説明

コイン処理ユニット、処理装置および遊技台用台間機

【課題】コイン収納部に積まれているICコインを受け取って、水平軸線回りに回転して当該ICコインを搬送するコイン搬送ローターの負荷を軽減可能なコイン処理ユニットを提案すること。
【解決手段】コイン処理ユニット20のコイン収納部31は、その下端部分に傾斜収納通路部分31dを備え、収納されているICコインが、傾斜収納通路部分31dから、コイン搬送ローター27の回転中心より低い第3回転位置Cに位置する当該コイン搬送ローターのポケット27(1)〜27(3)に送り込まれる。コイン収納部31に収納されているICコインの重量が直接にコイン搬送ローター27には作用しないので、コイン搬送ローターの負荷を軽減でき、その駆動機構の小型化、コンパクト化に有利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技媒体の貸し出し処理をコイン型記憶媒体を用いたプリペイド方式により行う場合などに用いられるコイン処理ユニット、コイン型記憶媒体およびカード型記憶媒体の双方を取り扱うことのできる処理装置、および、遊技媒体の貸し出し処理を行う遊技台用台間機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICメモリチップが内蔵されたICコインなどのコイン型記憶媒体を用いたプリペイド方式により遊技媒体の貸し出し処理を行うことのできる遊技台用台間機が知られている。かかる遊技台用台間機では、コイン型記憶媒体の発行、返却、回収、および情報の読み書き処理を行うコイン処理ユニットが組み込まれており、利用者が紙幣などの金銭を投入すると、コイン型記憶媒体に投入金額が書き込まれたコイン型記憶媒体が発行される。コイン型記憶媒体を使用して遊技媒体の貸し出しを受けると、記憶されている金額が、貸し出し金額分だけ減算処理された値に更新され、また、残高が零になったコイン型記憶媒体はコイン処理ユニットに回収されるようになっている。
【0003】
コイン処理ユニットは、特許文献1、2に開示されている。これらの特許文献に開示されているコイン型記憶媒体の処理機は、周縁にコイン型記憶媒体を収納可能な凹部が形成されたローターを回転させることにより、コイン型記憶媒体を投入路から受け取り、リーダーライタによってその記憶情報を読み取る動作、コイン型記憶媒体を排出路から返却する動作、または、ストッカに収納する動作を行うように構成されている。また、ローターを逆回転させることにより、ストッカに収納されているコイン型記憶媒体を取り出して、リーダーライタによって金銭情報を書き込み、排出口から発行する動作を行うように構成されている。
【特許文献1】特開2003−135829号公報
【特許文献2】特開2005−34279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載の処理機においては、ストッカが垂直に配置され、その下端の開口部がローターの真上に位置した構成となっている。ストッカに収納されているコイン型記憶媒体は自重によって落下してローターに受け渡されるようになっている。したがって、ストッカに収納されているコイン型記憶媒体の全重量が直接にローターに作用する。
【0005】
このために、収納枚数が多い場合にはローターに大きな荷重が作用し、その回転負荷が過大になってしまう。したがって、ローター駆動源としては大きな回転負荷に耐えることができるものを用いる必要がある。しかしながら、収納枚数が少ない場合には回転負荷が少なくて済むので、大型のローター駆動源を用いることは経済的でない。
【0006】
特に、遊技台用台間機に組み込む場合には、それが遊技台の間の狭いスペースに配置されるために、設置スペースに余裕がなく、したがって、コイン処理ユニットも小型でコンパクトであることが要求される。ローター駆動源が大型化すると設置スペースもその分大きくなるので好ましくない。
【0007】
次に、遊技台用台間機にコイン処理ユニットを用いる場合には、一般にカード型記憶媒体も併用されることが多い。このような場合には、コイン処理ユニットと共に、カード型記憶媒体に対する情報の読み書きを行うカード処理ユニット(カードリーダーライタ)も遊技台用台間機に組み込まれる。上記のように、遊技台用台間機の設置スペースには余裕が無いので、コイン処理ユニットおよびカード処理ユニットの設置スペースを可能な限り少なくすることが望ましい。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、コイン型記憶媒体を搬送するためのローターに作用するコイン型記憶媒体による負荷を低減し、遊技台用台間機に組み込むのに適したコイン処理ユニットを提案することにある。
【0009】
また、本発明の課題は、遊技台用台間機に組み込むのに適するように、コイン処理ユニットおよびカード処理ユニットを備えた処理装置の小型・コンパクト化を図ることにある。
【0010】
さらに、本発明の課題は、かかるコイン処理ユニットあるいは処理装置が組み込まれた遊技台用台間機を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明のコイン処理ユニットは、
コイン型記憶媒体が投入されるコイン入口通路と、
コイン型記憶媒体を排出するためのコイン出口通路と、
コイン型記憶媒体を下端開口部から受け入れて1枚ずつ直径方向に積み上げた状態に収納可能なコイン収納部と、
1枚のコイン型記憶媒体を外周側から受け入れ可能なポケットを少なくとも一つ備え、回転に伴って、当該ポケットが前記コイン入口通路に連通した第1回転位置、前記コイン出口通路に連通した第2回転位置、および前記コイン収納部の前記下端開口部に連通した第3回転位置を経由して移動するコイン搬送ローターとを有し、
前記コイン収納部は、少なくとも前記下端開口部に連通している下端部分が、コイン型記憶媒体を傾斜した方向に積み上げる傾斜収納通路部分となっており、
当該コイン収納部に収納されているコイン型記憶媒体は自重により前記下端開口部から前記第3回転位置の前記ポケットに移動可能となっていることを特徴としている。
【0012】
本発明では、コイン収納部の下端部分が傾斜収納通路部分となっており、コイン収納部に収納されているコイン型記憶媒体の全重量が直接にコイン搬送ローターに作用することがない。したがって、コイン収納部に収納されているコイン型記憶媒体の全重量がコイン搬送ローターに作用する場合に比べてコイン搬送ローターの負荷が軽減される。
【0013】
ここで、前記コイン収納部からコイン型記憶媒体を受け入れる前記第3回転位置が、前記コイン搬送ローターの回転中心より低い位置とされていることを特徴としている。かかる位置にコイン型記憶媒体を送り込むと、上方からコイン型記憶媒体を送り込む場合に比べて、コイン搬送ローターに作用する荷重が低減され、コイン搬送ローターの負荷を軽減できる。
【0014】
また、本発明の前記コイン収納部は、前記傾斜収納通路部分の上端に連続して、当該傾斜収納通路部分の傾斜方向とは逆方向に湾曲している湾曲収納通路部分と、当該湾曲収納通路部分の上端から上方に垂直に延びている垂直収納通路部分とを備えていることを特徴としている。
【0015】
コイン収納部を傾斜収納通路部分のみとすると、コイン収納部の横方向の所要スペースが増加してしまう。湾曲収納通路部分および垂直収納通路部分を設けることにより、コイン収納部の横方向の所要スペースの増加を抑制できる。
【0016】
次に、本発明は、コイン型記憶媒体およびカード型記憶媒体の処理装置に関するものであり、カード型記憶媒体に対する情報の読み書き処理を行うカード処理ユニットと、上記構成のコイン処理ユニットとを有し、前記カード処理ユニットのカード型記憶媒体に対する情報の読み書き位置と、前記コイン処理ユニットのコイン型記憶媒体に対する情報の読み書き位置とが隣接した位置とされており、これらの読み書き位置に隣接した位置に、カード型記憶媒体およびコイン型記憶媒体に対する情報の読み書きを行うために用いる共通の情報読み書きヘッドが配置されていることを特徴としている。
【0017】
この場合、前記コイン型記憶媒体が非接触型ICコインであり、前記カード型記憶媒体が非接触型ICカードの場合には、前記情報読み書きヘッドとして、情報読み書き用の無線アンテナが用いられる。
【0018】
コイン型記憶媒体およびカード型記憶媒体に対して、単一の情報読み書きヘッドを用いて情報の読み書きを行うようになっているので、それぞれの読み書きに専用のヘッドを用いる場合に比べて、装置の小型化、コンパクト化に有利である。
【0019】
特に、コイン型記憶媒体を用いてプリペイド方式により遊技媒体の貸し出し処理を行う遊技用台間機の場合には、十分な設置スペースを確保できない場合が多いので、本発明の処理装置を用いるのに適している。
【0020】
ここで、本発明の遊技台用台間機は、台間機ホルダと、当該台間機ホルダに対して前方から着脱可能に装着されている台間機本体と、前記台間機ホルダに対する前記台間機本体の着脱によって相互に着脱可能な前記台間機ホルダに取り付けた通信用のホルダ側コネクタおよび前記台間機本体に取り付けた通信用の本体側コネクタとを有し、前記ホルダ側コネクタは前記台間機ホルダに移動可能な状態で取り付けられ、当該ホルダ側コネクタが移動して前記本体側コネクタとの位置合わせが行われるようになっており、前記本体側コネクタは前記コイン処理ユニットの背面に取り付けられていることを特徴としている。
【0021】
この構成によれば、台間機本体を台間機ホルダに装着する操作によって、双方のコネクタが自動的に位置決めされて接続される。よって、台間機本体の取付作業が簡単になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のコイン処理ユニットでは、自重によりコイン型記憶媒体をコイン搬送ローターに供給するコイン収納部に傾斜収納通路部分を設け、コイン収納部に収納されているコイン型記憶媒体の全重量がコイン搬送ローターに作用しない形態で、コイン収納部からコイン搬送ローターにコイン型記憶媒体を送り込むようにしている。このため、コイン搬送ローターの負荷が軽減され、その駆動源として小型ものを用いることができるなど、処理ユニットの小型化、コンパクト化に有利である。
【0023】
また、かかるコイン処理ユニットとカード処理ユニットを備えた本発明の処理装置では、コイン型記憶媒体とカード型記憶媒体に対して共通の情報読み書きヘッドを用いて情報の読み書きを行うようにしている。それぞれに専用のヘッドを用いる場合に比べて処理装置の小型化、コンパクト化に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したコイン型記憶媒体およびカード型記憶媒体を取り扱う処理装置が内蔵されている遊技台用台間機の一例を説明する。
【0025】
(全体構成)
図1は遊技台用台間機の分解斜視図であり、本例の遊技台用台間機は、会員遊技者用のICカードと一般遊技者(ビジター)用のICコインを用いたプリペイド方式により遊技媒体の貸し出し処理を行うことができるものである。図2(a)は遊技台用台間機の側面図であり、図2(b)はA方向から見た場合の部分矢視図である。また、図3は、遊技台用台間機に搭載されている処理装置の六面図である。
【0026】
図1、2に示すように、遊技台用台間機1は、遊技店の遊技島に配列されている遊技台(図示せず)の間の縦長の狭い隙間に、前向きの垂直姿勢で遊技島枠(図示せず)に取り付けられる台間機ホルダ2と、この台間機ホルダ2に対して前方から着脱可能な状態で装着される台間機本体3とから構成されている。
【0027】
台間機本体3は、全体として縦長の扁平な直方体形状のシャーシ4を備えており、このシャーシ4には、その上側から紙幣識別機5、制御ボックス6および電源ボックス7がこの順序に取り付けられている。シャーシ4の前面には前面パネル8が取り付けられており、当該前面パネル8には上側から、多機能ランプ8a、紙幣入口8b、ICカードやICコインの残高などを表示するための表示部8c、会員が再プレイする際に暗証番号などを入力するために用いるテンキー8d、ICコインを投入するコイン投入口8e、ICコインを排出するコイン出口8fがこの順序で配置されており、コイン出口8fの隣接位置にはICカード挿入口8gが配置されている。
【0028】
制御ボックス6には、図1、3に示す処理装置10が組み込まれている。処理装置10は、ICコインの発行、返却、回収および情報のリードライトを行う扁平なコイン処理ユニット20と、このコイン処理ユニット20の側面に形成した水平な矩形の凹部21に組み付けられているICカードのリードライトを行うカード処理ユニット100とを備えている。図2から分かるように、コイン処理ユニット20の背面の上半部分には上下にガイド穴14a、14bが形成されており、これらの間には通信用の本体側コネクタ15が後ろ向きに配置されている。
【0029】
一方、台間機ホルダ2は、図1、2に示すように、縦枠2aと、その上下の端から直角に折れ曲がって前方に延びている上下のガイド板2b、2cとを備えている。縦枠2aには外部通信用の中継基板16が取り付けられている。中継基板16には上下一対のガイドピン17a、17bが前方に突出しており、これらの間には通信用のホルダ側コネクタ18が前向きに取り付けられている。本例では、取付板19によって、中継基板16が上下方向に僅かにスライド可能な状態で、縦枠2aに取り付けられている。
【0030】
台間機ホルダ2の上下のガイド板2b、2cの間に台間機本体3を位置決めして、これらのガイド板2b、2cに沿って台間機本体3を押し込むと、先細り形状のガイドピン17a、17bの先端部がガイド穴14a、14bに差し込まれ、この後は、台間機本体3の差込動作によって、本体側コネクタ15がホルダ側コネクタ18に自動的に位置決めされる。本例では、中継基板16の側が上下にスライド可能であるので、中継基板16に搭載されているホルダ側コネクタ18が上下にスライドして、双方が自動的に位置決めされる。よって、台間機本体3を台間機ホルダ2に差し込むと、本体側コネクタ15がホルダ側コネクタ18に差し込まれて接続された状態が自動的に形成される。
【0031】
(コイン処理ユニット)
図4はコイン処理ユニット20の内部構造を示す説明図であり、以下に、図3および図4を参照してコイン処理ユニット20の構成を説明する。コイン処理ユニット20は、扁平なユニットケース23を備えており、その前面23aには、遊技台用台間機1の前面パネル8のコイン投入口8eおよびコイン出口8fにそれぞれ連通するコイン入口24およびコイン出口25が形成されている。ユニットケース側面にはカード処理ユニット50を組み付けるための凹部21が形成されており、ここに、カード処理ユニット50が装着されている。
【0032】
ユニットケース23の内部には、コイン入口24から投入されたICコインCを案内するためのコイン入口通路26が形成されている。コイン入口通路26は1枚のICコインが立った状態で通過可能な大きさのものであり、コイン入口24から後方に向かって僅かに下方に傾斜している部分と、この先から下方に湾曲して大きく傾斜している部分とを備え、ICコインが自重によってその通路底面26aに沿って滑落可能となっている。
【0033】
コイン入口通路26の下端開口部26bは下方に向いており、この真下には、コイン搬送ローター27が支軸28を中心として回転自在の状態で配置されている。コイン搬送ローター27は、円形のローター表面に120度間隔で3枚の腕27aが放射状に形成されており、これらの腕27aの厚さはICコインとほぼ同一厚さであり、各腕27aの間に、1枚のICコインを受け入れ可能なポケット27(1)、27(2)、27(3)が形成されている。
【0034】
コイン入口通路26の通路底面26aの下端に連続して、支軸28を中心とする円弧状のコインガイド用内周面29が形成されている。ポケット27(1)〜27(3)に受け入れられたICコインは、コイン搬送ローター27が回転すると、ポケット27(1)〜27(3)に入った状態で当該コインガイド用内周面29に沿って搬送される。
【0035】
次に、コイン出口25にはコイン出口通路30が連通しており、このコイン出口通路30はコイン出口25に向けて下方に傾斜した通路であり、ICコインが自重によって滑落してコイン出口25から排出可能となっている。このコイン出口通路30はコインガイド用内周面29に形成した開口部30aに連通している。この開口部30aは、コイン入口通路26の下端開口部26bの直下の位置(第1回転位置A)からポケット27(1)〜27(3)が60度回転した位置(第2回転位置B)に形成されている。
【0036】
一方、コイン搬送ローター27の後側にはコイン収納部31が配置されている。コイン収納部31は、ICコイン1枚分を通すことのできる通路から形成されており、ICコインを立てた状態で下端開口部31aから送り込むようになっている。本例のコイン収納部31は最大で9枚のICコインを収納可能であり、上下方向に直線状に延びる垂直収納通路部分31bと、この下側に連続して後方に湾曲して再び前方に戻る湾曲収納通路部分31cと、この下側に連続して下端開口部31aに至る傾斜収納通路部分31dとを備えている。傾斜収納通路部分31dにおける傾斜角度θは、ここに収納されるICコインが自重によって下端開口部31aまで滑落可能な角度に設定されている。通常は10度〜30度の範囲内とすればよい。本例では、この角度θがほぼ20度とされている。
【0037】
ここで、コイン収納部31の下端開口部31aは、コイン入口通路26の下端開口部26bの直下の位置(第1回転位置A)からポケット27(1)〜27(3)が240度回転した位置(第3回転位置C)に対峙する位置に開口している。この位置においては、コイン収納部31の湾曲収納通路部分31cを規定している下側の端面31eがそのまま直線状に延びてコインガイド用内周面29に連続している。
【0038】
このように、本例のコイン処理ユニット20のコイン収納部31は、湾曲収納通路部分31cおよび傾斜収納通路部分31dを備えており、傾斜収納通路部分31dからコイン搬送ローター27の第3回転位置Cに位置しているポケット27(1)〜27(3)にICコインをその自重によって送り込むようになっている。すなわち、ICコインは、コイン搬送ローター27の上側からではなく、その回転中心(支軸28)よりも低い横方から、傾斜路に沿って送り込まれる。したがって、コイン収納部31に収納されているICコインの全荷重がコイン搬送ローター27に作用することがなく、コイン搬送ローター27の負荷を大幅に軽減できる。
【0039】
次に、コイン入口24に連通しているコイン入口通路26の部位にはコイン入口シャッタ32が配置されている。コイン入口シャッタ32はICコインおよびICカードが投入されていない状態ではコイン入口通路26から退避しているが、これらが投入されるとコイン入口通路26内に突出して当該通路を遮断し、コイン入口24からICコインの投入ができないようにするためのものである。このコイン入口シャッタ32はソレノイド33によって駆動される。
【0040】
コイン出口25に連通しているコイン出口通路30にも、ここを開閉するためのコイン出口シャッタ34が配置されている。コイン出口シャッタ34がコイン出口通路30を遮断した状態においては、コインガイド用内周面29の一部が当該シャッタによって形成された状態になる。
【0041】
コイン出口通路30の開口部30aの下端近傍には、ポケット27(1)〜27(3)からコイン出口通路30にICコインを導くためのコイン出口補助通路片35が配置されている。このコイン出口補助通路片35は、コイン出口シャッタ34がコイン出口通路30内に突出して当該通路を遮断すると、コイン出口通路30から退避し、コイン出口シャッタ34がコイン出口通路30を開放すると、コイン出口通路30内に突出してICコインをコイン出口通路側に案内する。これらコイン出口シャッタ34およびコイン出口補助通路片35は、共通のソレノイド36によって駆動される。これらの詳細構造については図5を参照して後述する。
【0042】
次に、コイン搬送ローター27は、そこに同心状に取り付けたメインギヤ37、このメインギヤ37に噛み合っているウォームホイール38、このウォームホイール38に噛み合っているウォーム39および当該ウォーム39が出力軸に固着されている駆動モータ40を備えた駆動機構によって駆動される。メインギヤ37の回転位置はメインギヤセンサ41によって検出され、これに基づき、コイン搬送ローター27の回転位置、すなわち、各ポケット27(1)〜27(3)の回転位置が制御される。
【0043】
ここで、本例のコイン処理ユニット20では、次のように、ICコインを検知するためのコインセンサが配置されている。まず、コイン入口通路26におけるコイン入口24の近傍位置にコイン入口センサ42が取り付けられており、コイン入口センサ42によって投入ICコインが検出される。コイン出口通路30におけるコイン出口25の近傍位置にはコイン出口センサ43が配置されており、これにより排出されるICコインが検出される。また、コイン搬送ローター27の各ポケット27(1)〜27(3)の第1回転位置Aには、コイン検知センサ44が配置されている。このコイン検知センサ44によって、第1回転位置Aに位置しているポケットにICコインが受け入れられているか否かが検出される。
【0044】
さらに、コイン収納部31には2箇所にコイン収納センサ45、46が配置されている。コイン収納センサ45はコイン収納部31の下端開口部31aの近傍に配置されており、当該コイン収納部31の最も下の位置に収納されているICコインを検出するためのものである。コイン収納センサ46は、湾曲収納通路部分31cの上端側に配置されており、コイン収納部31に収納されている下から4枚目のICコインを検出するためのものである。
【0045】
一方、ポケット27(1)〜27(3)の第1回転位置Aは、ICコインの記憶情報の読取および当該ICコインに情報の書き込みを行う読み書き位置である。当該第1回転位置Aの近傍位置には図において点線で示すように、情報読み書き用のアンテナ47が配置されている。先に述べたように、コイン処理ユニット20の側面に形成された凹部21にはカード処理ユニット100が組みつけられており、アンテナ47は当該カード処理ユニット100におけるICカードの読み書き用のアンテナに兼用されている。
【0046】
このように、コイン処理ユニット20およびカード処理ユニット100が情報読み書き用のアンテナ47を共用しているので、各ユニットに専用のアンテナを配置する場合に比べて、これらのコイン処理ユニット20およびカード処理ユニット100から構成される処理装置10の小型化およびコンパクト化、ならびにコストの低減化に有利である。
【0047】
ここで、本例のコイン処理ユニット20のユニットケース23には、図3に示すように、コインジャム解除カバー22が着脱可能な状態で取り付けられている。このコインジャム解除カバー22を取り外すと、コイン搬送ローター27の各ポケット27(1)〜27(3)の移動経路が開放状態になる。したがって、コイン処理ユニット20内においてコイン詰まりなどが生じた場合に、このカバー22を取り外して、正常状態に復帰させることができる。
【0048】
(コイン出口シャッタおよびコイン出口補助通路片の駆動機構)
図5はコイン出口シャッタ34およびコイン出口補助通路片35の駆動機構を示す説明図である。図5(a)〜(f)はコイン出口シャッタ34によってコイン出口通路30が遮断されている状態を示し、図5(g)〜(l)はコイン出口通路30が開放状態を示してある。コイン出口シャッタ34は、コイン出口通路30に進退可能な進退レバー51に取り付けられている。進退レバー51の上下の端部には、傾斜ガイド溝51a、51bが形成されており、ここには、上下に移動可能な連結レバー52の上下の端部に取り付けたガイドピン52a、52bがスライド可能な状態で差し込まれている。連結レバー52の下端はソレノイド36の伸縮ロッドに連結されている。
【0049】
コイン出口補助通路片35は、支軸53を中心として旋回可能な旋回レバー54の先端に形成されており、支軸53を中心として旋回することにより、コイン出口通路30に対して進退可能である。旋回レバー54は連結レバー52に連結されており、当該連結レバー52が下降すると、支軸53を中心として、コイン出口補助通路片35をコイン出口通路30内に突出させる方向に旋回し、連結レバー52が上昇すると、コイン出口通路30から退避させる方向に旋回するようになっている。
【0050】
図5(a)〜(f)に示すコイン出口通路30を遮断した状態においては、ソレノイド36の伸縮ロッドが突出した位置にあり、そこに連結されている連結レバー52は上昇位置にある。この状態では、進退レバー51に取り付けられているコイン出口シャッタ34はコイン出口通路30に突出して当該通路を遮断した状態となっている。これに対して、コイン出口補助通路片35は起立した状態にあり、コイン出口通路30から退避した状態にある。この状態では、コイン搬送ローター27のポケット27(1)〜27(3)によってICコインを第1回転位置Aから第2回転位置Bを経由して第3回転位置Cに搬送することが可能である。
【0051】
ソレノイド36を駆動してその伸縮ロッドを引き込み位置まで引き込むと、図5(g)〜(l)の状態に切り換わる。ソレノイド36の伸縮ロッドを引き込むと、これに連結されている連結レバー52が下降する。この結果、進退レバー51が横方向に移動し、そこに取り付けられているコイン出口シャッタ34がコイン出口通路30から退避する。一方、連結レバー52が下降すると、これに連結されている旋回レバー54が支軸53を中心として旋回して、その先端に形成されているコイン出口補助通路片35がコイン出口通路30に突出した状態になる。
【0052】
この状態では、コイン出口通路30が開放され、コイン出口補助通路片35によってポケット27(1)〜27(3)に収納されているICコインが第3回転位置の側に移動することが確実に阻止される。よって、コイン搬送ローター27が回転して、ICコインが収納されているポケット27(1)〜27(3)が第1回転位置Aから第2回転位置Bに到ると、コイン出口通路30の側に自重によって転がり出て、コイン出口25から外部に排出される。
【0053】
(駆動制御系)
図6は、本例の遊技台用台間機1の駆動制御系を示す概略ブロック図である。駆動制御系は、制御ボックス6に搭載されているメイン制御部61を備え、ここに記憶保持されている制御プログラムを実行することにより遊技媒体の貸し出し処理などの各種の制御を行う。メイン制御部61にはメモリ62が接続されていると共に、インタフェース63を介して、多機能ランプ8a、表示部8c、テンキー8d、紙幣識別機5などに接続されている。また、メイン制御部61にはユニット駆動制御部64が接続されている。ユニット駆動制御部64は、コイン処理ユニット20およびカード処理ユニット100を備えた処理装置10を駆動制御するものであり、インタフェース65を介して、各センサ41〜46、ソレノイド33、36、駆動モータ40などに接続されている。また、メイン制御部61は、コネクタ15、18を介して中継基板16に接続されており、中継基板16は通信回線を介して、隣接する遊技台の制御部66、管理コンピュータ67などに接続されている。
【0054】
メイン制御部61の制御の下で、ユニット駆動制御部64は入力指令、センサ入力などに基づき、コイン処理ユニット20およびカード処理ユニット100の各部を駆動制御して、ICコインの発行、返却、回収、情報の読み書きなどの処理動作と、ICカードの情報の読み書きなどの処理動作を行う。図7には、ユニット駆動制御部64の制御の下に行われるコイン処理ユニット20の概略動作を示してあり、図8〜図11にはユニット駆動制御部64の制御の下に実現されるコイン処理ユニット20に収納されているICコイン枚数の検出機能を示してある。
【0055】
(コイン処理ユニットの概略動作)
図7を参照してコイン処理ユニット20の処理動作の概要を説明する。状態S1は一般的なコイン処理ユニット20の状態を示してあり、コイン収納部31に複数枚のICコインC1〜C4が収納されており、コイン搬送ローター27は、ポケット27(1)が第1回転位置Aに位置してICコインを受け入れ可能であり、ポケット27(2)、27(3)にはICコインC5、C6が収納されており、ポケット27(3)はコイン収納部31の下端開口部31aに連通した第3回転位置Cに位置している。
【0056】
この状態においてコイン入口24からICコインCaが投入されると、投入されたICコインCaはコイン入口通路26を自重によって滑落して、コイン搬送ローター27のポケット27(1)に受け入れられる。ICコインCaの投入がコイン入口センサ42によって検出されると、コイン入口シャッタ32が閉じる。ポケット27(1)に入ったICコインCaはその隣接位置に配置されているアンテナ47によって記憶情報が読み出される。プリペイド残高がある場合には遊技媒体の貸し出しが可能であり、貸し出し指令を受けると遊技台用台間機1によって遊技媒体の貸し出し処理が行われる。遊技媒体の貸し出し処理を行った後はプリペイド残高から貸し出し料を減算し、減算後の残高をICコインCaに書き込む。
【0057】
遊技終了後などにICコインCaの返却指令が入力されると、プリペイド残高を確認し、残高が零の場合には、状態S2に示すように、ICコインCaを返却することなく、内部に回収する。すなわち、コイン搬送ローター27を正方向(図7における時計回り)に120度回転させ、ICコインCaが収納されているポケット27(1)を第1回転位置Aから120度回転した位置に移動する。この回転により、ポケット27(3)に収納されていたICコインC5がコイン収納部31に下側から送り込まれて、ポケット27(3)は空の状態になる。
【0058】
ICコインCaの残高が零でない場合には、返却指令が入力されると、状態S3に示すように、ICコインCaをコイン出口25から返却する返却動作が行われる。この返却動作では、コイン出口シャッタ34が開き、コイン出口補助通路片35がコイン出口通路30に突出状態とされ、コイン搬送ローター27を正方向に60度回転させ、ポケット27(1)をコイン出口通路30に連通した位置とする。この結果、ポケット27(1)からICコインCaが自重により転がり出て、コイン出口補助通路片35に案内されて、コイン出口通路30を通って、コイン出口25から返却される。
【0059】
次に、状態S4において、紙幣が投入され、紙幣識別機によって入金額が検出されると、コイン搬送ローター27を120度だけ逆回転させて、ポケット27(2)を第1回転位置Aまで戻し、S5の状態とする。この状態において、ポケット27(2)に入っているICコインC7に対して、アンテナ47を用いて、入金金額の書き込みを行う。この後に、ICコインの返却指令が入力されると、状態S3に移行して、ICコインC7の発行動作を行う。
【0060】
なお、図7における状態S6はICコインの満杯状態を示し、本例では9枚のICコインC1〜C9がコイン処理ユニット20内に収納可能である。また、図7の状態S7はICコイン無しの状態を示してある。
【0061】
(ICコインの収納枚数の検出動作)
次に、図8〜図11を参照して、本例のコイン処理ユニット20におけるICコインの収納枚数の検出動作を説明する。先に述べたように、コイン収納部31には2箇所にコイン収納センサ45、46が配置されており、コイン収納センサ45はコイン収納部31に収納されている最も下のICコインを検出可能であり、コイン収納センサ46は下から4枚目のICコインを検出可能である。収納枚数の検出動作は、コイン搬送ローター27を最大で360度逆回転させて、ICコインをコイン入口通路26に戻す戻し動作を行い、当該戻し動作時におけるコイン収納センサ45、46の出力に基づき、収納枚数を検出する。
【0062】
まず、図8を参照して、9枚のICコインC1〜C9が収納されている場合の検出動作を説明する。この場合には、図8(a)の状態からコイン搬送ローター27を逆向きに、360度回転させ、3枚のICコインC9、C8、C7をコイン入口通路26に戻した後においても、2箇所のコイン収納センサ45、46は双方ともにICコイン有りの検出出力(ON)のままである。これにより、収納枚数が9枚であると分かる。
【0063】
次に、8枚のICコインC1〜C8が収納されている場合には、図9(a)、(b)に示すように、3枚のICコインC8、C7およびC6の戻し動作を行った後において、下側のコイン収納センサ45はICコイン有りのON状態であるが、上側のコイン収納センサ46はICコイン無しのOFFに切り換わる。これらの出力状態から収納枚数が8枚であると分かる。
【0064】
収納枚数が7枚の場合には、図9(c)、(d)に示すように、2枚目のICコインC6の戻し動作を行った後、すなわち、コイン搬送ローター27を240度逆回転させた後の時点で、上側のコイン収納センサ46がOFFに切り換わる。また、収納枚数が6枚の場合には、図9(e)、(f)に示すように、1枚のICコインC6の戻し動作を行った後、すなわち、コイン搬送ローター26を120度逆回転させた後の時点で、上側のコイン収納センサ46がOFFに切り換わる。
【0065】
このように、収納枚数が8〜6枚の場合には、下側のコイン収納センサ45はON状態のままであり、上側のコイン収納センサ46がOFFに切り換わる時点に基づき、収納枚数を検出できる。
【0066】
次に、収納枚数が5枚〜3枚の場合には、図10に示すように、上側のコイン収納センサ46の出力はOFFのままであり、下側のコイン収納センサ45の出力がOFFに切り換わる時点に基づき、収納枚数を検出できる。すなわち、収納枚数が5枚の場合には、図10(a)、(b)に示すように、3枚のICコインC5、C4、C3の戻し動作を行うと(360度回転させると)コイン収納センサ45がOFFに切り換わる。収納枚数が4枚の場合には、図10(c)、(d)に示すように、2枚のICコインC4、C3の戻し動作を行うと(240度回転させると)コイン収納センサ45がOFFに切り換わる。収納枚数が3枚の場合には、図10(e)、(f)に示すように、1枚のICコインC3の戻し動作を行うと(120度回転させると)コイン収納センサ45がOFFに切り換わる。
【0067】
これに対して、収納枚数が2枚および1枚の場合には、コイン収納センサ45、46はいずれもOFFのままである。この場合には、アンテナ47を用いて、収納枚数が2枚であるか1枚であるかを判別できる。すなわち、図11(a)、(b)に示すように、収納枚数が2枚の場合には、2枚のICコインC2、C1の戻し動作を行い(240度逆回転させ)、アンテナ47によってICコインのIDの読み取りを行う。この場合には異なるIDが読み込まれるので、2枚のICコインC2、1があると分かる。これに対して図11(c)、(d)の場合には、1枚のICコインC1しかないので、240度逆回転させたとしても、一つのIDが読み込まれるのみである。これにより収納枚数が1枚であると分かる。
【0068】
本例のコイン処理ユニット20では、外部からの指令などに基づき、このような収納枚数の検出動作が起動されるようになっている。例えば、コイン詰まりが発生して、コインジャム解除カバー22(図3参照)を取り外して、その回復作業を行った際などに収納されているICコインを取り出した場合には、コイン入口センサ42、コイン出口センサ43によってカウントされているICコインの収納枚数と、実際に収納されているICコインの枚数が異なってしまう。コイン詰まりの回復作業の終了後に、収納枚数の検出動作を起動すれば、実際に収納されているICコイン枚数が検出される。検出された収納枚数となるように、メモリなどの記憶保持されている収納枚数を更新すればよい。この結果、ICコイン無しなどの表示などを正確に行うことが可能になる。
【0069】
(カード処理ユニット)
次に、図12はカード処理ユニット100を示す縦断面図、横断面図および、コイン処理ユニット20のユニットケース凹部21に重ねられている側面を示す側面図である。カード処理ユニット100は扁平なケース101を備え、この内部に各構成部が組み付けられている。ケース101の前面103には、カード挿入口104が形成されており、このカード挿入口104は遊技台用台間機1の前面パネル8に形成されているカード挿入口に連通している。
【0070】
ケース101の内部には、カード挿入口104から挿入されるICカード110を受け入れ可能なカードホルダ120が配置されている。このカードホルダ120は、ケース101内を前後方向にスライド可能である。すなわち、カードホルダ120は、ICカード110を受け入れる本体板部分121と、この本体板部分121の後端に形成された直角に折れ曲がっているカード係合用の端板部分122と、本体板部分121の上端の前後に形成されたスライド突起123および124と、本体部分121の下端に形成したスライド突起125を備えている。ケース101には、スライド突起123、124をガイドするスライド溝105、106および107が形成されている。
【0071】
カードホルダ120とケース101の間には、前後方向に水平に延びる引張りコイルばね126が架け渡されている。カード挿入口104からICカード110を挿入すると、引張りコイルばね126を伸長させながらカードホルダ120を後方に押し込むことができる。
【0072】
カードホルダ120の後方には、カードホルダ120をケース後端側の位置にロックするためのホルダロック機構130が組み込まれている。ホルダロック機構130は、後端部を中心として上下方向に旋回可能なホルダロックアーム131と、このホルダロックアーム131を上下に旋回させるためのソレノイド132と、カードホルダ120の側に形成されたアーム係合爪127を備えている。
【0073】
ホルダロックアーム131はソレノイド132の復帰ばね力によって、アーム係合爪127の上端面127aに押し付けられた状態にある。カードホルダ120が後方に押し込まれると、ホルダロックアーム131の先端のフック131aがアーム係合爪127の上端面127aから前側に落ち込み、当該アーム係合爪127に前方から係合した状態になり、カードホルダ120の前方への移動が阻止されたロック状態になる。ソレノイド132を励磁すると、ホルダロックアーム131が上方に旋回して、ロック状態が解除される。この結果、カードホルダ120は引張りコイルばね126のばね力によって前方位置に復帰する。
【0074】
カード挿入口104の下端の側方位置にはシャッタ140が配置されている。シャッタ140は、ケース101に垂直に取り付けた支軸141を中心として左右に旋回可能な状態で支持されている。シャッタ140の前端部分はカード挿入口104の側に湾曲している遮蔽爪142となっており、支軸141の後側の部位にはスライドピン143が形成されている。
【0075】
このスライドピン143がスライド可能な状態で差し込まれているスライド溝144が、カードホルダ120の側に形成されている。スライド溝144は、全体として前後方向に延びているが、その前端側の部分がカード挿入口104から離れる方向に折れ曲がっている。カードホルダ120が後方位置の近傍まで押し込まれる間は、シャッタ140のスライドピン143がスライド溝144の前後方向に延びる溝部分をスライドする。
【0076】
しかるに、カードホルダ120が後方位置の近傍から後方位置に至る間においては、スライドピン143がスライド溝144の折れ曲がっている前端部分をスライドする。この結果、シャッタ140の後端部分がカード挿入口104から離れる方向に移動させられるので、シャッタ140は支軸141を中心として、その前端側の遮蔽爪142が内側に旋回して、カード挿入口104が封鎖された状態になり、カードの挿入ができなくなる。
【0077】
一方、カードホルダ120の上端部分は、前後のスライド突起123、124の間が開放状態となっており、この部分には、カードストッパ150が配置されている。カードストッパ150は上下方向にスライド可能な状態でケース101に取り付けられており、ケース101と当該カードストッパ150の間に上下方向に架け渡した引張りコイルばね151によって常に下方に付勢されている。本例では、ケース101に前後一対の傾斜ガイド溝108、109が形成され、カードストッパ150の前後の部位に形成されたスライドピン152、153がこれらの傾斜ガイド溝108、109に沿ってスライド可能な状態で差し込まれている。
【0078】
カードストッパ150は、水平なカード押し付け面154を備え、このカード押し付け面154の前端からは前方に向けて上方に傾斜した傾斜ガイド面155が連続している。この傾斜ガイド面155にカード挿入口104から挿入されたICカード110の上端角部が当たるようになっている。挿入されたICカード110によってカードストッパ150が押し上げられると、そのカード押し付け面154がICカード110の上側の側面に押し付けられた状態が形成される。これにより、挿入されたICカード110がガタ付きなく固定された状態が形成される。
【0079】
なお、ホルダロックアーム131の近傍位置にはロック状態になったことを検出するためのロックセンサ133が配置されている。カードストッパ150の近傍にはICカードが挿入されている否かを検出するためのカードセンサ156が配置されている。
【0080】
次に、図13ないし図16を参照して、このように構成した本例のカード処理ユニット100におけるカード挿入時の各部の動作をカード挿入動作にしたがって説明する。まず、図13に示すように、カード挿入口104にICカード110を挿入していくと、ICカード110の挿入側の先端上側の角がカードストッパ150の傾斜ガイド面155に当たる。この後は、カードストッパ150を押し上げながらICカード110が挿入される。
【0081】
カードストッパ150が押し上げられ、そのカード押し付け面154によってICカード110の上側の側面が押し付けられた状態が形成され、更にICカード110を挿入すると、図14に示すように、ICカード110の前端がカードホルダ120の端板部分122に当たる。図14において斜線で示す部分がカードホルダ120である。この後は、ICカード110を押し込むと、当該ICカード110がカードホルダ120と共に後方に押し込まれる。
【0082】
ICカード110と共にカードホルダ120が後方に押し込まれて、その後端位置の近傍に至ると、図15に示す状態になる。すなわち、ホルダロックアーム131がカードホルダ120の係合爪127に前側から係合する状態になる。また、カード挿入口104の側では、シャッタ140の旋回が始まり、その先端の遮蔽爪142がカード挿入口104の側に移動し始める。
【0083】
ICカード110を完全に押し込むと、図16に示すように、ホルダロックアーム131がカードホルダ120の係合爪127に前側から係合して、カードホルダ120のロック状態が形成され、ICカード110は挿入された位置に保持される。この状態では、ICカード110はカードストッパ150によって押し付けられているのでガタ付きなく定まった位置に保持される。また、シャッタ140が旋回して、カード挿入口104を遮蔽する。よって、ICカード110が挿入されている状態で別のカードがカード挿入口104から押し込まれるという弊害を防止できる。
【0084】
このようにしてICカード110が挿入された状態で、兼用アンテナ47(図4参照)を用いてICカード110に埋め込まれている非接触型ICチップに対する記憶情報の読み出し、および情報の書き込みが行われる。カード返却指令があると、ソレノイド132が励磁され、ホルダロックアーム131が上方に押し上げられ、カードホルダ120のロックが解除される。すると、引張りコイルばね126のばね力によって、ICカード110が保持されているカードホルダ120が前方位置まで押し出される。また、カードホルダ120の移動によって、シャッタ140が開くので、カードホルダ120に保持されているICカード110の返却動作に支障を来たすことがない。このように、カード挿入時とは逆の動作が行われて、すなわち、図16から図15、図14の状態を経て、図13に示す状態に戻り、ICカード110の後端部がカード挿入口104から突出した状態に戻る。
【0085】
本例のカード処理ユニット100では、カードストッパ150が上下方向に平行移動し、その水平なカード押し付け面154によってICカード110を押し付けるようになっている。したがって、挿入されたICカード110をガタ付きなく固定することができる。
【0086】
また、本例では、カードホルダ120に前端部分が折れ曲がったスライド溝144を形成し、ここにシャッタ140のスライドピン143を差し込み、カードホルダ120のスライドを利用してシャッタ140を移動させて、カード挿入口104を開閉できるようにしている。したがって、複数のリンク部材を用いてシャッタ140の開閉機構を構成する必要がなく、小型でコンパクトにシャッタ駆動機構を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明を適用した遊技台用台間機の分解斜視図である。
【図2】図1の遊技台用台間機の側面図、およびその矢印Aの方向から見た部分矢視図である。
【図3】図1の遊技台用台間機に組み込まれている処理装置を示す側面図、平面図、底面図、裏面図、正面図および側面図である。
【図4】図1の遊技台用台間機に組み込まれているコイン処理ユニットの内部構造を示す説明図である。
【図5】図4のコイン処理ユニットにおけるコイン出口シャッタおよびコイン出口補助通路片の駆動機構を示す説明図である。
【図6】図1の遊技台用台間機の駆動制御系を示す概略ブロック図である。
【図7】図4のコイン処理ユニットの主要動作を示す説明図である。
【図8】図4のコイン処理ユニットの収納枚数(9枚)の検出動作の説明図である。
【図9】図4のコイン処理ユニットの収納枚数(8〜6枚)の検出動作の説明図である。
【図10】図4のコイン処理ユニットの収納枚数(5〜3枚)の検出動作の説明図である。
【図11】図4のコイン処理ユニットの収納枚数(2、1枚)の検出動作の説明図である。
【図12】図1の遊技台用台間機に組み込まれているカード処理ユニットを示す縦断面図、横断面図および側面図である。
【図13】図12のカード処理ユニットの動作説明図である。
【図14】図12のカード処理ユニットの動作説明図である。
【図15】図12のカード処理ユニットの動作説明図である。
【図16】図12のカード処理ユニットの動作説明図である。
【符号の説明】
【0088】
1 遊技台用台間機
2 台間機ホルダ
3 台間機本体
6 制御ボックス
10 処理装置
14a、14b ガイド穴
15 本体側コネクタ
16 中継基板
17a、17b ガイドピン
18 ホルダ側コネクタ
19 取付板
20 コイン処理ユニット
21 凹部
22 コインジャム解除カバー
23 ケース
24 コイン入口
25 コイン出口
26 コイン入口通路
26b 下端開口部
27 コイン搬送ローター
27(1)〜27(3) ポケット
27a 腕
A 第1回転位置
B 第2回転位置
C 第3回転位置
29 コインガイド用内周面
30 コイン出口通路
31 コイン収納部
31a 下端開口部
31b 直線収納通路部分
31c 湾曲収納通路部分
32 コイン入口シャッタ
34 コイン出口シャッタ
35 コイン出口補助通路片
36 ソレノイド
45、46 コイン収納センサ
47 アンテナ
51 進退レバー
52 連結レバー
54 旋回レバー
61 メイン制御部
62 メモリ
63、65 インタフェース
64 ユニット駆動制御部
C1〜C9、Ca ICコイン
100 カード処理ユニット
101 ケース
104 カード挿入口
105、106、107 スライド溝
108、109 傾斜ガイド溝
110 ICカード
120 カードホルダ
121 本体板部分
122 端板部分
123、124、125 スライド突起
126 引張りコイルばね
127 係合爪
130 ホルダロック機構
131 ホルダロックアーム
132 ソレノイド
140 シャッタ
141 支軸
142 遮蔽爪
143 スライドピン
144 スライド溝
150 カードストッパ
151 引張りコイルばね
152、153 スライドピン
154 カード押し付け面
155 傾斜ガイド面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイン型記憶媒体が投入されるコイン入口通路と、
コイン型記憶媒体を排出するためのコイン出口通路と、
コイン型記憶媒体を下端開口部から受け入れて1枚ずつ直径方向に積み上げた状態に収納可能なコイン収納部と、
1枚のコイン型記憶媒体を外周側から受け入れ可能なポケットを少なくとも一つ備え、回転に伴って、当該ポケットが前記コイン入口通路に連通した第1回転位置、前記コイン出口通路に連通した第2回転位置、および前記コイン収納部の前記下端開口部に連通した第3回転位置を経由して移動するコイン搬送ローターとを有し、
前記コイン収納部は、少なくとも前記下端開口部に連通している下端部分が、コイン型記憶媒体を傾斜した方向に積み上げる傾斜収納通路部分となっており、
当該コイン収納部に収納されているコイン型記憶媒体は自重により前記下端開口部から前記第3回転位置の前記ポケットに移動可能となっていることを特徴とするコイン処理ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記コイン収納部からコイン型記憶媒体を受け入れる前記第3回転位置は前記コイン搬送ローターの回転中心よりも低い位置とされていることを特徴とするコイン処理ユニット。
【請求項3】
請求項2において、
前記コイン収納部は、前記傾斜収納通路部分の上端に連続して、当該傾斜収納通路部分の傾斜方向とは逆方向に湾曲している湾曲収納通路部分と、当該湾曲収納通路部分の上端から上方に垂直に延びている垂直収納通路部分とを備えていることを特徴とするコイン処理ユニット。
【請求項4】
カード型記憶媒体に対する情報の読み書き処理を行うカード処理ユニットと、
コイン型記憶媒体の発行、返却、回収、および情報の読み書き処理を行うコイン処理ユニットとを有し、
前記カード処理ユニットのカード型記憶媒体に対する情報の読み書き位置と、前記コイン処理ユニットのコイン型記憶媒体に対する情報の読み書き位置とが隣接した位置とされており、
これらの読み書き位置に隣接した位置に、カード型記憶媒体およびコイン型記憶媒体に対する情報の読み書きを行うために用いる共通の情報読み書きヘッドが配置されており、
前記コイン処理ユニットは請求項1ないし3のうちのいずれかの項に記載のものであることを特徴とするコイン型記憶媒体およびカード型記憶媒体の処理装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記コイン型記憶媒体は非接触型ICコインであり、
前記カード型記憶媒体は非接触型ICカードであり、
前記情報読み書きヘッドは情報読み書き用の無線アンテナであることを特徴とするコイン型記憶媒体およびカード型記憶媒体の処理装置。
【請求項6】
コイン型記憶媒体を用いてプリペイド方式により遊技媒体の貸し出し処理を行う遊技用台間機であって、
請求項1ないし3のうちのいずれかの項に記載のコイン処理ユニットを有していることを特徴とする遊技台用台間機。
【請求項7】
請求項6において、
台間機ホルダと、
当該台間機ホルダに対して前方から着脱可能に装着されている台間機本体と、
前記台間機ホルダに対する前記台間機本体の着脱によって相互に着脱可能な前記台間機ホルダに取り付けた通信用のホルダ側コネクタおよび前記台間機本体に取り付けた通信用の本体側コネクタとを有し、
前記ホルダ側コネクタは前記台間機ホルダに移動可能な状態で取り付けられ、当該ホルダ側コネクタが移動して前記本体側コネクタとの位置合わせが行われるようになっており、
前記本体側コネクタは前記コイン処理ユニットの背面に取り付けられていることを特徴とする遊技台用台間機。
【請求項8】
コイン型記憶媒体およびカード型記憶媒体を用いてプリペイド方式により遊技媒体の貸し出し処理を行う遊技用台間機であって、
請求項4または5に記載の処理装置を有していることを特徴とする遊技台用台間機。
【請求項9】
請求項8において、
台間機ホルダと、
当該台間機ホルダに対して前方から着脱可能に装着されている台間機本体と、
前記台間機ホルダに対する前記台間機本体の着脱によって相互に着脱可能な前記台間機ホルダに取り付けた通信用のホルダ側コネクタおよび前記台間機本体に取り付けた通信用の本体側コネクタとを有し、
前記ホルダ側コネクタは前記台間機ホルダに移動可能な状態で取り付けられ、当該ホルダ側コネクタが移動して前記本体側コネクタとの位置合わせが行われるようになっており、
前記本体側コネクタは前記処理装置の背面に取り付けられていることを特徴とする遊技台用台間機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−80100(P2007−80100A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−269182(P2005−269182)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000128946)マミヤ・オーピー株式会社 (122)
【Fターム(参考)】