説明

コンクリートブロック

【課題】低コストで、色鮮やかかつ白華を抑制するコンクリートブロックを提供する。
【解決手段】コンクリートブロックは、結合材と骨材とを含み、前記結合材が高炉スラグ微粉末および白色セメントを含有し、前記結合材における前記高炉スラグ微粉末の含有率が30重量%以上かつ前記白色セメントの含有率が70重量%以下、さらには前記結合材における高炉スラグ微粉末の含有率が90重量%以上、前記結合材はアルカリ金属水酸化物を含有するであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートブロックに関し、さらに詳しくは、低コストで、色鮮やかかつ汚れ難いコンクリートブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、色鮮やかなコンクリートブロックは、結合材として白色セメントが用いられているとともに、着色剤として無機系顔料が用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、白色セメントの価格は、普通ポルトランドセメントの3倍程と高価であるばかりではなく、コンクリートブロックを色鮮やかに着色しても、カビや白華などにより、その表面が汚れてしまい、外観を損ねるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、低コストで、色鮮やかかつ白華を抑制するコンクリートブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のコンクリートブロックは、結合材と骨材とを含み、前記結合材が高炉スラグ微粉末および白色セメントを含有し、前記結合材における前記高炉スラグ微粉末の含有率が30重量%以上かつ前記白色セメントの含有率が70重量%以下であることを特徴とする。
【0006】
前記結合材における高炉スラグ微粉末の含有率が90重量%以上、前記結合材はアルカリ金属水酸化物を含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコンクリートブロックによれば、結合材と骨材とを含み、前記結合材が高炉スラグ微粉末および白色セメントを含有し、前記結合材における前記高炉スラグ微粉末の含有率が30重量%以上かつ前記白色セメントの含有率が70重量%以下であるので、低コストで、色鮮やかかつ汚れ難いコンクリートブロックを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のコンクリートブロックの最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0009】
本発明のコンクリートブロックは、結合材と骨材とを含み、前記結合材が高炉スラグ微粉末および白色セメントを含有し、前記結合材における前記高炉スラグ微粉末の含有率が30重量%以上かつ前記白色セメントの含有率が70重量%以下のものである。
図1に、一般的な組積用コンクリートブロック1を示す。また、図2に、一般的な舗装用コンクリートブロック2を示す。
【0010】
コンクリート素材は、結合材、骨材および水を所定の割合で含む混合物を、ミキサーなどの混練装置により練り混ぜたものである。
【0011】
高炉スラグ微粉末は、銑鉄を製造する際の副生成物であり、潜在水硬性などの性質を有するため、コンクリートの混和材料や混合セメント(高炉セメント)として用いられるものである。
このような高炉スラグ微粉末としては、価格が低いことから比表面積4000cm/gのものが好ましく、より初期強度を高めたい場合には比表面積6000cm/gのものが好適であり、比表面積8000cm/gのものがさらに好適である。なお、比表面積4000cm/gの高炉スラグ微粉末の市場価格は、概ね白色セメントの1/4であるので好ましい。
【0012】
また、結合材における高炉スラグ微粉末の含有率は30重量%以上であり、70重量%以上かつ100重量%以下であることが好ましい。
結合材における高炉スラグ微粉末の含有率を30重量%以上とした理由は、結合材が30重量%以上の高炉スラグ微粉末を含み、その他の結合材として、白色セメントを用いれば、結合材における高炉スラグ微粉末以外のセメント成分の含有率が小さくなるとともに、コンクリートブロックに白華が極めて発生し難くなり、非常に鮮やかな色のコンクリートブロックが得られるからである。
【0013】
ここで、白華とは、セメント成分に含まれるアルカリ性の灰汁が、コンクリートブロックの表面に析出して、その外観を損ねることである。この白華の主成分は、炭酸カルシウム(CaCO)であり、発生の主な要因としては、セメントの主成分の酸化カルシウム(CaO)が水や炭酸ガスと反応して析出するものである。なお、普通ポルトランドセメントにおける酸化カルシウムの含有率は65重量%程度であるのに対し、高炉スラグ微粉末における酸化カルシウムの含有率は40重量%程度と非常に少ない。したがって、本発明では、結合材として高炉スラグ微粉末を用いることにより、白華の発生を抑制することができる。
【0014】
ここで、一般的なコンクリート構造物(成形物)に用いられる結合材に含まれる高炉セメントとしては、JIS R 5210に規定される高炉セメントA種、高炉セメントB種、高炉セメントC種などが挙げられる。そして、これらの高炉セメントの結合材における含有率は、高炉セメントA種が5重量%〜30重量%、高炉セメントB種が30重量%〜60重量%、高炉セメントC種が60重量%〜70重量%である。
【0015】
また、普通ポルトランドセメントの明度が52程度、高炉セメントB種の明度が59程度、高炉セメントC種の明度が65程度であるのに対し、高炉スラグ微粉末の明度は88程度と非常に高い。したがって、本発明のように、結合材における高炉スラグ微粉末の含有率は30重量%以上、好ましくは70重量%以上かつ100重量%以下であれば、低コストで、色鮮やかなコンクリートブロックが得られる。
【0016】
また、結合材における高炉スラグ微粉末の含有率が90重量%以上の場合、特に結合材における高炉スラグ微粉末の含有率が100重量%である場合、結合材は水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物を含有することが好ましい。
高炉スラグ微粉末は、アルカリ刺激のもとで固化する性質(潜在水硬性)を有するため、高炉スラグ微粉末以外の結合材の割合が低くなると、十分に固化しないため、結合材にアルカリ金属水酸化物が添加される。
【0017】
また、アルカリ金属水酸化物の含有率は、コンクリート素材を100重量部とした場合、0.05重量部〜1.0重量部であることが好ましい。
コンクリート素材100重量部に対するアルカリ金属水酸化物の含有率が0.05重量部未満では、コンクリートの固化が不十分で、十分な強度が得られない。一方、コンクリート素材100重量部に対するアルカリ金属水酸化物の含有率が1.0重量部を超えると、コストが上がるだけでなく、アルカリ骨材反応を引き起こす要素となり得るので、コンクリートの耐久性に不具合を生じかねない。
【0018】
結合材における白色セメントの含有率は70重量%以下であり、30重量%以下であることが好ましい。
結合材における白色セメントの含有率を70重量%以下とした理由は、結合材における高炉スラグ微粉末の含有率を大きくし、コンクリートブロックにおける白華の発生を抑制して、非常に鮮やかな色のコンクリートブロックを得るためである。
【0019】
高炉スラグ微粉末、白色セメント以外の結合材としては、普通ポルトランドセメントなどの各種セメント、消石灰などから選択される1種または2種以上が用いられる。
骨材としては、砂、砂利、砕砂、砕石、各種スラグなどが用いられる。
【0020】
また、コンクリート素材には、上記の材料以外にも、AE剤や減水剤などの混和剤や、酸化クロム、酸化鉄、ベンガラ、酸化チタンなどの着色剤が添加されていてもよい。
【0021】
骨材としては、川砂などの天然骨材、岩石や玉石を破砕して得られる砕石、砕砂などから選択される1種または2種以上が用いられる。
【0022】
本発明を、ヒートアイランド対策として、保水性舗装用コンクリートブロックに適用すれば、保水性の機能を長く維持することができる。
保水性の機能を長く維持するためには、骨材は粒径が5mm以下の粒子からなり、この骨材は粒径が2.5mm〜5mmの粒子を5重量%以下含有し、かつ、粒径が1.2mm〜2.5mmの粒子を30重量%以上40重量%以下含有することが好ましい。なお、骨材として、材質や密度が異なるものを混合して用いる場合、その粒度別の割合に、容積率を適用する。
このように骨材を、粒径が5mm以下の粒子からなり、粒径が2.5mm〜5mmの粒子を5重量%以下含有し、かつ、粒径が1.2mm〜2.5mmの粒子を30重量%以上40重量%以下含有するものとすることにより、コンクリートブロックの保水量および吸水率を向上することができる。具体的には、本発明によって得られたコンクリートブロックの保水量は0.20g/cm以上(社団法人インターロッキングブロック舗装技術協会規格値0.15g/cm以上)、30分後の吸い上げ高さは90%以上(社団法人インターロッキングブロック舗装技術協会規格値70%以上)となる。
また、この骨材において、粒径が2.5mm〜5mmの粒子の含有率が5重量%を超えると、本発明によって得られたコンクリートブロックの保水量および吸水高さが低下する。また、粒径が1.2mm〜2.5mmの粒子の含有率が30重量%未満では、コンクリートブロックの保水量および吸水率が低下する。一方、粒径が1.2mm〜2.5mmの粒子の含有率が40重量%を超えると、コンクリートブロックの保水量が増えるものの、吸水率が低下する。
【0023】
また、コンクリート素材の全容積に対する骨材の含有率は40%以上、70%以下であることが好ましい。
コンクリート素材の全容積に対する骨材の含有率が40%未満では、コンクリートブロックの保水量および吸水率が低下する。一方、骨材の含有率が70%を超えると、コンクリートブロックの保水量が増えるものの、吸水率が低下する。
【0024】
また、保水性、吸水性は骨材の粒度のみならず、コンクリート素材における単位結合材量や単位水量も大きく関係している。単位結合材量、単位水量が過剰であると、セメントペースト分が骨材間を埋めてしまい、保水率、吸水率ともに低下する。一方、単位セメント量、単位水量が過小であると、保水性、吸水性は向上する傾向にあるが、セメントペーストの結合力が低下し、強度低下を招く。したがって、本発明にあっては、コンクリート素材は、単位結合材量を250kg/m以上、550kg/m以下、単位骨材量を1400kg/m以上、1800kg/m以下、単位水量を60kg/m以上、120kg/m以下の範囲で含むことが好ましい。
通常のコンクリートの単位水量は150kg/m前後であるが、本発明では、コンクリート素材の単位水量を60kg/m以上、120kg/m以下とすることにより、流動性のない、硬練りのコンクリート素材とする。
【0025】
本発明のようにコンクリートブロックが、結合材として高炉スラグ微粉末を30重量%以上含んでいれば、長期に渡って保水性および吸水性に優れたものとなる。なぜならば、上述のように高炉スラグ微粉末における酸化カルシウムの含有率は非常に少ないので、この酸化カルシウムに起因するカルシウム系水和生成物の生成も非常に少ないから、この水和生成物がコンクリートの微細な空隙を埋めて、毛細管現象が機能しなくなるという不具合が生じることがないからである。
【0026】
さらに、コンクリートブロックに保水性および吸水性を付与する場合、コンクリート素材は、イミダゾール系を主成分とする抗菌・防カビ剤を含有していてもよい。
イミダゾール系を主成分とする抗菌・防カビ剤としては、耐アルカリ性のものが用いられる。
上述のように、骨材の粒径、骨材の粒度分布、コンクリート素材の全容積に対する骨材の含有率、コンクリート素材の単位水量などを調整することにより、コンクリートブロックの保水量および吸水率を向上することができるが、コンクリート素材がイミダゾール系を主成分とする抗菌・防カビ剤を含有していれば、この保水性能(保水量および吸水率)の耐久性を向上することができる。なぜならば、従来の保水性ブロックは、カビや菌類(死骸や糞も含めて)の繁殖が空隙の目詰まりを引き起こし、毛細管現象が低下するからであり、予めコンクリート素材にイミダゾール系を主成分とする抗菌・防カビ剤を添加しておけば、カビや菌類の繁殖を防ぎ、結果として、保水性能の耐久性を向上することができるからである。
【0027】
本発明のコンクリートブロックによれば、結合材と骨材とを含み、結合材が高炉スラグ微粉末および白色セメントを含有し、結合材における高炉スラグ微粉末の含有率が30重量%以上かつ白色セメントの含有率が70重量%以下であるので、低コストで、色鮮やかかつ汚れ難いコンクリートブロックを実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のコンクリートブロックは、組積用コンクリートブロックや舗装用コンクリートブロックをはじめとして、特に意匠性が要求される用途に用いられるコンクリートブロックに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】一般的な組積用コンクリートブロックを示す概略斜視図である。
【図2】一般的な舗装用コンクリートブロックを示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1・・・組積用コンクリートブロック、2・・・舗装用コンクリートブロック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合材と骨材とを含み、前記結合材が高炉スラグ微粉末および白色セメントを含有し、前記結合材における前記高炉スラグ微粉末の含有率が30重量%以上かつ前記白色セメントの含有率が70重量%以下であることを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項2】
前記結合材における高炉スラグ微粉末の含有率が90重量%以上、前記結合材はアルカリ金属水酸化物を含有することを特徴とする請求項1に記載のコンクリートブロック。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−102214(P2009−102214A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341097(P2007−341097)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願変更の表示】意願2007−8074(D2007−8074)の変更
【原出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(592088622)マチダコーポレーション株式会社 (8)
【Fターム(参考)】