説明

コンピュータ環境携帯装置

【課題】利用者が異なる場所で同一のコンピュータ作業環境を利用して仕事を処理できるようにする。
【解決手段】コンピュータ環境ソフトウェアはコンピュータ環境携帯装置4の記憶メモリに保存され、コンピュータ環境携帯装置4が初めてあるコンピュータに接続された際に、該コンピュータに自動的にインストールされる。コンピュータ環境携帯装置4が第1のコンピュータ1に接続された時、コンピュータ環境ソフトウェアは第1のコンピュータ1に示された第1の作業環境に関する複数のデータを保存することができ、続いてコンピュータ環境携帯装置4が第2のコンピュータ2に接続された時に、この複数のデータが読み出され、当該第2のコンピュータ2に書き込まれることによって、第1の作業環境で第2のコンピュータ2を操作することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期化装置に関し、特に複数のコンピュータ間で使用されるコンピュータ環境携帯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン(PC, Personal Computer)の普及に伴い、デスクトップ型パソコンやノート型パソコンは人々の生活環境のいたるところに使用されている。多くの利用者は日常の生活で二台以上のコンピュータに触れたり使用しているが、最も一般的なケースは、利用者が自宅と職場でそれぞれ一台ずつのコンピュータを使用することである。また、ビジネスマンは仕事の場所が頻繁に変わることも考えられ、出張期間中にコンピュータを通して仕事を処理すること必要が出てくるため、空港や旅館でビジネスマン用のコンピュータを提供しているところも多い。しかし、これらのコンピュータが提供する作業環境、即ち個人設定とユーザインタフェースはそれぞれ異なるため、数年前からノート型パソコンはビジネスマンにとって欠かせない必需品となっている。多くのノートパソコンのメーカーもこのようなビジネスマンを主要ターゲットとし、違う場所で同じパソコンの作業環境で仕事したい、という利用者の願いを実現している。
【0003】
しかしながら、ノート型パソコンはどんなに軽薄短小に作られていても一定の重量や体積を有するものであり、現在の技術から言えば、その携帯性の向上は行き詰まっているといえる。現在、最も携帯性に優れているノート型パソコンは少なくとも約一キロの重さであるが、荷物全体の重さからみれば大きな負担にはならないものの、精密な電子製品であるゆえ、託送により起こり得る損害を考慮して自分で持ち歩く利用者が多い。ノート型パソコンを自分で持ち歩くとなれば、かなりの負担になる。また、ノート型パソコンの電力の問題もその携帯性の向上を妨げる要因の1つである。他には例えば、いろいろなPDA(Personal digital assistant)製品が市場に出回って、利用者が手元で情報処理を行うというニーズを満たしているように、コンピュータの携帯性の問題を解決するための技術が開発されている。しかし、PDAの機能で完全にコンピュータに取って代わるのは不可能であるため、あくまでも補助的なツールとして使われている。
【0004】
また、コンピュータ技術の日進月歩がパソコンの普及を促しているほか、インターネット技術の飛躍的な発展も一つの要因となっている。インターネットによって、コンピュータ間での相互連絡やデータの相互アクセスと交換が可能となったため、複数台のコンピュータを所有する利用者が増え続けている。しかし、同じ利用者が複数台のコンピュータを所有する場合、コンピュータの使用に関して、次の課題が生じてくる。上に述べたように、コンピュータには、電子メールの設定やウェブブラウザの「ブックマーク(bookmark)」、「履歴(History)」、「クッキー(Cookie)」、またはデスクトップ、ショートカット等パーソナライズされた設定が多く、これらの設定は利用者がコンピュータを操作する際に最も頻繁に使用するインタフェースとプログラムに関わっているため、これらの設定がコンピュータに示される「作業環境」に影響すると言ってもよい。
【0005】
利用者は自分が所有する複数台のコンピュータに対して、異なるコンピュータを使っている時も同じ作業環境で仕事できるように、それぞれのコンピュータにおける個人設定を統合したいと思うのは自然である。しかしながら、複数台のコンピュータの個人設定を統合するのは容易にできることではない。例えば、利用者が第1のコンピュータのウェブブラウザの「ブックマーク」に新しいホームページアドレスを追加した場合、このホームページアドレスが自動的に第2のコンピュータのブラウザのブックマークに追加されるような技術は、現在ではまだ存在していない。従って、利用者は第2のコンピュータに対して、手動で当該ホームページアドレスの追加を行わなければならない。また、中には手動で追加できないような個人設定もたくさんある。例えば、個別の端末コンピュータを識別するため、または利用者のサイトでのパーソナライズされた設定を記録するために、サイトのサーバが利用者のコンピュータハードディスクに「クッキー」を書き込むこともあるが、このクッキーが即ち手動で追加できない個人設定である。このように、同一のコンピュータ(例えば、第1のコンピュータ)を使用する際、個人設定に複数の変更が加えられた場合、これらの変更を他のコンピュータ(例えば、第2のコンピュータ)にいちいち行うことは手間がかかるだけでなく、中には利用者の手動では行えないような変更もある。
【0006】
個人設定以外に、多くの利用者が「マイドキュメント」フォルダによく使うファイルを保存するように、利用者が複数台のコンピュータを所有しても、作業の対象となるのは常に同じファイルグループであることが多い。利用者が第1のコンピュータを使っている時に、当該グループのファイルの一部を開けて使用することによって更新し、第2のコンピュータを使っている時に、当該グループの他のファイルを開けて使用することによって更新する。これにより、第1のコンピュータと第2のコンピュータにおけるファイルのバージョンが異なる、という問題が生じる。また、当該ファイルグループを第1のコンピュータから第2のコンピュータに(または第2のコンピュータから第1のコンピュータに)丸ごと上書きしても、新しいバージョンのファイルを削除してしまうという問題がある。従って、いかにしてこのファイルグループを異なるコンピュータ間で最新の状態に維持すると同時に、新しいファイルが誤削除されることを防ぐかが、本発明の発展の重点である。
【0007】
このように、コンピュータとインターネットが広く普及する今日では、利用者が異なる場所において同一のコンピュータ作業環境で仕事できるように従来技術における欠点を改善し、また、同一の利用者が複数台のコンピュータを所有する場合において、各コンピュータの作業環境とファイルを統合しにくいという問題を解決することが、本発明の重要な発展方向である。
【発明の開示】
【0008】
本発明の主な目的は、利用者が異なる場所で同一のコンピュータ作業環境を利用して仕事を処理できるようにするための解決策を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、ノート型パソコンの携帯性に関する従来技術の欠点を改善できる代替プランを提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、利用者が複数台のコンピュータを所有する場合の、各コンピュータ間の作業環境とファイルを統合しにくいという従来の課題を改善することである。
【0011】
本発明は複数のコンピュータ間で使用されるコンピュータ環境携帯装置であって、記憶メモリと、コンピュータ環境ソフトウェアと、識別コードと、を有する。コンピュータ環境ソフトウェアは記憶メモリに保存され、コンピュータ環境携帯装置が初めてあるコンピュータに接続された際に、該コンピュータに自動的にインストールされる。識別コードは記憶メモリに保存され、該コンピュータにインストールされたコンピュータ環境ソフトウェアが、接続しているコンピュータ環境携帯装置の識別コードを読み取ることによって検証が行われ、コンピュータ環境携帯装置を起動させる。コンピュータ環境携帯装置が第1のコンピュータに接続された時、コンピュータ環境ソフトウェアは第1のコンピュータに示された第1の作業環境に関する複数のデータを保存することができ、続いてコンピュータ環境携帯装置が第2のコンピュータに接続された時に、この複数のデータが読み出され、当該第2のコンピュータに書き込まれることによって、第1の作業環境で第2のコンピュータを操作することができる。
【0012】
本発明のコンピュータ環境携帯装置によって、利用者が複数台のコンピュータを所有する際の、各コンピュータの作業環境とファイルを統合しにくいという従来の課題が改善される。従って、本発明は高携帯性という特長を有するだけでなく、利用者が異なるコンピュータを使って慣用のコンピュータの作業環境を模擬することが可能となり、また、実質的に複数台のコンピュータに対して同期化を行い、ファイルとデータの統合速度を有効に上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明は複数のコンピュータ間で使用されるコンピュータ環境携帯装置である。例えば、第1のコンピュータ1、第2のコンピュータ2及び第3のコンピュータ3には異なる個人設定が保存されているため、それぞれが異なる第1の作業環境11、第2の作業環境21及び第3の作業環境31が示されている。利用者がよく使用するコンピュータが第1のコンピュータ1であるとした場合、コンピュータ環境携帯装置4を通して、第2のコンピュータ2または第3のコンピュータ3を第1のコンピュータ1に示される第1の作業環境11に同期化することが可能である。つまり、コンピュータ環境携帯装置4を通して、第1の作業環境11で第2のコンピュータ2または第3のコンピュータ3を操作することができる。なお、上述した第1の作業環境11はデスクトップ、ウェブブラウザ、電子メール及び特定ファイルの環境に関する設定を含む。
【0015】
コンピュータ環境携帯装置4の実施の形態には限定を加えずに、高携帯性に主眼を置く。コンピュータ環境携帯装置4の形式は例えば、USBペンドライブ、SDメモリカード、SMメモリカード、CFメモリカード、XDメモリカード、記憶メモリが内蔵されたカードリーダ、またはスマートフォンやPDAに内蔵するもの等から選択することができる。コンピュータ環境携帯装置4は、記憶メモリ41、コンピュータ環境ソフトウェア42及び識別コード43を含む。コンピュータ環境ソフトウェア42は記憶メモリ41に保存され、コンピュータ環境携帯装置4が初めてあるコンピュータ(例えば、図1の符号1、2または3)に接続された際に、コンピュータ環境ソフトウェア42は該コンピュータ(1、2または3)に自動的にインストールされる。識別コード43は記憶メモリ41に保存され、該コンピュータ(1、2または3)にインストールされたコンピュータ環境ソフトウェア42が、接続しているコンピュータ環境携帯装置4の識別コード43を読み取ることによって検証が行われ、コンピュータ環境携帯装置を起動させる。
【0016】
コンピュータ環境携帯装置4が第1のコンピュータ1に接続された時、コンピュータ環境ソフトウェア42が第1のコンピュータ1に示された第1の作業環境11に関する複数のデータを保存する(以下、「第1の作業環境11に関する複数のデータ」を「第1の関連データ群12」と称する)。
【0017】
本発明の一実施の形態によれば、第1の関連データ群12はコンピュータ環境携帯装置4の記憶メモリ41に保存される。または、他の実施の形態では、第1の関連データ群12はインターネットを通してサーバ6に保存される。コンピュータ環境携帯装置4が続いて第2のコンピュータ2に接続された時に、第1の関連データ群12が読み出され、第2のコンピュータ2に書き込まれることで、第1の作業環境11で第2のコンピュータ2を操作することができる。同様に、コンピュータ環境携帯装置4が第3のコンピュータ3に接続された時に、第1の関連データ群12が読み出され、第3のコンピュータ3に書き込まれることで、第1の作業環境11で第3のコンピュータ3を操作することができる。
【0018】
図1の実施の形態の説明からわかるように、本発明のコンピュータ環境携帯装置4は、コンピュータ環境ソフトウェア42を含む媒体であり、利用者はコンピュータ環境携帯装置4(第1の関連データ群12を保存済み)のみを持ち歩けば、利用者が異なる場所でコンピュータを使って仕事する時に、コンピュータ環境携帯装置4を当該場所のコンピュータに接続するだけで、コンピュータ環境ソフトウェア42が自動的にインストールされ、当該コンピュータの作業環境を第1の作業環境11に変換することができる。例えば、電子メールの設定、ウェブブラウザの「ブックマーク(bookmark)」、「履歴(History)」、「クッキー(Cookie)」、またはデスクトップ、ショートカット、作業関係のドキュメント及びファイル等の個人設定に第1のコンピュータ1の状態が反映される。これによって、利用者は異なる場所で異なるコンピュータを使用しても、同じコンピュータ作業環境(第1の作業環境11)で仕事を処理することが可能となったため、本発明は確かに従来技術の解決策を提供するものである。
【0019】
次に図2を参照する。図2は図1のコンピュータ環境携帯装置が第1のコンピュータに接続された場合を示す図である。図2に示すように、コンピュータ環境携帯装置4が第1のコンピュータ1に接続されると、コンピュータ環境ソフトウェア42が第1のコンピュータ1にインストールされる。コンピュータ環境ソフトウェア42には、第1の関連データ群12を取り出すためのデータ取り出しモジュール421が含まれている。第1の関連データ群12には、第1のコンピュータ1のデスクトップイメージ設定ファイル121、デスクトップショートカットファイル122及びデスクトップショートカットアイコンファイル123が含まれている。デスクトップイメージ設定ファイル121、デスクトップショートカットファイル122及びデスクトップショートカットアイコンファイル123は、第1のコンピュータ1に示されるデスクトップ作業環境に関するものである。データ取り出しモジュール421にはファイルを取り出すための、関連のサーチパスと目標ファイル名が組み込まれている。本発明の一実施の形態によれば、データ取り出しモジュール421はシステムレジストリからデスクトップイメージ設定ファイル121の保存場所を取得してからデスクトップイメージ設定ファイル121を取得する。データ取り出しモジュール421はさらにシステムレジストリからデスクトップフォルダの保存場所を取得して、このデスクトップフォルダをスキャンすることによってデスクトップショートカットファイル122とデスクトップショートカットアイコンファイル123を取得する。
【0020】
続けて図2を参照すると、第1の関連データ群12には第1のコンピュータ1のウェブブラウザのクッキー124、履歴125及びブックマーク126も含まれている。クッキー124、履歴125及びブックマーク126は第1のコンピュータ1が示すウェブブラウザの作業環境に関するものである。また、データ取り出しモジュール421にはファイルを取り出すための、関連のサーチパスとターゲットファイル名が組み込まれている。本発明の一実施の形態によれば、データ取り出しモジュール421はシステムレジストリからクッキー124、履歴125及びブックマーク126の保存場所を取得してからクッキー124、履歴125及びブックマーク126を取得する。
【0021】
続けて図2を参照すると、第1の関連データ群12には第1のコンピュータ1のメールアカウント設定ファイル127と少なくとも一つのメールフォルダ128が含まれている。メールアカウント設定ファイル127とメールフォルダ128は第1のコンピュータ1に示される電子メールの作業環境に関するものである。また、データ取り出しモジュール421にはファイルを取り出すための、関連のサーチパスとターゲットファイル名が組み込まれている。本発明の一実施の形態によれば、データ取り出しモジュール421はシステムレジストリからメールアカウント設定ファイル127とメールフォルダ128の保存場所を取得してからメールアカウント設定ファイル127とメールフォルダ128を取得する。
【0022】
続けて図2を参照すると、第1の関連データ群12にはさらに第1のコンピュータ1の「マイドキュメントフォルダ129」が含まれている。よく使うワードファイルとデータをマイドキュメントフォルダ129に保存する利用者が多いため、本発明の一実施の形態では、データ取り出しモジュール421がマイドキュメントフォルダ129内のファイルおよびデータを取得して保存することを、デフォルトアクションとして設定する。他の実施の形態では、エディタモジュール422を使ってデータ取り出しモジュール421に対してデフォルトアクションの変更を行うことによって、取得して保存されるファイルの関連のパスとファイル名を指定することができる。
【0023】
なお、上述した第1の作業環境11に関する第1の関連データ群12、例えば各実施の形態で列挙したデスクトップイメージ設定ファイル121、デスクトップショートカットファイル122、デスクトップショートカットアイコンファイル123、クッキー124、履歴125、ブックマーク126、メールアカウント設定ファイル127、メールフォルダ128及びマイドキュメントフォルダ129等は、コンピュータのオペレーティングシステムとソフトウェアプログラムの配置によって、第1のコンピュータ1内の異なるファイルパスに保存されているが、ここでは説明の便宜上、第1の関連データ群12が保存される場所を「公共スペース13」とし、公共スペース13には第1の関連データ群12のそれぞれの正確且つ有効なファイルパスが含まれている。
【0024】
図2に示すように、コンピュータ環境ソフトウェア42にはさらにパスワードモジュール423とモニタモジュール424が含まれている。上述した本発明の機能によれば、コンピュータ環境携帯装置4自体はコンピュータの演算機能を有していないものの、コンピュータに接続されると、当該コンピュータを利用者が慣用する第1の作業環境11に変換することができる。従って、本発明では、利用者個人データの盗難を防ぐため、パスワードモジュール423とモニタモジュール424を使ってコンピュータ環境携帯装置4の安全強化を図る。パスワードモジュール423は、コンピュータ環境携帯装置4がコンピュータに接続される時にまずダイアログボックスで入力パスワード51の入力を要求し、入力パスワード51が所定のユーザパスワード52と一致した場合にのみコンピュータ環境ソフトウェア42を起動させる。本発明の一実施の形態によれば、パスワードモジュール423はさらにパスワード編集とヒント提示の機能を有し、利用者はエディタモジュール422が示すダイアログボックスでユーザパスワード52を編集し、ユーザパスワード52のヒントとなるフレーズを入力することができる。
【0025】
モニタモジュール424はコンピュータ環境携帯装置4の識別コード43に対して継続的に読み取りと検証を行うが、この時、コンピュータ環境ソフトウェア42がインストールされた際にコンピュータに記憶される対応コード53が検証の基準となり、識別コード43と対応コード53が一致した場合にのみコンピュータ環境ソフトウェア42を起動させる。これによって、コンピュータ環境携帯装置4は鍵の機能を有することとなり、コンピュータ環境携帯装置4とコンピュータとが接続されている状態になっている時にだけ、コンピュータ内のコンピュータ環境ソフトウェア42を作動させることができる。
【0026】
データ取り出しモジュール421が第1のコンピュータ1から第1の関連データ群12を取り出した後、データ送信モジュール425によって第1の関連データ群12をコンピュータ環境携帯装置4の記憶メモリ41に保存する。または、他の実施の形態では、第1の関連データ群12はインターネットを通してサーバ6に保存される。
【0027】
次に図3を参照する。図3は図1のコンピュータ環境携帯装置が第2のコンピュータに接続された場合を示す図である。図3に示すように、コンピュータ環境携帯装置4が第2のコンピュータ2に接続されると、コンピュータ環境ソフトウェア42は第2のコンピュータ2にインストールされる。第2のコンピュータ2は利用者が一時的に使う、またはあまり使わないコンピュータである。コンピュータ環境携帯装置4は利用者がよく使う第1のコンピュータ1を基準とし、第1のコンピュータ1が示す第1の作業環境11に関する第1の関連データ群12を記憶メモリ41に保存する。または上述したように、他の実施の形態では、第1の関連データ群12はインターネットを通してサーバ6に保存される。
【0028】
図1に示すように、第2のコンピュータ2は元々所定の第2の作業環境21を有している。図3に示すように、以下、第2の作業環境21に関する複数のデータを「第2の関連データ群22」と称する。第2の関連データ群22は公共スペース23に保存されているが、公共スペース23は第2のコンピュータ2の電子メール設定、ウェブブラウザの「ブックマーク(bookmark)」、「履歴(History)」、「クッキー」、またはデスクトップ、ショートカット、作業関連のドキュメントとファイル等の個人設定を正しく設定できるファイルパスが含まれている。
【0029】
コンピュータ環境携帯装置4が第2のコンピュータ2に接続された時、利用者個人データの盗難を防ぐため、パスワードモジュール423とモニタモジュール424は上述した機能を維持しなければならない。コンピュータ環境ソフトウェア42が動作し始めると、第1の作業環境11に関する第1の関連データ群12が読み出され、図3に示すように、コンピュータ環境ソフトウェア42のデータ受信モジュール426が第1の関連データ群12を受信して、コンピュータ環境ソフトウェア42が第2のコンピュータ2で開設したプライベートスペース24に送信する。データ取り出しモジュール421は公共スペース23の第2の関連データ群22を取り出し、第2の関連データ群22をコンピュータ環境ソフトウェア42に開設された一時記憶スペース25に保存する。続いて、コンピュータ環境ソフトウェア42は第1の関連データ群12を公共スペース23に書き込む。このように、第1の作業環境(図1の符号11)で第2のコンピュータ2を操作することができる。利用者から見れば、第2のコンピュータ2を第1のコンピュータ1に変えることとなる。これによって、利用者はコンピュータ環境携帯装置4のみを持ち運べば、任意のコンピュータにおいて使い慣れた第1の作業環境11で仕事することができる。
【0030】
利用者が第2のコンピュータ2で仕事を完成させて、コンピュータ環境携帯装置4を取り外す時は、取り外しの作業が行われる。公共スペース23に保存されている第1の関連データ群12は利用者の作業中に変更される可能性があるため、コンピュータ環境携帯装置4で第1の作業環境11の最新状態を保持できるように、コンピュータ環境ソフトウェア42は、データ取り出しモジュール421を通して第1の関連データ群12を取り出し、さらにデータ送信モジュール425を通して第1の関連データ群12を記憶メモリ41またはサーバ6に送信して保存する。また、「仮想モード71(Virtual mode)」において、コンピュータ環境ソフトウェア42は取り外し作業を行う際、第2のコンピュータ2が元の第2の作業環境(図1の符号21)に復元できるように、一時記憶スペース25の第2の関連データ群22を公共スペース23に戻し、また、他の利用者が第2のコンピュータ2を使用する時に上述の個人データを使用できないように、プライベートスペース24、一時記憶スペース25とこれらに保存されている全てのデータを削除する。この仮想モード71は、利用者の外出時に共用または借りたコンピュータを一時的に使用する場合に好適である。
【0031】
本発明のコンピュータ環境ソフトウェア42はさらに「同期モード72(sync mode)」を有するが、この同期モードにおいては、取り外し作業で第2の関連データ群22を公共スペース23に戻さずに、コンピュータ環境携帯装置4が取り外された後も第1の作業環境11で第2のコンピュータ2を操作することができるようにする。同じ利用者が複数台のコンピュータ(例えば、図1の第1のコンピュータ1、第2のコンピュータ2及び第3のコンピュータ3)を所有する場合、個人データの盗難を心配する必要がなくなるため、この同期モード72は同じ利用者が複数台のコンピュータを所有する場合に好適である。また、同期モード72は、同じ利用者が複数台のコンピュータを所有する場合の、各コンピュータ間の作業環境とファイルを統合しにくい、という従来技術の課題を有効に改善することができる。同期モード72において、仮想モード71の取り外し作業と同様にプライベートスペース24、一時記憶スペース25とこれらに保存されている全てのデータを削除できるのは言うまでもないが、同期化の復元を考慮した場合、本発明の一実施の形態によれば、好ましくはプライベートスペース24、一時記憶スペース25とこれらに保存されているデータを第2のコンピュータ2に保留する。
【0032】
図3に示すように、コンピュータ環境ソフトウェア42にモード選択モジュール427を設けることによって、上述の仮想モード71と同期モード72を選択することができる。モード選択モジュール427は例えばダイアログボックスで利用者に仮想モード71と同期モード72のどちらを選ぶかを聞く。また、他の実施の形態では、モード選択モジュール427はさらに「ダミーモード(dummy mode)」を含む。ダミーモードが選択された場合、コンピュータ環境ソフトウェア42は同期化の機能を起動せず、利用者によって設定が自由に変更される。
【0033】
利用者が再度第1のコンピュータ1に戻って作業を始める場合、コンピュータ環境携帯装置4を第1のコンピュータ1に接続して、仮想モード71、同期モード72またはダミーモード73を選択する。上述したように第1のコンピュータ1が利用者の最も頻繁に利用する主要なコンピュータであれば、第1のコンピュータ1で最新状態の第1の作業環境11を維持できるように、第1のコンピュータ1に対して同期モード72を選ぶことができる。しかしこれに限らず、図2と図3を参照して本発明の第1のコンピュータ1と第2のコンピュータ2を説明したように、コンピュータ環境携帯装置4がその他のコンピュータ(例えば、第3のコンピュータ3等)に接続された時でも、上述の実施の形態と同等の動作と機能を実現できる。
【0034】
また、特に言及しなければならないのは、本発明のコンピュータ環境ソフトウェア42はさらに代替プログラム検索機能を有することである。第2のコンピュータ2のウェブブラウザが第1のコンピュータ1のウェブブラウザと異なる時、例えば、第2の作業環境21がマイクロソフトインターネットエクスプローラ(登録商標)で、第1の作業環境11がネットスケープ(登録商標)である場合、図3に示すように、デスクトップショートカットファイル122が第1の作業環境11でのネットスケープ(登録商標)のプログラムの起動パスであれば、コンピュータ環境ソフトウェア42は代替プログラム検索機能を起動して、デスクトップショートカットファイル122を第2のコンピュータ2が有するマイクロソフトインターネットエクスプローラ(登録商標)のプログラムに導く。
【0035】
他の実施の形態でコンピュータ環境ソフトウェア42が有する代替プログラム検索機能について説明すると、第2のコンピュータ2と第1のコンピュータ1の電子メールソフトが異なる時、例えば、第2の作業環境21がアウトルック(登録商標)で第1の作業環境11がアウトルックエクスプレス(登録商標)である場合、図3に示すように、メールフォルダ128は第1の作業環境11でアウトルックエクスプレス(登録商標)によって起動されるが、第2のコンピュータ2でアウトルックエクスプレス(登録商標)が存在しないため、コンピュータ環境ソフトウェア42が代替プログラム検索機能を起動することで、メールフォルダ128がアウトルック(登録商標)によって開かれる。
【0036】
上述した代替プログラム検索機能は、コンピュータ環境ソフトウェア42にプログラム代替モジュール428を設けることによって実現される。図3に示すように、プログラム代替モジュール428は第1の関連データ群12内の各データやフォルダのアプリケーションと第2のコンピュータ2のオペレーティングシステム26に存在するアプリケーションの比較を行い、所定の代替ガイドラインリストに基づいてプログラムの代替動作を実行する。
【0037】
このように、本発明は、利用者が異なる場所で同一のコンピュータ作業環境を利用して仕事を処理できるようにするための解決策を提供している。携帯性が低い従来のノート型パソコンに較べれば、本発明はさらに有効な代替プランを提供している。また、本発明のコンピュータ環境携帯装置によれば、利用者が複数台のコンピュータを所有する場合の、各コンピュータ間の作業環境とファイルを統合しにくいという従来の課題を改善することが可能となる。従って、本発明は高携帯性という特長を有するだけでなく、利用者が異なるコンピュータを使って慣用のコンピュータ作業環境を模擬することが可能となり、さらに複数台のコンピュータに対して実質的な同期化を行い、ファイルとデータの統合速度を有効に上げることができる。
【0038】
以上、好ましい実施の形態によって本発明を例示して説明したが、本発明の精神と発明の実体は上述した実施の形態に限られたものではない。関連技術に熟知した人物にとって容易に理解できるものであり、また、他の手段や方法を用いることによって同様の効果を達成することが可能である。従って、本発明の精神と範囲内で行われた変更は全て添付された請求の範囲に含まれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の複数のコンピュータ間で使用されるコンピュータ環境携帯装置を示す図
【図2】図1のコンピュータ環境携帯装置が第1のコンピュータ1に接続された場合を示す図
【図3】図1のコンピュータ環境携帯装置が第2のコンピュータ2に接続された場合を示す図
【符号の説明】
【0040】
1 第1のコンピュータ
11 第1の作業環境
12 第1の関連データ群
13、23 公共スペース
121 デスクトップイメージ設定ファイル
122 デスクトップショートカットファイル
123 デスクトップショートカットアイコンファイル
124 クッキー
125 履歴
126 ブックマーク
127 メールアカウント設定ファイル
128 メールフォルダ
129 マイドキュメント
2 第2のコンピュータ
21 第2の作業環境
22 第2の関連データ群
24 プライベートスペース
25 一時記憶スペース
26 オペレーティングシステム
3 第3のコンピュータ
31 第3の作業環境
4 コンピュータ環境携帯装置
41 記憶メモリ
42 コンピュータ環境ソフトウェア
43 識別コード
421 データ取り出しモジュール
422 エディタモジュール
423 パスワードモジュール
424 モニタモジュール
425 データ送信モジュール
426 データ受信モジュール
428 プログラム代替モジュール
51 入力パスワード
52 ユーザパスワード
53 対応コード
6 サーバ
71 仮想モード
72 同期モード
73 ダミーモード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンピュータ間で使用されるコンピュータ環境携帯装置であって、
記憶メモリと、
前記記憶メモリに保存されたコンピュータ環境ソフトウェアであって、前記コンピュータ環境携帯装置があるコンピュータに初めに接続された際に、該コンピュータに自動的にインストールされるコンピュータ環境ソフトウェアと、
前記記憶メモリに保存された識別コードであって、該コンピュータにインストールされた前記コンピュータ環境ソフトウェアが、接続している前記コンピュータ環境携帯装置の識別コードを読み取ることによって検証が行われ、コンピュータ環境携帯装置を起動させる、識別コードと、を具備し、
前記コンピュータ環境携帯装置が第1のコンピュータに接続された時、該第1のコンピュータに示された第1の作業環境に関する複数のデータを保存することができ、続いて前記コンピュータ環境携帯装置が第2のコンピュータに接続された時に、第1の作業環境に関する前記データが読み出され、該第2のコンピュータに書き込まれることによって、該第2のコンピュータが第1の作業環境で操作され、
前記第1の作業環境に関する前記データは、該第1のコンピュータ1のデスクトップイメージ設定ファイル、デスクトップショートカットファイル、デスクトップショートカットアイコンファイル、ウェブブラウザのクッキー、ウェブブラウザの履歴、ウェブブラウザのブックマーク、メールアカウント設定ファイル、メールフォルダ、マイドキュメントフォルダ、またはこれらの任意の組み合わせから選択され、
前記コンピュータ環境ソフトウェアは、
前記第1の作業環境に関する前記データを取り出すデータ取り出しモジュールと、
前記コンピュータ環境携帯装置が該第2のコンピュータに接続された時に、前記第1の作業環境を該第2のコンピュータ2が元々有する第2の作業環境に上書きする、同期モード(sync mode)、または、前記コンピュータ環境携帯装置が該第2のコンピュータに接続された時は、一時的に前記第1の作業環境で該第2のコンピュータを操作するが、前記コンピュータ環境携帯装置が該第2のコンピュータ2から取り外された時に、該第2のコンピュータ2は元の第2の作業環境に戻る、仮想モード(virtual mode)を決める選択モジュールと、
前記識別コードに対して継続的に読み取りと検証を行うモニタモジュールと、
入力パスワードを受信し、該入力パスワードが所定のユーザパスワードと一致した場合に前記コンピュータ環境ソフトウェアが起動される、パスワードモジュールと、
該第2のコンピュータへの前記データを、前記コンピュータ環境携帯装置から受信するデータ受信モジュールと、
最新状態の第1の作業環境に関する前記データを前記コンピュータ環境携帯装置に送信するデータ送信モジュールと、
前記第2のコンピュータのアプリケーションと前記第1の作業環境と一致しない時に、該第2のコンピュータにおいて代替可能なアプリケーションを検索するプログラム代替モジュールと、
を有するコンピュータ環境携帯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−146912(P2006−146912A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−326507(P2005−326507)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(505418847)寰震科技股▲分▼有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】Vantech Software Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】6F−6,No.258, Liangcheng Road, Junghe City, Taipei, Taiwan, R.O.C.
【Fターム(参考)】