説明

コンパクト容器

【課題】 使用時にはメッシュの回転などの動きを防止し、化粧料を直接、塗布具や指に取り出したいときには簡単にメッシュを取り外すことができるコンパクト容器の提供の提供。
【解決手段】収納凹部を有する容器本体と、前記容器本体に取り付け可能な蓋体とを備え、枠部と該枠部内に設けられた網部からなるメッシュ体を該収納凹部の開口部を覆うように載置自在なコンパクト容器であって、前記メッシュ体を載置した際に前記収納凹部の開口部周辺であって該メッシュ体の網部がかかる部位に係止部が設けられていることを特徴とするコンパクト容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュの孔を通して化粧料を塗布具に付着させるタイプの製品に用いる、コンパクト容器の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンパクト容器を用いる製品で、主に粉末状化粧料や粉末含有化粧料を収納し、メッシュの孔を通してパフや刷毛等の塗布具に付着させ、肌に適用させるタイプのものがある。このように、メッシュを介して化粧料を塗布具に付着させた場合には、塗布具に化粧料を適量且つ均一に付着させやすいため、肌へのムラ付きが少ない等のメリットがある。
【0003】
上記のメッシュの容器本体への取り付けかたは種々の方法があり、具体的には、容器本体へ固定する方法(特許文献1、2)や化粧料の上に直接載置する方法(特許文献3)などが知られている。
【0004】
しかしながら、特許文献1、2のように容器本体へ固定する方法の場合、化粧料が残り少なくなったときに化粧皿の中のとりわけ入隅部分に残った化粧料が取りにくくなり、塗布具への付着量が減って肌への付きが悪くなったり、最後まで化粧料を使用しきれない場合がある等の問題があった。
【0005】
また、メッシュにより塗布具に化粧料を適量且つ均一に付着させる以外に、部分的に化粧料の塗布量を多くして化粧したい場合などには、メッシュを介さずに、直接塗布具や指などに化粧料を付着させることもあり、かかる場合、メッシュが容器に固定されているものは容易に取り外すことができずに不便であった。さらに、メッシュを容器に固定させるためには、メッシュの保持具や容器の構造も複雑にならざるを得ず、コスト高の要因となっていた。
【0006】
その点、メッシュを化粧料の上に直接載置する方法ではメッシュが常にほぼ一定の状態で化粧料に接しており、化粧料の残量が減っても化粧料が取りにくくなるという問題は少ないものの、塗布具に化粧料を付着させる際に、メッシュが回転するなど容器本体内で動いてしまうため、塗布具より余分な化粧料を払い落として化粧料を適量且つ均一に付着させるというメッシュ本来の目的を十分に果たせない場合があった。また、使用時にメッシュが容器本体から外れやすく、落下しやすいというデメリットもあった。
【0007】
そこで、特許文献4では、メッシュを化粧料の上に直接載置するとともに、メッシュの周縁部に下方突出爪片を設けて、かかる突出爪片を化粧料に差し込んでメッシュを係止させるコンパクト容器が開示されている。この方法によれば、化粧料の残量が減ったときに化粧料が取りにくくなるという課題や、使用時にメッシュが動いたり、外れてしまうという課題は解決されるものの、化粧料がルースパウダー状の粉末状化粧料の場合には係止が困難であり十分な効果が得られなかった。
【特許文献1】実公昭10−004626
【特許文献2】特許3426138
【特許文献3】実開昭63−091214
【特許文献4】実公平6−46412
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、従来のコンパクト容器のかかる欠点を克服し、使用時にはメッシュの回転などの動きを防止し、化粧料を直接、塗布具や指に取り出したいときには簡単にメッシュを取り外すことができるコンパクト容器の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するものであり、収納凹部を有する容器本体と、前記容器本体に取り付け可能な蓋体とを備え、枠部と該枠部内に設けられた網部からなるメッシュ体を該収納凹部の開口部を覆うように載置自在なコンパクト容器であって、前記メッシュ体を載置した際に前記収納凹部の開口部周辺であって該メッシュ体の網部がかかる部位に係止部が設けられていることを特徴とするコンパクト容器である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコンパクト容器は、メッシュを介して塗布具に化粧料を付着させるときはメッシュの回転などの動きや落下を防止することができ、化粧料を直接、塗布具や指に取り出したいときには片手でも簡単にメッシュを取り外すことができる。また、化粧料の残量が少なくなったときにもメッシュを簡単に取り外して使用することにより、化粧料を最後まで使い切ることができる。
【0011】
本発明のコンパクト容器は、従来のコンパクト容器と比較しても非常に簡易な構成であるため、製造が容易であり、製造コストも抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のコンパクト容器の斜視図。
【図2】本発明のコンパクト容器のメッシュ体を載置していない状態の容器本体の平面図。
【図3】本発明のコンパクト容器のメッシュ体を載置していない状態の断面図。
【図4】本発明のコンパクト容器のメッシュ体を載置した状態の一部拡大断面図。
【図5】本発明のコンパクト容器のメッシュ体を載置した状態の容器本体の平面図。
【図6】本発明のコンパクト容器の他の実施態様におけるメッシュ体の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の塗布具付き容器の実施態様を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施態様に何ら制約されるものではない。
【0014】
図1は、本発明のコンパクト容器の斜視図、図2は同容器のメッシュ体を載置していない状態の容器本体の平面図、図3は同容器のメッシュ体を載置していない状態の断面図である。図中、1は容器本体、2はメッシュ体、3は蓋体、4は中蓋、さらに、11は収納凹部、12は係止部、13は側壁部、14は周縁部、15は仕切り壁、21は枠部、22は網部、111は開口部をそれぞれ示す。
【0015】
図に示すように、本発明のコンパクト容器は、容器本体1と、容器本体1の側面に開閉自在に取り付けられた蓋体3及び容器本体1に設けられた記収納凹部11を覆うように載置できるメッシュ体2からなり、本実施態様では、更に、載置されたメッシュ体2を覆って蓋をできるように、中蓋4が容器本体1に開閉自在に設けられている。
【0016】
容器本体1は、化粧料を収納するための収納凹部11が設けられており、その中央に該収納凹部11を分割する仕切り壁15が設けられている。このように、仕切り壁15によって区分けすることにより、収納凹部11内に色や組成等の異なる2種類の化粧料を収納可能となり、メッシュ体2の網部22を介して刷毛やチップ、パフ等の塗布具に該2種類の化粧料を混合状態で付着させたり、またメッシュ体2を取り外してどちらか一方の化粧料のみを塗布具に付着させるなど、種々の方法で化粧ができるため、好ましい。また、収納凹部11を周囲から区画する側壁13の上端部には、計4箇所に突起状の係止部12が形成されている。係止部12の位置・数についての制限は特にないが、本実施態様のように、仕切り壁15の延長線上の側壁13に2箇所、また、これら2箇所の係止部12から中間に位置する側壁13に更に2箇所設けると、側壁13の上端部に計4箇所の係止部12が等間隔に設けられることになり、形成メッシュ体2の回転防止に十分な効果を得られるとともに、使用時にメッシュ体2を回転させる力が4箇所に分散され、網部22の一部分のみに力が加わることによる損傷などを防ぐことができて望ましい。係止部12は、本発明の効果を損なわない範囲において任意の個数であり得るが、メッシュ体2の取り外しやすさを損なわない点で、2ないし16箇所、特に3ないし8箇所が好ましい。また、これらの係止部12は、側壁13の上端部に等間隔に設けても、またそれぞれの間隔を異なるものとして設けてもよいが、安定な載置のためには、等間隔に設けることが好ましい。さらに、係止部12の突起の形状は、円柱、多角柱、円錐台、多角錐台、円錐、多角錐等、網部22の孔に挿入し得るものであれば限定されず、種々の形状をとり得るが、円柱、多角柱、円錐台、多角錐台が好ましい。当該突起の寸法については、突起の平面視の最大径が、網部22の目開きとほぼ同等か、それより小さい寸法であることが好ましく、0.3〜3mm、特に0.5〜2mmが好ましい。また、突起の高さは0.3〜3mm、特に0.5〜2mmが好ましい。
【0017】
メッシュ体2は、環状の枠部21と、その中に張られた網部22からなり、容器本体1には、枠部21が容器本体1の収納凹部11の周囲に形成された周縁部14に載置されることで取り付けられる。網部22の素材は特に限定はされないが、使用時に網部22がある程度撓む方が好ましく、伸縮性を有する素材、具体的にはポリエステル、ポリウレタン、ナイロン、絹等を好適に使用することができる。
【0018】
次に、図4および図5により、本発明のコンパクト容器のメッシュ体2を載置した状態について説明する。容器本体1の周縁部14は、側壁13に比べて一段低く形成されており、この周縁部14にメッシュ体2の枠部21を落とし込むことで、メッシュ体2は容器本体1内にセットされる。このとき、平面視で、側壁13は枠部21の内側に位置している。すなわち、メッシュ体2を容器本体1にセットすると、網部22が開口部111全体を覆うとともに側壁13全体にもかかることになる。そして、側壁13の上端部には、突起状の係止部12が形成されているため、メッシュ体2を載置したときに、これら係止部12が網部22の網目のいずれかの孔に挿入された状態となる。このように、突起状の係止部12が網部22の網目の孔に挿入されることによって、塗布具に化粧料を付着させる際には、網部22の撓み性により多少の揺れはあるものの、塗布具との摩擦力によるメッシュ体2の回転運動などの水平方向の動きが規制されることになる。化粧終了後は、中蓋4を閉めれば、枠部21が周縁部14で押圧固定され、メッシュ体2がコンパクト容器から外れることはない。網部22の目開きについては、メッシュ体2の網部22を通って化粧料が塗布具に付着可能なものであれば特に限定されないが、化粧料を適量且つ均一に付着させるために、0.3〜5mm、特に0.5〜3mmの目開きのものが好ましい。
【0019】
このように、係止部12が網部22の網目に挿入されてメッシュ体2の動きを規制することには、以下のメリットが認められる。すなわち、係止部12を挿入可能な凹部などを別途、枠部21に設けた場合、メッシュ体2取り付け時にかかる凹部と係止部12の位置あわせが必要となるため、作業が繁雑となる。その点、本発明のように、メッシュ体2の任意の網部22に挿入されるようにすれば、どの向きでもメッシュ体2をただ載置しただけで係止部12は挿入されるので位置あわせの必要がなく取り付けが容易である。
【0020】
メッシュ体2の取り付け方法については以上のとおりであるが、取り外しについては、上から網部22を指でつまみ上げることによって、片手でも簡単に容器本体1から取り外し可能である。また、図6に示すように、枠部21につまみ片23などを別途設けることにより、取り外し作業がより容易となるため、好ましい。
【0021】
このように、簡単にメッシュ体2が取り外し可能となったことにより、化粧料の残量が少なくなったときにすぐにメッシュ体2を取り外して使用することができ、化粧料を最後まで使い切ることができるようになったことはいうまでもないが、さらに、肌上で部分的に化粧料の塗布量を増やしたいときなど、メッシュ体2を取り外して化粧料を塗布具や指に直接付着させることができる。さらに、本実施態様のように、複数の種類の化粧料を収容するタイプのものは、いずれか一つの化粧料についてはメッシュ体2を介して均一に塗布具に付着させ、他の化粧料はメッシュ体2を外して直接塗布具に付着させて肌に塗る化粧方法や、メッシュ体2を介して塗布具に複数の種類の化粧料を混合状態で付着させ、広範囲の肌に薄く均一に塗った後で、メッシュ体2を取り外していずれか一つの化粧料を塗布具や指で肌の特定部位に濃く塗る化粧方法など、より自由度の高い化粧方法を可能にするという効果を有し、本特許の効果を十分に享受することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 … … 容器本体
2 … … メッシュ体
3 … … 蓋体
4 … … 中蓋
11 … … 収納凹部
12 … … 係止部
13 … … 側壁部
14 … … 周縁部
15 … … 仕切り壁
21 … … 枠部
22 … … 網部
23 … … つまみ片
111 … … 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納凹部を有する容器本体と、前記容器本体に取り付け可能な蓋体とを備え、枠部と該枠部内に設けられた網部からなるメッシュ体を該収納凹部の開口部を覆うように載置自在なコンパクト容器であって、前記メッシュ体を載置した際に前記収納凹部の開口部周辺であって該メッシュ体の網部がかかる部位に係止部が設けられていることを特徴とするコンパクト容器。
【請求項2】
前記係止部が、前記収納凹部の開口周辺部の上端部に形成された少なくとも1つの突起状係止部であって、前記メッシュ体を載置した際に該網部の任意の網目の少なくとも1つの孔に該突起状係止部が挿入されることを特徴とする請求項1に記載のコンパクト容器。
【請求項3】
前記係止部が、前記収納凹部の開口周辺部の上端部に複数・等間隔で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のコンパクト容器。
【請求項4】
前記収納凹部の内部に仕切り壁が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のコンパクト容器。
【請求項5】
前記メッシュ体につまみ片が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のコンパクト容器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−239971(P2011−239971A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115005(P2010−115005)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)