説明

コンクリート排出装置

【課題】コンクリート打設後にコンクリートを輸送する配管内に存在するコンクリートを有効に活用できる技術を提供する。
【解決手段】エアを供給するエア供給部と、前記エア供給部で供給されるエアによって配管内を移動し、前記配管内のコンクリートを押し出す押出部と、前記押出部の移動を規制する規制部と、を備え、前記規制部は、前記押出部の移動可能距離に対応する長さを有する紐状の部材と、前記紐状の部材の先端に設けられ、前記規制部と固定される固定材952と、前記紐状の部材の基端に設けられ、前記押出部が移動可能距離の限界に達した際、前記エア供給管912の一部に引っ掛かるロック材951と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート排出装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトンネル覆工の標準工法では、トンネルの側壁部及びアーチ部の打設は、検査窓にコンクリート輸送管を挿入して自然流下で打設していた。なお、トンネルの天端部(クラウン部)の打設は、吹上口からコンクリートを吐出させる技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−88691号公報
【特許文献2】特開2003−227297号公報
【特許文献3】特開2011−99228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンクリート構造物には、コンクリートを輸送するための配管が用いられる。また、トンネル覆工においてもこのような配管が用いられている。一方で、コンクリート打設終了後、配管内に残ったコンクリートは配管外に排出しなくてはならない。配管内のコンクリートを排出する場合、スポンジなどをエアで移動させ、配管内のコンクリートを排出することが考えられる。但し、この方法では、配管内のコンクリートを型枠内に送り込むと、スポンジまで型枠内に混入してしまうことが懸念される。したがって、配管内のコンクリートは、型枠外に排出して廃棄している。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑み、コンクリート打設後にコンクリートを輸送する配管内に存在するコンクリートを有効に活用できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上記課題を解決するため、エアによって配管内を移動して配管内のコンクリートを押し出す押出部の移動を規制することとした。
【0007】
詳細には、本発明は、エアを供給するエア供給部と、前記エア供給部で供給されるエアによって配管内を移動し、前記配管内のコンクリートを押し出す押出部と、前記押出部の移動を規制する規制部と、を備える。
【0008】
本発明に係るコンクリート排出装置では、コンクリートを押し出す押出部の移動を規制部によって規制することができる。すなわち、押出部の移動を規制できることから、押出部がコンクリートともに型枠内に混入されてしまうことを抑制できる。したがって、コンクリート打設後に配管内に存在するコンクリートを有効に活用することができる。
【0009】
ここで、本発明に係るコンクリート排出装置において、前記規制部は、前記押出部の移動可能距離に対応する長さを有す紐状の部材と、前記紐状の部材の先端に設けられ、前記規制部と固定される固定材と、前記紐状の部材の基端に設けられ、前記押出部が移動可能距離の限界に達した際、前記エア供給部の一部に引っ掛かるロック材と、を有する構成としてもよい。本発明に係るコンクリート排出装置では、エアが供給されると、押出部が移動を開始する。そして、紐状の部材が引張状態となると、押出部の移動が制限される。そ
の結果、押出部が型枠内に混入されるのを抑制することができる。押出部は、コンクリートを押すことができる強度を有し、かつ、エアの漏れを抑制できることが好ましい。押出部は、このような強度とエアの漏れの抑制といった二つの機能を補うため、異なる部材を組合せることで構成してもよい。紐状の部材は、エアが供給された状態で押出部材の移動を規制できる強度を有していればよい。
【0010】
なお、規制部は、上記紐状の部材を含む構成に代えて、もしくはこの構成とともに用いるものとして、配管の外部に固定される支持台と、支持台によって支持されるピンとを有し、ピンは、配管内に位置して、押出部の移動を規制する規制状態と、配管内から退去した解放状態と、を含む構成としてもよい。このような規制部によっても、押出部が型枠内に混入されるのを抑制することができる。
【0011】
また、本発明に係るコンクリート排出装置において、前記エア供給部は、前記配管と接続され、供給されるエアが一時的に滞留する空間と、前記空間の一部に設けられた前記紐状の部材を通す孔からのエア漏れを遮断するエア遮断部と、を有する構成としてもよい。エア遮断部を有することで、エアの漏れを抑制して、効率よく押出部を移動させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コンクリート打設後にコンクリートを輸送する配管内に存在するコンクリートを有効に活用できる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第一実施形態に係るトンネル覆工の施工断面図を示す。
【図2】第一実施形態における、配管の配置の平面図を示す。
【図3】第一実施形態における、配管の配置の断面図を示す。
【図4】第一実施形態における、配管の固定状態の断面図を示す。
【図5】第一実施形態における、配管の固定状態の正面図を示す。
【図6】トンネル覆工の施工フローを示す。
【図7】第一実施形態における、側壁部の下方の打設状況の断面図を示す。
【図8】第一実施形態における、側壁部の下方の打設状況の正面図を示す。
【図9】第一実施形態における、側壁部からアーチ部の下部の打設状況の断面図を示す。
【図10】第一実施形態における、アーチ部の下方の打設状況の断面図を示す。
【図11】第一実施形態における、天端部の打設状況の平面図を示す。
【図12】第一実施形態における、天端部の打設状況の断面図を示す。
【図13】第一実施形態における、天端部の検査窓までの打設状況を示す。
【図14】第一実施形態における、天端部の検査窓から所定高さまでの打設状況を示す。
【図15】第一実施形態における、天端部のバイブレータ挿入孔から棒状のバイブレータを挿入している状況を示す。
【図16】第一実施形態における、トンネルの妻部の開口部を示す。
【図17】第一実施形態における、天端部の上層の打設状況を示す。
【図18】引き抜きバイブレータ用の挿入孔の配置断面図を示す。
【図19】多数の現場におけるスランプロスを示したグラフである。
【図20】試験に用いた型枠モデルを示す。
【図21】型枠充填時圧力測定結果を示す。
【図22】充填圧の目標モデルを示す。
【図23】スランプごとのコンクリート形態のイメージ図を示す。
【図24】打設方法の違いによる充填圧と一軸圧縮強度との関係を示す。
【図25】第一実施形態の変形例における、天端部の打設状況の平面図を示す。
【図26】第一実施形態の変形例における、天端部の打設状況の断面図を示す。
【図27】コンクリート排出装置の長手方向の断面図を示す。
【図28】図27のA−A断面図を示す。
【図29】エア遮断用硬質スポンジの斜視図を示す。
【図30】スポンジ及び硬質スポンジの移動が規制された状態を示す。
【図31】ピン装置の一例を示す。
【図32】コンクリート排出装置の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。但し、以下で説明する実施形態は本発明を実施するための例示であり、本発明は以下で説明する態様に限定されない。なお、実施形態では、スランプ12±2.5cmのコンクリートが用いられる。
【0015】
<第一実施形態>
(トンネルの構成の概要)
図1は、第一実施形態に係るトンネル覆工の施工断面図を示す。トンネル覆工工事では、まず、地山を掘削して出来た素堀トンネルの掘削面(内壁面)にコンクリートを吹き付ける一次覆工が行われる。その後、一次覆工後のトンネル掘削面をさらにコンクリートで被覆する二次覆工が行われる。この二次覆工では、いわゆるセントルと称される型枠を用いてコンクリートが打設される。図1は、この二次覆工における施工断面図である。
【0016】
第一実施形態におけるトンネル1は、断面が半円状である。側壁部は、スプリングライン(トンネルの上半のアーチ部分の円弧の中心を含む水平線)よりも下の領域であり、アーチ部は、スプリングラインよりも上の領域である。アーチ部のうち、特に天端付近の領域を天端部(クラウン部ともいう)という。トンネル1には、作業台としての架台2、作業中の通気を確保するための通気管7、コンクリートが流れる配管5、配管を切り替える配管切替装置8、コンクリートを圧入するポンプ(図示せず)が設置されている。なお、図1では、配管5は、各型枠との接続付近のみ表示している。
【0017】
トンネル1の内壁面には、二次覆工で用いられる型枠3が設置されている。型枠3は、トンネル1の側方に位置する側壁部の型枠31、側壁部の型枠31の上部と接続され、トンネル1のアーチ部に位置する湾曲したアーチ部の型枠32、アーチ部の型枠32の上部に接続され、トンネル1の天井に位置する天端部(一般的に、クラウン部ともいう)の型枠33によって構成されている。
【0018】
側壁部の型枠31の下部には、コンクリートを圧入する側壁部の圧入孔41が設けられている。側壁部の圧入孔41には、油圧式のバルブが設けられ、配管5が接続自在である。側壁部の圧入孔41に配管5が接続され、油圧式のバルブが開状態となると、側壁部の型枠31内にコンクリートが圧入される。側壁部の圧入孔41からは、側壁部だけでなく、アーチ部の下部のコンクリートの圧入が可能である。また、側壁部の圧入孔41よりも高い位置には、側壁部の圧入孔41から圧入されたコンクリートを締め固め、側壁部の圧入孔41周辺のコンクリートの色むらの発生を抑制するバイブレータ挿入孔61が設けられている。バイブレータ挿入孔61よりも高い位置(第一実施形態では、アーチ部の最下部)には、コンクリートを締め固めたり、コンクリートの打設状況を観察する検査窓62が設けられている。バイブレータ挿入孔61と検査窓62は、本発明の窓部に相当する。バイブレータ挿入孔61と検査窓62には、開閉自在な蓋が設けられており、締固め時や観察時では、開状態となり、それ以外では閉状態となる。バイブレータ挿入孔61は、バイブレータの径と同程度の孔であり、検査窓62は、例えば55cm×45cm程度の矩形状であり、コンクリートを締め固めたり、コンクリートの打設状況を観察できるように
なっている。第一実施形態では、バイブレータ挿入孔61と検査窓62を別構成としたが、兼用の窓部を設けてもよい。他の型枠に設けられるバイブレータの挿入孔61と検査窓62についても同様である。側壁部の型枠31は、地盤からの高さを例えば2m50cmとすることができる。なお、側壁部の圧入孔41からのコンクリートの圧入のみでは充填が困難な場合、側壁部の型枠31の上部に、側壁部の第二圧入孔を設けてもよい。
【0019】
アーチ部の下部であって、検査窓62よりも高い位置には、アーチ部の第一圧入孔42が設けられている。このアーチ部の第一圧入孔42は、側壁部の圧入孔41からのコンクリートの圧入では充填し難い、アーチ部の下部にコンクリートを圧入するためのものである。アーチ部の第一圧入孔42よりも高い位置には、アーチ部の第一圧入孔42から圧入されたコンクリートを締め固め、第二圧入孔42周辺のコンクリートの色むらの発生を抑制するバイブレータ挿入孔61が設けられている。更にバイブレータ挿入孔61よりも高い位置に、コンクリートを締め固めたり、コンクリートの打設状況を観察する検査窓62が設けられている。検査窓よりも高い位置には、コンクリートを圧入するアーチ部の第二圧入孔43が設けられている。アーチ部の第二圧入孔43にも、油圧式のバルブが設けられ、配管5が接続自在であり、アーチ部の第二圧入孔43を介してアーチ部の型枠32内にコンクリートが圧入される。アーチ部の第二圧入孔43からは、アーチ部だけでなく、天端部の一部のコンクリートの圧入が可能である。アーチ部の型枠(天端部の型枠を除く)は、側壁部の型枠31の上端からの高さを例えば2m50cmとすることができる。この場合、アーチ部の第二圧入孔43は、アーチ部の型枠32の上端から30cm下方に設けることができる。
【0020】
天端部の型枠33の上部には、コンクリートを圧入する天端部の圧入孔44が予備を含めて2か所設けられている。天端部の圧入孔44にも、油圧式のバルブが設けられ、配管5が接続自在であり、天端部の圧入孔44を介して天端部の型枠33内にコンクリートが圧入される。また、天端部の圧入孔44の近傍には、アーチ部の第二圧入孔43から圧入されたコンクリートを締め固めると同時にコンクリートの打設状況を観察する検査窓62が設けられている。なお、天端部の検査窓62には、バイブレータ挿入孔61が設けられている。天端部の型枠33は、アーチ部の型枠32の上端からの高さを例えば1m60cmとすることができる。この場合、天端部の圧入孔44は、天端部の型枠33の内側最上部に設けることができる。また、天端部の型枠33には、土圧計100が5か所設置してあり、コンクリートの充填状況及び型枠の強度が管理される。
【0021】
ここで、図2は、第一実施形態における、配管の配置の平面図を示す。また、図3は、第一実施形態における、配管の配置の断面図を示す。図2、図3に示すように、第一実施形態では、配管切替装置8として、上流側に設けられ、コンクリートの圧入先を4つに切替自在な配管切替装置4Pと、配管切替装置4Pよりも下流側に設けられ、コンクリートの圧入先を3つに切替自在な配管切替装置3Pが設けられている。配管切替装置4Pは、トンネル1の長手方向における圧入先を切り替える。配管切替装置3Pは、配管切替装置4Pによって切り替えられた圧入先を、更にトンネル1の高さ方向において切り替える。なお、第一実施形態では、配管切替装置3Pに接続された3つの配管5が、側壁部の圧入孔41、アーチ部の第一圧入孔42、アーチ部の第二圧入孔43の夫々に接続されている。なお、天端部の圧入孔44には、ポンプ(図示せず)に直接接続された配管5が接続されている。配管5は、直線状の配管とL字状の配管を適宜組み合わせることで構成されている。ここで、図4は、配管の固定状態の断面図を示し、図5は、配管の固定状態の正面図を示す。図4、図5に示すように、第一実施形態では、配管5は、側壁部の型枠31などにワイヤを用いて固定されている。なお、配管5は、例えば二重管構造として、長さを調節できるようにしてもよい。また、配管5は、蛇腹状の管を用いて、折り曲げ自在としてもよい。配管切替装置8の切替数や配管5の組み合わせは、トンネル1の形状や径に応じて適宜変更することができる。
【0022】
(トンネル覆工工法)
次に、上述したトンネル覆工の施工工法について説明する。図6は、トンネル覆工の施工フローを示す。掘削工程(S01)では、地山が掘削される。次に、コンクリート吹付工程(S02)では、地山を掘削して出来た素堀トンネルの掘削面(内壁面)にコンクリートが吹き付けられる。コンクリート吹付工程は、一次覆工である。一次覆工が終了すると、S03からS06からなる二次覆工に進む。
【0023】
二次覆工では、まず、型枠組立工程(S03)において、型枠3が組み立てられる。型枠組立工程では、型枠3の組立の他、配管5の接続も合わせて行われる。次に、コンクリート打設工程(S04)では、側壁部、アーチ部、天端部の順にコンクリートが打設される。コンクリート打設工程の詳細については、後述する。コンクリートの打設が完了すると、コンクリート養生工程(S05)に進み、コンクリートが一定期間養生される。コンクリートの養生は、天端部の型枠33に軽量の骨組みを懸架し、骨組みをシートで密閉して移動式のパラソルを形成し、パラソル内にミストを充満させることで行うことができる。また、コンクリートの養生は、トンネル貫通後の通風による乾燥収縮ひび割れを抑制するため、トンネル中央部にトンネル内を隔壁するバルーンを設置して、トンネル1内の湿度を保つようにしてもよい。コンクリートの養生が終わると、型枠工程(S06)へ進み、型枠工程では、型枠が解体される。以上の工程をトンネル1の長手方向において、順次繰り返し行うことで、トンネル1が形成される。
【0024】
(コンクリート打設工程の詳細)
第一実施形態のコンクリート打設工程では、側壁部、アーチ部、天端部の順にコンクリートが打設される。まず、側壁部の圧入孔41を介して側壁部の型枠31内にコンクリートが圧入される。図7は、第一実施形態における、側壁部の打設状況の断面図を示す。図8は、第一実施形態における、側壁部の打設状況の側面図を示す。また、図9は、第一実施形態における、側壁部からアーチ部の下部の打設状況の断面図を示す。側壁部の圧入孔41からコンクリートが連続して圧入されることで、側壁部の型枠31内のコンクリートの充填が下部から上部に向けて進む。側壁部の圧入孔41からコンクリートを圧入する際は、側壁部の型枠31内に圧入されたコンクリートが側壁部の検査窓62に達するまで、側壁部の検査窓62から挿入した棒状のバイブレータB1によって、側壁部の圧入孔41付近から側壁部の検査窓62付近までのコンクリートが締め固められる。
【0025】
コンクリートが側壁部の検査窓62まで達したら、この検査窓62が閉状態とされ、更に、コンクリートが側壁部の圧入孔41から圧入される。コンクリートがアーチ部の第一圧入孔42付近まで達すると、配管切替装置3Pが切り替えられ、次に、アーチ部の第一圧入孔42からコンクリートが圧入される。この時点で、必要に応じて、側壁部のバイブレータ挿入孔61から棒状のバイブレータB1が挿入され、側壁部の圧入孔41付近の締め固めが行われる。コンクリートの打設時間は、2時間以内とすることが好ましい。側壁部の圧入孔41付近の色むらが無ければ、側壁部のバイブレータ挿入孔61による締め固めは省略してもよい。
【0026】
次に、アーチ部のコンクリートが打設される。具体的には、図10に示すように、アーチ部の第一圧入孔42からコンクリートが再度圧入され、アーチ部の型枠32内にコンクリートが充填される。アーチ部の第一圧入孔42からコンクリートが連続して圧入されることで、アーチ部の型枠32内のコンクリートの充填が下部から上部に向けて進む。アーチ部の第一圧入孔42からコンクリートを圧入する際は、アーチ部の型枠32内に圧入されたコンクリートがアーチ部の検査窓62に達するまで、アーチ部の検査窓62から挿入したバイブレータによって、アーチ部の第一圧入孔42付近からアーチ部の検査窓62付近までのコンクリートが締め固められる。
【0027】
コンクリートがアーチ部の検査窓62まで達したら、この検査窓62が閉状態とされ、更に、コンクリートがアーチ部の第一圧入孔42から圧入される。コンクリートがアーチ部の第二圧入孔43付近まで達すると、配管切替装置3Pが切り替えられ、コンクリートがアーチ部の第二圧入孔43から圧入される。アーチ部の第二圧入孔43は、アーチ部の型枠32の上端から30cm下方に設けられており、アーチ部の第二圧入孔43からのコンクリートの圧入は、コンクリートが天端部の側面側に位置する天端側面部の検査窓62(図11参照)に達するまで行われる。この時点で、必要に応じて、アーチ部のバイブレータ挿入孔61からバイブレータが挿入され、アーチ部の第一圧入孔42付近の締め固めが行われる。アーチ部の第一圧入孔42付近の色むらが無ければ、アーチ部のバイブレータ挿入孔61による締め固めは省略してもよい。
【0028】
次に、天端部のコンクリートが打設される。図11は第一実施形態における、天端部の打設状況の平面図を示す。図12は、第一実施形態における、天端部の打設状況の断面図を示す。また、図13は、第一実施形態における、天端部の検査窓までの打設状況を示す。図13(a)は、天端部の検査窓までの打設状況の斜視図であり、図13(b)は、天端部の検査窓62までの打設状況の断面図を示す。アーチ部の第二圧入孔43からコンクリートが再度圧入され、天端部の型枠33内のコンクリートの充填が下部から上部に向けて進む。アーチ部の第二圧入孔43からコンクリートを圧入する際は、天端部の型枠33内に圧入されたコンクリートが天端部の圧入孔44及び天端部の検査窓62に達するまで、天端部の検査窓62から挿入した棒状のバイブレータB1によって、コンクリートが締め固められる。具体的には、天端部の検査窓62が開状態とされ、この検査窓62から棒状のバイブレータB1によってコンクリートの締め固めが行われる。以下、天端部の検査窓までの層を下層ともいう。
【0029】
次に、天端部の検査窓62が閉状態とされ、更に、アーチ部の第二圧入孔43からコンクリートが圧入される。図14は、第一実施形態における、天端部の検査窓62から所定高さまでの打設状況を示す。図14(a)は天端部の検査窓から所定高さまでの打設状況の斜視図であり、図14(b)は、天端部の検査窓から所定高さまでの打設状況の断面図を示す。第一実施形態では、アーチ部の第二圧入孔43からコンクリートを圧入することで、更に天端部の検査窓62から20cmまでコンクリートが打設される。以下、天端部の検査窓62から所定の高さ(20cm)までの層を中層ともいう。また、中層よりも上の層は、上層という。その際、図15に示すように、天端部のバイブレータ挿入孔61から棒状のバイブレータB1が挿入され、中層に打設されたコンクリートの締固めが行われる。なお、トンネル1の妻部には、天端部の頂点付近の天端部の型枠33を下げ、打設状況を確認するための開口部を設けるとよい。図16は、第一実施形態における、トンネルの妻部の開口部66を示す。図16に示すように、トンネルの妻部に開口部33を設けることで、打設状況の確認が可能となる。開口部33には、着脱自在の蓋(妻板)、又は開閉自在な蓋(妻板)が設けられており、中層のコンクリートの打設完了後、開口部66は閉状態となる。
【0030】
次に、配管切替装置4Pが切り替えられ、天端部の圧入孔44からコンクリートが圧入される。図17は、第一実施形態における、天端部の上層の打設状況を示す。図17(a)は天端部の上層の打設状況の斜視図であり、図17(b)は、天端部の上層の打設状況の断面図を示す。第一実施形態では、天端部の圧入孔44からコンクリートを圧入して、天端部の上層のみ(検査窓から20cmの高さよりも更に高い領域)コンクリートが打設される。その際、図17(a)に示すように、天端部のバイブレータ挿入孔61から挿入されている棒状のバイブレータB1により、天端部の上層に打設されたコンクリートの締固めが行われる。なお、天端部の圧入孔44からの充填圧が限界値(例えば、120kPa)を超える場合、予備の圧入孔44からコンクリートの打設を行えばよい。充填圧は、
天端部の型枠33に設置した土圧計で測定することができる。
【0031】
次に、引き抜きバイブレータB2による締固めが行われる。図18は、引き抜きバイブレータ用の挿入孔65の配置断面図を示す。第一実施形態では、下層と中層の境界部分に2か所、中層と上層の境界部分に2か所、引き抜きバイブレータ用の挿入孔65が設けられている。引き抜きバイブレータB2は、予め型枠内に挿入されており、コンクリートの打設完了後、引き抜きながら締固めが行われる。引き抜きは、引き抜きバイブレータB2の基端に接続された巻き取りリール(図示せず)が引き抜きバイブレータB2を巻き取ることで実現される。
【0032】
(充填状況の確認)
ここで、第一実施形態では、上層の打設状況については、妻部の充填状況及び土圧計による充填圧によって管理する。巻厚(覆工巻厚)と圧力(充填圧力)の関係は、巻厚が30.45cmの場合、圧力は、それぞれ7.05、8.23、9.40、10.60kPaとなる。よって、設計巻厚以上に充填されたかどうかは、圧力測定で確認することができる。
【0033】
次に、打設時間が30分の場合のスランプロスを検討する。図19は、多数の現場におけるスランプロスを示したグラフである。スランプ12cmの例が無いことから、スランプ15cmを参考に検討する。スランプ15cmで打設したDトンネルを見ると、スランプダウンは凡そ1cmである。また、図示しないF作業所では、スランプ15cmで、スランプロスが15cmであることが確認された。そこで、第一実施形態では、スランプロスを15cmに決定し、更に検討を進める。
【0034】
ここで、図20は、試験に用いた型枠モデルを示す。また、図21は、型枠充填時圧力測定結果を示す。第一実施形態では、スランプロスを考慮した上層の充填性を検討するため、図20に示す型枠モデルを用いて試験した。具体的には、図20に示すような、最も空隙ができやすいと考えられるアーチ部の肩部に断面形状が台形の型枠モデルを製作し、所定の経過時間により型枠モデルにコンクリートを圧入充填し、充填状況の比較を行った。
【0035】
その結果、経過時間が40分までは充填圧が45kPa程度で、締固めがなくても充填が完全にできることが確認された。なお、この時のスランプダウンは1.5cmであった。
【0036】
以上を踏まえ、第一実施形態では、図22に示すように、上層を打設する際の充填圧は、ラップ側中央で100kPa、妻側中央で40kPaを目標に、コンクリートを圧入することとした。なお、第一実施形態では、棒状バイブレータB1による締固め、及び引き抜きバイブレータB2による締固めも行うことから、コンクリートの充填性は更に向上する。したがって、打設時間を30分以内とし、棒状バイブレータB1による締固め、及び引き抜きバイブレータB2による締固めを行うことで、上層の充填も確実に行うことができる。
【0037】
なお、コンクリートの打設工程では、各圧入孔からの1回あたりの圧入量(コンクリートの打設量)は、生コン車1台の約半分(2m3)とすることが好ましい。従来の自然流
下による技術の場合、検査窓62からの1回あたりの打設量は、生コン車1台分とするのが一般的であったが、第一実施形態では、圧入孔を切り替えるタイミングも従来よりも早くすることが好ましい。これにより、各圧入孔の待機時間を短縮でき、コンクリート輸送管の閉塞や、コンクリートの色むらの発生を抑制することができる。
【0038】
(効果)
第一実施形態に係るトンネル覆工の施工工法によれば、トンネル1の側壁部、アーチ部、及び天端部のコンクリートを全て圧入により打設することで、スランプ12±2.5cmといった、従来のトンネル覆工の標準工法に用いられるコンクリートよりも硬いコンクリートを用いることができる。硬いコンクリートは、単位水量が少ないことから、乾燥収縮による覆工コンクリートのひび割れ、特に長期のひび割れを抑制できる。第一実施形態では、側壁部やアーチ部の下方から圧入することで、打設時の空気の混入が抑制でき、コンクリート表面の気泡、いわゆる「あばた」の発生を抑制することができる。
【0039】
また、硬いコンクリートを用いると締め固め作業が苦渋作業となることが懸念される。しかしながら、第一実施形態では、側壁部やアーチ部の下方からコンクリートが圧入されることで、コンクリートが型枠3内の隅部まで行き渡り易い。その結果、硬いコンクリートを自然流下で打設する場合と比較して、締め固め作業が容易になる。図23は、スランプごとのコンクリート形態のイメージ図を示す。図23において、左側の上図は、スランプ10cmのコンクリートを高さ2mから自然流下させた状態を示す。左側の中図は、スランプ12cmのコンクリートを高さ2mから自然流下させた状態を示す。左側の下図は、スランプ15cmのコンクリートを高さ2mから自然流下させた状態を示す。また、右側の図は、スランプ10cmのコンクリートを下部から圧入した状態を示す。図23の左側の上図や左側の中図に示すように、スランプが小さくなると、コンクリートが広がり難くなるため、コンクリートの締め固め作業が苦渋作業となる。図23の左側の下図に示すように、スランプが大きければ、コンクリートが広がりやすく、締め固め作業は容易となる。しかしながら、スランプが大きいと、ひび割れが発生しやすくなる。これに対し、図23の右側の図に示すように、スランプ10cmのコンクリートを下部から圧入すると、コンクリートも水平方向に広がりやすく、締め固め作業が容易になる。また、スランプが小さいことから、ひび割れの発生も抑制することができる。また、下部から圧入することで、コンクリートを自然流下で打設する場合の材料分離を抑制できる。その結果、コンクリートの品質及び外観を向上することができる。
【0040】
また、今まで実験などにより、充填圧が高くなると一軸圧縮強度が大きくなることが知られている。ここで、図24は、打設方法の違いによる充填圧と一軸圧縮強度との関係を示す。図24の左側の図は、下部からコンクリートを打設した場合であり、図24の右側の図は、従来通り、コンクリートを自然流下した状態を示す。図24に示すように、下部からコンクリートを圧入すると自然流下する場合よりも充填圧が大きくなる。従って、第一実施形態によれば、一軸圧縮強度を高めることができる。
【0041】
また、第一実施形態に係るトンネル覆工の施工工法によれば、天端部の圧入孔44からの打設量を第一実施形態よりも少なくすることができる。その結果、第一実施形態に係るトンネル覆工の施工工法によれば、天端部の充填性もより向上して、硬いスランプのコンクリートでも天端部を確実に充填することができる。
【0042】
<第一実施形態の変形例>
第一実施形態では、側壁部及、アーチ部、天端部のコンクリート打設を圧入により行った。但し、側壁部、アーチ部、天端部のコンクリート打設のうち少なくとも何れか一部は、従来の標準工法に従って、自然流下で打設するようにしてもよい。
【0043】
ここで、図25は、第一実施形態の変形例における、天端部の打設状況の平面図を示す。図26は、第一実施形態の変形例における、天端部の打設状況の断面図を示す。図25、図26に示すように、アーチ部の第二圧入孔43からコンクリートが再度圧入され、天端部の型枠33内のコンクリートの充填が下部から上部に向けて進み、天端側面部の検査窓62の高さまで天端部の型枠33内にコンクリートが充填される。アーチ部の第二圧入
孔43からコンクリートを圧入する際は、天端部の型枠33内に圧入されたコンクリートが天端側面部の検査窓62に達するまで、天端部の検査窓62から挿入した棒状のバイブレータB1(図25、図26では、図示せず)によって、コンクリートが締め固められる。
【0044】
コンクリートが天端部の圧入孔44まで達したら、配管切替装置4P(図25、図26では、図示せず)が切り替えられ、天端側面部の検査窓62が閉状態とされ、次に、天端部の圧入孔44からコンクリートが圧入される。また、圧入孔44からの充填圧が限界値(例えば、120kPa)を超える場合、予備の圧入孔44からコンクリートが打設される。天端部の圧入孔44からコンクリートを圧入する際は、天端部の検査窓62から妻側へ随時締固めが行われる。また、天端部には、予め引き抜きバイブレータB2(図25、図26では、図示せず)が挿入され、打設完了後に引き抜きバイブレータB2で引き抜きながら締め固めが行われる。
【0045】
<第二実施形態>
(構成)
第二実施形態では、配管がコンクリート排出装置を備える。トンネル1の型枠3の構成は第一実施形態と同様である。また、コンクリートの打設工程は、第二実施形態では、コンクリートの打設工程終了後に、コンクリート排出装置を用いたコンクリートの排出が行われる以外は、第一実施形態と同様である。よって、第一実施形態と同様の構成や工程については説明を割愛し、相違点を中心に説明する。
【0046】
図27は、コンクリート排出装置の断面図を示す。第二実施形態に係るコンクリート排出装置9は、エア供給部91、スポンジ92、硬質スポンジ93、配管5、バルブ94、ワイヤ95、エア遮断用硬質スポンジ96を備える。
【0047】
エア供給部91は、スポンジ92及び硬質スポンジ93を圧送するためのエアを供給する。エア供給部91は、配管5との接続部911、コンプレッサ(図示せず)から供給される所定圧力のエアが流れるエア供給管912と、圧力を調整するエア抜きバルブ913とを含む。第二実施形態では、0.7MPaのエアが供給される。なお、所定圧力は、型枠内の圧入孔付近の圧力を上回る値に適宜設定すればよい。接続部911は、エア供給室914を含み、このエア供給室914は、エアが一時的に滞留する空間98と、エア遮断用硬質スポンジ96を収容する収容空間99とを含む。図28は、図27のA−A断面図を示す。図28に示すように、空間98と収容空間99は、いずれも断面視において円形である。収容空間99は、エアの供給方向において空間98の上流側に位置し、断面視において空間98の中心に位置する。収容空間99の上方には、エア供給管912が位置する。
【0048】
スポンジ92と硬質スポンジ93は、配管5内を移動し、配管5内のコンクリートを押し出す。スポンジ92は、円柱状であり、その外径が配管5の内面と接して、供給されるエアの漏れを抑制するよう設計されている。また、エアの漏れを抑制するとともに、配管5との摩擦抵抗を低減するため、第二実施形態のスポンジ92は、角が面取りされている。第二実施形態では、円柱状のスポンジが直列に二つ設けられている。なお、スポンジ92の軸方向の長さを長くし、スポンジ92は一つのみ設けるようにしてもよい。スポンジ92の中心には、ワイヤ95が貫通する貫通孔921が設けられている。硬質スポンジ93は、球状であり、その外径が配管の内面と接して、供給されるエアの漏れを抑制するよう設計されている。また、硬質スポンジ93は、配管5内のコンクリートを押し出せるよう、スポンジ92よりも固い素材で形成されている。硬質スポンジ93にも、ワイヤ95が貫通する、球状の硬質スポンジ93の中心を通る貫通孔931が設けられている。また、硬質スポンジ93は、貫通するワイヤ95の先端が固定されている。
【0049】
配管5は、管内をコンクリートが流れる他、エア供給部91より供給されるエア、スポンジ92、硬質スポンジ93が流れる。配管5の長さや形状は、型枠3の各圧入孔との位置関係に応じて適宜設計すればよい。
【0050】
バルブ94は、配管5の先端側(圧入孔側)に設けられ、管内を流れるコンクリートの流れを遮断する。
【0051】
ワイヤ95は、スポンジ92及び硬質スポンジ93の移動を規制する。ワイヤ95は、基端にエア遮断用硬質スポンジ96の貫通孔921よりも大きいロック材951が設けられ、先端に硬質スポンジ93と固定する固定材952が設けられている。ワイヤ95は配管5よりも短く設計され、スポンジ92及び硬質スポンジ93の移動距離は、ワイヤ95長さよりもやや短い距離に規制される。換言すると、ワイヤ95の長さは、スポンジ92及び硬質スポンジ93の移動距離に応じて適宜設計すればよい。ロック材951は、基端にエア遮断用硬質スポンジ96の貫通孔921よりも大きく、ワイヤ95の基端が抜けを防止できればよく、その形状は特に限定されない。固定材952は、ワイヤ95の先端と硬質スポンジ93とを固定する。第二実施形態の固定材952は、球面状の皿部とこの皿部の縁に三角形の突起が複数連続して設けられている。皿部の球面は硬質スポンジ93の球面と一致している。複数の突起が硬質スポンジ93の表面に食い込むことで、ワイヤ95の先端と硬質スポンジ93とが固定される。
【0052】
エア遮断用硬質スポンジ96は、エア供給部91から供給されるエアの漏れを抑制する。ここで、図29は、エア遮断用硬質スポンジ96の斜視図を示す。エア遮断用硬質スポンジ96は、円柱状であり、収容空間99の内面と接し、空間98からエアが排出されないよう外径が設計されている。収容空間99の内面とエア遮断用硬質スポンジ96の外面とは、接着材で接着することが好ましい。また、円柱の中心を通るようにワイヤ95が貫通する貫通孔961が設けられており、貫通孔961内をワイヤが移動する。
【0053】
(使用方法)
コンクリート排出装置9は、コンクリート打設工程の終了後、配管5内のコンクリートを排出する装置として使用される。以下、側壁部の圧入孔41からの圧入後を例に説明する。但し、コンクリート排出装置9は、アーチ部の第一圧入孔42、アーチ部の第二圧入孔43、天端部の圧入孔44からの圧入後にも用いることができる。
【0054】
まず、配管切替装置3Pが切り替えられ、側壁部の圧入孔41による圧入可能状態からアーチ部の第一圧入孔42による圧入可能状態となる。次に、配管5の基端側が配管切替装置3Pから取り外される。配管5の途中にジョイントを設け、ジョイントから取り外すようにしてもよい。次に、配管5の基端側にコンクリート排出装置9が接続される。この時、スポンジ92及び硬質スポンジ93は、空間98側に位置する。次に、エアの供給が開始される。エアの供給時では、エア抜きバルブ913により圧力が適宜調整される。エアが供給されると、これに伴いスポンジ92及び硬質スポンジ93がコンクリート排出装置9側から側壁部の圧入孔41に向けて移動を開始する。その結果、配管5内のコンクリートが押し出され、側面部の型枠3内に供給される。スポンジ92及び硬質スポンジ93がバルブ94の手前まで移動すると、ワイヤ95の基端に設けられたロック材951がエア遮断用硬質スポンジ96に接する。その結果、ワイヤ95が引張状態となり、スポンジ92及び硬質スポンジ93の移動が規制される。図30は、スポンジ92及び硬質スポンジ93の移動が規制された状態を示す。図30に示すように、第二実施形態によれば、配管5内のコンクリートを側面部の型枠3内に供給することができる。スポンジ92及び硬質スポンジ93の移動規制後、エアの供給が停止され、また、バルブ94が閉状態となる。以上により、コンクリートの排出が完了する。
【0055】
(効果)
第二実施形態に係るコンクリート排出装置9によれば、配管5内のコンクリートを側面部の型枠3内に供給することができる。第二実施形態のような態様では、本来、配管切替装置4P及び配管切替装置3Pを備えることで、配管5内のコンクリートの処理に手間がかかる。しかしながら、第二実施形態では、配管5内のコンクリートを側面部の型枠3内に容易に供給することができる。また、配管5内のコンクリートの有効活用を図ることができる。
【0056】
<第二実施形態の変形例>
第二実施形態に係るコンクリート排出装置9は、スポンジ92及び硬質スポンジ93の移動を補助的に規制するピン装置を更に備える構成としてもよい。図31は、ピン装置の一例を示す。図31(a)は、コンクリート打設時においてピンが解放された状態を示す。また、図31(b)は、スポンジ及び硬質スポンジの移動を補助的に制限するため、ピンによって配管5を遮断した状態を示す。ピン装置10は、配管5の外部に固定される支持台11と、支持台11によって支持されるピン12とを備える。ピン12は、配管5内に位置して、スポンジ92及び硬質スポンジ93の移動を補助的に規制する規制状態と、コンクリートの打設時における、配管5内から退去した解放状態と、を含む。スポンジ92及び硬質スポンジ93の移動は、第二実施形態と同じくワイヤ95によって規制されるが、本変形例によれば、更に補助的にスポンジ92及び硬質スポンジ93の移動を規制することができる。
【0057】
第二実施形態に係るコンクリート排出装置9は、ワイヤ95やピン装置10などの規制部を含まないより簡易な構成としてもよい。図32は、コンクリート排出装置の変形例を示す。図32に示すコンクリート排出装置9aは、エア供給部91aと硬質スポンジ93aによって構成されている。換言すると、図31に示すコンクリート排出装置9aは、ワイヤ95やピン装置10等の規制部を含まない構成である。コンクリート打設後、配管の基端側に位置する硬質スポンジ93aをエアで移動させることで、配管5内のコンクリートを配管5から排出させることができる。この場合、硬質スポンジ93aが側壁部の型枠31内に混入されないよう、配管5の先端は側壁部の圧入孔41から取り外しておいた方がよい。排出されたコンクリートは、一輪車などで運搬して、別途利用することができる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に係るコンクリート排出装置はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。
【符号の説明】
【0059】
1・・・トンネル
2・・・架台
3・・・型枠
5・・・配管
31・・・側壁部の型枠
32・・・アーチ部の型枠
33・・・天端部の型枠
41、42、43、44・・・圧入孔
61・・・バイブレータ挿入孔
62・・・検査窓
9・・・コンクリート排出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアを供給するエア供給部と、
前記エア供給部で供給されるエアによって配管内を移動し、前記配管内のコンクリートを押し出す押出部と、
前記押出部の移動を規制する規制部と、
を備えるコンクリート排出装置。
【請求項2】
前記規制部は、前記押出部の移動可能距離に対応する長さを有す紐状の部材と、前記紐状の部材の先端に設けられ、前記規制部と固定される固定材と、前記紐状の部材の基端に設けられ、前記押出部が移動可能距離の限界に達した際、前記エア供給部の一部に引っ掛かるロック材と、を有する、請求項1に記載のコンクリート排出装置。
【請求項3】
前記エア供給部は、前記配管と接続され、供給されるエアが一時的に滞留する空間と、前記空間の一部に設けられた前記紐状の部材を通す孔からのエア漏れを遮断するエア遮断部と、を有する、請求項2に記載のコンクリート排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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