説明

コネクタ付きケーブル

【課題】簡易な構成でインバータ装置の小型化を可能にすることができるコネクタ付きケーブルを提供する。
【解決手段】 本発明のコネクタ付きパワーケーブル1は、インバータ装置からの電流を電気機器に供給するための導体線4と、導体線4と前記インバータ装置とを接続するコネクタ3と、を備えている。コネクタ3は、前記インバータ装置と導体線4との間を覆うカバー部材6と、カバー部材6の内部に収容されるとともに導体線4の一端部に設けられ、前記インバータ装置の出力端子に接続されることで前記インバータ装置と導体線4とを接続するバスバー5と、カバー部材6の内部に収容され導体線4に流れる電流を検出する電流検出装置12とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ装置と電気機器等とを互いに接続するためのコネクタ付きケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電動機等の電気機器に供給する電力を制御するためにインバータ装置が用いられている。このインバータ装置は、スイッチング素子等が実装されたインバータ回路基板や、出力される電流を検出するための電流センサを備えて構成されている(例えば、特許文献1参照)。
上記インバータ装置と電気機器との間は、通常、コネクタ付きのパワーケーブルによって接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−15586
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、インバータ装置は、ハイブリッドカーや、家電製品にも搭載されることが多く、近年の環境問題や省エネルギー化の観点から、さらなる小型化への要請が高まっている。
ところで、インバータ装置が内蔵している電流センサは、当該インバータ装置から分離して設置が可能である。そこで、この電流センサを外部に設ければ、当該インバータ装置の小型化が可能になると考えられる。
【0005】
しかし、インバータ装置から電流センサを単に分離すると、インバータ装置と電気機器との間に電流センサを設置するためのスペースの確保や配線が必要になり構造を複雑にしてしまう場合があり、好ましくない。
【0006】
そこで、本発明は、簡易な構成でインバータ装置の小型化を可能にすることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、インバータ装置と電気機器とを互いに接続するコネクタ付きケーブルであって、前記インバータ装置からの電力を前記電気機器に供給するための導体線と、前記導体線と前記インバータ装置とを互いに接続するコネクタと、を備え、前記コネクタは、前記インバータ装置と前記導体線との間を覆うカバー部材と、前記カバー部材の内部に収容されるとともに前記導体線の一端部に設けられ、前記インバータ装置の出力端子に接続されることで前記インバータ装置と前記導体線とを接続するバスバーと、前記カバー部材の内部に収容され前記導体線に流れる電流を検出する電流検出部と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
上記構成のコネクタ付きケーブルによれば、前記カバー部材の内部に収容され前記導体線に流れる電流を検出する電流検出部をコネクタに備えているので、インバータ装置は、出力電流を検出するための電流センサを備える必要がない。このため、インバータ装置の小型化を可能にすることができる。
また、電流検出部は、導体線に流れる電流を検出するので、上述のように、インバータ装置から電流センサを単に分離した場合と比較して、電流センサの設置スペースの確保や電流センサのための配線を設ける必要がなく簡易な構成にできる。
以上のように、本発明のコネクタ付きケーブルによれば、簡易な構成でインバータ装置の小型化を実現することができる。
【0009】
(2)(3)(4)前記電流検出部は、前記導体線が挿通される断面C型のコアと、前記コアの磁界を検出するセンサとを備えているものであることが好ましく、また、この場合、前記コネクタは、前記バスバーに固定され前記導体線の外周側を覆うことで当該導体線との間で前記コアを収容する環状空間を形成するハウジング部材をさらに備えていることが好ましい。
この場合、ハウジング部材によってコアを軸方向に位置決めすることができる。
さらに、前記コアの外周面には、2面幅を成す一対の壁面が形成されていてもよく、この場合、環状空間内に収容されるコアの前記壁面に当接する当該コアの回り止めをハウジング部材に設ければ、コアを周方向に位置決めすることができる。このように、コアを軸方向及び周方向に位置決めすることで、センサに対するコアの位置を安定させセンサの精度を高めることができる。
【0010】
また、コネクタ付きケーブルが複数の導体線及びコアを含んで構成される場合であって、コアを互いに隣接させて配置するときに、隣接するコアに対して互いに前記壁面を向けるように配置すれば、互いに隣接するコアの間隔を、前記壁面が無い場合と比較してより狭めることができるので、コネクタをよりコンパクトにすることができる。
【0011】
(5)また、上記コネクタ付きケーブルにおいて、前記センサがホールICであってもよく、例えば、ホール素子を用いる場合と比較して電流検出部をより簡易な回路構成とすることができる。
【0012】
(6)また、前記コアが圧粉磁心により形成されていてもよく、この場合、低コスト化が可能となる。
【0013】
(7)前記センサが実装された基板と、前記導体線との間には、電界ノイズの影響を抑制するシールド板が設けられていることが好ましく、この場合、導体線からの電界ノイズの影響が基板に及ぶのが抑制され、センサを安定動作させることができる。
【0014】
(8)前記カバー部材は、前記インバータ装置との間、及び前記導体線との間が防水構造とされていることが好ましく、この場合、水分による影響を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な構成でインバータ装置の小型化を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るコネクタ付きパワーケーブルの要部斜視図である。
【図2】コネクタ付きケーブルのコネクタ部分の分解斜視図である。
【図3】バスバーに取り付けられたハウジング部材等の分解斜視図である。
【図4】バスバーに取り付けられたハウジング部材等の断面図である。
【図5】ドライバーボードの分解斜視図である。
【図6】ハウジング部材をドライバーボードに固定する際の態様を示す斜視図である。
【図7】ホールICが差し込まれたハウジング部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコネクタ付きパワーケーブルの要部斜視図であり、図2は、コネクタ付きケーブルのコネクタ部分の分解斜視図である。このコネクタ付きパワーケーブル1は、インバータ装置(図示せず)と、電気機器としての電動機(図示せず)とを互いに接続し、前記インバータ装置から出力される3相交流を電動機側に供給するものである。
コネクタ付きパワーケーブル1は、ケーブル本体2と、コネクタ3とを備えている。ケーブル本体2は、3相交流に対応して3本の導体線4によって構成されており、一端部がコネクタ3を介して前記インバータ装置に接続され、他端部が前記電動機側に接続されている。
【0018】
ケーブル本体2の一端部に設けられているコネクタ3は、インバータ装置側に設けられた出力コネクタ(図示せず)と接続可能であり、各導体線4の一端部に通電可能に接続されたバスバー5と、これらバスバー5とその周辺の導体線4を覆っているカバー部材6とを備えている。
【0019】
バスバー5は、導電性を有する金属により形成された板状の部材であり、カバー部材6からその先端部が突出した状態で当該カバー部材6の内部に固定されている。バスバー5は、コネクタ3と前記インバータ装置の出力コネクタとを接続するとき、出力コネクタ側に設けられたインバータ装置の出力端子に接続されることで、前記インバータ装置と導体線4とを接続し、前記インバータ装置から出力される電力をケーブル本体2を介して電動機に供給可能にする。
【0020】
カバー部材6は、一端側に大開口部7aを有するとともに、他端側に小開口部7bを有する異形筒状に形成されている本体部7と、大開口部7aに挿入される筒状のバンドルシールド8とを組み合わせて構成されており、各部材6,7の内側にケーブル本体2の一端部側が挿通される。
【0021】
本体部7は、絶縁性を有しかつ柔軟性を有する樹脂等を用いて形成されている。本体部7の小開口部7bは、ケーブル本体2の外周面との間から水分が浸入しない程度に、ケーブル本体2の外周面に密着するように形成されている。また、大開口部7aは、バンドルシールド8の外周よりもわずかに小さく形成されており、バンドルシールド8が挿入されたときに本体部7の内面とバンドルシールド8の外面とが外部からの水分が浸入しない程度に密接するように形成されている。
【0022】
バンドルシールド8は、シールド機能が必要なため、銅、アルミニウム等の非磁性の金属等を用いて形成されている。バンドルシールド8は、断面長孔形状とされた筒状の部材であり、本体部7に挿入される挿入部8aと、挿入部8aの端部から外側方向に突設され本体部7の大開口部7aの周縁が当接するフランジ部8bと、フランジ部8bからインバータ装置の出力コネクタ側に向かって軸方向に突設された端縁部8cとを備えている。
【0023】
端縁部8cは、インバータ装置の出力コネクタに挿入可能な形状に形成されており、コネクタ3をインバータ装置の出力コネクタに接続する際には、当該端縁部8cを出力コネクタ側に挿入し、フランジ部8bに設けられた孔部8b1に挿通される図示しない固定ボルトによって、カバー部材6全体がインバータ装置の出力コネクタ側に固定される。
【0024】
端縁部8cの外周面には、Oリング8c1が嵌め込まれており、前記出力コネクタ側との間のすき間から水分等が浸入しないようにされている。
また、上述のように、本体部7の内面とバンドルシールド8の外面とは、外部からの水分が浸入しない程度に互いに密接するように形成されている。さらに、本体部7の小開口部7bと、ケーブル本体2の外周面とも外部からの水分が浸入しない程度に互いに密接するように形成されている。
よって、カバー部材6は、インバータ装置側とケーブル本体2との間を覆うとともに、各部材の接合部分からカバー部材6の内部に水分が浸入するのを防止する防水構造とされている。
【0025】
また、バンドルシールド8の内側面には、各バスバー5を保持固定するドライバーボード9を固定するための台座部8dが一対形成されている。この一対の台座部8dは、四角柱状に形成されており、ケーブル本体2が延びる方向に沿って所定の間隔を置いて形成されている。一対の台座部8dにはドライバーボード9が設置されるため、互いの上面は面一に形成されている。
【0026】
ドライバーボード9は、ボード本体10と、ボード本体10の端面にボルト10aにより固定されボード本体10の上面で各バスバー5を保持固定するストッパープレート11とを備えている。ストッパープレート11は、台座部8dの先端面に当接した状態でボルト11aによってバンドルシールド8に固定される。これによって、ドライバーボード9は、カバー部材6の内部に収容固定される。
【0027】
またドライバーボード9上には、ケーブル本体2(導体線4)に流れる電流を検出する電流検出装置12が設けられている。電流検出装置12は、内周側に導体線4が挿通された後述するコア23(図3)と、このコア23の磁界を検出する後述するセンサとしてのホールICとを備えている。ホールICは、ボード本体10に実装されている。また、ボード本体10には、上記ホールICにより検知された検知信号を外部に出力するためのハーネス13等も実装されている。すなわち、カバー部材6の内部には、電流検出装置12が収容されている。この電流検出装置12については後に詳述する。
【0028】
ドライバーボード9は、バンドルシールド8に固定されたストッパープレート11によって、各バスバー5がほぼ平行に並びかつカバー部材6の開口に位置する端縁部8cの端縁から突出するようにボード本体10の上面側に保持固定している。また、ハーネス13は、インバータ装置側の機器に接続することができるように、カバー部材6の内側から、比較的長尺に延ばされている。
【0029】
バスバー5には、当該バスバー5及びこのバスバー5が接続されている導体線4の一端部近傍を覆っているハウジング部材20が取り付けられている。
図3は、バスバー5に取り付けられたハウジング部材20等の分解斜視図であり、図4は、バスバー5に取り付けられたハウジング部材20等の断面図である。
バスバー5は、筒状に形成されて導体線4の一端部が接続される接続部5aと、接続部5aを基端として導体線4の延びる方向に沿って延ばされた板状部5bとを有している。
接続部5aは、導体線4の一端部において、外部被覆4aが除かれて露出した当該導体線4内部の撚り線4bが挿入固定されている。これによって、バスバー5と導体線4とは互いに接続されている。
板状部5bの先端部には、インバータ装置の出力端子と接続するためのボルトが挿通される孔部5b1が形成されている。
【0030】
ハウジング部材20は、絶縁性の樹脂によって形成された部材であり、導体線4の外周面を覆っている筒状部21と、筒状部21に一体に形成され当該筒状部21をバスバー5に保持するための保持部22とを備えている。
保持部22には、バスバー5が挿通される貫通孔22aが、保持部22の先端面22bから筒状部21の内周側に亘って形成されている。貫通孔22aは、板状部5bが挿通される角孔部22a1と、接続部5aが差し込まれている丸孔部22a2とを有している。角孔部22a1及び丸孔部22a2は、それぞれ、板状部5b及び接続部5aの外周寸法とほぼ同じ寸法に設定されており、バスバー5を、筒状部21側から保持部22の貫通孔22aに差し込むことで、ハウジング部材20とバスバー5とは、互いの周方向位置が位置決めされつつ一体に固定される。このようにして、保持部22は、ハウジング部材20をバスバー5に保持している。
【0031】
筒状部21は、バスバー5から延びる導体線4の外周面との間で環状空間Aを形成する。この環状空間A内には、電流検出装置12の構成要素であるコア23が収容される。
このコア23は、電流検出装置12の構成要素であり、圧粉磁心により形成された磁性体を用いて形成された部材である。コア23は、エアギャップ23aが形成されることで断面C型に形成されている。コア23の外周面には、エアギャップ23aが形成された部分に対して周方向に90度ずれた位置に、2面幅を成す一対の壁面23bが形成されている。
コア23は、コア23の外周側、内周側、及びバスバー5とは反対側の端面23cを覆うコアカバー24の内部に収められた状態で、環状空間Aに収容される。
なお、コア23は、他の磁性材料を用いて形成しても良いが、本実施形態のように圧粉磁心により形成すれば、低コスト化が可能となる。
【0032】
コアカバー24は、絶縁性の樹脂からなる部材であり、コア23の外周側を覆う外枠24aと、コア23の内周側を覆う内枠24bと、両枠24a,24bを繋ぐとともに端面23cを覆う環状板部24cとを備えている。外枠24aには、コア23の壁面23bの外面に沿う平板状とすることで壁面23bに当接しコアカバー24とコア23との相対回転を規制する平板部24a1が、壁面23bに対応する位置に形成されており、これによりコアカバー24とコア23との間における周方向の関係を位置決めしている。平板部24a1の外側面には、後述する筒状部21に形成された係合部21bと係合する突起24dが形成されている。
また、外枠24aには、コア23のエアギャップ23aに一致する位置に、エアギャップ23aに沿ってスリット状に切り欠いたスリット部24a2が形成されている。
【0033】
コア23は、コアカバー24に収められた状態で環状空間Aに収容されることで、その内周側に導体線4が挿通される。
導体線4の外周面との間で環状空間Aを構成する筒状部21には、コアカバー24の平板部24a1の外面に沿う平板状とすることで平板部24a1と当接し筒状部21とコアカバー24との相対回転を規制する平板部21aが、平板部24a1に対応する位置に形成されており、これにより筒状部21とコアカバー24との間における周方向の関係を位置決めしている。さらにこの平板部21aには、コアカバー24に設けられた突起24dが嵌って係合する係合部21bが形成されている。
また、筒状部21には、コア23のエアギャップ23a及びコアカバー24のスリット部24a2に一致する位置に、これらに沿ってスリット状に切り欠いたスリット部21cが形成されている。
【0034】
よって、コア23を収めたコアカバー24は、平板部24a1が筒状部21の平板部21aに一致するように周方向に位置決めされ、環状空間Aに収容された上で、突起24dが係合部21bに係合される。
コアカバー24と筒状部21とは、突起24dと係合部21bとが係合することで、軸方向に固定される。よって、環状空間Aは、コアカバー24の環状板部24cによって、その開口部が塞がれ、コア23は、軸方向に位置決めされ、環状空間A内に保持される。
【0035】
また、コア23のエアギャップ23a、コアカバー24のスリット部24a2、及び筒状部21のスリット部21cは、周方向に一致する位置に形成されており、エアギャップ23aは、各スリット部21c、24a2を通じて筒状部21(ハウジング部材20)の外部に向けて開放されている。
【0036】
図5は、ドライバーボード9の分解斜視図である。ドライバーボード9は、上述のように、ボード本体10と、ボード本体10に固定され各バスバー5を保持固定するストッパープレート11と、ボード本体10に実装された電流検出装置12の構成要素であるホールIC30と、ボード本体10に対する電界ノイズの影響を抑制するためのシールドプレート31とを備えている。
【0037】
各ホールIC30が実装されているボード本体10は、各ホールIC30を動作させるための回路基板としての機能を有している。ボード本体10には、ホールIC30の他、ホールIC30による検知信号を出力するハーネス13も実装されている。ハーネス13は、インバータ装置側の機器に接続され、インバータ装置側に検知信号を出力する。
【0038】
ホールIC30は、コア23の磁界を検出するためのセンサとしての機能を有しており、各導体線4に対応して3つ実装されている。ホールIC30は、ボード本体10の上面に突設されており、ボード本体10の上面側に保持固定されるハウジング部材20の内部に差し込まれる。
本実施形態では、コア23の磁界を検出するためのセンサとしてホールICを用いることで、例えば、ホール素子を用いた場合と比較して、ボード本体10に実装される回路を簡略化することができ、電流検出装置12をより簡易な回路構成とすることができる。
【0039】
ボード本体10の上面側には、シールドプレート31が固定されている。このシールドプレート31は、金属又は絶縁性の樹脂等よりなり、ボード本体10に対するバスバー5及び導体線4からの電界ノイズの影響を抑制する。
【0040】
ボルト10aによってボード本体10に固定されているストッパープレート11は、絶縁性の樹脂等を用いて形成された部材であり、ボード本体10に対して直交するように固定されている。ストッパープレート11には、底部がR状に切り欠いて形成された切欠部32が導体線4に対応して3つ形成されている。
【0041】
切欠部32は、各ハウジング部材20の外面に形成された溝部20aの断面形状に一致する形状に形成されている。すなわち溝部20aの断面形状は、下部分がR状とされ、左右部分が互いにほぼ平行な2面幅を成す壁面とされたU字形に形成されている。
よって、切欠部32の周縁が溝部20aに嵌るようにしてハウジング部材20を切欠部32に差し込むことで、ストッパープレート11は、ハウジング部材20及びこれと一体に固定されているバスバー5を保持固定する。
【0042】
つまり、図6に示すように、導体線4の一端部に接続されたバスバー5、及びバスバー5に取り付けられるとともにコア23を内部に収容したハウジング部材20は、ドライバーボード9の上方からストッパープレート11の切欠部32に差し込まれることで、ボード本体10の上面側に保持固定される。さらに、ドライバーボード9は、カバー部材6の台座部8dに固定されているので、バスバー5、及びハウジング部材20は、ドライバーボード9に固定されることで、カバー部材6に対しても保持固定される。
【0043】
また、溝部20aは、断面で見た場合に、2面幅を成す壁面を有するU字形に形成されているので、ハウジング部材20は、切欠部32に保持されることでストッパープレート11及びカバー部材6に対して周方向に位置決めされる。なお、このとき、各ハウジング部材20は、コア23のエアギャップ23a、スリット部24a2、及び21cがボード本体10の上面に向くように位置決めされる。よって、エアギャップ23aは、各スリット部21c、24a2を通じてボード本体10の上面に向けて開放されている。
【0044】
さらに、各ハウジング部材20は、ストッパープレート11によって、隣接するハウジング部材20に対して、互いの平板部21aが対向するように配置される。
つまり、本実施形態では、複数のコア23を互いに隣接させて配置しており、隣接するコア23に対して互いに壁面23bを向けるように配置しているので、互いに隣接しているコア23(を収容するハウジング部材20)の間隔を、壁面23bが無い場合と比較してより狭めることができ、コネクタ3をよりコンパクトにすることができる。
【0045】
ボード本体10から突設されたホールIC30は、ハウジング部材20がボード本体10の上面側に保持固定されることで、ボード本体10の上面側に開放するエアギャップ23aに差し込まれる。
【0046】
図7は、ホールIC30が差し込まれたハウジング部材20の断面図である。図7では、バスバー5に取り付けられた後、ドライバーボード9の上面側に保持固定されたハウジング部材20の断面を示している。
【0047】
図に示すように、ハウジング部材20は、ボード本体10の上面側に固定されたシールドプレート31の上面に載置されている。よって、シールドプレート31は、ボード本体10と、当該ボード本体10の上面側に配置される導体線4との間に介在して配置されており、導体線4に電流が流れることで生じる電界ノイズを遮蔽し、その影響がボード本体10に及ぶのが抑制され、電流検出装置12を安定動作させることができる。
【0048】
ボード本体10から突設されたホールIC30は、筒状部21のスリット部21c、及び、コアカバー24のスリット部24a2を通過して、コア23のエアギャップ23aに配置されている。
【0049】
導体線4に電流が流れると、当該導体線4の外周側に配置されているコア23には、流れる電流に応じた磁界が生じる。電流検出装置12は、コア23に生じる磁界をホールIC30によって検知し、その検知結果を取得することで、各導体線4に流れる電流、すなわち、ケーブル本体2に流れる電流であるインバータ装置の出力電流を検知することができる。取得した検知結果は、ハーネス13を介して、インバータ装置側に出力される。
【0050】
上記のように構成されたコネクタ付きパワーケーブル1によれば、カバー部材6の内部に収容されケーブル本体2に流れる電流を検出する電流検出装置12をコネクタ3に備えているので、インバータ装置は、出力電流を検出するための電流センサを備える必要がない。このため、インバータ装置の小型化を可能にすることができる。
また、電流検出装置12は、ケーブル本体2に流れる電流を検出するので、上述のように、インバータ装置から電流センサを単に分離した場合と比較して、電流センサの設置スペースの確保や電流センサのための配線を設ける必要がなく簡易な構成にできる。
以上のように、本発明のコネクタ付きパワーケーブル1によれば、簡易な構成でインバータ装置の小型化を実現することができる。
【0051】
また、本実施形態では、電流検出装置12が、ケーブル本体2の導体線4が挿通される断面C型のコア23と、コア23の磁界を検出するホールIC30とを備えており、また、コネクタ3は、バスバー5に固定され導体線4の外周側を覆うことでコア23を収容する環状空間Aを形成するハウジング部材20をさらに備えているので、ハウジング部材20によってコア23を軸方向に位置決めすることができる。
さらに、コア23の外周面には、2面幅を成す一対の壁面23bが形成されており、環状空間A内に収容されるコア23の壁面23bに当接するコア23の回り止めとしての平板部24a1をハウジング部材20に設けたので、コア23を周方向に位置決めすることができる。
上記のようにコア23を軸方向及び周方向に位置決めすることで、ホールIC30に対するコア23の位置を安定させホールIC30の精度を高めることができる。
【0052】
また、本実施形態では、カバー部材6が、インバータ装置側とケーブル本体2との間を覆うとともに、各部材の接合部分からカバー部材6の内部に水分が浸入するのを防止する防水構造とされているので、カバー部材6内部に収容される、バスバー5や電流検出装置12に対する水分による影響を抑制することができる。
【0053】
本発明に関して、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 コネクタ付きパワーケーブル
3 コネクタ
4 導体線
5 バスバー
6 カバー部材
10 ボード本体(基板)
12 電流検出装置
20 ハウジング部材
23 コア
23b 壁面
30 ホールIC
31 シールドプレート
A 環状空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータ装置と電気機器とを互いに接続するコネクタ付きケーブルであって、
前記インバータ装置からの電流を前記電気機器に供給するための導体線と、
前記導体線と前記インバータ装置とを互いに接続するコネクタと、を備え、
前記コネクタは、
前記インバータ装置と前記導体線との間を覆うカバー部材と、
前記カバー部材の内部に収容されるとともに前記導体線の一端部に設けられ、前記インバータ装置の出力端子に接続されることで前記インバータ装置と前記導体線とを接続するバスバーと、
前記カバー部材の内部に収容され前記導体線に流れる電流を検出する電流検出部と、を備えていることを特徴とするコネクタ付きケーブル。
【請求項2】
前記電流検出部は、前記導体線が挿通される断面C型のコアと、前記コアの磁界を検出するセンサとを備えている請求項1に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項3】
前記コネクタは、前記バスバーに固定され前記導体線の外周側を覆うことで当該導体線との間で前記コアを収容する環状空間を形成するハウジング部材をさらに備えている請求項2に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項4】
前記コアの外周面には、2面幅を成す一対の壁面が形成されている請求項2又は3に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項5】
前記センサがホールICである請求項2〜4のいずれか一項に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項6】
前記コアが圧粉磁心により形成されている請求項2〜5に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項7】
前記センサが実装された基板と、前記導体線との間には、電界ノイズの影響を抑制するシールド板が設けられている請求項1〜6のいずれか一項に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項8】
前記カバー部材は、前記インバータ装置との間、及び前記導体線との間が防水構造とされている請求項1〜7のいずれか一項に記載のコネクタ付きケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−105714(P2013−105714A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250788(P2011−250788)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【Fターム(参考)】