説明

ケーブルドラムシステム

【課題】ケーブルヘッドをケーブルドラムから安全に取り外すことのできるケーブルドラムを提供すること。
【解決手段】
ケーブル11が巻回されたケーブルドラム10に巻き付けられ、該巻き付き状態でケーブル11の端部に設けられたケーブルヘッド16を支持するヘッド誘導体26を備え、ヘッド誘導体26を、ケーブルドラム10から解かれて繰り出された状態でケーブルヘッド16の荷重が付加されても伸張状態を維持できるように構成する。これにより、ケーブルヘッド16をヘッド誘導体26に支持された状態で該ヘッド誘導体26ごとケーブルドラム10から繰り出すことができる。特に、ヘッド誘導体26は、ケーブルドラム10から繰り出されている状態で該ケーブルヘッド16の荷重が付加されても伸張状態を維持可能であるので、該ケーブルヘッド16をケーブル本体Cに対して折れ曲がった状態となることを防止しつつケーブルドラム10から取り外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルドラムシステムに関し、特に、端部にケーブルヘッドが装着されたケーブルが巻回されるケーブルドラムシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送電線に断線等が発生した場合など該送電線本線を修理する必要がある場合に、応急用ケーブルによってバイパス路を形成して、該応急用ケーブルによって送電を行う。このような応急用ケーブルは、一般的にケーブルドラムに巻回された状態で現場に搬入される。
【0003】
図9は、従来のケーブルドラムの構成を説明する図である。図示のように、ケーブルドラム100は、両端にある一対の外方フランジ101、101と、内部の一対の内方フランジ102、102を備えており、ケーブル104は、その両端に取り付けられたケーブルヘッド106がそれぞれ、外方フランジ101と内方フランジ102の間において、係止部108により胴部に係止されている。
【0004】
一方、ケーブル本体110は、内方フランジ102、102の間の中央部分の胴部において巻回された状態で保持されている。このようなケーブルドラム100においてケーブル104の使用時には、ケーブルヘッド106を持ち上げるなどして、係止部108による係止状態を解除し、作業員がケーブルヘッド106を引っ張りつつ、ケーブル本体110の巻回状態を解いて、ケーブルヘッド106を対象の端子に挿入する。なお、ケーブルヘッド106が高重量の場合などにおいては、ケーブルヘッド106がケーブル本体110に対して折れ曲がる方向に負荷がかかり、ケーブルヘッド106のケーブル本体110に対する装着部分(付け根部分)が破損してしまわないように、ケーブルヘッド106をケーブルに対して曲げない状態を保ったままケーブルドラム100から取り外す必要がある。
【0005】
ところが、ケーブルヘッド106が、例えば、ケーブルドラム100の中腹高さ位置にある場合には、ケーブルヘッド106が水平ではなく上向き或いは下向きになるので、ケーブルヘッド106をケーブル104に対して曲がらない状態を維持しつつケーブルドラム100から取り外すことが難しくなる。
【0006】
従って、ケーブル104をケーブルドラム100から取り外す際には、図9にも示されているように、ケーブルヘッド106がケーブルドラム100に上部位置に配置される(ケーブルヘッドの向きが水平状態を保つ)ように巻回状態が調整される。そして、作業員は、ケーブル104を取り外す際に、先ず、ケーブルドラム100の上部位置においてケーブルヘッド106を下方から支えつつ係止部108による係止状態を解除しケーブルヘッド106をケーブル本体110に対して曲がらない状態を保ったまま取り外すようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平07−267511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述のケーブルヘッド106をケーブルドラム100から取り外す作業は、作業員に対して多大な負担が生じるものであった。特に、数十kg以上にも及ぶ高重量のケーブルヘッド106を備えたケーブル104の場合、作業の安全性の確保やケーブルヘッド106の破損を防止するために、一人の作業員がケーブルヘッド106の係止部108による係止状態をドラム上部において解除しつつ、別の作業員がこの係止状態の解除されたケーブルヘッド106を下方から支持して曲がらないよう姿勢を保ちながら該ケーブルヘッド106をケーブルドラム100から取り外す必要がある。
【0009】
このような場合において、ケーブルヘッド106の係止を解除する作業員とケーブルヘッド106を下方から支持する作業員の連携がうまくいかなかった際には、ケーブルヘッド106の落下により下方の作業員が負傷したりケーブルヘッド106が破損する等のトラブルが発生する恐れがある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ケーブルヘッドをケーブルドラムから安全に取り外しケーブルを円滑に引き出すことのできるケーブルドラムシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1に記載のケーブルドラムシステムは、端部にケーブルヘッドが装着されたケーブルが胴部に巻回されたケーブルドラムと、前記ケーブルドラムの胴部に基端部が着脱可能に固定され、先端部が少なくとも前記胴部におけるケーブルヘッドの真下部分を越えて伸長するように前記胴部に巻き付けられて前記ケーブルヘッドが載置固定されるとともに、前記巻き付き方向へ曲げ変形が可能で該巻き付け方向と逆方向への曲げ変形が規制されるように構成されたヘッド誘導体と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
これによれば、ヘッド誘導体の先端部が少なくともドラム胴部におけるケーブルヘッドの真下部分を越えて伸長するように巻き付けられてケーブルヘッドが載置固定されているので、ケーブルヘッドをヘッド誘導体とともにケーブルドラムから繰り出すことができる。すなわち、ケーブルヘッドをヘッド誘導体により下方から支持しつつドラムから取り外すことができる。特に、ヘッド誘導体は、巻き付き方向へ曲げ変形が可能で該巻き付け方向と逆方向への曲げ変形が規制されるように構成されているので、ケーブルヘッドが高重量であっても確実に支持されケーブルのケーブルドラムからの取り外し過程において該ケーブルヘッドがケーブル本体に対して折れ曲がった状態となることを防止することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のケーブルドラムシステムにおいて、前記ヘッド誘導体が、前記ケーブルヘッドを載置固定する面を構成する平坦部を備えた複数の構成単位部材を該平坦部の端部において相互連結することで構成され、前記複数の構成単位部材は、前記平坦部の端部を軸として隣接する構成単位部材の対向側部同士が近づく方向に回動することを特徴とする。
【0014】
これによれば、ヘッド誘導体において、上述の巻き付き方向へ曲げ変形が可能で該巻き付け方向と逆方向への曲げ変形が規制される構成を容易に得ることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のケーブルドラムシステムにおいて、前記ヘッド誘導体が、前記ケーブルヘッドを前記ケーブルドラムの胴部から起立させた方向に向くように支持する支持柱を備えたことを特徴とする。
【0016】
これによれば、ケーブルヘッドのケーブルに対する折れ曲がりをより確実に防止することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載にケーブルドラムシステムにおいて、前記ケーブルドラムから繰り出される前記ヘッド誘導体を、前記ケーブルドラムの胴部の最も高い部分よりも低い位置で下方から支持するヘッド誘導体収容支持部を備えたことを特徴とする。
【0018】
これによれば、ヘッド誘導体は、ケーブルドラムの胴部の頂点よりも低い位置で上記ヘッド誘導体収容支持部により収容支持されることとなる。従って、作業員等は、高い位置で作業を行うことなく、このヘッド誘導体収容支持部で支持された状態のヘッド誘導体からケーブルヘッドを安全に取り外すことができる。特に、ヘッド誘導体収容支持部におけるケーブルヘッドの受け入れ位置を、ケーブルヘッドを適用する対象の端子の位置と略同高さに設定することで、ケーブルヘッドの端子への差し込み作業をより容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来のケーブルヘッドに対して行われていた危険な係止解除作業を行う必要がなく、容易且つ安全にケーブルドラムからのケーブルの取り外しを行うことができ、作業の安全性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態にかかるケーブルドラムの構造を説明する図である。
【図2】本実施の形態にかかるケーブルドラムの構造を説明する図である。
【図3】本実施の形態にかかるケーブルドラムシステムの使用状態を説明する図である。
【図4】本実施の形態にかかるケーブルドラムシステムの使用状態を説明する図である。
【図5】本実施の形態にかかるケーブルドラムシステムの使用状態を説明する図である。
【図6】本実施の形態にかかるケーブルドラムシステムの使用状態を説明する図である。
【図7】本実施の形態にかかるケーブルドラムシステムの使用状態を説明する図である。
【図8】本実施の形態にかかるケーブルドラムシステムの使用状態を説明する図である。
【図9】従来技術を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明にかかる実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1及び図2は、本実施の形態にかかるケーブルドラム10の構造を示す説明図である。特に、図1は、ケーブルドラム10における側部構造を概略的に示しており(図面の明瞭化のため外側フランジ12は破線で示す)、図2は、ケーブルドラム10の正面構造を示している。
【0023】
図示のように、ケーブルドラム10は、外枠として機能する両端の外側フランジ12,12の間にケーブル11が取り付けられる部分である胴部14が形成された構成を有する。本実施の形態では、胴部14は、外側フランジ12,12寄り位置においてケーブルヘッド16が係止される部分であるヘッド係止胴部18と、ケーブル11が巻回される中央胴部20と、を有している。
【0024】
このヘッド係止胴部18と中央胴部20の間には、作業者等により操作される胴部14を回転させるための複数の操作レバー22がそれぞれ取り付けられているレバー取り付け部24が設けられており、この操作レバー22を所望の回転方向に操作することでヘッド係止胴部18及び中央胴部20が連動して同方向に回転し、該回転により後述する蛇腹状体26やケーブル本体Cの巻き付け及び繰出しを行うことができる。
【0025】
本実施の形態では、中央胴部20に巻回された状態のケーブル本体Cにおいて、その両端に設けられたケーブルヘッド16は、ヘッド係止胴部18に巻き付けられた蛇腹状体26にヘッド取り付けプレート50を介して固定された状態でヘッド係止胴部18に装着されている。
【0026】
蛇腹状体26は、ヘッド取り付けプレート50の幅よりも長く形成された複数の構成単位部材U1・・・UNが相互に回動可能に連結されることで構成されている。特に、本実施の形態では、図4から理解されるように蛇腹状体26における構成単位部材U1〜UNは、該蛇腹状体26の側面視において下凸の半円形状に形成されており、この半円の弦部分(平坦部)70の端部70aで相互に連結されている。従って、複数の構成単位部材U1・・・UNは、弦部分70の端部70aを軸として隣接する構成単位部材の対向側部70b同士が近づく方向にのみ回動する。これにより、蛇腹状体26は、ケーブルドラム10の周に沿う曲線形態をとるものの、これとは反対に曲がった曲線形態には変形しないようになっている。
【0027】
そして、蛇腹状体26は、上記構成単位部材U1・・・UNの連結によって全体としてケーブルヘッド16の長さを超える長さに形成されており、その基端部が留め具27によりヘッド係止胴部18に固定されている。また、その先端部は少なくともヘッド係止胴部18におけるケーブルヘッド16の真下部分を越えて伸長し巻き付けられてケーブルヘッド16が載置固定されている。特に、本実施の形態では、蛇腹状体26は、先端部においても留め具29によりヘッド係止胴部18の留め具用孔部80(図3参照)の部分に固定されている。なお、先端部には蛇腹状体26のケーブルドラム10の引き出しが容易となるように引き出し用取手31が設けられている。また、蛇腹状体26を構成する構成単位部材U1・・・UNの材質は、アルミ、スチール、又はステンレス等の金属、木、布、又はポリカーボネート等の樹脂など種々のものが適用可能である。
【0028】
更に、先頭から2番目の構成単位部材U2には、蛇腹状体26が乗せられているヘッド取り付けプレート50の先端部50aを支持する支持柱54が溶接固定されている。これにより、図1等に明確に示されているようにケーブルヘッド16がケーブルドラム10のヘッド係止胴部18から起立した状態に保たれる。また、ヘッド取り付けプレート50の後端部50bは、蛇腹状体26に対して固定されていないものの、通常、ケーブルヘッド16の重量により不安定に振れることはない。しかし、もし、ケーブルヘッド16の重量が比較的軽い等の理由で後端部50bが不安定となる場合には、なんらかの固定のための手段を講じても良い。
【0029】
なお、上記蛇腹状体26のヘッド係止胴部18への巻き付けは、ケーブル11が巻き付けられる前にケーブルヘッド16が配置されるドラム上の位置を予め考慮して行うようにしても良いし、ケーブル11が巻き付けられた状態で作業員等がケーブルヘッド16の部分をケーブルドラム10から持ち上げ支持しながら、行うようにしても良い。
【0030】
上記構成を有するケーブルドラム10の使用状態について説明する。図3〜8は、本実施の形態にかかるケーブルドラム10の使用態様を説明する図である。
【0031】
図示のように、ケーブルドラム10の略中腹部分において、蛇腹状体26の先端部の留め具29を抜き取りその一端の固定状態を解除する。そして、操作レバー22を操作することで、ヘッド係止胴部18を回転させる。同時に、作業員等が引き出し用取手31を引くことで、ケーブルヘッド16が取り付けられている蛇腹状体26が略直線形状に変形し
つつ繰り出される。
【0032】
そして、このように、ケーブルドラム10から繰り出されている蛇腹状体26を、その先頭部分から収容支持する蛇腹状体収容支持具(ヘッド誘導体収容支持部)28に誘導する。
【0033】
特に、本実施の形態では、上述のように、支持柱54によりケーブルヘッド16が起立した状態で保持されているので、図3に示すように蛇腹状体26がケーブルドラム10の上部位置寄り低い位置で繰り出される場合、すなわち、支持柱54がなければケーブルヘッド16が下向きとなるような場合であっても、ケーブルヘッド16は、略水平状態に保たれた状態のまま蛇腹状体収容支持具28に受け入れられる。従って、蛇腹状体26がケーブルドラム10から繰り出される際に、ケーブルヘッド16がケーブルCに対して曲がることなく真っ直ぐに保たれる。
【0034】
図4は、本実施の形態にかかるケーブルドラムシステムの一部を構成する蛇腹状体収容支持具28の構成、及び蛇腹状体収容支持具28による蛇腹状体26の収容態様を説明する図である。
【0035】
図示のように、蛇腹状体収容支持具28は、蛇腹状体26が受け入れられる収容空間37aを有する収容部37を備え、この収容空間37aのケーブルドラム10側の端部は、蛇腹状体26の繰り出し位置より下方位置で該蛇腹状体26の受け入れが可能となるように高さ調整されて設置されている。
【0036】
そして、収容部37は蛇腹状体26の受け入れ位置と反対側の端部における短脚部30、及び蛇腹状体26の受け入れ位置側の端部における長脚部32により地面に支持されている。従って、本実施の形態では、この短脚部30と長脚部32により、収容部37における収容空間37aが、ケーブルドラム10側(蛇腹状体26の受け入れ側)から先端方向に向かって下方傾斜し、上記蛇腹状体26が自重で滑るように導入が可能となっている。すなわち、蛇腹状体26の先頭付近である構成単位部材U1の部分が収容空間37a内に導入されると、あとはケーブルヘッド16及び蛇腹状体26の自重により下方へ滑る。
【0037】
なお、収容部37はその上面に長尺の切欠き部37bが形成されており、この切欠き部37bには、蛇腹状体26が収容空間37aを自重で滑る際に支持柱54が通過する。また、収容部37の側壁の先端部分には孔部34が形成されており、この孔部34には、収容空間37aに架け渡されるように係止棒36が挿通される。
【0038】
図5及び図6は、蛇腹状体26が収容空間37aに挿入された状態を説明する図である。図から理解されるように、収容部37内を蛇腹状体26の自重により下方へ滑る蛇腹状体26は、最終的に孔部34に挿通された係止棒36により収容空間37aの先端部分で係止される。
【0039】
このように、蛇腹状体収容支持具28の収容空間37aに蛇腹状体26を導入し、この孔部34に係止棒36を差しこむだけで、容易に蛇腹状体収容支持具28で蛇腹状体26を保持することができる。この状態で、蛇腹状体26は作業員等の腰位置程度の高さ位置に保持される。
【0040】
そして、図7に示すように、作業員Oは、この蛇腹状体26が支持された高さ位置で容易にケーブルヘッド16を蛇腹状体26から取り外することができる。
【0041】
以上の構成により、本実施の形態では、蛇腹状体26の先端部が少なくとも胴部18におけるケーブルヘッド16の真下部分を越えて伸長するように巻き付けられてケーブルヘッド16が載置固定されているので、ケーブルヘッド16を蛇腹状体26とともにケーブルドラム10から繰り出すことができる。すなわち、ケーブルヘッド16を蛇腹状体26により下方から支持しつつドラム10から取り外すことができる。特に、蛇腹状体26は、巻き付き方向へ曲げ変形が可能で該巻き付け方向と逆方向への曲げ変形が規制される構成であるので、ケーブルヘッド16が高重量であっても確実に支持されケーブル11のケーブルドラム10からの取り外し過程において該ケーブルヘッド16がケーブル本体Cに対して折れ曲がった状態となることを防止することができる。従って、ケーブルドラム10上部における危険且つ負担のかかるケーブヘッド16の係止解除作業を無くし、作業の安全性を確保することができる。
【0042】
また、本実施の形態によれば、蛇腹状体26における構成単位部材U1〜UNは、該蛇腹状体26の側面視において下凸の半円形状に形成されており、この半円の弦部分70の端部70aで相互に連結されている。このように、蛇腹状体26において、ケーブルドラム10の周に沿う曲げ変形が可能で反対方向への曲げ変形が規制される構成を容易に得ることができる。
【0043】
更に、蛇腹状体収容支持具28の収容空間37aが、ケーブルドラム10側から先端方向に向かって下方傾斜していることで、収容空間37aには蛇腹状体26が自重で滑るように挿入され、この収容空間37aの先端位置に係止棒36が取り付けられて、収容空間37a内に蛇腹状体26を支持させることができる。すなわち、蛇腹状体26を上記収容空間37a内に容易に保持することができ、蛇腹状体26のケーブルヘッド16の取り外し作業が容易となる。
【0044】
そして、蛇腹状体26から取り外されたケーブルヘッド16は、作業員Oにより引かれ、図示しない対象となる端子に挿入装着される。なお、蛇腹状体収容支持具28におけるケーブルヘッド16の受け入れ位置を、ケーブルヘッド16を適用する対象の端子の位置と略同高さに設定することで、作業員Oは、ケーブルヘッド16を持ち上げる或いは下げる等の負荷のかかる作業を行うことなく、極めて容易に対象の端子への差し込み作業を行うことができる。
【0045】
また、図8には、反対側のケーブルヘッド16の部分までケーブルCを繰り出した状態におけるケーブルドラム10の態様を示している。図示のように、反対側のケーブルヘッド16の部分までくると、反対側のケーブルヘッド16が乗せられた蛇腹状体26も同様に、蛇腹状体収容支持具28により受け入れられ、ケーブルヘッド16が蛇腹状体26から取り外される。なお、この際、蛇腹状体収容支持具28の位置(ドラムの幅方向における位置)は、反対側のケーブルヘッド16を乗せた蛇腹状体26の受け入れを行い易いように適宜変更しても良い。
【0046】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、本実施の形態では、ケーブルヘッド16を乗せたケーブルドラム10から繰り出されるヘッド誘導体として、蛇腹状体26が用いられているが、これに限られるものではなく、例えば、ケーブルドラムに巻き付き且つ繰り出される際には直線形状を取り該巻き付け方向と逆の方向へは変形し難いような性質、すなわち、ケーブルヘッド16の重量に耐えて逆方向に変形しない、性質を持つ材料を用いても良い。
【0047】
また、蛇腹状体収容支持具28の形態も上記実施の形態のものに限られず、該ヘッド誘導体を収容支持可能であるものならば、種々の形状のものを適用可能である。更に、蛇腹状体収容支持具28は、一つに限られず、例えば、最初に繰り出される蛇腹状体26に乗せられたケーブルヘッド(先頭のケーブルヘッド)の水平方向位置(一方の外側フランジ12−1寄り位置)に合わせて蛇腹状体収容支持具28を1つ設置するとともに、最後に繰り出される蛇腹状体26に乗せられたケーブルヘッド16(終端のケーブルヘッド)の水平方向位置(他方の外側フランジ12−2寄り位置)に合わせて他の蛇腹状体収容支持具28を設置するようにしても良い。
【符号の説明】
【0048】
10 ケーブルドラム
11 ケーブル
16 ケーブルヘッド
18 胴部
26 蛇腹状体
28 蛇腹状体収容支持具(ヘッド誘導体収容支持部)
C ケーブル本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部にケーブルヘッドが装着されたケーブルが胴部に巻回されたケーブルドラムと、
前記ケーブルドラムの胴部に基端部が着脱可能に固定され、先端部が少なくとも前記胴部におけるケーブルヘッドの真下部分を越えて伸長するように前記胴部に巻き付けられて前記ケーブルヘッドが載置固定されるとともに、前記巻き付き方向へ曲げ変形が可能で該巻き付け方向と逆方向への曲げ変形が規制されるように構成されたヘッド誘導体と、
を備えたことを特徴とするケーブルドラムシステム。
【請求項2】
前記ヘッド誘導体が、前記ケーブルヘッドを載置固定する面を構成する平坦部を備えた複数の構成単位部材を該平坦部の端部において相互連結することで構成され、
前記複数の構成単位部材は、前記平坦部の端部を軸として隣接する構成単位部材の対向側部同士が近づく方向に回動することを特徴とする請求項1に記載のケーブルドラムシステム。
【請求項3】
前記ヘッド誘導体が、
前記ケーブルヘッドを前記ケーブルドラムの胴部から起立させた方向に向くように支持する支持柱を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のケーブルドラムシステム。
【請求項4】
前記ケーブルドラムから繰り出される前記ヘッド誘導体を、前記ケーブルドラムの胴部の最も高い部分よりも低い位置において収容支持するヘッド誘導体収容支持部を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のケーブルドラムシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−229070(P2012−229070A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97024(P2011−97024)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】