれぞれ接続する2本のパワーケーブル43,44と、がエンジンルーム内に搭載された車両において、パワーケーブル43,44を固定部材82により束ねて駆動源ユニットに固定すると共に固定部材92により束ねてインバータユニット49に固定し、固定部材82,92間でパワーケーブル43,44をテープ48により束ねて一体化する。これにより、固定部材82,92間でのパワーケーブル43,44間の相対的な動きのズレを抑制することができると共に、2本のパワーケーブル43,44を寄せることで周辺部品との隙間を広げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの固定構造に関し、詳しくは、第1および第2のモータを含む駆動源を内部に収納すると共に車体への振動の伝達を抑制するためのマウント部材を介して車体に取り付けられた駆動源ユニットと、第1および第2のモータを駆動する第1および第2のインバータを内部に収納すると共に車体に直接取り付けられたインバータユニットと、第1のモータと第1のインバータとを接続する第1のケーブルと、第2のモータと第2のインバータとを接続する第2のケーブルと、が車載機器用の収納部に搭載された車両におけるケーブルの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のケーブルの固定構造としては、フロントエンジンリアドライブ型の車両(FR車両)において、2つのモータを含み車両のセンターフロアトンネル内に収容されたモータユニットと、2つのモータにそれぞれパワーケーブルにより電気的に接続されて車両のエンジンルーム内に収容された2つのインバータとを備え、2本のパワーケーブル同士をケーブル固定具によって連結して車体に固定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−253017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2つのモータを含むモータユニットや2つのモータとエンジンとを含むユニットを車体への振動の伝達を抑制するためのエンジンマウントなどのマウント部材を介して車体に取り付けると共に、2つのインバータを含むインバータユニットを車体に直接取り付ける構造の車両では、車体の揺れなどの動きにより生じるインバータユニットの動きとモータを含むユニットの動きとの間に相対的なズレが生じ、2つのモータと2つのインバータとを接続する2本のケーブルが互いに干渉してこすれにより摩耗したり、2本のケーブルが周辺部品と干渉してこすれにより摩耗したり傷付いたりする場合がある。モータを含むユニットとインバータユニットとが共通のコンパートメントに搭載された車両では、搭載スペースが限られているため、こうしたケーブルの干渉は、特に生じやすい。
【0005】
本発明のケーブルの固定構造は、2本のケーブルを摩耗などからより適正に保護することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のケーブルの固定構造は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のケーブルの固定構造は、
第1および第2のモータを含む駆動源を内部に収納すると共に車体への振動の伝達を抑制するためのマウント部材を介して車体に取り付けられた駆動源ユニットと、前記第1および第2のモータを駆動する第1および第2のインバータを内部に収納すると共に車体に直接取り付けられたインバータユニットと、前記第1のモータと前記第1のインバータとを接続する第1のケーブルと、前記第2のモータと前記第2のインバータとを接続する第2のケーブルと、が車載機器用の収納部に搭載された車両におけるケーブルの固定構造であって、
前記第1のケーブルと前記第2のケーブルとを駆動源側固定部材により束ねて前記駆動源ユニットに固定すると共に、前記第1のケーブルと前記第2のケーブルとをインバータ側固定部材により束ねて前記インバータユニットに固定し、前記駆動源側固定部材と前記インバータ側固定部材との間で前記第1のケーブルと前記第2のケーブルとを一体化部材により束ねて一体化する、
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明のケーブルの固定構造では、第1のモータと第1のインバータとを接続する第1のケーブルと第2のモータと第2のインバータとを接続する第2のケーブルとを駆動源側固定部材により束ねて駆動源ユニットに固定すると共に、第1のケーブルと第2のケーブルとをインバータ側固定部材により束ねてインバータユニットに固定し、駆動源側固定部材とインバータ側固定部材との間で第1のケーブルと第2のケーブルとを一体化部材により束ねて一体化する。インバータユニットは車体に直接取り付けられるのに対し駆動源ユニットは車体にマウント部材を介して取り付けられるため、車体の揺れなどの動きにより生じるインバータユニットの動きと駆動源ユニットの動きとの間には相対的なズレが生じ、駆動源側固定部材とインバータ側固定部材との間で、第1のケーブルと第2のケーブルとが互いに干渉してこすれにより摩耗したり、第1のケーブルや第2のケーブルが周辺部品と干渉してこすれにより摩耗したり傷付いたりする場合がある。これに対し、本発明のケーブルの固定構造では、一体化部材によって、駆動源側固定部材とインバータ側固定部材との間で第1のケーブルと第2のケーブルとを束ねて一体化するから、駆動源側固定部材とインバータ側固定部材との間での第1のケーブルと第2のケーブルとの相対的な動きのズレを抑制することができると共に、第1のケーブルと第2のケーブルとを寄せることで周辺部品との隙間を確保することができる。この結果、2本のケーブルを摩耗などからより適正に保護することができる。
【0009】
こうした本発明のケーブルの固定構造において、前記一体化部材は、前記駆動源側固定部材と前記インバータ側固定部材との間のうち前記第1および第2のケーブルが干渉しやすい部位として予め定められた部位で前記第1および第2のケーブルを束ねる部材である、ものとすることもできる。ここで、「干渉しやすい部位」は、第1のケーブルと第2のケーブルとが互いに接触しやすい部位や、第1のケーブルまたは第2のケーブルが周辺部品と接触しやすい部位などが含まれる。
【0010】
また、本発明のケーブルの固定構造において、前記駆動源は、エンジンを含み、前記車載機器用の収納部は、車両前部のエンジンルームである、ものとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例としてのケーブルの固定構造を適用したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】ハイブリッド自動車20の外観と走行用の機器が車載された様子との一例を示す説明図である。
【図3】駆動源ユニット29に背面(車両後方)からパワーケーブル43,44が取り付けられた様子を示す説明図である。
【図4】インバータユニット49に背面(車両後方)からパワーケーブル43,44が取り付けられた様子を示す説明図である。
【図5】実施例のパワーケーブル43,44の固定構造を示す説明図である。
【図6】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図7】変形例の電気自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明の一実施例としてのケーブルの固定構造を適用したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、ハイブリッド自動車10の外観と走行用の機器が車載された様子との一例を示す説明図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図1に示すように、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関として構成されたエンジン22と、エンジン22を駆動制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24と、エンジン22のクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪38a,38bにデファレンシャルギヤ37を介して連結された駆動軸36にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸36に接続されたモータMG2と、モータMG1とパワーケーブル43を介して接続され図示しない複数のスイッチング素子のスイッチングによってモータMG1を駆動するインバータ41と、モータMG2とパワーケーブル44を介して接続され図示しない複数のスイッチング素子のスイッチングによってモータMG2を駆動するインバータ42と、インバータ41,42の複数のスイッチング素子をスイッチング制御することによってモータMG1,MG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40と、例えばリチウムイオン二次電池として構成されてパワーケーブル54により接続されたインバータ41,42を介してモータMG1,MG2と電力をやりとりするバッテリ50と、バッテリ50を管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52と、アクセルペダルポジションセンサやブレーキペダルポジションセンサなど各種センサからの信号を入力すると共にエンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信により信号を送受信して車両全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、HVECUという)70と、を備える。
【0014】
ここで、エンジン22とモータMG1,MG2とプラネタリギヤ30とは、筐体に収納された状態で一体化されたユニット(以下、駆動源ユニットという)29を構成している。また、インバータ41,42は、筐体に収納された状態で一体化されたユニット(以下、インバータユニットという)49を構成している。
【0015】
図2に示すように、車両前部のエンジンルーム21には、車体への振動の伝達を抑制するためのマウント部材29a(例えば、ゴム製のものなど)を介して車体に取り付けられた駆動源ユニット29と、駆動源ユニット29の車両上方で直接(即ち、マウント部材を介さずに)車体に取り付けられたインバータユニット49と、パワーケーブル43,44とが搭載されている。また、車両後部の図示しないリヤシート後方には、バッテリ50が搭載されており、インバータユニット49内のインバータ41,42とパワーケーブル54によって接続されている。これにより、バッテリ50からの電力によりモータMG1,MG2を駆動しエンジン22を間欠運転しながら走行したり、制動時にはモータMG2からの電力によりバッテリ50を充電したりすることができる。駆動源ユニット29の車体への取り付け(マウント)は、例えば、予め駆動源ユニット29が取り付けられたサブフレームを、複数のマウント部材29a(図2では1つのみ図示)を介して車体に取り付けることなどにより行なうことができる。
【0016】
図3は、駆動源ユニット29に背面(車両後方)からパワーケーブル43,44が取り付けられた様子を示す説明図であり、図4は、インバータユニット49に背面(車両後方)からパワーケーブル43,44が取り付けられた様子を示す説明図であり、図5は、実施例のパワーケーブル43,44の固定構造を示す説明図である。図3中、駆動源ユニット29は、その一部が図示されており、図3〜図5中、上下方向と前後方向とを示す矢印は、それぞれ車両の鉛直上下方向と前後方向とを示す。パワーケーブル43,44は、U相,V相,W相の3本のケーブルをまとめて編組線などにより電磁的にシールドした状態でコルゲートチューブなどの保護部材により被覆されており、駆動源ユニット29側の端部にそれぞれモータMG1,MG2に接続するためのコネクタ43a,44aが取り付けられると共に(図3参照)、インバータユニット49側の端部にそれぞれインバータ41,42に接続するためのコネクタ43b,44bが取り付けられている(図4参照)。
【0017】
2本のパワーケーブル43,44は、駆動源ユニット29側では、図3に示すように、クランプ(いわゆるメガネクランプ)などの固定部材82によって束ねられて駆動源ユニット29に固定されたブラケット29bに図示しない留め具(例えば、ボルトやピンなど)を用いて固定されている。また、パワーケーブル43は、固定部材82より駆動源ユニット29側(モータMG1側すなわちコネクタ43a側)で、固定部材83によって駆動源ユニット29に固定されており、パワーケーブル44は、固定部材82より駆動源ユニット29側(モータMG2側すなわちコネクタ44a側)で、固定部材84によって駆動源ユニット29に固定されている。2本のパワーケーブル43,44は、インバータユニット29側では、図4に示すように、クランプ(いわゆるメガネクランプ)などの固定部材92によって束ねられてインバータユニット49に固定されたブラケット49aに図示しない留め具(例えば、ボルトやピンなど)を用いて固定されている。また、2本のパワーケーブル43,44は、固定部材92よりインバータユニット49側(インバータ41,42側すなわちコネクタ43b,44b側)で、固定部材93によってブラケット49aに固定されている。2本のパワーケーブル43,44を束ねて固定する固定部材82および固定部材92は、実施例では、パワーケーブル43,44の長さ方向の移動を規制すると共にパワーケーブル43,44の周方向(回転方向)に移動は若干許容するように、パワーケーブル43,44の外周面を形成する保護部材に取り付けられる(例えば、コルゲートチューブ表面の山と谷とに噛み合うように取り付けられる)ものとした。
【0018】
さらに、2本のパワーケーブル43,44は、図3や図5に示すように、駆動源ユニット29側の固定部材82とインバータユニット49側の固定部材92との間でテープ48(例えば、樹脂製のものなど)によって互いに束ねられて一体化されており、駆動源ユニット29やインバータユニット49には固定されていない。テープ48は、実施例では、固定部材82と固定部材92との間のうちテープ48がないと2本のパワーケーブル43,44が互いに干渉したり周辺部品(例えば、配管や配線など)と干渉したりしやすい部位として予め実験などにより定められた2本のパワーケーブル43,44の部位かつ範囲に巻かれるものとした。
【0019】
実施例のハイブリッド自動車20のように、2つのモータMG1,MG2を含む駆動源ユニット29をマウント部材29aを介して車体に取り付けると共に、2つのインバータ41,42を含むインバータユニット49を直接車体に取り付けた車両では、車体の揺れなどの動きにより生じる両ユニットの動きに相対的なズレが生じるため、モータMG1,MG2とインバータ41,42とを接続するために駆動源ユニット29とインバータユニット49との間に配策される2本のパワーケーブル43,44は、駆動源ユニット29とインバータユニット49との間の位置で、ある程度に自由に移動できるように余裕をもって配策される必要がある。一方、ハイブリッド自動車20のエンジンルーム21は搭載すべき各種機器やケーブルなどの配線,配管が多く各搭載スペースが限られており、パワーケーブル43,44は高電圧用かつ三相用の比較的太いものとなるため、パワーケーブル43,44の配策に余裕を確保しすぎると、2本パワーケーブル43,44が互いに干渉してこすれにより摩耗したり、2本のパワーケーブル43,44が周辺部品と干渉してこすれに摩耗したり傷付いたりする場合がある。これに対し、実施例では、駆動源ユニット29側の固定部材82とインバータユニット49側の固定部材92との間で2本ケーブル43,44をテープ48により束ねて空中で一体化するものとした。これにより、固定部材82,92間で2本のケーブル43,44が一体となってある程度自由に移動可能としつつ、2本のパワーケーブル43,44間の相対的な動きのズレを抑制することができると共に、2本のパワーケーブル43,44を互いに寄せることで周辺部品との隙間を確保することができる。この結果、2本のパワーケーブル43,44を摩耗などからより適正に保護することができる。
【0020】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20に適用したパワーケーブル43,44の固定構造によれば、エンジン22とモータMG1,MG2とを内部に収納すると共に車体への振動の伝達を抑制するためのマウント部材29aを介して車体に取り付けられた駆動源ユニット29と、モータMG1,MG2を駆動するインバータ41,42を内部に収納すると共に車体に直接取り付けられたインバータユニット49と、モータMG1,MG2とインバータ41,42とをそれぞれ接続する2本のパワーケーブル43,44と、がエンジンルーム21内に搭載された車両において、2本のパワーケーブル43,44を固定部材82により束ねて駆動源ユニット29に固定すると共に、2本のパワーケーブル43,44を固定部材92により束ねてインバータユニット49に固定し、固定部材82と固定部材92との間で2本のパワーケーブル43,44をテープ48により束ねて一体化するから、固定部材82と固定部材92との間での2本のパワーケーブル43,44間の相対的な動きのズレを抑制することができると共に、パワーケーブル43とパワーケーブル44とを寄せることで周辺部品との隙間を広げることができる。この結果、2本のパワーケーブル43,44を摩耗などからより適正に保護することができる。
【0021】
実施例のハイブリッド自動車20に適用したパワーケーブル43,44の固定構造では、固定部材82と固定部材92との間では、2本のパワーケーブル43,44はテープ48により束ねられて一体化されるものとしたが、2本のパワーケーブル43,44はクランプ(いわゆるメガネクランプなど)により束ねられて一体化されるものとしてもよい。
【0022】
実施例のハイブリッド自動車20に適用したパワーケーブル43,44の固定構造では、パワーケーブル43,44はそれぞれ固定部材83,84によっても駆動源ユニット29に固定されるものとしたが、固定部材83,84は用いないものとしてもよい。また、パワーケーブル43,44は固定部材93により一体化されてインバータユニット49に固定されるものとしたが、固定部材93は用いないものとしてもよい。
【0023】
実施例のハイブリッド自動車20に適用したパワーケーブル43,44の固定構造では、2本のパワーケーブル43,44を束ねて固定するものとして説明したが、2本のパワーケーブル43,44に加えて他のケーブルも一緒に束ねて固定するものとしてもよい。
【0024】
実施例のハイブリッド自動車20では、駆動源ユニット29とインバータユニット49とがこれらを接続するパワーケーブル43,44と共に車両前部のエンジンルーム21内に搭載されているものとしたが、車載機器用の収納部内に搭載されるものであれば、駆動源ユニット29とインバータユニット49とがこれらを接続するパワーケーブル43,44と共に他のスペース内に搭載されるものとしてもよい。
【0025】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2からの動力を駆動軸36に出力するものとしたが、図5の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2からの動力を駆動軸36が接続された車軸(駆動輪38a,38bが接続された車軸)とは異なる車軸(図5における車輪39a,39bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。この場合、駆動源ユニット29には、実施例と同様に、エンジン22とモータMG1,MG2とが含まれ、インバータユニット49には、インバータ41,42が含まれる。
【0026】
実施例では、本発明をエンジン22と2つのモータMG1,MG2とを備えるハイブリッド自動車20に適用して説明したが、エンジンを備えずに2つのモータを備える電気自動車に適用するものとしてもよい。例えば、図7の変形例の電気自動車220に例示するように、モータMG1からの動力を駆動輪38a,38bに接続された駆動軸36に出力すると共にモータMG2からの動力を駆動輪38a,38bが接続された車軸とは異なる車軸(図7における車輪39a,39bに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。この場合、駆動源ユニット29には、モータMG1,MG2が含まれ、インバータユニット49には、インバータ41,42が含まれる。
【0027】
実施例では、本発明をハイブリッド自動車20の形態として説明したが、自動車以外の車両(例えば、列車など)の形態としてもよい。
【0028】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータMG1,MG2が「第1のモータ」,「第2のモータ」に相当し、駆動源ユニット29が「駆動源ユニット」に相当し、インバータ41,42が「第1のインバータ」,「第2のインバータ」に相当し、インバータユニット49が「インバータユニット」に相当し、パワーケーブル43,44が「第1のケーブル」,「第2のケーブル」に相当し、固定部材82が「駆動源側固定部材」に相当し、固定部材92が「インバータ側固定部材」に相当し、テープ48が「一体化部材」に相当する。また、エンジン22が「エンジン」に相当する。
【0029】
ここで、「第1モータ」,「第2モータ」としては同期発電電動機として構成されたものに限定されるものではなく、誘導電動機など、他のタイプのモータであっても構わない。「駆動源ユニット」としては駆動源ユニット29に限定されるものではなく、エンジン22を含まないものなど、第1および第2のモータを含む駆動源を内部に収納すると共に車体への振動の伝達を抑制するためのマウント部材を介して車体に取り付けられたものであれば如何なるものとしても構わない。「第1のインバータ」,「第2のインバータ」としてはモータMG1,MG2を駆動するものに限定されるものではなく、第1および第2のモータを駆動するものであれば如何なるものとしても構わない。「インバータユニット」としては、インバータユニット49に限定されるものではなく、第1および第2のモータを駆動する第1および第2のインバータを内部に収納すると共に車体に直接取り付けられたものであれば如何なるものとしても構わない。「第1のケーブル」,「第2のケーブル」としては丸形のパワーケーブル43,44に限定されるものではなく、扁平型のパワーケーブルなど、第1のモータと第1のインバータとを接続するものや第2のモータと第2のインバータとを接続するものであれば如何なるタイプのケーブルであっても構わない。「駆動源側固定部材」や「インバータ側固定部材」としては、クランプによるものに限定されるものではなく、第1のケーブルと第2のケーブルとを束ねて駆動源ユニットに固定するものや第1のケーブルと第2のケーブルとを束ねてインバータユニットに固定するものであれば如何なるものとしても構わない。「一体化部材」としては、テープ48に限定されるものではなく、クランプなど、駆動源側固定部材とインバータ側固定部材との間で第1のケーブルと第2のケーブルとを束ねて一体化するものであれば如何なるものとしても構わない。また、「エンジン」としては、炭化水素系の燃料により動力を出力するエンジン22に限定されるものではなく、水素エンジンなどの他のタイプのエンジンであっても構わない。
【0030】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0031】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、自動車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
20,120 ハイブリッド自動車、21 エンジンルーム、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、29 駆動源ユニット、29a マウント部材、29b,49a ブラケット、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、37 デファレンシャルギヤ、38a,38b 駆動輪、39a,39b 車輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44,54 パワーケーブル、43a,44a,43b,44b コネクタ、48 テープ、49 インバータユニット、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、82,83,84,92,93 固定部材、220 電気自動車、MG1,MG2 モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2のモータを含む駆動源を内部に収納すると共に車体への振動の伝達を抑制するためのマウント部材を介して車体に取り付けられた駆動源ユニットと、前記第1および第2のモータを駆動する第1および第2のインバータを内部に収納すると共に車体に直接取り付けられたインバータユニットと、前記第1のモータと前記第1のインバータとを接続する第1のケーブルと、前記第2のモータと前記第2のインバータとを接続する第2のケーブルと、が車載機器用の収納部に搭載された車両におけるケーブルの固定構造であって、
前記第1のケーブルと前記第2のケーブルとを駆動源側固定部材により束ねて前記駆動源ユニットに固定すると共に、前記第1のケーブルと前記第2のケーブルとをインバータ側固定部材により束ねて前記インバータユニットに固定し、前記駆動源側固定部材と前記インバータ側固定部材との間で前記第1のケーブルと前記第2のケーブルとを一体化部材により束ねて一体化する、
ケーブルの固定構造。
【請求項2】
請求項1記載のケーブルの固定構造であって、
前記一体化部材は、前記駆動源側固定部材と前記インバータ側固定部材との間のうち前記第1および第2のケーブルが干渉しやすい部位として予め定められた部位で前記第1および第2のケーブルを束ねる部材である、
ケーブルの固定構造。
【請求項3】
請求項1または2記載のケーブルの固定構造であって、
前記駆動源は、エンジンを含み、
前記車載機器用の収納部は、車両前部のエンジンルームである、
ケーブルの固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−111989(P2013−111989A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256760(P2011−256760)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】