説明

コンテナ脱着車両

【課題】 コンテナ脱着車両の転倒を防止することを目的とする。
【解決手段】警報装置14は、車体の傾斜角を検出する車体傾斜角検出センサ13と、コンテナの脱着動作時に車体が転倒しない車体許容角度(例えば垂直に対して30度)を設定したメモリ20と、車体傾斜角検出センサ13で検出された傾斜角と車体許容角度の大きさを比較して、検出された傾斜角が車体許容角度よりも大きいときには判定信号を出力する比較器21と、比較器21からの判定信号に基づいて警報発報部22の作動を制御する制御信号を出力するコントローラ23と、コントローラ23と接続され、警告灯、警報ブザー又は音声発生装置等から構成される警報発報部22と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車台上にメインフレームを備え、メインフレームに対して回動させるキャリア部を備え、該キャリア部上にコンテナを脱着するようにしたコンテナ脱着車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレーンの転倒を警報する装置が提案されている。特許文献1ではエンジンの振動による影響をさほど受けずに、クローラクレーン等の走行式建設機械の移動中および作業中の傾斜状況をリアルタイムで正確に把握することが可能で、地盤耐力不足や傾斜地盤等に起因する転倒事故の発生を防止できるようにするため、走行装置2を備えたロアフレーム3の上に、作業装置5を備えたアッパーフレーム4を連設し、アッパーフレーム4に搭載されたエンジン6の動力で走行装置2と作業装置5を駆動する走行式建設機械において、ロアーフレーム3に、互いに直角なX,Y二方向とその合成方向での傾きを検出する姿勢監視装置7を装着し、姿勢監視装置7による検出結果に基づいて第1段階で警報を発し、第2段階で作業装置5と走行装置2への動力を遮断するように構成するものである。
また、特許文献2では、車両が荷物を懸吊した状態で傾斜した地盤上を走行した場合の車両の転倒する虞を未然に防止するため、クレーン装置15が荷物45を懸吊した状態で車両が走行状態のときに、車体傾斜角検出センサ29により検出された車体の傾斜角が車体許容角度より大きいと比較器35が判断したときには、コントローラ43が車体の走行規制と警報装置42の少なくともいずれか一方を行なうものである。
【0003】
【特許文献1】特開2000−229786号公報
【特許文献2】特開2000−44174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、コンテナ脱着車両は、図5に示す通り、車体部2’上に取り付けられたメインフレーム3’を備え、該メインフレーム3’に設けられたキャリア部4上に積載する所定の積載容積のコンテナCを脱着するようにした構成である。キャリア部4’は、車体F’の車体長手方向(図5の左右方向)に延びる形状のダンプフレーム5’、該ダンプフレーム5’の前方に回動するように接続し車体長手方向に延びる形状の支持アーム6’、及び支持アーム6’の前方に接続し上下方向に延びるスライドアーム7’から構成する。
スライドアーム7’の上方には、コンテナCの前方上部に設けた掛止部T’と係合するようなフックアーム8’が備えられ、支持アーム6’には、該支持アーム6’を車体長手方向に起伏回動させるメインシリンダ7’が接続する。
ダンプフレーム5’に対する支持アーム6’の回動する状態で、メインシリンダ9’を作動させると、図5に示す如くダンプフレーム5’を回動させることなく支持アーム6’が起伏回動し、コンテナCがキャリア部4’に対して脱着する。
【0005】
ダンプフレーム5’に対する支持アーム6’の回動を禁止した状態で、メインシリンダ9’を作動させると、ダンプフレーム5’及び支持アーム6’が一体となって起伏回動し、キャリア部4’上に積載した状態のコンテナCがダンプ作動する。
【0006】
しかしながら、図5に示すコンテナ脱着車両の転倒には何らの対策も考えられていなく、安全性をより高める必要性がある。例えば、傾斜面でコンテナCの脱着作業を行う場合など、車両が転倒するおそれが考えられる。
【0007】
本発明は、上記点に鑑み、コンテナ脱着車両の転倒を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、本願発明は請求項1、2に記載の通りの発明である。車体の傾斜角を検出する傾斜角検出部(例えば、実施形態における車体傾斜角検出センサ13)により検出された車体の傾斜角が車体許容角度より大きいときには、警報又は車体の脱着動作の停止(又は規制)の少なくともいずれか一方を行なう構成(例えば、実施形態におけるコントローラ23)を有している。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、車体が設定傾斜角度よりも大きくなる場合には、脱着動作の操作者に警報を発して、未然に車両の転倒を防止することができる。また、請求項2の発明によれば、車体が設定傾斜角度よりも大きくなる場合には、脱着動作を停止(又は規制)を行って、未然に車両の転倒を防止することができる。特に、コンテナ脱着車両の車体構造が進化し複雑化した場合には、安全性をより高める必要がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
≪第1実施形態≫
以下に、本発明の好適な一実施形態であるコンテナ脱着車両1について図面を参照して説明する。コンテナ脱着車両1は最大積載量が相違するコンテナを入れ替えて積載できるようにした構造を備える。コンテナ脱着車両1の主要諸元や制動力は、最大積載量の大きなコンテナCを積載して走行するように設計し、車体構造を最大積載量の小さなコンテナも積載できるように設計してあるがこれに限定されるものではない。
【0011】
コンテナ脱着車両1は、図1に示す荷役フレームNを備える。荷役フレームNは、車体部2上に取り付けたメインフレーム3と、メインフレーム3に連結するとともに車体長手方向に回動し(図1の矢印K)、コンテナCを脱着するキャリア部4と、を備える。メインフレーム3に車体長手方向に延びる形状のダンプフレーム5が連結する。キャリア部4は、ダンプフレーム5に対して回動するように接続して車体長手方向に延び出す支持アーム6と、支持アーム6に接続し車体長手方向に延び出すとともに支持アーム6の軸方向(図でX方向)に沿ってスライドするL字形状のスライドアーム7と、から構成する(図1参照)。スライドアーム7の垂直部の上方に、スライドアーム7の垂直部の軸方向に沿って上下方向(図でZ方向)にスライドする、コンテナCの前方部と係合するためのフックアーム8が備えられている。荷役フレームNはさらに、支持アーム6を車体長手方向Kに起伏回動させるメインシリンダ9と、支持アーム6の軸方向に沿ってスライドアーム7をスライドさせるスライドシリンダ10と、スライドアーム7に対するフックアーム8のスライド量を制御するフックシリンダ11と、を備える。支持アーム6、スライドアーム7及びフックアーム8をメインシリンダ9、スライドシリンダ10、フックシリンダ11を使用して駆動することによりコンテナCを脱着する構造である。このコンテナ脱着車両1は、最大積載量の相違するコンテナを脱着させるため、フックシリンダ11でフックアームを伸縮させることが特徴である。
【0012】
また、コンテナ脱着車両1は、キャビン12を備えている。図2に示す通り、このキャビン12には、車両の左右方向への傾斜を検出する車体傾斜角検出センサ13を備える警報装置14が固定部15により脱着可能にダッシュボード12a上に設置されている。キャビン12は、フロントガラス12bと天板12cと、を備える。さらにコンテナ脱着車両1は、ダンプフレーム5に設けたフックプレート16と、フックプレート16をロックしダンプフレーム5と支持アーム6とを一直線状に維持しダンプロックフレーム5のメインフレーム3へのロックを解除することでダンプ作動を行わせるフック17と、コンテナを固縛する固縛装置18と、コンテナCを転動させるローラ19と、を備える。以下、コンテナ脱着車両1の詳細構造を説明する。
【0013】
警報装置14について図3を参照して説明する。この警報装置14は、図3に示すように、車体の傾斜角を検出する車体傾斜角検出センサ13と、コンテナの脱着動作時に車体が転倒しない車体許容角度(例えば垂直に対して30度)を設定したメモリ20と、車体傾斜角検出センサ13で検出された傾斜角と車体許容角度の大きさを比較して、検出された傾斜角が車体許容角度よりも大きいときには判定信号を出力する比較器21と、比較器21からの判定信号に基づいて警報発報部22の作動を制御する制御信号を出力するコントローラ23と、コントローラ23と接続され、警告灯、警報ブザー又は音声発生装置等から構成される警報発報部22とを備え、警報を発報させる。警報装置14は、電源回路25を備えているが、これを太陽電池回路に代えてもよいし、また、電源ジャックに接続させるシガープラグを車両シガーソケットに差し込んで警報装置14に電源を供給させてもよい。
【0014】
次に、本発明の警報装置14の動作を説明する。車両が走行停止状態であって、コンテナ脱着時には、キャリア部4が車体方向Kに回動するが、このとき、比較器21はメモリ20から車体許容角度を読み出し、車体傾斜角検出センサ13で検出された傾斜角と車体許容角度を比較する。そして、検出された傾斜角が車体許容角度よりも小さいと比較器21が判定したときには判定信号をコントローラ23に出力しないので、警報装置14は作動されない。一方、車体が許容角度以上に傾いた場合には、比較器21は、判定信号をコントローラ23に出力し、警報装置14を作動させる。ここでは車体の左右方向への傾きを検出するが、前後方向への傾きの検出を加えてもよい。
【0015】
以上の本発明第1実施形態により、車体が許容角度以上に傾いた場合には、警報が操作者に発報されるので、コンテナ脱着車両の転倒事故を未然に防止できる効果がある。また、キャビン12内のダッシュボード12aに警報装置14を設けたので、コンテナ脱着の操作者が安全を確認することが容易であるという効果がある。なお、通常、コンテナ脱着車両1の走行中は、車体構造から転倒は考えにくい。コンテナCを脱着するために、キャリア部4が回動動作する場合に、コンテナCが傾斜面上を動くことから、車体が転倒のおそれがある。したがって、通常は、キャリア部4が回動動作する場合に警報が発報される。
【0016】
≪第2実施形態≫
本発明の第2実施形態は、車体傾斜角度検出センサ13と警報装置14を分離し、車体傾斜角度検出センサ13はキャビン12に、警報装置14はコンテナ脱着用の操作部30と一体に設けたものである。他の構成は第1実施形態と同様である。即ち、図4に示す通り、操作部30は、例えば、パネル形状であって、携帯が可能であり、油圧回路31と接続され、また、操作スイッチ32と、を備えている。この油圧回路31は、メインシリンダ9、スライドシリンダ10,フックシリンダ11等を制御する電磁制御弁(図示略)、前記各シリンダに供給される油圧を検出する圧力センサ35等を備えている。コントローラ23は、油圧回路31の制御と、車体が設定角度よりも傾いた場合に、警報及び/又は緊急停止を行うものである。操作スイッチ32は脱着スイッチ、ダンプスイッチ、2t−4tコンテナ切替スイッチ等の各種スイッチを備えている。
【0017】
第2実施形態の操作部30の動作を説明する。コンテナ脱着時には、車両は走行停止状態であって、キャリア部4が車体方向Kに回動するが、このとき、比較器21はメモリ20から車体許容角度を読み出し、車体傾斜角検出センサ13で検出された傾斜角と車体許容角度を比較する。そして、検出された傾斜角が車体許容角度よりも小さいと比較器21が判定したときには、比較器21が判定信号をコントローラ23に出力しないので、警報装置14は作動されないし、また、油圧回路31の緊急停止(又は動作規制)はされない。一方、車体が許容角度以上に傾いた場合には、比較器21は、判定信号をコントローラ23に出力し、警報装置14を作動させ、また、油圧回路31の緊急停止(又は動作規制)を行う。ここでは車体の左右方向への傾きを検出するが、前後方向への傾きの検出を加えてもよい。さらに、圧力センサ35からの油圧が設定圧力以上の場合(コンテナの脱着動作中)にのみ、比較器21の判定信号を有効とするように設定してもよい。この場合には、警報をする期間が限定され、誤作動を回避してある。この圧力センサ35は、車両が脱着動作にあるか否かを検知する脱着動作検出部の働きをする。圧力センサ35に代えて、操作スイッチ32からの操作信号を用いてもよい。
【0018】
以上の第2実施形態により、第1実施形態と同様の効果を備える上、油圧回路31の緊急停止又は動作規制を行うので、一層、安全性が高くなる。また、操作部30から警報が出るので、警告が確実に操作者に伝達できる。
尚、第2実施形態では、比較器21が判定信号を出力したときには、油圧回路31の作動を停止又は規制するとともに警報装置14を作動させたが、警報を止めて、油圧回路31の停止又は作動規制のみを行なってもよい。
【0019】
本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定するものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることができ、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれ、該技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態のコンテナ脱着車両の荷役フレームを模式的に示した右側面図である。
【図2】同コンテナ脱着車両のキャビンを示す右側面図である。
【図3】警報装置のブロック図である。
【図4】第2実施形態のコンテナ脱着車両が備える操作部のブロック図である。
【図5】従来のコンテナ脱着車両の構造及び動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1…コンテナ脱着車両 N…荷役フレーム 2…車体部 3…メインフレーム
4…キャリア部 5…ダンプフレーム 6…支持アーム 7…スライドアーム
8…フックアーム 9…メインシリンダ 10…スライドシリンダ
11…フックシリンダ 12…キャビン 13…車体傾斜角検出センサ
14…警報装置 15…固定部 16…ダッシュボード 17…フロントガラス
18…天板 20…メモリ 21…比較器 22…警報発報部 23…コントローラ
25…電源回路 30…操作部 31…油圧回路 32…操作スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビンと、車台と、を備え、
該車台上にメインフレームを備え、該メインフレームに対して車体前後方向に回動するキャリア部を備え、該キャリア部上にコンテナを脱着するようにしたコンテナ脱着車両において、
前記キャビン又は車台に車体傾斜角検出部を設け、
前記車体傾斜角検出部により計測された傾斜角に基づいて、前記キャリア部が動作中に、前記傾斜角が設定値を超えたときに、警報を発生するコンテナ脱着車両。
【請求項2】
キャビンと、車台と、を備え、
該車台上にメインフレームを備え、メインフレームに対して車体前後方向に回動するキャリア部を備え、該キャリア部上にコンテナを脱着するようにしたコンテナ脱着車両において、
前記キャビン又は車台に車体傾斜角検出部を設け、
前記車体傾斜角検出部により計測された傾斜角に基づいて、前記キャリア部が動作中に、前記傾斜角が設定値を超えたときに、前記キャリア部の動作を停止又は作動規制するコンテナ脱着車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−213685(P2008−213685A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54860(P2007−54860)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(399016695)株式会社瑞穂 (13)